JP2016187929A - 光学フィルム、フィルムロール、透明導電フィルムおよびタッチパネル - Google Patents

光学フィルム、フィルムロール、透明導電フィルムおよびタッチパネル Download PDF

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Abstract

【課題】薄手の基材を用いた場合に巻き取り形態が良好なフィルムロールを形成できる光学フィルムの提供。
【解決手段】基材1と、基材1の少なくとも片面に設けられた被覆層2とを有する光学フィルム30であって、基材1の厚みが50μm以下であり、被覆層2が高さ1μm以上、最大径が20μm以上の凸状部21を11〜1000個/m2有する光学フィルム30;フィルムロール;透明導電フィルム;タッチパネル。被覆層2が易接着層であり、バインダーを含み、前記バインダーがアクリルポリマーであり、更に、架橋剤を含み、前記架橋剤がカルボジイミド化合物である光学フィルム30。
【選択図】図2

Description

本発明は、光学フィルム、フィルムロール、透明導電フィルムおよびタッチパネルに関する。より詳しくは、巻き取り形態が良好なフィルムロールを形成できる光学フィルム、この光学フィルムを用いたフィルムロールおよび透明導電フィルムならびにこの透明導電フィルムを用いたタッチパネルに関する。
光学フィルムでは、基材の上に所望の性能を発揮させるためにハードコート層や粘着剤層といった機能層が設けられる。基材と機能層との密着性をよくするために、基材表面には易接着層などの被覆層が設けられることがある。
例えば特許文献1には、ポリエチレンテレフタレート二軸延伸フィルムおよびその少なくとも片面に設けられた厚み10〜300nmの易接着層からなる光学用フィルムであって、易接着層は高分子バインダーおよび界面活性剤を含有し、易接着層における高分子バインダーと界面活性剤の含有量の比は、高分子バインダー100重量部に対して界面活性剤0.5〜10重量部であり、易接着層における界面活性剤の含有率は易接着層の重量を基準に0.5〜6重量%であり、界面活性剤は疎水基と親水基とからなり、疎水基は炭素数13〜15の直鎖炭化水素であり、親水基はオキシエチレンとオキシプロピレンの共重合体からなり、オキシエチレンの親水基における割合が30〜50モル%であり、界面活性剤の重量平均分子量が1200〜1600である光学用フィルムが記載されている。特許文献1では、好ましい態様として、易接着層における、凸部の大きさの最大径が20μm以上かつ凸部の高さが1μm以上の異物が3個以下/100m2である態様が記載されており、異物が3個/100m2を超えると、光学用基材を製造する際の歩留まりが低下して好ましくないと記載がある。
特許文献2には、二軸配向ポリエステルフィルムを基材とし、基材の両面に高分子易接着層を形成したフィルムであって、基材フィルム中に実質的に粒子を含まず、且つ、基材フィルム表面に凸部の高さが1μm以上で最大径が20μm以上の形状を有し、凸部に隣接している所から100μm以内の凹部の深さが0.5μm以上の異物が10個/m2以下である光学用易接着フィルムが記載されている。
特開2011−136539号公報 特開2000−238221号公報
特許文献1や2に記載の基材表面に易接着層が設けられたフィルムは、ロール状に巻き取られたフィルムロールとして取り扱われる。
特許文献1や2の実施例では100μm程度の厚みのフィルムを製造していたが、近年、モバイル用途への対応のため光学フィルムの薄手化が求められてきている。
このような状況のもと、本発明者らが、薄手の基材を用い、基材表面に被覆層を設けた光学フィルムを製膜したところ、フィルムロールの巻き取り形態が不良になりやすいことがわかった。このような問題は、100μm程度の厚みのフィルムでは生じておらず、薄手の基材を用いた場合に光学フィルムの剛性が低く、ロール巻取り時に空気を巻き込みやすいことに起因する新規課題であった。
本発明が解決しようとする課題は、薄手の基材を用いた場合に巻き取り形態が良好なフィルムロールを形成できる光学フィルムを提供することである。
上記の課題を解決するために鋭意検討を行った結果、本発明者らは、基材の厚みが50μm以下である場合であっても、特定範囲の高さおよび最大径の凸状部の単位面積当たりの個数を特定の範囲内とした被覆層を設けることで、巻き取り形態が良好なフィルムロールを形成できることを見出した。
ここで、従来の特許文献1や特許文献2では光学フィルム用途として欠点となる凸状部をできるだけ少なくすることを目的としている。それに対し、本発明は特許文献1や2とは逆の発想で凸状部を多く設けることにより巻き取り形態を改善できることを見出して新規課題を解決したものであり、本発明の構成および得られる効果は特許文献1や2の知見から容易に類推できるものではない。
上記課題を解決するための具体的な手段である本発明および本発明の好ましい態様は、以下のとおりである。
[1] 基材と、基材の少なくとも片面に設けられた被覆層とを有する光学フィルムであって、
基材の厚みが50μm以下であり、
被覆層が高さ1μm以上、最大径が20μm以上の凸状部を11個/m2以上有する光学フィルム。
[2] [1]に記載の光学フィルムは、被覆層が凸状部を11個/m2以上1000個/m2以下有することが好ましい。
[3] [1]または[2]に記載の光学フィルムは、被覆層が易接着層であることが好ましい。
[4] [1]〜[3]のいずれか一つに記載の光学フィルムは、被覆層がバインダーを含み、
バインダーがアクリルポリマーであることが好ましい。
[5] [1]〜[4]のいずれか一つに記載の光学フィルムは、被覆層が架橋剤を含み、
架橋剤がカルボジイミド化合物であることが好ましい。
[6] [1]〜[5]のいずれか一つに記載の光学フィルムは、基材の50質量%以上がポリエチレンテレフタレートであることが好ましい。
[7] [1]〜[6]のいずれか一つに記載の光学フィルムを巻き取って形成されたフィルムロール。
[8] [1]〜[6]のいずれか一つに記載の光学フィルムと、透明導電層を有する透明導電フィルム。
[9] [8]に記載の透明導電フィルムは、透明導電層が銀を含むことが好ましい。
[10] [8]または[9]に記載の透明導電フィルムを有する、タッチパネル。
本発明によれば、薄手の基材を用いた場合に巻き取り形態が良好なフィルムロールを形成できる光学フィルムを提供することができる。
図1は、本発明の透明導電フィルムの好ましい態様の一例の断面を示す概略図である。 図2は、本発明の光学フィルムの好ましい態様の一例の断面を示す概略図である。 図3は、本発明のフィルムロールの好ましい態様の一例を示す概略図である。
以下において、本発明について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、代表的な実施形態や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は「〜」前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
[光学フィルムおよびフィルムロール]
本発明の光学フィルムは、基材と、基材の少なくとも片面に設けられた被覆層とを有する光学フィルムであって、基材の厚みが50μm以下であり、被覆層が高さ1μm以上、最大径が20μm以上の凸状部を11個/m2以上有する。
本発明のフィルムロールは、本発明の光学フィルムを巻き取って形成されたフィルムロールである。
このような構成により、本発明の光学フィルムは、薄手の基材を用いた場合に巻き取り形態が良好なフィルムロールを形成できる。いかなる理論に拘泥するものでもないが、特定範囲の高さおよび最大径の凸状部の単位面積当たりの個数を特定の範囲内とした被覆層を設けることで、ロール巻き取り時に巻き込まれた空気の抜け道ができ、ロール形態不良を防止できると考えられる。
以下、本発明の光学フィルムの好ましい態様を説明する。
<特性>
本発明の光学フィルムは、ヘイズが小さいことが好ましい。本発明の光学フィルムは、ヘイズが1.5%以下であることが好ましく、1.3%以下であることがより好ましく、1.0%以下であることが特に好ましく、0.86%以下であることがより特に好ましい。
<構成>
本発明の光学フィルムの構成の好ましい態様を説明する。
図2は、本発明の光学フィルムの好ましい態様の一例の断面を示す概略図である。図2中、本発明の光学フィルム30は、基材1と、基材1と隣接した被覆層(好ましくは易接着層)2を有し、被覆層2がさらに凸状部21を有する。
図2に示した本発明の光学フィルム30は、高さ1μm以上、最大径が20μm以上の凸状部として、扁平形状の凸状部21Aを有する。本発明の光学フィルムは、高さ1μm以上、最大径が20μm以上の凸状部を11個/m2以上有するが、図2では説明の便宜上、凸状部21または扁平形状の凸状部21Aの個数は省略してある。
ただし、本発明の光学フィルムは、高さ1μm以上、最大径が20μm以上の凸状部以外の凸状部を有していてもよく、例えば図2の球状の凸状部21Bのような形状であって最大径が20μm未満の凸状部を有していてもよい。
図3は、本発明のフィルムロールの好ましい態様の一例を示す概略図である。図3(A)は、図3(B)の点線で囲った部分を拡大した断面の概略図である。図3(A)に示すとおり、本発明の光学フィルムを巻き取って形成された本発明のフィルムロール31は、凸状部21を有することで、ロール巻き取り時に巻き込まれた空気の抜け道ができる。図3(A)や図3(B)に示すとおり、フィルムロール31に巻き込まれた空気の流れ32にしたがってロール巻き取り時に巻き込まれた空気が抜けることで、薄手の基材を用いた場合に巻き取り形態が良好なフィルムロール31を形成できる。
<基材>
本発明の光学フィルムは、基材を有し、基材の厚みが50μm以下である。
基材の厚みが45μm以下であることが好ましく、40μm以下であることがより好ましい。基材は、薄膜化することが求められている。
基材はフィルムであることが好ましい。
基材は、1層のフィルムであっても良く、2層以上のフィルムの積層体(例えば、共流涎フィルム、共押出しフィルムなど)であっても良い。本発明におけるフィルムが2層以上からなる場合、その合計厚さが上記範囲内となることが好ましい。
(樹脂)
基材を構成する樹脂は特に限定されず、例えばポリエステル、ポリオレフィン、アクリル、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマーなどを用いることができる。その中でも、基材はポリエステルを含むことが好ましく、基材の50質量%以上がポリエステルを含むことがより好ましく、基材の50質量%以上がポリエチレンテレフタレートであることが特に好ましい。さらに、基材の95質量%以上がポリエステルを含むことがより好ましく、基材の95質量%以上がポリエチレンテレフタレートであることが特に好ましい。
ポリエステルの種類は特に制限されるものではなく、ポリエステルとして公知のものを使用することができる。その中でも、特開2014−076632号公報の[0048]〜[0060]に記載のポリエステルを用いることが好ましく、この公報の内容は本明細書に組み込まれる。
ポリエステルは、飽和ポリエステルであることが好ましい。このように飽和ポリエステルを用いることで、不飽和のポリエステルを用いたフィルムと比べて力学強度の観点で優れるポリエステルフィルムを得ることができる。
ポリエステルは、高分子の途中に、−COO−結合、又は、−OCO−結合を有する。また、ポリエステルの末端基は、OH基、COOH基又はこれらが保護された基(ORX基、COORX基(RXは、アルキル基等任意の置換基)であって、芳香族二塩基酸又はそのエステル形成性誘導体と、ジオール又はそのエステル形成性誘導体から合成される線状飽和ポリエステルであることが好ましい。線状飽和ポリエステルとしては、例えば、特開2009−155479号公報や特開2010−235824号公報に記載のものを適宜用いることができる。
線状飽和ポリエステルの具体例として、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、このうち、ポリエチレンテレフタレート又はポリエチレン−2,6−ナフタレートが、力学的物性及びコストのバランスの点で特に好ましく、ポリエチレンテレフタレートがより特に好ましい。
ポリエステルは、単独重合体であってもよいし、共重合体であってもよい。更に、ポリエステルに他の種類の樹脂、例えばポリイミド等を少量ブレンドしたものであってもよい。また、ポリエステルとして、溶融時に異方性を形成することができる結晶性のポリエステルを用いてもよい。
ポリエステルの分子量は、耐熱性や粘度の観点から、重量平均分子量は、5000〜30000であることが好ましく、8000〜26000であることが更に好ましく、12000〜24000であることが特に好ましい。ポリエステルの重量平均分子量は、ヘキサフルオロイソプロパノールを溶媒として用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって測定したポリメチルメタクリレート換算の値を用いることができる。
ポリエステルは公知の方法によって合成することができる。例えば、公知の重縮合法や開環重合法などによってポリエステルを合成することができ、エステル交換反応及び直接重合による反応のいずれでも適用することができる。
本発明で用いるポリエステルが、芳香族二塩基酸又はそのエステル形成性誘導体と、ジオール又はそのエステル形成性誘導体とを主成分とする縮合反応により得られる重合体ないしは共重合体である場合には、芳香族二塩基酸又はそのエステル形成性誘導体とジオール又はそのエステル形成性誘導体とを、エステル化反応又はエステル交換反応させ、次いで重縮合反応させることによって製造することができる。また、原料物質や反応条件を選択することにより、ポリエステルのカルボン酸価や固有粘度を制御することができる。なお、エステル化反応又はエステル交換反応及び重縮合反応を効果的に進めるために、これらの反応時に重合触媒を添加することが好ましい。
(その他添加剤)
基材には、本発明の目的を損なわない範囲で、他の添加剤を添加することができる。添加剤としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、易滑剤、帯電防止剤を挙げることができる。特に、基材が各種デバイスの表面に設置される場合には、紫外線吸収剤を含むことが好ましい。紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール紫外線吸収剤、アクリロニトリル紫外線吸収剤などを用いることができる。
(基材の製造方法)
基材の製造方法としては特に制限は無く、公知のフィルムを基材として用いてもよく、製造してもよい。
フィルムは溶液製膜法、溶融製膜法いずれの方法でも製膜することができる。
基材に対して各層を強固に接着させる目的で、予め、薬品処理、機械的処理、コロナ放電処理、火焔処理、紫外線処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処理、混酸処理、オゾン酸処理等の表面活性処理を施しておくことが好ましい。
例えば、層A形成用の塗布液などを塗布して層Aを作製する場合、基材と層Aとの間の接着性を確保する方法には、一旦、表面活性処理を施した後、被覆層として易接着層を設け、易接着層上に層A形成用の塗布液を塗布する方法が挙げられる。
基材は、縦(Machine Direction;MD、搬送方向)又は横(MD方向に直交する方向)の少なくとも1軸方向に延伸されてなることが好ましく、縦及び横に2軸延伸されてなることがより好ましい。縦及び横に2軸延伸する場合は、縦、横の順番;横、縦の順番のように逐次で行なってもよく、同時に2方向に延伸しても構わない。さらに、例えば縦、縦、横の順番;縦、横、縦の順番;縦、横、横の順番のように多段で延伸することとしてもよい。
<被覆層>
本発明の光学フィルムは、基材の少なくとも片面に設けられた被覆層を有し、被覆層が高さ1μm以上、最大径が20μm以上の凸状部を11個/m2以上有する。
被覆層とは、基材の少なくとも片面の一部または全部を覆う層のことを言う。
被覆層は易接着層であることが好ましい。易接着層とは、基材と他の層との接着性または密着性を高めることができる層のことを言う。
(凸状部)
本発明の光学フィルムは、被覆層が高さ1μm以上、最大径が20μm以上の凸状部を11個/m2以上有し、被覆層が高さ1μm以上、最大径が20μm以上の凸状部を11個/m2以上1000個/m2以下有することがヘイズを低減する観点から好ましく、11個/m2以上100個/m2以下有することが特に好ましい。
凸状部の高さとは、基材と凸状部の表面との距離(基材表面から垂直方向の距離)の最大値のことを言う。
凸状部の最大径とは、基材表面と平行方向における凸状部の幅のうち、最大となる方位における凸状部の幅のことを言う。
凸状部の個数を調整する方法としては特に制限はないが、例えば被覆層中の架橋剤(好ましくはカルボジイミド化合物)の添加濃度を調整することで、被覆層中の樹脂の凝集を調整し、凸状部の個数を調整する方法を挙げることができる。
凸状部の高さを調整する方法としては特に制限はないが、例えば被覆層形成用の塗布液を塗布した後の延伸における延伸倍率を好ましくは2〜5.5倍、より好ましくは2.5〜5倍、さらに好ましくは3〜4.5倍とする方法を挙げることができる。
被覆層が有する高さ1μm以上、最大径が20μm以上の凸状部は、高さ1〜10μm、最大径が20μm以上の凸状部であることが好ましく、高さ1μm以上5μm未満、最大径が20μm以上の凸状部であることがより好ましい。
被覆層が有する高さ1μm以上、最大径が20μm以上の凸状部は、高さ1μm以上、最大径が20〜300μmの凸状部であることが好ましい。
被覆層が有する高さ1μm以上、最大径が20μm以上の凸状部は、高さ1〜10μm、最大径が20〜300μmの凸状部であることが好ましく、高さ1μm以上5μm未満、最大径が20〜300μmの凸状部であることがより好ましい。
本発明の光学フィルムは、被覆層が高さ1〜10μm、最大径20〜300μmの凸状部を11個/m2以上有することが好ましく、11個/m2以上1000個/m2以下有することがより好ましく、11個/m2以上100個/m2以下有することが特に好ましい。本発明の光学フィルムは、被覆層が高さ1μm以上5μm未満、最大径20〜300μmの凸状部を11個/m2以上有することが好ましく、11個/m2以上1000個/m2以下有することがより好ましく、11個/m2以上100個/m2以下有することが特に好ましい。
凸状部は扁平であることが好ましい。凸状部の高さ/最大径の値は0.8以下であることが好ましく、0.7以下であることがより好ましく、0.6以下であることが特に好ましい。
(被覆層のバインダー)
被覆層はバインダーを含むことが好ましい。被覆層のバインダーは、樹脂成分であることが好ましい。
被覆層のバインダーとしては特に制限はないが、フッ素ポリマー、フェノールポリマー、アルキドポリマー、メラミンポリマー、ユリアポリマー、ビニルポリマー、エポキシポリマー、エステルポリマー、ウレタンポリマー、アクリルポリマーなどの合成樹脂が挙げられる。合成樹脂以外の他の樹脂としては、ゼラチンなどを挙げることができる。
本発明の光学フィルムは、被覆層のバインダーがアクリルポリマーおよびウレタンポリマーであることが好ましく、アクリルポリマーであることが透明導電フィルムのマイグレーションを改善する観点から好ましい。
アクリルポリマーとしては、特開2010−80237号公報の[0098]に記載のものを被覆層のバインダーとして好ましく用いることができる。アクリルポリマーとしては、市販品を用いてもよく、具体的には、ダイセルファインケム(株)製AS−563Aなどを好ましく用いられる。
ウレタンポリマーとしては、特開2010−80237号公報の[0097]に記載のものを被覆層のバインダーとして好ましく用いることができる。ウレタンポリマーとしては、市販品を用いてもよく、具体的には、三井化学(株)製タケラック(登録商標)WS5100などを好ましく用いられる。
(その他の成分)
被覆層は、バインダーの他に、必要に応じて架橋剤、造膜助剤、マット剤、滑り剤、界面活性剤、消泡剤、抑泡剤、染料、蛍光増白剤、防腐剤、耐水化剤、帯電防止剤、架橋剤の触媒等を含んでいてもよい。架橋剤の触媒としては、エラストロン用触媒(第一工業製薬社製:商品名Cat64)などを挙げることができる。
−架橋剤−
被覆層は、架橋剤を含むことが易接着層としての機能を持たせる観点から好ましい。易接着層は、層Aと基材との密着性をより高めるために用いることが好ましい。架橋剤は、被覆層を形成する際の架橋反応を起こすものであればよく、形成された後の被覆層に架橋剤として残存していなくてもよい。すなわち、得られた本発明の光学フィルム中においては、架橋剤が他の分子を架橋した架橋構造の一部に組み込まれ、既に架橋剤としての反応や作用を終えたものになっていてよい。架橋剤により、被覆層における分子同士や分子内での架橋点が増え、これにより、層A及び基材に対する被覆層の接着力がより向上する。
被覆層に含ませる架橋剤としては、オキサゾリン化合物、カルボジイミド化合物、エポキシ化合物、イソシアネート化合物およびメラミン化合物(C366)が好ましく、これらのうち複数種類が易接着層中に含まれていてもよい。被覆層の架橋剤としては、オキサゾリン化合物およびカルボジイミド化合物がより好ましく、カルボジイミド化合物が透明導電フィルムのマイグレーションを改善する観点から特に好ましい。
オキサゾリン化合物は、下記式(1)で示されるオキサゾリン基をもつ化合物である。
Figure 2016187929
オキサゾリン化合物としては、オキサゾリン基を有する重合体、例えば、オキサゾリン基を有する重合性不飽和単量体を、必要に応じその他の重合性不飽和単量体と公知の方法(例えば溶液重合、乳化重合等)によって共重合させることにより得られる重合体を挙げることができる。オキサゾリン基を有する重合性不飽和単量体としては、例えば、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−メチル−2−オキサゾリン等をモノマー単位として含むものが挙げることができる。なお、これらのうちの2種以上を併用してもよい。また、オキサゾリン化合物は、例えば、エポクロスK−2020E、エポクロスK−2010E、エポクロスK−2020E、エポクロスK−2030E、エポクロスWS−300、エポクロスWS−500、エポクロスWS−700等の市販品(日本触媒(株)製、エポクロスは登録商標)としても入手可能である。
カルボジイミド化合物は、−N=C=N−で示される官能基をもつ化合物である。ポリカルボジイミドは、通常、有機ジイソシアネートの縮合反応により合成されるが、この合成に用いられる有機ジイソシアネートの有機基は特に限定されず、芳香族系、脂肪族系のいずれか、あるいはそれらの混合系も使用可能である。ただし、反応性の観点から脂肪族系が特に好ましい。合成の原料としては、有機イソシアネート、有機ジイソシアネート、有機トリイソシアネート等が使用される。有機イソシアネートの例としては、芳香族イソシアネート、脂肪族イソシアネート、及び、それらの混合物が使用可能である。具体的には、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート等が用いられ、また、有機モノイソシアネートとしては、イソホロンイソシアネート、フェニルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、ブチルイソシアネート、ナフチルイソシアネート等が使用される。また、カルボジイミド化合物は、例えば、カルボジライトV−02−L2(日清紡(株)製)等の市販品としても入手可能である。
被覆層形成用の塗布液において、架橋剤はバインダー成分の合計に対して5〜70質量%添加することが好ましく、10〜60質量%添加することがより好ましく、15〜50質量%添加することが特に好ましい。
また、架橋剤の添加濃度を調整することで、被覆層中の樹脂の凝集を調整し、凸状部の個数を調整することができる。架橋剤添加濃度は所望の凸状部を被覆層に形成する観点から2.5質量%以上とすることが好ましく、2.5〜35質量%とすることがより好ましく、3〜30質量%とすることが特に好ましく、3〜20質量%とすることがより特に好ましい。
−マット剤−
マット剤としては、有機または無機微粒子のいずれも使用することができる。例えば、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、シリコーン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等のポリマー微粒子や、シリカ、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム等の無機微粒子を用いることができる。市販品としては例えば、架橋ポリメチルメタクリレート粒子MR−2G(綜研化学(株)製)、シリカ粒子シーホスターKE−W10(日本触媒(株)製)、スノーテックスXL(日産化学(株)製)等が挙げられる。
粒子は、1種のみを用いてもよいし、2種類以上を組み合わせてもよい。
被覆層形成用の塗布液において、マット剤は0.1〜100mg/m2添加することが好ましく、0.5〜50mg/m2添加することが特に好ましい。
−滑り剤−
滑り剤としては、脂肪族ワックス等が好適に用いられる。
脂肪族ワックスの具体例としては、カルナバワックス、キャンデリラワックス、ライスワックス、木ロウ、ホホバ油、パームワックス、ロジン変性ワックス、オウリキュリーワックス、サトウキビワックス、エスパルトワックス、バークワックス等の植物系ワックス、ミツロウ、ラノリン、鯨ロウ、イボタロウ、セラックワックス等の動物系ワックス、モンタンワックス、オゾケライト、セレシンワックス等の鉱物系ワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラクタム等の石油系ワックス、フィッシャートロプッシュワックス、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、酸化ポリプロピレンワックス等の合成炭化水素系ワックスを挙げることができる。この中でも、カルナバワックス、パラフィンワックス、ポリエチレンワックスが特に好ましい。これらは環境負荷の低減が可能であることおよび取扱のし易さから水分散体として用いることも好ましい。市販品としては例えばカルナバワックスであるセロゾール524(中京油脂(株)製)などが挙げられる。
滑り剤は、1種のみを用いてもよいし、2種類以上を組み合わせてもよい。
被覆層形成用の塗布液において、滑り剤は0.1〜100mg/m2添加することが好ましく、0.5〜50mg/m2添加することが特に好ましい。
−界面活性剤−
界面活性剤としては、公知のアニオン系、ノニオン系、カチオン系、フッ素系、シリコーン系の界面活性剤が挙げられる。界面活性剤については、例えば、「界面活性剤便覧」(西一郎、今井怡知郎、笠井正蔵編、産業図書(株)、1960年発行)に記載されている。特にアニオン系、ノニオン系界面活性剤が好ましい。
市販のアニオン系界面活性剤としては、例えば、ラピゾールA−90、ラピゾールA−80、ラピゾールBW−30、ラピゾールB−90、ラピゾールC−70(商品名:日本油脂(株)製)、NIKKOL OTP−100(商品名:日光ケミカル(株)製)、コハクールON、コハクールL−40、フォスファノール702(東邦化学)、ビューライトA−5000、ビューライトSSS(三洋化成)等を挙げることができる。
市販のノニオン系界面活性剤としては、例えば、ナロアクティーCL−95、HN−100(商品名:三洋化成工業(株)製)、リソレックスBW400(高級アルコール工業)、EMALEX ET−2020(日本エマルジョン株式会社)、ユニルーブ50MB−26、ノニオンIS−4(日油株式会社)等を挙げることができる。
市販のフッ素系界面活性剤としては、例えば、メガファックF171、同F172、同F173、同F176、同F177、同F141、同F142、同F143、同F144、同R30、同F437、同F475、同F479、同F482、同F554、同F780、同F781(以上、DIC(株)製)、フロラードFC430、同FC431、同FC171(以上、住友スリーエム(株)製)、サーフロンS−382、同SC−101、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC1068、同SC−381、同SC−383、同S393、同KH−40(以上、旭硝子(株)製)、PF636、PF656、PF6320、PF6520、PF7002(OMNOVA社製)等が挙げられる。
市販のカチオン系界面活性剤として具体的には、フタロシアニン誘導体(商品名:EFKA−745、森下産業(株)製)、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)、(メタ)アクリル酸系(共)重合体ポリフローNo.75、No.90、No.95(共栄社化学(株)製)、W001(裕商(株)製)等が挙げられる。
市販のシリコーン系界面活性剤としては、例えば、東レ・ダウコーニング(株)製「トーレシリコーンDC3PA」、「トーレシリコーンSH7PA」、「トーレシリコーンDC11PA」,「トーレシリコーンSH21PA」,「トーレシリコーンSH28PA」、「トーレシリコーンSH29PA」、「トーレシリコーンSH30PA」、「トーレシリコーンSH8400」、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製「TSF−4440」、「TSF−4300」、「TSF−4445」、「TSF−4460」、「TSF−4452」、信越シリコーン株式会社製「KP341」、「KF6001」、「KF6002」、ビックケミー社製「BYK307」、「BYK323」、「BYK330」等が挙げられる。
界面活性剤は、1種のみを用いてもよいし、2種類以上を組み合わせてもよい。
被覆層形成用の塗布液において、界面活性剤は0.1〜10mg/m2添加することが好ましく、0.3〜5mg/m2添加することがより好ましく、0.5〜3mg/m2添加することが特に好ましい。
(被覆層の形成)
本発明の光学フィルムは、被覆層が、被覆層形成用の塗布液から形成されてなることが好ましく、被覆層形成用の塗布液が水を含む水系エマルションから形成されてなることがより好ましい。
(被覆層の特性)
本発明の光学フィルムは、密着性を向上させる観点から、被覆層の含水率が、0.3〜2.5%であることが好ましく、0.4〜1.0%であることがより好ましく、0.4〜0.8%であることが特に好ましい。
本発明の光学フィルムは、密着性を向上させる観点から、被覆層の厚みが、40〜400nmであることが好ましく、60〜250nmであることがより好ましく、60〜150nmであることが特に好ましい。
被覆層単層でもよく2層以上でもよいが、単層であることが好ましい。
<光学フィルムの製造方法>
光学フィルムの製造方法は、特に制限は無いが、基材の上に被覆層形成用の塗布液を直接塗布して被覆層を積層する工程を含むことが好ましい。光学フィルムの製造方法としては、特開2014−076632号公報の[0065]〜[0087]に記載の製造方法を好ましく用いることができ、この公報の内容は本明細書に組み込まれる。
本発明の光学フィルムは、基材の上に被覆層2がインラインコート法により形成されることにより得ることが好ましい。
インラインコート法とは、樹脂の押出し工程、延伸工程、塗布工程、延伸工程等の一連の製膜工程において、フィルムの巻き取りを行わずに連続して製膜を行う製法である。インラインコート法は、製膜工程において、途中でフィルムを巻き取ってから別途塗布を行うオフラインコート法と区別される。
インラインコート法では、塗布工程の後に、延伸工程が設けられる。延伸工程が複数工程設けられている場合、延伸工程は、塗布工程の前に延伸工程が設けられていても良い。ただし、インラインコート法では、塗布工程の後には、必ず1回は延伸工程が設けられる。例えば、塗布工程の後に縦延伸工程を設け、その後に横延伸工程を設けても良いし、縦延伸工程の後に塗布工程を設け、その後に横延伸工程を設けても良い。なお、縦延伸工程の前に横延伸工程を設けても良く、各々の延伸工程は複数工程ずつ設けられても良い。
被覆層は、基材の上に被覆層形成用の塗布液を塗布し、延伸することで形成されることが好ましい。
本発明に用いることができる基材(好ましくはポリエステルフィルム)は、以下のような方法により製造することができる。基材を製造する場合、まず、基材に用いられる樹脂は、乾燥工程において乾燥させられることが好ましい。乾燥工程は、基材に用いられる樹脂を乾燥させることで加熱する工程であり、乾燥の温度は、100〜200℃がより好ましく、さらに好ましくは120〜180℃であり、さらに好ましくは150〜180℃である。この乾燥工程において、樹脂に塩基性化合物が含まれる場合は、それを揮散させることができる。
その後、基材に用いられる樹脂は、混練機に投入され、混練されることが好ましい。混練には、単軸押出し機、2軸押出し機、バンバリーミキサー、ブラベンダー等の各種混練機を使用できる。中でも2軸押出し機を用いるのが、塩基性化合物の一部を揮散することができるため、好ましい。混練温度は基材に用いられる樹脂の結晶融解温度(Crystal melting temperature;Tm)以上Tm+80℃以下が好ましく、より好ましくはTm+10〜Tm+70℃、さらに好ましくはTm+20〜Tm+60℃である。混練雰囲気は、空気中、真空中、不活性気流中いずれでも良いが、より好ましくは、塩基性化合物をより効率的に揮散することができる真空中、不活性気流中である。
混練された基材に用いられる樹脂は、単軸あるいは2軸の押出し機に投入され、そこで加熱溶融されることが好ましい。この場合の加熱溶融の温度は、基材に用いられる樹脂の結晶融解温度(Tm)〜Tm+80℃以下が好ましく、より好ましくはTm+5〜Tm+60℃、さらに好ましくはTm+10〜Tm+50℃である。溶融時間は1〜30分であることが好ましく、1〜20分であることがより好ましく、3〜15分であることがさらに好ましい。その後、溶融された樹脂は、ダイから柔らかいシート状に吐出される。
ダイから吐出された樹脂シート(好ましくはポリエステルシート)は、メルト配管を通し、ギアポンプ、濾過器を通すことが好ましい。またメルト配管中にスタチックミキサーを設け、樹脂と添加物等の混合を促すことも好ましい。
樹脂シートは、キャスティングロール上に押し出され、冷却固化されて、製膜されることが好ましい。このようにして得られたフィルムは、キャストフィルム(未延伸原反)のポリエステルシートとなる。
キャスティングロールの温度は0〜60℃が好ましく、より好ましくは5〜55℃、さらに好ましくは10〜50℃である。この時、メルトと冷却ドラムの密着を向上させ平面性を向上させるため、静電印加法、エアナイフ法、冷却ドラム上への水被覆等の等を用いることも好ましい。さらに冷却を効率的に行なうため、冷却ドラム上から冷風を吹きつけても良い。
樹脂シートは、縦延伸機に送られ、縦に延伸されることが好ましい。その後、横延伸機の左右のクリップで両端を把持されて、巻取機側へ送られながら横に延伸されて、基材となることが好ましい。
被覆層は、このような延伸工程の前や延伸工程の間の工程において、塗布により基材の表面に形成されることが好ましい。延伸工程の間の工程において、塗布工程が設けられる場合は少なくとも1工程の延伸工程が、塗布工程の後に設けられることが好ましい。
例えば、縦および横に延伸する前に塗布工程を設ける場合は、塗布、縦、横の順番;塗布、横、縦の順番のように逐次で行なってもよく、塗布工程の後に同時に2方向に延伸しても良い。また、塗布、縦、縦(または横)、横の順番;縦、塗布、縦(横)、横の順番;縦、縦(横)、塗布、横の順番のように多段で延伸することも好ましい。
被覆層を塗布する際には水溶液もしくは水系分散液(ラテックス)を、塗布することが好ましい。塗布方法としては、特に制限はなく、バーコーター塗布、スライドコーター塗布等の公知の方法を用いることができる。
被覆層は、基材上に塗布液を塗布した後、乾燥させることによって硬化し、形成されることが好ましい。被覆層を2層構造とする場合は、第2層目を塗布した後に乾燥させることが好ましい。
縦延伸はglass transition temperature(Tg)を用いてTg−10〜Tg+50℃で行なうのが好ましく、より好ましくはT〜Tg+40℃、さらに好ましくはTg+10〜Tg+35℃で行なうのが好ましい。延伸倍率は2〜5倍が好ましく、より好ましくは2.5〜4.5倍、さらに好ましくは3〜4倍である。
縦延伸後、冷却するのが好ましく、Tg−50〜Tgが好ましく、より好ましくはTg−45〜Tg−5℃がより好ましくは、さらに好ましくはTg−40〜Tg−10℃である。このような冷却は、冷却ロールに接触させても良く、冷風を吹き付けても良い。
その後、横延伸を行う場合、横延伸はテンターを用いて行なうのが好ましい。テンターでは、基材の両端をクリップで把持しながら熱処理ゾーンを搬送しながら、クリップを幅方向に拡げることで横延伸を行うことができる。
好ましい延伸温度は、Tg〜Tg+100℃、より好ましくはTg+10〜Tg+80℃、さらに好ましくはTg+20〜Tg+70℃である。延伸倍率は2〜5.5倍が好ましく、より好ましくは2.5〜5倍、さらに好ましくは3〜4.5倍である。
延伸工程の前には、基材の予熱工程を設けても良い。予熱温度は基材に用いられる樹脂のTg−50〜Tg+30℃が好ましく、より好ましくはTg−40〜Tg+15℃、さらに好ましくはTg−30〜Tgである。このような予熱は、加熱ロールと接触させてもよく、放射熱源(IRヒーター、ハロゲンヒーター等)を用いても良く、熱風を吹き込んでも良い。
基材の少なくとも一方の面に、塗布液を塗布した後に、延伸する一連の工程を製膜工程という。
延伸工程の後には、延伸処理後のフィルムに、熱固定、熱緩和を行なうことが好ましい。熱固定とは、180〜210℃程度(更に好ましくは、185〜210℃)で1〜60秒間(更に好ましくは2〜30秒間)の熱処理をフィルムに施すことをいう。この延伸工程の後に設けられる熱固定、緩和工程において、沸点が200℃以下の揮発性の塩基性化合物の一部を揮散させることとしても良い。
熱固定は、横延伸に引き続き、テンター内でクリップに把持した状態で行なうのが好ましく、この際クリップ間隔は横延伸終了時の幅で行なっても、さらに拡げても、あるいは幅を縮めて行なっても良い。熱固定を施すことによって、微結晶を生成し、力学特性や耐久性を向上させることができる。
熱固定に引き続き、緩和処理を行なうことが好ましい。熱緩和処理とは、フィルムに対して応力緩和のために熱を加えて、フィルムを収縮させる処理である。熱緩和処理は、緩和は縦、横少なくとも一方に行なうことが好ましく、緩和量は縦横とも1〜15%(横延伸後の幅に対する割合)が好ましく、より好ましくは2〜10%、さらに好ましくは3〜8%である。緩和温度はTg+50〜Tg+180℃が好ましく、より好ましくはTg+60〜Tg+150℃、さらに好ましくはTg+70〜Tg+140℃である。
熱緩和は、基材に用いられる樹脂の融点をTmとした場合、Tm−100〜Tm−10℃で行なうのが好ましく、より好ましくはTm−80〜Tm−20℃、さらに好ましくはTm−70〜Tm−35℃である。これにより結晶の生成を促し、力学強度、熱収縮性が改善できる。さらにTm−35℃以下の熱固定により耐加水分解性が向上する。これは加水分解が発生し易い非晶部の配向を崩さず緊張(束縛)を高めることで水との反応性を抑制するためである。
横緩和はテンターのクリップの幅を縮めることで実施できる。また、縦緩和は、テンターの隣接するクリップ間隔を狭めることで実施できる。これは隣接するクリップ間をパンタグラフ状に連結し、このパンタグラフを縮めることで達成できる。また、テンターから取り出した後に、低張力で搬送しながら熱処理し緩和することもできる。張力はフィルムの断面積あたり0〜0.8N/mm2が好ましく、より好ましくは0〜0.6N/mm2、さらに好ましくは0〜0.4N/mm2である。0N/mm2は、搬送させる際2対以上のニップロールを設け、この間で(懸垂状に)弛ませることで実施できる。
テンターから出てきた基材と被覆層とを有する光学フィルムは、クリップで把持していた両端がトリミングされ、両端にナーリング加工(型押し加工)が施された後、巻き取られる。光学フィルムの好ましい幅は0.8〜10m、より好ましくは1〜6m、さらに好ましくは1.5〜4mである。光学フィルムの厚みは51μm以下が好ましく、より好ましくは46μm以下、さらに好ましくは41μm以下である。このような光学フィルムの厚みの調整は、押出し機の吐出量の調整、あるいは製膜速度の調整(冷却ロールの速度、これに連動する延伸速度等の調整)により達成できる。
<他の機能層>
さらに、本発明の光学フィルムには、帯電防止層といった他の機能層を設けてもよい。また、帯電防止層としては、特開2008−250233号公報の段落[0012]、[0014]〜[0020]のものを適用できる
<用途>
本発明の光学フィルムは、透明導電フィルムに用いることができる。透明導電フィルムについては後述する。
本発明の光学フィルムは、透明導電フィルム用途以外に用いてもよい。
(反射防止フィルム)
本発明の光学フィルムは、反射防止フィルムの支持体として用いることができる。液晶表示装置のように高精細、高品位化された画像表示装置の場合には、上記の防塵性の他に、表示面での外光の反射によるコントラスト低下や像の映り込みを防止するための透明で帯電防止性能を有する反射防止フィルムを用いることが好ましい。
(表面保護フィルム)
本発明の光学フィルムは、表面保護フィルムとして用いることができる。例えば、偏光板用保護フィルム等として用いることができる。本発明の光学フィルムは、表示装置用表面フィルムとして好適に用いられる。
(表示装置)
本発明の光学フィルムや、上述した本発明の光学フィルムを有する偏光板は、液晶表示装置、プラズマディスプレイパネル、エレクトロルミネッセンスディスプレイや陰極管表示装置等の各種表示装置に用いることができる。本発明の光学フィルム又は偏光板は、画像表示装置の表示画面の視認側に配置されることが好ましい。
[透明導電フィルム]
本発明の透明導電フィルムは、本発明の光学フィルムと、透明導電層を有する。
<構成>
まず、本発明の透明導電フィルムの構成の好ましい態様を説明する。
図1は、本発明の透明導電フィルムの好ましい態様の一例の断面を示す概略図である。図1中、本発明の透明導電フィルム20は、基材1と、基材1と隣接した被覆層2と、被覆層2の両面のうち基材1に接触している面と反対側の面上に積層された水の接触角が70度以下の層A(図1中の符号3)と、層A(図1中の符号3)の両面のうち被覆層2に接触している面と反対側の面上に積層された透明導電層(好ましくは透明導電層用の感光材料)11が積層された態様が好ましい。
さらに、本発明の透明導電フィルム20は、透明導電層11の両面のうち、層A(図1中の符号3)に接触している面と反対側の面上に、さらに保護層12が積層された態様が好ましい。
また、本発明の透明導電フィルム20は、透明導電層11が露光および現像後の透明電極層(透明電極パターン)であることも好ましい。
<透明導電層>
透明導電層は、透明導電層用の感光材料以外の材料を用いて形成してもよい。
本発明の透明導電フィルムは、透明導電層用の感光材料を露光および現像して透明導電層を形成したものであってもよい。
透明導電層は層状に形成されてもよいが、間欠部を有するように形成されることが好ましい。間欠部とは、透明導電層が設けられていない部分をいい、間欠部の外周は透明導電層により囲まれていることが好ましい。本発明では、間欠部を有するように透明導電層が形成されることを、パターン状やメッシュ状に透明導電層が形成されるともいう。透明導電層としては、例えば、特開2013−1009号公報、特開2012−216550号公報、特開2012−151095号公報、特開2012−25158号公報、特開2011−253546号公報、特開2011−197754号公報、特開2011−34806号公報、特開2010−198799号公報、特開2009−277466号公報、特開2012−216550号公報、特開2012−151095号公報、国際公開2010/140275号パンフレット、国際公開2010/114056号パンフレットに記載された透明導電層を例示することができる。
本発明の透明導電フィルムは、透明導電層が銀を含むことが好ましい。
本発明で用いる透明導電層は、銀と親水性樹脂を含むことがより好ましい。透明導電層に用いることができる親水性樹脂の好ましい態様は、透明導電層用の感光材料に用いることができる親水性樹脂の好ましい態様と同様である。
本発明で用いる透明導電層には、ハロゲン化銀感光材料由来の層を用いることが特に好ましい。上述のとおり、本発明の透明導電フィルムの透明導電層は、透明導電層用の感光材料(好ましくは銀塩感光材料)を露光および現像して形成したものであってもよい。ハロゲン化銀感光材料を用いる場合、透明導電層の製造方法には、感光材料と現像処理の形態によって、次の3通りの形態が含まれる。
(1) 物理現像核を含まない感光性ハロゲン化銀黒白感光材料を化学現像又は熱現像して金属銀部をこの感光材料上に形成させる態様。
(2) 物理現像核をハロゲン化銀乳剤層中に含む感光性ハロゲン化銀黒白感光材料を溶解物理現像して金属銀部をこの感光材料上に形成させる態様。
(3) 物理現像核を含まない感光性ハロゲン化銀黒白感光材料と、物理現像核を含む非感光性層を有する受像シートを重ね合わせて拡散転写現像して金属銀部を非感光性受像シート上に形成させる態様。
上記(1)の態様は、一体型黒白現像タイプであり、感光材料上に光透過性導電性膜等の透光性導電性膜が形成される。得られる現像銀は化学現像銀又は熱現像銀であり、高比表面のフィラメントである点で後続するめっき又は物理現像過程で活性が高い。
上記(2)の態様は、露光部では、物理現像核近縁のハロゲン化銀粒子が溶解されて現像核上に沈積することによって感光材料上に光透過性導電性膜等の透光性導電性膜が形成される。これも一体型黒白現像タイプである。現像作用が、物理現像核上への析出であるので高活性であるが、現像銀は比表面の小さい球形である。
上記(3)の態様は、未露光部においてハロゲン化銀粒子が溶解されて拡散して受像シート上の現像核上に沈積することによって受像シート上に光透過性導電性膜等の透光性導電性膜が形成される。いわゆるセパレートタイプであって、受像シートを感光材料から剥離して用いる態様である。
いずれの態様もネガ型現像処理及び反転現像処理のいずれの現像を選択することができる、なお、拡散転写方式の場合は、感光材料としてオートポジ型感光材料を用いることによってネガ型現像処理が可能となる。
ここでいう化学現像、熱現像、溶解物理現像、拡散転写現像は、当業界で通常用いられている用語どおりの意味であり、写真化学の一般教科書、例えば菊地真一著「写真化学」(共立出版社、1955年刊行)、C.E.K.Mees編「The Theory of Photographic Processes, 4th ed.」(Mcmillan社、1977年刊行)に解説されている。本件は液処理に係る発明であるが、その他の現像方式として熱現像方式を適用する技術も参考にすることができる。例えば、特開2004−184693号、同2004−334077号、同2005−010752号の各公報、特願2004−244080号、同2004−085655号公報の各明細書に記載された技術を適用することができる。
<透明導電層用の感光材料>
本発明の透明導電フィルムは、層Aの両面のうち、易接着層に接触している面と反対側の面上に、さらに透明導電層用の感光材料が積層されたことが好ましい。透明導電層用の感光材料としては、銀塩感光材料を挙げることができる。
透明導電層用の感光材料は、金属塩とバインダーを含むことが好ましく、銀塩とバインダーを含むことがより好ましい。
バインダーとしては親水性樹脂が好ましい。透明導電層用の感光材料に用いられる親水性樹脂としては、例えば、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、澱粉等の多糖類、セルロース及びその誘導体、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアミン、キトサン、ポリリジン、ポリアクリル酸、ポリアルギン酸、ポリヒアルロン酸、カルボキシセルロース等が挙げられる。これらは、官能基のイオン性によって中性、陰イオン性、陽イオン性の性質を有する。これらの中で特に好ましいのが、ゼラチンである。
銀塩としては、ハロゲン化銀等の無機銀塩及び酢酸銀等の有機銀塩が挙げられる。本発明では、光センサーとしての特性に優れるハロゲン化銀を用いることが好ましい。
透明導電層用の感光材料は、銀塩などの金属塩とバインダーの他、溶媒や染料等の添加剤を含有してもよい。
透明導電層用の感光材料(好ましくは銀塩乳剤層)の形成に用いられる溶媒は、特に限定されるものではないが、例えば、水、有機溶媒(例えば、メタノール等のアルコール類、アセトン等のケトン類、ホルムアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、酢酸エチル等のエステル類、エーテル類等)、イオン性液体、及びこれらの混合溶媒を挙げることができる。
透明電極パターンの厚さは、タッチパネルの用途としては、薄いほど表示パネルの視野角が広がるため好ましく、視認性の向上の点でも薄膜化が要求される。このような観点から、透明導電層用の感光材料の厚みが、0.1〜9μmであることが好ましく、0.5〜5μmであることがより好ましく、0.5〜3μmであることが特に好ましい。
<層A>
本発明の透明導電フィルムは、易接着層の両面のうち、基材に接触している面と反対側の面上に、さらに水の接触角が70度以下の層Aが、易接着層と隣接して積層されたことが好ましい。
層Aの水の接触角は、60度以下であることが好ましく、55度以下であることが好ましい。
本発明の透明導電フィルムは、層Aが親水性樹脂を含むことが水の接触角を上記範囲とできる観点から好ましい。層Aに用いることができる親水性樹脂の好ましい態様は、透明導電層用の感光材料に用いることができる親水性樹脂の好ましい態様と同様である。層Aは、親水性樹脂の中でもゼラチンを含むことがより好ましい。
本発明の透明導電フィルムは、層Aが染料を含むことが、反射防止(アンチハレーション)機能を層Aに付与する観点から好ましい。
層Aに用いることができる染料の例としては、特開2012−6377号公報の[0064]〜[0068]に記載の染料を用いることができ、この公報の内容は本明細書中に組み込まれる。その中でも以下の固体分散染料Aが好ましい。
・固体分散染料A
Figure 2016187929
本発明の透明導電フィルムは、視認性向上の観点から、層Aの厚みが、0.2〜10μmであることが好ましく、0.5〜5μmであることが特に好ましい。
なお、層Aのその他の好ましい態様としては、公知のアンチハレーション層の好ましい態様を採用することができる。例えば、特開2012−6377号公報の全文に記載の態様を用いることができ、この公報の内容は本明細書中に組み込まれる。
<保護層>
透明導電層用の感光材料の上には、保護層を設けてもよい。図1に保護層12を有する本発明の透明導電フィルム20の一例を示した。本発明において保護層とは、ゼラチンや高分子ポリマーといったバインダーからなる層を意味し、擦り傷防止や力学特性を改良する効果を発現するために感光性を有する透明導電層用の感光材料上に形成される。その厚みは0.5μm以下が好ましい。保護層の塗布方法及び形成方法は特に限定されず、公知の塗布方法及び形成方法を適宜選択することができる。例えば、保護層に関しては、特開2008−250233号公報等の記載を参照することができる。
<透明導電フィルムの製造方法>
透明導電フィルムの製造方法は、易接着層の上に層A用塗布液を直接塗布して層Aを積層する工程を含み、層Aは水の接触角が70度以下であることが好ましい。
透明導電フィルムの製造方法は、層A用塗布液がゼラチンを含むことが好ましい。
透明導電フィルムの製造方法は、層Aの上に透明導電層用の感光材料の乳剤を直接塗布して透明導電層用の感光材料を積層する工程を含むことが好ましい。
透明導電フィルムの製造方法の好ましい態様により、好ましい態様の透明導電フィルムを製造することができる。具体的には、基材と易接着層などの2層が(接着剤などを介さずに)隣接したフィルムを形成することができる。
[タッチパネル]
本発明のタッチパネルは、本発明の透明導電フィルムを有する。
本発明の透明導電フィルムは、タッチパネル用途に好適であり、例えば、特開2009−176608の段落[0073]〜[0075]の記載に従い、タッチパネルを作製することができる。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
[調製例]
<被覆層形成用の塗布液の調製>
下記表1に示す配合で、各成分を混合し、被覆層形成用の塗布液1〜12を得た。なお、下記表1中の配合量の単位は質量部である。被覆層形成用の塗布液1〜12中の架橋剤添加濃度をそれぞれ計算し、下記表2に記載した。
下記表1中の各成分は以下の通りである。
・バインダーA:アクリルポリマー
(AS−563A、ダイセルファインケム(株)製、固形分:27.5質量%)
・バインダーB:ウレタンポリマー
(タケラック(登録商標)WS5100、三井化学(株)製、固形分:30質量%)
・界面活性剤A:ノニオン系界面活性剤
(ナロアクティーCL95、三洋化成工業(株)製、固形分:1質量%水溶液)
・界面活性剤B:アニオン系界面活性剤
(ラピゾールA−90、日油(株)製、固形分:1質量%水溶液)
・滑り剤A:カルナバワックス
(セロゾール524、中京油脂(株)製、固形分:3質量%水希釈)
・マット剤A:コロイダルシリカ
(スノーテックスXL、日産化学(株)製、固形分:2質量%水希釈)
・マット剤B:アクリル粒子
(MX150、綜研化学(株)製、平均粒径1.5μm、固形分:0.1%水希釈)
・架橋剤A:カルボジイミド化合物
(カルボジライトV−02−L2、日清紡(株)製、固形分:2質量%水希釈)
・架橋剤B:カルボジイミド化合物
(カルボジライトV−02−L2、日清紡(株)製、固形分:3質量%水希釈)
・架橋剤C:カルボジイミド化合物
(カルボジライトV−02−L2、日清紡(株)製、固形分:5質量%水希釈)
・架橋剤D:カルボジイミド化合物
(カルボジライトV−02−L2、日清紡(株)製、固形分:10質量%水希釈)
・架橋剤E:カルボジイミド化合物
(カルボジライトV−02−L2、日清紡(株)製、固形分:20質量%水希釈)
・架橋剤F:カルボジイミド化合物
(カルボジライトV−02−L2、日清紡(株)製、固形分:30質量%水希釈)
・架橋剤G:カルボジイミド化合物
(カルボジライトV−02−L2、日清紡(株)製、固形分:35質量%水希釈)
・架橋剤H:カルボジイミド化合物
(カルボジライトV−02−L2、日清紡(株)製、固形分:40質量%水希釈)
・架橋剤I:オキサゾリン化合物
(エポクロスWS−500、日本触媒(株)製、濃度39質量%水希釈)
Figure 2016187929
[実施例1]
<ポリエステル樹脂の重合>
特開2011−208125号公報の実施例1に従い、ポリエステル樹脂を重合し、基材の原料ペレットとして用いた。
<光学フィルムの製造>
光学フィルムは、以下の方法で基材として用いるポリエステルフィルムの少なくとも一方の面に、被覆層形成用の塗布液3を塗布して、延伸し、基材上に、凸状部を有する被覆層を形成することによって得た。
(押出成形)
上記ポリエステル樹脂のペレットを、含水率20ppm以下に乾燥させた後、直径50mmの2軸混練押出し機のホッパーに投入し、270℃で溶融して押出した。この溶融体(メルト)をギアポンプ、濾過器(孔径20μm)を通した後、ダイから20℃の冷却ロールに押出し、未延伸フィルムを得た。なお、押出されたメルトは、静電印加法を用い冷却ロールに密着させた。
(延伸・塗布)
上記方法で冷却ロール上に押出し、固化した未延伸フィルムに対し、以下の方法で逐次2軸延伸を施し、厚み50μmの基材(ポリエステルフィルム)と厚み50nmの被覆層を有する光学フィルムを得た。
(a)縦延伸
未延伸フィルムを周速の異なる2対のニップロールの間に通し、縦方向(搬送方向)に延伸した。なお、予熱温度を75℃、延伸温度を90℃、延伸倍率を3.4倍、延伸速度を3000%/秒として実施した。
(b)塗布
縦延伸したフィルムの上に、被覆層形成用の塗布液3を、5.6g/m2となるように、バーコーターで塗布した。
(c)横延伸
縦延伸と塗布を行ったフィルムに対し、テンターを用いて下記条件にて横延伸した。
−条件−
予熱温度:110℃
延伸温度:120℃
延伸倍率:4.2倍
延伸速度:70%/秒
(熱固定・熱緩和)
続いて、縦延伸及び横延伸を終えた後の延伸フィルムを下記条件で熱固定した。さらに、熱固定した後、テンター幅を縮め下記条件で熱緩和した。
−熱工程条件−
熱固定温度:215℃
熱固定時間:2秒
−熱緩和条件−
熱緩和温度:210℃
熱緩和率:2%
(巻き取り)
熱固定及び熱緩和の後、両端を10cmずつトリミングした。その後、両端に幅10mmで押出し加工(ナーリング)を行なった後、張力25kg/mで巻き取った。なお、幅は1.5m、巻長は2000mであった。得られたフィルムロールを、実施例1の光学フィルムおよびフィルムロールとした。
なお、得られた光学フィルムの基材は、基材の95質量%以上がポリエチレンテレフタレートであった。
<凸状部の測定方法>
フィルムロールを巻き出した光学フィルムについて、以下の方法で凸状部の高さ、最大径、個数を測定した。
得られた結果を下記表2に記載した。
(1)凸状部の高さ
凸状部の高さは、光学干渉計(Zygo(株)製:NewView5020)を用いて、光学フィルムの1.07mm×1.42mmの範囲を測定した。
NewView5020のデータ解析ソフト(MetroPro8.1.3)を用いて、凸状部の高さを計測した。
(2)凸状部の最大径
光学顕微鏡(Nikon(株)製:Eclipse LV100DA−U)を用いて、下記測定条件で、凸状部を観察し、最大径をスケールバーから算出した。
測定条件
・測定モード:微分干渉
・対物レンズ倍率:×5
(3)凸状部の個数
1平方mのフィルム、(凸状部の数が多い場合には、10平方mのフィルム)の表面を、タングステンランプで照らし、散乱光が見える輝点部をマーキングした。
その後、上記方法で輝点部の高さおよび最大径を測定し、高さ1μm以上、最大径20μm以上のものを数え、1平方mあたりの凸状部の個数を算出した。
(4)凸状部の形状
凸状部の形状について、上記方法で各凸状部の高さおよび最大径を測定した際に、各凸状部の高さ/最大径の値が0.8以下の凸状部を扁平とし、0.8を超える凸状部を球状とした。
<層Aおよび乳剤層の積層>
(アンチハレーション層)
ゼラチン100gに対して、下記固体分散染料Aを84g含むアンチハレーション層形成用の塗布液を調製した。なお、別途の実験を行って測定したアンチハレーション層に対する水の接触角は、52度であった。
・固体分散染料A
Figure 2016187929
<ハロゲン化銀感光材料>
水媒体中のAg150gに対してゼラチン10.0gを含む、球相当径平均0.1μmの沃臭塩化銀粒子(I=0.2モル%、Br=40モル%)を含有する透明導電層用の感光材料用の乳剤を調製した。また、この乳剤中にはK3Rh2Br9及びK2IrCl6を濃度が10-7(モル/モル銀)になるように添加し、臭化銀粒子にRhイオンとIrイオンをドープした。この乳剤にNa2PdCl4を添加し、さらに塩化金酸とチオ硫酸ナトリウムを用いて金硫黄増感を行った。
<透明導電フィルムの作製>
ゼラチン硬膜剤と共に、ハロゲン化銀感光材料中の銀の塗布量(塗布銀量)を銀で換算して7g/m2となるように、また、アンチハレーション層の膜厚が1μmとなるように、作製したフィルムロールから巻きだした実施例1の光学フィルム上に、基材/被覆層(易接着層)/層A(アンチハレーション層)/透明導電層用の感光材料(ハロゲン化銀感光材料)の順になるように、アンチハレーション層形成用の塗布液と乳剤の同時重層塗布を行った。この際、透明導電層用の感光材料中のAg/ゼラチン体積比は2/1とした。幅30cmの光学フィルムに25cmの幅で20m分塗布を行ない、塗布の中央部24cmを残すように両端を3cmずつ切り落としてロール状の透明導電層用の感光材料付きフィルムを得た。
上記感光材料付きフィルムを、特開2014−209332号公報[0121]〜[0125]の記載に従い、くし形パターンを形成し、ゼラチン分解処理を行い、得られたくし形電極付きフィルムを、実施例1の透明導電フィルムとした。
[実施例2〜6、比較例1、2および5]
実施例1において、用いる被覆層形成用の塗布液を下記表2のとおりに変更した以外は実施例1と同様にして、実施例2〜6、比較例1、2および5の光学フィルム、フィルムロールおよび透明導電フィルムを得た。
[実施例7〜12、比較例3および4]
実施例1〜6において、メルトの押出す量を変更して基材の厚みを下記表2に記載のとおりに変更した以外は、それぞれ実施例1〜6と同様にして、実施例7〜12、比較例3および4の光学フィルム、フィルムロールおよび透明導電フィルムを得た。
[実施例13および14]
実施例7において、用いる被覆層形成用の塗布液を下記表2のとおりに変更した以外は実施例7と同様にして、実施例13および14の光学フィルム、フィルムロールおよび透明導電フィルムを得た。
[参考例1および2]
比較例3および実施例8において、メルトの押出す量を変更して基材の厚みを下記表2に記載のとおりに変更した以外は、それぞれ比較例3および実施例8と同様にして、参考例1および2の光学フィルム、フィルムロールおよび透明導電フィルムを得た。
[比較例6]
実施例5において、フィルムの縦延伸をせず、横延伸倍率を12倍に変更した以外は、実施例5と同様にして、比較例6の光学フィルム、フィルムロールおよび透明導電フィルムを得た。
[評価]
<ヘイズ>
アンチハレーション層と透明導電層用の感光材料を塗布する前の各実施例、比較例および参考例の光学フィルム(基材と被覆層の積層体)について、ヘイズメーター(日本電色工業(株)製:NDH5000)を用いてヘイズを測定した。
得られた結果を下記表2に記載した。
<巻き取り形態>
アンチハレーション層と透明導電層用の感光材料を塗布する前の各実施例、比較例および参考例のフィルムロール(基材と被覆層の積層体)について、巻き取り形態を以下の基準にしたがって評価した。
(評価基準)
5:異常なし。
4:わずかにシワが発生。
3:シワが発生し、実用上問題がある。
2:シワが発生し、さらに型崩れが小規模に起こり、実用上問題がある。
1:シワが発生し、さらに型崩れが大規模に起こり、実用上問題がある。
得られた結果を下記表2に記載した。
<マイグレーション>
アンチハレーション層と透明導電層用の感光材料を塗布し、くし形電極を形成した各実施例、比較例および参考例の透明導電フィルムについて、特開2014−209332号公報[0127]の記載に従い、マイグレーション評価を行い、下記の評価基準で評価した。
「A」:500時間以上、絶縁抵抗値が1010Ω以上であった場合
「B」:500時間未満で絶縁抵抗値が1010Ω未満まで低下した場合
得られた結果を下記表2に記載した。
Figure 2016187929
上記表2より、本発明によれば、薄手の基材を用いた場合に巻き取り形態が良好なフィルムロールを形成できる光学フィルムを提供できることがわかった。
一方、比較例1および2より、基材の厚みを38μmとした場合に凸状部の単位面積当たりの個数が本発明で規定する下限値を下回るとき、光学フィルムの巻き取り形態に実用上問題があることがわかった。
比較例3および4より、基材の厚みを50μmとした場合に凸状部の単位面積当たりの個数が本発明で規定する下限値を下回るとき、光学フィルムの巻き取り形態に実用上問題があることがわかった。
比較例5および6より、凸状部の高さおよび最大径が本発明で規定する下限値を下回るとき、光学フィルムの巻き取り形態に実用上問題があることがわかった。
参考例1および2より、基材の厚みが150μmと厚膜の場合には、凸状部の単位面積当たりの個数が本発明で規定する下限値を下回っても、本発明の範囲内であっても、光学フィルムの巻き取り形態にあまり差が生じないことがわかった。したがって、本発明は、基材の厚みが50μm以下と薄膜の場合に顕著な効果を奏することがわかった。
なお、各実施例において高さ1〜10μm、最大径20〜300μmの凸状部の個数を測定したところ、上記表2に記載した高さ1μm以上、最大径20μm以上の凸状部の個数と同じであった。また、各実施例において高さ1μm以上5μm未満、最大径20〜300μmの凸状部の個数を測定したところ、上記表2に記載した高さ1μm以上、最大径20μm以上の凸状部の個数と同じであった。
[実施例101〜114]
<透明導電フィルムの作製>
実施例1〜14において、上記(露光・現像処理)で使用されたフォトマスクの形状を変更して、導電性細線からなるタッチパネルの検出電極が形成された実施例101〜114の導電性フィルムを得た。
<タッチパネルの作製>
上述した実施例101〜114の透明導電フィルムを用いて、特開2009−176608号公報[0074]および[0075]の記載に従い、実施例101〜114のタッチパネルを作製した。本発明の光学フィルムを用いた実施例101〜114のタッチパネルは、良好な性能を示すことを確認した。
本発明の光学フィルムは、透明導電フィルム、タッチパネルに用いることができ、産業上の利用可能性が高い。
1 基材
2 被覆層(易接着層)
3 層A(アンチハレーション層)
11 透明導電層(露光前の透明導電層用の感光材料(乳剤層または感光層)であっても、露光および現像後の透明電極層(透明電極パターン)であってもよい)
12 保護層
20 透明導電フィルム
21 凸状部
21A 扁平形状の凸状部
21B 球状の凸状部
30 光学フィルム
31 フィルムロール
32 フィルムロールに巻き込まれた空気の流れ

Claims (10)

  1. 基材と、前記基材の少なくとも片面に設けられた被覆層とを有する光学フィルムであって、
    前記基材の厚みが50μm以下であり、
    前記被覆層が高さ1μm以上、最大径が20μm以上の凸状部を11個/m2以上有する光学フィルム。
  2. 前記被覆層が前記凸状部を11個/m2以上1000個/m2以下有する請求項1に記載の光学フィルム。
  3. 前記被覆層が易接着層である請求項1または2に記載の光学フィルム。
  4. 前記被覆層がバインダーを含み、
    前記バインダーがアクリルポリマーである請求項1〜3のいずれか一項に記載の光学フィルム。
  5. 前記被覆層が架橋剤を含み、
    前記架橋剤がカルボジイミド化合物である請求項1〜4のいずれか一項に記載の光学フィルム。
  6. 前記基材の50質量%以上がポリエチレンテレフタレートである請求項1〜5のいずれか一項に記載の光学フィルム。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の光学フィルムを巻き取って形成されたフィルムロール。
  8. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の光学フィルムと、透明導電層を有する透明導電フィルム。
  9. 前記透明導電層が銀を含む請求項8に記載の透明導電フィルム。
  10. 請求項8または9に記載の透明導電フィルムを有する、タッチパネル。
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