JP2016178713A - 圧電駆動装置、ロボット及びその駆動方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】被駆動体に過度に強い制動が掛からないようにする。
【解決手段】被駆動体を駆動する圧電駆動部と、圧電駆動部を駆動する駆動回路とを備える。圧電駆動部は、第1の圧電素子、第2の圧電素子及び第3の圧電素子を有する圧電振動体と、被駆動体に接触する接触部とを備える。各圧電素子は、第1電極と、第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に位置する圧電体と、を備える。駆動回路は、被駆動体の制動時において、第1の圧電素子の第2電極に第1の電圧を印加し、第2の圧電素子の第2電極及び第3の圧電素子の第2電極を、同じ電圧状態であって第1の圧電素子の第2電極とは異なった特定の電圧状態とする。
【選択図】図7
【解決手段】被駆動体を駆動する圧電駆動部と、圧電駆動部を駆動する駆動回路とを備える。圧電駆動部は、第1の圧電素子、第2の圧電素子及び第3の圧電素子を有する圧電振動体と、被駆動体に接触する接触部とを備える。各圧電素子は、第1電極と、第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に位置する圧電体と、を備える。駆動回路は、被駆動体の制動時において、第1の圧電素子の第2電極に第1の電圧を印加し、第2の圧電素子の第2電極及び第3の圧電素子の第2電極を、同じ電圧状態であって第1の圧電素子の第2電極とは異なった特定の電圧状態とする。
【選択図】図7
Description
本発明は、圧電駆動装置、ロボット及びその駆動方法に関する。
圧電体を振動させて被駆動体を駆動する圧電アクチュエーター(圧電駆動装置)は、磁石やコイルが不要のため、様々な分野で利用されている(例えば特許文献1)。この圧電駆動装置の基本的な構成は、補強板の2つの面のそれぞれの上に、4つの圧電素子が2行2列に配置された構成であり、合計で8つの圧電素子が補強板の両側に設けられている。個々の圧電素子は、圧電体をそれぞれ2枚の電極で挟んだユニットであり、補強板は、圧電素子の一方の電極としても利用される。補強板の一端には、被駆動体としてのローターに接してローターを回転させるための突起部が設けられている。4つの圧電素子のうちの対角に配置された2つの圧電素子に交流電圧を印加すると、この2つの圧電素子が伸縮運動を行い、これに応じて補強板の突起部が往復運動又は楕円運動を行う。そして、この補強板の突起部の往復運動又は楕円運動に応じて、被駆動体としてのローターが所定の回転方向に回転する。また、交流電圧を印加する2つの圧電素子を他の2つの圧電素子に切り換えることによって、ローターを逆方向に回転させることができる。
圧電駆動装置への交流電圧の印加を停止すると、圧電駆動装置の振動が停止する。このとき補強板の突起部が被駆動体に接触した状態で、圧電駆動装置は振動を停止する。その結果、突起部と被駆動体との間の摩擦力によって、被駆動体に過度に強いブレーキが掛かってしまい、圧電駆動装置を用いる装置から異音が発生する場合や、圧電駆動装置を用いる装置が滑らかに動作できない場合があった。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
(1)本発明の一形態によれば、圧電駆動装置が提供される。この圧電駆動装置は、被駆動体を駆動する圧電駆動部と;前記圧電駆動部を駆動する駆動回路と;を備える。前記圧電駆動部は、第1の圧電素子、第2の圧電素子及び第3の圧電素子を有する圧電振動体と;前記被駆動体に接触する接触部と;を備える。各圧電素子は、第1電極と、第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に位置する圧電体と、を備える。前記駆動回路が、周期的に変化する第1の電圧を前記第1の圧電素子の前記第2電極に印加することによって、前記圧電振動体は縦振動を起し;前記駆動回路が、周期的に変化する第2の電圧を前記第2の圧電素子の前記第2電極に印加することによって、前記圧電振動体は第1の屈曲振動を起し;前記駆動回路が、周期的に変化する第3の電圧を前記第3の圧電素子の前記第2電極に印加することによって、前記第1の屈曲振動とは逆向きの第2の屈曲振動を起す。前記駆動回路は、前記被駆動体の制動時において、前記第1の圧電素子の前記第2電極に前記第1の電圧を印加し、前記第2の圧電素子の前記第2電極及び前記第3の圧電素子の前記第2電極を、同じ電圧状態であって前記第1の圧電素子の前記第2電極とは異なった特定の電圧状態とする。
この形態によれば、被駆動体の制動時において、第2の圧電素子による圧電振動体の第1の屈曲振動と第3の圧電素子による圧電振動体の第2の屈曲振動を抑制しつつ、第1の圧電素子によって圧電振動体が縦振動し、被駆動体と接触部との間に働く摩擦力を低減させ、被駆動体に過度な制動力が働くことを抑制することができる。これにより、圧電駆動装置を用いる装置の制動を滑らかに行うことができ、圧電駆動装置を用いる装置から異音が発生することを抑制することができる。
この形態によれば、被駆動体の制動時において、第2の圧電素子による圧電振動体の第1の屈曲振動と第3の圧電素子による圧電振動体の第2の屈曲振動を抑制しつつ、第1の圧電素子によって圧電振動体が縦振動し、被駆動体と接触部との間に働く摩擦力を低減させ、被駆動体に過度な制動力が働くことを抑制することができる。これにより、圧電駆動装置を用いる装置の制動を滑らかに行うことができ、圧電駆動装置を用いる装置から異音が発生することを抑制することができる。
(2)上記形態の圧電駆動装置において、前記接触部は、前記圧電振動体の長手方向に沿って配置される前記被駆動体に対して接触可能に設けられており;前記縦振動は、前記長手方向に沿って前記被駆動体と前記接触部とが接触及び非接触を繰り返す振動であり;前記第1の屈曲振動及び前記第2の屈曲振動は、それぞれ、前記長手方向に交わる方向に沿って前記被駆動体と前記接触部とが摺動お非摺動を繰り返す振動である;としてもよい。
この形態によれば、圧電振動体の長手方向に沿って配置される被駆動体に過度な制動力が働くことを抑制することができる。
この形態によれば、圧電振動体の長手方向に沿って配置される被駆動体に過度な制動力が働くことを抑制することができる。
(3)上記形態の圧電駆動装置において、前記第1の屈曲振動と第2の屈曲振動とは互いの屈曲の向きが逆向きの振動であるとしてもよい。
この形態の場合には、より効果的に圧電振動体の長手方向に沿って配置される被駆動体に過度な制動力が働くことを抑制することができる。
この形態の場合には、より効果的に圧電振動体の長手方向に沿って配置される被駆動体に過度な制動力が働くことを抑制することができる。
(4)上記形態の圧電駆動装置において、前記特定の電圧状態は、前記第2の圧電素子の前記第2電極及び前記第3の圧電素子の前記第2電極に直流電圧を印加した状態であるとしてもよい。
この形態によれば、被駆動体の制動時において、第2の圧電素子による圧電振動体の第1の屈曲振動と第3の圧電素子による圧電振動体の第2の屈曲振動を停止しつつ、第1の圧電素子によって圧電振動体が縦振動し、被駆動体と接触部との間に働く摩擦力を低減し、被駆動体に過度な制動力が働くことを抑制することができる。
この形態によれば、被駆動体の制動時において、第2の圧電素子による圧電振動体の第1の屈曲振動と第3の圧電素子による圧電振動体の第2の屈曲振動を停止しつつ、第1の圧電素子によって圧電振動体が縦振動し、被駆動体と接触部との間に働く摩擦力を低減し、被駆動体に過度な制動力が働くことを抑制することができる。
(5)上記形態の圧電駆動装置において、前記直流電圧は、前記被駆動体と前記接触部との間に生じる摩擦力を減少させる電圧であるとしてもよい。
この形態によれば、被駆動体の制動時において、第2の圧電素子による圧電振動体の第1の屈曲振動と第3の圧電素子による圧電振動体の第2の屈曲振動を容易に停止しつつ、被駆動体と接触部との間に働く摩擦力を容易に低減することができる。なお、直流電圧に応じて、第2の圧電素子と第3の圧電素子の伸縮状態を調整することができ、被駆動体と接触部との間に働く摩擦力を調整することができる。
この形態によれば、被駆動体の制動時において、第2の圧電素子による圧電振動体の第1の屈曲振動と第3の圧電素子による圧電振動体の第2の屈曲振動を容易に停止しつつ、被駆動体と接触部との間に働く摩擦力を容易に低減することができる。なお、直流電圧に応じて、第2の圧電素子と第3の圧電素子の伸縮状態を調整することができ、被駆動体と接触部との間に働く摩擦力を調整することができる。
(6)上記形態の圧電駆動装置において、前記特定の電圧状態は、前記第2の圧電素子の前記第1電極及び前記第3の圧電素子の前記第1電極に対して0Vの状態であるとしてもよい。
この形態によれば、被駆動体の制動時において、容易に、第2の圧電素子による圧電振動体の第1の屈曲振動と第3の圧電素子による第2の屈曲振動を停止しつつ、第1の圧電素子によって圧電振動体が縦振動し、被駆動体と接触部との間に働く摩擦力を低減することができる。
この形態によれば、被駆動体の制動時において、容易に、第2の圧電素子による圧電振動体の第1の屈曲振動と第3の圧電素子による第2の屈曲振動を停止しつつ、第1の圧電素子によって圧電振動体が縦振動し、被駆動体と接触部との間に働く摩擦力を低減することができる。
(7)上記形態の圧電駆動装置において、前記特定の電圧状態は、前記第2の圧電素子の前記第2電極及び前記第3の圧電素子の前記第2電極と、前記第2の圧電素子の前記第1電極及び前記第3の圧電素子の前記第1電極と、の間に抵抗が接続されることによって発生する電圧状態であるとしてもよい。
この形態によっても、被駆動体の制動時において、第2の圧電素子と第3の圧電素子の振動を抑制しつつ、第1の圧電素子が縦振動することによって、被駆動体と接触部との間に働く摩擦力を低減させることができる。
この形態によっても、被駆動体の制動時において、第2の圧電素子と第3の圧電素子の振動を抑制しつつ、第1の圧電素子が縦振動することによって、被駆動体と接触部との間に働く摩擦力を低減させることができる。
(8)上記形態の圧電駆動装置において、選択可能に設けられた複数の前記抵抗を備え、前記特定の電圧状態は、選択された前記抵抗に応じて発生する電圧状態であるとしてもよい。
この形態によれば、被駆動体の制動時において、選択された抵抗に応じて、前記第2の圧電素子と前記第3の圧電素子の伸縮状態を調整することができ、被駆動体と接触部との間に働く摩擦力を調整することができる。
この形態によれば、被駆動体の制動時において、選択された抵抗に応じて、前記第2の圧電素子と前記第3の圧電素子の伸縮状態を調整することができ、被駆動体と接触部との間に働く摩擦力を調整することができる。
(9)上記形態の圧電駆動装置において、配線と前記複数の抵抗のうちの1つが選択可能であるとしてもよい。
(10)上記形態の圧電駆動装置において、前記特定の電圧状態は、前記第1の電圧によって発生する前記第2の圧電素子及び前記第3の圧電素子の振動とは逆向きに前記第2の圧電素子及び前記第3の圧電素子を振動させる電圧を、前記第2の圧電素子の前記第2電極及び前記第3の圧電素子の前記第2電極に印加した状態であるとしてもよい。
この形態によっても、被駆動体の制動時において、第2の圧電素子による圧電振動体の第1の屈曲振動と第3の圧電素子による圧電振動体の第2の屈曲振動を抑制しつつ、第1の圧電素子によって圧電振動体が縦振動し、被駆動体と接触部との間に働く摩擦力を低減させ、被駆動体に過度な制動力が働くことを抑制することができる。
この形態によっても、被駆動体の制動時において、第2の圧電素子による圧電振動体の第1の屈曲振動と第3の圧電素子による圧電振動体の第2の屈曲振動を抑制しつつ、第1の圧電素子によって圧電振動体が縦振動し、被駆動体と接触部との間に働く摩擦力を低減させ、被駆動体に過度な制動力が働くことを抑制することができる。
(11)上記形態の圧電駆動装置において、前記圧電振動体は振動板上に設けられていてもよい。
本発明は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、圧電駆動装置の他、圧電駆動装置の駆動方法、圧電駆動装置の製造方法、圧電駆動装置を搭載するロボット、圧電駆動装置を搭載するロボットの駆動方法、電子部品搬送装置、送液ポンプ、投薬ポンプ等、様々な形態で実現することができる。
A.第1実施形態の圧電駆動装置:
A1.圧電駆動装置の構成:
図1は、第1実施形態としての圧電駆動装置1000の概略構成を示すブロック図である。圧電駆動装置1000は、被駆動体(本例ではローター)50を駆動する圧電駆動部10と、圧電駆動部10を駆動する駆動回路300と、を備えている。
A1.圧電駆動装置の構成:
図1は、第1実施形態としての圧電駆動装置1000の概略構成を示すブロック図である。圧電駆動装置1000は、被駆動体(本例ではローター)50を駆動する圧電駆動部10と、圧電駆動部10を駆動する駆動回路300と、を備えている。
図2は、圧電駆動部10の概略構成図である。図2(A)は、圧電駆動部10の平面図であり、図2(B)はそのB−B断面図である。圧電駆動部10は、振動板200と、振動板200の両面(第1面211と第2面212)にそれぞれ配置された2つの圧電振動体100とを備える。圧電振動体100は、基板120と、基板120の上に形成された第1電極130と、第1電極130の上に形成された圧電体140と、圧電体140の上に形成された第2電極150と、を備えている。第1電極130と第2電極150は、圧電体140を挟持している。2つの圧電振動体100は、振動板200を中心として対称に配置されている。2つの圧電振動体100は同じ構成を有しているので、以下では特に断らない限り、振動板200の上側にある圧電振動体100の構成を説明する。
圧電振動体100の基板120は、第1電極130と圧電体140と第2電極150を成膜プロセスで形成するための基板として使用される。また、基板120は機械的な振動を行う振動板としての機能も有する。基板120は、例えば、Si,Al2O3,ZrO2などで形成することができる。Si製の基板120として、例えば半導体製造用のSiウェハーを利用することが可能である。この実施形態において、基板120の平面形状は長方形である。基板120の厚みは、例えば10μm以上100μm以下の範囲とすることが好ましい。基板120の厚みを10μm以上とすれば、基板120上の成膜処理の際に基板120を比較的容易に取扱うことができる。また、基板120の厚みを100μm以下とすれば、薄膜で形成された圧電体140の伸縮に応じて、基板120を容易に振動させることができる。
第1電極130は、基板120上に形成された1つの連続的な導電体層として形成されている。一方、第2電極150は、図2(A)に示すように、5つの導電体層150a〜150e(「第2電極150a〜150e」とも呼ぶ)に区分されている。中央にある第2電極150eは、基板120の幅方向の中央において、基板120の長手方向のほぼ全体に亘る長方形形状に形成されている。他の4つの第2電極150a,150b,150c,150dは、同一の平面形状を有しており、基板120の四隅の位置に形成されている。図2の例では、第1電極130と第2電極150は、いずれも長方形の平面形状を有している。第1電極130や第2電極150は、例えばスパッタリングによって形成される薄膜である。第1電極130や第2電極150の材料としては、例えばAl(アルミニウム)や、Ni(ニッケル)、Au(金)、Pt(白金)、Ir(イリジウム)などの導電性の高い任意の材料を利用可能である。なお、第1電極130を1つの連続的な導電体層とする代わりに、第2電極150a〜150eと実質的に同じ平面形状を有する5つの導電体層に区分してもよい。なお、第2電極150a〜150eの間の電気的接続のための配線(又は配線層及び絶縁層)と、第1電極130及び第2電極150a〜150eと駆動回路との間の電気的接続のための配線(又は配線層及び絶縁層)とは、図2では図示が省略されている。
圧電体140は、第2電極150a〜150eと実質的に同じ平面形状を有する5つの圧電体層として形成されている。この代わりに、圧電体140を、第1電極130と実質的に同じ平面形状を有する1つの連続的な圧電体層として形成してもよい。第1電極130と圧電体140と第2電極150a〜150eとの積層構造によって、5つの圧電素子110a〜110e(図2(A))が構成される。5つの圧電素子110a〜110eのうちの4つの圧電素子110a〜110dは、第1の対角にある一対の圧電素子110a,110dと、第2の対角にある一対の圧電素子110b,110cとに区分され、これらは、圧電振動体100の長手方向に沿った中央線CXに対して、左右対称の位置関係にある。残りの圧電素子110eは、一対の圧電素子110a,110dと他の一対の圧電素子110b,110cに挟まれたて、中央線CXに沿って圧電振動体100の幅方向の中央位置にある。なお、以下では、中央の圧電素子110eを「第1の圧電素子110e」とも呼ぶ。また、一対の圧電素子110a,110dを「第2の圧電素子110a,110d」とも呼び、他の一対の圧電素子110b,110cを「第3の圧電素子110b,110c」とも呼ぶ。
圧電体140は、例えばゾル−ゲル法やスパッタリング法によって形成される薄膜である。圧電体140の材料としては、ABO3型のペロブスカイト構造を採るセラミックスなど、圧電効果を示す任意の材料を利用可能である。ABO3型のペロブスカイト構造を採るセラミックスとしては、例えばチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、ニオブ酸カリウム、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、タングステン酸ナトリウム、酸化亜鉛、チタン酸バリウムストロンチウム(BST)、タンタル酸ストロンチウムビスマス(SBT)、メタニオブ酸鉛、亜鉛ニオブ酸鉛、スカンジウムニオブ酸鉛等を用いることが可能である。またセラミック以外の圧電効果を示す材料、例えばポリフッ化ビニリデン、水晶等を用いることも可能である。圧電体140の厚みは、例えば50nm(0.05μm)以上20μm以下の範囲とすることが好ましい。この範囲の厚みを有する圧電体140の薄膜は、成膜プロセスを利用して容易に形成することができる。圧電体140の厚みを0.05μm以上とすれば、圧電体140の伸縮に応じて十分に大きな力を発生することができる。また、圧電体140の厚みを20μm以下とすれば、圧電振動体100(圧電駆動部10)を十分に小型化することができる。
図3は、振動板200の平面図である。振動板200は、長方形形状の振動体部210と、振動体部210の左右の長辺からそれぞれ3本ずつ延びる接続部220とを有しており、また、左右の3本の接続部220にそれぞれ接続された2つの取付部230を有している。なお、図2では、図示の便宜上、振動体部210にハッチングを付している。取付部230は、ネジ240によって他の部材に圧電駆動部10を取り付けるために用いられる。振動板200は、例えば、シリコン、シリコン化合物、ステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン、チタン合金、銅、銅合金、鉄−ニッケル合金などの金属、金属酸化物、またはダイヤモンド等の材料で形成することが可能である。
振動体部210の上面(第1面)及び下面(第2面)には、圧電振動体100(図2)がそれぞれ接着剤を用いて接着される。振動体部210の長さLと幅Wの比は、L:W=約7:2とすることが好ましい。この比は、振動体部210がその平面に沿って左右に屈曲する超音波振動(後述)を行うために好ましい値である。振動体部210の長さLは、例えば0.1mm以上30mm以下の範囲とすることができ、幅Wは、例えば0.05mm以上8mm以下の範囲とすることができる。なお、振動体部210が超音波振動を行うために、長さLは50mm以下とすることが好ましい。振動体部210の厚み(振動板200の厚み)は、例えば20μm以上700μm以下の範囲とすることができる。振動体部210の厚みを20μm以上とすれば、圧電振動体100を支持するために十分な剛性を有するものとなる。また、振動体部210の厚みを700μm以下とすれば、圧電振動体100の変形に応じて十分に大きな変形を発生することができる。
振動板200の一方の短辺には、突起部20(「接触部」や「当接部」、「作用部」とも呼ぶ)が設けられている。突起部20は、被駆動体と接触して、被駆動体に力を与えるための部材である。突起部20は、セラミックス(例えばSi,SiC,Al2O3,Zr02)などの耐久性がある材料で形成することが好ましい。
図4は、圧電駆動部10と駆動回路300の電気的接続状態を示す説明図である。圧電駆動部10の5つの第2電極150a〜150eのうちで、第1の対角にある一対の第2の圧電素子110a,110dに対応する第2電極150a,150dが配線151を介して互いに電気的に接続され、他の第2の対角の一対の第3の圧電素子110b,110cに対応する第2電極150b,150cも配線152を介して互いに電気的に接続されている。これらの配線151,152は成膜処理によって形成しても良く、或いは、ワイヤ状の配線によって実現してもよい。図4の右側にある3つの第2電極150b,150e,150dと、第1電極130(図2)は、配線310,312,314,320を介して駆動回路300に電気的に接続されている。なお、図4に示した配線151,152,310,312,314,320を構成する配線(又は配線層及び絶縁層)は、図2では図示が省略されている。
駆動回路300は、駆動電圧発生回路332と、縦駆動調整回路334と、駆動選択回路336とを含んでいる。駆動電圧発生回路332は、所定の周波数の周期で周期的に変化する交流駆動電圧に基づいて駆動電圧Va,Vb,Vcを発生する。所定の周波数は、圧電駆動部10の機械的な共振周波数に近い周波数とされることが好ましい。駆動電圧Va,Vb,Vcは、基準電圧Vr(本例では接地電圧)を基準としてプラス側とマイナス側に変動する交流電圧あるいは交流電圧にDCオフセットが付加された脈流電圧である。なお、以下では、交流電圧と脈流電圧を特に区別する場合を除いて、脈流電圧も交流電圧に含むものとして扱って説明する。
縦駆動調整回路334は、短絡回路SW10を選択(ON)とすることにより、基準電圧Vr(本例では接地電圧)を縦駆動調整電圧Vnとして出力する。
駆動選択回路336は、4つの選択回路SW1〜SW4を含んでいる。第1の選択回路SW1を選択(ON)とすることにより、第1の駆動電圧Vaを第1の圧電素子110eの第2電極150eに印加する。第1電極130には、接地電圧である基準電圧Vrが印加される。従って、第1の圧電素子110eの電極間には第1の駆動電圧Vaが印加される。このとき、後述するように、第1の圧電素子110eが伸縮することによって圧電駆動部10が後述するように縦振動する。なお、第1の圧電素子110eが本発明の縦振動用の第1の圧電素子に相当する。
また、第4の選択回路SW4を非選択(OFF)とし、第2の選択回路SW2を選択(ON)とする場合には、第2の駆動電圧Vbが第2の圧電素子110a,110dの第2電極150a,150dに印加されることにより、第2の圧電素子110a,110dの電極間に第2の駆動電圧Vbが印加される。このとき、第2の圧電素子110a,110dが伸縮することによって圧電駆動部10が後述するように屈曲振動(具体的には、楕円振動)する。同様に、第4の選択回路SW4を非選択(OFF)とし、第3の選択回路SW3を選択(ON)とする場合には、第3の駆動電圧Vcが第3の圧電素子110b,110cの第2電極150b,150cに印加されることにより、第3の圧電素子110b,110cの電極間に第3の駆動電圧Vcが印加される。このとき、第3の圧電素子110b,110cが伸縮することによって圧電駆動部10が後述するように屈曲振動(具体的には、楕円振動)する。なお、第2の圧電素子110a,110dが本発明の屈曲振動用の第2の圧電素子に相当し、第3の圧電素子110b,110cが本発明の屈曲振動用の第3の圧電素子に相当する。
なお、第1の選択回路SW1を選択(ON)とする場合には、同時に、第2及び第3の選択回路SW2,SW3を非選択(OFF)とするとともに、第4の選択回路SW4を選択(ON)とする。この場合、基準電圧Vrの縦駆動調整電圧Vnである第1の縦駆動調整電圧Vnbが第2の圧電素子110a,110dの第2電極150a,150dに印加され、縦駆動調整電圧Vnである第2の縦駆動調整電圧Vnbが第3の圧電素子110b,110cの第2電極150b,150cに印加される。これにより、第2の圧電素子110a,110dの電極間及び第3の圧電素子110b,110cの電極間が0Vに固定され、第2の圧電素子110a,110dの第2電極150a,150d及び第3の圧電素子110b,110cの第2電極150b、150cは、全て同電位の電圧状態となる。なお、この点については、さらに後述する。
A2.圧電駆動部の動作:
<通常時駆動動作>
図5は、通常駆動時における圧電駆動部10の動作の例を示す説明図である。通常駆動時とは、圧電駆動部10によって被駆動体(本例ではローター)50を加速状態あるいは定速状態で駆動(回転)する場合を意味している。図5(A)は、図4において第2の選択回路SW2を選択(ON)とし、他の選択回路SW1,SW3,SW4を非選択(OFF)として、第2の圧電素子110a,110dの第2電極150a,150dに第2の駆動電圧Vbを印加した場合における圧電駆動部10の動作を示している。これに対して、図5(B)は、第3の選択回路SW3を選択(ON)とし、他の選択回路SW1,SW2,SW4を非選択(OFF)として、第3の圧電素子110b,110cの第2電極150に第3の駆動電圧Vcを印加した場合における圧電駆動部10の動作を示している。なお、第2の駆動電圧Vbが本発明の第2の電圧に相当し、第3の駆動電圧Vcが本発明の第3の電圧に相当する。
<通常時駆動動作>
図5は、通常駆動時における圧電駆動部10の動作の例を示す説明図である。通常駆動時とは、圧電駆動部10によって被駆動体(本例ではローター)50を加速状態あるいは定速状態で駆動(回転)する場合を意味している。図5(A)は、図4において第2の選択回路SW2を選択(ON)とし、他の選択回路SW1,SW3,SW4を非選択(OFF)として、第2の圧電素子110a,110dの第2電極150a,150dに第2の駆動電圧Vbを印加した場合における圧電駆動部10の動作を示している。これに対して、図5(B)は、第3の選択回路SW3を選択(ON)とし、他の選択回路SW1,SW2,SW4を非選択(OFF)として、第3の圧電素子110b,110cの第2電極150に第3の駆動電圧Vcを印加した場合における圧電駆動部10の動作を示している。なお、第2の駆動電圧Vbが本発明の第2の電圧に相当し、第3の駆動電圧Vcが本発明の第3の電圧に相当する。
図5(A)に示すように、第1の対角にある一対の第2の圧電素子110a,110d(ハッチングで示した素子)の第2電極150a,150dに第2の駆動電圧Vbが印加される場合には、第2の圧電素子110a,110dが長手方向に沿って伸縮する。これにより、振動板200の振動体部210が振動体部210の平面内で幅方向に屈曲して蛇行形状(S字形状)に変形する。このとき、他の第1の圧電素子110e及び第3の圧電素子110b,110cにも第2の駆動電圧Vbに起因した伸縮が誘発され、長手方向に沿って伸縮する。これにより、圧電駆動部10(より具体的には、振動体部210)は、屈曲による幅方向の振動の成分のみではなく、長手方向の振動の成分も含み、紙面手前方向から見て反時計回りの楕円であって、長軸が左斜め下方向に傾斜し楕円の軌跡を描く楕円振動VRAとなる。この結果、圧電駆動部10は、突起部20が楕円振動VRAに従って被駆動体50の摺動と非摺動を繰り返し、これに応じた方向(本例では紙面手前方向から見て時計回り)で回転するように被駆動体50を駆動する。なお、以下の説明において回転の方向は、紙面手前方向から見た場合を基準に示すこととする。
また、図5(B)に示すように、第2の対角にある一対の第3の圧電素子110b,110c(ハッチングで示した素子)の第2電極150b、150cに第3の駆動電圧Vcが印加させる場合も、図5(A)に示した第2の圧電素子110a,110dの場合と同様に、圧電駆動部10は、時計回りで、長軸が左斜め上方向に傾斜した楕円振動VRBとなる。この結果、圧電駆動部10は、これに応じた方向(反時計回り)で回転するように被駆動体50を駆動する。
なお、本実施形態では、圧電駆動部10(振動体部210)が、図5(A),(B)に示すように、蛇行していない真っすぐな形状と、平面内で屈曲して蛇行形状(S字形状)と、に交互に変形して発生する楕円振動を屈曲振動とも呼ぶ。また、図5(A)の屈曲振動が本発明の第1の屈曲振動に相当し、図5(B)の屈曲振動が本発明の第2の屈曲振動に相当する。図3で説明した振動板200の3つの接続部220は、このような振動体部210の振動の節(ふし)の位置に設けられている。なお、中央の第1の圧電素子110eの第2電極150eに、第2の駆動電圧Vbあるいは第3の駆動電圧Vcを基準として位相が調整された第1の駆動電圧Vaを印加すれば、圧電駆動部10が長手方向に伸縮する成分が加わるので、突起部20から被駆動体50に与える力を大きくすることが可能である。圧電駆動部10(又は圧電振動体100)のこのような動作については、上記先行技術文献1(特開2004−320979号公報、又は、対応する米国特許第7224102号)に記載されており、その開示内容は参照により組み込まれる。
<制動時駆動動作>
図6は、比較例としての制動時における圧電駆動部10の縦振動動作を示す説明図である。比較例として、図4において第1の選択回路SW1のみを選択(ON)とし、他の選択回路SW2〜SW4を非選択(OFF)として、第1の圧電素子110eの第2電極150eに第1の駆動電圧Vaが印加された場合について説明する。この場合、振動板200の振動体部210が、振動体部210の平面内で長手方向に沿って伸びた形状(図6(A))と縮んだ形状(図6(B))とに交互に変形し、長手方向に振動する縦振動(伸縮振動)となる。なお、第1の駆動電圧Vaが本発明の第1の電圧に相当する。
図6は、比較例としての制動時における圧電駆動部10の縦振動動作を示す説明図である。比較例として、図4において第1の選択回路SW1のみを選択(ON)とし、他の選択回路SW2〜SW4を非選択(OFF)として、第1の圧電素子110eの第2電極150eに第1の駆動電圧Vaが印加された場合について説明する。この場合、振動板200の振動体部210が、振動体部210の平面内で長手方向に沿って伸びた形状(図6(A))と縮んだ形状(図6(B))とに交互に変形し、長手方向に振動する縦振動(伸縮振動)となる。なお、第1の駆動電圧Vaが本発明の第1の電圧に相当する。
図6(A)に示すような振動体部210が長手方向に伸びた形状においては、振動体部210の長さはL1Rであり、突起部20は、被駆動体50に接触する。被駆動体50は、被駆動体の中心51を向く方向(被駆動体の外周の法線方向)の力Nを受ける。この力Nにより生じる被駆動体50と突起部20との間の摩擦力が制動力となって、被駆動体50の回転は減速し、あるいは停止する。
これに対して、図6(B)に示すような振動体部210が長手方向に縮んだ形状においては、振動体部210の長さはL2R(L2R<L1R)であり、突起部20は、被駆動体50から離間する。突起部20は、被駆動体50から離間している間は、被駆動体50と突起部20との間に摩擦力が生じないので、被駆動体50は、慣性により運動状態を持続する。
以上のように、比較例の縦振動では、突起部20は、被駆動体50への接触・非接触を繰り返す。その結果、駆動を停止して突起部20が被駆動体50へ接触したままとなる場合に発生する過度な強いブレーキ(急ブレーキ)に比べて、緩やかなブレーキで、被駆動体50の回転を減速または停止が可能となる。
ここで、上記した比較例の縦振動では、第1の圧電素子110eの第2電極150eにのみ第1の駆動電圧Vaを印加しているにもかかわらず、第2の圧電素子110a,110dの第2電極150a,150d及び第3の圧電素子110b,110cの第2電極150b,150cが、第1の駆動電圧Vaに応じた電圧が生じた状態(電圧状態)となる。この結果、第2の圧電素子110a,110d及び第3の圧電素子110b,110cも、生じた電圧に応じて長手方向に伸縮することになる。これにより、第2の圧電素子110a,110dによる上記した一方の屈曲振動(図5(A))と、第3の圧電素子110b,110cによる上記した他方の屈曲振動(図5(B))と、が同時に生じることになる。但し、第2の圧電素子110a,110d及び第3の圧電素子110b,110cが同時に伸縮することになるので、同じ長さの伸縮であれば、屈曲振動ではなく、長手方向に沿って伸縮する縦振動が生じ、異なる長さの伸縮であれば、縦振動に加えて差分に応じた屈曲振動が生じることとなる。すなわち、比較例の縦振動の場合、第1の圧電素子110eによる伸縮だけでなく、第2の圧電素子110a,110d及び第3の圧電素子110b,110cによる伸縮も加わることになる。このため、比較例の縦振動による制動では、第2の圧電素子110a,110d及び第3の圧電素子110b,110cによる伸縮に応じて制動力が増加し、その分だけブレーキが強くかかってしまう、という課題がある。
図7は、第1実施形態としての制動時における圧電駆動部10の縦振動動作を示す説明図である。実施形態において圧電駆動部10を縦振動させる場合には、図4において第1の選択回路SW1を選択(ON)とすることに加えて、第2及び第3の選択回路SW2,SW3を非選択(OFF)とし、第4の選択回路SW4を選択(ON)とする。これにより、第1の圧電素子110eの第2電極150eに第1の駆動電圧Vaが印加されるだけでなく、第2の圧電素子110a,110dの第2電極150a,150dに第1の縦駆動調整電圧Vnbが印加され、第3の圧電素子110b,110cの第2電極150b,150cに第2の縦駆動調整電圧Vncが印加される。なお、図7(A)は図6(A)の振動体部210の平面内で長手方向に沿って伸びた形状に対応しており、図7(B)は図6(B)の長手方向に沿って縮んだ形状に対応している。
第1及び第2の縦駆動調整電圧Vnb,Vncは、上記したように、縦駆動調整回路334(図4)の短絡回路SW10により基準電圧Vr(接地電圧)とされている。このため、第2の圧電素子110a,110dの第2電極150a,150d及び第3の圧電素子110b,110cの第2電極150b,150cは、基準電圧Vr(接地電圧)となっている。また、第2の圧電素子110a,110d及び第3の圧電素子110b,110cの第2電極150a〜150dの共通の第1電極130も基準電圧Vrとなっている。従って、第2の圧電素子110a,110d及び第3の圧電素子110b,110cの第2電極150a〜150dと第1電極130との間は短絡されていることになる。この場合、第2の圧電素子110a,110dの電極間及び第3の圧電素子110b,110cの電極間が0Vに固定され、第2の圧電素子110a,110dの第2電極150a,150d及び第3の圧電素子110b,110cの第2電極150b、150cは、全て同電位の電圧状態となる。これにより、第2の圧電素子110a,110dの第2電極150a,150d及び第3の圧電素子110b,110cの第2電極150b,150cが、第1の圧電素子110eに供給された第1の駆動電圧Vaに応じた電圧が生じた電圧状態とならないようにすることができる。この結果、第2の圧電素子110a,110d及び第3の圧電素子110b,110cが伸びて被駆動体50と突起部20との摩擦力が増加して制動力が増加することを抑制することができる。
なお、図7(A)に示すような振動体部210が長手方向に伸びた形状における振動体部210の長さL1は、比較例(図6(A))に比べて伸び量が少なくなるので、比較例における長さL1Rよりも短くなる。また、図7(B)に示すような振動体部210が長手方向に縮んだ形状における長さL2は、比較例(図6(B))に比べて縮み量が少なくなるので、比較例における長さL2Rよりも長くなる。
図8は、駆動電圧の生成に用いられる交流駆動電圧の波形の例を示す説明図である。図8(A)の交流駆動電圧SACは、正弦波である。図8(B),(C)の交流駆動電圧SACは、正弦波ではないが、周期的な波形を有している。これらの例からも理解できるように、交流駆動電圧SAC及びこれに基づいて生成される駆動電圧Va,Vb,Vcの交流成分は周期的に変化するものであれば良く、その波形としては種々のものを採用することが可能である。
B.第2実施形態の圧電駆動装置:
図9は、第2実施形態としての圧電駆動装置1000Bにおける圧電駆動部10と駆動回路300Bの概略構成を示す説明図である。図9は、図4と同様に圧電駆動部10と駆動回路300Bの電気的接続状態を示しており、被駆動体50については図示を省略している。圧電駆動装置1000Bは、第1実施形態の圧電駆動装置1000の駆動回路300(図4)に代えて駆動回路300Bを備えている。駆動回路300Bは、駆動回路300の縦駆動調整回路334に代えて、縦駆動調整回路334Bを備えている。縦駆動調整回路334Bは、縦駆動調整電圧Vnとして直流電圧Vdcを出力する電圧発生回路を含む。
図9は、第2実施形態としての圧電駆動装置1000Bにおける圧電駆動部10と駆動回路300Bの概略構成を示す説明図である。図9は、図4と同様に圧電駆動部10と駆動回路300Bの電気的接続状態を示しており、被駆動体50については図示を省略している。圧電駆動装置1000Bは、第1実施形態の圧電駆動装置1000の駆動回路300(図4)に代えて駆動回路300Bを備えている。駆動回路300Bは、駆動回路300の縦駆動調整回路334に代えて、縦駆動調整回路334Bを備えている。縦駆動調整回路334Bは、縦駆動調整電圧Vnとして直流電圧Vdcを出力する電圧発生回路を含む。
第1実施形態においては、屈曲振動用の第2の圧電素子110a,110d及び第3の圧電素子110b,110cの全ての第2電極150a〜150dを基準電圧Vr(接地電圧)に短絡して、第2の圧電素子110a,110d及び第3の圧電素子110b,110cの全ての電極間を0Vに固定した場合について説明した(図4,7)。この構成は、屈曲振動用の第2の圧電素子110a,110dの第2電極150a,150d及び第3の圧電素子110b,110cの第2電極150b,150cが、縦振動用の第1の圧電素子110eの第2電極150eに印加された第1の駆動電圧Vaに応じた電圧が生じた電圧状態とならないようにすることを目的とした構成である。
ここで、上記目的に着目すると、第2の圧電素子110a,110d及び第3の圧電素子110b,110cの全ての電極間の電圧を短絡により0Vに固定するだけでなく、一定の直流電圧に固定しても良い、と言える。
第2実施形態の駆動回路300Bの縦駆動調整回路334Bは、一定の直流電圧Vdcを縦駆動調整電圧Vnとして出力する。この場合、第2及び第3の選択回路SW2,SW3を非選択(OFF)とし、第4の選択回路SW4を選択(ON)として、第2の圧電素子110a,110dの第2電極150a,150dに印加する第1の縦駆動調整電圧Vnb及び第3の圧電素子110b,110cの第2電極150b,150cに印加する第2の縦駆動調整電圧Vncを、直流電圧Vdcとすることができる。すなわち、第2の圧電素子110a,110dの第2電極150a,150d及び第3の圧電素子110b,110cの第2電極150b,150cは、直流電圧Vdcが印加された電圧状態とし、第2の圧電素子110a,110d及び第3の圧電素子110b,110cの電極間に直流電圧Vdcが印加された電圧状態とすることができる。
図10は、第2実施形態としての制動時における圧電駆動部10の縦振動動作を示す説明図である。第2実施形態においては、上記したように、第2の圧電素子110a,110d及び第3の圧電素子110b,110cの全ての電極間の電圧が直流電圧Vdcに固定される。これにより、第1の圧電素子110eに第1の駆動電圧Vaを供給して縦振動を実行する際に、第2の圧電素子110a,110dの第2電極150a,150d及び第3の圧電素子110b,110cの第2電極150b,150cが、第1の圧電素子110eに供給された第1の駆動電圧Vaに応じた電圧が生じた電圧状態とならないようにすることができる。この結果、第2の圧電素子110a,110d及び第3の圧電素子110b,110cが伸縮運動しないようにすることができる。
ここで、第2の圧電素子110a,110d及び第3の圧電素子110b,110cの全ての電極間の電圧を直流電圧Vdcに固定した場合、第2の圧電素子110a,110d及び第3の圧電素子110b,110cは、その電圧に応じて伸縮した一定の長さの状態で、圧電体140のヤング率が高くなって固くなった状態が維持される。そして、この状態を基準として第1の圧電素子110eの伸縮が実行されることになるので、直流電圧Vdcに応じて伸びた分に基づいて制動力は強くなる傾向にある。従って、直流電圧Vdcとしては、第1の駆動電圧Vaに応じて発生する電圧によって第2の圧電素子110a,110d及び第3の圧電素子110b,110cが伸び、これによって増加する被駆動体50と突起部20との摩擦力を減少させる電圧とすることが好ましい。従って、直流電圧Vdcは、例えば、第1の駆動電圧Vaの振幅よりも小さい電圧、例えば、第1の駆動電圧Vaの振幅の50%〜0%の範囲のいずれかの直流の電圧に設定されることが好ましい。なお、直流電圧Vdcは、制動の初期段階から徐々に低下させて、最終的に0Vとするようにして、制動力が徐々に低くなるようにしてもよい。
C.第3実施形態の圧電駆動装置:
図11は、第3実施形態としての圧電駆動装置1000Cにおける圧電駆動部10と駆動回路300Cの概略構成を示す説明図である。図11は、図9と同様に圧電駆動部10と駆動回路300Cの電気的接続状態を示しており、被駆動体50については図示を省略している。圧電駆動装置1000Cは、第2実施形態の圧電駆動装置1000Bの駆動回路300B(図9)に代えて駆動回路300Cを備えている。駆動回路300Cは、駆動回路300Bの縦駆動調整回路334Bに代えて、縦駆動調整回路334Cを備えている。
図11は、第3実施形態としての圧電駆動装置1000Cにおける圧電駆動部10と駆動回路300Cの概略構成を示す説明図である。図11は、図9と同様に圧電駆動部10と駆動回路300Cの電気的接続状態を示しており、被駆動体50については図示を省略している。圧電駆動装置1000Cは、第2実施形態の圧電駆動装置1000Bの駆動回路300B(図9)に代えて駆動回路300Cを備えている。駆動回路300Cは、駆動回路300Bの縦駆動調整回路334Bに代えて、縦駆動調整回路334Cを備えている。
縦駆動調整回路334Cは、並列に配列された配線L0と2つの抵抗R1,R2とこれらに直列に接続された抵抗選択回路SW11,SW12,SW13と、を含む。抵抗選択回路SW11,SW12,SW13は、第4の選択回路SW4に接続されている。配線L0及び抵抗R1,R2は、それぞれ、基準電圧Vr(接地電圧)に接続されている。配線L0は、抵抗R1,R2と比較すれば、抵抗値を無視することができ、抵抗値が0とみることができる。抵抗R2は抵抗R1よりも大きい抵抗値となっている。なお、これらの抵抗の抵抗値に特に規定はない。
図12は、第3実施形態としての制動時における圧電駆動部10の縦振動動作を示す説明図である。図11の第3の抵抗選択回路SW13を選択(ON)として、第2の抵抗R2が第4の選択回路SW4に接続された場合を例に説明する。
第4の選択回路SW4を選択(ON)とした場合には、第2の圧電素子110a,110dの第2電極150a,150d、及び、第3の圧電素子110b,110cの第2電極150b,150cと、基準電圧Vr(接地電圧)との間に、選択された第2の抵抗R2が接続される。この場合、第1の駆動電圧Vaに影響されて、第2の圧電素子110a,110dの第2電極150a,150dに発生する第1の影響電圧Vib、及び、第3の圧電素子110b,110cの第2電極150b,150cに発生する第2の影響電圧Vicは、第2の抵抗R2の抵抗値に応じて抑制された電圧状態となる。これにより、第2の圧電素子110a,110dの第2電極150a,150d及び第3の圧電素子110b,110cの第2電極150b、150cを、第1の駆動電圧Vaに応じて第2の圧電素子110a,110dの第2電極150a,150d及び第3の圧電素子110b,110cの第2電極150b、150cに発生する電圧を抑制した電圧状態とすることができる。この結果、第2の圧電素子110a,110d及び第3の圧電素子110b,110cが伸びて被駆動体50と突起部20との摩擦力が増加して制動力が増加することを抑制することができる。
なお、上記説明では、第2の抵抗R2を例に説明したが、第1の抵抗R1においても同様である。但し、本例では、第1の抵抗R1は第2の抵抗R2よりも抵抗値が小さい設定となっている。抵抗値が大きいほど、発生する第1の影響電圧Vib及び第2の影響電圧Vibは大きくなるので、第2実施形態において説明したように制動力は高くなる。
また、第1の抵抗選択回路SW11には配線L0が接続されている。第1の抵抗選択回路SW11は第1実施形態の短絡回路SW10に相当し、第1の抵抗選択回路SW11を選択(ON)とした場合には、第1実施形態と等価な構成となる。
なお、本実施形態では、2つの抵抗R1,R2のうちの一つを選択する場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。1つの抵抗と抵抗選択回路とを備える構成としてもよいし、4つ以上の抵抗と対応する4つ以上の抵抗選択回路とを備える構成としてもよい。抵抗値0の配線を省略してもよい。また、複数の抵抗のうち、一部あるいは全部を同時に選択する構成を含めてもよい。
D.第4実施形態の圧電駆動装置:
図13は、第4実施形態としての圧電駆動装置1000Dにおける圧電駆動部10と駆動回路300Dの概略構成を示す説明図である。図13は、図4と同様に圧電駆動部10と駆動回路300Dの電気的接続状態を示しており、被駆動体50については図示を省略している。圧電駆動装置1000Dは、第1実施形態の圧電駆動装置1000の駆動回路300(図4)に代えて駆動回路300Dを備えている。駆動回路300Dは、駆動回路300の縦駆動調整回路334に代えて、縦駆動調整回路334Dを備えている。縦駆動調整回路334Dは、第1の駆動電圧Vaに基づいて180度位相が異なった逆相の電圧Va*を生成し、縦駆動調整電圧Vnとして出力する反転回路を含む。
図13は、第4実施形態としての圧電駆動装置1000Dにおける圧電駆動部10と駆動回路300Dの概略構成を示す説明図である。図13は、図4と同様に圧電駆動部10と駆動回路300Dの電気的接続状態を示しており、被駆動体50については図示を省略している。圧電駆動装置1000Dは、第1実施形態の圧電駆動装置1000の駆動回路300(図4)に代えて駆動回路300Dを備えている。駆動回路300Dは、駆動回路300の縦駆動調整回路334に代えて、縦駆動調整回路334Dを備えている。縦駆動調整回路334Dは、第1の駆動電圧Vaに基づいて180度位相が異なった逆相の電圧Va*を生成し、縦駆動調整電圧Vnとして出力する反転回路を含む。
第2実施形態においても説明したように、縦振動用の第1の圧電素子110eに印加される第1の駆動電圧Vaに応じた電圧が、屈曲振動用の第2の圧電素子110a,110d及び第3の圧電素子110b,110cに発生しないようにし、屈曲振動用の第2の圧電素子110a,110d及び第3の圧電素子110b,110cが振動しないようにする点について着目する。この点に着目するならば、第1〜第3実施形態のように第2の圧電素子110a,110d及び第3の圧電素子110b,110cの全ての電極間の電圧を固定するだけでなく、発生する第1の駆動電圧Vaに応じた電圧での振動をキャンセルするような向きの振動に対応する電圧を印加するようにしても良い。
第4実施形態の駆動回路334Dは、上記したように、第1の駆動電圧Vaの逆相電圧Va*を縦駆動調整電圧Vnとして出力する。この場合、第2及び第3の選択回路SW2,SW3を非選択(OFF)とし、第4の選択回路SW4を選択(ON)として、第2の圧電素子110a,110dに供給する第1の縦駆動調整電圧Vnb、及び、第3の圧電素子110b,110cに供給する第2の縦駆動調整電圧Vncを、第1の駆動電圧Vaの逆相電圧Va*とすることができる。
図14は、第4実施形態としての制動時における圧電駆動部10の縦振動動作を示す説明図である。上記したように、第2の圧電素子110a,110dの第2電極150a,150dには、第1の縦駆動調整電圧Vnbとして、第1の駆動電圧Vaの逆相電圧Va*が印加され、同様に、第3の圧電素子110b,110cの第2電極150b,150cには、第2の縦駆動調整電圧Vnbとして、第1の駆動電圧Vaの逆相電圧Va*が印加される。これにより、第1の駆動電圧Vaに応じて第2の圧電素子110a,110dの第2電極150a,150d及び第3の圧電素子110b,110cの第2電極150b、150cに発生する電圧を抑制した電圧状態とすることができる。この結果、第2の圧電素子110a,110d及び第3の圧電素子110b,110cが伸びて被駆動体50と突起部20との摩擦力が増加して制動力が増加することを抑制することができる。
なお、本実施形態では、第1及び第2の縦駆動調整電圧Vnb,Vncとして第1の駆動電圧Vaの逆相電圧Va*を印加しているが、第1の駆動電圧Vaに応じて発生する電圧が、第1の駆動電圧Vaと同じとはならない場合には、この発生する電圧をキャンセルするような大きさの逆相電圧としても良い。また、第1の駆動電圧Vaに応じて発生する電圧の位相が、第1の駆動電圧Vaと同じではない場合には、これに応じた位相の電圧の逆相電圧としても良い。
E.圧電駆動部の他の実施形態:
図15は、本発明の他の実施形態としての圧電駆動部10Bの断面図であり、第1実施形態の図2(B)に対応する図である。この圧電駆動部10Bでは、圧電振動体100が、図2(B)とは上下を逆にした状態で振動板200に配置されている。すなわち、ここでは、第2電極150が振動板200に近く、基板120が振動板200から最も遠くなるように配置されている。なお、図15においても、図2(B)と同様に、第2電極150a〜150eの間の電気的接続のための配線(又は配線層及び絶縁層)と、第1電極130及び第2電極150a〜150eと駆動回路との間の電気的接続のための配線(又は配線層及び絶縁層)とは、図示が省略されている。この圧電駆動部10Bも、第1実施形態と同様な効果を達成することができる。
図15は、本発明の他の実施形態としての圧電駆動部10Bの断面図であり、第1実施形態の図2(B)に対応する図である。この圧電駆動部10Bでは、圧電振動体100が、図2(B)とは上下を逆にした状態で振動板200に配置されている。すなわち、ここでは、第2電極150が振動板200に近く、基板120が振動板200から最も遠くなるように配置されている。なお、図15においても、図2(B)と同様に、第2電極150a〜150eの間の電気的接続のための配線(又は配線層及び絶縁層)と、第1電極130及び第2電極150a〜150eと駆動回路との間の電気的接続のための配線(又は配線層及び絶縁層)とは、図示が省略されている。この圧電駆動部10Bも、第1実施形態と同様な効果を達成することができる。
図16は、本発明のさらに他の実施形態としての圧電駆動部10C,10Dの平面図であり、第1実施形態の図2(A)に対応する図である。図12(A)に示す圧電駆動部10Cは、振動板200Cの振動体部210の幅方向の中央の縦振動用の第1の圧電素子110eを挟んで、幅方向の両側に屈曲振動用の第2の圧電素子110aと第3の圧電素子110が配置されている。振動板200Cの接続部220及び取付部230は、突起部20とは反対側の短辺に設けられた構成である。この実施形態では、通常駆動時には、第2の圧電素子110aと第3の圧電素子110bのいずれか一方を駆動すればよい。また、制動時には、第1〜第4実施形態と同様の手段を用いて、第1の圧電素子110eを駆動するとともに、第2の圧電素子110aの第2電極150a及び第3の圧電素子110bの第2電極150bを、第1の駆動電圧Vaが印加された第1の圧電素子110eの第2電極150eとは異なった特定の電圧状態とすればよい。
また、図12(B)に示す圧電駆動部10Dは、振動板200Dの振動体部210の一方の短辺側(図の例では、左側)に縦振動用の第1の圧電素子110eが配置され、第1の圧電素子110eの長手方向の横側(図の例では、右側)に、幅方向に沿って屈曲振動用の第2の圧電素子110a及び第3の圧電素子110bが配置されている。振動板200Dの接続部220及び取付部230は、突起部20とは反対側の短辺に設けられた構成である。この実施形態では、通常駆動時には、第2の圧電素子110aと第3の圧電素子110bのいずれか一方を駆動すればよい。また、制動時には、第1〜第4実施形態と同様の手段を用いて、第1の圧電素子110eを駆動するとともに、第2の圧電素子110aの第2電極150a及び第3の圧電素子110bの第2電極150bを、第1の駆動電圧Vaが印加された第1の圧電素子110eの第2電極150eとは異なった特定の電圧状態とすればよい。なお、第1の圧電素子110eと第2の圧電素子110a及び第3の圧電素子110bとの配置関係は、反対であってもよい。
F.圧電駆動装置を用いた装置の実施形態:
上述した圧電駆動装置は、共振を利用することで被駆動体に対して大きな力を与えることができるものであり、各種の装置に適用可能である。圧電駆動装置は、例えば、ロボット、電子部品搬送装置(ICハンドラー)、投薬用ポンプ、時計のカレンダー送り装置、印刷装置(例えば紙送り機構。ただし、ヘッドに利用される圧電駆動装置では、振動板を共振させないので、ヘッドには適用不可である。)等の各種の機器における駆動装置として用いることが出来る。以下、代表的な実施の形態について説明する。
上述した圧電駆動装置は、共振を利用することで被駆動体に対して大きな力を与えることができるものであり、各種の装置に適用可能である。圧電駆動装置は、例えば、ロボット、電子部品搬送装置(ICハンドラー)、投薬用ポンプ、時計のカレンダー送り装置、印刷装置(例えば紙送り機構。ただし、ヘッドに利用される圧電駆動装置では、振動板を共振させないので、ヘッドには適用不可である。)等の各種の機器における駆動装置として用いることが出来る。以下、代表的な実施の形態について説明する。
図16は、上述の圧電駆動装置1000を利用したロボット2050の一例を示す説明図である。ロボット2050は、複数本のリンク部2012(「リンク部材」とも呼ぶ)と、それらリンク部2012の間を回動又は屈曲可能な状態で接続する複数の関節部2020とを備えたアーム2010(「腕部」とも呼ぶ)を有している。それぞれの関節部2020には、上述した圧電駆動装置1000のうちの圧電駆動部10が内蔵されており、圧電駆動部10を用いて関節部2020を任意の角度だけ回動又は屈曲させることが可能である。アーム2010の先端には、ロボットハンド2000が接続されている。ロボットハンド2000は、一対の把持部2003を備えている。ロボットハンド2000にも圧電駆動部10が内蔵されており、圧電駆動部10を用いて把持部2003を開閉して物を把持することが可能である。また、ロボットハンド2000とアーム2010との間にも圧電駆動部10が設けられており、圧電駆動部10を用いてロボットハンド2000をアーム2010に対して回転させることも可能である。なお、各圧電駆動部10を制御する駆動回路300は不図示の制御回路に含まれている。
図17は、図16に示したロボット2050の手首部分の説明図である。手首の関節部2020は、手首回動部2022を挟持しており、手首回動部2022に手首のリンク部2012が、手首回動部2022の中心軸O周りに回動可能に取り付けられている。手首回動部2022は、圧電駆動部10を備えており、圧電駆動部10は、手首のリンク部2012及びロボットハンド2000を中心軸O周りに回動させる。なお、手首回動部2022も、複数の関節部2020の一つとみることができ、この場合手首の関節部2020はリンク部2012の一つとみつことができる。ロボットハンド2000には、複数の把持部2003が立設されている。把持部2003の基端部はロボットハンド2000内で移動可能となっており、この把持部2003の根元の部分に圧電駆動部10が搭載されている。このため、圧電駆動部10を動作させることで、把持部2003を移動させて対象物を把持することができる。
なお、ロボットとしては、単腕のロボットに限らず、腕の数が2以上の多腕ロボットにも圧電駆動部10を適用可能である。ここで、手首の関節部2020やロボットハンド2000の内部には、圧電駆動部10の他に、力覚センサーやジャイロセンサー等の各種装置に電力を供給する電力線や、信号を伝達する信号線等が含まれ、非常に多くの配線が必要になる。従って、関節部2020やロボットハンド2000の内部に配線を配置することは非常に困難だった。しかしながら、上述した実施形態の圧電駆動部10は、通常の電動モーターや、従来の圧電駆動装置よりも駆動電流を小さくできるので、関節部2020(特に、アーム2010の先端の関節部)やロボットハンド2000のような小さな空間でも配線を配置することが可能になる。
図18は、上述の圧電駆動装置1000を利用した送液ポンプ2200の一例を示す説明図である。送液ポンプ2200は、ケース2230内に、リザーバー2211と、チューブ2212と、圧電駆動部10と、ローター2222と、減速伝達機構2223と、カム2202と、複数のフィンガー2213、2214、2215、2216、2217、2218、2219と、が設けられている。なお、駆動回路300は不図示である。リザーバー2211は、輸送対象である液体を収容するための収容部である。チューブ2212は、リザーバー2211から送り出される液体を輸送するための管である。圧電駆動部10の突起部20は、ローター2222の側面に押し付けた状態で設けられており、圧電駆動部10がローター2222を回転駆動する。ローター2222の回転力は減速伝達機構2223を介してカム2202に伝達される。フィンガー2213から2219はチューブ2212を閉塞させるための部材である。カム2202が回転すると、カム2202の突起部2202Aによってフィンガー2213から2219が順番に放射方向外側に押される。フィンガー2213から2219は、輸送方向上流側(リザーバー2211側)から順にチューブ2212を閉塞する。これにより、チューブ2212内の液体が順に下流側に輸送される。こうすれば、極く僅かな量を精度良く送液可能で、しかも小型な送液ポンプ2200を実現することができる。なお、各部材の配置は図示されたものには限られない。また、フィンガーなどの部材を備えず、ローター2222に設けられたボールなどがチューブ2212を閉塞する構成であってもよい。上記のような送液ポンプ2200は、インシュリンなどの薬液を人体に投与する投薬装置などに活用できる。ここで、上述した実施形態の圧電駆動部装置1000を用いることにより、従来の圧電駆動装置よりも駆動電流が小さくなるので、投薬装置の消費電力を抑制することができる。従って、投薬装置を電池駆動する場合は、特に有効である。
G.変形例:
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
(1)上記実施形態では、基板120の上に第1電極130と圧電体140と第2電極150とが形成されていたが、基板120を省略して、振動板200の上に第1電極130と圧電体140と第2電極150とを形成するようにしてもよい。
(2)上記実施形態では、振動板200の両面にそれぞれ1つの圧電振動体100を設けていたが、圧電振動体100の一方を省略することも可能である。但し、振動板200の両面にそれぞれ圧電振動体100を設けるようにすれば、振動板200をその平面内で屈曲した蛇行形状に変形させることがより容易である点で好ましい。
(3)上記各実施形態では、圧電素子として、成膜プロセスにより形成した圧電体を用いるものを例に取り説明したが、圧電体は、バルクの圧電体であってもよい。
(4)上記実施形態では、振動体部210の左右の長辺からそれぞれ3本ずつ延びる接続部220によって振動体部210を振動可能に支持する構成を例に説明したが、接続部220の配置位置や数は、これに限定されるものではなく、種々の配置位置や数を採用することができる。例えば、長手方向に沿った片側のみに接続部を設けて、振動体部210を片持ち状態で支持する構造としても良い。また、振動体部210の突起部20とは反対側の短辺に接続部を設けて、振動体部210を片持ち状態で支持する構造としても良い。
(5)上記実施形態では、制動時において、第2の圧電素子の第2電極及び第3の圧電素子の第2電極が同じ電圧状態となるように、一つの縦駆動調整回路の出力が、第2の圧電素子の第2電極及び第3の圧電素子の第2電極にそれぞれ、独立して接続される構成として説明したが、それぞれ別々の回路の出力が接続されて、それぞれ独立して調整可能としてもよい。このようにすれば、例えば、第2の圧電素子110a,110dと第3の圧電素子110b,110cの構造や特性等にずれがあった場合に、それぞれの第2電極を独立して適した電圧状態とすることが可能である。従って、同じ電圧状態は、独立して調整されることによって発生した電圧状態の差を含むものであり、例えば、特定の電圧状態±10%の範囲を含むものである。
(6)上記実施形態では、一対の圧電振動体を振動板に接合した構成を例に説明したが、圧電振動体は1つであっても良い。また、複数の圧電振動体を積層した構成としてもよい。
(7)上記した実施形態では、振動板上に圧電振動体が設けられている構成を例に説明したが、振動板は必須の構成ではなく省略することも可能である。
(8)上記した実施形態では、圧電振動体の長手方向に交わる幅方向に沿った一方の短辺に突起部(接触部)が設けられている構成を例に説明したが、長手方向に沿った一方の長辺に突起部(接触部)が設けられた構成でもよい。
本発明は、上述の実施形態や実施例、変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、実施例、変形例中の技術的特徴は、上述の課題の一部または全部を解決するために、或いは、上述の効果の一部または全部を達成するために、適宜、差し替えや組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
1000,1000B,1000C,1000D…圧電駆動装置
10,10B…圧電駆動部装置
20…突起部(接触部、作用部)
50…ローター(被駆動体)
51…被駆動体の中心
100…圧電振動体
110a,110b,110c,110d,110e…圧電素子
120…基板
125…絶縁層
130…第1電極
140…圧電体
150,150a,150b,150c,150d,150e…第2電極
151,152…配線
200…振動板
201…振動体部(振動板)の中心
210…振動体部
220…接続部
230…取付部
240…ネジ
300,300B…駆動回路
310,312,314,320…配線
332…駆動電圧発生回路
334,334B,334C,334D…縦駆動調整回路
336…駆動選択回路
2000…ロボットハンド
2003…把持部
2010…アーム
2012…リンク部
2020…関節部
2022…手首回動部
2050…ロボット
2200…送液ポンプ
2202…カム
2202A…突起部
2211…リザーバー
2212…チューブ
2213…フィンガー
2222…ローター
2223…減速伝達機構
2230…ケース
CX…中央線
SW1,SW2,SW3,SW4…選択回路
SW10…短絡回路
SW11,SW12,SW13…抵抗選択回路
10,10B…圧電駆動部装置
20…突起部(接触部、作用部)
50…ローター(被駆動体)
51…被駆動体の中心
100…圧電振動体
110a,110b,110c,110d,110e…圧電素子
120…基板
125…絶縁層
130…第1電極
140…圧電体
150,150a,150b,150c,150d,150e…第2電極
151,152…配線
200…振動板
201…振動体部(振動板)の中心
210…振動体部
220…接続部
230…取付部
240…ネジ
300,300B…駆動回路
310,312,314,320…配線
332…駆動電圧発生回路
334,334B,334C,334D…縦駆動調整回路
336…駆動選択回路
2000…ロボットハンド
2003…把持部
2010…アーム
2012…リンク部
2020…関節部
2022…手首回動部
2050…ロボット
2200…送液ポンプ
2202…カム
2202A…突起部
2211…リザーバー
2212…チューブ
2213…フィンガー
2222…ローター
2223…減速伝達機構
2230…ケース
CX…中央線
SW1,SW2,SW3,SW4…選択回路
SW10…短絡回路
SW11,SW12,SW13…抵抗選択回路
Claims (13)
- 被駆動体を駆動する圧電駆動部と、
前記圧電駆動部を駆動する駆動回路と、
を備え、
前記圧電駆動部は、
第1の圧電素子、第2の圧電素子及び第3の圧電素子を有する圧電振動体と、
前記被駆動体に接触する接触部と、
を備え、
各圧電素子は、第1電極と、第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に位置する圧電体と、を備え、
前記駆動回路が、周期的に変化する第1の電圧を前記第1の圧電素子の前記第2電極に印加することによって、前記圧電振動体は縦振動を起し、
前記駆動回路が、周期的に変化する第2の電圧を前記第2の圧電素子の前記第2電極に印加することによって、前記圧電振動体は第1の屈曲振動を起し、
前記駆動回路が、周期的に変化する第3の電圧を前記第3の圧電素子の前記第2電極に印加することによって、前記圧電振動体は前記第1の屈曲振動とは異なる第2の屈曲振動を起し、
前記駆動回路は、
前記被駆動体の制動時において、前記第1の圧電素子の前記第2電極に前記第1の電圧を印加し、前記第2の圧電素子の前記第2電極及び前記第3の圧電素子の前記第2電極を、同じ電圧状態であって前記第1の圧電素子の前記第2電極とは異なった特定の電圧状態とする
ことを特徴とする圧電駆動装置。 - 請求項1に記載の圧電駆動装置であって、
前記接触部は、前記圧電振動体の長手方向に沿って配置される前記被駆動体に対して接触可能に設けられており、
前記縦振動は、前記長手方向に沿って前記被駆動体と前記接触部とが接触及び非接触を繰り返す振動であり、
前記第1の屈曲振動及び前記第2の屈曲振動は、それぞれ、前記長手方向に交わる方向に沿って前記被駆動体と前記接触部とが摺動お非摺動を繰り返す振動である
ことを特徴とする圧電駆動装置。 - 請求項1または請求項2に記載の圧電駆動装置であって、
前記第1の屈曲振動と第2の屈曲振動とは互いの屈曲の向きが逆向きの振動であることを特徴とする圧電駆動装置。 - 請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の圧電駆動装置であって、
前記特定の電圧状態は、前記第2の圧電素子の前記第2電極及び前記第3の圧電素子の前記第2電極に直流電圧を印加した状態であることを特徴とする圧電駆動装置。 - 請求項4に記載の圧電駆動装置であって、
前記直流電圧は、前記被駆動体と前記接触部との間に生じる摩擦力を減少させる電圧であることを特徴とする圧電駆動装置。 - 請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の圧電駆動装置であって、
前記特定の電圧状態は、前記第2の圧電素子の前記第1電極及び前記第3の圧電素子の前記第1電極に対して0Vの状態であることを特徴とする圧電駆動装置。 - 請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の圧電駆動装置であって、
前記特定の電圧状態は、前記第2の圧電素子の前記第2電極及び前記第3の圧電素子の前記第2電極と、前記第2の圧電素子の前記第1電極及び前記第3の圧電素子の前記第1電極と、の間に抵抗が接続されることによって発生する電圧状態であることを特徴とする圧電駆動装置。 - 請求項7に記載の圧電駆動装置であって、
選択可能に設けられた複数の前記抵抗を備え、
前記特定の電圧状態は、選択された前記抵抗に応じて発生する電圧状態であることを特徴とする圧電駆動装置。 - 請求項8に記載の圧電駆動装置であって、
配線と前記複数の抵抗のうちの1つが選択可能であることを特徴とする圧電駆動装置。 - 請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の圧電駆動装置であって、
前記特定の電圧状態は、前記第1の電圧によって発生する前記第2の圧電素子及び前記第3の圧電素子の振動とは逆向きに前記第2の圧電素子及び前記第3の圧電素子を振動させる電圧を、前記第2の圧電素子の前記第2電極及び前記第3の圧電素子の前記第2電極に印加した状態である
ことを特徴とする圧電駆動装置。 - 請求項1から請求項10までのいずれか一項に記載の圧電駆動装置であって、
前記圧電振動体は振動板上に設けられていることを特徴とする圧電駆動装置。 - 複数のリンク部と
前記複数のリンク部を接続する関節部と、
前記複数のリンク部を前記関節部で回動させる請求項1から請求項11までのいずれか一項に記載の少なくとも一つの圧電駆動装置と、
を備えるロボット。 - 請求項12に記載のロボットの駆動方法であって
前記圧電駆動装置の少なくとも一つを駆動することで前記複数のリンク部を前記関節部で回動させ、
前記複数のリンク部の前記関節部での回動の制動時において、前記第1の圧電素子の前記第2電極に前記第1の電圧を印加するとともに、前記第2の圧電素子の前記第2電極及び前記第3の圧電素子の前記第2電極を、同じ電圧状態であって前記第1の圧電素子の前記第2電極とは異なった特定の電圧状態とするように、前記圧電駆動装置を駆動する、
ロボットの駆動方法。
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JP2015054727A JP2016178713A (ja) | 2015-03-18 | 2015-03-18 | 圧電駆動装置、ロボット及びその駆動方法 |
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-
2015
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