JP5548555B2 - 排気弁用軸封構造 - Google Patents
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前記リング状シールSが、一つの金属材8aと一つの無機耐熱材8bとの積層で成り、前記弁軸2に密外嵌され、かつ、前記軸受部5に遊内嵌される第1リング板8の単数又は複数と、一つの金属材9aと一つの無機耐熱材9bとの積層で成り、前記弁軸2に遊外嵌され、かつ、前記軸受部5に密内嵌される第2リング板9の単数又は複数とが、前記弁軸2の軸心P方向に交互に積層配備されることで構成され、
前記第1及び第2リング板8,9を前記軸心Pに関する径方向で切った断面形状が、前記弁軸2の軸心P方向において前記弁体4に向かって凸となる屈曲形状に設定されるとともに、前記無機耐熱材8b,9bが凸屈曲形状における山側に配置される状態に構成され、
前記リング状シールSを軸心P方向に圧縮する締付機構10により、軸心P方向に締付けられて前記リング状シールSが圧縮された組付状態においては、前記リング板8,9が強制的に平板状態となる姿勢に変形されて、前記第1リング板8と前記弁軸2との密嵌合状態が軽圧入状態に変更され、かつ、前記第2リング板9と前記軸受部5の内周面5aとの密嵌合状態が軽圧入状態に変更されるとともに、
前記第1リング板8の径内側端部が前記弁体4存在側と反対側に向いて折れ曲り変形して、前記無機耐熱材8bが変形並びに圧縮されて前記弁軸2の外周面2aに馴染むように変形し、かつ、前記第2リング板9の径外側端部が前記弁体4存在側と反対側に向いて折れ曲り変形して、前記無機耐熱材9bが変形並びに圧縮されて前記軸受部5の内周面5aに馴染むように変形する状態に構成されていることを特徴とするものである。
つまり、従来のラビリンスシール構造から実質的に接触型シール構造となり、無機耐熱材を有することから弁軸との摺動特性は増すものの、シール性能を大きく向上させることができるようにしながら、組付性に優れるものとなっている。
その結果、利点の多いラビリンスシールを踏襲するものとしながら、さらなる構造工夫によりシール性が明確に向上するように改善される排気弁用軸封構造を提供することができる。
また、無機耐熱材としては、請求項2のように、耐熱性に優れながら軽量で入手し易いマイカ板が挙げられる。
排気弁用軸封構造は、図1に示すように、弁ケース1に回動可能に支持される弁軸2に、弁ケース1の内部流路3に対して開閉作用する弁体4が支持されて成る排気弁Vを有しており、内部流路3に対する軸封作用を発揮すべく、弁ケース1における弁軸2を支承する軸受部5と弁軸2との間に嵌装されるリング状シールSを有して構成されている。
なお、弁軸2は、弁体部位で分離される分割軸タイプ(特許文献1を参照)や、連続した単一軸タイプ(特許文献2を参照)があるが、本実施例においてはどちらでも良く、限定はされない。
弁軸2は、電動モータ等の図示しないアクチュエータによって駆動回動されるものであり、それによって図1に閉弁状態で示される円板状の弁体4が軸心Pに関する90度に亘って回動移動される、という公知の構造を有している。
第1及び第2リング板8,9のそれぞれが、一つのステンレス板8a,9aと一つのマイカ板8b,9bとで成り、マイカ板8b,9bが凸屈曲形状における山側(図1では弁体4存在側)に配置される状態に揃えられて構成されている。
これは、弁体4側に凸となる断面形状から平板形に強制変形されることに起因する。つまり、主に比較的柔らかい材質であるマイカ板8bが弁軸2に面接触するようになるので、弁軸2を回動させる際に生じる摺動トルクは若干増す程度で済むものでありながら、弁軸2と第1リング板8とに関するシール性に優れるものとなる。
故に、主に比較的柔らかい材質であるマイカ板9bが内周面5aに面接触するようになり、第2リング板9と軸受部5とに関するシール性に優れるものとなる。
また、弁軸2の軸受7が、リング状シールSの外側(反弁体4側であって、排気流れ下流側)に配備されているので、内フランジ6の内周面6aと弁軸2との間隙を通ってくる排気があっても、それはリング状シールSで食い止められる(大部分が軽減される)ので、軸受7及び軸受部5には到達し難く、カーボンの付着による悪影響(弁軸2を回す際の摺動抵抗が増える等)が回避される(軽減される)利点もある。
また、各リング板8,9は、断面形状がV字形状等の軸心P方向で凸となる屈曲形状に形成されているから、組付状態では弁軸2や軸受部5に接するものでありながら自由状態では径方向寸法が若干縮小されており、従って、組付け時における空間部aへの挿入性に優れて装填作業の操作性が良好である、という利点もある。
試験条件は、図3(a)に示すように、流体として常温で0.4MPaの窒素を用い、図3(b)に示すように、排気弁Vの可動域(回動域)として速度0.01m/sで開位置と閉位置との間の90度に亘っての回動を5万回往復させる、というものである。
なお、図4,5におけるn1,n2とは、本発明による排気弁用軸封構造その1とその2という意味(n数=2)である。
また、摺動特性については、図5に示すように、構造上摺動トルクが生じない従来構造に比べて、本発明構造n1、n2では、摺動回数が増えるに連れて約0.1N・mに収束することが理解できる。この0.1N・mという摺動トルクは、実際上特に問題が生じるものではなく、従って、摺動特性は問題ないレベルに抑えながら、シール性能を大きく向上させることができるものとなっている。
第1,第2リング板8,9の断面形状は、U字形やW字形、その他の形状でも良く、要は軸心P方向で凸となる形状であれば良い。
2 弁軸
2a 外周面
3 内部流路
4 弁体
5 軸受部
5a 内周面
8 第1リング板
8a 金属材
8b 無機耐熱材,マイカ
9 第2リング板
9a 金属材
9b 無機耐熱材,マイカ
10 締付機構
P 軸心
S リング状シール
Claims (2)
- 弁ケースに回動可能に支持される弁軸に、前記弁ケースの内部流路に対して開閉作用する弁体が支持されており、前記内部流路に対する軸封作用を発揮すべく、前記弁ケースにおける前記弁軸を支承する軸受部と前記弁軸との間に嵌装されるリング状シールを有する排気弁用軸封構造であって、
前記リング状シールが、一つの金属材と一つの無機耐熱材との積層で成り、前記弁軸に密外嵌され、かつ、前記軸受部に遊内嵌される第1リング板の単数又は複数と、一つの金属材と一つの無機耐熱材との積層で成り、前記弁軸に遊外嵌され、かつ、前記軸受部に密内嵌される第2リング板の単数又は複数とが、前記弁軸の軸心方向に交互に積層配備されることで構成され、
前記第1及び第2リング板を前記軸心に関する径方向で切った断面形状が、前記弁軸の軸心方向において前記弁体に向かって凸となる屈曲形状に設定されるとともに、前記無機耐熱材が凸屈曲形状における山側に配置される状態に構成され、
前記リング状シールを軸心方向に圧縮する締付機構により、軸心方向に締付けられて前記リング状シールが圧縮された組付状態においては、前記リング板が強制的に平板状態となる姿勢に変形されて、前記第1リング板と前記弁軸との密嵌合状態が軽圧入状態に変更され、かつ、前記第2リング板と前記軸受部の内周面との密嵌合状態が軽圧入状態に変更されるとともに、
前記第1リング板の径内側端部が前記弁体存在側と反対側に向いて折れ曲り変形して、前記無機耐熱材が変形並びに圧縮されて前記弁軸の外周面に馴染むように変形し、かつ、前記第2リング板の径外側端部が前記弁体存在側と反対側に向いて折れ曲り変形して、前記無機耐熱材が変形並びに圧縮されて前記軸受部の内周面に馴染むように変形する状態に構成されている排気弁用軸封構造。 - 前記無機耐熱材がマイカ製である請求項1に記載の排気弁用軸封構造。
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