JP2016198910A - セルフクリーニング性塗装金属板 - Google Patents

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Abstract

【課題】長期に渡る耐汚染性を提供することができ、且つ成形性の優れた塗装金属板提供すること。【解決手段】金属板の少なくとも片側表面上に、最外層を含む少なくとも2つの層を有する塗装金属板であって、前記最外層が、少なくともアルコキシシラン、ポリエステル系樹脂由来の成分、および架橋剤を含有する塗料から形成されており、前記最外層の表面から深さ3μmまでのマルテンス硬さHMが、50N/mm2〜500N/mm2であり、且つ高周波グロー放電発光表面分析による平均N濃度が20〜30質量%であることを特徴とする塗装金属板。【選択図】なし

Description

本発明は、セルフクリーニング効果を有して、長期に渡る屋外耐汚染性を有し、加工性にも優れた塗装金属板に関する。
鉄に代表される金属材料は耐久性を向上させることを目的として、あるいは美しい外観を得ることを目的として塗装して使用されるのが一般的である。塗装された金属板は、家電製品の筐体、自動車の外板、屋根材、壁材、屋外構造物等の分野で広く用いられている。このうち、特に屋外での用途については雨、風、砂塵等にさらされるため、耐食性に加えて耐汚染性に優れることが必要とされている。
塗装金属板(「PCM」とも呼ばれる)は、塗膜を形成した後、コイル状に巻き取られ、その状態でユーザーに納入される。ユーザーは、コイルを払い出して、打ち抜き加工、曲げ加工、絞り加工、またはこれらを組み合わせた加工を施して、最終製品化される。
屋外や水のかかる環境で使用される用途に用いられる塗装金属板には、雨垂れ等による金属板表面の汚染を抑制する耐雨垂れ汚染性が要求される。一般的に、耐雨垂れ汚染性を有する金属板はその表面が親水化処理されている。これにより、金属板表面に付着した雨水は、水滴として金属板表面に留まることなく、速やかに金属板全体に広がり、雨水に含まれる微粒子(土ぼこりやすすなど)や金属板表面に付着した汚れ成分(土ぼこりやすすなど)を巻き込みながら下方に移動して金属板から滴下する。このような親水化処理がなされていない塗装金属板では、雨水は金属板表面で水滴となり、この水分が蒸発すると、水滴に含まれる汚れ成分だけがスポット状または筋状に残留し、雨垂れとして視認されるようになる。
したがって、塗装金属板は、優れた成形性を有すると同時に良好な耐汚染性、特に雨垂れ汚染性が求められる。
特許文献1には、鋼板の表層がアルコキシシラン由来の成分および/またはアルコキシシランの部分加水分解縮合物由来の成分、ポリエステル樹脂由来の成分、およびメラミン樹脂由来の成分を含有する耐雨垂れ汚染性および耐汚染性を有する樹脂塗装金属板が記載されている。しかし、この表層は最表面近傍にアルコキシシランの濃化層があり、メラミンの濃化層は5nm〜40nmであり、非常に薄く、長期に渡る耐汚染性を提供するものではない。
特許文献2には、鋼板上に塗膜層を有する塗装鋼板であって、塗膜硬度が、塗膜層表面から少なくとも1μm内側までが400kg/cm2以上である外層部分と、は塗膜硬度が400kg/cm2未満である外層部分以外の部分(内層部分)を有することを特徴とする塗装鋼板が記載されている。しかし、この塗装鋼板は、最表面に親水性層を有しておらず、また、長期に渡る耐汚染性を提供することを目的とするものではない。
上述するように、先行技術文献に開示される耐汚染性を有するとされる塗装金属板は、いずれも初期の耐汚染性を提供することを目的とするものである。長期に渡る耐汚染性を提供することができ、且つ成形性の優れた塗装金属板が求められている。
特開2005−288963号公報 特開平05−077356号公報
本発明は、上記の現状に鑑み、セルフクリーニング効果を有し、経時的にセルフクリーニング効果が消失した後も、耐汚染性を有し、屋外においても長期間にわたって使用することができる塗装金属板を提供するものである。
上記の課題に対し、発明者らが鋭意検討を行った結果、塗装金属板の最外層の表面から深さ3μmまでのマルテンス硬さHMを、50N/mm〜500N/mmとし、且つ高周波グロー放電発光表面分析による平均N濃度を20〜30質量%とすることで、長期間にわたって耐汚染性、セルフクリーニング機能を有する塗装金属板を提供することができることを見出した。また、最外層を構成する樹脂成分として、ポリエステル系樹脂由来の成分を用いることにより、高い硬度と加工性の両立を実現できることを見出した。
本発明の塗装金属板は、具体的には、以下の通りである。
(1)金属板の少なくとも片側表面上に、最外層を含む少なくとも2つの層を有する塗装金属板であって、
前記最外層が、少なくともアルコキシシラン、ポリエステル系樹脂由来の成分、および架橋剤を含有する塗料から形成されており、
前記最外層の表面から深さ3μmまでのマルテンス硬さHMが、50N/mm〜500N/mmであり、且つ高周波グロー放電発光表面分析による平均N濃度が20〜30質量%であることを特徴とする塗装金属板。
(2)前記最外層のSi濃度が、前記最外層の表面から0.1μm深さまでの平均濃度で20質量%以上であることを特徴とする(1)記載の塗装金属板。
(3)前記架橋剤が、ブロックイソシアネート化合物、メチル化メラミン樹脂、ブチル化メラミン樹脂、及びフルエーテルメラミン樹脂から選ばれる少なくとも1種である(1又)は(2)に記載の塗装金属板。
本発明によれば、屋外用家電製品、例えば、電気給湯機の外板(筐体)、エア・コンディショナー室外機の筐体に用いた場合に、優れた加工性と従来以上に長期間の耐汚染性を発現する塗装金属板を容易に得ることができる。
以下、本発明の構成について、詳細に説明する。
1.最外層塗膜
最外層塗膜は、アルキルシリケート、バインダー成分、架橋剤、および必要に応じて塗膜に追加の機能を付与する種々の添加剤から構成される。
(1)アルキルシリケート
アルキルシリケートとは、テトラアルコキシシランを出発物質とするアルコキシシランオリゴマーで、加水分解反応、さらには縮合反応により、SiOH基やSiOSi結合を形成する反応性の添加剤である。これらを添加することで塗膜表面が親水性となり、塗膜表面に汚染物質が付着しても、これが降雨時に洗い流されることで、耐雨垂れ汚染性を発現する。
耐雨垂れ汚染性をより確実に得るには、最外層の塗膜におけるテトラアルコキシシランの部分加水分解縮合物の含有量を、Si換算で、最外層の表面から0.1μm深さまでの平均濃度で、塗膜の樹脂固形分100に対し0.5質量%以上とすることが好ましい。より好ましくは3質量%以上である。これにより、最外層の塗膜表面での対水接触角が60度以下である親水性を有するものとすることが好ましい。特に、最外層表面で20質量%以上であることが好ましい。
一方、テトラアルコキシシランの部分加水分解縮合物の含有量が過剰になると、塗膜の加工性が低下したり、塗膜にクラックが発生したりする場合があるので、テトラアルコキシシランの部分加水分解縮合物の含有量はSi換算で、最外層の塗膜の樹脂固形分100に対し50質量%以下とすることが好ましい。より好ましくは30質量%以下である。塗膜の樹脂固形分とは、塗膜が架橋剤を含有する場合には、樹脂+架橋剤の合計量を意味する。
テトラアルコキシシラン部分加水分解物縮合物の例としては、例えば市販品であるメチルシリケート51、エチルシリケート40、エチルシリケート48(以上、コルコート社製)や、MKCシリケートMS51、MS56(以上、三菱化学株式会社製)等が挙げられる。またテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン等のモノマーに水及び触媒を加えて加水分解・縮合反応を不完全に生じさせることによって、その部分加水分解縮合物を調製してもよい。
(2)バインダー成分
最外層のバインダー樹脂として、ポリエステル系樹脂を用いることができる。ポリエステル系樹脂は、汚染性、意匠性、耐疵付き性、バリア性、加工性等を付与する点から好ましい。
ポリエステル系樹脂としては、従来から塗装金属板に使用されているポリエステル樹脂、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートを用いることができる。また、各種の変性ポリエステル樹脂、例えば、エポキシ変性ポリエステル樹脂等を使用することもできる。
本発明の塗装金属板に用いることができるポリエステル系樹脂は、加工性と耐食性を両立させる観点から、数平均分子量が6000以上、ガラス転移点が15℃以上のものが好ましい。ガラス転移点は好ましくは40℃以上である。ポリエステル系樹脂の分子量が6000未満では加工性に劣り、ガラス転移点が15℃未満であると耐食性に劣る。
(3)架橋剤
最外層塗膜を焼付け硬化型とするために、ポリエステル系樹脂塗料に架橋剤を含有させる。硬化剤としては、メラミン樹脂及び/またはポリイソシアネート化合物を用いることが、プレス加工性とバリア性のバランスの点から好ましい。本発明では、最外層の表面から深さ3μmまでの厚み部分に高いマルテンス硬度を有する塗膜を形成するために、この範囲で、架橋反応が促進される必要がある。
メラミン樹脂の場合、添加量は、樹脂固形分100質量部に対して5〜40質量部とすることが好ましい。添加量が5質量部未満だと樹脂との十分な架橋反応が期待できず、塗膜としての性能が不十分となることが懸念される。一方、添加量が40質量部より多くなると、架橋反応が進みすぎて塗膜全体が過度に硬くなり、加工性が低下する。好ましい架橋剤の種類としては、塗膜加工性と塗膜硬度の両立の観点から、塗膜表面に濃化しやすい表面自由エネルギーの比較的小さい架橋剤を用いることが好ましい。具体的には、メチル化メラミン、ブチル化メラミン、フルエーテルメラミン等が挙げられる。
ポリイソシアネート化合物の場合、添加量は、上と同様の理由で、樹脂固形分100質量部に対して3〜30質量部とすることが好ましい。好ましい化合物としては、脂肪族系ポリイソシアネート等が挙げられるが、環境性の観点からブロックイソシアネート化合物が好ましい。
(4)硬化触媒
本発明に係るバインダー成分は、必要に応じて硬化触媒を含んでもよい。硬化触媒の役割の一つとして、架橋剤同士の自己縮合反応の促進や架橋剤と樹脂との架橋反応の促進等が挙げられる。
特に架橋剤が上述した表面自由エネルギーの小さなメチル化メラミンまたはブチル化メラミンである場合、最外層の表面に架橋剤が濃化するので、硬化触媒による架橋反応と自己縮合反応が表面近傍でより促進される。
さらに、表面に架橋剤が濃化することで、最外層の表面部は硬質であるが内部は相対的に軟質となる構成が実現される。このため、最外層表面の高硬度化と加工性の両立が可能となる。また、プレス加工時に最外層塗膜全体が基材の変形に追従しやすくなるので、局所的に塗膜に割れが発生することが抑制される。
硬化触媒の添加量は、溶媒も含めた塗料100質量部に対して0.1〜3質量部とすることが好ましい。添加量が過度に少ないと、硬化触媒としての効果、すなわち硬化の促進が十分に行われないことが懸念される。一方、添加量が過度に多いと、架橋等が進みすぎて外観の不具合が発生するなど新たな問題を生ずることが懸念される。
(5)その他の成分
上記の成分に加えて、本発明の最外層は、用途に応じて、顔料、例えば、無機系顔料(カーボンブラック、チタニア、光輝顔料等)を含むことができる。また、防錆性を高めるために防錆顔料(多孔質シリカ、リン酸系防錆顔料、イオン交換シリカ等)を含有することができる。
本発明の最外層は、さらに、レベリング剤、樹脂粒子、ワックス、溶接性や電磁波シールド性を向上させるための導電粉、耐候性を改善するのに有効な紫外線吸収剤および光安定剤、プレス加工性の改善に有効なワックス等を含むことができる。
(6)最外層の膜厚
最外層の膜厚は5〜30μmの範囲とする。5μm未満では、塗膜の隠蔽性が劣るほか、平面部の耐食性も低下することが懸念され、30μm以上だとコスト面において不利となる。好ましい膜厚の範囲は10〜20μmの範囲である。
本発明の塗装金属板の最外層は、その表面から特定の3μmまでのマルテンス硬さHMと、平均N濃度をコントロールする。セルフクリーニング性を有するPCMを屋外器物の筐体などに用いた場合、一般的にセルフクリーニング性は3年程度持続することが求められる。3年以上経過すると塗膜の経時劣化によるチョーキングと呼ばれる分解減少が顕著になり、汚染物質が付着したとしても経時劣化した塗膜とともに脱離するからである。したがって、この3年間に塗膜への汚染物資の浸透を抑制できれば、良好なセルフクリーニング性を維持することができる。屋外器物に用いられた場合、塗膜はおおよそ1μm/年で分解減少するから、3年間では約3μmの分解減少が生じる。つまり、塗膜が3μm減耗した場合でも、汚染物質がそれ以上の深さに浸透しなければよい。そこで、本発明では、深さを3μmまでのマルテンス硬さHMと、平均N濃度をコントロールすることとした。
汚染物質の塗膜への浸透を抑制するためには、塗膜の架橋密度を増大させる。上述したように、少なくとも塗膜の表面から3μmまでの架橋密度を大きくすることが、セルフクリーニング性維持に有効である。表面からそれ以上の深さで架橋密度を増大させると塗膜の硬度も大きくなり加工性が低下していく。このことから、本発明では、表面から3μmまでを所定の範囲に規定し、それ以上の深さの塗膜硬度を低くすることで、長期間におけるセルフクリーニング性の維持と加工性の両立を可能としたPCMを提供する。
本発明の最外層は、最外層の表面から深さ3μmまでのマルテンス硬さHMが、50N/mm〜500N/mmであることを特徴とする。最外層表面の硬度をこの範囲とすることで、長期に屋外に曝露された場合でも汚染物質が塗膜に染み込み難くなる効果が得られる。マルテンス硬さHMが50N/mm未満であると、長期の耐汚染性に劣る。また、マルテンス硬さHMが500N/mmを超えると、加工性に劣る。特に好ましい範囲は、100N/mm〜400N/mmである。表面から深さ3μmより内側のマルテンス硬さHMは、加工性を得るために、50N/mm未満が好ましいが、より好ましくは20〜40N/mmである。
本発明の最外層は、最外層の表面から深さ3μmまでの平均N濃度が20〜30質量%であることを特徴とする。N濃度は、メラミン樹脂由来の成分に基づくものであり、メラミン樹脂が濃化している程度を示している。N濃度をこの範囲とすることで、耐汚染性と加工性のバランス効果が得られる。N濃度が20質量%未満であると、汚染物質が染み込み易くなる。また、N濃度が30質量%を超えると、シリケート成分が少なくなり親水性に劣る。
2.金属板
本発明の塗装金属板に用いられる金属板は特に制限されないが、一般的に塗装金属板に使用される、亜鉛を含有するめっき層を有する亜鉛系めっき鋼板、すなわち、亜鉛めっき鋼板もしくは亜鉛合金めっき鋼板、さらには熱処理によりめっきを基板と合金化させた合金化めっき鋼板を用いることが好ましい。但し、ステンレス鋼板、炭素鋼板などの非めっき鋼板、あるいはアルミニウムめっき鋼板などの非亜鉛系めっき鋼板を使用することも可能であり、本発明はそのような形態をも包含する。
亜鉛系めっき鋼板は、電気めっき、溶融めっき、気相めっきのいずれで作製したものでもよい。亜鉛系めっき鋼板の例としては、溶融亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛めっき鋼板、溶融5%Al−Zn合金めっき鋼板、溶融55%Al−Zn合金めっき鋼板、合金化溶融亜鉛めっき鋼板、電気Zn−Ni合金めっき鋼板などが挙げられる。
亜鉛系めっき鋼板のめっき付着量も特に限定されず、一般的な範囲内でよい。好ましくは、片面平均付着量で100g/m2以下である。この付着量は、より具体的には、電気めっきの場合には3g/m2以上50g/m2以下、溶融めっきの場合には30g/m2以上100g/m2以下とすることがより好ましい。
3.下塗り層
本発明の塗装金属板の最外層の下には、下塗り層を有することができる。下塗り層としては、公知の各種樹脂皮膜が挙げられる。下塗り層を構成する樹脂の種類は特に制限はなく、例えば、ポリエステル系、エポキシ系などの各種樹脂が挙げられる。これらのうち、加工性や最外層との密着性の観点から、ポリエステル樹脂が好ましい。
4.化成処理皮膜層
塗膜の密着性および塗装金属板の耐食性を高めるために、塗装金属板においては慣用となっている化成処理皮膜層を基材の金属板の両面に形成することが好ましい。化成処理皮膜層は、環境の観点より、クロムを全く含有しない化成処理皮膜とする。また、本発明に係る塗膜層を基材の金属板の片面だけに形成する場合には、他面については化成処理皮膜層を形成しなくてもよい。
化成処理皮膜層上に最外層のみを形成する場合、基材の隠蔽性を向上させるために、化成処理皮膜層に顔料や染料を添加することもできる。化成処理皮膜層は、基材の表面(例えば、基材が亜鉛系めっき鋼板の場合にはめっき層)と、その上の塗膜層との密着性を確保するうえで、シランカップリング剤を含むことが好ましい。
シランカップリング剤は、アルコキシ基が加水分解して水酸基となり、水酸基同士が縮合することで、架橋シロキサン結合を骨格とする皮膜を形成する。アルコキシ基が少ないと、架橋反応が遅延し、基体との密着性が低下することがある。一方、有機官能基が少ないと、上層の塗膜との密着性が低下することがある。これらの点から、シランカップリング剤はトリアルコキシル型のものが好ましい。本発明の化成処理皮膜層で使用するのに適したシランカップリング剤の具体例としては、これらに限定されないが、下記の化合物を例示することができる:ビニルエトキシシラン、ビニルメトキシシラン、N−(2−アミノメチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノメチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、テトラエトキシシラン、およびテトラメトキシシラン。
化成処理皮膜層は、密着性、耐食性の観点から、無機化成処理皮膜または無機有機複合化成処理皮膜層とすることが好ましい。シランカップリング剤以外の成分として、無機化成処理皮膜層の場合には、シリカ微粒子、バナジウム化合物、チタン化合物、ジルコニウム化合物、リン酸化合物などから選ばれる1種または2種以上が例示される。無機有機複合化成処理皮膜層は、上記の無機化成処理皮膜層に含有される化合物に加え、水溶性または水分散の有機樹脂を含有する。適当な樹脂の例としては、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂などが例示される。
シリカ微粒子としては、液相シリカ、気相シリカの2種類が存在するが、これらのいずれかを用いてもかまわない。バナジウム化合物としては、バナジン酸アンモニウム、メタバナジン酸アンモニウム等を例示することが出来るが、これらに限定されるものではない。
チタン化合物としては、Tiアルコキシド、あるいは塩基性Ti炭酸塩、Tiフッ化物、Ti含有有機キレート、Ti含有カップリング剤(Tiアルコキシドにエポキシ基、ビニル基、アミノ基、メタクリロキシ基などの有機官能基が結合した化合物)等を例示することが出来るが、これらに限定されるものではない。
ジルコニウム化合物としては、Zrアルコキシド、あるいは塩基性Zr炭酸塩、Zrフッ化物、Zr含有有機キレート等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
リン酸化合物としては、オルトリン酸、ピロリン酸、ポリリン酸等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。化成処理皮膜層の付着量は、最外層の下層の化成処理皮膜層、すなわち、おもて面に用いられる化成処理皮膜層については、良好な密着性、耐食性を確保するために、20mg/m2以上1000mg/m2以下とすることが好ましい。付着量が過度に少ないと、めっき表面に化成処理皮膜が十分に存在しておらず、塗膜が優れた密着性を発現するのが困難になる。一方、付着量が過度に多いと、化成処理皮膜自体が凝集破壊してしまう可能性がある上、コストが高くなる。
うら面についても、めっき表面に化成処理皮膜が形成されていることが好ましい。うら面の化成処理皮膜の付着量は、用途に応じて適宜設定することができる。
5.塗装金属板の製造方法
本発明に係る塗装金属板の製造方法は特に限定されないが、通常は次のようにして製造することができる。
まず、常法にしたがって、基板に化成処理を施す。例えば、基材として亜鉛系めっき鋼板を、上述した成分を含有する化成処理液を接触させ、引き続いて焼付け又は乾燥して化成処理皮膜をめっき鋼板の両面に形成する。基板と化成処理液との接触は、浸漬、スプレー、ロールコートなどにより実施できる。例えば、うら面に塗膜を形成しない場合のように、おもて面とうら面とで異なる化成処理液を使用する場合には、ロールコートで接触を行うことが好都合である。
次に、下塗り層を設けない場合は、最外層塗膜について述べた成分を適当な有機溶媒に溶解または分散させて得た塗料を、化成処理皮膜層が形成された金属板の上に所定の厚さで塗布し、引き続いて焼付けを行って、化成処理皮膜層上に最外層塗膜が形成された塗装金属板を得る。適当な有機溶媒の例は、ケトン類、トルエンなどの芳香族炭化水素、セロソルブ類、カルビトール類、エステル類、エーテル類などである。溶媒は塗布に適した塗料粘度が得られる量で使用する。
塗布手段としては、浸漬、スプレー、ロールコート、ドクターブレード塗布が例示される。焼付けは、溶媒の揮発とバインダー成分の硬化に十分な温度で行う。硬化触媒がアミンブロック化触媒である場合には、焼付け温度はブロック化に用いたアミンの解離に必要な温度とする。
化成処理皮膜層の焼付け温度は、化成処理液の組成や求められる特性に応じて最適な温度に選択することができる。化成処理皮膜層の焼付け温度は、PMT(基板の最高到達温度)で80℃以上である。化成処理皮膜層は、皮膜が乾燥すれば、一般には十分な耐食性、導電性、塗膜密着性等の要求性能を満足する。
最外層塗膜の焼付け温度は、本発明の最外層塗膜の表面部位に特定のマルテンス硬度及び特定のN濃度を得るために、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂の反応、およびメラミン樹脂同士の縮合反応、並びにアルコキシシランなどの加水分解縮合反応をコントロールする必要がある。本発明の塗装金属板の製造方法では、焼付け温度PMTを180〜250℃に設定する。焼付け温度が180℃未満であると、塗膜の架橋開始温度に十分に達していないため塗膜が未硬化な状態になる可能性がある。また、焼付け温度が250℃を超えると、加工性が低下するようになり好ましくない。
焼付け時間は、0.5〜3分が好ましい。焼付け時間は、製造ラインによって異なり、焼付け温度との兼ね合いで適宜選択する。
以下の実施例により本発明の効果を例証する。実施例は例示を目的とし、本発明を制限するものではない。
1.使用した塗装金属板
基材の金属板として、溶融亜鉛めっき鋼板を使用した。金属板サイズはいずれも200×300mmであった。
各基材金属板の両面に、常法に従ってアルカリ脱脂及び水洗を行った後、下記に示す工程を行い、塗装金属板を作成した。
シリカを主成分としクロムを含有しない市販の化成処理液(日本ペイント製のシリカ系クロムフリー化成処理液(製品名:サーフコートEC2330)を用いて、溶融亜鉛めっき鋼板の両面を化成処理した。
下塗り塗料には、ポリエステル系樹脂をベースとする塗料(架橋剤はメラミン樹脂)に、塗膜樹脂成分(樹脂+架橋剤の合計量)100質量部に対してトリポリリン酸二水素ア
ルミニウムを50質量部配合したものを用意し、化成処理した溶融亜鉛めっき鋼板のおもて面にバーコーターにより塗布し、板の到達温度が30秒で210℃となるように加熱し、おもて面の下塗り塗膜を形成した。
最外層塗料には、バインダー樹脂としてポリエステル系樹脂(東洋紡社製、商品名GK250)を用い、表1に示す架橋剤をベースとする塗料に、バインダー樹脂成分(同上)100質量部に対し、白色顔料である酸化チタン(石原産業社製CR−95)を50質量部、親水性付与剤としてメチルシリケートとして市販されているテトラメトキシシランの部分加水分解重合物(コルコート社製、商品名メチルシリケート51)を6質量部配合したものを用意した。この最外層塗料を、板の到達温度が40秒で220℃となるように加熱し、最外層塗膜を形成した。
2.試験方法
それぞれの塗装金属板から試験片を切り出し、マルテンス硬度HM、平均N濃度、初期水接触角、暴露3年後の耐雨垂れ汚染性、加工性を下記のように調査した。
(1)マルテンス硬度HMの測定
最外層の表面から深さ2.5μmまでのマルテンス硬度HM(N/mm)を、微小硬度測定機(フィッシャー・インストルメンツ製、フィッシャースコープHM2000)により測定した。
(2)平均N濃度の測定
最外層の表面から深さ2.5μmまでの平均N濃度(質量%)を高周波グロー放電発光表面分析(GDS)により測定した。
(3)初期水接触角の測定
作製した塗装金属板から30mm×60mmのサイズの試験片をシャーリングにより切り出し、この試験片を湿潤試験条件(温度:49℃、相対湿度95%以上:結露有り)に15時間静置してから、ブロアーで十分に乾燥させた後、塗膜の水との接触角を測定した。
接触角の測定は、接触角測定器(協和界面科学、CA−A)を用い、マイクロシリンジから水滴を滴下した後30秒後の水滴形状から求めた。
(4)暴露3年後の耐雨垂れ汚染性
作製した塗装金属板から30mm×60mmのサイズの試験片をシャーリングにより切り出し、この試験片を湿潤試験条件(温度:49℃、相対湿度95%以上:結露有り)に15時間静置してからブロアーで十分に乾燥させた後、カーボンブラックの懸濁液を垂らし、24時間静置後、水を含んだガーゼで拭き取り、残り具合を確認した。判定基準は次の通りであり、○を合格とした:
◎:完全に消えている
○:消えているか、ほとんど落ちている
△:残り跡が目立つ
(5)曲げ加工性
試験片に対して2T折り曲げ試験(23℃)を行い、180°密着曲げ塗膜についてク
ラック発生有無について10倍ルーペを用いて調査した。評価基準は下記の通りであり、
○を合格とした:
◎:全くクラックなし
○:極微小なクラックあり(目視では観察されないレベル)
×:クラックあり
尚、実施例1〜5、比較例1、2について、最外層の表面から0.1μm深さまでの平均Si濃度を、GDSを用いて測定したが、いずれも20質量%以上であった。試験結果を表1に示す。
Figure 2016198910
実施例1〜5は、初期・曝露3年後の耐汚染性に優れていた。比較例1は、塗膜表面部のマルテンス硬度が小さいため、曝露3年後の耐汚染性に劣っていた。比較例2は、塗膜表面部のマルテンス硬度が大き過ぎるため、加工性に劣っていた。

Claims (3)

  1. 金属板の少なくとも片側表面上に、最外層を含む少なくとも2つの層を有する塗装金属板であって、
    前記最外層が、少なくともアルコキシシラン、ポリエステル系樹脂由来の成分、および架橋剤を含有する塗料から形成されており、
    前記最外層の表面から深さ3μmまでのマルテンス硬さHMが、50N/mm〜500N/mmであり、且つ高周波グロー放電発光表面分析による平均N濃度が20〜30質量%であることを特徴とする塗装金属板。
  2. 前記最外層のSi濃度が、前記最外層の表面から0.1μm深さまでの平均濃度で20質量%以上であることを特徴とする請求項1記載の塗装金属板。
  3. 前記架橋剤が、ブロックイソシアネート化合物、メチル化メラミン樹脂、ブチル化メラミン樹脂、及びフルエーテルメラミン樹脂から選ばれる少なくとも1種である請求項1又は2に記載の塗装金属板。
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