1.実施形態
1−1.支援システムの構成
本実施の形態に係る支援システム100の構成について、図1に基づいて説明する。支援システム100は、支援装置1と、複数の端末装置2−1、2−2、2−3、…2−n(以下、特に区別する必要がない場合には「端末装置2」と総称する。)とで構成される。支援装置1は、自衛消防隊員が防火対象物である建物内において残留者を探索する活動を支援するための装置である。端末装置2は、自衛消防隊の隊員により携帯される携帯型の通信端末装置である。また、支援システム100は、上記建物に配設される自動火災報知設備の受信機3と、上記建物において利用者の入退室を管理する入退室管理システムの管理装置4と接続される。受信機3は、火災やガス漏れ等の異状を感知する感知手段から異状感知信号を受信し、当該異状が発生したと判断すると、当該異状の発生を知らせる異状信号を、通信回線5を介して支援装置1に送信する。また、受信機3は、自らがその作動を制御する開放型(煙感知器連動型)の防火戸について、その作動状況に関する監視情報を、通信回線5を介して支援装置1に逐次送信する。また、管理装置4は、防火対象物である建物の各部屋について利用者の在、不在を示す在室情報を、通信回線5を介して支援装置1に逐次送信する。この在室情報には、移動困難者の在、不在を示す情報も含まれる。
図1に示される各装置は通信回線5を介して互いに通信を行う。この通信回線5は、例えばIMT−2000に準拠した無線通信網や、iEEE802.11に準拠する無線LANや、有線LANなどである。通信回線5は、少なくとも端末装置2とは無線通信のアクセスポイントを介して無線通信で接続され、その他の装置とは有線又は無線により接続される。なお、端末装置2以外の装置は、通信回線5が接続された別の通信回線、例えば電気通信事業者が提供するような広域ネットワークWANを介して、仮想専用ネットワークVPNを形成するなどして互いに接続されるようにしてもよい。また、支援装置1と、受信機3又は管理装置4とは、通信回線5を介さず信号線で物理的に直接接続されてもよい。このように、支援装置1と、端末装置2と、受信機3と、管理装置4とを接続する通信回線は限定されるものではない。
1−2.支援装置の構成
次に、支援システム100を構成する支援装置1の構成について、図2に基づいて説明する。支援装置1は、同図に示されるように、制御部11と、記憶部12と、通信部13とを有する。
制御部11は、CPU、ROM、RAMなどを有し、CPUがROM又は記憶部12に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより支援装置1の各部を制御する。制御部11の機能的構成については後述する。
記憶部12は、ROM、フラッシュメモリ、ハードディスク等の不揮発性の記憶手段であり、自衛消防隊による残留者の探索活動を支援するためのプログラムを記憶する。
また、記憶部12は、上記のプログラムに加えて、隊員情報データベース(図において「データベース」を「DB」と表記する)121を有する。この隊員情報データベース121は、自衛消防隊を構成する各隊員に関する情報を記憶するデータベースである。具体的には、端末装置2の端末IDと、自衛消防隊員の隊員名と、端末装置2の通信アドレスと、自衛消防隊員の滞在場所とを関連付けて記憶する。ここで、自衛消防隊員の滞在場所は、例えば、自衛消防隊により残留者の探索活動が行われる建物の区画を示す識別子としての部屋IDにより表現される。なお、本実施形態における自衛消防隊員には防災センター要員が含まれてもよく、当該隊員は端末装置2を携帯する人員の一例である。
また、記憶部22は、地図情報データベース(図において「データベース」を「DB」と表記する)122を有する。この地図情報データベース122は、自衛消防隊により残留者の探索活動が行われる建物内の地図データを記憶するデータベースである。具体的には、例えば、当該建物のフロア別平面地図を示す地図データを記憶する。また、地図情報データベース122は、建物の地図データにおける各部屋の領域を部屋IDと関連付けて記憶する。例えば、フロア別平面地図をピクセル等の小領域の集合として扱い、該小領域ごとに部屋IDを関連付けて記憶させ、各部屋の領域を特定できるようにしておくとよい。また、建物の地図データにおける各防火戸の位置を防火戸IDと関連付けて記憶しておくとよい。
また、記憶部12は、位置情報データベース(図において「データベース」を「DB」と表記する)123を有する。この位置情報データベース123は、自衛消防隊を構成する各隊員の移動の履歴を記憶するデータベースである。より具体的には、残留者の探索活動中の端末装置2ごとの移動の履歴を記憶するデータベースである。この位置情報データベース123は、端末IDごとに、位置情報と日時との組み合わせを時系列に記憶する。ここで、位置情報は、例えば、緯度、経度及び標高の座標により表現される。
また、記憶部12は、部屋情報データベース(図において「データベース」を「DB」と表記する)124を有する。この部屋情報データベース124は、自衛消防隊により残留者の探索活動が行われる建物内に設けられる区画の情報(区画情報)の一例としての各部屋に関する情報を記憶するデータベースである。具体的には、例えば、部屋IDと、部屋名と、残留者の有無を示す情報と、移動困難者の有無を示す情報と、探索状況を示す情報(探索状況情報)とを関連付けて記憶する。ここで、残留者の有無を示す情報は、例えば、管理装置4から提供される在室情報に基づいて更新される。探索状況情報とは、当該部屋の探索の状況を示す情報である。当該情報としては、例えば、探索未完了に加え、探索進行中、探索完了といった端末装置2からの情報に基づく探索状況情報が記憶される。例えば、支援装置1の受付部111が後述する探索完了報告を端末装置2から受け付けると、当該端末装置2の端末IDと関連付けられた探索完了の情報が記憶される。このように、探索状況情報として、探索完了報告をした端末装置2の端末IDを関連付けて記憶しておくと、端末装置2ごとの探索履歴情報を得ることができる。なお、残留者の有無を示す情報は、建物の各部屋に設置された監視カメラや人感センサにより検出された情報に基づいて更新されてもよい。さらに、移動困難者の有無を示す情報は、例えば、個人を識別できる入退室管理システムの管理装置4からの在室情報に基づいて、移動困難者として登録された個人の属性情報を取得して更新するとよい。
また、記憶部12は、防火戸情報データベース(図において「データベース」を「DB」と表記する)125を有する。この防火戸情報データベース125は、自衛消防隊により残留者の探索活動が行われる建物内に設置される各防火戸(防火扉、防火シャッタ、防煙シャッタ、防火スクリーン、防煙スクリーンを含む)に関する情報を記憶するデータベースである。具体的には、防火戸IDと、閉鎖確認状況を示す情報とを関連付けて記憶する。防火戸が先に述べた開放型(煙感知器連動型)の防火戸である場合は、さらに、作動状況を示す情報とも関連付けて記憶することもできる。
ここで、閉鎖確認状況を示す情報とは、当該防火戸が自衛消防隊員により目視で閉鎖確認されているか否かを示す情報である。当該情報としては、例えば、未確認や、確認済みといった情報が記憶される。また、作動状況を示す情報とは、当該防火戸が開放型(煙感知器連動型)である場合に、受信機3から防火戸に対して閉鎖制御信号が送信されたか否か、この信号に対する応答として閉鎖確認信号が受信機3により受信されているか否か、を示す情報である。当該情報としては、例えば、閉鎖未制御や、閉鎖制御済みや、応答確認済みといった情報が記憶される。
通信部13は、通信回線5を介して端末装置2、受信機3及び管理装置4と通信を行うためのインターフェースである。通信部13は、通信回線5に設けられる無線通信のアクセスポイント(図示せず)を介して無線通信を行う端末装置2と通信する。また、通信回線5を介して受信機3及び管理装置4と無線又は有線で通信を行う。受信機3、管理装置4とは、通信回線5以外の通信回線または信号線を介して通信してもよく、さらに他の通信回線を介して通信してもよい。
次に、制御部11の機能的構成について説明する。制御部11は、図2に示されるように、その機能的構成として、受付部111と、第1判断部112と、通知部113と、記憶制御部114と、計測部115と、第2判断部116と、要請部117とを備える。
受付部111は、通信部13を介して端末装置2から探索場所情報を受け付ける。探索場所情報は、端末装置2が取得した現在地情報であり、本実施形態ではその一例として位置情報を受け付ける。また、受付部111は、通信部13を介して端末装置2から後述するデータベースの同期要求を受け付ける。また、受付部111は、通信部13を介して端末装置2から、探索が完了した区画の探索完了報告と、閉鎖確認が完了した防火戸の閉鎖確認報告を受け付ける。具体的には、例えば、探索が完了した部屋の部屋ID、閉鎖確認が完了した防火戸の防火戸IDを、それぞれ受け付ける。なお、本実施形態における部屋IDは、防火対象物である建物を構成する複数の区画のうちの1つの区画を識別する識別子であり、区画情報の一例である。また、受付部111は、通信部13を介して受信機3から、異状の発生を知らせる異状信号を受け付け、さらに、受信機3が制御する開放型防火戸が存在する場合は、その作動状況に関する監視情報を受け付けてもよい。また、受付部111は、通信部13を介して管理装置4から、探索対象の各部屋について利用者の在、不在を示す在室情報を受け付け、さらに、移動困難者の在、不在情報を在室情報として受け付ける。
第1判断部112は、受付部111により端末装置2から受け付けられた探索場所情報に基づいて、探索活動が進行中である区画を示す探索進行中区画情報を特定する。具体的には、本実施形態のように探索場所情報が位置情報で与えられる場合は、地図情報データベース122を参照し、その位置情報に基づいて、当該装置が存在する部屋の部屋IDを特定して探索進行中区画情報とする。
通知部113は、受付部111により受信機3から受け付けた異状信号に基づいて、異状内容とその発生場所を特定し、これらを初動情報として通信部13を介して端末装置2に通知する。また、通知部113は、受付部111により端末装置2から受け付けられた探索場所情報を、通信部13を介して他の端末装置2に通知する。本実施形態では、探索場所情報として現在地情報を当該端末装置2の端末IDと関連付けて通知する。また、通知部113は、第1判断部112により特定された探索進行中区画情報としての部屋IDを、通信部13を介して端末装置2に通知する。また、通知部113は、受付部111により端末装置2からの閉鎖確認報告として受け付けられた防火戸IDを、通信部13を介して他の端末装置2に通知する。また、通知部113は、後述する、蓄積された探索完了区画情報を探索履歴情報として各端末装置2に記憶させるために、通信部13を介して端末装置2に通知する。
記憶制御部114は、受付部111により受け付けられた探索場所情報としての位置情報を、当該情報を受け付けた受付時刻および当該端末装置2の端末IDと関連付けて位置情報データベース123に記憶させる。すなわち、位置情報データベース123には、端末装置2ごとの移動の履歴情報が記憶される。また、記憶制御部114は、第1判断部112により特定された部屋IDについて、部屋情報データベース124の当該部屋IDの探索状況情報が「探索完了」でない場合に、これを「探索進行中」に更新し、探索状況を示す探索履歴情報として記憶させる(第3の探索履歴情報)。また、記憶制御部114は、第1判断部112により特定された部屋IDを、滞在場所情報として記憶部12に記憶させ、更新する。具体的には、当該部屋IDを隊員情報データベース121に記憶させ、更新する。また、記憶制御部114は、受付部111により端末装置2からの探索完了報告を受け付けられた部屋IDについて、部屋情報データベース124の当該部屋IDの探索状況情報を「探索完了」に更新し、探索履歴情報として、記憶させる。このとき、当該端末装置2の端末IDと関連付けて記憶させると、どの端末装置2が探索を完了させた部屋であるかが明らかな探索履歴情報とできる(端末装置2における第1および第2の探索履歴情報に相当)。また、記憶制御部114は、受付部111により端末装置2からの閉鎖確認報告が受け付けられた防火戸の防火戸IDについて、防火戸情報データベース125の当該防火戸IDの閉鎖確認状況を「確認済み」に更新し、記憶させる。
計測部115は、第1判断部112により特定されて記憶部12に記憶された滞在場所情報に基づいて、各端末装置2が同じ場所に滞留している時間を計測する。計測部115は、受付部111により端末装置2から受け付けられた探索場所情報としての位置情報に基づいて、当該端末装置2が所定範囲内の場所に滞留している時間を計測するようにしてもよい。
第2判断部116は、計測部115により計測された時間が所定の閾値を超えた否かを判断する。また、第2判断部116は、端末装置2ごとに、その滞在場所が変化したか否かについても判断する。滞在場所が変化した場合には、計測部115の計時値をリセットして計測部115の計時を再開させる。
要請部117は、第2判断部116による判断の結果、計測部115により計測された時間が所定の閾値を超えた端末装置2が発生した場合に、当該端末装置2を携帯する自衛消防隊員の探索活動に対する応援の要請を、通信部13を介して他の端末装置2に送信する。
1−3.端末の構成
次に、支援システム100を構成する端末装置2の構成について、図3に基づいて説明する。端末装置2は、例えばスマートフォンやタブレット端末等、移動しながら活動する自衛消防隊員が携帯できる無線通信端末である。端末装置2は、同図に示されるように、制御部21と、記憶部22と、通信部23と、操作部24と、表示部25と、測位部26とを有する。
制御部21は、CPU、ROM、RAMなどを有し、CPUがROM又は記憶部22に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより端末装置2の各部を制御する。制御部21の機能的構成については後述する。
記憶部22は、フラッシュメモリやSSD(ソリッドステートドライブ)などの不揮発性の記憶手段であり、防災支援アプリを記憶する。この防災支援アプリは、自衛消防隊の活動を支援するための処理を実行するプログラムである。特に本実施形態では、この防災支援アプリが提供する機能のうち、建物内の残留者の探索を支援する機能について説明する。記憶部22は、また、端末装置2に固有の識別子である端末IDを記憶する。
また、記憶部22は、地図情報データベース(図において「データベース」を「DB」と表記する)221を有する。この地図情報データベース221は、自衛消防隊により残留者の探索活動が行われる建物内の地図データを記憶するデータベースである。具体的には、例えば、当該建物のフロア別平面地図を示す地図データを記憶する。この地図情報データベース221の地図データは、例えば、支援装置1に記憶される地図情報データベース122から通信部23を介して取得する。この地図情報データベース221の地図データは、異状が発生して防災支援アプリを起動させたときに地図情報データベース122の地図データをダウンロードするようにしてもよいし、地図情報データベース122の変更時にアップデートされるようにしてもよいし、地図情報データベース122と日常的に同期されるようにしてもよく、最新の地図データを格納するようにする。
また、記憶部22は、位置情報データベース(図において「データベース」を「DB」と表記する)222を有する。この位置情報データベース222は、端末装置ごとの現在地情報を記憶するデータベースであり、そのデータは、各端末装置2の端末IDと関連付けられた最新の位置情報によって構成される。この位置情報データベース222のデータは、支援装置1から送信される、支援装置1の位置情報データベース123における各端末装置2の最新の位置情報の更新データを受けて随時取得することができる。自機の現在地のデータは、後述する探索場所特定部211より取得し、自機の端末IDと関連付けて記憶するようにしてもよい。また、支援装置1の隊員情報データベース121に格納されている最新の滞在場所情報の更新データを受けることによって、各端末装置2の現在地を滞在場所としての部屋IDとして随時取得してもよい。
また、記憶部22は、部屋情報データベース(図において「データベース」を「DB」と表記する)223を有する。この部屋情報データベース223は、自衛消防隊により残留者の探索活動が行われる建物内の各部屋に関する情報を記憶するデータベースである。この部屋情報データベース223を構成する各レコードのデータ構成は、支援装置1に記憶される部屋情報データベース124と同様である。なお、部屋情報データベース124、223に記憶される探索履歴情報は、探索完了報告を行った端末装置2の端末IDと関連付けて記憶してもよい。このようにすることにより、端末装置2は、自機の探索履歴情報(第1の探索履歴情報)と自機以外の端末装置2の探索履歴情報(第2の探索履歴情報)とを、端末IDによって識別することができ、異なる態様で表示することが可能となる。この部屋情報データベース223は、支援装置1から送信される更新データを受けて、支援装置1の部屋情報データベース124に記憶される最新のデータに更新される。支援装置1から送信される同期指示を受けて、支援装置1の部屋情報データベース124と同期するようにしてもよい。
また、記憶部22は、防火戸情報データベース(図において「データベース」を「DB」と表記する)224を有する。この防火戸情報データベース224は、自衛消防隊により残留者の探索活動が行われる建物内に設置される各防火戸に関する情報を記憶するデータベースである。この防火戸情報データベース224を構成する各レコードのデータ構成は、支援装置1に記憶される防火戸情報データベース125と同様である。この防火戸情報データベース224は、支援装置1から送信される更新データを受けて、支援装置1の防火戸情報データベース125に記憶される最新のデータに随時更新される。支援装置1から送信される同期指示を受けて、支援装置1の防火戸情報データベース125と同期するようにしてもよい。
通信部23は、無線通信によって通信回線5を介して支援装置1と通信を行うためのインターフェースである。
操作部24は、端末装置2を携帯する者が操作して入力する操作手段であり、例えば静電容量方式のタッチパネル241を備える。タッチパネル241は画面251に重ねて配置され、指等の指示体によって画面251に対して行われる操作者の操作を検出する。
表示部25は、液晶等を利用した画面251を備え、制御部21からの指示に応じて画面251に画像を表示させる表示手段である。例えば、表示部25は、防火対象物である建物内の地図を示す地図画面を表示する。図4は、地図画面の一例を示す図である。同図に例示される地図画面には、平面地図表示M1と、隊員表示S1及びS2と、在室表示S3と、移動困難者表示S4と、異状発生場所表示S5とが表示される。平面地図表示M1は、防火対象物である建物内の平面地図を地図情報データベース221に基づいて表示する。同図に例示される平面地図は、建物を構成する複数のフロアのうちの1つのフロアの平面地図であり、当該フロアには複数の部屋R1乃至R18(以下、特に区別する必要がない場合には「部屋R」と総称する。)と、防火戸D1及びD2(以下、特に区別する必要がない場合には「防火戸D」と総称する。)と、が存在している。
図4において隊員表示S1及びS2は、端末装置2を携帯する自衛消防隊員の現在位置を示す。白丸で表される隊員表示S1は、当該端末装置2を携帯している隊員本人の現在位置を示し、同図において黒丸で表される隊員表示S2は、他の隊員の現在位置を示す。これらの隊員表示S1及びS2は、位置情報データベース222に記憶される各端末装置2の現在地情報に基づいて表示され、各隊員の移動に伴ってその位置が変化する。
また、図4において複数の部屋Rのうち部屋R1、R2、R10及びR15は網掛けで表示されている。これらの網掛け部分は、これらの部屋の残留者の探索がすでに完了していることを示している。これらの部屋の探索状況情報は部屋情報データベース223において探索完了と記憶されている。逆に、網掛け表示されていない他の部屋は、残留者の探索がまだ完了していないことを示す。これらの部屋の探索状況情報は部屋情報データベース223において防災支援アプリ起動時の初期値のままで、例えば、探索未完了と記憶されている。上記網掛け表示は、探索が完了した部屋R1、R2、R10及びR15を、探索が完了していない部屋と識別可能とするために異なる態様で表示する一例であり、例えば、クロスハッチングや異なる色とする等、識別可能な異なる態様で表示すればよい。探索が完了した部屋の上記表示は、記憶部22の部屋情報データベース223に記憶される第1の探索履歴情報に基づいて、当該端末装置2を携帯する自衛消防隊員によって残留者の探索が完了した場所を特定するための第1の表示情報として、表示制御部215が表示部25に表示させた一例である。また、探索が完了した部屋の上記表示は、記憶部22の部屋情報データベース223に記憶される第2の探索履歴情報に基づいて、他の端末装置2を携帯する自衛消防隊員によって残留者の探索が完了した場所を特定するための第2の表示情報として、表示制御部215が表示部25に表示させた一例である。これらの表示情報は、防火対象物である建物における場所を示すように表示部25に地図表示する。例えば、図4に示した隊員表示S1で示された当該端末装置2を携帯する自衛消防隊員によって部屋R1、R2の探索が完了したケースでは、上記表示の部屋R1、R2が第1の表示情報に相当する。また、図4に示した隊員表示S2で示された他の端末装置2を携帯する自衛消防隊員によって部屋R10、R15の探索が完了したケースでは、上記表示の部屋R10、R15が第2の表示情報に相当する。このように探索が完了した部屋を他と異なる態様で表示させることにより、建物内の残留者を組織的に探索するに当たって、同一の場所の探索の重複や探索漏れを防止し、確実かつ迅速に避難確認を行うことができる。さらに、第1の表示情報と第2の表示情報とを異なる態様で表示させ、当該端末装置2を携帯する自衛消防隊員が、自ら探索を完了させた部屋R1、R2と、他の端末装置2を携帯する自衛消防隊員が探索を完了させた部屋R10、R15とを区別できるようにしてもよい。このように第1の表示情報と第2の表示情報とを異なる態様で表示させることにより、自らが探索を受け持つべき部屋が定まる場合は、自らの探索漏れを把握することができる。
また、図4において、部屋R3及びR9は、その枠線が破線で表示されている。これは、これらの部屋に自衛消防隊員が滞在していることを示している。言い換えると、これらの部屋において残留者の探索活動が進行中であることを示している。これらの部屋の探索状況情報は部屋情報データベース223に、第3の探索履歴情報である探索進行中区画情報として、探索進行中と記憶されている。上記表示の部屋R3、R9は、第3の探索履歴情報に基づいて、探索が進行中であると判断された場所を特定するため、建物における場所を示すように、表示部25に地図表示される第3の表示情報の一例である。上記の破線表示は、探索が進行中であると判断された部屋R3、R9を、探索が完了していない部屋や探索が完了した部屋と識別可能とするために異なる態様で表示する一例であり、第1および第2の表示情報とは異なる態様で表示すればよい。例えば、枠線や枠内を、点滅表示させたり、異なる態様のハッチングで表示させたり、異なる色で表示させたりすればよい。
また、図4において、防火戸D1及びD2のうち防火戸D1は破線で表示されている。これは、この防火戸D1の閉鎖確認がまだ完了していないことを示しており、自衛消防隊による閉鎖確認の対象となる防火戸の位置を、建物における場所を示すように地図表示する第5の表示情報の一例である。この防火戸D1の閉鎖確認状況は防火戸情報データベース224において防災支援アプリ起動時の初期値のままで、例えば、未確認と記憶されている。なお、図4には示されてはいないが、第5の表示情報としての防火戸D1の色等の表示態様は、その監視状況に応じて変更されてもよい。例えば、防火戸D1が、常時は開放されており火災発生時に自動的に閉鎖するように受信機3等から制御される開放型防火戸であった場合、受信機3から閉鎖制御が未だ行われていない閉鎖未制御の場合と、受信機3から閉鎖制御を行った閉鎖制御済みの場合と、受信機3が閉鎖制御した結果として防火戸D1から応答信号を受信した応答確認済みの場合とで、防火戸D1の色等の表示態様を変更してもよい。また、防火戸D1が閉鎖制御済であって応答確認も閉鎖確認もされていない場合には、障害物による閉鎖障害や故障が発生している虞があり、防火戸D1を示すシンボルを点滅表示したり赤色等の警戒色で表示したりして、隊員による閉鎖確認を特に要することを強調表示するようにしてもよい。一方、防火戸D2は太い実線で表示されている。これは、この防火戸D2の閉鎖確認がすでに完了していることを示しており、自衛消防隊員による閉鎖確認が完了した防火戸の位置を示す第6の表示情報の一例である。第6の表示情報は、第5の表示情報とは異なる態様で建物における場所を示すように地図表示する。この防火戸D2の閉鎖確認状況は防火戸情報データベース224において確認済みと記憶されている。このように、防火戸情報データベース224に記憶されている閉鎖確認状況に基づいて、各防火戸の場所と状態とを示すように、表示制御部215は表示部25が地図表示するように制御する。
在室表示S3は、残留者が存在する部屋の場所を表示する。言い換えると、残留者の探索対象として探索の優先度の高い場所を示す第4の表示情報として、残留者が存在する部屋の場所を地図上に表示する。図4に示される例では、部屋R5、R6、R12及びR14において残留者が存在することが示されている。これらの部屋については、部屋情報データベース223において残留者ありと記憶されている。移動困難者表示S4は、残留者のうち特に移動困難者が存在する部屋の場所を表示する。言い換えると、残留者の探索対象としてより探索の優先度の高い場所として部屋の場所を地図上に表示する第4の表示情報の一例である。図4に示される例では、部屋R14において移動困難者が存在することが示されている。この部屋については、部屋情報データベース223において移動困難者ありと記憶されている。なお、部屋R14に移動困難者以外が在室しない場合は、部屋R14に在室表示S3を表示しなくてもよい。このように表示すると、移動困難者が孤立して要救助の状況にあることが判る。最後に、図4においてバツ印で表される異状発生場所表示S5は、異状の発生場所を表示する。具体的には、異状を感知した感知手段の設置場所を表示する。この異状発生場所表示S5は、受信機3からの異状情報によって支援装置1から送信される初動情報に基づいて表示される。
以上説明したように、地図画面には、探索がすでに完了した部屋が識別可能なように表示されるため、建物内の残留者を探索する際に同一の場所の探索の重複や探索漏れを防止することができる。また、探索が完了していない部屋であっても自衛消防隊員が滞在する部屋についてはその旨が識別可能なように表示されるため、より確実に同一の場所の探索の重複を防止することができる。また、残留者や移動困難者が存在する部屋が識別可能なように表示されるため、残留者や移動困難者の探索を効率的に行うことができる。また、閉鎖確認が完了した防火戸が識別可能なように表示されるため、防火戸の閉鎖確認の重複や確認漏れを防止することができる。
なお、図4に示される地図画面は、あくまで一例であり、その表示態様は図示の例に限られない。例えば、地図画面には、平面地図に代えて、立体地図や垂直断面地図が表示されてもよく、これらの異なる地図表示を任意に切り換えられるようにしてもよい。また、自衛消防隊員が滞在している部屋を点滅表示させ、探索が完了すると点滅を停止して、探索前と異なる色で点灯表示させるようにしてもよい。
次に、測位部26について説明する。測位部26は、公知の屋内測位技術を用いて端末装置2の位置情報を取得する測位手段である。測位部26は、例えば、建物内に複数配設された複数の無線アクセスポイントから受信される、識別情報、電波の強度あるいは信号位相差、等に基づいて3点測位等により位置情報を取得する。
次に、制御部21の機能的構成について説明する。制御部21は、図3に示されるように、その機能的構成として、探索場所特定部211と、通知部212と、受付部213と、記憶制御部214と、表示制御部215とを備える。
探索場所特定部211は、探索場所情報を取得する。具体的には、探索場所情報として、測位部26により取得される位置情報を取得するとともに、タッチパネル241上の操作でユーザに選択された部屋を示す部屋IDを取得する。また、タッチパネル241上の操作でユーザに選択された防火戸を示す防火戸IDを取得する。
通知部212は、通信部23を介して支援装置1へ向けて、端末装置2からの情報を通知する通知手段であり、端末装置2の位置情報、探索完了報告、防火戸の閉鎖確認といった情報を支援装置1に通知する。具体的には、探索場所特定部211により取得された探索場所情報としての位置情報や、自衛消防隊員による探索が完了した部屋の部屋IDや、自衛消防隊員による閉鎖確認が完了した防火戸を示す防火戸IDを支援装置1に通知する。
受付部213は、通信部23を介して、支援装置1からの情報を端末装置2が受け付ける受付手段であり、支援装置1からプッシュ通知される、初動情報を受け付ける。また、受付部213は、支援装置1から通知される、他の端末装置2の現在地情報を受け付ける。また、受付部213は、支援装置1から通知される、地図情報データベース221、部屋情報データベース223、防火戸情報データベース224の更新データを受け付ける。
記憶制御部214は、受付部213が受け付けた地図情報データベース221の更新データを記憶部22に記憶させる。具体的には、支援装置1の地図情報データベース122に基づく更新データを、記憶部22の地図情報データベース221に記憶させ、更新する。また、記憶制御部214は、端末装置2ごとの現在地を示す最新の探索場所情報としての現在地情報を記憶部22に記憶させる。具体的には、記憶制御部214は、受付部213により受け付けられた支援装置1からの更新データであって、他の端末装置2の現在地情報を各端末装置2の端末IDと関連付けて記憶部22の位置情報データベース222に記憶させ、更新する。また、記憶制御部214は、自機の探索場所特定部211により取得された探索場所情報としての位置情報を自機の現在地情報として自機の端末IDと関連付けて記憶部22の位置情報データベース222に記憶させ、更新する。この自機の現在地情報としては、受付部213により受け付けられた支援装置1からの更新データであって、他の端末装置2の現在地情報とともに受け付けられる、自機の現在地情報であってもよい。
また、記憶制御部214は、端末装置2の探索場所特定部211が取得した探索場所情報に基づいて探索が完了したと判断された探索完了区画情報を蓄積し、探索履歴情報として記憶部22に記憶させる。具体的には、記憶制御部214は、支援装置1の部屋情報データベース124に蓄積された探索完了区画情報の更新データであって、受付部213により受け付けられて探索完了となった部屋の部屋IDについて、記憶部22の部屋情報データベース223における当該部屋IDの探索状況情報を「探索完了」に更新する。特に、自機の端末IDと関連付けられた探索完了の部屋IDを第1の探索履歴情報として、自機以外の端末IDと関連付けられた探索完了の部屋IDを第2の探索履歴情報として、それぞれ記憶するようにしてもよい。第1の探索履歴情報は自機が探索を完了させた部屋の部屋ID群に、第2の探索履歴情報は自機以外の端末装置2が探索を完了させた部屋の部屋ID群に、それぞれ相当し、自らが探索を完了させた部屋と他の自衛消防隊員が探索を完了させた部屋とを区別することができる。また、記憶制御部214は、端末装置2の探索場所特定部211が取得した探索場所情報に基づいて探索が進行中であると判断された探索進行中区画情報を第3の探索履歴情報として記憶部22に記憶させる。具体的には、記憶制御部214は、支援装置1の部屋情報データベース124に記憶された探索進行中区画情報の更新データであって、受付部213により受け付けられて探索進行中となった部屋の部屋IDについて、記憶部22の部屋情報データベース223における当該部屋IDの探索状況情報を「探索進行中」に更新する。
このように、記憶制御部214は、支援装置1の部屋情報データベース124に基づく更新データを、部屋情報データベース223に記憶させ、更新することによって、端末装置2は上記探索履歴情報を取得することができる。なお、支援装置1の部屋情報データベース124に基づく更新データを、部屋情報データベース223に記憶させ、更新することによって、同時に、部屋情報データベース223における部屋ID毎の、残留者および移動困難者の有無に関する情報も更新される。
また、記憶制御部214は、自衛消防隊員による閉鎖確認の対象となる防火戸について、防火戸IDと、作動状況を示す情報と、閉鎖確認状況を示す情報とを関連付けて記憶部22に記憶させる。具体的には、記憶制御部214は、支援装置1の防火戸情報データベース125に記憶された各防火戸に関する情報の更新データであって、受付部213により受け付けられた防火戸IDと作動状況を示す情報と閉鎖確認状況とが関連付けられた防火戸に関する情報を、記憶部22の防火戸情報データベース224に記憶させ、更新する。
表示制御部215は、記憶部22に記憶される第1の探索履歴情報に基づいて、端末装置2(自機)を携帯する自衛消防隊員により残留者の探索が完了した場所を特定するための第1の表示情報を、防火対象物である建物における場所を示すように表示部25に地図表示させる。第1の表示情報は、例えば、図4に例示される、網掛け表示される部屋R1、R2に相当する。また、表示制御部215は、記憶部22に記憶される第2の探索履歴情報に基づいて、他の端末装置2を携帯する自衛消防隊員により残留者の探索が完了した場所を特定するための第2の表示情報を、防火対象物である建物における場所を示すように表示部25に地図表示させる。第2の表示情報は、例えば、図4に例示される、網掛け表示される部屋R10、R15に相当する。第1の表示情報と第2の表示情報とは、異なる態様で表示し、自らが探索を完了させた部屋と他の自衛消防隊員が探索を完了させた部屋とを区別できるようにしてもよい。
また、表示制御部215は、記憶部22に記憶される第3の探索履歴情報に基づいて、探索活動が進行中であると判断された場所を特定するための第3の表示情報を、防火対象物である建物における場所を示すように表示部25に地図表示させる。第1、第2及び第3の表示情報のうち少なくとも1つは他の表示情報と異なる態様で表示される。第3の表示情報は、例えば、図4に例示される、その枠線が破線で表示される部屋R3、R9に相当する。
また、表示制御部215は、残留者や移動困難者が存在するなど優先して探索すべき情報が存在する場合は、この情報に基づいて探索活動の優先度の高さを示す第4の表示情報を表示する。第4の表示情報は、例えば、図4に例示される在室表示S3や移動困難者表示S4に相当する。このような場合、当該建物における複数の場所のうちの少なくとも1つの場所について、探索の優先度を示す第4の情報を、当該建物における場所を示すように表示部25に地図表示する。
また、表示制御部215は、自衛消防隊による閉鎖確認の対象となる防火戸の位置を示す第5の表示情報を、防火対象物である建物における場所を示すように表示部25に地図表示させる。この第5の表示情報は、閉鎖確認が完了していない防火戸の位置を示す情報としてもよく、図4に示した防火戸D1は、その表示の一例である。この場合、表示制御部215は、自衛消防隊による閉鎖確認が完了した防火戸の位置を示す第6の表示情報を第5の表示情報とは異なる態様で、上記建物における場所を示すように表示部25に地図表示させる。図4に示した防火戸D2は、第6の表示情報の表示の一例である。
1−4.支援システムの動作
支援システム100の動作について説明する。具体的には、異状発生時に建物内の残留者を探索する自衛消防隊の探索活動を支援する支援システム100の動作について、図5乃至9を参照して説明する。なお、以下の動作説明では、その説明の便宜上、端末装置2A、端末装置2Bをそれぞれ携帯する2名の自衛消防隊員によって同一フロア内で探索活動が行われる場合が想定されているが、探索活動を行う隊員の数は2名に限られず、3名以上であってもよい。
1−4−1.防災支援アプリ起動時の動作
図5は、端末装置2において防災支援アプリが起動される際の支援システム100の動作の一例を示すシーケンス図であり、端末装置2を代表して端末装置2Aについて記す。本動作では、建物内で異状が発生すると、端末装置2において自動的に防災支援アプリが起動され、当該建物の避難確認状況を確認することが可能となる。
支援装置1は、受信機3から異状信号を受信すると(Sa1)、当該異状の発生を通知する初動情報を生成する(Sa2)。具体的には、例えば、異状信号に含まれる感知手段の識別子と図示せぬ設置場所データベース(各感知手段の位置情報と識別子とを対応づけて記憶するデータベース)とに基づいて異状内容と異状の発生場所とを特定し、また、例えば、異状信号に基づいて異状の発生日時を特定して、これらの情報を通知する初動情報を生成する。そして、支援装置1は、隊員情報データベース121を参照して、この初動情報の通知先として端末装置2の通信アドレスまたは端末IDを特定し、この通知先に対して初動情報をプッシュ通知する(Sa3)。この初動情報は、通知先へプッシュ通知することによって防災支援アプリを起動させ、端末装置2の表示部25に異状発生を通知する画面を表示させるための情報である。本動作説明では、初動情報が通知された端末装置2Aについて説明する。
この初動情報のプッシュ通知を受信した端末装置2Aは、当該通知が防災支援アプリを使用する通知であると判断し、防災支援アプリが起動されていない状態の場合には、当該アプリを起動する(Sa4)。このとき端末装置2Aは、自衛消防隊員による操作を待たずに自動的に防災支援アプリを起動する。そして、端末装置2Aの表示制御部215は、起動した防災支援アプリに従って、受信した初動情報に基づいて図示せぬ初動画面を表示部25に表示させる(Sa5)。初動画面には、例えば、発生した異状の内容、発生日時、発生場所が表示される。この際、端末装置2Aは、図示せぬスピーカを介して警報音又は警報メッセージを放音し、初動画面の表示を自衛消防隊員に報知してもよい。なお、支援装置1は、初動情報をプッシュ通知することに代えて、端末装置2Aの防災支援アプリを起動させるための起動情報を通知先にプッシュ通知し、起動した端末装置2Aの防災アプリが支援装置1から、初動画面を表示させるための情報としての初動情報を取得するようにしてもよい。
次に、端末装置2Aの探索場所特定部211は、測位部26により取得される位置情報を取得し(Sa6)、端末装置2Aの通知部212は、その位置情報を支援装置1に対して送信する(Sa7)。その際、端末IDと取得日時情報とを併せて送信する。この位置情報を受信し受け付けた支援装置1の記憶制御部114は、受け付けた位置情報を、併せて受け付けた端末IDと取得日時情報と対応づけて位置情報データベース123に記憶する(Sa8)。また、支援装置1の第1判断部112は、受け付けた位置情報に基づいて、自衛消防隊員の滞在場所として当該隊員が携帯する端末装置2Aが存在する部屋を特定する(Sa9)。具体的には、位置情報により表される座標値と、地図情報データベース122に記憶されている地図データとを照合して、当該座標値とマッチングする部屋の部屋IDを特定する。なお、地図情報データベース122には、各部屋の領域を予め部屋IDと関連付けて記憶させておく。部屋IDが特定されると、支援装置1の記憶制御部114は、特定された部屋IDに基づいて隊員情報データベース121を更新する(Sa10)。具体的には、隊員情報データベース121において、端末IDと対応づけられる隊員の滞在場所情報を当該部屋IDに更新する。図示しないが、その間、または、それまでに、支援装置1は、管理装置4から部屋ごとの残留者の有無を示す情報と移動困難者の有無を示す情報とを取得し、部屋情報データベース124の当該情報を最新の情報に更新しておくとよい。また、受信機3によって制御される開放型の防火戸が存在する場合は、受信機3から防火戸の作動状況を示す情報を取得して、防火戸情報データベース125の当該情報を最新の情報に更新しておくとよい。
次に、端末装置2Aの通知部212は、記憶部22に記憶される各種データベースの同期を要求する同期要求を支援装置1に対して送信する(Sa11)。具体的には、記憶部22に記憶される地図情報データベース221と、位置情報データベース222と、部屋情報データベース223と、防火戸情報データベース224とを、それぞれ、支援装置1に記憶される地図情報データベース122、位置情報データベース123の端末IDごとの最新データ、部屋情報データベース124、防火戸情報データベース125と同期させるための同期要求を送信する。この同期要求を受信した支援装置1の通知部113は、同期元となる各データベースの更新データを端末装置2Aに対して送信する(Sa12)。ここで、更新データとは、同期元となる各データベースにおいて前回の同期後に新たに更新されたデータを指す。この更新データを受信した端末装置2Aの記憶制御部214は、受信した更新データに基づいて地図情報データベース221と、位置情報データベース222と、部屋情報データベース223と、防火戸情報データベース224とを更新する(Sa13)。なお、位置情報データベース222において、自機の端末IDの現在地情報は、支援装置1からの更新データに依らず、ステップSa6で取得した位置情報を記憶させるようにしてもよい。また、先に述べたように地図情報データベース221の更新はこれに限るものではなく、異状が発生して防災支援アプリを起動させたときに地図情報データベース122の地図データをダウンロードするようにしてもよいし、地図情報データベース122の変更時にアップデートされるようにしてもよいし、地図情報データベース122と日常的に同期されるようにしてもよく、最新の地図データを格納するようにする。
上記データベースの同期後、自衛消防隊員が防災支援アプリを利用して、建物の所定のフロアを選択して当該フロアの地図表示を指示すると(Sa14)、端末装置2Aの表示制御部215は、図4に例示される地図画面を表示部25に表示させる(Sa15)。この地図画面は、最新の情報に更新された地図情報データベース221に基づいて表示される当該フロアの平面地図に、最新の情報に更新された位置情報データベース222、部屋情報データベース223、防火戸情報データベース224に基づいた、自衛消防隊員の位置、残留者の有無、移動困難者の有無、防火戸の作動状況が、重ねて表示される。また、異状が発生したフロアの地図画面においては異状発生場所も表示される。このとき端末装置2Aは、初動の動作を完了したものとして支援装置1へ初動完了信号を送信し、以後、端末装置2Aを携帯する自衛消防隊員は探索活動に入ることとしてもよい。また、端末装置2Aを携帯する自衛消防隊員が探索活動を開始するときの端末装置2Aの操作によって、支援装置1へ初動完了信号を送信するようにしてもよい。また、支援装置1が、端末装置2Aからの同期要求(ステップSa11)を受け付けることによって、あるいは、さらに所定時間が経過することによって、端末装置2Aの初動の動作が完了したと判断してもよい。
以上が、防災支援アプリ起動時の動作についての説明である。
なお、上記のステップSa3において支援装置1からプッシュ通知で送信される初動情報は、GCMサービスを提供するGCMサーバや、APNサービスを提供するAPNSサーバ等の、プッシュ通知サービス提供者が設けたプッシュ通知用通知装置を介して端末装置2Aに送信されてもよい。このときも、初動情報をプッシュ通知で送信することに代えて、防災支援アプリを起動させるための起動情報を、プッシュ通知用通知装置を介して端末装置2Aにプッシュ通知で送信させ、起動した端末装置2Aの防災アプリが支援装置1から、初動画面を表示させるための情報としての初動情報を取得するようにしてもよい。
また、上記のステップSa11では、端末装置2Aが存在するフロアに関する情報の同期のみを支援装置1に要求するようにしてもよい。具体的には、当該フロアに存在する部屋と防火戸に関する情報と、当該フロアに存在する端末装置2の位置情報の同期のみを支援装置1に要求するようにしてもよい。また、ステップSa11において端末装置2Aが存在するフロアに限定しない同期要求であったとしても、ステップSa12において、更新データを当該フロアの情報のみとして支援装置1から送信するようにしてもよい。また、端末装置2Aを携帯する自衛消防隊員の操作により指定されたフロアに関する情報についてのみ、端末装置2Aが支援装置1に同期を要求するようにしてもよいし、支援装置1が更新データを送信するようにしてもよい。
1−4−2.探索活動時の測位動作
上記のような防災支援アプリ起動時の動作を終え、自衛消防隊員が探索活動を行うときに、端末装置2において測位を行うときの支援システム100の動作について説明する。図6は、端末装置2において測位が行われた際に実行される支援システム100の動作の一例を示すシーケンス図であり、端末装置2を代表して端末装置2Aについて記す。本動作では、端末装置2Aを携帯する自衛消防隊員の位置情報が、支援装置1を介して端末装置2Bを携帯する隊員に共有される。
上記のように防災支援アプリの起動後、端末装置2Aの探索場所特定部211は、測位部26が取得した位置情報を一定の間隔で取得する(Sb1)。この場合の一定の間隔は、一定の時間間隔に加え、一定の移動距離間隔であってもよい。このときの移動距離は、測位部26が取得した位置情報の変化に基づいて決定されてもよいし、端末装置2Aに備わる加速度センサとジャイロセンサの検出値に基づいて決定されてもよい。このように一定の時間間隔に加え、さらに一定の移動距離間隔で位置情報を取得するようにしておくと、端末装置2Aを携帯する自衛消防隊員が、怪我等によって動けない場合であっても位置情報を取得できない期間を生ずることがなく、また、高速で移動、例えば走るなどしても、移動中の位置情報に空白部分を生ずることなく、連続的に位置情報の変化を捉えることができる。ひいては、後述する応援の要請や移動軌跡の表示が可能となる。
探索場所特定部211により位置情報が取得されると、端末装置2Aの記憶制御部214は、その位置情報を、自機の端末ID、取得日時と対応づけて自機の現在地情報として位置情報データベース222に記憶する(Sb2)。そして、端末装置2Aの表示制御部215は、その更新された位置情報データベース222に基づいて、表示部25に表示される地図画面を更新する(Sb3)。この更新の結果、例えば、自衛消防隊員が前回の測位時と比べて移動している場合には、当該移動に応じて隊員表示S1の位置が変化した地図画面が表示される。
また、端末装置2Aの通知部212は、取得した位置情報を支援装置1に対して送信する(Sb4)。その際、端末IDと取得日時情報とを併せて送信する。なお、上記において、探索場所特定部211が取得した自機の位置情報は、上記ステップSb2、Sb3を実行せず、支援装置1に対して送信するようにしてもよい(Sb4)。この場合は、後述する支援装置1からの更新データ(Sb9)に基づいて、他の端末装置2の現在地情報とともに自機の現在地情報を位置情報データベース222に記憶すればよい。
位置情報を受信した支援装置1の記憶制御部114は、受信した位置情報を、併せて受信した端末IDと取得日時情報と対応づけて位置情報データベース123に記憶する(Sb5)。このときの取得日時情報は、端末装置2Aが送信した情報に代えて、支援装置1が端末装置2Aから位置情報を取得した日時情報としてもよい。また、支援装置1の第1判断部112は、受信した位置情報に基づいて、端末装置2Aを携帯する自衛消防隊員が滞在する部屋を特定する(Sb6)。具体的には、位置情報により表される座標値と、地図情報データベース122に記憶されている地図データとを照合して、当該座標値とマッチングする領域の部屋の部屋IDを特定する。部屋IDが特定されると、支援装置1の記憶制御部114は、特定された部屋IDに基づいて部屋情報データベース124を更新する(Sb7)。具体的には、部屋情報データベース124において当該部屋IDと対応づけられる探索状況情報を探索進行中に更新する。なお、この際すでに探索状況情報が探索進行中となっている場合には、更新を省略する。また、探索状況情報が探索完了となっている場合には、当該部屋IDの探索状況情報が更新されないようにし、重複した探索を防止するようにしておく。
また、記憶制御部114は、第1判断部112に特定された部屋IDに基づいて隊員情報データベース121を更新する(Sb8)。具体的には、隊員情報データベース121において、受信した端末IDと対応する隊員の滞在場所情報に特定した部屋IDを記憶し、更新する。また、記憶制御部114は、当該端末IDと当該部屋IDの組を端末装置2ごとの滞在場所としてRAMに格納しておく。RAMに格納した情報を更新するタイミングについては後述する。ここで隊員情報データベース121とRAMに記憶される部屋IDは、後述する応援要請の要否判断時の動作において参照される。なお、RAMに格納する上記部屋IDに代えて位置情報を記憶するようにしてもよい。
データベースの更新が完了すると、支援装置1の通知部113は、当該データベースの更新データを端末装置2Aと端末装置2Bに対して送信する(Sb9、Sb10)。具体的には、位置情報データベース123の端末IDごとの現在地情報としての最新の位置情報と、部屋情報データベース124の探索状況情報とについて、更新されたデータを送信する。端末装置2において、位置情報データベース222に自機の現在地情報としての位置情報を記憶する場合は、当該端末装置2に送信する更新データのうち、当該端末装置2の現在地情報としての最新の位置情報を送信しなくてもよい。また、端末IDごとの現在地情報としての最新の位置情報に代えて、隊員情報データベース121の隊員の端末IDごとの滞在場所情報を更新データとして送信するようにしてもよい。なお、更新データは上記に限るものではなく、後述する他の更新データと併せて送信するようにしてもよい。上記更新データを受信した端末装置2Aの記憶制御部214は、その更新データに基づいて、位置情報データベース222と部屋情報データベース223とを更新する(Sb11)。具体的には、位置情報データベース222においては、端末IDごとの最新の位置情報を端末IDごとの現在地情報として記憶し、更新する。なお、自機の探索場所特定部211が取得した位置情報を自機の現在地情報として位置情報データベース222に記憶する場合は(Sb2)、このステップSb11では自機の端末IDに対応する現在地情報を更新する必要はない。また、位置情報データベース222には、更新データの上記現在地情報に代えて、端末IDごとの滞在地情報としての部屋IDを記憶し、更新するようにしてもよい。さらに、部屋情報データベース223においては、受信した部屋IDと対応づけられる探索状況情報を記憶し、更新する。このとき、更新データの探索状況情報が探索進行中となった部屋については、探索が進行中であると判断された探索進行中区画情報である第3の探索履歴情報として記憶し、当該部屋IDの探索状況情報は探索進行中に更新される。そして、端末装置2Aの表示制御部215は、その更新された位置情報データベース222と部屋情報データベース223とに基づいて、表示部25に表示される地図画面を更新する(Sb12)。例えば、位置情報データベース222において、隊員表示S1で示された自衛消防隊員の現在地情報が部屋R4の領域となった場合には、隊員表示S1が部屋R4内の所定位置に表示される。また、部屋情報データベース223において、図4に示される部屋R4の探索状況情報が探索進行中に更新された場合には、探索が進行中であると判断された場所を特定するための第3の表示情報として、部屋R4の枠線を破線で表示する地図画面が表示される。
更新データを受信した端末装置2Bの記憶制御部214は、端末装置2Aと同様に、その更新データに基づいて、位置情報データベース222と部屋情報データベース223とを更新する(Sb13)。そして、端末装置2Bの表示制御部215は、端末装置2Aと同様に、その更新された位置情報データベース222と部屋情報データベース223に基づいて、表示部25に表示される地図画面を更新する(Sb14)。
以上が、測位時の動作についての説明である。
なお、上記のステップSb10において支援装置1は、端末装置2Aと同じフロアに存在する端末装置2に対してのみ更新データを送信するようにしてもよい。
1−4−3.探索完了時の動作
図7は、端末装置2Aを携帯する自衛消防隊員によってある部屋の探索が完了した際に実行される支援システム100の動作の一例を示すシーケンス図である。本動作では、端末装置2Aを携帯する隊員によって探索が完了した部屋の情報が、支援装置1を介して端末装置2Bを携帯する隊員に共有される。
図4に例示される地図画面が表示部25に表示させている状態において、端末装置2Aを携帯し隊員表示S1で示された自衛消防隊員が部屋R3の探索を完了し、タッチパネル241上でこの部屋R3をタップする選択操作を行うと(Sc1)、探索場所特定部211は、その操作位置に基づいて、選択操作された部屋R3の部屋IDを取得する。上記タップは、タッチパネル241上で選択操作部分を1回叩く一般のタップに加え、当該部分を長押しするロングタップ、当該部分を2回叩くダブルタップ等、他の操作であってもよい。探索場所特定部211により部屋IDが取得されると、端末装置2Aの記憶制御部214は、部屋情報データベース223において、その部屋IDと対応づけられる探索状況情報を探索完了に更新する(Sc2)。このとき更新された情報は、自機の前記探索場所特定部211が取得した部屋IDに基づいて探索が完了したと判断された探索完了区画情報を蓄積した第1の探索履歴情報に相当する。そして、端末装置2Aの表示制御部215は、その更新された部屋情報データベース223に基づいて、表示部25に表示される地図画面を更新する(Sc3)。この更新の結果、例えば、部屋情報データベース223において部屋R3に対応づけられる探索状況情報が探索完了に更新された場合には、自機を携帯する自衛消防隊員によって残留者の探索が完了した場所を特定するための第1の表示情報として、部屋R3が網掛けで表示される地図画面が表示される。
また、端末装置2Aの通知部212は、その取得された部屋IDを含む探索完了報告を支援装置1に対して送信する(Sc4)。この探索完了報告を受信した支援装置1の記憶制御部114は、その探索完了報告に応じて部屋情報データベース124を更新する(Sc5)。具体的には、部屋情報データベース124において、受信した部屋IDと対応づけられる探索状況情報に探索完了を記憶し、更新する。なお、この際すでに探索状況情報が探索完了となっている場合には、更新を省略する。どの端末装置2が探索を完了させたかを区別する場合、ステップSc2、Sc5で記憶させる探索状況情報、ステップSc4で送信する探索完了報告は、端末IDと関連付けるようにする。このようにすることにより、端末装置2は、探索状況情報に関連付けられて記憶される端末IDに基づいて、探索完了となった部屋を探索した端末装置2が自機2Aであるか、自機2A以外であるかを識別できるように異なった態様で表示することが可能となる。
上記のようにデータベースの更新が完了すると、支援装置1の通知部113は、当該データベースの更新データを端末装置2Bに対して送信する(Sc6)。具体的には、上記の部屋IDと、上記更新された探索状況情報とを送信する。更新データを受信した端末装置2Bの記憶制御部214は、その更新データに基づいて部屋情報データベース223を更新する(Sc7)。具体的には、部屋情報データベース223において、受信した部屋IDと対応づけられる探索状況情報を探索完了に更新する。このように端末装置2Aによって探索が完了した部屋に関して更新された情報は、端末装置2Bでは、自機以外の端末装置による探索が完了したと判断された探索完了区画情報としての第2の探索履歴情報に相当する。そして、端末装置2Bの表示制御部215は、その更新された部屋情報データベース223に基づいて、表示部25に表示される地図画面を更新する(Sc8)。この更新の結果、端末装置2Bで表示される地図画面では、自機以外を携帯する自衛消防隊員によって残留者の探索が完了した場所を特定するための第2の表示情報として、部屋R3が網掛けで表示される。どの端末装置2が探索を完了させたかを区別する場合、ステップSc2、Sc5、Sc7で記憶させる探索状況情報、ステップSc4で送信する探索完了報告、ステップSc6で送信する更新データは、端末IDと関連付けるようにする。このようにすることにより、端末装置2は、探索状況情報に関連付けられて記憶される端末IDに基づいて、探索完了となった部屋を探索した端末装置が自機2Bであるか、自機2B以外であるかを識別できるように異なった態様で表示することが可能となる。
以上が、探索完了時の動作についての説明である。このようにすることにより、端末装置を携帯する自衛消防隊員は、建物内の残留者を探索する際に自身の位置や探索の状況を把握でき、パニックに陥ることなく、同一の場所の探索の重複や探索漏れを防止することができる。
なお、端末装置2Aの探索場所特定部211が部屋R3の部屋IDを取得することに代えて、端末装置2Aで取得した位置情報に基づいて支援装置1が探索完了と判断し、この情報に基づいて端末装置2Aの表示部25に表示される地図画面を更新するようにしてもよい。この場合、上記ステップSc2では、部屋情報データベース223を更新することに代えて、測位部26に位置情報を取得させる。さらに、上記ステップSc3では、画面251を更新することに代えて、探索場所特定部211に測位部26が取得した位置情報を取得させる。さらに、上記ステップSc4で送信する探索完了報告は、部屋IDを送信することに代えて、探索場所特定部211が取得した位置情報を送信するようにする。そして、上記ステップSc5では、探索完了した部屋IDを含む探索完了報告に基づいて部屋情報データベース124を更新することに代えて、地図情報データベース122を参照し、受信した探索完了報告で示された位置情報に基づいて探索が完了した部屋を特定して当該部屋IDを取得し、部屋情報データベース124において、当該部屋IDと対応づけられる探索状況情報を探索完了に更新する。さらに、上記ステップSc6では、端末装置2Bへ更新データを送信することに加えて、端末装置2Aにも更新データを送信する。そして、この更新データを受信した端末装置2Aは、この更新データを受信した端末装置2Bと同様に、部屋情報データベース223を更新し(ステップSc7と同等)、その更新された部屋情報データベース223に基づいて、表示制御部215が表示部25に表示される地図画面を更新するようにする(ステップSc8と同等)。このようにすることにより、端末装置2Aでのタップ位置に関係無く正しい部屋の表示が更新されるので、端末装置2Aでの誤操作で誤った部屋の探索完了報告がされてしまう事態が回避される。さらに、上記の選択操作の操作位置に基づいて、ステップSc3では、位置情報に加えて選択操作された部屋R3の部屋IDを取得し、ステップSc4で、これらを関連付けて探索完了報告として支援装置1へ送信するようにしてもよい。この探索完了報告を受信した支援装置1は、地図情報データベース122を参照し探索完了報告の位置情報に基づいて対応する部屋を特定して部屋IDを特定し、これと探索完了報告の部屋IDとが一致する場合に受け付けるようにする。このようにすれば、まだ探索のために入室すらしていないにもかかわらず、誤操作によって探索完了報告が支援装置1に送信されてしまうといった事態が回避される。また、端末装置2の地図情報データベース221に、部屋ごとの領域を記憶するようにしておくと、探索完了報告を行う端末装置2A自体で、タップ位置の誤操作による誤った探索完了報告を防止することができる。すなわち、上記のステップSc1において、位置情報を取得することによって地図情報データベース221を参照して特定した端末装置2Aが存在する部屋(すなわち、その枠線が破線で表示されている部屋)についてのみタップ操作を受け付けるようにしておくとよい。このようにしても、まだ探索のために入室すらしていないにもかかわらず、誤操作によって探索完了報告が支援装置1に送信されてしまうといった事態が回避される。
また、上記のステップSc1では、自衛消防隊員がタッチパネル241上で部屋をタップする選択操作を行うことにより、探索が完了した部屋が特定されているが、隊員による明示的な操作がなくても、隊員が部屋を退出したことや、入室したことを検出することにより、自動的に当該部屋の探索が完了したと判断するようにしてもよい。この場合、例えば、上記の図6に示される探索活動時の測位動作において、ステップSb8で更新される隊員情報データベース121の滞在場所情報が、前回測位時に更新された滞在場所情報と部屋IDが異なっている場合に、更新前の部屋IDに示される部屋に対する探索が完了したものと判断するようにしてもよい。また、例えば、入退室管理システムで自衛消防隊員が入退室した部屋の情報を検出し、その情報を支援装置1が管理装置4を介して取得すると、支援装置1が当該部屋の探索が完了したものと判断するようにしてもよい。また、例えば、上記ステップSc1において、端末装置2の測位部26が、建物の各部屋に設けたRFIDタグ等の電子タグ、Bluetooth(登録商標)等のNFC(近距離無線通信)や非接触型ICカードの端末等より区画情報としての部屋IDを取得するようにし、取得した部屋IDについて上記ステップSc4において探索完了報告を自動的に送出するようにしてもよい。そして、上記のように、自衛消防隊員の入退室した部屋の情報に基づいて、上記のステップSc1〜Sc4を実行することなく、この部屋IDを上記のステップSc5において探索が完了した部屋を示すものとして取得し、部屋情報データベース124の探索状況情報を探索完了とする。
また、上記のステップSc6において支援装置1は、端末装置2Aと同じフロアに存在する端末装置2に対してのみ更新データを送信するようにしてもよい。
1−4−4.防火戸の閉鎖確認時の動作
図8は、端末装置2Aを携帯する自衛消防隊員によってある防火戸の閉鎖確認が行われた際に実行される支援システム100の動作の一例を示すシーケンス図である。本動作では、端末装置2Aを携帯する隊員によって閉鎖確認が完了した防火戸の情報が、支援装置1を介して端末装置2Bを携帯する隊員に共有される。
図4に例示される表示部25に表示させている地図画面には、自衛消防隊による閉鎖確認の対象となる防火戸の位置を示す第5の表示情報が建物における場所を示すように表示されている。この状態において、端末装置2Aを携帯し隊員表示S1で示された自衛消防隊員が防火戸D1の閉鎖確認を行い、タッチパネル241上でこの防火戸D1をタップする選択操作を行うと(Sd1)、探索場所特定部211は、その操作位置に基づいて、選択操作された防火戸D1の防火戸IDを取得する。上記タップは、タッチパネル241上で選択操作部分を1回叩く一般のタップに加え、当該部分を長押しするロングタップ、当該部分を2回叩くダブルタップ等、他の操作であってもよい。探索場所特定部211により防火戸IDが取得されると、端末装置2Aの記憶制御部214は、防火戸情報データベース224において、その防火戸IDと対応づけられる閉鎖確認状況を確認済みに更新する(Sd2)。そして、端末装置2Aの表示制御部215は、その更新された防火戸情報データベース224に基づいて、表示部25に表示される地図画面を更新する(Sd3)。この更新の結果、自衛消防隊による閉鎖確認が完了した防火戸の位置を示す第6の表示情報を第5の表示情報とは異なる態様で、建物における場所を示すように表示部25に地図表示させる。例えば、防火戸情報データベース224において防火戸D1に対応づけられる閉鎖確認状況が確認済みに更新された場合には、防火戸D1が太い実線で表示される地図画面が表示される。
また、端末装置2Aの通知部212は、その取得された防火戸IDを含む閉鎖確認報告を支援装置1に対して送信する(Sd4)。この閉鎖確認報告を受信した支援装置1の記憶制御部114は、その閉鎖確認報告に応じて防火戸情報データベース125を更新する(Sd5)。具体的には、防火戸情報データベース125において、受信した防火戸IDと対応づけられる閉鎖確認状況を確認済みに更新する。なお、この際すでに閉鎖確認状況が確認済みとなっている場合には、更新を省略する。
上記のようにデータベースの更新が完了すると、支援装置1の通知部113は、当該データベースの更新データを端末装置2Bに対して送信する(Sd6)。具体的には、上記の防火戸IDと、上記更新された閉鎖確認状況情報とを送信する。更新データを受信した端末装置2Bの記憶制御部214は、その更新データに基づいて防火戸情報データベース224を更新する(Sd7)。具体的には、防火戸情報データベース224において、受信した防火戸IDと対応づけられる閉鎖確認状況を確認済みに更新する。そして、端末装置2Bの表示制御部215は、その更新された防火戸情報データベース224に基づいて、表示部25に表示される地図画面を更新する(Sd8)。この更新の結果、端末装置2Bで表示される地図画面でも、例えば防火戸D1が太い実線で表示される。どの端末装置2が閉鎖確認したかを区別する場合、ステップSd2、Sd5、Sd7で記憶させる閉鎖確認状況、ステップSd4で送信する閉鎖確認報告、ステップSd6で送信する更新データは、端末IDと関連付けるようにする。このようにすることにより、端末装置2は、閉鎖確認状況に関連付けられて記憶される端末IDに基づいて、閉鎖確認済みとなった防火戸の閉鎖を確認した端末装置2が自機2Bであるか、自機2B以外であるかを識別できるように異なった態様で表示することが可能となる。
また、上記のステップSd6において支援装置1は、端末装置2Aと同じフロアに存在する端末装置2に対してのみ更新データを送信するようにしてもよい。
なお、上記のステップSd1におけるタッチパネル241上のタップに基づく閉鎖確認報告は、端末装置2Aから所定の範囲内に位置する防火戸の閉鎖確認報告についてのみ受け付けるようにしてもよい。例えば、端末装置2Aの探索場所特定部211は、タッチパネル241上でタップされた防火戸D1の防火戸IDを取得するとともに測位部26より位置情報を取得し、上記ステップSd4において、取得した位置情報を含めて閉鎖確認報告を行う。そして、この閉鎖確認報告を受信した支援装置1は、地図情報データベース122を参照して、閉鎖確認報告された防火戸IDで示される防火戸D1と端末装置2Aの位置情報とに基づいて、両者の距離が所定の範囲内である場合に限って上記閉鎖確認報告を受け付け、ステップSd5で防火戸情報データベース125を更新するようにする。端末装置2Aは、ステップSd2、Sd3を実行せず、支援装置1が更新された防火戸情報データベース125に基づいて端末装置2Bへ向けて送信する更新データを、端末装置2Aもともに受信することによって、防火戸情報データベース224を更新し、更新された情報に基づいて表示部25の地図画面を更新するようにする。このようにすれば、まだ閉鎖確認を行っていないにもかかわらず、誤操作によって閉鎖確認完了報告が支援装置1に送信されてしまうといった事態が回避される。また、上記ステップSd1において、端末装置2の測位部26が、防火戸D1に設けたRFIDタグ等の電子タグ、Bluetooth(登録商標)等のNFC(近距離無線通信)や非接触型ICカードの端末等より防火戸IDを直接取得するようにしてもよい。そして、取得した防火戸IDについて上記ステップSd4において閉鎖確認報告を自動的に送出するようにしてもよい。このようにすれば、防火戸に接近しない限り閉鎖確認報告することができないので、まだ閉鎖確認を行っていないにもかかわらず、誤操作によって閉鎖確認完了報告が支援装置1に送信されてしまうといった事態が回避される。
以上が、防火戸の閉鎖確認時の動作についての説明である。このようにすることにより、端末装置を携帯する自衛消防隊員は、閉鎖確認を要する防火戸や防火戸の閉鎖確認状況を把握でき、パニックに陥ることなく、防火戸の閉鎖確認の重複や確認漏れを防止することができる。なお、防火戸閉鎖確認は、先に述べた探索活動と並行して行われるようにしてもよい。
1−4−5.応援要請の要否判断時の動作
図9は、支援装置1において実行される、探索活動中の自衛消防隊員に対する応援の要請の要否を判断するための動作の一例を示すフローチャートである。本動作では、各隊員が一定の場所に滞在する時間を計測し、その計測時間が長時間となる場合には現場で何らかの事件が発生しているものと判断し、現場からの応援要請がなくとも他の隊員を応援に派遣する。上記事件としては、例えば、当該自衛消防隊員自身に何らかの障害が発生している、要救援残留者を発見し当該自衛消防隊員が移動できない事情が発生している、などが考えられる。本動作は、端末装置2ごとに実行され、例えば、探索活動時の最初の測位を契機として実行される。以下の説明では、端末装置2Aを携帯する隊員に対する応援の要否を判断する場合について説明する。
支援装置1の計測部115は、上記の図6に示されるステップSb8において、端末装置2Aの端末IDと部屋IDの組が端末装置2ごとの滞在場所としてRAMに格納されると、計時を開始する(Se1)。計時開始後、支援装置1の第2判断部116は、端末装置2Aを携帯する自衛消防隊員の滞在場所が変化したか否かを判断する(Se2)。具体的には、RAMにおいて当該端末装置2Aの端末IDと対応づけられている部屋IDが、隊員情報データベース121において当該装置の端末IDと対応づけられている部屋IDと異なるか否かを判断する。
この判断の結果、滞在場所が変化していた場合には(Se2のYES)、支援装置1の記憶制御部114は、RAMにおいて端末IDと対応づけられている部屋IDを更新し(Se8)、計測部115は計時値をリセットして計時を再開する(Se7)。一方、この判断の結果、滞在場所が変化していない場合には(Se2のNO)、第2判断部116は、所定の設定時間が経過したか否かを判断する(Se3)。具体的には、計測部115の計時値が所定の設定時間を超えているか否かを判断する。この所定の設定時間は、部屋の大きさや構造等によって、巡回するなど探索に要する時間が部屋ごとに異なると考えられることから、部屋(具体的には部屋ID)ごとに探索に要すると想定される時間の最大値として予め決定されて登録しておくようにしてもよい。
この判断の結果、所定の設定時間が経過していない場合には(Se3のNO)、処理はステップSe2に戻る。一方、この判断の結果、所定の設定時間が経過した場合には(Se3のYES)、支援装置1の要請部117は、応援の要請先を特定する(Se4)。具体的には、例えば、隊員情報データベース121に記憶される滞在場所情報を参照して、端末装置2Aと同じフロアに存在する端末装置2を特定する。要請先の特定後、要請部117は、特定された端末装置2の通信アドレスや端末ID等に対して応援要請を送信する(Se5)。この応援要請には、例えば、端末装置2Aを携帯する自衛消防隊員の探索活動に対する応援を要請するメッセージと、当該隊員の滞在場所を示す情報とが含まれる。この応援要請の送信後、再び当該隊員の滞在場所が変化するまで計測部115の計時は維持し(Se6のNO)、当該隊員の滞在場所が再び変化した場合は(Se6のYES)計時値をリセットして計時を再開する(Se7)。
以上が、応援要請の要否判断時の動作についての説明である。
以上説明した動作によれば、応援が必要と判断される人員に対する応援を自動的に他の人員に要請することができる。
なお、上記のステップSe2において、当該端末装置2Aの端末IDと対応づけられてRAMに記憶された滞在場所が部屋IDではなく位置情報で示される場合、当該位置情報が、位置情報データベース123において当該装置の端末IDと対応づけられている最新の位置情報と所定距離以上異なるか否かを判断するようにする。また、上記のステップSe4において特定される要請先は、端末装置2Aと同じフロアに存在する端末装置2に限られない。例えば、端末装置2Aの最も近くに位置する端末装置2であってもよいし、建物内に存在する全ての端末装置2であってもよい。このとき、移動困難者が残留しているフロアの端末装置2を要請先の特定対象から外すようにしてもよい。また、上記のステップSe6において、応援対象の端末装置2の滞在場所が移動したことによらず、応援にかけつけた自衛消防隊員が携帯する端末装置2から、応援完了等の情報が入ることによってステップSe7での計時値のリセットへ進むようにしてもよい。
2.変形例
上記の実施形態は下記のように変形してもよい。また、下記の変形例は他の1以上の変形例と組み合わせてもよい。
2−1.変形例1
上記の実施形態では、端末装置2の測位部26は、例えば、無線アクセスポイントからの電波に基づいて位置情報を取得していたが、これに限るものではない。例えば測位部26は、建物内に複数配設された無線アクセスポイントに代えて、建物内に複数配設された、電波、超音波等の音波、赤外線等の光等の放射ポイントから受信される、識別情報、放射強度あるいは信号位相差、等に基づいて3点測位等により位置情報を取得してもよい。あるいは、測位部26は、擬似衛星GPS(Global Positioning System)(スードライト)や、GPSリピータや、IMES(Indoor Messaging System)等の測位システムを利用して位置情報を取得してもよい。あるいは、測位部26は、建物に配設された、QRコード(登録商標)等の受動的光学標識、音波や光、あるいは、RFIDタグやBLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)等電波を利用した電子標識や近接無線通信装置(NFC装置)によって、その配設場所の位置情報を電子標識やNFC装置から取得するようにしてもよい。また、このような電子標識やNFC装置が固有の識別子を備えるようにし、測位部26が上記識別子を取得し、予め登録しておいた電子標識やNFC装置の識別子ごとの位置情報を示すデータベースを参照して、位置情報を取得するようにしてもよい。あるいは、これらの測位技術によって出発地点のみ位置情報を取得し、その後は端末装置2に備わる加速度センサとジャイロセンサを用いた慣性航法等の自律航法により位置情報を取得するようにしてもよい。また、上記自律航法に建物内の要所に配設した上記電子標識や上記NFC装置を併用し、自律航法で生ずる位置情報の誤差を電子標識やNFC装置に基づいて補正するようにしてもよい。あるいは、上記電子標識や上記NFC装置が入退室管理システムの端末であって、測位部26が入退室信号を取得したり、測位部26から端末装置2の端末IDを取得させたりし、管理装置4と支援装置1とを介して入退室管理システムから位置情報を取得するようにしてもよい。また、位置情報を取得することに代えて、端末装置2の測位部26が、建物の各部屋に設けたRFIDタグ等の電子タグ、Bluetooth(登録商標)等のNFC(近距離無線通信)や非接触型ICカードの端末等より区画情報としての部屋IDを取得し、これを探索場所情報としてもよい。この場合、上記実施形態において位置情報を部屋IDと読み換える。例えば、支援装置1の第1判断部112は、受付部111により端末装置2から受け付けられた探索場所情報としての部屋IDを、探索活動が進行中である区画を示す探索進行中区画情報とすればよい。上記部屋IDは、探索対象の区画情報の一例である。また、探索対象の部屋が、障害物や広さのため探索に巡回を要するような部屋でなかった場合は、受け付けられた探索場所情報としての部屋IDについて、探索完了としてもよい。また、探索場所情報としての部屋IDを奇数回受け付けた場合は入室したものと判断して探索進行中とし、偶数回受け付けた場合は退室したものとして探索完了とするようにしてもよい。また、端末装置2が位置情報又は区画情報を取得することに代えて、個人を識別可能な入退室管理システムの入退室情報を管理装置4から支援装置1が取得し、支援装置1がこの入退室情報に基づいて、隊員情報データベース121と照合して該当する端末装置2を抽出し、当該端末装置2に対して通知部113より通信部13、通信回線5を介して区画情報としての部屋IDを通知し、当該端末装置2の受付部213がこれを受け付けて探索場所情報としてもよい。
2−2.変形例2
上記の実施形態では、図4に例示されるように、防火対象物として室内を容易に視認できる複数の区画としての部屋を有する建物を想定しているが、体育館やドーム型競技場等の大きな区画としての空間を有する建物やパーティション等によって室内を一望できないような区画としての部屋を有する建物を防火対象物として想定してもよい。この場合、1つの区画を複数の小区画に分割し、これら複数の小区画をすべて巡回したことを検出することを以って、当該区画の探索が完了したと判断するようにしてもよい。端末装置2の記憶制御部214は、すべての小区画の区画情報が取得されて探索完了となるまでは、当該区画情報を第3の探索履歴情報として記憶部22に記憶させる。具体的には、当該区画情報を探索状況情報「探索進行中」とともに部屋情報データベース223に記憶する。そして、すべての小区画の区画情報が取得されて探索完了となると、当該区画情報群を探索状況情報「探索完了」とともに部屋情報データベース223に記憶する。また、残留者の探索対象の単位となる区画には、部屋に限られず、廊下や、ホールや、アトリウムや、階段室や、エレベータ等も含まれてもよい。
2−3.変形例3
上記の実施形態では、それぞれ端末装置2を携帯する複数の自衛消防隊員により残留者の探索活動を行うことを想定しているが、探索活動は1人の自衛消防隊員により行われてもよい。この場合、他の自衛消防隊員による探索活動の履歴は、表示部25に表示される地図画面に反映されることはなく、自身が行った探索活動の履歴のみが地図画面に反映されることになる。このようにすることによっても、端末装置を携帯する自衛消防隊員は、建物内の残留者を探索する際に自身の位置や探索の状況を把握でき、パニックに陥ることなく、同一の場所の探索の重複や探索漏れを防止することができる。
2−4.変形例4
上記の実施形態では、感知手段が感知する異状とは火災やガス漏れであったが、他の異状を感知するようにしてもよい。また、上記の実施形態では、支援装置1が受信機3から異状信号を受信したことを契機として支援装置1から端末装置2に対して初動情報が送信されているが、地震の発生やテロ予告等の他のイベントの発生を契機として、当該イベントについて通知する初動情報が端末装置2に対して送信されてもよい。つまり、建物からの避難を要するあらゆる事態を対象とすることができる。このような場合、支援装置1の受付部111が、受信機3または受信機3以外から異状信号以外の出動要請を受け付けるようにし、受付部111が出動要請を受け付けたとき、通知部113より各端末装置2へ初動情報を通知するようにすればよい。
2−5.変形例5
上記の実施形態に係る測位時の動作のステップSb7において、対応する部屋IDに関して探索状況情報を「探索進行中」とすることに代えて、探索状況情報を「探索完了」とし、部屋情報データベース124に記憶するようにしてもよい。すなわち、自衛消防隊員が部屋に入室したことが確認された時点で、その部屋の探索が完了したとの判断が行われてもよい。この場合、後述する図7に示される探索完了時の動作は省略されてもよい。
この変形例が採用された場合、支援装置1の第1判断部112は、受付部111により端末装置2から受け付けられた探索場所情報に基づいて、探索活動が完了した区画を示す探索完了区画情報(具体的には、部屋ID)を特定する。すなわち、探索活動が完了した区画(具体的には、部屋)を判断する。
2−6.変形例6
上記の実施形態に係る測位時の動作では、端末装置2Aにおいて生成された位置情報に基づいて支援装置1の側で当該装置が存在する部屋の部屋IDを特定しているが、当該装置が存在する部屋の部屋IDは当該装置の側で特定されてもよい。例えば、当該装置を携帯する自衛消防隊員による操作に基づいて特定されてもよい。この場合、上記の図6におけるステップSb1において、上記の図7に示されるステップSc1のように、自衛消防隊員によりタッチパネル241上で選択された部屋の部屋IDを取得し、ステップSb2では取得した部屋IDを探索場所情報として位置情報データベース222に記憶し、ステップSb4でこれを支援装置1に送信するようにしてもよい。このようにすれば、測位部26を備えなくても、端末装置2Aの現在地について複数の端末装置2間で共有することができる。
なお、この場合にも、上記のステップSb7において、特定した部屋IDと関連付けて探索状況情報を「探索完了」とするように部屋情報データベース223に記憶することで、自衛消防隊員が部屋に入室したことが確認された時点で、その部屋の探索が完了したと判断するようにしてもよい。
この変形例が採用された場合、端末装置2は、探索場所特定部211により取得された位置情報に基づいて、探索活動が完了した区画を示す探索完了区画情報(具体的には、部屋ID)を特定する判断部を備えることになる。この判断部は、探索活動が完了した区画(具体的には、部屋)を判断する。この場合、端末装置2Aの通知部212は、この判断部により特定された部屋IDを、通信部23を介して支援装置1に通知する。支援装置1の通知部113は、受付部111により端末装置2Aから受け付けられた部屋IDを、通信部13を介して端末装置2Bに通知する。また、端末装置2Bの受付部213は、支援装置1から通知される他の端末装置2の判断部により特定された部屋IDを、通信部23を介して受け付ける。
2−7.変形例7
上記の実施形態では、端末装置2の側で各種データベースに基づいて地図画面が生成されて表示されているが、地図画面の生成を支援装置1の側で行い、端末装置2ではただ単に支援装置1から提供される表示情報を表示するだけの構成を採用してもよい。例えば、支援装置1をWebサーバとして機能させ、端末装置2の側では、Webブラウザによって支援装置1から取得された地図画面を示すWebページを表示する構成としてもよい。この場合、端末装置2が記憶部22に備える防災支援アプリは、支援装置1からプッシュ通知される初動情報に基づいて、所定(URL)のWebページを取得するようにWebブラウザを起動するようにしておく。また、記憶部22の地図情報データベース221、位置情報データベース222、部屋情報データベース223、防火戸情報データベース224を備える必要はない。これらに代えて、支援装置1の記憶部12に備わる隊員情報データベース121、地図情報データベース122、位置情報データベース123、部屋情報データベース124、防火戸情報データベース125の情報に基づいて、通知部113が端末装置2のWebブラウザが取得する複数のWebページ情報を生成するようにする。なお、通知部113は、要請部117が応援要請する端末装置2のWebページ情報に応援要請を行う情報を生成するようにする。そして、端末装置2は、これら複数のWebページのうち、予め定められた、又は、初動情報で与えられた所定(URL)のWebページの情報を取得してRAMに記憶し、表示制御部215が表示部25に表示させる。これらのWebページは、端末装置2からのアクセスに対して、通信部13を介して端末装置2のWebブラウザに情報を取得させるようにする。このような構成を採用することにより、防災支援アプリを、所定Webページを開くようにWebブラウザを起動するだけの簡単な構成とすることができ、標準装備されているWebブラウザを利用することができ、端末装置2の構成は簡易なものとできる。
2−8.変形例8
上記の実施形態では、残留者の探索が完了した部屋は、端末装置2に表示される地図画面において網掛けで表示されることで、当該部屋の探索が完了したことが識別可能となっている。しかし、必ずしも部屋ごとに探索完了/未完了が識別可能な表示となっていなくても、探索活動を行う自衛消防隊員の移動の軌跡が分かれば、探索状況を把握し、探索が完了している部屋を知ることができる。そこで、上記の実施形態において、探索が完了した部屋を地図画面において網掛けで表示せずに、代わりに自衛消防隊員の移動の軌跡を地図画面に表示するようにしてもよい。
この変形例を採用した場合、端末装置2の記憶制御部214は、探索場所特定部211により取得された位置情報を時系列に蓄積し、第1の探索履歴情報として記憶部22の位置情報データベース222に記憶させる。また、支援装置1の通知部113は、端末装置2ごとの位置情報を端末装置2へ通信部13を介して順次送信し、これを受付部213により受け付けた端末装置2の記憶制御部214は、他の端末装置2の探索場所特定部211により取得された位置情報を時系列に蓄積し、第2の探索履歴情報として記憶部22の位置情報データベース222に記憶させる。そして、位置情報データベース222に記憶される位置情報に基づいて、残留者の探索が完了した場所を特定するための表示情報として自衛消防隊員の移動の軌跡を、建物における場所を示すように表示制御部215は表示部25に地図表示させる。この場合、端末装置2の表示制御部215により表示される第1の表示情報は、例えば、地図画面に表示される当該装置の移動の軌跡に相当する。また、端末装置2の表示制御部215により表示される第2の表示情報は、例えば、地図画面に表示される、他の端末装置2の移動の軌跡に相当する。なお、移動の軌跡自体が探索状況を表すので、部屋情報データベース223に探索状況情報を記憶する必要はない。また、支援装置1の部屋情報データベース124にも探索状況情報を記憶しなくてもよい。
2−9.変形例9
上記の実施形態では、支援装置1が各端末装置2からの情報を集約し、支援装置1を介して端末装置2間で情報の共有が図られているが、支援装置1で情報を集約することなく、端末装置2間で情報の共有を図ってもよい。このとき、端末装置2は、中継装置としての支援装置1を介して、あるいは、支援装置1を介することなく、情報を共有してもよい。例えば、端末装置2は、通信回線5を介して、あるいはアドホック通信によって互いに通信し、P2P(peer-to-peer)を利用して端末装置2間で通信するようにしてもよい。
この変形例を採用した場合、端末装置2の記憶部22は、上記実施形態で支援装置1の記憶部12が備える隊員情報データベース121と同等の隊員情報データベース(図示せず)を備え、さらに、位置情報データベース222を支援装置1の位置情報データベース123と、地図情報データベース221を支援装置1の地図情報データベース122と、それぞれ同等のものとする。また、探索場所特定部211が取得した探索場所情報と地図情報データベース221に記憶された各部屋の領域情報とに基づいて、滞在場所としての部屋IDを特定する、支援装置1の第1判断部112と同等の第1判断部(図示せず)を備える。すなわち、探索場所特定部211が取得した探索場所情報に基づいて、探索が完了した区画としての部屋を判断する第1判断部を備える。また、図示しない隊員情報データベースに記憶される他の自衛消防隊員の滞在場所情報に基づいて、端末IDごとに同じ滞在場所に留まっている時間を計測する、支援装置1の計測部115と同等の計測部(図示せず)と、支援装置1の要請部117と同等の要請部(図示せず)とを備えるようにしてもよい。この場合、この計測部の計測値が所定時間を超えたときに、応援要請を行う端末装置2を選択して、上記要請部より応援を要請させる、支援装置1の第2判断部116と同等の第2判断部(図示せず)も備えるようにする。すなわち、上記計測部により計測された時間が所定の閾値を超えた場合に、当該端末装置2を携帯する人員の活動に対する応援要請を、複数の端末装置2のうちの当該端末装置2以外の端末装置2に送信する要請部を備える。つまり、端末装置2は、上記の実施形態の支援装置1に備わる機能を、すべて備えるようにする。そして端末装置2の、上記隊員情報データベース、上記地図情報データベース、上記位置情報データベース、上記部屋情報データベース、上記防火戸情報データベースをすべての端末装置2間で同期させる。
なお、この変形例を採用した場合、上記の実施形態と同様に、異状情報を受信した支援装置1がすべての端末装置2に対して初動情報をプッシュ通知するようにしてもよい。また、異状信号や出動要請を受け付けて、プッシュ通知用サーバに対して初動情報をプッシュ通知させる送信手段を受信機3等に備えるようにしてもよい。また、上記地図情報データベースと、上記隊員データベースの滞在場所情報以外の情報と、を一元的に管理させるためのファイルサーバを通信回線5上に備え、このファイルサーバ上の情報に、端末装置2の情報を同期させて管理するようにしてもよい。このようにすることにより、間仕切り変更等による地図情報の変更や、隊員交代等による隊員情報変更が発生しても、端末装置2ごとに更新せず、ファイルサーバの情報更新だけで済ますことができる。