JP2016197262A - ポジ型感放射線性樹脂組成物、硬化膜及びその形成方法、半導体素子、並びに表示素子 - Google Patents
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Abstract
Description
[A]下記式(1)で表される基及び下記式(2)で表される基からなる群より選択される少なくとも1種を含む構造単位(I)と、環状エーテル構造又は環状カーボネート構造を含む構造単位(II)とを有する重合体(以下、「[A]重合体」ともいう)、並びに
[B]酸発生体
を含有するポジ型感放射線性樹脂組成物である。
式(2)中、R3及びR4は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のフッ素化アルキル基である。但し、R3及びR4のうち、少なくともいずれかは、ハロゲン原子又は炭素数1〜4のフッ素化アルキル基である。)
当該ポジ型感放射線性樹脂組成物から形成される硬化膜、
当該硬化膜を備える半導体素子、及び
当該半導体素子を備える表示素子
を含む。
(1)当該ポジ型感放射線性樹脂組成物を用い、基板上に塗膜を形成する工程、
(2)上記塗膜の一部に放射線を照射する工程、
(3)上記放射線が照射された塗膜を現像する工程、及び
(4)上記現像された塗膜を加熱する工程
を有する硬化膜の形成方法である。
本発明のポジ型感放射線性樹脂組成物は、[A]重合体及び[B]酸発生体を含有する。また、当該ポジ型感放射線性樹脂組成物は、好適成分として[C]溶媒を含有してもよい。さらに、当該ポジ型感放射線性樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の任意成分を含有してもよい。以下、各成分について詳述する。
[A]重合体は、構造単位(I)及び(II)を有する重合体である。また、[A]重合体は、本発明の効果を損なわない範囲で、構造単位(III)及び構造単位(IV)を有していてもよい。なお、[A]重合体は、各構造単位を2種以上有していてもよい。
構造単位(I)は、上記式(1)で表される基及び上記式(2)で表される基からなる群より選択される少なくとも1種を含む構造単位である。[A]重合体が構造単位(I)及び後述する構造単位(II)を有することで、当該ポジ型感放射線性樹脂組成物は、良好な表面硬度を維持しつつ、保存安定性にも優れることに加え、感度、現像密着性、耐熱性、耐薬品性、透過率、比誘電率等の一般的特性をも十分満足できる硬化膜を形成することができる。これは、この構造単位(I)に含まれる式(1)及び/又は(2)で表される基における水酸基と、後述の構造単位(II)に含まれる環状エーテル及び/又は環状カーボネートとが反応し、強固な架橋構造の形成により硬化膜の表面硬度を維持できると共に、上記反応が常温では進行し難くい結果、保存中の増粘が抑制されて良好な保存安定性が得られるためであると推察される。
上記式(2)中、R3及びR4は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のフッ素化アルキル基である。但し、R3及びR4のうち、少なくともいずれかは、ハロゲン原子又は炭素数1〜4のフッ素化アルキル基である。
構造単位(II)は、環状エーテル構造又は環状カーボネート構造を含む構造単位である。
オキシラン構造を含むものとして、下記式(II−1)〜(II−5)で表される構造単位等;
オキセタン構造を含むものとして、下記式(II−6)〜(II−9)で表される構造単位等;
テトラヒドロフラン構造を含むものとして、下記式(II−10)及び(II−11)で表される構造単位等;
環状カーボネート構造を含むものとして、下記式(II−12)〜(II−16)で表される構造単位等が挙げられる。
構造単位(III)は、水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステル由来の構造単位、又は下記式(3)で表される化合物由来の構造単位である。[A]重合体が構造単位(III)を有することで、アルカリ現像性の制御および残渣抑制を図ることができる。
構造単位(IV)は、上記構造単位(I)〜(III)以外の構造単位である。構造単位(IV)としては、上記構造単位(I)〜(III)以外の構造単位である限り特に限定されない。[A]重合体が構造単位(IV)を有することで、樹脂のガラス転移温度を調整し、アルカリ現像性、熱硬化時のメルトフロー性や硬化膜の機械的強度、耐薬品性をそれぞれ向上することができる。
[A]重合体は、例えば所定の各構造単位に対応する単量体を、ラジカル開始剤を使用し、適当な溶媒中で重合することにより製造できる。例えば、単量体及びラジカル開始剤を含有する溶液を、反応溶媒又は単量体を含有する溶液に滴下して重合反応させる方法、単量体を含有する溶液と、ラジカル開始剤を含有する溶液とを各別に、反応溶媒又は単量体を含有する溶液に滴下して重合反応させる方法、各々の単量体を含有する複数種の溶液と、ラジカル開始剤を含有する溶液とを各別に、反応溶媒又は単量体を含有する溶液に滴下して重合反応させる方法等の方法で合成することが好ましい。
[B]酸発生体は、放射線の照射や加熱により酸を発生する。当該ポジ型感放射線性樹脂組成物が[B]酸発生体を含有することで、放射線の露光部分が現像工程で除去されるポジ型の感放射線特性を有すると共に、後の加熱工程における加熱で発生した酸が架橋触媒として機能し、架橋反応を促進して高い耐熱性及び表面硬度等を有する硬化膜を形成することができる。当該ポジ型感放射線性樹脂組成物における[B]酸発生体の含有形態としては、後述するような化合物の態様(以下、この態様を「[B]酸発生剤」ともいう)でも、重合体の一部として組み込まれた態様でも、これら両方の態様でもよい。なお、上記放射線は、可視光線、紫外線、遠紫外線、X線、荷電粒子線等を含む概念である。
トリヒドロキシベンゾフェノンとして、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,4,6−トリヒドロキシベンゾフェノン等;
テトラヒドロキシベンゾフェノンとして、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,3’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,2’−テトラヒドロキシ−4’−メチルベンゾフェノン、2,3,4,4’−テトラヒドロキシ−3’−メトキシベンゾフェノン等;
ペンタヒドロキシベンゾフェノンとして、2,3,4,2’,6’−ペンタヒドロキシベンゾフェノン等;
ヘキサヒドロキシベンゾフェノンとして、2,4,6,3’,4’,5’−ヘキサヒドロキシベンゾフェノン、3,4,5,3’,4’,5’−ヘキサヒドロキシベンゾフェノン等;
(ポリヒドロキシフェニル)アルカンとして、ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)メタン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)メタン、トリス(p−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,1−トリス(p−ヒドロキシフェニル)エタン、ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3−トリス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルプロパン、4,4’−〔1−〔4−〔1−〔4−ヒドロキシフェニル〕−1−メチルエチル〕フェニル〕エチリデン〕ビスフェノール、ビス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインデン−5,6,7,5’,6’,7’−ヘキサノール、2,2,4−トリメチル−7,2’,4’−トリヒドロキシフラバン等;
その他の母核として、2−メチル−2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4−(4−ヒドロキシフェニル)−7−ヒドロキシクロマン、1−[1−(3−{1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル}−4,6−ジヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]−3−(1−(3−{1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル}−4,6−ジヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル)ベンゼン、4,6−ビス{1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル}−1,3−ジヒドロキシベンゼン等が挙げられる。
[C]溶媒は、[A]重合体、[B]酸発生剤、及び必要に応じて含有される任意成分を均一に溶解し、各成分と反応しないものが用いられる。なお、[C]溶媒は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
モノアルコール系溶媒として、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−ペンタノール、i−ペンタノール、2−メチルブタノール、sec−ペンタノール、tert−ペンタノール、3−メトキシブタノール、n−ヘキサノール、2−メチルペンタノール、sec−ヘキサノール、2−エチルブタノール、sec−ヘプタノール、3−ヘプタノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、sec−オクタノール、n−ノニルアルコール、2,6−ジメチル−4−ヘプタノール、n−デカノール、sec−ウンデシルアルコール、トリメチルノニルアルコール、sec−テトラデシルアルコール、sec−ヘプタデシルアルコール、フルフリルアルコール、フェノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、ジアセトンアルコール等;
多価アルコール系溶媒として、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、2,4−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2,4−ヘプタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール等;
多価アルコール部分エーテル系溶媒として、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル等が挙げられる。
脂肪族炭化水素系溶媒として、n−ペンタン、i−ペンタン、n−ヘキサン、i−ヘキサン、n−ヘプタン、i−ヘプタン、2,2,4−トリメチルペンタン、n−オクタン、i−オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等;
芳香族炭化水素系溶媒として、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、トリメチルベンゼン、メチルエチルベンゼン、n−プロピルベンゼン、i−プロピルベンゼン、ジエチルベンゼン、i−ブチルベンゼン、トリエチルベンゼン、ジ−i−プロピルベンセン、n−アミルナフタレン等が挙げられる。
当該ポジ型感放射線性樹脂組成物が含有してもよいその他の任意成分としては、例えば、[A]重合体以外の環状エーテル化合物(以下、「化合物X」ともいう)、酸化防止剤、界面活性剤、接着助剤等が挙げられる。なお、当該ポジ型感放射線性樹脂組成物は、上記各成分を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
化合物Xは、[A]重合体以外の環状エーテル化合物であり、具体的には、オキシラニル基(1,2−エポキシ構造)、オキセタニル基(1,3−エポキシ構造)等の熱反応性基を有する化合物である。当該ポジ型感放射線性樹脂組成物が化合物Xを含有することで、得られる硬化膜の耐熱性、表面硬度等を向上させることができる。化合物Xとしては、分子内に2個以上のオキシラニル基又はオキセタニル基を有する化合物が好ましい。
ビスフェノール型ジグリシジルエーテル類として、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールFジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールADジグリシジルエーテル等;
多価アルコールのポリグリシジルエーテル類として、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル等;
エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の脂肪族多価アルコールに1種又は2種以上のアルキレンオキサイドを付加することにより得られるポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル類;
フェノールノボラック型エポキシ樹脂;
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂;
ポリフェノール型エポキシ樹脂;
脂肪族長鎖二塩基酸のジグリシジルエステル類;
高級脂肪酸のグリシジルエステル類;
脂肪族ポリグリシジルエーテル類;
エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油等が挙げられる。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂として、エピコート1001、同1002、同1003、同1004、同1007、同1009、同1010、同828(以上、ジャパンエポキシレジン製)等;
ビスフェノールF型エポキシ樹脂として、エピコート807(ジャパンエポキシレジン製)等;
フェノールノボラック型エポキシ樹脂として、エピコート152、同154、同157S65(以上、ジャパンエポキシレジン製)、EPPN201、同202(以上、日本化薬製)等;
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂として、EOCN102、同103S、同104S、1020、1025、1027(以上、日本化薬製)、エピコート180S75(ジャパンエポキシレジン製)等;
ポリフェノール型エポキシ樹脂として、エピコート1032H60、同XY−4000(以上、ジャパンエポキシレジン製)等;
環状脂肪族エポキシ樹脂として、CY−175、同177、同179、アラルダイトCY−182、同192、184(以上、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)、ERL−4234、4299、4221、4206(以上、U.C.C製)、ショーダイン509(昭和電工製)、エピクロン200、同400(以上、大日本インキ製)、エピコート871、同872(以上、ジャパンエポキシレジン製)、ED−5661、同5662(以上、セラニーズコーティング製)等;
脂肪族ポリグリシジルエーテルとして、エポライト100MF(共栄社化学製)、エピオールTMP(日本油脂製)等が挙げられる。
酸化防止剤は、露光若しくは加熱により発生したラジカル、又は酸化によって生成した過酸化物を分解し、重合体分子の結合の解裂を防止することができる成分である。その結果、得られる硬化膜は経時的な酸化劣化が防止され、例えば、硬化膜の膜厚変化を抑制することができる。
界面活性剤は、当該ポジ型感放射線性樹脂組成物の膜形成性を向上させる成分である。上記界面活性剤としては、例えば、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、及びその他の界面活性剤が挙げられる。
接着助剤は、得られる硬化膜と基板との接着性を向上させる成分である。上記接着助剤としては、カルボキシ基、メタクリロイル基、ビニル基、イソシアネート基、オキシラニル基等の反応性官能基を有する官能性シランカップリング剤が好ましい。
本発明のポジ型感放射線性樹脂組成物は、[A]重合体、[B]酸発生剤、必要に応じて[C]溶媒、酸化防止剤、界面活性剤、接着助剤等の任意成分を所定の割合で混合することにより調製できる。調製したポジ型感放射線性樹脂組成物は、例えば、孔径0.5μm程度のフィルタでろ過することが好ましい。
本発明の硬化膜の形成方法は、
(1)当該ポジ型感放射線性樹脂組成物を用い、基板上に塗膜を形成する工程、
(2)上記塗膜の一部に放射線を照射する工程、
(3)上記放射線が照射された塗膜を現像する工程、及び
(4)上記現像された塗膜を加熱する工程
を有する。
当該ポジ型感放射線性樹脂組成物が上述の性質を有しているので、本発明の硬化膜の形成方法によれば、良好な表面硬度を有し、現像密着性、耐熱性、耐薬品性、透過率及び比誘電率等の一般的特性をも十分満足できる硬化膜を形成することができる。以下、各工程について詳述する。
本工程では、当該ポジ型感放射線性樹脂組成物を用い、基板上に塗膜を形成する。具体的には、当該ポジ型感放射線性樹脂組成物の溶液を基板表面に塗布し、好ましくはプレベークを行うことにより溶媒を除去して感放射線性樹脂組成物の塗膜を形成する。上記基板としては、例えば、ガラス基板、シリコンウエハ、プラスチック基板、及びこれらの表面に各種金属薄膜が形成された基板等が挙げられる。上記プラスチック基板としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリイミド等のプラスチックからなる樹脂基板が挙げられる。
本工程では、上記塗膜の一部に放射線を照射する。具体的には、工程(1)で形成した塗膜に所定のパターンを有するマスクを介して放射線を照射する。このとき用いられる放射線としては、例えば、紫外線、遠紫外線、X線、荷電粒子線等が挙げられる。
本工程では、上記放射線が照射された塗膜を現像する。具体的には、工程(2)で放射線が照射された塗膜に対し、現像液により現像を行って放射線の照射部分を除去する。上記現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジエチルアミノエタノール、ジ−n−プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ〔5,4,0〕−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ〔4,3,0〕−5−ノナンなどのアルカリ(塩基性化合物)の水溶液等が挙げられる。また、上記アルカリの水溶液にメタノール、エタノール等の水溶性有機溶媒や界面活性剤を適当量添加した水溶液、又は当該ポジ型感放射線性樹脂組成物を溶解する各種有機溶媒を少量含むアルカリ水溶液を現像液として使用してもよい。
本工程では、上記現像された塗膜を加熱する。具体的には、工程(3)で現像された塗膜を焼成するホットプレート、オーブン等の加熱装置を用い、この塗膜を加熱・焼成処理(ポストベーク)することによって塗膜の硬化を行う。本工程における焼成温度としては、200℃以下が好ましい。感放射線性を利用した微細なパターン形成能に加えて、このように低い温度での焼成が可能であることにより、当該形成方法はフレキシブルディスプレイのプラスチック基板上における層間絶縁膜等の硬化膜形成に好適に使用することができる。焼成温度としては、120℃〜180℃がより好ましく、120℃〜150℃がさらに好ましい。焼成時間としては、加熱機器の種類により異なるが、例えば、ホットプレート上で加熱処理を行う場合には5分〜40分、オーブン中で加熱処理を行う場合には30分〜80分とすることができ、より好ましくは、ホットプレート上で加熱処理を行う場合には30分間以内、オーブン中で加熱処理を行う場合には60分間以内である。このようにして、目的とする層間絶縁膜等の硬化膜に対応するパターン状塗膜を基板上に形成することができる。
本発明の硬化膜は、上述した当該ポジ型感放射線性樹脂組成物を用い、例えば上述の当該硬化膜の形成方法により形成される。当該硬化膜は、当該ポジ型感放射線性樹脂組成物を用いて形成されるため、良好な表面硬度を有し、現像密着性、耐熱性、耐薬品性、透過率及び比誘電率等の一般的特性をも十分満足できる。
本発明の半導体素子は、当該硬化膜を備えている。当該半導体素子は、当該ポジ型感放射線性樹脂組成物から形成される硬化膜を備えているため、回路の集積度や記録密度を向上させることができ、表示素子、LED、太陽電池等の電子デバイスに好適に用いることができる。
本発明の表示素子は、当該半導体素子を備えている。この半導体素子は、当該ポジ型感放射線性樹脂組成物から形成される硬化膜を有している。これにより、表示素子として実用面で要求される一般的特性を満足する。当該表示素子としては、例えば、液晶表示素子等が挙げられる。上記液晶表示素子は、例えば、液晶配向膜が表面に形成されたTFTアレイ基板が2枚、TFTアレイ基板の周辺部に設けられたシール剤を介して液晶配向膜側で対向して配置されており、これら2枚のTFTアレイ基板間に液晶が充填されている。上記TFTアレイ基板は、層状に配置される配線を有し、この配線間を層間絶縁膜等の当該硬化膜により絶縁しているものである。
下記条件によるゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によりMw及びMnを測定した。また、分子量分布(Mw/Mn)は得られたMw及びMnより算出した。
装置:GPC−101(昭和電工製)
GPCカラム:GPC−KF−801、GPC−KF−802、GPC−KF−803及びGPC−KF−804を結合(島津ジーエルシー製)
移動相:テトラヒドロフラン
カラム温度:40℃
流速:1.0mL/分
試料濃度:1.0質量%
試料注入量:100μL
検出器:示差屈折計
標準物質:単分散ポリスチレン
各実施例及び比較例の重合体の合成で用いた単量体化合物を以下に示す。
下記式(1−1)〜(1−10)で表される単量体化合物(1−1)〜(1−10)
下記式(2−1)〜(2−7)で表される単量体化合物(2−1)〜(2−7)
(3−1):メタクリル酸p−ヒドロキシフェニル(4−ヒドロキシフェニルメタクリレート)
(3−2):メタクリル酸ヒドロキシエチル(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)
(3−3):α−メチル−p−ヒドロキシスチレン
(4−1):メタクリル酸
(4−2):スチレン
(4−3):メタクリル酸メチル
(4−4):N−シクロヘキシルマレイミド
(4−5):メタクリル酸テトラヒドロフルフリル
(4−6):メタクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル
冷却管及び撹拌機を備えたフラスコに、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)7質量部及びジエチレングリコールメチルエチルエーテル220質量部を仕込んだ。次いで、構造単位(I)を与える化合物(1−1)60質量部、構造単位(II)を与える化合物(2−1)18質量部、構造単位(IV)を与える化合物(4−2)22質量部を仕込み、窒素置換し、緩やかに攪拌しつつ、溶液の温度を70℃に上昇させ、この温度を4時間保持して重合することにより共重合体(A−1)を含有する重合体溶液を得た。この重合体溶液の固形分濃度は30.4質量%であり、共重合体(A−1)のMwは8,000、分子量分布(Mw/Mn)は2.3であった。
下記表1に示す種類及び使用量の単量体化合物を用いた以外は、合成例1と同様に操作し、重合体(A−2)〜(A−42)及び(a−1)〜(a−3)を合成した。得られた各重合体溶液の固形分濃度、並びに各重合体のMw及びMw/Mnは、上記重合体(A−1)の値と同等であった。なお、表1中の空欄は、該当する単量体化合物を配合しなかったことを示す。
各ポジ型感放射線性樹脂組成物の調製に用いた[B]酸発生剤を以下に示す。
B−1:トリフルオロメタンスルホン酸−1,8−ナフタルイミド
B−2:4,4’−〔1−〔4−〔1−〔4−ヒドロキシフェニル〕−1−メチルエチル〕フェニル〕エチリデン〕ビスフェノール(1.0モル)と1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロリド(2.0モル)との縮合物
B−3:1,1,1−トリ(p−ヒドロキシフェニル)エタンと1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロリド(2.0モル)との縮合物
B−4:上記式(5−1−i)で表される化合物
[A]重合体としての(A−1)100質量部(固形分)を含有する重合体溶液、[B]酸発生剤としての(B−2)30質量部、接着助剤(γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)5質量部、界面活性剤(FTX−218、ネオス製)0.5質量部、酸化防止剤(IRGANOX1010、BASF製)0.1質量部を混合し、さらに固形分濃度が30質量%となるように[C]溶媒としてのジエチレングリコールメチルエチルエーテルを添加した後、孔径0.2μmのメンブランフィルタで濾過することによりポジ型感放射線性樹脂組成物を調製した。
[A]重合体及び[B]酸発生剤を表2に示す種類とした以外は、実施例1と同様に操作し、各ポジ型感放射線性樹脂組成物を調製した。
調製した各ポジ型感放射線性樹脂組成物を用い、下記評価方法に従い評価した。その評価結果を表2に合わせて示す。
各ポジ型感放射線性樹脂組成物を40℃のオーブン中で1週間放置し、加温前後の粘度を測定し、粘度変化率(%)を求め、保存安定性の指標とした。粘度変化率を、A:粘度変化率5%未満、B:粘度変化率5%以上10%未満、C:粘度変化率10以上15%未満、D:粘度変化率15%以上とし、A又はBの場合、保存安定性は良好と、C又はDの場合、不良と評価した。粘度は、E型粘度計(VISCONIC ELD.R、東機産業製)を用いて25℃で測定した。
スピンナーを用い、シリコン基板上に各ポジ型感放射線性樹脂組成物を塗布した後、90℃にて2分間ホットプレート上でプレベークして膜厚3.0μmの塗膜を形成した。得られた塗膜に幅10μmのライン・アンド・スペースパターンを有するパターンマスクを介して、水銀ランプによって所定量の紫外線を照射した。次いでテトラメチルアンモニウムヒドロキシド2.38質量%水溶液よりなる現像液を用い、25℃で60秒現像処理を行った後、超純水で1分間流水洗浄を行った。このとき、幅10μmのライン・アンド・スペースパターンを形成可能な最小紫外線照射量を測定した。この測定値が500J/m2未満の場合、感度は良好と、500J/m2以上の場合、不良と評価できる。
スピンナーを用い、シリコン基板上に各ポジ型感放射線性樹脂組成物を塗布した後、90℃にて2分間ホットプレート上でプレベークして膜厚3.0μmの塗膜を形成した。得られた塗膜に幅10μmのライン・アンド・スペースパターンを有するパターンマスクを介して、水銀ランプによって500J/m2の紫外線を照射した。次いでテトラメチルアンモニウムヒドロキシド2.38質量%水溶液よりなる現像液を用い、25℃で60秒現像処理を行った後、超純水で1分間流水洗浄を行った。そして幅10μmのライン・アンド・スペースパターンの剥離の有無を顕微鏡で観察して現像密着性とした。このとき、剥離の有無により、A:剥離無し、B:わずかに剥離有り、C:一部剥離有り、D:全面剥離有りとし、A又はBの場合、現像密着性は良好と、C又はDの場合、不良と評価した。
スピンナーを用い、シリコン基板上に各ポジ型感放射線性樹脂組成物を塗布した後、90℃にて2分間ホットプレート上でプレベークして膜厚3.0μmの塗膜を形成した。得られた塗膜に水銀ランプによって積算照射量が3,000J/m2となるように紫外線を照射した。次いで、このシリコン基板をホットプレート上で、200℃で30分加熱し、得られた硬化膜の膜厚(T1)を測定した。そして、この硬化膜が形成されたシリコン基板を、70℃に温度制御されたジメチルスルホキシド中に20分間浸漬させた後、上記浸漬後の硬化膜の膜厚(t1)を測定し、膜厚変化率を下記式から算出し、これを耐薬品性の指標とした。
膜厚変化率={(t1−T1)/T1}×100(%)
この値の絶対値が5%未満の場合、耐薬品性は良好と、5%以上の場合、不良と評価できる。
スピンナーを用い、シリコン基板上に各ポジ型感放射線性樹脂組成物を塗布した後、90℃にて2分間ホットプレート上でプレベークして膜厚3.0μmの塗膜を形成した。得られた塗膜に水銀ランプによって積算照射量が3,000J/m2となるように紫外線を照射した。次いで、このシリコン基板をホットプレート上にて200℃で30分間加熱して硬化膜を得た。得られた硬化膜の5%熱重量減少温度を測定器(TG/DTA220U、エスアイアイ・ナノテクノロジー製)を用いて空気下で測定し、耐熱性の指標とした。このとき、5%重量減少温度が300℃以上の場合、耐熱性は良好と、300℃未満の場合、耐熱性は不良と評価できる。
スピンナーを用い、ガラス基板上に各ポジ型感放射線性樹脂組成物を塗布した後、90℃にて2分間ホットプレート上でプレベークして膜厚3.0μmの塗膜を形成した。得られた塗膜に水銀ランプによって積算照射量が3,000J/m2となるように紫外線を照射した。次いで、このガラス基板をホットプレート上にて200℃で30分間加熱して硬化膜を得た。得られた硬化膜の透過率を紫外可視分光光度計(V−630、日本分光製)を用いて測定した。このとき、波長400nmの光の透過率が95%以上の場合を良好(透明性が良い)と、95%未満の場合を不良(透明性が悪い)と評価できる。
スピンナーを用い、シリコン基板上に各ポジ型感放射線性樹脂組成物を塗布した後、90℃にて2分間ホットプレート上でプレベークして膜厚3.0μmの塗膜を形成した。得られた塗膜に水銀ランプによって積算照射量が3,000J/m2となるように紫外線を照射した。次いで、このシリコン基板をホットプレート上で、200℃で30分加熱して硬化膜を得た。そして、硬化膜が形成された基板について、JIS K−5400−1990の8.4.1鉛筆引っかき試験により、硬化膜の鉛筆硬度を測定し、これを表面硬度の指標とした。鉛筆硬度が3H以上の場合、硬化膜の表面硬度は良好(ポジ型感放射線性樹脂組成物は十分な硬化性を有する)と、2H以下の場合、不良と評価できる。
スピンナーを用い、SUS基板上に各ポジ型感放射線性樹脂組成物を塗布した後、90℃にて2分間ホットプレート上でプレベークして膜厚3.0μmの塗膜を形成した。露光機(MPA−600FA、キャノン製)を用い、積算照射量が9,000J/m2となるように上記塗膜を露光し、露光した基板をクリーンオーブン内にて200℃で30分加熱することにより、SUS基板上に硬化膜を形成した。次いで、蒸着法により、上記硬化膜上にPt/Pd電極パターンを形成して誘電率測定用サンプルを作製した。この電極パターンを有する基板について、電極(HP16451B、横河・ヒューレットパッカード製)及びプレシジョンLCRメーター(HP4284A、横河・ヒューレットパッカード製)を用い、周波数10kHzでCV法により比誘電率の測定を行った。このとき、比誘電率が3.9以下の場合を良好と、3.9を超える場合を不良と評価できる。
Claims (5)
- [A]下記式(1)で表される基及び下記式(2)で表される基からなる群より選択される少なくとも1種を含む構造単位(I)と、オキセタン構造を含む構造単位(II)とを有する重合体、並びに
[B]酸発生体
を含有するポジ型感放射線性樹脂組成物。
式(2)中、R3及びR4は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のフッ素化アルキル基である。但し、R3及びR4のうち、少なくともいずれかは、ハロゲン原子又は炭素数1〜4のフッ素化アルキル基である。) - 請求項1に記載のポジ型感放射線性樹脂組成物から形成される硬化膜。
- (1)請求項1に記載のポジ型感放射線性樹脂組成物を用い、基板上に塗膜を形成する工程、
(2)上記塗膜の一部に放射線を照射する工程、
(3)上記放射線が照射された塗膜を現像する工程、及び
(4)上記現像された塗膜を加熱する工程
を有する硬化膜の形成方法。 - 請求項2に記載の硬化膜を備える半導体素子。
- 請求項4に記載の半導体素子を備える表示素子。
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