JP2016183034A - 駆動チェーン張力管理を行うエスカレータ駆動装置 - Google Patents

駆動チェーン張力管理を行うエスカレータ駆動装置 Download PDF

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Abstract

【課題】エスカレータ駆動装置において、駆動チェーンの張力を常に監視できるようにすることである。
【解決手段】駆動チェーン張力管理を行うエスカレータ駆動装置11は、トラス22の天井部に設けられる支持部54,56によって回転自在に支持されるラチェットポール用軸50と、ラチェットポール用軸50の一端部に根元部が固定され先端部に駆動チェーン36の外周面の上に置かれるシュー62を有するシューレバー60と、ラチェットポール用軸50が予め定めた所定角度以上に回転したときにラチェットポール48の爪部49とラチェットホイール44の歯部46とが噛み合って駆動主軸38の回転禁止を行う構成を有し、シューレバー60が所定の角度未満の角度で搖動させるときに、シューレバー60の搖動状態に基づいて駆動チェーン36の張力状態を管理する駆動チェーン張力管理部64を備える。
【選択図】図2

Description

本発明は、駆動チェーン張力管理を行うエスカレータ駆動装置に関する。
エスカレータの昇降路の上層階の床下にはエスカレータの機械室が設けられ、駆動機と駆動主軸との間に駆動チェーンが掛け渡され、駆動主軸によって踏段の昇降のための踏段チェーンや移動手摺の走行のための手摺チェーンが駆動される。
特許文献1には、エスカレータの非常制動装置として、ラチェットポールの先端爪部をラチェットホイールに噛み合わせて駆動機の回転を止めることが述べられている。この構成は、駆動機の駆動力を主軸に伝達する駆動チェーンにシューレバーの先端に設けたシューを載せ、仮に駆動チェーンが破断したときにシューが自重で下向きに移動することによりシューレバーが一体に取り付けられている軸が回転し、軸のシューレバーの反対側の端部に設けられるラチェットポールが回転してその先端の爪部が駆動機と一体になって回転するラチェットホイールの歯に噛み合って駆動機の回転を停止させる。
特開2011−201611号公報
エスカレータの運転に伴って駆動チェーンの張力が変化することが生じる。駆動チェーンの張力が不足すると駆動チェーンが弛み、駆動チェーンの張力が過多になると駆動チェーンが強く張られ、踏段チェーンの駆動等に影響を与え、場合によっては駆動チェーンの劣化を速める可能性がある。
本発明の目的は、駆動チェーン張力管理を行うエスカレータ駆動装置を提供することである。
本発明に係る駆動チェーン張力管理を行うエスカレータ駆動装置は、エスカレータの機械室を形作るトラスの天井部に設けられる複数の支持部によって回転自在に支持され、トラスの幅方向に渡って延びるラチェットポール用軸と、ラチェットポール用軸の下方に配置されトラスの幅方向に渡って延び両端がトラスの両側壁部によって回転自在に支持されるエスカレータ駆動主軸と、駆動主軸の一端部に設けられ駆動主軸と一体に回転する駆動スプロケットと、エスカレータの駆動機の出力部と駆動スプロケットの間に掛け渡される駆動チェーンと、駆動主軸の他端部に設けられ駆動主軸と一体に回転するラチェットホイールと、ラチェットポール用軸の一端部に根元部が固定して設けられ先端部に駆動チェーンの外周面の上に置かれるシューを有するシューレバーと、ラチェットポール用軸の他端部に根元部が固定して設けられ先端部に爪部を有するラチェットポールであって、ラチェットポール用軸が予め定めた所定角度以上に回転したときに爪部がラチェットホイールの歯部と噛み合うラチェットポールと、シューの動きによってシューレバーが搖動しラチェットポール用軸を所定の角度未満の角度で搖動させるときに、シューレバーの搖動状態に基づいて駆動チェーンの張力状態を管理する駆動チェーン張力管理部と、を備えることを特徴とする。
本発明に係る駆動チェーン張力管理を行うエスカレータ駆動装置において、駆動チェーン張力管理部は、シューレバー自体の搖動角度またはラチェットポール用軸の搖動角度またはラチェットポールの搖動角度のいずれか1つである搖動角度を検出する角度検出器を有することが好ましい。
本発明に係る駆動チェーン張力管理を行うエスカレータ駆動装置において、駆動チェーン張力管理部は、角度検出器の検出値の振幅が予め定めた振幅上限閾値を超えるときは駆動チェーンの張力不足を示す出力信号を出力することが好ましい。
本発明に係る駆動チェーン張力管理を行うエスカレータ駆動装置において、駆動チェーン張力管理部は、角度検出器の検出値の振幅が予め定めた振幅下限閾値を下回るときは駆動チェーンの張力過多を示す出力信号を出力することが好ましい。
本発明に係る駆動チェーン張力管理を行うエスカレータ駆動装置において、駆動チェーン張力管理部が出力する出力信号は、遠隔管理センタに送信されることが好ましい。
本発明に係る駆動チェーン張力管理を行うエスカレータ駆動装置は、仮に駆動チェーンが切断したときに駆動主軸の回転止めを行うために設けられるラチェット機構駆動用のシューレバーの搖動角度を検出して駆動チェーンの張力状態を管理する。シューレバーの先端には駆動チェーンの外周面の上に置かれるシューが設けられる。仮に駆動チェーンが切断すると、シューが自重で下方に落ちるのでシューレバーがラチェットポール用軸を所定の角度以上回転される。所定の角度は、設定によるが約30度である。ラチェットポール用軸の回転角度が所定の角度未満で駆動チェーンが切断しない状態でも駆動チェーンの張力が変動すると、駆動チェーンが走行に応じて脈動する。その脈動をシューレバーの搖動状態で見ることで、駆動チェーンの張力の程度を検出できる。このように、従来からある機構の動きを監視することで、駆動チェーンの張力を容易に管理できる。
また、本発明に係る駆動チェーン張力管理を行うエスカレータ駆動装置において、シューレバー自体の搖動角度またはラチェットポール用軸の搖動角度またはラチェットポールの搖動角度のいずれか1つの搖動角度を角度検出器で検出する。この3つは一体となっているので何れの搖動角度を検出してもよく、エスカレータの構造上、最も測定しやすい位置に角度検出器を設置できる。
また、本発明に係る駆動チェーン張力管理を行うエスカレータ駆動装置において、角度検出器の検出値である搖動角度の振幅が予め定めた振幅上限閾値を超えるときは駆動チェーンの張力不足を示す出力信号を出力する。これによって、駆動チェーンの過度の弛みを事前に予知することが可能になる。
また、本発明に係る駆動チェーン張力管理を行うエスカレータ駆動装置において、角度検出器の検出値である搖動角度の振幅が予め定めた振幅下限閾値を下回るときは駆動チェーンの張力過多を示す出力信号を出力する。これによって、駆動チェーンが過度に強く張られることを事前に予知することが可能になる。
また、本発明に係る駆動チェーン張力管理を行うエスカレータ駆動装置において、駆動チェーン張力管理部が出力する出力信号は、遠隔管理センタに送信されるので、駆動チェーンの張力に関するメンテナンスを的確に行うことができる。
本発明に係る実施の形態の駆動チェーン張力管理を行うエスカレータ駆動装置が設けられるエスカレータの構成を示す図である。 本発明に係る実施の形態の駆動チェーン張力管理を行うエスカレータ駆動装置が設けられる機械室の内部を示す図である。図2(a)は、図1の−X方向から+X方向を見た図であり、(b)は、(a)に対し図1の−Y方向からの側面図であり、(c)は、(a)に対し図1の+Y方向からの側面図である。 本発明に係る実施の形態の駆動チェーン張力管理を行うエスカレータ駆動装置における駆動チェーン張力管理部の詳細図である。 本発明に係る実施の形態の駆動チェーン張力管理を行うエスカレータ駆動装置において、駆動チェーン張力管理部が検出する駆動チェーンの脈動の例を示す図である。図4(a)は、正常な張力状態のときを示す図であり、(b)は、張力不足状態のときを示す図であり、(c)は、張力過多状態のときを示す図である。
以下に図面を用いて本発明に係る実施の形態につき、詳細に説明する。以下で述べる形状、寸法等は、説明のための例示であって、エスカレータの仕様等に合わせ、適宜変更が可能である。以下では、全ての図面において同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、エスカレータ10の構成を示す図である。エスカレータ10は、建物の上層階の乗降口12から下層階の乗降口14の間を移動する複数の踏段16に利用者を乗せて運搬する昇降運搬装置である。利用者が乗る側、つまり上層階と下層階を結んで踏段が移動する移動通路側には、欄干18と移動手摺20が配置され、移動通路の裏側、つまり建物の構造体の内側にはトラス22が設けられる。
踏段16は、ステップとも呼ばれ、無端ループ状の踏段チェーン26に複数個取り付けられた利用者運搬用の移動段である。各踏段16に設けられるステップ軸の左右両端に右踏段チェーンと左踏段チェーンとがそれぞれ噛み合わされる。図1では右踏段チェーンに代表させて踏段チェーン26とした。
欄干18は、エスカレータ10の移動通路の両側、すなわち複数の踏段16の両側に設けられ、利用者の安全確保と共に、移動手摺20を移動可能に保持する機能を有する固定パネルである。移動手摺20は、踏段16に乗った利用者が把持する手摺で、欄干18の上部に摺動可能に保持され、手摺駆動チェーン28によって踏段16の移動に同期して無端ループ状に移動する。
トラス22は、踏段16の移動機構、移動手摺20の移動機構等が配置される建物の構造体の一部である。トラス22は、上層階側水平部と下層階側水平部とその間を接続する傾斜部で構成される。
トラス22の上層階側水平部の床下の部分の空間は機械室24で、駆動モータ30、駆動スプロケット32、駆動モータ30の出力軸34と駆動スプロケット32との間に掛け渡される駆動チェーン36、駆動チェーン36の張力を管理する駆動チェーン張力管理部64が配置される。これらが駆動チェーン張力管理を行うエスカレータ駆動装置11を構成する。
トラス22の下層側水平部の空間には、従動スプロケット33が配置される。駆動スプロケット32および従動スプロケット33は、トラス22の左右壁面に回転自在に支持される。駆動スプロケット32と従動スプロケット33の間に踏段チェーン26が掛け渡される。踏段チェーン26と手摺駆動チェーン28は駆動スプロケット32によって駆動される。
図1には、互いに直交するX方向、Y方向、Z方向を示した。X方向はエスカレータ10が配置される方向で、Y方向はエスカレータ10の幅方向で、Z方向は建物の高さ方向である。
機械室24の内部に配置される各要素の内容について図2を用いて詳細に説明する。図2(a)は、機械室24を−X方向側から+X方向側を見た図である。(b)は、(a)について−Y方向から見た側面図であり、(c)は+Y方向から見た側面図である。各図において、トラス22の壁部分を適当に破断して機械室24の内部構成が見えるようにした。機械室24の天井部は建物の上層階の床部であるが、そこにマンホール蓋板23が配置される。マンホール蓋板23は取外しができ、取り外すと、トラス22の天井部が開口され、その開口から機械室24の内部に保守作業員が入ることができる。図2(b)は、マンホール蓋板23の一部が取り外された状態を示す。機械室24においては、トラス22内に無端ループ状に配置される踏段16が折り返される。図2の各図では折り返される状態の4つの踏段16を示した。
駆動モータ30は、踏段16と移動手摺20の駆動源となる電動機である。出力軸34は、駆動モータ30の動力が出力される回転軸である。出力軸34は、駆動モータ30の回転軸に取り付けられ、所定の歯数を有する出力歯車である。かかる駆動モータ30としては、例えば、200V駆動の三相電動機等を用いることができる。
駆動スプロケット32は、駆動主軸38に取り付けられる駆動歯車である。駆動チェーン36は、駆動モータ30の出力軸34と駆動スプロケット32との間に掛け渡される動力伝達用の無端状チェーンである。駆動チェーン36によって駆動モータ30の駆動力は駆動スプロケット32に伝達され、駆動主軸38を回転駆動させる。
駆動主軸38は、機械室24において、Y方向の両側壁面に軸方向両端部が回転自在に支持される回転軸である。駆動主軸38は、機械室24の幅方向に渡って延び、駆動スプロケット32の他に、右踏段スプロケット40、左踏段スプロケット42、ラチェットホイール44が取り付けられる。図2(a)の例では、−Y方向から+Y方向に沿って順に、駆動スプロケット32、右踏段スプロケット40、左踏段スプロケット42、ラチェットホイール44が取り付けられ、これらは駆動主軸38の回転と共に回転する。
右踏段スプロケット40は右踏段チェーンを駆動する駆動歯車であり、左踏段スプロケット42は左踏段チェーンを駆動する駆動歯車である。
ラチェットホイール44は、外周に複数の歯部46が設けられたラチェット歯車である。
ラチェットポール48は、先端部にラチェットホイール44の歯部46と噛み合うことができる爪部49を有する部材である。ラチェットポール48は、根元部がラチェットポール用軸50の他端部である+Y方向端部に一体化して取り付けられ、ラチェットポール用軸50が回転しないときは自重で−Z方向に垂れさがる。この状態のとき、ラチェットポール48の先端部の爪部49はラチェットホイール44の歯部46に噛み合わないように、ラチェットポール用軸50と駆動主軸38とはX方向に関して所定の離間距離を有する。所定の離間距離は、ラチェットポール用軸50が所定の回転角度だけ回転したときに初めてラチェットポール48の先端の爪部49がラチェットホイール44の歯部46と噛み合うように設定される。
ラチェットポール48の先端の爪部49がラチェットホイール44の歯部46と噛み合うと、ラチェットホイール44は図2(c)において破線で示した回転方向への回転が禁止される。ラチェットホイール44の回転は駆動主軸38の回転と同じであるので、駆動主軸38に取り付けられた駆動スプロケット32、右踏段スプロケット40、左踏段スプロケット42のいずれについても破線で示した回転方向への回転が禁止される。破線で示した回転方向は、踏段16が下降する方向である。このようにラチェットポール48の先端の爪部49がラチェットホイール44の歯部46と噛み合うと、エスカレータ10の運行が停止するので、誤動作を避けるため、所定の回転角度はかなり大きめに設定される。一例を挙げると、約30度である。数度程度の回転角度ではラチェットポール48の先端の爪部49がラチェットホイール44の歯部46と噛み合わず、駆動主軸38の回転は止まらない。
異常検出部52は、ラチェットポール用軸50が所定の回転角度を超えて回転し、ラチェットポール48の先端の爪部49がラチェットホイール44の歯部46と噛み合ったことを検出して出力する異常信号出力部である。異常検出信号は、図示しない適当な信号線を介してエスカレータ10の運転制御部に伝送され、エスカレータ10の全体の運転が停止する。
ラチェットポール用軸50は、トラス22の天井部に固定される支持部54,56によって回転自在に支持され、トラス22の幅方向に渡って駆動主軸38に平行に配置される軸部材である。両端部はトラス22の左右壁部に対し自由端となっている。支持部54,56には、ラチェットポール用軸50を通す支持穴が設けられる。
シューレバー60は、ラチェットポール用軸50の一端部である−Y方向の端部に根元部が固定され、先端部に駆動チェーン36の外周面の上に置かれるシュー62を有する部材である。シュー62は、駆動チェーン36を傷つけないように樹脂等で構成され、自重で駆動チェーン36の上に置かれる。シュー62が駆動チェーン36の上に置かれるX方向の位置は、ラチェットポール用軸50のX方向の位置に対し−X方向に所定の間隔で離間する。所定の間隔は、仮に駆動チェーン36が破断したときに、シュー62とシューレバー60の自重によって所定の角度以上回転して、シュー62のX方向の位置がラチェットポール用軸50のX方向の位置まで移動することができるように設定される。所定の角度とは、ラチェットポール48の先端の爪部49がラチェットホイール44の歯部46と噛み合って駆動主軸38の回転を止めることができる角度である。上記のように、所定の角度は約30度である。
このように、シューレバー60、シュー62、ラチェットポール用軸50、ラチェットポール48、その先端の爪部49は、駆動チェーン36が切断したときに、駆動主軸38に対し図2(c)に示す破線方向の回転を強制的に禁止する機械的緊急停止手段である。
駆動チェーン36が切断することを回避するメンテナンスとしては、駆動チェーン36の張力管理が重要である。駆動チェーン36の張力が不足すると駆動チェーン36が弛み、駆動チェーン36の張力が過多になると駆動チェーン36が強く張られ、踏段チェーン26の駆動等に影響を与える他に、場合によっては駆動チェーン36の劣化を速める可能性がある。駆動チェーン張力管理部64は、駆動チェーン36が切断しない段階であるラチェットポール用軸50の回転角度が所定角度未満のときに、シューレバー60の搖動状態に基づいて駆動チェーン36の張力状態を管理する装置である。
図3は、駆動チェーン張力管理部64の詳細図である。駆動チェーン張力管理部64は、シューレバー60自体の搖動角度を検出する角度検出器65を含む。駆動チェーン張力管理部64は、トラス22の−Y方向の側壁に取り付けられる(図2(a)参照)。シューレバー60、ラチェットポール用軸50、ラチェットポール48は一体となって回転するので、角度検出としては、これらの搖動角度のいずれか1つを検出すればよい。したがって、エスカレータ10の機械室24の内部の配置関係によっては、図2(a)の配置例に代えて、ラチェットポール用軸50の搖動角度が検出しやすい位置に駆動チェーン張力管理部64を設けてもよく、あるいはラチェットポール48の搖動角度が検出しやすい位置に駆動チェーン張力管理部64を設けてもよい。
駆動チェーン張力管理部64を構成する角度検出器65は、シューレバー60の根元側をラチェットポール用軸50の位置よりもさらに延ばした測定アーム66を有する。測定アーム66は絶縁体で構成され、その先端部に摺動接点部68が設けられる。角度検出器65には、ラチェットポール用軸50の位置を中心とし測定アーム66の長さを半径とする配置で、円弧状の摺動抵抗素子70が設けられる。摺動抵抗素子70の両端部は、それぞれ電源電圧Vcc端子と接地GND端子に接続される。摺動接点部68は適当なリード線で出力電圧V0端子に接続される。
図1と図2の構成例では、駆動チェーン36の張力が高いと、シュー62のZ方向に沿った位置が+Z側に来る。これによって、シューレバー60に設けられる摺動接点部68は、摺動抵抗素子70の+Vcc側に移動する。駆動チェーン36の張力が低いと、シュー62のZ方向に沿った位置が−Z側に来る。これによって、シューレバー60に設けられる摺動接点部68は、摺動抵抗素子70のGND側に移動する。したがって、出力電圧V0の値を見れば、駆動チェーン36の張力状態が分かる。実際には駆動チェーン36は脈動しながら走行するので、シューレバー60は搖動し、摺動接点部68は摺動抵抗素子70の上を左右に搖動し、出力電圧V0は脈動波形となる。
電源電圧Vcc端子と接地GND端子と出力電圧V0端子は、駆動チェーン張力管理部64の筐体の外側に引き出され、信号線72でエスカレータ制御装置74と接続される。これにより、エスカレータ制御装置74は、信号線72を介して駆動チェーン張力管理部64に電源電圧Vccを供給し、出力電圧V0を取得できる。エスカレータ制御装置74はさらに遠隔管理センタ76に出力電圧V0のデータを転送するので、遠隔管理センタ76は、常時、駆動チェーン36の張力状態を監視することができる。遠隔管理センタ76は、必要に応じ、メンテナンスとして例えば張力状態の調整を行い、駆動チェーン36の切断の可能性を少なくすることができる。
図4は、駆動チェーン張力管理部64が検出する駆動チェーン36の脈動の例を示す図である。図4(a)は、正常な張力状態のときを示す図であり、(b)は、張力不足状態のときを示す図であり、(c)は、張力過多状態のときを示す図である。これらの図において、横軸は時間、縦軸は駆動チェーン張力管理部64が検出する出力電圧V0である。
図4(a)には、駆動チェーン36の張力が正常なときの出力電圧V0の脈動波形80が示される。図4(a)において、張力が正常と判断される出力電圧V0の範囲として、中心値V1、電圧振幅は、±ΔV2以上±ΔV3以下と設定されている。脈動波形80はこの範囲に入っているので、駆動チェーン36の張力状態は正常と判断される。
図4(b)には、駆動チェーン36が張力不足の状態の2つの例を示す。脈動波形82は、脈動の中心値はV1のままであるが、振幅が図4(a)に示す振幅上限閾値である±ΔV3を超える±ΔV4となる例である。これは、駆動チェーン36の走行中の振幅が何らかの理由で大きくなっていることを示し、例えば、局部的に駆動チェーン36が弛んでいる可能性等が考えられる。
図4(b)のもう1つの例である脈動波形84は、脈動の中心値がV1より小さい値のV5となっており、駆動チェーン36の張力が全体的に不足していると考えられる。そのために、振幅も振幅上限閾値である±ΔV3を超える±ΔV5となっている。この場合には、エスカレータ制御装置74および遠隔管理センタ76は、異常振幅警告信号を出力し、メンテナンス等を検討することが好ましい。
図4(c)には、駆動チェーン36が張力過多の状態の2つの例を示す。脈動波形86は、脈動の中心値はV1のままであるが、振幅が図4(a)に示す振幅下限閾値である±ΔV2を下回る±ΔV6となる例である。これは、駆動チェーン36の走行中の振幅が何らかの理由で小さくなっていることを示し、例えば、駆動チェーン36が局部的に強く張られている可能性等が考えられる。
図4(c)のもう1つの例である脈動波形88は、脈動の中心値がV1より大きな値のV7となっており、駆動チェーン36の張力が全体的に過多となっていると考えられる。そのために、振幅も振幅下限閾値である±ΔV2を下回る±ΔV7となっている。この場合には、エスカレータ制御装置74および遠隔管理センタ76は、異常振幅警告信号を出力し、メンテナンス等を検討することが好ましい。
このように、所定角度未満の搖動角度におけるシューレバー60の搖動状態に基づいて、駆動チェーン36の張力の管理を行うことができる。
上記では、駆動チェーン張力管理部64の角度検出器65において、摺動抵抗素子70を用いて搖動角度を検出するものとした。これは説明のための例示であって、他の角度検出手段を用いてもよい。例えば、測定アーム66の先端に発光素子を設け、これに向かい合うように円弧状に複数の受光素子を配置し、発光素子の光を受けた受光素子の位置によって搖動角度を検出してもよい。
10 エスカレータ、11 駆動チェーン張力管理を行うエスカレータ駆動装置、12 (上層階の)乗降口、14 (下層階の)乗降口、16 踏段、18 欄干、20 移動手摺、22 トラス、23 マンホール蓋板、24 機械室、26 踏段チェーン、28 手摺駆動チェーン、30 駆動モータ、32 駆動スプロケット、33 従動スプロケット、34 出力軸、36 駆動チェーン、38 駆動主軸、40 右踏段スプロケット、42 左踏段スプロケット、44 ラチェットホイール、46 歯部、48 ラチェットポール、49 爪部、50 ラチェットポール用軸、52 異常検出部、54,56 支持部、60 シューレバー、62 シュー、64 駆動チェーン張力管理部、65 角度検出器、66 測定アーム、68 摺動接点部、70 摺動抵抗素子、72 信号線、74 エスカレータ制御装置、76 遠隔管理センタ、80,82,84,86,88 脈動波形。

Claims (5)

  1. エスカレータの機械室を形作るトラスの天井部に設けられる複数の支持部によって回転自在に支持され、トラスの幅方向に渡って延びるラチェットポール用軸と、
    ラチェットポール用軸の下方に配置されトラスの幅方向に渡って延び両端がトラスの両側壁部によって回転自在に支持されるエスカレータ駆動主軸と、
    駆動主軸の一端部に設けられ駆動主軸と一体に回転する駆動スプロケットと、
    エスカレータの駆動機の出力部と駆動スプロケットの間に掛け渡される駆動チェーンと、
    駆動主軸の他端部に設けられ駆動主軸と一体に回転するラチェットホイールと、
    ラチェットポール用軸の一端部に根元部が固定して設けられ先端部に駆動チェーンの外周面の上に置かれるシューを有するシューレバーと、
    ラチェットポール用軸の他端部に根元部が固定して設けられ先端部に爪部を有するラチェットポールであって、ラチェットポール用軸が予め定めた所定角度以上に回転したときに爪部がラチェットホイールの歯部と噛み合うラチェットポールと、
    シューの動きによってシューレバーが搖動しラチェットポール用軸を所定の角度未満の角度で搖動させるときに、シューレバーの搖動状態に基づいて駆動チェーンの張力状態を管理する駆動チェーン張力管理部と、
    を備えることを特徴とする駆動チェーン張力管理を行うエスカレータ駆動装置。
  2. 請求項1に記載の駆動チェーン張力管理を行うエスカレータ駆動装置において、
    駆動チェーン張力管理部は、
    シューレバー自体の搖動角度またはラチェットポール用軸の搖動角度またはラチェットポールの搖動角度のいずれか1つである搖動角度を検出する角度検出器を有することを特徴とする駆動チェーン張力管理を行うエスカレータ駆動装置。
  3. 請求項2に記載の駆動チェーン張力管理を行うエスカレータ駆動装置において、
    駆動チェーン張力管理部は、
    角度検出器の検出値の振幅が予め定めた振幅上限閾値を超えるときは駆動チェーンの張力不足を示す出力信号を出力することを特徴とする駆動チェーン張力管理を行うエスカレータ駆動装置。
  4. 請求項2に記載の駆動チェーン張力管理を行うエスカレータ駆動装置において、
    駆動チェーン張力管理部は、
    角度検出器の検出値の振幅が予め定めた振幅下限閾値を下回るときは駆動チェーンの張力過多を示す出力信号を出力することを特徴とする駆動チェーン張力管理を行うエスカレータ駆動装置。
  5. 請求項3または4に記載の駆動チェーン張力管理を行うエスカレータ駆動装置において、
    駆動チェーン張力管理部が出力する出力信号は、遠隔管理センタに送信されることを特徴とする駆動チェーン張力管理を行うエスカレータ駆動装置。
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