JP2016180008A - 歯科治療用ポゾランセメント - Google Patents
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Abstract
【課題】簡便かつ効率的な歯科治療のための新規なポゾランセメントを提供する。【解決手段】歯科治療用ポゾランセメントは、粘土質の石灰石、シリカ、酸化鉄、及び粘土の混合物から調製されたセメントクリンカー、活性シリカ、及び酸化ビスマス(Bi2O5)を含有し、前記粘土が、シリカ、硫黄、及び酸化アルミニウム・酸化鉄(A12O3・Fe2O3)を含み、前記粘土質の石灰石は水和されて水酸化カルシウムを生成し、前記水酸化カルシウム及び前記活性シリカはポゾラン反応を生じさせる。【選択図】なし
Description
本発明は、歯科用の自己中和型水酸化カルシウム(Ca(OH)2)製剤に関する。より詳細には、セメントクリンカーに、活性シリカ質物質、酸化ビスマス(Bi2O5)、シリカ、三酸化硫黄及び酸化アルミニウム/三酸化二鉄(Fe2O3)を混合することにより調製された、歯の治療用の自己中和型水酸化カルシウム製剤に関する。
歯の表面の成分(カルシウム、リン)が酸により溶解されたり、歯のタンパク質などの成分が分解されたりすることによって歯に穴が形成される現象をう触という。う蝕された歯は、虫歯(う歯)と呼ばれる。
虫歯がある程度まで進行している場合、一般的な根管治療、または間接若しくは直接覆髄法が適用され得る。多くの場合、根管治療が実施されるが、根管治療は、長時間の施術を要し、施術が複雑であり、かつ治療費用が高いという短所がある。そこで、直接若しくは間接覆髄法が高成功率で安定的に適用可能であれば、歯の治療への恐れ、歯を広範囲に削ることによる痛み、及び高い治療費から、多くの患者を開放することができると考えられる。そのため、直接若しくは間接覆髄法の研究が幅広く行われている。
虫歯が著しく進行している場合(特に乳歯では)、通常は歯髄切断法が実施される。歯髄切断法を実施する際は、ホルモクレゾールや硫酸第二鉄などの薬剤が使用される。しかしながら、よく使用されるホルモクレゾールには、発癌成分を含有する及び強い細胞毒性を示すという短所がある。また、最近研究されている薬剤である硫酸第二鉄には、細胞毒性及び歯根吸収という短所があるため、未だ広く使用されていない。
最近では、三酸化ミネラル集合体(MTA)を使用した歯髄覆髄法が広範囲に研究されているが、硬化する際の水和反応時に生成された水酸化カルシウムを中和する必要があるため、水和反応により水和熱が発生するため、及び中和反応は長時間を要するため、適切ではない。このことは、歯髄覆髄法(特に、直接歯髄覆髄法)にMTAを使用することを困難にしている。しかしながら、歯髄覆髄法には後述するような長所もあるので、歯髄覆髄法を改善するための様々な努力が依然としてなされている。
一方、歯の治療用の充填材として使用される水酸化カルシウム材料の例としては、自己反応型水酸化カルシウム材料及び光反応型水酸化カルシウム材料が挙げられる。
しかしながら、自己反応型水酸化カルシウム材料及び光反応型水酸化カルシウム材料は、圧縮強度が低く、耐化学性が低く、かつ細胞毒性を有しており、一般的に、直接歯髄覆髄法の成功率を低下させるため、幅広くは使用されていない。そのため、前記両材料は、間接歯髄覆髄法への使用に限定されている。
しかしながら、自己反応型水酸化カルシウム材料及び光反応型水酸化カルシウム材料は、圧縮強度が低く、耐化学性が低く、かつ細胞毒性を有しており、一般的に、直接歯髄覆髄法の成功率を低下させるため、幅広くは使用されていない。そのため、前記両材料は、間接歯髄覆髄法への使用に限定されている。
また、IRMなどの酸化ユージノール材料が直接歯髄覆髄法に使用されるが、これも低い成功率を示すため、実際の臨床ではあまり使用されていない。したがって、MTAは、損傷した根管の治療に用いた場合、既存の水酸化カルシウム材料とは異なり、生体適合性に優れており、歯槽骨の再生を誘導する能力を有し、かつ二次象牙質及びセメント質の形成を促進するため、上述したようなMTAを使用した治療についての様々な研究が依然としてなされている。
しかし、MTAには次のような欠点がある。(i)硬化に要する時間が長い(初期硬化に3時間以上要する)、(ii)操作性が低い(硬化させる前に、水、食塩水、血などにより容易に洗い落とされてしまい、流れ特性が低いため。操作が困難である)、(iii)高温の水和熱を生成する、(iv)持続的な水酸化カルシウムの分泌を引き起こす。そのため、MTAは、歯根穿孔部位を塞ぐ必要がある場合や、既存の手法や材料では回復させることが難しい歯(例えば、歯根未完成歯)の歯内治療が求められる場合に限定的に使用されてきた。また、TMAが高価であることも、TMAの使用が限定される理由の一つである。
したがって、上述の問題点を克服するための新規な材料の開発が求められる。本発明は、既存の複雑な治療法に代わる簡便かつ効率的な治療法を提供することを目的とする。
また、本発明は、素早く硬化し、化学耐性に優れ、かつ食塩水中で固化する、歯科用の自己中和型水酸化カルシウム製剤を提供することを他の目的とする。
また、本発明は、素早く硬化し、化学耐性に優れ、かつ食塩水中で固化する、歯科用の自己中和型水酸化カルシウム製剤を提供することを他の目的とする。
また、本発明は、損傷歯の治療に好適であり、歯の二次象牙質及びセメント質の形成を誘導し、かつ歯髄(特に、乳歯の歯髄)を切断した場合でさえも歯髄の生存を維持することができる、歯科用の自己中和型水酸化カルシウム製剤を提供することをさらに他の目的とする。
上述した目的を達成するための本発明の組成物は、以下のように提示される。
本発明の一態様によれば、活性シリカ質物質及び酸化ビスマスを含んでいる歯科用の自己中和型水酸化カルシウム製剤であって、シリカと、三酸化硫黄と、酸化アルミニウム/三酸化二鉄を含む製剤が提供される。
本発明の一態様によれば、活性シリカ質物質及び酸化ビスマスを含んでいる歯科用の自己中和型水酸化カルシウム製剤であって、シリカと、三酸化硫黄と、酸化アルミニウム/三酸化二鉄を含む製剤が提供される。
本発明の他の態様によれば、活性シリカ質物質及び酸化ビスマスを含んでいる歯科用の自己中和型水酸化カルシウム製剤であって、シリカと、三酸化硫黄と、酸化アルミニウム/三酸化二鉄を含み、かつ生理食塩水の添加によって硬化することを特徴とする製剤が提供される。
本発明に係る歯科用の自己中和型水酸化カルシウム製剤は、優れた硬化性及び耐化学性を有し、かつ食塩水と共に歯に充填することができるので、歯科用の充填材として有用である。
また、本発明によれば、既存の技術では容易に施術することができなかった直接若しくは間接歯髄覆髄法及び乳歯用の歯髄切断法に適用可能であり、かつ、既存のMTAのみが可能であった根未完成の感染根管の治療にも使用可能な歯の治療用の充填材が得られる。
後述するこれらの実施形態は当業者が本発明を十分に実施できるように詳細に説明する。本発明の多様な実施形態は互いに異なるが、相互排他的である必要はないと理解しなければならない。例えば、ここに記載されている特定形状、構造及び特性は一実施形態に関連して本発明の技術的思想及びその範囲から逸脱せずに他の実施形態として具現することができる。したがって、後述する詳細な説明は限定的な意味で扱うものでなく、本発明の技術的範囲は、適切に説明されるならば、その請求項に記載された本発明と均等な全ての技術的範囲と共に添付した特許請求範囲によって定められる。
本発明に係る歯科用の自己中和型水酸化カルシウム製剤を調製するために、まずポルトランドセメントクリンカーを用意する(これに関し、特定の状況に応じて他の種類のセメントクリンカーを用意してもよい)。ここで、クリンカーとは、一部の成分が溶融し、かつ多孔質に焼結された凝集体の塊りを指す。クルンカは、焼結塊とも呼ばれる。一般的に、クリンカーは、セメントの原材料を回転炉等で焼結することにより得られた小さな塊であり、セメントクリンカーの主成分は、3CaO・SiO2、3CaO・A12O3、2CaO・SiO2、4CaO・A12O3・Fe2O3である。
本発明に係るポルトランドセメントクリンカーの製造方法は、次の通りである。まず、シリカ(SiO2)、酸化アルミニウム(A12O3)、酸化鉄(Fe2O3)などのアルカリ性物質を多量に含んでいる粘土を、石灰石と混合させた後、粉砕する。続いて、その混合物にシリカ及び酸化鉄をさらに添加して混合し、これを約1450℃で焼成することにより、本発明に係るポルトランドセメントクリンカーが製造される。この場合、混合される粘土の比率は、約20%から30%であることが望ましい。
続いて、ポルトランドセメントクリンカーに、火山灰、ケイ酸白土、飛散灰等の活性シリカ質物質を約15%ないし40%程度に混合し、それに、酸化ビスマスを約30%以下の比率で添加して混合する。ここで、比率は、質量比である(体積比であってもよいが、以下では質量比で統一して表現する。可能性のある条件では、2種類の比率の数値は実質的に同一であるが、本発明に必要とされる実験の制御は質量比に基づいて行う方が容易なためである)。代替的に、人工ポゾランセメント(または、天然セメント)に酸化ビスマスが同比率で添加することもできる。
また、水酸化カルシウム製剤を歯の治療に使用するために追加的に混合された酸化ビスマスは、本発明に係る歯科用の自己中和型水酸化カルシウム製剤に放射線コントラスト性能を与え、虫歯の治療後に治療部位を診断する際の治療部位のX線撮影による撮影を可能にする。上述したように、酸化ビスマスの混合量は、質量比に基づいて30%以下とする。もし、それ以上の量の酸化ビスマスを混合させると、生体適合性が低下し、本発明に係る歯科用の自己中和型水酸化カルシウム製剤の物理的性質に悪影響を及ぼすこととなるので、酸化ビスマスの30%を超える混合は避けるべきである。
これに関連して、酸化ビスマスの最も適切な混合量を把握するために、ポゾランセメントに酸化ビスマスを20%、14%及び11%の比率(または、25%、18.75%及び12.5%の比率)で混合し、各場合における放射線不透過性を実験した。
この実験では、ポゾランセメントを使用して、直径10mm、厚さ1mmの、酸化ビスマスの混合比率が各々異なる試料を作製し、該試料をアルミニウム金型に入れて、37℃、湿度96%で3時間維持した。
実験の結果によると、ポゾランセメントに酸化ビスマスを20%(または25%)の質量比で混合した場合に、細胞毒性を示さなく、かつ、厚さ6.81mmのアルミニウムに相当する値となる最も高い放射線不透過性が測定された。
このように、本発明に係る歯科用の自己中和型水酸化カルシウム製剤の生体適合性、放射線不透過性及び物的安定性を考慮して、酸化ビスマスは約20%(または25%)の質量比で混合することが最も望ましい。
本発明に係る自己中和型水酸化カルシウム製剤を歯の治療に効果的に使用するためには、歯の治療に必要とされる次のような物理的性質を持つ必要がある。歯科用充填材に求められる物理的性質は、優れた硬化性、圧縮靭性及び体積安定性である。これらの物理的性質についてさら説明すると、次の通りである。
虫歯が進行している歯に充填材として使用される本発明に係る自己中和型水酸化カルシウム製剤は、充填後、できるだけ短時間で硬化されるべきである。さもなければ、治療時間が非常に長くなる。本発明に係る歯科用の自己中和型水酸化カルシウム製剤は、室温(約20℃)で、施術後の約5分以内に硬化が始まることが好ましい。
充填材が充填された歯は、食物を噛むことが可能となる。特に、本発明に係る歯科用の自己中和型水酸化カルシウム製剤をユーザの歯に充填した後は、ユーザは気が軽くなりすぐに食べ物を摂取する傾向があるので、充填材は充填後の初期段階においてある程度の圧縮靱性を有することが望ましい。そのためには、虫歯の治療に使用される自己中和型水酸化カルシウム製剤は、室温で、施術後の15分以内に2メガパスカル(MPa)以上の圧縮靭性を有する必要がある。
さらに、歯の治療に使用される充填材は、歯に充填し、治療が完了し、充填材の硬化が始まった後に一定期間が経過すると収縮するため、体積が減少する。歯の治療部位に充填された本発明に係る歯科用の自己中和型水酸化カルシウム製剤の体積減少量が著しい場合、本発明に係る歯科用の自己中和型水酸化カルシウム製剤と歯との結合が弱化し、結合がより弱くなると、歯から充填材が取れてしまう。そのため、充填剤は、ある程度の体積安定性を有することが必要である。例えば、施術後1カ月が経過した後でさえも、本発明に係る歯科用の自己中和型水酸化カルシウム製剤の収縮量は2000μm下であるべきである。本発明に係る歯科用の自己中和型水酸化カルシウム製剤の収縮は、硬化が開始されてから1カ月が経過すると鈍化するため、施術後の最初の1カ月間の収縮をある程度以下に保つことが重要である。
さらに、歯充填材は、施術後に硬化するときに水分が浸透しないことを意味する水密性や、食物の成分または口腔内細菌からの分泌物と反応しないことを意味する耐化学性などの物理的性質を有する必要がある。硬化させるために特殊な化学物質を施術中に使用することも可能ではあるが、そのような特殊な化学物質よりも安全であり、人体に悪影響を及ぼすことのない生理食塩水を使用することが望ましい。従って、本発明に係る歯科用の自己中和型水酸化カルシウム製剤は、生理食塩水との反応性を持つ必要がある。
上述のような物理的性質を持つためには、本発明に係る歯科用の自己中和型水酸化カルシウム製剤に追加的に、シリコン、アルミニウム及び鉄の化学組成がある特定の比率で混合される必要がある。
実験を繰り返し行った結果、本発明に係る歯科用の自己中和型水酸化カルシウム製剤は、粘土質の石灰石(CaCO3)を主基材として、17%以上のシリカ(SiO2)、4%以下の三酸化硫黄(SO3)、及び2%以上のAl2O3・Fe2O3を混合することにより調製することが望ましいことが分かった。ここで、上記の混合比率は、全て質量比である。
一方、感染歯の歯内治療のために、本発明に係る歯科用の自己中和型水酸化カルシウム製剤を根管充填材として使用する場合、ある特定の状況下では、歯内治療を繰り返し行う必要がある。そのような場合は、前回の施術で使用された充填材を歯から取り外す必要がある。このとき、充填材の硬度があまりにも高いと、充填剤を歯から取り外すのが困難になる。そのため、充填剤の取り外しを容易にするために、酸化亜鉛または二酸化チタンを30%未満の量で混合することにより、本発明に係る歯科用の自己中和型水酸化カルシウム製剤の硬度をある程度まで低くすることが望ましい。この場合、混合される酸化亜鉛または二酸化チタンは抗炎症作用を有すると共に、本発明に係る歯科用の自己中和型水酸化カルシウム製剤を白化して治療の痕跡を隠し、歯の施術の完了後に他人に分からないようにする役割を果たす。しかし、酸化亜鉛または二酸化チタンの混合比が50%以上の場合は、本発明に係る歯科用の自己中和型水酸化カルシウム製剤の硬度がある特定の所望のレベルよりも低くなる。したがって、酸化亜鉛または二酸化チタンの混合比に注意する必要がある。
上述のようにして構成される本発明に係る歯科用の自己中和型水酸化カルシウム製剤は、以下の段階に従って歯の治療に使用される。
虫歯が進行している部分(エナメル質や象牙質等のシーラントが歯牙構造だけでなく、歯根の血管組織及び神経組織を含み得る)を除去し、その除去により生じた空間に本発明に係る歯科用の自己中和型水酸化カルシウム製剤を充填する。
虫歯が進行している部分(エナメル質や象牙質等のシーラントが歯牙構造だけでなく、歯根の血管組織及び神経組織を含み得る)を除去し、その除去により生じた空間に本発明に係る歯科用の自己中和型水酸化カルシウム製剤を充填する。
本発明に係る歯科用の自己中和型水酸化カルシウム製剤にある特定の量の生理食塩水を添加すると、ポゾランセメントの主基材である粘土質石灰石が水和され、水酸化カルシウムが生成される。ここで、水酸化カルシウムを生成するために生理食塩水の代わりに水を使用することもできるが、抗菌消毒作用を有する生理食塩水を使用することが望ましい。生成された水酸化カルシウムは、本発明に係る歯科用の自己中和型水酸化カルシウム製剤に含まれているシリカと結合し、ケイ酸カルシウムを生成する。ケイ酸カルシウムの生成時に発生する水分は、水和熱を減少させ、中性物質の生成を誘導する。
上述の反応は、次の通りである。
(化1)
CaCO3+H2O→Ca(OH)2+CO2
Ca(OH)2+SiO2→CaO・SiO2+H2O
虫歯の治療のために、生理食塩水が添加された本発明に係る歯科用の自己中和型水酸化カルシウム製剤を、歯に形成された空間に充填する。本発明に係る歯科用の自己中和型水酸化カルシウム製剤が水分と結合すると、室温で、5分以内に硬化が開始される。したがって、施術は、生理食塩水の添加後、可能な限り速やかに行う必要がある。
(化1)
CaCO3+H2O→Ca(OH)2+CO2
Ca(OH)2+SiO2→CaO・SiO2+H2O
虫歯の治療のために、生理食塩水が添加された本発明に係る歯科用の自己中和型水酸化カルシウム製剤を、歯に形成された空間に充填する。本発明に係る歯科用の自己中和型水酸化カルシウム製剤が水分と結合すると、室温で、5分以内に硬化が開始される。したがって、施術は、生理食塩水の添加後、可能な限り速やかに行う必要がある。
さらに、歯根の下部まで感染が進行しており、通常の治療が効果的でない場合、本発明に係る自己中和型水酸化カルシウム製剤を使用して感染を治療することができる。なお、治療に使用される本発明に係る自己中和型水酸化カルシウム製剤の硬度が高すぎて、再施術が難しい場合がある。そのような場合は、酸化亜鉛または二酸化チタンを添加することにより、本発明に係る歯科用の自己中和型水酸化カルシウム製剤の硬度を調節することが望ましい。
以上のように、本発明では具体的な構成要素などのような特定事項と限定された実施形態により説明したが、これは本発明のより全体的な理解を助けるために提供されたものであり、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明が属する分野で通常的な知識を持った者であれば、このような記載から多様な修正及び変形が可能であるはずである。
以下、上記の実施形態から把握できる技術的思想を付記する。
(付記1)
活性シリカ質物質及び酸化ビスマスを含んでいる歯科用の自己中和型水酸化カルシウム製剤であって、
シリカと、三酸化硫黄と、酸化アルミニウム/三酸化二鉄とを含むことを特徴とする製剤。
(付記2)
付記1に記載の製剤であって、
前記酸化ビスマスの質量比が30%以下であることを特徴とする製剤。
(付記3)
付記1に記載の製剤であって、
前記シリカの質量比が17%以上であり、前記三酸化硫黄の質量比が4%以下であり、前記酸化アルミニウム/三酸化二鉄の質量比が2%以上であることを特徴とする製剤。
(付記4)
付記1に記載の製剤であって、
酸化亜鉛または二酸化チタンをさらに含むことを特徴とする製剤。
(付記5)
付記4に記載の製剤であって、
前記酸化亜鉛または前記二酸化チタンの質量比が50%未満であることを特徴とする製剤。
(付記6)
活性シリカ質物質及び酸化ビスマスを含んでいる歯科用の自己中和型水酸化カルシウム製剤であって、
シリカと、三酸化硫黄と、酸化アルミニウム/三酸化二鉄とを含み、かつ
生理食塩水の添加によって硬化することを特徴とする製剤。
(付記1)
活性シリカ質物質及び酸化ビスマスを含んでいる歯科用の自己中和型水酸化カルシウム製剤であって、
シリカと、三酸化硫黄と、酸化アルミニウム/三酸化二鉄とを含むことを特徴とする製剤。
(付記2)
付記1に記載の製剤であって、
前記酸化ビスマスの質量比が30%以下であることを特徴とする製剤。
(付記3)
付記1に記載の製剤であって、
前記シリカの質量比が17%以上であり、前記三酸化硫黄の質量比が4%以下であり、前記酸化アルミニウム/三酸化二鉄の質量比が2%以上であることを特徴とする製剤。
(付記4)
付記1に記載の製剤であって、
酸化亜鉛または二酸化チタンをさらに含むことを特徴とする製剤。
(付記5)
付記4に記載の製剤であって、
前記酸化亜鉛または前記二酸化チタンの質量比が50%未満であることを特徴とする製剤。
(付記6)
活性シリカ質物質及び酸化ビスマスを含んでいる歯科用の自己中和型水酸化カルシウム製剤であって、
シリカと、三酸化硫黄と、酸化アルミニウム/三酸化二鉄とを含み、かつ
生理食塩水の添加によって硬化することを特徴とする製剤。
以上、本発明の詳細な説明では具体的な実施形態について説明したが、本発明の要旨から逸脱しない範囲内で多様に変形できる。よって、本発明の権利範囲は、上述の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載及びこれと均等なものに基づいて定められるべきである。
Claims (1)
- 歯科治療用ポゾランセメントであって、
粘土質の石灰石、シリカ、酸化鉄、及び粘土の混合物から調製されたセメントクリンカー、
活性シリカ、及び
酸化ビスマス(Bi2O5)
を含有し、
前記粘土が、シリカ、硫黄、及び酸化アルミニウム・酸化鉄(A12O3・Fe2O3)を含み、
前記粘土質の石灰石は水和されて水酸化カルシウムを生成し、
前記水酸化カルシウム及び前記活性シリカはポゾラン反応を生じさせる、歯科治療用ポゾランセメント。
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