JP2016183751A - 増速機及び遠心圧縮機 - Google Patents
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Abstract
【課題】比較的簡素な構成で、駆動に適した流量のオイルを当接箇所に供給できる増速機及びその増速機を備えた遠心圧縮機を提供すること。【解決手段】増速機14は、低速側シャフト11の回転に伴って回転するリング部62と、リング部62の内側に配置された高速側シャフト12と、リング部62と高速側シャフト12との間に設けられ、リング部62及び高速側シャフト12の双方に当接した第1ローラ71とを備えている。ここで、第1ローラ71には、オイルOが流れるローラ流路110が設けられている。ローラ流路110は、第1ローラ71の回転軸線上に形成された軸流路111と、回転軸線方向Zから見て軸流路111から第1ローラ71の径方向外側に延びた径流路112とを備えている。【選択図】図4
Description
本発明は、増速機及びその増速機を備えた遠心圧縮機に関する。
従来から、低速側シャフトの回転に伴って回転するリング部と、リング部の内側に配置された高速側シャフトと、リング部と高速側シャフトとの間に設けられ、リング部及び前記高速側シャフトの双方に当接した複数のローラと、を備えた増速機が知られている(例えば特許文献1参照)。かかる増速機は、ローラとリング部との当接箇所、及び、ローラと高速側シャフトとの当接箇所を介して、低速側シャフトから高速側シャフトに動力を伝達することにより、高速側シャフトを低速側シャフトよりも高速で回転させる。また、特許文献1には、増速機が収容されたハウジングの外部からハウジング内に向けてオイルを供給する外部ポンプや、低速側シャフトの回転によって駆動する内部ポンプ等について記載されている。
ここで、当接箇所の摩耗や焼き付き及び当接箇所の発熱を抑制することに着目すれば、当接箇所に供給されるオイルの流量は大きい方が好ましい。しかしながら、オイルの流量が大きくなると、それに伴ってオイルの撹拌抵抗が大きくなるため、増速機の効率が低下する。このため、増速機の効率を低下しつつ当接箇所の摩耗や焼き付き等を抑制できる、増速機の駆動に適したオイルの流量が存在する。
また、上記駆動に適したオイルの流量は、高速側シャフトや複数のローラの回転数が高くなるほど大きくなり易い。この場合、供給するオイルの流量が可変に構成された可変ポンプ等を用いて、回転数に対応させて、ポンプが供給するオイルの流量を調整する構成も考えられるが、このような構成は、複雑なものとなり易い。
本発明は、上述した事情を鑑みてなされたものであり、その目的は比較的簡素な構成で、駆動に適した流量のオイルを当接箇所に供給できる増速機及びその増速機を備えた遠心圧縮機を提供することである。
上記目的を達成する増速機は、低速側シャフトの回転に伴って回転するリング部と、前記リング部の内側に配置された高速側シャフトと、前記リング部と前記高速側シャフトとの間に設けられ、前記リング部及び前記高速側シャフトの双方に当接した複数のローラと、を備え、前記ローラと前記リング部との当接箇所、及び、前記ローラと前記高速側シャフトとの当接箇所を介して、前記低速側シャフトから前記高速側シャフトに動力を伝達するものであって、前記複数のローラのうち少なくとも1つの対象ローラには、オイルが流れるローラ流路が設けられており、前記ローラ流路は、前記対象ローラの回転軸線上に形成され、前記対象ローラの回転軸線方向に貫通した軸流路と、前記回転軸線方向から見て前記軸流路から前記対象ローラの径方向外側に延び、且つ、少なくとも一部が前記対象ローラの外周面に開口している径流路と、を備えていることを特徴とする。
かかる構成によれば、例えば軸流路の一方の開口である第1開口からオイルが流入した場合、当該オイルは、上記第1開口とは反対側の第2開口又は径流路の開口から吐出される。そして、第2開口から吐出されるオイルの流量と、径流路の開口から吐出されるオイルの流量との割合は、対象ローラの回転数に応じて変化する。詳細には、対象ローラの回転数が高くなるほど、オイルに付与される遠心力が大きくなるため、径流路の開口から吐出されるオイルの流量が大きくなり、第2開口から吐出されるオイルの流量は小さくなる。これにより、対象ローラの回転数に応じた流量のオイルが対象ローラとリング部との当接箇所、及び、対象ローラと高速側シャフトとの当接箇所に供給されることとなる。よって、比較的簡素な構成で、駆動に適した流量のオイルを上記両当接箇所に供給できる。
上記増速機について、前記径流路は、前記軸流路の下流側から上流側に向かうに従って前記軸流路から離れるように傾斜した第1径流路と、前記軸流路の上流側から下流側に向かうに従って前記軸流路から離れるように傾斜した第2径流路と、を備え、前記第1径流路の開口は、前記対象ローラにおける前記回転軸線方向の中央よりも上流にある端面側に配置されており、前記第2径流路の開口は、前記対象ローラにおける前記回転軸線方向の中央よりも下流にある端面側に配置されているとよい。かかる構成によれば、対象ローラにおける回転軸線方向の両端側に優先的にオイルを供給することができる。よって、両当接箇所だけでなく、対象ローラに対して回転軸線方向の両側に配置されている各種部品、例えば対象ローラを支持する部材等にもオイルを供給することができ、これら各種部品と対象ローラとの摩耗などを抑制できる。
上記増速機について、前記径流路の開口は、前記対象ローラの外周面のうち前記対象ローラの回転軸線方向の両端よりも中央側に配置されているとよい。かかる構成によれば、対象ローラの外周面のうち回転軸線方向の両端よりも中央側に優先的にオイルが供給される。当該中央側の部分は、両端側と比較して、オイルが枯渇し易い部分である。よって、比較的発生頻度が高くなり易い中央側の部分のオイル切れを好適に抑制できる。
上記増速機について、前記軸流路は、第1軸流路と、前記第1軸流路よりも流路断面積が大きい第2軸流路と、を備え、前記第1軸流路は、前記第2軸流路と連通した状態で、前記第2軸流路に対して前記回転軸線方向の両側に配置されており、前記径流路は、前記第2軸流路と連通しているとよい。かかる構成によれば、例えば一方の第1軸流路から流入したオイルは、第2軸流路に一時的に貯留されてから、他方の第1軸流路又は径流路の開口から吐出される。当該第2軸流路に貯留されているオイルは、遠心力の影響を受け易い。よって、より好適に駆動に適した流量のオイルを、両当接箇所に供給することができる。
上記目的を達成する遠心圧縮機は、前記低速側シャフトを回転させる電動モータと、前記高速側シャフトに取り付けられたインペラと、上述した増速機と、前記電動モータ、前記インペラ及び前記増速機が収容されたハウジングと、を備えていることを特徴とする。かかる構成によれば、電動モータの回転数よりも高い回転数でインペラを回転させることができる。そして、駆動に適した流量のオイルを両当接箇所に供給することにより、遠心圧縮機において、効率の低下を抑制しつつ信頼性の向上を図ることができる。
上記遠心圧縮機について、前記ハウジングは、前記増速機が収容される増速機室と、前記インペラが収容されるインペラ室とを仕切る仕切壁を備え、前記増速機は、前記仕切壁と協働して、前記複数のローラを回転可能な状態で支持する支持部材を備え、前記支持部材には、前記軸流路の第1開口と連通する支持流路が形成されており、前記仕切壁には、前記軸流路における前記第1開口とは反対側に配置された第2開口と連通し、且つ、オイルを前記ハウジング内に設けられたオイル貯留室へガイドする仕切壁流路が形成されているとよい。かかる構成によれば、例えば支持流路を流れるオイルは、第1開口を介してローラ流路に流入し、その一部は第2開口から吐出され、仕切壁流路を通ってオイル貯留室にガイドされる。これにより、支持部材と仕切壁とによって支持された対象ローラのローラ流路にオイルを循環させることができる。
上記遠心圧縮機について、前記インペラは、基端面から先端面に向けて徐々に縮径した筒状であり、前記仕切壁流路は、前記仕切壁において前記インペラの回転軸線方向から見て前記インペラの基端面と重なる領域を通っているとよい。インペラが回転すると、仕切壁においてインペラの回転軸線方向から見てインペラの基端面と重なる領域が発熱し易い。これに対して、本構成によれば、仕切壁流路が上記領域を通っているため、仕切壁流路を流れるオイルによって上記領域が冷却される。よって、上記領域の発熱を好適に抑制できる。
上記遠心圧縮機について、前記ハウジングは、前記仕切壁と協働して前記増速機室を区画する増速機ハウジングを備え、前記低速側シャフトは前記増速機ハウジングを貫通しており、前記リング部を有するリング部材に連結されており、前記低速側シャフトには、前記支持流路と連通するシャフト流路が形成されており、前記遠心圧縮機は、前記低速側シャフトの回転に伴って駆動することにより前記シャフト流路にオイルを供給するオイルポンプと、前記増速機ハウジングに形成された流路であって、前記オイル貯留室から前記オイルポンプに向けてオイルを供給する吸入流路と、を備えているとよい。かかる構成によれば、オイルポンプを用いてオイルを循環させることができる。特に、オイルポンプは、低速側シャフトの回転に伴って駆動するものであるため、低速側シャフトの回転数に応じてオイルポンプから吐出されるオイルの流量が変化する。これにより、低速側シャフトの回転数に応じて、両当接箇所へのオイルの供給量を変化させることができる。
この発明によれば、比較的簡素な構成で、駆動に適した流量のオイルを当接箇所に供給できる。
以下、増速機及びその増速機を備えた遠心圧縮機の一実施形態について説明する。なお、本実施形態では、遠心圧縮機は、燃料電池が搭載された燃料電池車両(FCV)に搭載されており、当該燃料電池に対して空気を送るのに用いられる。また、図示の都合上、図1においては、両シャフト11,12を側面図で示し、図4及び図5においては、低速側シャフト11を一部破断して示す。
図1に示すように、遠心圧縮機10は、低速側シャフト11及び高速側シャフト12と、低速側シャフト11を回転させる電動モータ13と、低速側シャフト11の回転を増速させて高速側シャフト12に伝達する増速機14と、高速側シャフト12の回転によって流体(本実施形態では空気)を圧縮する圧縮部15とを備えている。両シャフト11,12は、例えば金属で構成されており、詳細には鉄又は鉄の合金で構成されている。
また、遠心圧縮機10は、当該遠心圧縮機10の外郭を構成するものであって、両シャフト11,12、電動モータ13、増速機14及び圧縮部15が収容されたハウジング20を備えている。ハウジング20は、例えば全体として略筒状(詳細には円筒状)となっている。
ハウジング20は、電動モータ13が収容されたモータハウジング21と、増速機14が収容された増速機ハウジング22と、流体が吸入される吸入口23aが形成されたコンプレッサハウジング23とを備えている。吸入口23aは、ハウジング20の軸線方向の一端面20aに設けられている。吸入口23aから見てハウジング20の軸線方向に、コンプレッサハウジング23、増速機ハウジング22及びモータハウジング21の順に配列されている。また、ハウジング20は、増速機ハウジング22とコンプレッサハウジング23との間に設けられた仕切壁としてのプレート24と、オイルOが貯留されるオイルハウジング25と、を備えている。また、モータハウジング21と、増速機ハウジング22と、コンプレッサハウジング23と、プレート24と、オイルハウジング25とは例えば高速側シャフト12とは異なる金属で構成されており、詳細には高速側シャフト12よりも柔らかく、且つ、高速側シャフト12よりも軽い金属(例えばアルミニウム)で構成されている。
ちなみに、本実施形態では、遠心圧縮機10は、ハウジング20の軸線方向と水平方向とが一致する状態で車両に搭載されている。そして、図1の紙面上下方向が鉛直方向に対応する。
モータハウジング21は、全体として底部21aを有する筒状(詳細には円筒状)である。モータハウジング21の底部21aの外面が、ハウジング20の軸線方向の両端面20a,20bのうち、吸入口23aがある一端面20aとは反対側の他端面20bを構成している。同様に、増速機ハウジング22は、全体として底部22aを有する筒状(詳細には円筒状)である。
モータハウジング21と増速機ハウジング22とは、モータハウジング21の開口端が増速機ハウジング22の底部22aに突き合わさった状態で連結されている。モータハウジング21の内面と、増速機ハウジング22の底部22aにおけるモータハウジング21側の面とによって、電動モータ13が収容されたモータ収容室S1が形成されている。当該モータ収容室S1には、低速側シャフト11の回転軸線方向とハウジング20の軸線方向とが一致する状態で、低速側シャフト11が収容されている。
低速側シャフト11は、回転可能な状態でハウジング20に支持されている。詳細には、モータハウジング21の底部21aには、増速機ハウジング22に向けて起立した筒状のボス31が設けられている。ボス31は、低速側シャフト11の一端部11aよりも一回り大きく形成されている。低速側シャフト11の一端部11aは、ボス31内に入り込んでおり、ボス31の内面と低速側シャフト11の一端部11aとの間には、低速側シャフト11を回転可能な状態で支持する軸受32が設けられている。
増速機ハウジング22の底部22aにおける電動モータ13側の面22bには、オイルポンプ33及びカバー部材34が収容される収容凹部35が形成されている。そして、収容凹部35の底面には、増速機ハウジング22の底部22aを貫通するものであって、低速側シャフト11が挿通された貫通孔22cが形成されている。増速機ハウジング22の貫通孔22cは、低速側シャフト11の一端部11aとは反対側の他端部11bと同一径に形成されており、低速側シャフト11は、増速機ハウジング22の貫通孔22cの内面等によって、回転可能に支持されている。低速側シャフト11の一部は、増速機ハウジング22の貫通孔22cを介して、増速機ハウジング22内に配置されている。
電動モータ13は、低速側シャフト11に固定されたロータ41と、ロータ41の外側に配置されるものであってモータハウジング21の内面に固定されたステータ42とを備えている。ロータ41の回転軸線とステータ42の中心軸線とは、低速側シャフト11の回転軸線と同一軸線上に配置されている。ロータ41とステータ42とは低速側シャフト11の径方向に対向している。
ステータ42は、円筒形状のステータコア43と、ステータコア43に捲回されたコイル44とを備えている。コイル44に電流が流れることによって、ロータ41と低速側シャフト11とが一体的に回転する。
プレート24は、例えば増速機ハウジング22と同一径の円板状である。プレート24と、軸線方向の一方が開口した有底筒状の増速機ハウジング22とは、当該増速機ハウジング22の開口端とプレート24の第1板面24aとが突き合わさった状態で組み付けられている。これにより、プレート24の第1板面24aと増速機ハウジング22の内面とによって、増速機14が収容された増速機室S2が形成されている。
図1に示すように、プレート24には、増速機14の一部を構成する高速側シャフト12が挿通可能なプレート貫通孔24bが形成されている。高速側シャフト12の一部は、プレート貫通孔24bを介してコンプレッサハウジング23内に配置されている。
なお、プレート貫通孔24bの内面と高速側シャフト12との間には、増速機ハウジング22内のオイルOがコンプレッサハウジング23内に流出するのを規制するシール部材50が設けられている。
コンプレッサハウジング23は、軸線方向に貫通したコンプ貫通孔51を有する略筒状である。コンプレッサハウジング23の軸線方向の一端面23bがハウジング20の軸線方向の一端面20aを構成しており、コンプ貫通孔51における上記一端面23b側にある開口が吸入口23aとして機能する。
コンプレッサハウジング23とプレート24とは、コンプレッサハウジング23の軸線方向の一端面23bとは反対側の他端面23cと、プレート24における第1板面24aとは反対側の第2板面24cとが突き合わさった状態で、組み付けられている。この場合、コンプ貫通孔51の内面とプレート24の第2板面24cとによって、圧縮部15としてのインペラ52が収容されたインペラ室S3が形成されている。つまり、コンプ貫通孔51は、吸入口23aとして機能するとともに、インペラ室S3を区画するものとして機能する。吸入口23aとインペラ室S3とは連通している。また、増速機14が収容される増速機室S2と、インペラ室S3とは、プレート24によって仕切られている。
ここで、コンプ貫通孔51は、吸入口23aから軸線方向の途中位置までは一定の径であり、上記途中位置からプレート24の第2板面24cに向かうに従って徐々に拡径した略円錐台形状となっている。このため、コンプ貫通孔51の内面によって区画されるインペラ室S3は、略円錐台形状となっている。
インペラ52は、基端面52aから先端面52bに向かうに従って徐々に縮径した筒状である。インペラ52は、インペラ52の回転軸線方向に延び、且つ、高速側シャフト12が挿通可能な挿通孔52cを有している。インペラ52は、高速側シャフト12におけるコンプ貫通孔51内に突出している部分が挿通孔52cに挿通された状態で、高速側シャフト12と一体回転するように高速側シャフト12に取り付けられている。これにより、高速側シャフト12が回転することによってインペラ52が回転して、吸入口23aから吸入された流体が圧縮される。
また、遠心圧縮機10は、インペラ52によって圧縮された流体が流入するディフューザ流路53と、ディフューザ流路53を通った流体が流入する吐出室54とを備えている。ディフューザ流路53は、コンプレッサハウジング23におけるコンプ貫通孔51の第2板面24c側の開口端と連続し且つ当該第2板面24cと対向する面と、プレート24の第2板面24cとによって区画された流路である。ディフューザ流路53は、インペラ室S3よりも高速側シャフト12の径方向外側に配置されており、インペラ52(及びインペラ室S3)を囲むように環状(詳細には円環状)に形成されている。吐出室54は、ディフューザ流路53よりも高速側シャフト12の径方向外側に配置された環状である。インペラ室S3と吐出室54とはディフューザ流路53を介して連通している。インペラ52によって圧縮された流体は、ディフューザ流路53を通ることによって、更に圧縮されて吐出室54に流れ、当該吐出室54から吐出される。
次に、増速機14について説明する。
本実施形態の増速機14は、所謂トラクションドライブ式(摩擦ローラ式)である。図1に示すように、増速機14は、低速側シャフト11の他端部11bに連結されたリング部材60を備えている。リング部材60は、低速側シャフト11の他端部11bに連結された円板状のベース部61と、当該ベース部61の縁部からプレート24に向けて起立したリング部62とを備えている。リング部62の内径は、低速側シャフト11の他端部11bの径よりも長く設定されている。
本実施形態の増速機14は、所謂トラクションドライブ式(摩擦ローラ式)である。図1に示すように、増速機14は、低速側シャフト11の他端部11bに連結されたリング部材60を備えている。リング部材60は、低速側シャフト11の他端部11bに連結された円板状のベース部61と、当該ベース部61の縁部からプレート24に向けて起立したリング部62とを備えている。リング部62の内径は、低速側シャフト11の他端部11bの径よりも長く設定されている。
本実施形態では、リング部材60は、ベース部61の回転軸線(リング部材60の回転軸線)と低速側シャフト11の回転軸線とが一致するように低速側シャフト11に連結されている。なお、リング部62の回転軸線も低速側シャフト11の回転軸線と一致している。リング部材60は、低速側シャフト11の回転に伴って回転する。この場合、図5に示すように、ベース部61におけるリング部62側とは反対側の面61aと、低速側シャフト11の回転軸線方向の両端面のうち低速側シャフト11の他端部11b側の端面11cとが当接している。
高速側シャフト12の一部は、リング部62の内側に配置されている。そして、図2に示すように、増速機14は、高速側シャフト12とリング部62との間に設けられ、リング部62及び高速側シャフト12の双方に当接した複数のローラ71〜73を備えている。各ローラ71〜73は円柱状であり、各ローラ71〜73の回転軸線方向(軸線方向)Zと高速側シャフト12の回転軸線方向とは一致している。複数のローラ71〜73は、高速側シャフト12の周方向に所定の間隔(例えば120度)ずつ隔てて並んで配置されている。第1ローラ71は、第2ローラ72及び第3ローラ73と比較して、鉛直方向上方に配置されている。なお、各ローラ71〜73は例えば金属で構成されており、詳細にはハウジング20よりも硬い金属、例えば鉄又は鉄の合金で構成されている。
図1及び図2に示すように、増速機14は、プレート24と協働して各ローラ71〜73を回転可能に支持する支持部材80を備えている。支持部材80はリング部62内に配置されている。支持部材80は、リング部62よりも一回り小さく形成された円板状の支持ベース部81と、当該支持ベース部81から起立した柱状の3つの支持部82〜84とを備えている。支持ベース部81は、リング部材60のベース部61と板面同士が対向する位置に配置されている。支持ベース部81は、プレート24に対して各ローラ71〜73の回転軸線方向Zに対向配置されている。3つの支持部82〜84は、支持ベース部81におけるプレート24の第1板面24aと対向する対向板面81aからプレート24に向けて起立しており、リング部62の内周面62aと、隣り合う2つのローラの外周面とによって区画された3つの空間を埋めるように形成されている。
第1支持部82は、リング部62の内周面62a、第1ローラ71の外周面71a及び第2ローラ72の外周面72aに対して一定の隙間を形成した状態で、リング部62の内周面62aと第1ローラ71の外周面71aと第2ローラ72の外周面72aとによって区画された空間を埋めている。
第2支持部83は、リング部62の内周面62a、第2ローラ72の外周面72a及び第3ローラ73の外周面73aに対して一定の隙間を形成した状態で、リング部62の内周面62aと第2ローラ72の外周面72aと第3ローラ73の外周面73aとによって区画された空間を埋めている。
第3支持部84は、リング部62の内周面62a、第1ローラ71の外周面71a及び第3ローラ73の外周面73aに対して一定の隙間を形成した状態で、リング部62の内周面62aと第1ローラ71の外周面71aと第3ローラ73の外周面73aとによって区画された空間を埋めている。
図1及び図2に示すように、各支持部82〜84には、固定具としてのボルト91が螺合可能なネジ孔92が形成されている。ネジ孔92に対応させて、プレート24の第1板面24aには、ネジ孔92と連通するネジ穴93が形成されている。各支持部82〜84は、ネジ孔92とネジ穴93とが連通し、且つ、当該各支持部82〜84の先端面が第1板面24aに突き合わさった位置に配置されており、その状態でネジ孔92とネジ穴93とに跨るようにボルト91が螺合されることによってプレート24に固定される。
第1ローラ71、第2ローラ72及び第3ローラ73は、プレート24と支持ベース部81との間に配置されており、支持ベース部81に固定された第1ローラ軸受94と、プレート24に固定された第2ローラ軸受95とによってそれぞれ回転可能に支持されている。
詳細には、図3及び図4に示すように、第1ローラ71における当該第1ローラ71の回転軸線方向Zの端面71b,71cには、該端面71b,71cから突出した突起101,102が形成されている。突起101,102は、端面71b,71cの中央に設けられた円柱状である。
また、支持ベース部81の対向板面81aには、当該対向板面81aから第1板面24aとは反対側に凹んだ支持凹部103が設けられている。支持凹部103における回転軸線方向Zと交わる方向の長さは、第1突起101の径よりも長く且つ第1ローラ71の径よりも短くなっている。第1突起101は、支持凹部103内に収容されている。そして、第1ローラ軸受94は、第1突起101と支持凹部103の側壁との間に配置されており、第1突起101を回転可能に支持した状態で支持部材80に取り付けられている。
図1に示すように、プレート24の第1板面24aには、当該第1板面24aから凹んだプレート凹部104が形成されている。プレート凹部104におけるプレート24の径方向の長さは、第2突起102の径よりも長く且つ第1ローラ71の径よりも短くなっている。そして、プレート凹部104の周縁部には、第1板面24aから起立した円筒部105が形成されている。円筒部105の内径は、プレート凹部104の径と同一である。第2突起102は、円筒部105とプレート凹部104とによって形成された空間内に配置されている。第2ローラ軸受95は、第2突起102と、円筒部105及びプレート凹部104の内壁との間に配置されており、第2突起102を回転可能に支持した状態でプレート24に取り付けられている。
なお、第2ローラ72及び第3ローラ73についても、第1ローラ71と同様な構成によって、回転可能に支持されている。
ここで、図2に示すように、各ローラ71〜73の径(各ローラ71〜73における回転軸線方向Zと交わる方向の長さ)は高速側シャフト12の径よりも長く設定されている。各ローラ71〜73の径は、リング部62内に各ローラ71〜73が配置可能となるように、リング部62の半径より短く設定されている。
ここで、図2に示すように、各ローラ71〜73の径(各ローラ71〜73における回転軸線方向Zと交わる方向の長さ)は高速側シャフト12の径よりも長く設定されている。各ローラ71〜73の径は、リング部62内に各ローラ71〜73が配置可能となるように、リング部62の半径より短く設定されている。
ローラ71〜73とリング部材60と高速側シャフト12とは、ローラ71〜73と高速側シャフト12及びリング部62とが互いに押し付けあっている状態でユニット化されており、高速側シャフト12は、3つのローラ71〜73によって回転可能に支持されている。この場合、ローラ71〜73の外周面71a〜73aとリング部62の内周面62aとの当接箇所であるリング側当接箇所Pa1〜Pa3、及び、ローラ71〜73の外周面71a〜73aと高速側シャフト12の外周面12aとの当接箇所であるシャフト側当接箇所Pb1〜Pb3とには、押し付け荷重が付与されている。
ちなみに、図2に示すように、第1ローラ71の径と、第2ローラ72及び第3ローラ73の径とは異なっており、詳細には第1ローラ71の径が、第2ローラ72及び第3ローラ73の径よりも長く設定されている。このため、各ローラ71〜73によって押し付けられて支持された高速側シャフト12と、リング部62(換言すれば低速側シャフト11)とは偏心している。詳細には、高速側シャフト12の回転軸線とリング部62の回転軸線とは、ずれている。
なお、図4に示すように、高速側シャフト12には、当該高速側シャフト12の回転軸線方向に離間して対向配置された一対のフランジ部106が設けられており、複数のローラ71〜73は一対のフランジ部106によって挟持されている。これにより、高速側シャフト12の回転軸線方向における高速側シャフト12と複数のローラ71〜73との位置ずれが抑制されている。また、支持ベース部81の中央部には、フランジ部106よりも一回り長い径を有するフランジ用凹部107が形成されており、当該フランジ用凹部107内に、ベース部61側にあるフランジ部106が配置されている。また、インペラ52側に配置されているフランジ部106は、プレート貫通孔24b内に配置されている。
かかる構成によれば、両当接箇所Pa1〜Pa3,Pb1〜Pb3にオイルOが十分に供給されている状況において、低速側シャフト11が回転することによってリング部材60が回転すると、高速側シャフト12及びローラ71〜73の少なくとも一方が弾性変形する。すると、リング側当接箇所Pa1〜Pa3にて、オイルOの薄膜(弾性流体潤滑膜(EHL))が形成される。詳細には、リング部62の内周面62aとローラ71〜73の外周面71a〜73aとの間にオイルOの薄膜が形成される。換言すれば、リング部62の内周面62aとローラ71〜73の外周面71a〜73aとはオイルOの薄膜を介して当接する。このため、リング部材60の回転力がリング側当接箇所Pa1〜Pa3(詳細にはリング側当接箇所Pa1〜Pa3にて形成されたオイルOの薄膜)を介してローラ71〜73に伝達され、ローラ71〜73が同一回転方向に回転する。
同様に、ローラ71〜73が回転すると、シャフト側当接箇所Pb1〜Pb3にもオイルOの薄膜が形成される。換言すれば、高速側シャフト12の外周面12aとローラ71〜73の外周面71a〜73aとはオイルOの薄膜を介して当接する。そして、ローラ71〜73の回転力がシャフト側当接箇所Pb1〜Pb3(詳細にはシャフト側当接箇所Pb1〜Pb3にて形成されたオイルOの薄膜)を介して、高速側シャフト12に伝達され、その結果高速側シャフト12が回転することとなる。この場合、リング部62は、低速側シャフト11と同一速度で回転し、各ローラ71〜73は低速側シャフト11よりも高速で回転する。更に、各ローラ71〜73よりも径が短い高速側シャフト12は、各ローラ71〜73よりも高速で回転する。
以上のことから、増速機14によって、両当接箇所Pa1〜Pa3,Pb1〜Pb3を介して、低速側シャフト11から高速側シャフト12に動力が伝達されるとともに、高速側シャフト12が低速側シャフト11よりも高速で回転する。
ここで、本実施形態の遠心圧縮機10は、各当接箇所Pa1〜Pa3,Pb1〜Pb3に対してオイルOを供給するための構成を備えている。当該構成について以下に詳細に説明する。
図2〜図4に示すように、対象ローラとしての第1ローラ71には、オイルOが流れるローラ流路110が形成されている。ローラ流路110は、第1ローラ71に形成された貫通孔によって区画されたものである。ここで、第1ローラ71に形成された貫通孔とローラ流路110とは基本的には同一構造であるため、以降の説明においては、ローラ流路110として説明する。なお、他の流路(例えばシャフト流路144や支持流路180等)についても同様である。
図4に示すように、ローラ流路110は、第1ローラ71の回転軸線上に形成され、回転軸線方向Zに延びた軸流路111と、回転軸線方向Zから見て軸流路111から第1ローラ71の径方向外側に延びた径流路112とを備えている。
軸流路111の断面形状は例えば円形である。軸流路111は、例えば両突起101,102を含めて、第1ローラ71を回転軸線方向Zに貫通している。軸流路111は、第1開口111a及び第2開口111bを備えている。第1開口111aは、第1突起101の先端面に設けられており、第2開口111bは、第2突起102の先端面に設けられている。第2開口111bは、軸流路111における第1開口111aとは反対側の開口である。詳細については後述するが、本実施形態では、遠心圧縮機10は、オイルOが第1開口111aから第2開口111bに向けて流れるように構成されている。つまり、第1開口111a側が上流側であり、第2開口111b側が下流側となっている。
軸流路111は、相対的に流路断面積が異なる2つの流路を有している。詳細には、軸流路111は、第1軸流路121と、当該第1軸流路121よりも流路断面積が大きい第2軸流路122とを備えている。
第1軸流路121の径(回転軸線方向Zと交わる方向の長さ)は、両突起101,102の径よりも短く設定されている。第2軸流路122の径(回転軸線方向Zと交わる方向の長さ)は、第1軸流路121の径よりも長く設定されており、更には両突起101,102の径よりも長く設定されている。
第2軸流路122は、第1ローラ71内に配置されており、詳細には第1ローラ71内における回転軸線方向Zの両端よりも中央側に配置されている。第1軸流路121は、第2軸流路122における回転軸線方向Zの両側に配置されており、それぞれ第2軸流路122と連通している。
径流路112は、第2軸流路122と連通している。また、本実施形態では、径流路112は複数存在している。詳細には、径流路112は、軸流路111の下流側(詳細には第2開口111b側)から上流側(詳細には第1開口111a側)に向かうに従って軸流路111から離れるように傾斜した第1径流路131と、軸流路111の上流側から下流側に向かうに従って軸流路111から離れるように傾斜した第2径流路132とを備えている。
第1径流路131は、第2軸流路122における上流側の部分と連通しており、第1ローラ71の外周面71aと、第1突起101がある端面71bとのコーナ部分に開口131aを有している。第1径流路131の開口131aは、第1ローラ71の外周面71aと第1突起101がある端面71bとに跨って配置されている。第1径流路131の開口131aの一部は、フランジ用凹部107に収容されているフランジ部106と対向し得る。
第2径流路132は、第2軸流路122における下流側の部分と連通しており、第1ローラ71の外周面71aと、第2突起102がある端面71cとのコーナ部分に開口132aを有している。第2径流路132の開口132aは、第1ローラ71の外周面71aと第2突起102がある端面71cとに跨って配置されている。第2径流路132の開口132aの一部は、一対のフランジ部106のうちインペラ52側に配置されたものと対向し得る。
ここで、図3及び図4等に示すように、第1径流路131の開口131aと、第2径流路132の開口132aとは、回転軸線方向Zに離間している。詳細には、第1径流路131の開口131aは、第1ローラ71における回転軸線方向Zの中央よりも上流にある端面71b側に配置されている。第2径流路132の開口132aは、第1ローラ71における回転軸線方向Zの中央よりも下流にある端面71c側に配置されている。すなわち、本実施形態では、径流路112の開口131a,132aは、第1ローラ71における回転軸線方向Zの中央よりも両端側に配置されている。
なお、本実施形態では、第1径流路131の開口131aの回転方向の位置と、第2径流路132の開口132aの回転方向の位置とは一致している。また、第1径流路131と第2径流路132とは、流路断面積が同一となっている。詳細には、第1径流路131と第2径流路132とは双方とも断面が円形であり、両者の径は同一に設定されている。
更に、第1径流路131及び第2径流路132は2つずつ設けられている。但し、これに限られず、3つ以上であってもよいし、1つであってもよい。更に、第1径流路131の数と、第2径流路132の数とが異なっていてもよい。
また、本実施形態では、径流路112の流路断面積(詳細には径)は、第1軸流路121の流路断面積(詳細には径)よりも小さく設定されている。但し、これに限られず、両者の流路断面積は同一であってもよい。
ちなみに、図示は省略するが、第2ローラ72及び第3ローラ73にも、ローラ流路110が形成されている。すなわち、本実施形態では、全ローラ71〜73が「対象ローラ」である。
図4に示すように、オイルOが貯留されるオイルハウジング25は、上方に開口した箱形状であり、増速機ハウジング22及びプレート24に対して下方から取り付けられている。オイルハウジング25の内面と、増速機ハウジング22及びプレート24の側面とによってオイルOが貯留されるオイル貯留室S4が区画されている。
そして、遠心圧縮機10は、オイルハウジング25に貯留されているオイルOをローラ流路110に循環させる構成を備えている。当該構成について以下に説明する。
図4に示すように、オイルハウジング25の側面には、当該側面から内側に向けて張り出した張出部141が設けられている。張出部141の上面は、増速機ハウジング22の底部22aの側面と当接している。張出部141の下面とオイルハウジング25の底面との間には、オイルOが流れ込む隙間が形成されている。そして、張出部141には、上下方向に貫通したオイル貫通孔142が形成されている。
図4に示すように、オイルハウジング25の側面には、当該側面から内側に向けて張り出した張出部141が設けられている。張出部141の上面は、増速機ハウジング22の底部22aの側面と当接している。張出部141の下面とオイルハウジング25の底面との間には、オイルOが流れ込む隙間が形成されている。そして、張出部141には、上下方向に貫通したオイル貫通孔142が形成されている。
増速機ハウジング22の底部22aには、オイル貫通孔142と、オイルポンプ33等が収容された収容凹部35とを連通するものであって、オイルポンプ33に向けてオイルOを供給する吸入流路143が形成されている。オイルポンプ33は、吸入流路143からオイルOを吸入し、低速側シャフト11に形成されたシャフト流路144に向けて吐出する。
図5及び図6に示すように、オイルポンプ33は、例えばトロコイド式であり、インナーロータ151と、インナーロータ151の外側に配置されたアウターロータ152とを備えている。インナーロータ151は、複数の外歯151aが形成された外周面151bを有しており、アウターロータ152は、外歯151aの数よりも多い数の内歯152aが形成された内周面152bを有している。外歯151aと内歯152aとは噛み合っている。
また、インナーロータ151の中央部には、低速側シャフト11が挿通可能であってインナーロータ151の回転軸線方向に貫通したロータ貫通孔151cが形成されている。インナーロータ151は、当該ロータ貫通孔151cに低速側シャフト11が挿通された状態で、低速側シャフト11に固定されている。このため、インナーロータ151は、低速側シャフト11の回転に伴って回転する。そして、インナーロータ151が回転することによって、アウターロータ152が回転する。
インナーロータ151の外周面151bと、アウターロータ152の内周面152bとの間には、両ロータ151,152が回転することによって容積変化が生じる複数のポンプ室153が形成されている。複数のポンプ室153は、低速側シャフト11の回転軸線方向から見て環状に配列されている。両ロータ151,152が回転すると、複数のポンプ室153も容積変化を伴いながら回転する。これにより、ポンプ室153へのオイルOの吸入、及び、ポンプ室153からのオイルOの吐出が繰り返し行われる。
収容凹部35は、アウターロータ152の外周面と同一形状の側面を有している。オイルポンプ33は、両ロータ151,152が回転可能な状態で収容凹部35に嵌り込んでいる。この場合、両ロータ151,152の回転軸線方向の一端面は収容凹部35の底面に隙間なく接触している。
図5及び図6に示すように、遠心圧縮機10は、収容凹部35に収容されているオイルポンプ33を低速側シャフト11の回転軸線方向からカバーするカバー部材34を備えている。カバー部材34は、収容凹部35の形状に対応させて形成されており、詳細には収容凹部35の側面と同一形状の外周面を有している。カバー部材34は、当該カバー部材34の外周面と収容凹部35の側面との間の隙間等からオイルOが漏れないように、収容凹部35内に嵌り込んでいる。そして、カバー部材34における中心軸線方向の一端面34aは、両ロータ151,152の側面と当接している。
また、カバー部材34の中央部には、低速側シャフト11が挿通可能であってカバー部材34の中心軸線方向に貫通したカバー貫通孔161が形成されている。カバー貫通孔161は、低速側シャフト11と同一径の貫通孔である。カバー部材34は、カバー貫通孔161に低速側シャフト11が挿通された状態で、収容凹部35内に嵌り込んでいる。なお、カバー部材34は、低速側シャフト11の回転に伴って回転しないように増速機ハウジング22の底部22aに固定されている。
ここで、図5及び図6に示すように、カバー部材34は、吸入流路143と、周方向に配列された複数のポンプ室153のうち下方に配置されたポンプ室153とを連通する吸入側カバー流路162を備えている。吸入側カバー流路162は、カバー部材34の一端面34aの一部を凹ませることによって形成されている。吸入側カバー流路162は、周方向に沿って円弧状に延びる円弧部分と、該円弧部分と吸入流路143とを連通する直線部分とを備えている。円弧部分は、複数のポンプ室153のうち下方に配置された所定数のポンプ室153に対して低速側シャフト11の回転軸線方向に対向する位置に設けられており、上記所定数のポンプ室153と連通している。なお、上記下方に配置された所定数のポンプ室153は、低速側シャフト11の回転に伴って容積が増加する。
また、カバー部材34は、周方向に配列された複数のポンプ室153のうち上方に配置されたポンプ室153とシャフト流路144とを連通する吐出側カバー流路163を備えている。吐出側カバー流路163は、カバー部材34の一端面34aの一部を凹ませることによって形成されている。吐出側カバー流路163は、複数のポンプ室153のうち上方に配置された所定数のポンプ室153と連通している流路であって周方向に沿って円弧状に延びる第1吐出側流路163aと、第1吐出側流路163aからカバー部材34の径方向内側に延びる第2吐出側流路163bとを備えている。
第1吐出側流路163aは、低速側シャフト11の回転軸線方向において上記上方に配置された所定数のポンプ室153と対向する位置に設けられている。第2吐出側流路163bは、第1吐出側流路163aとカバー貫通孔161とを連通している。なお、上記上方に配置された所定数のポンプ室153は、低速側シャフト11の回転に伴って容積が減少する。
図5に示すように、低速側シャフト11に形成されたシャフト流路144は、低速側シャフト11の回転軸線上に設けられ、低速側シャフト11の回転軸線方向に延びたシャフト軸流路171と、当該シャフト軸流路171と連通し、且つ、径方向に延びたシャフト径流路172とを有している。
シャフト軸流路171は、低速側シャフト11の回転軸線方向の両端面のうちリング部材60のベース部61に当接している他端部11b側の端面11cに設けられた開口171aを有している。シャフト径流路172は、低速側シャフト11の外周面に設けられた開口172aを有している。本実施形態では、シャフト径流路172は、シャフト軸流路171における上記開口171aがある端部とは反対側の端部にて連通している。シャフト径流路172の開口172aと第2吐出側流路163bとは、低速側シャフト11が回転した場合に両者が連通し得るように配置されている。詳細には、シャフト径流路172の開口172aは、低速側シャフト11の外周面のうち第2吐出側流路163bと径方向に対向する位置に形成されている。
ちなみに、シャフト径流路172は低速側シャフト11の回転軸線方向から見て、シャフト軸流路171から放射状に複数形成されている。
かかる構成によれば、上方に配置されたポンプ室153から吐出されたオイルOは、吐出側カバー流路163を通って、シャフト径流路172の開口172aからシャフト流路144に流れ込み、シャフト軸流路171の開口171aから吐出される。なお、シャフト径流路172の開口172aは、シャフト流路144の入口とも言え、シャフト軸流路171の開口171aは、シャフト流路144の出口とも言える。
かかる構成によれば、上方に配置されたポンプ室153から吐出されたオイルOは、吐出側カバー流路163を通って、シャフト径流路172の開口172aからシャフト流路144に流れ込み、シャフト軸流路171の開口171aから吐出される。なお、シャフト径流路172の開口172aは、シャフト流路144の入口とも言え、シャフト軸流路171の開口171aは、シャフト流路144の出口とも言える。
図5に示すように、リング部材60のベース部61には、シャフト軸流路171と連通するリング貫通孔61bが形成されている。換言すれば、低速側シャフト11とリング部材60とは、シャフト流路144とリング貫通孔61bとが連通した状態で連結されているとも言える。
支持部材80の支持ベース部81には、オイルOが流れる支持流路180が形成されている。
支持流路180は、支持ベース部81の中心軸線上に設けられ、支持ベース部81の中心軸線方向に延びた支持軸流路181を備えている。支持軸流路181は、支持ベース部81におけるベース部61側の板面81bに設けられた開口181aを有している。支持軸流路181の開口181aは支持流路180の入口とも言える。なお、支持ベース部81のベース部61側の板面81bとは、対向板面81aとは反対側の板面とも言えるし、リング部62側とは反対側の板面とも言える。
支持流路180は、支持ベース部81の中心軸線上に設けられ、支持ベース部81の中心軸線方向に延びた支持軸流路181を備えている。支持軸流路181は、支持ベース部81におけるベース部61側の板面81bに設けられた開口181aを有している。支持軸流路181の開口181aは支持流路180の入口とも言える。なお、支持ベース部81のベース部61側の板面81bとは、対向板面81aとは反対側の板面とも言えるし、リング部62側とは反対側の板面とも言える。
図5及び図7に示すように、支持流路180は、支持軸流路181と各ローラ71〜73のローラ流路110とを連通する流路であって、支持軸流路181から、支持ベース部81の径方向外側に延びた支持径流路182〜184を備えている。ローラ流路110が3つ存在することに対応させて、3つの支持径流路182〜184が形成されている。支持径流路182〜184は、支持軸流路181、詳細には支持軸流路181における開口181aがある端部とは反対側の端部から放射状に形成されており、周方向に所定の間隔を隔てて配置されている。支持軸流路181からのオイルOは、3つの支持径流路182〜184に分岐して流れる。第1支持径流路182は、第1ローラ71に設けられたローラ流路110の第1開口111aと連通しており、第2支持径流路183は、第2ローラ72に設けられたローラ流路110の第1開口111aと連通しており、第3支持径流路184は、第3ローラ73に設けられたローラ流路110の第1開口111aと連通している。
図5に示すように、支持ベース部81におけるベース部61側の板面81bには、当該板面81bからリング部材60のベース部61に向けて突出した筒状突起185が設けられている。筒状突起185の先端面は、リング部材60のベース部61に当接している。筒状突起185は、支持軸流路181の開口181aを囲むように形成されている。更に筒状突起185は、当該筒状突起185の軸線方向から見てリング貫通孔61b(換言すればシャフト軸流路171の開口171a)が含まれるように、支持軸流路181の開口181aよりも長い内径を有している。筒状突起185とベース部61と支持ベース部81とによって連通空間186が形成されており、当該連通空間186を介して、リング貫通孔61bと支持軸流路181の開口181aとが連通している。つまり、リング貫通孔61b及び当該連通空間186を介して、シャフト流路144と支持流路180とが連通している。
図4に示すように、プレート24には、各ローラ71〜73のローラ流路110の第2開口111bと連通し、且つ、オイルOをオイル貯留室S4に向けてガイドする仕切壁流路としてのプレート流路190が形成されている。図8に示すように、プレート流路190は、プレート貫通孔24bを迂回して形成されている。詳細には、プレート流路190は、プレート貫通孔24bの周囲に設けられ、当該プレート貫通孔24bを囲むように形成された環状のリング流路191を備えている。リング流路191は円環状であり、当該リング流路191の内径は、プレート貫通孔24bの径よりも長く設定されている。
そして、プレート流路190は、リング流路191から放射状に延びた流路として、リング流路191と各ローラ71〜73の第2開口111bとを連通するプレート径流路192〜194と、リング流路191とオイル貯留室S4とを連通するガイド流路195とを備えている。第1プレート径流路192は、第1ローラ71の第2開口111bと連通し、第2プレート径流路193は、第2ローラ72の第2開口111bと連通し、第3プレート径流路194は、第3ローラ73の第2開口111bと連通している。各ローラ71〜73の第2開口111bから吐出されたオイルOは、プレート径流路192〜194を通ってリング流路191に流れ、当該リング流路191からガイド流路195を通ってオイル貯留室S4に向けて流れる。
ここで、図8に示すように、プレート流路190は、プレート24におけるインペラ52の基端面52aと対向する対向領域196を通っている。詳細には、リング流路191は、対向領域196内に配置されている。また、プレート径流路192〜194は、ほぼ全体が対向領域196内に配置されている。そして、ガイド流路195の一部は、対向領域196内に配置されている。対向領域196は、プレート24においてインペラ52の回転軸線方向から見てインペラ52の基端面52aと重なる領域である。
ちなみに、図示は省略するが、増速機ハウジング22におけるオイルハウジング25と協働してオイル貯留室S4を区画する部分、詳細には増速機ハウジング22の最下部には、増速機室S2内に貯留されたオイルOをオイル貯留室S4にガイドする貫通孔が形成されている。
次に本実施形態の作用について説明する。
低速側シャフト11が回転することに伴って、オイルポンプ33のインナーロータ151が回転することにより、オイルポンプ33が駆動する。この場合、オイル貯留室S4に貯留されているオイルOは、オイル貫通孔142→吸入流路143→吸入側カバー流路162→ポンプ室153→吐出側カバー流路163→シャフト流路144→リング貫通孔61b→連通空間186→支持流路180→ローラ流路110→プレート流路190→オイル貯留室S4という流路で循環する。
低速側シャフト11が回転することに伴って、オイルポンプ33のインナーロータ151が回転することにより、オイルポンプ33が駆動する。この場合、オイル貯留室S4に貯留されているオイルOは、オイル貫通孔142→吸入流路143→吸入側カバー流路162→ポンプ室153→吐出側カバー流路163→シャフト流路144→リング貫通孔61b→連通空間186→支持流路180→ローラ流路110→プレート流路190→オイル貯留室S4という流路で循環する。
ここで、ローラ流路110の第1開口111aから流入したオイルOの一部は、第2開口111bから吐出されず、径流路112を通って、当該径流路112の開口131a,132aから吐出され、当接箇所Pa1〜Pa3,Pb1〜Pb3に供給される。この場合、径流路112を流れるオイルOには、径流路112の開口131a,132aに向かう遠心力が付与される。当該遠心力は、ローラ71〜73の回転数に応じて変化する。詳細には、上記遠心力は、ローラ71〜73の回転数が低くなると小さくなり、ローラ71〜73の回転数が高くなると大きくなる。また、遠心力が大きくなると、第1軸流路121の第2開口111bから吐出されるオイルOの流量が減少し、径流路112の開口131a,132aから吐出されるオイルOの流量が増加する。このため、ローラ71〜73の回転数に応じて、当接箇所Pa1〜Pa3,Pb1〜Pb3に供給されるオイルOの流量が変化する。
以上詳述した本実施形態によれば以下の効果を奏する。
(1)増速機14は、低速側シャフト11の回転に伴って回転するリング部62と、リング部62の内側に配置された高速側シャフト12と、リング部62と高速側シャフト12との間に設けられ、リング部62及び高速側シャフト12の双方に当接した複数のローラ71〜73とを備えている。増速機14は、ローラ71〜73とリング部62との当接箇所であるリング側当接箇所Pa1〜Pa3と、ローラ71〜73と高速側シャフト12との当接箇所であるシャフト側当接箇所Pb1〜Pb3とを介して、低速側シャフト11から高速側シャフト12に動力を伝達するものである。
(1)増速機14は、低速側シャフト11の回転に伴って回転するリング部62と、リング部62の内側に配置された高速側シャフト12と、リング部62と高速側シャフト12との間に設けられ、リング部62及び高速側シャフト12の双方に当接した複数のローラ71〜73とを備えている。増速機14は、ローラ71〜73とリング部62との当接箇所であるリング側当接箇所Pa1〜Pa3と、ローラ71〜73と高速側シャフト12との当接箇所であるシャフト側当接箇所Pb1〜Pb3とを介して、低速側シャフト11から高速側シャフト12に動力を伝達するものである。
かかる構成において、第1ローラ71には、オイルOが流れるローラ流路110が設けられている。ローラ流路110は、第1ローラ71の回転軸線上に形成され、第1ローラ71の回転軸線方向Zに貫通した軸流路111と、回転軸線方向Zから見て軸流路111から第1ローラ71の径方向外側に延び、且つ、少なくとも一部が第1ローラ71の外周面71aに開口している径流路112とを備えている。
かかる構成によれば、軸流路111の一方の開口である第1開口111aからオイルOが流入した場合、当該オイルOは、第2開口111b又は径流路112の開口131a,132aから吐出される。そして、第2開口111bから吐出されるオイルOの流量と、径流路112の開口131a,132aから吐出されるオイルOの流量との割合は、第1ローラ71の回転数に応じて変化する。詳細には、第1ローラ71の回転数が高くなるほど、オイルOに付与される遠心力が大きくなるため、径流路112から吐出されるオイルOの流量が大きくなり、第2開口111bから吐出されるオイルOの流量は小さくなる。これにより、第1ローラ71の回転数に応じた流量のオイルOが両当接箇所Pa1,Pb1に供給されることとなる。よって、複雑な制御等を行うことなく、駆動に適した流量のオイルO、詳細には効率の低下を抑制しつつ両当接箇所Pa1,Pb1の摩耗等を抑制できる流量のオイルOを、両当接箇所Pa1,Pb1に供給できる。したがって、構成の複雑化を抑制しつつ、増速機14の信頼性の向上を図ることができる。
詳述すると、駆動に適した流量は、第1ローラ71や高速側シャフト12の回転数に応じて変動する。詳細には、駆動に適した流量は、第1ローラ71や高速側シャフト12の回転数が高くなるほど大きくなる。この点、本実施形態では、第1ローラ71の回転数が高くなるに従って、径流路112から吐出されるオイルOの流量が大きくなるため、駆動に適した流量の変動に追従できる。
ここで、第1ローラ71や高速側シャフト12の回転数に関わらず、予め定められた規定流量のオイルOを供給することも考えられる。この場合、上記規定流量は、例えば駆動に適した流量の最大値に対応させて設定されることが考えられる。すると、第1ローラ71等の回転数が低い場合には、オイルOが過剰となってしまい、撹拌抵抗が大きくなり、効率が低下する。これに対して、本実施形態では、第1ローラ71の回転数と、両当接箇所Pa1,Pb1へのオイルOの供給量とが対応するため、駆動に適した流量の変動に好適に対応できる。
また、径流路112は、第1ローラ71の外周面71aに開口しているため、オイルOは、第1ローラ71が回転することによって両当接箇所Pa1,Pb1に直接的に供給される。これにより、例えばリング部62の外側からオイルOが供給される構成と比較して、効率的に所望の箇所である両当接箇所Pa1,Pb1にオイルOを供給することができる。更に、第1ローラ71内をオイルOが流れることにより、第1ローラ71を内部から冷却することができる。これにより、第1ローラ71の過度な発熱を抑制できる。
(2)径流路112は、軸流路111の下流側から上流側に向かうに従って軸流路111から離れるように傾斜した第1径流路131と、軸流路111の上流側から下流側に向かうに従って軸流路111から離れるように傾斜した第2径流路132とを備えている。第1径流路131の開口131aは、第1ローラ71の回転軸線方向Zの中央よりも上流にある端面71b側に配置されており、第2径流路132の開口132aは、第1ローラ71の回転軸線方向Zの中央よりも下流にある端面71c側に配置されている。これにより、第1ローラ71における回転軸線方向Zの両端側に優先的にオイルOを供給することができる。よって、両当接箇所Pa1,Pb1だけでなく、第1ローラ71に対して回転軸線方向Zの両側に配置されている各種部品(例えばローラ軸受94,95や一対のフランジ部106等)にもオイルOを供給することができ、これら各種部品と第1ローラ71との摩耗などを抑制できる。
(3)特に、径流路112の開口131a,132aは、第1ローラ71の回転軸線方向Zの端面71b,71cと外周面71aとに跨って配置されている。これにより、より好適に(2)の効果を得ることができる。
(4)軸流路111は、第1軸流路121と、当該第1軸流路121よりも流路断面積が大きい第2軸流路122とを備えている。第1軸流路121は、第2軸流路122と連通した状態で、第2軸流路122に対して回転軸線方向Zの両側に配置されている。そして、径流路112は、第2軸流路122と連通している。かかる構成によれば、第1開口111aから流入したオイルOは第2軸流路122に一時的に貯留されてから、第2開口111b又は径流路112の開口131a,132aから吐出される。これにより、オイルOの流量の安定化を図ることができる。
また、第2軸流路122は、第1軸流路121よりも流路断面積が大きく形成されているため、第2軸流路122は第1軸流路121よりも回転軸線方向Zと直交する方向に広がっている。これにより、第1軸流路121から第2軸流路122に流入したオイルOは、拡散し易く、遠心力の影響を受け易い。よって、第1ローラ71の回転数の変動に対する両当接箇所Pa1,Pb1へのオイルOの供給量の変化量を大きくすることができ、より好適に、駆動に適した流量のオイルOを両当接箇所Pa1,Pb1に供給できる。
(5)第1軸流路121よりも拡径した第2軸流路122は、第1ローラ71内における回転軸線方向Zの両端よりも中央側に配置されている。これにより、第1ローラ71は、その回転軸線方向Zの両端よりも中央側の方が第1ローラ71の径方向に弾性変形し易くなっている。よって、回転軸線方向Zに延びた両当接箇所Pa1,Pb1において両端よりも中央側の方が、圧力が低くなり易いため、オイルOが両当接箇所Pa1,Pb1における中央側に留まり易い。したがって、両当接箇所Pa1,Pb1における中央側にてオイルOが枯渇する事態を抑制できる。
(6)ローラ流路110は少なくとも第1ローラ71に設けられている。第1ローラ71の径は、第2ローラ72や第3ローラ73の径よりも長く設定されている。これにより、第1ローラ71のローラ流路110のオイルOは、遠心力の影響を受け易いため、第1ローラ71の回転数の変動に対する両当接箇所Pa1,Pb1へのオイルOの供給量の変化量を大きくさせることができる。
なお、仮に第1ローラ71のみにローラ流路110が形成されている場合であっても、第1リング側当接箇所Pa1に供給されたオイルOは、リング部62の内周面62aを介して他のリング側当接箇所Pa2,Pa3に供給される。同様に、第1シャフト側当接箇所Pb1に供給されたオイルOは、高速側シャフト12の外周面12aを介して他のシャフト側当接箇所Pb2,Pb3に供給される。よって、仮に第1ローラ71のみにローラ流路110が形成されている場合であっても、各当接箇所Pa1〜Pa3,Pb1〜Pb3に対して、駆動に適した流量のオイルOを供給することができる。
(7)遠心圧縮機10は、低速側シャフト11を回転させる電動モータ13と、高速側シャフト12に取り付けられたインペラ52と、増速機14と、これら電動モータ13、増速機14及びインペラ52が収容されたハウジング20とを備えている。これにより、電動モータ13の回転数よりも高い回転数でインペラ52を回転させることができる。そして、駆動に適した流量のオイルOを各当接箇所Pa1〜Pa3,Pb1〜Pb3に供給することにより、遠心圧縮機10として、効率の低下を抑制しつつ信頼性の向上を図ることができる。
(8)ハウジング20は、増速機14が収容される増速機室S2と、インペラ52が収容されるインペラ室S3とを仕切る仕切壁としてのプレート24を備えている。増速機14は、プレート24と協働して、複数のローラ71〜73を回転可能な状態で支持する支持部材80を備えている。支持部材80には、軸流路111の第1開口111aと連通する支持流路180が形成されている。そして、プレート24には、軸流路111における第1開口111aとは反対側に配置された第2開口111bと連通し、且つ、オイルOをハウジング20内に設けられたオイル貯留室S4へガイドする仕切壁流路としてのプレート流路190が形成されている。かかる構成によれば、支持流路180を流れるオイルOは、第1開口111aを介してローラ流路110に流入し、その一部は第2開口111bから吐出され、プレート流路190を通ってオイル貯留室S4に案内される。これにより、支持部材80とプレート24とによって支持された第1ローラ71のローラ流路110にオイルOを循環させることができる。
また、軸流路111は、第1ローラ71が回転した場合であっても変位しない位置、すなわち第1ローラ71の回転軸線上に形成されているため、支持流路180及びプレート流路190としては、軸流路111の開口111a,111bの変位を考慮する必要がない。よって、支持流路180、ローラ流路110、プレート流路190の位置合わせを比較的容易にできる。
(9)インペラ52は、基端面52aから先端面52bに向けて徐々に縮径した筒状である。プレート流路190は、インペラ52の回転軸線方向から見てインペラ52の基端面52aと重なる領域である対向領域196を通っている。これにより、プレート流路190を流れるオイルOによって、インペラ52の回転によって発熱し易い領域である対向領域196が冷却される。よって、対向領域196の発熱を好適に抑制できる。
(10)プレート24と、高速側シャフト12及び第1ローラ71とは、異なる材料で構成されている。詳細には、高速側シャフト12及び第1ローラ71とは、プレート24よりも硬い材料で構成されている。これにより、回転による摩耗を抑制できる。
かかる構成においては、第1ローラ71とプレート24とで、熱膨張率が異なる。このため、第1ローラ71と、当該第1ローラ71を支持するプレート24とが過度に発熱すると、熱膨張率の差によって、第1ローラ71がプレート24に対して傾いた状態で支持され得る。すると、各当接箇所Pa1〜Pa3,Pb1〜Pb3において局所的な荷重が付与され得る。これに対して、上記熱膨張率の差を考慮して、リング部62を用いて、各ローラ71〜73を高速側シャフト12に余分に締め付けることも考えられる。しかしながら、この場合、効率の低下が懸念される。
この点、本実施形態では、オイルOを用いて対向領域196を冷却することにより、上記熱膨張率の差に起因する第1ローラ71の傾きを抑制できる。これにより、局所的な荷重が付与されることによる信頼性の低下を抑制できるとともに、各ローラ71〜73を高速側シャフト12に余分に締め付ける必要がなくなる分だけ、効率の低下を抑制できる。
(11)ハウジング20は、プレート24と協働して増速機室S2を区画する増速機ハウジング22を備えている。低速側シャフト11は、増速機ハウジング22を貫通しており、リング部62を有するリング部材60に連結されている。そして、低速側シャフト11には、リング貫通孔61b及び連通空間186を介して、支持流路180と連通するシャフト流路144が形成されている。
かかる構成において、遠心圧縮機10は、低速側シャフト11の回転に伴って駆動することによりシャフト流路144にオイルOを供給するオイルポンプ33と、増速機ハウジング22に形成され、オイル貯留室S4からオイルポンプ33に向けてオイルOを供給する吸入流路143とを備えている。これにより、オイルポンプ33を用いてオイルOを循環させることができる。
特に、オイルポンプ33は、低速側シャフト11の回転に伴って駆動するものであるため、低速側シャフト11の回転数に応じてオイルポンプ33から吐出されるオイルOの流量が変化する。これにより、低速側シャフト11の回転数に応じて、各当接箇所Pa1〜Pa3,Pb1〜Pb3へのオイルOの供給量を変化させることができる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 図9に示すように、径流路200は、軸流路111に対して直交してもよい。また、径流路200は、第1ローラ71の外周面71aのうち回転軸線方向Zの両端よりも中央側、詳細には回転軸線方向Zの中央部に開口200aを有する構成でもよい。この場合、回転軸線方向Zに延びた両当接箇所Pa1,Pb1のうち、回転軸線方向Zの両端側よりもオイルOが枯渇し易い中央側に優先的にオイルOを供給することができる。
○ 図9に示すように、径流路200は、軸流路111に対して直交してもよい。また、径流路200は、第1ローラ71の外周面71aのうち回転軸線方向Zの両端よりも中央側、詳細には回転軸線方向Zの中央部に開口200aを有する構成でもよい。この場合、回転軸線方向Zに延びた両当接箇所Pa1,Pb1のうち、回転軸線方向Zの両端側よりもオイルOが枯渇し易い中央側に優先的にオイルOを供給することができる。
○ 第1径流路131と第2径流路132とで流路断面積(詳細には径)を異ならせてもよい。この場合、例えば上流側から下流側に向かうに従って軸流路111から離れるように傾斜した第2径流路132よりも、下流側から上流側に向かうに従って軸流路111から離れるように傾斜した第1径流路131を太くしてもよい。これにより、オイルOの流下方向が軸流路111の流下方向とは90度以上異なることに起因して、第2径流路132と比較して流れにくい第1径流路131にオイルOを流し易くすることができる。また、逆に、第2径流路132を、第1径流路131よりも太くしてもよい。
○ 第1径流路131と第2径流路132とは、第1ローラ71の回転方向にずれていてもよい。この場合、第1径流路131の開口131aと第2径流路132の開口132aとは、第1ローラ71の回転方向にずれていてもよい。すなわち、両開口131a,132aの回転方向の位置は、一致してもよいし、ずれていてもよい。
○ 径流路112の開口131a,132aの全部が第1ローラ71の外周面71aに形成されていてもよい。
○ 径流路の具体的な形状及び数は任意である。例えば、第1径流路131及び第2径流路132のいずれか一方を省略してもよいし、少なくとも一方を蛇行させてもよい。また、径流路は1つであってもよい。要は、径流路は、軸流路と、少なくとも一部が第1ローラ71の外周面71aに形成された開口とを連通していればよい。
○ 径流路の具体的な形状及び数は任意である。例えば、第1径流路131及び第2径流路132のいずれか一方を省略してもよいし、少なくとも一方を蛇行させてもよい。また、径流路は1つであってもよい。要は、径流路は、軸流路と、少なくとも一部が第1ローラ71の外周面71aに形成された開口とを連通していればよい。
○ オイルOの流れる向きは逆でもよい。この場合、第1開口111aが下流側となり、第2開口111bが上流側となる。そして、第1径流路131が「第2径流路」に対応し、第2径流路132が「第1径流路」に対応する。
○ 第2軸流路122を省略して、流路断面積が一定の軸流路を採用してもよい。
○ オイルポンプ33は、増速機ハウジング22の収容凹部35に取り付けられていたが、これに限られず、その取付位置は任意である。例えば、オイルポンプ33は、オイルハウジング25に取り付けられていてもよい。
○ オイルポンプ33は、増速機ハウジング22の収容凹部35に取り付けられていたが、これに限られず、その取付位置は任意である。例えば、オイルポンプ33は、オイルハウジング25に取り付けられていてもよい。
○ オイルハウジング25及びオイルポンプ33を省略してもよい。この場合、遠心圧縮機10は、外部からオイルOが供給される構成であるとよい。
○ 実施形態では、各ローラ71〜73の全てにローラ流路110が形成されていたが、これに限られず、各ローラ71〜73のいずれか1つにローラ流路110が形成されていてもよい。つまり、ローラ流路110が設けられている対象ローラは、各ローラ71〜73の少なくとも1つであればよい。
○ 実施形態では、各ローラ71〜73の全てにローラ流路110が形成されていたが、これに限られず、各ローラ71〜73のいずれか1つにローラ流路110が形成されていてもよい。つまり、ローラ流路110が設けられている対象ローラは、各ローラ71〜73の少なくとも1つであればよい。
○ リング流路191の外径は、対向領域196の外径、すなわちインペラ52の基端面52aの径と同一であってもよいし、対向領域196の外径よりも長くてもよい。これにより、より好適に対向領域196を冷却することができる。
○ プレート流路190の具体的な形状は任意である。例えば、リング流路191を省略して、個別にオイル貯留室S4に開口した流路を3つ有する構成でもよいし、対向領域196を通らない構成であってもよい。
○ オイル貯留室S4の位置は任意であり、例えば増速機室S2の上方でもよい。
○ ローラ流路110にオイルOを循環させる具体的な構成は、実施形態のものに限られず、任意である。例えば、オイル貯留室S4内には、該オイル貯留室S4内のオイルOを吸い出してプレート流路190のガイド流路195に供給するオイルポンプ33が設けられ、支持ベース部81には、第1開口111aと連通し、且つ、支持ベース部81を貫通した貫通孔が形成されてもよい。この場合、オイル貯留室S4のオイルOは、プレート流路190及びローラ流路110を流れて、支持ベース部81の貫通孔から吐出される。
○ ローラ流路110にオイルOを循環させる具体的な構成は、実施形態のものに限られず、任意である。例えば、オイル貯留室S4内には、該オイル貯留室S4内のオイルOを吸い出してプレート流路190のガイド流路195に供給するオイルポンプ33が設けられ、支持ベース部81には、第1開口111aと連通し、且つ、支持ベース部81を貫通した貫通孔が形成されてもよい。この場合、オイル貯留室S4のオイルOは、プレート流路190及びローラ流路110を流れて、支持ベース部81の貫通孔から吐出される。
○ シャフト11,12と、ハウジング20と、各ローラ71〜73とは同一の材料で構成されていてもよいし、金属以外の材料で構成されてもよい。
○ ローラ71〜73の数は3つに限られず、任意である。
○ ローラ71〜73の数は3つに限られず、任意である。
○ 第1ローラ71が下方に配置され、第2ローラ72及び第3ローラ73が上方に配置されていてもよい。
○ 各ローラ71〜73のうち少なくとも1つのローラが、低速側シャフト11のトルクに応じて可動する構成でもよい。この場合、押し付け荷重を高めることができる。
○ 各ローラ71〜73のうち少なくとも1つのローラが、低速側シャフト11のトルクに応じて可動する構成でもよい。この場合、押し付け荷重を高めることができる。
○ 各ローラ71〜73の径は同一に設定されてもよい。この場合、高速側シャフト12とリング部62(低速側シャフト11)とは同一軸線上に配置されてもよい。
○ 圧縮部15の具体的な構成は、インペラ52を有する構成に限られず任意であり、例えばベーン式やスクロール式などであってもよい。
○ 圧縮部15の具体的な構成は、インペラ52を有する構成に限られず任意であり、例えばベーン式やスクロール式などであってもよい。
○ 増速機14の搭載対象は、遠心圧縮機10に限られず、任意である。また、増速機14は車両以外に搭載されていてもよい。
○ 上記実施形態及び別例を適宜組み合わせてもよい。
○ 上記実施形態及び別例を適宜組み合わせてもよい。
○ 遠心圧縮機10の適用対象及び圧縮対象の流体は任意である。例えば、遠心圧縮機10は空調装置に用いられていてもよく、圧縮対象の流体は冷媒であってもよい。また、遠心圧縮機10の搭載対象は、車両に限られず任意である。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる好適な一例について以下に記載する。
(イ)前記仕切壁と、前記対象ローラとは、異なる金属で構成されている請求項7に記載の遠心圧縮機。
(イ)前記仕切壁と、前記対象ローラとは、異なる金属で構成されている請求項7に記載の遠心圧縮機。
10…遠心圧縮機、11…低速側シャフト、12…高速側シャフト、13…電動モータ、14…増速機、15…圧縮部、20…ハウジング、22…増速機ハウジング、33…オイルポンプ、34…カバー部材、35…収容凹部、52…インペラ、60…リング部材、62…リング部、71…第1ローラ、72…第2ローラ、73…第3ローラ、80…支持部材、110…ローラ流路、111…軸流路、111a…第1開口、111b…第2開口、112…径流路、121…第1軸流路、122…第2軸流路、131…第1径流路、132…第2径流路、143…吸入流路、144…シャフト流路、180…支持流路、186…連通空間、190…プレート流路(仕切壁流路)、195…ガイド流路、Pa1〜Pa3…リング側当接箇所、Pb1〜Pb3…シャフト側当接箇所、S2…増速機室、S3…インペラ室、S4…オイル貯留室、O…オイル。
Claims (8)
- 低速側シャフトの回転に伴って回転するリング部と、
前記リング部の内側に配置された高速側シャフトと、
前記リング部と前記高速側シャフトとの間に設けられ、前記リング部及び前記高速側シャフトの双方に当接した複数のローラと、
を備え、前記ローラと前記リング部との当接箇所、及び、前記ローラと前記高速側シャフトとの当接箇所を介して、前記低速側シャフトから前記高速側シャフトに動力を伝達する増速機において、
前記複数のローラのうち少なくとも1つの対象ローラには、オイルが流れるローラ流路が設けられており、
前記ローラ流路は、
前記対象ローラの回転軸線上に形成され、前記対象ローラの回転軸線方向に貫通した軸流路と、
前記回転軸線方向から見て前記軸流路から前記対象ローラの径方向外側に延び、且つ、少なくとも一部が前記対象ローラの外周面に開口している径流路と、
を備えていることを特徴とする増速機。 - 前記径流路は、
前記軸流路の下流側から上流側に向かうに従って前記軸流路から離れるように傾斜した第1径流路と、
前記軸流路の上流側から下流側に向かうに従って前記軸流路から離れるように傾斜した第2径流路と、
を備え、
前記第1径流路の開口は、前記対象ローラにおける前記回転軸線方向の中央よりも上流にある端面側に配置されており、
前記第2径流路の開口は、前記対象ローラにおける前記回転軸線方向の中央よりも下流にある端面側に配置されている請求項1に記載の増速機。 - 前記径流路の開口は、前記対象ローラの外周面のうち前記対象ローラの回転軸線方向の両端よりも中央側に配置されている請求項1に記載の増速機。
- 前記軸流路は、
第1軸流路と、
前記第1軸流路よりも流路断面積が大きい第2軸流路と、
を備え、
前記第1軸流路は、前記第2軸流路と連通した状態で、前記第2軸流路に対して前記回転軸線方向の両側に配置されており、
前記径流路は、前記第2軸流路と連通している請求項1〜3のうちいずれか一項に記載の増速機。 - 前記低速側シャフトを回転させる電動モータと、
前記高速側シャフトに取り付けられたインペラと、
請求項1〜4のうちいずれか一項に記載の増速機と、
前記電動モータ、前記インペラ及び前記増速機が収容されたハウジングと、
を備えていることを特徴とする遠心圧縮機。 - 前記ハウジングは、前記増速機が収容される増速機室と、前記インペラが収容されるインペラ室とを仕切る仕切壁を備え、
前記増速機は、前記仕切壁と協働して、前記複数のローラを回転可能な状態で支持する支持部材を備え、
前記支持部材には、前記軸流路の第1開口と連通する支持流路が形成されており、
前記仕切壁には、前記軸流路における前記第1開口とは反対側に配置された第2開口と連通し、且つ、オイルを前記ハウジング内に設けられたオイル貯留室へガイドする仕切壁流路が形成されている請求項5に記載の遠心圧縮機。 - 前記インペラは、基端面から先端面に向けて徐々に縮径した筒状であり、
前記仕切壁流路は、前記仕切壁において前記インペラの回転軸線方向から見て前記インペラの基端面と重なる領域を通っている請求項6に記載の遠心圧縮機。 - 前記ハウジングは、前記仕切壁と協働して前記増速機室を区画する増速機ハウジングを備え、
前記低速側シャフトは前記増速機ハウジングを貫通しており、前記リング部を有するリング部材に連結されており、
前記低速側シャフトには、前記支持流路と連通するシャフト流路が形成されており、
前記遠心圧縮機は、
前記低速側シャフトの回転に伴って駆動することにより前記シャフト流路にオイルを供給するオイルポンプと、
前記増速機ハウジングに形成された流路であって、前記オイル貯留室から前記オイルポンプに向けてオイルを供給する吸入流路と、
を備えている請求項6又は請求項7に記載の遠心圧縮機。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015064779A JP2016183751A (ja) | 2015-03-26 | 2015-03-26 | 増速機及び遠心圧縮機 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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-
2015
- 2015-03-26 JP JP2015064779A patent/JP2016183751A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2018168828A (ja) * | 2017-03-30 | 2018-11-01 | 株式会社豊田自動織機 | 遠心圧縮機 |
US10767655B2 (en) | 2017-03-30 | 2020-09-08 | Kabushiki Kaisha Toyota Jidoshokki | Centrifugal compressor |
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