JP2016183251A - 光硬化性組成物およびその用途 - Google Patents

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尚伸 南澤
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Abstract

【課題】親液部と撥液部のパターニングが可能であり、高度な親液性を発現するとともに、紫外線照射により表面に撥液性を発現できる塗膜を形成できる材料を提供すること。
【解決手段】本発明の光硬化性組成物は、親液性官能基およびアミド構造を有する親液性化合物(A)と、フッ素および珪素からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子を含有する撥液性化合物(B)とを含有する。
【選択図】なし

Description

本発明は、光硬化性組成物およびその用途に関し、より詳しくは、インクの濡れ性に優れる親液性を発現する一方で、光照射することによりインクを弾く撥液性を発現する塗膜を形成することが可能な光硬化性組成物およびその用途に関する。
近年、プリント配線板および半導体パッケージ基板等の電子回路は小型化が進み、それに伴い、配線形成に対して高精細化が要求されている。一方、回路基板上の配線印刷等では、環境に対する負荷軽減、例えば材料の無駄をなくすという観点から、インクジェット印刷がオンデマンド方式の印刷方式として注目を浴びている。しかしながら、インクジェット印刷は、従来のフレキソ、反転、グラビア印刷といった有版印刷法や、フォトリソ法に代表されるマスクを使用したパターニング法に比べると、高精細化という点では、技術的に及ばない。
本発明者らは、膜表面に親インク領域と撥インク領域とからなる微細なパターンを形成することができる表面処理剤を提案した(例えば特許文献1参照)。この方法によれば、塗膜表面に親液性の高い領域(以下「親液部」という。)と撥液性の高い領域(以下「撥液部」という。)を設けることで、所望のインクを親液部に向かって吐出すれば、撥液部にインクが載ったとしても、親液部にインクが架かっていれば、インクが親液部に引き込まれ、撥液部にはインクが残らない。このような親撥処理が効果的に機能するためには、撥液部の撥液性が高いことは当然であるが、親液部の親液性が高いことも、インクの引き込み性を高めるためには重要である。
これまで撥液部の撥液性を高める材料は多く提案されているが(例えば特許文献2)、親液部の親液性を高めた材料はほとんど例がない。
特開2013−213157号公報 特開2011−57963号公報
本発明は、親液部と撥液部のパターニング(以下「親撥パターニング」という。)が可能であり、高度な親液性を発現するとともに、紫外線照射により表面に撥液性を発現できる塗膜を形成できる材料を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の親液性化合物と特定の撥液性化合物とを含む光硬化性組成物を用いれば、高度な親液性を発現するとともに、光照射により照射部の表面自由エネルギーを変化させて撥液性を発現し、その結果、親撥パターニングが可能な塗膜を形成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。本発明は以下の態様を包含する。
[1] 親液性官能基およびアミド構造を有する親液性化合物(A)と、フッ素および珪素からなる群より選ばれる少なくとも1つの原子を含有する撥液性化合物(B)とを含有する光硬化性組成物。
[2] 前記親液性官能基が、ヒドロキシ、カルボキシル、またはアルキルで置換されていてもよいアミノであることを特徴とする項[1]に記載の光硬化性組成物。
[3] 前記アミド構造が(メタ)アクリルアミド構造であることを特徴とする項[1]または[2]に記載の光硬化性組成物。
[4] 前記化合物(A)が、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドおよびN−イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミドからなる群より選ばれる少なくとも1つの化合物であることを特徴とする項[1]〜[3]のいずれか1項に記載の光硬化性組成物。
[5] 前記化合物(B)が、−CF3、−CF2−および−Si−O−からなる群より選ばれる少なくとも1つの構造を有することを特徴とする項[1]〜[4]のいずれか1項に記載の光硬化性組成物。
[6] 前記化合物(B)が、ラジカル重合性基を有することを特徴とする項[1]〜[5]のいずれか1項に記載の光硬化性組成物。
[7] 溶媒(C)をさらに含有することを特徴とする項[1]〜[6]のいずれか1項に記載の光硬化性組成物。
[8] 光重合開始剤(D)をさらに含有することを特徴とする項[1]〜[7]のいずれか1項に記載の光硬化性組成物。
[9] 界面活性剤(E)をさらに含有することを特徴とする項[1]〜[8]のいずれか1項に記載の光硬化性組成物。
[10] 項[1]〜[9]のいずれか1項に記載の光硬化性組成物を用いて形成された塗膜。
[11] 紫外線未照射時の表面の25℃における純水接触角が25度以下であることを特徴とする項[10]に記載の塗膜。
[12] 紫外線照射部の表面の25℃における純水接触角が70度以上であることを特徴とする項[10]または[11]に記載の塗膜。
[13] 項[10]〜[12]のいずれか1項に記載の塗膜を含む多層膜。
[14] 項[10]〜[12]のいずれか1項に記載の塗膜を含む有機薄膜トランジスタ。
[15] 項[10]〜[12]のいずれか1項に記載の塗膜を含む光学部品。
[16] 項[10]〜[12]のいずれか1項に記載の塗膜を含む表示素子。
本発明の光硬化性組成物によれば、汎用の印刷法によって形成された塗膜の表面が、溶剤が濡れやすい親液性を示すとともに、光照射することにより照射部が溶剤を弾く撥液性を示す塗膜を形成することができる。このような親液部と撥液部による親撥パターンを形成し、該パターンが形成された膜上にインクを印刷すると、表面自由エネルギーの違いからインクが親液部に引き込まれる、そのため、必ずしも高精度な印刷方法でなくとも、塗膜上に転写されたインクが親液部に移動し、光照射で形成された高精細なパターンそのままの像で塗り分けが可能となる。
以下、本発明に係る光硬化性組成物およびその用途について詳細に説明する。
[光硬化性組成物]
本発明の光硬化性組成物(以下、単に「本発明の組成物」ともいう。)は、親液性官能基およびアミド構造を有する親液性化合物(A)(以下、単に「化合物(A)」ともいう。)と、フッ素および珪素からなる群より選ばれる少なくとも1つの原子を含有する撥液性化合物(B)(以下、単に「化合物(B)」ともいう。)とを含有することを特徴とする。また、本発明の組成物は、必要に応じて、溶媒(C)、光重合開始剤(D)、界面活性剤(E)および/またはその他の成分(F)を含有してもよい。
<親液性化合物(A)>
化合物(A)は、親液性官能基とアミド構造を有する化合物である。親液性官能基は、溶媒との親和性が高い官能基であり、特に水との親和性が高い官能基として、ヒドロキシ、カルボキシル、アミノなどが挙げられ、前記アミノはアルキルで置換されていてもよい。前記アルキルとしては、メチル、エチル、プロピルなどが挙げられる。
化合物(A)は、さらにラジカル重合性基を含むことが好ましい。ラジカル重合性基としては、例えば、(メタ)アクリル、(メタ)アクリロイル、(メタ)アクリルアミド、ビニル、ビニルエーテル、ビニルエステル、アリル、スチリルが挙げられる。
化合物(A)は、前記アミド構造およびラジカル重合性基の両方を満たす構造として、(メタ)アクリルアミド構造を有することが特に好ましい。
化合物(A)の具体例としては、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミドが挙げられる。これらの中でも、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドおよびヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドは、親液性発現効果が高いため、特に好ましい。また、化合物(A)は、これらの化合物に由来する構造単位を含む共重合体であってもよい。
本発明の組成物における化合物(A)の含有量は、組成物の総量100重量%に対して、好ましくは10〜90重量%、より好ましくは30〜70重量%、特に好ましくは40〜60重量%の範囲である。化合物(A)の含有量が前記範囲であると、親液性に優れた塗膜を形成することができる。化合物(A)は単独で用いても、2つ以上を組み合わせて用いてもよい。
<撥液性化合物(B)>
化合物(B)は、フッ素および珪素からなる群より選ばれる少なくとも1つの原子を含有し、具体的には、溶媒、特に水との親和性が低い構造として、炭化フッ素やシロキサンなどの撥液性を発現する構造を含有することが好ましい。
撥液性を発現する構造としては、−CF3、−CF2−および−Si−O−などが挙げられる。−CF3を有する具体的な構造としては、トリフルオロメチル(−CF3)、トリフルオロエチル(−CH2CF3)、トリフルオロプロピル(−CH2CH2CF3)などが挙げられる。−CF2−を有する具体的な構造としては、−O−CF2−、−O−CF2−CF2−などが挙げられる。−Si−O−を有する具体的な構造としては、−Si−O−、−Si−OR(Rは炭素数1〜10の炭化水素)などが挙げられる。なかでも、撥液性が高く安定することから、トリフルオロメチル(−CF3)および−O−CF2−CF2−が好ましい。
化合物(B)は、さらにラジカル重合性基を含むことが好ましい。ラジカル重合性基としては、例えば、(メタ)アクリル、(メタ)アクリロイル、ビニル、ビニルエーテル、ビニルエステル、アリル、スチリルが挙げられ、(メタ)アクリルおよび(メタ)アクリロイルが好ましい。
化合物(B)の具体例としては、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル(メタ)アクリレート、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル(メタ)アクリレート、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルエトキシシラン、α−ブチル−ω−(3−メタクリロキシプロピル)ポリジメチルシロキサン(商品名:FM0711、JNC株式会社製)、3−メタクリロキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン(商品名:TM0701T、JNC株式会社製)、UV反応硬化型のフッ素含有化合物である「メガファックRS−72−K」(商品名、DIC株式会社製)、UV反応硬化型のシリコン含有化合物である「TEGO Rad2100」(商品名、Evonik社製)が挙げられる。また、化合物(B)は、これらの化合物に由来する構造単位を含む共重合体であってもよい。
本発明の組成物における化合物(B)の含有量は、組成物の総量100重量%に対して、好ましくは10〜90重量%、より好ましくは30〜70重量%、特に好ましくは40〜60重量%の範囲である。化合物(B)の含有量が前記範囲であると、撥液性に優れた塗膜を形成することができる。化合物(B)は、単独で用いても、2つ以上を組み合わせて用いてもよい。
<溶媒(C)>
本発明の組成物は、上記成分(A)および(B)以外の成分として、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて溶媒(C)を含有してもよい。溶媒(C)を含有することで、塗膜を形成する際の印刷方法に応じて、組成物の粘度を調整することができる。
溶媒(C)は、化合物(A)や化合物(B)を溶解することができる溶媒であれば、特に限定されない。また、単独では化合物(A)または化合物(B)を溶解しない溶媒であっても、他の溶媒と混合することによって溶解できるのであれば、そのような混合溶媒を溶媒(C)として用いることが可能である。
溶媒(C)の具体例としては、水、エタノール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール、1,4−ブタンジオール、グリセリン、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールイソプロピルメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノフェニルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、トリプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、テトラメチレングリコールモノビニルエーテル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシブタノール、3−メトキシブチルアセテート、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、2−ヒドロキシイソ酪酸i−プロピル、2−ヒドロキシイソ酪酸i−ブチル、2−ヒドロキシイソ酪酸n−ブチル、酢酸ブチル、プロピオン酸ブチル、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、乳酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、ジオキサン、トルエン、キシレン、アニソール、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、γ−ブチロラクトン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、2−ピロリドン、1−メチル−2−ピロリドン(略語:NMP)、1−ビニル−2−ピロリドン、1−ブチル−2−ピロリドン、1−エチル−2−ピロリドン、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−ピロリドン、1−アセチル−2−ピロリドン、N−メチル−ε−カプロラクタム、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルプロピオンアミド、N,N-ジメチルホルムアミドおよび1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンが挙げられる。
これらの中では、化合物(A)および化合物(B)の溶解性および成膜性の観点から、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロペンタノン、ジエチレングリコールモノメチルエチルエーテルを溶媒として含むことが好ましい。
溶媒(C)は、本発明の組成物の固形分濃度が、好ましくは0.01〜90重量%、より好ましくは0.03〜50重量%、さらに好ましくは0.05〜30重量%となる量で用いることが望ましい。溶媒(C)は、単独で用いても、2つ以上を組み合わせて用いてもよい。本発明の組成物の粘度は、印刷方法によって適宜調節することが好ましい。
<光重合開始剤(D)>
本発明の組成物は、上記成分(A)〜(C)以外の成分として、必要に応じて光重合開始剤(D)を含有してもよい。光重合開始剤(D)は、紫外線または可視光線の照射によりラジカルまたは酸を発生する化合物であれば特に限定されないが、アシルフォスフィンオキサイド系開始剤、オキシフェニル酢酸エステル系開始剤、ベンゾイルギ酸系開始剤およびヒドロキシフェニルケトン系開始剤が好ましく、これらの中でも特にアシルフォスフィンオキサイド系開始剤、オキシフェニル酢酸エステル系開始剤およびベンゾイルギ酸系開始剤が、光硬化性の観点からより好ましい。
光重合開始剤(D)の具体例としては、ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、キサントン、チオキサントン、イソプロピルキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−エチルアントラキノン、アセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−4’−イソプロピルプロピオフェノン、イソプロピルベンゾインエーテル、イソブチルベンゾインエーテル、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、カンファーキノン、ベンズアントロン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4,4’−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,4,4’−トリ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ヘキシルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’−ジ(メトキシカルボニル)−4,4’−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,4’−ジ(メトキシカルボニル)−4,3’−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4’−ジ(メトキシカルボニル)−3,3’−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2−(4’−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3’,4’−ジメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2’,4’−ジメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2’−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4’−ペンチルオキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−[p−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)]−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、1,3−ビス(トリクロロメチル)−5−(2’−クロロフェニル)−s−トリアジン、1,3−ビス(トリクロロメチル)−5−(4’−メトキシフェニル)−s−トリアジン、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズオキサゾール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズチアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)、2−(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、3−(2−メチル−2−ジメチルアミノプロピオニル)カルバゾール、3,6−ビス(2−メチル−2−モルフォリノプロピオニル)−9−n−ドデシルカルバゾール、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパノン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパノン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−1−プロパノン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−1−プロパノン、2−(ジメチルアミノ)−1−(4−モルホリノフェニル)−2−ベンジル−1−ブタノン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン、オキシ−フェニル−酢酸2−[2−オキソ−2−フェニル−アセトキシ−エトキシ]−エチルエステル、オキシ−フェニル−酢酸2−[2−ヒドロキシ−エトキシ]−エチルエステル、ベンゾイルギ酸メチル、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィン酸エステル、1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−オクタンジオン2−(O−ベンゾイルオキシム)]、1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−エタノン−1−(O−アセチルオキシム)を挙げることができる。
これらの中でも、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパノン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパノン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−1−プロパノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、オキシ−フェニル−酢酸2−[2−オキソ−2−フェニル−アセトキシ−エトキシ]−エチルエステル、オキシ−フェニル−酢酸2−[2−ヒドロキシ−エトキシ]−エチルエステル、ベンゾイルギ酸メチル、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィン酸エステルが好ましい。
光重合開始剤(D)の市販品としては、IRGACURE184、IRGACURE651、IRGACURE127、IRGACURE819、DAROCUR1173、IRGACURE500、IRGACURE2959、IRGACURE754、DAROCUR MBF、LUCIRIN TPO(商品名、BASFジャパン(株)製)などが挙げられる。
光重合開始剤(D)は、組成物の総量に対し、好ましくは0.1〜20重量%、より好ましくは、0.5〜15重量%、さらに好ましくは1〜10重量%の範囲となる量で用いられる。光重合開始剤(D)は、単独で用いても、2つ以上を組み合わせて用いてもよい。
<界面活性剤(E)>
本発明の組成物は、上記成分(A)〜(D)以外の成分として、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて界面活性剤(E)を含有してもよい。界面活性剤(E)を含有することで、塗膜を形成する際に、膜表面の平坦性を向上させることができる。界面活性剤(E)としては、フッ素系、シリコン系、ポリオレフィン系等が挙げられるが、親撥処理後の膜の性能を損なわなければ、特に限定されない。
界面活性剤(E)の具体例としては、ポリフローNo.45、ポリフローKL−245、ポリフローNo.75、ポリフローNo.90、ポリフローNo.95(商品名、共栄社化学工業(株)製)、ディスパーベイク(Disperbyk)161、ディスパーベイク162、ディスパーベイク163、ディスパーベイク164、ディスパーベイク166、ディスパーベイク170、ディスパーベイク180、ディスパーベイク181、ディスパーベイク182、BYK300、BYK306、BYK310、BYK320、BYK330、BYK342、BYK344、BYK346、BYK3440(商品名、ビックケミー・ジャパン(株)製)KP−341、KP−358、KP−368、KF−96−50CS、KF−50−100CS(商品名、信越化学工業(株)製)、サーフロンSC−101、サーフロンKH−40(商品名、セイミケミカル(株)製)、フタージェント222F、フタージェント251、FTX−218(商品名、(株)ネオス製)、EFTOP EF−351、EFTOP EF−352、EFTOP EF−601、EFTOP EF−801、EFTOP EF−802(商品名、三菱マテリアル(株)製)、メガファックF−171、メガファックF−177、メガファックF−475、メガファックF−554、メガファックR−08、メガファックR−30(商品名、DIC(株)製)、TEGO Twin 4000、TEGO Twin 4100、TEGO Flow 370、TEGO Glide 420、TEGO Glide 440、TEGO Glide 450、TEGO Rad 2200N、TEGO Rad 2250N(商品名、エボニックデグサ ジャパン(株)製)、フルオロアルキルベンゼンスルホン酸塩、フルオルアルキルカルボン酸塩、フルオロアルキルポリオキシエチレンエーテル、フルオロアルキルアンモニウムヨージド、フルオロアルキルベタイン、フルオロアルキルスルホン酸塩、ジグリセリンテトラキス(フルオロアルキルポリオキシエチレンエーテル)、フルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩、フルオロアルキルアミノスルホン酸塩、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンラウレート、ポリオキシエチレンオレエート、ポリオキシエチレンステアレート、ポリオキシエチレンラウリルアミン、ソルビタンラウレート、ソルビタンパルミテート、ソルビタンステアレート、ソルビタンオレエート、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンオレエート、ポリオキシエチレンナフチルエーテル、アルキルベンゼンスルホン酸塩、およびアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩を挙げることができる。
本発明の組成物における界面活性剤(E)の含有量は、組成物の総量100重量%に対して、好ましくは0.01〜5重量%、より好ましくは0.05〜3重量%、さらに好ましくは0.1〜2重量%である。界面活性剤(E)は、単独で用いても、2つ以上を組み合わせて用いてもよい。
<その他の成分(F)>
本発明の組成物は、組成物の塗布特性および保存安定性等の向上のために、本発明の効果を損なわない範囲において、上記成分(A)〜(E)以外のその他の成分(F)を含有してもよい。
その他の成分(F)としては、例えば着色剤、帯電防止剤、カップリング剤、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、酸化防止剤、還元防止剤等が挙げられる。これらの成分は単独の化合物であっても、2つ以上の化合物の混合物であってもよい。
<組成物の調製>
本発明の組成物は、化合物(A)および化合物(B)、ならびに必要に応じて溶媒(C)、光重合開始剤(D)、界面活性剤(E)および/またはその他の成分(F)を、公知の方法により混合することで調製することができる。混合して得られた溶液は、塗布の際の不純物混入を防ぐ観点から、ろ過した後、脱気することがより好ましい。前記ろ過には、例えばフッ素樹脂製のメンブレンフィルターなどが用いられる。
[塗膜]
本発明の塗膜は、本発明の組成物を基材に塗布して、加熱・乾燥等により形成することができる。この方法によれば、塗膜の表面は高度な親液性を示し、溶剤の濡れ性が極めて高い。また、この塗膜に紫外線等を照射することにより、照射された塗膜は、高度な撥液性を示し、溶剤の濡れ性が著しく低下し、弾くようになる。
塗布方法としては、一般的に知られている塗布方法、例えば、スピンコート、ディップコート、スリットコート法、アプリケーター法、反転印刷法、インクジェット印刷法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法などが挙げられる。なかでもスピンコート法およびスリットコート法は、より均一な膜を形成できることから好ましい。
加熱・乾燥方法は特に限定されないが、ホットプレート、加熱オーブンを用いることができる。また、膜厚にもよるが、50〜120℃の温度範囲で10秒〜300秒乾燥させると、溶媒が効果的に蒸発し、表面のべたつきが少ない膜を得ることができる。
乾燥後には、膜表面は親液性を発現するが、膜の所望の領域を撥液化させるパターン露光は、直接露光したい場所のみをスキャンして行う直描露光機や、従来使用されているプロキシミティ露光機を使用したマスク露光によっても、親撥パターンを形成することができる。
塗膜の膜厚は、性能を発現する範囲内において特に制限されないが、1nm〜10μmの範囲において形成されることが好ましく、3nm〜1μmの範囲において形成されることがより好ましい。なお、前記膜厚は、組成物の固形分濃度を適宜調整することにより達成することができる。
本発明の組成物を塗布する基材は、本発明の組成物が塗布される対象となりうるものであれば、特に限定されず、その形状は平板状に限られず、曲面状であってもよい。
また、基材の材質および形態は特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタラート、ポリブチレンテレフタラート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、フッ素樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリイミドなどのプラスチックフィルム;セロハン;アセテート;金属箔;ポリイミドと金属箔との積層フィルム;目止め効果があるグラシン紙またはパーチメント紙;ポリエチレン、クレーバインダー、ポリビニルアルコール、でんぷん、カルボキシルメチルセルロースなどで目止め処理した紙;ガラスなどを挙げることができる。
また、基材に直接塗布する以外にも、有機膜、無機膜等の機能性膜上に本発明の組成物を塗布することができる。この場合、塗布性を向上させるために、前記機能性膜に予めUV/O3アッシング処理や酸素プラズマ処理等を施してもよい。また、本発明の組成物の塗布に影響のない範囲で、市販のプライマー、コート材等を塗布してもよい。
上記基材を構成する物質には、本発明の効果に悪影響を及ぼさない範囲において、酸化防止剤、劣化防止剤、充填剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤および電波防止剤等の添加剤が含まれていてもよい。また、基材の表面の少なくとも一部には、必要に応じて撥水処理、コロナ処理、プラズマ処理またはブラスト処理などの易接着処理を施したり、表面の少なくとも一部に易接着層やハードコート膜を設けたりしてもよい。
上記基材の厚さは、特に限定されず、使用する目的により適宜調整されるが、好ましくは10μm〜2mm程度であり、より好ましくは20μm〜1.5mm、さらに好ましくは50μm〜1mmである。
本発明の塗膜は、塗布後の乾燥によって、紫外線未照射時の表面の25℃における純水接触角が、好ましくは25度以下、より好ましくは20度以下、さらに好ましくは15度以下である。
また、本発明の塗膜は、紫外線照射後の表面の25℃における純水接触角が、好ましくは70度以上、より好ましくは80度〜120度、さらに好ましくは90度〜120度である。
本発明の塗膜は、露光により親撥パターニングを行った後、溶媒を使用して洗浄してもよい。本発明の組成物を溶解できる溶剤で洗浄すれば、親液部を洗い流すことができる。露光により撥液化した撥液部は溶剤に対する耐性が付与されるため、前記の洗浄によっても洗い流されず、膜が基板上の残り、撥液性を保持する。その場合、本発明の組成物の効果による親液性は失われるが、下地との導通を目的としたホール形成や、下地基材を利用する等、下地面を露出させたい場合には、膜が洗い流されるため、効果的である。
洗浄に使用される溶媒は、本発明の組成物を溶解できる溶剤であれば、特に限定されないが、水、エタノール、メタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノールが、溶解性が高く、容易に洗浄できるため好ましい。洗浄方法は、親液部が洗い流される方法であれば特に限定されないが、ディップ方式、スプレー方式等が好適に用いられる。洗浄時間は、膜厚にもよるが、好ましくは5〜100秒、より好ましくは10〜50秒である。
また、親撥パターニングした後、親液部の親液性をさらに高めるために、塗膜全面にUV/O3アッシング処理等の親水化処理を行ってもよい。この方法により、親液部の親液性がさらに高められる。ただし、当該処理前の時点で相当に親液性が高められているため、さらなる親水化処理を行うとしても、低エネルギーの処理でよく、撥液部の撥液性能低下に影響を及ぼすほどではない。UV/O3処理条件は、濡れ性の対象とする溶剤や、硬化膜の組成にもよるが、1000mJ/cm2以下が好ましく、500mJ/cm2以下がさらに好ましい。
さらに、UV/O3アッシング処理後に焼成を行ってもよい。焼成工程により、UV/O3アッシング処理で低下した撥液性能を回復させることが期待できる。焼成温度は塗布する基板や機能性膜の種類によるが、70〜200度が好ましく、80〜150度がより好ましく、90〜130度がさらに好ましい。焼成時間は30秒〜30分間が好ましく、1〜20分間がより好ましく、2〜10分間がさらに好ましい。焼成はホットプレート上でもオーブン内で行われてもよい。
<接触角測定>
本明細書における純水接触角は、協和界面科学(株)社製「Dropmaster500」を用いて、25℃における液滴(純水)着弾1秒後の値を計測したものである。なお、塗膜表面の撥液性の傾向を調べるために、純水以外の液滴、例えばプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下「PGMEA」という。)の液滴で接触角を測定してもよい。
<照射波長>
本発明の塗膜に照射する光は、紫外線が好ましい。照射する紫外線の波長は、好ましくは100〜500nm、より好ましくは150〜450nm、さらに好ましくは250〜400nmである。照射される紫外線の波長が前記範囲にあると、効果的に硬化させることができる。
<露光照射量>
本発明の塗膜に撥液性を発現させるために必要な露光照射量は、好ましくは10〜1000mJ/cm2、より好ましくは30〜500mJ/cm2、さらに好ましくは50〜300mJ/cm2である。露光照射量がこれらの範囲内であると、効率良く膜硬化が進み、撥液性が発現する。
<露光ランプ>
本発明の塗膜を硬化させるために使用されるランプは、硬化できる波長のランプであれば特に限定されないが、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ等が好ましい。なかでも超高圧水銀灯、メタルハライドランプであれば、硬化性が優れるため好ましい。
[用途]
本発明の塗膜は、例えばプリント配線板における配線印刷、有機トランジスタにおける導電性インクの印刷等で、高精細なパターン印刷を支持するため、親液部と撥液部を設け、親液部に優先的にインクを印刷することができるパターン膜として利用できる。
本発明の塗膜は、他の膜を積層させた多層膜、有機薄膜トランジスタ、光学部品、表示素子等に用いることができる。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
なお、実施例または比較例で用いた化合物およびその記号は以下の通りである。なお、化合物(a)は比較例に用いる成分である。
<化合物(A)>
A−1:ジメチルアミノプロピルアクリルアミド
A−2:ジエチルアミノプロピルアクリルアミド
A−3:ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド
A−4:2−ヒドロキシエチルアクリルアミド
<化合物(a)>
a−1:4―ヒドロキシブチルアクリレート
a−2:2−ヒドロキシエチルメタクリレート
<化合物(B)>
B−1:トリフルオロエチルメタクリレート
B−2:DIC社製「メガファックRS−72−K」
B−3:JNC社製「FM0711」(α−ブチル−ω−(3−メタクリロキシプロピル)ポリジメチルシロキサン)
B−4:JNC製「TM0701T」(3−メタクリロキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン)
<界面活性剤(E)>
E−1:DIC社製「メガファックF−554」
E−2:ビックケミー・ジャパン社製「BYK342」
E−3:ビックケミー・ジャパン社製「BYK3440」
[実施例1]
<光硬化性組成物の製造>
化合物(A)として化合物(A−1)0.02g、撥液性化合物(B)として化合物(B−1)0.02g、溶媒(C)としてシクロペンタノン1.96g、および光重合開始剤(D)としてBASFジャパン(株)製「Irgacure819」0.004gを混合溶解し、固形分の濃度が2重量%である光硬化性組成物1を得た。
<塗膜の濡れ性評価>
ガラス基板上に、光硬化性組成物1を1500rpmで10秒間スピンコートし、80℃のホットプレート上で30秒間乾燥して塗膜を形成した。協和界面科学(株)社製接触角測定計を用いて、塗膜の溶剤接触角を測定した。測定温度は25℃であった。この時の値を親液部の接触角とした。評価した溶剤は、純水とPGMEAを用いた。
次に、塗布基板を、JATEC(株)製露光装置に通し、100mJ/cm2で照射した後、上記と同様にして塗膜の溶剤接触角を測定した。この時の値を撥液部の接触角とした。
[実施例2〜7および比較例1〜3]
表1に示す組成としたこと以外は、実施例1と同様にして、固形分の濃度が2重量%である光硬化性組成物を調製して評価した。評価結果を表1に示す。なお、界面活性剤(E)については、固形成分(A)、(a)、(B)の総量に対する添加量(ppm)を記載した。
Figure 2016183251
以上の結果から明らかなように、本発明の光硬化性組成物は、親液部と撥液部の濡れ性の差が大きく、かつ親液部の濡れ性が高い塗膜を形成することができる。この結果、インクを印刷した際の塗りわけが効果的に行われ、高精細な回路パターンの印刷が可能となる。

Claims (16)

  1. 親液性官能基およびアミド構造を有する親液性化合物(A)と、フッ素および珪素からなる群より選ばれる少なくとも1つの原子を含有する撥液性化合物(B)とを含有する光硬化性組成物。
  2. 前記親液性官能基が、ヒドロキシ、カルボキシル、またはアルキルで置換されていてもよいアミノであることを特徴とする請求項1に記載の光硬化性組成物。
  3. 前記アミド構造が(メタ)アクリルアミド構造であることを特徴とする請求項1または2に記載の光硬化性組成物。
  4. 前記化合物(A)が、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドおよびN−イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミドからなる群より選ばれる少なくとも1つの化合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の光硬化性組成物。
  5. 前記化合物(B)が、−CF3、−CF2−および−Si−O−からなる群より選ばれる少なくとも1つの構造を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の光硬化性組成物。
  6. 前記化合物(B)が、ラジカル重合性基を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の光硬化性組成物。
  7. 溶媒(C)をさらに含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の光硬化性組成物。
  8. 光重合開始剤(D)をさらに含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の光硬化性組成物。
  9. 界面活性剤(E)をさらに含有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の光硬化性組成物。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の光硬化性組成物を用いて形成された塗膜。
  11. 紫外線未照射時の表面の25℃における純水接触角が25度以下であることを特徴とする請求項10に記載の塗膜。
  12. 紫外線照射部の表面の25℃における純水接触角が70度以上であることを特徴とする請求項10または11に記載の塗膜。
  13. 請求項10〜12のいずれか1項に記載の塗膜を含む多層膜。
  14. 請求項10〜12のいずれか1項に記載の塗膜を含む有機薄膜トランジスタ。
  15. 請求項10〜12のいずれか1項に記載の塗膜を含む光学部品。
  16. 請求項10〜12のいずれか1項に記載の塗膜を含む表示素子。
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