JP2016191985A - 道路情報データベース構築支援システムおよび該道路情報データベース構築支援システムにより構築されるデータベースを用いた運転支援システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 車両10に、運転者の生体情報を検出する生体情報検出手段20と、位置データに対応した道路情報を記憶する道路情報記憶手段30と、当該車両10の現在位置データを取得する位置データ取得手段40と、演算処理を行う情報処理手段50とを備え、前記情報処理手段50が、前記位置データ取得手段40により取得した現在位置データに対応する前記道路情報を前記道路情報記憶手段30から読み取り、この道路情報を、前記生体情報検出手段20による検出値に基づく生体情報に関連付けて、生体関連付け道路データを作成し、この生体関連付け道路データを、送受信手段を介してインターネット接続されたサーバコンピュータ70に送信する。
【選択図】 図1
Description
また、運転シミュレータによる心拍変動を用いた乗り心地の研究なども試みられている(非特許文献2参照)。これは乗り心地とストレスの関連を研究する論文であり、症例数が過少で、ばらつきも大きいので、道路設計などの具体的なガイドラインに結び付けるものではない。
いずれの従来手段においても、人手によるアンケート調査が必要であり、そのデータ収集に手間と時間がかかるのが現状である。
また、上記従来手段では、医学情報に基づいて、運転者の健康を守り、交通事故を予防するような具体的な方法論に結び付き難いという問題があった。
高齢化社会を迎える日本では特に、老齢の運転者の安全運転を保持することは至上の課題であり、特に重大事故に直結する高速道路の運転においては、この問題はひときわ重要となる。
ここで、前記「生体情報」には、例えば、運転者の心拍、血圧、脳波、血流、脈波、呼吸、瞳孔径、心電図波形、体温等の情報を含む。
また、前記「道路情報」には、例えば、道路の路幅や高度、道路摩擦、道路勾配、曲り角度、カーブの曲率等を含む。
また、前記「位置データ」には、経度及び緯度を示すデータや、住所を示すデータ、高速道路等における起点からの距離を示すデータ等を含む。
前記構成によれば、位置データ取得手段により取得された位置データに対応する道路情報が道路情報記憶手段から読み取られ、この道路情報が、生体情報検出手段による検出値に基づく生体情報に関連付けられ、生体関連付け道路データが作成される。そして、この生体関連付け道路データは、送受信手段を介してインターネット接続されたサーバコンピュータに送信される。
この構成によれば、運転者の心身状態を認識し易い生体情報を作成することができる。
この構成によれば、サーバコンピュータに蓄積される生体関連付け道路データを、最新の状態に維持することができる。
前記情報処理手段は、前記道路情報記憶手段から現在位置データに対応する前記道路情報を読み取り、この読み取った道路情報に対応する生体情報を、サーバコンピュータの前記生体関連付け道路情報データベースのデータから求め、この生体情報に応じて前記報知手段の出力を制御する。
ここで、前記「報知」には、運転者に認知可能な音や光、香り、空調等の出力を含む。
前記構成によれば、生体関連付け道路データに応じて、運転者に対し報知手段による報知を行うことができ、例えば、生体関連付け道路データより眠くなる可能性が高いと判断される場合に、音により注意喚起を行ったり、生体関連付け道路データよりイライラ感が高ぶる可能性が高いと判断される場合に、アロマ発生器の出力を高めたり等することができる。
図1は、本発明に係る道路情報データベース構築支援システム及び運転支援システムの一例を示す。
このシステムは、車両10内に、運転者の生体情報を検出する生体情報検出手段20と、位置データに対応した道路情報を記憶する道路情報記憶手段30と、当該車両10の現在位置データを取得する位置データ取得手段40と、演算処理を行う情報処理手段50と、運転者に認知可能な報知を行う報知手段60とを具備する。
また、車両10外には、情報処理手段50に対し、送受信手段(具体的には無線送受信機)を介してインターネット接続されたサーバコンピュータ70が設けられる。
具体的に説明すれば、生体情報検出手段20は、心電図センサや、脈波センサ、呼吸センサ、瞳孔径センサ等から得た電気信号を、ブルートゥースやWi-Fi等を用いた近距離無線通信回路により情報処理手段50に送信するように構成される。
前記心電センサは、ハンドルの両側に配設される電極21により心電信号を得るようにした装置を用いる。
前記脈波センサは、ハンドルに設けられる光センサにより脈波信号を得るようにした装置や、ドライバーシートに設けた圧電素子により下行大動脈の脈波信号を得るようにした装置等を用いる。
前記呼吸センサは、ドライバーシートに設けた圧電素子により呼吸数に応じた電気信号を得るようにした装置を用いる。
前記導孔径センサは、バックミラーに設けた光源から運転者の眼球に赤外線を照射し、その反射光を同バックミラーに設けた赤外線センサにより捕捉して電気信号に変換するようにした装置を用いる。
さらに、必要に応じ、生体情報検出手段20として、脳波センサや脳血流センサを設けるようにしてもよい。これらのセンサは、例えば、運転者が被る帽子に電極及び近赤外血流計を設け、これらの電気信号を情報処理手段50に送信する構成とすればよい。
なお、生体情報検出手段20の他例としては、前記以外の周知のセンサを用いることが可能である。
道路情報記憶手段30は、前記カーナビゲーション装置の記憶装置に、周知の地図データや、位置データに関連付けられた道路情報等を記憶してなる。
また、位置データ取得手段40は、複数のGPS衛星からのGPS電波を受信して、経緯度データや住所データ、起点からの距離等の現在位置データを得るように構成される。
また、道路情報記憶手段30及び位置データ取得手段40の他例としては、それぞれを別体にした構成や、これらの一部又は全部を携帯端末やタブレットパソコン等により構成した態様等とすることが可能である。
図3中「高度」と記されたグラフは、ある高速道路の起点からの距離と、高度との関係を示している。この高度データから現時点の道路勾配を計算することができる。
また、同図中「カーブ」と記されたグラフは、ある高速道路の起点からの距離と、道路のカーブ曲率との関係を示している。このグラフにおいて、中心線よりも上側は左カーブ、下側は右カーブを示している。
この報知手段60の具体例としては、車両10内に設けられたアロマディフューザ61が挙げられる。このアロマディフューザ61は、香料の香りを車両10内へ送る送風機、情報処理手段50から送信される指令を受信する受信機等を備え、情報処理手段50からの指令に基づき、前記送風機の風量を制御するように構成される。
なお、報知手段60の他例としては、情報処理手段50の指令に基づき、カーナビゲーション装置のスピーカから警報音や音楽等の音声を発するとともにこの音声を制御するようにした構成や、前記音声を情報処理手段50自体のスピーカから発するようにした構成等とすることが可能である。
先ず、情報処理手段50は、道路情報の収集(ステップ1)と生体情報の検出(ステップ2)を行う。なお、ステップ1とステップ2は、略同時に行われる処理である。
この処理について詳細に説明すれば、例えば、情報処理手段50は生体情報検出手段20としての心電センサから、所定時間範囲の心電信号を取得し、心電図波形データを作成する。例えば、図8の画像は、車両10の正面側映像に心電図波形を重ね合わせたものであり、高速道路を夜間運転した際の心電図波形の変化を示している。心電図のR−R間隔は自律神経の状態に反応し、例えば、高速道路の路面状況、左カーブ、右カーブ、カーブの曲率、路面の摩擦係数、天気、路面の明るさ、振動などに影響される。
また、情報処理手段50は、生体情報検出手段20である瞳孔径センサから、瞳孔径を示す信号を取得する。
また、情報処理手段50は、前記心電図波形データのR−R間隔のゆらぎ(心拍変動)から、低周波ゆらぎや高周波ゆらぎ等を計算し、交感神経と副交感神経の緊張を定量化した値を計算する。
また、情報処理手段50は、生体情報検出手段20である前記瞳孔径センサによる検出値として、瞳孔径を示す瞳孔径信号を得る。
前記判定基準は、例えば、周知の医学的根拠に基づき設定された数値範囲とすればよい。
前記判断結果は、例えば、A、B、C等のラベルや、数値等により表現すればよい。
そして、情報処理手段50は、前記生体関連付け道路データを情報処理手段50へ送信する。
この生体関連付け道路データの概略イメージは、図5に示すように、例えば、道路勾配値及びカーブ曲率値等の道路情報を、HR、HF、LF/HF等の生体情報に関連付てなる一連のデータである。
なお、図5中、「道路勾配」は、上り勾配を+とし、下り勾配を−としている。また、「カーブ曲率」は、右カーブを−とし、左カーブを+としている。
HF(Hi Frequency)は、心電図R−R間隔のパワースペクトルにおける高周波成分(0.15〜0.4Hz)のパワーであり、特に、副交感神経活動を反映するパラメータとして用いられる。例えば、一般的に、リラックスした状態では、HFが低下する。
LF/HFは、前記パワースペクトルにおける低周波成分(0.05〜0.15Hz)のパワーであるLF(Low Frequency)と、前記HFの比であり、ストレス指標として用いられる。
また、生体関連付け道路データを構成する生体情報としては、図5の例示に加えて、例えば、血圧、呼吸数、瞳孔径、脳波等を付加することが可能である。
また、前記生体関連付け道路データには、図5の例示に加えて、必要に応じて、運転者や車両10を識別するためのコードや、時刻データ、現在位置データ、天候情報、車載カメラによる映像データ(例えば、図3参照)等を付加してもよい。
そして、上述したステップ1〜5の処理は、所定時間置き、あるいは所定の走行距離毎に繰り返される。
したがって、生体関連付け道路情報データベース71は、多量の生体関連付け道路データからなるデータベースとして構築され、サーバコンピュータ70が新たな生体関連付け道路データを受信する毎に増大し、あらゆる道路情報及び生体情報を含むビッグデータになる。
詳細に説明すれば、情報処理手段50は、予め設定された所定の時間置きに、位置データ取得手段40により取得した現在位置データに対応する前記道路情報を道路情報記憶手段30から読み取り、この読み取った道路情報(例えば、道路勾配及びカーブ曲率等)に対応する生体関連付け道路データを、サーバコンピュータ70の生体関連付け道路情報データベース71から取り込む(図7のステップ11)。
この処理は、前記道路情報が一致又は近似する生体関連付け道路データを生体関連付け道路情報データベース71から検索するようにすればよい。
具体的に説明すれば、情報処理手段50は、例えば、取り込んだ生体関連付け道路データが、予め設定した判断条件を満たす場合に、運転者のイライラ感が高ぶったものと判断し、報知手段60を構成するアロマディフューザ61の風量を増加する。あるいは、受信した生体関連付け道路データが、予め設定した判断条件を満たす場合に、運転者が眠くなっているものと判断し、報知手段60を構成するスピーカから警報音を発する。
前記判断条件は、例えば、周知の医学的根拠に基づく条件とすればよい。
また、前記判断条件は、前記生体情報のみに関する条件としてもよいし、前記生体情報に関する条件と前記道路情報に関する条件とを適宜に組み合わせた条件としてもよい。
そして、上述したステップ11〜12の処理は、所定時間置き、あるいは所定の走行距離毎に繰り返される。
すなわち、この態様では、情報処理手段50は、経緯度等の位置データを含むように上記生体関連付け道路データを作成し、この生体関連付け道路データをサーバコンピュータ70に送信する。
サーバコンピュータ70は、前記位置データを含む前記生体関連付け道路データを記憶装置に多数記憶してなる生体関連付け道路情報データベース71を具備し、情報処理手段50から生体関連付け道路データを受信する毎に、この受信した生体関連付け道路データを生体関連付け道路情報データベース71に加えて生体関連付け道路情報データベース71を更新する。
また、情報処理手段50は、運転支援システムとして機能する際、位置データ取得手段40から現在位置データを取得し、この現在位置データに対応する生体関連付け道路データをサーバコンピュータの生体関連付け道路情報データベース71から検索し、この検索された生体関連付け道路データに応じて報知手段60の出力を制御する。
この態様によれば、経緯度等の位置データ毎に、該位置データに対応する生体関連付け道路データを取得することができ、該位置データ毎に、報知手段60の出力による運転支援を行うことができる。
このようにすれば、例えば、図10に示すように、カーナビゲーション装置によりディスプレイ表示した一つの画面上に、地図(図中左側)と、該地図上の現在位置Pにおける生体情報(図中右側)とを表示させることが可能になる。
前記生体情報を示す図中右側のグラフは、運転者のR−R間隔のゆらぎ(心拍変動)を示す。HFは、上述したように副交感神経活動を反映する。これに対し、LFは、交感神経活動を反映する。
このように、地図データに生体情報を関連付けてなる生体関連付け道路情報データベースは、運転者の運転支援に役立つ他、道路設計のためのガイドライン決定の基礎情報としても有用である。
なお、図示しない他例としては、カーナビゲーション装置によりディスプレイ表示した地図上に、現在位置と、該位置における生体情報を表示させることも可能である。
より具体的に説明すれば、この応用例では、サーバコンピュータ70は、生体関連付け道路情報データベース71の多数の生体関連付け道路データに基づき、生体情報を目標関数にするとともに、道路情報(例えば、道路の曲率や、道路勾配、高度、摩擦等)や、車両10の巡航速度等を説明変数とした多変量解析を行い、この多変量解析の結果を、生体関連付け道路情報データベース71に加えて前記生体関連付け道路情報データベース71を更新する。
一例としては、目標関数を心拍数として以下の式を設定し、周知の重回析分析を行う。
HR(t)=ax+by+cz
ここで、HR(t)は、その時点での心拍数、xは道路の曲率、yは道路の勾配、zは道路の摩擦係数をあらわす。a,b,cは、重みづけ係数である。
そして、前記重回帰分析の結果として得られた係数及び予測式は、生体関連付け道路情報データベース71のデータとして加えられる。よって、この係数及び予測式を用いて、道路情報から生体情報を予測することが可能になる。また、前記のようにした予測された生体情報は、情報処理手段50に読み込んで上記運転支援システムに用いることが可能である。
なお、前記目標関数は、前記心拍数に限定されず、例えば、血圧や、瞳孔径、心拍変動ゆらぎ、血圧ゆらぎ、心拍数量、脳血流量等の実時間生体情報とすることができ、さらに、長期の血圧の安定性等、より大きな範囲の生体情報を含めることも可能である。
また、説明変数及び重みづけ係数の数は、前述した一例に限定されず、3以上や3以下の複数とすることが可能である。
20:生体情報検出手段
30:道路情報記憶手段
40:位置データ取得手段
50:情報処理手段
60:報知手段
70:サーバコンピュータ
71:生体関連付け道路情報データベース
Claims (5)
- 車両に、運転者の生体情報を検出する生体情報検出手段と、位置データに対応した道路情報を記憶する道路情報記憶手段と、当該車両の現在位置データを取得する位置データ取得手段と、演算処理を行う情報処理手段とを備え、
前記情報処理手段が、前記位置データ取得手段により取得した現在位置データに対応する前記道路情報を前記道路情報記憶手段から読み取り、この道路情報を、前記生体情報検出手段による検出値に基づく生体情報に関連付けて、生体関連付け道路データを作成し、この生体関連付け道路データを、送受信手段を介してインターネット接続されたサーバコンピュータに送信するようにしたことを特徴とする道路情報データベース構築支援システム。 - 前記情報処理手段は、前記生体情報検出手段による検出値が予め設定された判定基準内にあるか否かを判断し、その判断の結果を前記生体情報として前記生体関連付け道路データを作成することを特徴とする請求項1記載の道路情報データベース構築支援システム。
- 前記サーバコンピュータは、前記生体関連付け道路データを記憶装置に多数記憶してなる生体関連付け道路情報データベースを具備し、前記情報処理装置から生体関連付け道路データを受信する毎に、この受信した生体関連付け道路データを前記生体関連付け道路情報データベースに加えて前記生体関連付け道路情報データベースを更新することを特徴とする請求項1又は2記載の道路情報データベース構築支援システム。
- 前記サーバコンピュータは、前記生体関連付け道路情報データベースの多数の生体関連付け道路データに基づき、生体情報を目標関数にするとともに道路情報を説明変数とした多変量解析を行い、この多変量解析の結果を、前記生体関連付け道路情報データベースに加えて前記生体関連付け道路情報データベースを更新することを特徴とする請求項3記載の道路情報データベース構築支援システム。
- 前記車両には、運転者に認知可能な報知を行う報知手段が設けられ、
前記情報処理手段は、前記道路情報記憶手段から現在位置データに対応する前記道路情報を読み取り、この読み取った道路情報に対応する生体情報を、サーバコンピュータの前記生体関連付け道路情報データベースのデータから求め、この生体情報に応じて前記報知手段の出力を制御することを特徴とする請求項3又は4記載のデータベース構築支援システムにより構築されるデータベースを用いた運転支援システム。
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今村友弥, 坂本将吾, 鹿島茂: "心拍変動による自動運転時の心理的負担の定量的評価", 土木計画学研究発表会・講演集, vol. 第44回, No.169, JPN6018045514, 2011, JP, pages 1 - 6, ISSN: 0003921313 * |
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