JP2016183393A - 電解研磨装置および電解研磨方法 - Google Patents

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【課題】電子顕微鏡で観察する金属試料を極めて平滑に研磨することのできる電解研磨装置および電解研磨方法を提供する。【解決手段】電解液中で金属試料を電解研磨するための電解研磨手段と、電解研磨中に前記電解液に超音波を印加するための超音波印加手段とを備える、電子顕微鏡で観察する金属試料を電解研磨するための電解研磨装置。【選択図】 図1

Description

本発明は、電子顕微鏡で観察する金属試料を電解研磨するための電解研磨装置に関するものであり、特に、電解研磨時に金属試料表面に生成して研磨の妨げとなる付着物を除去し、極めて平滑な試料表面を得ることのできる電解研磨装置に関するものである。
また、本発明は、電子顕微鏡で観察する金属試料を電解研磨する電解研磨方法に関するものである。
材料分析の分野において、走査型電子顕微鏡(SEM)等の電子顕微鏡による表面観察が非常に重要になってきている。特に、金属の組織を解析する上で電子顕微鏡による観察は極めて有用であり、広く行われている。
金属組織を電子顕微鏡で観察する場合、観察対象である金属試料の表面を予め研磨して平滑にしておく必要がある。そのための研磨方法としては、電解研磨、化学研磨、イオンミリング、集束イオンビーム(FIB)等、様々な方法が知られているが、中でも電解研磨は、表面に損傷を与えることなく、短時間で広い範囲を平滑化できるため、一般的に利用されている。
しかし、近年の電子顕微鏡の発達により、低加速電圧による観察や高倍率による観察が可能となった結果、試料表面に存在するわずかな凹凸が観察像に影響を与え、精度の高い組織観察が困難になるという問題が生じている。また、材料の高精度化により試料組織が複雑になり、以前の材料に比べて平滑な材料を得ることが難しくなってきている。そのため、電子顕微鏡を用いた組織観察の分野では、観察する金属試料の表面をさらに平滑に研磨する技術が求められている。
一方、電解研磨の分野においては、電解研磨中にジェット流や攪拌により電解液を流動させることによって平滑な研磨面を得る方法が知られている。例えば、特許文献1では、X線光電子分光(XPS)等の分析法を用いて金属試料の表面を分析する際に、バスケット状の陽極内に該金属試料を設置し、前記陽極を上下動させながら電解研磨を行うことによって金属試料の表面を平滑化することが提案されている。
特開2008−184639号公報
しかし、特許文献1に記載されたような方法を用いることにより、研磨面の平滑さをある程度改善することはできるものの、電子顕微鏡で観察する金属試料としては十分な平滑さを得ることができない場合があった。電子顕微鏡による組織観察をより高い精度で行うためには、金属表面をさらに平滑に研磨することのできる電解研磨装置の開発が求められている。
本発明は、上記の実情に鑑み開発されたものであり、電子顕微鏡で観察する金属試料を極めて平滑に研磨することのできる電解研磨装置および電解研磨方法を提供することを目的とする。
発明者らは、上記の目的を達成すべく鋭意研究を行った結果、次の(1)〜(3)の知見を得た。
(1)最適と考えられる条件、例えば、使用する電解液の組成や温度、電圧、電流等、で電解研磨を実施したとしても、電解研磨中に、腐食生成物と考えられる微細な付着物が金属表面に生成する。
(2)前記付着物が残存した状態で電解研磨を継続すると最終的な研磨面の凹凸が大きくなるが、電解研磨中に該付着物を速やかに除去することができれば、研磨面の平滑性を向上させることができる。
(3)前記付着物は、電解液の攪拌や、被研磨物(金属試料)を上下動させると行った方法では除去することが困難であるが、電解研磨中に電解液に超音波を印加することにより除去することができる。
本発明は前記知見に立脚するものであり、その要旨構成は次のとおりである。
1.電子顕微鏡で観察する金属試料を電解研磨するための電解研磨装置であって、
電解液中で前記金属試料を電解研磨するための電解研磨手段と、
電解研磨中に前記電解液に超音波を印加するための超音波印加手段と、を備える電解研磨装置。
2.前記電解液の温度を調整するための温度調整手段を備える、前記1に記載の電解研磨装置。
3.前記電解研磨手段による電解研磨中に前記超音波印加手段により超音波を印加する制御を行う制御手段を有する、前記1または2に記載の電解研磨装置。
4.電子顕微鏡で観察する金属試料を電解液中で電解研磨する電解研磨方法であって、
電解研磨中に前記電解液へ超音波を印加する電解研磨方法。
5.前記電解液の温度を25〜−40℃に保持する、前記4に記載の電解研磨方法。
本発明によれば、電解液に超音波を印加するという極めて簡便な方法により電解研磨中に金属試料表面に生成する付着物を除去し、金属試料を極めて平滑に研磨することができる。かかる電解研磨装置および電解研磨方法は、電子顕微鏡で観察する金属試料の最終研磨を行ううえで極めて有用である。
本発明の一実施形態における電解研磨装置の概略図である。 本発明の他の実施形態における電解研磨装置の概略図である。 本発明の他の実施形態における電解研磨装置の概略図である。 電解研磨後の試料表面を観察した電子顕微鏡写真である。
次に、本発明を実施する方法について具体的に説明する。
本発明の電解研磨装置は、電子顕微鏡で観察する金属試料を電解研磨するための電解研磨装置であり、電解液中で前記金属試料を電解研磨するための電解研磨手段と、電解研磨中に前記電解液に超音波を印加するための超音波印加手段とを備えている。そして、本発明の電解研磨方法においては、前記金属試料を電解液中で電解研磨する間に、前記電解液へ超音波の印加が行われる。
[金属試料]
本発明の電解研磨装置および電解研磨方法は、電子顕微鏡で観察する金属試料を処理対象とするものである。前記金属試料としては、特に限定されず、電解研磨が可能なものであれば任意の金属材料を用いることができる。ここで、「金属材料」とは、純金属や合金だけでなく、繊維強化金属等の金属基複合材料、サーメット、超硬合金等の金属含有材料全般を指すものとする。中でも、本発明は鉄鋼材料の組織観察用試料の作製に極めて好適に用いることができる。
金属試料のサイズは目的に応じて適宜決定すればよいが、過度に大きいと電解研磨によって全体を平滑にすることが困難となる。そのため、研磨面のサイズを、30×30mm以下とすることが好ましい。
金属試料は、電解研磨に先立って機械研磨等により鏡面研磨しておくことが好ましい。これにより、電解研磨後の研磨面をさらに平滑にすることができる。なお、機械研磨等の作業性の点から、あらかじめ金属試料を樹脂に埋め込む場合があるが、本発明においては、そのような樹脂に埋め込まれた金属試料を用いることも出来る。この場合、後述する直流電源の陽極端子と金属試料とを、導電ペーストやCuテープ、ステンレスチャッキング等を用いて接続することができる。
[電解研磨手段]
上記金属試料は、表面を平滑化するために電解液中で電解研磨される。電解研磨の態様は特に限定されず、任意の態様で行うことができるが、典型的には、金属試料の少なくとも一部を電解液中に浸漬した状態で、該金属試料が陽極となるように通電することによって行うことができる。前記通電には、一般的な直流電源を使用することができる。前記電源の陽極端子は前記金属試料に接続され、陰極端子は別途電解液中に浸漬された陰極に接続され、前記金属試料と陰極との間に電圧が印加される。前記電源としては、通常の2電極式のものを用いることもできるが、必要に応じてポテンショスタット、ガルバノスタット等の3電極式の電源を使用することもできる。3電極式の電源を使用する場合、金属試料の近傍に参照電極を設置した状態で電解研磨を行うことができる。
上記陰極の材質は特に限定されず、任意の材質からなる電極を使用することができるが、耐食性の観点からはステンレス、白金、または白金めっきしたチタンからなる電極を陰極として用いることが好ましい。均一に電解研磨するためには、陰極のサイズを金属試料の研磨領域より大きくすることが好ましい。
電解研磨時の通電は、印加電位が一定となるように行ってもよいし(定電位電解)、電流が一定となるように行ってもよい(定電流電解)。また、電位や電流を連続的または断続的に変化させながら電解を行うこともできる。さらに、電解研磨量を制御するという観点からは、金属試料に電解領域サイズを制限するためのマスキングを施し、電解開始時点からの経過時間や、積算電流値に基づいて電解研磨を終了する電解研磨量制御手段を備えた電解研磨手段を用いることが好ましい。
[電解液]
電解研磨に使用する電解液の種類は、研磨対象としての金属試料に応じて選択される。例えば、金属試料が鉄鋼である場合には、過塩素酸とメタノールの混合液や、過塩素酸と酢酸とエタノールの混合液などを使用することができる。前記過塩素酸とメタノールの混合液の組成比としては、体積%で、過酸化水素:5〜30%、メタノール95〜70%のものを用いることが好ましい。前記過塩素酸とメタノールの混合液に、さらに2−n−ブトキシエタノールを加えたものや、過塩素酸と酢酸の混合溶液を用いることもできる。また、金属試料が銅系材料である場合には、濃度50体積%程度のリン酸を含む溶液等を用いることもできる。
上記電解液を保持するための容器(電解槽)としては、電解液によって腐食されない材質からなるものを使用することが好ましく、ガラス製容器を用いることがより好ましい。
[超音波印加手段]
本発明においては、金属試料を電解液中で電解研磨する間に、前記電解液へ超音波を印加することが重要である。電解研磨を行っている間に超音波を印加することにより、電解によって金属試料の表面に発生する微細な付着物を速やかに除去し、金属試料表面の平滑性が低下することを防止できる。ここで、「電解研磨中に前記電解液へ超音波を印加する」とは、電解研磨開始から終了までの時間(電解時間)の少なくとも一部において電解液へ超音波を印加することを意味する。超音波を印加する時間は特に限定されないが、十分な平滑化効果を得るという観点からは、超音波の印加時間を電解研磨時間の50%以上(例えば、電解研磨時間が10秒であれば超音波の印加時間は5秒以上)とすることが好ましく、電解研磨時間の80%以上とすることがより好ましく、電解研磨時間の100%とすることがさらに好ましい。また、電解研磨が開始される前から超音波の印加を開始してもよく、同様に、電解研磨が終了した後も超音波の印加を継続してもよい。
前記超音波の印加を行うための超音波印加手段としては、電解液に超音波を印加できるものであれば任意のものを用いることができる。例えば、投げ込み式(プローブタイプ)の超音波振動子を電解液中に直接浸漬して用いることや、超音波振動子の上に電解液を収容した電解槽を設置することができる。また、超音波振動子が取り付けられた槽の内部に水等の媒体を収容し、さらにその内部に前記媒体に浸漬した状態で電解槽を設置し、該媒体を経由して電解液に超音波を印加することも可能である。超音波印加手段の出力は、処理対象である金属試料のサイズや、電解液の量等に応じて決定すればよく、例えば、10W以上とすることができる。
なお、本発明においては、超音波を印加することに加えて、さらに任意の方法で電解液の攪拌を行うことができる。電解液を攪拌する方法の例としては、電解槽中に設置したスターラー(攪拌子)や、スクリュー等の攪拌手段による攪拌、金属試料自体を電解液中で振動、揺動させることによる攪拌等が挙げられる。電解研磨中に電解液を攪拌することにより、電解槽内の電解液の組成や温度を均一にし、さらに良好な研磨面を得ることができる。
[温度調整手段]
さらに本発明の電解装置においては、電解液の温度を調整するための温度調整手段を設けることが好ましい。これにより、超音波の印加に起因する発熱等による電解液温度の変動を抑制し、さらに平滑な研磨面を得ることが可能となる。前記温度調整手段としては、加熱手段および冷却手段の一方または両方を用いてもよいし、一定温度の熱媒を循環させて温度調整を行う熱交換式の温度調整装置を用いることもできる。
電解液の温度は、処理対象の金属試料や、電解液の組成、電解条件(電位、電流)等に応じて決定すればよい。電解液の温度が高くなりすぎると電解による金属の溶解が過度に促進され、その結果、平滑性が低下する場合がある。そのため、電解液温度を25〜−40℃とすることが好ましく、20〜−30℃とすることがより好ましい。特に平滑性が要求される場合には、電解液温度を0℃以下とすることがさらに好ましい。
[制御装置]
さらに本発明の電解装置においては、電解研磨手段による電解研磨中に前記超音波印加手段による超音波の印加を行うよう制御を行う制御手段を設けることが好ましい。これにより、電解研磨中に確実に超音波を印加して研磨面の平滑性を向上させることができる。制御の方法は特に限定されないが、例えば、予め定めたタイミングで電解研磨と超音波発生の印加とを開始させるような制御装置や、電解研磨用の電源に連動させて超音波印加手段を稼働させる装置等を用いることができる。
以上説明したように、本発明の電解研磨装置を用いて電解研磨を行う。なお、最適な電解研磨条件は、金属試料の材質や組織によって異なるため、処理対象に応じて電解液組成、電解液温度、電圧(定電位電解の場合)、電流(定電流電解の場合)、電荷研磨時間を調整する。例えば、金属試料が炭素量0.040%以下の鉄鋼材料である場合、8%過塩素酸−10%酢酸−エタノール混合液を電解液とし、電解液温度を室温、60V、60秒の条件で定電位電解を行うことができる。また、他の材料についても、一般的に電解液温度は20〜−40℃、電圧10V〜70V、研磨時間2〜120秒程度の範囲で最適な研磨条件を見つけることが望ましい。
電解研磨終了後は、電解液から金属試料を取り出し、電解液の付着による汚れや腐食を防ぐために、直ちに試料の洗浄を行う。前記洗浄には、アルコール、有機溶媒、蒸留水等を使用することができる。洗浄後は金属試料を乾燥させる。前記乾燥にはドライヤーや乾燥機を用いてもよい。
<第1の実施形態>
次に、図面を用いて、本発明の実施形態について具体的に説明する。なお、以下の説明において共通する装置や部材等には同じ番号を付している。
図1は、本発明の第1の実施形態における電解研磨装置1の概略図である。図中、2は電解研磨手段であり、電解液3を収容するための電解槽4、陰極5、および直流電源6を備えている。金属試料7は陽極となるように直流電源6に接続された状態で電解液3に浸漬されている。
一方、8は超音波印加手段であり、超音波発振器9と超音波発振器9に接続された超音波振動子10を備えている。電解槽4は、超音波振動子10の上に設置されており、電解槽4を介して電解液に超音波が印加される。なお、この例では電解槽4の下部に超音波振動子10が設けられているが、側面等、他の位置に設けることもできる。
本実施形態では、超音波振動子10の上に電解槽4を設置するだけでよいため、例えば、既存の電解研磨装置を、一般的に入手可能な超音波振動子の上に設置するといった極めて簡便な方法で、超音波を併用した電解研磨処理が可能となる。
<第2の実施形態>
図2は、本発明の第2の実施形態における電解研磨装置1の概略図である。本実施形態では、超音波振動子10の上に媒体としての水11を満たした槽12が設置されており、電解槽4は水11に浸漬されている。したがって、超音波は前記水11を介して電解槽4の内部の電解液3へ印加される。なお、この例では槽12の下部に超音波振動子10が設けられているが、槽12の側面等、他の位置に設けることもできる。
本実施形態の場合、一般的に入手可能な超音波洗浄機を超音波印加手段8および槽12として利用することもできる。その場合、超音波洗浄機内に既存の電解装置を設置するといった極めて簡便な方法で、超音波を併用した電解研磨処理が可能となる。また、本実施形態では、槽12内の水11を熱媒として利用し、間接的に電解液3の温度を調整することもできる。
<第3の実施形態>
図3は、本発明の第3の実施形態における電解研磨装置1の概略図である。本実施形態では、超音波発振子の上に槽を設置することに代えて、電解槽4の内部に、超音波振動子10を設置している。この場合、超音波振動子10としては投げ込み式の超音波振動子を使用することができる。また、図3においては電解槽4の略中央、陰極5と金属試料7の間に超音波振動子10を設置しているが、他の位置、例えば、電解槽4の内壁に接するように設置することもできる。
次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説明する。以下の実施例は、本発明の好適な一例を示すものであり、本発明は、該実施例によって何ら限定されるものではない。本発明の趣旨に適合し得る範囲で変更を加えて実施することも可能であり、そのような態様も本発明の技術的範囲に含まれる。
金属試料として、10×10×5mmtのステンレス鋼板を用いて電解研磨を実施した。電解研磨条件は、電解液:10%過塩素酸−90%メタノール混合液、電解液温度:室温、電解方法:定電位電解、印加電圧:25V、電解研磨時間:10秒とした。そして、電解研磨を行う間、超音波洗浄機(エスエヌディ製、UK−3KS)を用いて、周波数38kHzで超音波を印加した。電解研磨終了後、電解液から金属試料を取り出して、メタノールで一次洗浄を行い、続いて、エタノールを用いて、二次洗浄、三次洗浄を行い、次いで、熱風乾燥を行った。
さらに、比較のために、上記電解研磨の間に超音波を印加しなかったもの、超音波の印加に代えてスターラーによる攪拌を行ったもの、超音波の印加に代えて金属試料を上下方向に振動させたもの、および超音波印加なしでの電解研磨後に電解液中で10秒間超音波処理を行ったものを用意した。それぞれの方法で得られた金属試料の表面をSEMで観察して得た写真を図4に示す。
実験の結果、超音波の印加に代えてスターラーによる攪拌を行ったもの(B)、超音波の印加に代えて金属試料を上下方向に振動させたもの(C)、および電解研磨後に超音波を印加したもの(D)では、金属試料の表面に微細な粉末状の付着物が残存していたのに対して、電解研磨中に超音波を印加した実施例(A)では平滑な研磨面が得られていた。前記付着物は電解研磨によって溶出した金属試料の成分が電解液と反応して生じたものや、鋼中析出物の残存、および、前記付着物や析出物の存在により発生した表層の凹凸であると考えられる。
また、超音波印加なしでの電解研磨後に電解液中で超音波処理を行った(D)においても付着物が残留していたことから、単に超音波処理を行えばよいわけではなく、電解研磨と同時に超音波の印加を行うことによって初めて平滑な研磨面を得ることができることが分かる。
なお、上記実施例では金属試料としてステンレス鋼板を用い、10%過塩素酸−90%メタノール混合液を電解液としたが、他の金属と電解液の組み合わせにおいても、同様の付着物が発生し、本発明の超音波を併用した電解研磨によりその付着物を除去できることを確認した。
電解研磨中に超音波を印加すると試料表面から付着物が除去できる理由は、以下のように考えられる。電解研磨に使用される電解液は、通常、酸を水やアルコール等の溶媒で希釈したものであるため、電解液中には水素と酸素が多く含まれている。また、電解液を繰り返し使用する場合には、該電解液中にはそれまでの電解研磨で生成した金属酸化物や水酸化物等が存在する。このような電解液中で電解研磨を行うと、金属試料の表面付近では、溶出した金属と電解液中の酸素、水素とが反応して金属酸化物や水酸化物が形成される。これらの腐食生成物の形成と成長は、溶出金属イオン濃度の高い試料表面付近で行われるが、超音波はこれらの腐食生成物を破砕し、成長を抑制すると考えられる。さらに、超音波による電解液の攪拌効果で金属イオンの濃度が均一になるので、腐食生成物の形成も抑制されると考えられる。これらの効果は、電解研磨液の種類と条件を問わず期待できる。超音波を印加せずに電解研磨を行った場合、腐食生成物が多量に形成され、金属試料の表面に吸着する。そして、電解研磨を終えた後に超音波を印加しても、腐食生成物は除去されずに残存してしまう。
このように本発明によれば、電解液に超音波を印加するという極めて簡便な方法により電解研磨中に金属試料表面に生成する付着物を除去し、金属試料を極めて平滑に研磨することができる。かかる電解研磨装置および電解研磨方法は、電子顕微鏡による高精度な金属組織の観察を行ううえで極めて有用である。
1 電解研磨装置
2 電解研磨手段
3 電解液
4 電解槽
5 陰極
6 直流電源
7 金属試料
8 超音波印加手段
9 超音波発信器
10 超音波振動子
11 水
12 槽

Claims (5)

  1. 電子顕微鏡で観察する金属試料を電解研磨するための電解研磨装置であって、
    電解液中で前記金属試料を電解研磨するための電解研磨手段と、
    電解研磨中に前記電解液に超音波を印加するための超音波印加手段と、を備える電解研磨装置。
  2. 前記電解液の温度を調整するための温度調整手段を備える、請求項1に記載の電解研磨装置。
  3. 前記電解研磨手段による電解研磨中に前記超音波印加手段により超音波を印加する制御を行う制御手段を有する、請求項1または2に記載の電解研磨装置。
  4. 電子顕微鏡で観察する金属試料を電解液中で電解研磨する電解研磨方法であって、
    電解研磨中に前記電解液へ超音波を印加する電解研磨方法。
  5. 前記電解液の温度を25〜−40℃に保持する、請求項4に記載の電解研磨方法。
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