JP7056101B2 - 還元グラフェンの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、酸化グラフェンを還元して得られる還元グラフェンの製造方法に関する。
グラフェンは炭素原子からなる二次元結晶であり、2004年に発見されて以来非常に注目されている素材である。グラフェンは優れた電気、熱、光学、及び機械特性を有し、電池材料、エネルギー貯蔵材料、電子デバイス,複合材料などの領域で幅広い応用が期待されている。
このようなグラフェンの応用を実現するためには、低コスト化のための作製法の効率化、及び分散性の改善が必須の課題となる。
グラフェンの製造法としては、機械剥離法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、CEG(Crystal Epitaxial Growth)法などが挙げられるが、これらの手法は生産性が低く、大量生産には適さない。これに対し、酸化還元法(天然黒鉛の酸化処理で酸化黒鉛または酸化グラフェンを得た後、還元反応によりグラフェンを作製する方法)はグラフェンの大量合成が可能であり、グラフェンを実用化するのに非常に重要な手法である。
このようにして得られたグラフェンは、高い導電性能を持つ上に、薄片状の構造を持つため導電パスを多くすることができ、特に電池用の導電材料として高いポテンシャルを持つ。しかし、グラフェンはナノカーボンであるため凝集しやすく、単に酸化還元法でグラフェンを作製しても適度に分散することができずポテンシャルを発揮することができていなかった。
そこで、特許文献1では酸化黒鉛を加熱により膨張剥離させることで比表面積の高い薄片型の黒鉛を作製している。特許文献2では酸化グラフェンとリチウムイオン電池用電極活物質を混合した後に加熱することにより還元し、導電剤として活用している。特許文献3ではカテコールの存在下、グラフェンを還元することにより分散性の高いグラフェンを作製している。特許文献4ではグラフェンを二酸化炭素中で加圧して超臨界流体処理を行う手法が開示されている。
特表2009-511415号公報 特開2014-112540号公報 国際公開第2013/181994号 特表2016-536258号公報
特許文献1のように、加熱膨張により作製したグラフェンは高い比表面積が得られるが、高温加熱により溶媒が揮発した状態で作製するため、溶剤中への分散が困難になる。また、加熱還元では十分な導電性を得ることができない。
特許文献2のように酸化グラフェンを他の粒子と混ぜて加熱する手法においても、特許文献1の場合と同様、加熱処理によりグラフェンを得ているため十分な導電性が得られない。また、粒子と混合する用途に適用が限定される。
また、特許文献3のように表面処理剤を使用すると、分散性は良くなるものの、表面処理剤の影響で抵抗が低下する課題があった。
特許文献4ではグラフェンを超臨界流体中で処理しているものの、グラフェンを剥離させるのに十分な力を与えることができず、剥離度に問題があり、分散性が不十分であった。
本発明は、高導電性と高分散性を兼ね備えたグラフェンを作製することを課題とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、高せん断力をかけながら、酸化グラフェンを還元する手法により、高導電性と高分散性を兼ね備えた還元グラフェンを作製できることを見出した。すなわち、本発明は、酸化グラフェンを還元剤により還元する還元グラフェンの製造方法であって、酸化グラフェン分散液と、酸化グラフェンを還元しうる還元剤を含有する還元剤液とをそれぞれ別の流路から送液し、合流点における圧力が0.3MPa以上500MPa以下となるよう合流させる工程を有し、合流点直後におけるレイノルズ数が100以上である、還元グラフェンの製造方法である。また、本発明は、酸化グラフェンを還元剤により還元する還元グラフェンの製造方法であって、酸化グラフェン分散液と、酸化グラフェンを還元しうる還元剤を含有する還元剤液とをそれぞれ別の流路から送液し、合流点における圧力が0.3MPa以上500MPa以下となるよう合流させる工程を有し、合流点付近で合流直後の混合液の流れを乱流とする、還元グラフェンの製造方法である。
本発明の還元グラフェンの製造方法は、酸化グラフェン分散液と還元剤液とを、高いせん断力をかけながら混合することにより、グラフェンの剥離状態を維持しながら還元することが可能である。この手法により、高導電性と高分散性を兼ね備えた還元グラフェンを作製することが可能である。このようにして作製した還元グラフェンは、リチウムイオン電池用電極に適用することで優れた放電特性が得られる。また、樹脂と混合することにより高い導電性をもつ樹脂を得られる。
グラフェンとは、狭義には1原子の厚さのsp結合炭素原子のシート(単層グラフェン)を指すが、本明細書においては、単層グラフェンが積層した薄片状の形態を持つものも含めてグラフェンと呼ぶ。酸化グラフェンも同様に、積層した薄片状の形態を持つものも含めた呼称とする。
また、本明細書において、「還元グラフェン」とは酸化グラフェンを還元して得られるグラフェンであって、還元処理前に対して、X線光電子分光分析(XPS)によって測定された酸素原子の炭素原子に対する元素割合(酸化度)が低下しているもの全般を意味する相対的な概念である。典型的には、酸化度が0.4を超えるものが酸化グラフェン、0.4以下のものが還元グラフェンと呼称されるが、本発明においては特に限定されるものではない。また、酸化グラフェンと還元グラフェンを総称して単に「グラフェン」という場合がある。
[酸化グラフェン分散液]
酸化グラフェンの作製法に特に限定は無く、ハマーズ法等の公知の方法を使用できる。また市販の酸化グラフェンを購入してもよい。酸化グラフェンの作製方法として、ハマーズ法を用いる場合を以下に例示する。
黒鉛(石墨粉)と硝酸ナトリウムを濃硫酸中に入れて攪拌しながら、過マンガン酸カリウムを温度が上がらないように徐々に添加し、25~50℃下、0.2~5時間攪拌反応する。その後イオン交換水を加えて希釈して懸濁液とし、80~100℃で5~50分間反応する。最後に過酸化水素と脱イオン水を加え1~30分間反応して、酸化グラフェン分散液を得る。得られた酸化グラフェン分散液を濾過、洗浄し、酸化グラフェン水分散ゲルを得る。この酸化グラフェン水分散ゲルを希釈して酸化グラフェン水分散液が得られる。酸化グラフェン水分散液を得る際、酸化グラフェンを乾燥させる工程を経ないことが好ましい。
酸化グラフェンの原料となる黒鉛は、人造黒鉛・天然黒鉛のどちらでも良いが、天然黒鉛が好ましく用いられる。原料とする黒鉛のメッシュ数は20000以下が好ましく、5000以下がさらに好ましい。
各反応物の割合は、一例として、黒鉛10gに対し、濃硫酸を150~300ml、硝酸ナトリウムを2~8g、過マンガン酸カリウムを10~40g、過酸化水素を40~80gである。硝酸ナトリウムと過マンガン酸カリウムを加える時は、氷浴を利用して温度を制御する。過酸化水素と脱イオン水を加える時、脱イオン水の質量は過酸化水素質量の10~20倍である。濃硫酸は、質量含有量が70%以上のものを利用することが好ましく、97%以上のものを利用することがさらに好ましい。
酸化グラフェンは高い分散性を有するが、酸化グラフェン自体は絶縁性で導電剤等に用いることはできない。酸化グラフェンの酸化度が高すぎると、還元して得られるグラフェン粉末の導電性が悪くなる場合があるため、酸化グラフェンにおけるX線光電子分光法によって測定される酸素原子に対する炭素原子の割合は0.5以下であることが好ましい。酸化グラフェンをX線光電子分光法測定する際には充分溶剤を乾燥させた状態で行う。
また、内部まで黒鉛が酸化されていないと還元したときに薄片状のグラフェン粉末が得られにくい。そのため、酸化グラフェンは、乾燥した酸化グラフェン粉末のエックス線回折測定をしたときにグラファイト構造特有のピークが検出されないことが望ましい。
酸化グラフェンの酸化度は、黒鉛の酸化反応に用いる酸化剤の量を変化させることで調整することができる。具体的には、酸化反応の際に用いる、黒鉛に対する硝酸ナトリウム及び過マンガン酸カリウムの量が多いほど高い酸化度になり、少ないほど低い酸化度になる。黒鉛に対する硝酸ナトリウムの重量比は特に限定されるものではないが、0.20以上0.80以下であることが好ましく、0.25以上0.50以下であることがさらに好ましく、0.275以上0.425以下であることが特に好ましい。黒鉛に対する過マンガン酸カリウムの比は特に限定されるものではないが、1.0以上であることが好ましく、1.4以上であることがさらに好ましく、1.65以上であることが特に好ましい。また、同様に4.0以下であることが好ましく、3.0以下であることがさらに好ましく、2.55以下であることが特に好ましい。
酸化グラフェンは上記の例で示した手法では水分散液として作製される。水分散液から他の溶媒に置換する手法としては、水分散液に水以外の溶媒を加えて攪拌した後に、ろ過又は遠心分離機により濃縮する工程を繰り返すことで溶媒を置換することができる。
酸化グラフェン分散液の溶媒は水を含むことが好ましいが、酸化グラフェンが十分分散できる溶媒であれば他の溶媒であっても良く、混合溶媒であっても良い。複数の溶媒を使用する場合には相分離せずに相溶する溶媒であることが好ましい。酸化グラフェンを十分分散できる溶媒としては、N-メチルピロリドン、γ-ブチロラクトン、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。酸化グラフェン分散液の溶媒は、混合する還元剤液と相溶するものを用いることが好ましく、同一の溶媒であることが更に好ましい。還元剤液として水溶液を用いる場合には酸化グラフェン分散液は水分散液を用いることが好ましい。
[還元剤液]
酸化グラフェンを還元しうる還元剤を含有する還元剤液は、還元剤が溶媒に溶けた還元剤液であってもよいし、還元剤自体が液体であるものであっても良い。還元剤としては、有機還元剤、無機還元剤が挙げられるが、還元後の洗浄の容易さから無機還元剤が好ましい。
有機還元剤としてはアルデヒド系還元剤、ヒドラジン誘導体還元剤、アルコール系還元剤が挙げられ、中でもアルコール系還元剤は比較的穏やかに還元することができるため、特に好適である。アルコール系還元剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、ベンジルアルコール、フェノール、エタノールアミン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、などが挙げられる。中でも比較的沸点が高いブタノール、ベンジルアルコール、エタノールアミン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコールが好ましい。
無機還元剤としては亜ジチオン酸ナトリウム、亜ジチオン酸カリウム、亜リン酸、水素化ホウ素ナトリウム、ヒドラジンなどが挙げられる。無機還元剤は、溶媒に溶解して還元剤液として用いられるが、無機還元剤の還元力が発現しやすい点で、水溶液とすることが好ましい。
還元剤としては、酸化グラフェンの還元が急速に行える還元力をもつものが好ましく、この観点から、亜ジチオン酸ナトリウム、亜ジチオン酸カリウム、水素化ホウ素ナトリウム、ヒドラジンが好ましく、亜ジチオン酸ナトリウム、亜ジチオン酸カリウムが特に好ましい。また、これらを水溶液として還元剤液とすることが特に好ましい。
酸化グラフェン分散液と還元剤液の組み合わせとしては、酸化グラフェンの水分散液と上記の無機還元剤の水溶液との組み合わせが最も好ましい。
[合流させる工程]
本発明の還元グラフェンの製造方法は、上記の酸化グラフェン分散液と還元剤液とをそれぞれ別の流路から送液し、合流点における圧力が0.3MPa以上500MPa以下となるよう合流させる工程を有する。この工程により、酸化グラフェンと還元剤とが混合され、酸化グラフェンが還元される。
合流時に十分なせん断力を与えるために高圧で合流させる必要がある一方、圧力が高すぎると液体中の圧力差が生じるキャビテーション効果により気泡が発生するため、合流時の圧力は0.3MPa以上500MPa以下とする必要がある。圧力が高いほど剥離状態を維持しながら還元することが可能なため、合流時の圧力は1MPa以上が好ましく、10MPa以上がより好ましい。また、圧力が高すぎると気泡の発生や還元剤の分解の進行の可能性があるため、圧力は250MPa以下が好ましい。
酸化グラフェンは還元の際に表面官能基が急速に減少する結果、非常にグラフェン同士の積層凝集が起こりやすくなる。高いせん断力をかけながら還元することにより、還元された直後に還元グラフェン同士が積層凝集を発生する前に還元グラフェン1枚の面内でπ―π相互作用により引き合い折り畳みが起こる。その結果、還元グラフェン同士の積層を防ぐことができ分散性が高まる。還元反応の完了から凝集発生までにかかる時間は非常に短いため、還元反応した後にせん断力をかけるのではなく、せん断力をかけながら還元をすることで、分散性向上効果が得られる。
合流点において加圧状態となるよう二液を合流するには、酸化グラフェン分散液と還元剤液とを、加圧送液ポンプにて流路中をそれぞれ加圧しながら送液して合流させることが好ましい。加圧送液ポンプとしては加圧能力が高く連続送液に適したプランジャーポンプが好ましい。プランジャーポンプは無脈流動作が可能な複数のプランジャーを持つ構成のポンプを用いることが好ましい。
各流路の合流地点の直前における流路径は十分高いせん断力を与えるために、3mm以下とすることが好ましく、0.5mm以下とすることがより好ましい。また流路を流れる原料の圧力損失を抑えるため、各流路の合流地点の直前における流路径は0.05mm以上とすることが好ましく、0.1mm以上とすることがより好ましい。流路径はここでは流路の直径を表し、流路断面が円形で無い場合は、流路断面積をS、周長をLとしたとき、D=4×S/Lを流路径とする。 また、酸化グラフェン分散液と還元剤液とを良く混合して還元反応が均一に進行するようにするため、合流直後の混合液の流れを乱流とすることが好ましい。乱流を生じさせるための方法としては、特に限定されないが、合流直後の混合液が通過する流路を直角に曲げる、合流点に撹拌板を設置する、などの方法が挙げられる。
合流後の流体が乱流になりやすいかどうかはレイノルズ数から判断でき、レイノルズ数が高いほど乱流になりやすい。レイノルズ数Reは、体積流量Q、流路の断面積をS、直径をD、液体の動粘性係数をνとしたときに、Re=QD/Sνで表すことができる。ここで流路断面が円形で無い場合は、流路断面積をS、周長をLとしたとき、D=4×S/Lを流路径とする。合流点直後における合流後の流体のレイノルズ数は100以上であることが好ましく、300以上であることがより好ましく、1000以上であることがさらに好ましい。
合流点における混合液の温度は、還元反応が起こる温度であれば特に限定されないが、還元反応促進のためには40℃以上であることが好ましく、60℃以上であることがより好ましい。そのため、流路に送液する前に、酸化グラフェン分散液および/または還元剤液を予め加熱することが好ましい。また、流路通過中に酸化グラフェン分散液および還元剤液の温度が低下するのを防止するため、流路中で酸化グラフェン分散液および/または還元剤液を加熱することが好ましい。これらの場合の加熱温度としては、還元反応を進める観点から40℃以上が好ましい。また、流路内での突沸を防ぐ観点からは90℃以下が好ましく、80℃以下がより好ましい。なお、酸化グラフェン分散液および/または還元剤液を予め加熱しなくとも、流路内においてこれらを還元反応が進行する温度にまで加熱するようにしてもよい。
本発明の製造方法を実施する製造装置には湿式ジェットミルを用いることが好適である。そのような湿式ジェットミルとしてはJNシリーズ(株式会社常光製)、スターバースト(登録商標)シリーズ(株式会社スギノマシン製)、ナノヴェイタ(登録商標)シリーズ(吉田機械興業株式会社製)が挙げられるが、ナノヴェイタ用マイクロリアクタ(吉田機械興業株式会社製)と組み合わせたナノヴェイタが特に好適に用いることができる。
〔測定例1:粉体抵抗率測定〕
サンプルの導電率は直径約20mm、密度1g/cmのディスク状試験片に成型し、三菱化学株式会社製MCP-HT450高抵抗率計とMCP-T610低抵抗率計を使用して測定した。
〔測定例2:エックス線光電子測定〕
各サンプルのエックス線光電子測定はQuantera SXM (PHI社製))を使用して測定した。励起X線は、monochromatic Al Kα1,2 線(1486.6eV)であり、X線径は200μm、光電子脱出角度は45°である。
(合成例1)
酸化グラフェンの作製方法:平均粒径25μm鱗片状天然黒鉛粉末(伊藤黒鉛社、品番:Z-25)を原料として、氷浴中の10gの天然黒鉛粉末に、220mlの98%濃硫酸、5gの硝酸ナトリウム、30gの過マンガン酸カリウムを入れ、1時間機械攪拌し、混合液の温度は20℃以下で保持した。この混合液を氷浴から取り出し、35℃水浴中で4時間攪拌反応し、その後イオン交換水500mlを入れて得られた懸濁液を90℃で更に15分反応を行った。最後に600mlのイオン交換水と50mlの過酸化水素を入れ、5分間の反応を行い、酸化グラフェン分散液を得た。熱いうちにこれを濾過し、希塩酸溶液で金属イオンを洗浄し、イオン交換水で酸を洗浄し、pHが7になるまで洗浄を繰り返して酸化グラフェンゲルを作製した。作製した酸化グラフェンゲルを乾燥後エックス線光電子測定したところ、酸素原子の炭素原子に対する元素組成比(O/C比)は0.53であった。
(合成例2)
合成例1における硝酸ナトリウムを3.5gとし、過マンガン酸カリウムを21gとした以外は同様に酸化グラフェンゲルを作製した。作製した酸化グラフェンゲルを乾燥後エックス線光電子測定したところ、酸素原子の炭素原子に対する元素組成比(O/C比)は0.45であった。
[実施例1]
(1)酸化グラフェン分散液の調製方法:合成例1で作製した酸化グラフェンゲルをイオン交換水で、濃度5g/Lに希釈し、超音波洗浄機で30分処理し、均一な酸化グラフェン分散液を得た。
(2)還元剤液の調製方法:還元剤として亜ジチオン酸ナトリウムをイオン交換水に溶解して15mg/mlに希釈し、還元剤液を得た。
(3)流路径が約200μmであり、合流地点にて流路が直角に曲がる乱流発生機構を有するマイクロリアクタを装着した湿式ジェットミルであるナノヴェイタL-ED(吉田機械興業株式会社製)にて、(1)で調製した酸化グラフェン分散液および(2)で調製した還元剤液予め40℃に加熱した後、マイクロリアクタ内流路にプランジャーポンプを用いてそれぞれ20MPaの吐出圧力で送液し、20MPaの加圧下で、マイクロリアクタ内流路の合流点で1:1の割合で合流させた。各流路は温度を40℃に保ち、酸化グラフェン分散液と還元剤液とを加熱した状態で送液した。合流後の混合液は、酸化グラフェンの茶色ではなく、グラフェンの黒色が見られ、還元されていることが目視で観察された。
この還元グラフェン分散液を1g/LにNMPで希釈した後に沈降状態を目視観察したところ10日後も沈降は見られなかった。
さらに、当該還元グラフェン分散液を水にてろ過洗浄後、再度イオン交換水に5g/Lに分散し凍結乾燥してグラフェン粉末を得た。このグラフェン粉末を測定例1に従い粉体抵抗率を測定したところ0.015Ω・cmであった。また、測定例2に従いエックス線光電子測定をしたところ、酸素原子の炭素原子に対する元素組成比(O/C比)は0.08であった。
[実施例2]
(1)酸化グラフェン分散液の調製方法:合成例1で作製した酸化グラフェンゲルをイオン交換水で、濃度5g/Lに希釈し、超音波洗浄機で30分処理し、均一な酸化グラフェン分散液を得た。
(2)還元剤液の調製方法:還元剤として亜ジチオン酸ナトリウムをイオン交換水に溶解して15g/Lに希釈し、還元剤液を得た。
(3)各流路の吐出圧力を10MPaとし、合流点において10MPaの加圧下で合流させたこと以外は実施例1の(3)と同様にして、酸化グラフェン分散液と還元剤液とを合流させた。
得られた還元グラフェン分散液を1g/LにNMPで希釈した後に沈降状態を目視観察したところ10日後も沈降は見られなかった。
さらに、当該還元グラフェン分散液を水にてろ過洗浄後、再度イオン交換水に5g/Lに分散し凍結乾燥してグラフェン粉末を得た。このグラフェン粉末を測定例1に従い粉体抵抗率を測定したところ0.021Ω・cmであった。また、このグラフェン粉末を測定例2に従いエックス線光電子測定をしたところ、O/C比は0.09であった。
[実施例3]
(1)酸化グラフェン分散液の調製方法:合成例1で作製した酸化グラフェンゲルをイオン交換水で、濃度5g/Lに希釈し、超音波洗浄機で30分処理し、均一な酸化グラフェン分散液を得た。
(2)還元剤液の調製方法:還元剤液としてはベンジルアルコールを用いた。
(3)酸化グラフェン分散液および還元剤液をともに80℃に加熱し、流路も80℃に保った状態とした以外は実施例1の(3)と同様にして、酸化グラフェン分散液と還元剤液とを合流させた。合流後の混合液は、酸化グラフェンの茶色ではなく、グラフェンの黒色が見られ還元されていることが目視で観察された。
この還元グラフェン分散液を1g/LにNMPで希釈した後に沈降状態を目視観察したところ10日後も沈降は見られなかった。
また、当該還元グラフェン分散液を水にてろ過洗浄後、再度イオン交換水に5g/Lに分散し凍結乾燥してグラフェン粉末を得た。このグラフェン粉末を測定例1に従い粉体抵抗率を測定したところ0.030Ω・cmであった。また、このグラフェン粉末を測定例2に従い、エックス線光電子測定をしたところ、O/C比は0.11であった。
[実施例4]
実施例1において使用する酸化グラフェンを合成例1の酸化グラフェンゲルの替わりに合成例2の酸化グラフェンゲルを使用し、他は実施例1と同様の処理を実施し還元グラフェン分散液を得た。
得られた還元グラフェン分散液を1g/LにNMPで希釈した後に沈降状態を目視観察したところ10日後も沈降は見られなかった。
さらに、当該還元グラフェン分散液を水にてろ過洗浄後、再度イオン交換水に5g/Lに分散し凍結乾燥してグラフェン粉末を得た。このグラフェン粉末を測定例1に従い粉体抵抗率を測定したところ0.013Ω・cmであった。また、測定例2に従いエックス線光電子測定をしたところ、酸素原子の炭素原子に対する元素組成比(O/C比)は0.07であった。
[比較例1]
実施例1の(1)で調製した酸化グラフェン分散液100mlおよび還元剤液100mlを、40℃に加熱して、ビーカー内で、ホットプレートスターラーで300rpmで攪拌しながら、40℃に加熱し、1時間反応させた。還元により酸化グラフェンの茶色からグラフェンの黒色に変化している様子が目視にて観察された。
得られた還元グラフェン分散液を1g/LにNMPで希釈した後に沈降状態を目視観察したところ1時間後に沈降が見られた。
また、当該還元グラフェン分散液を水にてろ過洗浄後、再度イオン交換水に5g/Lに分散し凍結乾燥してグラフェン粉末を得た。このグラフェン粉末を測定例1に従い粉体抵抗率を測定したところ0.035Ω・cmであった。また、このグラフェン粉末を測定例2に従い、エックス線光電子測定をしたところ、O/C比は0.12であった。
[比較例2]
実施例3の(1)で調製した酸化グラフェン分散液100mlおよび還元剤液100mlを、80℃に加熱して、ビーカー内で、ホットプレートスターラーで300rpmで攪拌しながら、80℃に加熱し、1時間反応させた。
反応後もほとんど酸化グラフェンに変色が見られず、還元反応が十分起こっていないことが目視にて観察された。
このグラフェン分散液を1g/LにNMPで希釈した後に沈降状態を目視観察したところ10日後も沈降は見られなかった。
また、当該分散液を水にてろ過洗浄後、再度イオン交換水に5g/Lに分散し凍結乾燥してグラフェン粉末を得た。このグラフェン粉末を測定例1に従い粉体抵抗率を測定したところ測定できないほど高抵抗であった。また、このグラフェン粉末を測定例2に従い、エックス線光電子測定をしたところ、O/C比は0.50であった。
各実施例、比較例における還元グラフェンの作製方法および得られた還元グラフェンの物性を表1に示す。
Figure 0007056101000001

Claims (14)

  1. 酸化グラフェンを還元剤により還元する還元グラフェンの製造方法であって、酸化グラフェン分散液と、酸化グラフェンを還元しうる還元剤を含有する還元剤液とをそれぞれ別の流路から送液し、合流点における圧力が0.3MPa以上500MPa以下となるよう合流させる工程を有し、合流点直後におけるレイノルズ数が100以上である、還元グラフェンの製造方法。
  2. 酸化グラフェンを還元剤により還元する還元グラフェンの製造方法であって、酸化グラフェン分散液と、酸化グラフェンを還元しうる還元剤を含有する還元剤液とをそれぞれ別の流路から送液し、合流点における圧力が0.3MPa以上500MPa以下となるよう合流させる工程を有し、合流点付近で合流直後の混合液の流れを乱流とする、還元グラフェンの製造方法。
  3. 前記合流点付近で合流直後の混合液の流れを乱流とする、請求項1に記載の還元グラフェンの製造方法。
  4. 前記酸化グラフェン分散液と前記還元剤液とを、加圧送液ポンプにてそれぞれ流路中を加圧しながら送液し合流させる、請求項1~3のいずれに記載の還元グラフェンの製造方法。
  5. 前記加圧送液ポンプとしてプランジャーポンプを用いる、請求項4に記載の還元グラフェンの製造方法。
  6. 前記流路の合流点直前における各流路の流路径が0.05mm以上3mm以下である、請求項1~5のいずれかに記載の還元グラフェンの製造方法。
  7. 前記流路に送液する前に、前記酸化グラフェン分散液および/または前記還元剤液を予め加熱する、請求項1~6のいずれかに記載の還元グラフェンの製造方法。
  8. 前記流路中で前記酸化グラフェン分散液および/または前記還元剤液を加熱する、請求項1~7のいずれかに記載の還元グラフェンの製造方法。
  9. 前記酸化グラフェン分散液中の酸化グラフェンをエックス線光電子測定した際のO/C比が0.5以下である。請求項1~8のいずれかに記載の還元グラフェンの製造方法。
  10. 前記還元剤液として無機還元剤の水溶液を用いる、請求項1~9のいずれかに記載の還元グラフェンの製造方法。
  11. 前記酸化グラフェン分散液として、酸化グラフェン水分散液を用いる、請求項10に記載の還元グラフェンの製造方法。
  12. 前記還元剤として、亜ジチオン酸ナトリウム、亜ジチオン酸カリウム、水素化ホウ素ナトリウムおよびヒドラジンからなる群より選択される還元剤を用いる、請求項1~11のいずれかに記載の還元グラフェンの製造方法。
  13. 前記合流点における圧力が1MPa以上250MPa以下である、請求項1~12のいずれかに記載の還元グラフェンの製造方法。
  14. 湿式ジェットミルを用いて実施される、請求項1~13のいずれかに記載の還元グラフェンの製造方法。
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