JP2016186241A - バルブ装置 - Google Patents

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Mikito Ishii
幹人 石井
雄太 長谷部
Yuta Hasebe
雄太 長谷部
山口 雅史
Masafumi Yamaguchi
雅史 山口
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Abstract

【課題】軸受に対してバルブ軸が傾いてもバルブ軸と軸受の間を通って排気ガスが外部に漏れ出るのを防ぐ。【解決手段】ターボチャージャに用いられるバルブ装置は、弁体1を回動操作するバルブ軸2と、このバルブ軸2を摺動自在に支持する軸受4とを備え、バルブ軸2に設けた段差面Aと、軸受4に設けた段差面Bとを軸方向に圧接する構造を採用する。軸側段差面Aを外側へ膨らむ球面形状に設けるとともに、受側段差面Bを内側へ凹む球面形状に設ける。これにより、軸受4に対してバルブ軸2が傾いても、軸側段差面Aと受側段差面Bは接触状態を保ったまま摺動するのみであり、軸側段差面Aと受側段差面Bとの間に隙間が生じない。このため、軸受4に対してバルブ軸2が傾いても、バルブ軸2と軸受4の間を通って排気ガスが外部へ漏れ出るのを防ぐことができる。【選択図】 図1

Description

本発明は、排気ガスが導かれる排気通路の開閉を行うターボチャージャ用のバルブ装置に関するものであり、特に弁体を回動操作するバルブ軸と軸受との間のシール技術に関する。
(従来技術)
弁体を回動操作するバルブ軸と軸受との間のシール技術として、特許文献1に開示される技術が知られている。
特許文献1に開示されるシール技術は、図7(a)に示すように、バルブ軸2に設けた段差(以下、軸側段差面Aと称す)と、軸受4に設けた段差(以下、受側段差面Bと称す)とを軸方向で圧接させるものであり、軸側段差面Aと受側段差面Bとが軸方向で重なることで排気ガスの漏れが防がれる。
(従来技術の問題点)
軸受4に形成される摺動穴6とバルブ軸2との間には、摺動クリアランスが存在する。このため、軸受4に対してバルブ軸2に傾くトルクが加えられると、軸受4に対してバルブ軸2が傾く可能性がある。
従来技術では、軸側段差面Aがバルブ軸2の軸芯に対して垂直な平面に設けられるとともに、受側段差面Bが摺動穴6の軸芯に対して垂直な平面に設けられていた。
このため、バルブ軸2に付与される傾きトルクにより、軸受4に対してバルブ軸2が傾くと、図7(b)に示すように、軸側段差面Aと受側段差面Bとの重なりが解除されてしまい、軸側段差面Aと受側段差面Bとの間に隙間が生じてしまう。その結果、バルブ軸2と軸受4の間の摺動クリアランスを通って排気ガスが外部に漏れ出る懸念がある。
特表2012−504727号公報
本発明は、上記問題点に鑑みて成されたものであり、その目的は、軸受に対してバルブ軸が傾いてもバルブ軸と軸受の間を通って排気ガスが外部に漏れ出るのを防ぐことができるターボチャージャ用のバルブ装置の提供にある。
本発明のバルブ装置は、特許請求の範囲の請求項1に記載されるように、内側シール面(α)を外側へ膨らむ球面形状(凸形の球面形状)に設けるものである。
これにより、軸受(4)に対してバルブ軸(2)が傾いても軸側段差面(A)と受側段差面(B)との間に隙間が生じない。その結果、軸受(4)に対してバルブ軸(2)が傾いてもバルブ軸(2)と軸受(4)の間を通って排気ガスが外部に漏れ出るのを防ぐことができる。
バルブ装置の概略断面図である(実施例1)。 シール箇所の拡大断面図である(実施例1)。 シール箇所の拡大断面図である(実施例2)。 バルブ装置の概略断面図である(実施例3)。 バルブ装置の概略断面図である(実施例4)。 バルブ装置の概略断面図である(実施例5)。 シール箇所の拡大断面図である(従来例)。
以下において発明を実施するための形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
ターボチャージャに用いられるバルブ装置の具体的な一例(実施例)を説明する。なお、以下の実施例は一例であり、本発明が実施例に限定されないことは言うまでもない。
[実施例1]
図1、図2に基づいて実施例1を説明する。
図1に示すバルブ装置は、ターボチャージャに用いられるものであり、
(i)排気タービンのタービン羽根車へ排気ガスを導く排気通路を開閉する切替バルブであっても良いし、
(ii)タービン羽根車を迂回する排気通路(バイパス路)を開閉するウエストゲートバルブであっても良い。
なお、切替バルブとして用いる場合には、
(i)ツインスクロールタービンにおける容量可変に用いるものであっても良いし、
(ii)ツインターボの作動状態の切替えに用いるものであっても良い。
ツインスクロールタービンに用いる切替バルブは、タービン羽根車を収容するタービンハウジングに独立した2つの排気スクロールを形成したターボチャージャに用いられるものであり、一方の排気スクロールを切替バルブによって開閉するものである。
一方、ツインターボの切替バルブは、独立した2つのターボチャージャを搭載する車両に用いるものであり、一方のターボチャージャの排気タービンに通じる排気通路を切替バルブによって開閉するものである。
バルブ装置は、耐熱性や耐腐食性に優れた金属材料(鉄やステンレス等)によって設けられるものであり、
・排気ガスが通過可能な排気通路(上述したバイパス路、一方の排気スクロール、一方のターボチャージャに通じる排気通路など)の一部が形成されるハウジングと、
・ハウジング内に形成された排気通路を開閉する弁体1と、
・この弁体1を開閉操作するバルブ軸2と、
・このバルブ軸2の回動動作を弁体1に伝えるバルブアーム3と、
・ハウジングに対してバルブ軸2を回転自在に支持する軸受4と、
を備えて構成されるスイングバルブである。
弁体1は、内側に排気ガスが流れる開口部を閉塞可能な蓋形状(例えば、弁傘形状等)を呈するものであり、バルブアーム3に対して所定のクリアランス(ガタツキ)を介して取り付けられる(限定しない)。
バルブ軸2は、略円柱棒状の軸体であり、一端側がハウジングの内部で排気ガスが触れるものであり、他端側がハウジングの外部において大気中に露出する。
バルブ軸2の一端(排気ガスに触れる側)には、バルブアーム3が設けられる。このバルブアーム3は、バルブ軸2から外径方向へ延びる部材であり、バルブ軸2と一体に設けられるものであっても良いし、バルブ軸2に溶接等の結合技術により一体化されるものであっても良い。
バルブ軸2の他端(大気中に露出する側)には、バルブ軸2を回動操作するための外部レバー5が結合される。
この外部レバー5は、バルブ軸2と回動方向および軸方向へ一体に動くものであり、排気タービンから熱的に離れた部位(例えば吸気コンプレッサ等)に配置されたアクチュエータからロッド等によるトルク伝達手段を介して回動操作される。
軸受4は、中心部にバルブ軸2を挿通する摺動穴6が形成される略筒状のメタル軸受であり、この軸受4はハウジングに対して圧入、溶接、ボルト等の結合技術を用いて固定される。
この軸受4とバルブ軸2との間には、軸受4とバルブ軸2との間の摺動クリアランスを閉塞し、排気ガスが摺動クリアランスを通って大気中へ漏れるのを防ぐシール手段が設けられている。
このシール手段は、バルブ軸2と軸受4を軸方向に圧接して、バルブ軸2と摺動穴6との間をシールするものであり、以下では実施例説明のための便宜上の用語を説明する。
(a)バルブ軸2の軸芯が伸びる方向を軸方向とする。
(b)軸受4に支持されるバルブ軸2に傾斜負荷(摺動穴6の軸芯に対してバルブ軸2の軸芯を傾斜させる荷重)を与えて摺動穴6の内周面とバルブ軸2の外周面とを軸方向に離れた2箇所で接触させた際に、排気通路に近い側における軸方向の接触位置を内側接触位置P1とし、排気通路に遠い側における軸方向の接触位置を外側接触位置P2とする。
(c)軸方向における内側接触位置P1と外側接触位置P2の間を摺動支持範囲Lとする。
(d)バルブ軸2の軸芯上で、且つ内側接触位置P1と外側接触位置P2の真中点を傾斜中心点P0とする。
(e)バルブ軸2において軸受4と軸方向に圧接してシールを成す箇所を軸側段差面Aとする。
(f)軸受4においてバルブ軸2と軸方向に圧接してシールを成す箇所を受側段差面Bとする。
(g)軸側段差面Aと受側段差面Bのうち、傾斜中心点P0に近い側を内側シール面αとし、傾斜中心点P0から遠い側を外側シール面βとする。
(h)摺動支持範囲Lより排気通路に近い側を内側範囲Linとし、摺動支持範囲Lより排気通路から遠い側を外側範囲Loutとする。
(i)傾斜中心点P0より排気通路に近い側(図1の左側)を高温側とし、傾斜中心点P0より排気通路から遠い側(図1の右側)を低温側とする。
バルブ装置は、軸側段差面Aと受側段差面Bの少なくとも一方を、球面に設ける。
少し具体的に説明すると、
・軸側段差面Aと受側段差面Bの一方が球面に設けられ、
・軸側段差面Aと受側段差面Bの他方が球面または円錐状のテーパ面に設けられる。
もう少し具体的に説明すると、軸側段差面Aと受側段差面Bの少なくとも一方に設けられる球面は、傾斜中心点P0(または傾斜中心点P0の近傍部位)を中心とした半径の球面に設けられる。
このことをさらに具体的に説明すると、この実施例では、内側シール面αを外側へ膨らむ球面形状に設けている。
この実施例の内側シール面αは、軸側段差面Aであり、この軸側段差面Aに設けられる球面形状は、断面が真円の円弧のR面に設けられている。即ち、軸側段差面Aを成す球面形状は、真球の球面形状である。この球面の中心点(軸側段差面Aを成す球体の中心点)は、傾斜中心点P0に一致して設けられる。即ち、軸側段差面Aは、傾斜中心点P0を中心とした所定半径raの球面である。
一方、この実施例の外側シール面βは、受側段差面Bに設けられる。
この受側段差面Bは、図2に示すように、内側に凹む球面形状(凹形の球面形状)に設けられる。
具体的に、受側段差面Bに設けられる球面形状は、軸側段差面Aと同様、断面が真円の円弧に設けられている。即ち、受側段差面Bを成す球面形状は、真球の球面形状である。この球面の中心点(受側段差面Bを成す球体の中心点)は、傾斜中心点P0に一致して設けられる。即ち、受側段差面Bは、傾斜中心点P0を中心とした所定半径raの球面である。
なお、この実施例では、軸側段差面Aと受側段差面Bとを同一の曲率で設ける例を示すが、この実施例とは異なり、受側段差面Bの曲率半径を僅かに大きくして、軸側段差面Aの曲面に対して受側段差面Bの曲面を緩やかに設けても良い。
また、この実施例では、軸側段差面Aと受側段差面Bのそれぞれの球面の中心を、傾斜中心点P0に設ける例を示すが、この実施例とは異なり、軸受4に対してバルブ軸2が傾斜した状態で軸側段差面Aと受側段差面Bのシール性を確保できる範囲であれば、軸側段差面Aと受側段差面Bのそれぞれの球面の中心を傾斜中心点P0からずらしても良い。
この実施例の軸側段差面Aと受側段差面Bの当接箇所は、摺動穴6の内部に設けられる。
また、この実施例では、バルブ軸2と軸受4が軸方向に圧接してシールを成す箇所(即ち、軸側段差面Aと受側段差面Bが圧接する箇所)を、図1に示すように、摺動支持範囲L内に設ける。
さらに、この実施例では、排気ガスの圧力によってバルブ軸2に付与される力が、軸側段差面Aと受側段差面Bを軸方向に押し付けるように設けられる。具体的に、排気ガスの圧力によってバルブ軸2には高温側から低温側に向かう付勢力が付与されるため、軸側段差面Aが低温側(図1右側)に向くように設けられる。
具体的に説明すると、バルブ軸2には、径の大きい大径軸2aと、径の小さい小径軸2bとが同芯に設けられており、大径軸2aが高温側に設けられ、小径軸2bが低温側に設けられ、大径軸2aと小径軸2bの段差箇所が軸側段差面Aとして設けられている。
一方、軸受4には、大径軸2aより摺動クリアランス分だけ僅かに大径な大径穴6aと、小径軸2bより摺動クリアランス分だけ僅かに大径な小径穴6bとが同芯に設けられており、大径穴6aが高温側に設けられ、小径穴6bが低温側に設けられ、大径穴6aと小径穴6bの段差箇所が受側段差面Bとして摺動穴6の内部に設けられる。
この実施例のシール手段には、軸側段差面Aと受側段差面Bを軸方向で圧迫するためのバネ手段7が設けられている。
このバネ手段7は、軸受4と外部レバー5との間において軸方向に圧縮された状態で組み付けられる金属製の弾性体であり、バネ手段7の復元力により軸受4と外部レバー5に軸方向へ離間する付勢力を付与する。これにより、外部レバー5に結合されたバルブ軸2の軸側段差面Aと、軸受4の受側段差面Bとが、軸方向で強く圧迫される。
なお、以下ではバネ手段7の具体的な一例として圧縮コイルスプリングを用いるが、もちろん限定するものではなく、1枚または積層配置される複数枚の皿バネ、1枚または積層配置される複数枚のウェーブワッシャなど、適宜変更可能なものである。
(実施例1の効果1)
この実施例1のバルブ装置は、上述したように、軸側段差面A(この実施例では内側シール面α)を外側へ膨らむ球面形状に設けるとともに、受側段差面B(この実施例では外側シール面β)を内側へ凹む球面形状に設けている。
このため、アクチュエータから外部レバー5に回動トルクが付与される場合など、バルブ軸2に傾きトルクが付与されて、軸受4に対してバルブ軸2が傾いたとしても、軸側段差面Aと受側段差面Bが接触状態を保ったまま摺動するのみであり、軸側段差面Aと受側段差面Bとの間に隙間が生じない。
このように、バルブ軸2に外部負荷が加えられるなどして、軸受4に対してバルブ軸2が傾いても、軸側段差面Aと受側段差面Bのシール状態が保たれるため、バルブ軸2と軸受4の間を通って排気ガスが外部へ漏れ出るのを防ぐことができる。
(実施例1の効果2)
この実施例1のバルブ装置は、軸受4に対してバルブ軸2が傾いた場合に、その傾きトルクは、内側接触位置P1と外側接触位置P2においてバルブ軸2と軸受4の接触箇所が受ける。
これにより、軸側段差面Aと受側段差面Bに加わる負荷を抑えることができるため、軸側段差面Aと受側段差面Bの摩耗を抑えることができる。
(実施例1の効果3)
この実施例1のバルブ装置は、軸側段差面Aを外側へ膨らむ球面形状に設けるとともに、受側段差面Bを内側へ凹む球面形状に設けている。
そして、軸受4に対してバルブ軸2が傾く場合に、球面形状を呈する軸側段差面Aと球面形状を呈する受側段差面Bが面接触を保ったまま摺動する。このため、軸側段差面Aと受側段差面Bの面圧を抑えることができ、これによっても軸側段差面Aと受側段差面Bの摩耗を抑えることができる。
(実施例1の効果4)
この実施例1のバルブ装置は、軸側段差面Aを外側へ膨らむ球面形状に設けるとともに、受側段差面Bを内側へ凹む球面形状に設けている。
これにより、軸側段差面Aと受側段差面Bが直接接触していない箇所(接触箇所の近傍)のクリアランスを狭くできるため、シール手段のシール性を高めることができる。
(実施例1の効果5)
この実施例1のバルブ装置は、排気ガスの圧力によってバルブ軸2に付与される力が、軸側段差面Aと受側段差面Bを軸方向に押し付ける。
具体的に排気ガスの圧力は、バルブ軸2に図1右向きの付勢力を与える。このため、排気ガスの圧力が高まることで、バルブ軸2の軸側段差面Aが軸受4の受側段差面Bに強く押し付けられる。これにより、排気ガスの圧力増加によって、シール手段のシール性をアシストでき、排気ガスの圧力増加することによって排気ガスの漏れ量が増加する不具合を防ぐことができる。
(実施例1の効果6)
この実施例1のバルブ装置は、軸側段差面Aを受側段差面Bに強く押し付けるためのバネ手段7を、排気ガスに触れる高温環境ではなく、大気側の低温環境に配置している。このため、バネ手段7が排気ガスの高温に晒されてへたる不具合を回避でき、バルブ手段の長期信頼性を高めることができる。
なお、排気ガスの圧力によって軸側段差面Aと受側段差面Bのシール性を十分に確保できる場合には、バネ手段7を廃止しても良い。
[実施例2]
図3に基づいて実施例2を説明する。なお、以下の各実施例において、上記実施例1と同一符合は同一機能物を示すものである。
(実施例2の特徴技術1)
上記実施例1では、外側シール面βに相当する受側段差面Bを「内側に凹む球面形状」に設ける例を示した。
これに対し、この実施例2は、外側シール面βに相当する受側段差面Bを「内面が円錐形状のテーパ面」に設けるものである。
具体的に、このテーパ面は、高温側から低温側に向かって縮径して軸側段差面A(外側へ膨らむ球面)が着座する面であり、断面が直線上の傾斜面に設けられる。
このように、外側シール面βに相当する受側段差面Bを「内面が円錐形状のテーパ面」に設けることにより、実施例1に比較して(つまり、受側段差面Bを「内側に凹む球面形状」に設ける場合に比較して)、軸側段差面Bの加工コストを抑えることができ、結果的に本発明を採用するバルブ装置の実施コストを抑えることができる。
また、軸受4に対してバルブ軸2が傾いたとしても、外側へ膨らむ球面形状を呈する軸側段差面Aがテーパ面に設けられた受側段差面Bに「線接触する状態」が保たれるため、軸側段差面Aと受側段差面Bとの間に隙間が生じない。
このため、上記「実施例1の効果1」と同様、軸受4に対してバルブ軸2が傾いても、バルブ軸2と軸受4の間を通って排気ガスが外部に漏れ出るのを防ぐことができる。
(実施例2の特徴技術2)
受側段差面Bに設けられるテーパ面のテーパ角θ(傾斜角度)は、「摺動穴6の軸芯方向に対して垂直な面」に対して15°以内の円錐面に設けられる。即ち、テーパ面のテーパ角θは、「摺動穴6の軸芯方向に対する垂直面を基準(0°)」として15°以下に設けられる。
このように、受側段差面Bのテーパ角θを15°以下の浅いテーパ面に設けることで、受側段差面Bのテーパ面に軸側段差面Aの球面が食い込むことで生じる「くさび効果」を回避できる。
具体的に、受側段差面Bのテーパ面に、軸側段差面Aの球面が食い込むと、軸受4に対するバルブ軸2の摺動性が損なわれてしまう。これに対し、この実施例2は、受側段差面Bのテーパ面のテーパ角θを15°以下に設けて「くさび効果」を回避するため、食い込みによってバルブ軸2の摺動性が損なわれる不具合が生じない。
[実施例3]
図4に基づいて実施例3を説明する。
上記の実施例1では、バルブ軸2と軸受4が軸方向に圧接してシールを成す箇所(即ち、軸側段差面Aと受側段差面Bが圧接する箇所)を摺動支持範囲L内に設ける例を示した。
これに対し、この実施例3では、バルブ軸2と軸受4が軸方向に圧接してシールを成す箇所を、外側範囲Loutに設けるものである。
このように、軸側段差面Aと受側段差面Bが圧接する箇所を、外側範囲Loutに設けることで、傾斜中心点P0から軸側段差面Aまでの半径rbを大きくできる。即ち、軸側段差面Aおよび受側段差面Bの曲率半径を大きくできる。このため、軸側段差面Aと受側段差面Bにおける「ヘルツの接触応力」を小さくすることができる。
また、軸側段差面Aおよび受側段差面Bの曲率半径を大きくできるため、軸側段差面Aと受側段差面Bにおいて「かじり」が生じ難くなり、「かじり」によって生じるバルブ軸2の摺動性の悪化や、軸側段差面Aと受側段差面Bの摩耗を抑えることができる。
さらに、軸側段差面Aと受側段差面Bが圧接してシールを成す箇所を外側範囲Loutに設けることで、軸側段差面Aと受側段差面Bが圧接する箇所の温度が、大気への放熱により下がりやすくなる。このため、軸側段差面Aと受側段差面Bの熱的な強度低下を抑えることができ、軸側段差面Aと受側段差面Bの摩耗を抑えることができる。また、軸側段差面Aと受側段差面Bの負荷に対する機械的な信頼性を高めることができる。
[実施例4]
図5に基づいて実施例4を説明する。
上記の実施例3では、バルブ軸2と軸受4が軸方向に圧接してシールを成す箇所(即ち、軸側段差面Aと受側段差面Bが圧接する箇所)を外側範囲Loutに設ける例を示した。
これに対し、この実施例4は、バルブ軸2と軸受4が軸方向に圧接してシールを成す箇所を内側範囲Linに設けるものである。
なお、上記実施例1〜3では、内側シール面αが軸側段差面Aであり、外側シール面βが受側段差面Bであった。
これに対し、この実施例4は、内側シール面αが受側段差面Bであり、外側シール面βが軸側段差面Aである。
このように設けても、実施例1と同様の効果を得ることができる。
[実施例5]
図6に基づいて実施例5を説明する。
(実施例5の特徴技術1)
このバルブ装置は、軸側段差面Aと受側段差面Bが軸方向へ最大に離れる距離(内側シール面αと外側シール面βの軸方向の最大離間距離)を所定距離以下(例えば、1mm以下等)に規制する規制手段を備える。
実施例5に示す規制手段は、軸受4の先端を外部レバー5に近づく方向へ延長した筒状の延長筒8であり、その内側にバルブ軸2が挿通される。
この延長筒8を設けることにより、バネ手段7を圧縮する負荷が外部レバー5やバルブ軸2に加えられても、軸側段差面Aと受側段差面Bの軸方向の離間距離を僅かな距離に抑えることができるとともに、延長筒8の先端と外部レバー5とが接触して排気ガスの漏れ出る隙間を塞ぐ。
このため、バネ手段7を圧縮する負荷が外部レバー5やバルブ軸2に加えられても、排気ガスが大気中に漏れ出るのを防ぐことができる。
(実施例5の特徴技術2)
この実施例5は、延長筒8の先端と外部レバー5の接触箇所の両方を球面に設けている。
具体的に、延長筒8の先端は外側に膨らむ球面であり、さらに詳しく説明すると、傾斜中心点P0を中心とした所定半径rcの球面である。
一方、延長筒8の先端が接触する範囲に設けられる外部レバー5の球面は、内側へ凹む球面であり、さらに詳しく説明すると、延長筒8の先端に形成される球面と同じ曲率の球面である。
このように設けることにより、延長筒8と外部レバー5が接触した状態で、軸受4に対してバルブ軸2が傾いたとしても、球面形状を呈する延長筒8の先端が、球面形状を呈する外部レバー5に重なった状態が保たれるため、排気ガスが大気中に漏れ出るのを防ぐことができる。
(実施例5の特徴技術3)
この実施例5の軸受4は、軸方向に2分割して設けられる。具体的に、この実施例5の軸受4は、大径穴6aが設けられる第1軸受4aと、小径穴6bおよび延長筒8が設けられる第2軸受4bとを別体に設け、圧入や溶接等の結合技術により第1軸受4aと第2軸受4bを結合したものである。
このように軸受4を2分割して設けることで、受側段差面Bの球面加工を容易に実施でき、受側段差面Bを球面に設けたバルブ装置のコストを抑えることが可能になる。
本発明の適用範囲外であるが、排気ガスが流れる通路の開閉を行うバルブ装置(EGRバルブ、排気絞りバルブ、EGRクーラのバイパス開閉バルブ、排熱回収装置の排気切替バルブなど)に産業上利用することが可能である。あるいは、排気ガスを扱わないバルブ装置に適用することも産業上利用可能である。
また、片持ち支持されるバタフライバルブに利用することも可能である。
1・・弁体 2・・バルブ軸
4・・軸受 6・・摺動穴
A・・軸側段差面 B・・受側段差面
L・・摺動支持範囲 P0・・傾斜中心点
P1・・内側接触位置 P2・・外側接触位置
α・・内側シール面 β・・外側シール面

Claims (7)

  1. 排気ガスが通過可能な排気通路を開閉する弁体(1)を回動操作するバルブ軸(2)と、
    このバルブ軸(2)が挿通される摺動穴(6)を備え、この摺動穴(6)に挿通された前記バルブ軸(2)を回転方向へ摺動自在に支持する軸受(4)とを備え、
    前記バルブ軸(2)の軸芯が伸びる方向を軸方向とした場合に、前記バルブ軸(2)と前記軸受(4)が軸方向に圧接して前記バルブ軸(2)と前記摺動穴(6)との間をシールするターボチャージャ用のバルブ装置において、
    前記軸受(4)に支持される前記バルブ軸(2)に傾斜負荷を与えて前記摺動穴(6)の内周面と前記バルブ軸(2)の外周面とを軸方向に離れた2箇所で接触させた際に、前記排気通路に近い側における軸方向の接触位置を内側接触位置(P1)とし、前記排気通路から遠い側における軸方向の接触位置を外側接触位置(P2)とし、
    軸方向における前記内側接触位置(P1)と前記外側接触位置(P2)の間を摺動支持範囲(L)とし、
    前記バルブ軸(2)の軸芯上で、且つ前記内側接触位置(P1)と前記外側接触位置((P2))の真中点を傾斜中心点(P0)とし、
    前記バルブ軸(2)において前記軸受(4)と軸方向に圧接して前記シールを成す箇所を軸側段差面(A)とし、
    前記軸受(4)において前記バルブ軸(2)と軸方向に圧接して前記シールを成す箇所を受側段差面(B)とし、
    前記軸側段差面(A)と前記受側段差面(B)のうち、前記傾斜中心点(P0)に近い側を内側シール面(α)とし、前記傾斜中心点(P0)から遠い側を外側シール面(β)とした場合、
    前記内側シール面(α)は、外側へ膨らむ球面形状に設けられることを特徴とするバルブ装置。
  2. 請求項1に記載のバルブ装置において、
    前記外側シール面(β)は、内側に凹む球面形状に設けられることを特徴とするバルブ装置。
  3. 請求項1に記載のバルブ装置において、
    前記外側シール面(β)は、内面が円錐状のテーパ面に設けられることを特徴とするバルブ装置。
  4. 請求項3に記載のバルブ装置において、
    前記テーパ面の傾斜角度は、前記摺動穴(6)の軸芯方向に対して垂直な角度に対して15°以内に設けられることを特徴とするバルブ装置。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれか1つに記載のバルブ装置において、
    軸方向における前記摺動支持範囲(L)より前記排気通路に近い側を内側範囲(Lin)とし、
    軸方向における前記摺動支持範囲(L)より前記排気通路から遠い側を外側範囲(Lout)とした場合、
    前記バルブ軸(2)と前記軸受(4)が軸方向に圧接して前記シールを成す箇所は、前記内側範囲(Lin)または前記外側範囲(Lout)に設けられることを特徴とするバルブ装置。
  6. 請求項1〜請求項5のいずれか1つに記載のバルブ装置において、
    排気ガスの圧力によって前記バルブ軸(2)に付与される力が、前記軸側段差面(A)と前記受側段差面(B)を軸方向に押し付けることを特徴とするバルブ装置。
  7. 請求項1〜請求項6のいずれか1つに記載のバルブ装置において、
    このバルブ装置は、前記軸側段差面(A)と前記受側段差面(B)が軸方向へ最大に離間する距離を規制する規制手段(8)を備えることを特徴とするバルブ装置。
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