JP2016186122A - 希土類元素含有物からの希土類元素回収方法 - Google Patents

希土類元素含有物からの希土類元素回収方法 Download PDF

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Abstract

【課題】希土類元素含有物から、より容易かつ効率的に希土類元素を回収する方法を提供することを課題とする。特に、製品に組み込まれた希土類磁石からより容易かつ効率的に希土類元素を回収する方法を提供することを課題とする。【解決手段】少なくとも次の順次の工程;<1>希土類元素含有物を加熱溶融する工程;<2>加熱溶融後の溶体に酸化剤を添加する工程;<3>溶体にB2O3を添加する工程;<4>溶体を冷却してB2O3相と、希土類富化相と、Fe含有相の三相に分離させ、希土類富化相を取りだす工程;を含む。【選択図】図2

Description

本発明は、希土類元素含有物から希土類元素を回収する方法に関する。特に、希土類磁石が用いられた廃棄モータから希土類元素を回収する方法に関する。
希土類元素は、ディスプレイ用蛍光体、蛍光灯、センサ、永久磁石、燃料電池など様々な製品に使用されており、パソコンや、スマートフォン、電気自動車などのハイテク機器類の製造には欠くことのできない物質である。近年、これらのハイテク機器の普及にともない、希土類元素の需要が高まっているものの、希土類元素は産出地が限られ、その算出量が少なく、価格も高騰している。このため、廃棄されたハイテク機器類の希土類元素含有物から希土類元素を回収する技術の開発や、改良が求められている。
従来の希土類元素含有物から希土類元素を回収方法としては、対象物を酸や溶媒に溶解し、固液分離や溶媒抽出によって各希土類元素に分離を行う湿式法と、対象物をフラックスと共に加熱溶融し、フラックス中に酸化物や炭素などの不純物を抽出する乾式法が知られている。これらの方法の内、湿式法では、酸や溶媒などの薬剤を大量に使う必要があり、処理後に廃液が大量に発生するという問題がある。また、湿式法では、対象物から酸や溶媒中に希土類元素を溶出させるのに時間がかかるといった問題もある。一方、乾式法には、フラックスの共存下で希土類元素含有物を加熱溶融させる工程のみによって容易に希土類元素の抽出を行う事ができ、かつ廃液等の発生も抑えられるという特徴がある(例えば、特許文献1、2を参照)。
特許文献1では、希土類元素含有物を酸化ホウ素(B)フラックスの共存下で加熱溶融することでB相と、その下方にB相よりも希土類元素が富化された相との二相を形成する工程を含む希土類元素含有物からの希土類元素濃縮方法が提案されている。この方法では、希土類元素含有物として、廃棄モータから取り出したモーターコアを用いており、このモーターコアには、希土類磁石の他に電磁鋼板も含まれている。
また、特許文献2では、アルカリ金属元素またはアルカリ土類金属元素の一種以上であるアルカリ系元素(AE)、ホウ素(B)および酸素(O)を含む反応剤との混合物を加熱し、酸化還元反応させて、反応後冷却して得られた凝集物から、希土類酸化物を主に含む第一生成物と、FeとBを主に含む第二生成物とに分離する工程を備えた再生可能資源回収方法が提案されている。
特開2013−199698号公報 特開2014−177666号公報
しかしながら、モータには希土類磁石単体と比較して、モータの電磁鋼板部分に由来する鉄元素が非常に多く含まれている。そして、多くの鉄を溶融させるためには、エネルギー効率の観点から、融点降下剤として少なくとも炭素を含む融点降下剤を供給してFe−C合金にする必要がある。このような鉄元素を多く含む希土類元素含有物とフラックスとの共存下における溶融処理においては、希土類元素を十分に酸化させる必要がある。しかしながら、溶鉄の撹拌により供給された酸素や、添加した酸化剤由来のOがFe−C合金を還元する反応に用いられてしまい、希土類元素を十分に酸化させることができないおそれがある。
特許文献1に記載された酸化ホウ素Bをフラックスとして用いる場合は、上記の酸素の不足分をBから補う事になるが、Bは一般的に使用される酸化剤(例えば、Feなど)と比較して、酸素を離しにくいため、酸化反応に時間が掛かり、また溶鉄中のボロン濃度が上がり銑鉄として再利用が難しくなる。
また、特許文献2に記載されたAE、BおよびOを含む反応剤を用いた方法では、添加したAE、BおよびOを含む反応剤が希土類磁石中の希土類金属と反応して還元されてしまい、反応剤としての機能が低下し、必ずしも希土類元素の回収率が良好であるとは言い難い側面があった。また、第二生成物における溶鉄中のB濃度が上がり、第二生成物の銑鉄としての再利用が難しかった。
本発明は、上記の問題を解消して、希土類元素含有物から、より容易かつ効率的に希土類元素を回収する新しい方法を提供することを課題とする。特に、製品に組み込まれた希土類磁石からより容易かつ効率的に希土類元素を回収する方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明の希土類元素含有物からの希土類回収方法は、少なくとも次の順次の工程;
<1>希土類元素含有物を加熱溶融する工程;
<2>加熱溶融後の溶体に酸化剤を添加する工程;
<3>溶体にBを添加する工程;
<4>溶体を冷却してB相と、希土類富化相と、Fe含有相の三相に分離させ、希土類富化相を取りだす工程;
を含むことを特徴としている。
また、本発明の希土類元素含有物からの希土類回収方法は、少なくとも次の順次の工程;
<1>希土類元素含有物を加熱溶融する工程;
<2>加熱溶融後の溶体に酸化剤を添加する工程;
<3>溶体にBを添加する工程;
<4>溶体を冷却してB相と、希土類富化相と、Fe含有相の三相に分離させ、希土類富化相を取りだす工程;
<5>希土類富化相を酸で浸出処理する工程;
<6>得られた希土類元素浸出液中の希土類元素を塩として沈殿させる工程;
<7>沈殿物を加熱して希土類元素を酸化物として回収する工程;
を含むことを特徴としている。
また、希土類元素含有物からの希土類元素回収方法では、前記酸化剤が酸化鉄であることが好ましい。
また、希土類元素含有物からの希土類元素回収方法では、前記<1>の工程において、希土類元素含有物に融点降下剤を添加して加熱溶融することが好ましい。
さらに、希土類元素含有物からの希土類元素回収方法では、前記融点降下剤が少なくとも炭素を含む融点降下剤であることが好ましい。
また、希土類元素含有物からの希土類元素回収方法では、B相中の希土類元素の総重量に対して前記希土類富化相中の希土類元素の総重量が10倍以上であることが好ましい。
また、希土類元素含有物からの希土類元素回収方法では、希土類元素として、ネオジム、ジスプロシウムおよびプラセオジムからなる群より選択される少なくとも一種が含有されていることが好ましい。
さらに、希土類元素含有物からの希土類元素回収方法では、希土類元素含有物が、希土類磁石を含む廃棄モータのモーターコアであることが好ましい。
また、希土類元素含有物からの希土類元素回収方法では、前記<3>の工程において、Bの添加量が、前記希土類磁石の質量に対して0.5倍〜10倍であることが好ましい。
本発明の希土類元素回収方法によれば、従来法のような溶解物の高い粘性による支障もなく、希土類元素含有物から、より容易かつ効率的に希土類元素を回収する方法を提供することができる。特に、製品に組み込まれた希土類磁石からより容易かつ効率的に希土類元素を回収することができる。
(a)、(b)は、本発明の希土類元素回収方法に供する希土類磁石と鋼材を含む製品または半製品の廃棄物である、エアコンのコンプレッサのモーターコア(回転子)の分解状態を示した図である。(c)は、コンプレッサの全体像を示した図である。 本発明の実施例1における傾注後のB相、希土類富化相およびFe含有相を示した図である。
<希土類元素含有物>
本明細書における、「希土類元素含有物」は、希土類元素、すなわちスカンジウム、イットリウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウムの17元素のいずれか1種以上を含有する物であれば特に限定されない。本発明の実施形態においては、希土類元素含有物にはネオジム、プラセオジム及びジスプロシウムから選択される少なくとも一種が含まれる。希土類元素含有物は混合物、化合物、焼結物、合金、及びこれらの組み合わせなど種々の形態を取ることができる。また、希土類元素含有物には、希土類元素を含有する合金や化合物を用いた製品や、製品や半製品の廃棄物、製造工程で生じる端材や不良品などが含まれる。
希土類元素を含有する合金を用いた製品としては、例えば、希土類磁石や、この希土類磁石を一部材として含んでいるモータおよび空調設備のコンプレッサなどが例示される。特に、本発明では、希土類元素含有物として廃棄モータのモーターコアあるいは回転子を用いることが好ましい。
希土類磁石については、希土類磁石単体のみならず、希土類磁石を一部材として含んでいる形態であっても本発明の希土類元素の回収方法を適用することができる。例えば鉄を主成分とする鋼板やネジ、製品のケース、シャーシなどの鋼材を含んでいるものなどが例示される。鉄の含有量については特に限定されない。鋼材は、磁性鋼材であってもよく、また、その組成はNi、Cr、Si、Coなどを含む各種であってもよい。
このような、希土類元素含有物の形状は、製品の要部そのままの形状であってもよいし、分解してあってもよい。モータに組み込まれた希土類磁石を廃棄されたモータから取り外すことは非常に困難であるが、本発明の希土類元素の回収方法においては、廃棄モータからの希土類元素回収は廃棄モータから磁石を分離させることなく、モータそのものを処理することができるため、希土類元素含有物のリサイクルを簡便に行うことが可能になる。また、希土類磁石をあらかじめ粉砕する必要もない。
さらに、従来技術では、希土類磁石を処理する際には、加熱などによる消磁が行われているが、本発明の希土類元素の回収方法においては、消磁していない希土類磁石を含む製品を用いることも可能である。
さらにまた、前記製品によっては、防錆性や耐食性などを高めることを目的として、磁性鋼板などの金属部材や磁石の表面に各種メッキが施されているものがある。メッキは、希土類元素の回収の観点からは、不純物が増加するため好ましくなく、従来の方法においては、あらかじめ研磨などによって除去されている。しかしながら、本発明の希土類元素の回収方法においては、メッキを除去することなくそのまま希土類元素の回収に供することができる。
<希土類元素の回収の工程>
本発明の希土類元素の回収方法では、少なくとも次の順次の工程;
<1>希土類元素含有物を加熱溶融する工程;
<2>加熱溶融後の溶体に酸化剤を添加する工程;
<3>溶体にBを添加する工程;
<4>溶体を冷却してB相と、希土類富化相と、Fe含有相の三相に分離させ、希土類富化相を取りだす工程;
を含むことを特徴としている。
本発明の希土類元素の回収方法によれば、希土類元素含有物が鉄成分を中心となるFe含有相、希土類元素が濃縮された希土類富化相、フラックス成分が主成分のB相の3相に溶融分離され、製品に組み込まれた状態の希土類磁石などから容易に希土類元素を回収できる。特に、希土類磁石を取り出すための分解工程や、希土類の脱磁工程などを要さず、低コストで大量に処理を行うことができる。
本発明の希土類元素の回収方法においては、特許文献1に記載された方法と異なり、希土類含有物への酸化鉄とBを順次投入することを特徴としている。
<酸化剤の添加>
本発明の希土類元素の回収方法においては、希土類元素含有物の溶融時に酸化剤を添加する。酸化剤は、加熱溶融した希土類元素含有物に添加することにより、希土類元素の酸化に必要十分な酸素を供給することができる。希土類元素の酸化を促進することは、相分離性を良くする観点で好ましい。
酸化剤としては、例えば、空気、酸素、二酸化炭素などの酸化性のガスや、Al、SiO,PbO,CuOなどの希土類元素により還元される物質、酸化鉄、酸化鉄を含む複合酸化物などが例示される。中でも、酸化鉄は、希土類元素の酸化に必要十分な酸素を供給するだけではなく、回収される鉄の不純物を低減することができるため好ましい。
酸化鉄としては、例えば、三酸化二鉄、四酸化三鉄、酸化鉄を含む複合酸化物などが例示される。
このような酸化剤の添加量は、希土類元素に対して酸素量が1.5〜2.0倍のモル比とすることが好ましい。不活性雰囲気下において、適切な酸化剤を添加しない場合、添加したBが磁石中の希土類金属と反応して還元されてしまい、フラックスとしての機能が低下するおそれがある。
<Bの添加>
希土類富化相中の希土類元素はBと希土類酸化物Reの液体が均一に溶け合った形態で存在していると考えられ、B相と希土類富化相とFe含有相の三相分離を発生させるために、希土類磁石の質量に対して0.5倍〜10倍のBが必要である。Bの添加量が希土類磁石の質量の10倍を上回る場合、余剰なBの存在によりエネルギー消費が多くなり好ましくない。
酸化鉄とBを同時に添加した場合、溶鉄の撹拌により供給された酸素や、添加した酸化鉄由来のOがFe含有相を還元する反応に用いられてしまい、希土類元素を十分に酸化させることができないおそれがある。希土類元素の酸化が不十分では、希土類元素の濃縮も困難となる。
また、上記酸素の不足分をフラックスであるBから補う反応が起こると、Bは一般的に使用される酸化剤(例えば、Feなど)と比較して、酸素を離しにくいため、酸化反応に時間が掛かり、また溶鉄中のボロン濃度が上がり銑鉄として再利用が難しくなる。
これらの理由から、本発明の希土類元素含有物からの希土類元素の回収方法においては、希土類含有物への酸化鉄とBを順次投入することとしている。
<三相分離>
希土類元素含有物にBフラックスを添加して加熱溶融すると、Bフラックスを主体とした融体と、希土類元素を主体とした融体と鉄を主体とした融体の三元系融体が出現する。加熱溶融温度を適正化することにより、これらの融体は、比重差によって鉛直方向上方のB相と、鉛直方向中間に位置する希土類富化相と、鉛直方向下方のFe含有相とに三相分離する。三相分離に適した温度は1150〜1600℃であり、Fe相中への希土類元素の分配率を下げるためには、1400℃以下が好ましく、1300℃以下がより好ましい。加熱溶融温度が高すぎると希土類富化相に気泡が大量に発生するため、希土類元素の十分な濃縮ができない。
上記の三相分離の分離性を高める観点から、上記温度範囲に10分以上保持し溶融状態にすることが好ましく、60分以上保持することがより好ましい。但し、保持時間が長すぎても理論的な分配比を超えた効果は生じないことから、経済性を考慮すれば、保持時間は200分以下とするのがより好ましい。
三相分離させた後、上記温度範囲よりも高い温度に加熱することは三相分離性を悪化させるので避けるべきであるが、当該温度範囲に保持する前にいったん当該温度範囲よりも高温に加熱しておくことは鉄など高融点物質中に混入している希土類元素を溶かし出す上で有効である。このため、加熱溶融時の温度変化としては、三相分離に好適な上記温度範囲に加熱し、その後冷却する場合と、均質な融体を形成するために三相分離に好適な上記温度範囲よりも高温(例えば1600℃以上)に加熱して、次いで、温度を低下させて三相分離に好適な上記温度範囲に保持し、その後冷却する場合がある。
希土類富化相は、希土類酸化物を10質量%以上、より好ましくは20質量%以上含有する。
加熱溶融時の雰囲気は特に制限はなく、大気雰囲気下で実施することができる。しかしながら、鉄が酸化すると希土類富化相へ移行しやすくなることから、鉄の酸化を防止するためにArや窒素などの不活性雰囲気下で加熱溶融することが好ましい。
溶融、冷却することによりB相の鉛直方向下方に希土類富化相が形成され、希土類富化相の鉛直方向下方に又は希土類富化相に包囲されるように、Fe含有相を更に形成することができる。一般に、Fe含有相はB相および希土類富化相よりも比重が大きいので、下方に位置するが、鉄の量が少ないと鉄が丸まってしまい、希土類富化相に包囲されるように、Fe含有相が形成される。
さらに、本発明の一実施形態によれば、Fe含有相中の希土類元素の総質量に対して希土類富化相中の希土類元素の総質量を10倍以上とすることができ、好ましくは100以上とすることができる。
<融点降下剤添加>
希土類含有物として前記製品に使用されていた廃棄モータを用いる場合、廃棄モータには、希土類磁石単体と比較して、モータの電磁鋼板部分に由来する鉄元素が非常に多く含まれている。鉄の融点は1538℃と高いことから、二相分離の効率と溶解時のエネルギー低減を考慮すると、融点降下剤の共存下で希土類元素含有物を溶融することが好ましい。本発明においては、融点降下剤として少なくとも炭素を含む融点降下剤を用いることが好ましい。炭素は、鉄の酸化を防ぎ、鉄が希土類富化相へ移動するのを防止する効果があり、分離性が向上するので好ましい。炭素の供給源としては、例えば、加熱炉に炭素るつぼを使用すること、炉壁を炭素コーティングすること、銑鉄等のFe−C合金、コークス、グラファイト、市販の加炭剤、プラスチック、有機物等を添加剤として反応系に添加することなどが例示される。また、例えば、二酸化炭素、炭化水素系ガスなどのガス状の炭素源を吹き込むこと等が例示される。
このような融点降下剤の添加量は、溶融温度が最も低くなるという理由により共晶点の組成付近とすることが好ましい。融点降下剤として少なくとも炭素を含む融点降下剤を使用する場合は、炭素飽和の状態、すなわち融体中にそれ以上炭素が溶け込まない状態で加熱溶融を行うことが融点降下や酸化防止効果の観点で好ましい。
また、希土類を含有する電磁鋼板に融点降下剤を添加して加熱溶融する際には、電解鉄を添加することができる。電解鉄は、希土類を含有する電磁鋼板を1500℃以上の高温で加熱溶融する際には必ずしも必要ではないが、少なくとも炭素を含む融点降下剤を添加した場合には、電解鉄と融点降下剤中の炭素が反応して、Fe−C合金を生成する。このように、電磁鋼板の加熱溶融に先だって、1200℃程度の温度で溶融するFe−C合金を生成することにより、電磁鋼板の溶融を促進し、より短時間かつ低温度で電磁鋼板の溶融状態を達成することができる。
各相が形成された後は、溶融状態にある間に各相を分液することにより、希土類富化相を含めて各相を分離回収することができる。
分液の方法としては、比重の重い層から順番に炉底から排出する方法がある。さらに、冷却して固化させてから、層の境界に沿ってカッター等で切断してもよい。冷却する際は、分離性を挙げるために、固化するまでは徐冷するのが好ましいが、急冷して固化させることも出来る。
<希土類酸化物の回収>
本発明の希土類元素の回収方法の別の態様としては、少なくとも次の順次の工程;
<1>希土類元素含有物を加熱溶融する工程;
<2>加熱溶融後の溶体に酸化剤を添加する工程;
<3>上記<2>の工程後の溶体にBを添加する工程;
<4>上記<3>の工程後の溶体を冷却してB相と、希土類富化相と、Fe含有相の三相に分離させ、希土類富化相を取りだす工程;
<5>希土類富化相を酸で浸出処理する工程;
<6>得られた希土類元素浸出液中の希土類元素を塩として沈殿させる工程;
<7>沈殿物を加熱して希土類元素を酸化物として回収する工程;
を含むことを特徴とする。
分離回収された希土類富化相からの希土類元素の塩の回収は、酸を用いた溶出などによって行うことができる。溶出に用いる酸としては、例えば、シュウ酸、塩酸、硫酸などが例示される。本発明の希土類元素回収方法では、溶融処理によって、希土類富化相からはあらかじめ鉄が除去されているので、従来の湿式法による希土類元素の回収方法と比較して、浸出に要する酸の量は格段に少なくて済む。
このような酸を用いた酸浸出を行って希土類元素を溶解した後、アルカリを添加してpH調整することによって、希土類元素の塩を析出することができる。析出に用いることができるアルカリとしては、例えば、水酸化アンモニウム、硫酸化アンモニウム、水酸化ナトリウムなどが例示される。
このとき、Bは、液中に溶解したままであるので、固液分離することによって希土類元素の塩を回収可能である。その後、希土類元素の塩を溶融塩電解やCa還元などの公知の方法によって希土類元素の単体として回収することができる。また、希土類元素の塩を600℃〜800℃で焼成することにより、希土類酸化物として回収することもできる。
以下に実施例を示し、さらに詳しく説明する。もちろん以下の例によって本発明が限定されることはない。
<実施例1>
希土類元素含有物として廃エアコンのコンプレッサ中の回転子3.8kg(平均重量760g×5個)、電解鉄400g、融点降下剤として加炭材212gを投入し、高周波誘導加熱を行い1520℃まで昇温させた。図1に、エアコンのコンプレッサの回転子とコンプレッサの全体像を示す。図1に示したエアコンのコンプレッサ中の回転子は、主要な部材として、例えば、電磁鋼板が528.2g、希土類磁石が90.8g、ねじが23.4g、SUSカバーが10.2g、AlカバーAが3.4g、SUSカバーBが11.4gを含んでおり、合計重量が667gであった。このうち、電磁鋼板および磁石の組成を表1に示す。
表1に示したように、電磁鋼板には、2.8質量%のSiおよび微量のAl、Mn、P、Niが含まれていた。一方、磁石のNd、PrおよびDyは、それぞれ28.4質量%、0.2質量%、5.6質量%、そして微量のAl、Cu、Mn、Niが含まれていた。上記の合計重量は、エアコンの製品ごとに異なるものの、電磁鋼板中の各種金属元素や希土類元素の濃度は、ほぼ一定であった。
回転子及び電解鉄は、加熱開始から約50分で完全に溶解した。次に、クレイボンド坩堝内に酸化剤としてFeを125g投入し、溶融するよう撹拌した。十分な酸化反応が終わった後、クレイボンド坩堝内はFe−C合金からなる溶湯と酸化希土類からなるスラグの二相に分離された。続いて、クレイボンド坩堝内にフラックスとしてB(三津和化学薬品(株) 純度99.9%)を500g投入し、溶融するよう撹拌した。攪拌後、希土類元素の分離を行うために、1270℃にて60分間保持を行った後、坩堝を加熱炉から取出し、室温の空気雰囲気下で急冷した。
<比較例1>
クレイボンド坩堝内で回転子及び電解鉄を完全に溶解した後に、フラックスと酸化剤の添加の順序を変更したこと以外は、実施例1と同様にして希土類元素の分離を行った。
<比較例2>
クレイボンド坩堝内で回転子、電解鉄、酸化剤、およびフラックスを同時に添加して完全に溶解、溶融するようにした点以外は、実施例1と同様にして希土類元素の分離を行った。
実施例1および比較例1、2の冷却後の相分離について、冷却後の坩堝を垂直方向に切断し、分相の様子を断面から目視で確認し、表2に示した。
表2に示した分離性の評価では、◎は溶解物が3相に分離し、冷却後の各相の分離は非常に良好であることを、△は溶解物が3相に分離するものの、冷却後の各相の分離が良好ではないことを、×は溶解物が3相には分離せず、しかも冷却後の各相の分離が悪いことを示している。
実施例1では、図2に示したように、溶解物は3相に分離しており、しかも、冷却後の各相の分離は非常に良好であった。
一方、比較例1においては、冷却後の各相を3相分離できるものの、各相の分離は、実施例1ほど良好ではなかった。
比較例2においては、最下相のFe含有相とその他部分の分離は綺麗に行われたものの、中間相と上相はマーブル上に混じり合っており、全体としては2相に分離していると見なすことができるものの、希土類富化相のみをきれいに分離することができなかった。
<生成相の組成>
つづいて、3相に分離することができた実施例1と比較例1について、冷却後の各相から評価用試料を採取した。得られた評価用試料の成分分析を、ICP発光分析装置を用いて行い、その結果を表3に示した。
表3に示したように、実施例1および比較例1では、希土類元素であるPr、NdおよびDyが中間相である希土類富化相に凝縮され、最下相のFe含有相にはほぼ存在しないことが確認された。また、実施例1においては、希土類富化相におけるFeの含有量が低く、希土類富化相には不純物が少ないことが確認された。しかしながら、比較例1では、希土類富化相にFeが多く含有されており、余分な不純物が多く、充分な分離を行うことが出来ないことが確認された。
以上の結果より、実施例1の希土類元素含有物に、還元剤、フラックスを順次投入する工程を踏むことで、希土類の十分な酸化が行われ、かつ余分な酸化・還元反応の伴う不純物元素の移動が行われず、より効率的な分離を行うことが出来ることが確認された。
<実施例2>
実施例1で得られた希土類富化相について、希土類富化相のみを取り出し、パルプ濃度を10%として、6モル/Lの塩酸で溶出し、希土類元素溶出液を得た。この溶出液をアンモニア水を用いてpH=2に調製し、シュウ酸沈殿を行い、希土類酸化物のシュウ酸塩を回収した。得られた希土類シュウ酸塩を800℃で仮焼して、シュウ酸を分解したところ、希土類酸化物が得られた。
回収された希土類酸化物の組成をICP−AES法により決定した。分析結果を表4に示す。
表4に示したように、実施例2においては、回収された希土類酸化物の全量に対して、Nd、Dy、Prの3つの希土類元素の酸化物のみで約99.7%以上を占めていることが確認された。この純度の希土類酸化物であれば、そのままリサイクル製品のネオジム磁石の製造に用いることができることが確認された。

Claims (9)

  1. 希土類元素含有物からの希土類元素回収方法であって、少なくとも次の順次の工程;
    <1>希土類元素含有物を加熱溶融する工程;
    <2>加熱溶融後の溶体に酸化剤を添加する工程;
    <3>溶体にBを添加する工程;
    <4>溶体を冷却してB相と、希土類富化相と、Fe含有相の三相に分離させ、希土類富化相を取りだす工程;
    を含むことを特徴とする希土類元素含有物からの希土類元素回収方法。
  2. 希土類元素含有物からの希土類元素回収方法であって、少なくとも次の順次の工程;
    <1>希土類元素含有物を加熱溶融する工程;
    <2>加熱溶融後の溶体に酸化剤を添加する工程;
    <3>溶体にBを添加する工程;
    <4>溶体を冷却してB相と、希土類富化相と、Fe含有相の三相に分離させ、希土類富化相を取りだす工程;
    <5>希土類富化相を酸で浸出処理する工程;
    <6>得られた希土類元素浸出液中の希土類元素を塩として沈殿させる工程;
    <7>沈殿物を加熱して希土類元素を酸化物として回収する工程;
    を含むことを特徴とする希土類元素含有物からの希土類元素回収方法。
  3. 前記酸化剤が酸化鉄であることを特徴とする請求項1または2に記載の希土類元素含有物からの希土類元素回収方法。
  4. 前記<1>の工程において、希土類元素含有物に融点降下剤を添加して加熱溶融することを特徴とする請求項1または2に記載の希土類元素含有物からの希土類元素回収方法。
  5. 前記融点降下剤が少なくとも炭素を含む融点降下剤であることを特徴とする請求項4に記載の希土類元素含有物からの希土類元素回収方法。
  6. 相中の希土類元素の総重量に対して前記希土類富化相中の希土類元素の総重量が10倍以上であることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の希土類元素含有物からの希土類元素回収方法。
  7. 希土類元素として、ネオジム、ジスプロシウムおよびプラセオジムからなる群より選択される少なくとも一種が含有されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の希土類元素含有物からの希土類元素回収方法。
  8. 希土類元素含有物が、希土類磁石を含む廃棄モータのモーターコアであることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の希土類元素含有物からの希土類元素回収方法。
  9. 前記<3>の工程において、Bの添加量が、前記希土類磁石の質量に対して0.5倍〜10倍であることを特徴とする請求項1または2に記載の希土類元素含有物からの希土類元素回収方法。
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