JP2016185827A - 缶蓋 - Google Patents
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Abstract
Description
本願は、2010年9月22日に出願された特願2010−212852号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
特許文献1記載の缶蓋は、鉛直方向に対するチャック壁部の傾斜角度を大きくして、カウンターシンク部の直径を小さくするとともに、そのカウンターシンク部の幅を狭くした形状とされている。
また、特許文献2記載の缶蓋は、チャック壁部を複数の湾曲部の連続形状とするとともに、カウンターシンク部の内側のパネル部との間のコーナー部を大きく傾斜させることにより、パネル部の直径を小さくした形状とされている。
また一方では、材料コストの低減のため、缶蓋の板厚を薄肉化することも求められており、このため、さらなる耐圧性の向上が求められている。
また、チャック壁部については、半径方向内方に凸となる第1湾曲部と半径方向外方に凸となる第2湾曲部とにより、内圧が作用すると、湾曲部の曲率を拡大又は縮小することによって変形を吸収して、パネル部の膨出やバックリングの発生を防止することができる。
コーナー部に傾斜部を有する分、パネル部の外周縁がカウンターシンク部から離間させられる。したがって、カウンターシンク部及びその外側のチャック壁部の形状、寸法を変えることなく、パネル部の外径を小さくすることができ、パネル部の膨出をさらに抑制することができる。
この実施形態の缶蓋1は、図1及び図2に示すように、その中央部分に配置される円板状をなすパネル部2と、パネル部2の外周縁からコーナー部3を介して連続し下方に向けた環状凹部4を形成するカウンターシンク部5と、カウンターシンク部5の外周縁から上方に向けてほぼ拡径しながら延在するチャック壁部6と、チャック壁部6の外周縁から連なるショルダー部7と、ショルダー部7に連続するカール部8とから構成されている。
この場合、内側湾曲部15及び外側湾曲部16とも、その内周面の曲率半径R1,R2はほぼ同じ寸法に形成されている。また、内側壁部12及び外側壁部17が下方に向かうにしたがって徐々に接近するように傾斜していることにより、環状凹部4は、下方に向かうにしたがって徐々に幅が狭くなっている。
ショルダー部7は、チャック壁部6の第2湾曲部19の上端縁(外周縁)に連続し、上方に向けて凸となるように湾曲しながら拡径して半径方向外方に延びている。この場合、チャック壁部6の第2湾曲部19は、その内周面(缶蓋1としては外面)を斜め上方に向けた状態に湾曲していることから、全体としては下方から上方に向かうにしたがって漸次拡径する形状とされており、この第2湾曲部19に連続するショルダー部7も下方から上方に向けて拡径している。
カール部8は、ショルダー部7の外周縁に連続して半径方向外方に延在し、その外周縁部を下方かつ半径方向内方に向けて折り返してなる形状とされている。
この缶体21に缶蓋1が被せられると、缶体21の屈曲部23に缶蓋1のショルダー部7における外周面(缶蓋1としては内面)側の凹面が対向するように配置され、フランジ部24の上面にショルダー部7からカール部8にかけた裏面が対向して配置される。そして、その状態で、缶蓋1のカール部8を缶体21のフランジ部24と一体に巻き込みながら円周方向に沿って巻き締めると、カール部8の巻き込み部の中に折り返された状態のフランジ部24が入り込んで缶蓋1と缶体21とが相互に相手を挟み込んでなる二重巻き締め部25が形成される。
また、第1湾曲部18外面の曲率半径R3は1.2mm〜4.0mm、第2湾曲部19外面の曲率半径R4は0.6mm〜3.0mmに設定される。また、ショルダー部7外面の曲率半径R5は1.2mm〜4.0mmに設定される。そして、ショルダー部7外面と第1湾曲部18外面との共通接線Aがパネル部2外面となす角度θが55°〜70°とされ、共通接線Aから第2湾曲部19外面までの最大距離L1が0.3mm〜0.6mmとされる。また、第2湾曲19部外面とカウンターシンク部5の内底面における外側湾曲部16との共通接線Bから第1湾曲部18外面までの最大距離L2が0.4mm〜0.7mmとされている。
特に、缶蓋1が膨出変形し、カウンターシンク部5が反転しようとした場合に、第1湾曲部18外面の曲率半径R3が1.2mm〜4.0mm、第2湾曲部19外面の曲率半径R4が0.6mm〜3.0mmに設定されているため、バックリング時の応力集中を避けることができる。第1湾曲部18の曲率半径R3が1.2mm未満、あるいは第2湾曲部19の曲率半径R4が0.6mm未満であると、バックリング強度が高まり、バックリングは起こりにくくなるが、湾曲部形成のためのプレス加工が厳しくなるとともに、万一バックリングした場合に応力集中し易く、このため亀裂が入り易く、内容物が漏出するおそれがある。一方、第1湾曲部18の曲率半径R3が4.0mmを超え、あるいは第2湾曲部19の曲率半径R4が3.0mmを超えると、バックリング時の衝撃を緩衝するためのバネ作用が低下してしまう。
また、第1湾曲部18及び第2湾曲部19が交互に逆方向に湾曲しているため、これら湾曲部18,19が缶の半径方向内方あるいは半径方向外方のいずれに変形しても、弾性変形によるバネ作用によって、変形を吸収することができ、膨出変形又はバックリングが生じにくくなる。また、仮に、缶内圧が上昇し、カウンターシンク部5が反転した場合においても、その変形速度を両湾曲部18,19の弾性により緩和させながら変形し、すなわち、この部分に作用するエネルギーを緩和させることが可能になり、亀裂が発生することを抑制することができ、内容物の漏出を抑えることが可能なる。
また、共通接線Aから第2湾曲部19外面までの最大距離L1が0.3mm〜0.6mmとしたが、この距離L1が大きいとパネル部2の膨出は小さくなるが、バックリング強度は低下する。距離L1が小さいと缶体21との隙間が大きくなって密封性を損なうおそれがある。このため、距離L1は0.3mm〜0.6mmとするのがよい。
さらに、第2湾曲19部外面とカウンターシンク部5の内底面における外側湾曲部16との共通接線Bから第1湾曲部18外面までの最大距離L2は0.4mm〜0.7mmとしたが、この距離L2が小さいと耐圧強度が低下し、大きいとカウンターシンク部5を狭めることになって巻き締め不良となり易い。このため、この距離L2は0.4mm〜0.7mmとするのがよい。
使用した缶蓋及び缶体は、その公称径が204、202、206の三種類とした。缶蓋の板厚Tは、204の場合が0.215〜0.230mm、202の場合が0.215〜0.230mm、206の場合が0.215〜0.250mmとした。カウンターシンク部5の内底面の曲率半径は、内側湾曲部も外側湾曲部も同じ曲率半径としたので、各表ではRとして統一した。また、第1湾曲部の曲率半径R3、第2湾曲部の曲率半径R4、ショルダー部の曲率半径R5、共通接線Aの角度θ、共通接線Aからの最大距離L1、共通接線Bからの最大距離L2は、前述した数値範囲内のものとした。
表1は公称径204、表2が公称径202、表3が公称径206の場合をそれぞれ示している。
総合判定は、これら振動漏れ試験及び耐圧試験で良品とされ、かつ、缶蓋の全体高さが7.2mm以内のものを○、これらのうちのいずれかの基準を満たさなかったものを×とした。
例えば、パネル部とカウンターシンク部との間のコーナー部を二つの屈曲部の間に傾斜部を形成した形状としたが、パネル部とカウンターシンク部の内側壁部との間を一つの曲率半径の屈曲部で連続させた形状としてもよい。
2 パネル部
3 コーナー部
4 環状凹部
5 カウンターシンク部
6 チャック壁部
7 ショルダー部
8 カール部
11 内側屈曲部
12 内側壁部
13 外側屈曲部
14 傾斜部
15 内側湾曲部
16 外側湾曲部
17 外側壁部
18 第1湾曲部
19 第2湾曲部
21 缶体
22 ネック部
23 屈曲部
24 フランジ部
Claims (2)
- タブが取り付けられるパネル部の外周縁に、上方に向けた環状凹部を形成するカウンターシンク部が連続して形成されるとともに、該カウンターシンク部の外周縁から上方に向かうにしたがって漸次拡径するチャック壁部が形成され、該チャック壁部から半径方向外方に広がるショルダー部を介して外周縁部を下方かつ半径方向内方に向けて折り返してなるカール部が連続形成された缶蓋において、前記ショルダー部は上方に向けて凸となる円弧状に湾曲形成されるとともに、前記チャック壁部は、半径方向内方に向けて凸となる第1湾曲部と、半径方向外方に向けて凸となる第2湾曲部とが前記カウンターシンク部の外周縁から前記ショルダー部の内周縁にかけて順に形成され、前記第1湾曲部外面の曲率半径が1.2mm〜4.0mm、前記第2湾曲部外面の曲率半径が0.6mm〜3.0mm、前記ショルダー部外面と前記第1湾曲部外面との共通接線が前記パネル部外面となす角度が55°〜70°とされ、前記共通接線から前記第2湾曲部外面までの最大距離が0.3mm〜0.6mmとされ、前記第2湾曲部外面と前記カウンターシンク部の内底面との共通接線から前記第1湾曲部外面までの最大距離が0.4mm〜0.7mmとされ、前記カウンターシンク部の内底面の曲率半径が0.75mm以下であり、かつ、前記ショルダー部からカール部にかけた部分の頂点からパネル部表面までの鉛直方向寸法をパネル深さとしたときの前記パネル部の外径に対する前記パネル深さの比率が10.17%以上でかつ缶蓋の全体高さが7.2mm以下であることを特徴とする缶蓋。
- 前記パネル部から前記カウンターシンク部に至るコーナー部は、前記パネル部に隣接状態の内側屈曲部と、前記カウンターシンク部の内側壁部に隣接状態の外側屈曲部と、これら両屈曲部の間を連結する傾斜部とから構成されていることを特徴とする請求項1記載の缶蓋。
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