以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。各図において共通する要素には、同一の符号を付して、重複する説明を省略する。なお、本発明は、図面に示す形態のみに限定されるものではない。また、装置、器具及び部品等の配置及び向きについても、図面に示す配置及び向きに限定されない。装置、器具及び部品等の材質、形状及び大きさについても、本発明の範囲内で適宜変更することができる。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1の壁スイッチ装置を表側から見た斜視図である。図2は、本発明の実施の形態1の壁スイッチ装置を裏側から見た斜視図である。図3は、本発明の実施の形態1の壁スイッチ装置の三面図である。これらの図に示す本実施の形態1の壁スイッチ装置1は、例えば照明制御システムに用いられる。照明制御システムは、照明制御盤等の主制御部(図示省略)を備え、例えばオフィス、店舗などの施設に設置される複数の照明装置を統合して制御する。壁スイッチ装置1は、他の機器(照明制御盤等)に対して、有線通信または無線通信により、通信可能に接続される。本実施の形態の壁スイッチ装置1は、2線式多重伝送方式による伝送線を介して他の機器と通信可能である。
壁スイッチ装置1は、壁に設置される。本実施の形態の壁スイッチ装置1は、日本工業規格(JIS)C8435に適合する合成樹脂製ボックスまたは日本工業規格(JIS)C8340に適合する電線管用金属製ボックスに対して取り付け可能である。壁に埋め込まれたり壁に直付けされるように設置された当該合成樹脂製ボックスまたは電線管用金属製ボックスに対して、壁スイッチ装置1を、後述する壁取付ねじ100で固定することで、壁スイッチ装置1を壁に取り付けることができる。図1から図3は、壁スイッチ装置1に化粧枠10を取り付けた状態の図である。化粧枠10は、壁スイッチ装置1が壁に設置された状態における意匠性を向上する機能を有する。化粧枠10は、後述する化粧枠保持体11を介して、壁スイッチ装置1に対して取り付け可能である。
以下の説明では、壁スイッチ装置1が取り付けられる仮想の壁面を「取付壁面」と称する。図3中の左上の図は、取付壁面に対して垂直な方向から見た図である。以下の説明では、壁スイッチ装置1及びその構成部品を正面から見ることは、取付壁面に対して垂直な方向から見ること、すなわち図3中の左上の図のように見ることを意味するものとする。以下の説明では、特に規定しない限り、壁スイッチ装置1及びその構成部品における上下方向とは、壁スイッチ装置1が壁に取り付けられたときの鉛直線の方向を言うものとする。また、以下の説明では、特に規定しない限り、壁スイッチ装置1及びその構成部品における左及び右の方向は、壁スイッチ装置1を正面から見たときの左及び右の方向を言うものとする。
図1に示す壁スイッチ装置1は、8個の操作ボタン2を備える8チャンネル型のものである。照明制御システムでは、壁スイッチ装置1の操作ボタン2を指で押すことで、当該操作ボタン2に割り当てられた1または複数の照明装置の、点灯、消灯、調光などが制御される。操作ボタン2は、操作部2a及び表示部2bを有する。表示部2bは、当該操作ボタン2に割り当てられた1または複数の照明装置の場所、あるいは点灯パターンなどの名称等を示す文字、数字などを記した名札を表示する。後述するように、本実施の形態における表示部2bは、透明部品で構成され、当該透明部品の内側に名札が配置される。
左右方向を行方向として上下方向を列方向としたとき、8個の操作ボタン2は、正面から見て、4行×2列の行列状をなすように、隣接して配置される。図3に示すように、正面から見て、各々の操作ボタン2が占める領域は、長方形になる。正面から見て、各々の操作ボタン2の領域は、操作部2aが占める片方の領域と、表示部2bが占めるもう片方の領域とに二分される。本実施の形態では、正面から見て、操作部2aが占める領域と、表示部2bが占める領域との境界2cは、左右方向に延びる一本の線になる。本実施の形態では、正面から見て、各々の操作ボタン2の領域は、操作部2aが占める上半分の領域と、表示部2bが占める下半分の領域とに二分される。本実施の形態では、操作部2aが占める領域と、表示部2bが占める領域との境界2cは直線(一直線)であるが、当該境界を曲線にしても良い。
壁スイッチ装置1のサイズは、上記JIS規格の合成樹脂製ボックスまたは電線管用金属製ボックスに対して取り付け可能とするために制限を受ける。このため、操作ボタン2の数を多くすると、各々の操作ボタン2が小型にならざるを得ない。本実施の形態では、正面から見たときに、各々の操作ボタン2の領域が、境界2cを介して、操作部2aが占める片方の領域と、表示部2bが占めるもう片方の領域とに二分される。これにより、小型の操作ボタン2においても、表示部2bの領域の面積を大きくできる。このため、表示部2bの表示が見やすい。また、操作ボタン2を指で押すとき、操作部2aを押しても良いし表示部2bを押してもよいので、指で押せる領域が大きくなり、操作がしやすい。また、操作ボタン2の表面が操作部2aと表示部2bとに分かれていることで、操作部2aを指で触る場合には表示部2bが指で隠れにくいので、表示部2bを目視しながら操作ボタン2を押すことができ、押し間違いを抑制できる。本実施の形態の操作ボタン2では、正面から見たときに、操作部2aが占める領域の面積と、表示部2bが占める領域の面積とがおおむね等しい。これにより、表示部2bの領域の面積を十分に大きくしつつ、操作部2aを押す場合に操作部2aをより押しやすくできる。正面から見たときに、表示部2bが占める領域の面積は、操作部2aが占める領域の面積に比べて、0.5倍〜2倍程度が好ましく、0.7倍〜1.5倍程度がより好ましい。このような範囲であれば、上記効果に類似した効果が確実に得られる。
本実施の形態では、正面から見たときに、各々の操作ボタン2において、表示部2bが占める領域が、操作部2aが占める領域の上の位置になることで、次の効果が得られる。操作部2aを指で触る場合に表示部2bが指で隠れることをより確実に抑制できるので、表示部2bをより確実に目視しながら操作ボタン2を押すことができ、押し間違いをより確実に抑制できる。本実施の形態では、表示部2bが占める領域が、操作部2aが占める領域の真上の位置にあるが、表示部2bが占める領域の中心位置が、操作部2aが占める領域の中心位置に比べて、上の位置であれば、上記効果に類似した効果が得られる。
以下の説明では、壁スイッチ装置1が壁に設置されて使用される状態を正面から見たときに外観に現れる壁スイッチ装置1の領域を「外観領域」と称する。本実施の形態では、正面から見たときに化粧枠10の内側の領域が外観領域に相当する。本実施の形態では、外観領域は、上下方向を長手方向とする長方形である。図1及び図3に示す壁スイッチ装置1が備える各々の操作ボタン2の左右方向の長さは、外観領域の左右方向の長さの1/2に実質的に等しい。なお、本明細書における「実質的に等しい」とは、部品同士の間に確保することが必要な隙間の大きさ程度の違いが存在する場合を含むものとする。
図1及び図3に示すように、壁スイッチ装置1は、外観領域の上部及び下部を形成するブランク部6dを備える。ブランク部6dの表面は、空白(余白)となる領域である。ブランク部6dの表面は、スイッチの操作を受け付けない領域である。ブランク部6dは、後述する押し子枠6の一部である。正面から見たとき、ブランク部6dの表面は、左右方向を長手方向とする長方形を呈する。
以下の説明では、Nを自然数とし、外観領域の上下方向の長さをN等分した長さを「単位高さ」と称する。本実施の形態1では、N=10である。N=10に限定されるものではなく、例えば、N=4〜20とすることができる。Nは偶数が好ましい。
ブランク部6dの上下方向の長さは、単位高さに実質的に等しい。ブランク部6dの左右方向の長さは、外観領域の左右方向の長さに実質的に等しい。操作ボタン2の上下方向の長さは、単位高さの2倍に実質的に等しい。操作ボタン2の操作部2aの上下方向の長さと、表示部2bの上下方向の長さとは、おおむね等しい。図1及び図3に示す壁スイッチ装置1では、視覚的な印象として、外観領域が上下方向に整然とN分割(10分割)されている印象を与えることができる。このため、優れた意匠性が得られる。
図2及び図3に示すように、壁スイッチ装置1は、取付枠3と、基板ケース4とを備える。取付枠3の上部及び下部には、それぞれ、壁取付孔3aが形成されている。壁取付孔3aは、壁取付ねじ100を通す孔である。壁取付ねじ100は、壁に設置された合成樹脂製ボックスまたは電線管用金属製ボックス等に壁スイッチ装置1を固定するためのねじである。壁取付孔3aは、左右方向に長い長孔である。取付枠3は、基板ケース4を固定するための爪部3bを有する。取付枠3は、上側の一対の爪部3bと、下側の一対の爪部3bとの、計4個の爪部3bを有する。基板ケース4内には、後述する回路基板ユニット5が配置される。回路基板ユニット5には、伝送線が接続される端子5aが搭載されている。基板ケース4の底部には、端子5aを露出させるための孔4aが形成されている。
取付枠3には、化粧枠保持体11をねじで固定できる。取付枠3は、上部の壁取付孔3aの上側と、下部の壁取付孔3aの下側とに、それぞれ孔3cを有する。化粧枠保持体11は、取付枠3の孔3cにねじで固定されることが望ましい。化粧枠10は、化粧枠保持体11に対して、ねじ等の固定具を使用せずに、着脱可能に固定される。化粧枠10を化粧枠保持体11に着脱可能に固定する方法は、例えば、スナップフィット(爪部による固定、嵌合による固定など)、凸部が凹部に圧入することによる固定など、いかなる方法でも良い。本実施の形態における化粧枠保持体11は、枠状を呈する。なお、図示の構成に代えて、化粧枠保持体11を介さずに、取付枠3に対して化粧枠10を直接取り付けるように構成しても良い。
図4は、本実施の形態1の壁スイッチ装置1の分解斜視図である。図4に示すように、壁スイッチ装置1は、押し子枠6を備える。後述するように、押し子枠6は、複数の押し子6aを有する。操作ボタン2は、押し子枠6に取り付けられている。以下の説明では、操作ボタン2及び押し子枠6が組み合わされたユニット(アセンブリー)を「ボタンユニット」と称する。
回路基板ユニット5は、第一回路基板5b及び第二回路基板5cを備える。第二回路基板5cは、第一回路基板5bの裏側に配置される。第二回路基板5cは、第一回路基板5bに対して支柱部5dを介して接続される。第二回路基板5cの大きさは、第一回路基板5bに比べて小さい。前述した端子5aは、第二回路基板5cに搭載されている。第一回路基板5bには、例えばタクタイルスイッチ等のスイッチ5e,5fが搭載されている。操作ボタン2を押すと、押し子6aが操作ボタン2に押され、スイッチ5eまたはスイッチ5fが押し子6aに押される。また、回路基板ユニット5は、マイクロコンピュータと、他の機器と通信するための通信部とを有する。
基板ケース4は、回路基板ユニット5を収納する凹部4bと、溝4cとを有する。基板ケース4は、上側の一対の溝4cと、下側の一対の溝4cとの、計4個の溝4cを有する。基板ケース4の溝4cに、取付枠3の爪部3bを挿入することで、取付枠3と基板ケース4とを固定できる。上側の爪部3b及び溝4cの幅は、下側の爪部3b及び溝4cの幅に比べて、大きくなっている。これにより、組立時に、誤って取付枠3を基板ケース4に対して相対的に逆さまに組み付けることを確実に防止できる。以下の説明では、取付枠3、基板ケース4、及び回路基板ユニット5が組み合わされたユニット(アセンブリー)を「基板ケースユニット」と称する。
後述するように、本実施の形態において、ボタンユニットは、基板ケースユニットに対して、ねじ等の固定具を使用せずに、スナップフィットまたは圧入により、着脱可能に固定される。本実施の形態では、壁に対して取り付ける壁取付ねじ100を通す壁取付孔3aを有する基板ケースユニットが壁取付ユニットに相当し、ボタンユニットが表面ユニットに相当する。
図5は、本実施の形態1の壁スイッチ装置1が備える基板ケースユニットの斜視図である。図5に示すように、取付枠3は、枠本体3dと、基板保護板3eと板状突出部3fとを有する。枠本体3dは、基板ケース4の縁部の形状に対応した長方形の枠状を呈する。枠本体3dは、基板ケース4の凹部4bの縁部に接触する。基板保護板3eは、枠本体3dの内側に位置する。基板保護板3eは、第一回路基板5bの表側を覆う。基板保護板3eを設けたことで、ボタンユニットを基板ケースユニットから取り外した際に、人の手が第一回路基板5bに触れることを確実に防止できる。取付枠3は、枠本体3dの上辺から上方へ突出する板状突出部3fと、枠本体3dの下辺から下方へ突出する板状突出部3fとの二つの板状突出部3fを有する。壁取付孔3a及び孔3cは、各々の板状突出部3fに形成されている。
図6は、本実施の形態1の壁スイッチ装置1を、取付壁面に対して垂直かつ上下方向の平面で切断した断面図である。図6に示すように、押し子枠6は、押し子6a、枠本体6b、爪部6c、ブランク部6d、及び接続部6eを有する。押し子6aは、第一回路基板5bに搭載されたスイッチ5eまたはスイッチ5fを押すための突出部を有する。押し子枠6は、複数の押し子6aを有する。枠本体6bは、各々の押し子6aの周囲を囲む。各々の押し子6aと、枠本体6bとの間は、細い接続部6eを介して接続される。接続部6eが弾性変形することで、押し子6aが枠本体6bに対して変位可能である。押し子枠6の枠本体6bの外縁は、取付枠3の枠本体3dの形状に対応した長方形を呈する。押し子枠6の枠本体6bは、取付枠3の枠本体3dに接触する。操作ボタン2の裏面は、押し子6aの表面に接触する。操作ボタン2を指で押すと、押し子6aが枠本体6bに対して変位し、スイッチ5eまたはスイッチ5fが押し子6aの突出部に押される。なお、図6に示す例では、スイッチ5fは使用されない。スイッチ5fは、後述する第二タイプの押し子枠6が使用される場合に使用される。
押し子枠6の爪部6cを、取付枠3に形成された爪挿入孔3gに挿入することで、押し子枠6を取付枠3に固定できる。押し子枠6が取付枠3に固定されることで、ボタンユニットが基板ケースユニットに固定される。押し子枠6の爪部6cと、取付枠3との接触面は、爪部6cの挿入方向に対して傾斜している。このように構成されているので、爪部6cを爪挿入孔3gから引き抜く方向の力を押し子枠6に加えることで、押し子枠6を取付枠3から取り外すことができる。すなわち、ボタンユニットを基板ケースユニットから取り外すことができる。なお、図示の構成に代えて、取付枠3に対する爪部6cの接触面を凸曲面にした場合でも、上記と同様の効果が得られる。
押し子枠6のブランク部6dは、化粧枠10の内縁の上辺に隣接する位置と、化粧枠10の内縁の下辺に隣接する位置との2箇所にある。ブランク部6dの表面は、平坦である。ブランク部6dの表面は、取付壁面に対して実質的に平行である。本実施の形態では、取付壁面からブランク部6dの表面までの距離は、取付壁面から操作ボタン2の表示部2bの表面までの距離に比べて、僅かに小さい。このように、取付壁面からブランク部6dの表面までの距離は、取付壁面から操作ボタン2の表面までの最小距離に対して、等しいか、おおむね等しいことが望ましい。これにより、ブランク部6dの表面と操作ボタン2の表面とが段差無く連続しているという視覚的な印象を与えることができるので、意匠性が向上する。
押し子枠6のブランク部6dは、壁取付孔3aを覆う覆い部としての機能を有する。正面から見たとき、押し子枠6のブランク部6dは、壁取付孔3aを含む領域を覆う。壁スイッチ装置1が壁に設置された状態では、正面から見たとき、押し子枠6のブランク部6dは、壁取付ねじ100の頭を含む領域を覆う。すなわち、基板ケースユニットに対してボタンユニットを取り付けた状態では壁取付孔3aがボタンユニットに覆われ、基板ケースユニットからボタンユニットを取り外すことで壁取付孔3aが露出する。このように、ボタンユニットを用いて壁取付孔3aを覆うように構成したことで、操作ボタン2を配置可能な領域を広く確保できる。また、壁取付孔3aを覆うための別部品が不要となるので、部品点数を削減できる。また、取付壁面から壁スイッチ装置1の表面までの厚さ寸法を抑制でき、壁に設置された状態での壁スイッチ装置1の外観を薄型にできる。
図6に示すように、取付枠3の基板保護板3eには、押し子6aの突出部を通す孔3hが形成されている。押し子6aの突出部が孔3hの内周に接触することなく、押し子6aが基板保護板3eの板厚方向に変位可能である。
操作ボタン2の表示部2bの表面は、平坦である。表示部2bの表面は、取付壁面に対して実質的に平行である。操作部2aの表面は、凸面である。このような構成により、以下の効果が得られる。壁スイッチ装置1の表面を指で撫でたとき、指で凹凸を感じることができるので、指が滑りにくく、指で押すべき位置が分かりやすく、操作がしやすい。図示の構成に限らず、操作部2a及び表示部2bの少なくとも一方の表面を凸面または凹面にすることで、上記と類似の効果が得られる。
操作ボタン2の操作部2aの表面は、表示部2bの表面の位置に対して、突き出ている。すなわち、操作部2aの表面と取付壁面との最大距離は、表示部2bの表面と取付壁面との最大距離に比べて大きい。このような構成により、以下の効果が得られる。壁スイッチ装置1の表面を指で撫でたとき、表示部2bに比べて操作部2aが優先して指に触れる。このため、指で押すべき位置が分かりやすく、操作がしやすい。
図6中の位置2dは、操作部2aの表面と取付壁面との距離が最大になる位置である。すなわち、位置2dは、操作部2aの表面の頂点の位置である。中心2eは、操作ボタン2を正面から見たときに操作部2aが占める領域の中心である。操作部2aの表面と取付壁面との距離が最大になる位置2dは、当該操作ボタン2の操作部2aが占める領域と表示部2bが占める領域との境界2cと、当該操作ボタン2の操作部2aが占める領域の中心2eとの間にある。このような構成により、以下の効果が得られる。正面から見たときに、操作部2aの表面の頂点の位置2dが境界2cに近くなるので、位置2dが操作ボタン2全体の中心の近くになる。操作ボタン2を指で触れたとき、操作部2aの表面の頂点の位置2dが、最も指に触れる可能性が高い。よって、操作ボタン2を押す力は、操作部2aの表面の頂点の位置2dに加わる可能性が最も高い。操作ボタン2を押す力が位置2dに加わったとき、位置2dが操作ボタン2全体の中心の近くにあることで、その力が効率良く押し子6aに伝わる。このため、小さい操作力でもスイッチ5eまたはスイッチ5fを確実に押すことが可能となる。
本発明では、図示の構成に限らず、表示部2bの表面と取付壁面との最大距離が、操作部2aの表面と取付壁面との最大距離に比べて大きいように構成しても良い。その場合には、当該操作ボタン2を正面から見たときに、表示部2bの表面の頂点の位置が、当該操作ボタン2の操作部2aが占める領域と表示部2bが占める領域との境界2cと、当該操作ボタン2の表示部2bが占める領域の中心との間にあるように構成することが望ましい。これらの場合においても、上述した効果と類似の効果が得られる。
図7は、本実施の形態1の壁スイッチ装置1を、取付壁面に対して垂直かつ水平方向の平面で切断した断面の一部を示す図である。図7に示すように、取付枠3の爪部3bは、爪部3bの挿入方向に対して垂直な接触面で基板ケース4に接触する。これにより、基板ケース4の溝4cから爪部3bを引き抜く方向の力が取付枠3に作用した場合であっても、取付枠3と基板ケース4との固定が外れることを確実に抑制できる。
操作ボタン2は、一対の爪部2fを有する。爪部2fは、操作ボタン2の裏面側から突出する。操作ボタン2の左寄りの位置と右寄りの位置とにそれぞれ爪部2fがある。押し子枠6の押し子6aと枠本体6bとの間に爪部2fが挿入することで、操作ボタン2が押し子枠6に取り付けられる。操作ボタン2の爪部2fは、爪部2fの挿入方向に対して垂直な接触面で枠本体6bの裏面に接触する。これにより、押し子6aと枠本体6bとの間から爪部2fを引き抜く方向の力が操作ボタン2に作用した場合であっても、操作ボタン2が押し子枠6から外れることを確実に抑制できる。操作ボタン2を指で押していない状態では、操作ボタン2の裏面と枠本体6bの表面との間に隙間がある。操作ボタン2を指で押すと、操作ボタン2及び押し子6aが枠本体6bに対して変位して当該隙間が縮小するとともに、接続部6eが弾性変形する。操作ボタン2から指を離すと、接続部6eの弾性により、操作ボタン2及び押し子6aが元の位置に戻る。
図示の構成に代えて、枠本体6bに対する爪部2fの接触面を、爪部2fの挿入方向に対して傾斜した面、または凸曲面にしても良い。そのようにした場合には、押し子枠6から操作ボタン2を取り外す方向の力を操作ボタン2に加えることで、爪部2fが枠本体6bから外れ、操作ボタン2を取り外すことができる。この場合、操作ボタン2を交換したり、操作ボタン2を後述するブランクチップ7に付け替えたりする作業を容易に行うことができる。
図8は、本実施の形態1の壁スイッチ装置1が備える押し子枠6を表側から見た斜視図である。図9は、図8に示す押し子枠6を裏側から見た斜視図である。図8及び図9に示す押し子枠6は、8個の押し子6aを有する。8個の押し子6aの位置は、図1に示す8チャンネル型の壁スイッチ装置1が備える8個の操作ボタン2の位置に対応する。左右方向を行方向として上下方向を列方向としたとき、8個の押し子6aは、正面から見て、4行×2列の行列状をなすように配置される。このように、押し子枠6が備える複数の押し子6aを、複数行×複数列の行列状に配置することで、限られたサイズの押し子枠6の中に多数の押し子6aを効率良く配置できる。以下の説明では、最も上の行の押し子6aを「1段目」とし、下に向かって、順に、「2段目」、「3段目」・・・とする。図9に示すように、押し子枠6は、枠本体6bの上側に位置する一対の爪部6cと、枠本体6bの下側に位置する一対の爪部6cとの、計4個の爪部6cを有する。以下の説明では、図8及び図9に示す押し子枠6を、第一タイプの押し子枠6と呼ぶ。
図10は、本実施の形態1の壁スイッチ装置1が備える押し子枠6の他の例を表側から見た斜視図である。図11は、図10に示す押し子枠6を裏側から見た斜視図である。図10及び図11に示す押し子枠6は、6個の押し子6aを有する。以下の説明では、図10及び図11に示す押し子枠6を、第二タイプの押し子枠6と呼ぶ。第二タイプの押し子枠6についての説明では、第一タイプの押し子枠6と同様の点については、適宜説明を省略する。左右方向を行方向として上下方向を列方向としたとき、第二タイプの押し子枠6が備える6個の押し子6aは、正面から見て、3行×2列の行列状をなすように配置される。第二タイプの押し子枠6が備える各々の押し子6aの形状は、第一タイプの押し子枠6が備える押し子6aの形状と同一または類似である。第二タイプの押し子枠6の1段目(すなわち最上段)の2個の押し子6aの位置は、第一タイプの押し子枠6の1段目(すなわち最上段)の2個の押し子6aの位置と同じである。第二タイプの押し子枠6の3段目(すなわち最下段)の2個の押し子6aの位置は、第一タイプの押し子枠6の4段目(すなわち最下段)の2個の押し子6aの位置と同じである。第二タイプの押し子枠6の2段目の2個の押し子6aの位置は、1段目の2個の押し子6aと、3段目の2個の押し子6aとの中央の位置である。
第二タイプの押し子枠6の枠本体6bの表面側には、後述するブランクチップ7を取り付けるスペースとなるブランクチップ取付部6hがある。ブランクチップ取付部6hは、2箇所にある。一方のブランクチップ取付部6hは、1段目の2個の押し子6aと、2段目の2個の押し子6aとの間に位置する。他方のブランクチップ取付部6hは、2段目の2個の押し子6aと、3段目の2個の押し子6aとの間に位置する。ブランクチップ取付部6hには、ブランクチップ7を取り付けるための取付孔6fが形成されている。
上述したように、本実施の形態の押し子枠6は、8個または6個の押し子6aを備える。本発明では、押し子枠が備える押し子の数は、これらの数に限定されるものではなく、2個以上であれば何個でも良い。例えば、以下のようにしても良い。2個の押し子を備える押し子枠において、2個の押し子を2行×1列または1行×2列に配置しても良い。16個の押し子を備える押し子枠において、16個の押し子を8行×2列に配置しても良い。
図12は、本実施の形態1の壁スイッチ装置1が備える取付枠3を表側から見た斜視図である。図13は、図12に示す取付枠3を裏側から見た斜視図である。図12及び図13に示すように、取付枠3の基板保護板3eには、押し子6aの突出部を通すための8個の孔3h及び2個の孔3iが形成されている。8個の孔3hの位置は、第一タイプの押し子枠6が備える8個の押し子6aの各々に対応する。2個の孔3iの位置は、第二タイプの押し子枠6の2段目の2個の押し子6aに対応する。このような取付枠3であれば、第一タイプの押し子枠6と、第二タイプの押し子枠6との双方に対応できる。
図12に示すように、取付枠3の板状突出部3fの表面には、取付枠3の上下を示す表示3jが設けられている。表示3jは、上向きの矢印の中に「上」の文字が入った表示になっている。このような表示3jを設けたことで、壁スイッチ装置1を壁に取り付ける際に、誤って上下を逆向きに取り付けることを確実に防止できる。
図14は、本実施の形態1の壁スイッチ装置1が備える回路基板ユニット5を正面から見た図である。図14に示すように、回路基板ユニット5の第一回路基板5bには、8個のスイッチ5e及び2個のスイッチ5fが搭載されている。スイッチ5fは、スイッチ5eと同様に、例えばタクタイルスイッチ等で構成される。8個のスイッチ5eの位置は、第一タイプの押し子枠6が備える8個の押し子6aの各々に対応する。2個のスイッチ5fの位置は、第二タイプの押し子枠6の2段目の2個の押し子6aに対応する。このような回路基板ユニット5であれば、第一タイプの押し子枠6と、第二タイプの押し子枠6との双方に対応できる。
第一回路基板5bには、複数の発光素子5g及び発光素子5hが搭載されている。発光素子5g及び発光素子5hは、異なる色の光を発する。例えば、発光素子5gは緑色光を発し、発光素子5hは赤色光を発する。発光素子5g及び発光素子5hは、壁スイッチ装置1が備える各々の操作ボタン2の位置に対応した位置に配置される。発光素子5g及び発光素子5hのいずれが点灯しているかによって、操作ボタン2で操作する照明装置の点灯、消灯等の状態を知らせることができる。
第一回路基板5bには、赤外線通信を行うための赤外線送信部5i及び赤外線受信部5jが搭載されている。本実施の形態の壁スイッチ装置1では、赤外線送信部5i及び赤外線受信部5jを用いて、回路基板ユニット5のマイクロコンピュータと、例えばデータ設定器(図示省略)等の外部機器との間で赤外線通信を行うことができる。データ設定器と、回路基板ユニット5のマイクロコンピュータとの間で赤外線通信を行うことで、例えば壁スイッチ装置1の識別番号の設定、操作ボタン2の割り付けの設定などを行うことができる。
なお、図12及び図13に示すように、取付枠3の基板保護板3eには、発光素子5g及び発光素子5hが発する光、赤外線送信部5iが送信する赤外線、並びに、赤外線受信部5jが受信する赤外線、を通すための複数の切欠き、孔等が形成されている。また、取付枠3の枠本体3dの内側には、第一回路基板5bに表面に接触するリブが設けられている。図14中では、便宜上、それらの切欠き、孔、リブ等の位置を併せて描画している。本実施の形態において、発光素子5g、発光素子5h、及び赤外線送信部5iは、発光部の例である。本発明における発光部としては、例えばLED(Light Emitting Diode)光源を用いることができる。本実施の形態において、赤外線受信部5jは、受光部の例である。本発明における受光部としては、例えばフォトダイオードを用いることができる。
図15及び図16は、本実施の形態1の壁スイッチ装置1が備える基板ケース4を示す斜視図である。図15及び図16に示すように、基板ケース4の底部には、ピン治具を挿入可能な4個の細孔4dが貫通している。図17は、本実施の形態1の壁スイッチ装置1が備える基板ケース4の4個の細孔4dを外側から見た図である。図18は、本実施の形態1の壁スイッチ装置1を基板ケース4の細孔4dの位置で切断した断面図である。図18に示すように、回路基板ユニット5の第一回路基板5bの裏面には、基板ケース4の4個の細孔4dの各々に対応した位置に端子5kが形成されている。基板ケース4の細孔4dからピン治具を挿入することで、回路基板ユニット5の端子5kにアクセスできる。本実施の形態1の壁スイッチ装置1では、基板ケース4の細孔4dからピン治具を挿入して回路基板ユニット5の端子5kにアクセスすることで、回路基板ユニット5のマイクロコンピュータのプログラムの書き込みまたは書き換えをすることができる。回路基板ユニット5のマイクロコンピュータに万一のトラブルが発生した場合には、基板ケース4の細孔4dからピン治具を挿入して回路基板ユニット5の端子5kにアクセスすることで、壁スイッチ装置1を分解することなく、修理を行うことができる。
後述するように、本実施の形態では、共通の基板ケースユニットを用いて、複数種類の壁スイッチ装置1(8チャンネル型の壁スイッチ装置1のほかに、4チャンネル型の壁スイッチ装置1、3チャンネル型の壁スイッチ装置1、2チャンネル型の壁スイッチ装置1、1チャンネル型の壁スイッチ装置1等)を組み立てることができる。本実施の形態であれば、基板ケースユニットの組み立て後、または壁スイッチ装置1全体の組み立て後に、基板ケース4の細孔4dからピン治具を挿入して回路基板ユニット5の端子5kにアクセスすることで、上記の種類ごとに対応したプログラムを回路基板ユニット5のマイクロコンピュータに書き込むことができる。このため、上記の種類ごとに分けて回路基板ユニット5を用意する必要がないので、製造工程を簡素化でき、製造コストを低減できる。
図19は、本実施の形態1の壁スイッチ装置1が備える操作ボタン2を示す斜視図である。図19に示す操作ボタン2は、図1及び図3に示す壁スイッチ装置1が備える操作ボタン2である。図19に示すように、操作ボタン2は、ボタン本体2gを備える。爪部2fは、ボタン本体2gの裏面側から突出している。操作部2aは、ボタン本体2gに一体化している。表示部2bを構成する透明部品は、ボタン本体2gに対して着脱可能である。表示部2bの長手方向は、左右方向になる。
図20は、本実施の形態1の壁スイッチ装置1が備える操作ボタン2の他の例を示す斜視図である。図20に示す操作ボタン2の左右方向の長さは、図19に示す操作ボタン2の左右方向の長さの2倍に実質的に等しい。図20に示す操作ボタン2の左右方向の長さは、外観領域の左右方向の長さに実質的に等しい。以下の説明では、図19に示す操作ボタン2のことを「標準幅の操作ボタン2」と呼ぶ場合がある。また、図20に示す操作ボタン2のことを「倍幅の操作ボタン2」と呼ぶ場合がある。以下、図21から図25を参照し、標準幅の操作ボタン2の構成をさらに詳細に説明する。倍幅の操作ボタン2については、標準幅の操作ボタン2に比べて左右方向の長さが長いこと以外はほぼ同様の構成であるため、重複する説明を省略する。
図21は、本実施の形態1の壁スイッチ装置1が備える操作ボタン2の表示部2b及びその付近を示す側面図である。図21に示すように、操作ボタン2の表示部2bを構成する透明部品は、表示部2bの裏面側から突出する上壁2h及び下壁2iを有する。上壁2hは、表示部2bの上部に形成される。下壁2iは、表示部2bの下部に形成される。ボタン本体2gは、上壁2hと下壁2iとの間に挿入し、表示部2bの裏面と対向する対向面2jを有する。表示部2bの裏面と、対向面2jとの間には、隙間2kがある。隙間2kには、名札(図示省略)を設置できる。表示部2bを構成する透明部品が、ボタン本体2gに対して着脱可能としたことで、隙間2kへの名札の設置または交換の作業が容易になる。当該名札は、例えば、紙、フィルム、粘着紙、粘着フィルム、またはこれらのうちの複数の重ね合わせなど、いかなる構成でも良い。上壁2hの先端には、フック2mが形成されている。ボタン本体2gには、フック2mを引っ掛けるフック2nが形成されている。表示部2bを構成する透明部品のフック2mが、ボタン本体2gのフック2nに引っ掛かることで、表示部2bを構成する透明部品がボタン本体2gから脱落することを防止できる。表示部2bを構成する透明部品を、ボタン本体2gに対して、図21の紙面に垂直な方向にスライドさせることで、表示部2bを構成する透明部品をボタン本体2gから取り外すことができる。
図22は、本実施の形態1の壁スイッチ装置1が備える操作ボタン2の表示部2bを構成する透明部品を裏面側から見た斜視図である。図22に示すように、操作ボタン2の表示部2bを構成する透明部品の下壁2iには、隙間調整用凸部2p及び位置決め用凸部2qが形成されている。隙間調整用凸部2pは、当該透明部品の両端部にそれぞれ配置され、下壁2iから内側に突出する。隙間調整用凸部2pは、当該透明部品とボタン本体2gとの隙間を調整し、当該透明部品とボタン本体2gとの間に遊びが生じないようにする機能を持つ。位置決め用凸部2qは、当該透明部品の中央に配置され、下壁2iから外側に突出する。位置決め用凸部2qは、ボタン本体2gに対する当該透明部品のスライド方向の位置決めをする機能を持つ。標準幅の操作ボタン2の表示部2bを構成する透明部品においては、フック2mは、長手方向に沿って途中の2箇所に形成される。なお、倍幅の操作ボタン2の表示部2bを構成する透明部品においては、フック2mは、長手方向に沿って途中の3箇所に形成される。あるいは、フック2mの位置は、表示部2bを構成する透明部品の両端でも良く、フック2mの個数も2箇所または3箇所に限定されるものではない。
図23は、本実施の形態1の壁スイッチ装置1が備える操作ボタン2の表示部2bを構成する透明部品をボタン本体2gから取り外した状態を示す斜視図である。図23に示すように、ボタン本体2gには、位置決め用凸部2qが嵌合可能な位置決め用凹部2rが形成されている。表示部2bを構成する透明部品を、ボタン本体2gに対して、図23中の矢印方向にスライドさせることで、表示部2bを構成する透明部品をボタン本体2gに装着することができる。表示部2bを構成する透明部品がボタン本体2gに対して適正な位置までスライドすると、位置決め用凸部2qがボタン本体2gの位置決め用凹部2rに嵌合することで、位置決めがなされる。これにより、表示部2bを構成する透明部品は、ボタン本体2gに対して適正な位置に装着された後は、自然にスライドしてしまうことが確実に防止される。
操作ボタン2の表示部2bと対向面2jとの間の隙間2kに名札を入れる場合、または名札を交換する場合には、表示部2bを構成する透明部品をボタン本体2gから完全に取り外す必要はない。表示部2bを構成する透明部品を途中までスライドさせた状態で、名札を着脱した後、当該透明部品を元の位置に戻せば良い。このようにすることで、名札を入れる場合、または名札を交換する場合に、表示部2bを構成する透明部品を落としたり紛失したりすることを確実に防止できる。
図24は、本実施の形態1の壁スイッチ装置1が備える操作ボタン2のボタン本体2gの斜視図である。図24に示すように、ボタン本体2gは、貫通孔2sを有する。貫通孔2sは、取付壁面及び第一回路基板5bに対して垂直な方向にボタン本体2gを貫通する。貫通孔2sは、表示部2bの表面に対して垂直な方向に、ボタン本体2gを貫通する。貫通孔2sは、位置決め用凹部2rの両側にそれぞれ形成されている。貫通孔2sは、左右方向に細長い形状を有する。表示部2bを構成する透明部品をボタン本体2gに装着した状態では、下壁2iが貫通孔2sを覆う。
壁スイッチ装置1を組み立てた状態では、第一回路基板5bに搭載された発光素子5g及び発光素子5hから発せられた光がボタン本体2gの貫通孔2sに入射する。当該光は、貫通孔2sを通過し、下壁2iを透過し、表示部2bの表面から外部へ出射する。このようにして、発光素子5g及び発光素子5hから発せられた光を視認できる。本実施の形態では、表示部2bを構成する透明部品の一部(下壁2i)を用いて、発光素子5g及び発光素子5hから発せられた光を導光することで、部品点数を増やすことなく、当該光をより見やすくできる。
壁スイッチ装置1を組み立てた状態では、第一回路基板5bに搭載された赤外線送信部5iから発せられた赤外線がボタン本体2gの貫通孔2sに入射する。当該赤外線は、貫通孔2sを通過し、下壁2iを透過し、表示部2bの表面から外部へ出射する。また、外部から発せられた赤外線は、表示部2bの表面から入射して下壁2iを透過し、貫通孔2sを通過して、赤外線受信部5jに受信される。このようにして、赤外線送信部5i及び赤外線受信部5jにより赤外線を送受信できる。本実施の形態では、表示部2bを構成する透明部品の一部(下壁2i)を用いて、赤外線を導光することで、部品点数を増やすことなく、赤外線の送受信をより確実に行うことができる。
図25は、本実施の形態1の壁スイッチ装置1が備える操作ボタン2を位置決め用凸部2q及び位置決め用凹部2rの位置で切断した断面を示す斜視図である。図25中の上側が操作ボタン2の裏側である。図25に示すように、表示部2bを構成する透明部品の位置決め用凸部2qが、ボタン本体2gの位置決め用凹部2rに嵌合する。これにより、表示部2bを構成する透明部品がボタン本体2gに対して自然にスライドしてしまうことが確実に防止される。
なお、本発明において、表示部2bを構成する部品をボタン本体2gに対して着脱可能にする構成は、上述した本実施の形態の構成に限定されるものではなく、例えば、スナップフィット(爪部による固定、嵌合による固定など)、凸部が凹部に圧入することによる固定などでも良い。また、弾性変形可能な透明薄板で表示部2bを構成し、当該透明薄板を湾曲させることで、ボタン本体2g側に形成された溝に対して当該透明薄板を着脱する構成にしても良い。
また、本発明において、表示部2bは、透明部品で構成されなくても良い。表示部2bは、例えば粘着紙または粘着フィルムなどで構成される名札を貼り付け可能な表面を有する不透明部品でも良い。
図26は、本実施の形態1の壁スイッチ装置1が備えるブランクチップ7を表側から見た斜視図である。図27は、本実施の形態1の壁スイッチ装置1が備えるブランクチップ7を裏側から見た斜視図である。これらの図に示すブランクチップ7は、押し子枠6に取り付け可能な部品である。ブランクチップ7は、外観領域において操作ボタン2が装着されない範囲を覆う表面部品の例である。ブランクチップ7の表面は、空白(余白)となる領域である。ブランクチップ7の表面は、スイッチの操作を受け付けない領域である。正面から見たとき、ブランクチップ7の表面は、左右方向を長手方向とする長方形を呈する。ブランクチップ7の上下方向の長さは、単位高さに実質的に等しい。ブランクチップ7の左右方向の長さは、外観領域の左右方向の長さに実質的に等しい。ブランクチップ7は、押し子枠6に固定するための一対の爪部7aを有する。爪部7aは、ブランクチップ7の裏面側から突出する。ブランクチップ7の左寄りの位置と右寄りの位置とにそれぞれ爪部7aがある。爪部7aには、位置決め用凸部7bが形成されている。位置決め用凸部7bは、押し子枠6に対するブランクチップ7の上下方向の位置を保持する機能を持つ。
図28は、本実施の形態1の壁スイッチ装置1が備えるブランクチップ7の爪部7aが押し子枠6のブランクチップ取付部6hの取付孔6fに挿入した部分の断面を示す斜視図である。図28に示すように、第二タイプの押し子枠6のブランクチップ取付部6hの取付孔6fには、ブランクチップ7の爪部7aが挿入する。ブランクチップ7の爪部7aは、爪部7aの挿入方向に対して垂直な接触面で枠本体6bの裏面に接触する。これにより、取付孔6fから爪部7aを引き抜く方向の力がブランクチップ7に作用した場合であっても、ブランクチップ7が押し子枠6から外れることを確実に抑制できる。ブランクチップ7の裏面とブランクチップ取付部6hの表面とは接触している。このため、ブランクチップ7の表面を指で押した場合でも、ブランクチップ7が押し子枠6に対して変位することを防止できる。
本実施の形態では、外観領域において操作ボタン2が装着されない範囲を覆うブランクチップ7を押し子枠6に取り付け可能にしたことで、操作ボタン2の表面と、操作ボタン2が装着されない範囲の表面との間に段差が生じることを抑制できる。このため、操作ボタン2が装着されない範囲の表面と、操作ボタン2の表面とが連続しているという視覚的な印象を与えることができるので、意匠性が向上する。
ブランクチップ7の表面は、平坦である。ブランクチップ7の表面は、取付壁面に対して実質的に平行である。取付壁面からブランクチップ7の表面までの距離は、取付壁面から操作ボタン2の表示部2bの表面までの距離とおおむね等しい。このように、取付壁面からブランクチップ7の表面までの距離は、取付壁面から操作ボタン2の表面までの最小距離に対して、等しいか、おおむね等しいことが望ましい。これにより、ブランクチップ7の表面と操作ボタン2の表面とが段差無く連続しているという視覚的な印象を与えることができるので、意匠性がさらに向上する。
図29は、本実施の形態1の壁スイッチ装置1における第二タイプの押し子枠6の一部を正面から見た図である。図29に示すように、取付孔6fの内面には、位置決め用凹部6gが形成されている。取付孔6fにブランクチップ7の爪部7aを挿入すると、爪部7aに形成された位置決め用凸部7bが、取付孔6fの内面の位置決め用凹部6gに嵌合する。これにより、押し子枠6に対するブランクチップ7の上下方向の装着位置を確実に位置決めできる。
本実施の形態1の壁スイッチ装置1では、押し子枠6が備える複数の押し子6aのうちの一部の押し子6aに対して操作ボタン2を装着しない場合がある。その場合には、当該一部の押し子6aを覆う位置にブランクチップ7が装着される。ブランクチップ7の上下方向の長さは、操作ボタン2の上下方向の長さの1/2に実質的に等しい。このため、2個のブランクチップ7を上下方向に並べて配置することで、操作ボタン2を装着しない押し子6aをブランクチップ7で覆うことができる。押し子6aをブランクチップ7で覆う場合には、押し子6aと枠本体6bとの間に爪部7aを挿入することで、押し子6aを覆う位置にブランクチップ7を取り付けることができる。図29に示すように、押し子6aと枠本体6bとの隙間に面する枠本体6bの内面には、位置決め用凹部6gが形成されている。押し子6aと枠本体6bとの間にブランクチップ7の爪部7aを挿入すると、爪部7aに形成された位置決め用凸部7bが位置決め用凹部6gに嵌合する。これにより、押し子枠6に対するブランクチップ7の上下方向の装着位置を確実に位置決めできる。
図示の構成に代えて、枠本体6bに対する爪部7aの接触面を、爪部7aの挿入方向に対して傾斜した面、または凸曲面にしても良い。そのようにした場合には、押し子枠6からブランクチップ7を取り外す方向の力をブランクチップ7に加えることで、爪部7aが枠本体6bから外れ、ブランクチップ7を取り外すことができる。この場合、ブランクチップ7を交換したり、ブランクチップ7を操作ボタン2に付け替えたりする作業を容易に行うことができる。
図30は、本実施の形態1における8チャンネル型の壁スイッチ装置1を示す斜視図である。図30に示す壁スイッチ装置1は、図1から図3に示す壁スイッチ装置1と同じものである。図1の状態の壁スイッチ装置1から、化粧枠10及び化粧枠保持体11を取り外した状態が図30に相当する。8チャンネル型の壁スイッチ装置1を組み立てる場合には、図8及び図9に示す第一タイプの押し子枠6と、図19に示す標準幅の操作ボタン2とを用いる。第一タイプの押し子枠6の8個の押し子6aの各々の位置に、標準幅の操作ボタン2を取り付けることで、8チャンネル型のボタンユニット及び壁スイッチ装置1を組み立てることができる。
図31は、本実施の形態1における4チャンネル型の壁スイッチ装置1を示す斜視図である。図31に示す4チャンネル型の壁スイッチ装置1を組み立てる場合には、図8及び図9に示す第一タイプの押し子枠6と、図20に示す倍幅の操作ボタン2とを用いる。図20に示す倍幅の操作ボタン2は、左右方向に並ぶ2個の押し子6aを覆うようにして押し子枠6に取り付けられる。第一タイプの押し子枠6に、倍幅の操作ボタン2を4個取り付けることで、4チャンネル型のボタンユニット及び壁スイッチ装置1を組み立てることができる。
図32は、本実施の形態1における3チャンネル型の壁スイッチ装置1を示す斜視図である。図32に示す3チャンネル型の壁スイッチ装置1を組み立てる場合には、図10及び図11に示す第二タイプの押し子枠6と、図20に示す倍幅の操作ボタン2と、図26及び図27に示すブランクチップ7とを用いる。第二タイプの押し子枠6に、倍幅の操作ボタン2を3個取り付けるとともに、ブランクチップ7を2個取り付けることで、3チャンネル型のボタンユニット及び壁スイッチ装置1を組み立てることができる。この場合、2箇所のブランクチップ取付部6hに、それぞれ、ブランクチップ7を取り付ける。
図33は、本実施の形態1における2チャンネル型の壁スイッチ装置1を示す斜視図である。図33に示す2チャンネル型の壁スイッチ装置1を組み立てる場合には、図10及び図11に示す第二タイプの押し子枠6と、図20に示す倍幅の操作ボタン2と、図26及び図27に示すブランクチップ7とを用いる。第二タイプの押し子枠6に、倍幅の操作ボタン2を2個取り付けるとともに、ブランクチップ7を4個取り付けることで、2チャンネル型のボタンユニット及び壁スイッチ装置1を組み立てることができる。この場合、以下のようにする。第二タイプの押し子枠6の1段目の押し子6aを覆う位置と、3段目の押し子6aを覆う位置とに、それぞれ、倍幅の操作ボタン2を取り付ける。2段目の押し子6aを覆う位置に、2個のブランクチップ7を取り付ける。2箇所のブランクチップ取付部6hに、それぞれ、ブランクチップ7を取り付ける。
図34は、本実施の形態1における1チャンネル型の壁スイッチ装置1を示す斜視図である。図34に示す1チャンネル型の壁スイッチ装置1を組み立てる場合には、図10及び図11に示す第二タイプの押し子枠6と、図20に示す倍幅の操作ボタン2と、図26及び図27に示すブランクチップ7とを用いる。第二タイプの押し子枠6に、倍幅の操作ボタン2を1個取り付けるとともに、ブランクチップ7を6個取り付けることで、1チャンネル型のボタンユニット及び壁スイッチ装置1を組み立てることができる。この場合、以下のようにする。第二タイプの押し子枠6の1段目の押し子6aを覆う位置に、2個のブランクチップ7を取り付ける。2段目の押し子6aを覆う位置に、倍幅の操作ボタン2を取り付ける。3段目の押し子6aを覆う位置に、2個のブランクチップ7を取り付ける。2箇所のブランクチップ取付部6hに、それぞれ、ブランクチップ7を取り付ける。
上述した例では、共通の押し子枠6(第一タイプの押し子枠6)を用いて、4チャンネル型と8チャンネル型との2種類のボタンユニット及び壁スイッチ装置1を組み立てている。また、上述した例では、共通の押し子枠6(第二タイプの押し子枠6)を用いて、1チャンネル型と2チャンネル型と3チャンネル型との3種類のボタンユニット及び壁スイッチ装置1を組み立てている。このように、本実施の形態1によれば、押し子枠6に対する操作ボタン2の取付位置、押し子枠6に対する操作ボタン2の取付個数、及び操作ボタン2の形状、のうちの少なくとも一つを変更することで、共通の押し子枠6を用いて複数種類のボタンユニット及び壁スイッチ装置1を組み立てることができる。このため、複数種類の壁スイッチ装置1を製造する場合に、部品の種類を抑制できるとともに、1種類当たりの部品の製造個数を多くできるので、部品コストを抑制でき、製造コストを低減できる。
本実施の形態では、共通の基板ケースユニットに対して、上述した複数種類のボタンユニット(1チャンネル型のボタンユニット、2チャンネル型のボタンユニット、3チャンネル型のボタンユニット、4チャンネル型のボタンユニット、及び8チャンネル型のボタンユニット)を選択的に取り付け可能である。このため、複数種類の壁スイッチ装置1を製造する場合に、部品の種類を抑制できるとともに、1種類当たりの部品の製造個数を多くできるので、部品コストを抑制でき、製造コストを低減できる。
図33に示す壁スイッチ装置1、あるいは図34に示す壁スイッチ装置1のように、押し子枠6が備える複数の押し子6aのうちの一部の押し子6aに対して操作ボタン2を装着しない場合がある。本実施の形態では、押し子6aを覆う位置にブランクチップ7を取り付け可能としたことで、上記のような場合に、操作ボタン2が装着されない押し子6aをブランクチップ7で覆うことができる。これにより、部品の種類を抑制しつつ、操作ボタン2の取付位置、操作ボタン2の取付個数、及び操作ボタン2の形状、のうちの少なくとも一つが異なる複数種類の壁スイッチ装置1をさらに容易に組み立てることができる。
図30に示す8チャンネル型の壁スイッチ装置1が備える標準幅の操作ボタン2は、1個の押し子6aのみを覆うものである。図31に示す4チャンネル型の壁スイッチ装置1が備える倍幅の操作ボタン2は、左右方向に隣り合う2個の押し子6aを覆うものである。このように、本実施の形態では、1個の押し子6aのみを覆う操作ボタン2と、隣り合う複数の押し子6aを覆う操作ボタン2との双方を、押し子枠6に取り付け可能である。これにより、部品の種類を抑制しつつ、操作ボタン2の取付位置、操作ボタン2の取付個数、及び操作ボタン2の形状、のうちの少なくとも一つが異なる複数種類の壁スイッチ装置1をさらに容易に組み立てることができる。
図35は、本実施の形態1の壁スイッチ装置1の基板ケースユニットからボタンユニットを取り外した状態を示す分解斜視図である。前述したように、基板ケースユニットは、取付枠3、基板ケース4、及び回路基板ユニット5が組み合わされたユニット(アセンブリー)であり、ボタンユニットは、操作ボタン2及び押し子枠6が組み合わされたユニット(アセンブリー)である。図35に示す例は、スイッチボックス200に対して基板ケースユニットが壁取付ねじ100により固定された状態を示す。スイッチボックス200は、例えば、日本工業規格(JIS)C8435に適合する合成樹脂製ボックスまたは日本工業規格(JIS)C8340に適合する電線管用金属製ボックスである。スイッチボックス200は、壁に埋め込まれたり、壁に直付されたりするように設置される。化粧枠保持体11は、ねじ110により基板ケースユニット(取付枠3)に固定されている。
図36は、本実施の形態1の壁スイッチ装置1の工具差込口及びその付近を示す斜視図である。図37は、本実施の形態1の壁スイッチ装置1の工具差込口及びその付近の断面を示す斜視図である。図36及び図37は、化粧枠10を取り外した状態を示す。これらの図に示すように、壁スイッチ装置1は、工具差込口8を備える。化粧枠保持体11と押し子枠6との隙間から、工具差込口8に、例えばマイナスドライバーのような汎用の工具を差し込むことができる。工具差込口8は、取付枠3の板状突出部3fと押し子枠6のブランク部6dとの間に形成される。工具差込口8は、押し子枠6の上端及び下端に2箇所ずつの計4箇所に形成される。工具差込口8は、押し子枠6の一部を切り欠くことで形成される。
本実施の形態1の壁スイッチ装置1では、基板ケースユニットが壁に固定された状態で、基板ケースユニットからボタンユニットを取り外し可能である。壁に設置された状態の壁スイッチ装置1のボタンユニットを取り外す手順の例は、以下のとおりである。
(1)まず、化粧枠10を取り外す。化粧枠10は、化粧枠保持体11に対して、例えば、スナップフィット(爪部による固定、嵌合による固定など)、凸部が凹部に圧入することによる固定などの方法により固定される。化粧枠10は、化粧枠保持体11に対して、工具を使用せずに、手だけで着脱可能とされることが望ましい。
(2)次に、化粧枠保持体11と押し子枠6との隙間から工具の先端を工具差込口8に差し込み、工具の基端を壁に近づける方向に工具を倒す。これにより、工具の先端によって押し子枠6が持ち上げられる。押し子枠6の爪部6cと、取付枠3との接触面は、爪部6cの挿入方向に対して傾斜している(図37参照)。このため、工具によって押し子枠6が持ち上げられ、爪部6cを取付枠3の爪挿入孔3gから引き抜く方向の力が作用することで、爪部6cの接触面が摺動し、爪部6cによる押し子枠6と取付枠3との固定が解除される。爪部6cによる押し子枠6と取付枠3との固定が解除されることで、ボタンユニットを基板ケースユニットから取り外すことができる。
押し子枠6の爪部6cは、ボタンユニット(表面ユニット)を、基板ケースユニット(壁取付ユニット)に対して、片持ち梁型(カンチレバー型)のスナップフィットにより着脱可能に固定するユニット固定手段の例である。ボタンユニットを基板ケースユニットに対して爪部6cのスナップフィットにより着脱可能としたことで、低コストの構造で、ボタンユニットを基板ケースユニットに対して容易かつ迅速に着脱できる。本実施の形態では、ボタンユニット(表面ユニット)側に爪部を設けることでユニット固定手段を構成しているが、基板ケースユニット(壁取付ユニット)側に爪部を設けることでユニット固定手段を構成しても良い。また、ユニット固定手段の構成は、爪部(片持ち梁型のスナップフィット)を用いる構成に限定されるものではない。例えば、他のタイプのスナップフィット(環状スナップフィット、ねじり型のスナップフィット、圧縮型のスナップフィットなど)、凸部が凹部に圧入することによる固定などを用いてユニット固定手段を構成にしても良い。
本実施の形態1であれば、基板ケースユニットが壁に固定されたままの状態で、ボタンユニットを取り外し可能としたことで、以下のような効果が得られる。
(1)操作ボタン2の表示部2bの名札を交換する場合に、ボタンユニットを取り外し、当該ボタンユニットを作業がしやすい場所(机の上など)に運んだ上で、名札を交換する作業を実施できる。このため、当該作業を容易に行うことができる。また、表示部2bを構成する透明部品を落としたり紛失したりすることを確実に防止できる。基板ケースユニットを壁から取り外す必要がないので、作業を軽減できる。
(2)基板ケースユニットを交換することなく、ボタンユニットのみを交換可能である。このため、ボタンユニットが破損した場合などに、ボタンユニットのみを交換することで、容易かつ低コストで修理できる。
(3)ボタンユニットを異なる種類のものに交換することもできる。すなわち、ボタンユニットを取り外し、異なる種類のボタンユニット(例えば、1チャンネル型のボタンユニット、2チャンネル型のボタンユニット、3チャンネル型のボタンユニット、4チャンネル型のボタンユニット、及び8チャンネル型のボタンユニットのうちの他の種類)を基板ケースユニットに付け替えて使用可能である。このため、壁に設置されている壁スイッチ装置1の仕様を、異なる種類の仕様に、容易かつ低コストで変更できる。
本実施の形態1の壁スイッチ装置1では、上述したユニット固定手段によりボタンユニットを基板ケースユニットに着脱可能としたことで、その着脱の際にねじを回す必要がないので、迅速かつ容易に着脱できる。また、本実施の形態1では、基板ケースユニットからボタンユニットを取り外す際に、工具差込口8に挿入する工具を必要とする。すなわち、工具を使わずに手だけで基板ケースユニットからボタンユニットを取り外すことはできない。これにより、いたずらなどによってボタンユニットが取り外されることを確実に抑制できる。
本実施の形態1では、化粧枠保持体11を基板ケースユニットから取り外すことなく、ボタンユニットを基板ケースユニットに対して着脱できる。このため、ボタンユニットを基板ケースユニットに対して着脱する作業の手間を軽減できる。
図36及び図37に示すように、本実施の形態1の押し子枠6は、外縁張出部6iを有する。化粧枠10を取り付けた状態では、外縁張出部6iは、化粧枠10の内側に隠れる。外縁張出部6iの外形は、化粧枠10の内縁に比べて、僅かに大きい。化粧枠10を取り付けた状態では、工具差込口8が化粧枠10の内側に隠れることで、工具差込口8に工具を差し込むことができない。すなわち、本実施の形態の壁スイッチ装置1において、化粧枠10を取り付けた状態では、ボタンユニットを基板ケースユニットから取り外すことはできない。本実施の形態であれば、化粧枠10を取り外さないと基板ケースユニットからボタンユニットを取り外すことはできない。このため、いたずらなどによってボタンユニットが取り外されることをより確実に抑制できる。また、工具差込口8が化粧枠10の内側に隠れることで、不特定の使用者が工具差込口8の存在に気づくことがないので、いたずらなどによってボタンユニットが取り外されることをより確実に抑制できる。
本実施の形態では、ボタンユニットは、外観領域(化粧枠10に囲まれる領域)の実質的に全体を覆う。ここでの「実質的に」とは、ボタンユニットと化粧枠10との間に、部品同士の間に確保することに必要な隙間の大きさ程度の違いが存在する場合を含む意味である。ボタンユニットが外観領域(化粧枠10に囲まれる領域)の実質的に全体を覆うことで、壁スイッチ装置1の外観領域の全体を交換可能となるので、より多様な種類の壁スイッチ装置1を構成することが可能となる。
実施の形態2.
次に、図38から図41を参照して、本発明の実施の形態2について説明するが、上述した実施の形態1との相違点を中心に説明し、同一部分または相当部分は同一符号を付し説明を省略する。
図38は、本発明の実施の形態2の壁スイッチ装置1が備える取付枠3の正面図である。図38に示すように、本実施の形態2における取付枠3の板状突出部3fの表面には、実施の形態1における表示3jに代えて、表示3k,3m,3nが設けられている。表示3k,3m,3nは、取付枠3の上下を示す表示である。表示3kは、上向きの矢印である。表示3kは、取付枠3の上側の板状突出部3fと下側の板状突出部3fとの双方に設けられている。表示3mは、「うえ」の文字であり、取付枠3の上側の板状突出部3fに設けられている。表示3nは、「した」の文字であり、取付枠3の下側の板状突出部3fに設けられている。本実施の形態2であれば、これらの表示3k,3m,3nを設けたことで、壁スイッチ装置1を壁に取り付ける際に、誤って上下を逆向きに取り付けることをより確実に防止できる。
図39は、本発明の実施の形態2の壁スイッチ装置1が備える押し子枠6を表側から見た斜視図である。図39に示すように、本実施の形態2における押し子枠6は、実施の形態1における外縁張出部6iを無くした形状を有する。本実施の形態2における押し子枠6の外縁は、化粧枠10の内縁に比べて、僅かに小さい。本実施の形態2であれば、このように構成したことで、化粧枠10を基板ケースユニットから取り外すことなく、基板ケースユニットからボタンユニットを取り外すことが可能となる。
図40は、本発明の実施の形態2の壁スイッチ装置1が備える押し子枠6を裏面側から見た図である。図40に示すように、本実施の形態2における押し子枠6の裏面には、押し子枠6の上下を示す表示6j,6kが設けられている。表示6jは、「うえ」の文字であり、押し子枠6の上部に設けられている。表示6kは、「した」の文字であり、押し子枠6の下部に設けられている。これらの表示6j,6kを設けたことで、押し子枠6(ボタンユニット)を取付枠3(基板ケースユニット)に取り付ける際に、誤って上下を逆向きに取り付けることをより確実に防止できる。
図41は、本発明の実施の形態2の壁スイッチ装置1の工具差込口8及びその付近の断面を示す斜視図である。図41に示すように、本実施の形態2の壁スイッチ装置1では、化粧枠10と押し子枠6との隙間から、工具差込口8に、例えばマイナスドライバーのような汎用の工具を差し込むことができる。そのようにして先端を工具差込口8に差し込んだ工具の基端を壁に近づける方向に工具を倒すことで、爪部6cによる押し子枠6と取付枠3との固定が解除され、ボタンユニットを基板ケースユニットから取り外すことができる。本実施の形態2であれば、化粧枠10を基板ケースユニットに取り付けたままの状態で、ボタンユニットを基板ケースユニットに対して着脱できる。このため、ボタンユニットを基板ケースユニットに対して着脱する作業の手間をさらに軽減できる。
以上説明した実施の形態1及び2の壁スイッチ装置1であれば、押し子枠6に対する操作ボタン2の取付位置、押し子枠6に対する操作ボタン2の取付個数、及び操作ボタン2の形状、のうちの少なくとも一つが異なる、さらに多くの種類の壁スイッチ装置1を、共通の押し子枠6を用いて組み立てることが可能である。以下、それらの種類の一部を説明する。
図42及び図43は、本発明の実施の形態1及び2において組み立て可能な壁スイッチ装置1の他の例を示す正面図である。図42及び図43では、壁スイッチ装置1の外観領域のみを模式的に示す。図42及び図43では、分かりやすくするための便宜上、操作ボタンの領域に斜線を付す。
まず、図42の(A)の例について説明する。本例の壁スイッチ装置1は、1チャンネル型であり、押し子枠6の1段目の押し子6aを覆う位置に倍幅の操作ボタン2を取り付け、それ以外の領域に6個のブランクチップ7を取り付けたものである。本例の壁スイッチ装置1は、第二タイプの押し子枠6と、第一タイプの押し子枠6とのいずれを用いても、組み立てることができる。
1チャンネル型の壁スイッチ装置1を組み立てる場合、第一タイプの押し子枠6の2段目の押し子6aを覆う位置に倍幅の操作ボタン2を取り付けたり、第一タイプの押し子枠6の3段目の押し子6aを覆う位置に倍幅の操作ボタン2を取り付けたり、第一タイプの押し子枠6の4段目の押し子6aを覆う位置に倍幅の操作ボタン2を取り付けたりすることもできる。これらによれば、操作ボタン2の取付位置が図34の例及び図42(A)の例とは異なる、さらに他の種類の壁スイッチ装置1を組み立てることができる。
次に、図42の(B)の例について説明する。本例の壁スイッチ装置1は、1チャンネル型であり、押し子枠6の1段目の左側の押し子6aを覆う位置に標準幅の操作ボタン2を取り付けたものである。当該押し子枠6の1段目の右側の押し子6aを覆う位置には、上下方向に隣接する2個のブランクチップ9を取り付けている。ブランクチップ9は、左右方向の長さがブランクチップ7の1/2に実質的に等しいこと以外は、ブランクチップ7と同様の構成及び機能を有する部品である。操作ボタン2及びブランクチップ9で覆われない領域には、6個のブランクチップ7を取り付けている。本例の壁スイッチ装置1は、第二タイプの押し子枠6と、第一タイプの押し子枠6とのいずれを用いても、組み立てることができる。
1チャンネル型の壁スイッチ装置1を組み立てる場合、第二タイプの押し子枠6、または第一タイプの押し子枠6を用いて、図42の(B)以外の位置に標準幅の操作ボタン2を取り付け、それ以外の領域にブランクチップ7及びブランクチップ9を取り付けることで、操作ボタン2の取付位置が異なる、さらに他の種類の壁スイッチ装置1を組み立てることができる。
次に、図42の(C)の例について説明する。本例の壁スイッチ装置1は、2チャンネル型であり、第一タイプの押し子枠6の1段目及び2段目の押し子6aを覆う位置に倍幅の操作ボタン2をそれぞれ取り付け、それ以外の領域に4個のブランクチップ7を取り付けたものである。
次に、図42の(D)の例について説明する。本例の壁スイッチ装置1は、2チャンネル型であり、第一タイプの押し子枠6の1段目の押し子6aを覆う位置に倍幅の操作ボタン2を取り付け、2段目の左側の押し子6aを覆う位置に標準幅の操作ボタン2を取り付け、これら以外の領域に4個のブランクチップ7及び2個のブランクチップ9を取り付けたものである。本例のように、形状の異なる複数種類の操作ボタン2を混在させても良い。
次に、図43の(E)の例について説明する。本例の壁スイッチ装置1は、7チャンネル型であり、第一タイプの押し子枠6の1段目の押し子6aを覆う位置に倍幅の操作ボタン2を取り付け、2段目、3段目、及び4段目の6個の押し子6aの各々に対して6個の標準幅の操作ボタン2を取り付けたものである。本実施の形態であれば、7チャンネル型以外にも、5チャンネル型、あるいは6チャンネル型の壁スイッチ装置1を組み立てることもできる。
次に、図43の(F)の例について説明する。本例の壁スイッチ装置1は、3チャンネル型であり、第一タイプの押し子枠6と、1個の逆L字型の操作ボタン2Aと、1個のL字型の操作ボタン2Bと、1個の倍幅の操作ボタン2とを備える。正面から見て、操作ボタン2Aは、当該押し子枠6の1段目の2個の押し子6aと、2段目の右側の押し子6aとを覆う逆L字型の形状を有する。この操作ボタン2Aにおいて、当該押し子枠6の1段目の2個の押し子6aを覆う領域が表示部2bに相当し、2段目の右側の押し子6aを覆う領域が操作部2aに相当する。正面から見て、操作ボタン2Bは、当該押し子枠6の2段目の左側の押し子6aと、3段目の2個の押し子6aとを覆うL字型の形状を有する。この操作ボタン2Bにおいて、当該押し子枠6の2段目の左側の押し子6aを覆う領域が表示部2bに相当し、3段目の2個の押し子6aを覆う領域が操作部2aに相当する。当該押し子枠6の4段目の押し子6aを覆う位置には倍幅の操作ボタン2を取り付けている。
上述した逆L字型の操作ボタン2Aでは、正面から見たときに、表示部2bが占める領域の面積は、操作部2aが占める領域の面積の2倍である。上述したL字型の操作ボタン2Bでは、正面から見たときに、表示部2bが占める領域の面積は、操作部2aが占める領域の面積の0.5倍である。前述したように、正面から見て、表示部2bが占める領域の面積が、操作部2aが占める領域の面積に比べて、0.5倍〜2倍程度であれば、表示部2bの領域の面積を十分に大きくしつつ、操作部2aを押す場合に操作部2aをより押しやすくできる。
次に、図43の(G)の例について説明する。本例の壁スイッチ装置1は、4チャンネル型であり、第一タイプの押し子枠6と、1個の操作ボタン2Cと、2個の標準幅の操作ボタン2と、1個の倍幅の操作ボタン2とを備える。正面から見て、操作ボタン2Cは、当該押し子枠6の1段目の左側の押し子6aと、2段目の2個の押し子6aと、3段目の右側の押し子6aを覆う特殊な形状を有する。この操作ボタン2Cにおいて、当該押し子枠6の1段目の左側の押し子6a及び2段目の左側の押し子6aを覆う領域が表示部2bに相当し、2段目の右側の押し子6a及び3段目の右側の押し子6aを覆う領域が操作部2aに相当する。当該押し子枠6の1段目の右側の押し子6aを覆う位置には標準幅の操作ボタン2を取り付けている。当該押し子枠6の3段目の左側の押し子6aを覆う位置には標準幅の操作ボタン2を取り付けている。当該押し子枠6の4段目の押し子6aを覆う位置には倍幅の操作ボタン2を取り付けている。
本発明では、正面から見た操作ボタンの形状は、長方形に限定されるものではなく、上述した操作ボタン2A,2B,2Cのように、長方形以外の形状のものを含むことが可能である。長方形以外の形状の操作ボタンを用いた場合、次のような効果が得られる。例えば、フロア内がパーティションによって複数の区画に仕切られており、各区画の照明を壁スイッチ装置1の各操作ボタンに割り付ける場合に、壁スイッチ装置1の各操作ボタンの形状及び配置を、各区画の形状及び配置に対応させる。これにより、各操作ボタンによって、フロア内のどの区画の照明が制御されるかを使用者が容易に理解できる。
図43の(G)の操作ボタン2Cでは、表示部2bが占める領域の中心位置が、操作部2aが占める領域の中心位置に比べて、上の位置にある。このため、操作部2aを指で押す場合に表示部2bが指で隠れにくいので、表示部2bを目視しながら操作ボタン2を押すことができ、押し間違いを抑制できる。この操作ボタン2Cを正面から見たとき、操作部2aが占める領域と表示部2bが占める領域との境界2tは、上下方向に延びる一本の線になる。
図30から図34、図42、及び図43を用いて説明した例は、本実施の形態1及び2において組み立て可能な壁スイッチ装置1のうちのごく一部である。本実施の形態1及び2によれば、押し子枠6に対する操作ボタン2の取付位置、押し子枠6に対する操作ボタン2の取付個数、及び操作ボタン2の形状、のうちの少なくとも一つを変更することで、極めて多種多様の壁スイッチ装置1を、共通の押し子枠6を用いて組み立てることが可能である。
図44は、本発明の壁スイッチ装置が備える操作ボタンの他の変形例を模式的に示す側面図である。図44に示す操作ボタン12は、ボタン本体13と、表示部を構成する透明部品14と、操作部を構成する操作部チップ15とを備える。ボタン本体13は、押し子枠6に対して取り付けるための爪部13aを有する。透明部品14は、爪部14aを有する。透明部品14は、爪部14aにより、ボタン本体13に対して着脱可能である。ボタン本体13と透明部品14との間に、名札16を配置できる。操作部チップ15は、爪部15aを有する。操作部チップ15は、爪部15aにより、ボタン本体13に対して着脱可能である。図44では、操作部チップ15の表面の頂部(取付壁面との距離が最大になる位置)15bは、正面から見て、操作部チップ15が占める領域と透明部品14(表示部)が占める領域との境界12aと、操作部チップ15が占める領域の中心15cとの間にある。ボタン本体13から操作部チップ15を取り外し、操作部チップ15の上下を図44の状態に対して逆向きにして、操作部チップ15をボタン本体13に装着することもできる。このようにすることで、使用者が、好みに応じて、操作部チップ15の表面の頂部15bの位置を変えることができる。また、操作部チップ15を、表面の形状等が異なる他の操作部チップ15に交換することもできる。これにより、使用者が、好みに応じて、操作ボタン12の操作部の表面形状等を容易に変えることができる。
図45は、本発明の壁スイッチ装置が備える操作ボタンの他の変形例を模式的に示す側面図である。図45に示す操作ボタン17は、ボタン本体18と、表示部を構成する透明部品19と、操作部を構成する操作部チップ20とを備える。ボタン本体18は、押し子枠6に対して取り付けるための爪部18aを有する。透明部品19は、爪部19a及び凸部19bを有する。凸部19bは、ボタン本体18に形成された凹部に圧入する。透明部品19は、爪部19a及び凸部19bにより、ボタン本体18に対して着脱可能である。爪部19a及び凸部19bのいずれか一方のみを設けることで透明部品19をボタン本体18に対して着脱可能にしても良い。ボタン本体18と透明部品19との間に、名札16を配置できる。操作部チップ20は、凸部20aを有する。凸部20aは、ボタン本体18に形成された凹部に圧入する。操作部チップ20は、凸部20aにより、ボタン本体18に対して着脱可能である。操作部チップ20の表面は、緩やかに湾曲する凸曲面になっている。
図44及び図45により説明したように、本発明の壁スイッチ装置が備える操作ボタンは、操作部を構成する操作部チップがボタン本体に対して着脱可能なものでも良い。その場合、操作部チップをボタン本体に着脱可能に固定する方法は、例えば、スナップフィット(爪部による固定、嵌合による固定など)、凸部が凹部に圧入することによる固定など、いかなる方法でも良い。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明では、上述した複数の実施の形態の特徴を任意に組み合わせて実施することが可能である。また、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではない。本発明の壁スイッチ装置は、基板ケースユニットとボタンユニットとに分離可能なものに限定されない。本発明の壁スイッチ装置は、操作ボタンと押し子とが別体のものに限定されるものではない。本発明では、操作ボタンと押し子とが一体化していても良い。