以下に、本発明の実施の形態に係る表示システムにおける、位置指定装置及び表示装置を、ペン型入力器と、該ペン型入力器を備えたタッチパネル装置とに夫々適用した場合を例として、図面に基づいて詳述する。また、タッチパネル装置としては、いわゆる電子黒板装置を例にあげて説明する。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1に係る表示システムを概念的に表示した概念図である。本発明の実施の形態1に係る表示システム10は、複数の電子黒板装置100〜400及びペン型入力器500(位置指定装置)を有している。本発明に係る表示システム10においては、ペン型入力器500からの描画に係る位置指定に応じて、電子黒板装置100〜400に線図等の描画の処理が行なわれる。前記線図等以外にも、電子黒板装置100〜400には、文字、画像等をインポートして表示することも可能である。
また、ペン型入力器500は、電子黒板装置100〜400の何れに対しても、同一の属性を有する線図の描画ができるように構成されている。
電子黒板100の構成は、他の電子黒板装置200〜400の構成と同一である。従って、以下においては、電子黒板装置100及びペン型入力器500の構成についてのみ説明する。
図2は本発明の実施の形態1の電子黒板装置100の要部構成を示す機能ブロック図である。
本発明の実施の形態1の電子黒板装置100は、赤外線を発光する発光素子及び赤外線を受光する受光素子を備え、遮光物の位置を検出する、いわゆる赤外線遮断式タッチパネル部100Bと、タッチパネル部100Bの動作を制御するタッチパネルコントローラ部(図2中、点線によって囲まれている部分)を備えている。
また、電子黒板100は、公知の描画処理によって線図が表示される表示面101を有する表示部100Aを更に備えている。
電子黒板装置100は制御部1、ROM2及びRAM3を備えている。また、電子黒板装置100は、後述する各種テーブルが記憶されている記憶部4と、ペン型入力器500又は他の電子黒板装置と通信を行う通信部5とを備えている。
更に、電子黒板装置100は、表示面101への文字、図形、線画、画像等のオブジェクトの表示を制御する表示制御部8を備えており、後述する走査部9による走査結果に基づいてユーザから表示面101上の位置指定、文字、線画等の入力を受け付ける。
記憶部4は、例えば、フラッシュメモリ、EEPROM、HDD、MRAM(磁気抵抗メモリ)、FeRAM(強誘電体メモリ)、又は、OUM等の不揮発性の記憶媒体により構成されている。また、記憶部4には後述する装置管理テーブル、使用率との比較に用いられる閾値等が記憶される。
通信部5はペン型入力器500から描画に係るデータ(以下、描画データ)等を受信する。通信部5はペン型入力器500と、例えば、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)等の無線通信を行なうように構成されている。また、これに限るものでなく、有線通信であっても良い。
表示部100Aにおいて、表示面101は例えばLCD又はEL(Electroluminescence)パネル等からなり、表示部100Aにはタッチパネル部100Bを介してユーザから受け付ける文字、線画等が表示される。また、表示部100Aの表示面101を覆うようにタッチパネル部100Bが設けられている。
表示制御部8は、例えば、DSP(Digital Signal Processor)のようなプロセッサにより構成され、表示部100Aへの画像表示を制御する。制御部1は、走査部9による走査結果に係る座標に基づき、文字、線画等の表示を指示し、表示制御部8は、これに応じて表示部100Aに文字、線画等を表示させる。
ROM2には制御プログラムが予め格納されており、RAM3はデータを一時的に記憶し、記憶順、記憶位置等に関係なく読み出すことが可能である。また、RAM3は、例えば、ROM2から読み出されたプログラム、該プログラムを実行することにより発生する各種データ等を記憶する。
制御部1は、ROM2に予め格納されている制御プログラムをRAM3上にロードして実行することによって、バスを介して上述した各種ハードウェアの制御を行い、前記座標履歴を作成し、また、装置全体を本発明の電子黒板装置100として動作させる。
図3は本発明の実施の形態1の電子黒板装置100における、制御部1の要部構成を示す機能ブロック図である。制御部1は、CPU11と、座標検出部12と、遮光物管理部13と、使用率算出部14と、指示送信部15と、状態遷移部16と、設定情報送信部17とを備えている。
座標検出部12は、ペン型入力器500のような遮光物の表示部100Aの表示面101上の座標を検出する。詳しくは、タッチパネル部100Bによって、表示部100Aの表示面101上の光遮断が検出された場合に送られる、後述する強度信号に基づき、斯かる遮光物の座標を検出する。
遮光物管理部13は、走査部9の走査によって検出される遮光物の位置(座標)を管理する。例えば、遮光物管理部13は、斯かる遮光物が移動する場合、遮光物の移動跡を表す座標履歴を記憶する。
使用率算出部14は、表示面101の全表示領域のうち、オブジェクトが表示された領域の割合を示す使用率を算出する。例えば、電子黒板装置100でユーザが描画を行う際、電子黒板装置100の表示面101の全表示領域のうち、ユーザの描画によって表示された線図等のオブジェクトにより占められた領域の割合を前記使用率として算出する。
使用率算出部14による使用率算出の具体的例としては、表示部100Aの表示面101のX軸及びY軸夫々における、表示面101上の余白に基づいて、前記使用率を算出する方法がある。以下、詳しく説明する。
図4は本発明の実施の形態1の電子黒板装置100において、ユーザによる描画が行われた場合を例示する例示図である。
表示面101上の位置(座標)が(x,y)=(0,0)-(xmax,ymax)で表される。表示面101上で描画によって描画図が表示されている領域が、図4に示すように、記載領域1〜6の6つあり、記載領域1から書かれた順番に、記載領域2、記載領域3、…とされるものとする。各記載領域はその左上、即ちX座標、Y座標の最少値を始点、右下、即ちX座標、Y座標の最大値を終点とし、始点と終点を対角とする四角形の範囲を記載領域とする。
すなわち、記載領域1が(x1,y1)-(x3,y3)、記載領域2が(x2,y6)-(x4,y7)、記載領域3が(x2,y9)-(x3,y11)、記載領域4が(x6,y2)-(x7,y4)、記載領域5が(x5,y5)-(x8,y8)、記載領域6が(x6,y10)-(x7,y12)によって画定される。
もっとも簡単な方法の一つとして余白を、描画図に使用した領域と画面上下左右端との間隔で判断する方法がある。図5は本発明の実施の形態1の電子黒板装置100において、表示面101の余白を用いて使用率を算出する方法を説明するフローチャートである。
まず、使用率算出部14は全ての記載領域の数(DM)を取得する(ステップS101)。使用率算出部14は全ての記載領域の数を数えることにより、DMを取得することが出来る。すなわち、DMは「6」である。
例えば、ユーザがペン型入力器500を用いて描画を行い、ペン型入力器500を表示面101から離した場合、当該記載領域が確定され、DMは変更し、使用率算出部14は使用率の算出を開始する。
次いで、使用率算出部14は、記載領域1〜6において、X座標とY座標の夫々で最小値及び最大値を求める。即ち、全記載領域のX座標及びY座標の中からX座標の最少値及び最大値、Y座標の中からY座標の最少値及び最大値を求める。
この際、記載領域のX座標の最も小さいX座標をXbmin、最も大きいX座標をXbmax、Y座標の最も小さいY座標をYbmin、最も大きいY座標をYbmaxとし、X軸の最大座標及び最小座標を夫々Xmax及び0とし、Y軸の最大座標及び最小座標を夫々Ymax及び0とする。
使用率算出部14は、まず、Xbmin=Xmax、Ybmin=Ymax、Xbmax=Ybmax=0と代入し(ステップS102)、記載領域1〜6の何れかを定義する「I」に1を代入する(ステップS103)。換言すれば、記載領域Iにおける「I」に1を代入することにより、先ずは記載領域1を以降の処理の対象とする。
次いで、使用率算出部14はIがDM以下であるか否かを判定する(ステップS104)。現在Iは1であるので、使用率算出部14は、IがDM以下であると判定し(ステップS104:YES)、記載領域1の始点のX座標「SX(1)」がXbmin以下であるか否かを判定する(ステップS105)。
使用率算出部14は、「SX(1)」がXbmin以下であると判定した場合(ステップS105:YES)、「Xbmin」を「SX(1)」に置き換える(ステップS106)。以降処理はステップS107に進む。
一方、使用率算出部14は、「SX(1)」がXbmin以下でないと判定した場合(ステップS105:NO)、記載領域1の始点のY座標「SY(1)」がYbmin以下であるか否かを判定する(ステップS107)。
使用率算出部14は、「SY(1)」がYbmin以下であると判定した場合(ステップS107:YES)、「Ybmin」を「SY(1)」に置き換える(ステップS108)。以降処理はステップS109に進む。
一方、使用率算出部14は、「SY(1)」がYbmin以下でないと判定した場合(ステップS107:NO)、記載領域1の終点のX座標「EX(1)」がXbmax以下であるか否かを判定する(ステップS109)。
使用率算出部14は、「EX(1)」がXbmax以下でないと判定した場合(ステップS109:NO)、「Xbmax」を「EX(1)」に置き換える(ステップS110)。以降処理はステップS111に進む。
一方、使用率算出部14は、「EX(1)」がXbmax以下であると判定した場合(ステップS109:YES)、記載領域1の終点のY座標「EY(1)」がYbmax以下であるか否かを判定する(ステップS111)。
使用率算出部14は、「EY(1)」がYbmax以下でないと判定した場合(ステップS111:NO)、「Ybmax」を「EY(1)」に置き換える(ステップS112)。以降処理はステップS113に進む。
一方、使用率算出部14、「EY(1)」がYbmax以下であると判定した場合(ステップS111:YES)、「I+1」を更に「I」に代入して(ステップS113)、処理を再びステップS104に戻す。
以降、記載領域2〜6に対してもステップS101〜ステップS112の処理が施される。
一方、「I」が6である場合は、ステップS113にて「I」が7となり、ステップS104にて、使用率算出部14はIがDM以下でないと判定する(ステップS104:NO)
この際、Xbmin、Xbmax、Ybmin、Ybmaxが求められている。例えば、図4では、Xbmin=x1、Ybmin=y1、Xbmax=x8、Ybmax=y12となる。
続いて、使用率算出部14はX軸使用率Rux及びY軸使用率Ruyを算出する(ステップS114)。X軸使用率Rux及びY軸使用率Ruyは以下の式によって算出される。
X軸使用率Rux=1−((Xbmin−0)+(Xmax−Xbmax))/Xmax)
Y軸使用率Ruy=1−((Ybmin−0)+(Ymax−Ybmax))/Ymax)
このような処理によって、X軸使用率Rux及びY軸使用率Ruyが算出される。
また、他の使用率算出方法としては、表示部100Aの表示面101のX軸及びY軸における座標が、表示されたオブジェクトに係る座標と重複するか否かに基づいて前記使用率を算出する方法がある。
図6は本発明の実施の形態1の電子黒板装置100において、表示面101の使用率を算出する他の方法を説明するフローチャートである。
まず、使用率算出部14は全ての記載領域の数(DM)を取得する(ステップS201)。図4に示しているように、DMは「6」である。
次いで、使用率算出部14は、UX、UY、IX、及びIYの初期値を0として設定する(ステップS202)。ここで、UXはX座標の使用量、すなわち、X座標のうち、描画図と重複するものの数であり、UYはY座標の使用量、すなわち、Y座標のうち、描画図と重複するものの数である。また、IXは現在注目のX座標であり、IYは現在注目のY座標である。
また、使用率算出部14は、記載領域1〜6の何れかを定義する「I」に1を代入する(ステップS203)。すなわち、記載領域Iにおける「I」に1を代入することにより、先ずは記載領域1を以降の処理の対象とする。
使用率算出部14は、「SX(I)≦IX and IX≦EX(I)」の条件を満たしているか否かを判定する(ステップS204)。すなわち、現在注目のX座標(IX)が記載領域Iと重なっているか否かを判定する。現在「I」は1であり、「IX」は0なので、使用率算出部14はX座標「0」が記載領域1と重なっているか否かを判定する。
「SX(I)≦IX and IX≦EX(I)」の条件を満たしていないと判定した場合(ステップS204:NO)、使用率算出部14は、「I」を加算し、すなわち、「I+1」を再び「I」に代入し(ステップS205)、この際のIがDM以下であるか否かを判定する(ステップS207)。
使用率算出部14は、IがDM以下であると判定した場合(ステップS207:YES)、処理をステップS204に戻す。換言すれば、次の記載領域、すなわち、記載領域2に対してIXと重なっているか否かを判定する。
一方、使用率算出部14は、「SX(I)≦IX and IX≦EX(I)」の条件を満たしていると判定した場合(ステップS204:YES)、「UX」を加算し、すなわち、「UX+1」を再び「UX」に代入し(ステップS206)、処理はステップS208に進む。
また、使用率算出部14は、IがDM以下でないと判定した場合(ステップS207:NO)、「IX+1」を再び「IX」に代入し(ステップS208)、この際のIXがXmax以下であるか否かを判定する(ステップS209)。
使用率算出部14は、IXがXmax以下であると判定した場合(ステップS209:YES)、処理を再びステップS203に戻す。すなわち、X座標「1」に対しても、ステップS203〜208の処理が施される。これは、X座標「Xmax」まで、すなわち、全X座標に対して繰り返される。
一方、使用率算出部14は、IXがXmax以下でないと判定した場合(ステップS209:NO)、換言すれば、全X座標に対して、ステップS203〜208の処理が施された場合、全Y座標に対して斯かる処理を繰り返す。
使用率算出部14は、「I」に1を代入する(ステップS210)。すなわち、先ずは記載領域1を以降の処理の対象とする。
次いで、使用率算出部14は、「SY(I)≦IY and IY≦EY(I)」の条件を満たしているか否かを判定する(ステップS211)。すなわち、現在注目のY座標(IY)が記載領域Iと重なっているか否かを判定する。現在「I」は1であり、「IY」は0なので、使用率算出部14はY座標「0」が記載領域1と重なっているか否かを判定する。
「SY(I)≦IY and IY≦EY(I)」の条件を満たしていないと判定した場合(ステップS211:NO)、使用率算出部14は、「I+1」を再び「I」に代入し(ステップS212)、この際のIがDM以下であるか否かを判定する(ステップS214)。
使用率算出部14は、IがDM以下であると判定した場合(ステップS214:YES)、処理をステップS211に戻し、次の記載領域に対してIYと重なっているか否かを判定する。
一方、使用率算出部14は、「SY(I)≦IY and IY≦EY(I)」の条件を満たしていると判定した場合(ステップS211:YES)、「UY+1」を再び「UY」に代入し(ステップS213)、処理はステップS215に進む。
また、使用率算出部14は、IがDM以下でないと判定した場合(ステップS214:NO)、「IY+1」を再び「IY」に代入し(ステップS215)、この際のIYがYmax以下であるか否かを判定する(ステップS216)。
使用率算出部14は、IYがYmax以下であると判定した場合(ステップS216:YES)、処理を再びステップS210に戻す。すなわち、他のY座標に対しても、ステップS210〜215の処理が施される。これは、Y座標「Ymax」まで、すなわち、全Y座標に対して繰り返される。
一方、使用率算出部14は、IYがYmax以下でないと判定した場合(ステップS216:NO)、換言すれば、全Y座標に対してステップS210〜215の処理が施された場合、UX、及び、UYが定められる。
続いて、使用率算出部14はX軸使用率Rux及びY軸使用率Ruyを算出する(ステップS217)。X軸使用率Rux及びY軸使用率Ruyは以下の式によって算出される。
X軸使用率Rux=1−(UX÷Xmax)
Y軸使用率Ruy=1−(UY÷Ymax)
このような処理によって、X軸使用率Rux及びY軸使用率Ruyが算出される。
他の使用率算出方法としては、図6に係る方法と同様な方法でありながらも、図6に係る方法より簡単な方法がある。図7は本発明の実施の形態1の電子黒板装置100において、表示面101の使用率を算出する他の方法を説明するフローチャートである。
図7に係る方法においては、図6に係る方法に比べ、ステップS304及びステップS306、並びに、ステップS311及びステップS313にて相違する。
詳しくは、図7に係る方法においては、記載領域Iにて注目座標が重なった時点で、該記載領域Iの終点までの座標が使用されているとして、その座標から該記載領域Iの終点座標との差をUX又はUYに加算すると共に、該終点座標までの処理をスキップする。
すなわち、例えば、ステップS304及びステップS306の処理においては、現在注目の座標IXから重なりが確認できた記載領域Iの終点のX座標EX(I)までの差分をX座標使用量UXに加えると共に、現在注目のX座標位置を当該記載領域IのX座標EX(I)とすることで、重なっていると分かっている終点X座標EX(I)までの処理を省略している。
これによって、X軸、Y軸、夫々について、X軸使用量UX及びY軸使用量UYが求められ、図6に係る方法と同様にX軸、Y軸の最大値であるXmaxとYmaxとで夫々を割算することにより、X軸使用率Rux、及び、Y軸使用率Ruyを算出することができる。
また、他の処理については、図6に係る方法と同様であるので、詳しい説明を省略する。
上述した方法以外にも、処理を施す座標を所定の間隔に間引くことによって、装置における処理負担を軽くする方法もある。例えば、一定間隔ごとのX座標、Y座標に記載領域1〜6が重なるかを調べる方法がある。
図8は本発明の実施の形態1の電子黒板装置100において、ユーザによる描画が行われた場合を例示する例示図であり、図9は本発明の実施の形態1の電子黒板装置100において、表示面101の使用率を算出する他の方法を説明するフローチャートである。
図9に係る方法においては、図7に係る方法に比べ、ステップS402、並びに、ステップS408及びステップS415にてのみ相違する。
詳しくは、図7に係る方法においては、表示面101のX座標をK等分、Y座標をL等分するとした場合、X座標最大値XmaxをKで割った値はXX(Xmax÷K)であり、Y座標最大値YmaxをLで割った値はYY(Ymax÷L)になる(ステップS402)。すなわち、X軸においてはXXの間隔で、Y軸においてはYYの間隔で記載領域との重なりを調べる。
図8の例ではK=L=10であり、X軸、Y軸を共に、10等分して、cx1、cx2、・・・、cx9、cy1、cy2、・・・、cy9とX座標又はY座標に記載領域が重なっているか調べることになる。
この際、現在注目のX座標IX及びY座標IYには夫々XX及びYYずつ加算しながら(ステップS408及びステップS415)、現在注目のX座標IX及びY座標IYと記載領域との重なりを調べることにより、座標使用量UX及びUYを求める。
また、他の処理については、図7に係る方法と同様であるので、詳しい説明を省略する。
以上においては、本発明の実施の形態1の電子黒板装置100(表示面101)に描画に係る画像のみが表示された場合を例として説明したが、本発明はこれに限るものでない。例えば、インポートされた文字、画像等が表示されている場合も適用可能であることは言うまでもない。このような場合は、所定の時間間隔ごとに、前記使用率の算出を行うように構成すればよい。
指示送信部15は、使用率算出部14によって算出された使用率及び記憶部4に記憶されている閾値に基づいて、特定の待機状態に遷移する旨の遷移指示を他の電子黒板装置、すなわち、電子黒板装置200〜400の何れかに送信する。以下、電子黒板装置100によって前記遷移指示が送信された電子黒板装置を被送信電子黒板装置と言う。
また、指示送信部15が被送信電子黒板装置に前記遷移指示を送信した後、設定情報送信部17は、現在の電子黒板装置100及びペン型入力器500の間の設定情報を、前記被送信電子黒板装置に送信する。設定情報送信部17による前記設定情報の送信は、特定の条件に満たしている場合、行われる。
斯かる特定の条件は、例えば、ペン型入力器500が被送信電子黒板装置の表示面への接近が検知された場合である。すなわち、被送信電子黒板装置が表示面への接近を検知できる最大距離までペン型入力器500が接近した場合、換言すれば、ペン型入力器500の接近が検知されたときである。
状態遷移部16は、前記遷移指示を受け付けた場合、前記位置指定を受け付けることが可能な位置指定待機状態に自装置を遷移させる。すなわち、電子黒板装置100が後述する電源オン待機の状態である場合、他の電子黒板装置から、前記被送信電子黒板装置として電子黒板装置100に前記遷移指示が送られた場合、状態遷移部16は電子黒板装置100を前記電源オン待機の状態から後述する自動電源オン待機の状態に遷移させる。これによって、電子黒板装置100は表示面101へのペン型入力器500の接近が検出できる状態になる。
また、CPU11は、走査部9の発光素子及び受光素子の制御を行なう。
タッチパネル部100Bは、上記したように、赤外線遮断式タッチパネルである。すなわち、ペン型入力器500の先端が表示部100Aの表示面101をタッチする際、又は、表示面101から所定の距離以内に接近した場合、光遮断が検出されることによって、斯かる遮光物(ペン型入力器500)の位置を検出する。
すなわち、走査結果、受光素子から得られる信号(強度信号)が制御部1に送出され、これに基づき、座標検出部12は斯かる遮光物の座標を検出する。このようにして、タッチパネル部100Bは、ユーザから表示部100A(表示面101)上の位置指定、文字、線画等の入力を受け付ける。
タッチパネル部100Bは、表示部100Aの表示面101に沿って赤外線の光(以下、赤外光と言う。)を走査する走査部9を備えており、走査部9は、赤外光を照射する複数の発光素子を有する発光部91と、対応する発光素子からの赤外光を受光する複数の受光素子を有する受光部92と、制御部1(CPU11)からの発光信号及び受光信号を夫々の発光部91及び受光部92に割り当てるアドレスデコーダ93と、光遮断の検出に用いられる受光部92からのアナログ信号をデジタル信号に変換するA/Dコンバータ94とを備えている。
図10は本発明の実施の形態1に係る電子黒板装置100のタッチパネル部100Bにおける、光の走査の処理を説明する機能ブロック図である。
発光部91は、図示しないマルチプレクサを有しており、発光素子の夫々は該マルチプレクサに接続されている。また、受光部92も、図示しないマルチプレクサを有しており、受光素子の夫々は該マルチプレクサに接続されている。更に、発光部91の各発光素子は、受光部92の何れか一つ受光素子と対向するように構成されている。
制御部1のCPU11は、複数の発光素子を発光させるための発光信号をアドレスデコーダ93Aへ出力すると共に、複数の受光素子を受光させるための受光信号をアドレスデコーダ93Bへ出力する。アドレスデコーダ93Aは、CPU11からの信号に応じて、発光素子のうち、発光に係る何れかの発光素子を特定する信号を発光部91に出力し、またアドレスデコーダ93Bは、CPU11からの信号に応じて、受光素子の内で、前記特定された発光素子に対応する受光素子を特定する信号を受光部92に出力する。
このように特定された発光素子は赤外光を発光し、対応する受光素子は斯かる赤外光を受光する。この際、該受光素子によって受光した赤外光の強度を電圧値で示す強度信号がA/Dコンバータ94に出力される。A/Dコンバータ94は前記強度信号を例えば、8ビットのデジタル信号に変換し、変換後の強度信号を制御部1に出力する。制御部1は、全ての受光素子からの強度信号を取得するために、各受光素子から強度信号を取得する処理を順次繰り返す。
制御部1のCPU11は、各受光素子から取得した強度信号に基づき、該受光素子での受光量を計算する。CPU11は、計算された受光量が予め定められている閾値を超過している場合は、当該受光素子が受光する赤外光の光路は遮断されていないと判定する。また、計算された受光量が、予め定められている閾値以下である場合は、当該受光素子が受光する赤外光の光路が遮断されていると判定する。
このようなCPU11の判定結果に基づき、座標検出部12はペン型入力器500と表示面101との接触(又は接近)の位置を検出する。すなわち、座標検出部12は赤外光の光路が遮断されている受光素子を特定し、特定された受光素子の位置に基づき、表示部100Aの表示面101上における、ペン型入力器500の先端部の位置、すなわち、接触(接近)の座標を検出する処理を行う。
以下に、前記走査及び遮光物との接触位置の検出について詳しく説明する。図11は本発明の実施の形態1の電子黒板装置100における、走査及び遮光物との接触(接近)位置の検出を説明する説明図である。
表示部100Aの表示面101は矩形状であり、表示面101の図面視左側及び上側には、表示部100Aの縁に沿って複数の発光素子911、911、…の列が並設されている。発光素子911は、例えば、赤外光を発光する発光ダイオード(LED)である。図中には、各発光素子911が発光する赤外光の光路を実線の矢印にて示している。
右側の複数の発光素子911、911、…は、夫々の発光素子911が発光する赤外光の光路が表示面101に沿って互いに平行をなすように設けられており、下側の発光素子911、911、…も同様に設けられている。
すなわち、図5の左右方向(X軸方向)における右側の発光素子911、911、…と、上下方向(Y軸方向)における下側の複数の発光素子911、911、…とは、その光路が相互直交するように設けられている。
また、表示部100Aの表示面101上であって、発光素子911、911、…と対向する位置には、受光素子921、921、…が設けられている。
すなわち、表示部100Aの表示面101の左側及び上側には、縁に沿って複数の受光素子921、921、…の列が並設されている。受光素子921は、赤外光を受光する受光ダイオードである。発光素子911、911、…からの赤外光は、対向配置された受光素子921、921、…によって受光されるように構成されている。
発光素子の場合と同様に、上側の受光素子921、921、…と、左側の受光素子921、921、…とは、受光すべき赤外光の光路が相互直交するように設けられている。
走査部9は、表示部100Aの表示面101における、X軸方向の一端から他端まで、またY軸方向の一端から他端まで、1つずつ発光素子911を順次発光させていき、表示部100Aの表示面101における、ペン型入力器500との接触(接近)位置が上述したように検出される。
図12は本発明の実施の形態1に係るペン型入力器500の要部構成を示す機能ブロック図である。ペン型入力器500は、電子黒板装置100と通信可能に構成されており、電子黒板装置100に描画データを送信する。
また、ペン型入力器500は、ユーザにより描画に用いされる際、表示部100Aの表示面101と接触(又は接近)する接触部501と、前記描画データの生成に係る部分を収容するペン型のケーシング502とを有している。接触部501は柱状をなしており、ケーシング502の軸心方向(又は長手方向)に沿う移動ができるように、ケーシング502によって保持されている。
更に、ペン型入力器500は、筆圧検知部510と、制御部520と、記憶部530と、電源部540と、通信部550とを備えており、これらはケーシング502内に収容されている。また、ケーシング502の外側には、ペン型入力器500の機能の切替の指示を受け付ける操作スイッチSが設けられている。
筆圧検知部510は、ユーザがペン型入力器500を握って表示部100Aの表示面101に描画を行なう際、接触部501の先端と、表示面101との接触による接触圧を測定する。換言すれば、該接触によって接触部501にかかる圧力を測定する。
制御部520は、筆圧検知部510による検知結果、ペン型入力器500の識別ID等(描画データ)を、通信部550を介して電子黒板装置100に送信する。また、制御部520は、筆圧検知部510によって検知された接触圧が該閾値を超えた場合にスイッチオンとし、それ以外はスイッチオフとする構成であっても良い。
記憶部530は、例えば、フラッシュメモリ、EEPROM(登録商標)、HDD、MRAM(磁気抵抗メモリ)、FeRAM(強誘電体メモリ)、又は、OUM等の不揮発性の記憶媒体により構成されている。また、記憶部530は、ペン型入力器500の識別ID、操作スイッチSを介してユーザから受け付けた指示、描画に係る設定情報等を記憶している。
電源部540は、上述した部分に対して、電源を供給する。
通信部550は、制御部520から前記描画データを取得して、電子黒板装置100の通信部5に送信する。通信部550は、通信部5に対応して、例えば、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)等の無線通信を行なうように構成されている。
また、本発明に係る表示システム10において、電子黒板装置100〜400は少なくとも2つ以上の待機状態と、主電源オフ状態と、通常状態とを有する。ここで、主電源オフ状態は、主電源スイッチがオフの状態で、通電がされておらず、動作が不可能な状態である。また、通常状態はすぐでも描画等の自装置の機能が実行可能な状態である。
更に、前記待機状態としては、電源オン待機と、自動電源オン待機(位置指定待機状態)とを有している。前記電源オン待機は、主電源はオンであるが、ソフトウェアにより自装置の機能の実行が制限されている状態である。ソフトウェアの制御により自装置の機能の実行が可能な待機状態に遷移できる。また、前記自動電源オン待機は完全ではないものの、すぐに自装置の機能の実行が可能な待機状態であり、表示部100Aの表示面101がオフである。例えば、ペン型入力器500が表示部100Aの表示面101に接近した場合、描画機能が起動できる待機状態である。
本発明はこれに限るものでなく、前記自動電源オン待機と、前記通常状態との間にもう1つの待機状態(位置指定待機状態)を設けても良い。例えば、前記描画機能が起動済みであり、表示部100Aの表示面101のみがオフである待機状態、すなわち、画像表示のみがされない待機状態を更に設けても良い。
また、電子黒板装置100〜400は互いに、有線又は無線にて接続されている。有線によって接続する方法としてシリアルケーブルを用いて接続する方法、LAN(ローカルエリアネットワーク)ケーブルにより接続する方法等がある。一方、無線によって接続する方法としては無線電波、赤外線等を用いる方法がある。このような方法は公知の技術であり、詳しい説明を省略する。
以上のような構成を有する表示システム10においては、一の電子黒板装置でユーザが描画を行う際、該一の電子黒板装置の表示面の使用率が高くなり、他の電子黒板装置での描画が必要であると予想される場合、事前に該他の電子黒板装置を描画処理可能な状態にし、ユーザの利便性を高める。以下、詳しく説明する。
図13は本発明の実施の形態1に係る表示システム10における、描画機能を説明するフローチャートである。以下においては、説明の便宜上、記憶部4が装置管理テーブルを記憶しているものとする。該装置管理テーブルには、電子黒板装置の起動順位、各電子黒板装置の存在の確認如何、各電子黒板装置の運転状態、各電子黒板装置の使用率、有線接続での各電子黒板装置の有線ID、無線接続での各電子黒板装置の無線ID、各電子黒板装置のユニークID等を一括して管理する。
図14は本発明の実施の形態1の電子黒板装置100において、記憶部4に格納されている装置管理テーブルを概念的に示す例示図である。
前記装置管理テーブルは、起動順位1からn番目までの各電子黒板装置に対して、存在が確認されたかを示す検出フラグFj(n)が格納されている。検出フラグFj(n)にて、「0」は「確認できず」、「1」は「確認済みであり、使用中」、「2」は「確認済みであり、未使用」を示している。
また、前記装置管理テーブルは、各電子黒板装置に対して、その電子黒板装置の運転状態を示す運転状態フラグFp(n) が格納されている。運転状態フラグFp(n)にて、「0」は「確認不可」、「1」は「電源オン待機中」、「2」は「自動電源オン待機中」、「3」は「動作中」を示している。
また、前記装置管理テーブルは、の各電子黒板装置に対して、その電子黒板装置における、X軸及びY軸上の使用比率Rbx(n)とRby(n)とを示している。
また、前記装置管理テーブルは、各電子黒板装置に対して、その電子黒板装置の有線接続での有線ID Aw(n) が格納されており、「00」は当該電子黒板装置の確認ができなかったことを示している。更に、前記装置管理テーブルは、各電子黒板装置に対して、その電子黒板装置の無線接続での無線ID Ab(n)、及び、その電子黒板装置だけが持つユニークID SN(n) が格納されている。ユニークID、SN(n)は、例えば、MACアドレス等を用いてもよい。
以下の説明においては、前記装置管理テーブルが電子黒板装置100の記憶部4に格納されている場合を例として説明するが、本発明はこれに限るものでない。各電子黒板装置が夫々有するように構成しても良く、共有できるように構成しても良い。また、このような場合は、各電子黒板装置が装置管理テーブルにアクセスし、自装置に係る装置管理テーブル内容を編集できるようにすれば良い。
まず、ユーザはペン型入力器500を用いて電子黒板装置100の表示面101に描画を開始する。
この際、CPU11は、座標検出部12によって検出されたペン型入力器500の座標であって、遮光物管理部13が記録する、ペン型入力器500の座標履歴に基づいて線図を表示面101に表示する描画処理を実行する(ステップS501)。斯かる描画処理は、例えば、CPU11がROM2に格納された所定のプログラムを実行することにより行われる。
また、CPU11は、ペン型入力器500が表示面101から離れたか否かを判定する(ステップS502)。斯かる判定は、例えば、表示面101上のペン型入力器500の位置(座標)が検出されたか否かに基づいて行われる。
CPU11はペン型入力器500が表示面101から離れていないと判定した場合(ステップS502:NO)、処理をステップS501に戻す。
また、CPU11によって、ペン型入力器500が表示面101から離れたと判定された場合(ステップS502:YES)、使用率算出部14は使用率の算出の処理を開始する(ステップS503)。斯かる、使用率の算出の処理は、図5、図6、図7及び図9に係る方法の何れかであり、これら方法については、既に説明しており、詳しい説明を省略する。
次いで、指示送信部15は使用率算出部14によって算出された使用率(以下、算出使用率)を記憶部4に記憶された閾値と比較することにより、該算出使用率が閾値以上であるか否かを判定する(ステップS504)。
指示送信部15によって、前記算出使用率が閾値以上でないと判定された場合(ステップS504:NO)、処理がステップS501に戻される。また、指示送信部15は、前記算出使用率が閾値以上であると判定した場合(ステップS504:YES)、次に起動すべき電子黒板装置の選択を行う(ステップS505)。斯かる電子黒板装置の選択は、記憶部4に格納されている装置管理テーブルの起動順位に基づいて行われる。
説明の便宜上、前記装置管理テーブルにおける起動順位上、次に起動すべき電子黒板装置は電子黒板装置200であるとする。すなわち、指示送信部15は次に起動すべき電子黒板装置として電子黒板装置200を選択する。
ついで、指示送信部15は、選択された電子黒板装置200に前記遷移指示を送信する(ステップS506)。すなわち、電子黒板装置200は前記被送信電子黒板装置であり、この際、電子黒板装置200は電源オン待機の状態である。
一方、電子黒板装置200においては、前記遷移指示を受信した場合、電子黒板装置200の状態遷移部が電子黒板装置200を前記電源オン待機の状態から前記自動電源オン待機の状態に遷移させる。これによって、電子黒板装置200は自装置の表示面へのペン型入力器500の接近が検出できる状態となる。
また、電子黒板装置200が自装置の表示面への接近を検知できる最大距離までペン型入力器500が接近した場合、換言すれば、電子黒板装置200がペン型入力器500の接近を検知したとき、電子黒板装置200は電子黒板装置100にその旨を示す検知通知を行う。
この際、CPU11は、例えば、通信部5を監視することにより、電子黒板装置200から前記検知通知があったか否かを判定する(ステップS507)。CPU11は、電子黒板装置200から前記検知通知がなかったと判定した場合(ステップS507:NO)、前記検知通知を受信するまで斯かる判定を繰り返して行う。
一方、CPU11によって電子黒板装置200から前記検知通知があったと判定された場合(ステップS507:YES)、設定情報送信部17は、現在の電子黒板装置100及びペン型入力器500の間の設定情報を、被送信電子黒板装置である電子黒板装置200に送信する(ステップS508)。
従って、ユーザが、電子黒板装置100に続いて、電子黒板装置200の表示面に描画を行う場合、前記設定情報に基づいて、電子黒板装置200でも、電子黒板装置100と同一属性の描画図を表示される。
以上のことから、本発明の実施の形態1に係る表示システム10においては、電子黒板装置100での描画スペースがない場合、電子黒板装置200が自ら描画処理ができる状態に運転状態を遷移しておき、ユーザがすぐに電子黒板装置200にて描画を継続でき、中断されることなくユーザが描画を行うことが出来る。
また、本発明の実施の形態1に係る表示システム10においては、電子黒板装置100での描画スペースがない場合、すなわち、使用率が閾値以上である場合、電子黒板装置200が自ら描画処理ができる状態に運転状態を遷移させるので、ユーザが電子黒板装置200の運転状態を描画処理のできる状態にするための操作を省くことが出来る。
(実施の形態2)
実施の形態1に係る表示システム10においては、電子黒板装置100が装置管理テーブルを有しており、他の電子黒板装置200〜400において、起動順位が前もって定められている場合を例として説明した。しかし、本発明は、これに限るものでない。例えば、他の電子黒板装置200〜400における起動順位が定められていない場合であっても、適用することが出来る。
図15は本発明の実施の形態2に係る表示システム10における、描画機能を説明するフローチャートである。
まず、ユーザはペン型入力器500を用いて電子黒板装置100の表示面101に描画を開始する。
ステップS601〜ステップS604の処理は、図13における、ステップS501〜ステップS504の処理と同様であり、詳しい説明を省略する。
一方、ステップS604にて、前記算出使用率が閾値以上であると判定された場合(ステップS604:YES)、CPU11は、前記装置管理テーブルを参照することにより、起動順位の設定があるか否かを判定する(ステップS605)。
CPU11によって起動順位の設定がないと判定された場合(ステップS605:NO)、指示送信部15は、全ての他の電子黒板装置200〜400に前記遷移指示を送信する(ステップS610)。この際、電子黒板装置200〜400は電源オン待機の状態である。
該遷移指示を受信した電子黒板装置200〜400の状態遷移部は、夫々自装置を前記電源オン待機の状態から前記自動電源オン待機の状態に遷移させる。これによって、電子黒板装置200〜400は自装置の表示面へのペン型入力器500の接近が検出できる状態となる。
この後、ユーザは、使用率が閾値以上である、換言すれば、これ以上描画スペースがない電子黒板装置100を除く、他の電子黒板装置200〜400の何れかに、描画を継続するつもりで、ペン型入力器500を近づける。この際、斯かる電子黒板装置はペン型入力器500の接近を検知し、電子黒板装置100にその旨を示す検知通知を行う。以下、ユーザは他の電子黒板装置200〜400のうち、電子黒板装置200に描画を続けることする。
この際、CPU11は、例えば、通信部5を監視することにより、電子黒板装置200〜400の何れかから前記検知通知があったか否かを判定する(ステップS611)。CPU11は前記検知通知がなかったと判定した場合(ステップS611:NO)、前記検知通知を受信するまで斯かる判定を繰り返して行う。
一方、CPU11によって前記検知通知があったと判定された場合(ステップS611:YES)、設定情報送信部17は、斯かる検知通知の通知元である電子黒板装置200に、現在の電子黒板装置100及びペン型入力器500の間の設定情報を送信する(ステップS612)。
次いで、CPU11は、電子黒板装置200を除く電子黒板装置300、400に、再び電源オン待機の状態に戻る旨の指示を送信する(ステップS613)。これにより、ユーザにより使用されない電子黒板装置300、400は電源オン待機の状態に遷移し、無駄な電力消費を未然に防止できる。
一方、CPU11によって起動順位の設定があると判定された場合(ステップS605:YES)、処理はステップS606に進む。
以降、ステップS606〜ステップS609における処理は、図13における、ステップS505〜ステップS508の処理と同様であり、詳しい説明を省略する。
以上のように、本発明の実施の形態2に係る表示システム10においても、電子黒板装置100での描画スペースがない場合、ユーザがすぐに他の電子黒板装置200〜400にて描画を継続でき、中断されることなくユーザが描画を行うことが出来る。また、この際、斯かる電子黒板装置が自ら描画処理ができる状態に運転状態を遷移させるので、ユーザは該電子黒板装置を描画処理のできる状態にするために、電源オン、描画に係る機能の立ち上げ等の操作を省くことが出来る。
図16は本発明の実施の形態2に係る表示システム10において、一の電子黒板装置における使用率が閾値以上である場合の処理を説明する説明図であり、図17は斯かる処理を時系列に示した図である。
例えば、電子黒板装置100〜400間の接続が無線にて行われ、夫々の電子黒板装置の位置判別が難しく、電子黒板装置100〜400における起動順位の設定もないとする。
ユーザは電子黒板装置100〜400のメイン電源をオンにして(図17のt0時)、まず、電子黒板装置200にて描画を開始する(図17のt0′時)。この際、電子黒板装置200は通常状態であり、電子黒板装置100、300、400は電源オン待機の状態である(図16のA)。
電子黒板装置200での使用率が高まり閾値以上になると(図17のtp1時)、他の電子黒板装置100、300、400での描画がすぐ出来るように、電子黒板装置200は電子黒板装置100、300、400に前記遷移指示を送信する。該遷移指示を受信して電子黒板装置100、300、400は前記自動電源オン待機の状態に遷移する(図16のB)(図17のtp1′時)。
この際、すなわち、tp1〜tp1′間は電子黒板装置100、300、400が自ら自動電源オン待機の状態に遷移するので、従来の場合に比べてユーザの描画作業は中断されない。
ユーザは電子黒板装置200の次に、電子黒板装置100を使用しようとペン型入力器500を近づける。この時、電子黒板装置100は瞬時描画に係る機能を立ち上げ、描画処理ができる通常状態に遷移する(図16のC)。この際、電子黒板装置100(又は電子黒板装置200)は、電子黒板装置300、400に再び電源オン待機の状態に戻る旨指示し(図17のt1時)、電子黒板装置300、400は電源オン待機の状態に戻る(図17のt1′時)。
また、本発明はこれに限るものでなく、一定時間経過までペン型入力器500の接近が検出されない場合、電子黒板装置300、400が自ら電源オン待機の状態に遷移するように構成しても良い。
以降、電子黒板装置100での使用率が高まり閾値以上になると(図17のtp2時)、他の電子黒板装置300、400での描画がすぐ出来るように、電子黒板装置100は電子黒板装置300、400に前記遷移指示を送信する。該遷移指示を受信して電子黒板装置300、400は前記自動電源オン待機の状態に遷移する(図16のD)(図17のtp2′時)。
ユーザは電子黒板装置100の次に、電子黒板装置400を使用しようとペン型入力器500を近づける。この時、電子黒板装置400は瞬時描画に係る機能を立ち上げ、描画処理ができる通常状態に遷移する(図16のE)。この際、電子黒板装置400(又は電子黒板装置100)は再び電源オン待機の状態に戻る旨の指示を電子黒板装置300に行い(図17のt2時)、電子黒板装置300は電源オン待機の状態に戻る(図17のt2′時)。
また、本発明はこれに限るものでない。現在、電子黒板装置300が最後に残っているので、電源オン待機の状態に戻らず、自動電源オン待機の状態のまま待機するように構成しても良い。また、電子黒板装置400での使用率が閾値以上に達した場合、これに連動して電子黒板装置300が通常状態に遷移するように構成しても良い。
前記tp2〜tp2′間は、上述したtp1〜tp1′間と同様、従来の場合に比べてユーザの描画作業は中断されない。
実施の形態1と同様の部分については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
(実施の形態3)
有線による接続の場合でもシリアルケーブルのような有線接続では、電子黒板装置間の配置、即ち隣り合う電子黒板装置を特定することが出来るので、本発明の実施の形態3に係る表示システム10は、たとえ、起動順位の定めがない場合であっても、電子黒板装置の位置に基づいて対応することができる。以下、詳しく説明する。
図18は本発明の実施の形態3に係る表示システム10において、一の電子黒板装置における使用率が閾値以上である場合の処理を説明する説明図である。以下、説明の便宜上、電子黒板装置100〜400間の接続がシリアルケーブルのような有線接続にて行われているとする。
ユーザは電子黒板装置100〜400のメイン電源をオンにして(図17のt0時)、まず、電子黒板装置200にて描画を開始する(図17のt0′時)。この際、電子黒板装置200は通常状態であり、電子黒板装置100、300、400は電源オン待機の状態である(図18のA)。
電子黒板装置200での使用率が高まり閾値以上になると、電子黒板装置200の両側にある電子黒板装置100、300での描画がすぐ出来るように、電子黒板装置200は電子黒板装置100、300に前記遷移指示を送信する。該遷移指示を受信して電子黒板装置100、300は前記自動電源オン待機の状態に遷移する(図18のB)。
ユーザは電子黒板装置200の次に、電子黒板装置100を使用しようとペン型入力器500を近づける。この時、電子黒板装置100は瞬時描画に係る機能を立ち上げ、描画処理ができる通常状態に遷移する(図18のC)。この際、電子黒板装置100(又は電子黒板装置200)は、電子黒板装置300に再び電源オン待機の状態に戻る旨指示し、電子黒板装置300は該指示に応じて電源オン待機の状態に戻る。
また、本発明はこれに限るものでなく、一定時間経過までペン型入力器500の接近が検出されない場合、電子黒板装置300が自ら電源オン待機の状態に遷移するように構成しても良い。
以降、電子黒板装置100での使用率が高まり閾値以上になると、電子黒板装置300での描画がすぐ出来るように、電子黒板装置100は電子黒板装置300に前記遷移指示を送信する。該遷移指示を受信して電子黒板装置300は前記自動電源オン待機の状態に遷移する(図18のD)。
ユーザは電子黒板装置100の次に、ペン型入力器500を電子黒板装置300に近づける。この時、電子黒板装置300は瞬時描画に係る機能を立ち上げ、描画処理ができる通常状態に遷移する(図18のE)。この際、電子黒板装置300(又は電子黒板装置100)は再び電源オン待機の状態に戻る旨の指示を電子黒板装置400に行い、電子黒板装置400は電源オン待機の状態に戻る。
以上のように、本発明の実施の形態3に係る表示システム10は、各電子黒板装置の位置が特定できる場合は、現在使用中の電子黒板装置の左右両側の電子黒板装置が先に自動電源オン待機の状態に遷移するように構成することにより、たとえ、起動順位の定めがない場合であっても、本発明に係る効果を図ることが出来る。
また、以上の記載に限るものでなく、電子黒板装置100〜400に上位から下位にIDが振られるように構成した場合でも、本発明の実施の形態3に係る表示システム10を適用することができることは言うまでもない。
実施の形態1と同様の部分については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
なお、上述した使用率算出部14、指示送信分15、状態遷移部16及び設定情報送信部17は、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、CPU11が所定のプログラムを実行することにより、ソフトウェア的に構築されてもよい。
以上の記載においては、電子黒板装置100が特許請求の範囲に記載の一の表示装置に該当し、電子黒板装置200〜400が特許請求の範囲に記載の他の表示装置に該当する場合を例として説明した。しかし、電子黒板装置200〜400が特許請求の範囲に記載の一の表示装置に該当し、電子黒板装置100が特許請求の範囲に記載の他の表示装置に該当する場合においても本発明を適用可能であることは言うまでもない。
(実施の形態4)
図19は本発明の実施の形態4の表示システム10における、電子黒板装置100の要部構成を示す機能ブロック図である。実施の形態4に係る電子黒板装置100は、動作を行うためのコンピュータプログラムが、I/F6を介してUSBメモリ等の可搬型記録媒体Aで提供することも可能であるように構成されている。さらに、実施の形態4に係る電子黒板装置100は、前記コンピュータプログラムを、外部装置から通信部5を介してダウンロードすることも可能であるように構成されている。以下に、その内容を詳しく説明する。
実施の形態4に係る電子黒板装置100は外装(又は内装)の記録媒体読み取り装置(図示せず)を備えており、該記録媒体読み取り装置に、表示面101に対するオブジェクト表示の割合を示す使用率を算出し、算出された使用率に基づいて、特定の待機状態に遷移する遷移指示を他の表示装置に送信させるプログラム等が記録された可搬型記録媒体Aを挿入して、例えば、CPU11がROM2にこのプログラムをインストールする。かかるプログラムはRAM3にロードして実行される。これにより、本発明の実施の形態4に係る電子黒板装置100として機能する。
前記記録媒体としては、いわゆるプログラムメディアであっても良く、磁気テープ及びカセットテープ等のテープ系、フレキシブルディスク及びハードディスク等の磁気ディスク並びにCD−ROM/MO/MD/DVD等の光ディスクのディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM、EPROM、EEPROM(登録商標)、フラッシュROM等による半導体メモリを含めた固定的にプログラムコードを担持する媒体であっても良い。
通信部5を介してネットワークからプログラムコードをダウンロードするように流動的にプログラムコードを担持する媒体であっても良い。なお、このように通信ネットワークからプログラムをダウンロードする場合には、そのダウンロード用のプログラムは予め本体装置に格納しておくか、あるいは別な記録媒体からインストールされるものであっても良い。なお、本発明は、前記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
実施の形態1と同様の部分については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
本発明の実施態様1においては、描画による画像を含むオブジェクトが表示される表示面101を備える複数の表示装置と、該表示面101上に前記描画に係る位置指定を行う位置指定装置500とを含む表示システム10において、一の表示装置100は、前記表示面101に対する前記オブジェクト表示の割合を示す使用率を算出する使用率算出部14と、算出された使用率に基づいて、特定の待機状態に遷移する遷移指示を他の表示装置200〜400に送信する指示送信部15とを備えており、前記他の表示装置200〜400は、前記遷移指示を受け付けた場合、前記位置指定を受け付けることが可能な位置指定待機状態に遷移させる状態遷移部16を備えることを特徴とする。
本発明によれば、前記一の表示装置にて描画を行っていたユーザが、前記他の表示装置にて描画を続ける場合、前記使用率算出部が前記使用率を算出し、例えば、算出された使用率が所定の閾値以上である場合、前記指示送信部が前記遷移指示を前記他の表示装置に送信する。前記遷移指示を受け付けた場合、前記他の表示装置の状態遷移部は自装置を前記位置指定待機状態に遷移させる。
本発明の実施態様2においては、前記一の表示装置100は、前記指示送信部15による前記遷移指示の送信後、現在の自装置100及び前記位置指定装置500の間の設定情報を、前記他の表示装置200〜400に送信する設定情報送信部17を備えることを特徴とする。
本発明によれば、前記指示送信部による前記遷移指示の送信後、前記一の表示装置の設定情報送信部は、現在の自装置及び前記位置指定装置の間の設定情報を前記他の表示装置に送信する。
本発明の実施態様3においては、前記他の表示装置200〜400は複数であり、該他の表示装置200〜400を所定の順序に対応付けて記憶している記憶部4を備え、前記指示送信部15は、前記順序に基づいて、前記遷移指示の送信を行うことを特徴とする。
本発明によれば、算出された使用率に基づいて前記指示送信部が前記遷移指示を送信する際、前記記憶部に記憶されている前記他の表示装置に係る順位に基づいて、前記遷移指示を他の表示装置に送信する。
本発明の実施態様4においては、前記他の表示装置200〜400は複数であり、前記指示送信部15は、前記他の表示装置200〜400の位置に基づく順序に応じて、前記遷移指示の送信を行うことを特徴とする。
本発明によれば、算出された使用率に基づいて前記指示送信部が前記遷移指示を送信する際、前記他の表示装置の位置に基づく順序に応じて前記遷移指示を他の表示装置に送信する。
本発明の実施態様5においては、前記他の表示装置200〜400は複数であり、前記指示送信部15は、前記他の表示装置200〜400に対して共に前記遷移指示の送信を行うことを特徴とする。
本発明によれば、算出された使用率に基づいて前記指示送信部が前記遷移指示を送信する際、例えば、所定の順序がなく、他の表示装置夫々の位置が特定できないような場合は、前記他の表示装置に対して共に前記遷移指示の送信を行う。
本発明の実施態様6においては、前記指示送信部15による前記遷移指示の送信後、前記他の表示装置200〜400の表示面101及び前記位置指定装置500間の距離に応じて、前記設定情報送信部17は前記設定情報の送信を行うことを特徴とする。
本発明によれば、前記指示送信部による前記遷移指示の送信後、前記位置指定装置が前記他の表示装置の何れかに接近することにより、斯かる表示装置の表示面及び前記位置指定装置間の距離が所定距離以下になった場合、前記設定情報送信部は前記設定情報を斯かる表示装置に送信する。
本発明の実施態様7においては、前記指示送信部15による前記遷移指示の送信後、前記一の表示装置100の表示面101及び前記位置指定装置500間の距離に応じて、前記設定情報送信部17は前記設定情報の送信を行うことを特徴とする。
本発明によれば、前記指示送信部による前記遷移指示の送信後、前記位置指定装置が前記一の表示装置から離れて前記他の表示装置の何れかに接近することにより、前記一の表示装置の表示面及び前記位置指定装置間の距離が所定距離以上になった場合、前記設定情報送信部は前記設定情報を斯かる表示装置に送信する。
本発明の実施態様8においては、前記表示面101上の位置はX軸の座標及びY軸の座標により定められ、前記使用率算出部14は、前記X軸及び前記Y軸夫々における、前記表示面101上の余白に基づいて、前記使用率を算出することを特徴とする。
本発明によれば、前記使用率算出部は前記使用率を算出する際、前記X軸及び前記Y軸夫々における、前記表示面上の余白に基づいて、前記使用率を算出する。
本発明の実施態様9においては、前記表示面101上の位置はX軸の座標及びY軸の座標により定められ、前記使用率算出部14は、前記X軸及び前記Y軸における座標が前記オブジェクトに係る座標と重複するか否かに基づいて前記使用率を算出することを特徴とする。
本発明によれば、前記使用率算出部は前記使用率を算出する際、前記X軸及び前記Y軸における座標が前記オブジェクトに係る座標と重複するか否かに基づいて前記使用率を算出する。
本発明の実施態様10においては、前記他の表示装置200〜400は、前記位置指定待機状態では画像表示を行わないように構成されていることを特徴とする。
本発明によれば、前記遷移指示を受け付けて何れかの他の表示装置が前記位置指定待機状態に遷移された場合、斯かる他の表示装置は該位置指定待機状態では画像表示を行わず、消費電力を抑える。
本発明の実施態様11においては、描画による画像を含むオブジェクトが表示される表示面101を備える複数の表示装置と、該表示面101上に前記描画に係る位置指定を行う位置指定装置500とを含む表示システム10における、一の表示装置100を構成するコンピュータに実行させるコンピュータプログラムにおいて、コンピュータに、前記表示面101に対する前記オブジェクト表示の割合を示す使用率を算出し、算出された使用率に基づいて、特定の待機状態に遷移する遷移指示を他の表示装置200〜400に送信する処理を実行させることを特徴とする。
本発明によれば、一の表示装置は、前記表示面に対する前記オブジェクト表示の割合を示す使用率を算出し、算出された使用率に基づいて、特定の待機状態に遷移する遷移指示を他の表示装置に送信する。
本発明の実施態様12においては、記録媒体Aが前述の発明のコンピュータプログラムを記録してあることを特徴とする。
本発明によれば、前記記録媒体に前述のコンピュータプログラムを記録する。コンピュータが前記記録媒体からコンピュータプログラムを読み出して、前述の表示システムがコンピュータにより実現される。