JP2016180186A - 微結晶金属導体の製造方法及び微結晶金属導体 - Google Patents

微結晶金属導体の製造方法及び微結晶金属導体 Download PDF

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Abstract

【課題】結晶粒の長手方向に沿ったサイズと長手方向に直交する方向に沿ったサイズとの差を小さくして、結晶組織の等方的な微細化を促進して耐屈曲性能の向上を図った微結晶金属導体の製造方法及び微結晶金属導体を提供する。【解決手段】アルミニウム又はアルミニウム合金からなって、繰り返し曲げがかかる電線の素線に使用する耐屈曲性を備えた微結晶金属導体10及びその製造方法であり、素線は、原料を溶融鋳造して得られたワイヤ11に4〜20の累積相当ひずみを導入する強加工を行い更に伸線加工を行って形成され、素線の結晶組織を、伸線方向の平均粒径が0.3μm〜10μm、伸線方向に直交する方向の平均粒径が0.3μm〜2μmの結晶粒から構成し、100万回の動的駆動試験に耐える。【選択図】図1

Description

本発明は、例えば、産業用ロボット、民生用ロボット、自動車の配線等において、特に繰り返し曲げがかかるケーブル等に使用される耐屈曲性を備えた微結晶金属導体の製造方法及び微結晶金属導体に関する。
産業用ロボット、民生用ロボット、自動車等の配線に使用するケーブルは、アームの駆動時、ドアの開閉時に繰り返し曲げ負荷がかかるので、繰り返し曲げ負荷に対して強いケーブルが使用されている。例えば、特許文献1には、0.1〜0.4質量%の鉄、0.1〜0.3質量%の銅、0.02〜0.2質量%のマグネシウム、0.02〜0.2質量%のシリコンを含有し、更に、チタンとバナジウムを0.001〜0.01質量%含むアルミニウム合金からなって、伸線方向の垂直断面における結晶粒径が5〜25μm、かつ常温におけるひずみ振幅が±0.15%の繰り返し疲労を与えた場合の疲労寿命が50000回以上であるアルミニウム合金線材が提案されている。
また、例えば、特許文献2には、軽量で引張り強度及び導電性に優れたアルミニウム系の導電材料として、スカンジウムを0.1〜0.3質量%(重量%)含むアルミニウム合金が提案されている。
特開2010−163675号公報 特開平7−316705号公報
しかしながら、特許文献1記載のアルミニウム合金線材の疲労寿命は、50000回以上としており、実際のロボット等においては、一回の動作が2秒であるとすると、2日に86400回動くことになって、特許文献1のアルミニウム合金線材を用いても、ロボットを長期間安定して稼動させることはできない。
一方、特許文献2に記載されたアルミニウム合金として、例えばスカンジウムを0.1質量%含むアルミニウム合金からなるワイヤロッドをダイス伸線加工して線径が80μmの素線を作製し、この素線を用いて製造した断面積が0.2mmのケーブルを試験体として、耐屈曲性能試験の一例である左右繰り返し曲げ試験(例えば、試験体に荷重100gを負荷した状態で、曲げ半径が15mm、折り曲げ角度範囲が±90度)を行うと、ケーブルの破断回数は、30〜50万回の範囲となる。このため、スカンジウムを0.1質量%含むアルミニウム合金から形成した素線を使用したケーブルを使用しても、ロボットを長期間安定して稼動させることは困難である。
ここで、特許文献2に記載されたアルミニウム合金から形成した素線を使用したケーブルの破断回数が少ない原因は、ワイヤロッドからダイス伸線加工により線径が50〜80μmの素線を形成した場合、結晶粒の伸線方向に直交する方向に沿った部位の平均サイズは、例えば1μm以下に制御することができるが、結晶粒の伸線方向に沿った部位の平均サイズは、例えば10μmを超えて、非均一性の結晶組織(伸線方向に成長した繊維状結晶からなる結晶組織)が形成されるためである。即ち、非均一性の結晶組織からなる素線を繰り返し曲げると、結晶組織内に導入されるひずみは、結晶組織内に一様に分布せず、大きな線維状結晶の周囲に局在化し、ひずみの局在化に伴う脆化領域が発生する。そして、脆化領域では、微小き裂が誘起され易く、発生した微小き裂は直ちに疲労き裂に成長し、疲労破壊が促進されるためである。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、結晶粒の長手方向に沿ったサイズと長手方向に直交する方向に沿ったサイズとの差を小さくして、結晶組織の等方的な微細化を促進して耐屈曲性能の向上を図った微結晶金属導体の製造方法及び微結晶金属導体を提供することを目的とする。
前記目的に沿う本発明に係る微結晶金属導体の製造方法は、アルミニウム又はアルミニウム合金からなって、繰り返し曲げがかかる電線の素線に使用する耐屈曲性を備えた微結晶金属導体の製造方法において、
前記素線は、原料を溶融鋳造して得られたワイヤに4以上20以下の累積相当ひずみを導入する強加工を行い更に伸線加工を行って形成され、前記素線の結晶組織を、伸線方向の平均粒径が0.3μm以上10μm以下、該伸線方向に直交する方向の平均粒径が0.3μm以上2μm以下の結晶粒から構成し、100万回の動的駆動試験に耐える。
本発明に係る微結晶金属導体の製造方法において、前記伸線加工を加工度が3〜11となる範囲で行うことが好ましい。
本発明に係る微結晶金属導体の製造方法において、前記素線の線径は50〜120μmにすることができる。
本発明に係る微結晶金属導体の製造方法において、金型に前記ワイヤを繰り返し通過させることにより前記強加工を行う際に、1回の加工前後に伴う断面積減少率が20%以下であり、前記1回の加工で導入される相当ひずみが0.5以上であることが好ましい。
本発明に係る微結晶金属導体の製造方法において、前記強加工は、前記ワイヤを前記金型の屈曲する貫通孔の一側から押し込み、他側から排出させることにより行うことが好ましい。
本発明に係る微結晶金属導体の製造方法において、前記貫通孔の一側開口部の前方に前記ワイヤの側部を押圧して保持する把持手段を設け、該把持手段で該ワイヤを前記貫通孔に押し込むことが好ましい。
前記目的に沿う本発明に係る微結晶金属導体は、アルミニウム又はアルミニウム合金からなって、繰り返し曲げがかかる電線の素線に使用する耐屈曲性を備えた微結晶金属導体において、
前記素線の結晶組織は、伸線方向の平均粒径が0.3μm以上10μm以下、該伸線方向に直交する方向の平均粒径が0.3μm以上2μm以下の結晶粒から構成され、100万回の動的駆動試験に耐える。
本発明に係る微結晶金属導体の製造方法においては、粗大な繊維状結晶が含まれず、等方性に優れた微細な結晶組織が形成される。このため、繰り返し変形を加えても、結晶組織内にひずみの局在化が生じ難く、脆化の誘起が抑制される。その結果、疲労き裂の発生を抑制でき、耐疲労特性(耐屈曲性能)が向上する。
本発明に係る微結晶金属導体の製造方法においては、素線の結晶組織を、伸線方向の平均粒径が0.3μm以上10μm以下、伸線方向に直交する方向の平均粒径が0.3μm以上2μm以下の結晶粒から構成するので、伸線方向に伸びる粗大な繊維状結晶の存在が抑制された結晶組織を形成できる。
本発明に係る微結晶金属導体の製造方法において、金型にワイヤを繰り返し通過させることにより強加工を行う際に、1回の加工前後に伴う断面積減少率が20%以下である場合、ワイヤを繰り返し強加工することが容易になる。また、1回の加工で導入される相当ひずみが0.5以上である場合、強加工を繰り返すことで、ワイヤの累積相当ひずみを4以上の任意の値に容易にすることができる。
本発明に係る微結晶金属導体の製造方法において、強加工を、ワイヤを金型の屈曲する貫通孔の一側から押し込み、他側から排出させることにより行う場合、貫通孔の屈曲部の形状と、ワイヤが貫通孔を通過する回数を用いて、ワイヤの累積相当ひずみを定量的に容易に評価すると共に、ワイヤの累積相当ひずみを正確に調整することができる。
本発明に係る微結晶金属導体の製造方法において、貫通孔の一側開口部の前方にワイヤの側部を押圧して保持する把持手段を設け、把持手段でワイヤを貫通孔に押し込む場合、長尺のワイヤの強加工を連続して行うことができる。
本発明に係る微結晶金属導体の製造方法において、伸線加工が、ワイヤを縮径して細線とする前伸線処理と、細線から素線を形成する仕上げ伸線処理とを有し、前伸線処理を、強加工が施されたワイヤを事前加熱した後に行う場合、伸線加工を行う前のワイヤの結晶組織を微細化することができ、前伸線処理によるひずみを微細化された結晶粒内に閉じ込めることにより、伸線方向と平行方向に結晶粒が成長することを防止できる。
本発明に係る微結晶金属導体の製造方法において、事前加熱を、強加工が行われたワイヤの有する再結晶温度より20〜100℃低い温度で行う場合、伸線加工を行う前のワイヤの結晶組織の微細化を確実に達成することができる。
本発明に係る微結晶金属導体の製造方法において、仕上げ伸線処理を、細線を、細線の有する再結晶温度より10〜70℃低い温度で加熱する細線加熱を行った後に行う場合、細線に導入されたひずみを除去して、細線から素線が形成される際に必要な細線の伸び性(伸線性)を向上させることができる。
本発明に係る微結晶金属導体の製造方法において、素線を、素線の有する再結晶温度より10〜70℃低い温度で仕上げ加熱する場合、素線を構成している結晶組織の再結晶化を促進して、組織の微細化を容易に図ることができる。
本発明の第1の実施例に係る微結晶金属導体の結晶組織の概念図である。 本発明の第1の実施例に係る微結晶金属導体の製造方法における製造フロー図である。 強加工時のワイヤの状態を示す説明図である。 (A)〜(D)はワイヤの強加工方法の説明図である。 ワイヤの変形例に係る強加工方法の説明図である。 実験例における結晶粒の伸線方向の平均粒径とケーブル破断回数の関係を示すグラフである。 実験例における結晶粒の伸線方向の平均粒径とケーブル破断回数の関係を示すグラフである。
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施例につき説明し、本発明の理解に供する。
図1に示すように、本発明の第1の実施例に係る微結晶金属導体10は、累積相当ひずみが4以上となる強加工が施された素材の一例であるワイヤ11(図3参照)に、形状付与加工の一例であり、線径が50〜120μmの素線を形成する伸線加工を行って得られるもので、長手方向(伸線加工時の伸線方向)の平均粒径Bが0.3μm以上10μm以下で、長手方向(伸線方向)に直交する方向の平均粒径Aが0.3μm以上2μm以下である結晶粒12から構成される結晶組織を有している。
なお、ワイヤ11の材質は、ケーブル(電線)用の素線に適用される材質(例えば、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等)であれば特に制約はない。以下、詳細に説明する。
ワイヤ11に累積相当ひずみが4以上となる強加工を施し、このワイヤ11を伸線加工して素線を形成する場合、ワイヤ11から素線が形成される過程で、結晶組織を構成している結晶粒に再結晶が生じて、素線の結晶組織を構成する結晶粒12は、伸線方向の平均粒径Bが0.3μm以上10μm以下で、伸線方向に直交する方向の平均粒径Aが0.3μm以上2μm以下となる。なお、図1では、伸線方向に対して垂直断面にある結晶粒12の寸法、即ち伸線方向に直交する方向の粒径、伸線方向と平行断面にある結晶粒12の寸法、即ち伸線方向の粒径は、それぞれ前記範囲内で異なる寸法を有するが、同一寸法で記載している。
そして、素線の結晶組織を構成している結晶粒12の伸線方向に直交する方向の平均粒径Aが0.3μm以上2μm以下、かつ結晶粒12の伸線方向の平均粒径Bが0.3μm以上10μm以下になると、結晶組織内に伸線方向に成長した結晶粒(繊維状結晶)が存在する頻度が低下して、結晶組織の均一性が向上する。このため、素線に動的駆動(例えば繰り返し曲げ)が作用した場合、素線を形成している結晶組織内にはひずみが順次導入(蓄積)されるが、結晶組織が均一性を有するため、導入されたひずみは結晶組織内に一様に分布することになって、結晶組織内にひずみの局在化に伴う脆化領域が生じない。その結果、結晶組織内に疲労き裂の伸展の起点となる微小き裂の発生が抑制され、耐疲労特性(耐屈曲性能)が向上する。
なお、結晶組織内に微小き裂が発生し疲労き裂として伸展する場合、結晶組織は一様に微細化されているため、疲労き裂は結晶粒12と頻繁に衝突する。このため、疲労き裂が伸展する際、疲労き裂の偏向と疲労き裂の分岐が促進され、疲労き裂が一方向に伸展する際の速度を低下させることができる。その結果、繰り返し曲げ負荷に対する耐屈曲性(破断までの繰り返し曲げ回数、即ち破断回数)を向上させることができる。
例えば、アルミニウムの場合、従来では破断回数が100万回(結晶粒12の伸線方向に直交する方向の平均粒径Aが2μm、結晶粒12の伸線方向の平均粒径Bが20μm)であったが、平均粒径Aが2μm、平均粒径Bが10μmでは破断回数は200万回となり、アルミニウム−0.3質量%スカンジウム系合金の場合、従来では破断回数が1200万回(平均粒径Aが2μm、平均粒径Bが20μm)であったが、平均粒径Aが2μm、平均粒径Bが10μmでは破断回数は2200万回となる。また、銅の場合、従来では破断回数が200万回(平均粒径Aが2μm、平均粒径Bが20μm)であったが、平均粒径Aが2μm、平均粒径Bが10μmでは破断回数は400万回、銅−5質量%銀系合金の場合、従来では破断回数が2000万回(平均粒径Aが2μm、平均粒径Bが20μm)であったが、平均粒径Aが2μm、平均粒径Bが10μmでは、破断回数は4000万回となる。
ここで、ワイヤ11の累積相当ひずみεが4未満の場合、ワイヤ11から素線が形成される過程で、結晶組織を構成している結晶粒12における再結晶は顕著とならない。また、ワイヤ11から素線が形成される過程で、伸線方向に直交する方向への大きな加工(断面積減少)に伴って、結晶粒12の伸線方向に直交する方向に沿った部位の最大長さが圧縮変形で減少する反作用で、結晶粒12の伸線方向に沿った部位の最大長さは加工延伸による増加が生じ易い。その結果、素線を構成している結晶粒12の伸線方向に直交する方向に沿った部位の長さは2μmを超えて5μm以下程度となり、結晶粒12の伸線方向に沿った部位の長さは10μmを超えて25μm以下程度となって、伸線方向に成長した繊維状結晶を含んだ結晶組織が形成されるという問題が生じる。
一方、強加工によりワイヤ11に4以上の大きな累積相当ひずみεを導入すると、ワイヤ11から素線が形成される過程で、結晶粒12の伸線方向に直交する方向に沿った部位の最大長さが圧縮変形で減少する反作用で、結晶粒12の伸線方向に沿った部位の最大長さが加工延伸により増加することが生じても、ワイヤ11から素線が形成される過程で、結晶組織を構成している結晶粒12の再結晶が非常に顕著となるため、結晶粒12の微細化が進行し、素線の結晶組織の均一性を向上させることが可能になる。しかし、強加工を行うことによってワイヤ11の製造コストが大きく上昇するという問題が生じる。
そこで、ワイヤ11に導入する累積相当ひずみεを、例えば、4以上20以下とすれば、ワイヤ11から素線が形成される過程における結晶粒12の再結晶による結晶組織の微細化と、ワイヤ11から素線が形成される過程における結晶粒12の伸線方向に直交する方向の粒径が減少する反作用に伴う結晶粒12の伸線方向の粒径の増加が競合する結果、素線の結晶組織を構成している結晶粒12の伸線方向に直交する方向の平均粒径Aを0.3μm以上2μm以下、かつ結晶粒12の伸線方向の平均粒径Bを0.3μm以上10μm以下とすることができる。
ここで、累積相当ひずみεの上限値を20としたのは、ワイヤ11に20を超える累積相当ひずみεを導入しても、導入した累積相当ひずみεに比例して結晶粒12の微細化を図ることができないからである。
続いて、本発明の第1の実施例に係る微結晶金属導体の製造方法について説明する。
図2に示すように、微結晶金属導体の製造方法は、微結晶金属導体の原料(金属)を溶融する溶融工程と、溶融した金属から所定形状のワイヤ11(素材の一例)を製造する鋳造工程とを有している。更に、微結晶金属導体の製造方法は、ワイヤ11に累積相当ひずみが4以上となる強加工を行う強加工工程と、強加工が施されたワイヤ11から線径が50〜120μmの素線を形成する形状付与加工として、素線を形成している結晶組織を構成する結晶粒12の長手方向(伸線加工時の伸線方向)の平均粒径Bを10μm以下、長手方向(伸線方向)に直交する方向の平均粒径Aを2μm以下にする伸線加工工程とを有している。以下、詳細に説明する。
なお、製造された素線を撚り合わせて撚り線を作製し、所定長さの撚り線に絶縁性の樹脂被覆を施し、樹脂被覆された撚り線を組み合せて一体化することによりケーブルが製造される。
溶融工程では、所定量の金属をグラファイトルツボ内に投入し、高周波誘導加熱により金属を溶融する。なお、高周波誘導加熱時、グラファイトルツボ内の溶融金属を撹拌し、均一化を図る。
鋳造工程では、グラファイトルツボ内の溶融金属を、水冷されたグラファイトダイスが設けられた容器に移し、溶融金属をグラファイトダイス内を通過させて外部に引き抜くことにより、ワイヤ11の連続鋳造を行う。ここで、連続鋳造速度は、100〜300mm/分、鋳造するワイヤ11の直径は8〜12mm、長さは30000〜60000mmである。
強加工工程では、図3に示すように、屈曲角度Φが90度である貫通孔13が形成された、例えば直方体状の金型14を使用して、金型14の上部に設けられた貫通孔13の一側開口部15からワイヤ11を押し込み、金型14の側部に設けられた貫通孔13の他側開口部16から排出させること(ECAP(EquAl−ChAnnel AngulAr Pressing)法)を繰り返して、ワイヤ11に強加工を施す。ここで、一側開口部15の内径に対して、他側開口部16の内径は小さく設定されている(例えば、開口部断面積減少率で1%以上20%以下)。このため、強加工の前後(一回の加工前後と同じ)で、ワイヤ11の断面積減少率は、1%以上20%以下となる。
ここで、ワイヤ11の貫通孔13(一側開口部15)への押し込みは、図4(A)〜(D)に示すように、貫通孔13の一側開口部15の前方(上方)に配置され、一側開口部15の上方にあるワイヤ11の側部を両側から押圧保持して加工する対となる押圧部17、18を有する把持手段19を用いて行う。
即ち、図4(A)に示すように、一側開口部15の中心軸位置とワイヤ11の中心軸位置を一致させて、ワイヤ11の下端が貫通孔13の一側開口部15の直上に配置される。次いで、貫通孔13の一側開口部15の上方に位置するワイヤ11の側部の両側を、把持手段19の図示しない押圧駆動部を操作して、上端位置に配置されている押圧部17、18でそれぞれ押圧して保持し、図4(B)に示すように、ワイヤ11の側部を保持している状態の押圧部17、18を、把持手段19の図示しない昇降駆動部を操作して下方に移動させる。これに伴って、ワイヤ11の一側開口部15の上方に位置する部分が、押圧部17、18の下降と共に一側開口部15から貫通孔13内に圧入される。
続いて、図4(C)に示すように、押圧部17、18が下端位置に達した時点で、ワイヤ11の貫通孔13への圧入が停止する。押圧部17、18が下端位置に達すると、押圧駆動部を操作して、押圧部17、18によるワイヤ11の保持状態を解除し、図4(D)に示すように、ワイヤ11から離脱した押圧部17、18は、昇降駆動部を操作して上端位置まで移動させる。これによって、押圧部17、18は、ワイヤ11の側部を両側から押圧する動作を開始する待機状態となる。そして、図4(A)〜(D)に示す動作を繰り返すことにより、貫通孔13の一側開口部15からワイヤ11を順次押し込むことができ、ワイヤ11が長尺になっても、ワイヤ11の強加工を連続して容易に行うことができる。
なお、ワイヤ11の貫通孔13への押し込みが進行し、貫通孔13の一側開口部15の上方に位置するワイヤ11の長さが短くなると、ダミーワイヤをワイヤ11の終端に当接し、把持手段19を用いてダミーワイヤを貫通孔13に圧入する。これによって、ダミーワイヤにより、ワイヤ11を押し出すことができ、貫通孔13の他側開口部16から、ワイヤ11を取り出すことができる。
図3に示す貫通孔13の一側開口部15からワイヤ11を入れて、他側開口部16から強制的に押し出すと、ワイヤ11が屈曲部(弧の角度がΨとなるコーナ部)を通過する際、せん断ひずみが導入される。なお、一側開口部15の内径に対して、他側開口部16の内径は小さく設定されているので、強加工後のワイヤ11は縮径しており、強加工後のワイヤ11を再度一側開口部15に装入することが容易にでき、ワイヤ11の強加工を繰り返し行うことが容易にできる。
そして、ワイヤ11が貫通孔13を通過した回数をNとすると、ワイヤ11に導入された累積相当ひずみεは、次式で近似することができる。
ε=(N/31/2)・(P+Q)
ここで、P=2cot{(Φ/2)+(Ψ/2)}、Q=Ψcosec{(Φ/2)+(Ψ/2)}である。
ここで、貫通孔13の屈曲角度Φ、貫通孔13の屈曲部の弧の角度Ψに応じて、ワイヤ11が貫通孔13を1回通過した際の相当ひずみεは、0.5〜1となる。例えば、貫通孔13の屈曲角度Φが90度以上の場合、ワイヤ11が貫通孔13を1回通過した際の相当ひずみεは、屈曲部の弧の角度Ψにあまり影響されないことが確認されているので、屈曲角度Φが90度では、P+Qを1と近似できる。このため、貫通孔13をN回通過したワイヤ11の累積相当ひずみεは、(N/31/2)として計算できる(なお、1回、即ちN=1の強加工で導入される相当ひずみは0.58となる)。従って、ワイヤ11が貫通孔13を通過する回数Nを決めることで、ワイヤ11の累積相当ひずみεを定量的に容易に評価することができると共に、ワイヤ11の累積相当ひずみεを正確に調整することができる。そして、ワイヤ11の累積相当ひずみを4以上にする場合、貫通孔13を通過させる回数Nは、7回以上となる。
図5に、変形例に係る把持手段20を示す。
把持手段20は、金型14の上部に形成された貫通孔13の一側開口部15の前方(上方)にあるワイヤ11の側面の上下方向の異なる高さ位置にある外周部の周方向の異なる角度位置(例えば、周方向を4等分する角度位置)でそれぞれ当接して、ワイヤ11の一側開口部15の上方にある領域を、一側開口部15に対して立設状態で支持するガイド部材21を備えた上、下保持部22、23を有している。更に、把持手段20は、上、下保持部22、23の間にあって、上下方向に並べて設けられ、ワイヤ11の上、下保持部22、23の間にある側面の異なる高さ位置にある外周部の対向する部位を、それぞれ半径方向外側から押圧しながら回転して、ワイヤ11を下方に送り出すそれぞれ対となるロール24、25をそれぞれ備えた上、下駆動部26、27とを有している。なお、図5では、上駆動部26の対となるロール24の軸心方向と、下駆動部27の対となるロール25の軸心方向は交差(例えば直交)している。
把持手段20を用いてワイヤ11を貫通孔13に押し込む場合、先ず、上保持部22によりワイヤ11の先側を支持させながら、ワイヤ11の先端の外周部に上駆動部26の対となるロール24に接触させて、上、下駆動部26、27のロール24、25を回転させる。これによりワイヤ11は下方に移動し、下駆動部27の対となるロール25間を通過して、ワイヤ11の先側が下保持部23で支持され、ワイヤ11の中心軸位置が貫通孔13の一側開口部15の中心軸位置と一致した状態で、ワイヤ11の下端が貫通孔13の一側開口部15の直上に配置される。
そして、上、下駆動部26、27のロール24、25が回転することにより、ワイヤ11の先側は徐々に貫通孔13内に押し込まれ、時間が経過すると、ワイヤ11の先側は、貫通孔13の他側開口部16から突出する。
なお、ワイヤ11の貫通孔13への押し込みが進行し、貫通孔13の一側開口部15の上方に位置するワイヤ11の長さが短くなると、上、下駆動部26、27のロール24、25による押し込みができなくなるので、ワイヤ11の終端にダミーワイヤの先端を当接させ、上、下駆動部26、27のロール24、25でダミーワイヤを下方に移動させる。これにより、ワイヤ11がダミーワイヤにより押し出されることになって、ワイヤ11は貫通孔13を通過することができる。
伸線加工は、ワイヤ11を縮径して細線とする前伸線処理(粗引き)と、細線から素線を形成する仕上げ伸線処理とを有している。
ここで、前伸線処理は、例えばスエージング機を用いて、ワイヤ11の断面積減少率が5〜30%となる範囲で行う。ワイヤ11の断面積減少率を5〜30%の範囲としたのは、断面積減少率が5%未満では、細線から素線を形成する仕上げ伸線処理の負担が高くなって、素線の断線や表面荒れが生じるため好ましくない。一方、断面積減少率が30%を超えると細線の径が細すぎて取扱が困難になり、生産性(素線の形成速度)が低下するため好ましくない。
そして、前伸線処理は、強加工が施されたワイヤ11を事前加熱した後に行ってもよい。ここで、事前加熱の温度は、強加工が行われたワイヤ11の有する再結晶温度より20〜100℃低い温度の不活性ガス雰囲気中で1〜50時間の範囲で行う。これによって、伸線加工を行う前のワイヤ11の結晶組織の粒成長を抑制しながら再結晶化を促進して、結晶組織を微細化することができると共に、ワイヤ11の加工性(変形性)を向上させることができる。
細線から素線を形成する仕上げ伸線処理は、細線を、例えば、冷媒(例えば油)で冷却した伸線ダイス内を通過させることにより行う。なお、細線から素線が形成される際の加工度は3〜11の範囲とする。ここで、加工度は、細線の断面積をS、素線の断面積をSとした場合、ln(S/S)で計算される値である。
そして、加工度を3〜11の範囲とすることにより、ワイヤ11から細線を経由して素線が形成される過程における結晶粒12の再結晶による結晶組織の微細化と、ワイヤ11から細線を経由して素線が形成される過程における結晶粒12の伸線方向に直交する方向に沿った部位の最大長さが減少する反作用に伴う結晶粒12の伸線方向に沿った部位の最大長さの増加を競合させて、結晶粒12が伸線方向に成長することを抑制することができる。その結果、素線を形成している結晶組織を構成する結晶粒12の長手方向(伸線加工時の伸線方向)の平均粒径Bを10μm以下、長手方向(伸線方向)に直交する方向の平均粒径Aを2μm以下にすることができる。
仕上げ伸線処理は、細線を、細線の有する再結晶温度より10〜70℃低い温度で加熱する細線加熱を行った後に行ってもよい。細線加熱を行うことにより、細線を構成している結晶粒の再結晶化を促進して、結晶粒12の微細化を図ると共に、結晶粒内に導入されたひずみを除去して、細線から素線が形成される際に必要な細線の伸び性(伸線性)を向上させることができる。ここで、細線加熱の温度を再結晶温度より70℃を超えて低く設定すると、再結晶化が促進されず、細線内のひずみ除去が不十分になって細線の伸び性を向上させることができない。一方、細線加熱の温度を、再結晶温度−10℃の温度を超えて高く設定すると、細線を構成している結晶組織では、再結晶化と共に粒成長が発生して好ましくない。
更に、形成した素線を、素線の有する再結晶温度より10〜70℃低い温度で仕上げ加熱してもよい。これによって、素線を構成する結晶粒12の再結晶を促進して、素線を形成している結晶組織を構成する結晶粒12の長手方向(伸線方向)の平均粒径Bを10μm以下、長手方向(伸線方向)に直交する方向の平均粒径Aを2μm以下に効率的に調整することができる。
ここで、仕上げ加熱処理の温度を、ダイス伸線で形成された素線の有する再結晶温度より70℃を超えて低く設定すると、再結晶化が促進されず、素線を構成する結晶組織の微細化が達成できない。一方、仕上げ加熱処理の温度を、再結晶温度−10℃の温度を超えて高く設定すると、素線を構成している結晶組織では、再結晶化と共に粒成長が発生して(即ち、結晶組織の均一性は低下して)好ましくない。
なお、強加工の方法として、ECAP法の他にHPT(High−Pressure Torsion)法を使用することもできる。HPT法では、リング形状の強加工された素材が得られる。
更に、強加工の方法として、ARB(AccumulAtive Roll Bonding)法を使用することもできる。ARB法では、積層加工体から、機械切削等によりワイヤを切り出すことにより、強加工された素材を作製することができる。
本発明の第2の実施例に係る微結晶金属導体は、ワイヤから線径が50〜120μmの素線を形成する伸線加工(強加工の一例)時に、4以上の累積相当ひずみを導入することにより得られるもので、長手方向(伸線加工時の伸線方向)の平均粒径が0.3μm以上10μm以下で、長手方向(伸線方向)に直交する方向の平均粒径が0.3μm以上2μm以下である結晶粒から構成される結晶組織、即ち、長手方向に伸びる粗大な繊維状結晶が含まれず、等方性に優れた微細な結晶組織を有している。このため、第2の実施例に係る微結晶金属導体は、繰り返し変形が加わっても結晶組織内にひずみの局在化が生じ難く、脆化が誘起され難い。その結果、疲労き裂の発生が抑制でき、耐疲労特性(耐屈曲性能)の向上を図ることができる。
また、第2の実施例に係る微結晶金属導体の製造方法は、微結晶金属導体の原料(金属)を溶融する溶融工程と、溶融した金属から所定形状、例えば、外径が6〜10mmのワイヤを製造する鋳造工程と、ワイヤに累積相当ひずみが4以上となる強加工を行って線径が50〜120μmの素線を形成する伸線加工工程とを有している。そして、伸線加工工程において、ワイヤの結晶組織に累積相当ひずみ4以上の強加工を行いながら素線を形成すると、強加工に伴って、ワイヤの結晶組織を構成している結晶粒の微細化と、ワイヤから素線が形成される過程における結晶粒の伸線方向に直交する方向に沿った部位の長さが減少する反作用に伴う結晶粒の伸線方向に沿った部位の長さの増加が競合して、結晶粒が伸線方向に成長することが抑制され、素線の結晶組織は、長手方向(伸線加工時の伸線方向)の平均粒径が0.3〜10μm、長手方向(伸線方向)に直交する方向の平均粒径が0.3〜2μmの結晶粒から構成されるようになる。
次に、本発明の作用効果を確認するために行った実験例について、以下に説明する。
(実験例1〜4)
グラファイトルツボ内に純度が99.95質量%のアルミニウムを所定量投入し、高周波誘導加熱により720℃で撹拌溶融した(以上、溶融工程)。そして、得られた溶融金属をグラファイトダイスが設けられた容器に移し、水冷したグラファイトダイスを介して、約300mm/分の鋳造速度で直径が10mm、長さが100mmのワイヤを連続鋳造した(以上、鋳造工程)。
次いで、一側開口部の内径が10mm、他側開口部の内径が9.8mmで90度屈曲する貫通孔が形成された金型をプレス機に取り付け、金型に形成された一側開口部から、ワイヤを約200mm/分の押し込み速度で押し込み、金型の他側開口部から排出させるECAP法による強加工を室温で3、5、7、及び9回それぞれ繰り返し、ワイヤに1.7、2.9、4.0、及び5.2の累積相当ひずみを導入した。なお、強加工を行う場合、ワイヤの表面には、無機系潤滑剤(例えば、二硫化モリブデン)を塗布した(以上、強加工工程)。
強加工が施された直径9.8mmのワイヤから採取した試験片を用いて再結晶化温度を測定し、求めた再結晶化温度より50℃低い温度を加熱温度に設定して、窒素ガス雰囲気(不活性ガス雰囲気の一例)中で2時間の事前加熱を行った。そして、事前加熱後のワイヤを、スエージング機を用いて直径8.4mm(断面積減少率29%)の細線を成形した(前伸線処理)。続いて、細線から採取した試験片を用いて再結晶化温度を測定し、求めた再結晶化温度より40℃低い温度を加熱温度に設定して、窒素ガス雰囲気(不活性ガス雰囲気の一例)中で2時間の細線加熱を行った。そして、細線加熱を行った細線を、水冷した伸線ダイス内を300mm/分の引き抜き速度で通過させて、直径が80μm(加工度9.3)の素線に成形した(仕上げ伸線処理)。次いで、素線から採取した試験片を用いて再結晶化温度を測定し、求めた再結晶化温度より40℃低い温度を加熱温度に設定して、窒素ガス雰囲気(不活性ガス雰囲気の一例)中で4時間の仕上げ加熱を行って素線を得た(以上、伸線加工工程)。
素線の結晶組織の観察から、結晶組織を構成している結晶粒の伸線方向に直交する方向の平均粒径Aは2μmであり、結晶粒の伸線方向の平均粒径Bは、累積相当ひずみが1.7では20μm、累積相当ひずみが2.9では15μm、累積相当ひずみが4.0では10μm、累積相当ひずみが5.2では2μmであった。
そして、得られた素線の導電率を測定し、素線から断面積が0.2mmのケーブルを作製して常温でケーブル屈曲試験を行ってケーブル破断回数を求めた。なお、ケーブル屈曲試験では、ケーブルに荷重100gを負荷した状態で、曲げ半径が15mm、折り曲げ角度範囲が±90度の左右繰り返し曲げを加えた。導電率の値及びケーブル破断回数を表1に示す。また、結晶粒の伸線方向の平均粒径Bとケーブル破断回数の関係を図6に示す。
Figure 2016180186
(実験例5〜8)
実験例1〜4と同様の方法で直径が10mm、長さが100mmのワイヤを作製した。そして、実験例1〜4と同様にECAP法による強加工を室温で行って、得られたワイヤに1.7、2.9、4.0、及び5.2の累積相当ひずみを導入した。
次いで、強加工が施された直径9.8mmのワイヤから採取した試験片を用いて再結晶化温度を測定し、求めた再結晶化温度より50℃低い温度を加熱温度に設定して、窒素ガス雰囲気中で2時間の事前加熱を行った。そして、事前加熱後のワイヤを、スエージング機を用いて直径8.4mm(断面積減少率29%)の細線を成形した(前伸線処理)。続いて、細線から採取した試験片を用いて再結晶化温度を測定し、求めた再結晶化温度より40℃低い温度を加熱温度に設定して、窒素ガス雰囲気中で2時間の細線加熱を行った。そして、細線加熱を行った細線を、水冷した伸線ダイス内を300mm/分の引き抜き速度で通過させて、直径が80μm(加工度9.3)の素線に成形した(仕上げ伸線処理)。そして、素線から採取した試験片を用いて再結晶化温度を測定し、求めた再結晶化温度より40℃低い温度を加熱温度に設定して、窒素ガス雰囲気中で1時間の仕上げ加熱を行って素線を得た。
素線の結晶組織の観察から、結晶組織を構成している結晶粒の伸線方向に直交する方向の平均粒径Aは0.5μmであり、結晶粒の伸線方向の平均粒径Bは、累積相当ひずみが1.7では20μm、累積相当ひずみが2.9では15μm、累積相当ひずみが4.0では10μm、累積相当ひずみが5.2では2μmであった。そして、得られた素線の導電率を測定し、素線から断面積が0.2mmのケーブルを作製して常温で実験例1〜4と同様のケーブル屈曲試験を行ってケーブル破断回数を求めた。導電率の値及びケーブル破断回数を表1に示す。また、結晶粒の伸線方向の平均粒径Bとケーブル破断回数の関係を図6に示す。
(実験例9〜13)
グラファイトルツボ内に純度が99.95質量%のアルミニウムと純度が99質量%のスカンジウムをそれぞれ所定量投入し、高周波誘導加熱により720℃で撹拌溶融して、アルミニウム−0.3質量%スカンジウム合金を溶製した(以上、溶融工程)。そして、得られた溶融金属をグラファイトダイスが設けられた容器に移し、水冷したグラファイトダイスを介して、約300mm/分の鋳造速度で直径が10mm、長さが100mmのワイヤを連続鋳造した(以上、鋳造工程)。
実験例1〜4と同様にECAP法による強加工を室温で行って、得られたワイヤに1.7、2.9、4.0、4.6、及び5.2の累積相当ひずみを導入した(以上、強加工工程)。
次いで、強加工が施された直径9.8mmのワイヤから採取した試験片を用いて再結晶化温度を測定し、求めた再結晶化温度より50℃低い温度を熱処理温度に設定して、窒素ガス雰囲気(不活性ガス雰囲気の一例)中で2時間の事前加熱を行った。そして、事前加熱後の直径10mmのワイヤを、スエージング機を用いて直径8.4mm(断面積減少率29%)の細線を成形した(前伸線処理)。続いて、細線から採取した試験片を用いて再結晶化温度を測定し、求めた再結晶化温度より40℃低い温度を加熱温度に設定して、窒素ガス雰囲気(不活性ガス雰囲気の一例)中で2時間の細線加熱を行った。そして、細線加熱を行った細線を、水冷した伸線ダイス内を500mm/分の引き抜き速度で通過させて、直径が80μm(加工度9.3)の素線に成形した(仕上げ伸線処理)。次いで、素線から採取した試験片を用いて再結晶化温度を測定し、求めた再結晶化温度より40℃低い温度を加熱温度に設定して、窒素ガス雰囲気(不活性ガス雰囲気の一例)中で4時間の仕上げ加熱処理を行った(以上、伸線加工工程)。
素線の結晶組織の観察から、結晶組織を構成している結晶粒の伸線方向に直交する方向の平均粒径Aは2μmであり、結晶粒の伸線方向の平均粒径Bは、累積相当ひずみが1.7では20μm、累積相当ひずみが2.9では15μm、累積相当ひずみが4.0では10μm、累積相当ひずみが4.6では6μm、累積相当ひずみが5.2では2μmであった。そして、得られた素線の導電率を測定し、素線から断面積が0.2mmのケーブルを作製して常温で実験例1〜4と同様のケーブル屈曲試験を行ってケーブル破断回数を求めた。導電率の値及びケーブル破断回数を表2に示す。また、結晶粒の伸線方向の平均粒径Bとケーブル破断回数の関係を図7に示す。
Figure 2016180186
(実験例14〜18)
実験例9〜13と同様の方法で直径が10mm、長さが100mmのワイヤを作製した。そして、実験例1〜4と同様にECAP法による強加工を室温で行って、得られたワイヤに1.7、2.9、4.0、4.6、及び5.2の累積相当ひずみを導入した。
次いで、強加工が施された直径9.8mmの強加工が施されたワイヤから採取した試験片を用いて再結晶化温度を測定し、求めた再結晶化温度より50℃低い温度を熱処理温度に設定して、窒素ガス雰囲気(不活性ガス雰囲気の一例)中で2時間の事前加熱を行った。そして、事前加熱後の直径10mmのワイヤを、スエージング機を用いて直径8.4mm(断面積減少率29%)の細線を成形した(前伸線処理)。続いて、細線から採取した試験片を用いて再結晶化温度を測定し、求めた再結晶化温度より40℃低い温度を加熱温度に設定して、窒素ガス雰囲気(不活性ガス雰囲気の一例)中で2時間の細線加熱を行った。そして、細線加熱を行った細線を、水冷した伸線ダイス内を500mm/分の引き抜き速度で通過させて、直径が80μm(加工度9.3)の素線に成形した(仕上げ伸線処理)。次いで、素線から採取した試験片を用いて再結晶化温度を測定し、求めた再結晶化温度より40℃低い温度を加熱温度に設定して、窒素ガス雰囲気(不活性ガス雰囲気の一例)中で2時間の仕上げ加熱処理を行った(以上、伸線加工工程)。
素線の結晶組織の観察から、結晶組織を構成している結晶粒の伸線方向に直交する方向の平均粒径Aは1μmであり、結晶粒の伸線方向の平均粒径Bは、累積相当ひずみが1.7では20μm、累積相当ひずみが2.9では15μm、累積相当ひずみが4.0では10μm、累積相当ひずみが4.6では6μm、累積相当ひずみが5.2では2μmであった。そして、得られた素線の導電率を測定し、素線から断面積が0.2mmのケーブルを作製して常温で実験例1〜4と同様のケーブル屈曲試験を行ってケーブル破断回数を求めた。導電率の値及びケーブル破断回数を表2に示す。また、結晶粒の伸線方向の平均粒径Bとケーブル破断回数の関係を図7に示す。
(実験例19〜23)
実験例9〜13と同様の方法で直径が10mm、長さが100mmのワイヤを作製した。そして、実験例1〜4と同様にECAP法による強加工を室温で行って、得られたワイヤに1.7、2.9、4.0、4.6、及び5.2の累積相当ひずみを導入した。
次いで、強加工が施された直径9.8mmのワイヤから採取した試験片を用いて再結晶化温度を測定し、求めた再結晶化温度より50℃低い温度を熱処理温度に設定して、窒素ガス雰囲気(不活性ガス雰囲気の一例)中で2時間の事前加熱を行った。そして、事前加熱後の直径10mmのワイヤを、スエージング機を用いて直径8.4mm(断面積減少率29%)の細線を成形した(前伸線処理)。続いて、細線から採取した試験片を用いて再結晶化温度を測定し、求めた再結晶化温度より40℃低い温度を加熱温度に設定して、窒素ガス雰囲気(不活性ガス雰囲気の一例)中で2時間の細線加熱を行った。そして、細線加熱を行った細線を、水冷した伸線ダイス内を500mm/分の引き抜き速度で通過させて、直径が80μm(加工度9.3)の素線に成形した(仕上げ伸線処理)。次いで、素線から採取した試験片を用いて再結晶化温度を測定し、求めた再結晶化温度より40℃低い温度を加熱温度に設定して、窒素ガス雰囲気(不活性ガス雰囲気の一例)中で1時間の仕上げ加熱処理を行った(以上、伸線加工工程)。
素線の結晶組織の観察から、結晶組織を構成している結晶粒の伸線方向に直交する方向の平均粒径Aは0.5μmであり、結晶粒の伸線方向の平均粒径Bは、累積相当ひずみが1.7では20μm、累積相当ひずみが2.9では15μm、累積相当ひずみが4.0では10μm、累積相当ひずみが4.6では5μm、累積相当ひずみが5.2では2μmであった。そして、得られた素線の導電率を測定し、素線から断面積が0.2mmのケーブルを作製して常温で実験例1〜4と同様のケーブル屈曲試験を行ってケーブル破断回数を求めた。導電率の値及びケーブル破断回数を表2に示す。また、結晶粒の伸線方向の平均粒径Bとケーブル破断回数の関係を図7に示す。
(実験例24〜27)
グラファイトルツボ内に純度が99.95質量%のアルミニウム、純度が99.95質量%のマグネシウム、純度が99.99質量%のケイ素、純度が99.95質量%の鉄をそれぞれ所定量投入し、高周波誘導加熱により720℃で撹拌溶融して、アルミニウム−0.6質量%マグネシウム−0.3質量%ケイ素−0.05質量%の鉄合金を溶製した(以上、溶融工程)。そして、得られた溶融金属をグラファイトダイスが設けられた容器に移し、水冷したグラファイトダイスを介して、約300mm/分の鋳造速度で直径が10mm、長さが100mmのワイヤを連続鋳造した(以上、鋳造工程)。
実験例1〜4と同様にECAP法による強加工を室温で行って、得られたワイヤに1.7、2.9、4.0、及び5.2の累積相当ひずみを導入した(以上、強加工工程)。
次いで、強加工が施された直径9.8mmのワイヤから採取した試験片を用いて再結晶化温度を測定し、求めた再結晶化温度より50℃低い温度を熱処理温度に設定して、窒素ガス雰囲気(不活性ガス雰囲気の一例)中で2時間の事前加熱を行った。そして、事前加熱後の直径10mmのワイヤを、スエージング機を用いて直径8.4mm(断面積減少率29%)の細線を成形した(前伸線処理)。続いて、細線から採取した試験片を用いて再結晶化温度を測定し、求めた再結晶化温度より40℃低い温度を加熱温度に設定して、窒素ガス雰囲気(不活性ガス雰囲気の一例)中で2時間の細線加熱を行った。そして、細線加熱を行った細線を、水冷した伸線ダイス内を500mm/分の引き抜き速度で通過させて、直径が80μm(加工度9.3)の素線に成形した(仕上げ伸線処理)。次いで、素線から採取した試験片を用いて再結晶化温度を測定し、求めた再結晶化温度より40℃低い温度を加熱温度に設定して、窒素ガス雰囲気(不活性ガス雰囲気の一例)中で1時間の仕上げ加熱処理を行った(以上、伸線加工工程)。
素線の結晶組織の観察から、結晶組織を構成している結晶粒の伸線方向に直交する方向の平均粒径Aは0.5μmであり、結晶粒の伸線方向の平均粒径Bは、累積相当ひずみが1.7では20μm、累積相当ひずみが2.9では15μm、累積相当ひずみが4.0では10μm、累積相当ひずみが5.2では2μmであった。そして、得られた素線の導電率を測定し、素線から断面積が0.2mmのケーブルを作製して常温で実験例1〜4と同様のケーブル屈曲試験を行ってケーブル破断回数を求めた。導電率の値及びケーブル破断回数を表3に示す。また、結晶粒の伸線方向の平均粒径Bとケーブル破断回数の関係を図6に示す。
Figure 2016180186
(実験例28〜31)
グラファイトルツボ内に純度が99.99質量%の銅を所定量投入し、高周波誘導加熱により1150℃で撹拌溶融した(以上、溶融工程)。そして、得られた溶融金属をグラファイトダイスが設けられた容器に移し、水冷したグラファイトダイスを介して、約300mm/分の鋳造速度で直径が10mm、長さが100mmのワイヤを連続鋳造した(以上、鋳造工程)。
実験例1〜4と同様にECAP法による強加工を室温で行って、得られたワイヤに1.7、2.9、4.0、及び5.2の累積相当ひずみを導入した(以上、強加工工程)。
次いで、強加工が施された直径9.8mmの強加工が施されたワイヤから採取した試験片を用いて再結晶化温度を測定し、求めた再結晶化温度より50℃低い温度を熱処理温度に設定して、窒素ガス雰囲気(不活性ガス雰囲気の一例)中で2時間の事前加熱を行った。そして、事前加熱後の直径10mmのワイヤを、スエージング機を用いて直径8.4mm(断面積減少率29%)の細線を成形した(前伸線処理)。続いて、細線から採取した試験片を用いて再結晶化温度を測定し、求めた再結晶化温度より45℃低い温度を加熱温度に設定して、窒素ガス雰囲気(不活性ガス雰囲気の一例)中で2時間の細線加熱を行った。そして、細線加熱を行った細線を、水冷した伸線ダイス内を1500mm/分の引き抜き速度で通過させて、直径が80μm(加工度9.3)の素線に成形した(仕上げ伸線処理)。次いで、素線から採取した試験片を用いて再結晶化温度を測定し、求めた再結晶化温度より45℃低い温度を加熱温度に設定して、窒素ガス雰囲気(不活性ガス雰囲気の一例)中で4時間の仕上げ加熱処理を行った(以上、伸線加工工程)。
素線の結晶組織の観察から、結晶組織を構成している結晶粒の伸線方向に直交する方向の平均粒径Aは2μmであり、結晶粒の伸線方向の平均粒径Bは、累積相当ひずみが1.7では20μm、累積相当ひずみが2.9では15μm、累積相当ひずみが4.0では10μm、累積相当ひずみが5.2では2μmであった。そして、得られた素線の導電率を測定し、素線から断面積が0.2mmのケーブルを作製して常温で実験例1〜4と同様のケーブル屈曲試験を行ってケーブル破断回数を求めた。導電率の値及びケーブル破断回数を表4に示す。また、結晶粒の伸線方向の平均粒径Bとケーブル破断回数の関係を図6に示す。
Figure 2016180186
(実験例32〜35)
グラファイトルツボ内に純度が99.99質量%の銅と純度が99.95質量%の銀をそれぞれ所定量投入し、高周波誘導加熱により1150℃で撹拌溶融して、銅−5質量%銀合金を溶製した(以上、溶融工程)。そして、得られた溶融金属をグラファイトダイスが設けられた容器に移し、水冷したグラファイトダイスを介して、約300mm/分の鋳造速度で直径が10mm、長さが100mmのワイヤを連続鋳造した(以上、鋳造工程)。
実験例1〜4と同様にECAP法による強加工を室温で行って、得られたワイヤに1.7、2.9、4.0、及び5.2の累積相当ひずみを導入した(以上、強加工工程)。
次いで、強加工が施された直径9.8mmのワイヤから採取した試験片を用いて再結晶化温度を測定し、求めた再結晶化温度より50℃低い温度を熱処理温度に設定して、窒素ガス雰囲気(不活性ガス雰囲気の一例)中で2時間の事前加熱を行った。そして、事前加熱後の直径10mmのワイヤを、スエージング機を用いて直径8.4mm(断面積減少率29%)の細線を成形した(前伸線処理)。続いて、細線から採取した試験片を用いて再結晶化温度を測定し、求めた再結晶化温度より45℃低い温度を加熱温度に設定して、窒素ガス雰囲気(不活性ガス雰囲気の一例)中で2時間の細線加熱を行った。そして、細線加熱を行った細線を、水冷した伸線ダイス内を1500mm/分の引き抜き速度で通過させて、直径が80μm(加工度9.3)の素線に成形した(仕上げ伸線処理)。次いで、素線から採取した試験片を用いて再結晶化温度を測定し、求めた再結晶化温度より45℃低い温度を加熱温度に設定して、窒素ガス雰囲気(不活性ガス雰囲気の一例)中で4時間の仕上げ加熱処理を行った(以上、伸線加工工程)。
素線の結晶組織の観察から、結晶組織を構成している結晶粒の伸線方向に直交する方向の平均粒径Aは2μmであり、結晶粒の伸線方向の平均粒径Bは、累積相当ひずみが1.7では20μm、累積相当ひずみが2.9では15μm、累積相当ひずみが4.0では10μm、累積相当ひずみが5.2では2μmであった。そして、得られた素線の導電率を測定し、素線から断面積が0.2mmのケーブルを作製して常温で実験例1〜4と同様のケーブル屈曲試験を行ってケーブル破断回数を求めた。導電率の値及びケーブル破断回数を表4に示す。また、結晶粒の伸線方向の平均粒径Bとケーブル破断回数の関係を図7に示す。
(実験例36〜38)
実験例32〜35と同様の方法で直径が10mm、長さが100mmのワイヤを作製した。そして、実験例1〜4と同様にECAP法による強加工を室温で行って、得られたワイヤに1.7、4.0、及び5.2の累積相当ひずみを導入した。
次いで、強加工が施された直径9.8mmのワイヤから採取した試験片を用いて再結晶化温度を測定し、求めた再結晶化温度より50℃低い温度を熱処理温度に設定して、窒素ガス雰囲気(不活性ガス雰囲気の一例)中で2時間の事前加熱を行った。そして、事前加熱後の直径10mmのワイヤを、スエージング機を用いて直径8.4mm(断面積減少率29%)の細線を成形した(前伸線処理)。続いて、細線から採取した試験片を用いて再結晶化温度を測定し、求めた再結晶化温度より45℃低い温度を加熱温度に設定して、窒素ガス雰囲気(不活性ガス雰囲気の一例)中で2時間の細線加熱を行った。そして、細線加熱を行った細線を、水冷した伸線ダイス内を1500mm/分の引き抜き速度で通過させて、直径が80μm(加工度9.3)の素線に成形した(仕上げ伸線処理)。次いで、素線から採取した試験片を用いて再結晶化温度を測定し、求めた再結晶化温度より45℃低い温度を加熱温度に設定して、窒素ガス雰囲気(不活性ガス雰囲気の一例)中で1時間の仕上げ加熱処理を行った(以上、伸線加工工程)。
素線の結晶組織の観察から、結晶組織を構成している結晶粒の伸線方向に直交する方向の平均粒径Aは0.5μmであり、結晶粒の伸線方向の平均粒径Bは、累積相当ひずみが1.7では20μm、累積相当ひずみが4.0では10μm、累積相当ひずみが5.2では2μmであった。そして、得られた素線の導電率を測定し、素線から断面積が0.2mmのケーブルを作製して常温で実験例1〜4と同様のケーブル屈曲試験を行ってケーブル破断回数を求めた。導電率の値及びケーブル破断回数を表4に示す。また、結晶粒の伸線方向の平均粒径Bとケーブル破断回数の関係を図7に示す。
表1〜表4、図6、図7に示すケーブル屈曲試験の結果から、結晶組織を構成する結晶粒の伸線方向に直交する方向の平均粒径が2μm以下であることに加えて、結晶粒の伸線方向の平均粒径が10μm以下になると、結晶粒の伸線方向の平均粒径が10μmを超える場合と比較して、ケーブル破断回数が約2倍程度大きくなること、結晶粒の伸線方向の平均粒径が15μmと10μmの間に、ケーブル破断回数が急増する遷移領域が存在することが確認できた。
また、図6、図7に示すように、結晶粒の伸線方向の平均粒径とケーブル破断回数の関係において、結晶粒の伸線方向に直交する方向の平均粒径が小さくなると、結晶粒の伸線方向の平均粒径が20μm以下の範囲で、ケーブル破断回数が増加することが確認できた。
以上、本発明を、実施例を参照して説明してきたが、本発明は何ら上記した実施例に記載した構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施例や変形例も含むものである。
更に、本実施例とその他の実施例や変形例にそれぞれ含まれる構成要素を組合わせたものも、本発明に含まれる。
本発明に係る微結晶金属導体の製造方法は、産業用ロボット、民生用ロボット、自動車の配線等において、特に繰り返し曲げがかかるケーブル等に使用できる。これによってより長期の寿命を有する機器、装置を提供できる。
10:微結晶金属導体、11:ワイヤ、12:結晶粒、13:貫通孔、14:金型、15:一側開口部、16:他側開口部、17、18:押圧部、19、20:把持手段、21:ガイド部材、22:上保持部、23:下保持部、24、25:ロール、26:上駆動部、27:下駆動部

Claims (7)

  1. アルミニウム又はアルミニウム合金からなって、繰り返し曲げがかかる電線の素線に使用する耐屈曲性を備えた微結晶金属導体の製造方法において、
    前記素線は、原料を溶融鋳造して得られたワイヤに4以上20以下の累積相当ひずみを導入する強加工を行い更に伸線加工を行って形成され、前記素線の結晶組織を、伸線方向の平均粒径が0.3μm以上10μm以下、該伸線方向に直交する方向の平均粒径が0.3μm以上2μm以下の結晶粒から構成し、100万回の動的駆動試験に耐えることを特徴とする微結晶金属導体の製造方法。
  2. 請求項1記載の微結晶金属導体の製造方法において、前記伸線加工を加工度が3〜11となる範囲で行うことを特徴とする微結晶金属導体の製造方法。
  3. 請求項1又は2記載の微結晶金属導体の製造方法において、前記素線の線径は50〜120μmであることを特徴とする微結晶金属導体の製造方法。
  4. 請求項3記載の微結晶金属導体の製造方法において、金型に前記ワイヤを繰り返し通過させることにより前記強加工を行う際に、1回の加工前後に伴う断面積減少率が20%以下であり、前記1回の加工で導入される相当ひずみが0.5以上であることを特徴とする微結晶金属導体の製造方法。
  5. 請求項4記載の微結晶金属導体の製造方法において、前記強加工は、前記ワイヤを前記金型の屈曲する貫通孔の一側から押し込み、他側から排出させることにより行うことを特徴とする微結晶金属導体の製造方法。
  6. 請求項5記載の微結晶金属導体の製造方法において、前記貫通孔の一側開口部の前方に前記ワイヤの側部を押圧して保持する把持手段を設け、該把持手段で該ワイヤを前記貫通孔に押し込むことを特徴とする微結晶金属導体の製造方法。
  7. アルミニウム又はアルミニウム合金からなって、繰り返し曲げがかかる電線の素線に使用する耐屈曲性を備えた微結晶金属導体において、
    前記素線の結晶組織は、伸線方向の平均粒径が0.3μm以上10μm以下、該伸線方向に直交する方向の平均粒径が0.3μm以上2μm以下の結晶粒から構成され、100万回の動的駆動試験に耐えることを特徴とする微結晶金属導体。
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