JP2016190273A - 研磨パッド及びその製造方法並びに研磨加工方法 - Google Patents

研磨パッド及びその製造方法並びに研磨加工方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 高研磨圧下でも高い研磨効率を確保し、かつ高い研磨性能を維持するための安定したドレス処理性を確保すること。【解決手段】 乾式成型法により多数の発泡12が形成され、被研磨物を研磨加工するための研磨面Pに前記発泡12の開孔13が形成された樹脂発泡体11を有する研磨パッド10において、前記樹脂発泡体11が、全体の100重量%に対して5重量%以上19重量%以下の割合を占める微粒子を含有するとともに、60℃のウエット状態におけるA硬度を70以上90以下の範囲にあるものとし、前記研磨面Pを観察したときに、発泡径70μm以上120μm以下とする発泡12が単位面積当たり300個/7.76mm2以上600個/7.76mm2以下の割合で形成されてなるもの。【選択図】 図1

Description

本発明は、研磨パッド及びその製造方法並びに研磨加工方法、特に、サファイアガラス等の難削材を研磨加工するための研磨パッドに関する。
従来、サファイアガラス等の難削材を研磨加工する研磨パッドとして、特許文献1に記載の如く、湿式成膜法により製造された高分子弾性体からなる厚さ200〜1000μmの多孔研磨層の表面に、高分子弾性体の溶剤を塗布し乾燥してなるものがある。
一方、サファイアガラス等の難削材の研磨加工では、高研磨圧(高負荷)条件下で通常のガラス等に比較して長時間に及ぶ研磨になる。従って、高研磨圧での研磨面に形成されている発泡が目詰まりすることなく、スラリーの保持性能を維持し、或いは研磨面がへたりによって平滑化することなく、結果として、研磨速度と良品率を両立させ得る優れた研磨効率(研磨レート)を確保できることが重要とされる。
また、サファイアガラス等の難削材の研磨加工では、生産性向上のために、研磨機の上定盤と下定盤のそれぞれに貼り付けた上下の研磨パッドによって、被研磨物を挟んで両面研磨することが多い。従って、上下の定盤に貼り付けられた研磨パッドにあっては、研磨加工の前処理又は中間処理におけるドレス処理によって研磨面の表層を除去して新しい表層を露出させることにより、それらの研磨面が各定盤に対して厳密な平行をなすものにし、被研磨物の各所に対する研磨圧の均等化、ひいては研磨品質の向上が望まれる。そのため、サファイアガラス等の難削材の研磨加工では、研削面の研磨加工中の目立て(研磨面の新しい表層の露出による再生)だけでなく、上述の厳密な平行出し(平行性)が必要になり、高い研磨性能を維持するための安定したドレス処理性を確保できることが重要になる。
特開2011-224701号公報
従来技術には以下の問題点がある。
(1)特許文献1に記載の研磨パッドは、研磨面が湿式凝固法で得られた軟質な高分子弾性体であるために機械的強度が不足し、高研磨圧が作用すると、研磨面に形成された発泡の開孔がつぶれる。これにより、発泡によるスラリー保持性能が低下するともに、研磨面が平滑化し、研磨効率が低下してしまう。
(2)特許文献1に記載の研磨パッドは、研磨層の好適な厚み範囲を200〜1000μmの如くに薄肉としており、前処理のドレス処理後に残る厚みが僅かなものになって、研磨性能を維持し得るパッド寿命が極めて短い。被研磨物を両面研磨する上下の研磨パッドに厳密な平行出しを行なうときには、上述の残存厚みが更に僅かなものになり、長時間に渡る高負荷研磨が必要になる難削材用研磨パッドでは、短い製品寿命が致命的な欠陥となる。
尚、一般的な被研磨材を研磨加工するための不織布含浸研磨パッド(例えば特開平11-099479号公報)又は乾式成型法で製造された硬質ウレタン研磨パッド(例えは特許第5166172号公報)等を、サファイアガラス等の難削材の研磨加工に適用したとしても、高研磨圧下でも高い研磨効率を確保し、かつ高い研磨性能を維持するための安定したドレス処理性を確保することはできない。
本発明の課題は、高研磨圧下でも長期的に高い研磨効率を確保し、かつ高い研磨性能を維持するための安定したドレス処理性を確保することにある。
請求項1に係る発明は、乾式成型法により多数の発泡が形成され、被研磨物を研磨加工するための研磨面に前記発泡の開孔が形成された樹脂発泡体を有する研磨パッドにおいて、前記樹脂発泡体が、全体の100重量%に対して5重量%以上19重量%以下の割合を占める微粒子を含有するとともに、60℃のウエット状態におけるA硬度を70以上90以下の範囲にあるものとし、前記研磨面を観察したときに、発泡径70μm以上120μm以下とする発泡が単位面積当たり300個/7.76mm2以上600個/7.76mm2以下の割合で形成されてなるようにしたものである。
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において更に、前記樹脂発泡体が、近接して形成された発泡間に連通孔が形成され、吸水率を10%以上40%以下の範囲にあるものとしてなるものである。
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に係る発明において更に、前記樹脂発泡体が、研磨面に溝加工を施され、溝は横断面視で溝底の両側に溝壁が立ち上げられてなり、各溝壁と溝底との交差部にR状曲面を備えてなるようにしたものである。
請求項4に係る発明は、請求項1〜3のいずれかに係る発明において更に、前記樹脂発泡体が、直径20mmの試料とされ、この試料の研磨面を、直径100mmでダイヤ番手#270のダイヤモンドドレッサーにおける最外周部を含む20mm領域に300gfの荷重で押し当て、ドレッサーの回転数を60rpmとし、該押し当て領域に、純水を70mL/minの流量で供給する湿式条件下で、20分間のドレス処理をしたときの該研磨面の削れ量が0.03mm以上0.08mm以下であるものである。
請求項5に係る発明は、請求項1〜4のいずれかに係る発明において更に、前記樹脂発泡体が、ポリウレタン発泡体であるものである。
請求項6に係る発明は、請求項1〜5のいずれかに記載の研磨パッドの製造方法であって、ポリイソシアネート化合物及びポリオール化合物を反応させ得られたイソシアネート基含有化合物、ポリアミン化合物、微粒子、水及び整泡剤の各成分を準備する準備ステップと、前記準備ステップで準備した各成分を略均一に混合した混合液から乾式成型法でポリウレタン発泡体を形成する発泡体形成ステップと、前記発泡体形成ステップで形成されたポリウレタン発泡体をシート状にスライスするスライスステップと、を含むようにしたものである。
請求項7に係る発明は、請求項1〜5のいずれかに記載の研磨パッドを用いた被研磨物の研磨加工方法であって、研磨装置の対向配置された2つの定盤のそれぞれに前記研磨パッドを装着し、前記定盤間に前記被研磨物を配し、前記被研磨物及び研磨パッド間に砥粒が混合された研磨液を供給しつつ前記2つの定盤を互いに逆方向に回転駆動する、ステップを含むようにしたものである。
請求項8に係る発明は、請求項8に係る発明において更に、前記被研磨物が、サファイアガラスであるようにしたものである。
本発明によれば、高研磨圧下でも高い研磨効率を確保し、かつ高い研磨性能を維持するための安定したドレス処理性を確保することができる。
図1は本発明に係る研磨パッドを模式的に示す断面図である。 図2は研磨パッドの製造工程を示す模式図である。 図3は混合成型装置を示す模式図である。 図4は研磨パッドの研磨面に設けた溝と溝ずれ状態を示す模式図である。 図5は研磨パッドの研磨面に設けた溝を模式的に示す断面図である。 図6は研磨パッドの研磨面の表面状態を示すSEM写真である。 図7は研磨パッドの研磨面のドレス処理後の表面状態を示すSEM写真である。
1.研磨パッドの構成及び作用
本発明の研磨パッド10は、図1に示す如く、樹脂発泡体、本実施形態ではポリウレタン発泡体であるポリウレタンシート11を有する。ポリウレタンシート11は、被研磨物を研磨加工するための研磨面Pを有している。ポリウレタンシート11は、予めポリイソシアネート化合物及びポリオール化合物を反応させて得られたイソシアネート基含有化合物と、予めポリオール化合物に水を分散希釈させ整泡剤を含む分散液と、ポリアミン化合物と微粒子の混合液、を混合した混合液を型枠に注型し硬化させたポリウレタン発泡体をスライスし裁断することで形成されている。即ち、研磨パッド10を構成するポリウレタンシート11は、乾式成型法により形成されている。
ポリウレタンシート11の内部には、乾式成型時に分散液中の水により、断面が円形状ないし楕円形状の発泡(気泡)12が略均等に分散して形成されている。即ち、ポリウレタンシート11は発泡構造を有している。発泡12の平均孔径については、発泡剤の役割を果たす水の含有量や製造時の攪拌条件等で調整可能であり、本例では、70〜120μmの範囲に調整されている。ポリウレタンシート11がポリウレタン発泡体をスライスすることで形成されているため、研磨面Pでは発泡12の一部が開口しており、開孔13が形成されている。開孔13が発泡12の開口で形成されるため、開孔13の平均孔径が70〜120μmの範囲となる。ポリウレタンシート11の内部で近接して形成された発泡12は、分散液中の水と整泡剤との作用により連通しており、連通した発泡12の間には連通孔14が形成されている。ポリウレタンシート11の厚みaは、ポリウレタン発泡体のスライス時に調整することができ、本例では、1〜5mmの範囲に調整されている。
また、研磨パッド10は、ポリウレタンシート11の研磨面Pと反対側の面に、研磨機に研磨パッド10を装着するための両面接着テープ21が貼り合わされている。両面接着テープ21は、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略記する。)製フィルム等の図示を省略した基材の両面にそれぞれ粘着剤層(不図示)が形成されている。両面接着テープ21は、一面側の粘着剤層でポリウレタンシート11と貼り合わされており、他面側(図1の最下面側)の粘着剤層が剥離紙22で覆われている。
しかるに、研磨パッド10は、以下の如くの特徴的構成を具備する。
(a)ポリウレタンシート11(樹脂発泡体)が、全体の100重量%に対して5重量%以上19重量%以下の割合を占める微粒子を含有する。微粒子としては、無機化合物粒子や有機化合物粒子を用いることができる。無機化合物粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化セリウム、酸化チタン、酸化クロム、二酸化マンガン、三酸化二マンガン、酸化鉄、酸化ジルコニウム、珪酸ジルコニウム、炭化ケイ素、炭化ホウ素、ダイヤモンド、炭酸バリウム等の粒子を挙げることができる。また、有機化合物粒子としては、例えば、スチレン系共重合体、(メタ)アクリル樹脂、アクリル系共重合体、ポリオレフィン樹脂、オレフィン系共重合体等の粒子を挙げることができる。
なお、微粒子の平均粒子径は0.5〜2.0μmの範囲が好ましい。0.5μm未満であると、研磨層表面から脱落した微粒子が研磨層表面開口部に堆積し、目詰まりを起こす原因となる。逆に2.0μm超えのときには、微粒子そのものが異物となり被研磨物へのスクラッチを発生させてしまい、好ましくない。更に、研磨中にスラリーに溶出して研磨に影響を与えることがないように、微粒子は非水溶性であることが好ましい。
研磨パッド10は、ポリウレタンシート11が上述の微粒子の含有によって高脆性になり、研磨面Pを崩壊させ易く、荒れ易くし、結果として、研磨加工の前処理又は中間処理におけるドレス処理性を向上し、長時間の研磨工程においても研磨面Pの平滑化を抑制する。
これにより、研磨パッド10は、安定したドレス処理性を確保でき、発泡12の開孔13を生成して該発泡12によるスラリー保持性能を維持するとともに、研磨加工時においても研磨面Pの表面状態の平滑化を回避し、長期的に荒れた状態を維持することによって該研磨面Pと被加工物との接点が増えることで、長期的に安定して高い研磨レートを示すことができる。また、研磨面Pの表面状態の平滑化を回避したことにより、研磨パッド10の研磨面Pがサファイアガラス等の難削材の被加工物に高研磨圧荷重の作用下で吸着し、研磨パッド10のポリウレタンシート11がその高研磨圧荷重によって研磨機の定盤に接着している両面接着テープ21に対してずれる(接着テープ21に対するポリウレタンシート11の部分的剥離とも称する)ことも防止する。従って、高い研磨性能を長時間に渡って維持し、被研磨物がサファイアガラス等の難削材であっても、パッド寿命の長期化、研磨効率(研磨レート)の向上、被研磨物に与える研磨品質(良品率)の向上を図ることができる。
また、研磨パッド10は、安定したドレス処理性を備えることにより、研磨機の定盤に対する研磨面Pの厳密な平行出しを少ない削り量で迅速に整えることができる。即ち、研磨パッド10のドレス処理によって研磨面Pの平行度を出し易くすることで、研磨作業効率を向上できる。また、研磨パッド10の初期厚みを大き目に確保すること相まって、平行出しのためのドレス処理後の残存厚みを確保しながら平行出しでき、被研磨物がサファイアガラス等の難削材であっても、パッド寿命の長期化を図り、かつ精度良く平行度を出すことにより被研磨物の各所に対する研磨圧の均等化、ひいては研磨品質(良品率)の向上を図ることができる。
ここで、微粒子が前述の5重量%未満のときには、ポリウレタンシート11に必要な高脆性を付与できない。他方、微粒子が前述の19重量%超えのときには、ポリウレタンシート11の脆性が過度に高くなり、ポリウレタンシート11の細かく崩壊した粒子が発泡12の開孔13を埋め、発泡12によるスラリー保持性能を低下させるとともに、研磨面Pを平滑化し、研磨効率を損なう。
(b)ポリウレタンシート11の研磨面Pを観察したときに、発泡径70μm以上120μm以下とする発泡12が単位面積当たり300個/7.76mm2以上600個/7.76mm2以下の割合で形成される。
研磨パッド10は、ポリウレタンシート11の研磨面Pに上述の割合を占める多数の発泡12を形成することによって、ポリウレタンシート11の密度を低密度化する。従って、研磨パッド10は、ポリウレタンシート11の研磨面Pに適度に多数の発泡12の開孔13を形成し、研磨加工によって生ずるポリウレタンシート11の研磨屑が一部の開孔13に侵入しても、尚多くの開孔13の開口を維持する。これにより、発泡12によるスラリー保持性能を維持するともに、研磨面Pの平滑化を回避し、前述(a)と同様にして、高い研磨性能を長時間に渡って維持し、被研磨物がサファイアガラス等の難削材であっても、パッド寿命の長期化、研磨効率(研磨レート)の向上、被研磨物に与える研磨品質(良品率)の向上を図ることができる。
また、研磨パッド10は、ポリウレタンシート11の低密度化によって、ポリウレタンシート11におけるスラリーの浸透度が適度になり、上述のスラリー保持性能を維持すると同時に、スラリーが研磨面Pからポリウレタンシート11と研磨機の定盤との間の接着テープ21に過度に到達し難くし、研磨パッド10のポリウレタンシート11が両面接着テープ21に到達したスラリーによって該接着テープ21との接着力が弱まって部分的に浮き上がり、該ポリウレタンシート11が被研磨物に及ぼす研磨荷重によって該接着テープ21に対してずれる(接着テープ21に対するポリウレタンシート11の部分的剥離とも称する)おそれを回避するものになる。従って、被研磨物がサファイアガラス等の難削材であって研磨圧が高かったり、強酸化性のスラリーを用いる等の過酷な研磨加工時にあっても、研磨機の定盤に対するポリウレタンシート11の部分的剥離を招くことがない。
ここで、ポリウレタンシート11の研磨面Pを観察したときに、個々の発泡12の発泡径が70μm以上120μm以下であってそれほど小さくもなく、大きくもないとき、及び単位面積当たりの発泡12の個数が300個/7.76mm2以上600個/7.76mm2以下であってそれほど少なくもなく、多くもないとき、ポリウレタンシート11の密度が上述の如くに適度に低密度化されるものになる。
即ち、ポリウレタンシート11の研磨面Pに占める発泡12の割合が前述の割合より少ないとき(発泡径が小さい、又は発泡個数が少ない)には、ポリウレタンシート11の密度が高密度化してポリウレタンシート11の研磨屑が発泡12を目詰まりさせ易くなり、発泡12によるスラリー保持性能を低下させるとともに、研磨面Pを平滑化し、研磨効率を損なう。他方、発泡12の割合が前述の割合を超えるとき(発泡径が大きい、又は発泡個数が多い)には、ポリウレタンシート11の密度が過度に低密度化し、ポリウレタンシート11におけるスラリーの浸透度が高く、スラリーが研磨面Pからポリウレタンシート11と研磨機の定盤との間の接着テープ21に到達し易くなる。従って、被研磨物がサファイアガラス等の難削材であって研磨圧が高かったり、強酸化性のスラリーを用いる等の過酷な研磨加工時に、ポリウレタンシート11に過度に浸透したスラリーが接着テープ21に到達すると、研磨機の定盤に対するポリウレタンシート11の部分的剥離を生じて研磨加工を損なう。
(c)ポリウレタンシート11が60℃のウエット状態におけるA硬度を70以上90以下の範囲にあるものとする。このウエット状態のA硬度は、研磨パッドを温度60℃の水に30分間浸漬した後の湿潤硬度として、日本工業規格(JIS K 7311)に準じて測定したものである。
従って、研磨パッド10は、ポリウレタンシート11が上述のA硬度が70以上の高硬度を有することにより、被加工物(加工面)の平坦性を向上するとともに、ポリウレタンシート11の研磨面Pが高研磨圧下でもへたりにくくし、ポリウレタンシート11の研磨面Pに多数の発泡12の開孔13を維持する。上述のA硬度は、難削材を対象にスラリーを使用して研磨を行うことを想定し、加えて、高研磨圧条件下で摩擦熱が発生することを想定し、60℃、ウエット(湿潤)状態で測定したもので規定する。これにより、発泡12によるスラリー保持性能を維持するともに、高研磨圧下による摩擦熱が発生してもなお研磨面Pの平滑化を回避し、前述(a)と同様にして、高い研磨性能を長時間に渡って維持し、被研磨物がサファイアガラス等の難削材であっても、パッド寿命の長期化、研磨効率(研磨レート)の向上、被研磨物に与える研磨品質(良品率)の向上を図ることができる。更に、ポリウレタンシート11が上述のA硬度が90を超えない硬度を有することにより、被研磨物へのスクラッチの発生を抑制することができる。
(d)ポリウレタンシート11が、前述した如くに近接して形成された発泡12間に連通孔14が形成され、吸水率を10%以上40%以下の範囲にあるものとする。この吸水率は、ポリウレタンシート11から切り出した試料片(10cm×10cm)の重量を測定した後、温度20℃の水に1時間浸漬し、この浸漬後の試料片を取出し、表面に付着した水を拭い取って重量を測定することにより、浸漬前後の重量変化の浸漬前の重量に対する百分率を吸水率としたものである。
従って、研磨パッド10は、ポリウレタンシート11に前述(b)の如くの低密度の研磨面Pを有するとともに、ポリウレタンシート11に多数の連通孔14を有することによって上述の高い吸水率を有する。即ち、従来乾式成型法で形成される難削材研磨用ポリウレタン発泡体では、ポリウレタン自体が疎水性を有する上に、研磨層の硬度を向上させるため発泡を小さく、あるいは少なくしていたため、発泡における連通孔の割合が低下し、発泡構造が独立状になり、水(例えば、研磨液)には馴染み難いものである。これに対して、ポリウレタンシート11では、充分な連通孔14が形成されたことで、研磨面Pの開孔13から連通孔14、発泡12を通じて水の移動が可能となる。連通孔14の形成割合が増加するにつれて、水への馴染みが良くなり、吸水スピードや吸水率が向上する。研磨加工の初期における立ち上がりの良さは、水への馴染み易さ、言い換えれば吸水スピードの早さで決定される。また、複数の被研磨物を連続して研磨加工する際には、水への馴染みが良く水分保持率が高い研磨パッドほど安定性に優れている。
これにより、スラリーがポリウレタンシート11の内部まで良く浸透して高いスラリー保持性能を具備するものになり、高い研磨性能を長時間に渡って維持し、被研磨物がサファイアガラス等の難削材であっても、パッド寿命の長期化、研磨効率(研磨レート)の向上、被研磨物に与える研磨品質(良品率)の向上を図ることができる。
ここで、ポリウレタンシート11の吸水率が10%未満のときには、ポリウレタンシート11に高いスラリー保持性能を具備できず、難削材を十分に研磨できない。他方、ポリウレタンシート11の吸水率が40%より高いときには、ポリウレタンシート11におけるスラリーの浸透度が高くなり、ポリウレタンシート11に過度に浸透したスラリーが接着テープ21に到達する結果、研磨機の定盤に対するポリウレタンシート11の部分的剥離を生じて研磨加工を損なう。
研磨パッド10が、ポリウレタンシート11の研磨面Pに、図4(A)に示す如くの正方格子状等の溝加工が施されていることが好ましい。溝15は、研磨面Pへのスラリーの供給と排出を促すものになり、研磨効率(研磨レート)の向上を図ることができる。
(e)溝15の横断面形状は矩形状、半球状、V字状、台形状等、公知の形状を用いることができる。しかし、本発明の研磨パッド10のポリウレタンシート11は、上述の如く高硬度でありながらも高脆性且つ多発泡(高吸水)性を示す特徴を有する。このため、溝15の横断面形状が矩形状又は台形状等である本発明の研磨パッド10を用いて難削材を研磨するために高研磨圧荷重条件下で研磨を行うと、ポリウレタンシート11が上述の如く高硬度であり、つまり、クッションに乏しいことにより、溝底15Aとその溝壁15Bとの交差部において発生する負荷をポリウレタンシート11自体で吸収し切れないことに加え、多発泡(高吸水)性を有するためにスラリーが浸透し易いこと、特に溝底部においてはスラリーの浸透により接着強度(物理的強度)が低下することと相まって、ポリウレタンシート11が上述の交差部を基点として接着テープ21に対する部分的剥離が生じやすくなる。これを抑制するために、溝15は図5に示す如くの横断面視で溝底15Aの両側に溝壁15Bが立ち上げられてなり、各溝壁15Bと溝底15Aとの交差部にR状曲面15Cを備えていることがより好ましい。溝15が上述のR状曲面15Cを備えることにより、被研磨物がサファイアガラス等の難削材であることにより、ポリウレタンシート11の研磨面Pが被研磨物に高研磨圧荷重を及ぼすときにも、この荷重が溝15の溝底15Aと溝壁15Bの交差角部に集中してポリウレタンシート11に大きな歪が生ずることを回避する。半球状の横断面形状においても同様の効果が得られるが、研磨工程及び研磨前、研磨中のドレス処理により研磨層が磨耗するにつれ、溝幅が狭まってしまい、経時によりスラリーの流動性が低下してしまうため、長時間におよぶ難削材の研磨には好ましくない。V字状溝においても、研磨工程及び研磨前、研磨中のドレス処理により研磨層が磨耗するにつれ、溝幅が狭まってしまい、経時によりスラリーの流動性が低下してしまうため、長時間におよぶ難削材の研磨には好ましくない。これにより、研磨パッド10は、図4(B)に示すような、研磨機の定盤に対するポリウレタンシート11に部分的剥離が生じ、部分的に浮き上がることがなく、あるいは横ずれすることがなく、前述(a)と同様にして、高い研磨性能を長時間に渡って維持し、被研磨物がサファイアガラス等の難削材であっても、パッド寿命の長期化、研磨効率(研磨レート)の向上、被研磨物に与える研磨品質(良品率)の向上を図ることができる。尚、溝壁15Bは研磨面に対して斜めであっても良いが、図5に図示したように垂直であることが好ましい。また、R状曲面の半径は、特に制限は無いが、研磨機の定盤に対するポリウレタンシート11の部分的な剥離を回避する効果を充分に得ることができつつ、研磨工程及び研磨前、研磨中のドレス処理において研磨層が磨耗した際に溝幅が狭まり、あるいは、溝底部に微粒子等の研磨屑が滞留して溝が閉塞し、経時により研磨効率が低下することを防止するために、溝幅に対して1/20以上、1/2以下であることが好ましい。
尚、ポリウレタンシート11の研磨面Pに施される溝15の形態は、正方格子状に限らず、斜め格子状、放射状、同心円状、らせん状等、公知の形状からなるものでも良く、複数の形状を組み合わせても良い。溝幅、溝深さ、溝間隔についても、研磨面Pへのスラリーの供給と排出を促すことができる範囲で適宜設定すれば良い。
(f)研磨パッド10は、ポリウレタンシート11が、直径20mmの試料とされ、この試料の研磨面を、直径100mmでダイヤ番手#270のダイヤモンドドレッサーにおける最外周部を含む20mm領域に300gfの荷重で押し当て、ドレッサーの回転数を60rpmとし、該押し当て領域に、純水を70mL/minの流量で供給する湿式条件下で、20分間のドレス処理をしたときの該研磨面の削れ量(厚みの変化量)が0.03mm以上であるものとされる。即ち、研磨パッド10は、ポリウレタンシート11のドレス処理による研磨面Pの削れ量が大きくなり、換言すればドレス処理性が良いことを意味する。これは、ポリウレタンシート11に前述(a)の微粒子を含有させたことによる高脆性化に起因するものであり、研磨面Pはドレス処理によって崩壊し易く、荒れ易くなる。これにより、研磨パッド10は、前述(a)と同様にして、高い研磨性能を長時間に渡って維持し、被研磨物がサファイアガラス等の難削材であっても、パッド寿命の長期化、研磨効率(研磨レート)の向上、被研磨物に与える研磨品質(良品率)の向上を図ることができる。ここで、上記削れ量が0.08mmより高いときには、パッド寿命が低下することとなり、被研磨物がサファイアガラス等の難削材である場合は特に好ましくない。
2.研磨パッドの構造
研磨パッド10は、図2に示す各工程を経て製造される。即ち、ポリイソシアネート化合物と、ポリオール化合物と、予めポリオール化合物に水と整泡剤とを分散希釈させた分散液と、ポリアミン化合物と、微粒子とをそれぞれ準備する準備工程、予めポリイソシアネート化合物及びポリオール化合物を反応させてイソシアネート基含有化合物を生成し、得られたイソシアネート基含有化合物、分散液、予めポリアミン化合物と微粒子を混合させた混合液の各成分を混合して混合液を調製する混合工程、混合液を型枠に注型し型枠内で発泡、硬化させてポリウレタン発泡体を形成する硬化成型工程、ポリウレタン発泡体をシート状にスライスし裁断して複数枚のシートを形成するスライス・裁断工程、ポリウレタンシート11と両面接着テープ21とを貼り合わせ研磨パッド10を形成するラミネート工程を経て製造される。以下、工程順に説明する。
(準備工程)
準備工程では、ポリイソシアネート化合物と、ポリオール化合物と、分散液と、ポリアミン化合物と、微粒子とをそれぞれ準備する。準備するポリイソシアネート化合物としては、分子内に2つ以上のイソシアネート基を有していれば特に制限されるものではない。例えば、分子内に2つのイソシアネート基を有するジイソシアネート化合物としては、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート(2,6−TDI)、2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)、ナフタレン−1,4−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ビフェニルジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、キシリレン−1,4−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルプロパンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、プロピレン−1,2−ジイソシアネート、ブチレン−1,2−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,2−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,4−ジイソシアネート、p−フェニレンジイソチオシアネート、キシリレン−1,4−ジイソチオシアネート、エチリジンジイソチオシアネート等を挙げることができる。これらのジイソシアネート化合物の2種以上を併用しても良く、分子内に3つ以上、例えば、3つのイソシアネート基を有するトリイソシアネート化合物を用いても良い。ポリウレタンシート11のショアA硬度を上述した範囲に調整することを考慮すれば、2,6−TDIや2,4−TDIのトリレンジイソシアネートが、少なくとも50重量%含まれていることが好ましい。
一方、ポリオール化合物としては、ジオール化合物、トリオール化合物等の化合物であれば良く、例えば、エチレングリコール、ブチレングリコール等の低分子量のポリオール化合物、及び、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)等のポリエーテルポリオール化合物、エチレングリコールとアジピン酸との反応物やブチレングリコールとアジピン酸との反応物等のポリエステルポリオール化合物、ポリカーボネートポリオール化合物、ポリカプロラクトンポリオール化合物等の高分子量のポリオール化合物のいずれも使用することができる。また、これらのポリオール化合物の二種以上を併用しても良い。
また、分散液の調製に用いられるポリオール化合物は、イソシアネート基含有化合物のイソシアネート基と反応することで、研磨加工時の溶出、ひいては、研磨性能に対する悪影響を抑制することができる。分散液では、発泡に関与しないポリオール化合物に水及び整泡剤が分散されることで、次工程の混合工程で水、整泡剤の混合斑を低減する役割を果たす。ポリオール化合物としては、ジオール化合物、トリオール化合物等の化合物であれば良く、例えば、エチレングリコール、ブチレングリコール等の低分子量のポリオール化合物、PTMG、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)等の高分子量のポリオール化合物のいずれも使用することができる。イソシアネート基含有化合物やポリアミン化合物の溶液の粘度と同程度にすることで混合工程において水の分散を均一化し易くなるため、数平均分子量500〜3000のポリオール化合物を用いることが好ましい。本例では、数平均分子量約1000のPTMGを使用する。分散液の調製時には、一般的な攪拌装置を使用して攪拌混合すれば良く、水及び整泡剤が略均等に分散希釈されていれば良い。
分散液に分散させる水としては、特に制限はないが、不純物等の混入を回避するため、蒸留水を使用することが好ましい。また、分散液に対する水の配合割合は、1.00〜5.00重量%の範囲に調整する。
一方、分散液に分散させる整泡剤は、得られるポリウレタン発泡体に形成される連通孔14の割合を調整する役割を果たす。即ち、整泡剤は、その種類によって、分散力、ポリオール化合物への相溶性、発泡の安定化力が異なるため、整泡剤の種類や添加量をコントロールすることで、連通孔14の形成割合を調整することが可能である。連通孔14の形成に好適な整泡剤としては、シリコン系界面活性剤を挙げることができるが、とりわけ、シリコン系ノニオン界面活性剤であって、活性水素基を有していないものを使用することが好ましい。シリコン系ノニオン界面活性剤としては、例えば、ポリエーテル変性シリコーン、即ち、ポリオキシアルキレン・ジメチルポリシロキサン・コポリマを挙げることができる。ポリエーテル変性シリコーンを構成するポリエーテルとしては、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、これらの共重合体等を例示することができる。このようなシリコン系ノニオン界面活性剤の整泡剤として、具体的には、シリコン整泡剤SH−190、SH−192、SH−193(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製)、L−5340(日本ユニカー株式会社製)等を例示することができる。
分散液に対する整泡剤の添加量は、発泡剤として配合される水の添加量により調整され、水の1重量部に対して上述した整泡剤SH−193を0.15〜3.0重量部の範囲とすることが好ましい。水に対する整泡剤の添加量が0.15重量部未満ではポリウレタン樹脂に対する分散液の分散性が悪化し、発泡形状及び発泡の分布にムラが生じ、上述した発泡構造を有するポリウレタン発泡体が得られなくなる。反対に、添加量が3.0重量部を超えるとポリウレタン発泡体に形成される連通孔14が減少し、水に対する馴染みが悪くなる結果となる。
準備工程で準備するポリアミン化合物は、イソシアネート基含有化合物のイソシアネート基と反応する。ポリアミン化合物としては、脂肪族や芳香族のポリアミン化合物を使用することができるが、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジアミン、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン(以下、MOCAと略記する。)、MOCAと同様の構造を有するポリアミン化合物等を挙げることができる。また、ポリアミン化合物が水酸基を有していても良く、このようなアミン系化合物として、例えば、2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、2−ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、2−ヒドロキシプロピルエチレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシプロピルエチレンジアミン等を挙げることができる。これらの化合物の2種以上を併用しても良い。ポリアミン化合物として、本例では、MOCAが用いられる。
ここで、MOCAとは通常、単量体に対してある程度の多量体が含有されていることが知られている。多量体の例としては、クロロアニリンの三量体、四量体等が挙げられる。
MOCAが多量体を含有することにより、反応速度の制御が行ない易く、結果として成形体全体の物性の均一性(例えば密度、硬度等)を得易い。しかし、MOCAにおける多量体の比率が高くなるにつれ、60℃のウエット状態におけるA硬度が低下しやすくなる。以上を踏まえ、MOCA全体に対する多量体含有率が5重量%以上30重量%以下とすることが好ましく、多量体含有率が5重量%以上20重量%以下とすることがより好ましい。多量体含有率が30重量%を超える場合、60℃のウエット状態におけるA硬度が低下し、摩擦熱により研磨面がへたれてしまう結果、研磨レートが低下する。多量体含有率が5重量%未満であると成形体全体の物性の均一性が悪化し、良品率が低下する。
(混合工程、硬化成型工程)
図2に示すように、混合工程では、準備工程で準備したポリイソシアネート化合物と、ポリオール化合物とを反応させることでイソシアネート基含有化合物、即ち、イソシアネート末端ウレタンプレポリマ(以下、単に、プレポリマと略記する。)を生成させる。得られたプレポリマと、準備工程で準備した分散液及びポリアミン化合物と微粒子との混合液とを混合し、混合液を調製する。硬化成型工程では混合工程で調製された混合液を型枠に注型し、型枠内で発泡、硬化させてポリウレタン発泡体を成型する。本例では、混合工程、硬化成型工程を連続して行なう。
プレポリマを生成させるときは、ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基のモル量をポリオール化合物の水酸基のモル量より大きくする。ここで、ウレタンシート11が適度なクッション性を発揮する硬度を有するように、プレポリマ中に含有されるイソシアネート量を表すイソシアネート含有量を適宜調整してポリオール化合物とジイソシアネート化合物とを配合することが重要である。イソシアネート含有量としては、9.0〜11.4重量%の範囲とすることが好ましい。9.0重量%未満であると、研磨中の摩擦熱により硬度が維持できなくなる結果、研磨面の発泡が目詰まりをして平滑化し易くなり、11.4重量%を超えると、研磨層の表面開孔部以外の研磨面が平滑化し易くなる。また、使用するプレポリマは、粘度が高すぎると、流動性が悪くなり混合時に略均一に混合することが難しくなる。温度を上昇させて粘度を低くするとポットライフが短くなり、却って混合斑が生じて得られるポリウレタン発泡体に形成される発泡12の大きさにバラツキが生じる。反対に粘度が低すぎると混合液中で気泡が移動してしまい、ポリウレタン発泡体に略均等に分散した発泡12を形成することが難しくなる。このため、プレポリマは、温度30〜80℃における粘度を2000〜20000mPa・sの範囲に設定することが好ましい。例えば、プレポリマの分子量(重合度)を変えることで粘度を設定することができる。プレポリマは、30〜80℃程度に加熱され流動可能な状態とされる。
図3に示すように、混合工程では混合機100で混合液を調製し、硬化成型工程では調製された混合液を混合機100から連続して型枠120に注型し、硬化させることによりポリウレタン発泡体を成型する。混合機100は、攪拌翼111が内蔵された混合槽110を備えている。混合槽110の上流側には、第1成分としてプレポリマ、第2成分としてポリアミン化合物と微粒子の混合液、第3成分として分散液をそれぞれ収容した供給槽が配置されている。第1成分のプレポリマ、第2成分のMOCAに代表されるポリアミン化合物の多くがいずれも常温で固体または流動しにくい状態のため、それぞれの供給槽は各成分が流動可能となるように加温されている。各供給槽からの供給口は混合槽110の上流端部に接続されている。攪拌翼111は混合槽110内の略中央部で上流側から下流側までにわたって配置された回転軸に固定されている。型枠120の大きさは、本例では、1050mm(長さ)×1050mm(幅)×50mm(厚さ)に設定されている。
各供給槽から第1成分、第2成分、第3成分をそれぞれ混合槽110に供給し、攪拌翼111により均一となるように混合する。混合機100の回転軸の回転に伴い攪拌翼111が回転し、各成分を剪断するようにして混合する。このとき、攪拌翼111の剪断速度、剪断回数を調整することで、各成分が略均等に混合され混合液が調製される。攪拌翼111の剪断速度が小さすぎると、得られるポリウレタン発泡体に形成される発泡12の大きさが大きくなりすぎる。反対に剪断速度が大きすぎると、攪拌翼111及び混合液間の摩擦による発熱で温度が上昇し粘度が低下するため、混合液中で生じた気泡が(成型中に)移動してしまい、得られるポリウレタン発泡体に形成される発泡12の分散状態にバラツキが生じ易くなる。一方、剪断回数が少なすぎると生じる気泡の大きさにムラ(バラツキ)が生じ易く、反対に多すぎると温度上昇で粘度が低下し、発泡12が略均等に形成されなくなる。このため、混合工程では、剪断速度を9,000〜41,000/秒の範囲、剪断回数を300〜10,000回の範囲に設定し、混合する。混合機100での混合時間(滞留時間)は、混合液の流量(最大1リットル/sec)にもよるが、およそ1秒程度である。即ち、例えば、型枠120に100kg程度の混合液を注液するのに要する時間はおよそ1〜2分程度となる。尚、剪断速度、剪断回数は次式により求めることができる。即ち、剪断速度(/秒)=攪拌翼111の翼先端の直径(mm)×円周率×攪拌翼111の回転数(rpm)÷60÷攪拌翼111の翼先端と混合槽110の内壁とのクリアランス(mm)、剪断回数(回)=攪拌翼111の回転数(rpm)÷60×混合槽110中での混合液の滞留時間(秒)×攪拌翼111の翼の数、により求めることができる。
硬化成型工程で、得られた混合液を混合槽110の下流端部に配置された排出口から型枠120に注型する。型枠120に混合液を注液するときは、混合機100からの混合液を混合槽110の排出口から排出し、例えばフレキシブルパイプを通じて、型枠120の対向する2辺間(例えば、図3の左右間)を往復移動する断面三角状の図示しない注液口に導液する。注液口を往復移動させながら、排出口の端部(フレキシブルパイプの端部)を注液口の移動方向と交差する方向に往復移動させる。混合液は、型枠120に略均等に注液される。注液された混合液を型枠120内で反応硬化させブロック状のポリウレタン発泡体を形成させる。このとき、プレポリマとポリオール化合物、ポリアミン化合物との反応によりプレポリマが架橋硬化する。この架橋硬化の進行と同時に、プレポリマのイソシアネート基と分散液に分散希釈された水とが反応することで、二酸化炭素が発生する。架橋硬化が進行しているため、発生した二酸化炭素が外部に抜け出すことなく、発泡12が形成される。
整泡剤に用いたシリコン系界面活性剤の主骨格であるポリジメチルシロキサンは、比較的低い表面張力を示す。ポリウレタン発泡系における整泡剤の役割は、このポリジメチルシロキサンの特性がベースとなっている。シリコン系界面活性剤は、ポリウレタン発泡系において、非シリコン系界面活性剤より優れた表面活性効果を示す。整泡剤のポリウレタン発泡系に対する寄与は、低粘度域での撹拌力の補助と、反応が進行した際の高粘度域での泡の安定化とに大別される。撹拌力の補助は、原料成分を混合・乳化すること、及び、巻き込みガスを分散させることを意味している。一方、泡の安定化は、泡の合一を抑制すること、及び、膜を安定化させることを意味している。泡の合一抑制では表面張力の調整により、膜の安定化では動的表面張力・表面弾性・表面粘性の調整により効果を与える。従って、攪拌力の補助効果が大きくなり、生じた泡の安定化が少なくなる条件を選定することで、連通孔14の形成割合を増加させることができる。この条件は、発泡剤として配合した水の添加量、整泡剤の種類や添加量にあわせて選定される。
(スライス・裁断工程)
図2に示すように、スライス・裁断工程では、硬化成型工程で得られたポリウレタン発泡体をシート状にスライスし、円形等の所望の形状、サイズに裁断して複数枚のシートを形成する。スライスには、一般的なスライス機を使用することができる。スライス時にはポリウレタン発泡体の下層部分を保持し、上層部から順に所定厚さにスライスする。スライスする厚さは、本例では、1.0mm〜5.0mmの範囲に設定されている。また、本例で用いた厚さが50mmの型枠120で成型したポリウレタン発泡体では、例えば、上層部及び下層部の約10mmをキズ等の関係から使用せず、中央部の約30mm分から6〜30枚のシート状にスライスする。裁断時には、所望の形状の型で打ち抜いても良く、裁断機で裁断しても良い。硬化成型工程で内部に発泡12が略均等に形成されたポリウレタン発泡体が得られるため、スライス・裁断工程で形成される複数枚のシートでは、表面に形成された開孔13の平均孔径がいずれも70〜120μmの範囲となる。開孔13の平均孔径が70μmを下回ると、研磨加工時に研磨液中の砥粒等が目詰まりを発生させ、研磨面が平滑化し易くなるため、研磨レートが低下してしまう。反対に120μmを上回ると、ポリウレタンシート11におけるスラリーの浸透度が高くなり、ポリウレタンシート11に過度に浸透したスラリーが接着テープ21に到達する結果、研磨機の定盤に対するポリウレタンシート11の部分的剥離を生じて研磨加工を損なう。
(ラミネート工程)
ラミネート工程では、ポリウレタンシート11の研磨面Pと反対側の面に、両面接着テープ21を一面側の粘着剤層で貼り合わせる。そして、汚れや異物等の付着がないことを確認する等の検査を行ない研磨パッド10を完成させる。
(研磨加工)
被研磨物の研磨加工を行なうときは、被研磨物の片面を研磨加工する片面研磨機や両面を同時に研磨加工する両面研磨機を用いることができる。片面研磨機を用いるときは、研磨定盤に研磨パッド10を装着する。研磨定盤に研磨パッド10を装着するときは、剥離紙22を取り除き、露出した粘着剤層で研磨定盤に接着固定する。研磨定盤と対向するように配置された保持定盤に保持させた被研磨物を研磨面P側へ押圧すると共に、外部からスラリー(砥粒を含む研磨液)を供給しながら研磨定盤ないし保持定盤を回転させることで、被研磨物の加工面を研磨加工する。一方、両面研磨機を用いるときは、対向配置された2つの定盤にそれぞれ研磨パッド10を装着する。定盤間に被研磨物を配し、スラリーを供給しながら、少なくとも一方の定盤を回転させることで、被研磨物を研磨加工する。研磨加工時には、スラリーが、開孔13に保持されつつ、発泡12、連通孔14を通じて移動し、加工面全体に略均等に供給される。尚、通常、研磨液の媒体としては水が使用されるが、アルコール等の有機溶剤を混合することも可能である。また、酸やアルカリ等を添加することで化学的作用による研磨加工もできる。特に、サファイアガラス等の難削材を研磨する場合においては、強酸性スラリーが好適に使用できる。
尚、本実施形態では、特に具体的化合物を例示していないが、プレポリマの調製に用いるポリイソシアネート化合物にトリイソシアネート化合物を配合するようにしても良い。トリイソシアネート化合物を配合することでポリウレタン発泡体が硬くなり、靭性を下げることができ、ドレス性を向上させることができる。この場合、配合するトリイソシアネート化合物の割合を重量比で0.3〜0.8程度とすることが好ましい。また、ポリイソシアネート化合物がトリレンジイソシアネートを含むようにすることが好ましく、その配合割合としては少なくとも50重量%とすることが好ましい。更に、プレポリマの調製に用いるポリオール化合物にPTMGを用いる例を示したが、PTMG以外のポリオール化合物を混合して用いても良い。この場合、PTMGの配合割合を少なくとも50重量%とすることが好ましい。
また、本実施形態では、プレポリマとして、ポリオール化合物とジイソシアネート化合物とを反応させたイソシアネート末端ウレタンプレポリマを例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、ポリオール化合物に代えて水酸基やアミノ基等を有する活性水素化合物を用い、ジイソシアネート化合物に代えてポリイソシアネート化合物やその誘導体を用い、これらを反応させることで得るようにしても良い。また、多種のイソシアネート末端プレポリマが市販されていることから、市販のものを使用することも可能である。また、本実施形態では、ポリオール化合物に水及び整泡剤を分散希釈した分散液を調製する例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、分散液がポリオール化合物、水及び整泡剤以外に、例えば、硬化成型に際し必要な添加剤等の成分を含むようにしても良い。この分散液では、発泡に関与しないポリオール化合物に水、整泡剤を分散させたため、混合工程における水、整泡剤の混合斑を低減する役割を果たす。ポリオール化合物以外の液体を用いることも可能であるが、そのような液体が研磨時に溶出して研磨特性に悪影響を及ぼす可能性のあることを考慮すれば、ポリオール化合物を用いることが好ましい。また、本実施形態では、微粒子を第2成分であるポリアミン化合物に混合した混合液を調整する例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、均一な混合液となるように混合槽に供給されていれば良い。例えば、第1成分に混合するようにしても良く、単独の第4成分として準備しても良い。
[実施例]
以下、本実施形態に従い製造した研磨パッド10の実施例について説明する。尚、比較のために製造した比較例についても併記する。
(実施例1)
実施例1では、第1成分のプレポリマとして2,4−TDI(460部)と数平均分子量約1000のPTMG(223部)と数平均分子量約650のPTMG(231部)及びジエチレングリコール(86部)とを反応させることで得られたプレポリマを50℃に加熱し減圧下で脱泡して用いた。このプレポリマでは、イソシアネート含有量が10.5%であった。第2成分は、多量体含有率約13重量%のMOCAと、微粒子として平均粒子径0.9μmの珪酸ジルコニウムが混合されたものを120℃で溶融し、減圧下で脱泡した。第3成分の分散液は、数平均分子量約1000のPTMG、水、触媒(トヨキャットET、東ソー株式会社製)、シリコン系界面活性剤(SH−193、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製)を5.0/0.2/0.1/0.3の割合で配合した。第1成分、第2成分、第3成分を減圧下で脱泡した後、66.2/30.6/3.2の割合となるように混合槽に供給した。得られた混合液を型枠に注型し硬化させた後、形成されたポリウレタン発泡体を型枠から抜き出した。この発泡体を厚さ2.0mmのシート状にスライスし、円形状に切り出したウレタンシートを用いて実施例1の研磨パッドAを製造した。
更に、研磨パッドAの研磨面Pに図4に示した格子状の溝加工を施した。溝15の横断面形状は、溝幅を2.0mmとし、図5に示す如く、溝底15Aと溝壁15Bの交差部に半径R0.5mmのR状曲面15Cを備えるものとした。尚、実施例2、比較例1、比較例2、比較例4においても同様の溝を備えるものとしたが、比較例3においては横断面形状が矩形状溝を備えるものとした。
実施例1の研磨パッドAは、ポリウレタンシート11の全体の100重量%に対する、微粒子としての珪酸ジルコニウムの含有割合を15重量%とした。
(実施例2)
実施例2では、第1成分のプレポリマとして2,4−TDI(460部)と数平均分子量約1000のPTMG(440部)と数平均分子量約650のPTMG(120部)及びジエチレングリコール(86部)とを反応させることで得られたプレポリマを80℃に加熱し減圧下で脱泡して用いた。このプレポリマでは、イソシアネート含有量が9.2%であった。第2成分は、多量体含有率約13重量%のMOCAと、微粒子として平均粒子径0.9μmの珪酸ジルコニウムが混合されたものを120℃で加熱し、減圧下で脱泡した。第3成分の分散液は、数平均分子量約1000のPTMG、水、触媒(トヨキャットET、東ソー株式会社製)、シリコン系界面活性剤(SH−193、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製)を5.0/0.19/0.14/0.5の割合で配合した。第1成分、第2成分、第3成分を減圧下で脱泡した後、71.8/25.8/2.4の割合となるように混合槽に供給した。
実施例2の研磨パッドBは、ポリウレタンシート11の全体の100重量%に対する、微粒子の含有割合を10重量%とした。
(比較例1)
比較例1の研磨パッドCは、第1成分のプレポリマとして2,4−TDI(387部)と数平均分子量約1000のPTMG(556部)及びジエチレングリコール(56部)とを反応させることで得られたプレポリマを80℃に加熱し減圧下で脱泡して用いた。このプレポリマでは、イソシアネート含有量が9.6%であった。第2成分は、多量体含有率約13重量%のMOCAを120℃で加熱し、減圧下で脱泡した。第3成分の分散液は、数平均分子量約1000のPTMG、水、触媒(トヨキャットET、東ソー株式会社製)、シリコン系界面活性剤(SH−193、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製)を5.0/0.2/0.1/0.1の割合で配合した。第1成分、第2成分、第3成分を減圧下で脱泡した後、79.7/17.1/3.2の割合となるように混合槽に供給した。また、ポリウレタンシート11に微粒子を含有しなかった。
(比較例2)
比較例2の研磨パッドDは、第1成分のプレポリマとして2,4−TDI(460部)と数平均分子量約1000のPTMG(440部)と数平均分子量約650のPTMG(120部)及びジエチレングリコール(86部)とを反応させることで得られたプレポリマを80℃に加熱し減圧下で脱泡して用いた。このプレポリマでは、イソシアネート含有量が9.2%であった。第2成分は、多量体含有率約13重量%のMOCAを120℃で加熱し、減圧下で脱泡した。第3成分の分散液は、数平均分子量約1000のPTMG、水、触媒(トヨキャットET、東ソー株式会社製)、シリコン系界面活性剤(SH−193、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製)を5.0/0.19/0.14/0.5の割合で配合した。第1成分、第2成分、第3成分を減圧下で脱泡した後、79.9/17.9/2.2の割合となるように混合槽に供給した。また、ポリウレタンシート11に微粒子を含有しなかった。
(比較例3)
比較例3の研磨パッドEは、第1成分のプレポリマとして2,4−TDI(440部)と数平均分子量約1000のPTMG(460部)及びジエチレングリコール(103部)とを反応させることで得られたプレポリマを80℃に加熱し減圧下で脱泡して用いた。このプレポリマでは、イソシアネート含有量が9.2重量%であった。第2成分は、多量体含有率約40重量%のMOCAと、微粒子として平均粒子径0.9μmの珪酸ジルコニウムが混合されたものを50℃で加熱し、減圧下で脱泡した。第3成分の分散液は、数平均分子量約1000のPTMG、水、触媒(トヨキャットET、東ソー株式会社製)、シリコン系界面活性剤(SH−193、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製)を5.0/0.4/0.4/0.0の割合で配合した。第1成分、第2成分、第3成分を減圧下で脱泡した後、67.2/30.7/2.1の割合となるように混合槽に供給した。また、ポリウレタンシート11の全体の100重量%に対する、微粒子の含有割合を10重量%とした。
(比較例4)
比較例4の研磨パッドFは、第1成分のプレポリマとして2,4−TDI(460部)と数平均分子量約1000のPTMG(440部)及びジエチレングリコール(101部)とを反応させることで得られたプレポリマを80℃に加熱し減圧下で脱泡して用いた。このプレポリマでは、イソシアネート含有量が10.5%であった。第2成分は、多量体含有率約26重量%のMOCAに、微粒子として平均粒子径0.9μmの珪酸ジルコニウムが混合されたものを後に100℃で加熱し、減圧下で脱泡した。第3成分の分散液は、数平均分子量約1000のPTMG、水、触媒(トヨキャットET、東ソー株式会社製)、シリコン系界面活性剤(SH−193、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製)を5.0/0.2/0.15/0.35の割合で配合した。第1成分、第2成分、第3成分を減圧下で脱泡した後、58.8/38.4/2.8の割合となるように混合槽に供給した。ポリウレタンシート11の全体の100重量%に対する、微粒子としての珪酸ジルコニウムの含有割合を20重量%とした。
(評価1)(表1、表2、図6)
各実施例及び比較例の研磨パッド10を構成するポリウレタンシート11について、厚み、発泡径、発泡個数を測定し、表1、表2を得た。
また、発泡径と発泡個数については、ポリウレタンシート11の研磨面P(表面状態)を走査型電子顕微鏡(SEM)で図6に示す如くに観察し、発泡12の径を計測して平均化したものを発泡径とし、発泡12の個数をカウントしたものを発泡個数とした。
(評価2)(表1、表2)
各実施例及び比較例の研磨パッド10を構成するポリウレタンシート11について、ウエット状態におけるA硬度の温度に依存する変化を測定し、表1、表2を得た。
(評価3)(表1、表2、図7)
各実施例及び比較例の研磨パッド10を構成するポリウレタンシート11について、株式会社井元製作所製IMC−154D型摩擦磨耗試験機の圧子に直径を20mmとしたポリウレタンシート11の試料を固定させて保持し、この試料の研磨面を、直径100mmでダイヤ番手#270のダイヤモンドドレッサー(株式会社リード製、REV.H−6E99−X2000−U6)が固定された回転盤における当該ダイヤモンドドレッサーの最外周部を含む20mm領域に300gfの荷重で押し当て、ドレッサーの回転数を60rpmとし、該押し当て領域に、純水を70mL/minの流量で供給する湿式条件下で、20分間のドレス処理を行なった。このとき、ポリウレタンシート11の試料自体は回転させなかった。ドレス処理後、該研磨面Pの削れ量を測定し、表1、表2を得た。また、ドレス処理後に研磨面P(表面状態)をSEMで観察し、図7を得た。
(評価4)(表1、表2)
各実施例及び比較例の研磨パッド10を構成するポリウレタンシート11について、ポリウレタンシート11から切り出した試料片(10cm×10cm)の重量を測定した後、温度20℃の水に1時間浸漬し、この浸漬後の試料片を取出し、表面に付着した水を拭い取って重量を測定することにより、この浸漬後の重量の増加割合を吸水量とし、表1、表2を得た。
(評価5)(表1、表2)
各実施例及び比較例の研磨パッド10により、サファイアガラスを研磨加工し、研磨性能(良品率及び研磨レート)を調査し、表1、表2を得た。良品率は、目視により、キズ(スクラッチ)の少ないものを〇で示し、一部スクラッチの見られたものを△で示した。
尚、研磨機として、SPEEDFAM製両面研磨機を用い、研磨圧を300gf/cm2とした。研磨機の上下の定盤のそれぞれに研磨パッド10を貼り付け、上定盤回転数を13.3rpm、下定盤回転数を40rpmとし、各100枚のサファイアガラスについて研磨加工した。
評価1〜5により、以下が認められる。
実施例1及び2の研磨パッド10は、適度な脆性を有することで、ドレス処理後においても発泡の開孔を維持しつつ発泡以外の部分も荒れている。適度な発泡径及び発泡個数により良好なドレス性を示すため、両面研磨機特有の課題である被研磨物における表裏両面の平行出しを迅速に行なうことができる。また、微粒子を適度に含有しているため、発泡以外の平面部分も平滑化せず、荒れている状態となっている。更に、吸水率が高くスラリーの捕集性能も高いことが相乗効果となり、高い研磨レートを示している。加えて、第2成分で多量体の含有率が20重量%以下であるMOCAを使用したため、ポリウレタンシートの60℃のウエット状態におけるA硬度が70以上90以下の範囲内である。このため、研磨品質が良く、摩擦熱に対する耐熱性も高く、長時間の研磨においても研磨性能が維持できる。また、研磨機の定盤に対するポリウレタンシート11の部分的な剥離も見られなかった。
比較例1、2の研磨パッドは、微粒子を含有していないため、脆性が低いものとなっている。そのため、ドレス処理時に樹脂屑が表面発泡に目詰まりしづらく発泡の開孔状態は良好であるが、その一方で発泡以外の部分が極めて平滑化している。更に、被研磨物と研磨面との接触点が減少し、スラリーの拡散性が悪化したことによりスラリー中の砥粒成分が一部凝集し塊状となり、被研磨物にスクラッチを発生させる結果となった。
加えて比較例2の研磨パッドは、平均発泡径が80μm、発泡個数が845個/7.76mm2であり、これは比較例1の研磨パッドよりも発泡径にムラがあることを意味しており、つまり、微細発泡が多い研磨パッドである。このような研磨パッドではドレス性が極めて悪いため、平行出しや表面開孔処理(閉塞した発泡の目立て)処理に時間がかかり、実用的ではない。また、微細な発泡が多いため連通孔が少なく、吸水率が10%以上である実施例と比較して研磨レートが劣るものとなっている。
比較例3の研磨パッドは、微粒子を10%含有しているが、第2成分に多量体含有率約40重量%のMOCAを使用したため、20℃WET硬度と比較して60℃WET硬度が27と耐熱性の低い研磨パッドであった。ドレス性は良好であったが、研磨面が研磨中の摩擦熱によりへたれてしまい、研磨表面が平滑化してしまった。スラリーの捕集能力が低下した結果研磨レートは極めて低く、実用に耐えうるものはなかった。加えて、溝の横断面形状が矩形状である比較例3の研磨パッドのみ、研磨機の定盤に対するポリウレタンシート11の部分的な剥離が発生した。
比較例4の研磨パッドは、微粒子の含有割合が20%である研磨パッドである。第2成分に多量体含有率約26重量%のMOCAを使用したため、60℃のウエット硬度の低下を抑えることができている。この研磨パッドでは、極めて高脆性であるためにドレス処理時間は短いが、細かく崩壊した研磨層表面が表面開孔に目詰まりしてしまうため、開孔を維持できなかった。仮にドレス条件を最適化し開孔できたとしても、このような研磨パッドを研磨に用いた場合、ドレス処理と同様に研磨工程中に目詰まりを起こしてしまい、短時間で研磨レートが低下してしまうため、長時間におよぶ難削材の研磨においては実用に耐えうるものではない。
本発明の研磨パッド10によれば、高い良品率、かつ高い研磨レートでサファイアガラスを研磨加工できることが認められる。
以上、本発明の実施例を図面により詳述したが、本発明の具体的な構成はこの実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。例えば、本発明の研磨パッド10はサファイアガラス等の難削材の研磨加工に好適であるが、その他の研磨材の研磨加工にも適用できる。
本発明によれば、高研磨圧下でも高い研磨効率を確保し、かつ高い研磨性能を維持するための安定したドレス処理性を確保することができる。
10 研磨パッド
11 ポリウレタンシート(樹脂発泡体)
12 発泡
13 開孔
14 連通孔
P 研磨面

Claims (8)

  1. 乾式成型法により多数の発泡が形成され、被研磨物を研磨加工するための研磨面に前記発泡の開孔が形成された樹脂発泡体を有する研磨パッドにおいて、
    前記樹脂発泡体が、全体の100重量%に対して5重量%以上19重量%以下の割合を占める微粒子を含有するとともに、60℃のウエット状態におけるA硬度を70以上90以下の範囲にあるものとし、
    前記研磨面を観察したときに、発泡径70μm以上120μm以下とする発泡が単位面積当たり300個/7.76mm2以上600個/7.76mm2以下の割合で形成されてなることを特徴とする研磨パッド。
  2. 前記樹脂発泡体が、近接して形成された発泡間に連通孔が形成され、吸水率を10%以上40%以下の範囲にあるものとしてなる請求項1に記載の研磨パッド。
  3. 前記樹脂発泡体が、研磨面に溝加工を施され、溝は横断面視で溝底の両側に溝壁が立ち上げられてなり、各溝壁と溝底との交差部にR状曲面を備えてなる請求項1又は2に記載の研磨パッド。
  4. 前記樹脂発泡体が、直径20mmの試料とされ、この試料の研磨面を、直径100mmでダイヤ番手#270のダイヤモンドドレッサーにおける最外周部を含む20mm領域に300gfの荷重で押し当て、ドレッサーの回転数を60rpmとし、該押し当て領域に、純水を70mL/minの流量で供給する湿式条件下で、20分間のドレス処理をしたときの該研磨面の削れ量が0.03mm以上0.08mm以下である請求項1〜3のいずれかに記載の研磨パッド。
  5. 前記樹脂発泡体が、ポリウレタン発泡体である請求項1〜4のいずれかに記載の研磨パッド。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の研磨パッドの製造方法であって、
    ポリイソシアネート化合物及びポリオール化合物を反応させ得られたイソシアネート基含有化合物、ポリアミン化合物、微粒子、水及び整泡剤の各成分を準備する準備ステップと、
    前記準備ステップで準備した各成分を略均一に混合した混合液から乾式成型法でポリウレタン発泡体を形成する発泡体形成ステップと、
    前記発泡体形成ステップで形成されたポリウレタン発泡体をシート状にスライスするスライスステップと、
    を含むことを特徴とする製造方法。
  7. 請求項1〜5のいずれかに記載の研磨パッドを用いた被研磨物の研磨加工方法であって、
    研磨装置の対向配置された2つの定盤のそれぞれに前記研磨パッドを装着し、
    前記定盤間に前記被研磨物を配し、前記被研磨物及び研磨パッド間に砥粒が混合された研磨液を供給しつつ前記2つの定盤を互いに逆方向に回転駆動する、
    ステップを含むことを特徴とする研磨加工方法。
  8. 前記被研磨物が、サファイアガラスである請求項7に記載の研磨加工方法。
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