JP2016180630A - イオン選択性電極及び電解質分析装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】塩化ビニル樹脂製の筐体で、内部に電解質溶液を有するイオン選択性電極においては、鉛化合物以外の熱安定剤、特に有機酸スズ塩の使用により顕著な特性劣化を示すことを解決する。【解決手段】イオン選択性電極10を構成する支持体12と、第1の筐体部材13と第2の筐体部材14に用いる塩化ビニル樹脂の新たな熱安定剤として、有機酸亜鉛塩と有機酸金属塩を一緒に用いる。これにより、劣化のない新たなイオン選択性電極を提供できる。特に、ステアリン酸亜鉛塩とステアリン酸カルシウム塩などの使用が好適である。【選択図】図1

Description

本発明は、イオン選択性電極及びそれを備えた電解質分析装置に関し、特に臨床分析装置に利用される分析装置に関する。また同様に、水質分析、食品分析等に用いる電解質分析装置に関する。
イオン選択性電極は、検体中の特定のイオン濃度、例えばナトリウムイオン、カリウムイオンそして塩化物イオン等を測定するものであり、参照電極(リファレンス電極とも言う。)とともに臨床分析装置や水質分析装等に搭載されて用いられる。
イオン選択性電極の構造は一般的には、電解質溶液、電解質溶液が封入された筐体、被検液の流路を有する支持体、電解質溶液と被検液の間に設けられたイオン感応膜、及びイオン感応膜に誘起された起電力を測定するための電極棒より構成される。
フロー型のイオン選択性電極については、特許文献1に詳しく説明されている。筐体にはイオン感応膜を保持している支持体が固着され、支持体には被検液を流す流路が配置されている。被検液の流路の側面の一部をイオン感応膜で覆っており、流路内の被検液と電解質溶液はイオン感応膜を介して電気的な導通を得る構成となっている。この際に被検液内のイオン濃度に応じてイオン感応膜に発生する起電力と参照電極との電位差を計測することによりイオン濃度を測定している。
イオン感応膜としては、例えばクラウンエーテル化合物等のイオン選択性物質、可塑剤、ポリ塩化ビニル等をテトラヒドロフラン等の有機溶媒に溶解した後、膜状に成形することによって得られる高分子固定化膜が有用である。この際、従来は支持体にも塩化ビニル樹脂を用い、同様に塩化ビニル樹脂膜であるイオン感応膜を、溶剤接着などの方法で支持体に固着する方法が用いられていた。
また筐体については、塩化ナトリウムなどの水溶液である電解質溶液を長期間安定に封入しておく技術的な必要性や製造の容易性などから、特許文献1においても、塩化ビニル樹脂が用いられている。
さらに、上記イオン選択性電極を用いた電解質分析装置の構成に関しては、特許文献2などに詳しく説明されている。
特開2013−257147号公報 特開平8−220062号公報
近年、欧州連合により、電気・電子機器に対し、特定有害物質の使用を制限するDirective 2011/65/EU(通常RoHS指令と呼ばれている。)が施行されている。このRoHS指令は、対象となる電気電子製品に使われる部品の均質領域内に含まれる、鉛、カドミウム、水銀や六価クロムなどの含有率を0.1質量%以下に制限するものである。体外診断医療機器の一つである電解質分析装置においても、ハンダを始めとして既に多くの電子部品が、これら規制物質を含まない部品に切り替えられてきている。
これに呼応して、RoHS指令に準拠したイオン選択性電極を提供することが望まれていた。しかしながら、特許文献1にも開示されている塩化ビニル樹脂には、従来高温で成型する時に起きるポリ塩化ビニルの熱分解を抑制するために、熱安定剤としてステアリン酸鉛などの鉛化合物を添加することが周知の技術であった。このため、鉛化合物を他の材料に代えることによって、RoHS指令に準拠したイオン選択性電極を提供することが生産者への課題となった。
ポリ塩化ビニルはそれを構成している塩素原子が、成型時の高温により塩化水素として離脱し、脱離した塩化水素がさらなる脱塩化水素反応を促進し、それが連続的に起こることで熱分解劣化が起こると理解されている。熱分解劣化を抑制するための熱安定剤として、具体的には有機酸鉛塩、有機酸カドミウム塩、有機酸スズ塩、有機酸カルシウム塩、有機酸カリウム塩、有機酸マグネシウム塩、有機酸亜鉛塩などの有機酸金属塩類、及び金属を含まない有機化合物を添加することがよく知られている。
この中でRoHS指令に準拠するには、有機酸鉛塩や有機酸カドミウム塩は不適であり、それらを含有しない熱安定剤として、当初有機酸スズ塩等が第1の候補に挙がった。本発明者が有機酸スズ塩を熱安定剤とした塩化ビニル樹脂を用いて、イオン選択性電極の支持体及び筐体を作成し、製品として課されている40℃での保存試験をしたところ、大きな問題があることが判明した。すなわち、塩化ビニル樹脂表面の変色や変質、さらにイオン選択性電極の起電力特性の顕著な劣化をもたらした。本発明者らの知見によると、一般的な塩化ビニル樹脂の使用状況と異なり、長期間電解質溶液と接触する環境において、有機酸スズ塩が電解質溶液へ溶出したことが明らかであった。その結果、塩化ビニル樹脂の劣化のみならず、溶出した有機酸スズ塩がイオン選択性電極の起電力低下をもたらしたと考えている。よって、熱安定剤として有機酸スズ塩を使うことは、本発明者らの意図するイオン選択性電極には不向きであると考えている。
以上の状況を踏まえて、本発明者らはイオン選択性電極の特性に悪影響がなく、かつ信頼性の高い熱安定剤を鋭意探索した。
課題を解決するための手段を以下に示す。
本発明は、被検液の流路を有する支持体上に固定されたイオン感応膜と、前記支持体と第1の筐体部材と第2の筐体部材によって構成された筐体と、前記筐体の一部に固定された電極棒と、前記筐体内に封入された電解質溶液とからなるイオン選択性電極において、
前記筐体の材質がポリ塩化ビニルを主成分とする塩化ビニル樹脂であり、かつ有機酸亜鉛塩及び有機酸金属塩を含有することを特徴とするイオン選択性電極である。ただし、本発明で使う有機酸金属塩の金属とは、亜鉛を含まないで、かつカルシウム、マグネシウム、バリウム、カリウムから選択される1種または複数を意味する。
また、本発明は、前記塩化ビニル樹脂の熱安定剤として、前記有機酸亜鉛塩及び/または有機酸金属塩の有機酸成分が、カルボン酸であることを特徴とするイオン選択性電極である。
同時に、本発明は、前記カルボン酸が炭素数6から30の直鎖または分岐を有するカルボン酸であり、かつ好ましくは炭素数8から20の直鎖または分岐を有するカルボン酸であることを特徴とするイオン選択性電極である。
さらに、本発明のイオン選択性電極においては、前記熱安定剤の添加量が、ポリ塩化ビニル100質量部に対し、前記有機酸亜鉛塩の割合が0.1から5質量部であり、かつ前記有機酸金属塩の割合が0.1から5質量部であることが好適である。
さらに、本発明は、前記支持体と第1の筐体部材及び第2の筐体部材がそれぞれ独立して形成された後に接合される構造としてもよい。
また、電解質分析装置用のイオン選択性電極として、本発明のイオン選択性電極を利用することが、計測値の精度上好適である。
本発明により、従来の鉛化合物を熱安定剤として用いた塩化ビニル樹脂製のイオン選択性電極と同様な特性を示し、かつRoHS指令に準拠したイオン選択性電極を提供することができる。
図1は、本発明の実施形態であるイオン選択性電極を説明する分解図である。 図2は、本発明の実施形態の一例で、支持体を詳細に説明する図である。 図3は、一般的な電解質分析装置の主要構成部を説明する図である。 図4は、支持体と一方の筐体部材を示す図である。
以下、本発明のイオン選択性電極ついて、図1と図2を用いて詳細に説明する。説明上同じ部材には同じ部番を用いる。また以下の説明で用いる被検液とは、血液、体液や尿などの被分析物を希釈した溶液を指し、ナトリウムイオン、カリウムイオン及び塩化物イオンなどの電解質を含む水溶液を指す。
(イオン選択性電極の構成)
図1は、本発明の実施形態であるイオン選択性電極を説明する分解図である。イオン選択性電極10は、イオン感応膜11が接着された支持体12、及び支持体12を内部に収容する筐体(第1の筐体部材13及び第2の筐体部材14)から構成されている。
図2は、本発明の実施形態の一例で、支持体を詳細に説明する図である。図1の支持体12をさらに詳細に説明する。塩化ビニル樹脂製の支持体12の形状は円柱状であり、その両端には第1の筐体部材13及び第2の筐体部材14と嵌合する嵌合突起23、24が形成されている。支持体12の中央軸に沿った長手方向には被検液の流路21が貫通している。
この支持体12の円柱状の周面の一部の領域を、被検液の流路21の一部が露出するまで切削し、穴22が開いた状態にする。その後に、別途作成したイオン感応膜11を、穴22を塞ぐように接着する。これにより、図1に示すイオン感応膜11が接着された支持体12が形成できる。
第1の筐体部材13と第2の筐体部材14には、嵌合穴13a、14aが開口され、支持体12の両端に形成された嵌合突起23、24が嵌合した状態で互いが接着あるいは接合される。また、第1の筐体部材13及び第2の筐体部材14は、互いが接合する外周面を高周波加熱等の方法で接合して一体化される。支持体12に設けられた穴22はイオン感応膜11で塞がれているため、筐体(第1の筐体部材13及び第2の筐体部材14)の内部に形成された空間には、電解質溶液を蓄えることができる。被検液と電解質溶液(不図示)は、イオン感応膜11を介して電気的導通をとっている。また第2の筐体部材14には、銀線の表面に塩化銀が形成された電極棒(銀−塩化銀電極とも言う)15が貫通し、固定されている。
(電解質分析装置の構成)
図3は、一般的な電解質分析装置の主要構成部を説明する図である。複数のイオン選択性電極33(ナトリウムイオン選択性電極33−1、カリウムイオン選択性電極33−2、塩化物イオン選択性電極33−3)と、参照電極34(図3ではrefと表示)と、温度センサ35は、被検液32の流路に沿って配置されている。ポット31に入った被検液32は、各電極の流路を経由して電磁ポンプ36によって吸引される。上記のイオン感応膜11は、イオン選択性電極33として用いられる。
イオン感応膜11に誘起された起電力は、第2の筐体部材14に固定された電極棒15により計測され、参照電極34の電位及び温度センサ35の情報と共に温度補償回路37に入力される。
ナトリウムイオン、カリウムイオン及び塩化物イオンの各イオン選択性電極33の起電力は、参照電極の電位をシステムグラウンドとして、電位差として外部の演算回路38で計測され、表示器39に表示される。
これらの電解質分析装置として、商業的には全自動電解質分析装置EA07(本出願人、株式会社エイアンドティー製)などが利用できる。本発明のイオン選択性電極10として用いるイオン感応膜11は、種々のイオン選択性電極において使用されている公知のものが特に制限なく使用できる。
(塩化ビニル樹脂の熱安定剤)
本発明の有機酸亜鉛塩及び有機酸金属塩の有機酸部位であるカルボン酸としては、例えば、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、2−エチルヘキシル酸、ネオデカン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、イソステアリン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸、トルイル酸、クミン酸、エライジン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸などの一価カルボン酸;アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸などの二価カルボン酸;ヘミメリット酸、トリメリット酸、メロファン酸、ピロメリット酸などの三価または四価カルボン酸が用いられる。
工業的生産に当たっては、炭素数が少ない熱安定剤の場合には、成型時の塩化ビニル樹脂から熱安定剤が溶離し、成型機の金属表面に付着しやすくなる、いわゆるプレートアウト現象が起きやすくなる。このため、成型作業を中断して付着物を取り除かねばならず、成型作業の阻害要因となる。また炭素数が多い熱安定剤の場合には、塩化ビニル樹脂への相溶性が悪くなり、均質な塩化ビニル樹脂を得ることが難しくなる。以上の理由により、本発明のイオン選択性電極10(支持体12、第1の筐体部材13、第2の筐体部材14)に用いる塩化ビニル樹脂には、カルボン酸部位の炭化水素基の鎖長が、炭素数6から30の熱安定剤を使用することが望ましい。特に、成型性や切削を含めた二次加工性などの実用性を考慮すると、炭素数8〜20のカプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、イソステアリン酸、ステアリン酸、アラキジン酸などがより好適である。
また、上記の有機カルボン酸金属塩としては、製造段階及び成型後の安定性の点から、カルシウム塩、マグネシウム塩、バリウム塩及びカリウム塩が共によく、好適に用いられる。さらにこれら金属塩が滑材などの作用もあるため、カルシウム塩単独で用いられる場合や、他の金属塩、例えばマグネシウム塩と共に用いられる場合がある。さらに、酸性塩、中性塩、塩基性塩あるいは塩基性塩の塩基の一部または全部を炭酸で中和した過塩基性錯体であってもよい。
また、本発明の塩化ビニル樹脂には、通常用いられる他の添加剤、例えば、可塑剤、安定化助剤(具体的には、ハイドロタルサイト化合物、ゼオライト化合物、β−ジケトン化合物、過塩素酸塩類、多価アルコール、リン系、フェノール系及び硫黄系など)、紫外線吸収剤、光安定剤としてヒンダードアミンなど、加工助剤としてアクリル酸エステル系高分子、充填剤、滑剤、顔料などを添加することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に示すが、本発明はこれら実施例によって何ら制限されるものではない。先ず、実施例、従来例及び比較例のイオン選択性電極の評価方法と結果を以下に示す。
(熱安定性)
塩化ビニル樹脂の成型加工時にかかる熱より樹脂表面が劣化していないか目視により観察した。表1において、○印は劣化がないこと、×印は劣化があることを意味する。
(起電力の評価方法)
イオン選択性電極を40℃の恒温槽で2か月間保存した後に、上記の全自動電解質分析装置EA07を用いて、フロータイプ電極用試薬血清用標準液Na(H)(同社製)が示す起電力を測定した。
(選択性評価)
イオン選択性電極を40℃の恒温槽で2か月間保存した後に、全自動電解質分析装置EA07を用いて、下記濃度に調製した選択性確認液A及びBを測定し、ナトリウムの対カリウム選択係数Kを以下の式から求めた。
選択性確認液A:150ミリモル/リットルの塩化ナトリウム水溶液
選択性確認液B:150ミリモル/リットルの塩化ナトリウム+100ミリモル/リットルの塩化カリウム水溶液
K=100/(選択性確認液Bでのナトリウムの測定値)−(選択性確認液Aでのナトリウムの測定値)
(実施例に用いた塩化ビニル樹脂の組成)
本実施例や比較例に用いた塩化ビニル樹脂の組成を以下に示す。ポリ塩化ビニルに各種添加剤、及び熱安定剤を加えて、定法に従って塩化ビニル樹脂ペレットを作成した。その後、それぞれの樹脂ペレットの特性に応じて、射出成型法、カレンダー成型法、あるいは押出し成型した樹脂ブロックを切削することによって、支持体12、第1の筐体部材13及び第2の筐体部材14を形成した。
支持体12は、ブロック材から、被検液32の流路とイオン感応膜11を貼り付ける部位、及び被検液32と接触するための穴22を切削により形成した。さらにナトリウムイオン用のイオン感応膜11を定法に従って作成したものを接着した。
さらに第2の筐体部材14に開けた穴に、銀−塩化銀製のワイヤを挿入し、電解質溶液が漏れないように封止して電極棒15を形成した。
これらの部材を電解質溶液が漏れないよう固着し接合することによって、ナトリウムイオン測定用のイオン選択性電極10を作製した。
(塩化ビニル樹脂の配合割合) 質量部
ポリ塩化ビニル 100
ポリエチレンワックス 0.5
グリセリンモノ・ジステアレート 0.8
メタクリル酸メチル‐アクリル酸エステル重合体 1.0
酸化チタン 0.4
カーボンブラック 0.1
上記に加えて 表1に記載の試験化合物と配合量
<実施例1〜4、従来例及び比較例1〜2>
本発明の実施例として、有機酸亜鉛塩と他の有機酸金属塩の組み合わせを使った。従来例には、三塩基性硫酸鉛、二塩基性ステアリン酸鉛及びステアリン酸鉛を共に用いた。比較例1としては、ステアリン酸亜鉛とステアリン酸カルシウムを共に0.1質量部以下で、比較例2としてはステアリン酸カルシウムとオクチル錫メルカプトを用いた。
表1には、各実施例、従来例及び比較例に用いた熱安定剤としての試験化合物の種類と配合量を、ポリ塩化ビニル100質量部に対する質量部単位で記載した。
評価結果欄には、各実施例の配合で作成したナトリウムイオン選択性電極について、先に説明した目視での劣化の有無、起電力の値(表1では出力と表示)、及び選択係数Kの結果を示した。この選択係数Kについては、大きいほど選択性がよいことを意味し、従来例と同等か あるいは上回る数値であることが望ましい。
Figure 2016180630
表1の実施例1に示すように、ポリ塩化ビニルにステアリン酸亜鉛とステアリン酸カルシウムを組み合わせて使用した場合には、出力値(起電力値)、選択係数Kの評価結果は、従来例である鉛系化合物を使用した場合と同等の安定性が得られた。
同様にステアリン酸亜鉛とステアリン酸マグネシウムとの組み合わせ(実施例2)、ステアリン酸亜鉛とステアリン酸バリウムとの組み合わせ(実施例3)でも同様の効果が得られた。さらに、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム及びステアリン酸マグネシウムを組み合わせて使用した場合(実施例4)では、従来例と同等の起電力を示すことに加えて、より高い選択係数Kの値を示した。
従来例として、ステアリン酸鉛などを混合して使った結果は、通常通り好ましく、特に劣化を示す結果は何もなかった。これに対して、ステアリン酸亜鉛とステアリン酸カルシウムが少量配合の場合(比較例1)は樹脂の成型時の熱安定性が乏しかった。一方、オクチル錫メルカプトを使用した場合(比較例2)では、電解質溶液と接する筐体内面の劣化が激しく、かつ起電力の値も著しく低下し、選択係数Kが測定不可だった。
ここで、ステアリン酸カルシウムを添加する意味について、本発明者らは以下のように考察している。塩化ビニル樹脂は成型加工時及び製品後の使用環境において、熱、光、酸素などの影響で劣化を生じる。劣化は不安定塩素原子が開始点となって、脱塩化水素反応が起こり、脱離した塩化水素は次の脱塩化水素反応を促進し、これが連続的に起こることで塩化ビニル樹脂の劣化が進行する。有機酸亜鉛塩の亜鉛原子は不安定塩素原子との置換及び反応脱離した塩化水素分子を捕捉し塩化亜鉛を形成する。しかし塩化亜鉛自体が、脱塩化水素反応を進行させる触媒効果を有するので、有機酸カルシウム等を同時に添加することで、塩化亜鉛が過剰に生成するのを抑制するものと推察している。
ポリ塩化ビニルに対する熱安定剤の添加量に関して、以下の理由で最適な範囲がある。有機酸亜鉛塩は0.1質量部より少ないと、耐熱性と着色抑制効果は、ほとんどみられず、5質量部を超えても、それ以上効果は上がらず、むしろ耐熱性と着色抑制効果などに逆影響を与える可能性がある。また本発明で用いた有機酸カルシウムなどの有機酸金属塩は0.1質量部より少ないと、塩化ビニル樹脂の劣化抑制の効果はほとんどみられず、5質量部を超えても、それ以上効果は上がらず、むしろ耐熱性と着色抑制効果などに逆影響を与える可能性がある。
<本発明の他の効果>
本発明では、塩化ビニル樹脂を用いたイオン選択性電極10について説明してきたが、いろいろな熱安定剤を使う上で、作成方法が問題となる場合が多い。従来、塩化ビニル樹脂の熱安定剤として、鉛化合物を用いた場合、太い円柱形状に射出成型することが容易にできていた。
図4は、支持体と一方の筐体部材を示す図である。従来、塩化ビニル樹脂の熱安定剤として、鉛化合物を用いた場合には、円柱形状の母材から図4に示す形状を切削により一体ものとして製造することが容易であった。
しかし、塩化ビニル樹脂のある種の配合組成では、樹脂の軟化点が高いため容易に射出成型などの手法がとれなくて、細い部材しか成型できない場合もある。このため、本発明では、図1で説明したように、支持体12と例えば第1の筐体部材13を別部材として成型、加工して形成した後、図4に示すように、支持体12と第1の筐体部材13とを接着等の方法で接合することが、製造上工業的に有用である。なお、この後、第1の筐体部材13と第2の筐体部材14とを接合する。
本発明によれば、汎用の塩化ビニル樹脂を用いて、欧州RoHS指令に適合し、かつ従来品に比べて同等な性能を有する新しいイオン選択性電極を作成することが可能になる。また、加工性にも優れていて、工業的にも安価に提供することができる。
本発明のイオン選択性電極は、RoHS指令に準拠しつつ、イオン選択性電極の特性が得られるものであり、被検液の各種電解質濃度を測定する電解質分析装置等に適用できる。
11 イオン感応膜
12 支持体
13 第1の筐体部材
13a、14a 嵌合穴
14 第2の筐体部材
15 電極棒
21 被検液の流路
22 穴
23、24 嵌合突起
31 ポット
32 被検液
33 イオン選択性電極
34 参照電極
35 温度センサ
36 電磁ポンプ
37 温度補償回路
38 演算回路
39 表示器

Claims (7)

  1. 被検液の流路を有する支持体上に固定されたイオン感応膜と、前記支持体と第1の筐体部材と第2の筐体部材によって構成された筐体と、前記筐体の一部に固定された電極棒と、前記筐体内に封入された電解質溶液と、からなるイオン選択性電極において、
    前記筐体の材質がポリ塩化ビニルを主成分とする塩化ビニル樹脂であり、かつ有機酸亜鉛塩及び有機酸金属塩(ただし、金属はカルシウム、マグネシウム、バリウム、カリウムからなる1種または複数)を含有することを特徴とするイオン選択性電極。
  2. 前記有機酸亜鉛塩及び/または有機酸金属塩の有機酸成分が、カルボン酸であることを特徴とする請求項1に記載のイオン選択性電極。
  3. 前記カルボン酸が炭素数6から30の直鎖または分岐を有するカルボン酸であることを特徴とする請求項2に記載のイオン選択性電極。
  4. 前記カルボン酸が炭素数8から20の直鎖または分岐を有するカルボン酸であることを特徴とする請求項3に記載のイオン選択性電極。
  5. 前記塩化ビニル樹脂の組成に関して、前記ポリ塩化ビニル100質量部に対し、前記有機酸亜鉛塩の割合が0.1から5質量部であり、かつ前記有機酸金属塩の割合が0.1から5質量部であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のイオン選択性電極。
  6. 前記支持体と第1の筐体部材及び第2の筐体部材がそれぞれ独立して形成され後に接合されることを特徴とする請求項1に記載のイオン選択性電極。
  7. 請求項1から請求項6のいずれか一つに記載のイオン選択性電極を搭載したことを特徴とする電解質分析装置。
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