JP2016195146A - 太陽電池モジュール用封止シートおよびその利用 - Google Patents

太陽電池モジュール用封止シートおよびその利用 Download PDF

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哲也 京極
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Abstract

【課題】太陽電池モジュールの生産性および耐久性を向上し得る導電部付き封止シートを提供する。
【解決手段】導電部付き封止シート1は、一対の導電部付き封止シートで少なくとも1つの太陽電池セルを挟んで導電部30と該少なくとも1つの太陽電池セルとを当接させることによって、太陽電池セルの電気的接続を実現することが可能である。導電部付き封止シートの一方の表面には、導電部が部分的に配置されている。また、導電部付き封止シートは、熱および/または圧力によって流動性を示す封止樹脂層10と、封止樹脂層と導電部との間に配置された保形層20と、を備える。
【選択図】図2

Description

本発明は、太陽電池モジュール用封止シート、該封止シートを備える太陽電池モジュール、およびそれらの製造方法に関する。
光エネルギーを電力に変換する太陽電池モジュールは、クリーンな発電装置として幅広く利用されている。太陽電池モジュールは、太陽電池セルと、該セルに接続した配線とを備えており、この配線を通って上記セルにて発電された電力は外部に供給されるように構成されている。この種の従来技術を開示する文献として特許文献1〜7が挙げられる。特許文献1〜5は、太陽電池セルの表面側にn型電極を部分的に配置し、裏面側にp型電極を配置するタイプの太陽電池モジュールに関するものであり、特許文献6,7は、裏面側に両電極が配置されたバックコンタクト方式を採用する太陽電池モジュールに関するものである。
また一般に、太陽電池モジュールにおいて、太陽電池セルは絶縁性かつ透光性の封止シートで覆われる。例えば、特許文献5には、エチレン酢酸ビニル共重合体からなる透明シートの表面に金属配線が設けられた封止シートが開示されている。
特開2005−72115号公報 特開2013−232496号公報 特表2005−536894号公報 特許第5185913号公報 特開2014−63978号公報 特開2010−41009号公報 特開2011−238849号公報
表裏面に電極を有するタイプの太陽電池モジュールにおいて、例えば特許文献1,2に開示されている構造は、太陽電池セルの配線をはんだ等を用いて個別に接合しなければならず配線作業に手間と時間を要する。はんだ接合等のように接合の際に加熱を行う場合には、加熱によりセルの特性が低下したり、セルに反りや割れが生じるおそれがある。はんだ接合ではフラックス汚染の問題もある。特許文献3,4に開示されている太陽電池モジュールも、導電経路となるワイヤーをはんだ接合しており、特許文献1,2と同様の問題を抱えている。また上記ワイヤーは、樹脂膜上の接着剤層に埋め込むという方法によって配置されている。この方法は部品点数や工程数が多く、生産効率の点で不利益が大きい。
また、特許文献5に記載されている太陽電池モジュールは、金属配線を表面に有する封止シートを一対用意し、この一対の封止シートで複数の太陽電池セルを挟んで、上記金属配線と太陽電池セルとを当接させて押圧および加熱することによって、はんだ接合を必要とすることなく複数の太陽電池セルを電気的に接続するとしている。しかし、封止シートを構成する樹脂は、例えば太陽電池モジュール構築時の押圧および加熱の際に流動する等して金属配線と太陽電池セルとの接触状態を損ない、集電効率を低下させる原因となり得る。
本発明は、上記の事情に鑑みて創出されたものであり、太陽電池モジュールの生産性および耐久性を向上し得る導電部付き封止シートを提供することを目的とする。関連する他の目的は、導電部付き封止シートを備える太陽電池モジュール、導電部付き封止シートの製造方法、および太陽電池モジュールの製造方法を提供することを包含する。
本発明によると、導電部付き封止シートが提供される。この導電部付き封止シートは、一対の導電部付き封止シートで少なくとも1つの太陽電池セルを挟んで該導電部と該少なくとも1つの太陽電池セルとを当接させることによって、該太陽電池セルの電気的接続を実現することが可能である。また、前記導電部付き封止シートの一方の表面には、該導電部が部分的に配置されている。さらに、前記導電部付き封止シートは、熱および/または圧力によって流動性を示す封止樹脂層と、該封止樹脂層と該導電部との間に配置された保形層と、を備える。
上記構成の導電部付き封止シートによると、2枚の封止シート(導電部付き封止シート)で太陽電池セルを挟むことで太陽電池セルの電気的接続が実現される。したがって、太陽電池セルを備える太陽電池モジュールの生産性(典型的には配線作業性)は向上する。また、封止樹脂層は、例えば太陽電池セルに積層し加熱することで、太陽電池モジュールにおいて太陽電池セルを良好に封止する。しかしその一方で、封止シート表面に配置した導電部と太陽電池セルとを当接させて太陽電池セルの電気的接続を行う構成においては、例えば太陽電池モジュールの構築時や使用時に、封止樹脂を原因として導電部と太陽電池セルとの接触状態が損なわれ、集電効率の低下を引き起こす場合がある。例えば、太陽電池モジュール構築時の加熱や圧力、使用時の環境変化によって、封止樹脂層が移動、変形し、典型的には流動し、導電部と太陽電池セルとの間の接触状態を損なうおそれがある。上記の構成によると、封止樹脂層と導電部との間に配置された保形層が、導電部と太陽電池セルとの接触状態を保持する。その結果、集電効率の低下が抑制され、耐久性に優れた太陽電池モジュールが実現される。
なお、本明細書において封止樹脂層が熱や圧力によって流動性を示すとは、熱や圧力に曝された封止樹脂層が、導電部と太陽電池セルとの接触状態に変化をもたらすレベルの流動性を有することをいうものとする。顕著な例として、太陽電池モジュール内において太陽電池セルと導電部との間や電極間に流動する程度の流動性を示すことを含む。
また、本明細書において「保形層」とは、封止樹脂層と積層したときに、積層時やサーマルサイクル試験時など、封止樹脂層が曝され得る加熱環境において、封止樹脂層の形状を保つことが可能な特性(すなわち保形性)を有する層をいうものとする。例えば、保形層は、封止樹脂層が流動するのを防ぐ機能を果たす層であり得る。
ここに開示される技術(導電部付き封止シート、太陽電池モジュール、それらの製造方法だけでなく、後述の導電部付き保形材、その製造方法も包含する。以下同じ。)の好ましい一態様では、前記保形層の表面は接着性を有しており、かつ前記導電部は該保形層の表面に部分的に形成されている。このように構成することで、導電部は保形層に良好に固定される。加えて、導電部付き封止シートの一方の表面は導電部と保形層の露出面とから構成され、保形層の露出面は、太陽電池モジュール構築の際に太陽電池セルに接着することができる。そのため、保形層は太陽電池セルに対しても良好な固定機能を発揮し得る。このことは、太陽電池セルと導電部との接触状態を保持する点でも有利である。
ここに開示される技術の好ましい一態様では、前記保形層の表面は、結晶系Si太陽電池セルに対して10N/10mm以上の180度剥離強度を示す。このように構成することで、保形層は太陽電池セルに対してより優れた固定機能を発揮することができる。
ここに開示される技術の好ましい一態様では、前記保形層の全光線透過率は90%以上である。上記の全光線透過率を示す保形層を採用することで、太陽電池セルの発電効率を高いレベルに維持することができる。
ここに開示される技術の好ましい一態様では、前記保形層は、150℃におけるメルトマスフローレートが9g/10分以下を示す樹脂材料から形成されている。上記のメルトマスフローレートを示す樹脂材料を用いることで、良好な保形性を発揮する保形層を好ましく実現することができる。
ここに開示される技術の好ましい一態様では、前記保形層の線膨張率は、−40℃〜85℃の温度域において15%未満である。上記の線膨張率を示す保形層は、温度変化によって膨張収縮し難いため、当該膨張収縮に伴う導電部の移動や変形がより生じ難くなり耐久性がさらに向上する。
ここに開示される技術の好ましい一態様では、前記保形層は樹脂層である。そして、該保形層に含まれる樹脂は架橋されている。これによって、良好な保形性を有する保形層が好ましく実現される。
ここに開示される技術の好ましい一態様では、前記保形層の貯蔵弾性率(周波数1Hz、歪み0.1%、150℃)は5000Pa以上であり、かつ80℃〜150℃におけるtanδは0.4未満である。上記の特性を示す保形層を採用することで、太陽電池セルと導電部とが良好に当接し、その状態を保持することができる。
ここに開示される技術の好ましい一態様では、前記導電部は、少なくとも1つの導電パス単位から構成されている。また、一の前記導電パス単位は、太陽電池セル対向領域に位置する太陽電池セル接触部分と、太陽電池セル非対向領域に位置する接続部分と、を有することが好ましい。このように構成することで、太陽電池セルにて発電された電力を導電パス単位の太陽電池セル接触部分に集めて、該太陽電池セル接触部分から接続部分を通して他の配線部材(他の導電パス単位や取出し電極等)に送ることができる。
また、一の前記導電パス単位において、前記太陽電池セル接触部分は、前記接続部分に向かって延びる形状を有しており、前記接続部分は該太陽電池セル接触部分の一端と接続することが好ましい。これによって、集電効率に優れた配線構造が好ましく実現される。
また、一の前記導電パス単位において、前記太陽電池セル接触部分は、互いに間隔をおいて配置された複数の導電線から構成されていることが好ましい。また、前記接続部分は、前記導電線の長手方向と交差する方向に延びて該導電線の一端と接続する帯形状を有することが好ましい。このように構成することで、シャドーロスの増大を抑制しつつ高い集電効率を実現することができる。また、上記接続部分の形状および配置は、配線作業性に優れる。
また、本発明によると、ここに開示されるいずれかの導電部付き封止シートを備える太陽電池モジュールが提供される。上記導電部付き封止シートを備える太陽電池モジュールは、生産性および耐久性に優れたものとなり得る。
また、本発明によると、導電部付き封止シートの製造方法が提供される。この製造方法は、シート状封止樹脂を用意する工程(A)と、該封止樹脂に導電部を保形層が介在した状態で固定する工程(B)と、を含む。前記工程(B)は:(B1)前記封止樹脂の表面に前記保形層を積層した後、該保形層の表面に前記導電部を部分的に配置する工程;および(B2)前記保形層となるシート状の保形材を用意し、該保形材の第1表面に前記導電部を部分的に配置した後、該保形材の第2表面を前記封止樹脂に貼り合わせる工程;のいずれかを含む。上記方法を採用することにより、配線作業性および耐久性に優れる導電部付き封止シートを効率的に製造することができる。
ここに開示される製造方法(導電部付き封止シートの製造方法だけでなく、太陽電池モジュールの製造方法および導電部付き保形材の製造方法を包含する。以下同じ。)の好ましい一態様では、前記工程(B)において、前記保形層の表面または前記保形材の第1表面への前記導電部の配置は、少なくとも1つの金属製の導電部材を該導電部として作製し、該作製した少なくとも1つの導電部材を該保形層の表面または該保形材の第1表面に配置することによって行う。金属製の導電部材を用いて導電部を配置することで、集電効率に優れる導電部付き封止シートを効率的に製造することができる。
ここに開示される製造方法の好ましい一態様では、前記工程(B)において、前記保形層の表面または前記保形材の第1表面への前記導電部の配置は、該導電部を剥離性支持体の表面に形成し、該剥離性支持体の表面に形成された該導電部を該保形層の表面または該保形材の第1表面に転写することによってなされる。剥離性支持体を用いて導電部を配置することで、導電部付き封止シートをより精度よく且つより効率的に製造することができる。
ここに開示される製造方法の好ましい一態様では、前記工程(B)は前記工程(B2)を含む。また、前記工程(B2)は、前記保形材の第1表面に前記導電部を部分的に配置して導電部付き保形材を作製する工程を含むことが好ましい。導電部付き保形材をあらかじめ作製する方法を採用することで、太陽電池モジュール構築方法の選択肢が拡がり、より効率的な生産が可能となる。
また、本発明によると、太陽電池モジュールの製造方法が提供される。この製造方法は、ここに開示されるいずれかの導電部付き封止シートを作製する工程と;前記導電部付き封止シートの導電部と太陽電池セルとを当接させる工程と;を包含する。上記方法を利用することで、耐久性に優れた太陽電池モジュールを配線作業性に優れた方法で提供することができる。また上記方法によると、導電部の配置を精度よく行うことができる。したがって、上記製造方法によると、太陽電池モジュールの品質、生産効率および集電効率を向上することができる。
また、本発明によると、太陽電池モジュールの製造方法が提供される。この製造方法は、シート状の保形材と、該保形材の第1表面に部分的に配置された導電部と、を備える導電部付き保形材を用意する工程と;シート状の封止樹脂と太陽電池セルとを前記導電部付き保形材が介在した状態で固定する工程と;を含む。また、前記固定工程は:前記用意した導電部付き保形材の第2表面と前記封止樹脂の一方の表面とを貼り合わせる工程と;前記導電部付き保形材の導電部と前記太陽電池セルとを当接させる工程と;を含む。導電部付き保形材を用いることで、太陽電池モジュール構築方法の選択肢が拡がり、より効率的な生産が可能となる。
また、本発明によると導電部付き保形材が提供される。この導電部付き保形材は、保形層と、該保形層の第1表面に部分的に配置された導電部と、を備える。上記構成を有する導電部付き保形材を用いることで、太陽電池モジュールの生産性および耐久性を改善することができる。したがって、上記導電部付き保形材は、ここに開示される太陽電池モジュールおよびその製造方法に好ましく適用される。
また、本発明によると導電部付き封止シートが提供される。この導電部付き封止シートは、封止樹脂層と、導電部と、該封止樹脂層と該導電部との間に配置された保形層と、を備える。上記構成を有する導電部付き封止シートを用いることで、太陽電池モジュールの生産性および耐久性を改善することができる。したがって、上記導電部付き封止シートは、ここに開示される太陽電池モジュールおよびその製造方法に好ましく適用される。
一実施形態に係る導電部付き封止シートの主要部を模式的に示す上面図である。 図1の導電部付き封止シートのII−II線における断面図である。 導電部付き封止シートの一態様を模式的に示す斜視図である。 一実施形態に係る第1封止シートの主要部を模式的に示す上面図である。 一実施形態に係る第2封止シートの主要部を模式的に示す上面図である。 一実施形態に係る太陽電池モジュールの主要部の構造を模式的に示す分解断面図である。 一実施形態に係る導電部付き保形材の一部を拡大して示す模式的断面図である。 他の実施形態に係る導電部付き保形材の一部を拡大して示す模式的断面図である。 他の実施形態に係る導電部付き保形材の一部を拡大して示す模式的断面図である。 特定温度域における保形層の貯蔵弾性率(G’)を示すグラフである。 特定温度域における保形層のtanδ(G”/G’)を示すグラフである。 試験用太陽電池モジュールの構築方法の説明図であって、保形層表面に配置する前の導電部材を模式的に示す斜視図である。 試験用太陽電池モジュールの構築方法の説明図であって、導電部付き封止シートを模式的に示す斜視図である。 試験用太陽電池モジュールの構築方法の説明図であって、シート状封止樹脂上に太陽電池セルを積層した状態を模式的に示す斜視図である。 試験用太陽電池モジュールの構築方法の説明図であって、取出し電極を設置した状態を模式的に示す斜視図である。 試験用太陽電池モジュールの構築方法の説明図であって、太陽電池セルの上に導電部付き封止シートを積層した状態を模式的に示す斜視図である。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。また、以下の図面において、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付して説明し、重複する説明は省略または簡略化することがある。また、図面に記載の実施形態は、本発明を明瞭に説明するために模式化されており、実際に提供される製品のサイズや縮尺を必ずしも正確に表したものではない。
≪導電部付き封止シート≫
図1は一実施形態に係る導電部付き封止シートの主要部を模式的に示す上面図であり、図2は図1の導電部付き封止シートのII−II線における断面図である。図3は、導電部付き封止シートの一態様を模式的に示す斜視図である。
図1,2に示すように、導電部付き封止シート1は、封止樹脂層10と、保形層20と、導電部30と、を備える。なお、導電部付き封止シート1は、機能面から集電性封止シートともいう。
封止樹脂層10は、太陽電池モジュール内において太陽電池セル(図示せず)を封止するものである。封止樹脂層10の第1表面10A上には、保形層20が配置されている。封止樹脂層10の第2表面(保形層非形成面)10Bには、保形層や導電部は設けられておらず、この面は導電部付き封止シート1の外表面を構成している。
保形層20は、封止樹脂層10に積層されており、封止樹脂層10と導電部30との間に配置されている。具体的には、保形層20の表面(第1表面)20A上に導電部30が部分的に配置されており、導電部30の配置箇所において、保形層20は封止樹脂層10と導電部30との間に存在している。この実施形態では、保形層20は、封止樹脂層10の第1表面10Aのほぼ全面を覆うように重ねられている。
導電部30は、導電部付き封止シート1の第1表面1Aに部分的に配置されており、導電部付き封止シート1の第1表面1Aの一部を構成している。また、保形層20の第1表面20Aにおいて導電部30が形成されていない部分(導電部非形成部分)は、導電部付き封止シート1の外表面として露出しており、導電部付き封止シート1の第1表面1Aの一部を構成している。この実施形態では、導電部付き封止シート1の第1表面1Aは、保形層20(の導電部非形成部分)と導電部30とから構成されている。
導電部30は、複数の導電パス単位40a,40bから構成されている。導電パス単位40a,40bは、太陽電池モジュール構築時に太陽電池セルにそれぞれ対応するように配置されるものである。この実施形態では、導電パス単位40a,40bは、互いに分離して存在しており、各々がひとまとまりの連続構造を有する。
また、導電部付き封止シート1の第1表面1Aは、太陽電池セルを封止するときに一の太陽電池セルの表面に対向する領域(太陽電池セル対向領域)5a,5bと、一の太陽電池セルの表面に対向しない領域(太陽電池セル非対向領域)7と、を有する。導電パス単位40aは、導電部付き封止シート1の第1表面1Aにおいて、太陽電池セル対向領域5aに位置する太陽電池セル接触部分50aと、太陽電池セル非対向領域7に位置する接続部分60aと、を有する。なお、太陽電池セル接触部分50aは、太陽電池セルを封止するときに太陽電池セルと接触(典型的には当接)する部分であり、導電部付き封止シート1においては、太陽電池セルとの接触が予定されている部分を意味する。
導電パス単位40aにおいて、太陽電池セル接触部分50aは、接続部分60aに向かって延びる形状を有しており、太陽電池セル接触部分50aは、その一端にて接続部分60aに接続(具体的には固定)されている。また、太陽電池セル接触部分50aは、導電部付き封止シート1の第1表面1Aにおいて、線状に延びる複数の導電線55aから構成されている。これら複数の導電線55aは、互いに間隔をおいて配置されている。この実施形態では、導電線55aは直線状に延びており、所定の間隔をおいて平行に配置されている。なお、図1では簡略のため、導電線55aは3本しか示していない。
導電パス単位40aの接続部分60aは、導電線55aの長手方向と交差(具体的にはほぼ直交)する方向に延びる帯形状を有する。この接続部分60aに導電線55aの一端は接続(具体的には固定)されている。つまり、複数の導電線55aの各々の一端は、接続部分60aと接続して固定端となっている。その一方で、複数の導電線55aの各々の他端側には接続部分は配置されておらず、導電パス単位40aにおいて、導電線55aの他端は自由端となっている。このような導電パス単位40aは、上面から見たときに櫛形状を有する。換言すると、導電パス40aは、基部となる接続部分60aから複数の導電線55aが歯状に延びた櫛形状を有する。
接続部分60aは、典型的には、導電部付き封止シート1で太陽電池セルを封止するときに太陽電池セルと非接触の状態で配置される。そのため、接続部分60aは、例えば太陽電池セルの配列方向(導電線の長手方向でもあり得る。)と交差(具体的には直交)する方向に延びる帯形状を有することが好ましい。
導電パス単位40bは、導電パス単位40aと間隔をおいて導電パス単位40aの隣に配置されている。具体的には、導電パス単位40a,40bは、太陽電池セル対向領域5a,5bにそれぞれ対応するように(太陽電池セルの配列方向において)間隔をおいて配置されている。その他の事項については、導電パス単位40bは導電パス単位40aと同様の形状、構造、配置関係等を有する。簡潔にいうと、導電パス単位40bは、導電パス単位40aと同様に、太陽電池セル接触部分50bおよび接続部分60bを有しており、太陽電池セル接触部分50bおよび接続部分60bは、太陽電池セル接触部分50aおよび接続部分60aとそれぞれ同様の形状、構造、配置関係等を有する。したがって、太陽電池セル接触部分50bが有する導電線55bも、導電部55aと同様の形状、構造、配置関係等を有する。
上記のように導電パス単位40a,40bを備える導電部30を配置することによって、導電部付き封止シート1の第1表面1Aには、導電パス単位40a,40bを含む導電部パターンが形成されている。この実施形態では、その一部が図1に示されるように、櫛形状を有する複数の導電パス単位40a,40bが所定の間隔をおいて複数列に配列されたパターンが、導電部付き封止シート1の第1表面1Aに形成されている。
上記のような導電部付き封止シートを一対用意し、該一対の導電部付き封止シートで少なくとも1つの太陽電池セルを挟んで、該導電部と該少なくとも1つの太陽電池セルとを当接させることによって、太陽電池セルの電気的接続を実現することができる。上記当接による導通は、はんだ等の接着手段による接合を必要としない。したがって、太陽電池セルを備える太陽電池モジュールの生産性(典型的には配線作業性)は向上する。特に、太陽電池モジュールが複数(2以上、好ましくは10以上、より好ましくは50以上)の太陽電池セルを備える場合、その生産性(典型的には配線作業性)を飛躍的に向上することができる。また、上記の構成によると、封止樹脂層と導電部との間に配置された保形層が、太陽電池セルと導電部との接触状態を良好に保持する。そのため、集電効率の低下が抑制され耐久性に優れた太陽電池モジュールを効率よく製造することができる。なお、ここに開示される導電部付き封止シートは、太陽電池セルの一方の表面側にのみ用いることも可能である。その場合、太陽電池セルの他方の表面側は、はんだ接合配線など従来公知の手法で電気的に接続すればよい。
なお、導電部および導電パス単位は、上記実施形態の形状、構造等に限定されない。太陽電池モジュールに導電部付き封止シートを適用したときに、導電部を利用して太陽電池セルの電気的接続が実現できる種々の形状、構造等を採用することが可能である。したがって、導電部が導電パス単位を有し、さらに太陽電池セル接触部分および接続部分を有する場合において、それらは、ここに開示される技術の効果を実現できる範囲内で種々の形状や構造をとり得る。例えば、導電パス単位を構成する導電線は、上記実施形態では、直線状に延びて且つ互いに平行に配置された複数の導電線であったが、導電線は曲線状に延びるものであってもよく、互いに非平行(例えば交差していてもよく、あるいは互いに接触しない程度に非平行)であってもよい。
また、一の導電パス単位における導電線の数は2本以上(典型的には2〜20本、より好ましくは4〜12本、さらに好ましくは6〜10本)であることが好ましく、あるいは1本であってもよい。導電部の形状も特に限定されず、例えば曲線状や環状であってもよい。上記導電部は、例えば格子状や、複数のリングが連なった形状等のパターンを有するものであってもよい。したがって、上記導電部を構成し得る導電パス単位についても、形状等は特に限定されない。導電部付き封止シートを太陽電池セルの裏面側に配置する場合には、導電線のような細線形状を有していなくてもよく、導電パス単位は太陽電池セルの裏面全体を覆う矩形状を有するものであってもよい。
また、接続部分は、他の配線部材(他の導電パス単位や取出し電極等)との接続機能を発揮する範囲で、種々の配置状態や形状をとり得る。例えば、接続部分は、太陽電池セル接触部分(典型的には導電線)が太陽電池セル非対向領域まで延長した形状における当該太陽電池セル非対向領域部分であってもよい。
また、導電パス単位の数は、基本的に導電部付き封止シートで封止する太陽電池セルの数に対応する。したがって、例えば、一対の導電部付き封止シートが一の太陽電池セルを封止し、この構成(すなわち一対の導電部付き封止シートで太陽電池セルを挟んだ構成)を複数接続して太陽電池モジュールを構築する場合には、例えば後述の図13に示すように、一の導電部付き封止シート1に設けられる導電パス単位40は1つである。一方、一対の導電部付き封止シートで、複数の太陽電池セルを封止し、当該複数の太陽電池セルの一括配線を行う場合には、例えば図3に示すように、一の導電部付き封止シート1に設けられる導電パス単位40a,40bの数は、太陽電池セルの個数に対応し、5以上(例えば30以上、典型的には50以上)となり、実際には50〜60程度となり得る。あるいはまた、一対の導電部付き封止シートで複数の太陽電池セル(例えば、間隔をおいて一列に配置される2〜20個の太陽電池セル)を挟み、この構成を複数(2〜10程度)組み合わせて太陽電池モジュールを構築することも可能である。
≪一対の導電部付き封止シート≫
図4は一実施形態に係る第1封止シートの主要部を模式的に示す上面図であり、図5は一実施形態に係る第2封止シートの主要部を模式的に示す上面図である。図4,5を参照して、一対の導電部付き封止シートについて説明する。
図4に示すように、第1封止シート101は、太陽電池モジュールにおいて太陽電池セルを挟んで封止する一対の封止シート100の一方として利用される。また図5に示すように、第2封止シート201は、太陽電池モジュールにおいて太陽電池セルを挟んで封止する一対の封止シート100の他方として利用される。
第1封止シート101は、太陽電池セルの表面側に配置される導電部付き封止シートである。第1封止シート101としては、上述の導電部付き封止シート1が用いられる。したがって、第1封止シート101は、上述の導電部付き封止シート1と同じ形状および構造を有する。第1封止シート101が備える第1封止樹脂層110、第1保形層120および第1導電部130も、上述の導電部付き封止シート1における封止樹脂層10、保形層20および導電部30と同じ形状、構造、配置関係等を有する。導電部付き封止シート1における導電パス単位40a,40bは、第1封止シート101において第1導電パス単位140a,140bであり、太陽電池セル接触部分50a,50b、導電線55a,55bおよび接続部分60a,60bは、それぞれ符号150a,150b、155a,155bおよび160a,160bで示される。太陽電池セル対向領域5a,5b、太陽電池セル非対向領域7は、それぞれ太陽電池セル対向領域105a,105b、太陽電池セル非対向領域107で示される。同様に、第1封止シート101の第1表面は符号101Aで、第1保形層120の第1表面は符号120Aで示される。
第2封止シート201は、太陽電池セルの裏面側に配置される導電部付き封止シートである。第2封止シート201としては、上述の導電部付き封止シート1が用いられる。したがって、第2封止シート201は、上述の導電部付き封止シート1と同じ形状および構造を有する。第2封止シート201が備える第2封止樹脂層210、第2保形層220および第1導電部230も、上述の導電部付き封止シート1における封止樹脂層10、保形層20および導電部30と同じ形状、構造、配置関係等を有する。導電部付き封止シート1における導電パス単位40a,40bは、第2封止シート201において第2導電パス単位240a,240bであり、太陽電池セル接触部分50a,50b、導電線55a,55bおよび接続部分60a,60bは、それぞれ符号250a,250b、255a,255bおよび260a,260bで示される。太陽電池セル対向領域5a,5b、太陽電池セル非対向領域7は、それぞれ太陽電池セル対向領域205a,205b、太陽電池セル非対向領域207で示される。同様に、第2封止シート201の第1表面は符号201Aで、第2保形層220の第1表面は符号220Aで示される。
この実施形態では、第1封止シート101と第2封止シート201とは、どちらも導電部付き封止シート1であるが、ここに開示される技術はこれに限定されない。第1封止シートと第2封止シートとは、同じ形状、構造等を有していてもよく、異なる形状、構造等を有していてもよい。具体的には、第1封止シートを構成する第1導電部の形状、構造等は、第2封止シートを構成する第2導電部の形状、構造等と同じでもよく、異なってもよい。同様に、第1封止シートの表面における第1導電部に基づく第1導電パターンの形状等は、第2封止シートの表面における第2導電部に基づく第2導電パターンの形状等と同じでもよく、異なってもよい。例えば、集電効率向上の観点から、第2封止シート表面の第2導電パス単位における太陽電池セル接触部分の面積は、対応する第1封止シート表面の第1導電パス単位における太陽電池セル接触部分の面積よりも大きくてもよく、第2導電パス単位における導電線の面積は、対応する第1導電パス単位における導電線の面積よりも大きくてもよい。具体的には、第2導電パス単位における導電線の数が、対応する第1導電パス単位における導電線の数よりも多い構成や、第2導電パス単位における導電線の太さ(幅および/または厚み)が、対応する第1導電パス単位における導電線の太さよりも大きい構成が挙げられる。あるいは、第2封止シートの第2導電パス単位のみ、第2封止シート表面における太陽電池セル対向領域のほぼ全域に配置されてもよい。
なお、第1封止シートおよび第2封止シートはそれぞれ、太陽電池モジュールに組み込まれる前は、その少なくとも一方の表面(典型的には両面)が剥離性支持体(剥離ライナー)に保護された形態で提供され得る。
≪太陽電池モジュール≫
図6は、一実施形態に係る太陽電池モジュールの主要部の構造を模式的に示す分解断面図である。図6を参照して、以下、一対の導電部付き封止シートを用いて構築される太陽電池モジュールについて説明する。
図6に示すように、太陽電池モジュール300は、太陽電池セル305a,305bを含む複数の太陽電池セルを備える。また、太陽電池モジュール300は、太陽電池セル305a,305bの表面を覆う第1封止シート101と、太陽電池セル305a,305bの裏面を覆う第2封止シート201と、を備える。さらに、太陽電池モジュール300は、第1封止シート101の外方(上側)に配置された表面被覆部材320と、第2封止シート201の外方(下側)に配置された裏面被覆部材330と、を備える。表面被覆部材320および裏面被覆部材330は、それぞれ太陽電池モジュール300の表(おもて)面および裏(うら)面を構成している。
太陽電池セル305a,305bを含む複数の太陽電池セルからなる太陽電池セル群302は、所定の間隔をおいて直線状に一列に配列されている。太陽電池セル305a,305bの表面にはn型電極(表面電極)が部分的に形成されており、裏面にはp型電極(裏面電極)が形成されている。なお、特に図示しないが、太陽電池モジュール300は、上記のように一列に配列された太陽電池セル群302に加えて、太陽電池セル群302の配列方向に平行するように一列に配列された他の太陽電池セル群を備える。
第1封止シート101としては、上述のものが用いられており、その第1導電部130を構成する第1導電パス単位140a,140bは、太陽電池セル群302の配列方向において所定の間隔をおいて分離して配置されている。第1導電パス単位140a,140bは、隣りあう2つの太陽電池セル305a,305bの表面(より具体的には表面電極)にそれぞれ対向接触するように配置されている。なお、第1導電パス単位140aは、太陽電池セル305a以外の太陽電池セルとは接触しておらず、第1導電パス単位140bは、太陽電池セル305b以外の太陽電池セルとは接触していない。第1封止シート101に第1導電部130を設けることにより、従来の太陽電池セル表面に設けられていたバスバー(典型的には、はんだ被覆銅線)は不要となる。
第1導電パス単位140aは、太陽電池セル305aと対向接触する太陽電池セル接触部分150aを有する。また、第1導電パス単位140aは、太陽電池セル接触部分150aから太陽電池セル305a,305bの配列方向に沿って延びて太陽電池セル305a,305bの間に位置する領域にはみ出しており、当該はみ出した部分に接続部分160aを有する。換言すると、第1導電パス単位140aは、太陽電池セル接触部分150aと、太陽電池セル305a,305bの間に位置する領域にはみ出した部分とを有し、当該はみ出した部分は接続部分160aを有する。このように、第1導電パス単位140aにはみ出した部分を設け、該はみ出した部分に接続部分160aを配置することにより、第1導電部130の第1導電パス単位140aは、第2導電部230の第2導電パス単位240bと電気的に接続しやすい構成となる。
第1導電パス単位140aは、上述かつ図4に示すように複数の導電線155aを有する。これら導電線155aは、太陽電池セル群302の配列方向に平行する方向に線状に延びており、該配列方向に直交する方向に所定の間隔をおいて配置されている。より具体的には、導電線155aは、それぞれ直線状に延びる形状を有しており、互いに間隔をおいて、かつ平行するように配置されている。導電線155aは、第1封止シート101の第1表面101Aにおいて太陽電池セル305aとの対向領域105aに配置されており、かつ、太陽電池セル305a,305bの間に位置する領域まで線状に延びて、接続部分160aと接続している。
第1導電パス単位140aの接続部分160aは、第1封止シート101の表面101Aにおいて、複数の太陽電池セル305a,305bの間の太陽電池セル非対向領域7に配置されている。また、接続部分160aは、太陽電池セル群302の配列方向と交差(具体的にはほぼ直交)する方向に帯状に延びるように配置されている。これによって、第1導電パス単位140aは、太陽電池セル305aと接触するとともに、その接続部分160aが他の配線部材に接触する。具体的には、接続部分160aは、太陽電池セル305a,305bの間で、太陽電池セル305bと接触する第2導電パス単位240bの接続部分260bと当接する。また特に図示しないが、第1封止シート101の第1導電部130において、間隔をおいて配列された複数の第1導電パス単位のうち上記配列方向の端に位置する第1導電パス単位の接続部分は、太陽電池セル対向領域の外側にある太陽電池セル非対向領域にて取出し電極(図示せず)と接触し得る。
第1導電パス単位140bは第1導電パス単位140aと基本的に同様に構成されており、太陽電池セル接触部分150b、導電線155bおよび接続部分160bも、それぞれ太陽電池セル接触部分150a、導電線155aおよび接続部分160aと基本的に同様に構成されているので、重複する説明は省略する。
第2封止シート201としては、上述のものが用いられており、その第2導電部230を構成する第2導電パス単位240a,240bは、太陽電池セル群302の配列方向において所定の間隔をおいて分離して配置されている。第2導電パス単位240a,240bは、隣りあう2つの太陽電池セル305a,305bの裏面(より具体的には裏面電極)にそれぞれ対向接触するように配置されている。なお、第2導電パス単位240aは、太陽電池セル305a以外の太陽電池セルとは接触しておらず、第2導電パス単位240bは、太陽電池セル305b以外の太陽電池セルとは接触していない。第2封止シート201に第2導電部230を設けることにより、従来の太陽電池セル裏面に設けられていたバスバー(典型的には、はんだ被覆銅線)は不要となる。
第2導電パス単位240bは、太陽電池セル305bと対向接触する太陽電池セル接触部分250bを有する。また、第2導電パス単位240bは、太陽電池セル接触部分250bから太陽電池セル305a,305bの配列方向に沿って延びて太陽電池セル305a,305bの間に位置する領域にはみ出しており、当該はみ出した部分に接続部分260bを有する。換言すると、第2導電パス単位240bは、太陽電池セル接触部分250bと、太陽電池セル305a,305bの間に位置する領域にはみ出した部分とを有し、当該はみ出した部分は接続部分260bを有する。このように、第2導電パス単位240bにはみ出した部分を設け、該はみ出した部分に接続部分260bを配置することにより、第2導電部230の第2導電パス単位240bは、第1導電部130の第1導電パス単位140aと電気的に接続しやすい構成となる。
第2導電パス単位240bは、上述かつ図5に示すように複数の導電線255bを有する。これら導電線255bは、太陽電池セル群302の配列方向に平行する方向に線状に延びており、該配列方向に直交する方向に所定の間隔をおいて配置されている。より具体的には、導電線255bは、それぞれ直線状に延びる形状を有しており、互いに間隔をおいて、かつ平行するように配置されている。導電線255bは、第2封止シート201の第1表面201Aにおいて太陽電池セル305bとの対向領域205bに配置されており、かつ、太陽電池セル305a,305bの間に位置する領域まで線状に延びて、接続部分260bと接続している。
第2導電パス単位240bの接続部分260bは、第2封止シート201の表面201Aにおいて、複数の太陽電池セル305a,305bの間の太陽電池セル非対向領域7に配置されている。また、接続部分260bは、太陽電池セル群302の配列方向と交差(具体的にはほぼ直交)する方向に帯状に延びるように配置されている。これによって、第2導電パス単位240bは、太陽電池セル305bと接触するとともに、その接続部分260bが他の配線部材に接触する。具体的には、接続部分260bは、太陽電池セル305a,305bの間で、太陽電池セル305aと接触する第1導電パス単位140aの接続部分160aと当接する。また特に図示しないが、第2封止シート201の第2導電部230において、間隔をおいて配列された複数の第2導電パス単位のうち上記配列方向の端に位置する第2導電パス単位の接続部分は、太陽電池セル対向領域の外側にある太陽電池セル非対向領域にて取出し電極(図示せず)と接触し得る。
第2導電パス単位240aは第2導電パス単位240bと基本的に同様に構成されており、太陽電池セル接触部分250a、導電線255aおよび接続部分260aも、それぞれ太陽電池セル接触部分250b、導電線255bおよび接続部分260bと基本的に同様に構成されているので、重複する説明は省略する。
なお、太陽電池セル305a,305b以外の太陽電池セルや、第1導電部130における第1導電パス単位140a,140b以外の第1導電パス単位、第2導電部230における第2導電パス単位240a,240b以外の第2導電パス単位の形状、構造、配置関係等についても、配線作業を効率よく行う観点から、太陽電池セル305a,305bや、第1導電パス単位140a,140b、第2導電パス単位240a,240bからなる構成単位と基本的に同様に構成することが好ましく、同様の構成単位が繰り返されるように構成することがより好ましい。
上述のように構成することにより、太陽電池モジュール300において、第1導電部130および第2導電部230は、隣りあう2つの太陽電池セルの一方の表面(例えば太陽電池セル305aの表面)および他方の裏面(例えば太陽電池セル305bの裏面)の間の導電経路を構成する。太陽電池セルがさらに配列されている場合には、第1導電部130および第2導電部230は、それら太陽電池セルの表面と裏面とを交互に電気的に接続することができる。その結果、太陽電池セル群302の電気的接続が実現される。太陽電池セル群302にて発電された電力は、太陽電池モジュール300において太陽電池セル群302の配列方向の両端に配置された取出し電極としての端子バー(図示せず)を通って、太陽電池モジュール300の外部に供給される。ここに開示される技術は、封止シートとして、上記導電部付き封止シートを使用する他は基本的に従来公知の既存の構成を利用して実施することができるので、設備全体を置き換える必要がなく実用上の利点が大きい。
太陽電池セルの電気的接続に関してさらに説明する。太陽電池モジュール300の構築時にあたっては、第1封止シート101および第2封止シート201を備える一対の封止シート100で、各々の導電部形成面が向かいあうようにして、太陽電池セル305a,305bを挟む。そして、一対の封止シート100を太陽電池セル305a,305bに押し当てると、第1封止シート101の第1導電部130および第2封止シート201の第2導電部230が、各々が備える接続部分160a,160b、接続部分260a,260bにて当接し、これによって太陽電池モジュール300の電気的接続が実現される。具体的には、第1導電パス単位140aの太陽電池セル接触部分150aと第2導電パス単位240aの太陽電池セル接触部分250aとが太陽電池セル305aに当接する。また、第1導電パス単位140bの太陽電池セル接触部分150bと第2導電パス単位240bの太陽電池セル接触部分250bとが太陽電池セル305bに当接する。そして、第1導電パス単位140aの接続部分160aと第2導電パス単位240bの接続部分160bとが当接する。また、第1導電パス単位140bの接続部分160bは、図6において第2導電パス単位240bの右隣に配置された第2導電パス単位の接続部分に当接し、第2導電パス単位240aの接続部分260aは、図6において第1導電パス単位140aの左隣に配置された第1導電パス単位の接続部分に当接する。なお、太陽電池セル群302の配列方向において、その配列方向の両端に配置された太陽電池セルに対応する第1導電パス単位や第2導電パス単位の接続部分は、太陽電池セル群302の外方に配置される図示しない取出し電極(端子バー)に当接する。これによって、太陽電池モジュール300の電気的接続が実現される。なお、太陽電池モジュール300の構築一般については、当該技術分野における技術常識に基づき実施可能であり、本発明を特徴づけるものではないので説明は省略する。
上記の構成は、従来の配線手法(典型的には、はんだ等を用いて行う手法)と比べて、太陽電池セルの配線作業性に優れる。また、強度面にも優れることから、例えば封止シートの応力等に起因する断線等の不具合も防止される。さらに、上記電気的接続ははんだ接合を必要としないため、はんだ接合による不具合(典型的には、セルの反りや割れ、特性低下、フラックス汚染)を回避することが可能である。はんだ接合を必要としないことは、太陽電池セルの構造にも利点をもたらす。具体的には、太陽電池セルの裏面には、BSF(Back Surface Field)効果等の観点から、全面にアルミニウム電極(裏面電極)を設けることが好ましい。しかし、アルミニウムははんだ接合性に劣るため、金属配線との接合箇所には、通常、はんだ接合性に優れる銀電極が配置されている。つまり、太陽電池セルの裏面電極としては、通常はアルミニウム電極と銀電極とが併用されている。ここに開示される技術によると、太陽電池セルの裏面における電気的接続は、当該裏面における裏面電極(アルミニウム電極)と第2封止シートの第2導電パス単位とが当接するだけで実現されるので、太陽電池セル裏面でのはんだ接合は不要となる。したがって、ここに開示される技術を採用することによって、太陽電池セルの裏面電極が銀電極を実質的に含まない構造の太陽電池モジュールが実現され得る。この構成によるコスト低減および生産性向上の利点は大きい。
≪導電部付き封止シートおよび太陽電池モジュールの各構成要素≫
次に、導電部付き封止シートおよび太陽電池モジュールを構成する各要素について説明する。
<封止樹脂層>
ここに開示される封止樹脂層(第1封止樹脂層および第2封止樹脂層を包含する。以下同じ。)は、封止樹脂から形成されたシート状部材である。典型的には、熱や圧力によって流動性を示し得る樹脂層であり、絶縁性を有し、かつ透光性を有するものであり得る。なお、本明細書において「絶縁性を有する」とは、25℃における比抵抗が1×10Ω・cm以上(好ましくは1×108Ω・cm以上、典型的には1×1010Ω・cm以上)であることをいう。また、本明細書において電気抵抗(例えば比抵抗)は、特記しないかぎり25℃における値をいうものとする。また、本明細書において「透光性を有する」とは、JIS K 7375:2008で規定される全光線透過率が50%以上(好ましくは80%以上、典型的には95%以上)であることをいう。なお、第2封止樹脂層は透光性を有していなくてもよい。
封止樹脂は、好ましくは熱硬化性樹脂であって、導電部付き封止シートにおいては、硬化前(架橋処理等の熱硬化処理を行う前)の樹脂であり得る。封止樹脂としては、透光性、加工性、耐候性等の観点から、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)が好ましく使用される。封止樹脂は、EVAに代表されるエチレン−ビニルエステル共重合体の他、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体等のエチレン−不飽和カルボン酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル等のエチレン−不飽和カルボン酸エステル共重合体、ポリメタクリル酸メチル等の不飽和カルボン酸エステル系重合体等であってもよい。あるいは、フッ化ビニリデン樹脂、ポリエチレンテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂;低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE。典型的にはチーグラー触媒、バナジウム触媒、メタロセン触媒等を用いて製造され得るLLDPE)等のポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP。例えば、チーグラー触媒、フィリップス触媒、メタロセン触媒等を用いて製造され得るPP)、チーグラー触媒、バナジウム触媒、メタロセン触媒等を用いて製造することができるエチレン・α−オレフィン共重合体、それらの変性物(変性ポリオレフィン)等のポリオレフィン類;ポリブタジエン類;ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール(PVB樹脂)、変性PVB等のポリビニルアセテート;ポリエチレンテレフタレート(PET);ポリイミド;非晶質ポリカーボネート;シロキサンゾル−ゲル;ポリウレタン;ポリスチレン;ポリエーテルサルフォン;ポリアリレート;エポキシ樹脂;シリコーン樹脂;アイオノマー;等であってもよい。これらの樹脂は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。上記封止樹脂は、紫外線吸収剤や光安定剤等の、この分野に公知の各種添加剤を含み得る。
また、封止樹脂層の表面には、保形層を形成する前に密着性向上剤を付与することが好ましい。密着性向上剤が付与された封止樹脂層表面に保形層を形成することにより、封止樹脂層と保形層との密着性が向上する。上記封止樹脂層としてEVAシートが用いられる場合には、密着性向上剤としてシランカップリング剤が好ましく使用される。典型的には、密着性向上剤を上記封止樹脂層表面に付与した後に加熱処理することで、保形層の密着性は向上する。なお、密着性向上剤の使用形態は塗布に限定されず、上記封止樹脂層に含ませて使用することも可能である。また、封止樹脂層の表面には、密着性向上その他を目的として、コロナ処理、大気圧プラズマ処理等の各種表面処理を単独でまたは組み合わせて施すことができる。
封止樹脂層の厚さは、太陽電池セルの封止性等の観点から、100〜2000μm(例えば200〜1000μm、典型的には400〜800μm)程度とすることが好ましい。
<保形層>
(保形層の特性)
ここに開示される保形層は、封止樹脂層の形状を保持して、太陽電池セルと導電部との接触状態を良好に保持する層である。また保形層は、封止樹脂の封止機能を良好に発揮させる物性を有する層であることも重要である。導電部付き封止シートにおいては、保形層は、封止樹脂層と導電部との間に配置される層であり、好ましくは封止樹脂層表面の全体に配置される。このような保形層は、典型的には、室温付近の温度域において弾性体または粘弾性体の性質を示す層である。なお、ここでいう粘弾性体は、粘性と弾性の性質を併せ持つ材料、すなわち、複素弾性率の位相が0を超えてπ/2未満、を満たす性質を有する材料(典型的には25℃において上記性質を有する材料)である。
保形層は、接着性(典型的には粘着性)を有してもよく、有しなくてもよい。換言すると、保形層は、粘着層であってもよく、非粘着層であってもよい。ここで「粘着層」とは、JIS Z 0237:2009に準じて、SUS304ステンレス鋼板を被着体とし、23℃の測定環境下において2kgのローラを1往復させて上記被着体に圧着してから30分後に引張速度300mm/分の条件で180°方向に剥離した場合の剥離強度が0.1N/20mm以上である層をいう。また、「非粘着層」とは、上記粘着層に該当しない層をいい、典型的には上記剥離強度が0.1N/20mm未満である層をいう。23℃の測定環境下において2kgのローラを1往復させてSUS304ステンレス鋼板に圧着した場合に該ステンレス鋼板に貼り付かない層(実質的に粘着性を示さない層)は、ここでいう非粘着層の概念に含まれる典型例である。
ここに開示される技術は、粘着剤から形成された粘着層(粘着剤層ともいう。)に該当する保形層を含む形態で好ましく実施される。この場合、保形層形成用組成物は粘着剤組成物であり得る。なお、本明細書において「粘着剤」とは、室温付近の温度域において柔らかい固体(粘弾性体)の状態を呈し、圧力により簡単に被着体に接着する性質を有する材料をいう。ここでいう粘着剤は、「C. A. Dahlquist, “Adhesion : Fundamental and Practice”, McLaren & Sons, (1966) P. 143」に定義されているとおり、一般的に、複素引張弾性率E(1Hz)<10dyne/cmを満たす性質を有する材料(典型的には、25℃において上記性質を有する材料)である。
保形層の表面は接着性を有することが好ましい。これによって、導電部は保形層に良好に固定される。また、保形層表面の導電部非形成領域が露出して導電部付き封止シートの第1表面を構成している場合には、当該保形層の露出面は、太陽電池モジュール構築の際に太陽電池セルに良好に接着する。両面に接着性を有する保形層を用いることで、封止樹脂層と導電部とを良好に固定することができる。なお、保形層の表面が弱接着性であったり実質的に非接着性である場合は、公知の接着剤、粘着剤等を利用して封止樹脂層や導電部と固定され得る。
好ましい一態様では、保形層の表面は、結晶系Si太陽電池セルに対して3N/10mm以上の180度剥離強度(対太陽電池セル接着力)を示す。上記対太陽電池セル接着力は、太陽電池セルや導電部との固定等の観点から、より好ましくは5N/10mm以上、さらに好ましくは8N/10mm以上(例えば10N/10mm以上、典型的には12N/10mm以上)である。特に好ましい一態様では、保形層の表面は、結晶系Si太陽電池セルに対して15N/10mm以上の180度剥離強度を示す。保形層表面の対太陽電池セル接着力の上限は特に限定されないが、上記接着力は、貼り直し等の作業性の観点から、通常は50N/10mm以下(例えば30N/10mm以下、典型的には20N/10mm以下)程度である。
上記対太陽電池セル接着力の測定に用いられる被着体は、結晶系Si太陽電池セルである。例えば、Qセルズ社製の結晶系Si太陽電池セルやGINTECH社製の単結晶系Siセルが好ましく用いられる。測定は、ラミネート等によって保形層を被着体にしっかりと貼り合わせた後、市販の引張試験機を用いて、23℃、50%RHの雰囲気下、引張速度30mm/分、剥離角度180度の条件で実施することができる。上記対太陽電池セル接着力は、具体的には、後述の実施例に記載の方法で測定することができる。
保形層は典型的には透光性を有する。保形層の全光線透過率は、好ましくは70%以上、より好ましくは85%以上である。特に好ましい一態様では、太陽電池セルの発電効率の観点から、保形層の全光線透過率は90%以上である。保形層の全光線透過率は、市販のヘーズメーターを用いて測定することができる。具体的には、後述の実施例に記載の方法で測定することができる。
好ましい一態様では、保形層の貯蔵弾性率G’(周波数1Hz、歪み0.1%、150℃)は5,000Pa以上である。高温時に所定以上の貯蔵弾性率G’を示す保形層を用いることで、高温条件下において太陽電池セルと導電部とが良好に接触し、かつ様々な条件下(例えば幅広い温度条件下)において、その接触状態が安定的に維持され得る。例えば、太陽電池モジュールの構築に際して導電部付き封止シートを太陽電池セルに押し当てたときに、高温条件下においても導電部を太陽電池セル表面に良好に当接させることができる。上記150℃貯蔵弾性率G’は、より好ましくは10,000Pa以上、さらに好ましくは20,000Pa以上、特に好ましくは25,000Pa以上(例えば50,000Pa以上、典型的には80,000Pa以上)である。また、上記150℃貯蔵弾性率G’は、通常は1,000,000Pa以下であり、好ましくは500,000Pa以下、より好ましくは200,000Pa以下(例えば150,000Pa以下、典型的には100,000Pa以下)であり得る。
また、保形層の貯蔵弾性率G’(周波数1Hz、歪み0.1%)は、80℃〜150℃の温度域において、5,000Pa〜1,000,000Paの範囲内にあることが好ましい。上記高温域における貯蔵弾性率G’の変化が所定の範囲内にあることは、保形層の物性が温度変化の影響を受けにくいことを意味し得る。80℃〜150℃の温度域における保形層の貯蔵弾性率G’は、より好ましくは5,000Pa〜500,000Pa、さらに好ましくは5,000Pa〜200,000Pa(例えば10,000Pa〜100,000Pa)の範囲内である。
さらに、保形層の貯蔵弾性率G’(周波数1Hz、歪み0.1%)は、30℃〜150℃の温度域において、5,000Pa〜10,000,000Paの範囲内にあることが好ましい。上記のような広い温度域における貯蔵弾性率G’の変化が所定の範囲内にあることは、保形層の物性が温度変化の影響を受けにくいことを意味し得る。30℃〜150℃の温度域における保形層の貯蔵弾性率G’は、より好ましくは5,000Pa〜1,000,000Pa、さらに好ましくは5,000Pa〜500,000Pa(例えば10,000Pa〜200,000Pa)の範囲内である。
また、保形層のtanδは、80℃〜150℃の温度域における最大値が0.4未満であることが好ましい。高温域におけるtanδが所定値以下の保形層を用いることで、高温域において太陽電池セルと導電部とが良好に接触し、かつ様々な条件下(例えば幅広い温度条件下)において、その接触状態が安定的に維持され得る。例えば、太陽電池モジュールの構築に際して導電部付き封止シートを太陽電池セルに押し当てたときに、高温条件下においても導電部を太陽電池セル表面に良好に当接させることができる。なお、tanδは、損失弾性率G”/貯蔵弾性率G’から求められる値(G”/G’)である。80℃〜150℃の温度域における保形層のtanδの最大値は、より好ましくは0.3未満である。また、上記温度域におけるtanδの最小値は、通常は0.01以上(例えば0.1以上)であり得る。保形層は、上記貯蔵弾性率G’および上記tanδの両方を満足することが特に好ましい。
保形層の貯蔵弾性率G’(周波数1Hz、歪み0.1%、150℃)およびtanδ(G”/G’)は、市販のレオメーターを用いて、周波数1Hz、歪み0.1%の条件で、所定の温度範囲(80℃〜150℃を含む温度域、さらには30℃〜150℃を含む温度域)で測定すればよい。測定温度域および昇温速度は、測定装置の機種等に応じて適切に設定すればよい。例えば、30℃〜160℃の温度域、0.5℃〜20℃/分(例えば10℃/分)程度の昇温速度とすることができる。測定サンプルとしては、約2mm厚とした保形層を直径8mm程度に打ち抜いたものを使用することが望ましい。保形層の貯蔵弾性率G’およびtanδ(G”/G’)は、具体的には、後述の実施例に記載の方法で測定される。
ここに開示される保形層は、150℃におけるメルトマスフローレート(MFR)が9g/10分以下を示す樹脂材料から構成されていることが好ましい。上記MFRを示す保形層は、良好な保形性を発揮することができる。上記MFRは、より好ましくは3g/10分以下、さらに好ましくは1g/10分以下、特に好ましくは0.5g/10分以下(例えば0.2g/10分以下)である。上記MFRは、後述の実施例に記載の方法で測定される。
また、保形層の線膨張率は、−40℃〜85℃の温度域において15%未満であることが好ましい。上記の線膨張率を示す保形層によると、耐久性により優れた導電部付き封止シートが実現される。上記線膨張率は、より好ましくは12%以下(例えば10%以下)である。保形層の線膨張率としては、後述の実施例に記載の方法で測定される引張モードおよび圧縮モードによる値のいずれか一方(好ましくはは両方)の値が採用される。
(保形層の組成)
ここに開示される保形層は、典型的には、樹脂材料から形成された樹脂層である。好ましくは、架橋された樹脂をベースポリマーとして含む樹脂層(例えば、架橋処理が施された樹脂層)である。保形層を形成する樹脂は、アクリル系樹脂、EVA系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ゴム類、シリコーン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリアミド系樹脂、フッ素系樹脂等の各種の樹脂から選択される1種または2種以上であり得る。ポリオレフィン系樹脂としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)等のポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン・α−オレフィン共重合体、それらの変性物(変性ポリオレフィン)等が挙げられる。また、アクリル系樹脂とは、アクリル系ポリマーをベースポリマー(ポリマー成分のなかの主成分、すなわちポリマー成分のなかで配合割合の最も大きい成分、典型的には50重量%を超えて含まれる成分)とする樹脂材料をいう。EVA系、ポリオレフィン系その他の樹脂についても同様の意味である。
(EVA系樹脂)
好ましい一態様に係る保形層は、EVA系樹脂から形成されたEVA系樹脂層である。かかる保形層(保形層形成用組成物でもあり得る。)に占めるEVAの割合は特に限定されないが、典型的には50重量%以上であり、好ましくは70重量%以上、より好ましくは80重量%以上である。また、上記EVA系樹脂層は、所望の物性を得る観点から、凡そ80〜200℃(例えば100〜180℃、典型的には120〜160℃)で熱硬化処理が施されたものであることが好ましい。熱硬化処理時間は、特に限定されず、通常は5分以上であり、好ましくは10分以上、より好ましくは20分以上(例えば30分以上、典型的には40分〜120分)である。上記EVA系樹脂層は、熱硬化処理前または処理中にプレス処理が行われていることが好ましい。
(アクリル系ポリマー)
好ましい一態様において、保形層は、ベースポリマーとしてアクリル系ポリマーを含む層、すなわちアクリル系樹脂層であり得る。かかる組成の保形層は、保形性や柔軟性など所望の物性に調節しやすいので好ましい。また、保形層に占めるアクリル系ポリマーの割合は特に限定されないが、典型的には50重量%以上であり、好ましくは70重量%以上、より好ましくは80重量%以上である。
なお、本明細書において「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートおよびメタクリレートを包括的に指す意味である。同様に、「(メタ)アクリロイル」とは、アクリロイルおよびメタクリロイルを、「(メタ)アクリル」とはアクリルおよびメタクリルを、それぞれ包括的に指す意味である。
また、本明細書において「アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分」とは、保形層を形成する樹脂材料においてアクリル系ポリマーを構成するモノマー単位をいう。モノマー成分は、保形層を形成するために用いられる保形層形成用組成物中に、未重合物の形態(すなわち、重合性官能基が未反応である原料モノマーの形態)で含まれてもよく、重合物の形態で含まれていてもよく、これらの両方の形態で含まれていてもよい。
ここに開示される保形層形成用組成物は、上記アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分として(A)成分を含む。
上記(A)成分は、炭素数1〜20のアルキル基をエステル末端に有するアルキル(メタ)アクリレートである。以下、炭素数がX以上Y以下のアルキル基をエステル末端に有するアルキル(メタ)アクリレートを「CX−Yアルキル(メタ)アクリレート」と表記することがある。C1−20アルキル(メタ)アクリレートにおけるC1−20アルキル基の構造は特に限定されず、上記アルキル基が直鎖のものおよび分岐鎖のもののいずれも使用可能である。(A)成分としては、このようなC1−20アルキル(メタ)アクリレートの1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
直鎖アルキル基をエステル末端に有するC1−20アルキル(メタ)アクリレートとして、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−へプチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、n−ウンデシル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、n−トリデシル(メタ)アクリレート、n−テトラデシル(メタ)アクリレート、n−ペンタデシル(メタ)アクリレート、n−ヘキサデシル(メタ)アクリレート、n−ヘプタデシル(メタ)アクリレート、n−オクタデシル(メタ)アクリレート、n−ノナデシル(メタ)アクリレート、n−エイコシル(メタ)アクリレートが挙げられる。また、分岐鎖アルキル基をエステル末端に有するC3−20アルキル(メタ)アクリレートとして、イソプロピル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、t−ペンチル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、イソヘキシル(メタ)アクリレート、イソへプチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、2−プロピルヘプチル(メタ)アクリレート、イソウンデシル(メタ)アクリレート、イソドデシル(メタ)アクリレート、イソトリデシル(メタ)アクリレート、イソミスチリル(メタ)アクリレート、イソペンタデシル(メタ)アクリレート、イソヘキサデシル(メタ)アクリレート、イソヘプタデシル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、イソノナデシル(メタ)アクリレート、イソエイコシル(メタ)アクリレート等が例示される。これらアルキル(メタ)アクリレートは、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
(A)成分は、(A1)成分としてC4−9アルキル(メタ)アクリレートを含む態様で好ましく実施され得る。アクリル系ポリマーがモノマー単位として(A1)成分を含むことで、所望の物性を有する保形層が得られやすい傾向があり、また粘着性も得られやすい傾向がある。(A1)成分はC4−9アルキル(メタ)アクリレートから選択される1種または2種以上であり得る。他のモノマー成分(例えば環状窒素含有モノマー)との相溶性等の観点から、(A1)成分として、C4−9アルキルアクリレートが好ましく使用される。C4−9アルキルアクリレートの好適例としては、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、イソオクチルアクリレートおよびイソノニルアクリレートが挙げられる。
(A)成分が(A1)成分を含む場合、(A)成分に占める(A1)成分の割合は、通常は20重量%以上(例えば20〜80重量%)であり、好ましくは30重量%以上(例えば30〜70重量%)であり、より好ましくは40重量%以上(例えば40〜60重量%)である。(A)成分に占める(A1)成分の割合は、50重量%以上(例えば80重量%以上、典型的には90〜100重量%)であってもよい。
また、(A)成分は、(A2)成分としてC10−18アルキル(メタ)アクリレートを含む態様でも好ましく実施され得る。アクリル系ポリマーがモノマー単位として(A2)成分を含むことで、所望の物性を有する保形層がより得られやすい傾向がある。(A2)成分は、C10−18アルキル(メタ)アクリレートから選択される1種または2種以上であり得る。(A2)成分は、より好ましくはアルキル基が分岐鎖であるC10−18アルキル(メタ)アクリレートを含み、さらに好ましくは、他のモノマー成分(例えば環状窒素含有モノマー)との相溶性等の観点から、アルキル基が分岐鎖であるC10−18アルキルアクリレートを含む。C10−18アルキル(メタ)アクリレートの好適例としては、イソデシルアクリレート、イソデシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、トリデシルメタクリレート、イソミスチリルアクリレート、イソステアリルアクリレート、ステアリルメタクリレートが挙げられる。
(A)成分が(A2)成分を含む場合、(A)成分に占める(A2)成分の割合は、通常は20重量%以上(例えば20〜80重量%)であり、好ましくは30重量%以上(例えば30〜70重量%)であり、より好ましくは40重量%以上(例えば40〜60重量%)である。(A)成分に占める(A2)成分の割合は、50重量%以上(例えば80重量%以上、典型的には90〜100重量%)であってもよい。
(A)成分として、(A1)成分と(A2)成分とを併用する場合、(A1)成分と(A2)成分との重量比(A1:A2)は、特に限定されないが、通常は1:9〜9:1とすることが適当であり、好ましくは2:8〜8:2(例えば3:7〜7:3、典型的には4:6〜6:4)である。
また、(A)成分は、(A3)成分としてC1−3アルキル(メタ)アクリレートおよびC19−20アルキル(メタ)アクリレートの1種または2種以上を含有してもよい。(A)成分が(A3)成分を含む場合、保形層の物性の観点から、(A)成分に占める(A3)成分の割合は、通常は30重量%以下(例えば15重量%以下、典型的には1〜5重量%)程度とすることが好ましい。ここに開示される技術は、(A)成分が(A3)成分を実質的に含まない態様((A)成分に占める(A3)成分の割合が1重量%未満、さらには0.1重量%未満である態様)で好ましく実施される。
上記モノマー成分に占める(A)成分の割合は特に限定されない。保形層の物性や、接着力等の粘着特性の観点から、上記(A)成分の割合は、通常は30重量%以上とすることが適当であり、好ましくは50重量%以上、より好ましくは60重量%以上(例えば75重量%以上)である。また、上記(A)成分の割合の上限は、後述の(B)成分や(C)成分含有による効果を十分に得る観点から、凡そ98重量%以下とすることが適当であり、95重量%以下(例えば90重量%以下、典型的には85重量%以下)とすることが好ましい。
好ましい一態様では、保形層形成用組成物は、上記アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分として(B)成分を含む。上記(B)成分は、環状窒素含有モノマー、環状エーテル基含有モノマー等のヘテロ環含有モノマーである。上記(B)成分は、保形層の保形性や透明性の向上に有利に寄与し得る。ヘテロ環含有モノマーは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
環状窒素含有モノマーとしては、(メタ)アクリロイル基またはビニル基等の不飽和二重結合を有する重合性の官能基を有し、かつ環状窒素構造を有するものを特に制限なく用いることができる。環状窒素構造は、環状構造内に窒素原子を有するものが好ましい。環状窒素含有モノマーとしては、例えば、N−ビニルピロリドン、N−ビニル−ε−カプロラクタム、メチルビニルピロリドン等のラクタム系ビニルモノマー;2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリンのようなオキサゾリン基含有モノマー;ビニルピリジン、ビニルピペリドン、ビニルピリミジン、ビニルピペラジン、ビニルピラジン、ビニルピロール、ビニルイミダゾール、ビニルモルホリン等の窒素含有複素環を有するビニル系モノマー等が挙げられる。また、モルホリン環、ピペリジン環、ピロリジン環、ピペラジン環、アジリジン環等の窒素含有複素環を含有する(メタ)アクリルモノマーが挙げられる。具体的には、N−アクリロイルモルホリン、N−アクリロイルピペリジン、N−メタクリロイルピペリジン、N−アクリロイルピロリジン、N−アクリロイルアジリジン等が挙げられる。上記環状窒素含有モノマーのなかでも、凝集性等の点からは、ラクタム系ビニルモノマーが好ましく、N−ビニルピロリドンがより好ましい。
環状エーテル基を有するモノマーとしては、(メタ)アクリロイル基またはビニル基等の不飽和二重結合を有する重合性の官能基を有し、かつエポキシ基またはオキセタン基等の環状エーテル基を有するものを特に制限なく用いることができる。エポキシ基含有モノマーとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル等が挙げられる。オキセタン基含有モノマーとしては、例えば、3−オキセタニルメチル(メタ)アクリレート、3−メチル−オキセタニルメチル(メタ)アクリレート、3−エチル−オキセタニルメチル(メタ)アクリレート、3−ブチル−オキセタニルメチル(メタ)アクリレート、3−ヘキシル−オキセタニルメチル(メタ)アクリレート、等が挙げられる。
上記モノマー成分に占める(B)成分の割合は、保形層の物性の観点から、通常は0.5重量%以上とすることが適当であり、好ましくは1重量%以上、より好ましくは3重量%以上、さらに好ましくは10重量%以上(例えば12重量%以上)である。また、上記(B)成分の割合は、(A)成分含有による効果を十分に得る観点から、凡そ50重量%以下とすることが適当であり、好ましくは40重量%以下(例えば30重量%以下、典型的には25重量%以下)とすることが好ましい。
好ましい一態様では、保形層形成用組成物は、上記アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分として(C)成分を含む。上記(C)成分は、ヒドロキシ基およびカルボキシ基の少なくともいずれかを有するモノマーである。
ヒドロキシ基含有モノマーとしては、(メタ)アクリロイル基またはビニル基等の不飽和二重結合を有する重合性の官能基を有し、かつヒドロキシ基を有するものを特に制限なく用いることができる。ヒドロキシ基含有モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、12−ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;(4−ヒドロキシメチルシクロへキシル)メチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキルシクロアルカン(メタ)アクリレートが挙げられる。その他、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、アリルアルコール、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル等が挙げられる。これらは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのなかでもヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが好ましい。例えば、炭素数2〜6のヒドロキシアルキル基を有するヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを好ましく使用し得る。なかでも、2−ヒドロキシエチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレートがより好ましい。
カルボキシ基含有モノマーとしては、(メタ)アクリロイル基またはビニル基等の不飽和二重結合を有する重合性の官能基を有し、かつカルボキシ基を有するものを特に制限なく用いることができる。カルボキシ基含有モノマーの例としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート等のエチレン性不飽和モノカルボン酸;イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸等のエチレン性不飽和ジカルボン酸;これらの金属塩(例えばアルカリ金属塩);無水マレイン酸、無水イタコン酸等の、上記エチレン性不飽和ジカルボン酸の無水物等;が挙げられる。これらは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのなかでも、アクリル酸、メタクリル酸が好ましい。
ここに開示される技術は、(C)成分がヒドロキシ基含有モノマーを含む態様で好ましく実施することができる。すなわち、(C)成分がヒドロキシ基含有モノマーのみを含むか、ヒドロキシ基含有モノマーおよびカルボキシ基含有モノマーを含むことが好ましい。(C)成分に占めるヒドロキシ基含有モノマーの割合を多くすることにより、カルボキシ基に起因する金属腐食等を低減することができる。このことから、ここに開示される技術は、モノマー成分がカルボキシ基含有モノマーを実質的に含有しない態様で好ましく実施され得る。例えば、モノマー成分に占めるカルボキシ基含有モノマーの割合を、1重量%未満、好ましくは0.5重量%未満、より好ましくは0.2重量%未満とすることができる。
上記モノマー成分に占める(C)成分の割合は、保形層の物性の観点から、通常は0.1重量%以上とすることが適当であり、好ましくは0.5重量%以上、より好ましくは0.8重量%以上である。(C)成分の割合は、3重量%以上であってもよく、5重量%以上(例えば8重量%以上、典型的には10重量%以上)であってもよい。また、上記(C)成分の割合は、凡そ35重量%以下とすることが適当であり、好ましくは30重量%以下、より好ましくは25重量%以下(典型的には5重量%以下、例えば3重量%以下)である。
特に好ましい一態様では、アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分は、上記(A)、(B)および(C)成分をすべて含む。その場合、上記(A)、(B)および(C)成分の総量を100重量%としたときの(A)成分の割合は50〜99重量%(より好ましくは60〜95重量%、さらに好ましくは70〜85重量%)とすることが好ましく、(B)成分の割合は0.9〜49.9重量%(より好ましくは4.5〜39.5重量%、さらに好ましくは14.2〜29.2重量%)とすることが好ましく、(C)成分の割合は0.1〜35重量%(より好ましくは0.5〜30重量%、さらに好ましくは0.8〜25量%)とすることが好ましい。
ここに開示される技術における上記構成モノマー成分は、上記(A)、(B)成分および(C)成分以外のモノマー(以下「任意モノマー」ともいう。)を必要に応じて含有し得る。
上記任意モノマーの例として、ヒドロキシ基およびカルボキシ基以外の官能基を含有するモノマーが挙げられる。このような官能基含有モノマーは、アクリル系ポリマーに架橋点を導入したり、アクリル系ポリマーの凝集力を高めたりする目的で使用され得る。官能基含有モノマーとしては、例えば(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有モノマー;例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアノ基含有モノマー; 例えばスチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等のスルホン酸基含有モノマー;例えば2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート等のリン酸基含有モノマー;例えばジアセトン(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリレート、ビニルメチルケトン、ビニルアセトアセテート等のケト基含有モノマー;例えば2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート等のイソシアネート基含有モノマー;例えばメトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシ基含有モノマー;例えば3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン等のアルコキシシリル基含有モノマー;等が挙げられる。これらは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記任意モノマーの他の例として、脂環式モノマーが挙げられる。脂環式モノマーとしては、(メタ)アクリロイル基またはビニル基等の不飽和二重結合を有する重合性の官能基を有し、かつ脂環構造含有基を有するものを、特に制限なく用いることができる。ここで「脂環構造含有基」とは、少なくとも一つの脂環構造を含む部分をいう。また、「脂環構造」とは、芳香族性を有しない飽和または不飽和の炭素環構造をいう。本明細書では、脂環構造含有基を単に「脂環式基」ということがある。脂環式基の好適例としては、脂環構造を含む炭化水素基や炭化水素オキシ基が挙げられる。
好ましい脂環式モノマーの例として、脂環式基と(メタ)アクリロイル基とを有する脂環式(メタ)アクリレートが挙げられる。脂環式(メタ)アクリレートの具体例としては、シクロプロピル(メタ)アクリレート、シクロブチル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘプチル(メタ)アクリレート、シクロオクチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
ここに開示される技術におけるモノマー成分は、アクリル系ポリマーのTgの調整や凝集力の向上等の目的で、上記任意モノマーとして、上記(A),(B),(C)成分と共重合可能であって上記で例示した以外の共重合性モノマーを含んでいてもよい。そのような共重合性モノマーとしては、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル;例えばスチレン、置換スチレン(α−メチルスチレン等)、ビニルトルエン等の芳香族ビニル化合物;例えばアリール(メタ)アクリレート(例えばフェニル(メタ)アクリレート)、アリールオキシアルキル(メタ)アクリレート(例えばフェノキシエチル(メタ)アクリレート)、アリールアルキル(メタ)アクリレート(例えばベンジル(メタ)アクリレート)等の芳香族性環含有(メタ)アクリレート;例えばエチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン、イソブチレン等のオレフィン系モノマー;例えば塩化ビニル、塩化ビニリデン等の塩素含有モノマー;例えばメチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル系モノマー;その他、ビニル基を重合したモノマー末端にラジカル重合性ビニル基を有するマクロモノマー等が挙げられる。これらは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの任意モノマーの使用量は特に限定されず、適宜決定することができる。通常、任意モノマーの合計使用量は、モノマー成分の50重量%未満とすることが適当であり、30重量%以下とすることが好ましく、20重量%以下とすることがより好ましい。ここに開示される技術は、任意モノマーの合計使用量がモノマー成分の10重量%以下(例えば5重量%以下)である態様で好ましく実施され得る。ここに開示される技術は、任意モノマーを実質的に使用しない態様(例えば、任意モノマーの使用量がモノマー成分の0.3重量%以下、典型的には0.1重量%以下である態様)でも好ましく実施され得る。
上述した(A)成分、(B)成分、(C)成分および任意モノマーは、典型的には単官能モノマーである。ここに開示される技術におけるモノマー成分は、このような単官能モノマーの他に、保形層の凝集力調整等の目的で、必要に応じて多官能モノマーを含有することができる。ここで、本明細書において単官能モノマーとは、(メタ)アクリロイル基またはビニル基等の不飽和二重結合を有する重合性の官能基を1つ有するモノマーを指し、これに対して多官能モノマーとは、後述するように、上記重合性の官能基を少なくとも2つ有するモノマーを指す。
多官能モノマーは、(メタ)アクリロイル基またはビニル基等の不飽和二重結合を有する重合性の官能基を少なくとも2つ有するモノマーである。多官能モノマーの例としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2−エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート,1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,12−ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート等の、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル;アリル(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート等が挙げられる。多官能性モノマーは、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。これらのなかでも、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートを好ましく使用することができる。反応性等の観点から、通常は、2以上のアクリロイル基を有する多官能モノマーが好ましい。
多官能モノマーの使用量は、その分子量や官能基数等により異なるが、凝集力と接着力とをバランスよく両立する観点から、上記モノマー成分の3重量%以下とすることが好ましく、2重量%以下がより好ましく、1重量%以下(例えば0.5重量%以下)がさらに好ましい。また、多官能モノマーを使用する場合における使用量の下限値は、0重量%より大きければよく、特に限定されない。通常は、多官能モノマーの使用量をモノマー成分の0.001重量%以上(例えば0.01重量%以上)とすることにより、凝集力を向上させる効果が適切に発揮され得る。
特に限定するものではないが、上記モノマー成分に占める(A)成分、(B)成分および(C)成分の合計量の割合は、典型的には50重量%超であり、好ましくは70重量%以上、より好ましくは80重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上である。ここに開示される技術は、上記合計量の割合が95重量%以上(例えば99重量%以上)である態様で好ましく実施され得る。ここに開示される技術は、上記モノマー成分に占める上記合計量の割合が99.999重量%以下(例えば99.99重量%以下)である態様で好ましく実施され得る。
特に限定するものではないが、上記モノマー成分の組成に対応する重合体のTgは、保形層の物性、接着性等の観点から、−20℃以下であることが好ましく、−25℃以下であることがより好ましく、また−80℃以上であることが適当であり、−60℃以上であることが好ましく、−50℃以上(例えば−40℃以上、典型的には−35℃以上)であることがより好ましい。
ここで、モノマー成分の組成に対応する重合体のTgとは、上記モノマー成分に含まれる各モノマーの単独重合体(ホモポリマー)のTgおよび該モノマーの重量分率に基づいて、フォックス(Fox)の式から計算される値をいう。ただし、本明細書において、Tgの計算は単官能モノマーのみを考慮して行うものとする。したがって、モノマー成分が多官能モノマーを含む場合には、該モノマー成分に含まれる単官能モノマーの合計量を100重量%として、各単官能モノマーのホモポリマーのTgおよび該単官能モノマーの上記合計量に対する重量分率に基づいてTgを算出する。
ホモポリマーのTgとしては、以下に示すモノマーについては下記の値を採用するものとする。
2−エチルヘキシルアクリレート −70℃
n−ブチルアクリレート −55℃
イソステアリルアクリレート −18℃
シクロヘキシルアクリレート 15℃
イソボルニルアクリレート 94℃
N−ビニル−2−ピロリドン 54℃
2−ヒドロキシエチルアクリレート −15℃
4−ヒドロキシブチルアクリレート −40℃
アクリル酸 106℃
上記で例示した以外のモノマーについては、ホモポリマーのTgとして、「Polymer Handbook」(第3版、John Wiley & Sons, Inc., 1989)に記載の数値を用いるものとする。本文献に複数種類の値が記載されているモノマーについては、最も高い値が採用される。上記Polymer Handbookにも記載されていない場合には、特開2007−51271号公報に記載の測定方法により得られる値を用いるものとする。
(保形層形成用組成物)
ここに開示される保形層形成用組成物は、上述のような組成のモノマー成分を、重合物、未重合物(すなわち、重合性官能基が未反応である形態)、あるいはこれらの混合物の形態で含み得る。上記保形層形成用組成物は、有機溶媒中に保形層形成成分(例えば粘着成分)を含む形態の組成物(溶剤型保形層形成用組成物)、保形層形成成分が水性溶媒に分散した形態の組成物(水分散型保形層形成用組成物)、紫外線や放射線等の活性エネルギー線により硬化して保形層形成成分を形成するように調製された組成物(活性エネルギー線硬化型保形層形成用組成物)、加熱溶融状態で塗工され、室温付近まで冷えると保形層を形成するホットメルト型保形層形成用組成物等の、種々の形態であり得る。
上記保形層形成用組成物は、典型的には、該組成物のモノマー成分のうち少なくとも一部(モノマーの種類の一部であってもよく、分量の一部であってもよい。)を重合物の形態で含む。上記重合物を形成する際の重合方法は特に限定されず、従来公知の各種重合方法を適宜採用することができる。例えば、溶液重合、エマルション重合、塊状重合等の熱重合(典型的には、熱重合開始剤の存在下で行われる。);紫外線等の光を照射して行う光重合(典型的には、光重合開始剤の存在下で行われる。);β線、γ線等の放射線を照射して行う放射線重合;等を適宜採用することができる。なかでも光重合が好ましい。これらの重合方法において、重合の態様は特に限定されず、従来公知のモノマー供給方法、重合条件(温度、時間、圧力、光照射量、放射線照射量等)、モノマー以外の使用材料(重合開始剤、界面活性剤等)等を適宜選択して行うことができる。
重合にあたっては、重合方法や重合態様等に応じて、公知または慣用の光重合開始剤や熱重合開始剤を使用し得る。このような重合開始剤は、1種を単独でまたは2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
光重合開始剤としては、特に限定されるものではないが、例えばケタール系光重合開始剤、アセトフェノン系光重合開始剤、ベンゾインエーテル系光重合開始剤、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤、α−ケトール系光重合開始剤、芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤、光活性オキシム系光重合開始剤、ベンゾイン系光重合開始剤、ベンジル系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤等を用いることができる。
ケタール系光重合開始剤の具体例には、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(例えば、BASF社製の商品名「イルガキュア651」)等が含まれる。
アセトフェノン系光重合開始剤の具体例には、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニル−ケトン(例えば、BASF社製の商品名「イルガキュア184」)、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(例えば、BASF社製の商品名「イルガキュア2959」)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(例えば、BASF社製の商品名「ダロキュア1173」)、メトキシアセトフェノン等が含まれる。
ベンゾインエーテル系光重合開始剤の具体例には、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインエーテルおよびアニソールメチルエーテル等の置換ベンゾインエーテルが含まれる。
アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤の具体例には、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(例えば、BASF社製の商品名「イルガキュア819」)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−2,4−ジ−n−ブトキシフェニルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド(例えば、BASF社製の商品名「ルシリンTPO」)、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド等が含まれる。
α−ケトール系光重合開始剤の具体例には、2−メチル−2−ヒドロキシプロピオフェノン、1−[4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル]−2−メチルプロパン−1−オン等が含まれる。芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤の具体例には、2−ナフタレンスルホニルクロライド等が含まれる。光活性オキシム系光重合開始剤の具体例には、1−フェニル−1,1−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)−オキシム等が含まれる。ベンゾイン系光重合開始剤の具体例にはベンゾイン等が含まれる。ベンジル系光重合開始剤の具体例にはベンジル等が含まれる。
ベンゾフェノン系光重合開始剤の具体例には、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、ポリビニルベンゾフェノン、α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等が含まれる。
チオキサントン系光重合開始剤の具体例には、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、ドデシルチオキサントン等が含まれる。
熱重合開始剤としては、特に限定されるものではないが、例えばアゾ系重合開始剤、過酸化物系開始剤、過酸化物と還元剤との組合せによるレドックス系開始剤、置換エタン系開始剤等を使用することができる。より具体的には、例えば2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二硫酸塩、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]ハイドレート等のアゾ系開始剤;例えば過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、過酸化水素等の過酸化物系開始剤;例えばフェニル置換エタン等の置換エタン系開始剤;例えば過硫酸塩と亜硫酸水素ナトリウムとの組合せ、過酸化物とアスコルビン酸ナトリウムとの組合せ等のレドックス系開始剤;等が例示されるが、これらに限定されない。なお、熱重合は、例えば20〜100℃(典型的には40〜80℃)程度の温度で好ましく実施され得る。
このような熱重合開始剤または光重合開始剤の使用量は、重合方法や重合態様等に応じた通常の使用量とすることができ、特に限定されない。例えば、重合対象のモノマー成分100重量部に対して重合開始剤0.001〜5重量部(典型的には0.01〜2重量部、例えば0.01〜1重量部)を用いることができる。
(モノマー成分の重合物と未重合物とを含む保形層形成用組成物)
好ましい一態様に係る保形層形成用組成物は、該組成物のモノマー成分(原料モノマー)の少なくとも一部を含むモノマー混合物の重合反応物を含む。典型的には、上記モノマー成分の一部を重合物の形態で含み、残部を未重合物(未反応のモノマー)の形態で含む。上記モノマー混合物の重合反応物は、該モノマー混合物を少なくとも部分的に重合させることにより調製することができる。
上記重合反応物は、好ましくは上記モノマー混合物の部分重合物である。このような部分重合物は、上記モノマー混合物に由来する重合物と未反応のモノマーとの混合物であって、典型的にはシロップ状(粘性のある液状)を呈する。以下、かかる性状の部分重合物を「モノマーシロップ」または単に「シロップ」ということがある。
上記重合反応物を得る際の重合方法は特に制限されず、上述のような各種重合方法を適宜選択して用いることができる。効率や簡便性の観点から、光重合法を好ましく採用し得る。光重合によると、光の照射量(光量)等の重合条件によって、上記モノマー混合物の重合転化率を容易に制御することができる。
上記部分重合物におけるモノマー混合物の重合転化率(モノマーコンバーション)は、特に限定されない。上記重合転化率は、例えば70重量%以下とすることができ、60重量%以下とすることが好ましい。上記部分重合物を含む保形層形成用組成物の調製容易性や塗工性等の観点から、通常、上記重合転化率は、50重量%以下が適当であり、40重量%以下(例えば35重量%以下)が好ましい。重合転化率の下限は特に制限されないが、典型的には1重量%以上であり、通常は5重量%以上とすることが適当である。
上記モノマー混合物の部分重合物を含む保形層形成用組成物は、例えば、原料モノマーの全部を含むモノマー混合物を適当な重合方法(例えば光重合法)により部分重合させることにより容易に得ることができる。上記部分重合物を含む保形層形成用組成物には、必要に応じて用いられる他の成分(例えば、光重合開始剤、多官能モノマー、架橋剤、後述するアクリル系オリゴマー等)が配合され得る。そのような他の成分を配合する方法は特に限定されず、例えば上記モノマー混合物にあらかじめ含有させてもよく、上記部分重合物に添加してもよい。
また、ここに開示される保形層形成用組成物は、モノマー成分(原料モノマー)のうち一部の種類のモノマーを含むモノマー混合物の完全重合物が、残りの種類のモノマーまたはその部分重合物に溶解した形態であってもよい。このような形態の保形層形成用組成物も、モノマー成分の重合物と未重合物とを含む保形層形成用組成物の例に含まれる。なお、本明細書において「完全重合物」とは、重合転化率が95重量%超であることをいう。
このようにモノマー成分の重合物と未重合物とを含む保形層形成用組成物から保形層を形成する際の硬化方法(重合方法)としては、光重合法を好ましく採用することができる。光重合法によって調製された重合反応物を含む保形層形成用組成物では、その硬化方法として光重合法を採用することが特に好ましい。光重合法により得られた重合反応物は、すでに光重合開始剤を含むので、この重合反応物を含む保形層形成用組成物をさらに硬化させて保形層を形成する際、新たな光重合開始剤を追加しなくても光硬化し得る。あるいは、光重合法により調製された重合反応物に、必要に応じて光重合開始剤を追加した組成の保形層形成用組成物であってもよい。追加する光重合開始剤は、重合反応物の調製に使用した光重合開始剤と同じでもよく、異なってもよい。光重合以外の方法で調製された保形層形成用組成物は、光重合開始剤を添加することにより光硬化性とすることができる。光硬化性の保形層形成用組成物は、厚手の保形層であっても容易に形成し得るという利点を有する。好ましい一態様において、保形層形成用組成物から保形層を形成する際の光重合は、紫外線照射により行うことができる。紫外線照射には、公知の高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、メタルハライドランプ等を用いることができる。
(モノマー成分を完全重合物の形態で含む保形層形成用組成物)
好ましい他の一態様に係る保形層形成用組成物は、該組成物のモノマー成分を完全重合物の形態で含む。このような保形層形成用組成物は、例えば、モノマー成分の完全重合物であるアクリル系ポリマーを有機溶媒中に含む溶剤型保形層形成用組成物、上記アクリル系ポリマーが水性溶媒に分散した水分散型保形層形成用組成物、等の形態であり得る。
((メタ)アクリル系オリゴマー)
ここに開示される保形層形成用組成物には、接着力向上の観点から、(メタ)アクリル系オリゴマーを含有させることができる。(メタ)アクリル系オリゴマーを含有させることにより、保形層の接着力は向上し得る。
上記(メタ)アクリル系オリゴマーは、Tgが約0℃以上300℃以下、好ましくは約20℃以上300℃以下、さらに好ましくは約40℃以上300℃以下であることが望ましい。Tgが上記範囲内であることにより、接着力を好ましく向上することができる。なお(メタ)アクリル系オリゴマーのTgは、上記アクリル系ポリマーのTgと同様、Foxの式に基づいて計算される値である。
(メタ)アクリル系オリゴマーの重量平均分子量(Mw)は、典型的には1000以上30000未満、好ましくは1500以上20000未満、さらに好ましくは2000以上10000未満であり得る。Mwが上記範囲内にあることで、良好な接着力や保持特性が得られるため好ましい。(メタ)アクリル系オリゴマーのMwは、GPCにより測定し、標準ポリスチレン換算の値として求めることができる。具体的には、東ソー社製「HPLC8020」に、カラムとしてTSKgelGMH−H(20)×2本を用いて、テトラヒドロフラン溶媒で流速約0.5mL/分の条件にて測定される。
(メタ)アクリル系オリゴマーを構成するモノマーとしては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、s−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレートのようなアルキル(メタ)アクリレート;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレートのような(メタ)アクリル酸と脂環族アルコールとのエステル;フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートのようなアリール(メタ)アクリレート;テルペン化合物誘導体アルコールから得られる(メタ)アクリレート;等が挙げられる。このような(メタ)アクリレートは、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
(メタ)アクリル系オリゴマーとしては、イソブチル(メタ)アクリレートやt−ブチル(メタ)アクリレートのようなアルキル基が分岐構造を有するアルキル(メタ)アクリレート;シクロヘキシル(メタ)アクリレートやイソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレートのような(メタ)アクリル酸と脂環式アルコールとのエステル;フェニル(メタ)アクリレートやベンジル(メタ)アクリレートのようなアリール(メタ)アクリレート等の環状構造を有する(メタ)アクリレートに代表される、比較的嵩高い構造を有するアクリル系モノマーをモノマー単位として含んでいることが、接着性をさらに向上させることができる観点から好ましい。また、(メタ)アクリル系オリゴマーの合成の際や保形層の作製の際に紫外線を採用する場合には、重合阻害を起こしにくいという点で、飽和結合を有するものが好ましく、アルキル基が分岐構造を有するアルキル(メタ)アクリレート、または脂環式アルコールとのエステルを、(メタ)アクリル系オリゴマーを構成するモノマーとして好ましく用いることができる。
このような点から、好適な(メタ)アクリル系オリゴマーとしては、例えば、ジシクロペンタニルメタクリレート(DCPMA)、シクロヘキシルメタクリレート(CHMA)、イソボルニルメタクリレート(IBXMA)、イソボルニルアクリレート(IBXA)、ジシクロペンタニルアクリレート(DCPA)、1−アダマンチルメタクリレート(ADMA)、1−アダマンチルアクリレート(ADA)の各単独重合体のほか、CHMAとイソブチルメタクリレート(IBMA)との共重合体、CHMAとIBXMAとの共重合体、CHMAとアクリロイルモルホリン(ACMO)との共重合体、CHMAとジエチルアクリルアミド(DEAA)との共重合体、ADAとメチルメタクリレート(MMA)の共重合体、DCPMAとIBXMAとの共重合体、DCPMAとMMAの共重合体、等が挙げられる。
ここに開示される保形層形成用組成物に(メタ)アクリル系オリゴマーを含有させる場合、その含有量は特に限定されないが、保形層形成用組成物に含まれるモノマー成分100重量部に対して凡そ1重量部以上とすることが適当である。(メタ)アクリル系オリゴマーの効果をよりよく発揮させる観点からは、上記(メタ)アクリル系オリゴマーの含有量は、3重量部以上(例えば5重量部以上、典型的には8重量部以上)とすることが好ましい。また、保形層形成用組成物の硬化性やアクリル系ポリマーの部分重合物や完全重合物との相溶性(ひいては保形層の透明性)等の観点から、上記(メタ)アクリル系オリゴマーの含有量は、保形層形成用組成物に含まれるモノマー成分100重量部に対して70重量部以下(例えば40重量部以下、典型的には20重量部以下)とすることが適当である。ここに開示される技術は、(メタ)アクリル系オリゴマーを使用しない態様でも実施され得る。
(シランカップリング剤)
さらに、ここに開示される保形層形成用組成物は、シランカップリング剤を含有することができる。好ましく用いられ得るシランカップリング剤としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ基含有シランカップリング剤;3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチルブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基含有シランカップリング剤;3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等の(メタ)アクリル基含有シランカップリング剤;3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等のイソシアネート基含有シランカップリング剤;等が挙げられる。これらは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。シランカップリング剤の配合量は、アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分100重量部に対して、好ましくは1重量部以下(例えば0.01〜1重量部)であり、より好ましくは0.02〜0.6重量部である。
(架橋剤)
ここに開示される保形層形成用組成物は、架橋剤を含有することができる。架橋剤としては、封止樹脂や粘着剤の分野において公知ないし慣用の架橋剤を使用することができる。例えば、エポキシ系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、シリコーン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、シラン系架橋剤、アルキルエーテル化メラミン系架橋剤、金属キレート系架橋剤等が挙げられる。これらは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。架橋剤の添加量は、技術常識に基づき適切に設定される。あるいは、保形層形成用組成物は、上述のような架橋剤を含まないものであってもよい。
(その他の添加剤)
その他、ここに開示される保形層形成用組成物には、例えば粘着剤や封止樹脂の分野において公知の各種添加剤を含有させることができる。例えば、着色剤、顔料等の粉体、染料、界面活性剤、可塑剤、粘着付与樹脂、表面潤滑剤、レベリング剤、軟化剤、酸化防止剤、老化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、無機または有機の充填剤、金属粉、粒子状、箔状物等を、用途に応じて適宜添加することができる。
(形成方法等)
ここに開示される保形層は、例えば、ここに開示されるいずれかの保形層形成用組成物を支持体に塗布して乾燥または硬化させることにより保形層(シート状保形材であり得る。)として形成することができる。保形層形成用組成物の塗布方法としては、従来公知の各種の方法を使用可能である。具体的には、例えば、ロールコート、キスロールコート、グラビアコート、リバースコート、ロールブラッシュ、スプレーコート、ディップロールコート、バーコート、ナイフコート、エアーナイフコート、カーテンコート、リップコート、ダイコーター等による押出しコート法等の方法が挙げられる。
保形層形成用組成物の乾燥は加熱下で行うことができる。乾燥温度は、40℃〜200℃が好ましく、50℃〜180℃がより好ましく、70℃〜170℃がさらに好ましい。加熱温度を上記の範囲とすることによって、優れた物性を有する保形層を得ることができる。乾燥時間は、適宜、適切な時間が採用され得る。上記乾燥時間は、5秒〜20分が好ましく、5秒〜10分がより好ましく、10秒〜5分がさらに好ましい。
保形層の形成にあたっては、所望の物性を得るため、さらに架橋処理、熱硬化処理等が施され得る。例えば、凡そ80〜200℃(例えば100〜180℃、典型的には120〜160℃)で、5分以上の熱硬化処理が施され得る。熱硬化処理時間は、好ましくは10分以上、より好ましくは20分以上(例えば30分以上、典型的には40分〜120分)である。上記保形層は、熱硬化処理前または処理中にプレス処理を行うことが好ましい。
ここに開示される保形層は、上記保形層形成用組成物から得ることができる。保形層の厚さは特に制限されず、例えば1〜400μm程度であり得る。通常、保形層の厚さは、1〜200μmが好ましく、2〜150μmがより好ましく、2〜100μmがさらに好ましく、5〜75μmが特に好ましい。
封止樹脂層に積層される前または導電部を配置する前の保形層は、前面および背面がいずれも剥離面(剥離性の表面)である剥離ライナー(支持体)と重ね合わされて渦巻き状に巻回された形態であり得る。あるいは、第1表面および第2表面が2枚の独立した剥離ライナー(支持体)によりそれぞれ保護された形態であってもよい。
剥離ライナーとしては、慣用の剥離紙等を使用することができ、特に限定されない。例えば、プラスチックフィルムや紙等の基材の表面に剥離処理層を有する剥離ライナーや、フッ素系ポリマー(ポリテトラフルオロエチレン等)やポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン等)の低接着性材料からなる剥離ライナー等を用いることができる。上記剥離処理層は、上記基材を剥離処理剤により表面処理して形成されたものであり得る。剥離処理剤の例としては、シリコーン系剥離処理剤、長鎖アルキル系剥離処理剤、フッ素系剥離処理剤、硫化モリブデン(IV)等が挙げられる。
<導電部>
導電部(第1導電部および第2導電部を包含する。また、その第1導電パス単位および第2導電パス単位の太陽電池セル接触部分や接続部分を包含し得る。以下同じ。)は、典型的には導電性材料を含む。導電部は、例えば、導電性材料としての導電性ペーストを付与することによって形成される。これにより、部品点数を削減しつつ導電経路を効率よく形成することができる。導電性ペーストとしては、金、銀、銅、アルミニウム、鉄、ニッケル、錫、クロム、ビスマス、インジウム、それらの合金等の金属材料からなる導電成分や、カーボン等の非金属からなる導電成分(以下同じ。)と、ポリエステルやエポキシ樹脂等の樹脂成分とを適当な溶媒を用いて混合してなるペースト状組成物が用いられ得る。なかでも、経時安定性の観点から、導電成分として銀または銅を使用することが好ましい。導電性ペーストの具体例としては、銀ペースト(商品名「ペルトロンK−3105」、ペルノックス社製、導電成分:Ag、樹脂成分:ポリエステル樹脂、比抵抗:6.5×10−5Ω・cm)が挙げられる。導電性ペーストの25℃における比抵抗は、凡そ5×10−4Ω・cm以下(例えば1×10−4Ω・cm以下、典型的には5.0×10−7Ω・m以下)であることが好ましい。また、導電性ペーストを構成する導電成分の比抵抗は5.0×10−7Ω・m以下であることが好ましい。
導電部は、公知のディスペンサを用いて導電性ペーストを保形層の表面に塗布することによって形成することができる。あるいは、導電性ペーストを、保形層の表面に対してではなく、剥離性支持体(例えばシート状剥離ライナー)の表面に塗布し、該剥離性支持体表面に所定のパターンを有する導電部を形成し、当該導電部を保形層の表面に転写することによって、保形層表面に導電部を形成してもよい。
また、導電部の導電パス単位(第1導電パス単位および第2導電パス単位を包含する。)を構成する接続部分として導電性シートを用いてもよい。好ましい一態様に係る導電パス単位は、その太陽電池セル接触部分を上述のような導電性ペーストで形成し、接続部分となる導電性シートを上記導電性ペーストで形成した太陽電池セル接触部分と接続するように配置したものである。導電性シートは、上述の導電成分が樹脂中に配合された導電性樹脂シートや、銅、アルミニウム等の金属、合金等からなる金属シート(例えば金属箔)から選択され得る。なかでも、位置合わせや作業性に優れることから、導電性シートとして、少なくとも一方の表面(典型的にはは両面)に接着性を有する導電性接着シートを用いることが好ましい。
導電性接着シートとしては、導電性粘着シートや、ホットメルト型、熱硬化型、乾燥型、湿気硬化型、2液反応硬化型、紫外線(UV)硬化型、嫌気型、UV嫌気型等の各種導電性接着シートを用いることができる。上記接着シートの接着剤成分としては、ウレタン系、アクリル系、エポキシ系等の接着剤成分が用いられ得る。なかでも、加熱作業が不要であり、取扱い性に優れる導電性粘着シートが特に好ましい。典型的には、上述の導電成分(より好ましくは銀フィラー)を3〜70重量%程度含む粘着剤層(例えばアクリル系粘着剤層)からなる基材レスの粘着シートや、銅箔やアルミニウム箔等の金属箔基材の少なくとも一方の表面(典型的には両面)に前述の粘着剤層が形成されてなる粘着シートが好ましく使用される。上記粘着剤層には、目的に応じて粘着付与剤や架橋剤その他の添加剤が含まれ得る。上記粘着シートとしては、例えば特開2012−7093号公報に記載されているものが好ましく使用され得る。あるいはまた、導電性粘着シートは、上述の導電性基材の両面に非導電性粘着剤層が形成されてなる両面粘着シートであって、該導電性基材が部分的に粘着剤層の表面に露出してなる導電性粘着シートであってもよい。そのような導電性粘着シートとしては、例えば特開平8−185714号公報に記載されているものが挙げられる。
他の好ましい一態様では、導電部は、低融点(例えば融点300℃以下、好ましくは250℃以下)の金属材料(典型的には合金)をホットメルト塗工することにより形成される。具体的には、保形層の表面に、市販のホットメルトディスペンサー(例えば武蔵エンジニアリング社製)を用いて低融点合金(例えば、荒川化学工業社製の「SnBiはんだ」、融点139℃)を塗工することにより、導電部を形成することができる。低融点金属材料の塗布は、保形層の表面に対してではなく、剥離性支持体(例えば剥離ライナー)の表面に対して行ってもよい。その場合、剥離性支持体表面に所定のパターンを有するように形成した導電部を、保形層の表面に転写することによって、保形層表面に導電部を形成することができる。なお、スクリーン印刷等の各種印刷法を採用することによっても、上記と同様の構成を得ることができる。
また、他の好ましい一態様では、導電部を構成する材料として、金、銀、銅、アルミニウム、鉄、ニッケル、錫、クロム、ビスマス、インジウム、それらの合金等の金属材料が好ましく用いられ得る。なかでも、銀、銅、アルミニウム、鉄がより好ましく、銅、アルミニウムがさらに好ましい。実質的に金属から構成された導電経路は、より低抵抗であるという利点を有する。一典型例として、太陽電池セル接触部分が金属ワイヤーからなる導電線であり、その接続部分が金属シート(典型的には金属箔)である導電パス単位から構成された導電部が挙げられる。上記金属ワイヤーの例としては、錫(Sn)や銀(Ag)等のめっきコーティングが施されたものが挙げられる。そのめっき厚は10μm以下(例えば3μm以下)程度であり得る。上記金属シート(典型的には金属箔)としては、粗化処理や防錆処理、密着性向上処理の少なくとも1種の表面処理が施されたものが好ましく用いられ得る。金属シートの好適例としては銅箔(なかでも電解銅箔)が挙げられる。
上記導電部を有する封止シート(第1封止シートおよび第2封止シートを包含する。)は、例えば次のようにして作製される。すなわち、まず、太陽電池セル接触部分の導電線と接続部分とを固定して、導電パス単位(導電部材ともいう。)を作製する。そして、作製した導電パス単位を保形層の表面に配置することによって(導電パス単位が複数の場合には、各々を間隔をおいて配置することによって)、導電部付き封止シートは作製される。なお、保形層と導電部とは、例えば粘着剤や接着剤等の公知ないし慣用の接着手段を用いて接着されていてもよい。
導電パス単位における太陽電池セル接触部分(例えば導電線)と接続部分との固定方法としては、溶接を採用することが好ましい。溶接方法としては、従来公知の各種の溶接を採用することができ、例えば、アーク溶接、抵抗溶接、レーザービーム溶接、電子ビーム溶接、超音波溶接が好ましく採用され得る。あるいは、めっき接合や、導電性粘着剤による固定方法を採用することも可能である。
導電部が金属材料によって構成されている他の好適例としては、導電パス単位が金属ワイヤーからなる構成が挙げられる。金属ワイヤーとしては、上述のものを好ましく用いることができる。金属ワイヤー同士の接合には、前述の溶接等、各種の接合方法が採用され得る。
あるいは、導電パス単位は、パターン化された金属シートによって形成されていてもよい。そのような導電パス単位は、金属シートをエッチングすることによって、太陽電池セル接触部分と接続部分とを一体として形成することができる。具体的には、金属シート(典型的には金属箔)の表面にレジストを貼り、フォトリソグラフィ技術を適用して所定のレジストパターンを形成する。次いで、公知ないし慣用のエッチング液を用いて金属シートをパターン化する。このようにして導電パス単位を形成し、保形層表面に配置することによって、導電部付き封止シートを得ることができる。なお、各種蒸着法によっても同様の構成を得ることができる。
あるいはまた、導電パス単位は、メッシュ構造の金属シート(メッシュシート)によって形成されていてもよい。上記メッシュシートは、典型的には、縦横に複数の金属線が配置されてなる網目構造(メッシュ形状)を有する。より具体的には、導電パス単位は、一方向に沿って配列した複数の金属線(縦線)と、該縦線と交差(典型的には、ほぼ直交)する方向に配列した複数の金属線(横線)と、から構成された網目構造を有する。縦線および横線のそれぞれにおいて、複数の金属線は間隔をおいて配置されており、典型的には、ほぼ平行している。なお、上記メッシュ形状の線径や目開きは、後述の導電線の幅、間隔および接続部分の幅の範囲内となるように設定され得る。
あるいはまた、導電パス単位の導電線は導電材料(例えば銅等の金属)を含むメッシュ材料によって形成されていてもよい。上記メッシュ材料は、金属線と樹脂繊維(典型的には透明樹脂繊維)との複合材料であり得る。上記金属線はストライプ状に配置されており、樹脂繊維は金属線と同方向に、かつ金属線と交差する方向に配置されており、これによってメッシュ構造が形成されている。上記メッシュ材料は、金属線が所定方向に配列するように該金属線を樹脂繊維に編み込むことによって作製され得る。この場合、横糸に樹脂繊維を用い、縦糸に金属線および樹脂繊維を用いるとよい。上記メッシュ材料を保形層表面に配置することによって、導電部付き封止シートを得ることができる。上記樹脂繊維は、透明性が高く絶縁性に優れる材料であることが好ましい。具体例としては、上記金属線が銅線であり、樹脂繊維が透明性に優れるPET繊維であるメッシュ材料が挙げられる。上記メッシュ材料は、例えばNBCメッシュテック社から入手可能である。
導電パス単位を構成する接続部分は、単層構造であってもよく多層構造であってもよい。また、第1封止シートと第2封止シートとで太陽電池セルを挟むときに、第1導電パス単位の接続部分と第2導電パス単位の接続部分との間に追加の導電性接続部材が配置されていてもよい。そのような導電性接続部材としては、上記接続部分として用いられ得る材料のなかから適切なものを選択して用いることができる。その好適例としては、金属シート(具体的には金属箔)や導電性接着シートが挙げられる。これによって、第1封止シートと第2封止シートとで太陽電池セルを挟んだときに、第1導電パス単位の接続部分と第2導電パス単位の接続部分との積層部分の厚みが増大し、第1導電パス単位の接続部分と第2導電パス単位の接続部分間における接触状態がよりよくなり、集電効率が向上する。上記導電性接続部材の形状は、特に限定されず、第1導電パス単位の接続部分や第2導電パス単位の接続部分と同様の形状とすることが好ましい。
導電パス単位を構成する接続部分は、上記のように帯状に連続した層(導電層)であり得るが、断続した層であってもよい。例えば、接続部分は、断続した帯形状を有していてもよく、ドット状(粒状ともいう。)に配置してなるものであってもよい。なお、ドット状とは典型的には粒状であり、例えば、真球状、扁平球状等の球状であり得る。そのような形状の接続部分は、例えば、上記の導電性ペーストや低融点金属材料を用いることによって形成することができる。
導電パス単位の接続部分は、太陽電池モジュール内においては太陽電池セルと間隔をおいて配置されているが、太陽電池セルとの短絡を確実に防止するため、接続部分と太陽電池セルとの間には、絶縁部を設けることが好ましい。例えば、隣りあう2つの太陽電池セルの間に帯状の接続部分を配置する場合には、接続部分の幅方向の両端に絶縁部を設けることが好ましい。絶縁部は、公知の絶縁性樹脂材料を塗布することにより設けることができる。あるいは、ポリイミドテープ等の公知の絶縁樹脂シートを被覆することによって設けることもできる。絶縁部として、スリーエム社製の商品名「セロファンテープ」を使用することも可能である。
接続部分を、上記のような導電性ペーストや低融点金属材料で帯状に形成する場合においては、その幅方向の両端に絶縁部を設ける利点は特に大きい。かかる構成においては、接続部分および絶縁部は、三口ノズルを有するディスペンサを用いて塗り分けることにより形成すればよい。導電層形成材料としては、上述の導電部を形成し得る材料と同様の材料を用いればよい。絶縁層形成材料としては、ポリイミドやポリエステル等の樹脂を主成分とする従来公知の樹脂ペースト等を用いればよい。
なお、上述のとおり、導電パス単位の太陽電池セル接触部分と接続部分とは、同一の方法で例えば一体として形成してもよく、異なる方法で形成した後、両者を接続して導電パス単位として利用してもよい。
導電パス単位が導電線を有する場合、導電線の幅(複数の導電線を有する場合は各々の幅)は、集電ロス低減、強度、ハンドリング性および作業性の観点から、好ましくは30μm以上であり、より好ましくは100μm以上であり、さらに好ましくは500μm以上である。また上記幅は、シャドーロス低減等の観点から、好ましくは1500μm以下であり、より好ましくは1200μm以下であり、さらに好ましくは1000μm以下である。なお、上記幅は、導電線の長手方向に直交する長さ(幅)を指す。
また、線状に延びる複数の導電線を間隔をおいて配置する場合、導電線の間隔は、シャドーロス低減等の観点から、好ましくは0.1cm以上であり、より好ましくは0.8cm以上であり、さらに好ましくは1.5cm以上である。また上記間隔は、集電ロス低減の観点からは、好ましくは4.0cm未満であり、より好ましくは3.0cm未満であり、さらに好ましくは2.5cm以下である。なお、上記間隔はピッチであり、導電線の幅方向における中心線間の距離を指す。
導電パス単位における接続部分が線状(帯状ともいう。)に延びる形状を有する場合、接続部分の幅は、太陽電池モジュールの円滑な電気的接続の観点から、好ましくは0.1mm以上であり、より好ましくは0.3mm以上であり、さらに好ましくは0.5mm以上である。また上記幅は、好ましくは2mm以下であり、より好ましくは1.5mm以下であり、さらに好ましくは1.0mm以下である。なお、上記幅は、接続部分の長手方向に直交する長さ(幅)を指す。
導電部の厚さ(高さ)は、導電性、強度、ハンドリング性および作業性の観点から、0.01〜1mm(例えば0.02〜0.5mm、典型的には0.05〜0.3mm)程度とすることが好ましい。導電パス単位、導電線、接続部分の厚さも同様の範囲から好ましく選定される。
<太陽電池セル>
使用される太陽電池セルの種類は特に限定されず、例えば単結晶型や多結晶型の結晶系Siセルが好適である。結晶系Siセルは、p型セル(p型基板にn型が付加されたセル)であってもよく、n型セル(n型基板にp型が付加されたセル)であってもよい。また、太陽電池セルは、アモルファス系Siセル、化合物系、有機系等の太陽電池セルであってもよい。形状も特に限定されず、ほぼ矩形状平面を有するウエハであってもよく、帯状等であってもよい。太陽電池セルの厚さは、軽量性等の観点から、好ましくは0.5mm以下程度であり、より好ましくは0.3mm以下(例えば180〜200μm程度)、さらに好ましくは160μm以下程度であり得る。
<表面被覆部材>
表面被覆部材としては、透光性を有する各種材料が使用され得る。表面被覆部材は、ガラス板や、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン樹脂、クロロトリフルオロエチレン樹脂等のフッ素樹脂シート、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル等の材料から構成された樹脂シートであり得る。例えば、全光線透過率が70%以上(例えば90%以上、典型的には95%以上)の平板状部材またはシート状部材が好ましく用いられ得る。上記全光線透過率は、JIS K 7375:2008に基づいて測定すればよい。表面被覆部材の厚さは、保護性や軽量性等の観点から、0.5〜10mm(例えば1〜8mm、典型的には2〜5mm)程度とすることが好ましい。
<裏面被覆部材>
裏面被覆部材としては、表面被覆部材の材料として例示した各種材料からなる平板状部材またはシート状部材が好ましく使用される。なかでも、裏面被覆部材形成材料として、PETやPEN等のポリエステルを使用することがより好ましい。あるいは、裏面被覆部材として、耐食性を有する金属板(例えばアルミニウム板)や、エポキシ樹脂等の樹脂シート、シリカ蒸着樹脂等の複合シートを用いてもよい。裏面被覆部材の厚さは、取扱い性や軽量性等の観点から、0.1〜10mm(例えば0.2〜5mm)程度とすることが好ましい。なお、裏面被覆部材は透光性を有していなくてもよい。
≪導電部付き封止シートの製造方法≫
次に、ここに開示される導電部付き封止シートの製造方法について説明する。ここに開示される導電部付き封止シートの製造方法は、シート状封止樹脂を用意する工程(A)と、封止樹脂に導電部を保形層が介在した状態で固定する工程(B)と、を含む。また、工程(B)は、(B1)封止樹脂の表面に保形層を積層した後、保形層の表面に導電部を部分的に配置する工程;および(B2)保形層となるシート状の保形材を用意し、保形材の第1表面に導電部を部分的に配置した後、保形材の第2表面を封止樹脂に貼り合わせる工程;のいずれかを含む。
工程(B1)は、具体的には、工程(A)にて用意したシート状の封止樹脂の第1表面に保形層を積層する工程を含む。積層する前の保形層(保形材ともいう。)の形態は特に限定されず、その少なくとも一方の表面(好ましくは両面。換言すると、第1表面および第2表面)が剥離性支持体に保護された形態であり得る。このような保形材を用意して、保形材の第2表面を露出させる。上記保形材の第2表面が剥離性支持体に保護されている場合には、上記剥離性支持体を剥がして、保形材の第2表面を露出させる。そして、露出した保形材の第2表面を封止樹脂の第1表面に貼り合わせる。このようにして、封止樹脂の表面に保形層(保形材)を積層することができる。
次に、封止樹脂の表面に積層された保形層の表面(第1表面)に導電部を部分的に配置する。保形層の第1表面が剥離性支持体に保護されている場合には、上記剥離性支持体を剥がして、保形層の第1表面を露出させ、露出した保形層の第1表面に導電部を配置する。このようにして、封止樹脂と導電部との間に保形層が配置された導電部付き封止シートを得ることができる。なお、保形層の第1表面に配置する導電部は、あらかじめ作製した金属製の導電部材(導電部)であってもよく、剥離性支持体(導電部形成用剥離性支持体)の表面にあらかじめ形成しておいた導電部材(導電部)であってもよい。剥離性支持体の表面に形成した導電部を保形層の第1表面に配置する場合、具体的には、剥離性支持体表面上の導電部を保形層の第1表面に転写する工程を含む。この転写工程は、典型的には、導電部が剥離性支持体に支持された状態で行われる。導電部上の剥離性支持体は、そのまま導電部付き封止シートの第1表面(導電部形成面)の保護に使用され、導電部付き封止シートを使用するときに除去される。
工程(B2)は、具体的には、保形層となるシート状の保形材を用意する工程を含む。保形材の形態は特に限定されず、その少なくとも一方の表面(好ましくは両面。換言すると、第1表面および第2表面)が剥離性支持体に保護された形態であり得る。
次に、保形材の第1表面に導電部を部分的に配置する。保形材の第1表面が剥離性支持体に保護されている場合には、上記剥離性支持体を剥がして、保形材の第1表面を露出させ、露出した保形材の第1表面に導電部を配置する。これによって、保形材の第1表面に導電部が部分的に配置された導電部付き保形材が得られる。なお、保形材の第1表面に配置する導電部は、あらかじめ作製した金属製の導電部材(導電部)であってもよく、導電部用の剥離性支持体の表面にあらかじめ形成しておいた導電部材(導電部)であってもよい。
また、保形材の第1表面に導電部を配置する工程は、保形材の第2表面を剥離性支持体で保護した状態で行うことが好ましい。所定の機械的強度を有する剥離性支持体で保形材を支持した状態で導電部の配置作業を行うことにより、保形材の第1表面上に導電部を効率的に且つ精度よく配置することができる。また、剥離性支持体の表面に形成した導電部を保形材の第1表面に配置する方法は、具体的には、剥離性支持体表面上の導電部を保形材の第1表面に転写する工程を含む。この転写工程は、典型的には、導電部が剥離性支持体に支持された状態で行われる。導電部の転写によって、導電部付き固定材の両面(すなわち導電部形成面および導電部非形成面の両方の表面)が剥離性支持体で覆われた状態となり得る。なお、導電部上の剥離性支持体は、そのまま導電部付き封止シートの第1表面(導電部形成面)の保護に使用され得る。これら剥離性支持体は、導電部付き封止シートの使用時に除去される。
その後、上記保形材(典型的には導電部付き保形材)の第2表面(導電部非形成面)を封止樹脂に貼り合わせる。上記保形材の第2表面が剥離性支持体に保護されている場合には、上記剥離性支持体を剥がして、保形材の第2表面を露出させる。そして、露出した保形材の第2表面を封止樹脂の第1表面に貼り合わせる。このようにして、封止樹脂の表面に導電部付き保形材を積層することができ、封止樹脂と導電部との間に保形層が配置された導電部付き封止シートを得ることができる。
なお、上記金属製の導電部材や、剥離性支持体の表面に形成し得る導電部については、上記で説明したとおりである。また、剥離性支持体としては、上記で説明した剥離ライナーを使用すればよい。導電部付き封止シートの製造に関するその他の事項については、本明細書の記載内容および技術常識を参酌して実施可能であるので、説明は省略する。
≪太陽電池モジュールの製造方法≫
ここに開示される太陽電池モジュールは、上記導電部付き封止シートを用いて製造される。具体的には、上記の方法によって得られた導電部付き封止シートを、太陽電池モジュールにおける第1封止シートおよび第2封止シートとして利用する。そして、上記第1封止シートおよび第2封止シートで、太陽電池セルを挟んで、上記封止シートの導電部と太陽電池セルとを当接させて封止することによって、太陽電池モジュールは製造される。
好ましい一態様では、太陽電池モジュールは、例えば裏面被覆部材、第2封止シート、太陽電池セル、第1封止シートおよび表面被覆部材を、この順番で積層する工程を含み得る。第2封止シート上への太陽電池セルの配置は、第2封止シートの第2導電部と太陽電池セルの裏面とが当接するように行われる。また、第1封止シートは、その第1導電部が太陽電池セルの表面と当接するように配置される。このようにして、ここに開示される構成を有する太陽電池モジュールを製造することができる
また、太陽電池モジュールは、次の方法で製造することも可能である。具体的には、太陽電池モジュールは:シート状の保形材と、該保形材の第1表面に部分的に配置された導電部と、を備える導電部付き保形材を用意する工程と;シート状の封止樹脂と太陽電池セルとを導電部付き保形材が介在した状態で固定する工程と;を含む方法によって製造され得る。
シート状の保形材としては、上記導電部付き封止シートの製造方法において説明した保形材または保形層を使用することができる。その場合、保形材は、その少なくとも一方の表面(好ましくは両面。換言すると、第1表面および第2表面)が剥離性支持体に保護された形態であり得る。この保形材を用いて導電部付き保形材を作製する。具体的には、保形材の第1表面に導電部を部分的に配置することによって、導電部付き保形材を作製する。導電部付き保形材の製法、構造等は、上記導電部付き封止シートの製造方法の(B2)工程において説明したとおりである。
そして、上記導電部付き保形材を用いて、導電部付き保形材が介在した状態でシート状の封止樹脂と太陽電池セルとを固定する。この固定工程は、具体的には、用意した導電部付き保形材の第2表面(導電部非形成面)と封止樹脂の一方の表面(第1表面)とを貼り合わせる工程(貼り合わせ工程)と、導電部付き保形材の導電部と太陽電池セルとを当接させる工程(当接工程)と、を含む。この当接工程は、典型的には、導電部付き保形材と太陽電池セルとを積層する工程であり得る。上記貼り合わせ工程および上記当接工程の順序は特に限定されない。例えば、太陽電池セルの裏面側については、上記貼り合わせ工程を行った後に上記当接工程を行い、太陽電池セルの表面側については、上記当接工程を行った後に上記貼り合わせ工程を行うことも可能である。なお、上記貼り合わせ工程を行った後に上記当接工程を行う方法は、上記(B2)工程を利用した製造方法と基本的に同様である。
上記当接工程を行った後に上記貼り合わせ工程を行う方法は、具体的には、少なくとも1つの太陽電池セルの一方の表面に、剥離性支持体で第2表面が保護された導電部付き保形材の第1表面(導電部形成面)を貼り合わせる。このとき、導電部付き保形材の導電部を太陽電池セルの表面に当接させる。典型的には、導電部付き保形材が備える少なくとも1つの導電パス単位が、少なくとも1つの太陽電池セルとそれぞれ当接するように導電部付き保形材を太陽電池セルに貼り合わせる。次いで、太陽電池セルの一方の表面に貼り合わせた導電部付き保形材の第2表面(導電部非形成面)を剥離性支持体を除去して露出させ、当該第2表面にシート状の封止樹脂を積層し、太陽電池モジュールを構築する。
導電部付き保形材を利用した太陽電池モジュールの製造方法の一例としては、次の方法が挙げられる。すなわち、裏面被覆部材上にシート状封止樹脂を配置し、その上に導電部付き保形材を、その第2表面(導電部非形成面)が上記封止樹脂側となるように積層する。次いで、太陽電池セルを、上記導電部付き保形材の第1表面(導電部形成面)の導電部と当接するように配置する。その上に、もう一枚の導電部付き保形材を用意し、これを、その第1表面(導電部形成面)の導電部と太陽電池セルとが当接するように配置する。さらにその上に、シート状封止樹脂、表面被覆部材を積層する。太陽電池セルの裏面側および表面側に配置される導電部付き保形材の一方は、シート状封止樹脂とあわせて導電部付き封止シートに置き換えることが可能である。このような方法によっても、ここに開示される構成を有する太陽電池モジュールを製造することができる。
なお、太陽電池モジュールの構築に関するその他の事項については前述のとおりであり、必要に応じて当該技術分野における技術常識に基づき実施可能であるので、ここでの説明は省略する。
≪導電部付き保形材≫
上記製造方法において好ましく用いられ得る導電部付き保形材は、上記導電部付き封止シートにおける保形層および導電部からなる構造体と基本的に同様の構造を有するものであり得る。したがって、保形材の第1表面には、導電部として、複数の導電パス単位が配置され、これら導電パス単位の各々は、上記実施形態に係る導電パス単位と同様の太陽電池セル接触部分(具体的には導電線)、接続部分を有するものであり得る。その詳細は前述のとおりであるので、ここでは説明は繰り返さない。
上記導電部付き保形材は、例えば図7に一部を拡大して示す断面構造を有する形態であり得る。図7では、導電部付き保形材500の保形層520と導電部530との積層部分を拡大して示している。この導電部付き保形材500は、保形層520と導電部530とを備える。より詳しくは、保形層520の第1表面520Aに導電部530が設けられている。使用前(封止樹脂または太陽電池セルへの貼り合わせ前)の導電部付き保形材500は、図7に示すように、その第1表面500Aおよび第2表面500Bが剥離ライナー501,502によってそれぞれ保護された形態であり得る。剥離ライナー501,502において導電部付き保形材500と当接する面501A、502Aはともに剥離面(剥離性の表面)である。あるいは、導電部付き保形材500の第1表面(導電部形成面)500Aのみが剥離ライナー501に覆われた形態(図8)、導電部付き保形材500の第2表面(導電部非形成面)500Bのみが剥離ライナー502に覆われた形態(図9)であってもよい。
なお、ここに開示される太陽電池モジュールは、上記実施形態の構成に限定されない。例えば、太陽電池モジュールに配置される太陽電池セルの個数は1以上であればよい。ここに開示される技術によると、複数の太陽電池セルを一括して電気的に接続し得ることから、太陽電池セルの個数は多いほど配線作業性の改善効果は大きい。例えば、複数の太陽電池セルを、一列に配列された太陽電池セル群として構成する場合には、当該太陽電池セル群におけるセル数は、好ましくは3以上であり、より好ましくは5以上(例えば7〜20、典型的には8〜12)である。また、太陽電池セル群は、2列以上(例えば3〜10列、典型的には5〜8列)であり得る。
また、上記実施形態では、複数の太陽電池セルは一列に配列された太陽電池セル群として構成されていたが、複数の太陽電池セルの配列(配置)はこれに限定されず、直線状、曲線状、規則的なパターン、あるいは不規則的なパターンであってもよい。また、太陽電池セルの間隔は一定でなくてもよい。
さらに、太陽電池モジュールにおける第1導電部と第2導電部との電気的接続方法についても、上記各実施形態の方法に限定されない。従来公知の配線手法を適宜改変するなどして、第1導電部と第2導電部とを電気的に接続するように構成することができる。
本明細書により開示される事項には以下のものが含まれる。
(1) 間隔をおいて配列される複数の太陽電池セルと、
複数の太陽電池セルの表面を覆う第1封止シートと、
複数の太陽電池セルの裏面を覆う第2封止シートと、を備えており、
第1封止シートは、第1封止樹脂層と、第1封止シートの第1表面の一部を構成する第1導電部と、第1封止樹脂層と第1導電部との間に配置された第1保形層と、を備えており、
第2封止シートは、第2封止樹脂層と、第2封止シートの第1表面の一部を構成する第2導電部と、第2封止樹脂層と第2導電部との間に配置された第2保形層と、を備えており、
第1導電部は、複数の太陽電池セルのうち隣りあう2つの太陽電池セルの一方の太陽電池セルの表面に接触しており、
第2導電部は、隣りあう2つの太陽電池セルの他方の太陽電池セルの裏面に接触しており、かつ
第1導電部と第2導電部とは電気的に接続されるように構成されている、太陽電池モジュール。
(2) 第1導電部は、隣りあう2つの太陽電池セルの一方の太陽電池セルの表面と対向するように、かつ隣りあう2つの太陽電池セルの間に位置する領域にはみ出した部分を有するように配置されており、
第2導電部は、隣りあう2つの太陽電池セルの他方の太陽電池セルの裏面と対向するように、かつ隣りあう2つの太陽電池セルの間に位置する領域にはみ出した部分を有するように配置されている、上記(1)に記載の太陽電池モジュール。
(3) 第1導電部および第2導電部の各々は、少なくとも1つの導電パス単位から構成されており、
一の導電パス単位は、太陽電池セル対向領域に位置する太陽電池セル接触部分と、太陽電池セル非対向領域に位置する接続部分と、を有する、上記(1)または(2)に記載の太陽電池モジュール。
(4) 一の導電パス単位において、太陽電池セル接触部分は、接続部分に向かって延びる形状を有しており、接続部分は太陽電池セル接触部分の一端と接続する、上記(3)に記載の太陽電池モジュール。
(5) 一の導電パス単位において、太陽電池セル接触部分は、互いに間隔をおいて配置された複数の導電線から構成されており、接続部分は、導電線の長手方向と交差する方向に延びて導電線の一端と接続する帯形状を有する、上記(4)に記載の太陽電池モジュール。
(6) 第1導電部のはみ出した部分(典型的には、第1導電パス単位の接続部分)と第2導電部のはみ出した部分(典型的には、第2導電パス単位の接続部分)とは、直接的にまたは間接的に接続(典型的には当接)している、上記(2)に記載の太陽電池モジュール。
(7) 少なくとも1つの太陽電池セルと、少なくとも1つの太陽電池セルの少なくとも一方の表面を覆う導電部付き封止シートと、を備えており、
導電部付き封止シートは、封止樹脂層と、導電部付き封止シートの第1表面の一部を構成する導電部と、封止樹脂層と導電部との間に配置された保形層と、を備えており、
導電部は、少なくとも1つの太陽電池セルに接触している、太陽電池モジュール。
(8) 導電部は、少なくとも1つの太陽電池セルの一方の表面と対向するように、かつ太陽電池セルと対向しない領域にはみ出した部分を有するように配置されている、上記(7)に記載の太陽電池モジュール。
(9) 導電部は、少なくとも1つの導電パス単位から構成されており、
一の導電パス単位は、太陽電池セル対向領域に位置する太陽電池セル接触部分と、太陽電池セル非対向領域に位置する接続部分と、を有する、上記(7)または(8)に記載の太陽電池モジュール。
(10) 一の導電パス単位において、太陽電池セル接触部分は、接続部分に向かって延びる形状を有しており、接続部分は太陽電池セル接触部分の一端と接続する、上記(9)に記載の太陽電池モジュール。
(11) 一の導電パス単位において、太陽電池セル接触部分は、互いに間隔をおいて配置された複数の導電線から構成されており、接続部分は、導電線の長手方向と交差する方向に延びて導電線の一端と接続する帯形状を有する、上記(10)に記載の太陽電池モジュール。
(12) 複数の太陽電池セルを用意する工程と;
第1封止樹脂層と、第1封止シートの第1表面の一部を構成する第1導電部と、第1封止樹脂層と第1導電部との間に配置された第1保形層と、を備える第1封止シートを得る工程と;
第2封止樹脂層と、第2封止シートの第1表面の一部を構成する第2導電部と、第2封止樹脂層と第2導電部との間に配置された第2保形層と、を備える第2封止シートを得る工程と;
第1封止シートと第2封止シートとで複数の太陽電池セルを挟む工程と(典型的には、この工程において、複数の太陽電池セルを間隔をおいて配列し、複数の太陽電池セルのうち隣りあう2つの太陽電池セルの一方の太陽電池セルの表面に第1導電部を接触させ、隣りあう2つの太陽電池セルの他方の太陽電池セルの裏面に第2導電部を接触させ、かつ第1導電部と第2導電部とを電気的に接続するように構成する。);
を包含する、太陽電池モジュールの製造方法。
(13) 第1導電部が隣りあう2つの太陽電池セルの一方の太陽電池セルの表面と対向するように、かつ隣りあう2つの太陽電池セルの間に位置する領域にはみ出すように、第1封止シートを配置する工程を含み、
第2導電部が隣りあう2つの太陽電池セルの他方の太陽電池セルの裏面と対向するように、かつ隣りあう2つの太陽電池セルの間に位置する領域にはみ出すように、第2封止シートを配置する工程を含む、上記(12)に記載の製造方法。
(14) 第1導電部および第2導電部の各々を、少なくとも1つの導電パス単位から構成し、
一の導電パス単位を、太陽電池セル対向領域に位置する太陽電池セル接触部分と、太陽電池セル非対向領域に位置する接続部分と、を有するように形成する、上記(12)または(13)に記載の製造方法。
(15) 第1導電部のはみ出した部分(典型的には、第1導電パス単位の接続部分)と第2導電部のはみ出した部分(典型的には、第2導電パス単位の接続部分)とを、直接的にまたは間接的に接続(典型的には当接)させる、上記(13)に記載の製造方法。
(16) 第1封止シートと、第2封止シートと、を備え、
第1封止シートは、第1封止樹脂層と、第1封止シートの第1表面の一部を構成する第1導電部と、第1封止樹脂層と第1導電部との間に配置された第1保形層と、を備えており、
第2封止シートは、第2封止樹脂層と、第2封止シートの第1表面の一部を構成する第2導電部と、第2封止樹脂層と第2導電部との間に配置された第2保形層と、を備える、一対の封止シート。
以下、本発明に関する実施例を説明するが、本発明をかかる具体例に示すものに限定することを意図したものではない。なお、以下の説明中の「部」および「%」は、特に断りがない限り重量基準である。
<製造例1>
2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)40.5部、イソステアリルアクリレート(ISA)40.5部、N−ビニル−2−ピロリドン(NVP)18部、4−ヒドロキシブチルアクリレート(4HBA)1部と、光重合開始剤としての2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(商品名「イルガキュア651」、BASF社製)0.05部および1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニル−ケトン(商品名「イルガキュア184」、BASF社製)0.05部とを混合し、窒素雰囲気下で紫外線を照射して部分重合物(モノマーシロップ)を作製した。得られたモノマーシロップにシランカップリング剤(商品名「KBM403」、信越化学工業社製)0.3部およびトリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)0.02部を添加し、均一に混合して保形層形成用組成物(1)を調製した。
片面がシリコーン系剥離処理剤で剥離処理されている厚さ38μmのポリエステルフィルム(商品名「ダイアホイルMRF」、三菱樹脂社製)の剥離処理面に、上記で調製した保形層形成用組成物(1)を、最終的な厚さが50μmになるように塗布して塗布層を形成した。次いで、上記塗布層の表面に、片面がシリコーンで剥離処理されている厚み38μmのポリエステルフィルム(商品名「ダイアホイルMRE」、三菱樹脂社製)を、当該フィルムの剥離処理面が上記塗布層側になるようにして被せた。これにより上記塗布層を酸素から遮断した。このようにして得られた塗布層を有するシートにケミカルライトランプ(東芝社製)を用いて照度5mW/cmの紫外線を360秒間照射することにより、上記塗布層を硬化させて保形層を形成し、シート状の保形材(保形層(1))を得た。この保形層(1)において、保形層の両面に被覆されたポリエステルフィルムは、剥離ライナーとして機能する。
なお、上記照度の値は、ピーク感度波長約350nmの工業用UVチェッカー(商品名「UVR−T1」、受光部型式UD−T36、トプコン社製)による測定値である。
<製造例2>
2EHA78部、NVP18部、2−ヒドロキエチルアクリレート(HEA)21.6部と、(メタ)アクリル系オリゴマー11.8部と、光重合開始剤としての2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(商品名「イルガキュア651」、BASF社製)0.035部および1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニル−ケトン(商品名「イルガキュア184」、BASF社製)0.035部とを混合し、窒素雰囲気下で紫外線を照射して部分重合物(モノマーシロップ)を作製した。得られたモノマーシロップに、シランカップリング剤(商品名「KBM403」、信越化学工業社製)0.353部および1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)0.294部を添加し、均一に混合して保形層形成用組成物(2)を調製した。この保形層形成用組成物(2)を用いた他は製造例1と同様にしてシート状の保形層(2)を得た。
(メタ)アクリル系オリゴマーとしては、下記の方法で調製したものを使用した。ジシクロペンタニルメタクリレート(商品名「FA−513M」、日立化成工業社製)34.8部およびメチルメタクリレート23.3部に、連鎖移動剤としてのチオグリコール酸2部と、重合溶媒としての酢酸エチルとを配合し、窒素ガスを吹き込んで溶存酸素を除去した。次いで、この混合物を70℃に昇温し、70℃で1時間攪拌した後、重合開始剤としてのアゾビスイソブチロニトリル0.172部を加えた。これを70℃で2時間、次いで80℃で2時間の条件で反応させた。その後、130℃で重合溶媒、連鎖移動剤、残留モノマーを除去して、Mwが凡そ4000でTgが凡そ130℃の(メタ)アクリル系オリゴマーを得た。
<製造例3〜5>
EVAシート(商品名「EVASKY」、ブリヂストン社製)をプレスし、150℃で15分間ポストキュアを行い、厚さ約150μmの保形層(3)を得た。
また、ポストキュア時間を30分、60分に変更した他は上記と同様にして保形層(4),(5)を得た。
<製造例6>
高圧法低密度ポリエチレン(HP−LDPE:商品名「DFD−2005」、NUC社製)をプレス成形し、厚さ約100μmの保形層(6)を得た。
[太陽電池セルに対する180度剥離強度(対太陽電池セル接着力)]
保形層(1)〜(6)を5cm×10cmのサイズにカットし、同じサイズで厚さ450μmのEVAシート(商品名「EVASKY」、ブリヂストン社製)に積層した。
また、5cm×10cmのガラス上に、同じサイズで厚さ450μmのEVAシート(商品名「EVASKY」、ブリヂストン社製)を積層し、その上に5cm×4cmに切断した太陽発電用のセル(単結晶系Siセル:商品名「G156S3」、GINTECH社製)を配置した。そして、上記で用意した保形層付きEVAシートの保形層側表面を上記セルの上に積層した。このとき、保形層表面のセル非対向部分に、シリコーンで剥離処理を行った剥離ライナーを配置した。この剥離ライナーは、セルのない領域にて下側のEVAシートと保形層との間に挟まれている。さらに、上側のEVAシートの上にPETフィルムを裏打ちして試験用の積層体を得た。その後、市販のラミネータ(NPC社製)を用いて150℃、100KPa、15分間の条件で上記積層体をラミネート処理した後、恒温乾燥機で150℃、15分のポストキュアを行い、試験片を作成した。
この試験片を用いて、太陽発電用のセルと保形層間の180度剥離強度を測定した。具体的には、引張試験機(装置名「オートグラフAGS−J」、島津製作所製)を使用して、23℃、50%RHの雰囲気下、引張速度30mm/分、剥離角度180度の条件で被着体(セル)から保形層を剥離し、そのときの剥離強度[N/10mm]を求めた。また、保形層のないEVAシート(比較例)についても、上記と同様の方法で剥離強度を測定した。
[全光線透過率]
5cm×5cmのガラス板(白色ケミカル強化ガラス:商品名「B270」、ショット社製)を2枚用意し、この2枚のガラス板で、厚さ450μmのEVAシート(商品名「EVASKY」、ブリヂストン社製)と保形層とを重ねたものを挟んだ。そして、市販のラミネータ(NPC社製)を用いて150℃、100KPa、15分間の条件で上記積層体をラミネート処理した後、恒温乾燥機で150℃、15分のポストキュアを行い、試験片を作成した。この試験片に対して、ヘーズメーター(商品名「HR−100」、村上色彩技術研究所社製)を用いて全光線透過率を測定した。また、保形層のないEVAシート(比較例)についても上記と同様の方法で全光線透過率を測定した。
[貯蔵弾性率およびtanδ]
レオメーター(装置名「ARES 2KFRT」、TAインスツルメント社製)を使用して、保形層(1)〜(6)の貯蔵弾性率G’およびtanδ(G”/G’)を測定した。すなわち、各保形層を厚さ2mmのシート状とし、これを直径8mmに打ち抜き、装置のチャックに装着した。そして、周波数1Hz、歪み0.1%の条件で、10℃/分の昇温速度で30℃から160℃まで温度を上昇させて、貯蔵弾性率G’およびtanδ(G”/G’)を測定した。また、保形層のないEVAシート(比較例)については、封止樹脂(EVAシート)を用いて上記と同様の評価を行った。結果を図10および11に示す。図中、EVAは比較例の封止樹脂(EVAシート)の評価結果である。また、150℃における貯蔵弾性率G’[Pa]および80℃〜150℃の温度域におけるtanδ(G”/G’)の最大値を表1に示す。
[MFR]
各保形層形成材料につき、ペレット状の樹脂はそのまま、混練物やシート状のものは数mmサイズに切断してフレーク状に調製し、市販のメルトインデクサー(テスター産業社製)に投入してMFRの測定を行った。測定は、JIS K 7210:1999またはASTM D 1238に準拠し、温度150℃、荷重2.16Kgの条件で一定時間に流れ出てきた樹脂量を天秤で秤量して単位時間(10分間)に吐出した樹脂量を計算することによって行った。なお、保形層(1)については温度190℃で測定を実施した。保形層のないEVAシート(比較例)についても上記と同様の方法でMFRの測定を試みたが、計測できなかった。
[線膨張率]
(引張モード)
各保形層を長さ10mm×断面積約0.5mmのサイズに切断して、試験片を作製した。この試験片につき、熱分析装置(商品名「EXSTAR6000」、セイコーインスツル社製)を用いて、引張荷重20mN、昇温速度1.7℃/分の条件で、−40℃〜85℃における線膨張率(%)を測定した。上記線膨張率は次式より求められる。
−40℃〜85℃における線膨張率(%)=(A−B)/B×100
A:−40℃〜85℃における試験片の長さの最大値(mm)
B:−40℃〜85℃における試験片の長さの最小値(mm)
(圧縮モード)
各保形層を約5mm角のサイズに切断して、試験片を作製した。この試験片につき、TMA(Thermal Mechanical Analysis)装置(装置名「TMA/SS7100」、エスアイアイ・ナノテクノロジー社製)を用いて下記の条件で、−40℃〜85℃における線膨張率(%)を測定した。上記線膨張率は次式より求められる。
−40℃〜85℃における線膨張率(%)=(A−B)/B×100
A:−40℃〜85℃における試験片の厚さの最大値(μm)
B:−40℃〜85℃における試験片の厚さの最小値(μm)
測定条件:
押込試験時の荷重; 9.8mN
プローブ径; φ3.5mm
温度プログラム; −60℃→160℃、10℃/分
測定雰囲気; N(流量 200mL/分)
<実験例>
(導電部材)
厚さ75μmの銅箔を16cm×0.5cmサイズにカットした。銅箔としては、電解銅箔(リジット基板用電解銅箔、純度99.8%以上(表面処理前))を用いた。なお、この電解銅箔には、亜鉛、クロム、ヒ素を用いて、粗化処理、防錆処理、密着性向上処理が施されている。次いで、銅ワイヤー(幅0.8mm×厚さ0.25mm)を用意し、その一端を上記銅箔上に配置し溶接固定した。銅ワイヤーは、その長手方向が上記銅箔の長手方向に直交するように固定した。銅ワイヤーとしては、幅公差±10%、厚さ公差±4%、めっき厚さ1μm(公差±15%)、引張強度は350N/mm以上であり、15.7cmに引き伸ばした後、カットしたものを用いた。めっき種としてはSnまたはAgが用いられる。上記の銅ワイヤーの固定作業を、銅箔の長手方向に沿って2cm間隔で8回繰り返し、図12に示すような櫛形の導電部材35を得た。なお、図12では、銅ワイヤーに相当する導電線55の本数は6本であるが、本例では8本の銅ワイヤーが配列されている。
(封止樹脂)
厚さ450μmのEVAシート(商品名「EVASKY」、ブリヂストン社製)を18cm×18cmにカットし、シート状封止樹脂(封止樹脂層)を用意した。
(導電部付き封止シート(1))
上記シート状封止樹脂の一方の表面に表面処理を施した後、当該表面処理面に、上記製造例で作製した保形層を積層した。さらにその上に、上記で得た導電部材を配置した。このようにして、図13に模式的に示す構造を有する導電部付き封止シート(1)1を得た。表面処理は、コロナ処理装置(例えば春日電機社製)を用いたコロナ処理、大気圧プラズマ処理装置(例えば積水化学工業社製)を用いた大気圧プラズマ処理およびシランカップリング剤(商品名「KBM−503」、信越化学社製)の塗布のうち適切な処理を単独でまたは組み合わせて行われる。図13には、太陽電池セルの表面側(上側)に配置される導電部付き封止シート(1)1が示されている。なお図13において、符号10は封止樹脂層としてのEVAシートを示し、符号20は保形層を示し、符号55は複数の銅ワイヤー(導電線)を示し、符号60は接続部分としての銅箔を示し、符号30,35,40,50は、導電部、導電部材、導電パス単位、太陽電池セル接触部分をそれぞれ示している。
(太陽電池モジュール)
厚さ200μmのバックシート(商品名「コバテックPV KB−Z1−3」、コバヤシ社製)を用意し、18cm×18cmにカットし、裏面被覆部材を用意した。この裏面被覆部材を載置し、その上に、上記で作製したシート状封止樹脂を設置した。なお、図14〜16において裏面被覆部材は符号330で示し、封止樹脂は符号10で示す。また図14に示すように、封止樹脂10上に、裏面にバスバー電極310(商品名「SSA−SPS」、1.5mm×0.2mmのはんだ被覆銅線、日立電線社製)を3本固定したSi系太陽電池セル305(Qセルズ社製、単結晶セル)を配置した。なお、上記バスバー電極310は、350℃に熱したはんだごてを用いて上記太陽電池セル305にはんだ接合されている。そして、図15に示すように、太陽電池セル305の両横に、幅6cmの銅製端子バー(商品名「A−SPS」、日立電線社製)を、取出し電極350a,350bとしてそれぞれ設置した。図中左方に配置された取出し電極350aは、太陽電池セル305に固定されたバスバー電極310の太陽電池セル305からはみ出した部分とはんだで固定した。太陽電池セル305の上に、図16に示すように、上記で用意した導電部付き封止シート(1)1を導電部形成面が下面となるように設置し、導電部付き封止シート(1)1の導電部30と太陽電池セル305の表面とを当接させた。具体的には、導電部30の導電線55を太陽電池セル305に当接させ、導電部30の接続部分60を太陽電池セル305からはみ出した位置に配置し、右側の取出し電極350bに当接させた。さらにその上に、表面被覆部材として厚さ3.2mmのガラス板(旭硝子社製、白板熱処理ガラス)を配置した後、市販のラミネータ(NPC社製)を用いて150℃、100KPa、5分間の条件でラミネートを行い、15分間のキュアを実施した。さらに、市販の送風定温恒温器(ヤマト科学社製)を用いて150℃、15分間の乾燥処理を行い、例1〜6に係る試験用太陽電池モジュールを構築した。
<比較例>
保形層を配置しない他は上記導電部付き封止シート(1)と同様にして導電部付き封止シート(2)を作製し、導電部付き封止シート(1)を導電部付き封止シート(2)に変更した他は上記と同様にして試験用太陽電池モジュールを構築した。
[光電変換効率の低下率]
得られた試験用太陽電池モジュールにつき、恒温恒湿器(装置名「PSL−2J」、エスペック社製)を用いて、JIS C 8990:2009の10.11項(温度サイクル試験)に準拠して、−40℃から85℃を1サイクルとする200サイクルのサーマルサイクル試験を実施した。試験前後の光変換効率を、JIS C 8913:2005に準拠し、ソーラーシュミレーター(装置名「XES−450S1」、三永電機製作所製)を用いて下記の条件で測定した。試験前後の光変換効率から、光電変換効率の低下率(%)を求めた。なお、サーマルサイクル後の最大出力値(Pmax)の測定は、30分間以上室温環境下に静置してから実施した。
(測定条件)
電圧スイープ法
スタート電圧: −0.01V
ストップ電圧: 0.8V
ステップ: 0.02V
制限電流: 10000A
保持時間: 26.68ms
光量:Reference PV CELL(商品名「AK−200」、コニカミノルタ社製)を用いて短絡電流が約129mA(±3%)になるよう調整した。
上記評価の結果を表1に示す。なお、比較例の欄には、封止樹脂に対する評価結果を示している。表中、未測定は「−」と表記した。
表1に示されるように、封止樹脂と導電部との間に保形層を配置した例1〜6では、保形層を設けなかった比較例と比べて、光電変換効率の低下率が低く抑制された。サーマルサイクル試験時に、保形層が太陽電池セルと導電部との接触状態を良好に保持したためと考えられる。また、上記導電部付き封止シートを用いることによって、バスバー電極のはんだ接合工程を省略することができ、配線作業性も飛躍的に改善することができる。上記より、ここに開示される技術によると、生産性および耐久性に優れた太陽電池モジュールが実現されることがわかる。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
1 導電部付き封止シート
1A 導電部付き封止シートの第1表面
5a,5b 太陽電池セル対向領域
7 太陽電池セル非対向領域
10 封止樹脂層
10A 封止樹脂層の第1表面
10B 封止樹脂層の第2表面
20 保形層
20A 保形層の第1表面
30 導電部
40,40a,40b 導電パス単位
50, 50a,50b 太陽電池セル接触部分
55,55a,55b 導電線
60,60a,60b 接続部分
100 一対の封止シート
101 第1封止シート
101A 第1封止シートの第1表面
105a,105b 太陽電池セル対向領域
107 太陽電池セル非対向領域
110 第1封止樹脂層
120 第1保形層
120A 第1保形層の第1表面
130 第1導電部
140a,140b 第1導電パス単位
150a,150b 太陽電池セル接触部分
155a,155b 導電線
160a,160b 接続部分
201 第2封止シート
201A 第2封止シートの第1表面
205a,205b 太陽電池セル対向領域
207 太陽電池セル非対向領域
210 第2封止樹脂層
220 第2保形層
220A 第2保形層の第1表面
230 第2導電部
240a,240b 第2導電パス単位
250a,250b 太陽電池セル接触部分
255a,255b 導電線
260a,260b 接続部分
300 太陽電池モジュール
302 太陽電池セル群
305,305a,305b 太陽電池セル
320 表面被覆部材
330 裏面被覆部材
500 導電部付き保形材
500A 導電部付き保形材の第1表面
520 保形層
520A 保形層の第1表面
530 導電部

Claims (20)

  1. 一対の導電部付き封止シートで少なくとも1つの太陽電池セルを挟んで該導電部と太陽電池セルとを当接させることによって、該少なくとも1つの太陽電池セルの電気的接続を実現することが可能な導電部付き封止シートであって、
    前記導電部付き封止シートの一方の表面には、該導電部が部分的に配置されており、
    熱および/または圧力によって流動性を示す封止樹脂層と、該封止樹脂層と該導電部との間に配置された保形層と、を備える、導電部付き封止シート。
  2. 前記保形層の表面は接着性を有しており、かつ前記導電部は該保形層の表面に部分的に形成されている、請求項1に記載の導電部付き封止シート。
  3. 前記保形層の表面は、結晶系Si太陽電池セルに対して10N/10mm以上の180度剥離強度を示す、請求項2に記載の導電部付き封止シート。
  4. 前記保形層の全光線透過率は90%以上である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の導電部付き封止シート。
  5. 前記保形層は、150℃におけるメルトマスフローレートが9g/10分以下を示す樹脂材料から形成されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の導電部付き封止シート。
  6. 前記保形層の線膨張率は、−40℃〜85℃の範囲において15%未満である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の導電部付き封止シート。
  7. 前記保形層は樹脂層であり、該保形層に含まれる樹脂は架橋されている、請求項1〜6のいずれか一項に記載の導電部付き封止シート。
  8. 前記保形層の貯蔵弾性率(周波数1Hz、歪み0.1%、150℃)は5000Pa以上であり、かつ80℃〜150℃におけるtanδは0.4未満である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の導電部付き封止シート。
  9. 前記導電部は、少なくとも1つの導電パス単位から構成されており、
    一の前記導電パス単位は、太陽電池セル対向領域に位置する太陽電池セル接触部分と、太陽電池セル非対向領域に位置する接続部分と、を有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の導電部付き封止シート。
  10. 一の前記導電パス単位において、前記太陽電池セル接触部分は、前記接続部分に向かって延びる形状を有しており、前記接続部分は該太陽電池セル接触部分の一端と接続する、請求項9に記載の導電部付き封止シート。
  11. 一の前記導電パス単位において、前記太陽電池セル接触部分は、互いに間隔をおいて配置された複数の導電線から構成されており、前記接続部分は、前記導電線の長手方向と交差する方向に延びて該導電線の一端と接続する帯形状を有する、請求項10に記載の導電部付き封止シート。
  12. 請求項1〜11のいずれか一項に記載の導電部付き封止シートを備える、太陽電池モジュール。
  13. シート状封止樹脂を用意する工程(A)と、該封止樹脂に導電部を保形層が介在した状態で固定する工程(B)と、を含む、導電部付き封止シートの製造方法であって、
    前記工程(B)は:
    (B1)前記封止樹脂の表面に前記保形層を積層した後、該保形層の表面に前記導電部を部分的に配置する工程;および
    (B2)前記保形層となるシート状の保形材を用意し、該保形材の第1表面に前記導電部を部分的に配置した後、該保形材の第2表面を前記封止樹脂に貼り合わせる工程;
    のいずれかを含む、導電部付き封止シートの製造方法。
  14. 前記工程(B)において、前記保形層の表面または前記保形材の第1表面への前記導電部の配置は、少なくとも1つの金属製の導電部材を該導電部として作製し、該作製した少なくとも1つの導電部材を該保形層の表面または該保形材の第1表面に配置することによって行う、請求項13に記載の製造方法。
  15. 前記工程(B)において、前記保形層の表面または前記保形材の第1表面への前記導電部の配置は、該導電部を剥離性支持体の表面に形成し、該剥離性支持体の表面に形成された該導電部を該保形層の表面または該保形材の第1表面に転写することによってなされる、請求項13または14に記載の製造方法。
  16. 前記工程(B)は前記工程(B2)を含み、
    前記工程(B2)は、前記保形材の第1表面に前記導電部を部分的に配置して導電部付き保形材を作製する工程を含む、請求項13〜15のいずれか一項に記載の製造方法。
  17. 請求項13〜16のいずれか一項に記載の方法で導電部付き封止シートを作製する工程と;
    前記導電部付き封止シートの導電部と太陽電池セルとを当接させる工程と;
    を包含する、太陽電池モジュールの製造方法。
  18. シート状の保形材と、該保形材の第1表面に部分的に配置された導電部と、を備える導電部付き保形材を用意する工程と;
    シート状の封止樹脂と太陽電池セルとを前記導電部付き保形材が介在した状態で固定する工程と;を含む太陽電池モジュールの製造方法であって、
    前記固定工程は:
    前記用意した導電部付き保形材の第2表面と前記封止樹脂の一方の表面とを貼り合わせる工程と;
    前記導電部付き保形材の導電部と前記太陽電池セルとを当接させる工程と;
    を含む、太陽電池モジュールの製造方法。
  19. 保形層と、該保形層の第1表面に部分的に配置された導電部と、を備える、導電部付き保形材。
  20. 封止樹脂層と、導電部と、該封止樹脂層と該導電部との間に配置された保形層と、を備える、導電部付き封止シート。

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