前述のように、受領不可となった紙葉類についてはその画像情報を後で解析等する場合がある。特許文献1に係る金銭受領機は、受領不可となる紙葉類があった場合に、その紙葉類の画像情報を上位機器へ送信している。しかしながら、受領不可を判定するのは金銭受領機であり、つまり、上位機器へ送信する画像情報を決定しているのは金銭受領機である。そのため、実際には後の処理の送る必要がない紙葉類の画像情報まで後の処理へ送られる場合もある。また、後の処理に送る画像情報を選別する装置が多種多様な場合には、後の処理に送られる画像情報が装置ごとにばらつく可能性もある。つまり、装置の、画像情報を選別する能力によって、後の処理に送られる画像情報の質がばらつく。
例えば、紙葉類の真偽の識別に利用するテンプレートデータを作成するために、実際に受領不可と判定された紙葉類の画像情報を取得し、その画像情報を解析する場合がある。ビジネスのグローバル化が進んだ現代においては、特許文献1の金銭受領機のような紙葉類の画像情報を取得する装置は世界各地に存在し、該装置が設置された場所と画像情報を解析する場所とが異なる場合はよくある。このような場合、送られてきた画像情報が適切でなく、画像情報の取り直しが必要なときに、装置が設置された場所に再び出向く必要があり、非常に手間がかかる。反対に、画像情報の取り直しを回避すべく、十分すぎる画像情報を取得すると、不要な画像情報まで解析の方に送られることになる。
ここに開示された技術は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、取得した画像情報を適切に選別し、後の処理の手間を省くことにある。
ここに開示された技術は、紙葉類を処理する紙葉類処理装置と、前記紙葉類処理装置と通信することが可能な可搬型端末とを含む紙葉類情報処理システムを対象とする。前記紙葉類処理装置は、前記紙葉類の画像を取得し前記紙葉類を識別する識別部と、前記識別部が識別した前記紙葉類の識別結果と画像とを関連付けて記憶する第1記憶部と、前記可搬型端末へ前記第1記憶部に記憶された前記紙葉類の識別結果と画像を送信するための第1通信部と、前記識別部、前記第1記憶部及び前記第1通信部を制御する第1制御部とを有し、前記可搬型端末は、前記紙葉類処理装置と通信するための第2通信部と、前記紙葉類処理装置から前記第2通信部が受信した、前記紙葉類の識別結果及び画像を記憶する第2記憶部と、前記第2記憶部に記憶された前記紙葉類の識別結果及び画像の少なくとも一方を表示する表示部と、ユーザが入力を行う入力部と、前記第2通信部、前記第2記憶部、前記表示部及び前記入力部を制御する第2制御部とを有し、前記第2制御部は、前記第2記憶部に記憶された前記紙葉類の識別結果及び画像の少なくとも一方を前記表示部に前記紙葉類の識別結果に応じた表示形態で表示する。
この構成によれば、紙葉類処理装置で取得した紙葉類の識別結果と画像を可搬型端末を介してユーザがその場で確認することができる。そのため、後の処理に送るべき画像をその場で取捨選択することができ、不要な画像を後の処理に送ることを防止することができる。また、必要な画像が適切に取得できていない場合には、その場で画像の取り直しを行うこともできる。
また、紙葉類処理装置で画像を確認するのではなく、可搬型端末で画像を確認するので、紙葉類処理装置の機能及び能力に依存せず、後の処理に送られる画像の選別を行うことができる。例えば、画像の表示機能を有する紙葉類処理装置でなければ、画像を紙葉類処理装置で確認することはできない。紙葉類処理装置は多種多様であり、そのような機能を有するものもあれば、有さないものもある。つまり、全ての紙葉類処理装置において画像の確認を行えるわけではない。また、画像を確認した後に行うことができる処理、例えば、編集処理も紙葉類処理装置の機能に依存し、紙葉類処理装置ごとに行うことができる処理が異なる。それに対し、可搬型端末であれば、紙葉類処理装置が表示機能を有さない場合であっても、ユーザは画像を確認することができる。さらに、可搬型端末であれば、アプリケーションのインストール等を行うことによって、行うことができる処理を、紙葉類処理装置に比べて容易に追加したり変更したりすることができる。そのため、可搬型端末を用いることによって、多種多様な紙葉類処理装置に対して画像の選別を均質に行うことができる。
それに加えて、可搬型端末は、識別結果及び画像の少なくとも一方の表示形態を識別結果に応じて変更するので、可搬型端末の表示を見ただけで、紙葉類の識別結果を判別することができる。これにより、ユーザによる画像の選別を容易にすることができる。
また、前記第2制御部は、前記表示部に表示された前記紙葉類の画像の選択を前記入力部を介して受け付け、選択された前記紙葉類の画像又は選択されなかった前記紙葉類の画像を前記第2記憶部から削除するようにしてもよい。
この構成によれば、ユーザは、可搬型端末を操作することによって、転送されてきた画像の中から不要な画像を削除することができる。
さらに、前記可搬型端末は、前記第2制御部は、前記紙葉類処理装置により識別される紙葉類に関する基本情報を前記入力部を介して受け付け、前記紙葉類の識別結果と前記基本情報とが不一致かによって前記紙葉類の識別結果及び画像の少なくとも一方の前記表示部での表示形態を変更するようにしてもよい。
この構成によれば、識別部により識別される紙葉類に関し、基本情報が入力部を介して入力される。このとき、実際の紙葉類の基本情報と異なる基本情報が誤って入力される場合もあり得る。可搬型端末では、識別結果と基本情報とが不一致の紙葉類の識別結果及び画像の少なくとも一方の表示形態が変更される。これにより、ユーザは、基本情報が不一致の紙葉類を表示を見ただけで判別することができる。
また、前記可搬型端末は、前記基本情報を前記識別結果及び画像の少なくとも一方と共に前記表示部に表示するように構成され、該基本情報の編集を前記入力部を介して受け付けるように構成されていてもよい。
この構成によれば、ユーザは、可搬型端末を操作することによって基本情報を編集することができる。これにより、誤って付加された基本情報を可搬型端末で訂正することができる。
さらに、前記可搬型端末は、前記識別部においてリジェクト券と判定されたか否かという識別結果に応じて、前記紙葉類の識別結果及び画像の少なくとも一方の前記表示部での表示形態を変更してもよい。
この構成によれば、紙葉類処理装置においてリジェクト券と判定された紙葉類は、可搬型端末において、画像の表示形態が変更され得る。例えば、可搬型端末は、リジェクト券と判定された紙葉類の画像の背景を他の画像と異ならせたり、リジェクト券と判定された紙葉類の画像を他の画像に比べて少し拡大して、又は、明るく表示したりすることができる。これにより、ユーザは、リジェクト券と判定された紙葉類を表示を見ただけで判別することができる。
また、前記表示部に表示される画像は、金種識別、真偽識別及び正損識別の少なくとも1つに関する特徴を含んでいてもよい。
この構成によれば、ユーザは、表示部に表示された画像に基づいて、金種識別、真偽識別及び正損識別の少なくとも1つを確認することができる。
前記紙葉類処理装置は、少なくとも複数の判定項目に基づいて紙葉類の特徴を識別するように構成され、前記可搬型端末は、前記紙葉類処理装置から前記識別結果及び画像と共に前記複数の判定項目を受け取り、該複数の判定項目を前記表示部に表示する機能を有していてもよい。
この構成によれば、紙葉類処理装置がどのような判定項目に基づいて紙葉類の特徴を識別したかをユーザが可搬型端末において確認することができる。つまり、紙葉類処理装置による識別結果だけが確認できても、なぜそのような識別結果となったのかをユーザは知ることができず、ユーザは、識別結果が適切なのか否かを判断することが難しい。それに対し、紙葉類の特徴を識別した判定項目がわかれば、紙葉類処理装置による識別結果が適切か否かを判断しやすくなる。
さらに、前記紙葉類処理装置は、紙葉類1枚につき複数種類の画像を取得するように構成され、前記可搬型端末は、前記表示部に表示する画像を前記入力部を介したユーザの選択に応じて変更するようにしてもよい。
この構成によれば、紙葉類1枚につき様々な画像が取得され、可搬型端末は、それらを切り替えて表示することができる。そのため、ユーザは、各紙葉類の画像の選別を様々な画像に基づいて、即ち、様々な角度から判断することができるので、画像の選別の精度を向上させることができる。
また、前記可搬型端末は、前記紙葉類処理装置から受け取った前記画像の中から必要な画像の選別を前記入力部を介して受け付けるようにしてもよい。
この構成によれば、ユーザは、可搬型端末を操作することによって、転送されてきた画像の中から必要な画像の選別を行うことができる。
さらに、前記可搬型端末と通信を行うサーバをさらに備え、前記可搬型端末は、前記紙葉類処理装置の機種情報を該紙葉類処理装置から取得し、該機種情報を該可搬型端末の位置情報及び該可搬型端末のユーザのID情報と共に前記サーバへ送信し、前記サーバは、前記紙葉類処理装置の機種情報、該可搬型端末の位置情報及び該紙葉類処理装置から前記可搬型端末への前記画像の転送が許可されるユーザのID情報を記憶しており、前記可搬型端末から前記紙葉類処理装置の機種情報、前記可搬型端末の位置情報及び前記ユーザのID情報を受信したときには、記憶している前記紙葉類処理装置の機種情報、前記可搬型端末の位置情報及び前記ユーザのID情報と受信した前記紙葉類処理装置の機種情報、前記可搬型端末の位置情報及び前記ユーザのID情報とを比較して認証を行うようにしてもよい。
この構成によれば、可搬型端末は、サーバにより認証を受ける。認証を受ける際には、可搬型端末は、紙葉類処理装置の機種情報、可搬型端末の位置情報及び可搬型端末のユーザのID情報をサーバに送信する。サーバは、これらの情報を受信すると、記憶している紙葉類処理装置の機種情報、可搬型端末の位置情報及び可搬型端末のユーザのID情報をそれぞれ受信した情報と比較し、認証を行う。このような認証によれば、可搬型端末のユーザのID情報だけでなく、紙葉類処理装置の機種情報及び可搬型端末の位置情報も用いて認証を行うので、紙葉類処理装置が存在する場所に可搬型端末が実際に存在するかを確認することができ、確実な認証を行うことができる。
また、前記可搬型端末は、前記ユーザのID情報に応じて前記画像情報へのアクセス制限を行うようにしてもよい。
この構成によれば、可搬型端末の認証を行う際に、ユーザに応じてアクセス権限を与えることができ、ユーザに応じてアクセスできる画像を異ならせることができる。これにより、画像のセキュリティを向上させることができる。
また、前記可搬型端末は、異なる前記紙葉類処理装置に対応した複数のアプリケーションを有しており、前記紙葉類処理装置の機種情報を該紙葉類処理装置から取得し、前記前記識別結果及び画像の少なくとも一方を前記表示部に表示する際のアプリケーションを該機種情報に応じて選択するようにしてもよい。
この構成によれば、可搬型端末の汎用性を高めつつ、操作を簡便にすることができる。つまり、可搬型端末に種々の紙葉類処理装置に対応した複数のアプリケーションを用意しておくことによって、可搬型端末を様々な紙葉類処理装置に対応させることができる。しかしながら、アプリケーションの数が増えると、同時にその中から1つを選択する手間が増える。それに対し、前記の構成によれば、可搬型端末が紙葉類処理装置の機種情報を取得し、複数のアプリケーションの中から適切なアプリケーションを自動的に選択する。これにより、アプリケーションの選択という手間を省略することができる。
また、ここに開示された可搬型端末は、前記紙葉類処理装置と通信するための第2通信部と、前記紙葉類処理装置から前記第2通信部が受信した、前記紙葉類の識別結果及び画像を記憶する第2記憶部と、前記第2記憶部に記憶された前記紙葉類の識別結果及び画像の少なくとも一方を表示する表示部と、前記第2通信部、前記第2記憶部及び前記表示部を制御する第2制御部とを備え、前記第2制御部は、前記第2記憶部に記憶された前記紙葉類の識別結果及び画像の少なくとも一方を前記表示部に前記紙葉類の識別結果に応じた表示形態で表示する。
この構成によれば、可搬型端末は、識別結果及び画像の少なくとも一方の表示形態を識別結果に応じて変更するので、可搬型端末の表示を見ただけで、紙葉類の識別結果を判別することができる。これにより、ユーザによる画像の選別を容易にすることができる。
前記紙葉類情報処理システムによれば、取得した画像情報を適切に選別し、後の処理の手間を省くことができる。
前記可搬型端末によれば、取得した画像情報を適切に選別し、後の処理の手間を省くことができる。
以下、例示的な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1に、紙幣情報処理システム1000の構成図を示す。
紙幣情報処理システム1000は、紙幣処理装置100と可搬型端末200とを備え、紙幣に関する情報を取得して、紙幣を処理するためのシステムである。紙幣処理装置100は、銀行等に設置される装置である。可搬型端末200は、持ち運びが可能で汎用的な情報端末であり、例えば、ノートパソコンやタブレットである。つまり、ユーザは、紙幣処理装置100が設置された場所へ可搬型端末200を持っていき、紙幣処理装置100で取得した情報を可搬型端末200を介して確認する。こうすることで、紙幣処理装置100で取得した情報を、解析等の後の処理に送るべきかどうかをその場でユーザが判断することができる。紙幣情報処理システム1000は、紙葉類情報処理システムの一例である。紙幣は、紙葉類の一例である。
例えば、紙幣処理装置100において損券又は偽券と判断される紙幣が頻発したり、リジェクト紙幣が頻発したりする際に、紙幣処理装置100が設置された現場にユーザが出向き、問題となる紙幣の情報を取得する場合に紙幣情報処理システム1000が利用される。問題となる紙幣の情報はその場では解析されないが、該情報を解析等の後の処理に送るべきか否かをユーザがその場で判断できれば、後の処理の手間を省くことができる。例えば、紙幣処理装置100で紙幣の情報を取得する際に、情報を取得する対象でない紙幣が混ざっている場合があり得る。また、損券及び偽券を判断するのは紙幣処理装置100であり、その判断が誤っている場合もある。さらには、搬送中の紙幣の斜行や連鎖(複数の紙幣が重なること)等の搬送異常に起因して、リジェクト紙幣と判断される場合のように、紙幣の情報を解析するまでもなく、紙幣処理装置100のメンテナンスにより対処できる場合もある。そのため、紙幣処理装置100で取得した紙幣の情報をそのまま後の処理へ送ると、不要な情報までが後の処理へ送られ、後の処理において不要な情報を選別する作業が生じてしまう。さらには、現場での作業ミスにより、後の処理を適切に行えない情報が取得されたり、後の処理に全く関係のない情報が取得されたりする場合もあり得る。この場合は、紙幣の情報の取得をやり直す必要があるが、それが後の処理の時点で判明すると、ユーザが現場へ再度出向き、情報の取得からやり直す必要がある。このような場合に、紙幣の情報を取得したその場でユーザが該情報を確認できれば、後の処理での手間を省くことができる。
尚、紙幣の情報を取得するケースは、前述の損券等が頻発する場合に限られず、新規発行された紙幣のテンプレートデータを作成するためにサンプル紙幣の情報を取得し、後で解析する場合等もある。
以下、紙幣情報処理システム1000の各構成について説明する。
紙幣処理装置100は、通常は、紙幣を取り込んで、取り込んだ紙幣を識別及び計数して、集積するという入金機として機能する。紙幣処理装置100は、取り込んだ紙幣に関する情報を取得する機能を有する。紙幣に関する情報としては様々な情報があるが、例えば、後述する画像情報や識別情報が紙幣に関する情報に該当する。紙幣処理装置100は、入金処理の一環として、画像情報及び識別情報を取得する。
より詳しくは、紙幣処理装置100は、紙幣を取り込む取込部110と、取込部110から取り込まれた紙幣を識別する識別部120と、搬送されてきた紙幣を集積する集積部130と、取込部110、識別部120及び集積部130を制御する第1制御部140と、各種情報を保存する第1記憶部150と、外部機器との通信インターフェース160とを有している。紙幣処理装置100は、紙葉類処理装置の一例である。
取込部110には、取り込み前の紙幣がセットされる。紙幣が取込部110から紙幣処理装置100内へ取り込まれる。取込部110から取り込まれた紙幣は、搬送路111に沿って搬送されていく。
識別部120は、搬送路111上に設けられており、搬送される紙幣の識別情報を取得する。識別部120は、図2に示すように、光源121と、イメージセンサ122と、磁気センサ123と、厚みセンサ124と、識別通信部125と、識別記憶部126と、識別制御部127とを有している。
光源121は、波長が異なる光を切り替えて、照射するように構成されている。具体的には、光源121は、緑色の光と赤外光とを照射可能である。光源121は、搬送される紙幣に対して、表面側及び裏面側の一方に配置されている。
イメージセンサ122は、搬送される紙幣の表面側と裏面側とに配置されている。すなわち、一方のイメージセンサ122は、光源121と同じ側から紙幣の画像を撮像し、他方のイメージセンサ122は、光源121と反対側から紙幣の画像を撮像する。これら光源121とイメージセンサ122との組み合わせにより、識別部120は、緑色の光を紙幣に照射したときの紙幣の照射面の画像(以下、「緑反射画像」という)と、緑色の光を紙幣に照射し、該光を紙幣の照射面とは反対側に透過させたときの画像(以下、「緑透過画像」という)と、赤外光を紙幣に照射したときの紙幣の照射面の画像(以下、「赤外反射画像」という)と、赤外光を紙幣に照射し、該光を紙幣の照射面と反対側に透過させたときの画像(以下、「赤外透過画像」という)とを撮像することができる。イメージセンサ122は、これらの画像に関する画像情報を出力する。
磁気センサ123は、紙幣の磁気を紙幣の略全面に亘って測定する。すなわち、磁気センサ123は、紙幣の磁気分布を測定する。この磁気分布を視覚的に表した画像を「磁気画像」と称する。つまり、磁気センサ123が出力する測定結果も画像情報の一種である。
厚みセンサ124は、紙幣の厚みを紙幣の略全面に亘って測定する。すなわち、厚みセンサ124は、紙幣の厚み分布を測定する。この厚み分布を視覚的に表した画像を「厚み画像」と称する。つまり、厚みセンサ124が出力する測定結果も画像情報の一種である。
これら緑反射画像、緑透過画像、赤外反射画像、赤外透過画像、磁気画像及び厚み画像は、紙幣の特徴を画像化した特徴画像の例である。
識別通信部125は、第1制御部140と通信を行う。識別記憶部126は、緑反射画像、緑透過画像、赤外反射画像、赤外透過画像、磁気画像及び厚み画像を保存する。識別制御部127は、識別部120の全般の制御を司る。例えば、識別制御部127は、光源121、イメージセンサ122、磁気センサ123及び厚みセンサ124を制御して、緑反射画像等を取得させる。また、識別制御部127は、詳しくは後述するように、緑反射画像等から紙幣の識別情報を取得し、取得した識別情報を識別記憶部126に保存する。さらに、識別制御部127は、識別記憶部126に保存した緑反射画像等や識別情報を識別通信部125を介して第1制御部140へ出力する。
識別部120(詳しくは、識別制御部127)は、金種識別、真偽判定及び正損判定を行う。例えば、識別部120は、緑反射画像等から紙幣の特徴、例えば、通貨種別、金種、新旧(版数)、正損、真偽等を識別する。換言すると、特徴画像には、金種識別、真偽識別及び正損識別に関する特徴が画像化されている。また、識別部120には、紙幣を特徴付けるための複数の判定項目が設定されており、識別部120は、それらの判定項目に基づいて紙幣の特徴を判定する。例えば、紙幣の正損に関して、紙幣の汚れ等が判定項目として設定されている。また、紙幣の真偽に関して、透かしの一致/不一致等が判定項目として設定されている。また、識別部120には、判定項目だけでなく、各判定項目に対して判定閾値が設定されている。例えば、紙幣の汚れであれば、紙幣の汚れを数値で表した場合に、損券と判定する判定閾値が設定されている。識別部120は、特徴画像に基づいて各判定項目を判定し、さらには判定項目以外の要件も考慮し、それらの結果に基づいて紙幣の正損及び真偽を総合的に判定する。識別部120は、識別結果を紙幣の識別情報として出力する。識別情報には、通貨種別、金種等の識別結果の他に、損券又は偽券であると判定する原因となった判定項目に対応する判定コードが含まれる。
第1制御部140は、識別部120から識別情報を受け取り、その識別情報を第1記憶部150に保存する。第1制御部140は、識別部120からの識別情報に基づいて紙幣の搬送先を決定し、該紙幣を搬送先となる集積部130へ搬送する。第1制御部140は、紙幣を種類に応じて分類し、搬送先となる集積部130を決定する。分類する際の紙幣の種類は適宜設定することができ、例えば、第1制御部140は、紙幣を金種に応じて分類する。また、第1制御部140は、識別できない紙幣をリジェクト紙幣とし、リジェクト紙幣用の集積部130へ搬送する。第1制御部140は、紙幣ごとに識別情報及び各種画像情報を紐付けして第1記憶部150に保存する。
通信インターフェース160は、可搬型端末200と通信するためのインターフェースであり、例えば、USBである。通信インターフェース160には、第1通信部141が接続されており、第1制御部140は、第1記憶部150に保存された識別情報を読み出し、該識別情報を第1通信部141及び通信インターフェース160を介して可搬型端末200へ送信する。
可搬型端末200は、USBケーブルを介して紙幣処理装置100に通信可能に接続される。可搬型端末200は、紙幣処理装置100から転送された各種情報を表示可能に構成されている。可搬型端末200は、各種情報を表示するディスプレイ210と、第2記憶部220と、GPS受信機230と、通信インターフェース240と、第2制御部250と、紙幣処理装置100と通信するための第2通信部260とを有している。ディスプレイ210は、タッチパネルであり、情報を表示すると共に、外部からの入力操作を受け付ける。ディスプレイ210は、表示部の一例でもあり、入力部の一例でもある。第2記憶部220には、紙幣処理装置100から転送された各種情報を表示したり、編集したりするためのアプリケーションが保存されている。そのようなアプリケーションは、様々な紙幣処理装置100に対応すべく、複数保存されている。また、第2記憶部220は、紙幣処理装置100から第2通信部260が受信した、紙幣の識別結果及び画像を記憶する。第2制御部250は、ディスプレイ210、第2記憶部220、GPS受信機230、及び第2通信部260を制御する。
続いて、紙幣処理装置100の動作について説明する。
まず、ユーザは、紙幣を取込部110にセットする。そして、ユーザは、紙幣処理装置100を操作して、紙幣の取り込みを開始する。紙幣処理装置100は、取込部110から紙幣を取り込み、取り込んだ紙幣を識別部120において識別する。第1制御部140は、識別部120から出力される識別情報及び各種画像情報を紙幣ごとに紐付けして第1記憶部150に保存する。それと共に、第1制御部140は、識別情報に基づいて紙幣の搬送先を決定し、紙幣を搬送先となる集積部130へ搬送する。集積部130は、搬送されてきた紙幣を集積していく。紙幣処理装置100は、取込部110にセットされた紙幣が無くなるまで、以上の処理を繰り返す。最終的に、紙幣処理装置100は、全ての紙幣を計数し、全ての紙幣の識別情報及び画像情報を取得する。
紙幣処理装置100は、可搬型端末200と共に紙幣情報処理システム1000として用いられる場合には、紙幣を計数する入金機としての機能ではなく、紙幣に関する情報を取得する機能が主に利用される。つまり、紙幣処理装置100は、紙幣情報処理システム1000として用いられる場合には、紙幣の画像情報を取得する紙葉類処理装置として機能する。
次に、ユーザの認証について説明する。紙幣情報処理システム1000を使用するためには、ユーザは、認証を受ける必要がある。図3に示すように、ユーザは、可搬型端末200を紙幣処理装置100に接続した状態で、サーバ300から認証を受ける。詳しくは、まず、ユーザは、可搬型端末200をUSBケーブルを介して紙幣処理装置100に接続し、認証を得るためのアプリケーションを可搬型端末200において起動する。ユーザは、該アプリケーションにおいてID情報とパスワードを入力する。第2制御部250は、ID情報及びパスワードが入力されると、紙幣処理装置100の機種情報を要求するコマンドを紙幣処理装置100へ送信する。紙幣処理装置100から機種情報の返答があると、第2制御部250は、ID情報、パスワード、紙幣処理装置100の機種情報及び、GPS受信機230を介して取得される、可搬型端末200の位置情報をインターネットを介してサーバ300へ送信する。サーバ300は、ID情報、パスワード、紙幣処理装置100の機種情報及び可搬型端末200の位置情報に基づいてユーザ認証を行う。ここで、紙幣処理装置100の機種情報及び可搬型端末200の位置情報を用いることによって、紙幣処理装置100が設置された現場に可搬型端末200が実際に存在するかを確認することができる。サーバ300は、可搬型端末200を使用するユーザが正規なユーザであると認証すると、認証結果及び認証キーを可搬型端末200へ送信する。可搬型端末200は、サーバ300から認証キーを受信すると、各種アプリケーション及びそのアプリケーションの機能を使用することができるようになる。
ユーザが認証を受けると、可搬型端末200の各種アプリケーションが利用可能となる。ユーザが紙幣情報処理システム1000で行う処理に対応するツールを選択すると、可搬型端末200は、選択されたツールに対応するアプリケーションを起動する。ツールとしては、例えば、紙幣処理装置100から可搬型端末へデータを転送するためのデータ取得ツールや、可搬型端末でデータを表示し、編集するためのデータ表示ツールがある。また、可搬型端末200は、1つのツールにつき、種々の紙幣処理装置100に対応した複数のアプリケーションを有している。つまり、紙幣処理装置100には様々な機種があり、機種が異なれば、紙幣処理装置100で取得されるデータの種類及びその形式等が異なる。そのため、例えば、テータ取得ツールであっても、古いバージョンの紙幣処理装置100に対応するものと、最新バージョンの紙幣処理装置100に対応するものとが存在する。可搬型端末200は、このように種々の紙幣処理装置100に対応した複数のアプリケーションを予め記憶しており、接続された紙幣処理装置100に対応するアプリケーションを自動的に選択する。詳しくは、図4に示すように、可搬型端末200は、前述の認証の際に、紙幣処理装置100から機種情報を取得しており、第2制御部250は、この機種情報に基づいて、接続された紙幣処理装置100に対応するアプリケーションを第2記憶部220の中から選択し、起動する。
これにより、可搬型端末200の汎用性を高めつつ、操作を簡便にすることができる。つまり、可搬型端末200に種々の紙幣処理装置100に対応した複数のアプリケーションを用意しておくことによって、可搬型端末200を様々な紙幣処理装置100に対応させることができる。しかしながら、アプリケーションの数が増えると、同時にその中から1つを選択する手間が増える。それに対し、可搬型端末200が紙幣処理装置100の機種情報を取得し、複数のアプリケーションの中から適切なアプリケーションを自動的に選択するので、アプリケーションの選択という手間を省略することができる。
続いて、可搬型端末200を用いた処理について説明する。
ユーザは、前述の認証を受けた後、データ取得ツールにより、紙幣処理装置100から可搬型端末200へデータを転送させる。
この例では、このデータの転送を行う前に、紙幣処理装置100による対象となる紙幣の画像情報及び識別情報の取得を終了させておく。ただし、紙幣の画像情報及び識別情報の取得は、ユーザの認証の前であっても、認証の後であってもよい。尚、紙幣処理装置100による紙幣の画像情報及び識別情報の取得を全て完了させてから、データを可搬型端末200へ転送する方法に限られず、紙幣処理装置100によって紙幣の画像情報及び識別情報の取得しながら、取得したデータを随時(即ち、リアルタイムで)、可搬型端末200へ転送する方法であってもよい。
ここでは、特定の国の特定の金種の紙幣について画像情報を取得する場合について説明する。複数の紙幣の画像情報を取得する場合には、後での解析を簡単にするため、紙幣の向き(表裏及び模様若しくは文字の上下)を揃えた状態で画像情報が取得される。つまり、紙幣処理装置100では、向きを揃えた状態で紙幣が取込部110にセットされる。この状態で、紙幣処理装置100が紙幣を取り込み、画像情報を取得する。尚、紙幣処理装置100に取り込む紙幣は、正券、偽券、リジェクト紙幣等が混在する状態であってもよく、例えば、リジェクト紙幣だけに分類された状態、又は偽券だけに分類された状態であってもよい。
データ取得ツールでは、ユーザは、紙幣処理装置100で取り込んだ紙幣に関する基本情報を、ディスプレイ210を介して入力する。基本情報は、取り込んだ全紙幣に共通する情報であり、例えば、国名、金種、紙幣の向き及び取込日時等である。ディスプレイ210は、入力手段の一例でもある。
ユーザは、基本情報の入力が完了すると、紙幣処理装置100から可搬型端末200へのデータの転送を開始させる。これにより、紙幣処理装置100から識別情報及び画像情報が可搬型端末200に転送される。転送されてきた識別情報及び画像情報は、第2記憶部220に保存される。
続いて、ユーザは、可搬型端末200においてデータ表示ツールを起動する。可搬型端末200は、転送された画像情報に基づく特徴画像をデータ表示ツールを介してディスプレイ210に表示する。
具体的には、第2制御部250は、図5に示すような特徴画像の紙幣一覧画面410をディスプレイ210に表示させる。紙幣一覧画面410の下側エリア411には、全紙幣の特徴画像413,413,…の一覧がサムネイル表示され、紙幣一覧画面410の上側エリア412には、一覧の中から選択された一の特徴画像414が拡大表示される。特徴画像には緑反射画像、緑透過画像等、複数の種類があるが、特徴画像413,413,…は、何れか1種類の特徴画像(例えば、A面の緑反射画像)で統一されている。各紙幣の特徴画像の背景が色分けされており、背景色により様々な情報が表される。図5の例では、紙幣の属性に応じて色分けされており、正券(ハッチング無し)と、リジェクト紙幣(斜線のハッチング)と、基本情報と不一致の紙幣(点のハッチング)とが色分けされている。図5では、色分けをハッチングの有無及び種類で表している。5番目及び12番目の特徴画像に対応する紙幣は、リジェクト紙幣である。また、8番目及び10番目の特徴画像に対応する紙幣は、基本情報と不一致の紙幣である。8番目の特徴画像に対応する紙幣は、B面が撮影されており、基本情報(向きが表向き)と不一致の紙幣である。10番目の特徴画像に対応する紙幣は、金種が基本情報と異なっている。尚、拡大表示された特徴画像414の背景も、サムネイル表示された特徴画像413,413,…の背景と同じになっている。このように、可搬型端末200は、特徴画像の表示形態(例えば、背景色)を紙幣の属性に応じて変更する。これにより、特徴画像413,414の表示を見ただけで、紙幣の特徴を容易に判別することができる。
上側エリア412には、画像選択ボタン415が配置されている。A面の赤外透過画像、A面の緑透過画像、A面の赤外反射画像、A面の緑反射画像、B面の赤外反射画像、B面の緑反射画像、磁気画像及び厚み画像のそれぞれに対応する画像選択ボタン415が表示されている。ここで、A面とは、紙幣の一方の面であり、B面とは、紙幣のA面とは反対側の面である。ユーザがいずれかの画像選択ボタン415をタップすると、第2制御部250は、紙幣一覧画面410に表示される特徴画像の種類を、タップされた画像選択ボタンに対応する種類に変更する。
下側エリア411にサムネイル表示された特徴画像413,413,…の何れかがタップされると、第2制御部250は、タップされた特徴画像413を上側エリア412に拡大表示する。上側エリア412に拡大表示された特徴画像414がタップされると、第2制御部250は、紙幣一覧画面410を、図6に示すような詳細画面420に切り替える。
詳細画面420には、紙幣一覧画面410の上側エリア412に拡大表示された特徴画像414が表示される。また、詳細画面420には、該特徴画像414の基本情報及び識別結果が表示される。識別結果としては、判定コードが表示される。判定コードは、紙幣が損券又は偽券であると判定された場合に該当した判定項目を示している。紙幣が損券及び偽券でない場合には、識別結果としては何も表示されない。この詳細画面420において、ユーザは、各特徴画像の基本情報及び識別結果を確認することができる。
また、詳細画面420には、メニュボタン481が表示されている。メニュボタン481が押されると、第2制御部250は、図7に示すように、画面の下部に正損設定ボタン482及び真偽設定ボタン483を表示させる。そして、正損設定ボタン482がタップされると、第2制御部250は、図8に示すような正損設定画面430に切り替える。正損設定画面430には、対応する判定コード、判定項目及び判定閾値が表の形式で表示される。同様に、真偽設定ボタン483がタップされると、第2制御部250は、図9に示すような真偽設定画面440に切り替える。真偽設定画面440には、対応する判定コード、判定項目及び判定閾値が表の形式で表示される。つまり、ユーザは、詳細画面420において識別結果として表示された判定コードと正損設定画面430及び真偽設定画面440の表とを照らし合わせることによって、どの判定項目に該当し、その判定項目に該当すると判定されたときの判定閾値がわかる。
また、詳細画面420において特徴画像414がタップされると、第2制御部250は、詳細画面420を、図10に示すような全種類一覧画面450に切り替える。
全種類一覧画面450においては、詳細画面420に表示された紙幣に関する、全種類の特徴画像が一覧表示される。つまり、一の紙幣のA面の赤外透過画像451、A面の緑透過画像452、A面の赤外反射画像453、A面の緑反射画像454、B面の赤外反射画像455、B面の緑反射画像456、磁気画像457及び厚み画像458が表示される。ユーザは、全種類一覧画面450を見ることによって、紙幣の正損及び真偽を種々の特徴画像に基づいて検証することができる。
したがって、ユーザは、正損設定画面430、真偽設定画面440及び全種類一覧画面450を確認することによって、紙幣処理装置100による識別結果が正しいか否かを判断することができる。
そして、基本情報に修正すべき事項があったり、不要な特徴画像がある場合には、ユーザは、紙幣一覧画面410の上側エリア412に表示された編集ボタン416をタップして、特徴画像の編集を行う。編集ボタン416がタップされると、第2制御部250は、紙幣一覧画面410を、図11に示すような編集画面460に切り替える。編集画面460の下側エリア461には、紙幣一覧画面410の下側エリア411と同様に、全紙幣の特徴画像463,463,…の一覧がサムネイル表示されている。編集画面460の上側エリア462には、モード選択ボタン464、保存ボタン465、国名選択ボタン466、金種選択ボタン467、向き選択ボタン468及びコメント欄469が表示されている。
モード選択ボタン464は、特徴画像の基本情報を編集する編集モードか、特徴画像を削除する削除モードかを選択するためのボタンである。モード選択ボタン464がタップされるごとに、第2制御部250は、編集モードと削除モードとを切り替える。編集モードでは、ユーザは、各特徴画像の基本情報を編集することができる。削除モードでは、ユーザは、紙幣処理装置100から転送されてきた特徴画像の中から不要なものを削除することができる。例えば、損券及び偽券の解析を行うために特徴画像を取得する場合には、損券及び偽券以外の特徴画像は不要である。そのため、ユーザは、削除モードにおいて、転送されてきた特徴画像の中から正券の特徴画像(具体的には、該特徴画像に対応する紙幣の画像情報)を削除する。
保存ボタン465は、編集モードで編集した後のデータ及び削除モードで削除した後のデータを第2記憶部220に保存するためのボタンである。保存ボタン465がタップされると、第2制御部250は、編集後及び削除後のデータを第2記憶部220に保存する。
国名選択ボタン466、金種選択ボタン467及び向き選択ボタン468は、基本情報を変更するためのボタンである。サムネイル表示された特徴画像463,463,…が何れも選択されていない場合は、図11に示すように、それぞれのボタンに「国名」、「金種」、「向き」と表示されている。何れかの特徴画像463がタップされて選択されると、各ボタンには、選択された特徴画像に設定された具体的な国名、金種、向きが表示される。また、コメント欄469には、自由にコメントを記入することができる。
各特徴画像の基本情報は、前述の如く、データ取得ツールによって紙幣処理装置100から可搬型端末200へデータを転送する際にユーザが全紙幣に対して一括で入力した情報であり、基本的には全紙幣に共通の情報である。一括で入力された基本情報は、転送されてきたデータが第2記憶部220に保存される際に、紙幣ごとに対応する個別に設定される。つまり、紙幣ごとに各種画像情報、識別情報及び基本情報が紐付けされて第2記憶部220に保存されるが、紐付けされた基本情報の内容は全て同じである。しかしながら、例えば作業ミスにより、取り込む対象でない紙幣が混ざっていたり、向きが適切でない紙幣が取り込まれていたりする場合がある。その場合、特徴画像の中には、一括で設定された基本情報とは異なる基本情報を有するものが存在することになる。そこで、編集モードにより、基本情報が個別に修正される。
基本情報を編集するためには、ユーザは、国名選択ボタン466、金種選択ボタン467及び向き選択ボタン468をタップする。国名選択ボタン466、金種選択ボタン467及び向き選択ボタン468のそれぞれがタップされると、第2制御部250は、対応するプルダウンメニュを表示し、各基本情報に対応した選択肢を表示する。ユーザは、選択肢の中から1つを選択することによって各基本情報を変更することができる。いずれかの選択肢がタップされると、第2制御部250は、該当する選択ボタンの表示を選択された内容に切り替える。
下側エリア461では、特徴画像463の表示形態が紙幣の属性に応じて変更されている。例えば、選択された紙幣、編集済みの紙幣、及び削除予定の紙幣に対応する特徴画像463は、他の特徴画像と表示形態が異なっている。具体的には、特徴画像463の右上に印が付されると共に背景色が変更される。選択された特徴画像463は、右上に○印が付され、背景色が他の特徴画像463と異なる色に変更される。図11では、色分けがハッチングにより表されている。図11では5番目の特徴画像463が選択されている。編集済みの特徴画像463は、右上に×印が付され、背景色が他の特徴画像463と異なる色に変更される。図11では、8番目の特徴画像463が編集済みである。図11では削除予定の特徴画像463が存在していないが、削除予定の特徴画像463が存在する場合には、右上にレ印が付され、背景色が他の特徴画像463と異なる色に変更される。この色分け及び印により、ユーザは、どの特徴画像463が選択されているのか、編集済みなのか等の属性が容易にわかる。
一方、削除モードが選択されると、第2制御部250は、編集画面460を、図12に示す削除画面470に切り替える。削除画面470の基本的な構成は、編集画面460と同様である。下側エリア471の中から何れかの特徴画像473がタップされると、タップされた特徴画像473は削除予定の特徴画像とされる。
削除画面470においても特徴画像463の表示形態が、編集画面460と同様に、紙幣の属性に応じて変更されている。例えば、編集画面460において編集済みの特徴画像473には、右上に×印が付され、背景色が他の特徴画像463と異なる色に変更される。図12では、色分けがハッチングにより表されている。図12では8番目の特徴画像473が編集済みである。また、削除予定の特徴画像473には、右上にレ印が付され、背景色が他の特徴画像463と異なる色に変更される。図12では、10番目の特徴画像473は対象ではない紙幣のものであり、12番目の特徴画像473は、搬送異常の紙幣のものなので、両者とも特徴画像を解析する必要がないので、削除予定に設定されている。削除予定の特徴画像473の背景色は、編集画面460の色分けとは異なる色が用いられる。この色分け及び印により、ユーザは、どの特徴画像463が削除予定なのか等の属性が容易にわかる。また、コメント欄469には、自由にコメントを記入することができる。
尚、図11、12における色分け及び印は、固定ではなく、適宜変更できるようになっていてもよい。
以上の特徴画像の編集及び削除は、保存ボタン465がタップされることによって確定する。
こうして、ユーザは、紙幣一覧画面410、詳細画面420、正損設定画面430、真偽設定画面440及び全種類一覧画面450によって特徴画像、基本情報及び識別結果を確認し、画像情報が適切に取得できているか、どの画像情報を後の処理に送るべきか、誤った基本情報はないかを目視にて判断することができる。そして、ユーザは、編集画面460及び削除画面470によって、誤った基本情報を訂正すると共に、後の処理に送るべき画像情報を選別することができる。その結果、解析等の後の処理においては、不要な画像情報が送られてきたり、誤った基本情報が付加された画像情報が送られてきたりすることを防止することができ、適切な画像情報を選別する手間を省略することができる。
以上のように、紙幣情報処理システム1000は、紙幣の特徴を画像化した特徴画像に関する画像情報を取得する紙幣処理装置100と、紙幣処理装置100から画像情報が転送され、該画像情報に基づいて特徴画像を表示する可搬型端末200とを備え、可搬型端末200は、特徴画像の表示形態を紙幣の属性に応じて変更する。
この構成によれば、紙幣処理装置100で取得した画像情報を可搬型端末200を介してユーザがその場で特徴画像の形で確認することができる。そのため、後の処理に回すべき画像情報をその場で取捨選択することができ、不要な画像情報を後の処理に送ることを防止することができる。また、必要な画像情報が適切に取得できていない場合には、その場で画像情報の取り直しを行うこともできる。これにより、後の処理の手間を省くことができる。
また、紙幣処理装置100で特徴画像を確認するのではなく、可搬型端末200で特徴画像を確認するので、紙幣処理装置100の機能及び能力に依存せず、後の処理に送られる画像情報の選別を行うことができる。例えば、特徴画像の表示機能や編集機能を有する紙幣処理装置100でなければ、特徴画像を紙幣処理装置100で確認することはできない。紙幣処理装置100は多種多様であり、そのような機能を有するものもあれば、有さないものもある。つまり、紙幣処理装置100においてでなければ特徴画像を確認できないとすると、全ての紙幣処理装置100において特徴画像の確認を行えるわけではない。また、特徴画像を確認した後に行うことができる処理、例えば、編集処理も紙幣処理装置100の機能に依存し、紙幣処理装置100ごとに行うことができる処理が異なる。それに対し、可搬型端末200であれば、アプリケーションのインストール等を行うことによって、紙幣処理装置100に比べて、行うことができる処理を容易に追加したり変更したりすることができる。そのため、可搬型端末200を用いることによって、多種多様な紙幣処理装置100に対して画像情報の選別を同様に行うことができる。
それに加えて、可搬型端末200に表示される特徴画像の表示形態が紙幣の属性に応じて変更されるので、ユーザは、特徴画像の表示を見ただけで、紙幣の属性を知ることができ、特徴画像の確認作業の作業性を向上させることができる。
さらに、可搬型端末200は、紙幣処理装置100から転送されてきた画像情報の中から必要な画像情報の選別を外部から受け付けるように構成されている。
これにより、ユーザは、紙幣処理装置100で取得された画像情報を可搬型端末200において特徴画像として確認し、さらに、可搬型端末200を操作することによって必要な画像情報の選別を行うことができる。
それに加えて、紙幣処理装置100は、少なくとも複数の判定項目に基づいて紙幣の特徴を識別するように構成されており、可搬型端末200は、紙幣処理装置100から画像情報と共に複数の判定項目が転送され、該複数の判定項目を表示する機能を有する。
この構成によれば、紙幣処理装置100がどのような判定項目に基づいて紙幣の特徴を識別したかをユーザが可搬型端末200において確認することができる。紙幣の特徴を識別した判定項目がわかれば、紙幣処理装置100による識別結果が適切か否かをユーザが判断しやすくなる。これにより、必要な画像情報の選別を容易にすることができる。
さらに、可搬型端末200は、紙幣処理装置100から転送される画像情報に関する基本情報が外部から入力され、基本情報を特徴画像と共に表示するように構成されると共に、基本情報の編集を外部から受け付けるように構成されている。
この構成によれば、紙幣処理装置100によって取得した画像情報に関する基本情報が外部から付加される。このとき、実際に取得された画像情報の基本情報と異なる基本情報が誤って付加される場合もあり得る。それに対し、ユーザは、可搬型端末200で基本情報を確認し、編集することができる。これにより、誤って付加された基本情報を可搬型端末200で訂正することができる。
また、可搬型端末200は、認証を受ける際には、紙幣処理装置100の機種情報、可搬型端末200の位置情報及び可搬型端末200のユーザのID情報をサーバ300に送信する。サーバ300は、これらの情報に基づいて認証を行う。このような認証によれば、可搬型端末200のユーザのID情報だけでなく、紙幣処理装置100の機種情報及び可搬型端末200の位置情報も用いて認証を行うので、紙幣処理装置100が設置された場所に可搬型端末200が実際に存在するかを確認することができ、確実な認証を行うことができる。
また、可搬型端末200は、サーバ300から受け取った認証キーに応じて、各種アプリケーション及びそのアプリケーションの機能を使用する権限を制限することもできる。つまり、可搬型端末200は、ユーザのID情報に応じて画像情報へのアクセス制限を行うこともできる。例えば、可搬型端末200は、ユーザに応じて、データ取得ツールだけ使用することができ、データ表示ツールを使用できないようにすることができる。また、可搬型端末200は、データ表示ツールの中で使用できる処理をユーザに応じて制限することもできる。例えば、可搬型端末200は、限られたユーザにしか、正損設定画面430、真偽設定画面440及び全種類一覧画面450を表示しないようにすることもできる。
《その他の実施形態》
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、前記実施形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用可能である。また、上記実施形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。また、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、上記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
前記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
例えば、紙葉類処理装置は、紙幣処理装置100に限られるものではない。紙葉類処理装置は、紙幣の特徴を画像化した特徴画像に関する画像情報を取得する限りは、任意の装置でよい。紙葉類処理装置は、紙幣処理装置100のような入金機能だけでなく、出金機能や、結束機能を有するものであってもよい。さらには、紙葉類処理装置は、紙幣の画像情報を取得するだけの専用装置であってもよい。
紙幣情報処理システム1000において、紙幣処理装置100と可搬型端末200とは有線で接続されているが、無線接続であってもよい。
可搬型端末200は、持ち運びが可能な情報端末であれば、任意の端末でよい。また、可搬型端末200を用いて行うことできる処理は、前記の説明に限られるものではない。例えば、データ表示ツールで行うことができる処理は、前記の説明以外の処理を含んでいてもよいし、前記の説明の処理の一部を含んでいなくてもよい。さらに、可搬型端末200に表示される画面も例示に過ぎず、様々な画面を採用し得る。
さらに、可搬型端末200の認証の方法も例示に過ぎず、様々な認証方法を採用することができる。
また、紙葉類の例として紙幣について説明したが、紙葉類は紙幣に限られず、商品券等の金券や小切手等であってもよい。
さらに、可搬型端末200が紙幣の属性に応じて変更する特徴画像の表示形態は、前述の色分けや印の付加に限られるものではない。例えば、特徴画像を他の特徴画像に比べて少し拡大して表示したり、明るく表示したりしてもよい。
また、表示形態の変更に考慮する紙幣の属性も前述のものに限られない。例えば、リジェクト紙幣の特徴画像をリジェクト理由に応じてさらに細かく色分けしてもよい。
また、可搬型端末200は、通信インターフェース160を介して第1通信部141に接続されているが、通信インターフェース160を介して、識別部120の識別通信部125に接続されてもよい。さらには、可搬型端末200は、識別通信部125に接続されてもよい。
また、削除画面470では、削除する画像を選択しているが、逆に、削除しない画像を選択するようにしてもよい。