JP2016188277A - オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物 - Google Patents

オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】引張強度、破断伸度、ゴム的性質および耐熱性、低温特性に優れた成形体を提供することができるオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物を提供する。【解決手段】 ポリプロピレン系樹脂(A)と、エチレンと炭素原子数3〜20のα−オレフィンの共重合体であるエチレン・α−オレフィン共重合体(B)を含有してなり、該エチレン・α−オレフィン共重合体(B)が(b1)及び(b2)を有するオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物。(b1)密度が0.860〜0.920g/cm3である(b2)エチレン・α−オレフィン共重合体中のコモノマーによる分岐数(N)と、ビニルおよびビニリデンの合計数(V)が下記式(1)の関係を満たし、かつ、ビニルおよびビニリデンの個数は、それぞれ0.05以上である。式(1):N×V≧15(ただし、NおよびVは、NMRで測定した主鎖、側鎖の合計1000個の炭素あたりの数である。)【選択図】 なし

Description

本発明は、本発明は、オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物に関し、さらに詳しくは、引張強度、破断伸度およびゴム弾性に優れた成形体を提供し得るオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物に関するものである。
オレフィン系熱可塑性エラストマーは、省エネルギー、省資源タイプのエラストマーとして、特に加硫ゴムの代替として自動車部品、工業機械部品、電子・電気機器部品、建材等に広く使用されている。
オレフィン系熱可塑性エラストマーは、架橋型と非架橋型に分けることができる。一般に非架橋型熱可塑性エラストマーは、架橋反応を伴わないため品質のバラツキが少なくまた製造コストも安価である反面、性能面から両者を比較すると、引張強度や破断伸度、あるいはゴム的性質(たとえば永久伸び、圧縮永久歪)や耐熱性の点では、非架橋型のオレフィン系熱可塑性エラストマーに比べて架橋型のオレフィン系熱可塑性エラストマーの方が優れている。架橋型熱可塑性エラストマーとしては、PP等の結晶性ポリオレフィン樹脂にEPDMゴム等を特定量含有した組成が知られているが(特許文献1,2)、従来公知の加硫ゴムよりも低温特性、引張強度、破断伸度およびゴム的性質に優れた成形体を提供することができるオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物の出現が望まれている。
特開平09−012790号公報 特開2000−186174号公報
本発明の目的は、従来の架橋型オレフィン系熱可塑性エラストマーよりも低温特性、引張強度、破断伸度およびゴム的性質に優れた成形体を提供することができるオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記問題を解決すべく鋭意検討した結果、軟質樹脂成分としてメタロセン触媒などを用いて重合された特定の密度、分子量分布、不飽和結合数などの特性を有するエチレン・α−オレフィン共重合体を選択することにより、低温特性、引張強度、破断伸度およびゴム的性質に優れた成形体を提供することができるとの知見を得て、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明の第1の発明によれば、下記を特徴とするオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物が提供される。
ポリプロピレン系樹脂(A)と、エチレンと炭素原子数3〜20のα−オレフィンの1種又は2種以上の共重合体であるエチレン・α−オレフィン共重合体(B)を、(A)および(B)の合計量100重量部に対して(A)を10重量部以上60重量部以下、(B)を40重量部以上90重量部以下含有してなり、
該エチレン・α−オレフィン共重合体(B)が以下の特性(b1)及び(b2)を有することを特徴とするオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物。
(b1)密度が0.860〜0.920g/cmである
(b2)エチレン・α−オレフィン共重合体中のコモノマーによる分岐数(N)と、ビニルおよびビニリデンの合計数(V)が下記式(1)の関係を満たし、かつ、ビニルおよびビニリデンの個数は、それぞれ0.05以上である。
式(1):N×V≧15
(ただし、NおよびVは、NMRで測定した主鎖、側鎖の合計1000個の炭素あたりの数である。)
さらに、本発明の第2の発明によれば、該エチレン・α−オレフィン共重合体(B)がさらに下記(b3)を満たすことを特徴とする第1の発明記載のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物が提供される。
(b3)エチレン・α−オレフィン共重合体中のビニル、ビニリデンの二重結合の合計数が、二重結合全体(ビニル、ビニリデン、シス−ビニレン、トランス−ビニレン、三置換オレフィン)の合計数の55%以上である(ただし、ビニル、ビニリデン、シス−ビニレン、トランス−ビニレン、三置換オレフィンの個数は、NMRで測定した主鎖、側鎖の合計1000個の炭素数あたりの数である)
また、本発明の第3の発明によれば、第1又は第2の発明において、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)が、さらに(B)中のビニルとビニリデンの合計数が、NMRで測定した主鎖、側鎖の合計1000個の炭素あたり0.2個以上であることを特徴とするオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)が、メタロセン触媒により製造されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)が、α−オレフィンの少なくとも1成分としてプロピレンを10〜30モル%含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物が提供される。
また、本発明の第6の発明によれば、前記ポリオレフィン樹脂(A)およびエチレン・α−オレフィン共重合体(B)の合計量100重量部に対して、2〜100重量部の軟化剤(C)を含有していることを特徴とする請求項1〜5に記載のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物が提供される。
また、本発明の第7の発明によれば、前記熱可塑性エラストマー組成物が、架橋されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物が提供される
本発明のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物は、分岐数とビニル及びビニリデン数に関し特定の条件を満たすエチレン・α−オレフィン共重合体を軟質成分として選択することで、引張強度、破断伸度、ゴム的性質および耐熱性、低温特性に優れた成形体を提供することができるオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物を提供できる。
本発明は、軟質成分として特定のエチレン・α−オレフィン共重合体を含有してなる新規なオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物に係るものである。
以下、本発明において用いられる各成分、得られる樹脂組成物について詳細に説明する。
本発明におけるポリプロピレン系樹脂(A)とは、従来よりオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物の結晶性樹脂として用いられるポリプロピレン系樹脂を用いることができ、具体的にはアイソタクチックホモポリプロピレン、シンジオタクチックホモポリプロピレン又はエチレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、4−メチルペンテン−1等のα−オレフィンとプロピレンのランダムあるいはブロック共重合体であって結晶成分がポリプロピレンであるものである。発明の効果を損なわない範囲でこれらのα−オレフィン以外にジエン化合物等公知のモノマーが共重合されていてもかまわない。またこれらのα−オレフィンは、単独で、または2種以上混合して用いられても良い。更に、ポリプロピレン系樹脂は単独で、または2種以上混合して用いられていてもよい。これらの代表的な樹脂は商業的に入手できる。
重合様式はランダム型でもブロック型でも、樹脂状物が得られればどのような重合様式を採用しても差支えない。これらのポリプロピレン系樹脂は、単独で用いてもよく、また2種以上組み合わせて用いてもよい。本発明で用いられるポリプロピレン系樹脂(A)は、MFR(ASTMD 1238−65T、230℃)が通常0.01〜100g/10分、特に0.05〜50g/10分の範囲にあることが好ましい。
上記ポリプロピレン系樹脂(A)は、組成物の流動性および耐熱性を向上させる役割を持っている。本発明においては、ポリプロピレン系樹脂(A)は、ポリプロピレン系樹脂(A)およびエチレン・α− オレフィン共重合体(B)の合計量100重量部に対して、10重量部以上60重量部以下、好ましくは20〜50重量部の割合で用いられる。なお、この量は、ポリプロピレン系樹脂として2種以上混合して用いる場合は、その合計量を示す。
上記のような割合でポリプロピレン系樹脂(A)を用いると、ゴム弾性に優れるとともに、成形加工に優れたオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物が得られる。
(i)成分(B)の物性
本発明におけるエチレン・α−オレフィン共重合体(B)とはエチレンと炭素原子数3〜20のα−オレフィンからなるエチレン・α−オレフィン・共重合体(B)が以下の特性(b1)及び(b2)を有することを特徴とする。
(b1)密度が0.860〜0.920g/cmである
(b2)エチレン・α−オレフィン共重合体中のコモノマーによる分岐数(N)と、ビニルおよびビニリデンの合計数(V)が下記式(1)の関係を満たし、かつ、ビニルおよびビニリデンの個数は、それぞれ0.05以上である。
式(1):N×V≧15
(ただし、NおよびVは、NMRで測定した主鎖、側鎖の合計1000個の炭素あたりの数である。)
(b1)密度
本発明で用いるエチレン・α−オレフィン共重合体は、密度が0.860〜0.920g/cmであり、好ましくは0.865〜0.910g/cm、さらに好ましくは0.870〜0.900g/cmである。エチレン・α−オレフィン共重合体の密度が0.860g/cm未満では、樹脂ペレットの互着が強くハンドリングが悪くなり、密度が0.920g/cmを超えるとオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物の柔軟性が悪化し好ましくない。
ポリマーの密度を調節するには、コモノマーであるα−オレフィンの含有量、重合温度、触媒量など適宜調節する方法がとられる。なお、エチレン・α−オレフィン共重合体の密度は、JIS−K6922−2:1997附属書(低密度ポリエチレンの場合)に準拠して測定する(23℃)
(b2)コモノマーによる分岐数(N)とビニル及びビニリデンの個数(V)との関係
本発明で用いるエチレン・α−オレフィン共重合体は、コモノマーによる分岐数(N)とビニルおよびビニリデンの合計数(V)が、下記式(1)を満たすことが重要である。
式(1):N×V≧15
ここで、分岐数(N)およびビニル、ビニリデンの個数(V)は、NMRで測定した主鎖、側鎖の合計1000個の炭素数あたりの数(個/total1000C)である。
本発明におけるオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物では、軟質成分であるエチレン・α−オレフィン共重合体(B)を架橋させることにより、低温特性、引張強度、破断伸度およびゴム的性質に優れた成形体が得られるため、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)の架橋特性が非常に重要である。
本発明者らは、エチレンとα−オレフィン共重合体の製造において、重合プロセスの温度等の重合条件および重合時に使用される触媒の種類、使用するコモノマー種やその量を変更したエチレン・α−オレフィン共重合体を種々製造して鋭意検討した結果、架橋特性と、機械的強度を両立する架橋用エチレン・α−オレフィン共重合体としては、1)エチレン・α−オレフィン共重合体に含まれる二重結合のうち、ビニル、ビニリデンが架橋特性の発現に重要であること、2)ビニル及びビニリデンの総数と重合体の分岐数とが上記式(1)を満たす場合、また、その中においてビニルとビニリデンの合計数が特定範囲あると好ましいこと、更にビニルおよびビニリデン数が、NMRで測定した主鎖、側鎖の合計1000個の炭素あたり0.2個以上であることを満たす場合は特に架橋効率の向上が達成できる。
なお、ポリマー中のコモノマーによる分岐数(N)は、ポリマー中に含まれる三級炭素の量を示し、NMRで測定した、主鎖、側鎖の合計1000個の炭素数あたりの数であり、例えばE. W. Hansen, R. Blom, and O. M. Bade, Polymer, 36巻 4295頁(1997年)を参考に13C−NMRスペクトルから算出することができる。
また、これら二重結合の数は、主鎖、側鎖の合計1000個の炭素数あたりの数であり、H−NMRスペクトル及び13C−NMRスペクトルの特性ピークの積分強度を用いて算出した。
具体的には、化学シフト0.4〜2.8ppmの間に現れる飽和アルキル鎖由来のピーク面積と4.9ppm付近のビニル由来のピーク面積から炭素数1000個あたりのビニル数を算出した。また、ビニリデン数は、4.7ppm付近の特性ピークを用いて算出した。
ポリマー中のコモノマーによる分岐数(N)は、製造時のα−オレフィンの添加量、重合温度等の重合条件により調整することができる。
本願発明のポリマーの分岐数(N)は、0<Nの数であり、好ましくは20<N、更に好ましくは40<N、最も好ましくは60<Nであり、上限は特に制限がないが、好ましくはN<140、更に好ましくはN<120、最も好ましくはN<100の範囲であることが挙げられる。
また、N×Vの値として、好ましくはN×V≧15、更に好ましくはN×V≧40の範囲であること、上限は製造可能である範囲において特に制限はないが、好ましくはN×V≦200、更に好ましくはN×V≦160の範囲が挙げられる。
ビニル、ビニリデンの合計数は、適当なメタロセン触媒の選択、重合温度、コモノマーの種類を適宜調節することにより、上記範囲に制御することができる。
また、ビニルおよびビニリデンの個数は重合温度等の製造条件、又は、コモノマーとしてジエン化合物を用いることで調整することができる。
(b3)二重結合の種類とその比
本発明で用いるエチレン・α−オレフィン共重合体中のビニル、ビニリデンの合計数は、好ましくは、エチレン・α−オレフィン共重合体中の全ての二重結合(ビニル、ビニリデン、シス−ビニレン、トランス−ビニレン、三置換オレフィン)の合計数の55%以上、好ましくは60%以上、さらに好ましくは65%以上、最も好ましくは70%以上を占める。ビニル、ビニリデンの合計数が二重結合の合計数の55%以上であると、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)が架橋速度に優れたものとなるため、低温特性、引張強度、破断伸度およびゴム的性質に優れたオレフィン系熱可塑性エラストマーとなり、55%未満であると、架橋速度が十分なものとならないため、得られるオレフィン系熱可塑性エラストマーの物性が悪化する。
(b4)二重結合の種類と量
更に本発明においては、エチレン・α−オレフィン共重合体中のビニル及びビニリデンの個数(V)が、式(1)を満たす限りにおいて、ビニルおよびビニリデンの合計量が0.2以上であること、好ましくは、0.3以上、更に好ましくは0.4以上であることが挙げられる。
二重結合の合計数を調整する方法としては適当なメタロセン触媒の選択、重合温度、コモノマーの種類を適宜調節する方法などが挙げられる。
本発明で用いるエチレン・α−オレフィン共重合体は、MFRが0.01〜100g/10分であり、好ましくは0.05〜50g/10分、さらに好ましくは0.05〜10g/10分である。エチレン・α−オレフィン共重合体のMFRが0.01g/10分未満では、分子量が高すぎて混練時に分散が困難になり、一方、MFRが100g/10分を超えると分子量が低くなりすぎて、機械強度に欠けるものとなる。
ポリマーのMFRを調節するには、例えば、重合温度、触媒量、分子調節剤としての水素の供給量などを適宜調整する方法がとられる。エチレン・α−オレフィン共重合体のMFRは、JIS−K6922−2:1997附属書(190℃、21.18N荷重)に準拠して測定する。
(b5)フローレシオ(FR)
本発明で用いるエチレン・α−オレフィン共重合体は、フローレシオ(FR)、すなわち190℃における10kg荷重でのMFR測定値であるI10と、190℃における2.16kg荷重でのMFR測定値であるI2.16との比(I10/I2.16)が7.0未満であることが好ましい。なお、メルトフローレート(MFR)は、JIS−K7210−1999に準拠して測定した値である。
FRは、エチレン・α−オレフィン共重合体の分子量分布、長鎖分岐の量と相関が深いことが知られている。本発明では、上記条件を満たすポリマーの中でも、190℃における10kg荷重でのMFR測定値(I10)と、190℃における2.16kg荷重でのMFR測定値(I2.16)との比(I10/I2.16)が7.0未満であるものを使用することが好ましい。このような長鎖分岐に特徴があるポリマー構造となっている共重合体を用いることで、剛性と架橋効率のバランスが良好なものとなる。これに対して、FRが7.0以上であると、架橋する際の架橋効率が悪くなる傾向にある。
(b6)Z平均分子量(Mz)と数平均分子量(Mn)との比(Mz/Mn)
本発明で用いるエチレン・α−オレフィン共重合体は、透明性を必要とする樹脂組成物用途に用いられる場合は、さらに、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求めたZ平均分子量(Mz)と数平均分子量(Mn)との比(Mz/Mn)が8.0以下であることが好ましく、5.0以下であることがより好ましい。Mz/Mnが8.0を超えると透明性が悪化する。Mz/Mnを所定の範囲に調整する方法としては適当なメタロセン触媒を選択する方法などが挙げられる。
なお、Mz、Mnの値は、GPCにより測定される値であるが、詳細な測定条件は、下記記載のとおりである。
装置:ウオーターズ社製GPC 150C型
検出器:MIRAN社製 1A赤外分光光度計(測定波長、3.42μm)
カラム:昭和電工製AD806M/S 3本(カラムの較正は、東ソー製単分散ポリスチレン(A500,A2500,F1,F2,F4,F10,F20,F40,F288の各0.5mg/ml溶液)の測定を行い、溶出体積と分子量の対数値を2次式で近似した。また、試料の分子量は、ポリスチレンとポリエチレンの粘度式を用いてポリエチレンに換算した。ここでポリスチレンの粘度式の係数は、α=0.723、logK=−3.967であり、ポリエチレンはα=0.733、logK=−3.407である。)
測定温度:140℃
濃度:10mg/10mL
注入量:0.2ml
溶媒:オルソジクロロベンゼン
流速:1.0ml/分
(ii)成分(B)のモノマー構成
本発明に用いられるエチレン・α−オレフィン共重合体は、エチレンから誘導される構成単位を主成分としたエチレンとα−オレフィンの1種又は2種以上のランダム共重合体である。
コモノマーとして用いられるα−オレフィンは、炭素数3〜50のα−オレフィンであり、好ましくは炭素数3〜20のα−オレフィンである。具体的には、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デケン、1−ウンデケン、1−ドデケン、ビニルベンゼン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、1−4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン等を挙げることができる。これらの中でも、好ましくは、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、5−エチリデン−2−ノルボルネンであり、特に好ましくは、プロピレンである。
本発明で用いるエチレン・α−オレフィン共重合体は、共重合体中に占めるエチレン含有量が70〜98mol%、好ましくは75〜95モル%、更に好ましくは75〜90モル%、α−オレフィンの含有量(2種以上の場合はその合計量)が2〜30モル%、好ましくは5〜25モル%、更に好ましくは10〜25モル%である。このようにエチレン含有量が多い点で、エチレン含有量が20〜50モル%前後であるエチレン・プロピレン共重合体ゴム(EPR)、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体ゴム(EPDM)等とは異なる。
エチレン含有量とα−オレフィン含有量がこの範囲であれば、柔軟性と架橋後の耐熱性が良好になる。α−オレフィンの含有量が低すぎると、樹脂の透明性や柔軟性が悪化することがある。一方、高すぎると、エチレン・α−オレフィン共重合体の軟化点が下がりすぎるため、ペレットのブロッキングが悪くなり取り扱いに欠けるものとなる。
本発明において、エチレン・α−オレフィン共重合体のコモノマーとして用いられるα−オレフィンとしては、特にプロピレンを主として用いることが好ましい。これはプロピレンをコモノマーとし、後に記載するメタロセン触媒を用いた高圧イオン重合法を採用した場合、特異的にビニル、ビニリデンの合計数が多いエチレン・α−オレフィン共重合体が得られるからである。1−ヘキセン、1−オクテンといったα−オレフィンをコモノマー主成分として重合した場合、この効果は得られにくい。
プロピレンをコモノマーとして用いる場合、エチレン・α−オレフィン共重合体中のプロピレン由来のコモノマーの含量は、10モル%以上であることが好ましく、10〜30モル%がより好ましく、10〜25モル%がさらに好ましい。プロピレンの含有量が10モル%を下回ると、分岐数の減少により架橋速度が低下することがある。
また、コモノマーとして用いられるα−オレフィンは(b1)及び(b2)、更に好ましくは(b3)、(b4)を充足する範囲で1種または2種以上の組み合わせでもよい。2種のα−オレフィンを組み合わせて三元共重合体とする場合は、エチレン・プロピレン・1−ブテン三元共重合体、エチレン・プロピレン・1−ヘキセン三元共重合体、エチレン・プロピレン・1−オクテン三元共重合体、等が挙げられる。
コモノマーとして、1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、1,7−オクタジエン、1,8−ノナジエン、及び1,9−デカジエン等のジエン化合物を、α−オレフィンに少量配合してもよい。これらのジエン化合物を配合すると、長鎖分岐ができるので、エチレン・α−オレフィン共重合体の結晶性を低下させ、透明性、柔軟性、接着性等が良くなるとともに、長鎖分岐の末端基は不飽和基となるため、有機過酸化物による架橋反応を容易におこすことができる。またエチレン・α−オレフィン共重合体に少量配合されるジエン化合物として、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネンのような環状ジエンも使用できる。
このようなコモノマーとしてのジエン化合物の含量は、柔軟性と架橋特性の観点から、好ましくは0.01〜5.00mol%であり、より好ましくは0.02〜1.00mol%、さらに好ましくは0.05〜0.50mol%である。
ただし、エチレンとαーオレフィンの1種又は2種以上のみからなる共重合体であることが好ましい。
(iii)成分(B)の重合触媒及び重合方法
本発明で使用されるエチレン・α−オレフィン共重合体の製造に用いられる触媒としては、特に限定されないが、より好ましくはメタロセン触媒を用いる。
メタロセン触媒としては、特に限定されるわけではないが、シクロペンタジエニル骨格を有する基等が配位したジルコニウム化合物などのメタロセン化合物と助触媒とを触媒成分とする触媒が挙げられる。特に、シクロペンタジエニル骨格を有する基等が配位したジルコニウム化合物などのメタロセン化合物を使用するのが好ましい。
製造法としては、特に限定されず、高圧イオン重合法、気相法、溶液法、スラリー法等を用いることができるが、本発明に係る二重結合を調整したエチレン・オレフィン共重合体を得るためには150〜330℃の高温で重合を行うことが望ましいため、高圧イオン重合法利用するのが好ましい(「ポリエチレン技術読本」第4章、松浦一雄・三上尚孝 編著、2001年)。
本発明に係るオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物には、ポリプロピレン系樹脂(A)およびエチレン・α− オレフィン共重合体(B)の他に、軟化剤(C)を含めることができる。
本発明で用いられる軟化剤(C)としては、通常ゴムに使用される軟化剤を用いることができる。具体的には、プロセスオイル、潤滑油、パラフィン、流動パラフィン、石油アスファルト、ワセリン等の石油系物質;コールタール、コールタールピッチ等のコールタール類;ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、大豆油、ヤシ油等の脂肪油;トール油、蜜ロウ、カルナウバロウ、ラノリン等のロウ類;リシノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム等の脂肪酸またはその金属塩;石油樹脂、クマロンインデン樹脂、アタクチックポリプロピレン等の合成高分子物質;ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート、ジオクチルセバケート等のエステル系可塑剤;その他マイクロクリスタリンワックス、サブ(ファクチス)、液状ポリブタジエン、変性液状ポリブタジエン、液状チオコールなどが挙げられる。
本発明においては、軟化剤(C)は、ポリプロピレン系樹脂(A)およびエチレン・α− オレフィン共重合体(B)の合計量100重量部に対し、好ましくは2〜100重量部、さらに好ましくは5〜80重量部の割合で用いられる。
軟化剤(C)を上記のような割合で用いると、得られる熱可塑性エラストマー組成物は成形時の流動性に優れ、その成形体の機械的物性を低下させることはない。本発明において、軟化剤(C)の使用量が200重量部を超えると、得られる熱可塑性エラストマー組成物の耐熱性、耐熱老化性は低下する傾向にある。
また、本発明に係るオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物には、ポリプロピレン系樹脂(A)、エチレン・α− オレフィン共重合体(B)、軟化剤(C)の他に、エチレン・プロピレン共重合体ゴム(EPR)、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体ゴム(EPDM)等の軟質樹脂(D)を含めることができる。
エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体ゴムの具体例としては、エチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体ゴム、エチレン・プロピレン・ジシクロペンタジエン共重合体ゴムなどが挙げられる。
本発明においては、上記のようなエチレン・プロピレン共重合体ゴム(EPR)およびエチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体ゴム(EPDM)といった軟質樹脂(D)は、ポリプロピレン系樹脂(A)およびエチレン・α− オレフィン共重合体(B)および軟化剤(C)の合計量100重量部に対して、好ましくは5〜200重量部、さらに好ましくは10〜150重量部の割合で用いるのが望ましい。
本発明に係るオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物は、上述したポリプロピレン系樹脂(A)と、エチレン・α− オレフィン共重合体(B)と、必要に応じて配合される軟化剤(C)とを混合した後、動的に熱処理して架橋することによって得られる。
ここに、「動的に熱処理する」とは、溶融状態で混練することをいう。
架橋にあたっては、有機過酸化物が用いられる。本発明で用いられる有機過酸化物としては、具体的には、ジクミルペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5− ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5− ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(tert− ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(tert− ブチルペルオキシ)−3,3,5− トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4− ビス(tert− ブチルペルオキシ)バレレート、ベンゾイルペルオキシド、p−クロロベンゾイルペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、tert− ブチルペルオキシベンゾエート、tert− ブチルペルベンゾエート、tert− ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、tert− ブチルクミルペルオキシドなどが挙げられる。
これらの内では、臭気性、スコーチ安定性の点で、2,5−ジメチル−2,5− ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5− ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(tert− ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼンが好ましく、なかでも、2,5−ジメチル−2,5− ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサンが最も好ましい。
このような有機過酸化物は、被処理物全体、すなわちポリプロピレン系樹脂(A)およびエチレン・α− オレフィン共重合体(B)の合計量100重量部に対して、0.02〜3重量部、好ましくは0.05〜1重量部となるような量で用いられる。有機過酸化物の配合量が上記範囲よりも少ないと、得られる熱可塑性エラストマー組成物は、架橋度が低いため、耐熱性、引張特性、弾性回復および反発弾性等が十分でない。また、この配合量が上記範囲よりも多いと、得られる熱可塑性エラストマー組成物は、架橋度が高くなり過ぎて成形性の低下をもたらす場合がある。
本発明においては、上記有機過酸化物による部分架橋処理に際し、硫黄、p−キノンジオキシム、p,p'− ジベンゾイルキノンジオキシム、N−メチル−N−4− ジニトロソアニリン、ニトロソベンゼン、ジフェニルグアニジン、トリメチロールプロパン−N,N'−m−フェニレンジマレイミドのようなペルオキシ架橋用助剤、あるいはジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、アリルメタクリレート、ジアリルテレフタレートのような多官能性メタクリレートモノマー、ビニルブチラート、ビニルステアレートのような多官能性ビニルモノマーを配合することができる。
上記のような化合物を用いることにより、均一かつ緩和な架橋反応が期待できる。特に、本発明においては、トリアリルシアヌレート、ジアリルテレフタレート、ジビニルベンゼンが最も好ましい。
上記のような架橋助剤あるいは多官能性ビニルモノマーなどの化合物は、上記被処理物全体100重量部に対して、通常2重量部以下、好ましくは0.3〜2重量部となるような量で用いられる。
また、有機過酸化物の分解を促進するために、トリエチルアミン、トリブチルアミン、2,4,6−トリ(ジメチルアミノ)フェノール等の三級アミンや、アルミニウム、コバルト、バナジウム、銅、カルシウム、ジルコニウム、マンガン、マグネシウム、鉛、水銀等のナフテン酸塩などの分解促進剤を用いてもよい。
本発明における動的な熱処理は、非開放型の装置中で行なうことが好ましく、また窒素、炭酸ガス等の不活性ガス雰囲気下で行なうことが好ましい。熱処理の温度は、通常150〜250℃、好ましくは170℃〜225℃である。混練時間は、通常1〜20分間、好ましくは1〜10分間である。
混練装置としては、公知のミキシングロール、インテンシブミキサー(たとえばバンバリーミキサー、ニーダー)、一軸または二軸押出機等を用いることができるが、非開放型の装置が好ましく、特にゴム成分の分散と架橋をコントロールしやすいことから二軸押出機が特に好ましい。
本発明によれば、上述した動的な熱処理によって、ポリプロピレン系樹脂(A)とエチレン・α− オレフィン共重合体(B)とからなる架橋されたオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物が得られる。
なお、本発明において、オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物が架橋されたとは、下記の方法で測定した架橋度が好ましくは20重量%以上、さらに好ましくは45重量%以上、特に好ましくは70重量%以上ある場合をいう。
[架橋度の測定法]
熱可塑性エラストマー組成物の試料を300mg採取し、これを1000メッシュのステンレス金網に封入し、キシレン溶媒を用いてキシレンの沸点でソクスレー抽出を8時間行った。試料を取出し、真空オーブンで40℃にて24時間以上、恒量となるまで減圧乾燥した。
この乾燥残渣の重量からステンレス金網およびエチレン・α−オレフィン共重合体(B)成分以外のすべてのキシレン不溶性成分(繊維状フィラー、充填剤、顔料等)の重量を減じた値を、「補正された最終重量(乙)」とする。
一方、試料中のエチレン・α− オレフィン共重合体(B)の重量を、あるいは軟質樹脂(D)を併用した場合はエチレン・α− オレフィン共重合体(B)と軟質樹脂(D)の合計重量を「補正された初期重量(甲)」とする。ここに、架橋度は、次の式で求められる。
架橋度[%]=[補正された最終重量(乙)/補正された初期重量(甲)]×100
以下、本発明を実施例によって、具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、実施例、比較例で用いた評価方法及び使用樹脂は、以下の通りである。
1.樹脂物性の評価方法

(1)メルトフローレート(MFR):前述の通り、エチレン・α−オレフィン共重合体のMFRは、JIS−K6922−2:1997附属書(190℃、21.18N荷重)に準拠して測定した。
(2)密度:前述の通り、エチレン・α−オレフィン共重合体の密度は、JIS−K6922−2:1997附属書(23℃、低密度ポリエチレンの場合)に準拠して測定した。
(3)分岐数および二重結合数:ポリマー中の分岐数(N)は、13C−NMRにより、
ビニルおよびビニリデン(V)、内部ビニリデンの数は、H−NMRにより、次の条件で測定し、コモノマー量は、主鎖及び側鎖の合計1000個の炭素あたりの個数で求めた。
装置 : ブルカー・バイオスピン(株)AVANCEIIIcryo−400MHz
溶媒 : o−ジクロロベンゼン/重化ブロモベンゼン=8/2混合溶液
<試料量>
460mg/2.3ml
13C−NMR>
Hデカップル、NOEあり
・積算回数:256scan
・フリップ角:90°
・パルス間隔20秒
・AQ(取り込み時間)=5.45s D1(待ち時間)=14.55s
H−NMR>
・積算回数:1400scan
・フリップ角:1.03°
・AQ(取り込み時間)=1.8s D1(待ち時間)=0.01s
2.組成物の評価方法
(1)メルトフローレート(MFR)
得られた組成物のMFRはJIS−K7210に準拠し、230℃、10kg荷重にて測定した。

(2)架橋度
熱可塑性エラストマー組成物の試料を300mg採取し、これを1000メッシュのステンレス金網に封入し、キシレン溶媒を用いてキシレンの沸点でソクスレー抽出を8時間行った。試料を取出し、真空オーブンで40℃にて24時間以上、恒量となるまで減圧乾燥した。
この乾燥残渣の重量からステンレス金網およびエチレン・α−オレフィン共重合体(B)成分以外のすべてのキシレン不溶性成分(繊維状フィラー、充填剤、顔料等)の重量を減じた値を、「補正された最終重量(乙)」とする。
一方、試料中のエチレン・α− オレフィン共重合体(B)の重量を、あるいは軟質樹脂(D)を併用した場合はエチレン・α− オレフィン共重合体(B)と軟質樹脂(D)の合計重量を「補正された初期重量(甲)」とする。ここに、架橋度は、次の式で求められる。
架橋度[%]=[補正された最終重量(乙)/補正された初期重量(甲)]×100

(3)引張強伸度
JIS K 6301に準拠し、200mm/分の引張速度で、破断点の引張強度と破断点の破断伸度を測定した。

(4)圧縮永久ひずみ
JIS K 6262に準拠し、試験時間24時間、試験温度23℃および70℃で圧縮永久ひずみを測定した
(5)ショアA硬度
JIS K 6253に準拠し15秒後の値を測定した。
3.使用原料
(1)成分(A)ポリプロピレン系樹脂
下記市販のポリプロピレン樹脂(PP−1、PP−2)を用いた。物性を表1に示す。
(PP−1):サンアロマー社製 PS201A(ホモポリプロピレン MFR=0.5)
(PP−2):サンアロマー社製 PM900A(ホモポリプロピレン MFR=30)

(2)成分(B): エチレン・α−オレフィン共重合体
下記製造方法により製造したエチレン・α−オレフィン共重合体(PE−1〜PE−2)を実施例として用いた。物性を表1に示す。
<PE−1〜PE−2の製造方法>
(i)触媒の調製
特開平10−218921号公報に記載された方法で調製した錯体「rac−ジメチルシリレンビスインデニルハフニウムジメチル」0.05モルに、等モルの「N,Nジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート」を加え、トルエンで50リットルに希釈して触媒溶液を調製した。
(ii)PE−1〜2の重合方法
内容積5.0リットルの撹拌式オートクレーブ型連続反応器を用い、反応器内の圧力を80MPaに保ち、エチレン(C2)、プロピレン(C3)、1−ヘキセン(C6)を所定割合、40kg/時の割合で原料ガスを連続的に供給した。また、上記(i)触媒の調製の項に記載の触媒溶液を連続的に供給し、表1記載の重合温度を維持するようにその供給量を調整した。反応終了後、得られたエチレン・α−オレフィン共重合体の、MFR、密度、ビニル含有量、ビニリデン含有量、内部ビニリデン含有量、分岐数、コモノマー組成比が表1記載のエチレン・α−オレフィン共重合体(PE−1〜2)を得た。
一方、比較例として、下記市販のエチレン・α−オレフィン共重合体を、PE−3として用いた。物性を表1に示す。
(PE−3):ダウ社製 エンゲージ8200
(3)軟化剤(C)
市販の下記プロセスオイルを用いた
(C−1):出光興産社製 プロセスオイル PW380

(4)その他(D)
軟質樹脂として市販の下記EPDMを用いた。
(D−1):JSR者製EPDM EP57C

(5)架橋剤
架橋剤として市販の下記有機過酸化物を用いた。
架橋剤1:2,5−ジメチル−2,5− ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン(アルケマ吉富社製、ルペロックス101)

(6)架橋助剤:
架橋助剤として市販の下記物質を用いた。
架橋助剤1:トリアリルシアヌレート
Figure 2016188277
(実施例1)
ポリプロピレン系樹脂PP−1が15重量部、PP−2が10重量部、エチレン・α−オレフィン共重合体PE−1が55重量部に対して、架橋剤1を0.5重量部、架橋助剤1を1.5重量部を十分に混合した。これを8kg/hの吐出量でフィーダーより2軸押出機ホッパーに投入すると同時に、軟化材C−1を2kg/hの吐出量(組成物全体の20重量%相当)でギアポンプにて同様に2軸押出機フィード部に注入した。35mmφ2軸押出機を用いて設定温度160℃、スクリュー回転数300rpmで押出量10kg/hの条件で混練を行いペレット化した。この時の押出樹脂温度は255℃であった。
得られたペレットを使用して、機械的強度等の物性を測定し評価した。評価結果を表2に示す。
(実施例2)
実施例1において、PE−1に替えて、PE−2を用いた以外は、実施例1と同様にペレットを作製した。この時の押出樹脂温度は256℃であった。評価結果を表2に示す。
(実施例3)
実施例1において、PE−1の配合量を35重量部とし、軟質樹脂D−1を20重量部用いた以外は、実施例1と同様にペレットを作製した。この時の押出樹脂温度は254℃であった。評価結果を表2に示す。
(実施例4)
実施例3において、PE−1に替えて、PE−2を用いた以外は、実施例3と同様にペレットを作製した。この時の押出樹脂温度は255℃であった。評価結果を表2に示す。
(比較例1)
実施例1において、PE−1に替えて、PE−3を用いた以外は、実施例1と同様にペレットを作製した。この時の押出樹脂温度は240℃であった。評価結果を表2に示す。
(比較例2)
実施例3において、PE−1に替えて、PE−3を用いた以外は、実施例3と同様にペレットを作製した。この時の押出樹脂温度は244℃であった。評価結果を表2に示す。
Figure 2016188277
(評価)
この結果、表2から明らかなように、PE−1、PE−2を用いたオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物は、同一押出条件下でPE−3を用いたものより架橋度が勝り、ゴム的弾性は同等で、機械的強度において、実施例1〜4は比較例1〜2よりも高い値を示している。よって、実施例は比較例のものと比較して、架橋特性が良くかつより高い機械的強度を有していることがわかる。
本発明のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物は、架橋特性が良く高い機械強度を持つので、例えば自動車部品(ウェザーストリップ、ホース、エアバッグカバー等)や、窓枠、モールド、ケーブル、パッキン、各種押出製品などの工業部品など広く適用することができる。

Claims (7)

  1. ポリプロピレン系樹脂(A)と、エチレンと炭素原子数3〜20のα−オレフィンの1種又は2種以上の共重合体であるエチレン・α−オレフィン共重合体(B)を、(A)および(B)の合計量100重量部に対して(A)を10重量部以上60重量部以下、(B)を40重量部以上90重量部以下含有してなり、
    該エチレン・α−オレフィン共重合体(B)が以下の特性(b1)及び(b2)を有することを特徴とするオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物。
    (b1)密度が0.860〜0.920g/cmである
    (b2)エチレン・α−オレフィン共重合体中のコモノマーによる分岐数(N)と、ビニルおよびビニリデンの合計数(V)が下記式(1)の関係を満たし、かつ、ビニルおよびビニリデンの個数は、それぞれ0.05以上である。
    式(1):N×V≧15
    (ただし、NおよびVは、NMRで測定した主鎖、側鎖の合計1000個の炭素あたりの数である。)
  2. 該エチレン・α−オレフィン共重合体(B)がさらに下記(b3)を満たすことを特徴とする請求項1記載のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物。
    (b3)エチレン・α−オレフィン共重合体中のビニル、ビニリデンの二重結合の合計数が、二重結合全体(ビニル、ビニリデン、シス−ビニレン、トランス−ビニレン、三置換オレフィン)の合計数の55%以上である(ただし、ビニル、ビニリデン、シス−ビニレン、トランス−ビニレン、三置換オレフィンの個数は、NMRで測定した主鎖、側鎖の合計1000個の炭素数あたりの数である)
  3. 該エチレン・α-オレフィン共重合体(B)がさらに(b4)エチレン・α-オレフィン・共重合体(中のビニルとビニリデン合計数が、NMRで測定した主鎖、側鎖の合計1000個の炭素あたり0.2個以上であることを特徴とする請求項1又は2記載のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物。
  4. 該エチレン・α-オレフィン共重合体(B)が、メタロセン触媒により製造されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物。
  5. エチレン・α-オレフィン共重合体(B)が、α−オレフィンの少なくとも1成分としてプロピレンを10〜30モル%含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物。
  6. 前記ポリプロピレン系樹脂(A)およびエチレン・α-オレフィン共重合体(B)の合計量100重量部に対して、2〜100重量部の軟化剤(C)を含有していることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物。
  7. 前記オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物が、架橋されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物。
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