JP2016181326A - リチウムイオン二次電池用セパレータ - Google Patents
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Abstract
【課題】リチウムイオン二次電池の安全性を向上させることができるリチウムイオン二次電池用セパレータを得ること。【解決手段】リチウムイオン二次電池用セパレータ10は、リチウムイオンが通過可能な細孔を有し、予め設定されたシャットダウン温度で溶融することにより細孔が閉塞される多孔質膜11と、多孔質膜11の表面に形成されて、リチウムイオンが通過可能であり、シャットダウン温度よりも低温の第1の低シャットダウン温度T1でリチウムイオンの通過を遮断する第1の低融点材層12と、第1の低融点材層12と共に多孔質膜11の表面に形成されて、リチウムイオンが通過可能であり、第1の低シャットダウン温度T1よりも低温の第2の低シャットダウン温度T2でリチウムイオンの通過を遮断する第2の低融点材層13を有する。【選択図】図1
Description
本発明は、リチウムイオン二次電池の正極と負極との間に介在されるリチウムイオン二次電池用セパレータに関する。
リチウムイオン二次電池は、正極と負極の間に両極の電気絶縁を保つためにセパレータが挿入された構造を有している。セパレータには、過熱時に内部の細孔を閉塞して正極と負極との間のリチウムイオンの移動を妨げることにより電池の熱暴走を抑制する、いわゆるシャットダウン(SD)機能を有するポリオレフィン系の微多孔膜が主に用いられている(特許文献1)。
ポリオレフィン系微多孔膜のシャットダウン開始温度は130℃付近であるが、熱暴走をより確実に防ぐために、シャットダウン開始温度をそれよりも下げることが望まれていた。
特許文献2には、繊維状物からなる多孔質基体と、フィラー粒子と、融点が80〜130℃の範囲にある樹脂または加熱により電解液を吸収して膨潤しかつ温度上昇とともに膨潤度が増大する樹脂のいずれかとからなるセパレータが開示されている。特許文献2のセパレータは、実施例によれば、シャットダウン温度が103〜125℃の範囲である。
しかしながら、ポリオレフィン系の微多孔膜のシャットダウン開始温度は、130℃程度であり、電池の熱暴走開始温度に比較的近く、安全の余裕度が小さかった。また、特許文献2のセパレータは、多孔質基体として繊維状物を用いているため、多孔質基体自体はシャットダウン機能を発揮しない。シャットダウン温度は樹脂の性質のみに依存し、シャットダウン機能が発揮される温度範囲が比較的狭い。
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、リチウムイオン二次電池の安全性を向上させることができるリチウムイオン二次電池用セパレータを提供することである。
上記課題を解決する本発明のリチウムイオン二次電池用セパレータは、リチウムイオンが通過可能な細孔を有し、予め設定されたシャットダウン温度で溶融することにより前記細孔が閉塞される多孔質膜と、該多孔質膜の表面に形成されて、前記リチウムイオンが通過可能であり、前記シャットダウン温度よりも低温の第1の低シャットダウン温度で前記リチウムイオンの通過を遮断する第1の低融点材層と、該第1の低融点材層と共に前記多孔質膜の表面に形成されて、前記リチウムイオンが通過可能であり、前記第1の低シャットダウン温度よりも低温の第2の低シャットダウン温度で前記リチウムイオンの通過を遮断する第2の低融点材層とを有することを特徴としている。
本発明によれば、第1の低融点材層により、多孔質膜のシャットダウン温度よりも、より低温でリチウムイオンの通過を遮断することができ、第2の低融点材層により、第1の低融点材層よりも、より低温でリチウムイオンの通過を遮断することができる。したがって、多孔質膜のみの場合と比較して、広い温度範囲でシャットダウン効果を得ることができ、リチウムイオン二次電池の安全性を向上させることができる。なお、上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
本発明者らは上述したような問題を検討した結果、従来のポリオレフィン系微多孔膜からなるセパレータに低融点材からなる層を付与することにより、広い温度範囲においてシャットダウン機能を発揮することができるセパレータとすることができることを見出した。
ポリオレフィン系材料からなる微多孔膜である多孔質膜11と、該多孔質膜11の表面上に設けられた、第1の低融点材および第2の低融点材を含む低融点材層とを備え、第1の低融点材の融点が100〜120℃の範囲であり、第2の低融点材の融点が100℃未満であり、ポリオレフィン材料の融点が120℃より高いことを特徴とする、リチウムイオン二次電池用セパレータに関する。
ポリオレフィン系材料からなる微多孔膜である多孔質膜11と、少なくとも2種のそれぞれ融点が異なる低融点材から構成される低融点材層とを組み合わせて有することにより、多孔質膜11が元来備えているシャットダウン機能に加えて、低融点材が溶融してセパレータが有する孔を塞ぐことに基づいて、それよりも低い温度からシャットダウン機能を発揮することができる。すなわち、従来よりも低い温度から、かつ幅広い範囲の温度においてシャットダウン機能を発揮することができる。
多孔質膜11への低融点材層の塗布は使用目的によって片面あるいは両面の両方が考えられる。第2の低融点材層の配置は、第1の低融点材層が配置される側と同じ面側、もしくは反対面側のいずれでもよい。また、第1の低融点材層と多孔質膜11の間でも、第1の低融点材層の外側でもよい。
次に、本発明の実施の形態についていくつかの低融点材層の態様の具体例を模式的に図示し、以下に説明する。
[第1実施の形態]
本発明のセパレータにおいて、低融点材層は様々な態様で多孔質膜11上に設けることができる。図1は、第1実施の形態におけるリチウムイオン二次電池用セパレータの断面を模式的に示す図である。
本発明のセパレータにおいて、低融点材層は様々な態様で多孔質膜11上に設けることができる。図1は、第1実施の形態におけるリチウムイオン二次電池用セパレータの断面を模式的に示す図である。
リチウムイオン二次電池用セパレータ10(以下、セパレータ10という)は、図1に示すように、多孔質膜11と、第1の低融点材層12と、第2の低融点材層13を有する。図1のセパレータは、多孔質膜11の一方の面に第1の低融点材層12が形成され、第1の低融点材層12の上に第2の低融点材層13が形成された構成を有している。
セパレータの基材となる多孔質膜11は、リチウムイオンが通過可能な細孔(図示せず)を有し、それ自体がシャットダウン機能、すなわち所定の温度で溶融して孔が閉塞する性質を有することが好ましい。多孔質膜11は、予め設定されたシャットダウン温度T0で溶融することにより細孔が閉塞される構成を有しており、例えば、シャットダウン温度T0で溶融する樹脂材料からなる膜状体に該膜状体を貫通する複数の細孔が形成された構成(微多孔膜)、もしくは、不織布などの多孔質基体の内部にシャットダウン温度T0で溶融する樹脂粒子を配置した構成を有している。
多孔質膜11は、ポリオレフィン系材料等よりなる微多孔膜である。多孔質膜11を構成するポリオレフィン系材料としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン−プロピレン共重合体、ポリ-1-ブテン、ポリ-4-メチル-1-ペンテン、およびそれらの変性物、ならびにこれらの2以上の混合物が挙げられる。多孔質膜11は、異なる材料からなる2以上の微多孔膜を積層したもの(例えばPP/PE/PP三層積層体など)であってもよい。
多孔質膜11は、後に付与する低融点材層とあわせて正極と負極と十分に絶縁させることができ、かつLiイオンの移動を過度に妨げたり、電池の体積を必要以上に大きくしたりすることがない程度の厚み、具体的には1〜50μm、特に5〜30μm、とりわけ10〜25μmの範囲の厚みを有することが好ましい。
多孔質膜11は、シャットダウン温度T0で樹脂材料もしくは樹脂粒子が溶融し、細孔が閉塞されてリチウムイオンの通過が遮断されるシャットダウン機能を有する。例えば樹脂材料もしくは樹脂粒子がポリオレフィン系樹脂からなる場合には、用いるポリオレフィン系材料は、融点が120℃超、特に125℃超、とりわけ130℃超であることが好ましい。シャットダウン温度T0は、120℃以上であって、特に130℃以上160℃以下である。なお、本明細書において融点とはJIS K 7121の規定に準じて、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定される融解温度を意味する。また、本明細書において温度範囲に関する「付近」との表現は、対象温度の±5℃、好ましくは±3℃、より好ましくは±1℃の範囲を意味する。
第1の低融点材層12と第2の低融点材層13は、多孔質膜11を構成する材料よりも融点が低い材料からなる。低融点材層は、多孔質膜11のシャットダウン開始温度よりも低い温度で溶融し始め、多孔質膜11の孔を閉塞させる。従って、本実施の形態のセパレータは、低融点材層が設けられていることにより、多孔質膜11がそれ単体で有するシャットダウン機能に加えて、より低い温度から発揮されるシャットダウン機能を有する。また、低融点材層を2種以上の融点が異なる低融点材から構成することにより、セパレータがシャットダウン機能を発揮可能な温度範囲を拡げることが可能となる。
第1の低融点材層12と第2の低融点材層13は、多孔質膜11の表面に形成されている。第1の低融点材層12は、リチウムイオンが通過可能であり、シャットダウン温度T0よりも低温の第1の低シャットダウン温度T1でリチウムイオンの通過を遮断する構成を有する。
第1の低融点材層12は、多孔質膜11に接して形成され、第1の低シャットダウン温度T1で溶融して多孔質膜11の表面にリチウムイオンの通過を遮断する膜を形成する第1の低融点材を有する。第1の低融点材は、多孔質膜11との親和性(例えば接着性および非反応性)、およびリチウムイオン電池に用いる電解液への耐性などの観点から、ポリオレフィン系樹脂、または脂肪族炭化水素などのワックス等が好ましい。第1の低融点材の具体例としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン−プロピレン共重合体、およびそれらの変性物、ならびにこれらの2以上の混合物などに基づくポリオレフィン系樹脂粒子、あるいは炭素数20以上の脂肪族炭化水素に基づく合成ワックス(例えばフィッシャー・トロプシュワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム)が挙げられ、いずれか1種類または2種類以上の混合物を用いて構成されている。第1の低シャットダウン温度T1は、100℃以上120℃以下、好ましくは100〜115℃、より好ましくは100〜110℃の範囲である。第1の低融点材の融点と多孔質膜11を構成する材料の融点の差は30℃以内、特に20℃以内であることが望ましい。
第1の低融点材層12は、第1の低融点材(ポリオレフィン系樹脂、または脂肪族炭化水素からなる合成ワックスなど)を含む水系エマルションであって界面活性剤のみあるいは界面活性剤と結着剤の両方を添加した溶液を、多孔質膜11に塗布、乾燥することにより形成される。低融点材の水系エマルションは、主溶媒である水に加えて、界面活性剤および結着剤を含有することが好ましい。溶液中の重量割合は、第1の低融点材が6質量%以上40質量%以下、界面活性剤が溶媒に対して0.05体積%以上10体積%以下、結着剤が低融点材に対して0.5質量%以上20質量%以下であり、好ましくは、第1の低融点材が10質量%以上30質量%以下、界面活性剤が溶媒に対して0.1体積%以上3体積%以下、結着剤が低融点材に対して1質量%以上10質量%以下である。
特に、第1の低融点材の濃度を6質量%以上、特に10質量%以上、とりわけ15質量%以上とすることで、均一な低融点材層を形成し、かつセパレータのシャットダウンに必要な単位面積当たりの低融点材量を確保するとともに、多孔質膜11の孔を閉塞させない。セパレータの透気度は、室温(25℃)において、ガーレー値(s/100cc)で、10〜1000、特に50〜800、とりわけ90〜700の範囲内であることが好ましい。
また、界面活性剤の含有量は溶媒に対して0.05体積%以上、特に0.1体積%以上、とりわけ0.2体積%以上とすることが好ましい。結着剤の含有量は低融点材に対して0.5質量%以上、特に1質量%以上、とりわけ2質量%以上とすることが好ましい。界面活性剤は低融点材の分散に、結着剤は多孔質膜11などとの接着性に寄与する。
第2の低融点材層13は、リチウムイオンが通過可能であり、第1の低シャットダウン温度T1よりも低温の第2の低シャットダウン温度T2でリチウムイオンの通過を遮断する構成を有する(T2<T1<T0)。第2の低融点材層13は、第2の低シャットダウン温度T2で溶融してセパレータ10の表面にリチウムイオンの通過を遮断する膜を形成する第2の低融点材を有する。第2の低融点材は、第1の低融点材と同様の材料、すなわちポリエチレンなどのポリオレフィン系樹脂の樹脂粒子や、脂肪族炭化水素からなる合成ワックス等、いずれか1種類または2種類以上の混合物を用いて構成されている。第2の低シャットダウン温度T2は、100℃未満、好ましくは95℃未満であり、70℃以上100℃未満、最も好ましくは80℃以上95℃未満である。第2の低融点材の融点と第1の低融点材の融点の差は5〜20℃が望ましい。
第2の低融点材層13は、第2の低融点材を含む水系エマルションであって界面活性剤のみあるいは界面活性剤と結着剤の両方を添加した溶液を、第1の低融点材層12の上に塗布することにより形成される。溶液中の重量割合は、第2の低融点材が6質量%以上40質量%以下、界面活性剤が溶媒に対して0.05体積%以上10体積%以下、結着剤が低融点材に対して0.5質量%以上20質量%以下であり、好ましくは、第2の低融点材が10質量%以上30質量%以下、界面活性剤が溶媒に対して0.1体積%以上3体積%以下、結着剤が低融点材に対して1質量%以上10質量%以下である。
低融点材を含む水系エマルションの塗布は、バーコーター、グラビアコーター、コンマコーター、スリットコーター、ダイコーター、スプレー装置などを用いて行うことができる。既存の多孔質膜11にエマルションを塗布することで簡単に低融点材層を設けることができるため、本実施の形態のセパレータは低コストで大量生産が可能である。また、水系エマルションを用いることで、乾燥させた際に有害な有機溶媒の蒸気が発生することないため、人体への安全性が高く、環境への負荷も低くなる。また、低融点材を構成する成分が微小粒子となって分散したエマルションを塗布することで、リチウムイオンが移動可能な孔を有する状態で低融点材層を付与することが可能となる。
第1の低融点材層と第2の低融点材層を積層するように設ける場合、多孔質膜11の一方の表面に、第1の低融点材の水系エマルションおよび第2の低融点材の水系エマルションを、順番に、あるいは同時に塗布する。それぞれの低融点材層の塗布時の厚みは、付与する低融点材の性質(特に融点および溶融のしやすさ)や多孔質膜11の厚みにも依存するが、1〜30μm、特に1〜20μm、とりわけ1〜15μm、最も好ましくは2〜15μmの範囲とすることが好ましい。
多孔質膜11の表面に低融点材層を有する構成を有する本実施の形態のリチウムイオン二次電池用セパレータは、電池の温度が上昇した際には、例えば100℃付近で第2の低融点材が溶融し始め、次に100〜120℃の領域で第1の低融点材が溶融し始めるため、100℃付近から130℃付近までの温度範囲でシャットダウン機能を発揮することができる。また、ポリオレフィン系の微多孔膜である多孔質膜11が、それ自体が130℃付近から発揮されるシャットダウン機能を有する場合、本実施の形態のセパレータは100℃付近から、例えば160℃付近までの幅広い温度範囲でシャットダウン機能を発揮することができる。
セパレータ10は、集電体に活物質を付与して製造された正極と負極との間に介在させて重ね合わせ、リチウムイオン二次電池の電極群を構成する。必要に応じ、電極群を第2の低融点材または接着剤が部分的に溶融する温度(シャットダウン開始温度未満)まで加熱し、セパレータが、その少なくとも一方の表面において、溶融した第2の低融点材によって電極(正極または負極)と接着した状態としてもよい。リチウムイオン二次電池は、鉄やアルミニウムなどからなる缶やアルミラミネートフィルムからなる電池容器内に電極群を収容し、電池容器の開口部を電池蓋で閉塞してレーザ溶接により封口し、電池蓋の注液口から電池容器内に非水電解液を充填した後、注液口を封止栓で封止することにより製造される。
本実施の形態では、セパレータと電極とを接着させるために、セパレータが有する孔を塞ぐような要素を用いていないため、セパレータ(多孔質膜11および低融点材)の多孔性が十分維持されている。そのため、セパレータの空孔率の低下に伴う電池性能の低下が生じることがなく、シャットダウン機能が損なわれることもない。本実施の形態のリチウムイオン二次電池は、シャットダウン開始温度が100℃未満、特に95℃以下、であることが好ましい。ただしシャットダウン開始温度が低すぎると、通常の使用時に支障が生じるおそれがあるため、シャットダウン開始温度は80℃以上であることが好ましい。
図2は、シャットダウンによる電流とセパレータ温度の変化をそれぞれ示すグラフである。
多孔質膜のみからなるセパレータは、120℃から160℃の温度領域で溶融することによってシャットダウン効果が得られる。しかしながら、融点が熱暴走領域の温度に近いため、溶融が間に合わず、シャットダウン効果が得られずに、熱暴走する可能性がある。
これに対して、セパレータ10は、電池温度の上昇により、70℃から100℃の温度領域で第2の低融点材層13が溶融し、次いで、100℃から120℃の温度領域で第1の低融点材層12が溶融し、さらに、120℃から160℃の温度領域で多孔質膜11が溶融する。したがって、第2の低融点材層13及び第1の低融点材層12により、70℃から120℃まで温度範囲に亘ってシャットダウン効果が得られ、さらに、多孔質膜11によって120℃から160℃の温度範囲に亘ってシャットダウン効果が得られる。
セパレータ10は、融点の異なる2つの低融点材層12、13を有するので、電池が過熱した場合には、2つの低融点材12、13の溶融によりシャットダウン効果が広い温度範囲で得られる。そして、2つの低融点材12、13の溶融によるシャットダウン効果と多孔質膜11の溶融によるシャットダウン効果の両方が得られるので、電池の安全性を一層向上できる。
リチウムイオン二次電池は、何らかの原因で過度に発熱した場合、電解液溶媒に由来するガス発生、および正極からの酸素発生などに起因して熱暴走を起こすことが知られている。しかし、特に本実施の形態のセパレータによれば、従来よりも比較的低い温度かつ広い温度範囲でシャットダウン機能を発揮することが可能であるため、早期にリチウムイオンの移動を遮断し、電池温度の更なる上昇を抑制し、より確実に電池の熱暴走を防ぐことが出来、リチウムイオン二次電池のさらなる安全性向上に寄与する。
第1の低融点材層と第2の低融点材層を多孔質膜11上に積層するように設ける場合、低融点材層の積層の順番は任意であるが、第1の低融点材層が多孔質膜11側となるように積層すると、第2の低融点材層がより電極の近くに設けられることになるためより好ましい。
また、本実施の形態のセパレータでは、第2の低融点材が比較的低い融点を有する材料であることを利用して、電池を事前昇温することにより第2の低融点材13を部分的に溶融させて電極に密着させることができる。すなわち、本実施の形態のセパレータと電極(正極または負極の少なくとも一方)とを組み合わせて電池セルを作製した際、予め第2の低融点材の融点付近の温度で短時間(好ましくは10分以内、より好ましくは3分以内)加熱することにより、第2の低融点材を部分的に溶融させ、セパレータと電極を密着させる接着剤のように利用することができる。リチウムイオン二次電池は、充放電を繰り返すと膨張と収縮が交互に起こり、電極とセパレータの間に隙間が生じて電池性能の劣化を引き起こすことが知られている。しかし、第2の低融点材層が電極の近くに設けられることで、セパレータと電極とを密着させやすく、さらに第2の低融点材を利用してセパレータと電極とを密着させることにより、そのような劣化を抑制することができる。したがって、正極または負極とセパレータとの間の密着性を向上させることができ、電極群の膨張により電極とセパレータ10との間が離間して電池性能が低下するのを抑制することができる。
なお、低融点材層を多孔質膜11の片側のみに設ける場合、低融点材層が設けられている側に対して反対側の側面には、電極とセパレータとを接着させるために、従来用いられている接着剤、特に熱可塑性の接着剤を付与することが好ましい。
図示したセパレータ10は、多孔質膜11の片面に第1の低融点材層12と第2の低融点材層13を重ねて形成しているので、電池が過熱した場合に低融点材12、13に熱が伝わりやすく、電池温度に対するシャットダウンのレスポンスが良くなる。また、電極とセパレータ10の密着についても適している。そして、セパレータ10自体の製造工程を変更することがなく、工程に与える影響が小さいという効果を有している。
第1の低融点材及び第2の低融点材は、ポリエチレンなどのポリオレフィン系樹脂や、合成ワックスのいずれか1種類または2種類以上の混合物を用いて構成されているので、多孔質膜11にポリオレフィン系樹脂の微多孔膜を用いた場合に、微多孔膜が第1の低融点材または第2の低融点材と反応して劣化することがない。また、ポリオレフィン系樹脂は、微多孔膜とのなじみが良く、電極とセパレータ10の密着には好適である。
本実施の形態では、第1の低融点材層12及び第2の低融点材層13をセパレータ10の表面に設ける手段として塗布を用いているので、低コストで大量の生産が可能となる。そして、粒子状の低融点材を含む水系エマルションを用いることにより、低融点材層12、13を塗布後乾燥させる工程で、有害な有機溶剤の蒸気が発生することがなく、安全に作業が可能である。
本実施の形態では、低融点材の溶液中の重量割合を低融点材10質量%以上、界面活性剤が溶媒に対して0.2体積%以上、結着剤が低融点材に対して2質量%以上としたことにより、シャットダウンに必要な単位面積当たりの低融点材量が確保できると共に、均一な低融点材層を得ることができる。
従来のリチウムイオン二次電池は、過熱により、電解液溶媒のガス発生および正極からの酸素発生を一因とした熱暴走が発生するおそれがあった。また、電池の充放電を繰り返すと、膨張・収縮により電極とセパレータの間に隙間が形成されて電池性能が低下するおそれがあった。
これに対して、本実施の形態のセパレータ10は、多孔質膜11の表面に2つの低融点材層12、13を設けることにより、電池温度が上昇した場合、低融点材の溶融によるシャットダウン効果により、リチウムイオンの移動が妨げられて更なる温度上昇が抑えられ、電池の熱暴走を防止できる。また、室温状態では電池を事前昇温することにより低融点材が部分的に溶融して電極に密着し、電池の充放電における性能低下を抑制できる。
[第2実施の形態]
図3(a)は、第2実施の形態におけるリチウムイオン二次電池用セパレータの断面を模式的に示す図である。
図3(a)は、第2実施の形態におけるリチウムイオン二次電池用セパレータの断面を模式的に示す図である。
本実施の形態において特徴的なことは、図3(a)に示すように、多孔質膜11の一方の面に第1の低融点材層12を形成し、多孔質膜11の他方の面に第2の低融点材層13を形成したことである。
本実施の形態によれば、多孔質膜11の一方の面に低融点材層12が設けられ、多孔質膜11の他方の面に低融点材層13が設けられているので、特に、電極との密着性が高く、室温状態では、電池を事前昇温することにより低融点材12、13を部分的に溶融させて電極に密着させることができる。したがって、正極または負極とセパレータとの間の密着性を向上させることができ、電極群の膨張により電極とセパレータ10との間が離間して電池性能が低下するのを抑制することができる。
そして、第1実施の形態と同様に、セパレータ10が、融点の異なる2つの低融点材層12、13を有するので、電池が過熱した場合には、2つの低融点材12、13の溶融によりシャットダウン効果が広い温度範囲で得られる。そして、2つの低融点材12、13の溶融によるシャットダウン効果と多孔質膜11の溶融によるシャットダウン効果の両方が得られるので、電池の安全性を一層向上できる。
セパレータ10は、多孔質膜11の一方の面に第1の低融点材層12を形成し、多孔質膜11の他方の面に第2の低融点材層13を形成しているので、電池が過熱した場合に低融点材12、13に熱が伝わりやすく、電池温度に対するシャットダウンのレスポンスが良くなる。
多孔質膜11の一方の面に第1の低融点材層を、他方の面に第2の低融点材層を設けた構成とする場合、多孔質膜11のそれぞれの表面に、順番に、あるいは同時に、第1の低融点材の水系エマルションおよび第2の低融点材の水系エマルションをそれぞれ塗布する。それぞれの低融点材層の塗布時の厚みは、付与する低融点材の性質(特に融点および溶融のしやすさ)や多孔質膜11の厚みにも依存するが、1〜30μm、特に1〜20μm、とりわけ1〜15μm、最も好ましくは2〜15μmの範囲とすることが好ましい。
また、多孔質膜11の両面のそれぞれに、第1の低融点材層と第2の低融点材層とを設けても、または第1の低融点材と第2の低融点材とを混合した低融点材層を設けてもよい(図示せず)。そのような構成とする場合、正極側および負極側の両方において、第2の低融点材を電極とセパレータの接着に利用することが可能となる。
図3(b)は、他のリチウムイオン二次電池用セパレータの断面を模式的に示す図であり、本例において特徴的なことは、図3(b)に示すように、第1の低融点材と第2の低融点材とを混合した低融点材層14を、多孔質膜11の一方の面に配置したことである。低融点材層14を多孔質膜11の片側のみに設けることで、従来のセパレータ製造工程からの変更を最小限とし、製造コスト増を最小限に抑えつつ、所望のシャットダウン機能を有するセパレータを製造することができる。
第1の低融点材と第2の低融点材とを混合した低融点材層を設ける場合は、第1の低融点材の水系エマルションおよび第2の低融点材の水系エマルションの混合物を塗布する。第1の低融点材と第2の低融点材とを混合した低融点材層の塗布時の厚みは、1〜60μm、1〜40μm、とりわけ1〜30μm、1〜20μm、1〜15μm、2〜15μmの順で好ましい。
[実験例]
本発明の効果を実施例により説明する。
本発明の効果を実施例により説明する。
多孔質膜に低融点材層を設けたことによるシャットダウン温度の低減効果を評価するために、セパレータの透気度を測定した。セパレータの透気度は、所定量の気体がセパレータを通過するのに要する時間であり、透気度の値が大きい程、セパレータの気孔率が小さく、リチウムイオンの移動が妨げられて電池の温度上昇を抑制できる。多孔質膜に低融点材層を設けた試験例のセパレータと、多孔質膜のみからなる比較例のセパレータの透気度を比較することにより、目的としている低温度でシャットダウン効果が得られているかを確認した。
(試験例1)
試験例1のセパレータは、多孔質膜に第1の低融点材層が形成された構成を有している。試験例1のセパレータの多孔質膜には、厚さ16μmのポリオレフィン系樹脂からなる微多孔膜を用いた。そして、第1の低融点材には、ポリマー含有水系エマルションを3種類用意し、各々の原液に界面活性剤と結着剤を0.6質量%添加し、水を加え、30質量%溶液を作製した。そして、微多孔膜の上に溶液を滴下させた後、アプリケータを用いて微多孔膜の表面に厚みを変えて塗布した。室内で0.5hr程度、自然乾燥させた後、7cm×7cmの試験片を切り出した。使用したポリマー含有水系エマルションは、低分子量ポリエチレンと変性ポリオレフィンを混合した水系エマルション(樹脂A/ポリマー融点:110℃)、脂肪族炭化水素系合成ワックス(樹脂B/ポリマー融点:100℃)、低密度ポリエチレンのエマルション(樹脂C/ポリマー融点:100℃)である。
試験例1のセパレータは、多孔質膜に第1の低融点材層が形成された構成を有している。試験例1のセパレータの多孔質膜には、厚さ16μmのポリオレフィン系樹脂からなる微多孔膜を用いた。そして、第1の低融点材には、ポリマー含有水系エマルションを3種類用意し、各々の原液に界面活性剤と結着剤を0.6質量%添加し、水を加え、30質量%溶液を作製した。そして、微多孔膜の上に溶液を滴下させた後、アプリケータを用いて微多孔膜の表面に厚みを変えて塗布した。室内で0.5hr程度、自然乾燥させた後、7cm×7cmの試験片を切り出した。使用したポリマー含有水系エマルションは、低分子量ポリエチレンと変性ポリオレフィンを混合した水系エマルション(樹脂A/ポリマー融点:110℃)、脂肪族炭化水素系合成ワックス(樹脂B/ポリマー融点:100℃)、低密度ポリエチレンのエマルション(樹脂C/ポリマー融点:100℃)である。
比較例のセパレータには、低融点材の塗布を行わず、厚さ16μmのポリオレフィン系樹脂の微多孔膜のみからなる試験片を用いた。
作製した試験片1〜12、及び比較例1の透気度を測定した。恒温槽を所定温度に設定して昇温を開始し、1.5hr程度放置し、恒温槽内の温度がほぼ一定温度に達した後で試験片を恒温槽中に設置し、0.5hr保持した後に取り出し、透気度を測定した。
透気度は、空気100ccがセパレータを通過するのに要する時間(ガーレー値)として表した。透気度の測定には、自動ガーレー式デンソメーター((株)安田精機製作所製)を用いた。透気度の値が大きいほどセパレータの気孔率が小さいことを意味する。セパレータの気孔率が小さければ、リチウムイオンの移動が妨げられ、電池の温度上昇が抑制される(シャットダウン)。すなわち、所定温度で保持した後にセパレータの透気度の値が大きくなれば、その温度でシャットダウン効果が得られることを意味する。
試験例1における第1の低融点材及び塗布層厚さを種々変更した場合の透気度の測定結果を表1に示す。さらに、試験片1と比較例1の透気度の温度依存性を図4に示す。
透気度は、比較例1では、25℃(室温)で288s、80℃で283.7s、100℃で291.5s、102℃で301s、110℃で315.2s、124℃で444s、133℃で3367sであった。これに対して、試験片1では、25℃で318.5s、80℃で348.6s、100℃で1106.2s、110℃で3295.7sであった。
比較例1では、シャットダウン開始温度付近の133℃で透気度が約1桁上昇し、シャットダウン開始温度に達したと判断された。これに対して、試験片1では、100℃から透気度の増加が認められ、110℃では比較例1のシャットダウン開始温度付近の値と同程度となった。比較例1と試験片1の透気度の比較から、低融点材をポリオレフィン系の微多孔膜に塗布することにより、シャットダウン開始温度を比較例1より20℃程度低下できることが判った。
透気度を測定した温度は、25℃、80℃、100℃、110℃である。樹脂Aの塗布層厚さ6μmの場合(試験片2)は、25℃で324.7s、80℃で382.8s、100℃と110℃では透気度の値が大きすぎて測定不可であった。以下、25℃と80℃における透気度は、層厚さ10μm(試験片3)では、351.1s、480.7s、層厚さ13μm(試験片4)では368.9s、551.9sであった。そして、層厚さ6μm以上では、温度100℃、110℃共に測定不可であった。測定不可の透気度は、比較例のシャットダウン時よりも大きいと考えられるので、樹脂Aの塗布層厚さを6μm以上とすることにより、100℃以上で比較例と同等以上のシャットダウン効果が得られることを確認した。
表1に示すように、樹脂Bの塗布層厚さが2μmの場合(試験片5)は、25℃で471.8s、80℃で624s、100℃で1582.4sで、110℃では測定不可となった。以下、層厚さ3μm(試験片6)では順に518s、583.1s、3575.9s、測定不可となった。層厚さ4μm(試験片7)では576.5s、883.2s、測定不可、測定不可となった。層厚さ6μm(試験片8)では753.2s、1657.3s、測定不可、測定不可であった。微多孔膜に樹脂Bを塗布した試験例のセパレータでは、層厚さ2μmでは110℃から、層厚さ4μm以上では100℃から、微多孔膜のみと同等以上のシャットダウン効果が得られることを確認した。
表1に示すように、透気度は樹脂Cの塗布層厚さが4μmの場合(試験片9)は、25℃で323.6s、80℃で338.8s、100℃で437.7s、100℃で1910.8sであった。層厚さ6μm(試験片10)では順に366s、364s、774.6s、測定不可であった。層厚さ7μm(試験片11)では366.7s、377.3s、862.9s、測定不可であった。層厚さ8μm(試験片12)では407s、402.8s、測定不可、測定不可であった。微多孔膜にポリエチレンを塗布した試験例のセパレータでは、層厚さ6μm以上では110℃から、微多孔膜のみと同等以上のシャットダウン効果が得られることを確認した。
(試験例2)
次に、試験例1の構成に、第1の低融点材より融点の低い第2の低融点材の層を追加して透気度を評価した。第2の低融点材層は、低温シャットダウン性の向上と共に、電極とセパレータとの密着性向上の効果を奏する。密着性を良好にするには第2の低融点材層の厚さが一定以上、特に5μm以上とすることが好ましい。ただし、セパレータ全体の厚さが厚すぎると、電池の容量密度等に影響があるため、第2の低融点材層は、10μm以下とすることが好ましい。本試験例では、6μmとした。
次に、試験例1の構成に、第1の低融点材より融点の低い第2の低融点材の層を追加して透気度を評価した。第2の低融点材層は、低温シャットダウン性の向上と共に、電極とセパレータとの密着性向上の効果を奏する。密着性を良好にするには第2の低融点材層の厚さが一定以上、特に5μm以上とすることが好ましい。ただし、セパレータ全体の厚さが厚すぎると、電池の容量密度等に影響があるため、第2の低融点材層は、10μm以下とすることが好ましい。本試験例では、6μmとした。
第1の低融点材に樹脂Aを用い、第2の低融点材には樹脂Dを用いた。樹脂Dに含有されるポリマーの融点は70℃である。
樹脂Dの原液に、界面活性剤、結着剤を添加し、さらに溶媒(水)を加えて樹脂Dの固形分が20質量%となるように溶液を調整した。界面活性剤は溶媒(水)に対して0.6体積%、結着剤は、樹脂Dの固形分に対して0.6質量%とした。厚さ16μmのポリオレフィン系樹脂の微多孔膜の片面に樹脂A、もう一方の面に樹脂Dを塗布した。室内で自然乾燥させた後、試験片を切り出した。透気度は、樹脂Aの塗布層厚さ15μm以上、樹脂Dの塗布層厚さ6μmでは温度80℃で、測定不可となり、微多孔膜と同等以上のシャットダウン効果が得られることが判った(実施例3、4)。
第1の低融点材として、樹脂Aの代わりに樹脂Bまたは樹脂Cを用いた場合には、樹脂Bでは塗布層厚さが9μm以上で温度100℃以上(実施例7、8)、樹脂Cでは塗布層厚さが12μm以上で温度80℃以上(実施例11、12)であれば測定不可となり、微多孔膜と同等以上のシャットダウン効果が得られることが判った。
試験例2における第1の低融点材及び塗布層厚さを種々変更した場合の透気度の測定結果を、低融点材の塗布を行わず、厚さ16μmのポリオレフィン系微多孔膜のみからなる試験片の場合(比較例1)と合わせて表2に示す。
また、樹脂A及び樹脂Dを塗布したセパレータと、活物質を塗布した電極とで構成したモデルセルを、70℃程度まで一度昇温した後、室温に戻して電極とセパレータとの密着性を確認したが、密着性は良好であった。
(試験例3)
次に、低融点材が電解液に浸漬しても健全で有るかを確認するため浸漬試験を行った。各低融点材のエマルションを、温度40℃で15hr、恒温槽内で保持し水分を蒸発させた。残った低融点材の固形分を電解液(1.2M LiPF6/EC+DMC+EMC(体積比2:4:4) VC 0.8質量%)中に30分間浸漬し、さらに超音波洗浄を3分間行って、溶解するか否かの健全性を確認した。
次に、低融点材が電解液に浸漬しても健全で有るかを確認するため浸漬試験を行った。各低融点材のエマルションを、温度40℃で15hr、恒温槽内で保持し水分を蒸発させた。残った低融点材の固形分を電解液(1.2M LiPF6/EC+DMC+EMC(体積比2:4:4) VC 0.8質量%)中に30分間浸漬し、さらに超音波洗浄を3分間行って、溶解するか否かの健全性を確認した。
図5は、樹脂Aを電解液2に浸漬した試験の結果を撮像した図である。低融点材1である樹脂Aは、電解液2への浸漬およびその後の超音波洗浄においても溶解せず、塊状となって電解液中で浮遊しており、健全であった。樹脂Bおよび樹脂Dについても浸漬試験を行ったが、同様に溶解はなく健全であった。低融点材の電解液浸漬試験の結果から、本発明で微多孔膜に設けた低融点材層が電解液によって劣化し、低温でのシャットダウン機能が失われる可能性は無いことが確認できた。
以上の実施例より、リチウムイオン二次電池用セパレータの表面に融点の異なる2つの低融点材層を設けることにより、微多孔膜セパレータと比べてより低温度からシャットダウン効果が得られ、電池が過熱した場合の更なる温度上昇を抑え熱暴走を防止できることを確認した。また、低融点材が部分的に溶解する温度まで事前昇温することにより、室温状態で電極とセパレータの密着し、電池の充放電における性能低下を抑制できることが判った。
1 低融点材
2 電解液
10 セパレータ
11 多孔質膜
12 第1の低融点材層
13 第2の低融点材層
2 電解液
10 セパレータ
11 多孔質膜
12 第1の低融点材層
13 第2の低融点材層
Claims (14)
- 正極と負極との間に介在されるリチウムイオン二次電池用セパレータであって、
リチウムイオンが通過可能な細孔を有し、予め設定されたシャットダウン温度で溶融することにより前記細孔が閉塞される多孔質膜と、
該多孔質膜の表面に形成されて、前記リチウムイオンが通過可能であり、前記シャットダウン温度よりも低温の第1の低シャットダウン温度で前記リチウムイオンの通過を遮断する第1の低融点材層と、
該第1の低融点材層と共に前記多孔質膜の表面に形成されて、前記リチウムイオンが通過可能であり、前記第1の低シャットダウン温度よりも低温の第2の低シャットダウン温度で前記リチウムイオンの通過を遮断する第2の低融点材層と、
を有することを特徴とするリチウムイオン二次電池用セパレータ。 - 前記第1の低融点材層は、前記第1の低シャットダウン温度で溶融して前記多孔質膜の表面に前記リチウムイオンの通過を遮断する膜を形成する第1の低融点材を含み、
前記第2の低融点材層は、前記第2の低シャットダウン温度で溶融して前記多孔質膜の表面に前記リチウムイオンの通過を遮断する膜を形成する第2の低融点材を含むことを特徴とする請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用セパレータ。 - 前記多孔質膜の一方の面に前記第1の低融点材層が形成され、該第1の低融点材層の上に前記第2の低融点材層が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のリチウムイオン二次電池用セパレータ。
- 前記多孔質膜の一方の面に前記第2の低融点材層が形成され、前記多孔質膜の他方の面に前記第1の低融点材層が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のリチウムイオン二次電池用セパレータ。
- 前記第1の低融点材層は、前記第1の低融点材を含む水系エマルションであって界面活性剤のみあるいは界面活性剤と結着剤の両方を添加した溶液を塗布することにより前記多孔質膜の表面に形成され、
前記第2の低融点材層は、前記第2の低融点材を含む水系エマルションであって界面活性剤のみあるいは界面活性剤と結着剤の両方を添加した溶液を塗布することにより前記多孔質膜の表面に形成されていることを特徴とする請求項3または4に記載のリチウムイオン二次電池用セパレータ。 - 前記溶液中の重量割合は、前記第1の低融点材が10質量%以上40質量%以下、界面活性剤が溶媒に対して0.05体積%以上10体積%以下、結着剤が前記第1の低融点材に対して0.5質量%以上20質量%以下であることを特徴とする請求項5に記載のリチウムイオン二次電池用セパレータ。
- 前記第1の低融点材および第2の低融点材は、ポリオレフィン系樹脂の樹脂粒子と合成ワックスのいずれか1種類または2種類以上の混合物を用いて構成されていることを特徴とする請求項6に記載のリチウムイオン二次電池用セパレータ。
- 前記多孔質膜は、前記シャットダウン温度で溶融する樹脂材料からなる膜状体に、該膜状体を貫通する複数の細孔が形成された微多孔膜であることを特徴とする請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用セパレータ。
- 前記多孔質膜は、不織布の内部に前記第1の融点で溶融する樹脂粒子を配置した構成を有していることを特徴とする請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用セパレータ。
- 前記第1の低シャットダウン温度は100℃以上120℃未満であり、前記第2の低シャットダウン温度は70℃以上100℃未満であることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池用セパレータ。
- 前記多孔質膜は融点120℃以上160℃以下のポリオレフィン系材料を含み、前記第1の低融点材層は、融点100℃以上120℃以下のポリオレフィン系材料または合成ワックスを含み、前記第2の低融点材層は、融点70℃以上100℃未満のポリオレフィン系材料または合成ワックスを含むことを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池用セパレータ。
- 請求項1から請求項11のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池用セパレータを有することを特徴とするリチウムイオン二次電池。
- 正極および負極を備え、前記正極および負極の少なくとも一方とセパレータとが、溶融した前記第2の低融点材により接着されていることを特徴とする請求項12に記載のリチウムイオン二次電池。
- シャットダウン開始温度が80℃以上である請求項12に記載のリチウムイオン二次電池。
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