図1に示される如く、本実施の形態に係る画像処理装置10は、インターネット等のネットワーク通信回線網20に接続されている。図1では、2台の画像処理装置10が接続されているが、この数は限定されるものではなく、1台でもよいし、3台以上であってもよい。
また、このネットワーク通信回線網20には、情報端末機器としての複数のPC(パーソナルコンピュータ)21が接続されている。図1では、2台のPC21が接続されているが、この数は限定されるものではなく、1台でもよいし、3台以上であってもよい。また、情報端末機器としては、PC21に限定されるものではなく、さらには有線接続である必要もない。すなわち、無線によって情報を送受信する通信回線網であってもよい。
図1に示される如く、画像処理装置10では、PC21から当該画像処理装置10に対して、遠隔で、例えばデータを転送して画像形成(プリント)指示操作を行なう場合、或いは使用者(ユーザー)が画像処理装置10の前に立ち、各種操作によって、例えば、複写(コピー)、スキャン(画像読取)、ファクシミリ送受信等の処理を指示する場合がある。
図2には、本実施の形態に係る画像処理装置10が示されている。画像処理装置10は、記録用紙に画像を形成する画像形成部240と、原稿画像を読み取る画像読取部238と、ファクシミリ通信制御回路236を備えている。画像処理装置10は、メインコントローラ200を備えており、画像形成部240、画像読取部238、ファクシミリ通信制御回路236を制御して、画像読取部238で読み取った原稿画像の画像データを一次的に記憶したり、読み取った画像データを画像形成部240又はファクシミリ通信制御回路236へ送出したりする。
メインコントローラ200にはインターネット等のネットワーク通信回線網20が接続され、ファクシミリ通信制御回路236には電話回線網22が接続されている。メインコントローラ200は、例えば、ネットワーク通信回線網20を介してホストコンピュータと接続され、画像データを受信したり、ファクシミリ通信制御回路236を介して電話回線網22を用いてファクシミリ受信及びファクシミリ送信を実行する役目を有している。
画像読取部238は、原稿を位置決めする原稿台と、原稿台に置かれた原稿の画像を走査して光を照射する走査駆動系と、走査駆動系の走査により反射又は透過する光を受光して電気信号に変換するCCD等の光電変換素子と、が設けられている。
画像形成部240は、感光体を備え、感光体の周囲には、感光体を一様に帯電する帯電装置と、画像データに基づいて光ビームを走査する走査露光部と、前記走査露光部によって走査露光されることで形成された静電潜像を現像する画像現像部と、現像化された感光体上の画像を記録用紙へ転写する転写部と、転写後の感光体の表面をクリーニングするクリーニング部と、が設けられている。また、記録用紙の搬送経路上には、転写後の記録用紙上の画像を定着する定着部を備えている。
画像処理装置10には、入力電源線244の先端にコンセント245が取り付けられており、壁面Wまで配線された商用電源242の配線プレート243に、当該コンセント245を差し込むことで、画像処理装置10は、商用電源242から、電力の供給を受けるようになっている。
(制御系ハード構成)
図3は、画像処理装置10の制御系のハード構成の概略図である。
ネットワーク通信回線網20は、メインコントローラ200に接続されている。メインコントローラ200には、それぞれ、データバスやコントロールバス等のバス33A〜33Dを介して、ファクシミリ通信制御回路236、画像読取部238、画像形成部240、UIタッチパネル216が接続されている。すなわち、このメインコントローラ200が主体となって、画像処理装置10の各処理部が制御されるようになっている。
また、画像処理装置10は、電源装置202を備えており、メインコントローラ200とはバス33Eで接続されている。電源装置202は、商用電源242から電力の供給を受けている。電源装置202では、メインコントローラ200、ファクシミリ通信制御回路236、画像読取部238、画像形成部240、UIタッチパネル216のそれぞれに対して独立して電力を供給する電力供給線35A〜35Dが設けられている。このため、メインコントローラ200では、各処理部(デバイス)に対して個別に電力供給(電力供給モード)、或いは電力供給遮断(スリープモード)し、所謂部分節電制御を可能としている。
また、メインコントローラ200には、2個の第1の人感センサ28、第2の人感センサ30が接続されており、画像処理装置10の周囲の人の有無を監視している。この第1の人感センサ28、第2の人感センサ30については後述する。
(部分節電構成を主体とした機能ブロック図)
図4は、前記メインコントローラ200によって制御される処理部(「デバイス」、「モジュール」等と称する場合もある)、並びにメインコントローラ200、並びに各デバイスへ電源を供給するための電源装置202の電源ラインを主体とした概略構成図である。本実施の形態では、画像処理装置10が処理部単位で電力供給又は非供給が可能でとなっている(部分節電)。
[メインコントローラ200]
図4に示される如く、メインコントローラ200は、CPU204、RAM206、ROM208、I/O(入出力部)210、及びこれらを接続するデータバスやコントロールバス等のバス212を有している。I/O210には、UI制御回路214を介してUIタッチパネル216が接続されている。また、I/O210には、ハードディスク(HDD)218が接続されている。ROM208やハードディスク218等に記録されているプログラムに基づいて、CPU204が動作することによって、メインコントローラ200の機能を実現する。なお、該プログラムを格納した記録媒体(CD−ROM、DVD−ROM等)から該プログラムをインストールし、これに基づいてCPU204が動作することにより画像処理機能を実現してもよい。
I/O210には、タイマ回路220、通信回線I/F222が接続されている。さらに、I/O210には、ファクシミリ通信制御回路(モデム)236、画像読取部238、画像形成部240の各デバイスに接続されている。
なお、前記タイマ回路220は、前記ファクシミリ通信制御回路236、画像読取部238、画像形成部240を節電状態(電源非供給状態)とするための契機として、初期設定時間の計時を行うものである。
メインコントローラ200及び各デバイス(ファクシミリ通信制御回路236、画像読取部238、画像形成部240)は、電源装置202から電源が供給される(図4の点線参照)。なお、図4では、電源線を1本の線(点線)で示しているが、実際には2本〜3本の配線である。
[電源装置202]
図4に示される如く、商用電源242から引き込まれた入力電源線244は、メインスイッチ246に接続されている。メインスイッチ246がオンされることで、第1の電源部248及び第2の電源部250へ電力供給が可能となる。
第1の電源部248は、制御用電源生成部248Aを備え、メインコントローラ200の電源供給制御回路252に接続されている。電源供給制御回路252は、メインコントローラ200に電源供給すると共に、I/O210に接続され、メインコントローラ200の制御プログラムに従って、前記各デバイス(ファクシミリ通信制御回路236、画像読取部238、画像形成部240)への電源供給線を導通/非導通させるためのスイッチング制御を行う。
一方、第2の電源部250へ接続される電源線254には、第1のサブ電源スイッチ256(以下、「SW−1」という場合がある。)が介在されている。このSW−1は、前記電源供給制御回路252で、オン・オフが制御されるようになっている。
また、第2の電源部250は、24V電源部250H(LVPS2)と5V電源部250L(LVPS1)を備えている。24V電源部250H(LVPS2)は主としてモーター等で使用される電源である。
第2の電源部250の24V電源部250H(LVPS2)及び5V電源部250L(LVPS1)は、選択的に、画像読取部電源供給部258、画像形成部電源供給部260、ファクシミリ通信制御回路電源供給部264、UIタッチパネル電源供給部266に接続されている。
画像読取部電源供給部258は、24V電源部250H(LVPS2)を入力源として、第2のサブ電源スイッチ268(以下、「SW−2」という場合がある。)を介して、画像読取部238に接続されている。
画像形成部電源供給部260は、24V電源部250H(LVPS2)と5V電源部250L(LVPS1)を入力源として、第3のサブ電源スイッチ270(以下、「SW−3」という場合がある。)を介して、画像形成部240に接続されている。
ファクシミリ通信制御回路電源供給部264は、24V電源部250H(LVPS2)と5V電源部250L(LVPS1)を入力源として、第5のサブ電源スイッチ274(以下、「SW−5」という場合がある。)を介して、ファクシミリ通信制御回路236及び画像形成部240に接続されている。
UIタッチパネル電源供給部266は、5V電源部250L(LVPS1)と24V電源部250H(LVPS2)を入力源として、第6のサブ電源スイッチ276(以下、「SW−6」という場合がある。)を介して、UIタッチパネル216に接続されている。
前記第2のサブ電源スイッチ268、第3のサブ電源スイッチ270、第5のサブ電源スイッチ274、第6のサブ電源スイッチ276は、それぞれ前記第1のサブ電源スイッチ256と同様に、メインコントローラ200の電源供給制御回路252からの電源供給選択信号に基づいて、オン・オフ制御される。図示していないが、24V電源部250Hと5V電源部250Lが供給されるスイッチや配線は、2系統で構成されている。また電源スイッチ268〜276は電源装置202でなく、電源供給先の各デバイス内に配置されても良い。
上記構成では、機能別に各デバイス(ファクシミリ通信制御回路236、画像読取部238、画像形成部240)を選択した電源を供給し、指示された機能に不要なデバイスへの電源を供給しないため、必要最小限の電力で済む。
(監視制御)
ここで、本実施の形態のメインコントローラ200は、必要最小限の電力消費となるように、部分的にその機能を停止させる場合がある。或いは、メインコントローラ200の大部分を含め、電力の供給を停止させる場合がある。これらを総称して「スリープモード(節電モード)」という場合がある。
スリープモードは、例えば、画像処理が終了した時点でタイマを起動させることで移行可能である。すなわち、前記タイマが起動してから所定時間をカウントすることで電力供給を停止させている。なお、所定時間が経過するまでに、何らかの操作(ハードキーの操作等)があれば、当然、スリープモードへのタイマカウントは中止され、次の画像処理終了時からタイマが起動される。
一方、上記スリープモード中において、常に電力を供給を受ける素子として、節電中監視制御部24がI/O210に接続されている。この節電中監視制御部24は、例えば、ASICと称される、自身で動作プログラムが格納され、当該動作プログラムで処理されるCPU,RAM,ROM等を備えたICチップ等で構成することができる。
ところで、前記節電中の監視において、例えば、通信回線検出部からプリント要求などが来たり、FAX回線検出部からFAX受信要求が来ることで、節電中であったデバイスに対して、節電中監視制御部24では、第1のサブ電源スイッチ256、第2のサブ電源スイッチ268、第3のサブ電源スイッチ270、第5のサブ電源スイッチ274、第6のサブ電源スイッチ276を制御することで、電力を供給を行なうことが前提である。
また、メインコントローラ200のI/O210には、節電解除ボタン26が接続されており、節電中に使用者がこの節電解除ボタン26を操作することで、節電が解除可能となっている。
ここで、スリープモードで監視するためには、節電中監視制御部24以外に、節電解除ボタン26や各検出部には節電中に必要最小限の電力を供給しておくことが好ましい。すなわち、電力非供給状態であるスリープモードであっても、予め定めた電力以下(例えば、0.5W以下)であり電力供給を行うか否かの判別制御に必要な電力の供給を受ける場合がある。
なお、スリープモードの特定の期間(図5に示すアウェイクモード(awk)において、UIタッチパネル216等の入力系を主体とした必要最小限の電力供給を含む。
ところで、スリープモード時に使用者が画像処理装置10の前に立ち、その後に節電解除ボタン26を操作して、電力供給を再開した場合、画像処理装置10が立ち上がるまでに時間を要する場合があった。
そこで、本実施の形態では、前記節電中監視制御部24に、第1の人感センサ28、第2の人感センサ30を設置すると共に、スリープモードでは、使用者が節電解除ボタンを押す前に人感センサで検知して早期に電力供給を再開して、使用者が早く使えるようにした。なお、節電解除ボタン26と第1の人感センサ28、第2の人感センサ30とを併用しているが、第1の人感センサ28、第2の人感センサ30のみで全ての監視を行うことも可能である。
第1の人感センサ28、第2の人感センサ30は、検出部28A、30Aと回路基板部28B、30Bとを備えており、回路基板部28B,30Bは、検出部28A、30Aで検出した信号の感度を調整したり、出力信号を生成する。
なお、第1の人感センサ28は、「人感」としているが、これは、本実施の形態に則した固有名詞であり、少なくとも人が感知(検出)できればよく、言い換えれば、人以外の移動体の感知(検出)も含むものである。従って、以下において、人感センサの検出対象を「人」に言及する場合があるが、将来的には、人に代わって実行するロボット等も感知対象範囲である。なお、逆に、人と特定して感知できる特殊センサが存在する場合は、当該特殊センサを適用可能である。
第1の人感センサ28の仕様は、画像処理装置10の周囲において、人の動きを検出するものである。この場合、焦電素子の焦電効果を用いた赤外線センサ等が代表的である(焦電型センサ)。本実施の形態では、第1の人感センサ28として焦電型センサを適用している。
この第1の人感センサ28に適用された焦電素子の焦電効果を用いたセンサの最大の特徴は、検出領域が広いことである。また、人の動きを感知するため、検出領域内であって、人が静止していると、人の存在を検出しない。例えば、人の移動時にハイレベル信号が出力されている場合、検出範囲内の人が静止すると、当該信号がローレベル信号になるものである。
一方、第2の人感センサ30の仕様は、人の有無(存在・不存在)を検出するものが適用されている。この第2の人感センサ30に適用されるセンサは、投光部と受光部とを備えた反射型センサ等が代表的である(反射型センサ)。なお、投光部と受光部とが分離された形態であってもよい。
この第2の人感センサ30に適用された反射型センサ等の最大の特徴は、受光部に入る光を遮断する/しないによって人の有無を確実に検出することである。また、投光部から投光される光量等により、受光部へ入射する光量に制限があるため、比較的近距離が検出領域である。
なお、第1の人感センサ28、第2の人感センサ30として、以下に示す機能をそれぞれ達成することが可能であれば、第1の人感センサ28、第2の人感センサ30として、焦電型センサや反射型センサに限定されるものではない。
上記構成の第1の人感センサ28、第2の人感センサ30の適用形態は、画像処理装置10の状態(モード)によって設定する必要がある。
図5は、画像処理装置10における、各モード状態と、当該モード状態の移行の契機となる事象を示したタイミングチャートである。
画像処理装置10は、処理がなされていないと動作状態は、スリープモードとなり、本実施の形態では、節電中監視制御部24にのみ電力が供給されている。
ここで、立ち上げ契機(立ち上げトリガの検出、或いは操作部の操作入力(キー入力))があると、動作状態はウォームアップモードへ遷移する。
なお、立ち上げトリガとは、操作者による節電解除操作、第1の人感センサ28、第2の人感センサ30による検出結果に基づく信号や情報等がある。
ウォームアップモードは画像処理装置10を迅速に処理可能状態にもっていくため、各モードの内最大の電力消費量となるが、例えば、定着部におけるヒータとしてIHヒータを利用することによって、ハロゲンランプを用いたヒータよりもウォームアップモード時間は、比較的短い時間とされている。
ウォームアップモードによる暖機運転が終了すると、画像処理装置10はスタンバイモードに遷移するようになっている。
スタンバイモードは、文字通り「事に備えて準備が完了している」モードであり、画像処理装置10においては、画像処理の動作が即実行できる状態となっている。
このため、キー入力としてジョブ実行操作があると、画像処理装置10の動作状態は、ランニングモードに遷移し、指示されたジョブに基づく画像処理が実行されるようになっている。
画像処理が終了すると(連続した複数のジョブが待機している場合は、その連続したジョブの全てが終了したとき)、画像処理装置10の動作状態はスタンバイモードへ遷移する。このスタンバイモード中にジョブ実行指示があれば、再度ランニングモードへ遷移し、立ち下げトリガの検出がある、或いは予め定めた時間が経過したとき、スリープモードへ遷移するようになっている。
なお、立ち下げトリガとは、第1の人感センサ28、第2の人感センサ30による検出結果に基づく信号や情報等がある。
なお、画像処理装置10における実際の動作におけるモード状態の遷移が、全てこのタイミングチャートのとおり時系列で進行するものではない。例えば、ウォームアップモード後のスタンバイモードで処理が中止され、スリープモードへ移行する場合もある。
上記説明した各動作状態において、第1の人感センサ28、第2の人感センサ30は、以下に示す動作形態の契機を基本機能としている。
(動作形態1) スリープモード中に移動体(使用者)の検出によるスタンバイモードへの遷移制御
このスリープモード中において、第1の人感センサ28と第2の人感センサ30に対して、常に、それぞれに電力を供給しておいてもよいが、まず、画像処理装置10の周囲を監視する第1の人感センサ28にのみ電力を供給し、この第1の人感センサ28により移動体(使用者)を検知した時点で、第2の人感センサ30へ電力を供給するようにしてもよい。
(動作形態2) ランニングモード中に処理部の部分節電制御
連続するジョブの有無、内容によって部分節電を実行することを前提として、第1の人感センサ28、第2の人感センサ30により、使用者が一時的に画像処理装置10を離れた場合に、節電対象を増加することが可能である。
(動作形態3) スタンバイモード中に移動体(使用者)の未検出によるスリープモードへの遷移制御
スタンバイモードからスリープモードへの遷移は、タイマによる遷移制御と併用することが好ましい。
例えば、タイマを主体として、使用者がある程度遠ざかったら(第2の人感センサ30で未検知状態となったら)、タイマの時間を短縮し、さらに、使用者が完全に不在(第1の人感センサ28での未検出となったら)、タイマに残り時間があっても強制的にスリープモードへ遷移させるといった制御が可能である。
次に、本実施の形態の作用を説明する。
上記の如く画像処理装置10は、スリープモード、ウォームアップモード、ランニングモードの間を相互に遷移しており、各モード毎に電力供給量が異なっている。
本実施の形態の画像処理装置10では、予め定められた条件が揃うと、スリープモードへ移行する。このスリープモードでは、ファクシミリ通信制御回路236、画像読取部238、画像形成部240の各デバイスのみならず、節電中監視制御部24を除くメインコントローラ200、並びにUIタッチパネル216に対しても電力供給を遮断する。この場合、メインコントローラ200に接続されている節電解除ボタン26の機能も停止されることが好ましい。このため、周囲から画像処理装置10を見ると、メイン電源スイッチが切られている状態とほぼ同等の状態となる。すなわち、スリープモードが確実に実行されていることが、周囲から確認可能な状態となる(「見える化」の実現)。
ここで、本実施の形態では、第1の人感センサ28、第2の人感センサ30を適用し、当該第1の人感センサ28、第2の人感センサ30を画像処理装置10の動作状態(各モード)に適応させ、画像処理装置10の全体として、消費電力を軽減するための制御を実行している。
以下では、前述した立ち上がりトリガ、並びに、立ち下がりトリガとして第1の人感センサ28、第2の人感センサ30に用いた制御、並びに、ランニングモードでの部分節電のために第1の人感センサ28、第2の人感センサ30を用いた制御について説明する。
(立ち上げトリガ「スリープモードからウォームアップモードへの遷移制御」)
第1の人感センサ28は、画像処理装置10の周囲において、第2の人感センサ30の検出領域よりも広い領域を検出領域(以下、「第1の領域F」という)としている。例えば、第1の人感センサ28の検出領域は、画像処理装置10が設置されている場所の環境にもよるが、目安として2〜3m程度である(図6の第1の領域F(far)参照)。
一方、第2の人感センサ30は、前記第1の人感センサ28の検出領域(第1の領域F)よりも狭い領域を検出領域(以下、「第2の領域N」という)としている。例えば、第2の人感センサ30の検出領域は、画像処理装置10のUIタッチパネル216やハードキーの操作が可能な範囲であり、目安として0〜0.5m程度である(図6の第2の領域N(near)参照)。
第1の人感センサ28の仕様は、人の動きを検出するものであり、焦電素子の焦電効果を用いた赤外線センサ等が代表的である。
この第1の人感センサ28の最大の特徴は、検出領域が広いことである(前記2〜3m、又はそれ以上が可能)。また、人の動きを感知するため、検出領域内であって、人が静止していると、人の存在を検出しない。例えば、人の移動時にハイレベル信号が出力されている場合、検出範囲内の人が静止すると、当該信号がローレベル信号になるものである。
本実施の形態における「静止」とは、スチルカメラ等で撮影した静止画のように完全静止も当然含まれるが、例えば、人が画像処理装置10の前に操作を目的として立ち止まることを含むものとする。従って、予め定めた範囲の微動(呼吸に伴う動き等)や、手足、首等を動かすといった場合を静止の範疇とする。
なお、当該「静止」を定義して第1の人感センサ28の感度を調整するのではなく、感度は、比較的おおまか、かつ標準的に調整し、当該第1の人感センサ28の検出状態に依存するようにしてもよい。すなわち、第1の人感センサ28が二値信号の内の1つ(例えば、ハイレベル信号)を出力しているときは人が動いていることを示し、第2の第1の人感センサ28の検出領域内に人が存在し、かつ二値信号の内の他の1つ(例えば、ローレベル信号)が出力された場合を静止とすればよい。
第2の人感センサ30の仕様は、人の有無(存在・不存在)を検出するものであり、投光部と受光部とを備えた反射型センサ等が代表的である。なお、投光部と受光部とが分離された形態であってもよい。
この第2の人感センサ30の最大の特徴は、受光部に入る光を遮断する/しないによって人の有無を確実に検出することである。また、投光部から投光される光量等により、受光部へ入射する光量に制限があるため、比較的近距離が検出領域である(前記0〜0.5m前後)。
ここで、本実施の形態の画像処理装置10に搭載される、前記第1の人感センサ28及び第2の人感センサ30は、前述したように前記節電中監視制御部24に接続され、その検出信号が節電中監視制御部24へ入力されるようになっている。
節電中監視制御部24では、第1の人感センサ28及び第2の人感センサ30からの信号に基づいて、以下の3形態を見極めるようになっている。
(第1の形態)
人が画像処理装置10に対して、使用目的で操作可能位置まで近づいてきている。
この第1の形態は、まず、第1の領域に人が侵入してきたことを第1の人感センサ28により検出し、その後、この第1の人感センサ28による検出の継続中に、第2の領域に人が侵入してきたことを第2の人感センサ30により検出した後、第2の領域内での第1の検出手段による人の未検出(静止)という流れが確立することで見極めが可能となる(図6のA線矢視の動向(Aパターン)参照)。
(第2の形態)
人が処理装置を使用目的ではないが、操作可能位置まで近づいてきている。
この第2の形態は、まず、第1の領域に人が侵入してきたことを第1の人感センサ28により検出し、その後、この第1の人感センサ28による検出の継続中に、第2の領域に人が侵入してきたことを第2の人感センサ30により検出し、第2の領域内での第1の検出手段による人の検出(移動)が継続されたまま、第2の領域から出て(第2の人感センサ30による未検出)、さらに、第1の領域から出る(第1の人感センサ28による未検出)という流れが確立することで見極めが可能となる(図6のB線矢視の動向(Bパターン)参照)。
(第3の形態)
人が処理装置の操作可能位置まで近づかないが、第1の形態、第2の形態に移行する可能性のある距離まできている。
この第3の形態は、まず、第1の領域に人が侵入してきたことを第1の人感センサ28により検出し、その後、第2の人感センサ30による人検出がない状態で、第1の領域から出る(第1の人感センサ28による未検出)という流れが確立することで見極めが可能となる(図6のC線矢視の動向(Cパターン)参照)。
節電中監視制御部24では、前記第1の人感センサ28及び第2の人感センサ30の検出信号に基づく、上記3種類の形態の確定に基づいて、まず、メインコントローラ200におけるUIタッチパネル216や節電解除ボタン26を含むコピー実行等を指示するハードキー等の入力系への電力供給を実行する。この状態は、依然としてスリープモードと定義してもよいし、節電中監視制御部24のみの電力供給よりも電力供給量が増加するので、アウェイクモード「awk」(目覚めモード)として定義してもよい(図5の遷移図における、スリープモード範囲の括弧[ ]内参照)。
その後、UIタッチパネル216又はハードキー等による操作指示によって、当該操作指示された機能に必要なデバイスに対して電力供給を実行する。
なお、節電解除ボタン26の操作同様、全てのデバイスが一斉に電力供給されるようにしてもよい。
ここで、本実施の形態では、上記スリープモード中の画像処理装置10に対して、電力供給を再開させる契機(立ち上げトリガ)として、第1の人感センサ28、第2の人感センサ30(以下、図8において単に「第1」、「第2」と記す場合がある)により、画像処理装置10の周囲を監視して、当該画像処理装置10に接近してくる人が操作を目的としているか否かを見極めて、電力供給を再開するか否かを判定するようにした。
図6は、画像処理装置10及びその周辺示す平面図であり、壁面Wに沿って配置された画像処理装置10の遠方に第1の領域F、第2の領域Nが設定されている。
ここで、図6には、このような画像処理装置10の設置状態で、大きく分類して、人の動きとして、パターンA〜パターンCが示されている。
パターンAは、人が画像処理装置10の操作可能位置まで近づき、使用目的で操作のため静止した後、離れていく移動軌跡であり、移動軌跡としては、領域外(第1段階)→領域F(第2段階)→領域N(第3段階。さらに静止することで、第4段階と判定され、節電解除となる。)→領域F(第2段階)→領域外(第1段階)の順になる。
パターンBは、人が画像処理装置10の操作可能位置まで近づき通過していく移動軌跡であり、移動軌跡としては、領域外(第1段階)→領域F(第2段階)→領域N(第3段階(移動継続))→領域F(第2段階)→領域外(第1段階)の順になる。
パターンCは、人が画像処理装置10の操作可能位置までは近づかないで近傍を通過していく移動軌跡であり、移動軌跡としては、領域外(第1段階)→領域F(第2段階)→領域外(第1段階)の順になる。
図7、図8は、スリープモードを制御するためのフローチャートである。
まず、図7において、スリープモードへ移行する際、スリープモード移行時割込ルーチンが実行され、ステップ100において、後述する人感センサ監視段階を「第1段階」に設定し、次いで、ステップ102へ移行して、図8のフローチャートの起動を指示し、このルーチンは終了する。
図8は、スリープモード中監視制御ルーチンを示すフローチャートである。
ステップ104では、現在の段階区分を判定する。
なお、この図8のフローチャートにおいて判定される段階区分として、第1段階〜第4段階の4段階を設定している。
第1段階は、人が第1の領域F(図6参照)よりも外にいるか、或いは第1の領域F内(第2の領域N(図6参照)を除く)で静止している状態を示す。
第2段階は、人が第1の領域F内にいるが、第2の領域には至っておらず、移動中である状態を示す。
第3段階は、人が第2の領域N内で移動している状態を示す。
第4段階は、人が第2の領域N内で静止している状態を示す。
なお、図8に示すスリープモード監視制御ルーチンが起動された時点では、段階区分として第1段階が登録されているため、ステップ104では、現在の段階として第1段階と判定される。
(第1段階)
ステップ104で第1段階と判定されると、ステップ106へ移行して、第1の人感センサ28がオン(ハイレベル信号出力)か否かが判断される。このステップ106で否定判定、すなわち、第1の人感センサ28がオフ(ローレベル信号出力)の場合はステップ108へ移行して、段階区分を第1段階に設定(更新)してステップ104へ戻る。
また、ステップ106で肯定判定、すなわち、第1の人感センサ28がオンの場合は、ステップ110へ移行して、段階区分を第2段階に設定(更新)してステップ104へ戻る。
(第2段階)
前記ステップ104で第2段階と判定されると、ステップ112へ移行して、第1の人感センサ28がオンか否かが判断される。このステップ112で否定判定、すなわち、第1の人感センサ28がオフの場合はステップ114へ移行して、段階区分を第1段階に設定(更新)してステップ104へ戻る。
また、ステップ112で肯定判定、すなわち、第1の人感センサ28がオンの場合は、ステップ116へ移行して、第2の人感センサ30がオンか否かが判断される。このステップ116で否定判定、すなわち、第2の人感センサ30がオフの場合はステップ114へ移行して、段階区分を第1段階に設定(更新)してステップ104へ戻る。
また、ステップ116で肯定判定、すなわち、第2の人感センサ30がオンの場合は、ステップ118へ移行して、段階区分を第3段階に設定(更新)してステップ104へ戻る。
(第3段階)
前記ステップ104で第3段階と判定されると、ステップ120へ移行して、第1の人感センサ28がオンか否かが判断される。このステップ120で否定判定、すなわち、第1の人感センサ28がオフの場合はステップ122へ移行して、段階区分を第4段階とする。
(第4段階)
この第4段階では、人が画像処理装置10の前で立ち止まっていることを意味しているため、言い換えれば、人が画像処理装置10を操作目的で接近して立っているものと想定され、ステップ122からステップ124へ移行して、メインコントローラ200のCPU204に対して、スリープモードから電力供給モードへ移行するように指示し、このルーチンは終了する。
メインコントローラ200では、電力供給モードへ移行するように指示されると、少なくとも、UIタッチパネル216の機能を立ち上げ(バックライトを含む)、節電解除ボタン26を含むハードキーの操作を有効として、使用者の操作の待機状態とする。
この結果、使用者は必要最小限の電力を受けているUIタッチパネル216等から例えば、コピーをするための操作を行なうと、画像読取部238、画像形成部240に電力供給が実行される。
図8に示される如く、ステップ120で肯定判定、すなわち、第1の人感センサ28がオンの場合は、ステップ126へ移行して、第2の人感センサ30がオンか否かが判断される。このステップ126で否定判定、すなわち、第2の人感センサ30がオフの場合は、ステップ128へ移行して、段階区分を第2段階に設定(更新)してステップ104へ戻る。
また、ステップ126で肯定判定、すなわち、第2の人感センサ30がオンの場合は、ステップ130へ移行して、段階区分を第3段階に設定(更新)してステップ104へ戻る。
図9〜図11は、前記立ち上げトリガとして第1の人感センサ28、第2の人感センサ30を適用した場合において実行される人の接近による画像処理装置10の使用目的か否かの判定を具体例を示したものである。
(パターンA)
図9は、第1の人感センサ28、第2の人感センサ30の出力信号における、前記パターンAのタイミングチャートである。
まず、第1の人感センサ28で人の動きを検出し(図9(Aa)参照)、この人の動きを検出している間に第2の人感センサ30で人の存在を検出する(図9(Ab)参照)。
この時点では、単に人が画像処理装置10の前にいるだけであり、操作目的なのか素通りなのかが不明である。
次に、第2の人感センサ30で人の存在を検出している状態で、第1の人感センサ28による人の動きが検出されなくなる(図9(Ac)参照)。この状態が、画像処理装置10の前で人が立ち止まったことを意味し、画像処理装置10を操作する意志があると判断して、スリープモードを解除することになる。
画像処理装置10から人が離れるときは、まず、第2の人感センサ30で人の存在を検出している状態で第1の人感センサ28で人の動きを検出し(図9(Ad)参照)、次いで、第2の人感センサ30による人の存在を検出しなくなり(図9(Ae)参照)、最後に、第1の人感センサ28で人の動きを検出しなくなったことで(図9(Af)、画像処理装置10から離れた(領域Fよりも遠くへ離れた)ことが認識される。
なお、本実施の形態では、画像処理装置10から人が離れる状態の判定は必須ではない。
(パターンB)
図10は、第1の人感センサ28、第2の人感センサ30の出力信号における、前記パターンBのタイミングチャートである。
まず、第1の人感センサ28で人の動きを検出し(図10(Ba)参照)、この人の動きを検出している間に第2の人感センサ30で人の存在を検出する(図10(Bb)参照)。
この時点では、単に人が画像処理装置10の前にいるだけであり、操作目的なのか素通りなのかが不明である。
次に、第1の人感センサ28で人の動きの検出が継続されている状態で、第2の人感センサ30による人の存在を検出しなくなり(図10(Bc)参照)、最後に、第1の人感センサ28で人の動きを検出しなくなったことで(図10(Bd)参照)、画像処理装置10から離れた(領域Fよりも遠くへ離れた)ことが認識される。
(パターンC)
図11は、第1の人感センサ28、第2の人感センサ30の出力信号における、前記パターンCのタイミングチャートである。
まず、第1の人感センサ28で人の動きを検出し(図11(Ca)参照)、この人の動きを検出している間に第2の人感センサ30で人の存在を検出することなく、第1の人感センサ28で人の動きを検出しなくなったことで(図11(Cb)参照)、画像処理装置10から離れた(領域Fよりも遠くへ離れた)ことが認識される。
なお、本実施の形態では、スリープモード中の電力(節電中監視制御部24の起動に利用する電力)を商用電源242から供給を受けるようにしたが、内部電池、太陽電池、或いは、電力供給モード中に充電した充電池からの電力で動作するようにすれば、スリープモード中は完全に商用電源242からの電力供給が遮断される。
(ランニングモードでの人感センサの適用制御)
通常、立ち下げトリガとしてはタイマが適用され、ランニングモードからスタンバイモードを経て、スリープモードへ遷移する場合、予め定められた時間中、画像処理が一切されていないことを条件としている。
上記タイマによるスリープモードへの遷移では、全ての処理部が稼働していないことが前提である。言い換えれば、スリープモードの状態から特定の処理が指定された場合を除き、複写処理が実行された後に、画像読取処理が実行されると、タイマは起動しないため、電力供給が不要な画像形成部240やファクシミリ通信制御回路236に電力が供給された状態となる。これでは、部分節電の機能を充分に発揮したとは言えない。
しかしながら、その一方で、次のジョブによっては、稼働していない処理部に対して電力供給を継続しておいた方がよい場合もあり得る。
そこで、第1の人感センサ28、第2の人感センサ30の検出情報に基づいて、現在処理しているジョブに対する責任ユーザー(画像処理装置10の前で処理実行の指示をして待機しているユーザー)がいるかいないかを判断し、当該処理中にも関わらず、画像処理装置10から離れるような状況を認識した場合に(第1の人感センサ28、第2の人感センサ30の人の未検出)、一時的に当該処理に不要な処理部への電力供給を遮断するようにした。
また、ユーザーが戻ってきた(第1の人感センサ28で人を検出)時には、電力供給を遮断した処理部への電力供給を再開するようにした。
画像処理装置10では、予め定められた条件が揃うと、スリープモードへ遷移する。このスリープモードでは、スリープモードから復帰する要求のある通信回線検出部、FAX回線検出部、節電中監視制御部24などを除くファクシミリ通信制御回路236、画像読取部238、画像形成部240メインコントローラ200、並びにUIタッチパネル216に対して電力供給を遮断する。
図12は、本実施の形態に係るジョブ実行指示時に実行される電力供給制御ルーチンを示すフローチャートである。
ステップ1100では、ジョブスタート処理が実行され、次のステップ1102では、当該ジョブが実行中か否かが判断される。
このステップ1102で否定判定されると、ステップ1128へ移行する。ステップ1128以降の処理は後述する。また、ステップ1102肯定判定されると、ステップ1104へ移行して、第1の人感センサ28の検出情報を取得し、次いでステップ1106へ移行して、移動体(すなわち、好ましくは、画像処理装置10の使用者)を検出したか否かが判断される。
このステップ1106で人を検出していると判断された場合は、ジョブ処理指示者が使用者として画像処理装置10に対面していると判断し、ステップ1102へ戻る。
また、ステップ1106で人を検出していないと判断された場合は、ジョブ処理指示者が画像処理装置10から離れた(人が不在となった)と判断され、ステップ1108へ移行する。
ステップ1108では、実行中のジョブ種を特定し、次いでステップ1110で特定したジョブ種に基づいて、処理を振り分ける。
すなわち、ステップ1110でジョブ種が「SCAN」、「FAX送信」(画像読取ジョブ、ファクシミリ送信ジョブ)と判定された場合は、ステップ1112へ移行して、このジョブ種には電力供給の必要がないで処理部(モジュール)として、UIタッチパネル216、画像形成部240を選択して、節電対象に設定して、ステップ1118へ移行する。
また、ステップ1110でジョブ種が「PRINT」(画像記録ジョブ)と判定された場合は、ステップ1114へ移行して、このジョブ種には電力供給の必要がないで処理部(モジュール)として、UIタッチパネル216、画像読取部238、ファクシミリ通信制御回路236を選択して、節電対象に設定して、ステップ1118へ移行する。
さらに、ステップ1110でジョブ種が「COPY」(画像複写ジョブ)と判定された場合は、ステップ1116へ移行して、このジョブ種には電力供給の必要がないで処理部(モジュール)として、UIタッチパネル216、ファクシミリ通信制御回路236を選択して、節電対象に設定して、ステップ1118へ移行する。
ステップ1118では、前記ステップ1112、1114、1116の何れかにおいて、節電対象となった処理部の節電移行処理を実行し、ステップ1120へ移行する。
ステップ1120では、前記ステップ1104に続いて、再度第1の人感センサ28、第2の人感センサ30の検出情報を取得し、次いでステップ1122へ移行して、移動体(すなわち、好ましくは、画像処理装置10の使用者)を検出したか否かが判断される。
このステップ1122で人を検出していると判断された場合は、ジョブ処理指示者(使用者)が画像処理装置10に向かって戻ってきたと判断し、ステップ1124へ移行して、前記ステップ1118で実行した節電処理対象の処理部の復帰処理を実行し、ステップ1102へ移行する。
また、ステップ1122で人を検出していないと判断された場合は、ジョブ処理指示者が画像処理装置10から離れた使用者が戻ってきていないと判断され、ステップ1126へ移行する。
ステップ1126ではジョブが依然として実行中か否かが判断され、肯定判定された場合は、ステップ1122へ移行する。
また、ステップ1126で否定判定、すなわち、ジョブが終了したと判断された場合は、ステップ1128へ移行する。このステップ1128は、前記ステップ1102の否定判定においても移行する。
ステップ1128では、ジョブエンド処理を実行し、次いで、ステップ1130へ移行して次のジョブ実行指示があるか否かが判断される。このステップ1130で肯定判定されると、ステップ1100へ戻り、本ルーチンを最初から実行する。また、ステップ1130で否定判定された場合は、ステップ1132へ移行して、所定時間処理が無いか否かが判断され、否定判定された場合は、ステップ1130へ戻り、このステップ1130で肯定判定、或いはステップ1132で肯定判定されるまで、ステップ1130、1132を繰り返す。
ステップ1132で肯定判定された場合は、次のジョブ処理が終了して所定時間経過したと判断し、ステップ1134へ移行して、全ての処理部に対して節電移行処理を行い、画像処理装置10をスリープ状態としてこのルーチンは終了する。なお、本実施の形態では、画像処理装置10のスリープ状態は、メインコントローラ200の一部(節電中監視制御部24など)や節電ボタン、回線検出部の最低限のエリアのみに電力供給がなされる状態となる。例えば使用者が大量の原稿をSCANで読み込んでいる場合に、ジョブ時間がかかるため画像処理装置から離れる事があるが、不在に合せて画像形成部などをジョブ中に節電できる。またジョブ中に戻ってくれば元の状態に復帰するので、ジョブ終了後に画像形成部などの復帰を待つ事なく次のジョブを続ける事が出来る。
(変形例1)
図13は、図12で説明したジョブ実行指示時に実行される電力供給制御ルーチンの変形例(変形例1)を示すフローチャートである。
上記実施の形態では、画像処理装置10の前から現在処理しているジョブの責任ユーザーが不在となったとき(不在となってから基準時間が経過したとき)、非実行中の処理部を対象として節電処理を実行するようにした。
これに対して、変形例1では、上記実施の形態の「人の不在」という節電処理の条件に加え、現在実行中のジョブの処理量を判定対象とした点にある。
なお、図13では、図12に示すフローチャートで示すステップと同一処理を実行するステップについては、同一の符号の後に「A」を付して、説明を省略する。
図13は、ステップ1106Aとステップ1108Aの間にステップ1150が追加されたものである。
ステップ1106Aで人未検出と判定されるとステップ1150へ移行する。ステップ1150では、現在実行中のジョブの処理量が基準値以上か否かが判断され、否定判定された場合はステップ1102Aへ移行し、肯定判定された場合はステップ1108Aへ移行する。
処理量の基準値としては、例えば、(1)ジョブスタートしてから20秒以上経過した、(2)処理枚数が50枚以上、(3)処理枚数からの換算値で処理時間が20秒以上等が挙げられるが、この(1)〜(3)の条件に限られるものではない。ジョブ処理量が基準値より小さい場合は、人が不在となっても節電させない為、短いジョブの実行中に次の原稿の準備などで画像処理装置から離れても節電復帰を待つ時間が発生しない。長いジョブ時の省エネ性と短いジョブ時の利便性が自動で対応できる。
(変形例2)
図14は、図12で説明したジョブ実行指示時に実行される電力供給制御ルーチンの変形例(変形例2)を示すフローチャートである。
上記実施の形態では、画像処理装置10の前から現在処理しているジョブの責任ユーザーが不在となったとき(不在となってから基準時間が経過したとき)、非実行中の処理部を対象として節電処理を実行するようにした。
これに対して、変形例2では、上記実施の形態の「人の不在」という節電処理の条件に加え、当該不在となってから基準値を超えて不在が継続されたか否かを判定対象とした点にある。
なお、図14では、図12に示すフローチャートで示すステップと同一処理を実行するステップについては、同一の符号の後に「B」を付して、説明を省略する。
図14は、ステップ1106Bとステップ1108Bの間にステップ1152が追加されたものである。
ステップ1106Bで人未検出と判定されるとステップ1152へ移行する。ステップ1152では、未検出(不在時間)が基準値以上か否かが判断され、否定判定された場合はステップ1102Bへ移行し、肯定判定された場合はステップ1108Bへ移行する。
不在時間の基準値としては、例えば、未検出となってから10秒以上等が挙げられるが、この条件に限られるものではない。
(変形例3)
図15は、図12で説明したジョブ実行指示時に実行される電力供給制御ルーチンの変形例(変形例3)を示すフローチャートである。
上記実施の形態では、画像処理装置10の前から現在処理しているジョブの責任ユーザーが不在となったとき(不在となってから基準時間が経過したとき)、非実行中の処理部を対象として節電処理を実行するようにした。
これに対して、変形例3では、上記実施の形態の「人の不在」という節電処理の条件に加え、現在実行中のジョブの処理量を判定対象とした点、並びに、節電処理に段階(プロセス1、プロセス2)を設定した点にある。
上記プロセス1は、節電状態から復帰時間が早い処理部を対象とする節電移行であり、UIタッチパネル216が挙げられる。
一方、プロセス2は、節電状態から復帰時間が遅い処理部を対象とする節電移行であり、ファクシミリ通信制御回路236、画像読取部238、画像形成部240が挙げられる。
なお、画像処理装置10の機種によっては、画像読取部238が復帰時間の早い方に分類される場合がある。
なお、図15では、図12に示すフローチャートで示すステップと同一処理を実行するステップについては、同一の符号の後に「C」を付して、説明を省略する。
図15は、ステップ1106Cとステップ1118Cの間に処理が追加されたものである。
ステップ1106Cで人未検出と判定されるとステップ1154へ移行する。ステップ1154では、実行中のジョブ種を特定し、次いでステップ1156へ移行して、復帰時間が早い処理部を節電対象に設定し(プロセス1)、ステップ1158へ移行する。
ステップ1158では、現在実行中のジョブの処理量が基準値以上か否かが判断され、否定判定された場合はステップ1160へ移行し、肯定判定された場合はステップ1162へ移行する。
処理量の基準値としては、例えば、(1)ジョブスタートしてから20秒以上経過した、(2)処理枚数が50枚以上、(3)処理枚数からの換算値で処理時間が20秒以上等が挙げられるが、この(1)〜(3)の条件に限られるものではない。
ステップ1160では、第1の人感センサ28の検出情報を取得し、次いでステップ1164へ移行して、移動体(すなわち、好ましくは、画像処理装置10の使用者)を検出したか否かが判断される。
このステップ1164で人を検出していると判断された場合は、ステップ1166へ移行して、プロセス1の復帰処理を実行し、ステップ1100Cへ移行する。
また、ステップ1164で人を検出していないと判断された場合は、ステップ1158へ移行する。
一方、ステップ1162では、実行中のジョブ種を特定し、次いでステップ1168で特定したジョブ種に基づいて、処理を振り分ける。
すなわち、ステップ1168でジョブ種が「SCAN」、「FAX送信」(画像読取ジョブ、ファクシミリ送信ジョブ)と判定された場合は、ステップ1170へ移行して、このジョブ種には電力供給の必要がない処理部(モジュール)として、画像形成部240を選択して、節電対象に設定して(プロセス2)、ステップ1118Cへ移行する。
また、ステップ1168でジョブ種が「PRINT」(画像記録ジョブ)と判定された場合は、ステップ1172へ移行して、このジョブ種には電力供給の必要がない処理部(モジュール)として、画像読取部238、ファクシミリ通信制御回路236を選択して、節電対象に設定して(プロセス2)、ステップ1118Cへ移行する。
さらに、ステップ1168でジョブ種が「COPY」(画像複写ジョブ)と判定された場合は、ステップ1174へ移行して、このジョブ種には電力供給の必要がない処理部(モジュール)として、ファクシミリ通信制御回路236を選択して、節電対象に設定して(プロセス2)、ステップ1118Cへ移行する。
図16は、上記図14(変形例2)の電力供給制御ルーチンに基づく状態遷移の実施例を示すタイミングチャートである。なお、この図16のタイミングチャートでの、人感センサは、第1の人感センサ28又は第2の人感センサ30の何れか一方、或いは両方の組み合わせの何れであってもよい。
状況としては、画像処理装置10がスリープ中に、画像処理装置10を占有するユーザーが、ユーザーA→ユーザーB→ユーザーC→ユーザーDの順にそれぞれジョブを実行するときの遷移である。
ユーザーAは、ジョブ種として、「SCAN」ジョブ、続いて「COPY」ジョブを実行する。このため、処理部は、まず、「SCAN」ジョブに必要なUIタッチパネル216と、画像読取部238を稼動させる(その他のファクシミリ通信制御回路236、画像形成部240は節電を維持)。
ユーザーAの「SCAN」ジョブが終了すると、次いで、「COPY」ジョブに必要なUIタッチパネル216と、画像読取部238と、画像形成部240を稼動させる(その他のファクシミリ通信制御回路236は節電を維持)。
続いて、次のユーザーBが、ジョブ種として「SCAN」ジョブ、続いて「(サーバー)PRINT」ジョブを実行する。「(サーバー)PRINT」ジョブとは、予めサーバーに蓄積した情報をユーザーBが画像処理装置10から指示することで読み出し、画像形成するものである。
ここで、処理部は、現状(ユーザーAの処理終了時)で稼動している処理部で「SCAN」ジョブが実行可能であるため、処理が継続される。
ユーザーBの「SCAN」ジョブの実行中において、途中でユーザーBが画像処理装置10から離れ、その時間taが基準時間よりも長くなると(ta>ts「tsは基準値」)、実行中の「SCAN」ジョブに不要な処理部であるUIタッチパネル216、画像形成部240をスリープモードへ移行する。
また、ユーザーB(と予測される人)が画像処理装置10の向かって戻ってきた場合は、当該「SCAN」ジョブの開始時の稼動状態に戻す。
ユーザーBの「SCAN」ジョブが終了すると、次いで、「(サーバー)PRINT」ジョブに必要なUIタッチパネル216と、画像形成部240を稼動させる(その他のファクシミリ通信制御回路236は節電を維持する)。
ユーザーBのジョブ処理が終了すると、スリープ移行時間(例えば、1分〜10分程度)が経過した時点で、スリープモードとなり、全ての処理部が節電状態となる。
次に、スリープモード中に、ユーザーCが、ジョブ種として、「(サーバー)PRINT」を実行する。このため、処理部は、「(サーバー)PRINT」ジョブに必要なUIタッチパネル216と、画像形成部240を稼動させる(その他のファクシミリ通信制御回路236、画像読取部238は節電を維持)。
このユーザーCのジョブ終了後、最後に、ユーザーDが、ジョブ種として、「SCAN」ジョブ、続いて「(サーバー)PRINT」ジョブを実行する。このため、処理部は、まず、「SCAN」ジョブに必要なUIタッチパネル216と、画像読取部238を稼動させる(その他のファクシミリ通信制御回路236を維持)。
ユーザーDの「SCAN」ジョブの実行中において、途中でユーザーDが画像処理装置10から離れたとしても、その離れた時間tbが基準時間よりも短いと(ts>tb「tsは基準値」)、前記ユーザーBのときと異なり、実行中の「SCAN」ジョブに不要な処理部であるUIタッチパネル216、画像形成部240をスリープモードへは移行しない。
ユーザーDの「SCAN」ジョブが終了すると、次いで、「(サーバー)PRINT」ジョブに必要なUIタッチパネル216と、画像形成部240を稼動させる(その他のファクシミリ通信制御回路236は節電を維持する。
(立ち下げトリガ「スタンバイモードからスリープモードへの遷移制御」)
基本的には、立ち下げトリガとしては、タイマが適用される。タイマの利点は、予め定めた時間が経過しても画像処理装置10が何ら動作しない場合に、確実にスリープモードへ遷移される点にある。
逆に、不利な点は、既に指示されたジョブが終了し、使用者も立ち去っているのも関わらず、タイマによる設定時間に到達せず、画像処理装置10が不使用状態で放置される点にある。
図5に示される如く、ランニングモードにおいて画像処理が実行され、タイマ制御により予め定めた時間が経過するとスタンバイモードへ遷移する。さらに、タイマ制御により予め定めた時間が経過するスリープモードへ遷移する。このとき、スリープモードへ遷移すると、次の立ち上げに時間を要するため、利便性を優先するなら、タイマ設定時間を比較的長くとり、省エネ性を優先するなら、タイマ設定時間を比較的短くしなければならず、二律背反の現状では、平均的なタイマ時間の設定となっている。
そこで、本実施の形態では、スタンバイモードからスリープモードへ遷移する契機(立ち下がりトリガ)として、タイマと共に第1の人感センサ28と、第2の人感センサ30とを併用するようにした。
図17は、スタンバイモード時におけるスリープモード遷移制御ルーチンを示すフローチャートである。
ステップ300では、タイマのタイムアップ時間として時間tmaxをセットし(tmax>tmin)、ステップ302へ移行する。
ステップ302では、タイマをスタートさせ、次いでステップ304へ移行して第2の人感センサ30で移動体(使用者)を検知したか否かを判断する。この判断は、画像処理装置10の前(図6の第2の領域Nに相当)に使用者が立っているか否かを判断するものである。
このステップ304で肯定判定されると、ステップ306へ移行してタイマのタイムアップ時間をtmaxに変更又は維持して、ステップ308へ移行する。なお、ステップ302からステップ304へ移行した場合は、「維持」となり、後述するステップ320からステップ304へ移行した場合は、「変更」となる。
ステップ308では、フラグFをリセット(0)し、ステップ310へ移行する。
ステップ310では、現在設定されているタイムアップ時間に到達したか(タイムアップか)否かが判断され、肯定判定されると、ステップ312へ移行して、立ち下げトリガを起動して、スリープモードヘの遷移を実行し、このルーチンは終了する。
前記ステップ304において、否定判定されると、ステップ314へ移行してタイマのタイムアップ時間をtminに変更又は維持して、ステップ316へ移行する。なお、ステップ304からステップ314へ移行した場合は、「変更」となり、後述するステップ320からステップ314へ移行した場合は、「維持」となる。
ステップ316では、フラグFをセット(1)し、ステップ318へ移行する。
このステップ318へは、前記ステップ310で否定判定された場合にも移行する。
ステップ318では、第1の人感センサ28で移動体(使用者)を検知したか否かを判断する。この判断は、画像処理装置10の前よりも遠く、所謂周辺(図6の第1の領域Fに相当)に使用者が存在するか否かを判断するものである。
このステップ318において肯定判定されると、ステップ320へ移行してフラグFの状態を判断する、このステップ320でF=0と判定された場合はステップ304へ戻り、F=1と判定された場合はステップ314へ戻る。
また、ステップ318で否定判定された場合はステップ312へ移行して、タイマのタイムアップまでの残り時間に関係なく、直ちに立ち下げトリガを起動して、スリープモードヘの遷移を実行し、このルーチンは終了する。
(付加的要件1「第2の人感センサ30の配置構成」)
本実施の形態では、1個の第1の人感センサ28と1個の第2の人感センサ30による移動体(主として使用者)の画像処理装置10への使用目的による接近を判別するようにしたが、特に、第2の人感センサ30は、検出領域が狭いので、画像処理装置10の設置場所、使用者の接近する方向、立ち位置等を含む環境条件を考慮する必要がある。
このため、画像処理装置10の設置状態に基づいて、第2の人感センサ30による検出方向、検出領域、検出領域の形状(輪郭)を含む複数種の要素を調整可能としてもよい。この調整は、前記最大領域Mを基準とした、領域制限を意味するものである。
図18は、前記画像処理装置10の操作パネルの下面に、第1の人感センサ28及び第2の人感センサ30を取り付けるための取付構造が示されている。なお、第1の人感センサ28はもととも広域を検出するセンサ(例えば、焦電型センサ)であるので、領域調整は不要であり、本実施の形態では固定構造とした。しかし、以下に示す人感センサ30の領域調整構造を、第1の人感センサ28に適用してもよい。
さらに、本実施の形態では、第1の人感センサ28及び第2の人感センサ30の取付位置を画像処理装置10の操作パネルの下面としているが、画像形成部240上に画像読取部238を設置するときの支持体に取り付ける構成であってもよい。
操作パネルの下面部31には、第2の人感センサ30を取り付けるための矩形状の溝部32が取り付けられている。この溝部32に、第2の人感センサ30が収容されている。
図18(B)に示される如く、第2の人感センサ30は、平板状の回路基板部30Aと、先端に検出面を備えた筒状の検出部30Bとで構成されており、回路基板部30Aが前記溝部32の底面に突き当てられた固定されている。この結果、検出部30Bの検出面が溝部32の開口部に位置する。なお、本実施の形態では、検出部30Bにおける検出面の光軸は、回路基板部30Aの主面に対して直角とされ固定配置されているが、例えば、検出部30Bを回路基板部30Aに対して揺動可能に取り付けることで、検出面の光軸を自在に変更する構成としてもよい。この場合、後述する最大領域M(図19(B)〜図22(B)参照)の位置が、大きさを変えずに変更されることになる。なお、光軸の自在変更は、多軸構造、ボールジョイント構造、可撓性アーム構造等、特に限定されるものではない。
前記溝部32周縁には、前記第2の人感センサ30の検出部30Bにおける検出面に対向するように、マスク34が選択的に配置されるようになっている。マスク34は、開口面積、開口位置、開口形状が異なる開口部34Aが形成可能であり、図18(B)では、一例として、互いに開口位置が基本中心軸から偏心した3個の開口部34Aが形成されたマスク34を示している。このマスク34が取り付けられることで、人感センサ28の検出領域である、前記最大領域M(図19(B)〜図22(B)参照)が制限されるようになっている。
前記溝部32の周囲には、対向する一対の辺のそれぞれに沿って、互いに平行となるように一対の案内部材36が取り付けられている。
案内部材36は棒状で軸直角断面が略L字型に形成され、左右対称の状態で取り付けられている。
この一対の案内部材36に案内されて、当該案内部材36の長手方向一端部から、前記マスク34が摺動するようになっている。マスク34には、3箇所の取り付け基準中心(図18(B)の十字一点鎖線参照)が設定されており、マスク34は、何れかの基準中心を前記検出部30Bの検出面の光軸に合わせるように位置決めされている。
なお、マスク34は、案内部材36による摺動時の摩擦抵抗の状態にもよるが、前記位置決め後において、溝部32の周囲にマスク34をネジ止め、クリップ止め、弾性力による保持等々、周知の着脱可能な構造によって固定することが好ましい。
なお、後述するマスクパターン(図19〜図22参照)は、基本的なパターンをその形態別に分類した設定したものであるが、それぞれのパターンを複合的に設定したパターン(例えば、開口面積が小さく、かつ光軸がずれている、開口位置が左にずれ、かつ開口面積が大きい等)が設定されるマスクを準備してもよい。
なお、例えば、開口部が存在しないマスク34を準備し、設置場所に基づいて開口部の形状を型取り板に型取りし、この型取り板基づいて、画像処理装置10の設置現場でマスク34を加工するようにしてもよい。また、加工は型取り板を用いず、自由に加工してもよい。
さらには、検出したい領域を入力することで、最適な開口部34Aの形状を演算処理するプログラムを備えた制御機器を搭載、或いは、サービスマンが形態するようにしてもよい。
上記マスク34を取り付けることで、第2の人感センサ30による検出領域が最大範囲Mに対して制限され、画像処理装置10の設置場所に基づいて、操作目的で画像処理装置10に近づいてくる使用者とそれ以外とを、最大範囲Mを用いて判定するよりも、比較的高い確率で判定精度が向上される。
図19〜図22は、マスク34における様々な開口部34Aのパターンが示されている。
図19は、開口面積が異なるパターンであり、図19(A)の上からマスク非装着状態、相対的に中面積マスク状態、相対的に大面積マスク状態、相対的に小面積マスク状態を示している。
図19(A)に示される如く、開口部34Aの開口面積が異なるパターン(相対的に中面積、大面積、小面積)が形成されたマスク34を一対の案内部材36に沿って摺動させると、図19(B)に示されるように、同軸円上に異なる半径の検出範囲が設定可能である。
従って、画像処理装置10の設置場所が通路である場合、その通路の幅寸法等に合わせて、マスク34を摺動させることで、最大範囲Mを含めて4種類の検出範囲の中から選択して設定する。
図20は、開口面積が制限され、かつ開口中心が左右に異なるパターンであり、図20(A)の上からマスク非装着状態、相対的に非偏心マスク状態、相対的に左偏心マスク状態、相対的に右偏心マスク状態を示している。
図20(A)に示される如く、開口部34Aの開口面積が制限され、かつ開口中心が左右に異なるパターン(相対的に非偏心、左偏心、右偏心)が形成されたマスク34を一対の案内部材に沿って摺動させると、図20(B)に示されるように画像処理装置10の幅方向に沿うように3箇所の検出範囲が設定可能である。
従って、例えば、画像処理装置10の画像読取部238の左右の何れかに認証処理用のICカードリーダ38が設置され、画像処理装置10への最初の操作が必ず認証処理であるような場合、当該ICカードリーダ38の設置場所(画像読取部238の右側、或いは左側)によって、検出範囲を設定すればよい。
図21は、開口面積が制限され、かつ開口中心が前後に異なるパターンであり、図21(A)の上からマスク非装着状態、相対的に非偏心マスク状態、相対的に前偏心マスク状態、相対的に奥偏心マスク状態を示している。
図21(A)に示される如く、開口部34Aの開口面積が制限され、かつ開口中心が前後に異なるパターン(相対的に非偏心、前偏心奥偏心)が形成されたマスク34を一対の案内部材に沿って摺動させると、図21(B)に示されるように画像処理装置10の奥行き方向に沿うように3箇所の検出範囲が設定可能である。
従って、例えば、画像処理装置10の設置場所が、柱に沿って置かれたり、凹んだ場所に置かれ、正面からしか操作を目的とする人が近づいてこないような場合、その近づく通路方向に合わせて、マスク34を摺動させることで、3種類の検出範囲の中から選択して設定する。
なお、図19〜図21では、開口部34Aを円形としたが、矩形、多角形、楕円形、星形等、形状は限定されるものではなく、また、1種類のマスク位置に2以上の開口部が形成されていてもよい。
図22は、開口部34Aが自由に形成されたマスク34のパターンであり、図22(A)の上からマスク非装着状態、扁平マスク状態、相対的に装置左位置ピンポイントマスク状態、相対的に装置右位置ピンポイントマスク状態を示している。
図22(A)に示される如く、開口部34Aが自由パターン(扁平、装置左位置ピンポイント装置右位置ピンポイント)で形成されたマスク34を一対の案内部材に沿って摺動させると、図22(B)に示されるように画像処理装置10の設置場所やオプション装着状態に合わせて3箇所の検出範囲が設定可能である。
例えば、扁平形状の開口部34Aを適用されると、画像処理装置10の左右にオプション装置(自動仕分装置40や大容量用紙収容装置42)が取り付けられた状態で狭い通路に設置された場合に、オプション装置を含め全ての前面において奥行き方向は狭く設定されるので、通路の反対側の通る人は検知されず、画像処理装置10に接近する人が検出される。なお、この場合、例えば、オプション装置としての大容量用紙収容装置42に用紙を補給するために画像処理装置10に近づいてきた場合、この大容量用紙収容装置42の前にきただけで第2の人感センサ30が人を検知し、電力供給が再開されたメインコントローラ200によって用紙補給状態が認識されることになる。
なお、本実施の形態では、固定された第2の人感センサ30に対して、マスク34を案内部材36に沿って摺動させて、開口部34Aを選択する構成としたが、予め開口部34A或いはこれに準じる複数の検出面制限部を予め画像処理装置10に形成しておき、検出面制限部材の中から1つまたは複数選択して、1個又は複数の第2の人感センサ30を取付ける構成としてもよい。
また、マスク34の移動は直線的な摺動に限られるものではなく、当然1枚1枚交換する構成でもよいし、例えば円板の周縁に複数の開口部34Aを形成し、回転させることで開口部34Aを選択する、所謂ターレット式であってもよい。さらには、第2の人感センサ30を三次元的に移動可能な架台に支持するようにし、検出面の光軸の調整の自由度を増してもよい。
また、第2の人感センサ30で検出した移動体の検出履歴情報に基づいて、使用目的で近づいてくる使用者を特定する確率の高い取付状態を決定するようにしてもよい。さらに、電力供給モード中、或いは節電モード中において充分な電力が確保できる場合、モータ等の駆動源を用いて、前記検出履歴情報に基づいて、第2の人感センサ30の向きや、マスク34の開口部34Aの選択ための移動を自動的に調整可能としてもよい。
(付加的要件2「センサ感度」)
本実施の形態に適用される第1の人感センサ28、第2の人感センサ30において、それぞれ、移動体を検出する感度を持っている。
例えば、画像処理装置10では、画像処理が終了した時点でタイマを起動させて所定時間後にスリープモードへ移行し、第1の人感センサ28、第2の人感センサ30によって画像処理装置10の周囲の検出領域に人が侵入したことでウォームアップモード等へ遷移させる。
ところで、スリープモードへの遷移に関しては、相対的に早期にスリープモードに遷移すればするほど(タイマによる節電移行時間が短ければ短いほど)、「省エネ性能」が高い。一方、ウォームアップモード等の電力供給状態のモードへ遷移する場合は、相対的に早期に電力供給状態のモードへ遷移すればするほど(第1の人感センサ28、第2の人感センサ30による感度が高ければ高いほど)、「利便性」が高い。言い換えれば、省エネ性能と利便性とは二律背反の関係にある。
そこで、図23に示される如く、「省エネ性能」と「利便性」との平衡化を図るべく、双方の効果の度合いを段階的に設定した指標を確立した。
すなわち、画像処理装置10のメインコントローラ200(節電中監視制御部24を含む)では、当該画像処理装置10の使用状況に基づいて、当該指標に従って段階(図23では、段階1〜5に設定されている)を特定し、前記「省エネ性能」と「利便性」との両立化させるように制御する。
第1の人感センサ28、第2の人感センサの感度、並びに節電移行タイマ(以下、単に「タイマ」という場合がある)のカウント値の段階設定制御が実行される場合、前記タイマのカウント値の段階が変更されることに連動し、第1の人感センサ28、第2の人感センサ30の感度が変更されるように制御される(図23の段階1〜5の指標参照)。
例えば、タイマのカウント値が長くなれば、その分利便性は高くなるが、省エネ性能が低下する。そこで、第1の人感センサ28、第2の人感センサ30の感度を低くすることで、利便性が犠牲となるが、省エネ性能低下分が補填される。
一方、タイマのカウント値が短くなれば、その分省エネ性能が向上するが、利便性が低下する。そこで、人感センサ28の感度を高くすることで、省エネ性能は犠牲となるが、利便性低下分が補填される。
また、逆に、第1の人感センサ28、第2の人感センサ30の感度、並びにタイマのカウント値の段階設定制御が実行される場合、第1の人感センサ28、第2の人感センサ30の感度が変更されることに連動し、前記タイマのカウント値の段階が変更されるように制御する(図23の段階1〜5の指標参照)。例えば、第1の人感センサ28、第2の人感センサ30の感度が低くなれば、その分省エネ性能は高くなるが、利便性が低下する。そこで、タイマのカウント値を長くすることで、省エネ性能は犠牲になるが、利便性低下分が補填される。一方、第1の人感センサ28、第2の人感センサ30の感度が高くなれば、その分利便性が向上するが、省エネ性能が低下する。そこで、タイマのカウント値を短くすることで、利便性は犠牲になるが、省エネ性能低下分が補填される
(付加的要件3「人感センサのフェイルセーフ」)
本実施の形態では、前述した基本機能に加え、複数の人感センサ(本実施の形態では、1個の(焦電型)人感センサ28、1個の(反射型)人感センサ30)を用いることで、双方のフェイルセーフ機能を備えている。すなわち、何れかの一の人感センサが故障して信号が出力が途絶えたり、或いは、異常信号が出力された場合に、他の人感センサがこれを補うようにしている。
当然、同一の機能(焦電型、反射型)の人感センサが複数個あれば、検出領域を調整すればよいが、本実施の形態のように、異なる機能の人感センサが1個ずつの場合は、監視制御形態を変更する必要がある。
ここで、第1の人感センサ28(焦電型センサ)が使用不能となった場合は、第2の人感センサ30(反射型センサ)のみをスリープモード中の全てで移動体を監視し、この第2の人感センサ30のオン・オフ信号のみで移動体(使用者)の在・不在を判定すれば、判定精度が落ち、かつ立ち上げ契機が遅延するにしても、併せて、異常報知をしておけば、サービスマン等が来るまでの緊急措置としての対応は十分である。
一方、第2の人感センサ30(反射型センサ)が使用不能となり、第1の人感センサ28のみで監視する事態に陥ると、第1の人感センサ28の性質(仕様)上、画像処理装置10の前で立ち止まるといった使用者の行動に対応できず、第2の人感センサ30の単独監視に比べて、さらに判定精度が落ち、かつ、逆に無駄な立ち上げが多くなる。
そこで、第1の人感センサ28(焦電型センサ)のみの監視体制を確立した。なお、本実施の形態では、この第1の人感センサ28(焦電型センサ)のみの監視体制をフェイルセーフとして位置付けているが、当初から焦電型センサのみで監視する仕様の画像処理装置にも適用可能である。
以下、図24のフローチャートに従い、第2の人感センサ30が故障し、第1の人感センサ28の単独によるスリープモード時監視制御ルーチンを示す。なお、第2の人感センサ30の故障診断に関しては、周知のセンサ故障診断システムを用いればよいので、ここでの詳細な説明は省略する。
図24に示される如く、ステップ400では、第1の人感センサ28で移動体(使用者)を検知したか否かが判断され、否定判定された場合はこのルーチンは終了する。なお、スリープモード中は基本的に他の処理は行っていないので、直ちにステップ400へ戻ることになる。
前記ステップ400で肯定判定されると、ステップ402へ移行し、画像処理装置10の動作状態を、図5に示すスリープモード(slp)からアウェイクモード(awk)モードへ遷移する。この遷移は、基本的には依然としてスリープモードではあるが、UIタッチパネル216に電力が供給され、起動した状態である。
次のステップ404では、節電中監視制御部24での第1の人感センサ28による監視体制を「無効」とし、ステップ406へ移行する。これは、例えば、使用者が画像処理装置10の前で立ち止まり、静止すると、第1の人感センサ28の出力がなくなり、使用者が去ったと判断される可能性があるからである。
ステップ406ではUIタッチパネル216を用いたキー入力(操作)があったか否かが判断され、否定判定されると、ステップ408へ移行して予め設定した第1の所定時間が経過したか否かが判断される。このステップ408で否定判定されると、ステップ406へ戻り、ステップ406、408を繰り返す。
上記ステップ406,408の繰り返し中、ステップ406で肯定判定、すなわち、キー入力(操作)があったと判定されると、ステップ416へ移行する(後述)。
また、ステップ408で肯定判定、すなわち、第1の所定時間が経過してもキー入力(操作)がないと判定されると、ステップ410へ移行して、UIタッチパネル216へメッセージ(例えば「キー操作をして下さい」等)を表示し、ステップ412へ移行する。
これにより、仮に、画像処理装置10の前に使用者がいれば、キー操作を迅速に行う契機となり得る。なお、メッセージ内容は、上記に限らず、使用者にキー操作を促すメッセージであれば限定されるものではなく、視覚以外の五感(例えば、聴覚や触覚)を通じて報知してもよい。
次のステップ412では、UIタッチパネル216を用いたキー入力(操作)があったか否かが判断され、否定判定されると、ステップ414へ移行して予め設定した第2の所定時間が経過したか否かが判断される。このステップ414で否定判定されると、ステップ412へ戻り、ステップ412、414を繰り返す。
なお、第1の所定時間と第2の所定時間の間に相関関係はないが、例えば、第1の所定時間は移動体(使用者)が近づいている可能性があるので比較的に長い時間に設定し、第2の所定時間はメッセージをみれば直ちに操作するであろうと予測できるので比較的短い時間に設定する、といった目的に応じた時間の設定が可能である。
上記ステップ412、414の繰り返し中、ステップ414で肯定判定、すなわち、キー入力(操作)があったと判定されるとステップ416へ移行する。ステップ416では、立ち上げトリガを出力し、このルーチンは終了する。これにより、画像処理装置10の動作状態はウォームアップモード(wup)へ遷移し、ウォームアップが完了すると、スタンバイモード(stb)となる。
また、ステップ414で肯定判定、すなわち、第2の所定時間が経過してもキー入力(操作)がないと判定されるとステップ418へ移行して、節電中監視制御部24での第1の人感センサ28による監視体制を「有効」として、このルーチンは終了する。
(人感センサのモード毎の選択(電力供給パターン))
図25は、第1の人感センサ28(図25では「(1)」と表記)と第2の人感センサ30(図25では(「2」)と表記)に対して電力を供給するか(「ON」)しないか(「OFF」)をモード毎に選択したパターンの例としてパターンA〜Dを示している。
パターンAは、常時ON(電力供給)状態であるパターンであり、利便性が最も重視されるときに適用される。
パターンBは、第1の人感センサ28がスリープモード以外はOFF(電力非供給)状態となるパターンであり、使用者が画像処理装置10の前に立っていることが認識されれば、遠い領域(例えば、図6に示す領域F)の検出は不要である。
パターンCは、第1の人感センサ28、第2の人感センサ30共に、スリープモード以外はOFF(電力非供給)状態となるパターンであり、使用者が画像処理装置10の前に立っていることが認識された後、UIタッチパネル216等の入力操作の有無やタイマでその後のモード遷移を判定すればよい。
パターンDはアウェイクモードが設定された場合に、第2の人感センサ30よりも先に、第1の人感センサ28がOFF(電力非供給)状態となるパターンであり、また、ランニングモード後のスタンバイモードでは第1の人感センサ28よりも先に、第2の人感センサ30がON(電力供給)状態となるパターンである。
なお、電力供給パターンは、上記パターンA〜Dは組み合わせの一部であり、消費電力の削減を優先するか、利便性を優先するかによって、様々な組み合わせが考えられ、本実施の形態では、各モードに対する組み合わせに制限はない。言い換えれば、第1の人感センサ28と第2の人感センサ30に対して、各モード状態で独立して電力供給の可否を選択可能であることが特徴である。