本発明の構成について図面を参照して説明する。
図1は本発明に係る帯電装置を備えた画像形成装置の一例を示す図である。なお、以下の説明において、上下左右或いは時計回り反時計回り等方向を示す説明を行う場合があるが、特に記載しない限り図1を基準とする。
図1に示す画像形成装置Aは、タンデム型カラーデジタル複写機で、原稿画像を読み取るイメージリーダー部20と、読み取った画像を記録シート等の転写材に印刷するプリンター部10と、プリンター部10に対して転写材(ここでは、記録紙)を供給するための給紙部30と、プリンター部10の後述する、感光体ドラム11Y、11M、11C、11K(以下、代表して「感光体ドラム11」と称する場合がある)の表面に静電潜像を形成する作像部40Y、40M、40C、40Kとを備えている。また、画像形成装置Aでは、制御部Contを備えており、プリンター部10、イメージリーダー部20及び給紙部30が制御部Contによって制御されている。
イメージリーダー部20は、原稿ガラス板(不図示)の上に載置された原稿を、スキャナーを移動して読み取るものであり、公知の構成を有している。イメージリーダー部20は、原稿画像を赤(R)、緑(G)、青(B)の3色に色分解し、不図示のCCD等のイメージセンサーを用いて電気信号に変換して、R・G・Bの画像データを取得する。イメージリーダー部20で取得した色別(R、G、B)の画像データは、制御部Contで各種処理が行われた後、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各再現色の画像データに変換され、制御部Contに設けられた記録部(メモリー)に格納される。制御部Cont内のメモリに格納された各再現色の画像データは、位置ずれ補正を受けたのち、1走査ラインごとに読み出されて駆動信号となる。
プリンター部10は電子写真方式により記録シート等の記録媒体上に画像を形成する。プリンター部10は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各再現色に対応する感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kを有している。
プリンター部10は、感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kのそれぞれに、対応する再現色のトナー像を形成する作像部40Y、40M、40C、40Kを備えている。また、プリンター部10は、作像部40Y、40M、40C、40Kにトナーを供給するための、トナーホッパー12Y、12M、12C、12Kと、トナーボトル13Y、13M、13C、13Kとを備えている。作像部40Y、40M、40C、40Kの詳細については後述する。
トナーホッパー12Y、12M、12C、12Kは、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のトナーを一時的に貯留する。作像部40Y、40M、40C、40Kの現像装置42(図2に図示)内のトナー量(トナー濃度)が低くなると、不図示の筒状のジョイントを介して対応する作像部40Y、40M、40C、40Kの現像装置42にトナーを供給する。
トナーボトル13Y、13M、13C、13Kは、トナーホッパー12Y、12M、12C、12Kの上部に配置されている。トナーボトル13Y、13M、13C、13Kのそれぞれには、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のトナーが収容されており、トナーホッパー12Y、12M、12C、12Kにトナーを供給する。トナーボトル13Y、13M、13C、13Kを取り換えることで、新たにトナーを供給することができる。トナーボトル13Y、13M、13C、13Kとしては、例えば、円筒状のボトルの内周面にらせん状の突条が形成されたものが挙げられる。トナーボトル13Y、13M、13C、13Kを回転させることで、トナーボトル13Y、13M、13C、13K内のトナーが、排出口から落下し、トナーホッパー12Y、12M、12C、12Kに流入する。
プリンター部10は、各感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kに形成されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)各色のトナー像を、重ねて中間転写ベルト14に転写(一次転写)した後、転写材である記録紙に転写(二次転写)する。そして、記録紙に転写されたトナーを加熱・加圧して、カラー画像の印刷を行う。プリンター部10は、このような手順を可能にするため、中間転写ベルト14と、一次転写ローラ15Y、15M、15C、15Kと、二次転写ローラ16と、定着部17と、クリーニングブレード18とを有している。
中間転写ベルト14は、無端ベルトであり、駆動ローラ141と、従動ローラ142と、テンションローラ143との間に張架されている。図1に示すように、テンションローラ143は、駆動ローラ141及び従動ローラ142よりも高い位置に配置されている。そして、テンションローラ143が不図示の付勢部材(例えば、ばね)で上方に付勢可能な構成を有しており、テンションローラ143が上方に付勢されることで、中間転写ベルト14に張力を与えている。なお、駆動ローラ141又は従動ローラ142の少なくとも一方が離れる方向に付勢できる構成の場合、テンションローラ143を省略してもよい。
プリンター部10において、中間転写ベルト14の下方には、感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kが左から順に所定間隔を空けて配置されている。感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kは回転軸が中間転写ベルト14の移動方向に対して直交するように配置されている。また、各感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kのそれぞれと中間転写ベルト14を挟むように、一次転写ローラ15Y、15M、15C、15Kが配置されている。
一次転写ローラ15Y、15M、15C,15Kは、感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kの表面に形成されているトナー像を中間転写ベルト14に転写するためのローラである。一次転写ローラ15Y、15M、15C,15Kは、トナーと逆の電荷(転写バイアス)を印加することで、トナーを感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kから引き寄せる。これにより、感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kに形成されたトナー像が中間転写ベルト14に転写される。
中間転写ベルト14は駆動ローラ141によって反時計回りに回転する。中間転写ベルト14と同期させて感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kからのトナー像を転写することで、中間転写ベルト14にイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のトナー像を正確に重ねて中間転写ベルト14に転写(1次転写)する。これにより、中間転写ベルト14の表面には、カラーのトナー像(一次転写像とする)が形成される。
二次転写ローラ16は、中間転写ベルト14を挟んで駆動ローラ141と圧接している。二次転写ローラ16には、二次転写バイアスが印加されることで、中間転写ベルト14の一次転写像からトナーを吸着する。ここでは、二次転写ローラ16と中間転写ベルト14の間(ニップ部)に給紙部30から記録紙が供給されており、記録紙が駆動ローラ141と二次転写ローラ16とのニップ部を通過するとき、記録紙は中間転写ベルト14と接触する。このとき、二次転写ローラ16に二次転写バイアスを印加することで、中間転写ベルト14のトナー像が記録紙に転写(2次転写)される。トナー像が転写された記録紙は、その後、定着部17に搬送される。定着部17は、搬送された記録紙を加熱・加圧することでトナー像を記録紙に定着させる。
そして、トナー像が定着された記録紙は装置外部へ排出される。一方、中間転写ベルト14上の転写されずに残った残留トナーは、クリーニングブレード18で回収され廃トナーボックスに蓄えられる。クリーニングブレード18は、例えば、ゴム等の板状の部材であり、中間転写ベルト14を挟んで従動ローラ142に向けて押圧されている。
以上のようにして、プリンター部10は、転写材である記録紙に、カラー画像を形成している。
次に、プリンター部10に記録紙を供給する給紙部30について説明する。給紙部30は、給紙カセット31と、給紙ローラ32と、レジストローラ33とを備えている。給紙カセット31は、記録紙を収納するための収納部である。給紙カセット31は着脱可能な構成であり、取り外すことで記録紙を補充することができる。なお、画像形成装置Aでは、1個の給紙カセット31が示されているが、これに限定されるものではなく、複数個の給紙カセットが備えられていてもよい。複数個の給紙カセットを備える場合、給紙カセットごとに、例えば、大きさ、色が異なる記録紙を収納するようにしてもよいし、記録紙の配置方向が異なるものでもよい。
給紙ローラ32は、給紙カセット31の最上に配置されている記録紙を、搬送路(破線で表示)に引き出すとともに、レジストローラ33に搬送する。なお、給紙カセット31が複数個備えられている構成の場合、各給紙カセット31に対して給紙ローラ32が設けられるようにしてもよい。
レジストローラ33は、中間転写ベルト14の回転に同期して動作しており、記録紙を駆動ローラ141と二次転写ローラ16とのニップ部に送っている。レジストローラ33が中間転写ベルト14と同期していることで、中間転写ベルト14の一次転写像が記録紙の予め決められた位置に正確に転写(二次転写)される。
次に、各感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kにトナー像を形成する作像部40Y、40M、40C、40Kについて図面を参照して説明する。図2は図1に示す画像形成装置に用いられる作像部の概略配置図である。なお、以下の説明では、作像部40Y、40M、40C、40Kを代表して作像部40として説明しており、感光体ドラム11にトナー像を作像する構成を示している。また、同様に、一次転写ローラ15Y、15M、15C、15Kも代表して一次転写ローラ15として説明する。
作像部40Y、40M、40C、40Kは感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kのそれぞれにトナー像を作像し、トナー像を転写ベルト14に一次転写するものである。図2に示すように、作像部40は、感光体11、帯電装置50、露光装置41、現像装置42、一次転写ローラ15及びクリーニング装置43を設けている。
帯電装置50は、感光体ドラム11の表面を帯電させるための装置であり、ここでは、感光体ドラム11に接触して帯電させる帯電ローラ51を備えた、接触式の帯電装置である。なお、帯電装置50の詳細については、後述する。
感光体ドラム11は、暗い場所(暗所)では絶縁体であり、光を照射すると(露光すると)、光が照射された部分が導体になる性質を有している。露光装置41は、帯電された感光体ドラム11に光ビームを照射して露光することで、静電潜像を形成する。なお、露光装置41は、帯電ドラム11Y、11M、11C、11Kのそれぞれを同期して露光させるものである。
現像装置42は、静電潜像が形成された感光体ドラム11に対して電荷を有するトナーを供給することで、感光体ドラム11の表面にトナーを吸着させて、トナー像を形成する。なお、トナー像を形成する方式としては、感光体ドラム11が帯電している電荷と逆の電荷のトナーを露光によって電荷が失われなかった部分に吸着させる方式(正規現像)や前記電荷が失われた部分へトナーを押し込む方式(反転現像)を挙げることができる。
クリーニング部43は、感光体ドラム11の表面を除電し、さらに、感光体ドラム11に残っているトナー及び(又は)外添剤等の異物を除去する。なお、除電は、感光体ドラム11に光を照射することで行う除電ランプを用いるものを挙げることができるがこれに限定されない。また、感光体ドラム11に残ったトナーの除去方法としては、荷電ブラシで吸着するものやゴム等で形成されたブレードで掻き取るものを挙げることができるがこれに限定されない。また、現像装置42で感光体ドラム11のクリーニングを行うことができる構成である場合、クリーニング部43を省略してもよい。また、本発明に係るクリーニングローラを用いてクリーニングするものであってもよい。
次に、帯電装置50の詳細について図面を参照して説明する。図3は本発明に係る帯電装置の概略斜視図であり、図4はクリーニングローラの側面図である。図3に示す帯電装置50には、感光体ドラム11を記載している。
帯電装置50では、帯電ローラ51と、クリーニングローラ60とを備えている。帯電ローラ51は、感光体ドラム11と平行且つ感光体ドラム11と接触するように配置されている。そして、帯電ローラ51は感光体ドラム11と同期して回転するときに感光体ドラム11の表面を帯電するものであり、公知の構成を有している。図3に示すように、帯電ローラ51は、感光体ドラム11の表面の静電潜像が形成される部分を確実に帯電させることができる長さを有している。
図3、図4に示すように、クリーニングローラ60は、帯電ローラ51と平行であるとともに帯電ローラ51に圧接するように配置されており、帯電ローラ51の回転に従動して回転する。クリーニングローラ60は、軸部材61と、弾性部材62とを備えている。軸部材61は、円柱状部材であり、クリーニングローラ60の回転軸としての役割を果たす。なお、軸部材61は、その端部を図示を省略した軸受で回転可能に支持されており、軸受を付勢することで、クリーニングローラ60を帯電ローラ51に圧接している。
弾性部材62は、円筒形状の部材であり、軸部材61が中央を貫通するように設けられているとともに軸部材61に固定されている。弾性部材62の表面には、軸部材61の軸と平行に延びる切れ込み63が、回転方向に所定間隔で複数本形成されている。
以下に、クリーニングローラ60による帯電ローラ51の表面のクリーニングについて説明する。図5は切れ込み63が帯電ローラ51に接触している状態のクリーニングローラ60を示す図であり、図6は切れ込み63が帯電ローラ51から離れた状態のクリーニングローラ60を示す図である。なお、図5及び図6では帯電ローラ51及びクリーニングローラ60の断面を示しているがハッチングは省略している。また、図5及び図6では、切れ込み63が1個として説明しているが、実際の弾性部材62には切れ込み63が回転方向に所定間隔で複数本形成されている。また、説明の便宜上、切れ込み63を実際よりも誇張して示している。
図5に示すように、クリーニングローラ60は帯電ローラ51に圧接されているため、切れ込み63が帯電ローラ51と接触しているとき、弾性部材62は切れ込み63が回転方向に開くように弾性変形する。弾性部材62と帯電ローラ51とが圧接されている部分がニップ部である。
クリーニングローラ60が回転し、切れ込み63がニップ部から移動し帯電ローラ51と離れることで、弾性変形していた切れ込み63が元の形状に戻る(弾性復元する)。すなわち、切れ込み63が元の形状に閉じるように変形する。この変形のとき、切れ込み63の後方側の部分は弾性力(弾性復元力)で、帯電ローラ51の表面に付着している異物Dsを弾き飛ばし、帯電ローラ51の表面から除去する。以上のようにして、帯電ローラ51はクリーニングローラ60によってクリーニングされる。
なお、クリーニングローラ60が帯電ローラ51と異なる外径を有することで、切れ込み63を帯電ローラ51の異なる部分と接触させることができる。また、同じ外径であっても、クリーニングローラ60と帯電ローラ51とがスリップするようにしておくことで、クリーニングローラ60の回転に従って切れ込み63を帯電ローラ51の異なる部分と接触させることが可能である。
このような構成の帯電装置50において、例えば、切れ込み63がニップ部に移動し、切れ込み63が回転方向に開いた状態でクリーニングローラ60が長期間放置されると、弾性部材62にはクリープ変形が発生し、切れ込み63が開いた状態が維持されてしまうことがある。そして、クリープ変形が発生すると、切れ込み63が閉じるように作用する弾性復元力が低下してクリーニング性能が低下するおそれがある。
そこで、本発明に係るクリーニングローラ60では、ニップ部において、切れ込み63の両端が、弾性部材62の端面に到達しないように形成することで、弾性部材62の切れ込み63が開く方向の変形を抑制している。すなわち、弾性部材62の軸方向の両端は、回転方向に切れ込み63がない支持領域622が設けられており、切れ込み63は、支持領域622に挟まれた中間領域621に収まるように形成されている。このとき、切れ込み63は両端が閉じた形状となっている。
帯電ローラ51とクリーニングローラ60とのニップ部では、軸方向の両端は、常に支持領域622と帯電ローラ51とが接触した状態となっている。そして、切れ込み63の軸方向の両端が閉じているため、切れ込み63がニップ部に到達したときでも、切れ込み63の両端では回転方向に開く方向の変形が抑制される。これにより、切れ込み63全体の回転方向に開く方向の一定量以上の変形が抑制される。
これにより、切れ込み63が帯電ローラ51と接触した状態、すなわち、ニップ部にある状態で、長期間放置された場合であっても、弾性部材62の切れ込み63が形成されている部分のクリープ変形をなくす又は小さく抑えることができる。
これにより、本発明に係るクリーニングローラ60は、クリープ変形によるクリーニング性能が低下しにくく、長期間にわたって帯電ローラ51の汚れの蓄積を抑制することができる。そして、帯電ローラ51の汚れの蓄積が抑制されることで感光体ドラム11の帯電不良が抑制される。
本実施形態では、複数個の切れ込み63を回転方向に並んで配置した構成としているが、これに限定されるものではなく、切れ込み63が1個備えられている構成であってもよい。
なお、本実施形態のクリーニングローラ60では、ニップ部の回転方向の幅が約2mmとなるように帯電ローラ51に圧接されており、このときの支持領域622の軸方向の長さを1mm以上10mm以下とするものを挙げることができるが、これに限定されない。クリーニングローラ60の外径、軸方向長さ或いはニップ部の回転方向の幅によって左右される場合もある。
(第2実施形態)
本発明に係るクリーニングローラの他の例について図面を参照して説明する。図7は本発明に係るクリーニングローラの他の例の側面図である。なお、本実施形態では、クリーニングローラ以外、第1実施形態と同じ構成であるため、クリーニングローラ以外の部分の説明は省略する。
クリーニングローラ60Aは、軸部材61と、弾性部材62と、切れ込み64とを備えている。図7に示すように、クリーニングローラ60Aは軸方向と平行な切れ込み64が複数個設けられている。切れ込み64は、軸方向に長さL1であり、隣と隙間L2だけ開けて空けて軸方向に断続的に並べられた配列が形成されている。
そして、切れ込み64は、回転方向にも配置されており、回転方向に隣合う切れ込み64は軸方向にずれ量L3だけ軸方向にずれている。ずれ量L3は切れ込み64の隣との隙間L2よりも大きく、切れ込み64の長さL1よりも小さく設定されている。
複数の切れ込み64をこのように形成することで、回転方向に隣合う切れ込み64は回転方向に一部が重なるように形成される。これにより、クリーニングローラ60Aは弾性部材62の中間領域621では、任意部分において回転方向に少なくとも1個の切れ込み64が備えられる構成となる。これにより、帯電ローラ51の中間領域621と接触する部分で切れ込み64が接触しない部分を無くし、効率よくクリーニングを行うことが可能となる。
また、ニップ部で切れ込み64が帯電ローラ51と重なった場合であっても、ニップ部の軸方向の両端は切れ込み64のない支持領域622と帯電ローラ51とが接触し、切れ込み64の両端が閉じているので、切れ込み64の開く方向の一定量以上の変形が抑制される。これにより、切れ込み64がニップ部にあり帯電ローラ51と接触した状態で長期間放置されても、弾性部材62の切れ込み64全体の回転方向に開く方向のクリープ変形が抑制され、長期間にわたって、クリーニング能力の低下を抑制することができる。
また、軸方向に連続した切れ込み64が形成されているとともに、回転方向に隣合う切れ込み64が軸方向にずれる構成であってもよい。図8は本発明に係るクリーニングローラの側面図である。図8に示すように、クリーニングローラ60A2弾性部材62の中間領域621の軸方向長さよりも短い切れ込み64が複数個備えられている。そして、回転方向に隣合う切れ込み64が軸方向にずれるように設けられており、中間領域621の任意部分で、少なくとも1個の切れ込みが備えられるような構成であってもよい。
(第3実施形態)
本発明に係る帯電装置の他の例について図面を参照して説明する。図9は本発明に係るクリーニングローラのさらに他の例の側面図である。なお、本実施形態では、クリーニングローラ以外、第1実施形態と同じ構成であるため、クリーニングローラ以外の部分の説明は省略する。
図9に示すクリーニングローラ60Bは、軸部材61と、弾性部材62と、切れ込み65とを備えている。切れ込み65は、軸部材61に対してらせん形状に形成されている。そして、らせん形状の切れ込みが回転方向に並んで複数個設けられている。このように切れ込み65をらせん形状に形成することで、中間領域621の任意部分で回転方向に少なくとも1個の切れ込み65が存在する。これにより、帯電ローラ51の中間領域621と接触する部分で切れ込み64が接触しない部分を無くし、効率よくクリーニングを行うことが可能となる。
また、切れ込み65の両端が閉じているとともに、切れ込み65が軸方向に対して傾いているので、ニップ部で切れ込み65が帯電ローラ51と重なったときでも、切れ込み65の開く方向の一定量以上の変形が抑制される。これにより、切れ込み65がニップ部にあり帯電ローラ51と接触した状態で長期間放置されても、弾性部材62の切れ込み65が開く方向のクリープ変形が抑制され、長期間にわたって、クリーニング能力の低下を抑制することができる。
本実施形態では、切れ込み65をらせん形状に形成したものとしているが、これに限定されるものではない。例えば、らせん形状に不連続に配列された複数個の切れ込みを形成するようにしてもよい。なお、切れ込み65の軸方向に対する傾き角度は、例えば、30°以上60°以下とすることができるが、これに限定されない。また、切れ込み65が複数個ならんで配列されている構成としているが、切れ込み65が1個であってもよい。
(第4実施形態)
本発明に係る帯電装置の他の例について図面を参照して説明する。図10は本発明に係るクリーニングローラのさらに他の例の斜視図である。なお、本実施形態では、クリーニングローラ以外、第1実施形態と同じ構成であるため、クリーニングローラ以外の部分の説明は省略する。
図10に示すクリーニングローラ70は、軸部材71と、弾性部材72と、切れ込み73とを備えている。軸部材71は円柱状の部材であり、軸部材61と同様、回転軸として利用される。弾性部材72は短冊状の部材を軸部材71を隙間を空けたらせん形状で囲むように形成されている。切れ込み73は、弾性部材72に設けられている。
弾性部材72の帯電ローラ51と接触する部分の軸方向の両端には切れ込み73がない支持領域722が設けられており、切れ込み73は、支持領域722に挟まれた中間領域721に収まるように形成されている。これにより、切れ込み73は、軸方向と平行で、両端が閉じた形状となる。そして、切れ込み73は弾性部材72のらせん形状に沿って回転方向に並べて配置されている。これにより、任意部分で回転方向に少なくとも1個の切れ込み73が存在し、効率よくクリーニングを行うことが可能となる。
弾性部材72は複数の箇所で帯電ローラ51と接触する、すなわち、ニップ部が複数の箇所に現れる。各ニップ部の軸方向の端部では、切れ込み73がない支持領域722と帯電ローラ51とが接触している。また、クリーニングローラ70が回転することで、ニップ部も移動するが、ニップ部の軸方向の両端は常に支持領域722と帯電ローラ51とが接触するようになっている。
ニップ部で切れ込み73が帯電ローラ51と重なった場合であっても、ニップ部の軸方向の両端では切れ込み73がない支持領域722と帯電ローラ51とが接触し、切れ込み73の両端が閉じているので、切れ込み73の開く方向の一定量以上の変形が抑制される。これにより、切れ込み73がニップ部にあり帯電ローラ51と接触した状態で長期間放置されても、弾性部材72の切れ込み73全体の開く方向のクリープ変形が抑制され、長期間にわたって、クリーニング能力の低下を抑制することができる。
(第5実施形態)
本発明に係る帯電装置の他の例について図面を参照して説明する。図11は本発明に係るクリーニングローラのさらに他の例の斜視図である。なお、本実施形態では、クリーニングローラ以外、第4実施形態と同じ構成であるため、クリーニングローラ以外の部分の説明は省略する。
図11に示すクリーニングローラ70Aは、切れ込み74が軸方向に並んで配列されている。そして、このように軸方向に並んだ切れ込み74の配列が回転方向に弾性部材72のらせん形状に沿って等間隔をあけて形成されている。そして、切れ込み74は、任意部分で回転方向に少なくとも1個の切れ込みが存在するように形成されている。これにより、帯電ローラ51の中間領域721と接触する部分で切れ込み74が接触しない部分を無くし、効率よくクリーニングを行うことが可能となる。
また、ニップ部で切れ込み74が帯電ローラ51と重なった場合であっても、ニップ部の両端では切れ込み74のない支持領域722と帯電ローラ51とが接触し、切れ込み74の両端が閉じているので、切れ込み74の開く方向の一定量以上の変形が抑制される。これにより、切れ込み74がニップ部で帯電ローラ51と接触した状態で長期間放置されても、弾性部材72の切れ込み74全体の開く方向のクリープ変形が抑制され、長期間にわたって、クリーニング能力の低下を抑制することができる。なお、本実施形態では、切れ込みが軸方向に2個配列されているが、これに限定されず、2個以上配列されていてもよい。
(第6実施形態)
本発明に係る帯電装置の他の例について図面を参照して説明する。図12は本発明に係るクリーニングローラのさらに他の例の斜視図である。なお、本実施形態では、クリーニングローラ以外、第4実施形態と同じ構成であるため、クリーニングローラ以外の部分の説明は省略する。
図12に示すクリーニングローラ70Bは、軸方向に対して傾いた複数個の切れ込み75が設けられている。切れ込み75の回転方向に対する傾き角度θ2は弾性部材72のらせん形状のリード角θ1とは異なる角度となっている。そして、切れ込み75は、任意部分で回転方向に少なくとも1個の切れ込みが存在するように形成されている。これにより、帯電ローラ51の中間領域721と接触する部分で切れ込み75が接触しない部分を無くし、効率よくクリーニングを行うことが可能となる。
また、ニップ部で切れ込み75が帯電ローラ51と重なった場合であっても、切れ込み75の両端が閉じているとともに切れ込み75が傾いているので、切れ込み75の開く方向の一定量以上の変形が抑制される。これにより、切れ込み75がニップ部で帯電ローラ51と接触した状態で長期間放置されても、弾性部材72の切れ込み75全体の開く方向のクリープ変形が抑制され、長期間にわたって、クリーニング能力の低下を抑制することができる。
なお、切れ込み75が回転方向に対してらせん形状と同じ方向に傾いているものとしているが、これに限定されるものではなく、回転方向に対してらせん形状と反対側に傾いていてもよい。また、切れ込みが不連続に並んで配置される構成であってもよい。
上述の各実施形態で示したような、クリーニングローラを採用することで、切れ込みがニップ部にある状態で長期間放置されても弾性部材のクリープ変形が抑制される。これにより、長期間にわたり、帯電ローラの表面の汚れの蓄積を抑制し、長期間にわたって感光体ドラムをむらなく帯電するとともに、画像ノイズを低減することができる。
本発明に係るクリーニングローラの効果を実験により確かめた。以下に実験の詳細について説明する。まず、実験に用いたクリーニングローラについて説明する。本実験では上述の各実施形態に示す6種類のクリーニングローラ(実施例1〜実施例6)と、比較例として従来の2種類のクリーニングローラ(比較例1、比較例2)とを用意した。各クリーニングローラの詳細は次のとおりである。なお、クリーニングローラの弾性部材が形成されている部分の軸方向の長さは320mmである。
実施例1〜実施例3及び比較例1は、軸部材を覆う円柱状の弾性部材を備えた構成を有している。実施例1〜実施例3及び比較例1で共通の部分について説明する。軸部材は外径6mmの円柱状の部材である。弾性部材は長さ320mm、外径10mm、厚み2mmの円筒形状であり、貫通孔の内面は軸部材に固定されている。次に、実施例1〜実施例3及び比較例1のそれぞれの構成について説明する。
(実施例1)
実施例1のクリーニングローラは、図4に示す構成を有している。詳しく説明すると、弾性部材の両端面から軸方向に10mmの領域はきれこみがない支持領域が形成されており、支持領域の間の中間領域に収まるように切れ込みが設けられている。切れ込みは、深さが1mmで軸方向と平行であるとともに両端が閉じている。そして、このような構成の切れ込みが回転方向に5mm間隔で平行に並んで配置されている。
(実施例2)
実施例2のクリーニングローラは、図7に示す構成を有している。詳しく説明すると、深さが1mmで軸方向に平行な長さ15mmの両端が閉じた切れ込みが、軸方向に5mmの間隔をあけて配列されている。また、切れ込みは回転方向に5mmの間隔を空けるとともに軸方向に10mmずれて(ずれ量10mmで)形成されている。また、弾性部材の両端面から10mmの範囲に切れ込みが形成されないようにしている。
(実施例3)
実施例3のクリーニングローラは、図9に示す構成を有している。詳しく説明すると、深さ1mmで軸方向に対して45度傾いたらせん形状の切れ込みが、軸方向に5mm間隔を空けて形成されている。そして、弾性部材の両端から10mmの部分で切れ込みが閉じるように形成されないようにしている。
(比較例1)
比較例1のクリーニングローラは、深さ1mmで軸方向と平行な切れ込みが、弾性部材の軸方向の両端に到達するように形成されている。そして、このような切れ込みが回転方向に5mm間隔空けて平行に並んで配置されている。
実施例4〜実施例6及び比較例2は、軸部材にらせん形状に巻きつくように配置された弾性部材を備えた構成を有している。実施例4〜実施例6及び比較例2で共通の部分について説明する。軸部材は外径6mmの円柱状の部材である。弾性部材は軸方向の幅が20mmでリード角が50度(ピッチが35mm)として軸方向の長さが320mmとなるように、らせん形状に軸部材を覆って固定されている。次に、実施例4〜実施例6及び比較例2のそれぞれの構成について説明する。
(実施例4)
実施例4のクリーニングローラは、図10に示す構成を有している。詳しく説明すると、弾性部材の帯状の部分の両端から軸方向に5mmずつの部分がきれこみのない支持領域であり、支持部材の間の中間領域に収まるように切れ込みが形成されている。支持領域及び中間領域は弾性部材に沿ったらせん形状となっている。切れ込みは、深さが1mmで軸方向に平行であるとともに軸方向の両端が閉じている。切れ込みは回転方向に5mmの間隔を空けて弾性部材のらせん形状に沿うように軸をずらして配置されている。
(実施例5)
実施例5のクリーニングローラは、図11に示す構成を有している。詳しく説明すると、弾性部材の帯状の部分の両端から軸方向に5mmずつの部分がきれこみのない支持領域であり、支持部材の間の中間領域に収まるように切れ込みが形成されている。支持領域及び中間領域は弾性部材に沿ったらせん形状となっている。切れ込みは、深さが1mmで軸方向に平行で両端が閉じた長さ7.5mmの切れ込みが、軸方向に5mmの間隔をあけて配列されている。そして、この切れ込みの配列が回転方向に5mmの間隔を空けるとともに弾性部材のらせん形状に沿うように軸をずらして配置されている。
(実施例6)
実施例6のクリーニングローラは、図12に示す構成を有している。詳しく説明すると、弾性部材の帯状の部分の両端から軸方向に5mmずつの部分がきれこみのない支持領域であり、支持部材の間の中間領域に収まるように切れ込みが形成されている。支持領域及び中間領域は弾性部材に沿ったらせん形状となっている。切れ込みは深さが1mmで弾性部材のらせん形状と同じ方向に軸方向に対して45度傾いた両端が閉じた長さ12mmの切れ込みが、軸方向に5mmの間隔をあけて配列されている。なお、切れ込みと弾性部材のらせん形状とは軸方向(クリーニングローラの回転方向)に対する角度が異なっている。
(比較例2)
比較例1のクリーニングローラは、軸方向と平行で深さ1mmで軸方向長さが3mmの切れ込みが、弾性部材の帯状の部分の両端面のそれぞれから内側に向かって形成されている。そして、このような切れ込みが回転方向の5mmの間隔を空けて、らせん形状の弾性部材に沿って設けられている。すなわち、比較例2は、切れ込みの一方が閉じているとともに、他方が弾性部材の端面に到達して開いた状態、すなわち、開く方向に変形しやすい状態になっている。
次に、実験について説明する。画像形成装置では、反転現像を行っており、帯電不良が発生していると、帯電不良部分で画像の濃度が濃くなる(濃度むらが発生する)。そして、帯電不良の主な理由として帯電ローラの汚れの蓄積が挙げられる。そのため、印刷画像の濃度むらからクリーニングローラのクリーニング能力の評価を行う。また、一定枚数の印刷(一定時間の経過)後のクリーニングローラの形状を測定し、その形状に基づいてクリープ変形の評価も行っている。
実験の詳細は次のとおりである。実施例1〜実施例6、比較例1及び比較例2のクリーニングローラが備えられた帯電装置を用いた画像形成装置で、1日3000枚ずつ印刷を行いその後、50℃の環境に12時間放置する。この操作を繰り返し行った。そして、5万枚、10万枚印刷時に、印刷画像の濃度むらをチェックし、クリーニングローラの長期間にわたるクリーニング性能の変化を確認した。
本実験の画像の濃度むらの判定は次のようにして行っている。記録紙に濃度むらが出やすいハーフトーン画像を印刷する。そして、記録紙に撮像されたハーフトーン画像をスキャナーで取込み2値化処理し、通常部よりも濃い濃度として検出される範囲の画像全体に対する割合で濃度によるランク分けを行っている。濃度むらが少ない方からランクR5、R4、R3、R2である。ランクR5は通常部よりも濃い濃度として検出される範囲がほとんどない。ランクR4、ランクR3、ランクR2は画像全体に対する通常部よりも濃い濃度として検出される範囲がそれぞれ5%、10%、15%である。なお、R4.5はR4とR5の中間の範囲、R3.5はR3とR4の中間、R2.5はR2とR3の中間である。なお、レベルR5〜レベルR2.5が品質上問題ないレベルであり、R2は特殊なパターンで認知され、品質上問題が発生するおそれがあるレベルである。
また、10万枚印刷した後、クリーニングローラのクリープ変形についても判定した。クリープ変形については、切れ込みが円周方向に0.3mm未満を良「○」とし、0.3mm以上開いたものを不良「×」と判断した。実験の結果を表1に示す。
表1は各実施例と比較例との実験結果を示す表である。表1に示すように、全ての実施例及び比較例で最初の印刷のときには、画像ノイズがほとんどない、すなわち濃度むらがレベルR5であった。
まず、円筒形状の弾性部材を有する実施例1〜実施例3及び比較例1の実験結果について説明する。5万枚印刷時の濃度むらは実施例1がレベルR4.5であり、実施例2がレベルR4、実施例3がレベルR3.5であった。そして、10万枚印刷時の濃度むらは、実施例1がレベルR4.5、実施例2がレベルR4、実施例3がレベルR3.5であった。また、いずれの実施例でも10万枚印刷後のクリープ変形の判定結果は良となっている。
一方、比較例1は、5万枚印刷時の濃度むらがレベルR4.5であり、10万枚印刷時の濃度むらがレベルR3であった。そして、10万枚印刷後のクリープ変形の判定結果は不良であった。
実施例1〜実施例3と比較例1とを比較する。実施例1は、印刷当初から比較例1と同等のクリーニング性能を有するとともに、印刷を繰り返しても(長期間に渡り)比較例1よりもクリーニング性能の低下が抑制されていることがわかる。実施例2、実施例3では、5万枚印刷時に、比較例1よりもクリーニング性能が低い。このことは、実施例2及び実施例3の形状と比較例1の形状の差によるものと考えられる。すなわち、実施例2では、切れ込み長さが短いため開き幅が小さいことが原因であると考えられ、実施例3では、切れ込みが軸方向(ニップ部の長手方向)に対して斜めであるため開き幅が小さいことが原因であると考えられる。なお、実施例2及び実施例3はいずれもレベルR2.5以上のレベルであり、品質上問題はない。
そして、実施例2及び実施例3では、10万枚印刷時の濃度むらが5万枚印刷時と同じレベルを保っている。一方、比較例1では、10万枚印刷時の濃度むらが5万枚印刷時よりも悪化している。そして、印刷開始に対する5万枚印刷時の濃度むらの変化に比べて、5万枚印刷時から10万枚印刷時の濃度むらの変化が大きい。また、10万枚印刷時に実施例1〜実施例3はクリープ変形の判定がいずれも良であったのに対し、比較例1では不良であった。
以上のことから、実施例1〜実施例3のクリーニングローラでは、10万枚印刷時(一定時間経過後)にも、所定のクリーニング性能を有しており(画像の濃度むらがレベルR2.5以上)、弾性部材のクリープ変形がクリーニング性能に影響しない程度に抑えられていることがわかる。一方、比較例1のクリーニングローラでは、弾性部材にクリーニング性能の低下が実施例に比べて顕著であり、弾性部材のクリープ変形がクリーニング性能を大きく低下させていることがわかる。
円筒形状の弾性部材を有するクリーニングローラにおいて、本発明のように、弾性部材の両端から一定の距離を空けた中間領域に収まるように切れ込みを設ける、すなわち、切れ込みの両端を閉じる構成とすることで、印刷画像の品質を低下させない十分なクリーニング性能を有するとともにクリープ変形が抑制されていることがわかる。これにより、本発明に係るクリーニングローラを用いることで、長期間に渡って帯電ローラの表面に汚れが蓄積するのを抑制し、感光体ドラムの帯電むらを抑制することが可能である。これにより、印刷画像の画像ノイズを低減することができる。
次に、らせん形状に形成された弾性部材を有するクリーニングローラである実施例4〜実施例6及び比較例2の実験結果について説明する。5万枚印刷時の濃度むらは実施例4がレベルR3.5であり、実施例5がレベルR3、実施例6がレベルR2.5であった。そして、10万枚印刷時の濃度むらは、実施例4がレベルR3.5、実施例5がレベルR3、実施例6がレベルR2.5であった。また、いずれの実施例でも10万枚印刷後のクリープ変形の判定結果は良となっている。
一方、比較例2は、5万枚印刷時の濃度むらがレベルR4であり、10万枚印刷時の濃度むらがレベルR2であった。そして、10万枚印刷後のクリープ変形の判定結果は不良であった。
実施例4〜実施例6と比較例2とを比較する。実施例4〜実施例6では、5万枚印刷時に、比較例2よりもクリーニング性能が低い。このことは、実施例4〜実施例6の形状と比較例2の形状の差によるものと考えられる。すなわち、実施例4では切れ込みの両端が閉じた形状であるため、切れ込みの一端が弾性部材の端面に到達している比較例2に比べて切れ込みの開き幅が小さいことが原因であると考えられる。実施例5では、実施例4に対して1つの切れ込みの長さが短く、さらに切れ込みの開き幅が比較例2よりも小さいことが原因であると考えられる。さらに、実施例6では、切れ込みが軸方向(ニップ部の長手方向)に対して斜めであるため開き幅が小さいことが原因であると考えられる。なお、実施例4〜実施例6はいずれもレベルR2.5以上のレベルであり、品質上問題はない。
そして、実施例4〜実施例6では、10万枚印刷時の濃度むらが5万枚印刷時と同じレベルを保っている。一方、比較例2では、10万枚印刷時の濃度むらが5万枚印刷時よりも悪化している。そして、印刷開始に対する5万枚印刷時の濃度むらの変化に比べて、5万枚印刷時から10万枚印刷時の濃度むらの変化が大きい。そして、比較例2では、10万枚印刷時の濃度むらがレベルR2になっており、品質的に十分とは言えないレベルになっている。さらに、10万枚印刷後に実施例4〜実施例6はクリープ変形の判定がいずれも良であったのに対し、比較例2では不良であった。
以上のことから、実施例4〜実施例6のクリーニングローラでは、10万枚印刷時(一定時間経過後)にも、所定のクリーニング性能を有している(画像の濃度むらがレベルR2.5以上)おり、弾性部材のクリープ変形がクリーニング性能に影響しない程度に抑えられていることがわかる。一方、比較例2のクリーニングローラでは、弾性部材にクリーニング性能が印刷画像の品質を保てないほどに低下しており、弾性部材のクリープ変形がクリーニング性能を大きく低下させていることがわかる。
らせん形状の弾性部材を有するクリーニングローラにおいて、本発明のように、弾性部材の両端から一定の距離を空けた中間領域に切れ込みを設ける、すなわち、切れ込みの両端を閉じる構成とすることで、印刷画像の品質を低下させない十分なクリーニング性能を有するとともにクリープ変形が抑制されていることがわかる。これにより、本発明に係るクリーニングローラを用いることで、長期間に渡って帯電ローラの表面に汚れが蓄積するのを抑制し、感光体ドラムの帯電むらを抑制することが可能である。これにより、印刷画像の画像ノイズを低減することができる。
また、実施例4〜実施例6と比較例2との比較から、切れ込みの一方だけ、弾性部材の端面に到達している(自由に開口できる)構成であったとしても、クリープ変形の影響を受け、両端部が閉じた切れ込みを有する構成に比べて、長期にわたる使用で清掃能力が低下することもわかる。
円筒形状の弾性部材を有するクリーニングローラ(実施例1〜実施例3)の方が、らせん形状の弾性部材を有するクリーニングローラ(実施例4〜実施例6)に比べて、クリーニング性能が高くなっていることがわかる。このことは、円筒形状は軸方向の全長で帯電ローラと接触しているのに対し、らせん形状の場合、断続的に接触していることから、クリーニング時のニップ部の総面積が異なるためと考えられる。
一方で、円筒形状の弾性部材はらせん形状の弾性部材に比べてニップ部の総面積が大きくなるため、帯電ローラとクリーニングローラの摩擦が大きくなり、クリーニングローラの回転駆動に大きな力が必要になる。また、円筒形状の弾性部材の場合、一旦成型した円筒形状の弾性部材に軸部材を挿入して固定する作業が含まれており、芯出し等の位置決めが必要である。また、軸部材を取り付けたのちに、切れ込みを形成する作業が行われるため、作業時に発生したゴミ等を除去する工程も必要になる。一方、らせん形状の弾性部材の場合、短冊状に形成された弾性部材を軸部材に対して巻きつけるだけの工程であり、予め切れ込みを形成しておけるので製造の手間を省くことが可能である。
すなわち、円筒形状の弾性部材を有するクリーニングローラは、クリーニング性能が高く、画像ノイズの抑制効果が高いが、駆動に大きな力が必要であるとともに、製造に手間と時間(すなわち、コスト)がかかる。一方、らせん形状の弾性部材を有するクリーニングローラは、クリーニング性能が円筒形状に比べて劣るが、駆動に要する力を抑制し、製造に手間と時間(すなわち、コスト)も抑制することができる。
このことから、円筒形状の弾性部材を有するクリーニングローラとらせん形状の弾性部材を有するクリーニングローラとは、要求される性能(例えば、印刷画像の画像ノイズをどの程度抑制するか、コスト、電力等)に応じて、適宜採用するようにしてもよい。いずれの構成のクリーニングローラを使用した場合であっても、長期間に渡り、被清掃体である帯電ローラの表面の汚れの除去を効果的に行うことができる。
以上説明したクリーニングローラは、帯電装置の帯電ローラに従動するものとして説明しているが、これに限定されるものではなく、クリーニングローラ自体に駆動力を付与するようにしてもよい。また、クリーニングローラは帯電ローラ表面の汚れの蓄積を抑制するものとして説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、感光体ドラムの残留トナーを除去するクリーニング装置や転写ベルトに残留したトナーを除去するクリーニング装置として使用することも可能である。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこの内容に限定されるものではない。また本発明の実施形態は、発明の趣旨を逸脱しない限り、種々の改変を加えることが可能である。