JP2016177890A - 扁平形アルカリ一次電池、扁平形アルカリ一次電池用負極合剤及びその製造方法 - Google Patents

扁平形アルカリ一次電池、扁平形アルカリ一次電池用負極合剤及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】増粘剤の濃度範囲の広い、ハンドリング性に優れた負極合剤を提供する。
【解決手段】亜鉛粉末と、酸化亜鉛粉末と、アルカリ水溶液と、増粘剤とを含有する扁平形アルカリ一次電池用負極合剤であって、増粘剤は、カルボキシメチルセルロースと、ポリアクリル酸ナトリウムとからなり、負極合剤中に増粘剤が2〜5重量%含まれ、且つ、増粘剤全体に対しポリアクリル酸ナトリウムが3〜15重量%含まれている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、扁平形アルカリ一次電池、扁平形アルカリ一次電池用負極合剤及びその製造方法に関する。
コイン形あるいはボタン形の扁平形アルカリ一次電池は、電子腕時計、携帯用電子計算機等の小型電子機器の電源として広く用いられている。
この扁平形アルカリ一次電池としては、正極に二酸化マンガン、負極にゲル状亜鉛粉末を用いたアルカリボタン電池や、正極に酸化銀、負極にゲル状亜鉛粉末を用いた酸化銀電池等が知られている。
これらの電池に用いられているゲル状の負極合剤は、亜鉛粉末と、酸化亜鉛と、アルカリ水溶液からなる電解液に、粘弾性を調節するための増粘剤が添加されてなるものである。電池の組立時においては、負極合剤をディスペンサから吐出させ、正極缶に収容されているセパレータ上や、負極缶の内側に充填させる。負極合剤の吐出の容易さ及び充填量の安定性(以下、ハンドリング性という)は、負極合剤中の増粘剤の添加量により調節することができる。
増粘剤としては、カルボキシメチルセルロース(以下、CMCという)やポリアクリル酸ナトリウム(以下、PASという)等が知られている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。CMCは、セルロース系水溶性高分子の一種で、粘度の高い物質であることから、負極合剤のゲル化のため広く用いられている。また、CMCとPASを同量程度混合して用いられる増粘剤についても開示されている(例えば、特許文献3参照)。
特開2010−44906号公報 特開2013−235654号公報 特開2009−211841号公報
しかしながら、CMCは入手するロット毎に粘度に幅がある材料である。そのため、一定の分量を負極合剤の水溶液に添加した場合、その粘度にばらつきが生じる。負極合剤の粘度が大きすぎると(CMCの添加量が多すぎると)合剤が固化する一方、負極合剤の粘度が小さすぎると(CMCの添加量が少なすぎると)ゲル状にはならなくなる。
つまり、適切なCMCの添加量の幅が狭すぎるために、従来は、都度、負極合剤の水溶液もしくはCMCを適宜調節して増粘剤濃度を調整するプロセスが必要であり、製造上の手間及びコストの増大に繋がっていた。
一方、特許文献3のように、CMCとPASを同量程度混合して用いる場合、あるいは、PAS単独で増粘剤として用いようとする場合、PASはCMCよりも粘弾性が高く、粘度の調整が更に困難となってしまう問題が生じてしまう。
本発明者は、鋭意検討の結果、CMCに対しPASを微量添加することによって、ハンドリング性を確保することができる増粘剤の濃度範囲を広くすることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、上記課題を解決する手段として、以下の構成を有する。
請求項1に記載の扁平形アルカリ一次電池用負極合剤は、亜鉛粉末と、酸化亜鉛粉末と、アルカリ水溶液と、増粘剤とを含有する扁平形アルカリ一次電池用負極合剤であって、前記増粘剤は、カルボキシメチルセルロースと、ポリアクリル酸ナトリウムとからなり、前記負極合剤中に前記増粘剤が2〜5重量%含まれ、且つ、前記増粘剤全体に対し前記ポリアクリル酸ナトリウムが3〜15重量%含まれていることを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、増粘剤としてCMCにPASを微量添加することで、増粘剤の濃度が大きい場合でも負極合剤が固化することなくゲル状を保つことができる。これにより、CMCの濃度ばらつきに関わらず増粘剤濃度を別途調節するプロセスが不要となり、製造コストを削減することができる。
請求項2に記載の扁平形アルカリ一次電池用負極合剤は、前記負極合剤中に絶縁性粉末を1〜25重量%含むことを特徴とする。
請求項2に記載の発明によれば、絶縁性粉末を添加することで、増粘剤の粘度ばらつきがあっても負極合剤のハンドリング性を向上させることができる。
請求項3に記載の扁平形アルカリ一次電池用負極合剤において、前記絶縁性粉末は、平均粒径が110〜350μmであることを特徴とする。
請求項3に記載の発明によれば、負極合剤の秤量ばらつきを抑制することができ、負極合剤のハンドリング性を更に向上させることができる。
請求項4に記載の扁平形アルカリ一次電池用負極合剤において、前記絶縁性粉末は、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエチレン及びアクリル樹脂から選択される1つ又は複数の樹脂粉末からなることを特徴とする。
請求項4に記載の発明によれば、これらの撥水性に優れた材料を用いることにより、電解液及び増粘剤と絶縁性粉末との粘着力が軽減され、負極合剤の秤量時の切れが向上し、負極合剤のハンドリング性を更に向上させることができる。
請求項5に記載の扁平形アルカリ一次電池は、正極缶、負極缶、ガスケットからなる容器と、酸化銀と、二酸化マンガンと、導電助剤と、水素吸蔵合金とからなる正極合剤と、請求項1から4のいずれか一項に記載の負極合剤と、セパレータと、アルカリ水溶液からなる電解液と、を備えていることを特徴とする。
請求項5に記載の発明によれば、上記の負極合剤を用いた電池とすることにより、電池を作製する効率が増加するため、低コストの電池とすることができる。
請求項6に記載の扁平形アルカリ一次電池の製造方法は、正極合剤を正極缶に収容する工程と、前記正極合剤上にセパレータを載置する工程と、前記正極缶にガスケットを圧入する工程と、前記セパレータ上に負極合剤を形成する工程と、負極缶を被せて前記負極缶の開口縁部をかしめて封口する工程とからなる扁平形アルカリ一次電池の製造方法であって、前記セパレータ上に負極合剤を形成する工程において、請求項1から4のいずれか一項に記載の負極合剤を用いることを特徴とする。
請求項6に記載の発明によれば、上記の負極合剤を用いることにより、電池を作製する効率が増加し、製造コストを抑えることができる。
本発明によれば、増粘剤の濃度範囲の広い、ハンドリング性に優れた負極合剤を提供することができる。これにより、増粘剤濃度を調整するプロセスが不要となり、製造コストを削減することができる。
本発明の実施形態を示す扁平形アルカリ一次電池の断面図である。
以下、本発明に係る扁平形アルカリ一次電池の実施形態について、図面を用いて説明する。
(扁平形アルカリ一次電池の概要)
図1に示す扁平形アルカリ一次電池1は、ボタン形の一次電池である。この扁平形アルカリ一次電池1は、ケース8内に、正極合剤5、セパレータ6、負極合剤7と、アルカリ水溶液からなる電解液とを備えている。
より具体的には、扁平形アルカリ一次電池1は、有底筒状の正極缶2と、正極缶2の開口部にガスケット4を介して固定され、正極缶2との間に密閉空間Sを形成する有底筒状の負極缶3とを有している。そして、この正極缶2の開口部2aをガスケット4に向かってかしめて封口することにより、密閉空間Sを備えたケース8が形成される。この密閉空間S内に、正極合剤5、セパレータ6、負極合剤7が収容され、セパレータ6を挟んで正極缶2側に正極合剤5、負極缶3側に負極合剤7がそれぞれ配置されている。
正極缶2は、ステンレススチール(SUS)にニッケルメッキを施した材質からなり、カップ状に成形されている。この正極缶2は、正極合剤5を収容するとともに、正極端子として機能する。
負極缶3は、ニッケルよりなる外表面層と、ステンレススチール(SUS)よりなる金属層と、銅よりなる集電体層とを有する3層構造のクラッド材からなり、カップ状に成形されている。また、負極缶3は、開口部3aが折り返し形成されており、その開口部3aにはガスケット4が装着されている。
そして、正極缶2の円形の開口部2aに、負極缶3を、ガスケット4を装着した開口部3a側から嵌合させ、この正極缶2の開口部2aをガスケット4に向かってかしめて封口することにより、扁平形(ボタン形又はコイン形)のケース8が形成される。該ケース8の内部には、密閉空間Sが形成されている。
ガスケット4は、図1に示すように、正極缶2の内周面に沿って円環状に形成され、環状の溝部を有している。この環状の溝部は、負極缶3の開口部3aに接している。このようなガスケット4には、例えば材質として、ナイロン等が用いられている。
セパレータ6は、微多孔膜6aと不織布6bの2層構造からなる。この2層構造とすることで、正極と負極との間のバリア性を高め、保存容量性を向上させることができる。加えて、効果的にアルカリ電解液を保持することができることから放電特性を向上させることができる。微多孔膜6aとしては、ポリエチレンフィルム、セロファン、グラフト重合膜等を用いることができる。また、不織布6bとしては、セルロースからなる吸液紙等を用いることができる。
この扁平形アルカリ一次電池1を組み立てる際には、ペレット状に成形された正極合剤5を正極缶2に充填する。そして、セパレータ6を正極缶2の上に載置し、さらにセパレータ6の上にゲル状の負極合剤7を載置し、この上に、ガスケット4が装着された負極缶3を被せる。さらに、正極缶2の開口縁部をかしめて、ケース8を密閉する。
(正極合剤)
本実施形態において、正極合剤5は、正極活物質、導電助剤、結着剤等からなり、ペレット状に成形されている。このペレット状の正極合剤5に電解液が含浸されることにより、正極活物質と電解液との間で電極反応を生ずることができる。
正極活物質は、例えば、酸化銀(Ag2O)、二酸化マンガン(MnO2)、オキシ水酸化ニッケル(NiOOH)等の材料を用いることができる。このうち酸化銀は、単位質量あたりの理論容量が非常に大きく、扁平形アルカリ一次電池1の出力電圧を放電末期まで安定することができる材料であり、好適に用いられる。正極活物質が酸化銀である場合、粒径が5〜15μmの微粉から形成される75〜300μmの顆粒状で用いられる。また、正極活物質として、酸化銀と二酸化マンガンとの混合物を用いてもよい。
添加剤として、例えば、正極合剤5には、導電性を向上させるための導電助剤が添加されている。導電助剤としては、例えば黒鉛やグラファイト等が用いられる。導電助剤は添加量が多ければ導電性を充分向上させることができる。一方で、導電助剤が多すぎても正極合剤5中の酸化銀の割合が少なくなることにより電池の放電容量が低下し、更に、正極合剤5のペレットの密度や強度が低下する。このため、導電助剤は正極合剤5中に1〜5重量%含まれていることが好ましい。
また、正極合剤5には、電池の負極合剤7中の亜鉛粉末と電解液との接触に伴い発生する水素ガスを吸収するための水素吸蔵合金を添加することができる。水素吸蔵合金としては、LaNi5等のLa−Ni系合金、Lm−Ni系合金(LmはLa富化ミッシュメタル)等のAB5型水素吸蔵合金、Ti等のAB2型水素吸蔵合金、Mg合金、Ca系合金、銀ニッケル複合酸化物(AgNiO2)等種々の材料を用いることができる。このうちLaNi5は、水素吸蔵能が極めて高いため特に好ましい。水素吸蔵合金は、正極合剤5中0.5〜5重量%含まれていれば上記水素吸蔵能を発揮することができる。ただし、電池の容量を高く保つためには酸化銀の割合が少なくならないよう、正極合剤5中0.5〜2重量%含まれていれば好ましい。水素吸蔵合金の態様としては、10〜50μmの合金粉末が用いられる。
また、結着剤としては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリアクリル酸(PA)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)等が挙げられ、これらの1種または2種以上の組合せとして適宜用いることができる。
(負極合剤)
本実施形態において、負極合剤7は、負極活物質、伝導度安定剤、増粘剤(ゲル化剤)、及び電解液を含んでいる。
負極活物質としては、亜鉛粉末又は亜鉛合金粉末が用いられる。伝導度安定剤としては、酸化亜鉛(ZnO)等が用いられる。電解液としては、水酸化カリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、又はこれらの混合溶液を用いることができる。
また、増粘剤としては、カルボキシメチルセルロース(CMC)にポリアクリル酸ナトリウム(PAS)が微量添加されたものが用いられる。これらの増粘剤を用いることにより、負極合剤7の電解液に対する親液性及び保液性を向上することができる。
CMCはセルロース系水溶性高分子の一つであり、食品添加物や医薬・化粧品、電子材料等に広く用いられている。このCMCはセルロースの骨格を構成するグルコピラノースモノマーのヒドロキシ基の一部にカルボキシメチル基が結合されている構造を有している。CMCは粘度の高い材料であり、1重量%水溶液の25℃における粘度(以下、粘度という)は、重合度により10〜10000mPa・sである。また、無水グルコース1単位当りのカルボキシメチル基の置換度(エーテル化度)の違いにより吸水性及びゲル化の程度が種々異なる。これらの粘度やエーテル化度については、用途に応じて適宜選択することができる。
本実施形態において用いるCMCは、粘度が80〜150mPa・sで、エーテル化度は0.85〜0.95のグレードのものが用いられる。このCMCは粉末状で用いられ、電解液を含む負極合剤に添加され、負極合剤に用いるのに適した粘度に調整されている。
また、PASは高吸水性高分子の一つであり、塗料や化粧品等に幅広く用いられている増粘剤である。このPASは分子内に多量のカルボキシル基を含む網目構造を有していることにより、CMCと同様に粘度が高いことが知られている。一方で、PASの水溶液は粘度の高い液状となり、CMCのようなゲル状にはなりにくい性質を有する。そのため、本発明におけるアルカリ一次電池の負極合剤7のゲル化剤として単独で用いることは粘度の調整が難しいため困難である。そのため、従来の負極合剤7の増粘剤としてはCMC単独で用いられることが通常であった。
しかし、CMC単独での増粘剤の場合、上記の範囲内での粘度のばらつきにより、ロット毎に粘度が異なる。負極合剤7の粘度が高すぎると合剤が固化してしまう問題があるため、従来はCMCの添加量を調整などして、粘度の調整を行うプロセスを別途行う必要があった。
本実施形態においては、CMCに対しPASを微量添加することにより、増粘剤全体の濃度が高くなっても、CMC単独の増粘剤のように固化してしまうことなく良好なハンドリング性を保持することができる。具体的には、負極合剤7中、CMCとPASとの合計の含有割合が2重量%以上5重量%以下で、且つ、増粘剤(CMCとPASとの合計)中のPASの配合割合が3重量%以上15重量%以下であれば好ましい。この増粘剤の含有割合であれば、ハンドリング性の良好な負極合剤7とすることができる。
そして、上記のPASの配合割合とすることで、微量添加することにより増粘剤全体の濃度が高い場合であっても、CMC単独の増粘剤のように固化してしまうことはなく、良好なハンドリング性を保持することができる。
一方、PASの含有割合が少なすぎる場合、CMC単独の増粘剤の場合と同様に、CMCの粘度のばらつきにより負極合剤7の粘度が高くなると合剤が固化してしまう。また、PASの含有割合が多すぎる場合には、負極合剤7の粘性が低くなりすぎてしまい、ハンドリング性が著しく低下してしまう。
また、負極合剤7の粘弾性を向上させるために、粘弾性調整材をさらに添加することができる。この粘弾性調整材は、強アルカリ性である電解液と反応しない非金属の絶縁性粉末であることが好ましい。粘弾性調整材としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエチレン、及びアクリル樹脂等から選ばれる一つもしくは複数からなる樹脂粉末を用いることができ、特にポリエチレンが取り扱い上容易であり特に好ましい。これらの樹脂粉末は、粒径が110〜350μmのものであればよい。また、負極合剤7に添加する場合には、負極合剤7全体中1〜25重量%添加されていれば好ましい。
扁平形アルカリ一次電池1を組み立てる際には、本実施形態における負極合剤7を、次に示すようにセパレータ6の上に載置する。
まず、円柱状の穴の開いた擦り切り板に、ディスペンサにより負極合剤7を充填する。次いで、ディスペンサを水平移動することにより、擦り切り板の穴の中に負極合剤7が充填された状態となる。その後、刷り切り板の穴の下部に、正極合剤5とセパレータ6が収容された正極缶2を用意し、上から中空の供給杵を押し込み、セパレータ6上にゲル状の負極合剤7を載置し供給する。最後に、供給杵の中空部からエアーを供給し、供給杵と負極合剤7とを引き離す。
その際、増粘剤全体の濃度が大きいことにより粘度が高過ぎると、刷り切り板の穴の隅々まで負極合剤7が埋まらず充填性が悪くなる。一方、増粘剤全体の濃度が小さく粘度が低過ぎる場合、刷り切り後の負極合剤7の載置形状が悪化する。
また、増粘剤中のPASの割合が少ないことにより負極合剤7自体の結着力が弱いと、供給杵から供給されるエアーにより負極合剤7自体の形状が崩れてしまう(破壊エアー)。一方、増粘剤中のPASの割合が多過ぎて負極合剤7のべたつきが大きいと、負極合剤7が供給杵から離れにくくなり、セパレータ6上の負極合剤7が位置ずれする。
次に、増粘剤(CMC及びPAS)の含有割合を種々変更した負極合剤7を、以下に示す実施例1〜4及び比較例1〜4のように作製し、本発明の効果を検証した。
(実施例1)
本実施例では、扁平形アルカリ一次電池に用いる負極合剤7を次のように作製した。
具体的には、負極合剤7の全重量に対しそれぞれ、平均粒径が150μmの亜鉛合金粉末66重量%、酸化亜鉛(ZnO)3重量%、カルボキシメチルセルロース(CMC)1.94重量%、ポリアクリル酸ナトリウム(PAS)0.06、濃度28%の水酸化ナトリウム水溶液29重量%となるよう配合し混合することにより、ゲル状の負極合剤7を作製した。
このとき、負極合剤7の全重量に対する増粘剤全体(CMCとPASとの合計)の比率は2.00%であり、増粘剤全体に対するPASの含有比は3重量%であった。
(実施例2)
負極合剤7の全重量に対しCMCを1.70重量%、PASを0.30重量%、水酸化ナトリウム水溶液29重量%となるよう配合した点のみが実施例1と異なり、その他の構成は実施例1と同様とした。
このとき、負極合剤7の全重量に対する増粘剤全体(CMCとPASとの合計)の比率は2.00%であり、増粘剤全体に対するPASの含有比は15重量%であった。
(実施例3)
負極合剤7の全重量に対しCMCを4.85重量%、PASを0.15重量%、水酸化ナトリウム水溶液26重量%となるよう配合した点のみが実施例1と異なり、その他の構成は実施例1と同様とした。
このとき、負極合剤7の全重量に対する増粘剤全体(CMCとPASとの合計)の比率は5.00%であり、増粘剤全体に対するPASの含有比は3重量%であった。
(実施例4)
負極合剤7の全重量に対しCMCを4.25重量%、PASを0.75重量%、水酸化ナトリウム水溶液26重量%となるよう配合した点のみが実施例1と異なり、その他の構成は実施例1と同様とした。
このとき、負極合剤7の全重量に対する増粘剤全体(CMCとPASとの合計)の比率は5.00%であり、増粘剤全体に対するPASの含有比は15重量%であった。
(比較例1)
負極合剤7の全重量に対しCMCを0.95重量%、PASを0.05重量%、水酸化ナトリウム水溶液30重量%となるよう配合した点のみが実施例1と異なり、その他の構成は実施例1と同様とした。
このとき、負極合剤7の全重量に対する増粘剤全体(CMCとPASとの合計)の比率は1.00%であり、増粘剤全体に対するPASの含有比は5重量%であった。
(比較例2)
負極合剤7の全重量に対しCMCを5.70重量%、PASを0.30重量%、水酸化ナトリウム水溶液25重量%となるよう配合した点のみが実施例1と異なり、その他の構成は実施例1と同様とした。
このとき、負極合剤7の全重量に対する増粘剤全体(CMCとPASとの合計)の比率は6.00%であり、増粘剤全体に対するPASの含有比は5重量%であった。
(比較例3)
負極合剤7の全重量に対しCMCを3.00重量%、水酸化ナトリウム水溶液28重量%となるよう配合し、PASを配合しない点のみが実施例1と異なり、その他の構成は実施例1と同様とした。
(比較例4)
負極合剤7の全重量に対しCMCを2.49重量%、PASを0.51重量%、水酸化ナトリウム水溶液28重量%となるよう配合した点のみが実施例1と異なり、その他の構成は実施例1と同様とした。
このとき、負極合剤7の全重量に対する増粘剤全体(CMCとPASとの合計)の比率は3.00%であり、増粘剤全体に対するPASの含有比は17重量%であった。
(評価)
そして、実施例1〜4及び比較例1〜4の負極合剤7について、充填性、セパレータへの載置形状、載置性を次に示す方法で評価した。
(評価1:充填性)
各実施例及び比較例の負極合剤7を、秤量用の擦り切り用の円柱状の穴にディスペンサで充填して、隅々まで充填されるかどうかを目視で観察した。隅々まで充填されている場合に合格(○で示す)とし、負極合剤7と擦り切り用の穴との間に隙間が見られる場合に不合格(×で示す)とした。
(評価2:載置形状)
評価1で用いた擦り切り板で擦り切った負極合剤7を、電池で用いるセパレータ6上に載置して、その際に円柱状の形状が保たれているかどうかを目視で観察した。円柱状の形状が保たれている場合に合格(○で示す)とし、供給時の破壊エアー等によって形状が崩れているものを不合格(×で示す)とした。なお、評価を行えなかった比較例を「−」で表す。
(評価3:載置性)
評価2でセパレータ6上に載置された各実施例及び比較例の負極合剤7について、セパレータ6の中央に載置されたかどうか目視で観察した。負極合剤7がセパレータ6の中央に載置されている場合に合格(○で表す)とし、中央からずれた場合に不合格(×で表す)とした。なお、評価を行えなかった比較例を「−」で表す。
(評価結果)
評価1〜3の評価結果を表1に示す。
Figure 2016177890
実施例1〜4では、充填性、載置形状、載置性のいずれの評価項目においても、良好な結果を示した。
これに対し、増粘剤全体の濃度が小さな比較例1では、充填性は良好であったが、載置形状、載置性とも不合格であった。これは、増粘剤が少なすぎることにより負極合剤が軟らかくなり過ぎて、擦り切り後の円柱形状が維持できず崩れてしまったことによる。また、負極合剤はベタついてしまい、載置性も悪い。
また、増粘剤全体の濃度が大きな比較例2では、充填性が悪化し、その後の載置形状、載置性の評価を行なうことができなかった。これは、増粘剤が多すぎて負極合剤が硬くなってしまったためである。
また、増粘剤中のPASの割合が小さな比較例3では、充填性は良好であったが、負極合剤自身の結着力が弱く、載置した際の破壊エアーにより形状が崩れてしまい、載置形状は不合格であった。これにより、載置性の評価を行なうことができなかった。
また、増粘剤中のPASの割合が大きな比較例4では、充填性、載置形状は良好であったが、載置性は不合格であった。これは、負極合剤のベタつきが大きくなってしまい、セパレータ上に載置する際の供給杵からの離れが悪くなったためである。
以上説明した実施例の結果より、本発明に規定する増粘剤を採用することにより、CMCの濃度ばらつきが生じたとしても、さらに濃度調整プロセスを行うことなく、負極合剤のハンドリング性を向上させることができる。
1…扁平形アルカリ一次電池
2…正極缶
3…負極缶
4…ガスケット
5…正極合剤
6…セパレータ
7…負極合剤
8…ケース

Claims (6)

  1. 亜鉛粉末と、酸化亜鉛粉末と、アルカリ水溶液と、増粘剤とを含有する扁平形アルカリ一次電池用負極合剤であって、
    前記増粘剤は、カルボキシメチルセルロースと、ポリアクリル酸ナトリウムとからなり、
    前記負極合剤中に前記増粘剤が2〜5重量%含まれ、且つ、前記増粘剤全体に対し前記ポリアクリル酸ナトリウムが3〜15重量%含まれている
    ことを特徴とする扁平形アルカリ一次電池用負極合剤。
  2. 前記負極合剤中に絶縁性粉末を1〜25重量%含むことを特徴とする請求項1に記載の扁平形アルカリ一次電池用負極合剤。
  3. 前記絶縁性粉末は、平均粒径が110〜350μmであることを特徴とする請求項2に記載の扁平形アルカリ一次電池用負極合剤。
  4. 前記絶縁性粉末は、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエチレン及びアクリル樹脂から選択される1つ又は複数の樹脂粉末からなることを特徴とする請求項2又は3に記載の扁平形アルカリ一次電池用負極合剤。
  5. 正極缶、負極缶、ガスケットからなる容器と、
    酸化銀と、二酸化マンガンと、導電助剤と、水素吸蔵合金とからなる正極合剤と、
    請求項1から4のいずれか一項に記載の負極合剤と、
    セパレータと、
    アルカリ水溶液からなる電解液と、
    を備えた扁平形アルカリ一次電池。
  6. 正極合剤を正極缶に収容する工程と、前記正極合剤上にセパレータを載置する工程と、前記正極缶にガスケットを圧入する工程と、前記セパレータ上に負極合剤を形成する工程と、負極缶を被せて前記負極缶の開口縁部をかしめて封口する工程とからなる扁平形アルカリ一次電池の製造方法であって、
    前記セパレータ上に負極合剤を形成する工程において、請求項1から4のいずれか一項に記載の負極合剤を用いることを特徴とする扁平形アルカリ一次電池の製造方法。
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