JP2016187871A - 離型フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】 オリゴマー析出量が極めて少なく、粘着剤からの離型性が良好で、移行性が少なく、例えば、各種ディスプレイ構成部材製造用のほか、各種粘着剤層保護用途に好適な離型フィルムを提供する。【解決手段】 少なくとも一軸方向に延伸されたポリエステルフィルムの片面に塗布層と離型層とが順次設けられた離型フィルムであり、塗布層が有機珪素化合物を含み、離型層が、ヘキセニル基とビニル基とフェニル基とヒドロシリル基を官能基として有する反応性シリコーン樹脂、質量平均分子量50000〜100000の未反応性シリコーン樹脂、および白金系触媒を含有する塗布液から形成されたものであり、離型フィルムを180℃で10分間加熱した後の離型層表面のポリエステルオリゴマー量が2.0mg/m2以下であることを特徴とする離型フィルム。【選択図】 なし

Description

本発明は、特に各種粘着剤保護用でオリゴマー析出量が極めて少なく、軽剥離が要求される用途に好適であり、例えば、静電容量方式のタッチパネル製造用等、粘着剤層を介して、貼り合わせる各種用途、液晶ディスプレイ(以下、LCDと略記する)に用いられる偏光板、位相差板等のLCD構成部材製造用、プラズマディスプレイパネル(以下、PDPと略記する)構成部材製造用、有機エレクトロルミネッセンス(以下、有機ELと略記する)構成部材製造用等、各種ディスプレイ構成部材製造用のほか、各種粘着剤層保護用途に好適な離型フィルムに関するものである。
従来、ポリエステルフィルムを基材とする離型フィルムが、静電容量方式のタッチパネル製造用等、粘着剤層を介して、貼り合わせる各種用途、LCD用偏光板、位相差板製造用、PDP構成部材製造用、有機EL構成部材製造用等、各種ディスプレイ構成部材製造用等、各種光学用途等に使用されている。近年、各種ディスプレイ構成部材、特にLCD用偏光板の薄型化に伴い、離型フィルムと薄型偏光板の剥離力が高く、上手く剥離できない不具合が問題になっている。薄型偏光板から離型フィルムを上手く剥離できないと、歩留まりが低下してしまい、問題になっている。また、粘着剤層塗布後、オリゴマー析出によるLCD用偏光板の検査性の低下、粘着剤層の視認性の低下が問題になっている。また、離型フィルムの帯電による異物の巻き込みで、粘着剤層へ異物が転写されることが問題になっている。
近年、IT(Information Technology)分野の躍進に伴い、LCD、PDP、有機EL等の表示部材製造時に使用される離型フィルムの品質向上と共に粘着剤層保護用途において、離型フィルムからのポリエステルのオリゴマー析出や粘着剤と離型フィルムの剥離性に伴う各種不具合が顕在化する状況にある。
偏光板用途だけではなく、物体間を面接着する粘着シート用途においても、離型フィルムの剥離力による不具合が多数報告されている。粘着シートは種々知られており、粘着シートの1つとして基材レス両面粘着シートが知られている。基材レス両面粘着シートは、粘着層の両面に剥離力の相対的に低い軽剥離フィルムと、剥離力の相対的に高い重剥離フィルムが積層された積層体構成からなり、両面の剥離フィルムを除去した後には、支持基材を有さない粘着層のみとなる両面粘着シートである。
基材レス両面粘着シートの使用方法として、まず軽剥離フィルムが剥がされ、露出した粘着層の一方の表面が貼り合わせる相手方の物体面に接着され、その接着後、さらに重剥離フィルムが剥がされ、露出された粘着層の他方の面が、異なる物体面に接着され、これにより物体間が面接着される加工工程が例示される。
近年、基材レス両面粘着シートは、その作業性良好な点が注目され、用途が広がりつつあり、各種光学用途の部材、例えば、携帯電話等にも使用されている。特に、静電容量方式のタッチパネルは、二本の指で画面操作を行なうマルチタッチ操作により、情報端末としての用途が急速に拡大する状況にある。静電容量方式のタッチパネルは、抵抗膜方式に比べ、構成上、印刷の段差が厚くなる傾向にあるため、粘着層を厚くして印刷の段差を解消する提案がなされている。粘着層を厚くした場合には、離型フィルムを剥す時に、粘着層の一部が離型フィルムに付着する、或いは離型フィルムに転写した部分の粘着層に気泡が混入する等の不具合を生じる場合があった。そのため、基材レス両面粘着シートを光学用途に使用する場合には、基材レス両面粘着シートだけでなく、組み合わせる離型フィルムにおいても、従来よりも一段と厳しく、より高度な品質の離型フィルムが必要とされる状況にある。
基材レス両面粘着シートの使用において、軽剥離離型フィルムを粘着層から剥離する際に、軽剥離離型フィルムの剥離力が高く、粘着剤から上手く剥離できず、歩留まりが低下することが問題になっている。
かかる問題に対する解決策として、例えば、特許文献1、特許文献2に記載あるように、離型層の剥離速度を一定レベル以下にする提案がされている。しかしながら、近年、特に粘着層の段差吸収性に注目して、粘着層自体がより柔軟なタイプを使用する場合には、前記記載の離型フィルムを用いても、必ずしも、満足できるレベルではない場合があった。また、前記方法では、移行成分を含むシリコーン樹脂を添加するため、移行性が悪化し、粘着剤と貼り合せた時に粘着剤側に移行成分が移行し、粘着剤を汚染する可能性や、粘着加工工程を汚染するという課題がある。
特開2012−25088号公報 特開2012−179888号公報 特開2012−207166号公報
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであって、その解決課題は、オリゴマー析出量が極めて少なく、粘着剤からの離型性が良好で、移行性が少なく、例えば、静電容量方式のタッチパネル製造用等、液晶ディスプレイ(LCD)に用いられる偏光板、位相差板等のLCD構成部材製造用、プラズマディスプレイパネル構成部材製造用、有機エレクトロルミネッセンス構成部材製造用等、各種ディスプレイ構成部材製造用のほか、各種粘着剤層保護用途に好適な離型フィルムを提供することにある。
本発明者は、上記実情に鑑み鋭意検討した結果、特定の構成を有するポリエステルフィルムによれば、上記課題を容易に解決できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は、少なくとも一軸方向に延伸されたポリエステルフィルムの片面に塗布層と離型層とが順次設けられた離型フィルムであり、塗布層が有機珪素化合物を含み、離型層が、ヘキセニル基とビニル基とフェニル基とヒドロシリル基を官能基として有する反応性シリコーン樹脂、質量平均分子量50000〜100000の未反応性シリコーン樹脂、および白金系触媒を含有する塗布液から形成されたものであり、離型フィルムを180℃で10分間加熱した後の離型層表面のポリエステルオリゴマー量が2.0mg/m以下であることを特徴とする離型フィルムに存する。
本発明によれば、オリゴマー析出量が極めて少なく、粘着剤との離型性良好で、移行性の低い離型ポリエステルフィルムを提供することができるため、その工業的価値は高い。
本発明でいうポリエステルフィルムとは、いわゆる押出法に従い押出口金から溶融押出されたシートを延伸したフィルムである。
上記のフィルムを構成するポリエステルとは、ジカルボン酸と、ジオールとからあるいはヒドロキシカルボン酸から重縮合によって得られるエステル基を含むポリマーを指す。
ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等を、ジオールとしては、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ポリエチレングリコール等を、ヒドロキシカルボン酸としては、p−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸等をそれぞれ例示することができる。かかるポリマーの代表的なものとして、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレン−2、6−ナフタレート等が例示される。
本発明のフィルム中には、易滑性の付与および各工程での傷発生防止を主たる目的として、粒子を配合することが好ましい。配合する粒子の種類は、易滑性付与可能な粒子であれば特に限定されるものではなく、具体例としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、カオリン、酸化アルミニウム、酸化チタン等の粒子が挙げられる。また、特公昭59−5216号公報、特開昭59−217755号公報等に記載されているような耐熱性有機粒子を用いてもよい。この他の耐熱性有機粒子の例として、熱硬化性尿素樹脂、熱硬化性フェノール樹脂、熱硬化性エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等が挙げられる。さらに、ポリエステル製造工程中、触媒等の金属化合物の一部を沈殿、微分散させた析出粒子を用いることもできる。
一方、使用する粒子の形状に関しても特に限定されるわけではなく、球状、塊状、棒状、扁平状等のいずれを用いてもよい。また、その硬度、比重、色等についても特に制限はない。これら一連の粒子は、必要に応じて2種類以上を併用してもよい。
また、用いる粒子の平均粒径は、通常0.01〜3μm、好ましくは0.1〜2μmの範囲である。平均粒径が0.01μm未満の場合には、易滑性を十分に付与できない場合がある。一方、3μmを超える場合には、フィルムの製膜時に、その粒子の凝集物のために透明性が低下することがある他に、破断などを起こし易くなり、生産性の面で問題になることがある。
さらにポリエステル中の粒子含有量は、通常0.001〜5重量%、好ましくは0.005〜3重量%の範囲である。粒子含有量が0.001重量%未満の場合には、フィルムの易滑性が不十分な場合があり、一方、5重量%を超えて添加する場合には、フィルムの透明性が不十分な場合がある。
ポリエステル層中に粒子を添加する方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を採用しうる。例えば、各層を構成するポリエステルを製造する任意の段階において添加することができるが、好ましくはエステル化もしくはエステル交換反応終了後、添加するのが良い。
また、ベント付き混練押出機を用い、エチレングリコールまたは水などに分散させた粒子のスラリーとポリエステル原料とをブレンドする方法、または、混練押出機を用い、乾燥させた粒子とポリエステル原料とをブレンドする方法などによって行われる。
なお、本発明におけるポリエステルフィルム中には、上述の粒子以外に必要に応じて従来公知の酸化防止剤、帯電防止剤、熱安定剤、潤滑剤、染料、顔料等を添加することができる。
本発明におけるポリエステルフィルムの厚みは、フィルムとして製膜可能な範囲であれば特に限定されるものではないが、通常10〜350μm、好ましくは15〜100μmの範囲である。
本発明の離型フィルムは、180℃で10分間加熱した後、離型層表面のオリゴマー量が2.0mg/m以下である。ここでいう加熱後のオリゴマー量は、離型フィルムを180℃で10分間加熱した後の表面をDMF(ジメチルホルムアミド)4mlで洗浄して、そのDMF中のオリゴマー量を液体クロマトグラフィーで求め、この値を、DMFを接触させたフィルム面積で割って、フィルム表面オリゴマー量(mg/m)として測定することができる。
加熱後のOLを減じるには、ポリエステルの固相重合でポリエステル中のオリゴマー量を減らす方法や、オリゴマーの析出を防ぐ塗布層を設ける方法などが挙げられる。特に本発明では、塗布層にオリゴマーの析出を防ぐ機能を持たせることが効果的である。オリゴマーの析出を防ぐには、種々の方法を取りえる。たとえばアルミニウムを含む有機化合物を塗布層に含有させる方法があるが、これに限定されるものではない。
次に本発明におけるポリエステルフィルムの製造例について具体的に説明するが、以下の製造例に何ら限定されるものではない。すなわち、先に述べたポリエステル原料を使用し、ダイから押し出された溶融シートを冷却ロールで冷却固化して未延伸シートを得る方法が好ましい。この場合、シートの平面性を向上させるためシートと回転冷却ドラムとの密着性を高めることが好ましく、静電印加密着法および/または液体塗布密着法が好ましく採用される。次に得られた未延伸シートは二軸方向に延伸される。その場合、まず、前記の未延伸シートを一方向にロールまたはテンター方式の延伸機により延伸する。延伸温度は、通常90〜140℃、好ましくは95〜120℃であり、延伸倍率は通常2.5〜7倍、好ましくは3.0〜6倍である。次いで、一段目の延伸方向と直交する方向に延伸するが、その場合、延伸温度は通常90〜170℃であり、延伸倍率は通常3.0〜7倍、好ましくは3.5〜6倍である。そして、引き続き180〜270℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、二軸配向フィルムを得る。上記の延伸においては、一方向の延伸を2段階以上で行う方法を採用することもできる。その場合、最終的に二方向の延伸倍率がそれぞれ上記範囲となるように行うのが好ましい。
また、本発明のポリエステルフィルム製造に関しては、同時二軸延伸法を採用することもできる。同時二軸延伸法は、前記の未延伸シートを通常90〜140℃、好ましくは80〜110℃で温度コントロールされた状態で機械方向および幅方向に同時に延伸し配向させる方法であり、延伸倍率としては、面積倍率で4〜50倍、好ましくは7〜35倍、さらに好ましくは10〜25倍である。そして、引き続き、170〜250℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、延伸配向フィルムを得る。上述の延伸方式を採用する同時二軸延伸装置に関しては、スクリュー方式、パンタグラフ方式、リニアー駆動方式等、従来公知の延伸方式を採用することができる。
ポリエステルフィルムの表面に塗布層を形成する方法は、特に制限されないが、ポリエステルフィルムを製造する工程中で塗布液を塗布する方法が好適に採用される。具体的には、未延伸シート表面に塗布液を塗布して乾燥する方法、一軸延伸フィルム表面に塗布液を塗布して乾燥する方法、二軸延伸フィルム表面に塗布液を塗布して乾燥する方法等が挙げられる。これらの中では、未延伸フィルムまたは一軸延伸フィルム表面に塗布液を塗布後、フィルムに熱処理を行う過程で同時に塗布層を乾燥硬化する方法が経済的である。また、塗布層を形成する方法として、必要に応じ、前述の塗布方法の幾つかを併用した方法も採用し得る。具体的には、未延伸シート表面に第一層を塗布して乾燥し、その後、一軸方向に延伸後、第二層を塗布して乾燥する方法等が挙げられる。ポリエステルフィルムの表面に塗布液を塗布する方法としては、原崎勇次著、槙書店、1979年発行、「コーティング方式」に示されるリバースロールコーター、グラビアコーター、ロッドコーター、エアドクターコーター等を使用することができる。
次に本発明における塗布層の形成について説明する。本発明の離型フィルムを構成する塗布層は、オリゴマー析出防止性を良好とすると共に、経時での離型層とポリエステルフィルムとの塗膜密着性を良好とするために有機珪素化合物を含有することを必須の要件とするものであり、下記一般式(1)で表される有機珪素化合物を使用することが好ましい。
Si(X)(Y)(R …(1)
上記式中、Xはエポキシ基、メルカプト基、(メタ)アクリロイル基、アルケニル基、ハロアルキル基およびアミノ基から選ばれる少なくとも1種を有する有機基、Rは一価炭化水素基であり、かつ炭素数1〜10のものであり、Yは加水分解性基であり、dは1または2の整数、eは2または3の整数、fは0または1の整数であり、d+e+f=4である。
前記一般式(1)で表される有機珪素化合物は、加水分解・縮合反応によりシロキサン結合を形成しうる加水分解性基Yを2個有するもの(D単位源)あるいは3個有するもの(T単位源)を使用することができる。
一般式(1)において、一価炭化水素基Rは、炭素数が1〜10のもので、特にメチル基、エチル基、プロピル基が好ましい。
一般式(1)において、加水分解性基Yとしては、従来公知のものが使用可能で、以下のものを例示できる。メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、イソプロペノキシ基、アセトキシ基、ブタノキシム基およびアミノ基等。これらの加水分解性基は、単独あるいは複数種を使用してもよい。メトキシ基あるいはエトキシ基を適用すると、コーティング材に良好な保存安定性を付与でき、また適当な加水分解性があるため、特に好ましい。
本発明において、塗布層中に含有する有機珪素化合物としては、具体的にはビニルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、5−ヘキセニルトリメトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジイソプロペノキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等を例示することができる。
本発明において、離型フィルムのオリゴマー析出防止性を良好とすると共に、経時での離型層とポリエステルフィルムとの塗膜密着性を良好とするために、アルミニウムを含む有機化合物を塗布層中に含有するのが好ましい。
アルミニウム元素を有する有機化合物の具体例としてはアルミニウムトリス(アセチルアセトネ−ト)、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウム−ジ−n−ブトキシド−モノエチルアセトアセテート、アルミニウム−ジ−イソ−プロポキシド−モノメチルアセトアセテート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)等が例示される。
塗布層に含まれるアルミニウム化合物の量は通常0.001〜70重量%、好ましくは5〜35重量%であり、さらに好ましくは5〜15重量%の範囲である。アルミニウム化合物の量が0.001重量%以下であると、塗布層の硬化反応が迅速に進まず、塗布層の上に離型層を形成した後の離型面の塗膜密着性が悪化することがある。また、アルミニウム化合物の量が70重量%以上であると、塗布層の硬化反応に関与せずに、塗布層中に残存したアルミニウム化合物が離型層の硬化を妨げ、離型面の塗膜密着性が悪化することがある。
塗布層には、アルミニウム元素以外の金属元素を有する有機化合物も含有することができる。特に、有機スズ化合物が好ましい。有機スズ化合物の具体例として、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジオクテート、ジブチルスズジオレート、ジフェニルスズジアセテート、ジブチルスズオキサイド、ジブチルスズジメトキサイド、ジブチルビス(トリエトキシシロキシ)スズ、ジブチルスズベンジルマレート、ジオクチルスズジアセテート、ジオクチルスズジラウリレート等が挙げられる。
さらに塗布層の固着性、滑り性改良を目的として、無機系粒子を含有してもよく、具体例としてはシリカ、アルミナ、カオリン、炭酸カルシウム、酸化チタン、バリウム塩等が挙げられる。
また、必要に応じて消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、有機系潤滑剤、有機系高分子粒子、酸化防止剤、紫外線吸収剤発泡剤、染料等が含有されてもよい。
本発明の要旨を越えない範囲において、分散性改良、造膜性改良等を目的として、使用する有機溶剤は一種類のみでもよく、適宜、二種類以上を使用してもよい。
本発明における離型フィルムを構成するポリエステルフィルム上に設けられる塗布層の塗布量(乾燥後)は通常、0.005〜1g/m、好ましくは0.005〜0.5g/mの範囲である。塗布量(乾燥後)が、0.005g/m未満の場合には、塗布厚みの均一性が不十分な場合があり、熱処理後、塗布層表面から析出するオリゴマー量が多くなる場合がある。一方、1g/mを超えて塗布する場合には、滑り性低下等の不具合を生じる場合がある。
本発明において、塗布層を設ける方法はリバースグラビアコート、ダイレクトグラビアコート、ロールコート、ダイコート、バーコート、カーテンコート等、従来公知の塗工方式を用いることができる。塗工方式に関しては「コーティング方式」槇書店 原崎勇次著1979年発行に記載例がある。
本発明において、ポリエステルフィルム上に塗布層を形成する際の硬化条件に関しては、特に限定されるわけではなく、例えば、オフラインコーティングにより塗布層を設ける場合、通常、60〜200℃で3〜40秒間、好ましくは80〜180℃で3〜40秒間を目安として熱処理を行うのがよい。また、必要に応じて熱処理と紫外線照射等の活性エネルギー線照射とを併用してもよい。
本発明において得られたポリエステルフィルムの片方の最外層に形成する離型層硬化型シリコーン樹脂の種類としては、付加型・縮合型・紫外線硬化型・電子線硬化型・無溶剤型等何れの硬化反応タイプでも用いることができる。
本発明において使用する、アルケニル基およびアルキル基を官能基として有するシリコーン樹脂の例としては以下のようなものが挙げられる。まず、アルケニル基を含む硬化型シリコーン樹脂は、ジオルガノポリシロキサンとして、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルヘキセニルシロキサン共重合体(ジメチルシロキサン単位96モル%、メチルヘキセニルシロキサン単位4モル%、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルヘキセニルシロキサン共重合体(ジメチルシロキサン単位97モル%、メチルヘキセニルシロキサン単位3モル%)、分子鎖両末端ジメチルヘキセニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルヘキセニルシロキサン共重合体(ジメチルシロキサン単位95モル%、メチルヘキセニルシロキサン単位5モル%)が挙げられる。次に、アルキル基を含む硬化型シリコーン樹脂は、オルガノハイドロジェンポリシロキサンとして、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体が挙げられる。
本発明において使用する、ヘキセニル基とフェニル基を有するシリコーン樹脂としては、下記一般式(I)で示される、オルガノポリシロキサンが好ましい。化学構造を一般式(I)で示しているが、直鎖状構造でもよいし、枝分かれ構造でもよい。各官能基の導入部分も任意でよい。
Figure 2016187871
上記式中、a、bは、それぞれ正の整数を表す。
本発明において使用する、ビニル基とフェニル基を有するシリコーン樹脂としては、下記一般式(II)で示される、オルガノポリシロキサンが好ましい。化学構造を一般式(II)で示しているが、直鎖状構造でもよいし、枝分かれ構造でもよい。各官能基の導入部分も任意でよい。
Figure 2016187871
上記式中、c、dは、それぞれ正の整数を表す。
本発明において使用する、ヒドロシリル基を有するシリコーン樹脂としては、下記一般式(III)で示される、オルガノポリシロキサンが好ましい。化学構造を一般式(III)で示しているが、直鎖状構造でもよいし、枝分かれ構造でもよい。各官能基の導入部分も任意でよい。
Figure 2016187871
上記式中、e、fは、それぞれ正の整数を表す。
ヘキセニル基を有するシリコーン樹脂とビニルポリマー基を有するシリコーン樹脂を(I)式と(II)式に分けているが、1つのオルガノポリシロキサン中にヘキセニル基とビニルポリマー基含有してもよい。
また、フェニル基は必ずしもヘキセニル基とビニル基含有のシリコーン樹脂に含まれる必要は無く、1つのオルガノポリシロキサン中にフェニル基を含有してもよい。
本発明において使用するシリコーン樹脂に含まれるヘキセニル基とビニル基とフェニル基とヒドロシリル基の比は、ヒドロシリル基を100とした時にヘキセニル基は35〜65、ビニル基は5〜35、フェニル基は1〜20であることが好ましい。望ましくはヘキセニル基は45〜55、ビニル基は15〜25、フェニル基は2〜10であることがさらに好ましい。ヘキセニル基が35未満だと、シリコーン硬化反応が不十分となり、30000mm/分での剥離力が高くなり、離型フィルムを粘着剤から高速で剥離した時に、綺麗に剥がれなくなる不具合が発生する場合がある。ヘキセニル基が65を超えると、シリコーン硬化において、架橋点が多くなり過ぎ、300mm/分での剥離力が高くなり、離型フィルムが粘着剤から綺麗に剥がれなくなる不具合が発生する場合がある。ビニル基が15未満だと、シリコーン硬化反応が不十分となり、30000mm/分での剥離力が高くなり、離型フィルムを粘着剤から高速で剥離した時に、綺麗に剥がれなくなる不具合が発生する場合がある。ビニル基が35を超えると、シリコーン硬化において、架橋点が多くなり過ぎ、300mm/分での剥離力が高くなり、離型フィルムが粘着剤から綺麗に剥がれなくなる不具合が発生する場合がある。フェニル基が1未満だと、シリコーン膜が柔らかくなりとなり、30000mm/分での剥離力が高くなり、離型フィルムを粘着剤から高速で剥離した時に、綺麗に剥がれなくなる不具合が発生する場合がある。フェニル基が20を超えると、シリコーン膜が硬くなりすぎ、300mm/分での剥離力が高くなり、離型フィルムが粘着剤から綺麗に剥がれなくなる不具合が発生する場合がある。
本発明において使用するシリコーン樹脂に含まれるジメチルシリル基(一般式(I)の
a、一般式(II)のc、一般式(III)のf)数は2000以上5000以下が好ましい。さらに好ましくは3000以上4000以下が好ましい。2000未満だと、分子量が小さく未反応シリコーンが粘着層に移行するなどの不具合が発生する場合がある。5000より多いと、分子量が大き過ぎて、硬化反応がスムースにいかず、所望の剥離特性が得られない可能性がある。
本発明において軽剥離性を付与するために、質量平均分子量50000以上100000以下の未反応性シリコーン樹脂を添加することを必須とするものである。
前記の未反応性シリコーン樹脂としては、下記一般式(IV)で示される、オルガノポリシロキサンが好ましい。
Figure 2016187871
上記式中、gは正の整数を表す。
本発明において使用するシリコーン樹脂に含まれる未反応性シリコーン樹脂は、通常1〜10重量%の範囲であり、好ましくは1〜5重量%である。未反応性シリコーン樹脂の含有量が1%より低いと軽剥離にならないことがあり、5重量%を超えると、硬化性が著しく低下し、密着性も悪化することがある。
本発明において剥離力を小さくするために、シリコーンオイルを添加してもよい。シリコーンオイルはストレートシリコーンオイル、変性シリコーンオイルと称されるシリコーンオイルで、以下のようなものが挙げられる。ストレートシリコーンとしては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル等が挙げられる。また、変性シリコーンオイルとしては、側鎖型タイプのポリエーテル変性、アラルキル変性、フロロアルキル変性、長鎖アルキル変性、高級脂肪酸エステル変性、高級脂肪酸アミド変性、ポリエーテル・長鎖アルキル変性・アラルキル変性、フェニル変性、両末端型のポリエーテル変性、ポリエーテル・メトキシ変性などが挙げられる。
本発明において使用するシリコーン樹脂に含まれるシリコーンオイル成分は、1〜10重量%の範囲であり、好ましくは1〜5重量%である。シリコーンオイル成分の含有量が1%より低いと速度依存性が高くなり、5重量%を超えると、移行性が高く、粘着剤加工時にロール汚れや粘着剤面に移行して、粘着剥離力低下などが生じてしまう。
本発明において日東電工株式会社製No.31Bテープによる残留接着率が80%以上であることが好ましく、より好ましくは、85%以上である。残留接着率が80%より低いと、移行性が高く、粘着剤加工時にロール汚れや粘着剤面に移行して、粘着剥離力低下などが生じてしまう。
本発明において日東電工株式会社製No.31Bテープによる300mm/分での剥離力は10〜20mN/cmであることが好ましい。300mm/分での剥離力が20mN/cmを超えると、離型フィルムが粘着剤から綺麗に剥がれなくなる不具合が発生する場合がある。
本発明において日東電工株式会社製No.31Bテープによる30000mm/分での剥離力は80mN/cm未満であることが好ましい。30000mm/分での剥離力が80mN/cmを超えると、離型フィルムを粘着剤から高速で剥離した時に、綺麗に剥がれなくなる不具合が発生する場合がある。
硬化型シリコーン樹脂の種類としては付加型・縮合型・紫外線硬化型・電子線硬化型・無溶剤型等、何れの硬化反応タイプでも用いることができる。具体例を挙げると、信越化学工業(株)製KS−774、KS−775、KS−778、KS−779H、KS−847H、KS−856、X−62−2422、X−62−2461、X−62−1387、X−62−5039、X−62−5040、KNS−3051、X−62−1496、KNS320A、KNS316、X−62−1574A/B、X−62−7052、X−62−7028A/B、X−62−7619、X−62−7213、X−62−2829、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ製YSR−3022、TPR−6700、TPR−6720、TPR−6721、TPR6500、TPR6501、UV9300、UV9425、XS56−A2775、XS56−A2982、XS56−C6010、XS56−C4880、UV9430、TPR6600、TPR6604、TPR6605、東レ・ダウコ−ニング(株)製SRX357、SRX211、SD7220、SD7292、LTC750A、LTC760A、LTC303E、LTC300B、LTC856、SP7259、BY24−468C、SP7248S、BY24−452、DKQ3−202、DKQ3−203、DKQ3−204、DKQ3−205、DKQ3−210等が例示される。さらに離型層の剥離性等を調整するため、剥離コントロール剤を併用してもよい。
本発明において、ポリエステルフィルムに離型層を設ける方法としては、リバースロールコート、グラビアコート、バーコート、ドクターブレードコート等、従来公知の塗工方式を用いることができる。本発明における離型層の塗布量は、通常0.01〜1g/mの範囲である。
本発明において、離型層が設けられていない面には、接着層、帯電防止層、オリゴマー析出防止層等の塗布層を設けてもよく、また、ポリエステルフィルムにはコロナ処理、プラズマ処理等の表面処理を施してもよい。
本発明におけるポリエステルフィルムでは、離型層をきれいかつ頑丈にするため、付加型の反応を促進する白金系触媒を用いる。本成分としては、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール溶液、塩化白金酸とオレフィンとの錯体、塩化白金酸とアルケニルシロキサンとの錯体等の白金系化合物、白金黒、白金担持シリカ、白金担持活性炭が例示される。離型層中の白金系触媒含有量は、通常0.3〜3.0重量%、好ましくは0.5〜2.0重量%の範囲が良い。離型層中の白金系触媒含有量が0.3重量%よりも低い場合、剥離力の不具合や、塗布層での硬化反応が不十分になるため、面状悪化などの不具合を生じる場合があり、一方、離型層中の白金系触媒含有量が3.0重量%を超える場合には、コストがかかる、また、反応性が高まり、ゲル異物が発生する等の工程不具合を生じてしまうことがある。
また、付加型の反応は非常に反応性が高いため、場合によっては、反応抑制剤として、アセチレンアルコールを添加することがある。その成分は炭素−炭素3重結合と水酸基を有する有機化合物であるが、好ましくは、3−メチル−1−ブチン−3−オール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オールおよびフェニルブチノールからなる群から選択される化合物である。
本発明における、剥離力とは、両面粘着テープ(日東電工製「No.31B」)を離型層面に貼り付け、室温にて1時間放置した後に、基材フィルムと剥離角度180°、任意の引張速度でテープを剥離したときに引張試験機で測定した値を言う。本発明において特定の剥離力を調整する方法は、離型層中の組成を選択することにより達成することができるが、その他の手段も採用でき、主にシリコーン離型層の離型剤の種類を、所望の剥離力に応じて変更することが好ましく、さらには、剥離力は用いる離型剤の塗布量に大きく依存するため、その離型剤の塗布量を調整する方法がさらに好ましい。
本発明におけるポリエステルフィルムの剥離力の値については、300mm/分速度域での低速剥離力が10〜20mN/cmの範囲である。当該剥離力が10mN/cm未満の場合、剥離力が軽くなりすぎて本来剥離する必要がない場面においても容易に剥離する不具合を生じる。剥離力が20mN/cmを超える場合、剥離力の重い方の離型フィルムとの剥離力差が小さくなり、剥離工程で不具合を生じたり、剥離力の重い方の離型フィルムの選定幅が狭くなったりする等の問題がある。
さらに、加工性を考慮に入れた60000mm/分速度域での高速剥離力が90mN/cm以下である。当該剥離力が90mN/cmよりも大きい場合、剥離力が重い方の離型フィルムとの剥離力差が小さくなり、剥離工程で剥離が上手くできなかったり、粘着剤ごと剥がれてしまったりする。
本発明の離型フィルムを熱処理(180℃、10分間)した後、離型層表面からジメチルホルムアミドにより抽出されるポリエステルのオリゴマー量(OL)は、2.0mg/m以下であることが好ましく、さらに好ましくは1.0mg/m以下である。OLが2.0mg/mを超える場合、例えば、液晶構成部材製造時、粘着剤層保護用途に使用した場合、粘着剤の透明性低下、粘着剤層の粘着力低下、あるいは光学的評価を伴う検査工程において支障を来たす等の不具合を生じることがある。
本発明における離型フィルムにおいては、OLが上記範囲を満足するために塗布層中に含有されるアルミニウム元素量として蛍光X線測定装置を用いてFP(Fundamental Parameter Method)法で測定した値が0.2kcps以上、さらには0.5kcps以上、特に0.8kcps以上であることが好ましい。アルミニウム元素量が0.2kcps未満の場合、所望するオリゴマー封止性能が得られない場合がある。
本発明において「オリゴマー」とは、熱処理後、結晶化してフィルム表面に析出するポリエステルの低分子量物のうちの環状三量体と定義する。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。また、本発明で用いた測定法および評価方法は次のとおりである。
(1)平均粒径(d50:μm)の測定
遠心沈降式粒度分布測定装置(株式会社島津製作所社製SA−CP3型)を使用して測定した等価球形分布における積算(重量基準)50%の値を平均粒径とした。
(2)離型フィルムの離型層表面から抽出されるポリエステルのオリゴマー量(OL)の測定
あらかじめ、未熱処理の離型フィルムを空気中、180℃で10分間加熱する。その後、熱処理をした該フィルムを上部が開いている縦横10cm、高さ3cmの箱の内面にできるだけ密着させて箱形の形状とする。塗布層を設けている場合は塗布層面が内側となるようにする。次いで、上記の方法で作成した箱の中にDMF(ジメチルホルムアミド)4mlを入れて3分間放置した後、DMFを回収する。回収したDMFを液体クロマトグラフィー(島津製作所製:LC−7A)に供給して、DMF中のオリゴマー量を求め、この値を、DMFを接触させたフィルム面積で割って、フィルム表面オリゴマー量(mg/m)とする。
DMF中のオリゴマー量は、標準試料ピーク面積と測定試料ピーク面積のピーク面積比より求めた(絶対検量線法)。標準試料の作成は、あらかじめ分取したオリゴマー(環状三量体)を正確に秤量し、正確に秤量したDMFに溶解し作成した。標準試料の濃度は、0.001〜0.01mg/mlの範囲が好ましい。
なお、液体クロマトグラフの条件は下記のとおりとした。
移動相A:アセトニトリル
移動相B:2%酢酸水溶液
カラム:三菱化学(株)製『MCI GEL ODS 1HU』
カラム温度:40℃
流速:1ml/分
検出波長:254nm
その後、下記判定基準により、剥離状況に関して、判定を行なった。
《判定基準》
○:表面オリゴマー量(OL)が2.0mg/m以下(実用上、問題ないレベル)
×:表面オリゴマー量(OL)が2.0mg/mを超える(実用上、問題あるレベル)
(3)離型フィルムの離型面側からの元素量測定
あらかじめ、試料サンプルの離型層が設けられた面より蛍光X線測定装置((株)島津製作所(製)型式「XRF−1500」)を用いてFP(Fundamental Parameter Method)法により、下記測定条件下、元素量を測定した。
Figure 2016187871
(4)離型フィルムの剥離力(F)の評価
試料フィルムの離型層表面に両面粘着テープ(日東電工製「No.31B」)の片面を貼り付けた後、50mm×300mmのサイズにカットした後、室温にて1時間放置後の剥離力を測定する。剥離力は、引張試験機((株)インテスコ製「インテスコモデル2001型」)を使用し、引張速度300mm/分と30000mm/分条件下、180°剥離を行った。
(5)離型フィルムの移行性代替評価(残留接着率)
試料フィルムをA4大に切り取り、フィルムの測定面に粘着テープ(日東電工(株)「No.31B」基材厚み25μm)を、ゴムローラーを用いて貼り合わせた後、1時間経過後に、粘着テープを剥がし、その粘着テープを、表面を洗浄したステンレス板にゴムローラーを用いて貼り合わせる。上部チャックに粘着テープ、下部チャックにステンレス板を固定し、300mm/分の速度で、180°方向に引き剥がし、接着力(1)を測定する。
試料と貼り合わせない粘着テープ(日東電工(株)「No.31B」)を用い、上述と同じ手順で接着力(2)を測定する。残留接着率は次式により求める。
残留接着率(%)=接着力(1)÷接着力(2)×100
(6)離型フィルムの塗膜密着性初期評価(実用特性代用評価)
塗工直後の試料フィルムの離型面を触手により5回擦り、離型層の脱落程度を下記判定基準により判定を行った。
《判定基準》
○:塗膜の脱落が見られない(実用可能なレベル)
△:塗膜が白くなるが脱落はしていない(実用可能なレベル〉
×:塗膜の脱落が確認された(実用困難なレベル)
(7)離型フィルムの塗膜密着性促進試験後評価(実用特性代用評価)
試料フィルムを恒温恒湿槽中、80℃、90%RH雰囲気下、1週間放置した後に試料フィルムを取り出した。その後、試料フィルムの離型面をMEK(メチルエチルケトン)を染み込ませた脱脂綿で100回擦った後、触手により5回擦り、離型層の脱落程度を下記判定基準により判定を行った。
《判定基準》
◎:塗膜が全く脱落せず、擦った部分と擦っていない部分の剥離力に差がない(実用可能なレベル)
○:塗膜が全く脱落しておらず、擦った部分は擦っていない部分よりも剥離力が少し重くなった(実用可能なレベル)
△:塗膜が白くなるが脱落はしておらず、擦った部分は擦っていない部分よりも剥離力が重くなった(実用可能なレベル〉
×:塗膜の脱落が確認された(実用困難なレベル)
(8)異物検査性
両面に離型フィルムを設けた、光学用基材レス両面粘着シートを観察し、異物の検査性評価した。
○:表面オリゴマーが無く、検査性良好である
△:表面オリゴマーが検出されるが、検査性に支障のないレベル
×:表面オリゴマーが多数検出され、上手く検査することができない
(9)離型特性(実用代替評価)
離型フィルムに下記組成のアクリル系粘着剤組成物を塗工後、100℃、5分間加熱処理して、厚み(乾燥後)が20μmの粘着層を得た。その後、離型フィルムと粘着層貼り合せ品を150℃90分間加熱処理した後、離型フィルムを剥がし、粘着層より離型フィルムを剥がした時の状況より、離型特性を評価した。
○:離型フィルムがきれいに剥がれ、粘着剤が離型層に付着する現象が見られない
△:離型フィルムは剥がれるが、速い速度で剥離した場合に粘着剤が離型層に付着する ×:離型フィルムに粘着剤が付着する、上手く剥がれない。
実施例および比較例において使用したポリエステルは、以下のようにして準備したものである。
<ポリエステルの製造>
・ポリエステル(1)
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒として酢酸マグネシウム・四水塩0.09重量部を反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物にエチルアシッドフォスフェート0.04部を添加した後、平均粒子径1.6μmのエチレングリコールに分散させたシリカ粒子を0.06部、三酸化アンチモン0.04部を加えて、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、4時間を経た時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させた。得られたポリエステル(1)の極限粘度は0.53であった。
実施例1:
<ポリエステルフィルムの製造>
先に述べたポリエステル(1)を原料として、ベント付き押出機に供給し、290℃で溶融押出した後、静電印加密着法を用いて表面温度を40℃に設定した冷却ロール上で冷却固化して厚さ約550μmの無定形フィルムを得た。
このフィルムを85℃で縦方向に3.7倍延伸し、100℃で横方向に3.9倍延伸し、210℃で熱処理して、厚さ38μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。次に下記塗布剤を塗布量(乾燥後)が0.05g/mになるようにリバースグラビアコート方式により塗布した後、120℃、30秒間熱処理した。
塗布層を構成する化合物例は以下のとおりである。
(化合物例)
・アルミニウム元素を有する有機化合物:(A1)
アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)
・スズ元素を有する有機化合物:(A2)
ジオクチルジアセトキシスズ
・有機珪素化合物:(B1)
2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン
<塗布剤組成>
アルミニウム元素を有する有機化合物(A1):33重量%
有機珪素化合物(B1):67重量%
上記塗布剤をトルエン/MEK混合溶媒(混合比率は1:4)にて希釈し、4重量%と した。
その後、塗布層上に下記に示す離型剤組成からなる離型剤を塗布量(乾燥後)が0.12g/mになるようにリバースグラビアコート方式により塗布し、ドライヤー温度150℃、ライン速度30m/分の条件でロール状の離型ポリエステルフィルムを得た。
<離型剤化合物>
a1:メチル基とヘキセニル基とフェニル基の比が100:1:0.1である前記一般式(I)の硬化型シリコーン樹脂(分子量200000)
a2:メチル基とビニル基の比が100:0.2である前記一般式(II)の硬化型シリコーン樹脂(分子量200000)
a3:メチル基とヒドロシリル基の比が100:1.5である前記一般式(III)の硬化型シリコーン樹脂(分子量200000)
a4:メチル基とヒドロシリル基の比が100:0.4である前記一般式(III)の硬化型シリコーン樹脂(分子量200000)
b1:前記一般式(IV)のの未反応性シリコーン樹脂(分子量80000)
c1:付加型白金触媒(PL−50T:信越化学工業製)
実施例2〜8および比較例1〜9:
実施例1において、塗布剤組成を下記表2に示す塗布剤組成に変更し、離型剤組成を下記表3に示す離型剤組成に変更する以外は実施例1と同様にして製造し、離型フィルムを得た。上記実施例および比較例で得られた各離型フィルムの特性を下記表4に示す。
Figure 2016187871
Figure 2016187871
Figure 2016187871
本発明のポリエステルフィルムは、例えば、静電容量方式のタッチパネル製造用等、液晶ディスプレイ(LCD)に用いられる偏光板、位相差板等のLCD構成部材製造用、プラズマディスプレイパネル構成部材製造用、有機エレクトロルミネッセンス構成部材製造用等、各種ディスプレイ構成部材製造用のほか、各種粘着剤層保護用途において、好適に利用することできる。

Claims (2)

  1. 少なくとも一軸方向に延伸されたポリエステルフィルムの片面に塗布層と離型層とが順次設けられた離型フィルムであり、塗布層が有機珪素化合物を含み、離型層が、ヘキセニル基とビニル基とフェニル基とヒドロシリル基を官能基として有する反応性シリコーン樹脂、質量平均分子量50000〜100000の未反応性シリコーン樹脂、および白金系触媒を含有する塗布液から形成されたものであり、離型フィルムを180℃で10分間加熱した後の離型層表面のポリエステルオリゴマー量が2.0mg/m以下であることを特徴とする離型フィルム。
  2. 塗布層がアルミニウムを含む有機化合物を含有する請求項1に記載の離型フィルム。
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