JP2013174872A - 感光性シロキサン組成物、それから形成された硬化膜、およびその硬化膜を有する素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】高耐熱性、高透明性の特性を併せ持ち、かつ膜厚均一性の良好な硬化膜を得ることができる感光性シロキサン組成物を提供する。また、上記の感光性シロキサン組成物から形成されたTFT基板用平坦化膜、タッチパネル用絶縁膜、保護膜などの硬化膜、およびその硬化膜を有する表示素子を提供する。
【解決手段】(a)特定の構造を有するオルガノシランの1種以上を反応させることによって合成されるポリシロキサン、(b)ナフトキノンジアジド化合物、(c)溶剤、および(d)炭素数が7個以下であるパーフルオロアルキル基を有するフッ素系界面活性剤を含有する感光性シロキサン組成物。
【選択図】なし
【解決手段】(a)特定の構造を有するオルガノシランの1種以上を反応させることによって合成されるポリシロキサン、(b)ナフトキノンジアジド化合物、(c)溶剤、および(d)炭素数が7個以下であるパーフルオロアルキル基を有するフッ素系界面活性剤を含有する感光性シロキサン組成物。
【選択図】なし
Description
本発明は、液晶表示素子や有機EL表示素子などの薄膜トランジスタ(TFT)基板用平坦化膜、タッチパネルの保護膜や絶縁膜、半導体素子の層間絶縁膜、固体撮像素子の平坦化膜やマイクロレンズアレイパターン、あるいは光導波路のコアやクラッド材などを形成するために用いられる感光性シロキサン組成物、それから形成された硬化膜、およびその硬化膜を有する素子に関する。
近年、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどにおいて、さらなる高精細、高解像度を実現する方法として、表示装置の開口率を上げる方法が知られている(特許文献1参照)。これは、透明な平坦化膜をTFT基板の上部に保護膜として設けることによって、データラインと画素電極をオーバーラップさせることを可能とし、従来技術に比べて開口率を上げる方法である。
このようなTFT基板用平坦化膜の材料としては、高透明性、高耐熱性の特性を有し、かつTFT基板電極とITO電極との導通確保のため数μm程度のホールパターン形成をする必要があり、一般的にポジ型感光性材料が用いられる。代表的な材料としては、アクリル系樹脂にナフトキノンジアジド化合物を組み合わせた材料(特許文献2〜4参照)が知られている。しかしながら、これらの材料は耐熱性が十分ではなく、後工程での高温処理により硬化膜が着色して透明性が低下するという問題があった。
また、最近、液晶ディスプレイなどにおいて、タッチパネルが採用されているが、タッチパネルの透明性や機能性向上のために、透明電極部材であるITOの高温成膜による高透明化と高導電化が求められており、それに伴って保護膜や絶縁膜に用いる材料にも、高温処理に対する耐熱性が求められている。しかしながら、前述のアクリル系材料は耐熱性や耐薬品性が不十分であり、ITOの高温成膜などの高温処理や、各種エッチング薬液処理により硬化膜が着色して透明性が低下したり、高温成膜中の材料からの脱ガスによりITO電極の導電率が低下したりするという問題がある。
これらの問題に対して、高透明性、高耐熱性の特性を有する材料として、ポリシロキサンが知られており、これにポジ型の感光性を付与するためにナフトキノンジアジド化合物を組み合わせた材料(特許文献5および6参照)が公知である。これらの材料は透明性が高く、基板の高温処理によっても透明性は低下すること無く、高透明の硬化膜を得ることができる。
一方、近年、液晶ディスプレイやタッチパネルなどに使用される基板は大型化しており、基板全体にわたって均一な膜厚の塗膜を形成することが困難となっている。特許文献5及び6の材料でも膜厚均一性が悪く、塗布ムラが発生するという問題があることが判った。
この問題に対して、ポリシロキサン系材料にパーフルオロアルキル基を有するフッ素系界面活性剤を含有した材料(特許文献7参照)が公知であり、この材料を用いると塗布ムラが軽減できる。但し、この材料はフッ素系界面活性剤中のパーフルオロアルキル基の炭素数が8個であり、フッ素数が多いため現像時に現像液がはじきやすく、現像ムラの発生により膜厚均一性が悪いという問題がある。
ノボラック系材料にパーフルオロアルキルエステル基とアルキルシロキサン基とエチレンオキシ基とプロピレンオキシ基が結合した非イオン性フッ素−ケイ素系界面活性剤を含有した材料(特許文献8参照)が膜厚均一性に優れた塗膜を与えることが知られている。但し、この材料は透明性が悪く、硬化膜は着色するという問題がある。
以上のように、高透明性、高耐熱性の特性を有し、かつ、良好な塗布性を有するポジ型感光性材料は無く、これまでその技術は確立されていなかった。
本発明は、上述のような事情に基づいてなされたものであり、高透明性、高耐熱性の特性を有し、さらに基板全体にわたって均一な膜厚の塗膜を形成可能な(膜厚均一性の良好な)感光性シロキサン組成物を提供する。また、本発明の別の目的は、上記の感光性シロキサン組成物から形成された、TFT基板用平坦化膜、タッチパネル用保護膜や絶縁膜、層間絶縁膜、コアやクラッド材などの硬化膜、およびその硬化膜を有する表示素子、半導体素子、固体撮像素子、光導波路などの素子を提供する。
本発明者らは、高透明性、高耐熱性の特性を有し、かつ膜厚均一性の良好な感光性材料を開発するために鋭意研究を重ねた結果、高透明性、高耐熱性の特性を有するポリシロキサン系感光性材料に、界面活性剤の中でも、特に炭素数が7個以下であるパーフルオロアルキル基を有するフッ素系界面活性剤を添加することにより、膜厚均一性が良好となることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
本発明は以下の構成を有する。すなわち、(a)下記一般式(1)で表されるオルガノシランの1種以上を反応させることによって合成されるポリシロキサン、(b)ナフトキノンジアジド化合物、(c)溶剤、および(d)炭素数が7個以下であるパーフルオロアルキル基を有するフッ素系界面活性剤を含有する感光性シロキサン組成物である。
(式中、R1は水素、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、複数のR1はそれぞれ同じでも異なっていてもよい。また、これらのアルキル基、アルケニル基、アリール基はいずれも無置換体、置換体のどちらでもよい。R2は水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6のアシル基、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、複数のR2はそれぞれ同じでも異なっていてもよい。また、これらのアルキル基、アシル基、アリール基はいずれも無置換体、置換体のどちらでもよい。xは0〜3の整数を表す。)
本発明の感光性シロキサン組成物は高透明性、高耐熱性の特性を有し、かつ膜厚均一性に優れる。また、得られた硬化膜は、TFT基板用平坦化膜、タッチパネル用保護膜や絶縁膜、層間絶縁膜、光導波路のコアやクラッド材として好適に用いることができる。
本発明の感光性シロキサン組成物は、(a)下記一般式(1)で表されるオルガノシランの1種以上を反応させることによって合成されるポリシロキサン、(b)ナフトキノンジアジド化合物、(c)溶剤、および(d)炭素数が7個以下であるパーフルオロアルキル基を有するフッ素系界面活性剤を含有する。
本発明の感光性シロキサン組成物は、(a)下記一般式(1)で表されるオルガノシランの1種以上を反応させることによって合成されるポリシロキサンを含有する。本発明で用いるポリシロキサンは、下記一般式(1)で表されるオルガノシランの1種以上を反応させることによって合成されるポリシロキサンである。
(式中、R1は水素、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、複数のR1はそれぞれ同じでも異なっていてもよい。また、これらのアルキル基、アルケニル基、アリール基はいずれも無置換体、置換体のどちらでもよい。R2は水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6のアシル基、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、複数のR2はそれぞれ同じでも異なっていてもよい。また、これらのアルキル基、アシル基、アリール基はいずれも無置換体、置換体のどちらでもよい。xは0〜3の整数を表す。)
上記一般式(1)で表されるオルガノシランにおいて、R1は、水素、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、複数のR1はそれぞれ同じでも異なっていてもよい。また、これらのアルキル基、アルケニル基、アリール基はいずれも無置換体、置換体のどちらでもよく、組成物の特性に応じて選択できる。
上記一般式(1)で表されるオルガノシランにおいて、R1は、水素、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、複数のR1はそれぞれ同じでも異なっていてもよい。また、これらのアルキル基、アルケニル基、アリール基はいずれも無置換体、置換体のどちらでもよく、組成物の特性に応じて選択できる。
アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−デシル基、トリフルオロメチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、3−グリシドキシプロピル基、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基、〔(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ〕プロピル基、3−アミノプロピル基、3−メルカプトプロピル基、3−イソシアネートプロピル基が挙げられる。アルケニル基の具体例としては、ビニル基、3−アクリロキシプロピル基、3−メタクリロキシプロピル基が挙げられる。
アリール基の具体例としては、フェニル基、トリル基、p−ヒドロキシフェニル基、1−(p−ヒドロキシフェニル)エチル基、2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル基、4−ヒドロキシ−5−(p−ヒドロキシフェニルカルボニルオキシ)ペンチル基、ナフチル基が挙げられる。
一般式(1)のR2は水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6のアシル基、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、複数のR2はそれぞれ同じでも異なっていてもよい。また、これらのアルキル基、アシル基、アリール基はいずれも無置換体、置換体のどちらでもよく、組成物の特性に応じて選択できる。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基が挙げられる。アシル基の具体例としては、アセチル基が挙げられる。アリール基の具体例としては、フェニル基が挙げられる。
一般式(1)のxは0〜3の整数を表す。x=0の場合は4官能性シラン、x=1の場合は3官能性シラン、x=2の場合は2官能性シラン、x=3の場合は1官能性シランである。
一般式(1)で表されるオルガノシランの具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラアセトキシシラン、テトラフェノキシシランなどの4官能性シラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリn−ブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリn−ブトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、p−ヒドロキシフェニルトリメトキシシラン、1−(p−ヒドロキシフェニル)エチルトリメトキシシラン、2−(p−ヒドロキシフェニル)エチルトリメトキシシラン、4−ヒドロキシ−5−(p−ヒドロキシフェニルカルボニルオキシ)ペンチルトリメトキシシラン、トリフルオロメチルトリメトキシシラン、トリフルオロメチルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、〔(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ〕プロピルトリメトキシシラン、〔(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ〕プロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸などの3官能性シラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシラン、ジメチルジアセトキシシラン、ジn−ブチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)メチルジメトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)メチルジエトキシシランなどの2官能性シラン、トリメチルメトキシシラン、トリn−ブチルエトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)ジメチルメトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)ジメチルエトキシシランなどの1官能性シランが挙げられる。
なお、これらのオルガノシランは単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらのオルガノシランの中でも、硬化膜の耐クラック性と硬度の点から3官能性シランが好ましく用いられる。
また、本発明で用いるポリシロキサンにおいて、一般式(1)で表されるオルガノシランの1種以上とともに、さらに一般式(2)で表されるシリケート化合物を反応させることによって合成されるポリシロキサンを用いてもよい。シリケート化合物を反応させることで、パターン解像度が向上する。これは、ポリシロキサン中に多官能のシリケート化合物が組み込まれることで、膜のガラス転移温度が高くなり熱硬化時のパターンだれが抑えられるためと考えられる。
式中、R3〜R6はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6のアシル基、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表す。pは2〜10の整数を表す。
一般式(2)で表されるシリケート化合物の具体例としては、メチルシリケート51(扶桑化学工業(株)製)、Mシリケート51、シリケート40、シリケート45(多摩化学工業(株)製)、メチルシリケート51、メチルシリケート53A、エチルシリケート40、エチルシリケート48(コルコート(株)製)が挙げられる。また、これらのシリケート化合物は単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
シリケート化合物を用いる場合の混合比率は特に制限されないが、Si原子モル数でポリマー全体のSi原子モル数に対して50%以下が好ましい。シリケート化合物が50%より多いと、ポリシロキサンとナフトキノンジアジド化合物との相溶性が悪くなり、硬化膜の透明性が低下する。なお、ポリマー全体のSi原子モル数に対するシリケート化合物のSi原子モル比はIRにおいてSi−C結合由来のピークとSi−O結合由来のピークの積分比から求めることができる。ピークの重なりが多く求められない場合は、1H−NMR、13C−NMR、IR、TOF−MSなどによりシリケート化合物以外のモノマーの構造を決定し、さらに元素分析法において発生する気体と残存する灰(すべてSiO2と仮定する)の割合から求めることができる。
また、本発明で用いるポリシロキサンにおいて、後述する(b)ナフトキノンジアジド化合物との相溶性を向上し、相分離することなく均一な硬化膜を形成させる目的から、ポリシロキサン中にあるフェニル基の含有率はSi原子に対して30モル%以上が好ましく、さらに好ましくは40モル%以上である。フェニル基の含有率が30モル%より少ないと、ポリシロキサンとナフトキノンジアジド化合物の相溶性が悪く、塗布、乾燥、熱硬化中などにおいて、相分離が起こり、膜が白濁、硬化膜の透過率が低下する。また、フェニル基の含有率の上限値としては、70モル%以下であることが好ましい。フェニル基の含有率が70モル%より多いと、熱硬化時の架橋が十分に起こらずに硬化膜の耐薬品性が低下してしまう。
フェニル基の含有率は、例えば、ポリシロキサンの29Si−NMRを測定し、そのフェニル基が結合したSiのピーク面積とフェニル基が結合していないSiのピーク面積の比から求めることができる。
また、本発明で用いるポリシロキサンの重量平均分子量(Mw)は特に制限されないが、好ましくはGPC(ゲルパーミネーションクロマトグラフィ)で測定されるポリスチレン換算で1000〜100000、さらに好ましくは2000〜50000である。Mwが1000より小さいと塗膜性が悪くなり、100000より大きいと現像時の現像液に対する溶解性が悪くなる。
本発明で用いるポリシロキサンは、一般式(1)で表されるオルガノシランなどのモノマーを加水分解および部分縮合させることにより合成される。加水分解および部分縮合には一般的な方法を用いることができる。例えば、混合物に溶剤、水、必要に応じて触媒を添加し、50〜150℃で0.5〜100時間程度加熱撹拌する。なお、撹拌中、必要に応じて、蒸留によって加水分解副生物(メタノールなどのアルコール)や縮合副生物(水)の留去を行ってもよい。
上記の反応溶剤としては特に制限は無いが、通常は後述する(c)溶剤と同様のものが用いられる。溶剤の添加量はオルガノシランなどのモノマー100重量部に対して10〜1000重量部が好ましい。また加水分解反応に用いる水の添加量は、加水分解性基1モルに対して0.5〜2モルが好ましい。
必要に応じて添加される触媒に特に制限はないが、酸触媒、塩基触媒が好ましく用いられる。酸触媒の具体例としては塩酸、硝酸、硫酸、フッ酸、リン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸、多価カルボン酸あるいはその無水物、イオン交換樹脂が挙げられる。塩基触媒の具体例としては、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、ジエチルアミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アミノ基を有するアルコキシシラン、イオン交換樹脂が挙げられる。触媒の添加量はオルガノシランなどのモノマー100重量部に対して0.01〜10重量部が好ましい。
また、組成物の貯蔵安定性の観点から、加水分解、部分縮合後のポリシロキサン溶液には触媒が含まれないことが好ましく、必要に応じて触媒の除去を行うことができる。除去方法としては特に制限は無いが、好ましくは水洗浄、および/またはイオン交換樹脂の処理が挙げられる。水洗浄とは、ポリシロキサン溶液を適当な疎水性溶剤で希釈した後、水で数回洗浄して得られた有機層をエバポレーターで濃縮する方法である。イオン交換樹脂での処理とは、ポリシロキサン溶液を適当なイオン交換樹脂に接触させる方法である。
本発明の感光性シロキサン組成物は、(b)ナフトキノンジアジド化合物を含有する。ナフトキノンジアジド化合物を含有することで、露光部が現像液で除去されるポジ型のパターン形成が可能となる。用いるナフトキノンジアジド化合物に特に制限は無いが、好ましくはフェノール性水酸基を有する化合物にナフトキノンジアジドスルホン酸がエステル結合した化合物であり、当該化合物のフェノール性水酸基のオルト位、およびパラ位がそれぞれ独立して水素、水酸基もしくは一般式(3)で表される置換基のいずれかである化合物が用いられる。
式中、R7、R8、R9はそれぞれ独立して炭素数1〜10のアルキル基、カルボキシル基、フェニル基、置換フェニル基のいずれかを表す。また、R7、R8、R9で環を形成してもよい。アルキル基は無置換体、置換体のいずれでもよく、組成物の特性に応じて選択できる。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、トリフルオロメチル基、2−カルボキシエチル基が挙げられる。また、フェニル基上の置換基としては、水酸基、メトキシ基などが挙げられる。また、R7、R8、R9で環を形成する場合の具体例としては、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、アダマンタン環、フルオレン環が挙げられる。
フェノール性水酸基のオルト位、およびパラ位が上記以外、例えばメチル基の場合、熱硬化によって酸化分解が起こり、キノイド構造に代表される共役系化合物が形成され、硬化膜が着色して無色透明性が低下する。なお、これらのナフトキノンジアジド化合物は、フェノール性水酸基を有する化合物と、ナフトキノンジアジドスルホン酸クロリドとの公知のエステル化反応により合成することができる。
フェノール性水酸基を有する化合物の具体例としては、以下の化合物が挙げられる(いずれも本州化学工業(株)製)。
原料となるナフトキノンジアジドスルホン酸クロリドとしては、4−ナフトキノンジアジドスルホン酸クロリドあるいは5−ナフトキノンジアジドスルホン酸クロリドを用いることができる。4−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル化合物はi線(波長365nm)領域に吸収を持つため、i線露光に適している。また、5−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル化合物は広範囲の波長領域に吸収が存在するため、広範囲の波長での露光に適している。露光する波長によって4−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル化合物、5−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル化合物を選択することが好ましい。4−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル化合物と5−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル化合物を混合して用いることもできる。
ナフトキノンジアジド化合物の添加量は特に制限されないが、好ましくはポリシロキサン100重量部に対して2〜30重量部であり、さらに好ましくは3〜15重量部である。
ナフトキノンジアジド化合物の添加量が2重量部より少ない場合、露光部と未露光部との溶解コントラストが低すぎて、実用に足る感光性を発現しない。また、さらに良好な溶解コントラストを得るためには3重量部以上が好ましい。一方、ナフトキノンジアジド化合物の添加量が30重量部より多い場合、ポリシロキサンとナフトキノンジアジド化合物との相溶性が悪くなることによる塗布膜の白化が生じたり、熱硬化時に起こるナフトキノンジアジド化合物の分解による着色が生じたりするために、硬化膜の無色透明性が低下する。また、さらに高透明性の膜を得るためには15重量部以下が好ましい。
本発明の感光性シロキサン組成物は、(c)溶剤を含有する。使用する溶剤に特に制限はないが、好ましくはアルコール性水酸基を有する化合物が用いられる。これにより、ポリシロキサンとナフトキノンジアジド化合物とが均一に溶解し、組成物を塗布成膜しても膜は白化することなく、高透明性が達成できる。
上記アルコール性水酸基を有する化合物は特に制限されないが、好ましくは大気圧下の沸点が110〜250℃である化合物である。沸点が250℃より高いと膜中の残存溶剤量が多くなりキュア時の膜収縮が大きくなり、良好な平坦性が得られなくなる。一方、沸点が110℃より低いと、塗膜時の乾燥が速すぎて膜表面が荒れるなど塗膜性が悪くなる。
アルコール性水酸基を有する化合物の具体例としては、アセトール、3−ヒドロキシ−3−メチル−2−ブタノン、4−ヒドロキシ−3−メチル−2−ブタノン、5−ヒドロキシ−2−ペンタノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン(ジアセトンアルコール)、乳酸エチル、乳酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノn−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノn−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノt−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、3−メトキシ−1−ブタノール、3−メチル−3−メトキシ−1−ブタノールなどが挙げられる。なお、これらのアルコール性水酸基を有する化合物は、単独、あるいは2種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、本発明の感光性組成物は、本発明の効果を損なわない限り、その他の溶剤を含有してもよい。その他の溶剤としては、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシ−1−ブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシ−1−ブチルアセテート、アセト酢酸エチルなどのエステル類、メチルイソブチルケトン、ジイソプロピルケトン、ジイソブチルケトン、アセチルアセトンなどのケトン類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジn−ブチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、などのエーテル類、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、炭酸プロピレン、N−メチルピロリドン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノンなどが挙げられる。
溶剤の添加量に特に制限はないが、好ましくはポリシロキサン100重量部に対して100〜2000重量部の範囲である。
本発明の感光性シロキサン組成物は、(d)炭素数が7個以下であるパーフルオロアルキル基を有するフッ素系界面活性剤を含有する。炭素数が8個以上であるパーフルオロアルキル基を有するフッ素系界面活性剤は現像時に現像液がはじきやすいという問題がある。さらに、炭素数が8個であるパーフルオロアルキル基を有するフッ素系界面活性剤は、環境残存性のあるパーフルオロオクタン酸を含むという問題がある。
炭素数が7個以下であるパーフルオロアルキル基を有するフッ素系界面活性剤の具体的な例としては、“メガファック”(登録商標)F410、同F444、同477、同F552、同F553、同F554、同F555(以上商品名、DIC(株)製)、“ポリフォックス”PF3305、同PF3310、同PF3320(以上商品名、OMNOVA(株)製)を挙げることができる。
また、本発明で用いるフッ素系界面活性剤には、シロキサン構造を有しないものが好ましい。ポリシロキサンはノボラックと比べて粘度が低く、スリット塗布には適しているが、スピン塗布の際、固形分を増量する必要がある。固形分を増量すると、相溶性が悪くなり膜厚均一性が良好な塗膜が得られない場合があり、特にシロキサン構造を有するフッ素系界面活性剤を用いると、本発明の感光性シロキサン組成物中の(a)ポリシロキサンとの相溶性不良のために、塗布ムラが発生し、膜厚均一性が良好な塗膜が得られない場合がある。
界面活性剤の含有量は、感光性シロキサン組成物中、0.0001〜1質量%とするのが一般的である。
さらに、本発明の感光性シロキサン組成物は必要に応じて、溶解促進剤、シランカップリング剤、架橋剤、架橋促進剤、増感剤、熱ラジカル発生剤、溶解抑止剤、界面活性剤、安定剤、消泡剤などの添加剤を含有することもできる。
本発明の感光性シロキサン組成物は、架橋剤を含有することも好ましい。架橋剤は熱硬化時に本発明で用いるポリシロキサンなどを架橋し、膜中に取り込まれる化合物であり、含有することによって硬化膜の架橋度が高くなる。これによって、硬化膜の耐薬品性と耐湿熱性が向上し、かつ熱硬化時のパターンリフローによるパターン解像度の低下が抑制される。
架橋剤に特に制限は無いが、好ましくは一般式(4)で表されるメチロール系構造、エポキシ構造、オキセタン構造の群から選択される構造を2個以上有する化合物が挙げられる。上記構造の組み合わせは特に限定されないが、選択される構造は同じものであることが好ましい。
一般式(4)で表されるメチロール系構造を2個以上有するメチロール系化合物において、R10は水素、炭素数1〜10のアルキル基のいずれかを表す。なお、化合物中の複数のR10はそれぞれ同じでも異なっていてもよい。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−デシル基が挙げられる。
メチロール系構造を2個以上有するメチロール系化合物の具体例としては、2つ有するものとしてDM−BI25X−F、46DMOC、46DMOIPP、46DMOEP(以上商品名、旭有機材工業(株)製)、DML−MBPC、DML−MBOC、DML−OCHP、DML−PC、DML−PCHP、DML−PTBP、DML−34X、DML−EP、DML−POP、DML−OC、ジメチロール−Bis−C、ジメチロール−BisOC−P、DML−BisOC−Z、DML−BisOCHP−Z、DML−PFP、DML−PSBP、DML−MB25、DML−MTrisPC、DML−Bis25X−34XL、DML−Bis25X−PCHP(以上商品名、本州化学工業(株)製)、ニカラック(登録商標)MX−290(以上商品名、(株)三和ケミカル製)、2,6−ジメトキシメチル−4−t−ブチルフェノール、2,6−ジメトキシメチル−p−クレゾール、2,6−ジアセトキシメチル−p−クレゾールなど、3つ有するものとしてTriML−P、TriML−35XL、TriML−TrisCR−HAP(以上商品名、本州化学工業(株)製)など、4つ有するものとしてTM−BIP−A(以上商品名、旭有機材工業(株)製)、TML−BP、TML−HQ、TML−pp−BPF、TML−BPA、TMOM−BP(以上商品名、本州化学工業(株)製)、ニカラック(登録商標)MX−280、同MX−270(以上商品名、(株)三和ケミカル製)など、6つ有するものとしてHML−TPPHBA、HML−TPHAP、HMOM−TPPHBA、HMOM−TPHAP(以上商品名、本州化学工業(株)製)、ニカラック(登録商標)MW−390、同MW−100LM、同30−HM(以上商品名、(株)三和ケミカル製)が挙げられる。
エポキシ構造やオキセタン構造を2個以上有する化合物の具体例としては、“エポライト”40E、同100E、同200E、同400E、同70P、同200P、同400P、同1500NP、同80MF、同4000、同3002(以上商品名、共栄社化学工業(株)製)、“デナコール”(登録商標)EX−212L、同EX−214L、同EX−216L、同EX−850L、同EX−321L(以上商品名、ナガセケムテックス(株)製)、GAN、G
OT、EPPN502H、NC3000、NC6000(以上商品名、日本化薬(株)製)、“エピコート”(登録商標)828、同1002、同1750、同1007、YX8100−BH30、E1256、E4250、E4275(以上商品名、ジャパンエポキシレジン(株)製)、“エピクロン”(登録商標)EXA−9583、同HP4032、同N695、同HP7200(以上商品名、大日本インキ化学工業(株)製)、“テピック”(登録商標)S、同G、同P(以上商品名、日産化学工業(株)製)、“エポトート”(登録商標)YH−434L(以上商品名、東都化成(株)製)が挙げられる。
OT、EPPN502H、NC3000、NC6000(以上商品名、日本化薬(株)製)、“エピコート”(登録商標)828、同1002、同1750、同1007、YX8100−BH30、E1256、E4250、E4275(以上商品名、ジャパンエポキシレジン(株)製)、“エピクロン”(登録商標)EXA−9583、同HP4032、同N695、同HP7200(以上商品名、大日本インキ化学工業(株)製)、“テピック”(登録商標)S、同G、同P(以上商品名、日産化学工業(株)製)、“エポトート”(登録商標)YH−434L(以上商品名、東都化成(株)製)が挙げられる。
なお、上記の架橋剤は、単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
架橋剤の添加量は特に制限されないが、好ましくはポリシロキサン100重量部に対して0.1〜20重量部の範囲である。架橋剤の添加量が0.1重量部より少ないと、樹脂の架橋が不十分で効果が少ない場合がある。一方、架橋剤の添加量が20重量部より多いと、硬化膜の無色透明性が低下したり、組成物の貯蔵安定性が低下したりする場合がある。
本発明の感光性シロキサン組成物は、シランカップリング剤を含有してもよい。シランカップリング剤を含有することで、基板との密着性が向上する。
シランカップリング剤の具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、〔(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ〕プロピルトリメトキシシラン、〔(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ〕プロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸、N−t−ブチル−3−(3−トリメトキシシリルプロピル)コハク酸イミドなどが挙げられる。
シランカップリング剤の添加量に特に制限は無いが、好ましくはポリシロキサン100重量部に対して0.1〜10重量部の範囲である。添加量が0.1重量部より少ないと密着性向上の効果が十分ではなく、10重量部より多いと保管中にシランカップリン剤同士が縮合反応し、現像時の溶け残りの原因となる場合がある。
本発明の感光性シロキサン組成物は、架橋促進剤を含有してもよい。架橋促進剤とは、熱硬化時のポリシロキサンの架橋を促進する化合物であり、熱硬化時に酸を発生する熱酸発生剤や、熱硬化前のブリーチング露光時に酸を発生する光酸発生剤が用いられる。熱硬化時に膜中に酸が存在することによって、ポリシロキサン中の未反応シラノール基やエポキシ基の縮合反応が促進され、硬化膜の架橋度が高くなる。これによって、硬化膜の耐薬品性が向上し、かつ熱硬化時のパターンリフローによるパターン解像度の低下が抑制されたり、耐薬品性が向上したりする。
本発明で用いられる熱酸発生剤は、熱硬化時に酸を発生する化合物であり、組成物塗布後のプリベーク時には酸を発生しない、もしくは少量しか発生しないことが好ましい。故に、プリベーク温度以上、例えば100℃以上で酸を発生する化合物であることが好ましい。プリベーク温度以下で酸が発生すると、プリベーク時にアルカリ可溶性樹脂の架橋が起こりやすくなり感度が低下したり、現像時に溶け残りが発生したりする場合がある。
好ましく用いられる熱酸発生剤の具体例としては、“サンエイド”(登録商標)SI−60、同SI−80、同SI−100、同SI−200、同SI−110、同SI−145、同SI−150、同SI−60L、同SI−80L、同SI−100L、同SI−110L、同SI−145L、同SI−150L、同SI−160L、同SI−180L(以上商品名、三新化学工業(株)製)、4−ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、ベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、2−メチルベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、4−アセトキシフェニルジメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、4−アセトキシフェニルベンジルメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、4−メトキシカルボニルオキシフェニルジメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、ベンジル−4−メトキシカルボニルオキシフェニルメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート(以上商品名、三新化学工業(株)製)などが挙げられる。なお、これらの化合物は単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明で用いられる光酸発生剤は、ブリーチング露光時に酸を発生する化合物であり、露光波長365nm(i線)、405nm(h線)、436nm(g線)、もしくはこれらの混合線の照射によって酸を発生する化合物である。したがって、同様の光源を用いるパターン露光においても酸が発生する可能性はあるが、パターン露光はブリーチング露光と比べて露光量が小さいために、少量の酸しか発生せずに問題とはならない。また、発生する酸としてはパーフルオロアルキルスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などの強酸であることが好ましく、カルボン酸が発生するナフトキノンジアジド化合物はここでいう光酸発生剤の機能は有しておらず、本発明における架橋促進剤とは異なるものである。
好ましく用いられる光酸発生剤の具体例としては、SI−100、SI−101、SI−105、SI−106、SI−109、PI−105、PI−106、PI−109、NAI−100、NAI−1002、NAI−1003、NAI−1004、NAI−101、NAI−105、NAI−106、NAI−109、NDI−101、NDI−105、NDI−106、NDI−109、PAI−01、PAI−101、PAI−106、PAI−1001(以上商品名、みどり化学(株)製)、SP−077、SP−082(以上商品名、(株)ADEKA製)、TPS−PFBS(以上商品名、東洋合成工業(株)製)、CGI−MDT、CGI−NIT(以上商品名、チバジャパン(株)製)、WPAG−281、WPAG−336、WPAG−339、WPAG−342、WPAG−344、WPAG−350、WPAG−370、WPAG−372、WPAG−449、WPAG−469、WPAG−505、WPAG−506(以上商品名、和光純薬工業(株)製)などが挙げられる。なお、これらの化合物は単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、架橋促進剤として、上述した熱酸発生剤と光酸発生剤とを併用して用いることも可能である。架橋促進剤の添加量は、特に制限は無いが、好ましくはポリシロキサン100重量部に対して0.01〜5重量部の範囲である。添加量が0.01重量部より少ないと効果が十分ではない場合があり、5重量部より多いとプリベーク時やパターン露光時にポリシロキサンの架橋が起こる場合がある。
本発明の感光性シロキサン組成物は、増感剤を含有してもよい。増感剤を含有することによって、感光剤であるナフトキノンジアジド化合物の反応が促進されて感度が向上するとともに、架橋促進剤として光酸発生剤が含有されている場合は、ブリーチング露光時の反応が促進されて硬化膜の耐溶剤性とパターン解像度が向上する。
本発明で用いられる増感剤は特に制限されないが、好ましくは熱処理により気化する、および/または光照射によって退色する増感剤が用いられる。この増感剤は、パターン露光やブリーチング露光における光源の波長である365nm(i線)、405nm(h線)、436nm(g線)に対して吸収をもつことが必要であるが、そのまま硬化膜に残存すると可視光領域に吸収が存在するために無色透明性が低下してしまう。そこで、増感剤による無色透明性の低下を防ぐために、用いられる増感剤は、熱硬化などの熱処理で気化する化合物(増感剤)、および/またはブリーチング露光などの光照射によって退色する化合物(増感剤)が好ましい。
上記の熱処理により気化する、および/または光照射によって退色する増感剤の具体例としては、3,3’−カルボニルビス(ジエチルアミノクマリン)などのクマリン、9,10−アントラキノンなどのアントラキノン、ベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、アセトフェノン、4−メトキシアセトフェノン、ベンズアルデヒドなどの芳香族ケトン、ビフェニル、1,4−ジメチルナフタレン、9−フルオレノン、フルオレン、フェナントレン、トリフェニレン、ピレン、アントラセン、9−フェニルアントラセン、9−メトキシアントラセン、9,10−ジフェニルアントラセン、9,10−ビス(4−メトキシフェニル)アントラセン、9,10−ビス(トリフェニルシリル)アントラセン、9,10−ジメトキシアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、9,10−ジプロポキシアントラセン、9,10−ジブトキシアントラセン、9,10−ジペンタオキシアントラセン、2−t−ブチル−9,10−ジブトキシアントラセン、9,10−ビス(トリメチルシリルエチニル)アントラセンなどの縮合芳香族などが挙げられる。
これらの増感剤の中で、熱処理により気化する増感剤は、好ましくは熱処理により昇華、蒸発、熱分解による熱分解物が昇華または蒸発する増感剤である。また、増感剤の気化温度としては、好ましくは130℃〜400℃、さらに好ましくは150℃〜250℃である。増感剤の気化温度が130℃より低いと、増感剤がプリベーク中に気化して露光プロセス中に存在しなくなり感度が高くならない場合がある。また、プリベーク中の気化を極力抑えるためには、増感剤の気化温度は150℃以上が好ましい。一方、増感剤の気化温度が400℃より高いと、増感剤が熱硬化時に気化せず硬化膜中に残存して、無色透明性が低下する場合がある。また、熱硬化時に完全に気化させるためには、増感剤の気化温度は250℃以下が好ましい。
一方、光照射によって退色する増感剤は、透明性の観点から可視光領域における吸収が光照射によって退色する増感剤が好ましい。また、さらに好ましい光照射によって退色する化合物は、光照射によって二量化する化合物である。光照射によって二量化することによって、分子量が増大して不溶化するので、耐薬品性向上、耐熱性向上、透明硬化膜からの抽出物の低減という効果が得られる。
また、増感剤は高感度を達成できるという点、光照射によって二量化して退色するという点からアントラセン系化合物が好ましく、さらに、9,10位が水素であるアントラセン系化合物は熱に不安定であるので、9,10−二置換アントラセン系化合物であることが好ましい。さらに、増感剤の溶解性の向上と光二量化反応の反応性の観点から一般式(5)で表される9,10−ジアルコキシアントラセン系化合物であることが好ましい。
一般式(5)のR11〜R18は、それぞれ独立して水素、炭素数1〜20のアルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アリール基、アシル基、およびそれらが置換された有機基を表す。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基が挙げられる。アルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基が挙げられる。アルケニル基の具体例としては、ビニル基、アクリロキシプロピル基、メタクリロキシプロピル基が挙げられる。アリール基の具体例としては、フェニル基、トリル基、ナフチル基が挙げられる。アシル基の具体例としては、アセチル基が挙げられる。化合物の気化性、光二量化の反応性の点から、R11〜R18は水素、または炭素数は1〜6までの有機基であることが好ましい。さらに好ましくは、R11、R14、R15、R18は水素であることが好ましい。
一般式(5)のR19、R20は炭素数1〜20のアルコキシ基、およびそれらが置換された有機基を表す。アルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基が挙げられるが、化合物の溶解性と光二量化による退色反応の点から、プロポキシ基、ブトキシ基が好ましい。
増感剤の添加量は、特に制限は無いが、好ましくはポリシロキサン100重量部に対して0.01〜5重量部の範囲で添加するのが好ましい。この範囲を外れると、透明性が低下したり、感度が低下したりする場合がある。
本発明の感光性シロキサン組成物を用いた硬化膜の形成方法について説明する。本発明の感光性シロキサン組成物をスピナー、スリットなどの公知の方法によって下地基板上に塗布し、ホットプレート、オーブンなどの加熱装置でプリベークする。プリベークは、50〜150℃の範囲で30秒〜30分間行い、プリベーク後の膜厚は、0.1〜15μmとするのが好ましい。
プリベーク後、ステッパー、ミラープロジェクションマスクアライナー(MPA)、パラレルライトマスクアライナー(PLA)などの紫外可視露光機を用い、10〜4000J/m2程度(波長365nm露光量換算)を所望のマスクを介してパターン露光する。
露光後、現像により露光部が溶解し、ポジパターンを得ることができる。現像方法としては、シャワー、ディップ、パドルなどの方法で現像液に5秒〜10分間浸漬することが好ましい。現像液としては、公知のアルカリ現像液を用いることができる。具体的例としてはアルカリ金属の水酸化物、炭酸塩、リン酸塩、ケイ酸塩、ホウ酸塩などの無機アルカリ、2−ジエチルアミノエタノール、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンなどのアミン類、水酸化テトラメチルアンモニウム、コリンなどの4級アンモニウム塩を1種あるいは2種以上含む水溶液などが挙げられる。また、現像後は水でリンスすることが好ましく、必要であればホットプレート、オーブンなどの加熱装置で50〜150℃の範囲で脱水乾燥ベークを行うこともできる。
その後、ブリーチング露光を行うことが好ましい。ブリーチング露光を行うことによって、膜中に残存する未反応のナフトキノンジアジド化合物が光分解して、膜の光透明性がさらに向上する。ブリーチング露光の方法としては、PLAなどの紫外可視露光機を用い、100〜20000J/m2程度(波長365nm露光量換算)を全面に露光する。
ブリーチング露光した膜を、必要であればホットプレート、オーブンなどの加熱装置で50〜150℃の範囲で30秒〜30分間ソフトベークを行った後、ホットプレート、オーブンなどの加熱装置で150〜450℃の範囲で1時間程度キュアすることで、表示素子におけるTFT用平坦化膜、半導体素子における層間絶縁膜、あるいは光導波路におけるコアやクラッド材といった硬化膜が形成される。
本発明の感光性シロキサン組成物を用いて作製した硬化膜は、波長400nmにおける膜厚3μmあたりの光透過率が85%以上であり、さらに好ましくは90%以上である。光透過率が85%より低いと、液晶表示素子のTFT基板用平坦化膜として用いた場合、バックライトが通過する際に色変化が起こり、白色表示が黄色味を帯びる。
上記の波長400nmにおける膜厚3μmあたりの透過率は、以下の方法により求められる。組成物をテンパックスガラス板にスピンコーターを用いて任意の回転数でスピンコートし、ホットプレートを用いて100℃で2分間プリベークする。その後、ブリーチング露光として、PLAを用いて、膜全面に超高圧水銀灯を3000J/m2(波長365nm露光量換算)露光し、オーブンを用いて空気中220℃で1時間熱硬化して膜厚3μmの硬化膜を作製する。得られた硬化膜の紫外可視吸収スペクトルを(株)島津製作所製MultiSpec−1500を用いて測定し、波長400nmでの透過率を求める。
この硬化膜は表示素子におけるTFT用平坦化膜、半導体素子における層間絶縁膜、タッチパネル用絶縁膜・保護膜あるいは光導波路におけるコアやクラッド材などに好適に使用される。
この硬化膜は表示素子におけるTFT用平坦化膜、半導体素子における層間絶縁膜、タッチパネル用絶縁膜・保護膜あるいは光導波路におけるコアやクラッド材などに好適に使用される。
本発明における素子は、上述のような高耐熱性、高透明性の硬化膜を有する表示素子、半導体素子、あるいは光導波路材を指し、特に、TFT用平坦化膜として有する液晶、ならびに有機EL表示素子、タッチパネル機能つき表示素子に好適である。
以下、実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。なお、用いた化合物のうち、略語を使用しているものについて、以下に示す。
DAA:ダイアセトンアルコール
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
また、ポリシロキサン溶液、アクリル系樹脂溶液の固形分濃度、ポリシロキサン、アクリル系樹脂の重量平均分子量(Mw)、およびポリシロキサン中のフェニル基置換シランは、以下のとおり求めた。
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
また、ポリシロキサン溶液、アクリル系樹脂溶液の固形分濃度、ポリシロキサン、アクリル系樹脂の重量平均分子量(Mw)、およびポリシロキサン中のフェニル基置換シランは、以下のとおり求めた。
(1)固形分濃度
アルミカップにポリシロキサン溶液またはアクリル系樹脂溶液を1g秤取し、ホットプレートを用いて250℃で30分間加熱して液分を蒸発させた。加熱後のアルミカップに残った固形分を秤量して、ポリシロキサン溶液またはアクリル系樹脂の固形分濃度を求めた。
アルミカップにポリシロキサン溶液またはアクリル系樹脂溶液を1g秤取し、ホットプレートを用いて250℃で30分間加熱して液分を蒸発させた。加熱後のアルミカップに残った固形分を秤量して、ポリシロキサン溶液またはアクリル系樹脂の固形分濃度を求めた。
(2)重量平均分子量
重量平均分子量はGPC(Waters社製410型RI検出器、流動層:テトラヒドロフラン)にてポリスチレン換算により求めた。
重量平均分子量はGPC(Waters社製410型RI検出器、流動層:テトラヒドロフラン)にてポリスチレン換算により求めた。
(3)ポリシロキサン中のフェニル基置換シランの含有比
29Si−NMRの測定を行い、全体の積分値から、フェニル基置換シランの積分値の割合を算出して、比率を計算した。試料(液体)は直径10mmのテフロン(登録商標)製NMRサンプル管に注入し測定に用いた。29Si−NMR測定条件を以下に示す。
装置:日本電子社製JNM GX−270、測定法:ゲーテッドデカップリング法
測定核周波数:53.6693MHz(29Si核)、スペクトル幅:20000Hz
パルス幅:12μsec(45°パルス)、パルス繰り返し時間:30.0sec
溶媒:アセトン−d6、基準物質:テトラメチルシラン
測定温度:室温、試料回転数:0.0Hz
合成例1 ポリシロキサン溶液(a)の合成
500mLの三口フラスコにメチルトリメトキシシランを81.72g(0.60mol)、フェニルトリメトキシシランを59.49g(0.30mol)、(2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランを24.64g(0.10mol)、DAAを163.1g仕込み、室温で撹拌しながら水55.8gにリン酸0.54g(仕込みモノマーに対して0.3質量%)を溶かしたリン酸水溶液を10分かけて添加した。その後、フラスコを40℃のオイルバスに浸けて30分撹拌した後、オイルバスを30分かけて115℃まで昇温した。昇温開始1時間後に溶液の内温が100℃に到達し、そこから1.5時間加熱撹拌し(内温は100〜110℃)、ポリシロキサン溶液(a)を得た。なお、加熱撹拌中、窒素を0.05L/min流した。反応中に副生成物であるメタノール、水が合計131g留出した。
29Si−NMRの測定を行い、全体の積分値から、フェニル基置換シランの積分値の割合を算出して、比率を計算した。試料(液体)は直径10mmのテフロン(登録商標)製NMRサンプル管に注入し測定に用いた。29Si−NMR測定条件を以下に示す。
装置:日本電子社製JNM GX−270、測定法:ゲーテッドデカップリング法
測定核周波数:53.6693MHz(29Si核)、スペクトル幅:20000Hz
パルス幅:12μsec(45°パルス)、パルス繰り返し時間:30.0sec
溶媒:アセトン−d6、基準物質:テトラメチルシラン
測定温度:室温、試料回転数:0.0Hz
合成例1 ポリシロキサン溶液(a)の合成
500mLの三口フラスコにメチルトリメトキシシランを81.72g(0.60mol)、フェニルトリメトキシシランを59.49g(0.30mol)、(2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランを24.64g(0.10mol)、DAAを163.1g仕込み、室温で撹拌しながら水55.8gにリン酸0.54g(仕込みモノマーに対して0.3質量%)を溶かしたリン酸水溶液を10分かけて添加した。その後、フラスコを40℃のオイルバスに浸けて30分撹拌した後、オイルバスを30分かけて115℃まで昇温した。昇温開始1時間後に溶液の内温が100℃に到達し、そこから1.5時間加熱撹拌し(内温は100〜110℃)、ポリシロキサン溶液(a)を得た。なお、加熱撹拌中、窒素を0.05L/min流した。反応中に副生成物であるメタノール、水が合計131g留出した。
得られたポリシロキサン溶液(a)の固形分濃度は43質量%、ポリシロキサンの重量平均分子量は4200であった。なお、ポリシロキサン中のフェニル基置換シランの含有比はSi原子モル比で30%であった。
合成例2 ポリシロキサン溶液(b)の合成
500mLの三口フラスコにメチルトリメトキシシランを54.48g(0.40mol)、フェニルトリメトキシシランを99.15g(0.50mol)、(2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランを24.64g(0.1mol)、DAAを179.5g仕込み、室温で撹拌しながら水55.8gにリン酸0.54g(仕込みモノマーに対して0.3質量%)を溶かしたリン酸水溶液を10分かけて添加した。その後、フラスコを40℃のオイルバスに浸けて30分撹拌した後、オイルバスを30分かけて115℃まで昇温した。昇温開始1時間後に溶液の内温が100℃に到達し、そこから2時間加熱撹拌し(内温は100〜110℃)、ポリシロキサン溶液(b)を得た。なお、加熱撹拌中、窒素を0.05L/min流した。反応中に副生成物であるメタノール、水が合計121g留出した。
500mLの三口フラスコにメチルトリメトキシシランを54.48g(0.40mol)、フェニルトリメトキシシランを99.15g(0.50mol)、(2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランを24.64g(0.1mol)、DAAを179.5g仕込み、室温で撹拌しながら水55.8gにリン酸0.54g(仕込みモノマーに対して0.3質量%)を溶かしたリン酸水溶液を10分かけて添加した。その後、フラスコを40℃のオイルバスに浸けて30分撹拌した後、オイルバスを30分かけて115℃まで昇温した。昇温開始1時間後に溶液の内温が100℃に到達し、そこから2時間加熱撹拌し(内温は100〜110℃)、ポリシロキサン溶液(b)を得た。なお、加熱撹拌中、窒素を0.05L/min流した。反応中に副生成物であるメタノール、水が合計121g留出した。
得られたポリシロキサン溶液(b)の固形分濃度は42質量%、ポリシロキサンの重量平均分子量は3200であった。なお、ポリシロキサン中のフェニル基置換シランの含有比はSi原子モル比で50%であった。
合成例3 ポリシロキサン溶液(c)の合成
500mLの三口フラスコにメチルトリメトキシシランを27.24g(0.20mol)、フェニルトリメトキシシランを138.81g(0.70mol)、(2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランを24.64g(0.1mol)、DAAを195.89g仕込み、室温で撹拌しながら水55.8gにリン酸0.54g(仕込みモノマーに対して0.3質量%)を溶かしたリン酸水溶液を10分かけて添加した。その後、フラスコを40℃のオイルバスに浸けて30分撹拌した後、オイルバスを30分かけて115℃まで昇温した。昇温開始1時間後に溶液の内温が100℃に到達し、そこから3時間加熱撹拌し(内温は100〜110℃)、ポリシロキサン溶液(c)を得た。なお、加熱撹拌中、窒素を0.05L/min流した。反応中に副生成物であるメタノール、水が合計125g留出した。
500mLの三口フラスコにメチルトリメトキシシランを27.24g(0.20mol)、フェニルトリメトキシシランを138.81g(0.70mol)、(2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランを24.64g(0.1mol)、DAAを195.89g仕込み、室温で撹拌しながら水55.8gにリン酸0.54g(仕込みモノマーに対して0.3質量%)を溶かしたリン酸水溶液を10分かけて添加した。その後、フラスコを40℃のオイルバスに浸けて30分撹拌した後、オイルバスを30分かけて115℃まで昇温した。昇温開始1時間後に溶液の内温が100℃に到達し、そこから3時間加熱撹拌し(内温は100〜110℃)、ポリシロキサン溶液(c)を得た。なお、加熱撹拌中、窒素を0.05L/min流した。反応中に副生成物であるメタノール、水が合計125g留出した。
得られたポリシロキサン溶液(c)の固形分濃度は41質量%、ポリシロキサンの重量平均分子量は3000であった。なお、ポリシロキサン中のフェニル基置換シランの含有比はSi原子モル比で70%であった。
合成例4 ポリシロキサン溶液(d)の合成
500mLの三口フラスコにメチルトリメトキシシランを40.86g(0.30mol)、フェニルトリメトキシシランを99.15g(0.5mol)、(2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランを12.32g(0.05mol)、Mシリケート51(多摩化学工業株式会社製)を17.63g(0.15mol)、PGMEAを170.77g仕込み、室温で撹拌しながら水53.55gにリン酸0.51g(仕込みモノマーに対して0.3質量%)を溶かしたリン酸水溶液を10分かけて添加した。その後、フラスコを40℃のオイルバスに浸けて30分撹拌した後、オイルバスを30分かけて115℃まで昇温した。昇温開始1時間後に溶液の内温が100℃に到達し、そこから2時間加熱撹拌し(内温は100〜110℃)、ポリシロキサン溶液(d)を得た。なお、加熱撹拌中、窒素を0.05L/min流した。反応中に副生成物であるメタノール、水が合計125g留出した。
500mLの三口フラスコにメチルトリメトキシシランを40.86g(0.30mol)、フェニルトリメトキシシランを99.15g(0.5mol)、(2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランを12.32g(0.05mol)、Mシリケート51(多摩化学工業株式会社製)を17.63g(0.15mol)、PGMEAを170.77g仕込み、室温で撹拌しながら水53.55gにリン酸0.51g(仕込みモノマーに対して0.3質量%)を溶かしたリン酸水溶液を10分かけて添加した。その後、フラスコを40℃のオイルバスに浸けて30分撹拌した後、オイルバスを30分かけて115℃まで昇温した。昇温開始1時間後に溶液の内温が100℃に到達し、そこから2時間加熱撹拌し(内温は100〜110℃)、ポリシロキサン溶液(d)を得た。なお、加熱撹拌中、窒素を0.05L/min流した。反応中に副生成物であるメタノール、水が合計125g留出した。
得られたポリシロキサン溶液(d)の固形分濃度は43質量%、ポリシロキサンの重量平均分子量は8500であった。なお、ポリシロキサン中のフェニル基置換シランの含有比はSi原子モル比で50%であった。
合成例5 ポリシロキサン溶液(e)の合成
500mLの三口フラスコにメチルトリメトキシシランを24.52g(0.18mol)、フェニルトリメトキシシランを118.98g(0.60mol)、(2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランを14.78g(0.06mol)、Mシリケート51(多摩化学工業株式会社製)を42.30g(0.36mol)、PGMEAを181.89g仕込み、室温で撹拌しながら水62.64gにリン酸0.60g(仕込みモノマーに対して0.3質量%)を溶かしたリン酸水溶液を10分かけて添加した。その後、フラスコを40℃のオイルバスに浸けて30分撹拌した後、オイルバスを30分かけて115℃まで昇温した。昇温開始1時間後に溶液の内温が100℃に到達し、そこから2時間加熱撹拌し(内温は100〜110℃)、ポリシロキサン溶液(e)を得た。なお、加熱撹拌中、窒素を0.05L/min流した。反応中に副生成物であるメタノール、水が合計150g留出した。
500mLの三口フラスコにメチルトリメトキシシランを24.52g(0.18mol)、フェニルトリメトキシシランを118.98g(0.60mol)、(2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランを14.78g(0.06mol)、Mシリケート51(多摩化学工業株式会社製)を42.30g(0.36mol)、PGMEAを181.89g仕込み、室温で撹拌しながら水62.64gにリン酸0.60g(仕込みモノマーに対して0.3質量%)を溶かしたリン酸水溶液を10分かけて添加した。その後、フラスコを40℃のオイルバスに浸けて30分撹拌した後、オイルバスを30分かけて115℃まで昇温した。昇温開始1時間後に溶液の内温が100℃に到達し、そこから2時間加熱撹拌し(内温は100〜110℃)、ポリシロキサン溶液(e)を得た。なお、加熱撹拌中、窒素を0.05L/min流した。反応中に副生成物であるメタノール、水が合計150g留出した。
得られたポリシロキサン溶液(e)の固形分濃度は44質量%、ポリシロキサンの重量平均分子量は11400であった。なお、ポリシロキサン中のフェニル基置換シランの含有比はSi原子モル比で50%であった。
合成例6 アクリル系樹脂溶液(a)の合成
500mLのフラスコに2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)を5g、t−ドデカンチオールを5g、PGMEAを180g仕込んだ。その後、メタクリル酸を40g、ベンジルメタクリレートを35g、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イルメタクリレートを35g仕込み、室温で撹拌してフラスコ内を窒素置換した後、70℃で5時間加熱撹拌した。次に、得られた溶液にメタクリル酸グリシジルを15g、ジメチルベンジルアミンを1g、p−メトキシフェノールを0.2g添加し、90℃で4時間加熱撹拌し、アクリル系樹脂溶液(a)を得た。
500mLのフラスコに2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)を5g、t−ドデカンチオールを5g、PGMEAを180g仕込んだ。その後、メタクリル酸を40g、ベンジルメタクリレートを35g、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イルメタクリレートを35g仕込み、室温で撹拌してフラスコ内を窒素置換した後、70℃で5時間加熱撹拌した。次に、得られた溶液にメタクリル酸グリシジルを15g、ジメチルベンジルアミンを1g、p−メトキシフェノールを0.2g添加し、90℃で4時間加熱撹拌し、アクリル系樹脂溶液(a)を得た。
得られたアクリル系樹脂溶液(a)の固形分濃度は40質量%、アクリル系樹脂の重量平均分子量は12000、酸価は91mgKOH/gであった。
合成例7 ナフトキノンジアジド化合物(a)の合成
乾燥窒素気流下、TrisP−PA(商品名、本州化学工業(株)製)21.23g(0.05mol)と5−ナフトキノンジアジドスルホニル酸クロリド37.62g(0.14mol)を1,4−ジオキサン450gに溶解させ、室温にした。ここに、1,4−ジオキサン50gと混合させたトリエチルアミン15.58g(0.154mol)を系内が35℃以上にならないように滴下した。滴下後30℃で2時間撹拌した。トリエチルアミン塩を濾過し、濾液を水に投入させた。その後、析出した沈殿を濾過で集めた。この沈殿を真空乾燥機で乾燥させ、下記構造のナフトキノンジアジド化合物(a)を得た。
乾燥窒素気流下、TrisP−PA(商品名、本州化学工業(株)製)21.23g(0.05mol)と5−ナフトキノンジアジドスルホニル酸クロリド37.62g(0.14mol)を1,4−ジオキサン450gに溶解させ、室温にした。ここに、1,4−ジオキサン50gと混合させたトリエチルアミン15.58g(0.154mol)を系内が35℃以上にならないように滴下した。滴下後30℃で2時間撹拌した。トリエチルアミン塩を濾過し、濾液を水に投入させた。その後、析出した沈殿を濾過で集めた。この沈殿を真空乾燥機で乾燥させ、下記構造のナフトキノンジアジド化合物(a)を得た。
合成例8 ナフトキノンジアジド化合物(b)の合成
乾燥窒素気流下、TrisP−HAP(商品名、本州化学工業(株)製)15.32g(0.05mol)と5−ナフトキノンジアジドスルホニル酸クロリド26.87g(0.1mol)を1,4−ジオキサン450gに溶解させ、室温にした。ここに、1,4−ジオキサン50gと混合させたトリエチルアミン11.13g(0.11mol)を系内が35℃以上にならないように滴下した。滴下後30℃で2時間撹拌した。トリエチルアミン塩を濾過し、濾液を水に投入させた。その後、析出した沈殿を濾過で集めた。この沈殿を真空乾燥機で乾燥させ、下記構造のナフトキノンジアジド化合物(b)を得た。
乾燥窒素気流下、TrisP−HAP(商品名、本州化学工業(株)製)15.32g(0.05mol)と5−ナフトキノンジアジドスルホニル酸クロリド26.87g(0.1mol)を1,4−ジオキサン450gに溶解させ、室温にした。ここに、1,4−ジオキサン50gと混合させたトリエチルアミン11.13g(0.11mol)を系内が35℃以上にならないように滴下した。滴下後30℃で2時間撹拌した。トリエチルアミン塩を濾過し、濾液を水に投入させた。その後、析出した沈殿を濾過で集めた。この沈殿を真空乾燥機で乾燥させ、下記構造のナフトキノンジアジド化合物(b)を得た。
合成例9 ナフトキノンジアジド化合物(c)の合成
乾燥窒素気流下、Ph−cc−AP−MF(商品名、本州化学工業(株)製)15.32g(0.05mol)と5−ナフトキノンジアジドスルホニル酸クロリド37.62g(0.14mol)を1,4−ジオキサン450gに溶解させ、室温にした。ここに、1,4−ジオキサン50gと混合させたトリエチルアミン15.58g(0.154mol)を系内が35℃以上にならないように滴下した。滴下後30℃で2時間撹拌した。トリエチルアミン塩を濾過し、濾液を水に投入させた。その後、析出した沈殿を濾過で集めた。この沈殿を真空乾燥機で乾燥させ、下記構造のナフトキノンジアジド化合物(c)を得た。
乾燥窒素気流下、Ph−cc−AP−MF(商品名、本州化学工業(株)製)15.32g(0.05mol)と5−ナフトキノンジアジドスルホニル酸クロリド37.62g(0.14mol)を1,4−ジオキサン450gに溶解させ、室温にした。ここに、1,4−ジオキサン50gと混合させたトリエチルアミン15.58g(0.154mol)を系内が35℃以上にならないように滴下した。滴下後30℃で2時間撹拌した。トリエチルアミン塩を濾過し、濾液を水に投入させた。その後、析出した沈殿を濾過で集めた。この沈殿を真空乾燥機で乾燥させ、下記構造のナフトキノンジアジド化合物(c)を得た。
合成例10 ナフトキノンジアジド化合物(d)の合成
5−ナフトキノンジアジドスルホニル酸クロリドの添加量を33.59g(0.125mol)に変更する以外は合成例9と同様に、下記構造のナフトキノンジアジド化合物(d)を得た。
5−ナフトキノンジアジドスルホニル酸クロリドの添加量を33.59g(0.125mol)に変更する以外は合成例9と同様に、下記構造のナフトキノンジアジド化合物(d)を得た。
実施例1
合成例1で得られたポリシロキサン溶液(a)15.43g、合成例7で得られたナフトキノンジアジド化合物(a)0.59g、溶剤としてDAA3.73g、PGMEA9.84g、シランカップリング剤としてKBM202ss0.06g、架橋促進剤としてMDT0.05g、増感剤としてDPA0.03g、界面活性剤としてF444 0.03gを黄色灯下で混合、撹拌して均一溶液とした後、0.45μmのフィルターで濾過して組成物1を調製した。
合成例1で得られたポリシロキサン溶液(a)15.43g、合成例7で得られたナフトキノンジアジド化合物(a)0.59g、溶剤としてDAA3.73g、PGMEA9.84g、シランカップリング剤としてKBM202ss0.06g、架橋促進剤としてMDT0.05g、増感剤としてDPA0.03g、界面活性剤としてF444 0.03gを黄色灯下で混合、撹拌して均一溶液とした後、0.45μmのフィルターで濾過して組成物1を調製した。
組成物1をシリコンウェハおよびOA−10ガラス板(日本電気硝子(株)製にスピンコーター(ミカサ(株)製1H−360S)を用いて任意の回転数でスピンコートした後、ホットプレート(大日本スクリーン製造(株)製SCW−636)を用いて90℃で2分間プリベークし、膜厚3μmの膜を作製した。作製した膜をパラレルライトマスクアライナー(以下、PLAと略する)(キヤノン(株)製PLA−501F)を用いて、超高圧水銀灯を感度測定用のグレースケールマスクを介してパターン露光した後、自動現像装置(滝沢産業(株)製AD−2000)を用いて2.38質量%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液であるELM−D(商品名、三菱ガス化学(株)製)で60秒間シャワー現像し、次いで水で30秒間リンスした。その後、ブリーチング露光として、PLA(キヤノン(株)製PLA−501F)を用いて、膜全面に超高圧水銀灯を3000J/m2(波長365nm露光量換算)露光した。
その後、ホットプレートを用いて110℃で2分間ソフトベークし、次いでオーブン(タバイエスペック(株)製IHPS−222)を用いて空気中230℃で1時間キュアして硬化膜を作製した。
感光特性、および硬化膜特性の評価結果を表2に示す。なお、表中の評価は以下の方法で行った。
(4)膜厚測定
ラムダエースSTM−602(商品名、大日本スクリーン製)を用いて、屈折率1.50で測定を行った。
ラムダエースSTM−602(商品名、大日本スクリーン製)を用いて、屈折率1.50で測定を行った。
(5)現像時の未露光部の膜厚減少
現像時の未露光部の膜厚減少は以下の式に従って算出した。
未露光部の膜厚減少=現像前の膜厚−未露後部の現像後の膜厚
(6)感度の算出
露光、現像後、10μmのライン・アンド・スペースパターンを1対1の幅に形成する露光量(以下、これを最適露光量という)を感度とした。
現像時の未露光部の膜厚減少は以下の式に従って算出した。
未露光部の膜厚減少=現像前の膜厚−未露後部の現像後の膜厚
(6)感度の算出
露光、現像後、10μmのライン・アンド・スペースパターンを1対1の幅に形成する露光量(以下、これを最適露光量という)を感度とした。
(7)解像度の算出
最適露光量における現像後の最小パターン寸法を現像後解像度、キュア後の最小パターン寸法をキュア後解像度とした。
最適露光量における現像後の最小パターン寸法を現像後解像度、キュア後の最小パターン寸法をキュア後解像度とした。
(8)耐熱性
実施例1記載の方法で作成した硬化膜を基板から削りとり、アルミセルに約10mg入れ、熱重量測定装置(TGA−50、(株)島津製作所製)を用い、窒素雰囲気中、昇温速度10℃/分で150℃まで加熱し150℃で1時間温度保持した後、昇温速度10℃/分で400℃まで昇温した。この際に重量減少が1%となる温度Td1%を測定し、比較した。Td1%が高いほど、耐熱性は良好である。
実施例1記載の方法で作成した硬化膜を基板から削りとり、アルミセルに約10mg入れ、熱重量測定装置(TGA−50、(株)島津製作所製)を用い、窒素雰囲気中、昇温速度10℃/分で150℃まで加熱し150℃で1時間温度保持した後、昇温速度10℃/分で400℃まで昇温した。この際に重量減少が1%となる温度Td1%を測定し、比較した。Td1%が高いほど、耐熱性は良好である。
(9)光透過率の測定
MultiSpec−1500(商品名、(株)島津製作所)を用いて、まずOA−10ガラス板のみを測定し、その紫外可視吸収スペクトルをリファレンスとした。次にOA−10ガラス板上に組成物の硬化膜を形成(パターン露光は行わない)し、このサンプルをシングルビームで測定し、3μmあたりの波長400nmでの光透過率を求め、リファレンスとの差異を硬化膜の光透過率とした。
MultiSpec−1500(商品名、(株)島津製作所)を用いて、まずOA−10ガラス板のみを測定し、その紫外可視吸収スペクトルをリファレンスとした。次にOA−10ガラス板上に組成物の硬化膜を形成(パターン露光は行わない)し、このサンプルをシングルビームで測定し、3μmあたりの波長400nmでの光透過率を求め、リファレンスとの差異を硬化膜の光透過率とした。
(10)膜厚均一性
調整した組成物をCr成膜した100mm×100mmのガラス基板上に膜厚1.5umになるようにスピナー塗布した後、ホットプレートを用いて100℃で2分間プリベークし塗膜を得た。この塗膜の膜厚を基板端部を各1.5cmずつ除外した225点で測定し、以下の式に従って膜厚均一性を算出し、3%未満の場合を○、3%以上〜5%未満の場合を△、5%以上場合を×とする。
膜厚均一性=(基板内最大膜厚−基板内最小膜厚)/基板内平均膜厚/2×100
実施例2〜6、比較例1〜4
組成物1と同様に、組成物2〜10を表1に記載の組成にて調製した。なお、シランカップリング剤として用いたKBM202ss、KBM303、KBM403は信越化学工業(株)製のジフェニルジメトキシシラン、(2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランである。架橋剤として用いたニカラック(登録商標)−MX270、同MW−390(商品名、三和ケミカル(株)製)、アルミキレートM(商品名、川研ファインケミカル(株)製)、架橋促進剤として用いた、MDT(商品名、デイケム社製)、SI−200(商品名、三新化学工業(株)製)は下記に示した構造の化合物である。増感剤として用いたDPA(商品名、川崎化成工業(株)製)は9,10−ジプロポキシアントラセンである。
調整した組成物をCr成膜した100mm×100mmのガラス基板上に膜厚1.5umになるようにスピナー塗布した後、ホットプレートを用いて100℃で2分間プリベークし塗膜を得た。この塗膜の膜厚を基板端部を各1.5cmずつ除外した225点で測定し、以下の式に従って膜厚均一性を算出し、3%未満の場合を○、3%以上〜5%未満の場合を△、5%以上場合を×とする。
膜厚均一性=(基板内最大膜厚−基板内最小膜厚)/基板内平均膜厚/2×100
実施例2〜6、比較例1〜4
組成物1と同様に、組成物2〜10を表1に記載の組成にて調製した。なお、シランカップリング剤として用いたKBM202ss、KBM303、KBM403は信越化学工業(株)製のジフェニルジメトキシシラン、(2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランである。架橋剤として用いたニカラック(登録商標)−MX270、同MW−390(商品名、三和ケミカル(株)製)、アルミキレートM(商品名、川研ファインケミカル(株)製)、架橋促進剤として用いた、MDT(商品名、デイケム社製)、SI−200(商品名、三新化学工業(株)製)は下記に示した構造の化合物である。増感剤として用いたDPA(商品名、川崎化成工業(株)製)は9,10−ジプロポキシアントラセンである。
界面活性剤として用いたF444(商品名、DIC(株)製)はパーフルオロアルキル基含有エチレンオキサイド付加物であり(構造非開示、ただし炭素数6個のパーフルオロアルキル基を含有し、シロキサン構造を有しない)、F477(商品名、DIC(株)製)はパーフルオロアルキル基含有オリゴマーであり(構造非開示、ただし炭素数6個のパーフルオロアルキル基を含有し、シロキサン構造を有しない)、F552(商品名、DIC(株)製)は含フッ素基含有・親油性基含有オリゴマーであり(構造非開示、ただし炭素数6個のパーフルオロアルキル基を含有し、シロキサン構造を有しない)、F553(商品名、DIC(株)製)は含フッ素基・親水性基・親油性基含有オリゴマーであり(構造非開示、ただし炭素数6個のパーフルオロアルキル基を含有し、シロキサン構造を有しない)、F554(商品名、DIC(株)製)はパーフルオロアルキル基含有オリゴマーであり(構造非開示、ただし炭素数6個のパーフルオロアルキル基を含有し、シロキサン構造を有しない)、PF3305(商品名、OMNOVA(株)製)パーフルオロアルキル基含有エチレンオキサイド付加物であり(構造非開示、ただし炭素数1個のパーフルオロアルキル基を含有し、シロキサン構造を有しない)、F445(商品名、DIC(株)製)はパーフルオロアルキル基含有ポリオキシエチレンエーテルであり(構造非開示、ただし炭素数8個のパーフルオロアルキル基を含有し、シロキサン構造を有しない)、BYK333(商品名、ビックケミー・ジャパン(株)製)のポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンとポリエーテルの混合物である(構造非開示)。
得られた各組成物を用いて、実施例1と同様にして各組成物の評価を行った。ただし、アクリル系樹脂の評価において、現像は0.4質量%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液で60秒間シャワー現像して行った。結果を表2に示す。
実施例1〜6は光透過率が高く、膜厚均一性が良好な硬化膜が得られた。また、比較例1に関してはポリシロキサンと界面活性剤との相溶性が若干悪く、硬化膜の膜厚均一性がやや劣る結果であった。一方、比較例2は界面活性剤が入っていないために、膜厚均一性が良好な硬化膜は得られなかった。一方、比較例3については炭素数が8個のフッ素系界面活性剤であるため、現像時の現像液のはじきにより膜厚均一性が良好な硬化膜が得られなかった。また比較例4については膜厚均一性良好な硬化膜が得られたが、アクリル樹脂系であるので耐熱性、透明性について不十分な硬化膜であった。
本発明の感光性シロキサン組成物は、液晶表示素子や有機EL表示素子などの薄膜トランジスタ(TFT)基板用平坦化膜、タッチパネルの保護膜や絶縁膜、半導体素子の層間絶縁膜、固体撮像素子の平坦化膜やマイクロレンズアレイパターン、あるいは光導波路のコアやクラッド材などを形成するために用いられる。
Claims (3)
- (a)一般式(1)で表されるオルガノシランの1種以上を反応させることによって合成されるポリシロキサン、(b)ナフトキノンジアジド化合物、(c)溶剤、および(d)炭素数が7個以下であるパーフルオロアルキル基を有するフッ素系界面活性剤を含有する感光性シロキサン組成物。
- 請求項1記載の感光性シロキサン組成物から形成された硬化膜であって、波長400nmにおける膜厚3μmあたりの光透過率が95%以上である硬化膜。
- 請求項2記載の硬化膜を有する素子。
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