JP2016181344A - 絶縁電線 - Google Patents

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秀仁 花輪
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泰弘 船山
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Abstract

【課題】部分放電開始電圧を向上させながらもコイル成形加工時に機械的特性の低下や巻き太りが発生することが無く、しかも部分放電劣化を原因とする絶縁層の侵食を抑制することが可能な絶縁電線を提供する。
【解決手段】第一絶縁層102は、誘電率が3.8未満である低誘電率ポリエステルイミド樹脂、誘電率が4.0未満である低誘電率ポリアミドイミド樹脂、又は誘電率が3.2未満である低誘電率ポリイミド樹脂の何れか一種を主成分とする低誘電率絶縁塗料が塗布焼付されて形成されており、第二絶縁層103は、ポリエステルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、又はポリイミド樹脂の何れか一種を主成分とすると共に無機微粒子を副成分とする耐部分放電性絶縁塗料で形成されている絶縁電線100である。
【選択図】図1

Description

本発明は、モータのコイルを作製するための絶縁電線に関する。
従前より、モータの高効率可変速電圧制御装置としてインバータが使用されているが、インバータはキロヘルツ単位のスイッチング周波数で動作する高速スイッチング素子によって制御されているため、インバータによる電圧印加に際しては不可避的にインバータサージ電圧が発生することになる。
特に、近年は、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(Insulated Gate Bipolar Transistor;IGBT)、炭化珪素[SiC]半導体素子、及び窒化ガリウム[GaN]半導体素子等からなる高速スイッチング素子の開発が進められており、インバータ出力電圧の立ち上がり時間が以前よりも大幅に短縮されているため、インバータ出力電圧とインバータサージ電圧とが重畳されることにより、最大でインバータ出力電圧の二倍程度の高電圧が発生することがある。
モータのコイルを作製するための絶縁電線としては、導体の周囲に絶縁層が被覆されている絶縁電線が使用されているが、絶縁電線においては、インバータサージ電圧の影響によって絶縁層の表面で部分放電が発生し、部分放電の発生に伴う部分放電劣化を原因として絶縁層が侵食されるため、最終的に絶縁破壊が引き起こされることになる。
部分放電劣化に関する対策として、例えば、ポリエステルイミド樹脂(PEI)、ポリアミドイミド樹脂(PAI)、又はポリイミド樹脂(PI)の何れか一種を主成分とすると共に無機微粒子を副成分とする耐部分放電性絶縁塗料で形成されている絶縁層によって導体の周囲が被覆されている耐部分放電性絶縁電線を採用することにより、部分放電劣化を原因とする絶縁層の侵食を抑制して絶縁電線の課電寿命を向上させることが考えられる(例えば、特許文献1,2を参照)。
また、部分放電開始電圧(Partial Discharge Inception Voltage;PDIV)を向上させることにより、部分放電の発生を抑制して絶縁電線の課電寿命を向上させることが考えられる(例えば、特許文献3から5を参照)。部分放電開始電圧を向上させる方法としては、絶縁層の層厚を厚くする方法や絶縁層の誘電率を低くする方法が知られている。但し、前者に関しては、部分放電開始電圧を向上させることができるが、コイル成形加工時に機械的特性の低下や巻き太りが発生することが懸念されている。
特開2000−331539号公報 特開2004−204187号公報 特開2010−132725号公報 特開2010−189510号公報 特開2012−195290号公報
最近は、モータの小型化が進められており、絶縁層がコイル成形加工時に以前よりも大きく伸長されたり摩耗されたり屈曲されたりするため、絶縁層が受ける加工ストレスの増大に伴って更に部分放電が発生する虞が高くなっている。
また、ハイブリッド電気自動車や電気自動車においては、温度や湿度の他、高地走行による気圧の低下等の環境的要因から部分放電が発生し易い状況となることが想定されている。
これらの事情から、絶縁電線に対する負荷が今まで以上に大きくなっており、モータにおける絶縁設計の重要性が高まっている。
そこで、本発明の目的は、部分放電開始電圧を向上させながらもコイル成形加工時に機械的特性の低下や巻き太りが発生することが無く、しかも部分放電劣化を原因とする絶縁層の侵食を抑制することが可能な絶縁電線を提供することにある。
本発明は、導体と、前記導体の周囲に被覆されている第一絶縁層と、前記第一絶縁層の周囲に被覆されている第二絶縁層と、を備えており、前記第一絶縁層は、誘電率が3.8未満である低誘電率ポリエステルイミド樹脂、誘電率が4.0未満である低誘電率ポリアミドイミド樹脂、又は誘電率が3.2未満である低誘電率ポリイミド樹脂の何れか一種を主成分とする低誘電率絶縁塗料が塗布焼付されて形成されており、前記第二絶縁層は、ポリエステルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、又はポリイミド樹脂の何れか一種を主成分とすると共に無機微粒子を副成分とする耐部分放電性絶縁塗料で形成されている絶縁電線である。
前記第二絶縁層は、100質量部の主成分に対して15質量部以上40質量部以下の副成分が混合されている耐部分放電性絶縁塗料が塗布焼付されて形成されていることが好ましい。
前記第二絶縁層の周囲に被覆されている第三絶縁層を更に備えており、前記第三絶縁層は、誘電率が3.8未満である低誘電率ポリエステルイミド樹脂、誘電率が4.0未満である低誘電率ポリアミドイミド樹脂、又は誘電率が3.2未満である低誘電率ポリイミド樹脂の何れか一種を主成分とする低誘電率絶縁塗料が塗布焼付されて形成されていても構わない。
前記第二絶縁層の周囲に被覆されている滑性層を更に備えていても構わない。
本発明によれば、部分放電開始電圧を向上させながらもコイル成形加工時に機械的特性の低下や巻き太りが発生することが無く、しかも部分放電劣化を原因とする絶縁層の侵食を抑制することが可能な絶縁電線を提供することができる。
第一の実施の形態に係る絶縁電線を示す横断面図である。 第二の実施の形態に係る絶縁電線を示す横断面図である。 第三の実施の形態に係る絶縁電線を示す横断面図である。 第四の実施の形態に係る絶縁電線を示す横断面図である。
以下、本発明の実施の形態を添付図面に順って説明する。
先ず、第一の実施の形態に係る絶縁電線に関して説明する。
図1に示す通り、第一の実施の形態に係る絶縁電線100は、導体101と、導体101の周囲に被覆されている第一絶縁層102と、第一絶縁層102の周囲に被覆されている第二絶縁層103と、を備えている。
導体101は、銅線、アルミニウム線、銀線、ニッケル線、又はニッケル鍍金銅線等の導電率が高い金属線からなることが望ましい。これにより、表皮効果の影響を軽減して表皮効果に起因する交流抵抗の増加を抑制することが可能となる。
また、導体101は、断面形状が横断面視で矩形状に成形されている平角導体からなることが望ましい。これにより、コイル成形加工後におけるコイルの占有体積を縮小させてコイルの小型化に貢献することが可能となる。
第一絶縁層102は、誘電率が3.8未満である低誘電率ポリエステルイミド樹脂、誘電率が4.0未満である低誘電率ポリアミドイミド樹脂、又は誘電率が3.2未満である低誘電率ポリイミド樹脂の何れか一種を主成分とする低誘電率絶縁塗料が塗布焼付されて形成されている必要がある。これにより、第一絶縁層102の低誘電率化を実現して第一絶縁層102における部分放電開始電圧を向上させることが可能となる。
低誘電率ポリイミド樹脂は誘電率が低誘電率ポリエステルイミド樹脂や低誘電率ポリアミドイミド樹脂よりも低いため、導体101の周囲に低誘電率ポリイミド樹脂を主成分とする低誘電率絶縁塗料を塗布焼付して第一絶縁層102を形成することにより、第一絶縁層102における部分放電開始電圧を最大限に向上させることが可能となる。
第二絶縁層103は、ポリエステルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、又はポリイミド樹脂の何れか一種を主成分とすると共に無機微粒子を副成分とする耐部分放電性絶縁塗料で形成されている必要がある。これにより、第二絶縁層103における耐部分放電性を向上させて部分放電劣化を原因とする第二絶縁層103の侵食を抑制することが可能となる。
ポリイミド樹脂は誘電率がポリエステルイミド樹脂やポリアミドイミド樹脂よりも低いため、第一絶縁層102の周囲にポリイミド樹脂を主成分とする耐部分放電性絶縁塗料を塗布焼付して第二絶縁層103を形成することにより、第二絶縁層103における部分放電開始電圧を最大限に向上させることが可能となる。
耐部分放電性絶縁塗料は、ポリエステルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、又はポリイミド樹脂の何れか一種を溶剤に溶解させてなる絶縁塗料中に、シリカ、アルミナ、チタニア、又はジルコニア等の無機微粒子が含まれているオルガノゾルを分散させることによって得られる。
無機微粒子は、平均粒子径が100nm以下であることが望ましく、平均粒子径が30nm以下であることが更に望ましい。無機微粒子の平均粒子径が100nm以下である場合は第二絶縁層103における耐部分放電性を有効に機能させることが可能となるからであり、無機微粒子の平均粒子径が30nm以下である場合はオルガノゾルの透明性や絶縁電線100の可撓性をも向上させることが可能となるからである。
また、第二絶縁層103は、100質量部の主成分に対して15質量部以上40質量部以下の副成分が混合されている耐部分放電性絶縁塗料が塗布焼付されて形成されていることが望ましい。副成分の混合量が15質量部未満である場合は、第二絶縁層103における耐部分放電性を充分に向上させることができないからであり、副成分の混合量が40質量部超である場合は、副成分の混合量が過剰となり、絶縁塗料中における無機微粒子の分散性が失われるため、絶縁塗料中で無機微粒子が凝集して絶縁電線100の機械的特性が著しく低下し、しかも絶縁塗料中における無機微粒子の分散が不均一となるため、第二絶縁層103における耐部分放電性も低下する虞があるからである。
以上の通り、絶縁電線100においては、誘電率が低く部分放電開始電圧が高い第一絶縁層102を耐部分放電性が高く部分放電劣化を原因とする絶縁層の侵食が発生し難い第二絶縁層103で保護しているため、第一絶縁層102で部分放電の発生を抑制すると共に第二絶縁層103で部分放電劣化を原因とする絶縁層の侵食を食い止めることが可能となる。
従って、絶縁電線100においては、絶縁層の層厚を厚くしなくても部分放電開始電圧と耐部分放電性を向上させることができるため、コイル成形加工時に機械的特性の低下や巻き太りが発生することが無い。
次に、第二の実施の形態に係る絶縁電線に関して説明する。
図2に示す通り、第二の実施の形態に係る絶縁電線200は、導体201と、導体201の周囲に被覆されている第一絶縁層102と、第一絶縁層102の周囲に被覆されている第二絶縁層103と、を備えている。
絶縁電線200は、絶縁電線100と比較して、断面形状が横断面視で円形状に成形されている丸形導体からなる導体201を採用している点のみで相違しているが、絶縁電線100と同様の効果を奏することができる。
次に、第三の実施の形態に係る絶縁電線に関して説明する。
図3に示す通り、第三の実施の形態に係る絶縁電線300は、導体101と、導体101の周囲に被覆されている第一絶縁層102と、第一絶縁層102の周囲に被覆されている第二絶縁層103と、第二絶縁層103の周囲に被覆されている第三絶縁層301と、を備えている。
第三絶縁層301は、第一絶縁層102と同様に、誘電率が3.8未満である低誘電率ポリエステルイミド樹脂、誘電率が4.0未満である低誘電率ポリアミドイミド樹脂、又は誘電率が3.2未満である低誘電率ポリイミド樹脂の何れか一種を主成分とする低誘電率絶縁塗料が塗布焼付されて形成されている。
絶縁電線300は、絶縁電線100と比較して、第二絶縁層103の周囲に第三絶縁層301が被覆されている点のみで相違しているが、絶縁電線100と同様の効果を奏することができる。更に、絶縁電線300においては、絶縁電線100と比較して可撓性や耐熱性を向上させることが可能となる。
次に、第四の実施の形態に係る絶縁電線に関して説明する。
図4に示す通り、第四の実施の形態に係る絶縁電線400は、導体101と、導体101の周囲に被覆されている第一絶縁層102と、第一絶縁層102の周囲に被覆されている第二絶縁層103と、第二絶縁層103の周囲に被覆されている滑性層401と、を備えている。
滑性層401は、滑性ポリアミドイミド樹脂を主成分とする滑性絶縁塗料で形成されている。
絶縁電線400は、絶縁電線100と比較して、第二絶縁層103の周囲に滑性層401が被覆されている点のみで相違しているが、絶縁電線100と同様の効果を奏することができる。更に、絶縁電線400においては、絶縁電線100と比較して耐摩耗性を向上させることが可能となる。
以上の通り、本発明によれば、部分放電開始電圧を向上させながらもコイル成形加工時に機械的特性の低下や巻き太りが発生することが無く、しかも部分放電劣化を原因とする絶縁層の侵食を抑制することが可能な絶縁電線を提供することができる。
次に、本発明の具体例を説明する。
Figure 2016181344
[実施例1]
実施例1においては、外径が0.80mmである銅線の周囲に誘電率が3.5である低誘電率ポリエステルイミド樹脂を主成分とする低誘電率絶縁塗料を塗布焼付して層厚が35μmである第一絶縁層を形成し、第一絶縁層の周囲に誘電率が3.8である100質量部のポリエステルイミド樹脂を主成分とすると共に平均粒子径が30nmである30質量部のシリカを副成分とする耐部分放電性絶縁塗料を塗布焼付して層厚が15μmである第二絶縁層を形成することにより、実施例1の絶縁電線を製造した。
[実施例2]
実施例2においては、外径が0.80mmである銅線の周囲に誘電率が3.5である低誘電率ポリエステルイミド樹脂を主成分とする低誘電率絶縁塗料を塗布焼付して層厚が35μmである第一絶縁層を形成し、第一絶縁層の周囲に誘電率が4.0である100質量部のポリアミドイミド樹脂を主成分とすると共に平均粒子径が30nmである30質量部のシリカを副成分とする耐部分放電性絶縁塗料を塗布焼付して層厚が15μmである第二絶縁層を形成することにより、実施例2の絶縁電線を製造した。
[実施例3]
実施例3においては、外径が0.80mmである銅線の周囲に誘電率が3.7である低誘電率ポリアミドイミド樹脂を主成分とする低誘電率絶縁塗料を塗布焼付して層厚が35μmである第一絶縁層を形成し、第一絶縁層の周囲に誘電率が4.0である100質量部のポリアミドイミド樹脂を主成分とすると共に平均粒子径が30nmである30質量部のシリカを副成分とする耐部分放電性絶縁塗料を塗布焼付して層厚が15μmである第二絶縁層を形成することにより、実施例3の絶縁電線を製造した。
[実施例4]
実施例4においては、外径が0.80mmである銅線の周囲に誘電率が3.0である低誘電率ポリイミド樹脂を主成分とする低誘電率絶縁塗料を塗布焼付して層厚が35μmである第一絶縁層を形成し、第一絶縁層の周囲に誘電率が4.0である100質量部のポリアミドイミド樹脂を主成分とすると共に平均粒子径が30nmである30質量部のシリカを副成分とする耐部分放電性絶縁塗料を塗布焼付して層厚が15μmである第二絶縁層を形成することにより、実施例4の絶縁電線を製造した。
[実施例5]
実施例5においては、外径が0.80mmである銅線の周囲に誘電率が3.0である低誘電率ポリイミド樹脂を主成分とする低誘電率絶縁塗料を塗布焼付して層厚が35μmである第一絶縁層を形成し、第一絶縁層の周囲に誘電率が3.2である100質量部のポリイミド樹脂を主成分とすると共に平均粒子径が30nmである30質量部のシリカを副成分とする耐部分放電性絶縁塗料を塗布焼付して層厚が15μmである第二絶縁層を形成することにより、実施例5の絶縁電線を製造した。
Figure 2016181344
[比較例1]
比較例1においては、外径が0.80mmである銅線の周囲に誘電率が3.5である低誘電率ポリエステルイミド樹脂を主成分とする低誘電率絶縁塗料を塗布焼付して層厚が50μmである第一絶縁層のみを形成することにより、比較例1の絶縁電線を製造した。
[比較例2]
比較例2においては、外径が0.80mmである銅線の周囲に誘電率が3.7である低誘電率ポリアミドイミド樹脂を主成分とする低誘電率絶縁塗料を塗布焼付して層厚が50μmである第一絶縁層のみを形成することにより、比較例2の絶縁電線を製造した。
[比較例3]
比較例3においては、外径が0.80mmである銅線の周囲に誘電率が3.0である低誘電率ポリイミド樹脂を主成分とする低誘電率絶縁塗料を塗布焼付して層厚が50μmである第一絶縁層のみを形成することにより、比較例3の絶縁電線を製造した。
[比較例4]
比較例4においては、外径が0.80mmである銅線の周囲に誘電率が3.8であるポリエステルイミド樹脂を主成分とする絶縁塗料を塗布焼付して層厚が35μmである第一絶縁層を形成し、第一絶縁層の周囲に誘電率が3.8である100質量部のポリエステルイミド樹脂を主成分とすると共に平均粒子径が30nmである30質量部のシリカを副成分とする耐部分放電性絶縁塗料を塗布焼付して層厚が15μmである第二絶縁層を形成することにより、比較例4の絶縁電線を製造した。
[比較例5]
比較例5においては、外径が0.80mmである銅線の周囲に誘電率が4.0であるポリアミドイミド樹脂を主成分とする絶縁塗料を塗布焼付して層厚が35μmである第一絶縁層を形成し、第一絶縁層の周囲に誘電率が4.0である100質量部のポリアミドイミド樹脂を主成分とすると共に平均粒子径が30nmである30質量部のシリカを副成分とする耐部分放電性絶縁塗料を塗布焼付して層厚が15μmである第二絶縁層を形成することにより、比較例5の絶縁電線を製造した。
[比較例6]
比較例6においては、外径が0.80mmである銅線の周囲に誘電率が3.2であるポリイミド樹脂を主成分とする絶縁塗料を塗布焼付して層厚が35μmである第一絶縁層を形成し、第一絶縁層の周囲に誘電率が3.2である100質量部のポリイミド樹脂を主成分とすると共に平均粒子径が30nmである30質量部のシリカを副成分とする耐部分放電性絶縁塗料を塗布焼付して層厚が15μmである第二絶縁層を形成することにより、比較例6の絶縁電線を製造した。
[比較例7]
比較例7においては、外径が0.80mmである銅線の周囲に誘電率が3.8であるポリエステルイミド樹脂を主成分とする絶縁塗料を塗布焼付して層厚が50μmである第一絶縁層のみを形成することにより、比較例7の絶縁電線を製造した。
[比較例8]
比較例8においては、外径が0.80mmである銅線の周囲に誘電率が4.0であるポリアミドイミド樹脂を主成分とする絶縁塗料を塗布焼付して層厚が50μmである第一絶縁層のみを形成することにより、比較例8の絶縁電線を製造した。
[比較例9]
比較例9においては、外径が0.80mmである銅線の周囲に誘電率が3.2であるポリイミド樹脂を主成分とする絶縁塗料を塗布焼付して層厚が50μmである第一絶縁層のみを形成することにより、比較例9の絶縁電線を製造した。
[部分放電開始電圧の評価]
以上で製造した絶縁電線を500mm毎に切り出し、10本のツイストペアケーブルを作製し、ツイストペアケーブルの端から10mmの位置までの絶縁層を除去して端末処理部とし、端末処理部に電極を接続した。しかる後、25℃50%RHの雰囲気下でツイストペアケーブルに50Hzの交流電圧を印加すると共に10V/s以上30V/s以下の速度で昇圧させながら、100pC以上の部分放電が50回発生する時の電圧を3回に亘り測定し、その平均値を部分放電開始電圧として評価した。
表1及び表2から分かる通り、第一絶縁層が低誘電率ポリエステルイミド樹脂を主成分とする低誘電率絶縁塗料で形成されている実施例1,2と第一絶縁層が低誘電率ポリエステルイミド樹脂を主成分とする低誘電率絶縁塗料で形成されている比較例1においては、第一絶縁層がポリエステルイミド樹脂を主成分とする絶縁塗料で形成されている比較例7よりも部分放電開始電圧が高くなっている。
また、第一絶縁層が低誘電率ポリアミドイミド樹脂を主成分とする低誘電率絶縁塗料で形成されている実施例3と第一絶縁層が低誘電率ポリアミドイミド樹脂を主成分とする低誘電率絶縁塗料で形成されている比較例2においては、第一絶縁層がポリアミドイミド樹脂を主成分とする絶縁塗料で形成されている比較例8よりも部分放電開始電圧が高くなっている。
更に、第一絶縁層が低誘電率ポリイミド樹脂を主成分とする低誘電率絶縁塗料で形成されている実施例4,5と第一絶縁層が低誘電率ポリイミド樹脂を主成分とする低誘電率絶縁塗料で形成されている比較例3においては、第一絶縁層がポリイミド樹脂を主成分とする絶縁塗料で形成されている比較例9よりも部分放電開始電圧が高くなっている。
以上の通り、第一絶縁層の誘電率を低くする程、第一絶縁層における部分放電開始電圧を高くすることができることが理解される。
[耐部分放電性の評価]
常温下でツイストペアケーブルに1.0kVrmsの電圧を10kHzの正弦波として印加しながら、絶縁破壊が引き起こされるまでの時間を測定することにより、無伸長の絶縁電線における課電寿命(V−t特性)を求め、その課電寿命に基づいて耐部分放電性を評価した。
表1及び表2から分かる通り、ポリエステルイミド樹脂を主成分とすると共に無機微粒子を副成分とする耐部分放電性絶縁塗料で形成されている第二絶縁層を採用している実施例1と比較例4においては、低誘電率ポリエステルイミド樹脂を主成分とする低誘電率絶縁塗料で形成されている第一絶縁層のみを採用している比較例1とポリエステルイミド樹脂を主成分とする絶縁塗料で形成されている第一絶縁層のみを採用している比較例7よりも課電寿命が長く耐部分放電性が高くなっている。
また、ポリアミドイミド樹脂を主成分とすると共に無機微粒子を副成分とする耐部分放電性絶縁塗料で形成されている第二絶縁層を採用している実施例2,3,4と比較例5においては、低誘電率ポリアミドイミド樹脂を主成分とする低誘電率絶縁塗料で形成されている第一絶縁層のみを採用している比較例2とポリアミドイミド樹脂を主成分とする絶縁塗料で形成されている第一絶縁層のみを採用している比較例8よりも課電寿命が長く耐部分放電性が高くなっている。
更に、ポリイミド樹脂を主成分とすると共に無機微粒子を副成分とする耐部分放電性絶縁塗料で形成されている第二絶縁層を採用している実施例5と比較例6においては、低誘電率ポリイミド樹脂を主成分とする低誘電率絶縁塗料で形成されている第一絶縁層のみを採用している比較例3とポリイミド樹脂を主成分とする絶縁塗料で形成されている第一絶縁層のみを採用している比較例9よりも課電寿命が長く耐部分放電性が高くなっている。
以上の通り、耐部分放電性絶縁塗料で形成されている第二絶縁層を採用することにより、耐部分放電性を向上させることができることが理解される。
[総合評価]
総合的に見て、耐部分放電性絶縁塗料で形成されている第二絶縁層を採用している実施例1,2,3,4,5は、同系統材料同士を比較する場合において、耐部分放電性絶縁塗料で形成されている第二絶縁層を採用していない比較例1,2,3,7,8,9よりも課電寿命が長く耐部分放電性が高くなっている。
また、低誘電率絶縁塗料で形成されている第一絶縁層を採用している実施例1,2,3,4,5は、同系統材料同士を比較する場合において、低誘電率絶縁塗料で形成されている第一絶縁層を採用していない比較例4,5,6,7,8,9よりも課電寿命が長く耐部分放電性が高くなっていると共に部分放電開始電圧が高くなっている。
以上の通り、低誘電率絶縁塗料で形成されている第一絶縁層と耐部分放電性絶縁塗料で形成されている第二絶縁層とを組み合わせることにより、耐部分放電性と部分放電開始電圧の両方を向上させることが可能となることが理解される。
100 絶縁電線
101 導体
102 第一絶縁層
103 第二絶縁層
200 絶縁電線
201 導体
300 絶縁電線
301 第三絶縁層
400 絶縁電線
401 滑性層

Claims (4)

  1. 導体と、
    前記導体の周囲に被覆されている第一絶縁層と、
    前記第一絶縁層の周囲に被覆されている第二絶縁層と、
    を備えており、
    前記第一絶縁層は、誘電率が3.8未満である低誘電率ポリエステルイミド樹脂、誘電率が4.0未満である低誘電率ポリアミドイミド樹脂、又は誘電率が3.2未満である低誘電率ポリイミド樹脂の何れか一種を主成分とする低誘電率絶縁塗料が塗布焼付されて形成されており、
    前記第二絶縁層は、ポリエステルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、又はポリイミド樹脂の何れか一種を主成分とすると共に無機微粒子を副成分とする耐部分放電性絶縁塗料で形成されている
    ことを特徴とする絶縁電線。
  2. 前記第二絶縁層は、100質量部の主成分に対して15質量部以上40質量部以下の副成分が混合されている耐部分放電性絶縁塗料が塗布焼付されて形成されている
    請求項1に記載の絶縁電線。
  3. 前記第二絶縁層の周囲に被覆されている第三絶縁層を更に備えており、
    前記第三絶縁層は、誘電率が3.8未満である低誘電率ポリエステルイミド樹脂、誘電率が4.0未満である低誘電率ポリアミドイミド樹脂、又は誘電率が3.2未満である低誘電率ポリイミド樹脂の何れか一種を主成分とする低誘電率絶縁塗料が塗布焼付されて形成されている
    請求項1又は2に記載の絶縁電線。
  4. 前記第二絶縁層の周囲に被覆されている滑性層を更に備えている
    請求項1又は2に記載の絶縁電線。
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