JP2016197336A - タッチパネルセンサー用導電性フィルムの製造方法、および、タッチパネル - Google Patents

タッチパネルセンサー用導電性フィルムの製造方法、および、タッチパネル Download PDF

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Abstract

【課題】透明電極と引き出し配線との密着性が優れると共に、引き出し配線が優れた導電特性を示す、透明電極を有するタッチパネルセンサー用導電性フィルムの製造方法及びタッチパネルを提供する。
【解決手段】タッチパネルセンサー用導電性フィルムの製造方法は、基板上に、被めっき層形成用層を形成する工程Aと、被めっき層形成用層に対して、引き出し配線が形成されるべき領域に露光を行い、パターン状被めっき層を形成する工程Bと、パターン状被めっき層上に引き出し配線を形成する工程Cと、少なくとも引き出し配線の一端上に重なるように、基板上に透明導電膜を形成する工程Dと、透明導電膜上の所定位置にレジストパターンを形成する工程Eと、レジストパターンが配置されていない領域の透明導電膜をエッチング処理にて除去し、透明電極を形成する工程Fと、レジストパターンを除去する工程Gと、を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、タッチパネルセンサー用導電性フィルムの製造方法、および、この製造方法より製造されたタッチパネルセンサー用導電性フィルムを含むタッチパネルに関する。
基板上に導電性細線が形成された導電性フィルムは、種々の用途に使用されており、特に、近年、携帯電話や携帯ゲーム機器等へのタッチパネルの搭載率の上昇に伴い、タッチパネルセンサー用の導電性フィルムの需要が急速に拡大している。
タッチパネルセンサー用の導電性フィルムに含まれる引き出し配線として機能する導電層の作製方法としては種々の方法が提案されており、例えば、特許文献1においては相互作用性基を有するグラフトポリマー生成領域に無電解めっき触媒またはその前駆体を付与し、無電解めっきを行い、導電層を作製する方法が開示されている。
特開2008−207401号公報
特許文献1においては、「タッチパネル内における電極(検出電極)とドライバとをつなぐ引き回し配線(引き出し配線)」として導電層が機能し得る点は記載されているが、その具体的な構成に関する記載はない。
また、検出電極として作用する透明電極と、引き出し配線との電気的な接続をとる手段としては、引き出し配線の端部上に透明電極が重なるように配置する方法が挙げられる。
そこで、本発明者らは、特許文献1に記載の方法を参照して、センサー電極として機能する透明電極と電気的に接続する引き出し配線とを、上記のような引き出し配線の端部上に透明電極を重なるように配置してタッチパネルセンサー用導電性フィルムを形成しようとした。具体的には、基板上に引き出し配線を形成し、その引き出し配線の端部上に重なるように透明導電膜を配置して、次に、透明導電膜をエッチングしてタッチパネルセンサー用導電性フィルムを製造しようとしたところ、引き出し配線において抵抗値が上昇してしまい、導電特性が劣化するという問題があることを見出した。
また、上記のように、引き出し配線と透明電極とを接触させて電気的導通を図る場合は、両者の密着性が優れることも求められる。
本発明は、上記実情に鑑みて、透明電極と引き出し配線との密着性が優れると共に、引き出し配線が優れた導電特性を示す、タッチパネルセンサー用導電性フィルムの製造方法を提供することを課題とする。
また、本発明は、上記製造方法より製造されるタッチパネルセンサー用導電性フィルムを含むタッチパネルを提供することも課題とする。
本発明者らは、従来技術の問題点について鋭意検討を行ったところ、透明電極を形成する際のレジストパターンを所定の位置に配置することにより、上記課題を解決できることを見出した。
つまり、本発明者らは、以下の構成により上記課題が解決できることを見出した。
(1) 基板と、基板上に配置された透明電極と、基板上に配置され、透明電極に接続された引き出し配線とを備える、タッチパネルセンサー用導電性フィルムの製造方法であって、
基板上に、化合物Xまたは組成物Yを含む被めっき層形成用層を形成する工程Aと、
被めっき層形成用層に対して、引き出し配線が形成されるべき領域に露光を行い、被めっき層形成用層の未露光部を除去して、パターン状被めっき層を形成する工程Bと、
パターン状被めっき層にめっき触媒またはその前駆体を付与して、めっき触媒またはその前駆体が付与されたパターン状被めっき層に対してめっき処理を行い、パターン状被めっき層上に引き出し配線を形成する工程Cと、
少なくとも引き出し配線の一端上に重なるように、基板上に透明導電膜を形成する工程Dと、
透明導電膜上に感光性レジスト層を形成し、引き出し配線が配置されている領域および透明電極が形成されるべき領域にレジストパターンが形成されるように、感光性レジスト層に対して露光を行い、感光性レジスト層に現像処理を施して、レジストパターンを形成する工程Eと、
レジストパターンが配置されていない領域の透明導電膜をエッチング処理にて除去し、透明電極を形成する工程Fと、
レジストパターンを除去する工程Gと、を有する、タッチパネルセンサー用導電性フィルムの製造方法。
化合物X:めっき触媒またはその前駆体と相互作用する官能基、および、重合性基を有する化合物
組成物Y:めっき触媒またはその前駆体と相互作用する官能基を有する化合物、および、重合性基を有する化合物を含む組成物
(2) めっき処理が、無電解めっき処理である、(1)に記載のタッチパネルセンサー用導電性フィルムの製造方法。
(3) 透明電極が、酸化インジウムスズを含む、(1)または(2)に記載のタッチパネルセンサー用導電性フィルムの製造方法。
(4) 引き出し配線が、Cu、Au、NiおよびAgからなる群から選択される少なくとも1種を含む、(1)〜(3)のいずれかに記載のタッチパネルセンサー用導電性フィルムの製造方法。
(5) (1)〜(4)のいずれかに記載の製造方法より製造されたタッチパネルセンサー用導電性フィルムを含むタッチパネル。
本発明によれば、透明電極と引き出し配線との密着性が優れると共に、引き出し配線が優れた導電特性を示す、タッチパネルセンサー用導電性フィルムの製造方法を提供することができる。
また、本発明によれば、上記製造方法より製造されるタッチパネルセンサー用導電性フィルムを含むタッチパネルを提供することもできる。
本発明のタッチパネルセンサー用導電性フィルムの製造方法の好適実施態様の製造工程を示すフローチャートである。 (A)は工程Aで得られた積層体の上面図であり、(B)はその断面図である。 (A)は工程Bで得られた積層体の上面図であり、(B)は(A)中のA−A線で切断した断面図である。 (A)は工程Cで得られた積層体の上面図であり、(B)は(A)中のB−B線で切断した断面図である。 (A)は工程Dで得られた積層体の上面図であり、(B)は(A)中のC−C線で切断した断面図である。 (A)は工程Eで得られた積層体の上面図であり、(B)は(A)中のD−D線で切断した断面図であり、(C)は(A)中のE−E線で切断した断面図である。 (A)は工程Fで得られた積層体の上面図であり、(B)は(A)中のF−F線で切断した断面図であり、(C)は(A)中のG−G線で切断した断面図であり、(D)は(A)中のH−H線で切断した断面図である。 (A)は工程Gで得られた積層体の上面図であり、(B)は(A)中のI−I線で切断した断面図であり、(C)は(A)中のJ−J線で切断した断面図であり、(D)は(A)中のK−K線で切断した断面図である。 工程Dの変形例を示す図であり、(A)は工程Eで得られた積層体の上面図であり、(B)は(A)中のL−L線で切断した断面図である。
以下に、本発明のタッチパネルセンサー用導電性フィルムの製造方法について詳述する。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本発明の特徴点としては、まず、パターン状被めっき層を用いためっき処理により、引き出し配線を製造し、引き出し配線の一端部と透明電極とが接触するように配置している点が挙げられる。上記のような、めっき処理により形成される引き出し配線は、スパッタリング処理などの気相成長法により形成される金属層と比較すると、その表面が粗い。そのため、表面の粗い引き出し配線と透明電極との密着性が良好となる。
また、本発明者らは、基板上にめっき処理により引き出し配線を形成し、その引き出し配線の端部上に重なるように透明導電膜を配置して、次に、透明導電膜をエッチングしてタッチパネルセンサー用導電性フィルムを製造しようとした際に、引き出し配線の抵抗値が上昇する原因について検討を行ったところ、透明導電膜をエッチング処理する際に、引き出し配線の一部も合わせてエッチングされてしまう場合があることを知見している。そこで、透明導電膜のエッチング処理を実施する前に、引き出し配線が配置されている領域上にレジストパターンを配置させている。このようにレジストパターンの存在によって、透明導電膜のエッチング処理の際に、引き出し配線がエッチングされるのを防止し、結果として、引き出し配線の抵抗値の上昇を抑制している。
図1は、本発明のタッチパネルセンサー用導電性フィルムの製造方法の好適実施態様における製造工程を示すフローチャートである。
図1に示すように、タッチパネルセンサー用導電性フィルムの製造方法は、基板上に被めっき層形成用層を形成する工程A(被めっき層形成用層形成工程A)(S102)、パターン状被めっき層を形成する工程B(パターン状被めっき層形成工程B)(S104)、めっき処理を行い、引き出し配線を形成する工程C(めっき処理工程C)(S106)、透明導電膜を形成する工程D(透明導電膜形成工程D)(S108)、透明導電膜上にレジストパターンを形成する工程E(レジストパターン形成工程E)(S110)、透明導電膜にエッチング処理を施す工程F(エッチング処理工程F)(S112)、および、レジストパターンを除去する工程G(レジストパターン除去工程G)(S114)を備える。
図2〜図8は、本発明のタッチパネルセンサー用導電性フィルムの製造方法の好適実施態様を工程順に示す図である。
以下に、図面を参照しながら、各工程で使用される材料およびその手順について詳述する。
<工程A(被めっき層形成用層形成工程A)>
工程Aは、基板上に、後述する化合物Xまたは組成物Yを含む被めっき層形成用層を形成する工程である。本工程を実施することにより、図2(A)および(B)に示すように、基板10(全面)上に被めっき層形成用層12が形成される。被めっき層形成用層は、パターン状の露光処理が施されてパターン状被めっき層を形成するための前駆体層である。
以下では、まず、本工程で使用される各部材・各材料について詳述し、その後、工程の手順を詳述する。
(基板)
基板は、後述する透明電極や引き出し配線などを支持することができれば特にその種類の制限はなく、公知の基板を使用することができる。なお、タッチパネルセンサー用導電性フィルムにおいて、基板は、中央領域において透明電極を支持し、周縁領域において引き出し配線を支持する。
基板としては、例えば、絶縁基板が挙げられ、より具体的には、樹脂基板、セラミック基板、ガラス基板などを使用することができる。
樹脂基板の材料としては、例えば、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、セルロース系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、シクロオレフィン系樹脂などが挙げられる。
基板の厚み(mm)は特に制限されないが、取り扱い性および薄型化のバランスの点から、0.05〜2mmが好ましく、0.1〜1mmがより好ましい。
また、基板は、光を適切に透過することが好ましい。具体的には、基板の全光線透過率は、85〜100%であることが好ましい。
基板としては、シランカップリング剤で表面処理された基板を使用してもよい。つまり、その表面にシランカップリング剤層を有する基板を使用してもよい。このような基板を使用することにより、後述するパターン状被めっき層と基板との密着性が向上する。
(被めっき層形成用層)
被めっき層形成用層は、上記基板上に配置される層であり、パターン状の露光処理が施されてパターン状被めっき層を形成するための層である。
被めっき層形成用層は、以下の化合物Xまたは組成物Yを少なくとも含む。
化合物X:めっき触媒またはその前駆体と相互作用する官能基(以後、単に「相互作用性基」とも称する)、および、重合性基を有する化合物
組成物Y:めっき触媒またはその前駆体と相互作用する官能基を有する化合物、および、重合性基を有する化合物を含む組成物
以下では、まず、被めっき層形成用層に含まれる材料について詳述する。
(化合物X)
化合物Xは、相互作用性基と重合性基とを有する化合物である。
相互作用性基とは、パターン状被めっき層に付与されるめっき触媒またはその前駆体と相互作用できる官能基を意図し、例えば、めっき触媒またはその前駆体と静電相互作用を形成可能な官能基、または、めっき触媒またはその前駆体と配位形成可能な含窒素官能基、含硫黄官能基、含酸素官能基などを使用することができる。
相互作用性基としてより具体的には、アミノ基、アミド基、イミド基、ウレア基、3級のアミノ基、アンモニウム基、アミジノ基、トリアジン環、トリアゾール環、ベンゾトリアゾール基、イミダゾール基、ベンズイミダゾール基、キノリン基、ピリジン基、ピリミジン基、ピラジン基、ナゾリン基、キノキサリン基、プリン基、トリアジン基、ピペリジン基、ピペラジン基、ピロリジン基、ピラゾール基、アニリン基、アルキルアミン構造を含む基、イソシアヌル構造を含む基、ニトロ基、ニトロソ基、アゾ基、ジアゾ基、アジド基、シアノ基、シアネート基などの含窒素官能基;エーテル基、水酸基、フェノール性水酸基、カルボン酸基、カーボネート基、カルボニル基、エステル基、N−オキシド構造を含む基、S−オキシド構造を含む基、N−ヒドロキシ構造を含む基などの含酸素官能基;チオフェン基、チオール基、チオウレア基、チオシアヌール酸基、ベンズチアゾール基、メルカプトトリアジン基、チオエーテル基、チオキシ基、スルホキシド基、スルホン基、サルファイト基、スルホキシイミン構造を含む基、スルホキシニウム塩構造を含む基、スルホン酸基、スルホン酸エステル構造を含む基などの含硫黄官能基;ホスフォート基、ホスフォロアミド基、ホスフィン基、リン酸エステル構造を含む基などの含リン官能基;塩素、臭素などのハロゲン原子を含む基などが挙げられ、塩構造をとりうる官能基においてはそれらの塩も使用することができる。
なかでも、極性が高く、めっき触媒またはその前駆体などへの吸着能が高いことから、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、およびボロン酸基などのイオン性極性基や、エーテル基またはシアノ基が特に好ましく、カルボン酸基(カルボキシル基)またはシアノ基がさらに好ましい。
化合物Xには、相互作用性基が2種以上含まれていてもよい。
重合性基は、露光により、化学結合を形成しうる官能基であり、例えば、ラジカル重合性基、カチオン重合性基などが挙げられる。なかでも、反応性がより優れる点から、ラジカル重合性基が好ましい。ラジカル重合性基としては、例えば、アクリル酸エステル基(アクリロイルオキシ基)、メタクリル酸エステル基(メタクリロイルオキシ基)、イタコン酸エステル基、クロトン酸エステル基、イソクロトン酸エステル基、マレイン酸エステル基などの不飽和カルボン酸エステル基、スチリル基、ビニル基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基などが挙げられる。なかでも、メタクリロイルオキシ基、アクリロイルオキシ基、ビニル基、スチリル基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基が好ましく、メタクリロイルオキシ基、アクリロイルオキシ基、スチリル基がより好ましい。
化合物X中には、重合性基が2種以上含まれていてもよい。また、化合物X中に含まれる重合性基の数は特に制限されず、1つでも、2つ以上でもよい。
上記化合物Xは、低分子化合物であっても、高分子化合物であってもよい。低分子化合物は分子量が1000未満の化合物を意図し、高分子化合物とは分子量が1000以上の化合物を意図する。
なお、上記重合性基を有する低分子化合物とは、いわゆるモノマー(単量体)に該当する。また、高分子化合物とは、所定の繰り返し単位を有するポリマーであってもよい。
また、化合物としては1種のみを使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記化合物Xがポリマーである場合、ポリマーの重量平均分子量は特に制限されないが、溶解性など取り扱い性がより優れる点で、1000以上70万以下が好ましく、さらに好ましくは2000以上20万以下である。特に、重合感度の観点から、20000以上であることが好ましい。
このような重合性基および相互作用性基を有するポリマーの合成方法は特に制限されず、公知の合成方法(特許公開2009−280905号の段落[0097]〜[0125]参照)が使用される。
(ポリマーの好適態様1)
ポリマーの第1の好ましい態様として、下記式(a)で表される重合性基を有する繰り返し単位(以下、適宜重合性基ユニットとも称する)、および、下記式(b)で表される相互作用性基を有する繰り返し単位(以下、適宜相互作用性基ユニットとも称する)を含む共重合体が挙げられる。
上記式(a)および式(b)中、R1〜R5は、それぞれ独立して、水素原子、または、置換若しくは無置換のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基など)を表す。なお、置換基の種類は特に制限されないが、メトキシ基、塩素原子、臭素原子、またはフッ素原子などが挙げられる。
なお、R1としては、水素原子、メチル基、または、臭素原子で置換されたメチル基が好ましい。R2としては、水素原子、メチル基、または、臭素原子で置換されたメチル基が好ましい。R3としては、水素原子が好ましい。R4としては、水素原子が好ましい。R5としては、水素原子、メチル基、または、臭素原子で置換されたメチル基が好ましい。
上記式(a)および式(b)中、X、Y、およびZは、それぞれ独立して、単結合、または、置換若しく無置換の2価の有機基を表す。2価の有機基としては、置換若しくは無置換の2価の脂肪族炭化水素基(好ましくは炭素数1〜8。例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基などのアルキレン基)、置換若しくは無置換の2価の芳香族炭化水素基(好ましくは炭素数6〜12。例えば、フェニレン基)、−O−、−S−、−SO2−、−N(R)−(R:アルキル基)、−CO−、−NH−、−COO−、−CONH−、またはこれらを組み合わせた基(例えば、アルキレンオキシ基、アルキレンオキシカルボニル基、アルキレンカルボニルオキシ基など)などが挙げられる。
X、Y、およびZとしては、ポリマーの合成が容易で、パターン状被めっき層と引き出し配線との密着性がより優れる点で、単結合、エステル基(−COO−)、アミド基(−CONH−)、エーテル基(−O−)、または置換若しくは無置換の2価の芳香族炭化水素基が好ましく、単結合、エステル基(−COO−)、アミド基(−CONH−)がより好ましい。
上記式(a)および式(b)中、L1およびL2は、それぞれ独立して、単結合、または、置換若しくは無置換の2価の有機基を表す。2価の有機基の定義としては、上述したX、Y、およびZで述べた2価の有機基と同義である。
1としては、ポリマーの合成が容易で、パターン状被めっき層と引き出し配線との密着性がより優れる点で、脂肪族炭化水素基、または、ウレタン結合若しくはウレア結合を有する2価の有機基(例えば、脂肪族炭化水素基)が好ましく、なかでも、総炭素数1〜9であるものが好ましい。なお、ここで、L1の総炭素数とは、L1で表される置換または無置換の2価の有機基に含まれる総炭素原子数を意味する。
また、L2は、パターン状被めっき層と引き出し配線との密着性がより優れる点で、単結合、または、2価の脂肪族炭化水素基、2価の芳香族炭化水素基、もしくはこれらを組み合わせた基であることが好ましい。なかでも、L2は、単結合、または、総炭素数が1〜15であることが好ましく、特に無置換であることが好ましい。なお、ここで、L2の総炭素数とは、L2で表される置換または無置換の2価の有機基に含まれる総炭素原子数を意味する。
上記式(b)中、Wは、相互作用性基を表す。相互作用性基の定義は、上述の通りである。
上記重合性基ユニットの含有量は、反応性(硬化性、重合性)および合成の際のゲル化の抑制の点から、ポリマー中の全繰り返し単位に対して、5〜50モル%が好ましく、5〜40モル%がより好ましい。
また、上記相互作用性基ユニットの含有量は、めっき触媒またはその前駆体に対する吸着性の観点から、ポリマー中の全繰り返し単位に対して、5〜95モル%が好ましく、10〜95モル%がより好ましい。
(ポリマーの好適態様2)
ポリマーの第2の好ましい態様としては、下記式(A)、式(B)、および式(C)で表される繰り返し単位を含む共重合体が挙げられる。
式(A)で表される繰り返し単位は上記式(a)で表される繰り返し単位と同じであり、各基の説明も同じである。
式(B)で表される繰り返し単位中のR5、XおよびL2は、上記式(b)で表される繰り返し単位中のR5、XおよびL2と同じであり、各基の説明も同じである。
式(B)中のWaは、後述するVで表される親水性基またはその前駆体基を除く、めっき触媒またはその前駆体と相互作用する基を表す。なかでも、シアノ基、エーテル基が好ましい。
式(C)中、R6は、それぞれ独立して、水素原子、または、置換若しくは無置換のアルキル基を表す。
式(C)中、Uは、単結合、または、置換若しく無置換の2価の有機基を表す。2価の有機基の定義は、上述したX、YおよびZで表される2価の有機基と同義である。Uとしては、ポリマーの合成が容易で、パターン状被めっき層と引き出し配線との密着性がより優れる点で、単結合、エステル基(−COO−)、アミド基(−CONH−)、エーテル基(−O−)、または置換若しくは無置換の2価の芳香族炭化水素基が好ましい。
式(C)中、L3は、単結合、または、置換若しく無置換の2価の有機基を表す。2価の有機基の定義は、上述したL1およびL2で表される2価の有機基と同義である。L3としては、ポリマーの合成が容易で、パターン状被めっき層と引き出し配線との密着性がより優れる点で、単結合、または、2価の脂肪族炭化水素基、2価の芳香族炭化水素基、またはこれらを組み合わせた基であることが好ましい。
式(C)中、Vは親水性基またはその前駆体基を表す。親水性基とは親水性を示す基であれば特に限定されず、例えば、水酸基、カルボン酸基などが挙げられる。また、親水性基の前駆体基とは、所定の処理(例えば、酸またはアルカリにより処理)により親水性基を生じる基を意味し、例えば、THP(2−テトラヒドロピラニル基)で保護したカルボキシル基などが挙げられる。
親水性基としては、めっき触媒またはその前駆体との相互作用の点で、イオン性極性基であることが好ましい。イオン性極性基としては、具体的には、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、ボロン酸基が挙げられる。なかでも、適度な酸性(他の官能基を分解しない)という点から、カルボン酸基が好ましい。
上記ポリマーの第2の好ましい態様における各ユニットの好ましい含有量は、以下の通りである。
式(A)で表される繰り返し単位の含有量は、反応性(硬化性、重合性)および合成の際のゲル化の抑制の点から、ポリマー中の全繰り返し単位に対して、5〜50モル%が好ましく、5〜30モル%がより好ましい。
式(B)で表される繰り返し単位の含有量は、めっき触媒またはその前駆体に対する吸着性の観点から、ポリマー中の全繰り返し単位に対して、5〜75モル%が好ましく、10〜70モル%がより好ましい。
式(C)で表される繰り返し単位の含有量は、水溶液による現像性と耐湿密着性の点から、ポリマー中の全繰り返し単位に対して、10〜70モル%が好ましく、20〜60モル%がより好ましく、30〜50モル%がさらに好ましい。
上記ポリマーの具体例としては、例えば、特開2009−007540号公報の段落[0106]〜[0112]に記載のポリマー、特開2006−135271号公報の段落[0065]〜[0070]に記載のポリマー、US2010−080964号の段落[0030]〜[0108]に記載のポリマーなどが挙げられる。
このポリマーは、公知の方法(例えば、上記で列挙された文献中の方法)により製造することができる。
(モノマーの好適態様)
上記化合物がいわゆるモノマーである場合、好適態様の一つとして式(X)で表される化合物が挙げられる。
式(X)中、R11〜R13は、それぞれ独立して、水素原子、または置換若しくは無置換のアルキル基を表す。無置換のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、またはブチル基が挙げられる。また、置換アルキル基としては、メトキシ基、塩素原子、臭素原子、またはフッ素原子等で置換された、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が挙げられる。なお、R11としては、水素原子、またはメチル基が好ましい。R12としては、水素原子が好ましい。R13としては、水素原子が好ましい。
10は、単結合、または、2価の有機基を表す。2価の有機基としては、置換若しくは無置換の脂肪族炭化水素基(好ましくは炭素数1〜8)、置換若しくは無置換の芳香族炭化水素基(好ましくは炭素数6〜12)、−O−、−S−、−SO2−、−N(R)−(R:アルキル基)、−CO−、−NH−、−COO−、−CONH−、またはこれらを組み合わせた基(例えば、アルキレンオキシ基、アルキレンオキシカルボニル基、アルキレンカルボニルオキシ基など)などが挙げられる。
置換または無置換の脂肪族炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、若しくはブチレン基、または、これらの基が、メトキシ基、塩素原子、臭素原子、若しくはフッ素原子等で置換されたものが好ましい。
置換または無置換の芳香族炭化水素基としては、無置換のフェニレン基、または、メトキシ基、塩素原子、臭素原子、若しくはフッ素原子等で置換されたフェニレン基が好ましい。
式(X)中、L10の好適態様の一つとしては、−NH−脂肪族炭化水素基−、または、−CO−脂肪族炭化水素基−が挙げられる。
Wの定義は、式(b)中のWの定義の同義であり、相互作用性基を表す。相互作用性基の定義は、上述の通りである。
式(X)中、Wの好適態様としては、イオン性極性基が挙げられ、カルボン酸基がより好ましい。
(組成物Y)
組成物Yは、相互作用性基を有する化合物、および、重合性基を有する化合物を含む組成物である。つまり、被めっき層形成用層が、相互作用性基を有する化合物、および、重合性基を有する化合物の2種を含む。相互作用性基および重合性基の定義は、上述の通りである。
相互作用性基を有する化合物とは、相互作用性基を有する化合物である。相互作用性基の定義は上述の通りである。このような化合物としては、低分子化合物であっても、高分子化合物であってもよい。相互作用性基を有する化合物の好適態様としては、上述した式(b)で表される繰り返し単位を有する高分子(例えば、ポリアクリル酸)が挙げられる。なお、相互作用性基を有する化合物には、重合性基は含まれない。
重合性基を有する化合物とは、いわゆるモノマーであり、形成される被めっき層の硬度がより優れる点で、2個以上の重合性基を有する多官能モノマーであることが好ましい。多官能モノマーとは、具体的には、2〜6個の重合性基を有するモノマーを使用することが好ましい。反応性に影響を与える架橋反応中の分子の運動性の観点から、用いる多官能モノマーの分子量としては150〜1000が好ましく、さらに好ましくは200〜700である。また、複数存在する重合性基同士の間隔(距離)としては原子数で1〜15であることが好ましく、6以上10以下であることがさらに好ましい。
重合性基を有する化合物には、相互作用性基が含まれていてもよい。
なお、相互作用性基を有する化合物と重合性基を有する化合物との質量比(相互作用性基を有する化合物の質量/重合性基を有する化合物の質量)は特に制限されないが、形成される被めっき層の強度およびめっき適性のバランスの点で、0.1〜10が好ましく、0.5〜5がより好ましい。
被めっき層形成用層中の化合物X(または、組成物Y)の含有量は特に制限されないが、被めっき層形成用層全質量に対して、50質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましい。上限は特に制限されないが、99.5質量%以下が好ましい。
被めっき層形成用層には、上記化合物X、組成物Y以外の成分が含まれていてもよい。
被めっき層形成用層には、重合開始剤が含まれていてもよい。重合開始剤が含まれることにより、露光処理の際の重合性基間の反応がより効率的に進行する。
重合開始剤としては特に制限はなく、公知の重合開始剤(いわゆる光重合開始剤)などを用いることができる。重合開始剤の例としては、ベンゾフェノン類、アセトフェノン類、α−アミノアルキルフェノン類、ベンゾイン類、ケトン類、チオキサントン類、ベンジル類、ベンジルケタール類、オキスムエステル類、アンソロン類、テトラメチルチウラムモノサルファイド類、ビスアシルフォスフィノキサイド類、アシルフォスフィンオキサイド類、アントラキノン類、アゾ化合物等およびその誘導体を挙げることができる。
被めっき層形成用層中における重合開始剤の含有量は特に制限されないが、被めっき層の硬化性の点で、被めっき層形成用層全質量に対して、0.01〜1質量%であることが好ましく、0.1〜0.5質量%であることがより好ましい。
被めっき層形成用層には、他の添加剤(例えば、増感剤、硬化剤、重合禁止剤、酸化防止剤、帯電防止剤、フィラー、粒子、難燃剤、界面活性剤、滑剤、可塑剤など)を必要に応じて添加してもよい。
被めっき層形成用層の厚みは特に制限されないが、0.01〜20μmが好ましく、0.1〜10μmがより好ましく、0.1〜5μmがさらに好ましい。
上記の被めっき層形成用層の厚みは平均厚みであり、被めっき層形成用層の任意の10点の厚みを測定して、算術平均した値である。
(工程の手順)
上記基板上に被めっき層形成用層を形成する方法は特に制限されず、基板上に上述した各種成分を含む組成物を塗布して被めっき層形成用層を形成する方法(塗布法)や、仮基板上に被めっき層形成用層を形成して、基板の両面上に転写する方法(転写法)などが挙げられる。なかでも、厚みの制御がしやすい点、塗布法が好ましい。
以下、塗布法の態様について詳述する。
塗布法で使用される組成物には、上述した化合物Xまたは組成物Yが少なくとも含まれる。必要に応じて、上述した他の成分(例えば、重合開始剤)が含まれていてもよい。
なお、組成物には、取り扱い性の点から、溶剤が含まれることが好ましい。
使用できる溶剤は特に限定されず、例えば、水、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、アミド系溶剤、ニトリル系溶剤、エステル系溶剤、カーボネート系溶剤、この他にも、エーテル系溶剤、グリコール系溶剤、アミン系溶剤、チオール系溶剤、ハロゲン系溶剤などが挙げられる。
組成物中の溶剤の含有量は特に制限されないが、組成物全量に対して、50〜98質量%が好ましく、70〜95質量%がより好ましい。上記範囲内であれば、組成物の取り扱い性に優れ、層厚の制御などがしやすい。
塗布法の場合に、組成物を基板上に塗布する方法は特に制限されず、公知の方法(例えば、スピンコート、ダイコート、ディップコートなど)を使用できる。
取り扱い性や製造効率の観点からは、組成物を基板上に塗布し、必要に応じて乾燥処理を行って残存する溶剤を除去して、被めっき層形成用層を形成する態様が好ましい。
なお、乾燥処理の条件は特に制限されないが、生産性がより優れる点で、室温〜220℃(好ましくは50〜120℃)で、1〜30分間(好ましく1〜10分間)実施することが好ましい。
<工程B(パターン状被めっき層形成工程B)>
工程Bは、被めっき層形成用層に対して、引き出し配線が形成されるべき領域(形成される領域)に露光を行い、被めっき層形成用層中の未露光部を除去して、パターン状被めっき層を形成する工程である。上述したように、引き出し配線は、めっき処理を実施することによりパターン状被めっき層上に配置される。そこで、本工程では、図3(A)および(B)に示すように、後述するめっき処理により引き出し配線が形成されるべき領域に、パターン状被めっき層14を形成する。なお、図3(A)においては、5本のパターン状被めっき層14が形成されているが、その数は特に制限されない。
より具体的には、被めっき層形成用層の所定の領域(引き出し配線が形成されるべき領域)に露光を実施することにより、露光領域においては、重合性基間の重合や、基板と重合性基との反応などが進行し、硬化して、不溶部となる。この不溶部は、いわゆるパターン状被めっき層となる。次に、被めっき層形成用層の未露光部(光照射(露光処理)がされていない部分)を除去することにより、パターン状被めっき層が形成される。
以下では、まず、露光処理の方法について詳述し、その後、未露光部の除去処理について詳述する。
露光処理(光照射処理)では、使用される被めっき層形成用層の材料に応じて最適な波長の光での露光が実施されるが、例えば、UV(紫外光)ランプ、可視光線などによる光照射等が用いられる。光源としては、例えば、水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、カーボンアーク灯等がある。また、電子線、X線、イオンビーム、遠赤外線なども使用可能である。
露光時間としては、被めっき層形成用層の材料の反応性および光源により異なるが、通常、10秒〜5時間の間である。露光エネルギーとしては、10〜8000mJ程度であればよく、好ましくは50〜3000mJの範囲である。
なお、上記露光処理をパターン状に実施する方法は特に制限されず、公知の方法が採用され、例えば、所定の開口部を有するマスクを介して露光光を被めっき層形成用層に照射すればよい。
上述したように、露光が実施される領域は、引き出し配線が形成されるべき領域である。引き出し配線が形成されるべき領域とは引き出し配線の形成予定領域(基板の法線方向から観察した際に、引き出し配線が形成されるべき領域)であり、この領域にある被めっき層形成用層に露光処理が実施される。つまり、基板の法線方向から観察した際、引き出し配線の形成予定領域と、露光領域とはその位置が一致する。
なお、本明細書において「一致する」とは、完全に一致するだけのみならず、実験上の誤差(ズレ)があってもよい(言い換えれば、略一致であってもよい)。
通常、引き出し配線は基板の周縁領域に形成され、露光領域も周縁領域に位置する場合が多い。なお、周縁領域とは基板の外周縁から中央側に延びる外周縁に近接した領域である。
次に、被めっき層形成用層の未露光部を除去して、パターン状被めっき層を形成する。
未露光部を除去する方法は特に制限されないが、被めっき層形成用層が溶解する溶剤を被めっき層形成用層に接触させる方法が挙げられる。
より具体的には、アルカリ性溶液を現像液として用いる方法が挙げられる。アルカリ性溶液を用いて、未露光部を除去する場合は、露光処理が施された積層体をアルカリ性溶液中に浸漬させる方法や、その被めっき層形成用層上にアルカリ性溶液を塗布する方法などが挙げられるが、浸漬する方法が好ましい。浸漬する方法の場合、浸漬時間としては生産性・作業性などの観点から、1分から30分程度が好ましい。
<工程C(めっき処理工程C)>
工程Cは、パターン状被めっき層にめっき触媒またはその前駆体を付与して、めっき触媒またはその前駆体が付与されたパターン状被めっき層に対してめっき処理を行い、パターン状被めっき層上に引き出し配線を形成する工程である。本工程を実施することにより、図4(A)および(B)に示すように、パターン状被めっき層14上に、引き出し配線16が形成される。引き出し配線は、めっき処理により形成される金属層より構成される。なお、引き出し配線16の透明電極と接続される側の一端部はT字状の形状をしているが、この態様には限定されない。
以下では、パターン状被めっき層にめっき触媒またはその前駆体を付与する工程(工程X)と、めっき触媒またはその前駆体が付与されたパターン状被めっき層に対してめっき処理を行う工程(工程Y)とに分けて説明する。
(工程X:めっき触媒付与工程)
本工程では、まず、パターン状被めっき層にめっき触媒またはその前駆体を付与する。上記化合物Xまたは組成物Y由来の相互作用性基が、その機能に応じて、付与されためっき触媒またはその前駆体を付着(吸着)する。より具体的には、パターン状被めっき層表面上に、めっき触媒またはその前駆体が付与される。
めっき触媒またはその前駆体は、めっき処理の触媒や電極として機能するものである。そのため、使用されるめっき触媒またはその前駆体の種類は、めっき処理の種類により適宜決定される。
なお、用いられるめっき触媒またはその前駆体は、無電解めっき触媒またはその前駆体であることが好ましい。以下で、主に、無電解めっき触媒またはその前駆体などについて詳述する。
本工程において用いられる無電解めっき触媒は、無電解めっき時の活性核となるものであれば、如何なるものも用いることができ、具体的には、自己触媒還元反応の触媒能を有する金属(Niよりイオン化傾向の低い無電解めっきできる金属として知られるもの)などが挙げられる。具体的には、Pd、Ag、Cu、Ni、Pt、Au、Coなどが挙げられる。なかでも、触媒能の高さから、Ag、Pd、Pt、Cuが特に好ましい。
この無電解めっき触媒としては、金属コロイドを用いてもよい。
本工程において用いられる無電解めっき触媒前駆体とは、化学反応により無電解めっき触媒となりうるものであれば、特に制限なく使用することができる。主には、上記無電解めっき触媒として挙げた金属の金属イオンが用いられる。無電解めっき触媒前駆体である金属イオンは、還元反応により無電解めっき触媒である0価金属になる。無電解めっき触媒前駆体である金属イオンはパターン状被めっき層へ付与された後、無電解めっき浴への浸漬前に、別途還元反応により0価金属に変化させて無電解めっき触媒としてもよい。また、無電解めっき触媒前駆体のまま無電解めっき浴に浸漬し、無電解めっき浴中の還元剤により金属(無電解めっき触媒)に変化させてもよい。
無電解めっき触媒前駆体である金属イオンは、金属塩を用いてパターン状被めっき層に付与することが好ましい。使用される金属塩としては、適切な溶媒に溶解して金属イオンと塩基(陰イオン)とに解離されるものであれば特に制限はなく、M(NO3)n、MCln、M2/n(SO4)、M3/n(PO4)(Mは、n価の金属原子を表す)などが挙げられる。金属イオンとしては、上記の金属塩が解離したものを好適に用いることができる。例えば、Agイオン、Cuイオン、Niイオン、Coイオン、Ptイオン、Pdイオンが挙げられる。なかでも、多座配位可能なものが好ましく、特に、配位可能な官能基の種類数および触媒能の点で、Agイオン、Pdイオン、Cuイオンが好ましい。
本工程において、無電解めっきを行わず直接電気めっきを行うために用いられる触媒として、0価金属を使用することもできる。
めっき触媒またはその前駆体をパターン状被めっき層に付与する方法としては、例えば、めっき触媒またはその前駆体を適切な溶剤に分散または溶解させた溶液を調製し、その溶液をパターン状被めっき層上に塗布するか、または、その溶液中にパターン状被めっき層が形成された積層体を浸漬すればよい。上記溶剤としては、水や有機溶剤が適宜使用される。
溶液中のめっき触媒またはその前駆体の濃度は特に制限されないが、0.001〜50質量%であることが好ましく、0.005〜30質量%であることがより好ましい。
また、接触時間としては、30秒〜24時間程度であることが好ましく、1分〜1時間程度であることがより好ましい。
パターン状被めっき層のめっき触媒またはその前駆体の吸着量に関しては、使用するめっき浴種、触媒金属種、パターン状被めっき層の相互作用性基種、使用方法等により異なるが、めっきの析出性の観点から、5〜1000mg/m2が好ましく、10〜800mg/m2がより好ましく、特に20〜600mg/m2が好ましい。
(工程Y:めっき処理工程)
次に、めっき触媒またはその前駆体が付与されたパターン状被めっき層に対してめっき処理を行う。
めっき処理の方法は特に制限されず、例えば、無電解めっき処理、または、電解めっき処理(電気めっき処理)が挙げられる。本工程では、無電解めっき処理を単独で実施してもよいし、無電解めっき処理を実施した後にさらに電解めっき処理を実施してもよい。
以下、無電解めっき処理、および、電解めっき処理の手順について詳述する。
無電解めっき処理とは、めっきとして析出させたい金属イオンを溶かした溶液を用いて、化学反応によって金属を析出させる操作のことをいう。
本工程における無電解めっきは、例えば、無電解めっき触媒が付与されたパターン状被めっき層を備える基板を、水洗して余分な無電解めっき触媒(金属)を除去した後、無電解めっき浴に浸漬して行うことが好ましい。使用される無電解めっき浴としては、公知の無電解めっき浴を使用することができる。
また、無電解めっき触媒前駆体が付与されたパターン状被めっき層を備える基板を、無電解めっき触媒前駆体がパターン状被めっき層に吸着または含浸した状態で無電解めっき浴に浸漬する場合には、基板を水洗して余分な無電解めっき触媒前駆体(金属塩など)を除去した後、無電解めっき浴中へ浸漬させることが好ましい。この場合には、無電解めっき浴中において、無電解めっき触媒前駆体の還元とこれに引き続き無電解めっきが行われる。ここで使用される無電解めっき浴としても、上記同様、公知の無電解めっき浴を使用することができる。
なお、無電解めっき触媒前駆体の還元は、上記のような無電解めっき液を用いる態様とは別に、触媒活性化液(還元液)を準備し、無電解めっき前の別工程として行うことも可能である。
一般的な無電解めっき浴の組成としては、溶剤(例えば、水)の他に、1.めっき用の金属イオン、2.還元剤、3.金属イオンの安定性を向上させる添加剤(安定剤)が主に含まれている。このめっき浴には、これらに加えて、めっき浴の安定剤など公知の添加剤が含まれていてもよい。
無電解めっき浴に用いられる有機溶剤としては、水に可能な溶剤である必要があり、その点から、アセトンなどのケトン類、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類が好ましく用いられる。無電解めっき浴に用いられる金属の種類としては、銅、すず、鉛、ニッケル、金、銀、パラジウム、ロジウムが知られており、なかでも、導電性の観点からは、銅、銀、金が好ましく、銅がより好ましい。また、上記金属に合わせて最適な還元剤、添加剤が選択される。
無電解めっき浴への浸漬時間としては、1分〜6時間程度であることが好ましく、1分〜3時間程度であることがより好ましい。
本工程おいては、パターン状被めっき層に付与されためっき触媒またはその前駆体が電極としての機能を有する場合、その触媒またはその前駆体が付与されたパターン状被めっき層に対して、電気めっきを行うことができる。
なお、上述したように、本工程においては、上記無電解めっき処理の後に、必要に応じて、電解めっき処理を行うことができる。このような態様では、形成される引き出し配線の厚みを適宜調整可能である。
電気めっきの方法としては、従来公知の方法を用いることができる。尚、電気めっきに用いられる金属としては、銅、クロム、鉛、ニッケル、金、銀、すず、亜鉛などが挙げられ、導電性の観点から、銅、金、銀が好ましく、銅がより好ましい。
上記手順により作製された引き出し配線の厚みは特に制限されず、0.01〜20μmが好ましく、0.1〜10μmがより好ましく、0.1〜5μmがさらに好ましい。
上記の引き出し配線の厚みは平均厚みであり、引き出し配線の任意の10点の厚みを測定して、算術平均した値である。
<工程D(透明導電膜形成工程D)>
工程Dは、少なくとも引き出し配線の一端部上に重なるように、基板上に透明導電膜を形成する工程である。図5(A)および(B)においては、基板10の全面に透明導電膜18を配置した態様を示す。つまり、図5(A)および(B)においては、透明導電膜18は、基板10上、および、引き出し配線16上に配置される。
透明導電膜の構成材料としては特に限定されず、例えば、インジウム、スズ、亜鉛、ガリウム、アンチモン、チタン、珪素、ジルコニウム、マグネシウム、アルミニウム、金、銀、銅、パラジウム、タングステン、および、カドミウムからなる群より選択される少なくとも1種の金属の金属酸化物が用いられる。金属酸化物としては、例えば、ITO(酸化インジウムスズ)、ATO(酸化アンチモン錫)、ZnO、SnO、CTO(酸化カドミウムスズ)などが好ましく用いられ、ITOが特に好ましく用いられる。
ITOとしては、酸化インジウム80〜99質量%および酸化スズ1〜20質量%を含有することが好ましい。
透明導電膜の厚みは特に限定されないが、10〜200nm程度の場合が多く、薄膜の点からは、15〜40nmが好ましく、20〜30nmでより好ましい。
透明導電膜の製造方法は特に制限されず、例えば、真空蒸着法、スパッタリング等の物理的気相析出法や、CVD(chemical vapor deposition)法等の化学的気相析出法等の公知の成膜方法によって形成される。
<工程E(レジストパターン形成工程E)>
本工程は、透明導電膜上に感光性レジスト層を形成し、引き出し配線が配置されている領域、および、透明電極が形成されるべき領域にレジストパターンが形成されるように感光性レジスト層に対して露光を行い、感光性レジスト層に現像処理を施して、レジストパターンを形成する工程である。本工程を実施することにより、透明導電膜上の所定の位置にレジストパターンが形成される。
より具体的には、図6(A)〜(C)に示すように、引き出し配線16が配置されている領域に配置された第1レジストパターン20Aと、透明電極が形成されるべき領域に配置された第2レジストパターン20Bとからなるレジストパターン20が形成される。なお、第1レジストパターン20Aは、基板10の法線方向から観察した際に、引き出し配線16と一致するように配置される。また、第2レジストパターン20Bは、基板10の法線方向から観察した際に、透明電極が形成されるべき領域と一致するように配置される。なお、透明電極が形成されるべき領域とは、透明電極の形成予定領域(基板の法線方向から観察した際に、透明電極が形成されるべき領域)である。
以下では、透明導電膜上に感光性レジスト層を形成する工程(工程Z)と、レジストパターンを形成する工程(工程W)とに分けて説明する。
なお、本明細書においては、感光性レジスト層とは所定の波長の光により感光して硬化する層を意図し、レジストパターンとは感光性レジスト層が硬化して得られるパターン状の膜を意図する。
(工程Z)
工程Zは、透明導電膜上に感光性レジスト層を形成する工程である。
感光性レジスト層の製造方法は特に制限されず公知の方法を使用することができ、例えば、ドライフィルムレジストを透明導電膜上にラミネートすることにより感光性レジスト層を設ける方法や、感光性液状レジストを透明導電膜上に塗布・乾燥して感光性レジスト層を設ける方法が挙げられる。
感光性レジスト層としては、ポジ型感光性レジスト層であっても、ネガ型感光性レジスト層であってもよいが、ネガ型感光性レジスト層であることがより好ましい。
本工程で使用される感光性レジスト層の材料は特に制限されず、公知の材料を使用することができるが、例えば、ネガ型感光性レジスト層としては、感光して不溶となった部分以外を、アルカリ水溶液を主成分とする水系現像液で溶解除去できるものが好ましく用いられる。
感光性レジスト層の膜厚としては、10μm以下が好ましく、5μm以下がより好ましく、3μm以下がさらに好ましい。膜厚の下限値は、必要なレジスト性能を確保し、塗布を均一に欠点無く行うために、0.5μm以上が好ましい。
本発明において、感光性液状レジストを塗布して感光性レジスト層を設ける場合には、塗布方法として、例えば、ディップコーティング、スライドコーティング、カーテンコーティング、バーコーティング、エアーナイフコーティング、ロールコーティング、グラビアコーティング、スプレーコーティングなどの定量塗布方式を用いることができる。
(工程W)
工程Wは、引き出し配線が配置されている領域、および、透明電極が形成されるべき領域にレジストパターンが形成されるように感光性レジスト層に対して露光を行い、感光性レジスト層に現像処理を施して、レジストパターンを形成する工程である。
本工程の手順は、レジストパターンが所定の領域(引き出し配線が配置されている領域、および、透明電極が形成されるべき領域)に配置されれば特に制限されない。つまり、基板を法線方向から観察した際に、レジストパターンがある領域と、引き出し配線が配置されている領域および透明電極が形成されるべき領域とが一致していれば、どのような方法でもよい。
例えば、感光性レジスト層としてネガ型感光性レジスト層を使用する場合は、上記所定の領域が露光されるような開口部を有するマスクを介して、感光性レジスト層を露光すればよい。また、感光性レジスト層としてポジ型感光性レジスト層を使用する場合は、上記所定の領域が未露光となるような開口部を有するマスクを介して、感光性レジスト層を露光すればよい。
露光に使用される光としては感光性レジスト層の種類によって異なり、上述した工程Bで例示した光が挙げられる。
露光処理後に、感光性レジスト層に対して、現像処理を行う。感光性レジスト層がネガ型感光性レジスト層の場合、現像処理を実施することにより露光部が除去され、感光性レジスト層がポジ型感光性レジスト層の場合、現像処理を実施することにより未露光部が除去される。現像処理の方法としては、公知の方法が挙げられ、例えば、アルカリ性現像液を接触させて現像する方法などが挙げられる。
<工程F(エッチング処理工程F)>
工程Fは、レジストパターンが配置されていない領域の透明導電膜をエッチング処理にて除去し、透明電極を形成する工程である。本工程を実施することにより、図7(A)〜(D)に示すように、レジストパターン20が配置されている領域以外の透明導電膜が除去されて、基板10上に透明電極22が、引き出し配線16とレジストパターン20Aとの間には配線状透明導電膜24が形成される。つまり、図7(A)においては、レジストパターン20がある領域の下部側(基板側)にのみ、透明導電膜が残存する。透明電極22は基板10上に配置され、引き出し配線16および配線状透明導電膜24と電気的に接続している。なお、透明電極22は、タッチパネルセンサーにおいてセンサー電極として作用する。
また、引き出し配線16上には配線状透明導電膜24が配置され、配線状透明導電膜24の形状は、引き出し配線16と同一の形状を有する。つまり、基板10の法線方向から観察した際には、引き出し配線16上の配線状透明導電膜24の形状は、引き出し配線16の形状と一致している。
透明導電膜をエッチング処理する方法は特に制限されず、公知の方法が採用され、例えば、公知のエッチング液と透明導電膜とを接触させることにより実施することができる。
<工程G(レジストパターン除去工程G)>
工程Gは、レジストパターンを除去する工程である。本工程を実施することにより、図8(A)〜(D)に示すように、基板10と、基板10上に配置された透明電極22と、基板上に配置され、透明電極22と電気的に接続し、透明電極22が形成された領域の周囲に配置される引き出し配線16とを備える、タッチパネルセンサー用導電性フィルム100が形成される。なお、引き出し配線16上には、透明電極22の端部と連なっている配線状透明導電膜24が配置される。
レジストパターンを除去する方法は特に制限されず、公知の方法を採用でき、例えば、公知のレジスト剥離液とレジストパターンとを接触させる方法などが挙げられる。
<タッチパネルセンサー用導電性フィルム>
上記工程を経て、所定のタッチパネルセンサー用導電性フィルムが形成される。
タッチパネルセンサー用導電性フィルム100においては、基板10と、基板10の中央領域に配置された複数の透明電極22と、基板の中心領域の外側の周縁領域に配置され、透明電極22と電気的に接続された複数の引き出し配線16とを有する。
引き出し配線16は、パターン状被めっき層14上に配置されている。また、透明電極22の一端側は基板10上に位置し、他端側は引き出し配線16と電気的に接続する。
引き出し配線16上には配線状透明導電膜24が配置されており、配線状透明導電膜24は引き出し配線16と同一のパターンで配置されている。
本発明のタッチパネルセンサー用導電性フィルムは、タッチパネルセンサーを製造するために好適に用いられる。タッチパネルセンサー用導電性フィルムは、さらにプリント配線基板を有していてもよい。
なお、本明細書においては、上記タッチパネルセンサー用導電性フィルムより形成されるタッチパネルセンサーと、各種表示装置(例えば、液晶表示装置、有機エレクトロルミネッセンス表示装置)を組み合わせたものを、タッチパネルと呼ぶ。タッチパネルとしては、いわゆる静電容量式タッチパネルが好ましく挙げられる。
上記図2〜図8においては、基板の一方の表面上にのみ透明電極および引き出し配線を配置する態様を述べたが、基板の両面に対して上記処理を実施して、基板の両面に透明電極および引き出し配線を配置してもよい。
<好適実施態様の変形例>
上記好適実施態様の工程D(透明導電膜形成工程D)においては、基板10の全面に透明導電膜18を形成したが、この態様には限定されず、透明導電膜18は引き出し配線16の一端部上に重なっていればよく、例えば、図9(A)および(B)に示すように、基板10の中心領域にのみ透明導電膜18が配置されていてもよい。
このような態様であれば、得られるタッチパネルセンサー用導電性フィルムにおいて、配線状透明導電膜が引き出し配線の一端部上にのみ配置される。
以下、実施例により、本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(合成例1:ポリマー1)
2Lの三口フラスコに酢酸エチル1L、2−アミノエタノール159gを入れ、氷浴にて冷却した。そこへ、2−ブロモイソ酪酸ブロミド150gを内温20℃以下になるように調節して滴下した。その後、内温を室温(25℃)まで上昇させて2時間反応させた。反応終了後、蒸留水300mLを追加して反応を停止させた。その後、酢酸エチル相を蒸留水300mLで4回洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥し、さらに酢酸エチルを留去することで原料Aを80g得た。
次に、500mLの三口フラスコに、原料A47.4g、ピリジン22g、酢酸エチル150mLを入れて氷浴にて冷却した。そこへ、アクリル酸クロライド25gを内温20℃以下になるように調節して滴下した。その後、室温に上げて3時間反応させた。反応終了後、蒸留水300mLを追加し、反応を停止させた。その後、酢酸エチル相を蒸留水300mLで4回洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥し、さらに酢酸エチルを留去した。その後、カラムクロマトグラフィーにて、以下のモノマーM1(20g)を得た。
500mLの三口フラスコに、N,N−ジメチルアセトアミド8gを入れ、窒素気流下、65℃まで加熱した。そこへ、モノマーM1:14.3g、アクリロニトリル(東京化成工業(株)製)3.0g、アクリル酸(東京化成製)6.5g、V−65(和光純薬製)0.4gのN,N−ジメチルアセトアミド8g溶液を、4時間かけて滴下した。
滴下終了後、さらに反応溶液を3時間撹拌した。その後、N,N−ジメチルアセトアミド41gを追加し、室温まで反応溶液を冷却した。上記の反応溶液に、4−ヒドロキシTEMPO(東京化成製)0.09g、DBU(ジアザビシクロウンデセン)54.8gを加え、室温で12時間反応を行った。その後、反応液に70質量%メタンスルホン酸水溶液54g加えた。反応終了後、水で再沈を行い、固形物を取り出し、ポリマー1を12g得た。
得られたポリマー1の同定をIR(infrared absorption)測定機((株)堀場製作所製)を用いて行った。測定はポリマーをアセトンに溶解させKBr結晶を用いて行った。IR測定の結果、2240cm-1付近にピークが観測されニトリルユニットであるアクリロニトリルがポリマーに導入されている事が分かった。また、酸価測定によりカルボン酸基含有ユニットとしてアクリル酸が導入されている事が分かった。また、重DMSO(ジメチルスルホキシド)に溶解させ、ブルカー製300MHzのNMR(Nuclear Magnetic Resonance)(AV−300)にて測定を行った。ニトリル基含有ユニットに相当するピークが2.5−0.7ppm(5H分)にブロードに観察され、重合性基含有ユニットに相当するピークが7.8−8.1ppm(1H分)、5.8−5.6ppm(1H分)、5.4−5.2ppm(1H分)、4.2−3.9ppm(2H分)、3.3−3.5ppm(2H分)、2.5−0.7ppm(6H分)にブロードに観察され、カルボン酸基含有ユニットに相当するピークが2.5−0.7ppm(3H分)にブロードに観察され、重合性基含有ユニット:ニトリル基含有ユニット:カルボン酸基含有ユニット=30:30:40(mol%)であることが分かった。
<組成物の調製>
イソプロパノール(IPA)、ポリマー1、ポリアクリル酸、メチレンビスアクリルアミド(MBA)、IRGACURE127(BASF製)を表1に従って調液し、組成物1〜2を得た。
なお、表1中、各成分の含有量は、組成物全量に対する質量%として表示される。
<実施例1>
加飾付きガラス基板(コーニング製)に、シランカップリング組成物(1wt% 3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越シリコーン社製KBM5103)溶液(溶媒として、1質量%酢酸水溶液:IPA=1:1))をスピンコートして、乾燥した。
その後、組成物1(上記)をスピンコートして、80℃にて5分間乾燥させた。その後、ライン幅が10μmのパターンを有するネガ型用のマスク越しに基板に対して大気下にてUV照射(エネルギー量:1J、10mW、波長:256nm)し、1%の炭酸水素ナトリウムを用いて現像することでパターン状被めっき層(厚み:0.4μm)を形成した(図3(A)〜(B)参照)。
パターン状被めっき層を有するガラス基板をPd触媒付与液MAT−2(上村工業製)のMAT−2Aのみを5倍に希釈したものに室温にて5分間浸漬し、純水にて2回洗浄した。次に、還元剤MAB(上村工業製)に36℃にて5分間浸漬し、純水にて2回洗浄した。その後、活性化処理液MEL−3(上村工業製)に室温にて5分間浸漬し、洗浄することなく無電解めっき液スルカップPEA(上村工業製)に室温にてそれぞれ60分浸漬した。純水にて2回洗浄して、パターン状被めっき層上にパターン状銅層(引き出し配線に該当。厚み:1.2μm)を備える加飾付きガラス基板を得た(図4(A)〜(B)参照)。
次に、得られた加飾付きガラス基板上の全面に、酸化インジウムと酸化錫が質量比95:5の組成で充填密度98%の酸化インジウム−酸化錫ターゲットを用いるスパッタリング法によってITO層を形成した(図5(A)〜(B)参照)。なお、ITO層は、パターン状銅層全面を覆うように配置されている。
その後、感光性レジスト材料をITO層上に塗布して感光性レジスト層を形成し、先に形成したパターン状銅層(引き出し配線)が配置されている領域、および、所望のITOパターン部分を形成させるべき領域の感光性レジスト層に露光処理を行い、その後、現像処理を実施して、上記領域上にレジストパターンが残るように、フォトリソグラフィー法でパターニングを行った(図6(A)〜(C)参照)。
その後、レジストパターンが配置されていない領域のITO層をエッチングした後、レジストパターンを除去して(図7(A)〜(D)参照)、パターン状のITO層(透明電極に該当)を有するタッチパネルセンサー用導電性フィルムを製造した(図8(A)〜(D)参照)。
<実施例2>
組成物1の代わりに、組成物2を用いた以外は、実施例1と同様の手順に従って、タッチパネルセンサー用導電性フィルムを製造した。
<比較例1>
パターン状銅層(引き出し配線)が配置されている領域にレジストパターンを配置しなかった以外は、実施例1と同様の手順に従って、タッチパネルセンサー用導電性フィルムを製造した。
<比較例2>
パターン状銅層(引き出し配線)が配置されている領域にレジストパターンを配置しなかった以外は、実施例2と同様の手順に従って、タッチパネルセンサー用導電性フィルムを製造した。
<比較例3>
加飾付きガラス基板(コーニング製)にスパッタ法にて、銅層を約1.5μmの厚みとなるように成膜した。次いで、ネガ型感光性レジストを、銅層の表面に4μm程度の厚みで塗布した後、90℃で30分乾燥した。その後、ライン幅が10μmのパターンを有するネガ型用のマスク越しに基板に対して大気下にてUV照射(100mJ/cm)し、3%の炭酸ナトリウムを用いて現像することで、銅配線の引き出し配線に対応する部分にレジストパターンが形成され、それ以外の部分のレジストパターンが除去された。次に、比重1.45の塩化第二鉄液を用いて、銅層の露出部をエッチング除去し、残ったレジストパターンを剥離した。これによりパターン状銅層(引き出し配線に該当。厚み:1.5μm)を備える加飾付きガラス基板を得た。
次に、得られた加飾付きガラス基板上の全面に、酸化インジウムと酸化錫が質量比95:5の組成で充填密度98%の酸化インジウム−酸化錫ターゲットを用いるスパッタリング法によってITO層を形成した。なお、ITO層は、パターン状銅層全面を覆うように配置されている。
その後、感光性レジスト材料をITO層上に塗布して感光性レジスト層を形成し、先に形成したパターン状銅層(引き出し配線)が配置されている領域、および、所望のITOパターン部分を形成させるべき領域の感光性レジスト層に露光処理を行い、その後、現像処理を実施して、上記領域上にレジストパターンが残るように、フォトリソグラフィー法でパターニングを行った。
その後、レジストパターンが配置されていない領域のITO層をエッチングした後、レジストパターンを除去して、パターン状のITO層(透明電極に該当)を有するタッチパネルセンサー用導電性フィルムを製造した。
上記比較例3においては、パターン状被めっき層が使用されておらず、パターン状銅層はスパッタリングにより形成される銅層から形成されている。
<比較例4>
パターン状銅層(引き出し配線)が配置されている領域にレジストパターンを配置しなかった以外は、比較例3と同様の手順に従って、タッチパネルセンサー用導電性フィルムを製造した。
<各種評価>
(密着性評価)
各実施例および各比較例にて得られたタッチパネルセンサー用導電性フィルム中のITO層に対して、テープ剥離試験を行い、パターン状銅層上に位置するITO層の残存率(%){(テープ剥離後に残存するパターン状銅層上に位置するITO層の面積/テープ剥離前のパターン状銅層上に位置するITO層の面積)×100}を以下の基準に従って、評価した。なお、テープ剥離試験は、JIS K5600−5−6に従って、実施した。
「A」:残存率が80〜100%であった場合
「B」:残存率が80%未満であった場合
(配線抵抗測定)
各実施例および各比較例にて得られたタッチパネルセンサー用導電性フィルム中のパターン状銅層の端部間の抵抗値を、ミリオームハイテスタ3540(日置電機社製)を用いて測定し、以下の基準に沿って評価した。なお、評価には10本のパターン状銅層の端部間の抵抗値を測定し、それらの平均抵抗値を用いて、評価した。
「A」:平均抵抗値が10Ω以下の場合
「B」:平均抵抗値が10Ω超の場合
表2中、「周辺配線保護膜」とは、パターン状銅層(引き出し配線)が配置されている領域にレジストパターンを配置したか否かを示すものであり、「有」はレジストパターンを配置したことを意図し、「無」はレジストパターンを配置したことを意図する。
表2に示すように、本発明の製造方法より得られるタッチパネルセンサー用導電性フィルムにおいては、所望の効果が得られた。
一方、所定のレジストパターンを設けなかった比較例1および2においては、引き出し配線の抵抗値が悪化し、パターン状被めっき層を使用せず、引き出し配線をスパッタリング処理およびエッチング処理により製造した比較例3および4においては、引き出し配線と透明電極との密着性に劣っていた。
10 基板
12 被めっき層形成用層
14 パターン状被めっき層
16 引き出し配線
18 透明導電膜
20 レジストパターン
22 透明電極
24 配線状透明導電膜
100 タッチパネルセンサー用導電性フィルム

Claims (5)

  1. 基板と、前記基板上に配置された透明電極と、前記基板上に配置され、前記透明電極に接続された引き出し配線とを備える、タッチパネルセンサー用導電性フィルムの製造方法であって、
    基板上に、化合物Xまたは組成物Yを含む被めっき層形成用層を形成する工程Aと、
    前記被めっき層形成用層に対して、前記引き出し配線が形成されるべき領域に露光を行い、前記被めっき層形成用層の未露光部を除去して、パターン状被めっき層を形成する工程Bと、
    前記パターン状被めっき層にめっき触媒またはその前駆体を付与して、前記めっき触媒またはその前駆体が付与されたパターン状被めっき層に対してめっき処理を行い、前記パターン状被めっき層上に前記引き出し配線を形成する工程Cと、
    少なくとも前記引き出し配線の一端上に重なるように、前記基板上に透明導電膜を形成する工程Dと、
    前記透明導電膜上に感光性レジスト層を形成し、前記引き出し配線が配置されている領域および前記透明電極が形成されるべき領域にレジストパターンが形成されるように、前記感光性レジスト層に対して露光を行い、その後、前記感光性レジスト層に現像処理を施して、レジストパターンを形成する工程Eと、
    前記レジストパターンが配置されていない領域の前記透明導電膜をエッチング処理にて除去し、前記透明電極を形成する工程Fと、
    前記レジストパターンを除去する工程Gと、を有する、タッチパネルセンサー用導電性フィルムの製造方法。
    化合物X:めっき触媒またはその前駆体と相互作用する官能基、および、重合性基を有する化合物
    組成物Y:めっき触媒またはその前駆体と相互作用する官能基を有する化合物、および、重合性基を有する化合物を含む組成物
  2. 前記めっき処理が、無電解めっき処理である、請求項1に記載のタッチパネルセンサー用導電性フィルムの製造方法。
  3. 前記透明電極が、酸化インジウムスズを含む、請求項1または2に記載のタッチパネルセンサー用導電性フィルムの製造方法。
  4. 前記引き出し配線が、Cu、Au、NiおよびAgからなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のタッチパネルセンサー用導電性フィルムの製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法より製造されたタッチパネルセンサー用導電性フィルムを含むタッチパネル。
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