JP2016191190A - 梁構造物 - Google Patents

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Abstract

【課題】せん断耐力を高める。【解決手段】鉄筋コンクリート製の梁部3の人通孔設置部5には形鋼6が材軸方向を梁成方向に向けて埋め込まれ、形鋼6の一対のフランジ部8が梁部3の延長方向に配置され、形鋼6のウェブ部9には人通孔部16が形成され、一対のフランジ部8に渡って設けられる予備主筋12が上部と下部とでウェブ部を中心とした両側に配置され、上部又は下部の予備主筋12が梁部3の上部又は下部の主筋21に予備せん断補強筋23を介して結束されている。予備主筋12の両端部が一対のフランジ部8に設けられた貫通孔部に嵌め合わされれば、構造が簡単になる。定着部15が一対のフランジ部8から横方向の外側に延びて設けられれば、人通孔設置部5のせん断耐力が一層高くなる。【選択図】図3

Description

本発明は、梁部の孔設置部に形鋼が材軸方向を縦方向に向けて埋め込まれた、梁構造物に関する。
図6及び図7を参照し、特許文献1で開示された梁構造物101について説明する。図6に示した梁構造物101は、鉄骨鉄筋コンクリート造りである。梁構造物101の孔設置部102には、形鋼103が設けられている。形鋼103は、一対のフランジ部104の中央をウェブ部105で結合したH形になっており、ウェブ部105に取付孔部106が形成され、取付孔部106に筒状の補強部材107が収容され、補強部材107と取付孔部106とが溶接で結合されている。補強部材107には、孔部108が形成されている。そして、形鋼103と補強部材107とが孔設置部102のコンクリート部109に埋め込まれ、孔部108がコンクリート部109に形成された孔部110に繋がっている。又、補強部材107から孔部110の軸方向に離れた位置のコンクリート部109には、補強鉄筋111がコンクリート部109の孔部110の周面からこの半径外方に離れて孔部110を囲むように複数本埋め込まれている。
しかしながら、図7に示したように、梁構造物101では、形鋼103が矢印112で示した材軸方向を梁構造物101の矢印113で示した延長方向に向けて埋め込まれているので、形鋼103のせん断耐力が低い。よって、梁成を、鉄筋コンクリート製の梁に必要とされる、孔部110の直径の3倍以下に施工することが難しい。
図示はしないが、特許文献2で開示された、鉄筋コンクリート造りの地中梁となる梁構造物の人通孔周りの補強構造は、人通孔の梁長手方向両側で梁主筋に結合される4組の斜め補強筋と、人通孔の両側に配筋される孔周囲補強筋と、人通孔の上部と下部に配筋される上下一対の孔部補強筋とで構成されているものの、せん断耐力が低く、梁成を人通孔の直径の2倍程度まで小さくすることができない。
特開2007−9419号公報 特開2013−87504号公報
本発明は、上記背景技術に鑑みてなされたものであり、孔があいた梁のせん断補強構造物を提供することを目的とする。
本発明は、梁部の孔部を備えた孔設置部には形鋼が材軸方向を縦方向に向けて埋め込まれ、形鋼の一対のフランジ部が梁部の延長方向に配置され、形鋼のウェブ部には孔設置部の孔部に繋がる孔部が形成されたことを特徴とする。
本発明は、梁部の孔部を備えた孔設置部には形鋼が材軸方向を縦方向に向けて埋め込まれ、形鋼の一対のフランジ部が梁部の延長方向に配置され、形鋼のウェブ部には孔設置部の孔部に繋がる孔部が形成されたことにより、孔設置部のせん断耐力が高い。本発明において、形鋼の一対のフランジ部に渡って設けられる予備主筋が上部と下部とでウェブ部を中心とした両側に配置されれば、又は、一対のフランジ部には梁部のコンクリート部への定着部が一対のフランジ部から横方向に延びて設けられれば、又は、一対のフランジ部に渡って設けられる予備主筋と梁部の形鋼よりも上下に設けられた主筋とが予備せん断補強筋を介して結束されれば、孔設置部のせん断耐力が一層高くなる。本発明において、一対のフランジ部には予備主筋用の貫通孔部が設けられ、予備主筋の両端部が貫通孔部に嵌め合わされれば、予備主筋を一対のフランジ部に簡単に設けることができる。
発明を実施するための形態に係る梁構造物を示した平面図。 発明を実施するための形態に係る形鋼と予備主筋とを分解して示した斜視図。 図1の発明を実施するための形態に係る配筋構成を示したA矢視図。 図3の発明を実施するための形態に係る配筋構成を示したB−B線断面図。 図3の発明を実施するための形態に係る配筋構成を示したC矢視図。 特許文献1で開示された従来の梁構造物を梁幅方向で切断して示した断面図。 図6のD矢視図。
図1乃至図5を参照し、発明を実施するための形態に係る梁構造物1について地中梁を例示して説明する。
図1に示した梁構造物1は、地面2の中に施工される地中梁を例示し、鉄筋コンクリート製の梁部3が地面2に対して格子状になって設置されていて、地面2を四方で囲む梁部3に、人通孔部4が設けられている。この梁部3の人通孔部4の設けられた人通孔設置部5には、形鋼6が材軸方向(材軸方向は図2の矢印7で示した方向である)を梁成の方向に向けて埋め込まれているので、人通孔設置部5のせん断耐力が高い。形鋼6は、一対のフランジ部8とウェブ部9を設けたH形を例示した。よって、人通孔設置部5の梁成を、人通孔部4の直径の2倍程度まで小さくすることが可能になった。尚、梁部3の型枠にコンクリート部を打設する際に、人通孔部4に用いられるボイド管、鉄管、スリーブ等の型は、コンクリート部の打設後に取り除くか又は残存させるかのいずれでもよい。
図2に示した形鋼6は、一対のフランジ部8に予備主筋用の貫通孔部11が形鋼6の上下方向(梁成方向)および、ウェブ部9を中心線として左右方向(梁幅方向)それぞれの位置となる4隅部に1個ずつ設けられ、4本の予備主筋12の一端部が一方のフランジ部8の貫通孔部11から他方のフランジ部8の貫通孔部11に嵌め合わされ、予備主筋12の一端部が一方のフランジ部8で支持され、予備主筋12の他端部が他方のフランジ部8で支持されることにより、一対のフランジ部8に渡って4本の予備主筋12が簡単に設けられるようになっている。予備主筋12の両端部が一対のフランジ部8に溶接されてもよい。
図2では、予備主筋12の長さ13が一対のフランジ部8の外側面間の寸法14よりも長い予備主筋12を使用し、予備主筋12が一対のフランジ部8に渡って設けられる場合において、予備主筋12の一端部が一方のフランジ部8より外側に突出し、予備主筋12の他端部が他方のフランジ部8より外側に突出し、それぞれの突出部が梁部3のコンクリート部への定着部15として使用することができる。定着部15は、予備主筋12から分離し、予備主筋12と別々な位置でフランジ部8より外側に突出するように、フランジ部8に結合してもよい。又、1個のフランジ部8に対し、定着部15の個数は1個以上あれば適用可能である。つまり、フランジ部8にコンクリート部への定着部15が設けられたので、人通孔設置部5のせん断耐力が一層高くなる。
ウェブ部9には、ウェブ部人通孔部16がウェブ部9を貫通して設けられる。ウェブ部人通孔部16は、図1に示したように形鋼6が人通孔設置部5に埋め込まれることで人通孔部4に繋がるようになっている。
図3乃至図5を参照し、梁部3の人通孔設置部5における配筋構成について説明する。図3乃至図5では、配筋構成を梁部3にコンクリート部が充填されるよりも前の時期における態様を図示し、コンクリート部の充填後の梁部3の外形線を仮想線で図示し、梁部3に対する配筋構成の位置関係を明示した。
図3は図1の矢印A方向より見た配筋構成であって、梁部3には主筋21が上部と下部とに分かれて梁部3の矢印22で示した延長方向(梁の軸方向)に延びている。予備主筋12の設けられた形鋼6が上部の主筋21と下部の主筋21との間に配置され、上部の予備主筋12と上部の主筋21とが上部の主筋21から下側に向けて配筋された予備せん断補強筋23に図示されていない番線で結束され、下部の予備主筋12と下部の主筋21とが下部の主筋21から上側に向けて配筋された予備せん断補強筋23に図示されていない番線で結束される。つまり、上部又は下部の予備主筋12と上部又は下部の主筋21とが予備せん断補強筋23を介して結束されているので、人通孔設置部5のせん断耐力が一層高くなる。又、上部の主筋21と下部の主筋21とがせん断補強筋24に図示されていない番線で結束されている。つまり、上部の主筋21と下部の主筋21とがせん断補強筋24を介して結束されているので、人通孔設置部5のせん断耐力が一層高くなる。尚、梁部3の人通孔設置部5には、形鋼6が矢印7で示した材軸方向を矢印27で示した梁成の方向に沿ってフランジ部8が平行になるように向けて埋め込まれている。
図4は、図3をB−B線より見た配筋構成であって、上部の主筋21,21aが梁部3の矢印26で示した梁幅方向に2本ずつ間隔をおいて列状に配置され、下部の主筋21,21bが梁部3の矢印26で示した梁幅方向に2本ずつ間隔をおいて列状に配置されている。矢印26で示した梁幅方向は、梁部3の厚みである。上部における4本の主筋21,21aと下部における4本の主筋21,21bとにせん断補強筋24が囲むように巻き付けられ、合計8本の主筋21,21a,21bがせん断補強筋24に図示されていない番線で結束されている。つまり、主筋21,21a,21bがせん断補強筋24を介して結束されているので、人通孔設置部5のせん断耐力が一層高くなる。
形鋼6の真上に配置された2本の主筋21aと形鋼6のフランジ部8に渡された上部における2本の予備主筋12とに予備せん断補強筋23が巻き付けられ、これら2本の主筋21aと2本の予備主筋12とが予備せん断補強筋23に図示されていない番線で結束さている。形鋼6の真下に配置された下部における2本の主筋21bと形鋼6のフランジ部8に渡された下部における2本の予備主筋12とに予備せん断補強筋23が巻き付けられ、これら2本の主筋21bと2本の予備主筋12とが予備せん断補強筋23に図示されていない番線で結束さている。つまり、上部又は下部の予備主筋12と梁部の形鋼6よりも上部又は下部に設けられた主筋21a,21bとが予備せん断補強筋23を介して結束されているので、人通孔設置部5のせん断耐力が一層高くなる。
尚、図4では、上部における2本の主筋21aと上部における2本の予備主筋12とを互いに結束した予備せん断補強筋23が上部における4本の主筋21,21aと結束しているせん断補強筋24と重なるように図示すべきところ、予備せん断補強筋23の位置関係を模擬的に把握しやすいように、せん断補強筋24よりも上方に位置をずらして図示した。又、下部における2本の主筋21,21bと下部における2本の予備主筋12とを互いに結束した予備せん断補強筋23が下部における4本の主筋21,21bと結束しているせん断補強筋24と重なるように図示すべきところ、予備せん断補強筋23の位置関係を模擬的に把握しやすいように、せん断補強筋24よりも下方に位置をずらして図示した。
図5は、図3を梁の上面となるC矢印より見た配筋構成であって、上部における2本の予備主筋12と上部における2本の主筋21a(図4参照)と結束する予備せん断補強筋23が、形鋼6の一対のフランジ部8の間に、3本配置されている。尚、図5では、形鋼6の真上における2本の主筋21aが予備主筋12の真上に位置することから、形鋼6の真上における2本の主筋21aの図示を省略した。
図1乃至図5で示した梁構造物1は、地中梁だけでなく、上部構造における柱に連結された、梁に配管や配線のための孔をあける際にも適用できる。このように梁構造物1を上部構造における柱に連結された梁に適用する場合、人通孔部4を孔部4と読み替え、人通孔設置部5を孔設置部5と読み替え、ウェブ部人通孔部16を孔部16と読み替えればよい。
1 梁構造物
2 地面
3 梁部
4 人通孔部
5 人通孔設置部
6 形鋼
7 形鋼6の材軸方向を示した矢印
8 フランジ部
9 ウェブ部
11 貫通孔部
12 予備主筋
13 予備主筋12の長さ
14 フランジ部8の外側面間の寸法
15 定着部
16 ウェブ部人通孔部
21 主筋
21a 主筋
21b 主筋
22 梁部3の延長方向を示した矢印
23 予備せん断補強筋
24 せん断補強筋
26 梁部3の梁幅方向を示した矢印
27 梁成方向を示した矢印

Claims (5)

  1. 梁部の孔部を備えた孔設置部には形鋼が材軸方向を縦方向に向けて埋め込まれ、形鋼の一対のフランジ部が梁部の延長方向に配置され、形鋼のウェブ部には孔設置部の孔部に繋がる孔部が形成されたことを特徴とする梁構造物。
  2. 形鋼の一対のフランジ部に渡って設けられる予備主筋が上部と下部とでウェブ部を中心とした両側に配置されたことを特徴とする請求項1記載の梁構造物。
  3. 一対のフランジ部には予備主筋用の貫通孔部が設けられ、予備主筋の両端部が貫通孔部に嵌め合わされたことを特徴とする請求項2記載の梁構造物。
  4. 一対のフランジ部には梁部のコンクリート部への定着部が一対のフランジ部から横方向に延びて設けられたことを特徴とする請求項1記載の梁構造物。
  5. 一対のフランジ部に渡って設けられる予備主筋と梁部の形鋼よりも上下に設けられた主筋とが予備せん断補強筋を介して結束されたことを特徴とする請求項2記載の梁構造物。
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