JP2016190781A - ナノグラフェン、ナノグラフェン−電極活物質複合体粒子、リチウムイオン電池電極用ペーストおよびリチウムイオン電池電極 - Google Patents

ナノグラフェン、ナノグラフェン−電極活物質複合体粒子、リチウムイオン電池電極用ペーストおよびリチウムイオン電池電極 Download PDF

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Abstract

【課題】自己凝集が起こりにくく粒子表面への効率的な吸着が可能であり、かつ高いイオン導電性を有することにより、電極の材料として用いた場合に出力特性・サイクル特性の良いリチウムイオン電池を得ることができるナノグラフェンを提供する。【解決手段】面方向の大きさが20nm以上100nm以下であり、厚みが10nm以下であり、X線光電子分光測定により測定される官能基化率が0.35以上0.80以下であるナノグラフェン。【選択図】なし

Description

本発明は、ナノグラフェンならびにそれを用いたナノグラフェン−電極活物質複合体粒子、リチウムイオン電池電極用ペーストおよびリチウムイオン電池電極に関する。
黒鉛は高導電性、耐熱性、軽量性、低熱膨張性、高熱伝導性、自己潤滑性などの多くの優れた特性を有する炭素材料として古くから知られており、数多くの用途において利用されている。近年、黒鉛に類する新たな炭素系材料として、樹脂材料を炭化焼成して得られるグラファイトシートやナノカーボン材料と言われるフラーレン、カーボンナノチューブ等が黒鉛同様の多くの優れた特性を有する材料として新たに見出され、幅広い用途への活用の取り組みがなされている。そしてごく最近では黒鉛の一部を形成する、ナノメートルオーダーの厚みを有するベンゼン環構造が面方向に多数敷き詰められた構造のグラフェンの作製方法が見出され、新材料として利用すべく研究開発が活発化している。
グラフェンは黒鉛同様の高導電性・高伝熱性を持つことに加え、高強度/高弾性率、高い移動度、高ガスバリア性、高いフレキシブル性など多くの優れた物理特性を持つ材料であり、また化学的にも安定であることから、電池材料、エネルギー貯蔵材料、電子デバイス、複合材料などの領域で幅広い応用が期待されている。
グラフェンの製造法としては、機械剥離法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、CEG(Crystal Epitaxial Growth)法などが挙げられるが、これらの手法は生産性が低く大量生産には適さない。これに対し、酸化還元法(天然黒鉛の酸化処理で酸化黒鉛または酸化グラファイトを得た後、還元反応によりグラフェンを作製する方法)はグラフェンの大量合成が可能であり、グラフェンを産業的に実用化するために非常に重要な手法である。
グラフェンは、高い導電性能を持つ上に薄片状の形状であるため、導電パスを多くすることができることから、導電性樹脂用や電池電極用の導電材料として高いポテンシャルを持つ。特にリチウムイオン電池においては、電極活物質粒子の表面における導電性が重要であり、グラフェンのような薄片状かつフレキシブルな構造を持つ導電性物質が活物質粒子表面に付着することで表面導電性を向上できる期待がある。
リチウムイオン電池の高容量化のためには、正極の容量密度向上が不可欠である。近年、例えばオリビン系の正極活物質や固溶体系活物質など、高容量にもかかわらず導電性が低いために実用化にいたっていない活物質が数多く検討されている。これらの正極活物質を実用化するために、正極に導電性を付与する技術が求められている。グラフェンのような高導電性の導電助剤をリチウムイオン電池に適用すれば、リチウムイオン電池を高容量化できる期待がある。また、導電性の高いコバルト酸リチウムや三元系の正極活物質においても、表面導電性を向上することは、レート特性・サイクル特性の向上につながる。
しかし、グラフェンは比表面積が高いためグラフェン同士の相互作用により凝集しやすい。また、薄片状でフレキシブルであるがゆえに折りたたまれやすく、自己凝集を起こしてしまい導電材料としてのポテンシャルを十分に発揮することが難しかった。
特許文献1には酸化グラフェンとリチウムイオン電池正極活物質を混合してから還元する手法が開示されている。特許文献2には酸化グラフェンを含むリチウムイオン電池正極ペーストを集電体に塗布・乾燥してから酸化グラフェンを熱還元して電極を手法が開示されている。特許文献3には黒鉛を超音波や超臨界流体中で剥離処理することによりグラフェンを作製する手法や、球状黒鉛を酸化した後に還元する手法が開示されている。
特許文献4、非特許文献1にはカーボンナノチューブを酸化することで微小な酸化グラフェンを作製する手法が開示されている。特許文献5にはナノスケールのグラフェンを活物質に付着させる手法が開示されている。
特開2012−99467号公報 特開2013−030463号公報 特表2013−516037号公報 特開2013−086993号公報 特開2012−099468号公報
J. Luo, et.al., Journal of the American Chemical Society, 2010, 132, 17667
特許文献1又は特許文献2のように酸化グラフェンをなんら微細化処理せずにリチウムイオン正極活物質と混練した場合、酸化グラフェンが大きすぎるため酸化グラフェン同士の凝集が抑えられず、酸化グラフェンが折りたたまれて十分な導電パスを得ることが出来ない。
特許文献3では、黒鉛を超音波や超臨界流体中で剥離処理しているが、黒鉛は機械的強度が強く、容易に剥離・破砕は出来ず微細化できない。またマイクロメートルスケールの球状黒鉛を酸化しても、マイクロメートルスケールの酸化グラフェンしか得られない。
特許文献4及び非特許文献1では、繊維状の炭素を酸化・還元することで微細なグラフェンを作製しているが、酸化手法はハマーズ法と呼ばれる良く知られた手法であり、この手法から得られた酸化グラフェンを還元することで得られるグラフェンは、グラフェンの官能基化率が低くなるためイオン導電性が低い。
特許文献5には、微細なグラフェンを活物質に付着させる手法が開示されているが、イオン導電性が低いため、リチウムイオン電池に適用しても良好なレート特性が得られない。
上記課題を解決するための本発明は、面方向の大きさが20nm以上100nm以下であり、厚みが10nm以下であり、X線光電子分光測定により測定される官能基化率が0.35以上0.80以下であるナノグラフェンである。
本発明のナノグラフェンは十分に微小な構造を持ち、適度に官能基が残留しているため、グラフェン同士が接触する機会が少なく凝集しにくい。また、グラフェン自体が折りたたまれることが無く高い導電性能を得ることが可能となる。このような性質を持つことにより、ナノグラフェンは樹脂や電極中での分散性が良好であり、また無機粒子表面への吸着が容易となる。また、ナノグラフェンが適度な官能基化率を持つために、従来のグラフェンよりもイオン導電性が高い。このようなナノグラフェンがリチウムイオン電池活物質表面に吸着することにより、活物質表面における高い電子伝導性・イオン伝導性を両立することが出来る。このことにより優れた放電性能を有するリチウムイオン電池電極を提供することが可能となる。
<ナノグラフェン>
本発明のナノグラフェンとは、単層グラフェンが積層した薄片状の構造体であって、面方向の大きさ(グラフェン層に平行な方向の大きさ)が20nm以上100nm以下、厚みが10nm以下のものを指す。また、ナノグラフェンは、溶剤を乾燥した粉末をエックス線回折測定したときに、エックス線回折測定で9.0°〜13.0°にグラフェン層の層間距離に基づくピークを持たない点で、後述するナノ酸化グラフェンと区別される。
ナノグラフェンの面方向の大きさは、ナノグラフェンをN−メチルピロリドン溶剤中で0.001〜0.005質量%にまで希釈し、ガラス基板などの平滑性の高い基板上に滴下・乾燥し、光学顕微鏡又はレーザー顕微鏡で観察することで容易に測定することが可能である。レーザー顕微鏡としては、例えばキーエンス社製VK−X250などを用いることができる。ナノグラフェンの面方向の大きさとは、上記方法で観察したナノグラフェン小片一つひとつについて最も長い部分の長さ(長径)と最も短い部分の長さ(短径)を測定し、(長径+短径)/2で求められる数値であり、本発明においてはランダムに50個以上のナノグラフェン小片を測定した場合の平均値を指すものとする。
本発明のナノグラフェンは非常に微細な構造を持つため、折りたたみによる自己凝集や、グラフェン間相互作用による凝集が抑えられる。ナノグラフェンの面方向の大きさが100nmより大きい場合には、ナノグラフェンが折りたたまれやすく、自己凝集を起こす上、グラフェン同士の相互作用による凝集も起こりやすい。一方、ナノグラフェンの面方向の大きさが20nm未満である場合には、導電パスが短すぎてポテンシャルを発揮できない。ナノグラフェンの面方向の大きさは25nm以上80nm以下であることが好ましく、25nm以上60nm以下であることがより好ましい。
ナノグラフェンの厚み(グラフェン層に垂直な方向の大きさ)は、原子間力顕微鏡(AFM)によって測定することが可能である。測定に際しては、ナノグラフェン溶液を0.001〜0.005質量%にまで希釈し、ガラス基板やマイカ基板などの平滑性の高い基板上に滴下・乾燥し、AFM(Dimension Icon、Bruker社)で観察する。薄片状のグラフェンは通常最も薄い方向がナノグラフェンの面に垂直である。そのため、基板上に付着した薄片状グラフェンにおいて、基板に垂直な方向の厚みがすなわちナノグラフェンの厚みと解される。ナノグラフェンの一小片内で厚みに分布がある場合は、小片内の厚みの積算値を面積平均することで求められる。本発明において、ナノグラフェンの厚みは、上記方法で観察し、ランダムに50個以上のナノグラフェン小片の厚みを測定した場合の平均値を指すものとする。
本発明におけるナノグラフェンの厚みは10nm以下であるが、下限は特に制限は無く、1層のグラフェンであっても良い。ナノグラフェンの厚みが10nmより厚くなると、グラフェンの特徴であるフレキシビリティが少なくなって単に粒子のような物体となり、粒子表面に付着させるようなことが出来なくなる。ナノグフラフェンの厚みの上限としては、好ましくは5nm以下、より好ましくは3nm以下である。
本発明におけるナノグラフェンのX線光電子分光法で測定される官能基化率は、0.25以上0.80以下である。ナノグラフェンが有する官能基は、典型的には酸化グラフェンを還元した後に残留したヒドロキシ基、カルボキシル基、カルボニル基などに由来するものである。
ナノグラフェンの官能基化率は、X線光電子分光測定により求められる。X線光電子分光測定では、炭素を含有する試料を測定すると284eV付近に炭素に由来するピークが検出されるが、炭素が酸素に結合している場合は高エネルギー側にシフトすることが知られている。具体的には炭素が酸素に結合していないC−C結合、C=C二重結合、C−H結合に基づくピークはシフトせずに284eV付近に検出され、C−O一重結合の場合286.5eV付近に、C=O二重結合の場合287.5eV付近に、COO結合の場合288.5eV付近にシフトする。そのため、炭素に由来する信号は、284eV付近、286.5eV付近、287.5eV付近、288.5eV付近のそれぞれのピークを重ね合わせた形で検出される。この重ね合わせた形のピークをピークフィッティングにより各成分にピーク分離解析することにより、各々のピーク面積強度を算出することが可能である。グラファイト成分に基づき286e付近と290.5eV付近にも信号が現われる。この信号はC−C、C=C及びC−H結合に基づく成分としてフィッティングする。本発明における官能基化率は、
官能基化率=[(C−O一重結合に基づくピーク面積)+(C=O二重結合に基づくピーク面積)+(COO結合に基づくピーク面積)]/(C−C、C=C及びC−H結合に基づくピーク面積)
で定義される数値である。
官能基化率は、ナノグラフェンの分散性およびイオン伝導性に影響する。ナノグラフェン中の官能基化率が低すぎると分散性、イオン導電性ともに悪くなる。また、官能基化率が高すぎると、グラフェンが十分還元できていない状態であり、導電性が低下する。ナノグラフェンの官能基化率は、好ましくは0.35以上、より好ましくは0.45以上である。また、上限については、好ましくは0.70以下であり、より好ましくは0.60以下である。
官能基化率は、ナノグラフェンの原料となる酸化グラフェンの酸化度を変えたり、酸化グラフェンの還元に用いる還元剤の量を変えたりすることによりコントロールすることが可能である。酸化グラフェンの酸化度が高いほど官能基化率も高くなり、酸化度が低いと官能基化率が低くなる。
また、本発明のナノグラフェンは、炭素に対する酸素の元素比(O/C)が0.10以上0.30以下であることが好ましい。ナノグラフェンにおける酸素原子は、ナノグラフェン中の官能基に基づくものである。ナノグラフェンにおける炭素に対する酸素の元素比、多いほど分散性が良好になりイオン導電性が高くなるが、多すぎると導電性が低くなる。一方で、少なすぎると導電性は高くなるが、イオン導電性・分散性は悪くなる。そのため、炭素に対する酸素の元素比(O/C)は0.10以上0.30以下であることが好ましく、0.10以上0.20以下であることがより好ましく、0.12以上0.18以下であることがさらに好ましい。
また、本発明のナノグラフェンにおいては、窒素原子が少量含まれていることが好ましい。ナノグラフェンに窒素原子、特にアミンが含まれることで、分散性を向上する。本発明のナノグラフェンは、炭素に対する窒素の元素比(N/C)が0.005以上0.05以下であることが好ましい。
ナノグラフェンに含まれる窒素は、表面処理剤に含まれる、アミノ基、ニトロ基などの窒素を含有する官能基や、ピリジン基やイミダゾール基などの窒素を含有する複素環に由来するものである。(本明細書においては、ナノグラフェンに表面処理剤が付着したものも含めて「ナノグラフェン」と表記する。)このような官能基が存在することで分散性を向上することが可能である。一方で、窒素含有量が多すぎるとイオン導電性・分散性は悪くなる。そのため、炭素に対する酸素の元素比(N/C)は0.005以上0.05以下であることが好ましく、0.008以上0.04以下であることがより好ましく、0.01以上0.03以下であることがさらに好ましい。
本発明において、ナノグラフェンの炭素に対する酸素の元素比(O/C)及び炭素に対する窒素の元素比(N/C)は、燃焼法による有機元素分析法によって測定された炭素重量、窒素重量および酸素重量の値から、モル比に換算して求めた値である。水分を十分に乾燥させるために、ナノ酸化グラフェン及びナノグラフェンを80℃で2時間真空乾燥した後、燃焼型元素分析装置で有機成分を分析することにより分析することが出来る。元素分析装置としては、全自動元素分析装置 vario MICRO cube(Elementar社)などが例示される。但し、ナノ酸化グラフェンおよびナノグラフェンはその製造工程から硫酸イオンが混入しているため、酸素成分には硫酸由来のものも含まれる。そのため有機元素分析法においては硫黄も同時に測定し、検出された硫黄は全て硫酸に由来すると考えて硫黄の四倍の酸素原子モル比を差し引く。具体的には、炭素に対する酸素の元素比(O/C)は、(酸素のモル比―硫黄のモル比×4)/炭素のモル比、から計算される。
<ナノグラフェン−電極活物質複合体粒子>
本発明のナノグラフェンの用途は限定されるものではないが、例えばリチウムイオン電池電極活物質粒子(以下、単に「電極活物質粒子」ということがある。)と複合化することにより有益に用いられる。ここにおいて複合化とは、電極活物質粒子の表面にナノグラフェンが接した状態を維持せしめることを意味する。複合化の態様としては、ナノグラフェンと電極活物質を一体として造粒したもの、電極活物質の表面にナノグラフェンを付着せしめたものが挙げられる。リチウムイオン電池においては電極活物質表面における導電性・イオン導電性が特性に大きな影響を与える。微細で官能基化率が高い本発明のナノグラフェンは、高い導電性とイオン導電性を併せ持つため、電極活物質表面に接することでリチウムイオン電池の性能を大きく向上することが出来る。
複合化するリチウムイオン電池電極活物質は、正極活物質、負極活物質のいずれであってもよい。すなわち、本発明のナノグラフェンは、正極にも負極にも適用することができる。正極活物質としては、特に限定はされないが、コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、スピネル型マンガン酸リチウム(LiMn)、あるいは、コバルトをニッケル・マンガンで一部置換した三元系(LiMnNiCo1−x−y)、スピネル型マンガン酸リチウム(LiMn)などのリチウムと遷移金属の複合酸化物、リン酸鉄リチウム(LiFePO)などのオリビン系(リン酸系)活物質。V等の金属酸化物やTiS、MoS、NbSeなどの金属化合物等などが挙げられる。また、負極活物質としては、特に限定されないが、天然黒鉛、人造黒鉛、ハードカーボンなどの炭素系材料、SiOやSiC、SiOC等を基本構成元素とするケイ素化合物、リチウムイオンとコンバージョン反応しうる酸化マンガン(MnO)や酸化コバルト(CoO)などの金属酸化物などがあげられる。
ナノグラフェンと電極活物質を複合化させる方法に制限は無いが、ナノグラフェンと電極活物質とが分散された分散液を、スプレードライ、凍結乾燥などの手法で乾燥する手法、ナノグラフェン粉末と電極活物質を、混合する手法、ナノ酸化グラフェンと電極活物質とが分散された分散液を、スプレードライ、凍結乾燥などの手法で乾燥させた後に還元する手法、ナノ酸化グラフェン粉末と電極活物質を混合した後に還元する手法、が挙げられる。
分散液中でナノグラフェン又はナノ酸化グラフェンと電極活物質とを混合する方法としては、三本ロール・湿式ビーズミル・湿式遊星ボールミル・ホモジェナイザー・プラネタリーミキサー、二軸混練機などを利用した方法が挙げられる
ナノグラフェン粉末又はナノ酸化グラフェン粉末と電極活物質とを混合する方法としては、自動乳鉢・乾式ビーズミル・乾式遊星ボールミルなどを利用する方法が挙げられ、仲でも粉末同士を混合するのに乾式遊星ボールミルが好適である。
本発明のナノグラフェンは、有機溶媒に分散した分散液の状態で用いることもできる。この場合、有機溶媒としては、N-メチルピロリドン、γ-ブチロラクトン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、或いは上記の混合物などが好ましく、N-メチルピロリドンが特に好ましい。
<リチウムイオン電池電極>
本発明のリチウムイオン電池電極の第1実施形態は、導電助剤として本発明のナノグラフェンを単体で、すなわち、活物質と複合化せずに含むものである。第1実施形態におけるリチウムイオン電池電極は、集電体、電極活物質、バインダーおよび本発明のナノグラフェンを含む。
集電体としては、導電性のあるシートまたはメッシュであれば制限はないが、金属箔あるいは金属メッシュであって電気化学反応に大きく影響しないものが用いられる。正極側の集電体としてはアルミ箔が好ましい。負極側集電体としては、銅箔が好ましい。電極密度を高めるために金属箔の一部に孔が形成されていても良い。
電極活物質としては、ナノグラフェンと複合化させる電極活物質として前述したものと同様のものを用いることができる。
バインダーとしては、特に限定されないが、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのフッ素系重合体、あるいはスチレンブタジエンゴム(SBR)、天然ゴムなどのゴムを用いることができる。
導電助剤は、本発明のナノグラフェンのみを用いてもよいし、他に更に異なる導電助剤を添加しても良い。他に添加する導電助剤としては、特に限定されないが、例えば、ファーネスブラック、ケッチェンブラック(登録商標)、アセチレンブラック等のカーボンブラック類、天然黒鉛(鱗片状黒鉛等)、人造黒鉛等のグラファイト類、炭素繊維及び金属繊維等の導電性繊維類、銅、ニッケル、アルミニウム及び銀等の金属粉末類などが挙げられる。
これらの電極活物質、導電助剤、バインダーを適量の溶剤と混合することによりリチウムイオン電池電極用ペーストを作製し、当該電用極ペーストを集電体に塗布し、乾燥することで、リチウムイオン電池電極を作製することができる。電極用ペーストの溶剤としては、N−メチルピロリドン・γ−ブチロラクトン・カルボキシメチルセルロース・ジメチルアセトアミドなどが挙げられ、特にN−メチルピロリドンはナノグラフェンとの親和性が高く好ましい。
ナノグラフェンは極めてサイズが小さいため、重量あたりの数量が多い。そのため、リチウムイオン電池電極における導電パスを形成しやすい。リチウムイオン電池電極中の導電パスを良好に形成できることで、電極内の電子伝導性が向上し高出力なリチウムイオン電池を得ることが出来る。特に、リチウムイオン電池用電極の断面をSEM観察した際に、ナノグラフェン同士が連なって活物質間の導電パスを形成していることが好ましい。
本発明のリチウムイオン電池電極の第2実施形態は、活物質として前述のナノグラフェン−電極活物質複合体粒子を含むものである。第2実施形態におけるリチウムイオン電池電極は、集電体、前述のナノグラフェン−電極活物質複合体粒子およびバインダーを含む。集電体、バインダーとしては、前述したものと同様のものを用いることができる。
また、本発明のリチウムイオン電池電極は、活物質として前述のナノグラフェン−電極活物質複合体粒子を含み、さらに導電助剤として本発明のナノグラフェンを含むものであってもよい。
リチウムイオン電池において高出力を得るためには、リチウムイオン電池用活物質の表面における導電性、リチウムイオン電池用活物質間の導電性の両方を形成していることが特に好ましい。そのため、リチウムイオン電池用電極の断面をSEM観察した際に、活物質表面にナノグラフェンが付着し、活物質間の導電パスも形成している状態が好ましい。
<ナノグラフェンの製造方法>
本発明のナノグラフェンは、一例として、ナノ酸化グラフェンを還元する製造方法により製造することが出来る。ナノ酸化グラフェンとは酸化グラフェンの一種であり、エックス線回折測定で9.0°〜13.0°にグラフェン層の層間距離に基づくピークを持つ。
ナノ酸化グラフェンの面方向の大きさは、0.001〜0.005質量%にまで希釈したナノ酸化グラフェン水溶液をガラス基板などの平滑性の高い基板上に滴下・乾燥し、光学顕微鏡又はレーザー顕微鏡で観察することで容易に測定することが可能である。レーザー顕微鏡としては、例えばキーエンス社製VK−X250などを用いることができる。ナノ酸化グラフェンの面方向の大きさとは、上記方法で観察したナノ酸化グラフェン小片一つひとつについて最も長い部分の長さ(長径)と最も短い部分の長さ(短径)を測定し、(長径+短径)/2で求められる数値であり、本発明においてはランダムに50個以上のナノ酸化グラフェン小片を測定した場合の平均値を指すものとする。
ナノ酸化グラフェンは、ナノグラフェンと同様非常に微細な構造を持つため、折りたたみによる自己凝集や、ナノ酸化グラフェン間の相互作用による凝集が抑えられる。ナノグラフェンを製造する場合、ナノグラフェンの大きさはナノ酸化グラフェンの大きさを反映するため、面方向の大きさは20nm以上100nm以下であることが好ましく、25nm以上60nm以下であることがより好ましい。
ナノ酸化グラフェンの厚み(グラフェン層に垂直な方向の大きさ)は、原子間力顕微鏡(AFM)によって測定することが可能である。測定に際しては、ナノ酸化グラフェン水溶液を0.001〜0.005質量%にまで希釈し、ガラス基板やマイカ基板などの平滑性の高い基板上に滴下・乾燥し、AFMで観察する。薄片状の酸化グラフェンは通常最も薄い方向がナノ酸化グラフェンの面に垂直である。そのため、基板上に付着した酸化グラフェンにおいて、基板に垂直な方向の厚みがすなわちナノグラフェンの厚みと解される。ナノグラフェンの一小片内で厚みに分布がある場合は、小片内の厚みの積算値を面積平均することで求められる。本発明において、ナノグラフェンの厚みは、上記方法で観察し、ランダムに50個以上のナノグラフェン小片の厚みを測定した場合の平均値を指すものとする。
本製造方法においては、ナノ酸化グラフェンとして厚みが10nm以下のものを用いるが、下限は特に制限は無く、1層の酸化グラフェンであっても良い。ナノ酸化グラフェンの厚みが10nmより厚くなると、グラフェンの特徴であるフレキシビリティが少なくなって単に粒子のような物体となり、粒子表面に付着させるようなことが出来なくなる。ナノ酸化グフラフェンの厚みの上限としては、好ましくは5nm以下、より好ましくは3nm以下である。
また、本製造方法においては、ナノ酸化グラフェンとして官能基化率が1.0以上1.5以下のものを用いることが好ましい。官能基化率が1.0以下であると、還元後のナノグラフェンの分散性が悪くなる。一方、1.5以上であると、グラフェンとしての構造が維持しにくく、還元後ナノグラフェンの導電性が悪くなる。
本発明のナノグラフェンを製造するためには、原料となる酸化グラフェンを強い酸化条件で製造する必要がある。一例として、ハマーズ法により作製した酸化グラフェンをさらに酸化する手法を以下に説明する。
まず、黒鉛(石墨粉)15gと硝酸ナトリウム7.5gを濃硫酸330ml中に入れて攪拌しながら、過マンガン酸カリウム45gを温度が上がらないように徐々に添加し、10℃以下で1.5時間攪拌した後、30℃〜40℃で2.5時間攪拌する。その後イオン交換水を690ml加えて希釈して懸濁液とし、80〜100℃で15分間反応する。最後に過酸化水素水50mlと脱イオン水1020mlを加え30分間反応して、酸化グラフェン分散液を得る。得られた酸化グラフェン分散液を濾過、洗浄し、pH5〜7の酸化グラフェン分散液を得る。酸化グラフェン分散液を希釈から凍結乾燥法やスプレードライ法などにより溶媒を除去することで、酸化グラフェン粉末とする。
酸化グラフェンの原料となる黒鉛は、人造黒鉛・天然黒鉛のどちらでも良いが、天然黒鉛が好ましく用いられる。濃硫酸は、質量含有量が70%以上のものを利用することが好ましく、97%以上のものを利用することがさらに好ましい。
そして、上記の手順で作製した酸化グラフェン粉末5gと硝酸ナトリウム2.5gを濃硫酸110ml中に入れて攪拌しながら、過マンガン酸カリウム15gを温度が上がらないように徐々に添加し、10℃以下で1.5時間攪拌した後、30℃〜40℃で2.5時間攪拌する。その後イオン交換水を230ml加えて希釈して懸濁液とし、80〜100℃で15分間反応する。最後に過酸化水素水20mlと脱イオン水340mlを加え30分間反応して、酸化グラフェン分散液を得る。得られた酸化グラフェン分散液を濾過、洗浄し、酸化グラフェン分散液を得る。
酸化グラフェンの酸化度は、黒鉛の酸化反応に用いる酸化剤の量を変化させることで調整することができる。上記の反応例では、酸化反応の際に用いる、黒鉛に対する硝酸ナトリウム及び過マンガン酸カリウムの量が多いほど高い酸化度になり、少ないほど低い酸化度になる。
上記酸化グラフェン分散液を超音波処理装置、ビーズミル、ボールミル、ジェットミルなどにより微細化および分散させることで、面方向の大きさが20nm以上100nm以下であり、厚みが10nm以下のナノ酸化グラフェンを作製することができる。
以上のように二度の酸化工程を経ることでグラファイト構造が数十nmレベルになるまでグラファイト構造の欠陥を作製した上で、微細化・分散処理することによりナノ酸化グラフェンを作製できる。
上記ナノ酸化グラフェンを還元することにより、本発明のナノグラフェンを製造することができる。還元工程において、ナノグラフェンのグラフェン面方向の大きさはナノ酸化グラフェンの面方向の大きさとほぼ同等の大きさが得られる。
本発明においてナノ酸化グラフェンを還元処理する方法は限定されるものではないが、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH)やヒドラジン(N)などの還元剤による化学還元、レーザー光やフラッシュ光、紫外線、マイクロ波などの光源や電磁波による熱還元、オーブンなどによる加熱還元などの還元方法が上げられる。熱による還元の場合、還元反応の際に酸化グラフェンから二酸化炭素が脱離するため、グラフェン構造から炭素が抜けて導電性が低くなる傾向がある。化学還元による還元では熱による還元よりもグラフェン構造が壊れにくいため、還元手法としては化学還元が好ましい。
化学還元の還元剤としては、有機還元剤、無機還元剤が挙げられるが、還元後の洗浄の容易さから無機還元剤が好ましい。
有機還元剤としてはアルデヒド系還元剤、ヒドラジン誘導体還元剤、アルコール系還元剤が挙げられ、中でもアルコール系還元剤は比較的穏やかに還元することができるため、特に好適である。アルコール系還元剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、ベンジルアルコール、フェノール、エタノールアミン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、などが挙げられる。
無機還元剤としては亜ジチオン酸ナトリウム、亜ジチオン酸カリウム、亜リン酸、水素化ホウ素ナトリウム、ヒドラジンなどが挙げられ、中でも亜ジチオン酸ナトリウム、亜ジチオン酸カリウムは、官能基を比較的保持しながら還元できるので、好適に用いられる。
化学還元をする際には、ナノ酸化グラフェンを分散媒に良好に分散させた状態であることが好ましく、分散媒とナノ酸化グラフェンが存在する状態で、各種攪拌装置で攪拌することが好ましい。攪拌装置としては、自転公転ミキサー、プラネタリーミキサー、ホモミキサー、フィルミックス(プライミクス社)などのミキサーや、超音波分散機、ジェットミル、などの分散機を使用することが出来る。分散媒は特に限定されるものではないが、酸化グラフェンが一部或いは全部溶解するものを用いることが好ましい。このような分散媒としては極性溶媒が好ましく、水・エタノール・メタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン等が好ましいものとして挙げられる。中でも水は酸化グラフェンとの親和性・溶解度が非常に高く、最も好ましい溶媒といえる。
〔測定例1:元素比(O/C)、(N/C)〕
ナノ酸化グラフェン又はナノグラフェンを80℃2時間で真空乾燥して溶剤を十分除去した後、全自動元素分析装置 vario MICRO cube(Elementar社)を用いて、ナノ酸化グラフェンおよびナノグラフェンの炭素原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子の重量を測定する。測定した重量比をモル比に換算した後、(酸素のモル比―硫黄のモル比×4)/炭素のモル比、を計算することで炭素に対する酸素の元素比を求めた。また、測定した重量比からモル比に換算し、酸素に対する窒素の元素比(N/C)を求めた。
〔測定例2:グラフェンの面方向の大きさ〕
ナノグラフェンの場合はN−メチルピロリドン溶剤を用いて、ナノ酸化グラフェンの場合は水を用いて、0.002質量%にまで希釈し、ガラス基板上に滴下・乾燥し、基板上に付着させた。基板上のナノグラフェンまたはナノ酸化グラフェンをキーエンス社製レーザー顕微鏡VK−X250で観察して、ナノグラフェンまたはナノ酸化グラフェンの小片の最も長い部分の長さ(長径)と最も短い部分の長さ(短径)をランダムに50個測定し、(長径+短径)/2で求められる数値を50個分平均して求めた。
〔測定例3:グラフェンの厚み〕
ナノグラフェンの場合はN−メチルピロリドン溶剤を用いて、ナノ酸化グラフェンの場合は水を用いて、0.002質量%にまで希釈し、マイカ基板上に滴下・乾燥し、基板上に付着させた。基板上のナノグラフェン又はナノ酸化グラフェンを、AFM(Dimension Icon、Bruker社)で観察して、ナノグラフェン又はナノ酸化グラフェンの厚みをランダムに50個測定し、平均値を求めた。一小片で厚みにバラつきがあった場合は面積平均を求めた。
〔測定例4:官能基化率〕
ナノグラフェンのX線光電子測定には、Quantera SXM (登録商標:PHI 社製)を使用した。励起X線は、monochromatic Al Kα1、2 線(1486.6 eV)であり、X線径は200μm、光電子脱出角度は45°である。
炭素原子に基づくピークを、C=C結合、C−H結合に基づく284eV付近のピーク、C−O結合の場合に基づく286eV付近のピーク、C=O結合に基づく287.5eV付近のピーク、COO結合に基づく288.5eV付近のピーク、の4つの成分にピーク分離し各ピークの面積比から官能基化率を求めた。
〔測定例5:電池性能評価〕
放電容量は、特に記載した場合を除き、以下のように測定した。下記実施例で作製したナノグラフェンを1.5重量部、電極活物質としてLiMnを92重量部、導電助剤としてアセチレンブラックを1.5重量部、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン5重量部、溶剤としてN−メチルピロリドン100重量部、を加えたものをプラネタリーミキサーで混合してリチウムイオン電池電極ペーストを得た。当該電極ペーストをアルミニウム箔(厚み18μm)にドクターブレード(300μm)を用いて塗布し、80℃15分間乾燥後、真空乾燥して電極板を得た。
作製した電極板を直径15.9mmに切り出して正極とし、直径16.1mm厚み0.2mmに切り出したリチウム箔を負極とし、直径17mmに切り出したセルガード#2400(セルガード社製)セパレータとして、LiPFを1M含有するエチレンカーボネート:ジエチルカーボネート=7:3の溶媒を電解液として、2042型コイン電池を作製し、電気化学評価を行った。上限電圧4.3V、下限電圧3.0Vでレート0.1C、1C、5Cの順に充放電測定を各3回ずつ、計9回行い、レート1Cの3回目と、レート5Cの3回目の放電時のそれぞれの放電容量を評価した。
(合成例1)
1500メッシュの天然黒鉛粉末(上海一帆石墨有限会社)を原料として、氷浴中の黒鉛(石墨粉)15gと硝酸ナトリウム7.5gを98%濃硫酸330ml中に入れて攪拌しながら、過マンガン酸カリウム45gを温度が10℃以下になるように徐々に添加し、添加終了後1.5時間攪拌した後、35℃で2.5時間攪拌した。その後イオン交換水を690ml加えて希釈して懸濁液とし、90℃で15分間反応した。最後に過酸化水素水50mlと脱イオン水1020mlを加え30分間反応して、酸化グラフェン分散液を得る。得られた酸化グラフェン分散液を、pH5になるまで濾過洗浄し、酸化グラフェン分散液を得た。
この酸化グラフェンのO/Cは0.69、面方向の大きさは9.8μm、厚みは6.2nmであった。
(合成例2)
硝酸ナトリウムと過マンガン酸カリウムを、硝酸ナトリウム5.25g、過マンガン酸カリウム31.5gとした以外は合成例1と同様に処理し、酸化グラフェン分散液を得た。
この酸化グラフェンのO/Cは0.62、面方向の大きさは11.2μm、厚みは9.8nmであった。
(合成例3)
合成例1で調製した酸化グラフェン分散液を凍結乾燥して酸化グラフェン粉末を得た。
上記酸化グラフェン粉末5gと硝酸ナトリウム2.5gを98%濃硫酸110ml中に入れて攪拌しながら、過マンガン酸カリウム15gを温度が10℃以下になるように徐々に添加し、添加終了後1.5時間攪拌した後、35℃で2.5時間攪拌した。その後イオン交換水を230ml加えて希釈して懸濁液とし、90℃で15分間反応した。最後に過酸化水素水20mlと脱イオン水340mlを加え30分間反応して、ナノ酸化グラフェン分散液を得た。
このナノ酸化グラフェンのO/Cは1.05、面方向の大きさは28nm、厚みは3.4nmであった。
(合成例4)
使用する酸化グラフェン分散液を合成例2で調製したものとする以外は合成例3と同様の処理を行い、ナノ酸化グラフェン分散液を得た。
このナノ酸化グラフェンのO/Cは1.05、面方向の大きさは28nm、厚みは3.4nmであった。
(合成例5)
合成例1で調製した酸化グラフェン分散液から0.5%酸化グラフェン分散液100mlを調整し、超音波ホモジェナイザーにより出力200Wで1時間処理した。
この酸化グラフェンのO/Cは0.69、面方向の大きさは1.1μm、厚みは5.8nmであった。
[実施例1]
合成例3で調製したナノ酸化グラフェン分散液から0.5%ナノ酸化グラフェン分散液100mlを調整し、スターラーで攪拌しながら還元剤として1.5gの亜ジチオン酸ナトリウムを加えて温度40℃で、30分間還元反応を行った。還元終了後、吸引ろ過器でろ過後、水で0.5%濃度まで希釈して吸引ろ過する洗浄工程を5回繰り返して洗浄した。洗浄終了後、凍結乾燥してナノグラフェンを得た。
[実施例2]
合成例4で調製したナノ酸化グラフェン分散液を用いた以外は実施例1と同様にしてナノグラフェンを得た。
[実施例3]
合成例3で調製したナノ酸化グラフェン分散液を凍結乾燥した後、窒素雰囲気中200℃5時間で熱処理して還元を行い、ナノグラフェンを得た。
[実施例4]
合成例3で調製したナノ酸化グラフェン分散液を凍結乾燥した後、窒素雰囲気中600℃5時間で熱処理して還元を行い、ナノグラフェンを得た。
[実施例5]
合成例3で調製したナノ酸化グラフェン分散液と、電極活物質LiMnを、固形分で2.25:100となるようにホモジェナイザーで混合し、混合物を凍結乾燥した後、窒素雰囲気中200℃5時間で熱処理して還元を行い、ナノグラフェンと電極活物質LiMnとの複合体粒子(ナノグラフェン−電極活物質複合体粒子)を得た。この複合体粒子の炭素成分を測定したところ1.5%であった。
電極活物質として当該複合体粒子を用い(92重量部)、ナノグラフェンを単体で添加しなかった以外は測定例5と同様にして電池性能評価を行った。
[実施例6]
合成例3で調製したナノ酸化グラフェン分散液から0.5%ナノ酸化グラフェン分散液100mlを調整し、ドーパミン塩酸塩を250mg添加した後、スターラーで攪拌しながら還元剤として1.5gの亜ジチオン酸ナトリウムを加えて温度40℃で、30分間還元反応を行った。還元終了後、吸引ろ過器でろ過後、水で0.5%濃度まで希釈して吸引ろ過する洗浄工程を5回繰り返して洗浄した。洗浄終了後、凍結乾燥してナノグラフェンを得た。
[比較例1]
合成例1で調製した酸化グラフェン分散液から0.5%酸化グラフェン分散液100mlを調整し、スターラーで攪拌しながら還元剤として1.5gの亜ジチオン酸ナトリウムを加えて温度40℃で、30分間還元反応を行った。還元終了後、吸引ろ過器でろ過後、水で0.5%濃度まで希釈して吸引ろ過する洗浄工程を5回繰り返して洗浄した。洗浄終了後、凍結乾燥してナノグラフェンを得た。
[比較例2]
合成例2で調製した酸化グラフェン分散液を用いた以外は比較例1と同様にしてグラフェンを得た。
[比較例3]
合成例5で調製した超音波処理後の0.5%酸化グラフェン分散液100mlを、スターラーで攪拌しながら還元剤として1.5gの亜ジチオン酸ナトリウムを加えて温度40℃で、30分間還元反応を行った。還元終了後、吸引ろ過器でろ過後、水で0.5%濃度まで希釈して吸引ろ過する洗浄工程を5回繰り返して洗浄した。洗浄終了後、凍結乾燥してグラフェンを得た。
各実施例、比較例におけるグラフェンのO/C、面方向の大きさ、厚みおよび官能基化率と、それぞれのグラフェンを用いたリチウムイオン電池の電池性能評価の結果を表1に示す。
Figure 2016190781

Claims (9)

  1. 面方向の大きさが20nm以上100nm以下であり、厚みが10nm以下であり、X線光電子分光測定により測定される官能基化率が0.35以上0.80以下であるナノグラフェン。
  2. 酸素原子の炭素原子に対する元素比(O/C)が0.10以上0.30以下である、請求項1に記載のナノグラフェン。
  3. 炭素原子に対する酸素原子の元素比(N/C)が0.005以上0.05以下である、請求項1または2に記載のナノグラフェン。
  4. 面方向の大きさが25nm以上60nm以下である、請求項1〜3のいずれかに記載のナノグラフェン。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のナノグラフェンと、リチウムイオン電池電極活物質とが複合化されてなる、ナノグラフェン−電極活物質複合体粒子。
  6. 請求項1〜4のいずれかに記載のナノグラフェンまたは請求項5に記載のナノグラフェン−電極活物質複合体粒子を含むリチウムイオン電池電極用ペースト。
  7. 請求項1〜4のいずれかに記載のナノグラフェンまたは請求項5に記載のナノグラフェン−電極活物質複合体粒子を含むリチウムイオン電池電極。
  8. 請求項1〜4のいずれかに記載のナノグラフェンが有機溶媒に分散されてなるナノグラフェン分散液。
  9. 面方向の大きさが20nm以上100nm以下であり、厚みが10nm以下であり、X線光電子分光測定により測定される官能基化率が1.0以上1.5以下であるナノ酸化グラフェン。
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