JP4588398B2 - 缶蓋 - Google Patents
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Description
かかる発明によれば、指かけ用凹部と前記引き上げ部との間に指が入り易くなるが、前記指かけ用凹部を前記環状溝から前記引き上げ部の直下まで延在させているので、缶蓋の耐圧強度が低下するおそれがあり、缶内圧が高い場合には不向きである。また、缶蓋製造工程では、缶蓋を積み重ねてチューブ搬送するが、一の缶蓋の前記指かけ用凹部の下面が、該下面と対向して位置する他の缶蓋のタブの上面に接触し、積み重ね方向で隣合う缶蓋のカール部同士の間に隙間が生ずる、いわゆるアコーディオン状となるため、スタッキング性が悪くなり良好な搬送性を具備させることが困難になるという問題があった。さらに、前記接触によって、他の缶蓋のタブに付着されている流動パラフィンが、該タブと対向して位置する一の缶蓋における前記指かけ用凹部の下面に転写される場合があった。この場合、缶の内容物が例えばビールであって、この内容物をグラス等の他の容器に注いだときに、該内容物を十分に泡立たせることが困難であるという問題があった。
かかる発明によれば、前記引き上げ部を有するタブの前記他端部側の下面と缶蓋本体上面との間に隙間が設けられているので、この隙間に指を容易に入り込ませることが可能になり、良好な開栓性を具備させることができる。
しかしながら、この発明では、缶蓋製造工程において、この缶蓋を前記チューブ搬送する際に、一の缶蓋のタブの上面と該上面と対向して位置する他の缶蓋の下面とが接触して、前記特許文献1の缶蓋と同様に、良好な搬送性および泡立ち性を具備させることが困難であるという問題があった。
かかる発明によれば、缶内圧が上昇した際に、缶蓋本体上面において、前記開口部の形成された部分が他より大きく膨出変形するのではなく、前記開口部から前記副スコアにかけた領域全体を膨出変形させることによって、缶内圧上昇時に、前記引き上げ部と缶蓋本体上面との間の隙間が小さくなることを抑制できるようになっている。
しかしながら、この発明では、開口部から副スコアにかけた領域全体、すなわち缶蓋本体の上面が略全体的に膨出変形するに過ぎず、積極的に缶蓋本体の上面とタブの前記引き上げ部との間隙を大きくすることができるものではなかった。また、この文献1には、缶蓋本体の上面のうちタブの前記引き上げ部と対応する部分に、ビードを形成した発明が開示されており、この場合、さらに開栓性が良好になるといった記載がされているが、この構成では、輸送時に缶に作用する振動によって、タブとビードとが互いに衝突し合い、開口部を画成する主スコアが破断するおそれがある。
しかしながら、この缶蓋では、前記副スコアに囲まれた部分を開口させるために、該副スコアの一部は前記コイニング部に位置されているので、クラックが発生し易い。
しかしながら、この文献5に記載されている前記副スコアは、前記缶蓋本体上面における前記リベットに連なる当該リベットの周辺部(前記リベット近傍)に、該リベットの外周に沿うような略半円状に形成されており、つまり前記コイニング部に位置する虞があり、この場合クラックが発生し易い。
しかしながら、前記複数の副スコアが直線状とされているので、これらのスコアを形成した際に、缶蓋本体上面のメタルが前記リベットに向けて流れ難いため、リベットの前記傾きを矯正することができず、従って、この缶蓋では前記引き上げ力は低下するものの、指を前記引き上げ部と缶蓋本体上面との間に入れ難いことに変わりはなく、やはり良好な開栓性を具備させることはできない。
この場合、該リベット傾き抑止スコアを形成したことによる缶蓋本体上面のメタル流れを、前記リベットの下端部外周側に十分な周長領域で作用させることが可能になり、前記主スコアを形成したことによる前記リベットの傾きを確実に抑止することができる。
これらの場合、缶蓋本体上面とタブの前記他端部の下面との間に容易に指を入り込ませることができる。
この場合、リベットの傾きを抑止することができるとともに、缶蓋の強度低下を確実に抑制することができる。
図1および図2は、この発明の一実施形態として示した缶蓋の概略構成を示すものである。
この缶蓋は、アルミニウム若しくはアルミニウム合金により形成され、缶蓋本体10の上面10aに、上方に向けて凸とされたリベット11およびディンプル12と、主スコア13により画成された開口部14とが形成され、ディンプル12と開口部14とはリベット11を挟んで対向配置され、つまりディンプル12はリベット11を挟んで開口部14とは反対側に配置され、開口部14の上に一端部15a側が重なる一方、ディンプル12の上に他端部15b側が重なるようにリベット11に固着されたタブ15を備える概略構成とされている。また、この缶蓋本体10の外周縁部には、全周に亙って凹溝16が形成されるとともに、この凹溝16の外周縁部に連なって、缶蓋本体上面10aの上方に向って延び、かつ径方向外方に折り返された折り返し部17が形成されている。
缶蓋本体上面10aにおいて、リベット11を挟んで開口部14と対向する対向領域、つまりリベット11を挟んで開口部14と反対側の領域には、凹溝16とは独立して、径方向内周縁がタブ15の引き上げ部15dに沿う構成とされた指かけ凹部10bが形成されている。
そして、このコイニング部20aに、主スコア13の一部が位置しており、タブ15の引き上げ部15dを引き上げた当初において、容易に主スコア13を破断させ始めることができるようになっている。
また、該スコア18は、缶蓋本体上面10aの前記対向領域のうち、リベット中心軸Oを中心とした角度70°以上190°以下の範囲に、主スコア13とは独立して接触しないように形成されている。
さらに、補助スコア18aは、リベット傾き抑止スコア18よりも0.020mm以上0.100mm以下深さが浅くされている。
さらにまた、リベット傾き抑止スコア18は、スコアレシジュアル(残厚)が、缶蓋本体10の板厚の0.25倍以上0.75倍以下とされているので、リベット11の傾きを抑止することができるとともに、缶蓋の強度低下を確実に抑制することができる。
実施例1として、図1および図2に示す缶蓋10において、缶蓋本体10の板厚を0.28mmとするとともに、リベット傾き抑止スコア18のSR値を0.22mmとし、補助スコア18aを除いた缶蓋を形成し、また、実施例2として、前記缶蓋10において、缶蓋本体10の板厚を0.28mmとするとともに、リベット傾き抑止スコア18のSR値を0.17mmとし、補助スコア18aを除いた缶蓋を形成し、比較例として、前記缶蓋10において、リベット傾き抑止スコア18および補助スコア18aを除いた従来の缶蓋を形成した。なお、これらの缶蓋はいずれも缶蓋本体の板厚を0.26mmとした。そして、これらの缶蓋を各別に缶体の開口部に巻き締めて缶を形成し、これらの缶の内圧を変えたときの、前記引き上げ部15dの下面と缶蓋本体上面10aとの距離(以下、「隙間」という)を測定した。
この結果、図4に示すように、比較例では、缶内圧値にかかわらず、実施例1および2と比べて前記隙間が小さく、缶蓋にリベット傾き抑止スコア18を形成したことにより、缶蓋に良好な開栓性を具備させることが可能になることが確認できた。
この結果、図5に示すように、比較例では、缶内圧値の変動にかかわらず、実施例1および2と比べて前記隙間が小さく、缶蓋にリベット傾き抑止スコア18を形成したことにより、缶蓋に缶内圧の変動履歴が付与された場合、例えば缶にレトルト殺菌処理が施された場合においても、この缶蓋に良好な開栓性を具備させることが可能になることが確認できた。
その一方、前記従来の缶蓋の前記リベット傾斜角度は、約4.5°であることが確認されるとともに、この缶蓋を用いて缶を形成し、該缶に内圧を0.2MPaかけたときの前記リベット傾斜角度は、約4.0°であることが確認された。
以上により、前記実施例2の缶蓋は、前記缶において、その内圧が上昇した場合、つまり陽圧缶の場合に、前記リベット傾斜角度がさらに小さくなり、リベット11の前記他端部15bの下面と、缶蓋本体上面10aとの隙間がより大きくなって、該隙間に容易に指を入り込ませることが可能になることが確認できた。
また、主スコア18とリベット傾き抑止スコア18と補助スコア18aとを形成する順は、特に限定されるものではない。
さらに、リベット傾き抑止スコア18を、缶蓋本体上面10aを平面視して、その両端部を結ぶ仮想直線Lがリベット11の外周縁を通るように位置させたが、該外周縁よりもタブ15の前記他端部15b側における外方を通るように位置させてもよい。
10a 缶蓋本体の上面
11 リベット
12 ディンプル
13 主スコア
14 開口部
15 タブ
15a タブの一端部
15b タブの他端部
15c フィンガーホール
15d 引き上げ部(第1周壁部)
15e 第2周壁部
18 リベット傾き抑止スコア
18a 補助スコア
20a コイニング部
L 仮想直線
Claims (6)
- 缶蓋本体の上面に、上方に向って凸とされたリベットおよびディンプルと、主スコアにより画成された開口部とが形成され、前記開口部の上に一端部側が重なるように前記リベットに固着されたタブを備え、前記缶蓋本体上下面における前記リベットに連なる当該リベットの周辺部は、前記缶蓋本体上下面のうち前記周辺部を除く他部より高硬度とされたコイニング部とされた缶蓋であって、
前記缶蓋本体の上面における前記リベットを挟んで前記開口部と対向した対向領域のうち、前記リベットを中心とした半径3mm以上8mm以下の領域に、前記コイニング部を回避して、前記リベットの外周に沿うように径方向外方へ凸とされた円弧形状のリベット傾き抑止スコアが形成されており、
前記ディンプルは、前記缶蓋本体の上面における前記リベットを挟んで前記開口部と対向した位置に配設されており、前記リベット傾き抑止スコアが、前記ディンプルと前記リベットの間を通過するように形成されていることを特徴とする缶蓋。 - 請求項1記載の缶蓋において、
前記リベット傾き抑止スコアは、前記缶蓋本体の上面を平面視して、その両端部を結ぶ仮想直線が前記リベットの外周縁を通るように位置されていることを特徴とする缶蓋。 - 請求項1または2に記載の缶蓋において、
前記リベットの中心軸は、缶蓋本体の上面に直交する直線に対して、前記タブの前記他端部側に0°以上3.5°以下傾いていることを特徴とする缶蓋。 - 請求項1または2に記載の缶蓋において、
缶体の開口部に巻き締められてなる缶の内圧を0.2MPaとしたときに、前記リベットの中心軸が、缶軸に対して前記タブの前記他端部側に0°以上2.0°以下傾く構成とされたことを特徴とする缶蓋。 - 請求項1から4のいずれかに記載の缶蓋において、
前記対向領域の径方向外方部には、径方向内周縁が前記タブの前記他端に沿うような指かけ凹部が形成され、
前記対向領域における、前記リベット傾き抑止スコアより径方向外方、かつ前記指かけ凹部の径方向内周縁より径方向内方位置に、補助スコアが形成されていることを特徴とする缶蓋。 - 請求項1から5のいずれかに記載の缶蓋において、
前記リベット傾き抑止スコアは、該リベット傾き抑止スコアの底面と前記缶蓋本体の下面との距離が、前記缶蓋本体の板厚の0.25倍以上0.75倍以下とされていることを特徴とする缶蓋。
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