上述したように、本出願は、1個又は2個以上のLEDからの光によって励起される蛍光体層又は材料を用いる広帯域固体光源について説明する。光源はまた、LED光の少なくとも一部を蛍光体の層上に反射させるダイクロイック反射体を含む。光がLEDからダイクロイック反射体へと進む際に、光は蛍光体層を通過しない。場合によっては、LEDは青色光を放射し、ダイクロイック反射体は青色LED光の第1の部分を蛍光体層の上に反射させ、ダイクロイック反射体はまた、青色LED光の第2の部分を透過させる。透過青色LED光は、蛍光体によって放射されたより長い波長の光(この光もまた、ダイクロイック反射体によって透過される)と結合して広帯域出力ビーム、例えば、白色に見える光をもたらす。場合によっては、LED及び/又は蛍光体は、空洞領域と、近接領域と、を有する可撓性基材に配置され、LED及び/又は蛍光体は、空洞領域内で基材に搭載されるか、又は取り付けられる。可撓性基材は、近接領域においてよりも空洞領域においての方が薄い誘電層を含む。
これに関して、「発光ダイオード」又は「LED」とは、可視であるか、紫外線であるか、赤外線であるかにかかわらず、光を放射するダイオードを指す。これには、従来のものか、超高輝度のものであるかにかかわらず、「LED」として市販されているインコヒーレントに封入された又はカプセル化された半導体デバイスを含む。「LEDダイ」は、最も基本的な形態、即ち、半導体加工手順によって作製される個々の構成要素又はチップの形態のLEDである。例えば、LEDダイは、1つ又は2つ以上のIII族元素の組み合わせ及び1つ又は2つ以上のV族元素の組み合わせから形成される(III〜V族半導体)。好適なIII〜V族半導体材料の例には、窒化ガリウムなどの窒化物、及びリン化インジウムガリウムなどのリン化物が挙げられる。他の種類のIII〜V族材料、並びに周期表の他の族の無機物質も使用可能である。構成要素又はチップは、デバイスに電圧を加えるための電力の適用に好適な電気接点を含むことができる。例としては、ワイヤボンディング、テープ自動化ボンディング(TAB)、又はフリップチップボンディングが挙げられる。構成要素又はチップの個々の層及びその他の機能的要素は、通常、ウェハスケールで形成された後、仕上がったウェハは個々の小片部に切られて、多数のLEDダイとなることができる。LEDダイは、表面実装、チップオンボード、又は他の既知の実装形態を構成するように構成されてもよい。パッケージ化されたLEDの中には、LEDダイ及び付随する反射体カップ上にポリマー封入材料を形成することによって作製されてよい。本出願の目的とする「LED」はまた、一般にOLEDと呼ばれる有機発光ダイオードを含むと見なされるべきである。
青色発光LEDを用いる広帯域固体光源の全ての開示実施形態はまた、例示の可撓性基材を用いても、用いなくてもよく、例示の基材を用いる全ての開示実施形態は、青色発光LEDを用いても、用いなくてもよい。1個又は2個以上の青色発光LEDを含む幾つかの実施形態から説明を開始する。
図1には、広帯域光源110の概略側面図、つまり概略断面図が示される。光源110は、基材118に取り付けられた青色発光LED 112と、蛍光体層114と、を含む。LED 112は、その露出した外表面から全方向に青色光113aを放射する(この図では、かかる光の2つの光線にラベル付けされている)。
LED 112からの青色光113aは、ダイクロイック反射体116に当たる。ダイクロイック反射体(ダイクロイックミラーと呼ばれることもある)は、ある光学波長に対して高反射率(及び低透過率)を有し、他の光学波長に対しては低反射率(及び高透過率)を有するように設計された反射体である。かかる反射体は、通常、少なくとも可視波長及び近赤外波長について反射されない全ての光が実質的に透過され、逆もまた同様であるように、ごくわずかの吸収率を有する。かかる反射体は、光学的に薄いミクロ層の積層体を含み、通常、二酸化珪素と二酸化チタンとの交互層など屈折率が大きく異なる材料の交互配置になっているが、他の好適な無機材料又は有機材料を用いてもよい。かかる反射体は、ガラス又は他の好適な基材上に交互層を真空蒸着させることによって作製してよい。あるいは、例えば、米国特許第5,882,774号及び同第6,783,349号に記載のように、交互ポリマー材料の共押出し及び得られた多層ポリマーウェブの伸張を含み得る連続プロセスによって、好適な反射フィルムを作製してよい。ダイクロイック反射体で用いられた材料及び用いられた製造方法にかかわらず、反射体は、本明細書の他の箇所で説明するように、波長に応じて所望の反射特性を提供するように調整されたミクロ層積層体の層厚さ特性をもたらす。この点については、米国特許第6,967,778号を参照する。厚さ特性は、例えば、ロングパスフィルター又はノッチフィルターとして作用するダイクロイック反射体をもたらすように調整されてよい。場合によっては、ダイクロイック反射体は、多層ミラーフィルム、反射性偏光子、及び/又は所定の波長において、ある偏光の全てを反射し、直交偏光を部分的に反射する、反射鏡などの部分偏光反射体を含んでよい。
ダイクロイック反射体116は、青色LED光の第1の部分を反射させ、青色LED光の第2の部分を実質的に相補的に透過させるように調整される。反射体116はまた、反射青色光113bを蛍光体層114に向けるように形成されるか、ないしは別の方法で構成される。例えば、図に示すように、ダイクロイック反射体は、LED及び蛍光体に向かって開いているか、これらを包囲する凸形状を有してよい。凸形状は、単純な半球又は他の球体の一部であってよいか、略放物線状、楕円形状、又は任意の他の規則的若しくは非規則的な非球面形状であってよいか、例えば、所望の平滑形状に近づくように配置された複数の大小の平坦なファセットで作製される、区分的な半球形若しくは非球面であってよい。場合によっては、ダイクロイック反射体は自立式であってよく、他の場合では、例えば薄型フィルムとして、別の構成要素の内面、外面、又は埋め込み面に貼付されてよい。例えば、光源110の場合、内部空間117は、LED及び蛍光体を封入する、好適な光透過性ガラス又はポリマー材料を含んでよく、ダイクロイック反射体はかかる封入材料の外表面に貼付されてよい。封入材料は、光源の設計に構造的一体性及び堅牢性をもたらすだけではなく、全反射によってLEDダイの内部に閉じ込められる光量を削減することにより光源効率を向上させてよい。あるいは、内部空間117は中空である、例えば空気又は真空のみを含んでよい。
例示の実施形態では、ダイクロイック反射体は、LEDからの青色光の50%〜95%の範囲の量を反射させ、かかる光の残りを透過させるように調整されてよい。例示のダイクロイック反射体はまた、蛍光体によって放射されたより長い波長の可視光線の大部分、好ましくは、例えばかかる光の75%超、80%超、85%超、又は90%超を透過させてよい。
ダイクロイック反射体116の形状又は他の構成は、好ましくは青色発光LEDからの反射光113bを蛍光体層114に向けるように調整される。好ましくは、反射体は、蛍光体層の少なくとも一部にLEDの実質的な像又はその一部の像が形成されるように反射光を向ける。この点における「像」とは、写真的な意味で高品質の像である必要はないが、その形状が、LEDの形状又はそのいずれかの放射部分の形状に少なくとも似ている、単に明るさを増した領域であってよい。単純な実施形態では、反射体116は、半球又は球体の他の部分の形状を有してよく、その曲率中心は、図1において点119として示される。球状反射性表面は、その曲率半径の半分に等しい(近軸)焦点距離を有し、曲率中心を含む平面内の任意の物点は、球面によって同じ平面に存在する像点に撮像され、物点を像点に接合する線分は、曲率中心によって2等分される。図1の実施形態では、LED
112は曲率中心119の右寄りに示され、蛍光体層114は左寄りに示される。LED 112の上発光面が正確には点119を含む水平面に存在しない場合であっても(LED 112の高さは、図の概略図において強調表示されていることに留意されたい)、多くの場合、これは、LED発光面に類似の寸法及び形状の実体像が点119の反対側に形成されるように十分に近いであろう。蛍光体層114は、反射LED光を効率的に封じるようにこの位置に配置される。蛍光体層は、LEDと同一又は類似の寸法及び形状を有するように模様付けされてよいが、これは一般的である必要がなく、多くの場合、反射LED光ができる限り多く蛍光体によって封じられるように、LEDよりも蛍光体層を大きくするか、LED又はその像に対して特大にすることが有利であることに留意されたい。例えば、図1の概略図においてさえも、蛍光体層114は、LED 112よりも横断方向(面内)寸法が大きいことがわかる。
LEDを曲率中心119に近接し、かつ光源の光学軸(現在の場合では、基材118及び通過点119に対して垂直な軸である)に近接して維持することは有利である。LED及びその像を光学軸に近接して維持することにより、出力光のコリメーションを向上でき、低エテンデューを有することができる。多数のLEDが用いられる場合、低エテンデューは、一般に、他のLEDの像を遮ることなく、各LEDをできる限り光学軸に近接して配置することにより実現できる。熱管理もまた、多数のLEDの最適な配置を決定する際に役割を果たし、これは、密集したLEDが、より高い動作温度をもたらす場合があり、LEDの出力に悪影響を及ぼし得るからである。
LED及び蛍光体層を曲率中心119の反対側に配置することに加えて、これらを概して同一平面上に位置付けることは、有利である場合が多い。この点に関する「同一平面上」とは、LEDの所定の表面が厳密に蛍光体層の表面と同一の幾何学的面内に配置される必要はなく、逆もまた同様であるが、蛍光体層がLEDからの反射光の全て、又は少なくとも大部分を封じるように構成要素が十分に近接している場合を含むことも理解され得る。
光源110及び本明細書で開示する他の光源の顕著な設計上の特徴は、光がLEDからダイクロイック反射体へと進む際に、蛍光体層114を通過しないことである。この設計上の特徴は、LEDからの光がLED光の任意の反射体に当たる前に蛍光体層を通過する、多くのLED励起蛍光体光源の設計とは異なる。開示設計の顕著な利点は、LED反射光が最初に当たる蛍光体層の側面つまり表面が、光源の出力方向に面する蛍光体層の側面つまり表面でもあることである。図1を参照して言い換えると、LEDからの反射光は最初に、上面が光源110の出力に対して上向き又は外向きに面する、蛍光体層114の上面に当たる。反射LED光は、蛍光体層114の吸収量又は拡散量に応じて、ある程度の深さまでこの層114に到達するが、いずれの場合においても、かかる光の強度は、上面からの深さが増すにつれて弱まる。結果として、蛍光体層114の体積において生成される蛍光体光の強度は上面において最も明るく、表面からの深さが増すにつれて弱まる。かかる配置は、LED光及び蛍光体光の吸収及び拡散を減少させ、光源の全体的な効率を向上させる。
場合によっては、蛍光体層114の物理的厚さ及びLED光の波長における蛍光体層114の吸収係数は、蛍光体層に当たるLED光のほぼ全てが吸収されるか、ないしは別の方法で、蛍光体層の裏面つまり背面(この表面は基材118に接触してもよい)に実質的に到達しないように拡散されるように調整されてよい。
別の場合では、当たるLED光の大部分が蛍光体層の背面つまり裏面に到達し得るように、蛍光体層の物理的厚さが減少されてよい、及び/又はLED波長におけるその吸収係数が減少されてよい。これらの後者の場合では、反射層が蛍光体層の背面に設けられてよく、より多くの蛍光体光を生成するように、LED光の残りが蛍光体層の厚さを再伝搬できるようにする。厚さの減少した蛍光体層を用いる実施形態は、熱管理の観点で概して有利である。これは、厚さの減少した蛍光体層を用いて、蛍光体層の上部と下層のヒートシンクとの通常貧弱な熱結合を向上できるからである。蛍光体層は、通常、LEDよりも著しく低い熱伝導率を有し、蛍光体層から熱を引き抜くのに役立つことができる任意の技法は、蛍光体の動作温度の低下に有利に役立ち得る。
本明細書の他の部分で述べるように、蛍光体材料は、LED光を吸収し、吸収したエネルギーをより低いエネルギー(より長い波長)の放射線として放射することにより、概してLEDよりも長い波長の光を放射する。光変換プロセスには、より低いエネルギーへのストークスシフトに伴う損失及び非放射損失が含まれ、これらの損失の全ては、通常、蛍光体層内で生成された熱として現れる。例示の蛍光体材料は、青色光、例えば約430〜470nmの範囲の波長の光を吸収し、可視スペクトルのより低いエネルギー部分、例えば500〜700nmの範囲で蛍光放射をもたらす。例示の蛍光体材料は、セリウムドープのイットリウムアルミニウムガーネット(Ce:YAG)である。他の好適な蛍光体材料としては、他の既知の種類のドープYAG、オルトケイ酸塩、窒化物、又は硫化物材料が挙げられる。場合によっては、蛍光体層又は材料は、好適な結合剤材料中に1つ又は2つ以上の種類の蛍光体粒子の混合物を含んでよい。
図1では、蛍光体層によって放射されたより長い可視波長光が115aと表示されている。ダイクロイック反射体116は、これらのより長い波長の光を実質的に透過させるように調整される。その結果、蛍光体光115aは蛍光体光115bとして効率的に透過され、かかる光はまた、内部空間117を充填する物質(存在する場合)及び反射体116の外側又は反対側の物質(存在する場合)に応じて、反射体116で反射される可能性がある。例示の実施形態では、内部空間117は、透明なガラス又はポリマー封入材料で充填されてよく、ミラー116の反対側の空間は空気又は真空であってよく、したがって、封入材料による屈折は、これらの構成要素が曲率中心119又は光源の光軸に比較的近接して配置されると、LED及び蛍光体層からの光にある程度のコリメーションをもたらす。蛍光体光115aの透過に加えて、ダイクロイック反射体116はまた、図で113cと表示される透過LED光などLED光113aの一部を透過させるように調整される。透過光113c及び透過光115bは空間的に結合して、光源110の広帯域出力光をもたらす。
基材118には任意の好適な基材を用いて、LED 112及び蛍光体層114を収容してよい。基材は、LEDに電力をもたらすための導電層又は導電性経路を含んでよい。基材はまた、好ましくは、LED及び/又は蛍光体層から効果的に熱を持ち去ってより低い動作温度を維持するために、比較的高い熱伝導及び比較的低い熱抵抗を有する。かかるより低い動作温度を促進するために、基材は、好適なヒートシンク、例えば銅、アルミニウム、若しくは他の好適な金属の比較的厚い層、又は他の熱伝導材料を含むか、これらに熱結合されてよい。場合によっては、基材は、金属反射鏡、反射率を向上させるために誘電体蒸着を施した金属反射鏡など高反射性表面、又は微細空孔ポリエステル若しくはチタニア充填ポリマーなどの拡散反射性表面、又は3M(商標)Vikuiti(商標)Enhanced Specular Reflector(ESR)フィルムなどの多層光学フィルムであってよいか、あるいはこれらを含んでよい。基材はまた、本明細書の他の部分で述べる任意の基材であるか、あるいはこれらを含んでよい。
図2は、別の広帯域光源210の概略斜視図を示す。光源210は、基材218に配置された2個の青色発光LED 212a、212bを含み、この基材はまた、LEDからの青色光に曝されるとより長い波長の可視光を放射する蛍光体層214をその上に有する。LED 212a、212bは、好ましくは同一色の青色光を放射する。即ち、これらは、同一又は類似の発光スペクトルを有する。LEDはまた、同一の寸法及び形状であってよく(ただし、その必要はない)、異なる寸法及び形状を有するLED、並びにやや異なる青色光の発光スペクトルを有するLEDも想到される。
光源210はまた、LED及び特大の蛍光体層214の円盤状部分に向かって開きこれらを包含する、凸形状を有するダイクロイック反射体216を含む。円盤状部分の中心は、点219と表示され、これはまた、反射体216の曲率中心に相当する。LED 212a、212bは点219に比較的近接して位置付けられるが、いずれのLEDも凸状ダイクロイック反射体によって形成される他のLEDの像を遮らないように、直交する面内軸に沿って配置される。
光源210と光源110との相違点の1つは、LED及びダイクロイック反射体の基部の横寸法に対する蛍光体の横寸法である。光源110では、蛍光体層は、LEDの横寸法に類似の横寸法であって、ダイクロイック反射体の基部の横寸法よりも著しく小さい横寸法を有する。光源210では、蛍光体層は、LEDの横寸法よりも著しく大きく、ダイクロイック反射体の基部の横寸法に類似の横寸法を有する。実際、光源210の蛍光体層214は、ダイクロイック反射体216の外周、つまり基部を完全に占める。このアプローチの1つの利点は、LEDに対して又はダイクロイック反射体に対して蛍光体層をそろえる必要がないことである。1つの欠点は、蛍光体層214の全体のごく一部がLEDからの反射光によって励起され、この蛍光体層のごく一部が光源の出力光に寄与する部分でもあるため、蛍光体材料が不要なことである。光源210に対して光源110のアプローチの類似する利点は、蛍光体材料のより効率的な配分である。
図1及び本明細書の他の部分に関連して述べるLED、蛍光体、ダイクロイック反射体、基材、及び他の光源要素の設計の詳細が光源210の相当する要素に等しく適用されることは理解されるであろう。
図3aは、例示の青色LED及び例示の蛍光体のスペクトル強度分布の理想化されたグラフである。詳細には、曲線310は、青色発光LEDのおおよそのスペクトル分布を概略的に示す。曲線312は、青色LEDからの光に曝された場合に例示の蛍光体材料によって放射された光のおおよそのスペクトル分布を概略的に示す。読者は、これらの曲線が、本発明を制限するためではなく、本発明の理解を促進するために提供されることを理解するであろう。読者は、曲線310からの光と曲線312からの光との結合が、実質的に白色又は他の所望の色相に見える広帯域出力光をもたらし得ることも理解するであろう。青色LED光とより長い波長の蛍光体光との相対比率を変えることにより、色温度を所望の値に調整できる白色出力光をもたらすことができる。3000〜7000ケルビン度(2727〜6727℃)の範囲の色温度は、本開示の範囲内である。
図3bは、青色LED及び黄色又は他の広帯域可視光線を放射する蛍光体に用いる例示のダイクロイック反射体のスペクトル反射率又は透過率の、理想化されたグラフである。ここにおいても、読者は、これらの曲線が、本発明を制限するためではなく、本発明の理解を促進するために提供されることを理解するであろう。曲線320は、法線入射光に対するダイクロイック反射体の反射率を概略的に示し、曲線322は、対応する透過率を示す。これらの曲線は、ほとんどのダイクロイック反射体が低損失特性を有するために、実質的に相補的である。法線入射以外の角度でダイクロイック反射体に当たる光は、曲線320、322と類似の又は著しく異なる透過特性及び反射特性を体験してよく、類似又は相違の程度は入射角に応じて異なり、また、光の偏光状態によっても異なる可能性がある。概して、法線とわずかに異なる角度で入射する光は、法線入射曲線320、322に対して単純に左に(より短い波長の方向に)移動した反射特性及び透過特性を体験する。多くの場合、LED又は蛍光体層からの光は、入射角の分布又は範囲にわたってダイクロイック反射体の所定の部分に当たり、この範囲又は分布は、対象となるダイクロイック反射体の部分に応じて変化する。
1つには、ダイクロイック反射体に伴うこれらの潜在的に複雑な幾何学的要因のために、光源の光学軸及びダイクロイック反射体の曲率中心に比較的近接するようにLEDを位置付けることは概して有利であることが多い。この配置は、ダイクロイック反射体の領域において、LEDからの光及び蛍光体からの光の入射角が法線入射にかなり近くなるように維持するのに役立ち得る。
読者は、曲線322が、青色光については小さいが、0ではない透過量、例えば430〜470nm付近を示すことに気付くであろう。このようにダイクロイック反射体を調整すると、青色LED光の一部はダイクロイック反射体によって透過され、蛍光体からのより長い波長の光と混合して、広域帯出力光をもたらすことができる。青色スペクトル領域及び/若しくは500〜700nmのより長い波長の領域で反射若しくは透過の漸近的レベルを上下させること、並びに/又は曲線320、322をより短い若しくはより長い波長に移動させることを含んでよい、ダイクロイック反射体の好適な調整を行って、出力ビームにおけるより長い波長の蛍光体光に対する青色LED光の比率を変更できる。かかる変更によって、上述のように、白色出力光の色温度を調整できるようになる。
図3cは、青色LED 332からの光の一部が蛍光体334によって放射されたより長い波長の光と結合して、広帯域の白色出力光をもたらす、光源330を示す概略図である。蛍光体からの長波長光は、用いる蛍光体材料に応じて黄色又は他の色に見えてよい。ダイクロイック反射体336(これもまた概略的にしか示されない)は、LED 332からの青色光の一部を透過させ、残りの青色LED光を蛍光体334に反射させることができる。反射青色LED光は蛍光体を励起し、ダイクロイック反射体336によって大いに透過される、ストークシフトされたより長い波長の光を放射させる。LEDからの青色光と、蛍光体からのより長い波長の光とが結合又は混合すると、広帯域出力光、例えば白色光がもたらされる。
図4は、多くの点について図1及び2の光源に類似の広帯域光源410の概略平面図である。光源410は、基材418に配置された青色発光LED 412を1個のみ含み、この基材はまた、LEDからの青色光に曝されるとより長い波長の可視光を放射する、特大の蛍光体層414をその上に有する。
光源410はまた、ダイクロイック反射体416を含む。図4の平面図では、ダイクロイック反射体の下底の形状、つまり外周のみが示されるが、読者は、反射体が図1及び2のダイクロイック反射体に類似の凸形状を有することを理解するであろう。反射体416は、LED及び蛍光体層414の円盤状部分に向かって開き、これらを包含する。円盤状部分の中心は、点419と表示され、これはまた、凸状反射体416の曲率中心に相当する。LED 412は、点419に比較的近接して位置付けられる。凸状反射体416は、像領域412’内にLED 412の像を生成する。
LightTools(商標)光学設計ソフトウェアを用いて、光源410の実施形態をモデル化した。関連設計パラメータの一部は次のとおりである。
・蛍光体層は、屈折率1.41のシリコーン結合剤に浸漬された屈折率1.8のCe:YAG粒子からなり、この層が0.1mmの物理的厚さを有すると仮定した。
・LEDは、1mm×1mmの面内寸法を有する正方形であり、厚さ10マイクロメートル、及び出力波長460nmであると仮定した。LEDはまた、(蛍光体層に隣接する)その背面に薄い反射コーティングが施され、この反射コーティングは50%の反射率及び50%の吸収率を有すると仮定した。
・ダイクロイック反射体は、BK7ガラス製平凸レンズの半球凸状面に配置され、このレンズは5mmの直径及び2.5mmの曲率半径を有すると仮定した。ダイクロイック反射体は、460nmのLED波長での法線入射光に対して90%の反射率及び10%の透過率を有すると仮定した。ダイクロイック反射体はまた、波長が490nm以上の法線入射光に対して約100%の透過率を有すると仮定した。
・平凸レンズは、平面側がLEDの上面に配置されるように位置付け、レンズの平面側と蛍光体層の上部との間の空間を屈折率1.41のシリコーン材料で充填した。したがって、シリコーン材料はLEDも封入した。
LightToolsソフトウェアを用いて、光源410のこの実施形態によってもたらされる出力光をモデル化した。特に興味深いのは、LED面の5mm上に配置された観察面(平凸レンズの頂点及びダイクロイック反射体416の約2.5mm上)で観察した、出力光の物理的分布であった。図4aは、面内の位置に応じて、この観察面における出力光の全放射照度、つまり全輝度を示す。図4b及び4cは、2個の直交面内軸に沿った観察面内の出力光のCIE色度座標を示す。これらの図において、曲線430及び432は、観察面における位置に応じたCIE「x」座標を示し、曲線440及び442は、観察面における位置に応じたCIE「y」座標を示す(読者は、これらのCIE「x」及び「y」色度座標と、観察面における、光軸に対するミリメートル単位の配置である図4aの空間的なx及びy座標とを混同しないようにするべきである)。曲線430及び440は、1つの面内軸に沿った測定値に相当し、曲線432及び442は、観察面における直交面内軸に沿った測定値に相当する。
図4aは、光源410が高輝度、低エテンデューの出力ビームを放射できることを実証する。図4b及び4cの曲線を比較すると、凸状ダイクロイック反射体の下の異なる位置、つまり場所で著しく異なる色が生成されるにもかかわらず、出力ビームは、出力ビーム領域にわたって予想外に一様分布の色を呈することが明らかになる。例えば、LED及び蛍光体の面においてLED 412は青色光を放射するが、像領域412’における蛍光体層の部分は、実質的に黄色光を放射する。
図5は、光源510が2個の青色発光LED 512a、512bを有することを除いて、図4の光源410に類似の広帯域光源510の概略平面図である。LED 512a、512bは、基材518に配置され、この基材はまた、LEDからの青色光に曝されるとより長い波長の可視光を放射する、特大の蛍光体層514をその上に有する。
光源510はまた、ダイクロイック反射体516を含む。図5の平面図では、ダイクロイック反射体の下底の形状、つまり外周のみが示されるが、読者は、反射体が図1及び2のダイクロイック反射体に類似の凸形状を有することを理解するであろう。反射体516は、LED及び蛍光体層514の円盤状部分に向かって開き、これらを包含する。円盤状部分の中心は、点519と表示され、これはまた、凸状反射体516の曲率中心に相当する。LED 512a、512bは、直交面内軸に沿って、点519に比較的近接して位置付けられる。凸状反射体516は、像領域512a’内にLED 512aの像を生成し、像領域512b’内にはLED 512bの像を生成する。
光源510の実施形態は、LightTools(商標)光学設計ソフトウェアを用いて、光源410からモデル化した光源に類似の方法でモデル化した。光源510のモデル化した実施形態の関連設計パラメータの一部は次のとおりである。
・蛍光体層は、屈折率1.41のシリコーン結合剤に浸漬された屈折率1.8のCe:YAG粒子からなり、この層が0.1mmの物理的厚さを有すると仮定した。
・LEDは、それぞれ1mm×1mmの面内寸法を有する正方形であり、厚さ10マイクロメートル、及び出力波長460nmであると仮定した。各LEDはまた、(蛍光体層に隣接する)その背面に反射コーティングが施され、この反射コーティングは50%の反射率及び50%の吸収率を有すると仮定した。
・ダイクロイック反射体は、BK7ガラス製平凸レンズの半球凸状面に配置され、このレンズは5mmの直径及び2.5mmの曲率半径を有すると仮定した。ダイクロイック反射体は、460nmのLED波長での法線入射光に対して90%の反射率及び10%の透過率を有すると仮定した。ダイクロイック反射体はまた、波長が490nm以上の法線入射光に対して約100%の透過率を有すると仮定した。
・平凸レンズは、平面側がLEDの上面に配置されるように位置付け、レンズの平面側と蛍光体層の上部との間の空間を屈折率1.41のシリコーン材料で充填した。したがって、シリコーン材料はLEDも封入した。
LightToolsソフトウェアを用いて、光源510のこの実施形態によってもたらされる出力光をモデル化した。特に興味深いのは、LED面の5mm上に配置された観察面(平凸レンズの頂点及びダイクロイック反射体516の約2.5mm上)で観察した、出力光の物理的分布であった。図5aは、面内の位置に応じた、この観察面における出力光の全放射照度、つまり全輝度を示す。図5b及び5cは、2個の直交面内軸に沿った観察面内の出力光のCIE色度座標を示す。これらの図において、曲線530及び532は、観察面における位置に応じたCIE「x」座標を示し、曲線540及び542は、観察面における位置に応じたCIE「y」座標を示す(読者は、これらのCIE「x」及び「y」色度座標と、観察面における、光軸に対するミリメートル単位の配置である図5aの空間的なx及びy座標とを混同しないようにするべきである)。曲線530及び540は、1つの面内軸に沿った測定値に相当し、曲線532及び542は、観察面における直交面内軸に沿った測定値に相当する。
図5aは、光源510が高輝度、低エテンデューの出力ビームを放射できることを実証する。図5b及び5cの曲線を比較すると、凸状ダイクロイック反射体の下の異なる位置、つまり場所で著しく異なる色が生成されるにもかかわらず、出力ビームは、出力ビーム領域にわたって予想外に一様分布の色を呈することが明らかになる。例えば、LED及び蛍光体の面において、LED 512a及び512bは青色光を放射するが、像領域512a’、512b’における蛍光体層の部分は、実質的に黄色光を放射する。
図6は、光源610が3個の青色発光LED 612a、612b、612cを有することを除いて、図4の光源410及び図5の光源510に類似の広帯域光源610の概略平面図である。LED 612a、612b、612cは、基材618に配置され、この基材はまた、LEDからの青色光に曝されるとより長い波長の可視光を放射する、特大の蛍光体層614をその上に有する。
光源610はまた、ダイクロイック反射体616を含む。図6の平面図では、ダイクロイック反射体の下底の形状、つまり外周のみが示されるが、読者は、反射体が図1及び2のダイクロイック反射体に類似の凸形状を有することを理解するであろう。反射体616は、LED及び蛍光体層614の円盤状部分に向かって開き、これらを包含する。円盤状部分の中心は、点619と表示され、これはまた、凸状反射体616の曲率中心に相当する。LED 612a、612b、612cは、互いから約120度の角度で離隔される異なる面内軸に沿って、点619に比較的近接して位置付けられる。凸状反射体616は、像領域612a’内にLED 612aの像、像領域612b’内にLED 612bの像、及び像領域612c’内にLED 612cの像を生成する。
光源610の実施形態は、LightTools(商標)光学設計ソフトウェアを用いて、光源410及び510からモデル化した光源に類似の方法でモデル化した。光源610のモデル化した実施形態の関連設計パラメータの一部は次のとおりである。
・蛍光体層は、屈折率1.41のシリコーン結合剤に浸漬された屈折率1.8のCe:YAG粒子からなり、この層が0.1mmの物理的厚さを有すると仮定した。
・LEDは、それぞれ1mm×1mmの面内寸法を有する正方形であり、厚さ10マイクロメートル、及び出力波長460nmであると仮定した。各LEDはまた、(蛍光体層に隣接する)その背面上に反射コーティングが施され、この反射コーティングは50%の反射率及び50%の吸収率を有すると仮定した。
・ダイクロイック反射体は、BK7ガラス製平凸レンズの半球凸状面に配置され、このレンズは5mmの直径及び2.5mmの曲率半径を有すると仮定した。ダイクロイック反射体は、460nmのLED波長での法線入射光に対して90%の反射率及び10%の透過率を有すると仮定した。ダイクロイック反射体はまた、波長が490nm以上の法線入射光に対して約100%の透過率を有すると仮定した。
・平凸レンズは、平面側がLEDの上面に配置されるように位置付け、レンズの平面側と蛍光体層の上部との間の空間を屈折率1.41のシリコーン材料で充填した。したがって、シリコーン材料はLEDも封入した。
LightToolsソフトウェアを用いて、光源610のこの実施形態によってもたらされる出力光をモデル化した。特に興味深いのは、LED面の5mm上に配置された観察面(平凸レンズの頂点及びダイクロイック反射体616の約2.5mm上)で観察した、出力光の物理的分布であった。図6aは、面内の位置に応じた、この観察面における出力光の全放射照度、つまり全輝度を示す。図6b及び6cは、2個の直交面内軸に沿った観察面内の出力光のCIE色度座標を示し、これらの図において、曲線630及び632は、観察面における位置に応じたCIE「x」座標を示し、曲線640及び642は、観察面における位置に応じたCIE「y」座標を示す(読者は、これらのCIE「x」及び「y」色度座標と、観察面における、光軸に対するミリメートル単位の配置である図5aの空間的なx及びy座標と、を混同しないようにするべきである)。曲線630及び640は、1つの面内軸に沿った測定値に相当し、曲線632及び642は、観察面における直交面内軸に沿った測定値に相当する。
図6aは、光源610が高輝度、低エテンデューの出力ビームを放射できることを実証する。図6b及び6cの曲線を比較すると、凸状ダイクロイック反射体の下の異なる位置、つまり場所で著しく異なる色が生成されるにもかかわらず、出力ビームは、出力ビーム領域にわたって予想外に一様分布の色を呈することが明らかになる。例えば、LED及び蛍光体の面において、LED 612a、612b、612cは青色光を放射するが、像領域612a’、612b’、612c’における蛍光体層の部分は、実質的に黄色光を放射する。
ここで図7を参照すると、広帯域光源710の概略側面図、つまり概略断面図が図示され、光源の要素として含まれる例示の可撓性基材の構造の詳細が示される。基材及びその構成要素を除いて、光源710のほぼ全ての他の図示される要素は、図1の光源110の同等の構成要素を有する。
したがって、光源710は、基材718に配置された1個の青色発光LED 712を含み、この基材はまた、LEDからの青色光に曝されるとより長い波長の可視光を放射する蛍光体層714をその上に有する。LED 712は、ワイヤボンド720によって導電性経路に接続されてよい。
光源710はまた、LED及び蛍光体層714に向かって開きこれらを包含する、凸形状を有するダイクロイック反射体716を含む。反射体716の曲率中心は、点719と表示される。LED 712は、点719に比較的近接して位置付けられ、蛍光体層714もまた、同様である。図1と同様に、蛍光体層714は、LEDに対してやや大き過ぎるように示される。
これもまた図1と同様に、LED 712によって放射された青色光713aは、ダイクロイック反射体716によって部分的に反射されて反射LED光713bが生成され、また、部分的に透過されて透過LED光713cが生成される。反射LED光713bは、蛍光体層714に当たるように向けられ、この結果、蛍光体が励起され、蛍光体層により長い波長の光715aを放射させる。ダイクロイック反射体716は、このより長い波長の光を大いに透過させて、蛍光体光715bを生成する。透過光713c及び透過光715bは空間的に結合して、白色光など光源710の広帯域出力光をもたらす。内部空間717は、LED及び蛍光体を封入する、好適な光透過性ガラス又はポリマー材料を含んでよく、ダイクロイック反射体はかかる封入材料の外表面に貼付されてよい。あるいは、内部空間717は、中空であってよい。
光源710と光源110との1つの相違点は、光源の基材部分を規定する詳細である。光源710では、基材718は、好ましくは、可撓性、下層のヒートシンク(図示なし)に対するより高い熱伝導(及びより低い熱抵抗)を実現し、空間を節約するために薄型である。基材718は、概して薄型であるが、隣接、つまり近接領域721bと比較して、空洞領域721aにおいて更に薄くなるように成形、エッチング、ないしは別の方法で成形されることが望ましく、これらの領域は、傾斜した遷移領域によって離隔される。近接領域に対して空洞領域に更に向上した熱伝導をもたらす、減少した厚さは、基材の一部を形成する誘電層718aの減少した厚さと関連することが望ましい。図では、誘電層718aは近接領域721bで厚さT1を有し、空洞領域721aではより小さい厚さT2を有することが示される。誘電層718aの上には、導電層718bが配置され、この導電層は、LEDに電力を供給するために望ましいように模様付けされてよい。熱伝導層718cは、層718bと比較して、誘電層の反対側の主表面に配置される。場合によっては、層718b、718cは、同一の材料、例えば銅からなってよいが、他の場合では、異なる材料が用いられてよい。したがって、導電層718bはまた、熱導電性であってよく、熱伝導層718cはまた、導電性であってよい。熱伝導層718cは、例えば好適な熱伝導材料を用いて、好ましくは好適なヒートシンクに接合される。
基材718の薄化領域は、多くの場合、基材の主要構成要素である誘電層718aの対応する薄化領域と関連することが好ましい。好適な誘電層には、ポリエステル、ポリカーボネート、液晶ポリマー、及びポリイミドが挙げられる。好適なポリイミドには、商品名KAPTON(DuPontから入手可能)、商品名APICAL(Kaneka Texas corporationから入手可能)、商品名SKC Kolon PI(SKC Kolon PI Inc.から入手可能)、商品名UPILEX及びUPISEL(Ube Industriesから入手可能)として入手可能なものが挙げられる。商品名UPILEX S、UPILEX SN、及びUPISEL VT(全てUbe Industries(Japan)から入手可能)で入手可能なポリイミドは、多くの用途で特に有利である。これらのポリイミドは、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)及びフェニレンジアミン(PDA)などのモノマーで作製される。
誘電層718aは、化学エッチング、プラズマエッチング、集束イオンビームエッチング、レーザーアブレーション、及び押し抜きなど任意の好適な方法を用いて空洞領域内で薄化してよい。エッチングに関しては、任意の好適なエッチング剤を用いてよく、好ましいエッチング剤は、誘電層に用いられる材料に応じて異なってよい。好適なエッチング剤には、アルカリ金属塩(例えば水酸化カリウム)、1つ又は両方の可溶化剤(例えば、アミン及びアルコール)を含むアルカリ金属塩(例えば、エチレングリコール)が挙げられてよい。好適な化学エッチング剤には、参照によって本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2007/0120089号に詳述されるものなど、KOH/エタノールアミン/エチレングリゴールエッチング剤が挙げられてよい。他の好適な化学エッチング剤には、参照によって本明細書に組み込まれる、2010年11月3日出願の同一出願人による米国特許出願第61/409,791号に詳述されるものなど、KOH/グリシンエッチング剤が挙げられてよい。エッチング後、誘電層は、アルカリ性のKOH/過マンガン酸カリウム(PPM)溶液、例えば、約0.7〜約1.0重量%のKOHと約3重量%のKMnO4との溶液で処理されてよい。誘電層は、導電層、例えば図7の層718b及び718cで片面又は両面を被覆されてよい。導電層は、任意の好適な導電性材料及び/又は熱伝導性材料からなってよいが、通常、銅を含む。導電層が回路に形成される場合、所望に応じて事前に模様付けされてよい。場合によっては、可撓性基材は多層の誘電材料及び積層配置の導電材料など多層構造を有してよい。
用いられる薄化手順の種類は、空洞領域と近接領域との間の遷移並びに誘電層の側壁及び遷移領域の他層の特性に影響し得る。化学エッチングは、比較的浅い側壁、例えば、通常、可撓性基材面から測定して約5〜60度、又は約25度〜28度の範囲の側壁角をもたらすように用いてよい。押し抜き、プラズマエッチング、集束イオンビームエッチング、及びレーザーアブレーションなどの他の技法は、非常に急な側壁、例えば最大約90度の壁角度をもたらしてよい。場合によっては(押し抜きなどを用いる場合など)、後述するように、誘電層を貫通する穴が形成されてよい。かかる場合、可撓性基材の他の層、導電層718b及び/又は718cなどは、空洞領域内でLED及び/又は蛍光体層に物理的支持をもたらすために用いられてよい。
例示の実施形態では、近接領域721bと比較して、空洞領域721a内の誘電層は非常に薄くなっており、LED及び/又は蛍光体層からの熱伝導性を向上し、これらの構成要素をより低い動作温度に維持する。例えば、厚さT2は、T1の約5〜25%であってよい。更に、T2は、0よりも大きいが、10マイクロメートル以下であってよく、T1は少なくとも20マイクロメートルであってよい。例示の実施形態では、T1は200マイクロメートル以下であってよい。熱伝導性の向上に加えて、薄化された空洞領域の特質は、反射材料で被覆されて効率の向上をもたらし得る、傾斜側壁の形成など他の利点を提供してよい。また、LED及び/又は蛍光体層を薄化空洞領域内の基材に取り付けることにより、これらの構成要素は、可撓性基材面を超えて高く延在せず、低形状因子の用途により好適なより薄型の装置をもたらす。
開示実施形態で用いるのに好適な例示の可撓性基材の更なる設計上の詳細は、同一所有者の米国特許出願であり、参照により本明細書に組み込まれる、2010年11月3日出願の米国特許出願第61/409,796号、2010年11月3日出願の同第61/409,801号に記載されている。
図8は、例示の可撓性基材を含む別の広帯域光源810の概略側面図、つまり概略断面図である。基材の空洞領域内の誘電層に貫通孔が設けられていることを除いて、光源810のほぼ全ての他の図示される構成要素は、図7の光源710に同等の要素を有する。
したがって、光源810は、基材818に配置された1個の青色発光LED 812を含み、この基材はまた、LEDからの青色光に曝されるとより長い波長の可視光を放射する蛍光体層814をその上に有する。LED 812は、ワイヤボンド820によって導電性経路に接続されてよい。
光源810はまた、LED及び蛍光体層814に向かって開きこれらを包含する、凸形状を有するダイクロイック反射体816を含む。反射体816の曲率中心は、点819と表示される。LED 812は、点819に比較的近接して位置付けられ、蛍光体層814もまた、同様である。図1と同様に、蛍光体層814は、LEDに対してやや大き過ぎるように示される。
これもまた図7と同様に、LED 812によって放射された青色光813aは、ダイクロイック反射体816によって部分的に反射されて反射LED光813bが生成され、また、部分的に透過されて透過LED光813cが生成される。反射LED光813bは、蛍光体層814に当たるように向けられ、この結果、蛍光体が励起され、蛍光体層により長い波長の光815aを放射させる。ダイクロイック反射体816は、このより長い波長の光を大いに透過させて、蛍光体光815bを生成する。透過光813c及び透過光815bは空間的に結合して、白色光など光源810の広帯域出力光をもたらす。内部空間817は、LED及び蛍光体を封入する、好適な光透過性ガラス又はポリマー材料を含んでよく、ダイクロイック反射体はかかる封入材料の外表面に貼付されてよい。あるいは、内部空間817は、中空であってよい。
光源810は、主として、空洞領域821a内の誘電層を貫通して延在する穴、つまり「ビア」を有する可撓性基材818の誘電層818aによって光源710と異なる。したがって、空洞領域821aには誘電層818a’のいずれの部分もとどまらず、この領域の誘電層の厚さ(図7のT2を参照)は0と見なされてよい。近接領域821b内の誘電層818aの厚さはT1であり、これは、図7の厚さT1と同一であるか、類似していてよい。
誘電層818aの上には導電層818bが配置され、この導電層は、図7の層718b同一であるか、類似していてよい。熱伝導層818cは、層818bと比較して誘電層の反対側の主表面に配置され、この熱伝導層は、図7の層718cと同一であるか、類似していてよい。層818b、818cのうちの1つ、又は両方は、空洞領域821aでの誘電層818aの不在を考慮して、この領域内でLED及び蛍光体層に物理的支持をもたらすように構成されてよい。
空洞領域内で、穴が基材の誘電層を貫通して延在するという、光源810の際立った特徴はまた、図1、2、4、5、6、及び7に関連して上述した光源など本明細書に記載の他の実施例に適用されてよい。当然のことながら、図7に関連して上述した例示の可撓性基材はまた、図1、2、4、5、及び6の広帯域光源など本明細書に記載の他の広帯域光源のいずれにも組み込まれてよい。
図7及び8に関連して上述した例示の可撓性基材を組み込む開示された広帯域光源は、青色発光LEDだけではなく、紫外線(UV)発光LEDも用いてよい。したがって、空洞領域と、より厚い近接領域と、を有する例示の可撓性基材を用いる本明細書に記載の各実施形態(図7及び8の実施形態が挙げられるが、これらに限定されない)については、実質的に紫外線を放射するLEDを各青色LEDに置き換えてよい。この置き換え又は代用を行った場合、かかる各光源の2個の他の構成要素はまた、所望に応じて変更してよい。つまり、ダイクロイック反射体は、UV LED光が光源の広帯域出力光にほとんど寄与しないか、全く寄与しないように、大幅に少ない(ここではUV)LED光を透過させるように調整されてよく、ダイクロイック反射体はまた、蛍光体層によって放射されてよい青色光をより容易に透過させるように、可視スペクトルの青色領域でより高い透過率を有するように調整されてよく、蛍光体層は、蛍光体がUV励起光に確実に反応するように、及び/又はUV LED光に反応して蛍光体によって放射されたより長い波長の光が可視スペクトルの青色領域の光を含むように、所望に応じて別の蛍光体層に置き換えられてよい。青色励起光に曝されると、より長い波長の可視光を放射する多くの蛍光体材料はまた、UV励起光に曝されると、より長い波長の可視光を放射する。
いずれの場合においても、青色光ではなくUVを放射する1個又は2個以上のLEDを用いる広帯域光源の関連態様は、図9a、9b、及び9cで提供される。
図9aは、例示のUV LED及び例示の蛍光体のスペクトル強度分布の理想化されたグラフである。曲線910は、UV発光LEDのおおよそのスペクトル分布を概略的に示す。曲線912は、UV LEDからの光に曝されると、例示の蛍光体材料によって放射された光のおおよそのスペクトル分布を概略的に示す。読者は、これらの曲線が、本発明を制限するためではなく、本発明の理解を促進するために提供されることを理解するであろう。読者はまた、曲線912の光が、実質的に白色又は他の所望の色相に見える広帯域出力光を単独でもたらすことを理解するであろう。
図9bは、UV LED及び白色又は他の広帯域可視光線を放射する蛍光体に用いる例示のダイクロイック反射体のスペクトル反射率又は透過率の理想化されたグラフである。ここにおいても、読者は、これらの曲線が、本発明を制限するためではなく、本発明の理解を促進するために提供されることを理解するであろう。曲線920は、法線入射光に対するダイクロイック反射体の反射率を概略的に示し、曲線922は、対応する透過率を示す。これらの曲線は、ほとんどのダイクロイック反射体が低損失特性を有するために、実質的に相補的である。法線入射以外の角度でダイクロイック反射体に当たる光は、曲線920、922と類似の又は著しく異なる透過特性及び反射特性を体験してよく、類似又は相違の程度は、図3bに関連して前述したように入射角に応じて異なり、また、光の偏光状態によって異なる可能性がある。したがって、類似の理由で、光源の光学軸及びダイクロイック反射体の曲率中心に比較的近接するようにUV LEDを位置付けることは概して有利であることが多い。この配置は、ダイクロイック反射体の領域において、LEDからの光及び蛍光体からの光の入射角が法線入射にかなり近くなるように維持するのに役立ち得る。
場合によっては、曲線922は、LEDからの紫外線が広帯域光源の出力にほとんど含まれないか、全く含まれない(かつ、ダイクロイック反射体に当たるUV LED光のほぼ全てが蛍光体層に反射される)ように、例えば400nm付近の紫外線に対してほとんど透過率を呈さないか、全く呈さない。他の場合では、一部の紫外線はダイクロイック反射体によって透過されてよく、ある程度の広帯域光源の出力中の紫外線は有害と見なされなくてよい。曲線922は、可視波長スペクトルの大部分にわたって、例えば、可視スペクトルの赤色、緑色、及び青色領域にわたって、高い透過率を有するように調整されてよい。ダイクロイック反射体のかかる特性により、蛍光体層によって放射された赤色光及び緑色光だけではなく、青色光も広帯域光源の出力に含まれることが可能になる。光源からの広帯域出力光は実質的に白色であってよく、蛍光体層によって放射された光から本質的になり、UV LEDからの光はほとんど含まれないか、全く含まれなくてよい。かかる白色光の色温度は、蛍光体層の賢明な設計によって、例えば、赤色、緑色、及び青色波長の所望の比率を確保するために混合して用いる異なる蛍光体材料の適切な相対量の選択によって、又はターゲットとなる色温度又は色相を得るために他の選択された波長若しくは色の賢明な設計によって調整されてよい。
図9cは、UV LED 932からの光が用いられて蛍光体934内でより長い波長の光を励起する光源930を示す概略図であり、より長い波長の光が単独で光源の広帯域(例えば、白色)可視出力光をもたらす。蛍光体からの長波長光は、用いる蛍光体材料に応じて白色又は他の色に見えてよい。ここにおいても概略的にのみ図示されるダイクロイック反射体936は、LED 932からの紫外線をほとんど透過させないか、全く透過させなくてよく、蛍光体934に当たるUV LED光のほぼ全てを反射してよい。反射UV LED光は蛍光体を励起し、ダイクロイック反射体936によって大いに透過される、ストークシフトされたより長い波長の光を放射させる。蛍光体からのより長い波長の光は、単独で広帯域出力光、例えば、白色光をもたらしてよい。
図10は、熱的にモデル化した広帯域光源1010の一部の概略側面図、つまり概略断面図である。光源は、薄型可撓性基材1018に配置されたLED 1012と、蛍光体層1014と、を含む。LEDは、外部効率25%のGaNからなる青色発光LEDであると仮定する。可撓性基材1018は、ポリイミドからなる誘電層1034と、誘電層の1つの主表面上に配置された、銅からなる導電層1032と、誘電層の反対側の主表面に配置され、これもまた銅からなる熱伝導層1036と、を含むか、これらから本質的になると見なされてよい。誘電層は、空洞領域1021a内の第1の厚さと、近接領域1021b内の第2の厚さ(第1の厚さよりも大きい)と、を有するように模様付けされるか、ないしは別の方法で成形される。LEDは、はんだ層1030aによって基材1018に取り付けられる。蛍光体層1014は、反射層1030bによって基材に取り付けられる。基材1018の下では、熱伝導材料1038が用いられて、アルミニウムからなると仮定されたヒートシンク1040に基材が取り付けられて熱結合される。
図10には凸状ダイクロイック反射体が図示されていないが、LED 1012によって放射された青色光の全てが蛍光体層1014の上面に当たり、この青色光の全てが蛍光体層1014によって吸収されると仮定することにより、このモデルは本質的に凸状ダイクロイック反射体を含む。このモデルは、蛍光体層が吸収LED光からのエネルギーの80%を再放射されたより長い波長の光に変換し、吸収LED光からのエネルギーの20%を熱に変換すると更に仮定した。蛍光体層は、主としてシリコーン樹脂(蛍光体粒子はこの中で分散していてよい)からなり、シリコーン樹脂の熱伝導率はGaN LED材料の熱伝導率の1%未満であると仮定した。
蛍光体層1014の厚さは100マイクロメートルであると仮定し、LED 1012の厚さは300マイクロメートルと仮定した。反射体層1030bは、銀の1マイクロメートル厚層であると仮定した。はんだ層1030aは、スズ中10%の金を含む30マイクロメートル層であると仮定した。ポリイミド層1034は、近接領域1021bにおいて15マイクロメートル厚であり、空洞領域1021aにおいては5マイクロメートル厚であると仮定した。銅層1032、1036は、それぞれ35マイクロメートル厚であると仮定した。
次にモデルは、1mm2のLEDが1ワットの電力で動作して発光すると仮定し、光源1010の様々な部分の定常状態温度を算出した。ヒートシンク1040の温度は25℃であると仮定した。LED 1012は、その体積のほぼ全てにわたって38〜44℃の範囲内の温度を有し、LEDのごく一部が38℃よりも低いことが判明した。一方、蛍光体層1014は、厚さ方向に沿って著しい温度有することが判明した。層1014の最上部は83〜89℃の範囲の温度を有し、層1014の最下部は57〜64℃の範囲の温度を有した。
蛍光体層について算出したより高い温度は、シリコーンの熱伝導率とGaNの熱伝導率との既知の大きな相違と一致する。しかし、LED及び蛍光体層の両方について算出した温度は、実際には、空洞領域1021aにおける誘電層1034の薄化を組み込まない実施形態に対して顕著な向上、即ち、LED及び蛍光体層の定常状態における動作温度の低下を示す。更に、蛍光体層の裏側への反射体層の配置を組み合わせた蛍光体層の前面照射構成によって、蛍光体層厚は、LEDの上発光面にコーティングが施された(したがって、LEDからの光が蛍光体層を通過せずにダイクロイック反射体へと進む構成ではない)場合の類似の蛍光体層に必要となるであろう厚さの約半分にすることができ、この蛍光体層厚の減少はまた、蛍光体層の動作温度の低減に役立つ。
ここで再び図2を参照すると、上述の光源210の実施形態は、LightTools(商標)光学設計ソフトウェアを用いて、光源410、510、及び610からモデル化した光源に類似の方法でモデル化した。光源210のモデル化した実施形態の関連設計パラメータの一部は次のとおりである。
・蛍光体層は、屈折率1.41のシリコーン結合剤に浸漬された屈折率1.8のCe:YAG粒子からなり、この層が0.1mmの物理的厚さを有すると仮定した。
・LEDは、それぞれ1mm×1mmの面内寸法を有する正方形であり、厚さ10マイクロメートル、及び出力波長460nmであると仮定した。各LEDはまた、(蛍光体層に隣接する)その背面に反射コーティングが施され、この反射コーティングは50%の反射率及び50%の吸収率を有すると仮定した。
・ダイクロイック反射体は、BK7ガラス製平凸レンズの半球凸状面に配置され、このレンズは5mmの直径及び2.5mmの曲率半径を有すると仮定した。ダイクロイック反射体は、400〜490nmの範囲の法線入射光に対して90%の反射率及び10%の透過率を有すると仮定した。ダイクロイック反射体はまた、波長が490nm以上の法線入射光に対して約100%の透過率を有すると仮定した。
・平凸レンズは、平面側がLEDの上面に配置されるように位置付け、レンズの平面側と蛍光体層の上部との間の空間を屈折率1.41のシリコーン材料で充填した。したがって、シリコーン材料はLEDも封入した。
LightToolsソフトウェアを用いて、光源210のこの実施形態によってもたらされる出力光をモデル化した。図4a、5a、及び6aに図示する、モデル化した強度分布とは違って、本研究の関心は、LED 212a、212bの上面及び平凸レンズの下面(平面)と実質的に一致するように配置された内部観察面における出力光の物理的分布であった。この内部観察面では、光は、図11aに示す、算出された放射照度の空間分布を有した。放射照度は、グレースケール表示によって図で示され、この図のグレースケールの放射照度への対応は、図11bの鍵に示される。
図では、LEDによって放射された青色光によってもたらされ、それぞれLED 212b、212aに実質的に形状及び位置が対応する、最も明るい領域1112a、1112bが示される。また、蛍光体層部分によって放射されたより長い波長(黄色)の光によってもたらされ、それぞれ領域1112a、1112bの像に実質的に対応する明るい領域1112a’、1112b’が示される。領域1112a、1112b及びこれらのそれぞれの像は、ダイクロイック反射体のおおよその曲率中心を示し得る中心点1119及び光源210の光学軸と内部観察面との交点の反対側に形成される。
特記しない限り、本明細書及び「特許請求の範囲」で使用されている量、性質の測定などを表現する全ての数は、用語「約」により改変されていると理解されるべきである。したがって、反することが示されない限り、本明細書及び添付特許請求の範囲に記載の数値的パラメータは、本発明の教示を利用して当業者により得ることが求められる所望の性質に応じて変化する近似値である。均等論を特許請求の範囲の範疇に適用することを制限しようとする試みとしてではなく、各数値パラメータは少なくとも、記録された有効数字の桁数を考慮して、又通常の四捨五入を適用することによって解釈されるべきである。本発明の広範な範囲を示す数値範囲及びパラメータは近似であるにもかかわらず、いかなる数値も本明細書で述べられる具体的な例で示される程度に、これらは妥当に可能な限り精確に報告される。しかしながら、いかなる数値も試験及び測定の限界に関連する誤差を含み得る。
本発明の様々な修正及び変更は、本発明の範囲及び趣旨から逸脱せずに当該技術分野の当業者に明らかとであり、本発明は、ここに記載された例示的な実施形態に限定されないことが理解されるべきである。例えば、1つの開示実施形態の特徴は、別に記載のない限り、他の開示実施形態全てにも適用され得ることを、読者は推定すべきである。また、本明細書において参照された全ての米国特許、公開特許出願、並びに他の特許及び非特許文書は、それらが上述の開示に矛盾しない範囲において、参照によって全てが組み込まれることが理解されるべきである。