以下、本発明の一実施形態を、添付図面を参照して説明する。なお、以下の説明及び図面においては、同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
[構成]
図1には、本発明の一実施形態に係るノイズ低減装置300を備える放送受信装置100の概略的な構成がブロック図にて示されている。なお、本実施形態では、放送受信装置100は、両側波帯成分を有するAM放送波を受信する放送受信装置となっている。
図1に示されるように、放送受信装置100は、アンテナ110と、RF処理ユニット120と、ノイズ低減処理ユニット150とを備えている。また、放送受信装置100は、アナログ処理ユニット160と、スピーカユニット170と、入力ユニット180と、制御ユニット190とを備えている。そして、ノイズ低減処理ユニット150と制御ユニット190とによって、本実施形態のノイズ低減装置300が構成されるようになっている。
上記のアンテナ110は、放送波を受信する。アンテナ110による受信結果は、信号RFSとして、RF処理ユニット120へ送られる。
上記のRF処理ユニット120は、制御ユニット190から送られた選局指令CSLに従って、選局すべき希望局の信号を信号RFSから抽出する選局処理を行い、所定の中間周波数帯の成分を有する中間周波信号(検波前信号)IFDを生成する。そして、RF処理ユニット120は、生成された中間周波信号IFDをノイズ低減処理ユニット150へ送る。このRF処理ユニット120は、入力フィルタと、高周波増幅器(RF−AMP:Radio Frequency-Amplifier)と、バンドパスフィルタ(以下、「RFフィルタ」とも呼ぶ)とを備えている。また、RF処理ユニット120は、ミキサ(混合器)と、中間周波フィルタ(以下、「IFフィルタ」とも呼ぶ)と、AD(Analogue to Digital)変換器と、局部発振回路(OSC)とを備えている。
ここで、入力フィルタは、アンテナ110から送られた信号RFSの低周波成分を遮断するハイパスフィルタである。高周波増幅器は、入力フィルタを通過した信号を増幅する。RFフィルタは、高周波増幅器から出力された信号のうち、高周波帯の信号を選択的に通過させる。ミキサは、RFフィルタを通過した信号と、局部発振回路から供給された局部発振信号とを混合する。
IFフィルタは、ミキサから出力された信号のうち、予め定められた中間周波数範囲の信号を選択して通過させる。AD変換器は、IFフィルタを通過した信号をデジタル信号に変換する。この変換結果は、中間周波信号IFDとして、ノイズ低減処理ユニット150へ送られる。
なお、局部発振回路は、電圧制御等により発振周波数の制御が可能な発振器等を備えて構成される。この局部発振回路は、制御ユニット190から送られた選局指令CSLに従って、選局すべき希望局に対応する周波数の局部発振信号を生成し、ミキサへ供給する。
上記のノイズ低減処理ユニット150は、RF処理ユニット120から送られた中間周波信号IFDを受ける。そして、ノイズ低減処理ユニット150は、制御ユニット190による制御の下で、中間周波信号IFDに対してノイズ低減処理を施して、信号AODを生成する。こうして生成された信号AODは、アナログ処理ユニット160へ送られる。
なお、ノイズ低減処理ユニット150の構成の詳細については、後述する。
上記のアナログ処理ユニット160は、ノイズ低減処理ユニット150から送られた信号AODを受ける。そして、アナログ処理ユニット160は、制御ユニット190による制御のもとで、出力音声信号AOSを生成し、生成された出力音声信号AOSをスピーカユニット170へ送る。
かかる機能を有するアナログ処理ユニット160は、DA(Digital to Analogue)変換部と、音量調整部と、パワー増幅部とを備えて構成されている。ここで、DA変換部は、ノイズ低減処理ユニット150から送られた信号AODを受ける。そして、DA変換部は、信号AODをアナログ信号に変換する。DA変換部によるアナログ変換結果は音量調整部へ送られる。
音量調整部は、DA変換部から送られたアナログ変換結果の信号を受ける。そして、音量調整部は、制御ユニット190からの音量調整指令VLCに従って、アナログ変換結果の信号に対して音量調整処理を施す。なお、音量調整部は、第1実施形態では、電子ボリューム素子等を備えて構成されている。音量調整部による音量調整結果の信号は、パワー増幅部へ送られる。
パワー増幅部は、音量調整部から送られた音量調整結果の信号を受ける。そして、パワー増幅部は、音量調整結果の信号をパワー増幅する。なお、パワー増幅部は、パワー増幅器を備えている。パワー増幅部による増幅結果である出力音声信号AOSは、スピーカユニット170へ送られる。
上記のスピーカユニット170は、スピーカを備えている。このスピーカユニット170は、アナログ処理ユニット160から送られた出力音声信号AOSに従って、音声を再生出力する。
上記の入力ユニット180は、放送受信装置100の本体部に設けられたキー部、あるいはキー部を備えるリモート入力装置等により構成される。ここで、本体部に設けられたキー部としては、不図示の表示ユニットに設けられたタッチパネルを用いることができる。また、キー部を有する構成に代えて、音声入力する構成を採用することもできる。入力ユニット180への入力結果は、入力データIPDとして制御ユニット190へ送られる。
上記の制御ユニット190は、入力ユニット180から送られた入力データIPDを受ける。この入力データIPDの内容が選局指定であった場合には、制御ユニット190は、指定された希望局に対応する選局指令CSLを生成して、RF処理ユニット120へ送る。また、入力データIPDの内容が音量調整指定であった場合には、制御ユニット190は、指定された音量調整指定に対応する音量調整指令VLCを生成して、アナログ処理ユニット160へ送る。
また、制御ユニット190は、ノイズ低減処理ユニット150から送られた搬送波検出結果CDT及び識別信号検出結果PDTを受ける。そして、制御ユニット190は、搬送波検出結果CDT及び識別信号検出結果PDTに基づいて、ノイズ低減処理ユニット150を制御する。かかるノイズ低減処理ユニット150の制御に際して、制御ユニット190は、選択指定SL1〜SL4及び動作モード指定MDCをノイズ低減処理ユニット150へ送る。
なお、制御ユニット190によるノイズ低減処理ユニット150に対する制御処理については、後述する。
<ノイズ低減処理ユニット150の構成>
次に、上述したノイズ低減処理ユニット150の構成について説明する。
ノイズ低減処理ユニット150は、図2に示されるように、包絡線検波部151と、搬送波再生部152と、同期検波部153と、差分信号生成部154とを備えている。また、ノイズ低減処理ユニット150は、搬送波検出部155と、選択部156とノイズ処理部157とを備えている。
上記の包絡線検波部151は、RF処理ユニット120から送られた中間周波信号IFDを受ける。そして、包絡線検波部151は、中間周波信号IFDに対して包絡線検波処理を施して、包絡線検波後信号EDDを生成する。こうして生成された包絡線検波後信号EDDは、選択部156へ送られる。
なお、包絡線検波後信号EDDは、中間周波信号IFDにおける搬送波の周波数を対称中心として中間周波信号IFDの下側波帯のスペクトルを折り返して得られるスペクトルと、中間周波信号IFDの上側波帯のスペクトルとの和を反映したベースバンド信号となっている。すなわち、包絡線検波後信号EDDは、中間周波信号IFDにおける搬送波の周波数を対称中心として中間周波信号IFDの下側波帯のスペクトルを折り返して得られるL成分と、中間周波信号IFDの上側波帯のU成分との和(U+L)を反映したベースバンド信号となっている。
上記の搬送波再生部152は、RF処理ユニット120から送られた中間周波信号IFDを受ける。引き続き、搬送波再生部152は、中間周波信号IFDにおける搬送波成分を抽出する。そして、搬送波再生部152は、当該搬送波成分と同一の周波数を有し、かつ、当該搬送波成分と同位相の搬送波信号CCDを生成する。こうして生成された搬送波信号CCDは、同期検波部153、差分信号生成部154及び搬送波検出部155へ送られる。
上記の同期検波部153は、RF処理ユニット120から送られた中間周波信号IFD、及び、搬送波再生部152から送られた搬送波信号CCDを受ける。そして、同期検波部153は、中間周波信号IFDに対して同期検波処理を施して、同期検波後信号SDDを生成する。本実施形態では、同期検波部153は、同期検波処理に際して、中間周波信号IFDと搬送波信号CCDとの積を算出した後、音声帯域の成分を抽出する処理を行っている。こうして生成された同期検波後信号SDDは、選択部156へ送られる。
なお、同期検波後信号SDDは、搬送波信号CCDの周波数を対称中心として中間周波信号IFDの下側波帯のスペクトルを折り返して得られるスペクトルと、中間周波信号IFDの上側波帯のスペクトルとの和を反映したベースバンド信号となっている。すなわち、同期検波後信号SDDは、搬送波信号CCDの周波数を対称中心として中間周波信号IFDの下側波帯のスペクトルを折り返して得られるL成分と、中間周波信号IFDの上側波帯のU成分との和(U+L)を反映したベースバンド信号となっている。
上記の差分信号生成部154は、RF処理ユニット120から送られた中間周波信号IFD、及び、搬送波再生部152から送られた搬送波信号CCDを受ける。引き続き、差分信号生成部154は、搬送波信号CCDに対して90°移相処理を施して、搬送波信号CCDの直交信号を生成する。そして、差分信号生成部154は、中間周波信号IFDと当該直交信号との積を算出し、算出結果から直流成分を差し引いた後、音声帯域の上限周波数以下の成分を抽出して、差分信号SBDを生成する。こうして生成された差分信号SBDは、ノイズ処理部157へ送られる。
なお、本実施形態では、差分信号生成部154により生成される差分信号SBDは、搬送波信号CCDの周波数を対称中心として中間周波信号IFDの下側波帯のスペクトルを折り返して得られるスペクトルと、中間周波信号IFDの上側波帯のスペクトルとの差分を反映した信号となっている。すなわち、差分信号SBDは、搬送波信号CCDの周波数を対称中心として中間周波信号IFDの下側波帯のスペクトルを折り返して得られるL成分と、中間周波信号IFDの上側波帯のU成分との差分(U−L)を反映したベースバンド信号となっている。
そして、同時点で得られる同期検波後信号SDDと差分信号SBDとに基づいて、U成分のみを含む信号、及び、L成分のみを含む信号を得ることができるようになっている。
上記の搬送波検出部155は、搬送波再生部152から送られた搬送波信号CCDを受ける。そして、搬送波検出部155は、搬送波信号CCDの周波数及びレベルに基づいて、搬送波信号CCDが適切に生成されているか否かを検出する。搬送波検出部155による検出の結果は、搬送波検出結果CDTとして、制御ユニット190へ送られる。
上記の選択部156は、包絡線検波部151から送られた包絡線検波後信号EDD、及び、同期検波部153から送られた同期検波後信号SDDを受ける。そして、選択部156は、制御ユニット190から送られた選択指定SL1に従って、包絡線検波後信号EDD及び同期検波後信号SDDの一方を選択する。こうして選択された信号は、信号DTDとしてノイズ処理部157へ送られる。
なお、本実施形態では、選択指定SL1が「1」の場合に同期検波後信号SDDが選択され、選択指定SL1が「0」の場合に包絡線検波後信号EDDが選択されるようになっている。
上記のノイズ処理部157は、選択部156から送られた信号DTD、及び、差分信号生成部154から送られた差分信号SBDを受ける。そして、ノイズ処理部157は、制御ユニット190から送られた選択指定SL2〜SL4及び動作モード指定MDCに従って、信号AODを生成する。こうして生成された信号AODは、アナログ処理ユニット160へ送られる。
また、ノイズ処理部157では、中間周波信号IFDに同期検波処理を施した場合に、所望の検波結果から歪んだ信号となることを示す識別信号成分が中間周波信号IFDに含まれているか否かを検出する。この検出の結果が、識別信号検出結果PDTとして、制御ユニット190へ送られる。
なお、中間周波信号IFDに同期検波処理を施した場合に、所望の検波結果から歪んだ信号となる場合としては、例えば、放送波が、いわゆるモトローラ方式のAMステレオ放送の放送波である場合等が挙げられる。このモトローラ方式のAMステレオ放送では、音声帯域外の所定低周波成分が識別信号成分として採用されている。
<ノイズ処理部157の構成>
次いで、上述したノイズ処理部157の構成について説明する。
ノイズ処理部157は、図3に示されるように、FFT(Fast Fourier Transformation)部211,212と、抽出部213と、選択部214とを備えている。また、ノイズ処理部157は、ノイズ除去部215と、IFFT(Inverse Fast Fourier Transformation)部216と、選択部217とを備えている。さらに、ノイズ処理部157は、識別信号検出部218を備えている。
上記のFFT部211は、選択部156から送られた信号DTDを受ける。そして、FFT部211は、信号DTDに対してフーリエ変換処理を施す。かかるフーリエ変換処理の結果(複素スペクトルデータ)は、スペクトルFMDとして、抽出部213及び選択部214へ送られる。
上記のFFT部212は、差分信号生成部154から送られた差分信号SBDを受ける。そして、FFT部212は、差分信号SBDに対してフーリエ変換処理を施す。かかるフーリエ変換処理の結果(複素スペクトルデータ)は、スペクトルFSDとして、抽出部213、選択部214及び識別信号検出部218へ送られる。
上記の抽出部213は、FFT部211から送られたスペクトルFMD、及び、FFT部212から送られたスペクトルFSDを受ける。以下の説明においては、スペクトルFMDとスペクトルFSDとの対を、「スペクトル対(FMD,FSD)」とも呼ぶものとする。
引き続き、抽出部213は、スペクトルFSDの実部と虚部とを入れ替えることにより、差分信号SBDに対して90°移相処理を施した信号のスペクトルである移相スペクトルを算出する。そして、抽出部213は、スペクトルFMDと移相スペクトルとの周波数成分ごとに、和の(1/2)を算出することにより、スペクトルFUDを算出する。また、抽出部213は、スペクトルFMDと移相スペクトルとの周波数成分ごとに、差の(1/2)を算出することにより、スペクトルFLDを算出する。
なお、以下の説明においては、スペクトルFUDとスペクトルFLDとの対を、「スペクトル対(FUD,FLD)」とも呼ぶものとする。
こうして算出されたスペクトル対(FUD,FLD)は、選択部214へ送られる。なお、上述した搬送波再生部152において搬送波信号CCDが適切に生成され、かつ、上述した選択部156により同期検波後信号SDDが選択されている場合には、スペクトルFUDはU成分のスペクトルとなるとともに、スペクトルFLDはL成分のスペクトルとなる。
上記の選択部214は、スペクトル対(FMD,FSD)及びスペクトル対(FUD,FLD)を受ける。そして、選択部214は、制御ユニット190から送られた選択指定SL2に従って、スペクトル対(FMD,FSD)及びスペクトル対(FUD,FLD)の一方を選択する。こうして選択されたスペクトル対は、スペクトルSDAとスペクトルSDBの対、すなわち、スペクトル対(SDA,SDB)としてノイズ除去部215へ送られる。
なお、本実施形態では、選択指定SL2が「1」の場合にスペクトル対(FUD,FLD)が選択され、選択指定SL2が「0」の場合にスペクトル対(FMD,FSD)が選択されるようになっている。
上記のノイズ除去部215は、選択部214から送られたスペクトル対(SDA,SDB)を受ける。そして、ノイズ除去部215は、制御ユニット190から送られた選択指定SL3及び動作モード指定MDCに従って、ノイズ除去スペクトルNRDを生成する。こうして生成されたノイズ除去スペクトルNRDは、IFFT部216へ送られる。
なお、ノイズ除去部215の構成については、後述する。
上記のIFFT部216は、ノイズ除去部215から送られたノイズ除去スペクトルNRDを受ける。そして、IFFT部216は、ノイズ除去スペクトルNRDに逆フーリエ変換を施す。かかる逆フーリエ変換の結果は、信号NDDとして、選択部217へ送られる。
上記の選択部217は、選択部156から送られた信号DTD、及び、IFFT部216から送られた信号NDDを受ける。そして、選択部217は、制御ユニット190から送られた選択指定SL4に従って、信号DTD及び信号NDDの一方を選択する。こうして選択された信号は、信号AODとしてアナログ処理ユニット160へ送られる。
なお、本実施形態では、選択指定SL4が「1」の場合に信号NDDが選択され、選択指定SL4が「0」の場合に信号DTDが選択されるようになっている。
上記の識別信号検出部218は、FFT部212から送られたスペクトルFSDを受ける。そして、識別信号検出部218は、上述した識別信号成分が中間周波信号IFDに含まれているか否かを検出する。この検出の結果は、識別信号検出結果PDTとして、制御ユニット190へ送られる。
<ノイズ除去部215の構成>
次に、上述したノイズ除去部215の構成について説明する。
ノイズ除去部215は、図4に示されるように、第1周波数特定部221と、第2周波数特定部222とを備えている。また、ノイズ除去部215は、ノイズ成分除去部223と、信号修復部224と、加算部225とを備えている。さらに、ノイズ除去部215は、選択部226を備えている。
上記の第1周波数特定部221は、選択部214から送られたスペクトルSDAを受ける。そして、第1周波数特定部221は、スペクトルSDAにおけるノイズ成分に対応する音声周波数帯の周波数(以下、「第1周波数NF1」という)の特定処理を行う。かかる第1周波数特定部221による特定処理により第1周波数NF1が特定されると、特定された第1周波数NF1が、ノイズ成分除去部223及び信号修復部224へ送られる。
かかる機能を有する第1周波数特定部221は、いずれも不図示の第1時間平均部及び第1ノイズ周波数抽出部を備えて構成されている。ここで、第1時間平均部は、選択部214から送られたスペクトルSDAにおける各周波数成分のレベルの時間平均を算出する。なお、スペクトルSDAに対応する信号に定常的なビートノイズ成分が混入している場合には、第1時間平均部により算出された時間平均スペクトルでは、当該ビートノイズ成分の周波数成分のレベルが、他の周波数成分のレベルと比べて突出したレベルとなる。
引き続き、第1ノイズ周波数抽出部が、第1時間平均部により算出された時間平均スペクトルにおいて、所定閾値LVTH以上のピークレベル及び細いピーク幅を有するピークを抽出し、当該ピークの中心周波数を第1周波数NF1として特定する。ここで、第1周波数NF1として特定される周波数は、1つの場合もあるし、複数の場合もある。こうして特定された第1周波数NF1がノイズ成分除去部223及び信号修復部224へ送られる。
なお、第1周波数NF1が特定されなかった場合、すなわち、ノイズピークが抽出されなかった場合には、第1周波数NF1として「0」が、ノイズ成分除去部223及び信号修復部224へ送られるようになっている。
上記の第2周波数特定部222は、選択部214から送られたスペクトルSDBを受ける。そして、第2周波数特定部222は、スペクトルSDBにおけるノイズ成分に対応する音声周波数帯の周波数(以下、「第2周波数NF2」という)の特定処理を行う。かかる第2周波数特定部222による特定処理により第2周波数NF2が特定されると、特定された第2周波数NF2が、ノイズ成分除去部223及び信号修復部224へ送られる。
かかる機能を有する第2周波数特定部222は、いずれも不図示の第2時間平均部及び第2ノイズ周波数抽出部を備えて構成されている。ここで、第2時間平均部は、選択部214から送られたスペクトルSDBにおける各周波数成分のレベルの時間平均を算出する。なお、スペクトルSDBに対応する信号に定常的なビートノイズ成分が混入している場合には、第2時間平均部により算出された時間平均スペクトルでは、当該ビートノイズ成分の周波数成分のレベルが、他の周波数成分のレベルと比べて突出したレベルとなる。
引き続き、第2ノイズ周波数抽出部が、第2時間平均部により算出された時間平均スペクトルにおいて、所定閾値LVTH以上のピークレベル及び細いピーク幅を有するピークを抽出し、当該ピークの中心周波数を第2周波数NF2として特定する。ここで、第2周波数NF2として特定される周波数は、1つの場合もあるし、複数の場合もある。こうして特定された第2周波数NF2がノイズ成分除去部223及び信号修復部224へ送られる。
なお、第2周波数NF2が特定されなかった場合、すなわち、ノイズピークが抽出されなかった場合には、第2周波数NF2として「0」が、ノイズ成分除去部223及び信号修復部224へ送られるようになっている。
上述の所定閾値LVTHは、ビートノイズ成分の存在を適切に判断するとの観点から、実験、シミュレーション、経験等に基づいて、予め定められる。
上記のノイズ成分除去部223は、選択部214から送られたスペクトル対(SDA,SDB)を受ける。また、ノイズ成分除去部223は、第1周波数特定部221から送られた第1周波数NF1、及び、第2周波数特定部222から送られた第2周波数NF2を受ける。そして、ノイズ成分除去部223は、制御ユニット190から送られた動作モード指定MDCに従って、ノイズ成分除去処理を実行する。
動作モード指定MDCにより動作モード#1が指定された場合には、ノイズ成分除去部223は、第1周波数NF1及び第2周波数NF2の双方に共通して含まれる周波数の成分をスペクトルSDAから除去して、スペクトルRADを生成する。こうして生成されたスペクトルRADは、選択部226へ送られる。
なお、本実施形態では、動作モード#1が指定された場合には、ノイズ成分除去部223は、第1周波数NF1及び第2周波数NF2の双方に共通して含まれる周波数があるか否かの判断を、第1周波数NF1に含まれる周波数について、当該周波数との差の絶対値が所定値未満となる周波数が第2周波数NF2に含まれているか否かを判断することにより行っている。ここで、所定値は、2つの周波数が実質的に同一といえるか否かを判断するとの観点から、実験、シミュレーション、経験等に基づいて、予め定められる。
動作モード指定MDCにより動作モード#2が指定された場合には、ノイズ成分除去部223は、第1周波数NF1に含まれる周波数のうちで、第2周波数NF2には含まれていない周波数の成分をスペクトルSDAから除去して、スペクトルRADを生成する。こうして生成されたスペクトルRADは、信号修復部224へ送られる。
また、動作モード指定MDCにより動作モード#2が指定された場合には、ノイズ成分除去部223は、第2周波数NF2に含まれる周波数のうちで、第1周波数NF1には含まれていない周波数の成分をスペクトルSDBから除去して、スペクトルRBDを生成する。こうして生成されたスペクトルRBDは、信号修復部224へ送られる。
本実施形態では、動作モード#2が指定された場合には、ノイズ成分除去部223は、第1周波数NF1及び第2周波数NF2の一方が、他方に含まれているか否かの判断を、一方の周波数について、当該周波数との差の絶対値が上述した所定値未満となる周波数が他方に含まれているか否かを判断することにより行っている。
なお、動作モード指定MDCにより動作モード#0が指定された場合には、ノイズ成分除去部223は、ノイズ成分の除去を行わない。
上記の信号修復部224は、ノイズ成分除去部223から送られたスペクトルRAD,RBDを受ける。また、信号修復部224は、第1周波数特定部221から送られた第1周波数NF1、及び、第2周波数特定部222から送られた第2周波数NF2を受ける。そして、信号修復部224は、制御ユニット190から送られた動作モード指定MDCに従って、信号修復処理を実行する。
動作モード指定MDCにより動作モード#2が指定された場合には、信号修復部224は、スペクトルRBDにおける第1周波数NF1の成分を抽出する。そして、信号修復部224は、抽出された成分で、スペクトルRADにおける第1周波数NF1の部分を補完することにより、修復スペクトルRUDを生成する。こうして生成された修復スペクトルRUDは、加算部225へ送られる。
また、動作モード指定MDCにより動作モード#2が指定された場合には、信号修復部224は、スペクトルRADにおける第2周波数NF2の成分を抽出する。そして、信号修復部224は、抽出された成分で、スペクトルRBDにおける第2周波数NF2の部分を補完することにより、修復スペクトルRLDを生成する。こうして生成された修復スペクトルRLDは、加算部225へ送られる。
なお、動作モード指定MDCにより動作モード#0又は動作モード#1が指定された場合には、信号修復部224は、信号の修復を行わない。
上記の加算部225は、信号修復部224から送られた修復スペクトルRUD,RLDを受ける。そして、加算部225は、制御ユニット190から送られた動作モード指定MDCに従って、加算処理を実行する。
動作モード指定MDCにより動作モード#2が指定された場合には、加算部225は、修復スペクトルRUDと修復スペクトルRLDとの周波数成分ごとの和を算出する。加算部225による算出結果は、スペクトルADDとして、選択部226へ送られる。
なお、動作モード指定MDCにより動作モード#0又は動作モード#1が指定された場合には、加算部225は、加算を行わない。
上記の選択部226は、ノイズ成分除去部223から送られたスペクトルRAD、及び、加算部225から送られたスペクトルADDを受ける。そして、選択部226は、制御ユニット190から送られた選択指定SL3に従って、スペクトルRAD及びスペクトルADDの一方を選択する。こうして選択されたスペクトルは、スペクトルNRDとしてIFFT部216へ送られる。
なお、本実施形態では、選択指定SL3が「1」の場合にスペクトルADDが選択され、選択指定SL1が「0」の場合にスペクトルRADが選択されるようになっている。
[動作]
次に、以上のように構成された放送受信装置100の動作について、制御ユニット190により実行されるノイズ低減処理ユニット150に対する制御処理、ノイズ低減処理ユニット150における処理に主に着目して説明する。
前提として、入力ユニット180には既に利用者により選局指定が入力されており、指定された希望局に対応する選局指令CSLが、RF処理ユニット120へ送られているものとする。また、入力ユニット180には既に利用者により音量調整指定が入力されており、指定された音量調整態様に対応する音量調整指令VLCが、アナログ処理ユニット160へ送られているものとする(図1参照)。
こうした状態で、アンテナ110で放送波を受信すると、信号RFSが、アンテナ110からRF処理ユニット120へ送られる。そして、RF処理ユニット120において、選局すべき希望局の信号が中間周波数帯の信号に変換された後、AD変換が行われる。RF処理ユニット120は、このAD変換の結果を、中間周波信号IFDとして、ノイズ低減処理ユニット150へ送る(図1参照)。
中間周波信号IFDを受けると、ノイズ低減処理ユニット150がノイズ低減のための処理を実行する。かかるノイズ低減のための処理に際して、ノイズ低減処理ユニット150の包絡線検波部151が、中間周波信号IFDに対して包絡線検波処理を施して、包絡線検波後信号EDDを生成する。そして、包絡線検波部151は、生成された包絡線検波後信号EDDを、選択部156へ送る(図2参照)。
また、搬送波再生部152が、中間周波信号IFDにおける搬送波成分を抽出し、当該搬送波成分と同一の周波数を有し、かつ、当該搬送波成分と同位相の搬送波信号CCDを生成する。そして、搬送波再生部152が、生成された搬送波信号CCDを、同期検波部153、差分信号生成部154及び搬送波検出部155へ送る(図2参照)。
搬送波信号CCDを受けると、搬送波検出部155は、搬送波信号CCDの周波数及びレベルに基づいて、搬送波信号CCDが適切に生成されているか否かを検出する。そして、搬送波検出部155は、検出結果を、搬送波検出結果CDTとして制御ユニット190へ送る。
なお、本実施形態では、搬送波検出部155は、搬送波信号CCDが適切に生成されている場合には、搬送波検出結果CDTを「1」とする。また、搬送波検出部155は、搬送波信号CCDが適切には生成されていない場合には、搬送波検出結果CDTを「0」とする。
また、同期検波部153が、搬送波信号CCDを利用して、中間周波信号IFDに対して同期検波処理を施し、同期検波後信号SDDを生成する。そして、同期検波部153は、生成された同期検波後信号SDDを選択部156へ送る。
また、差分信号生成部154が、搬送波信号CCDに対して90°移相処理を施して、搬送波信号CCDの直交信号を生成する。引き続き、差分信号生成部154は、中間周波信号IFDと当該直交信号との積を算出し、算出結果から直流成分を差し引いた後、音声帯域の上限周波数以下の成分を抽出して、信号(差分信号)SBDを生成する。そして、差分信号生成部154は、生成された差分信号SBDを、ノイズ処理部157へ送る(図2参照)。
差分信号SBDを受けたノイズ処理部157では、FFT部212が、差分信号SBDに対してフーリエ変換処理を施す。かかるフーリエ変換処理の結果を受けると、識別信号検出部218が、上述した識別信号成分が中間周波信号IFDに含まれているか否かを検出する。そして、識別信号検出部218は、検出結果を、識別信号検出結果PDTとして、制御ユニット190へ送る(図3参照)。
なお、本実施形態では、識別信号検出部218は、識別信号成分が中間周波信号IFDに含まれている場合には、識別信号PDTを「1」とする。また、識別信号検出部218は、識別信号成分が中間周波信号IFDに含まれていない場合には、識別信号PDTを「0」とする。
<制御ユニット190によるノイズ低減処理ユニット150に対する制御処理>
上述のようにしてノイズ低減処理ユニット150から送られた搬送波検出結果CDT及び識別信号検出結果PDTに基づいて、制御ユニット190が、ノイズ低減処理ユニット150に対する制御処理を実行する。
かかる制御処理に際しては、図5に示されるように、まず、ステップS11において、制御ユニット190が、現時点における搬送波検出結果CDT及び識別信号検出結果PDTを取得する。引き続き、ステップS12において、制御ユニット190が、搬送波検出結果CDTが「1」であるか否かを判定する。
ステップS12における判定の結果が否定的であった場合(ステップS12:N)、すなわち、搬送波信号CCDが適切に生成されていないため、同期検波後信号SDD及び差分信号SBDが適切に生成できていない場合には、処理はステップS13へ進む。このステップS13では、制御ユニット190が、ノイズ低減処理ユニット150の動作モードを動作モード#0に決定する。
次に、ステップS14において、制御ユニット190が、動作モード#0対応の選択指定(SL1,SL2,SL3,SL4)として、(0,X,X,0)を生成する。ここで、値Xは、「0」であってもよいし、「1」であってもよい。
次いで、ステップS15において、制御ユニット190が、動作モード#0を指定した動作モード指定MDC、及び、ステップS14において生成された選択指定SL1〜SL4をノイズ低減処理ユニット150へ送る。こうしてステップS15の処理が終了すると、処理はステップS11へ戻る。
上述したステップS12における判定の結果が否定的であった場合(ステップS12:Y)には、処理はステップS16へ進む。このステップS16では、制御ユニット190が、識別信号検出結果PDTが「1」であるか否かを判定する。
ステップS16における判定の結果が肯定的であった場合(ステップS16:Y)、すなわち、搬送波信号CCDが適切に生成されているが、同期検波後信号SDDが歪んでいる場合には、処理はステップS17へ進む。このステップS17では、制御ユニット190が、ノイズ低減処理ユニット150の動作モードを動作モード#1に決定する。
次に、ステップS18において、制御ユニット190が、動作モード#1対応の選択指定(SL1,SL2,SL3,SL4)として、(0,0,0,1)を生成する。引き続き、ステップS19において、制御ユニット190が、動作モード#1を指定した動作モード指定MDC、及び、ステップS18において生成された選択指定SL1〜SL4をノイズ低減処理ユニット150へ送る。こうしてステップS19の処理が終了すると、処理はステップS11へ戻る。
ステップS16における判定の結果が否定的であった場合(ステップS16:N)、すなわち、搬送波信号CCDが適切に生成され、かつ、同期検波後信号SDDが歪んでいない場合には、処理はステップS20へ進む。このステップS20では、制御ユニット190が、ノイズ低減処理ユニット150の動作モードを動作モード#2に決定する。
次に、ステップS21において、制御ユニット190が、動作モード#2対応の選択指定(SL1,SL2,SL3,SL4)として、(1,1,1,1)を生成する。引き続き、ステップS22において、制御ユニット190が、動作モード#2を指定した動作モード指定MDC、及び、ステップS21において生成された選択指定SL1〜SL4をノイズ低減処理ユニット150へ送る。こうしてステップS22の処理が終了すると、処理はステップS11へ戻る。
以後、ステップS11〜S22の処理が繰り返される。かかる処理を実行することにより、制御ユニット190は、放送波の受信状況及び再生チャンネルの放送波の変調方式に対応して、ノイズ低減処理ユニット150に対する制御処理を実行する。
<制御ユニット190による制御のもとでのノイズ低減処理ユニット150による処理>
次に、上述した制御ユニット190による制御処理により指定された動作モードに対応するノイズ低減処理ユニット150による処理について説明する。
《動作モード#0の場合の処理》
まず、動作モード#0の場合の処理について説明する。
動作モード#0の場合には、選択指定SL1が「0」とされる。この結果、ノイズ低減処理ユニット150における選択部156により包絡線検波後信号EDDが選択され、包絡線検波後信号EDDが、信号DTDとして、ノイズ処理部157へ送られる(図2参照)。
また、動作モード#0の場合には、選択指定SL4が「0」とされる。この結果、ノイズ処理部157では、選択部217により信号DTDが選択され、信号DTDが、ノイズ低減処理ユニット150からの出力信号である信号AODとして、アナログ処理ユニット160へ送られる。
すなわち、動作モード#0の場合には、RF処理ユニット120から送られた中間周波信号IFDに対する包絡線検波処理により得られる包絡線検波後信号EDDが、ノイズ低減処理ユニット150から出力される信号AODとされる。
《動作モード#1の場合の処理》
次に、動作モード#1の場合の処理について説明する。
動作モード#1の場合には、選択指定SL1が「0」とされる。この結果、ノイズ低減処理ユニット150における選択部156により包絡線検波後信号EDDが選択され、包絡線検波後信号EDDが、信号DTDとして、ノイズ処理部157へ送られる(図2参照)。
また、動作モード#1の場合には、選択指定SL2が「0」とされる。この結果、選択部214によりスペクトル対(FMD,FSD)が選択され、スペクトル対(SDA,SDB)としてノイズ除去部215へ送られる(図3参照)。
すなわち、動作モード#1の場合には、包絡線検波後信号EDDのスペクトルが、スペクトルSDAとしてノイズ除去部215へ送られる。また、差分信号SBDのスペクトルが、スペクトルSDBとしてノイズ除去部215へ送られる。
ノイズ除去部215では、スペクトルSDAを受けた第1周波数特定部221が、スペクトルSDAにおけるノイズ成分に対応する第1周波数NF1を特定し、特定された第1周波数NF1をノイズ成分除去部223及び信号修復部224へ送る。また、スペクトルSDBを受けた第2周波数特定部222が、スペクトルSDBにおけるノイズ成分に対応する第2周波数NF2を特定し、特定された第2周波数NF2をノイズ成分除去部223及び信号修復部224へ送る(図4参照)。
引き続き、ノイズ成分除去部223が、動作モード#1の場合の処理として、第1周波数NF1及び第2周波数NF2の双方に共通して含まれる周波数の成分をスペクトルSDAから除去して、スペクトルRADを生成する。そして、ノイズ成分除去部223は、生成されたスペクトルRADを選択部226へ送る(図4参照)。
ところで、動作モード#1の場合には、選択指定SL3が「0」とされる。この結果、選択部226によりスペクトルRADが選択される。そして、選択されたスペクトルRADが、ノイズ除去スペクトルNRDとしてIFFT部216へ送られる(図4参照)。
IFFT部216は、ノイズ除去スペクトルNRDに逆フーリエ変換を施して、信号NDDを生成する。そして、IFFT部216は、信号NDDを選択部217へ送る(図3参照)。
さて、動作モード#1の場合には、選択指定SL4が「1」とされる。この結果、選択部217により信号NDDが選択され、信号NDDが、ノイズ低減処理ユニット150からの出力信号である信号AODとして、アナログ処理ユニット160へ送られる。
なお、図6には、動作モード#1の場合において、中間周波信号IFDに基づいて得られるスペクトルSDA(=FMD),SDB(=FSD)及びスペクトルRAD(=NRD)の例が示されている。なお、図6においては、第1周波数NF1として周波数NF11,NF12が特定され、第2周波数NF2として周波数NF21(=NF11),NF22(=NF12)が特定された場合の例が示されている。
《動作モード#2の場合の処理》
次に、動作モード#2の場合の処理について説明する。
動作モード#2の場合には、選択指定SL1が「1」とされる。この結果、ノイズ低減処理ユニット150における選択部156により同期検波後信号SDDが選択され、同期検波後信号SDDが、信号DTDとして、ノイズ処理部157へ送られる(図2参照)。
また、動作モード#2の場合には、選択指定SL2が「1」とされる。この結果、選択部214により、抽出部213が上述のようにして抽出したスペクトル対(FUD,FLD)が選択され、スペクトル対(SDA,SDB)としてノイズ除去部215へ送られる(図3参照)。
すなわち、動作モード#2の場合には、中間周波信号IFDにおける上側周波数帯の成分であるU成分のスペクトルが、スペクトルSDAとしてノイズ除去部215へ送られる。また、中間周波信号IFDにおける下側周波数帯の成分であるL成分のスペクトルが、スペクトルSDBとしてノイズ除去部215へ送られる(図4参照)。
ノイズ除去部215では、スペクトルSDAを受けた第1周波数特定部221が、動作モード#1の場合と同様に、スペクトルSDAにおけるノイズ成分に対応する第1周波数NF1を特定し、特定された第1周波数NF1をノイズ成分除去部223及び信号修復部224へ送る。また、スペクトルSDBを受けた第2周波数特定部222が、動作モード#1の場合と同様に、スペクトルSDBにおけるノイズ成分に対応する第2周波数NF2を特定し、特定された第2周波数NF2をノイズ成分除去部223及び信号修復部224へ送る(図4参照)。
引き続き、ノイズ成分除去部223が、動作モード#2の場合の処理として、第1周波数NF1に含まれる周波数のうちで、第2周波数NF2には含まれていない周波数の成分をスペクトルSDAから除去して、スペクトルRADを生成する。そして、ノイズ成分除去部223は、生成されたスペクトルRADを信号修復部224へ送る(図4参照)。
また、ノイズ成分除去部223が、動作モード#2の場合の処理として、第2周波数NF2に含まれる周波数のうちで、第1周波数NF1には含まれていない周波数の成分をスペクトルSDBから除去して、スペクトルRBDを生成する。そして、ノイズ成分除去部223は、生成されたスペクトルRBDを信号修復部224へ送る(図4参照)。
次に、信号修復部224が、動作モード#2の場合の処理として、第1周波数NF1に含まれる周波数のうちで、第2周波数NF2には含まれていない周波数のスペクトルRBDにおける成分を抽出する。引き続き、信号修復部224は、抽出された成分で、スペクトルRADにおける第1周波数NF1の部分を補完することにより、修復スペクトルRUDを生成する。そして、信号修復部224は、生成された修復スペクトルRUDを加算部225へ送る(図4参照)。
また、信号修復部224が、動作モード#2の場合の処理として、第2周波数NF2に含まれる周波数のうちで、第1周波数NF1には含まれていない周波数のスペクトルRADにおける成分を抽出する。引き続き、信号修復部224は、抽出された成分で、スペクトルRBDにおける第2周波数NF2の部分を補完することにより、修復スペクトルRLDを生成する。そして、信号修復部224は、生成された修復スペクトルRLDを加算部225へ送る(図4参照)。
次いで、加算部225が、動作モード#2の場合の処理として、修復スペクトルRUDと修復スペクトルRLDとの周波数成分ごとの和を算出する。そして、加算部225は、加算結果を、スペクトルADDとして、選択部226へ送る(図4参照)。
ところで、動作モード#2の場合には、選択指定SL3が「1」とされる。この結果、選択部226によりスペクトルADDが選択される。そして、選択されたスペクトルADDが、ノイズ除去スペクトルNRDとしてIFFT部216へ送られる(図4参照)。
IFFT部216は、ノイズ除去スペクトルNRDに逆フーリエ変換を施して、信号NDDを生成する。そして、IFFT部216は、信号NDDを選択部217へ送る(図3参照)。
さて、動作モード#2の場合には、選択指定SL4が「1」とされる。この結果、選択部217により信号NDDが選択され、信号NDDが、ノイズ低減処理ユニット150からの出力信号である信号AODとして、アナログ処理ユニット160へ送られる。
なお、図7には、動作モード#2の場合において、中間周波信号IFDに基づいて得られるスペクトルSDA(=FUD),SDB(=FLD)、及び、ノイズ除去スペクトルRAD,RBDの例が示されている。また、図8には、ノイズ除去スペクトルRAD,RBDに基づいて得られる修復スペクトルRUD,RLD、及び、スペクトルADD(NRD)の例が示されている。
以上のようにして各動作モードで生成された信号AODを受けると、アナログ処理ユニット160では、DA変換部、音量調整部及びパワー増幅部による信号処理が順次施され、出力音声信号AOSが生成される。そして、アナログ処理ユニット160は、生成された出力音声信号AOSをスピーカユニット170へ送る(図1参照)。この結果、スピーカユニット170が、出力音声信号AOSに従って、音声を再生出力する。
以上説明したように、本実施形態では、中間周波信号IFDに基づいて生成された搬送波信号CCDを利用して生成された同期検波後信号SDD((U+L)信号)及び差分信号SBD((U−L)信号)を、音声再生用に利用可能な場合には、動作モード#2の処理を行う。かかる動作モード#2の処理に際しては、抽出部213が、同期検波後信号SDDのスペクトルFMD及び差分信号SBDのスペクトルFSDに基づいて、同期検波後信号SDDにおけるU成分のスペクトルFUD及びL成分のスペクトルFLDを抽出する。引き続き、第1周波数特定部221が、U成分のスペクトルに含まれる定常成分の第1周波数NF1を特定する。また、第2周波数特定部222が、L成分のスペクトルに含まれる定常成分の第2周波数NF2を特定する。
次に、ノイズ成分除去部223が、第1周波数NF1と第2周波数NF2とで共通していない第1周波数NF1に含まれる周波数の成分をU成分のスペクトルFUDから除去して、スペクトルRADを生成する。また、ノイズ成分除去部223が、第1周波数NF1と第2周波数NF2とで共通していない第2周波数NF2に含まれる周波数の成分をL成分のスペクトルFLDから除去して、スペクトルRBDを生成する。
引き続き、信号修復部224が、スペクトルRBDにおける第1周波数NF1の成分を抽出し、抽出された成分でスペクトルRADを補完することにより、修復スペクトルRUDを生成する。また、信号修復部224が、スペクトルRADにおける第2周波数NF2の成分を抽出し、抽出された成分でスペクトルRBDを補完することにより、修復スペクトルRLDを生成する。そして、加算部225が、修復スペクトルRUDと修復スペクトルRLDとを加算して、音声再生に用いられる信号のスペクトルADDを生成する。
したがって、本実施形態によれば、様々な態様で発生する音声帯域におけるビートノイズ成分を、合理的に、かつ、適切に低減することができる。
また、本実施形態では、第1周波数特定部221が、U成分のスペクトルが入力された場合に、U成分のスペクトルの時間平均に基づいて、第1周波数NF1を特定する。また、第2周波数特定部222が、L成分のスペクトルが入力された場合に、L成分のスペクトルの時間平均に基づいて、第2周波数NF2を特定する。このため、U成分に含まれるビートノイズ成分の周波数、及び、L成分に含まれるビートノイズ成分の周波数を、簡易に、かつ、精度良く特定することができる。
本実施形態では、同期検波後信号SDDを音声再生用に利用できないが、差分信号SBDを利用でき、かつ、包絡線検波後信号EDD((U+L)信号)を音声再生用に利用可能な場合には、動作モード#1の処理を行う。かかる動作モード#1の処理に際しては、第1周波数特定部221が、包絡線検波後信号EDDのスペクトルに含まれる定常成分の第1周波数NF1を特定する。また、第2周波数特定部222が、差分信号SBDのスペクトルに含まれる定常成分の第2周波数NF2を特定する。引き続き、ノイズ成分除去部223が、第1周波数NF1と第2周波数NF2とで共通する周波数の成分を包絡線検波後信号EDDのスペクトルから除去し、音声再生に用いられる信号のスペクトルRADを生成する。
したがって、本実施形態によれば、放送波の変調方式に起因して同期検波後信号が歪んでしまう場合であっても、再生様々な態様で発生する音声帯域におけるビートノイズ成分を低減することができる。
また、本実施形態では、搬送波信号CCDが適切に生成されなかった場合には、包絡線検波後信号を再生に用いられる信号として採用する。このため、搬送波信号CCDが適切に生成されない場合であっても、音声再生を継続させることができる。
[実施形態の変形]
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
例えば、上記の実施形態では、検波後信号のノイズフロアのレベルを評価することなく、ビートノイズ成分の周波数を特定するようにした。これに対し、検波後信号のノイズフロアのレベルを評価し、評価結果を更に考慮して、ビートノイズ成分の周波数を特定するようにしてもよい。
また、上記の実施形態では、AM放送の放送受信装置におけるノイズ低減装置に本発明を適用した。これに対し、他の種類の放送(例えば、FMステレオ放送)の放送受信装置におけるノイズ低減装置に本発明を適用してもよい。
なお、上記の実施形態のノイズ低減装置を中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)等を備えた演算手段としてのコンピュータとして構成し、予め用意されたプログラムを当該コンピュータで実行することにより、上記の実施形態における処理の一部又は全部を実行するようにしてもよい。このプログラムはハードディスク、CD−ROM、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、当該コンピュータによって記録媒体から読み出されて実行される。また、このプログラムは、CD−ROM、DVD等の可搬型記録媒体に記録された形態で取得されるようにしてもよいし、インターネットなどのネットワークを介した配信の形態で取得されるようにしてもよい。