JP2016175662A - 充填ノズル装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明の充填ノズル装置は、次の(a1)〜(a4)の要素を全て備える。(a1)充填する液体源に接続されたノズル本体。(a2)ノズル本体の充填口を開閉する弁体を先端部に有し、ノズル本体内を昇降する弁棒。(a3)前記弁棒とノズル本体とを液体の洩れが無いように連結する柔軟なダイアフラム。(a4)ノズル本体内部の圧力及びまたはノズル近傍の位置における充填する液体源の圧力を検出し、その圧力と等しい圧力を前記ダイアフラムの液体と接しない側の空間に加える加圧手段。
【選択図】 図1
Description
液体が高粘度であったり、粘着性が高かったり、またノズル装置の機構部品の動作による摩擦やせん断力によって固化変質しやすいもの等の場合は、ノズル装置の設計において配慮が必要である。
本印刷インキは感光性樹脂であるオリゴマーやモノマーを含み、一般に高粘度であり、また摩擦やせん断力の作用を受けると固まり易い傾向がある。従ってそのインキを充填するために従来のノズル装置を用いると、機構部品の摩擦や摺動によってインキがノズル内に固着しやすい。
その弁座と弁体との当接面が円錐面を形成するとともに、弁座の先端部および弁体の先端部がともに鋭角をなしており、インキ等高粘度の充填物にあっても、液垂れ、糸ひき等を生じることなく充填することができると記載されている。
本文献のノズル装置においては、弁体を設けた弁棒がノズル外筒の中空部を昇降する。弁棒とその軸ホルダの摺動部に充填物が浸入することを防止するために、その図2では軸ホルダ及び弁棒を覆うベローズを配置する方法が示されている。尚、摺動(しゅうどう又はしょうどう)とは、機械部品等がこすれ合い、すべりながら動くことを言う。
ベローズとは蛇腹形状で伸縮が可能な部材であり、そのバネ性、伸縮性、密閉性等を利用する箇所に用いられる。蛇腹のひだ(凹凸)に高粘度の材料や付着性のある材料が入り込むと、清掃が困難な場合がある。またベローズは繰り返しの伸縮で疲労し、破れ等のトラブルが起きる場合がある。
前記のベローズの洗浄性が悪いことに対する解決手段として、本文献ではその図6において、ベローズを用いず、弁棒と軸ホルダの摺動部にパッキンを用いた方法が示されている。パッキンを用いる場合は、弁棒表面に薄膜状に付着した材料が摺動部に浸入することを完全に防ぐことは困難である。熱や摩擦によって固化等変質し易い材料の場合は、使用するに従い次第に摺動部に材料が付着堆積し、充填物への異物混入や弁棒の動作不良を起こす場合がある。
本文献のノズル装置においては、先端がシャットオフバルブ機構を形成する移動体がノズル内部にある。上下する移動体の上部とノズルとはダイアフラムで結合されて密閉されている。移動体はその内部に中子ロッドを有し、その中子ロッドは移動体内を上下することができる。充填終了時には中子ロッドは上方に移動して移動体内部に引き込まれて、その図4に示されるように移動体先端部に凹部を形成する。ノズル出口にわずかに残る液体を表面張力でこの凹部に保持し、充填終了時の液垂れをなくすことが記載されている。
液垂れをなくすための中子ロッドの機構は、中子ロッドと移動体とが摺動摩擦することにより、使用するに従い次第に摺動部に材料が付着固化し、充填物への異物混入や中子ロッドの動作不良を起こす場合があると考えられる。
また本文献の発明の課題の一つである単位時間あたりの充填量を大きくするためには、充填する液体を多く供給する必要があり、そのために供給圧力を高くすることになる場合が多い。その場合、本文献のようにダイアフラムで密閉する方法においては、移動体が上下するのでダイアフラムは柔軟性のある材料でなければならず、それ故に圧力が高くなるとダイアフラムが圧力に負けて破れが発生する場合がある。強度が高く破れにくいダイアフラムを使うと柔軟性が低下して移動体の上下動が困難になる場合がある。
さらにダイアフラムを使用する従来の機器や装置にくらべて、充填する液体を高圧で充填ノズル装置に送ることができ、それによって充填速度を高くすることができる充填ノズル装置を提供することを課題とする。
(a1)充填する液体源に接続されたノズル本体。
(a2)ノズル本体の充填口を開閉する弁体を先端部に有し、ノズル本体内を昇降する弁棒。
(a3)前記弁棒とノズル本体とを気体及び液体の洩れが無いように連結する柔軟なダイアフラム。
(a4)ノズル本体内部の圧力及びまたはノズル近傍の位置における充填する液体源の圧力を検出し、その圧力と等しい圧力を前記ダイアフラムの液体と接しない側の空間に加える加圧手段。
(b1)前記ダイアフラムの液体と接しない側の空間が、(c1)不活性ガス、(c2)充填する液体、及び(c3)充填する液体の成分の一部、の3つの要素から成る群から選ばれるいずれか一つで満たされている。
またノズル本体内の洗浄を容易に行うことができる。さらに高圧で充填液体を送ることができるため、充填速度を高くすることができる。
本発明の充填ノズル装置について説明する。尚、本出願の願書に添付した図面は、本発明を明瞭に理解するための概念図である。理解のために不要な部分や本質的で無い部分は略するか図示していない場合がある。
図1は本発明の充填ノズル装置の基本的な構造の一例を示す断面図である。
1はノズル本体であり、その内部を弁棒2が上下方向に移動する。弁棒2の移動により、その先端部の弁体3とノズル本体の充填物が吐出する部分にある弁座4とが開閉し、充填される液体の吐出と停止とを制御する。弁体3及び弁座4で形成される部分をノズルの吐出口と呼ぶことがある。液体の吐出を停止した状態では弁体3と弁座4とは密着して閉じている。
ノズル本体内にはダイアフラム5が有り、ノズル本体とは9の部分で緊密に固定され、10の部分で弁棒と緊密に固定されている。ダイアフラムは弁棒の上下動に支障が無いように、合成樹脂、ゴム等の柔軟な材料で作られている。
ノズル本体には13の部分につながる配管7が接続されている。
図1において、ノズル本体内部の11の部分の液体の圧力により、ダイアフラムは13の部分の方向に押される圧力を受ける。圧力の強さやダイアフラムの強度によっては、13の部分は大気開放の状態であっても、気体が密閉された空間であっても、ダイアフラムが過度に変形したり破れたりする等の問題無しに充填作業ができる場合がある。
破れないようにダイアフラムの強度を高くすると、その柔軟性が低下し、ダイアフラムに緊密に結合する弁棒の上下の動きを妨げて充填作業に支障を来たす場合がある。
また圧力を加えない場合に比べて、11の部分の液体の圧力を高くすることができる。即ち高圧で液体を充填ノズルに送ることができ、充填処理速度を高めることができる。
本発明の実施においては、ダイアフラムが過度に変形したり破れたりすることが無いように13の部分の圧力を調節する。本発明において、「等しい圧力」を加えるとは、例えば11の部分の圧力を100として、80〜100の範囲で13の部分に加圧することを含む。90〜100、さらには95〜100とより狭く近い範囲に加圧することは当然より好ましい。加圧の程度を調節する範囲は、ダイアフラムの強度や、11の部分の圧力に応じて決定する。11の部分と13の部分との圧力はできるだけ近いことが好ましいが、液体の性状やダイアフラムの強度、圧力制御の応答性によって実際に可能な圧力の制御範囲は異なる。
ダイアフラムは充填機の動作に従って動くので、例え圧力を完全に等しくした場合でも長期間使用すれば疲労し破損する。ダイフラムの交換頻度、交換作業による充填作業への支障の程度等を考慮して、どこまで厳密に圧力制御を行うかを決定することが好ましい。
ノズル本体の内部の液体11の圧力を検知するために圧力センサー30が取り付けられている。同様に、配管6の内部の圧力を検知するために圧力センサー31が取り付けられており、13の部分の圧力を検知するために圧力センサー32が取り付けられている。
充填ノズル本体及び配管12は一般に近接しているため、圧力センサー30及び31の両方は必ずしも必要ではない。圧力センサーは配管に取り付ける方が一般に容易であるので、圧力センサー31だけでも十分な制御が可能であることが多い。取り付け場所の確保や取り付けが容易かどうかにより、圧力センサーの数や位置を選択すれば良い。
同様に、13の部分の圧力の検知についても、センサー32は図5の位置の他に、配管7に取り付けても良く、また配管7のみに取り付けても良い。
気体としては一般の空気圧を用いて圧力を加えることができる。長期間の運転でダイフラムが疲労して破れたりすることは避けられないが、気体を用いて圧力を加える場合は、仮に破れが発生した場合、11の液体中に気泡が混入し、吐出される液体に気泡が混じってくるため、破れを直ぐに発見して対処することができる。
7の配管を経由して気体又は液体を13の部分に送り、13の部分の圧力を制御する場合も、7の配管に外部制御レリーフ弁等を設けて、圧力センサー32等の計測値に応じて13の部分の圧力制御を行うことができる。
図2は充填ノズルの吐出口付近の構造の一例を示す図である。弁体3の先端部および弁座4の先端部はいずれも鋭角に仕上げられていることが好ましく、弁を閉じたときはそれぞれの先端部ができるだけ一致することが好ましい。
例えば図6に示すように、弁座4及び弁体3の先端部が鋭角に仕上げられていない場合は、特に粘度や付着性が高い液体の場合は吐出口が閉じた場合に、吐出口付近に40のように液体が付着しやすくなる。これは液体が付着しやすい部分の面積が大きくなるためである。付着した液体は次第に堆積して液だれし、充填する容器や周辺部をよごすなどの問題を引き起こす場合がある。
図1の弁体3及び弁棒2と比べると、図2の例では弁体3及び弁棒2の内部を貫通する気体通路14が設けられている。これは吐出口が閉じた状態で吐出口付近に付着した液体を気体で吹き飛ばして、付着した液体が堆積することを防ぐためである。充填する液体の種類や充填条件によっては、通路14に気体ではなく液体を通すこともできる。
気体通路14に気体を通すのは、例えば吐出口が閉じた瞬間が好ましい。
図7〜9は実施例及び比較例で用いたノズル(a)〜(c)の3種類の概略図である。
図7は本発明のノズルの一例であり、詳細な構造は図1に示す通りである。
図8では弁棒2の軸受け50を、ベローズ51を用いてシールしている。
図9では弁棒2の軸受け52の部分をフッ素系エラストマーを用いたパッキンでシールしている。フッ素系エラストマーは、テトラフルオロエチレンやフッ素系ゴム等に比べて、耐薬品性、耐熱性及び柔軟性を兼ね備える材料である。
実施例及び比較例とも、充填する液体としてDICグラフィックス株式会社製の紫外線硬化型印刷インキ(商品名ダイキュア アビリオ プロセス 透明黄 N)を用いた。
このインキは、紫外線照射以外にも摺動摩擦などで硬化(ゲル化)してしまうことが知られている。
ノズルの概略図を図7に示す。弁棒のシールはポリテトラフルオロエチレン製のダイアフラムを用いた。実施例のノズル(a)において、図1の13に相当する部分(以下甲部と呼ぶ)へは空気を用いて加圧した。充填作業時において、図1の11に相当する部分(以下乙部と呼ぶ)の圧力は0.1MPa〜0.5MPaの範囲で変動した。甲部に加圧する圧力と、乙部の圧力を基準として80〜100%となるように制御した。
一日当たり約6時間、6カ月間充填作業を行った後、ノズルを分解して確認した結果、ダイアフラムには傷みは観察されなかった。またダイアフラムへのインキの固着等も見られなかった。
ノズルの概略図を図8に示す。弁棒のシールはステンレス(SUS304)製のベローズを用いた。一日当たり約6時間、3カ月間充填作業を行った後、ノズルを分解して確認した結果、ベローズにインキが固着しており、剥がれて製品への混入の恐れがあるため使用を停止してベローズの清掃を行った。ベローズには摺動部は無いため、硬化物(ゲル化物)は発生していなかった。またベローズには相当程度の疲労、傷みが見られ、これ以上の継続使用は破れの発生等により生産に支障を来たす恐れがあると判断された。
ノズルの概略図を図9に示す。弁棒のシールはポリテトラフルオロエチレンのパッキン(Vパッキン)を用いた。一日当たり約6時間充填作業を行ったが、約10時間使用したところで、弁の開閉ができなくなる不具合が発生した。ノズルを分解して確認した結果、パッキンとその周辺にインキが固着しており、弁棒が動かなくなっていることが判明した。
またノズル本体内の洗浄を容易に行うことができる。
2 弁棒
3 弁体
4 弁座
5 ダイアフラム
6 充填する液体を供給する配管
7 13の部分に接続される配管
8 弁棒の軸受け
9 ダイアフラムとノズル本体とを固定する部分
10 ダイアフラムと弁棒とを固定する部分
11 充填する液体が存在する部分
12 充填する液体
13 ダイアフラムによって11の部分と仕切られた部分
14 通路の出口
20 ポンプ
21 充填する液体のタンク
22 充填する液体のタンク
23 タンク22から液体を圧送するためのピストン
24 配管
30 圧力センサー
31 圧力センサー
32 圧力センサー
40 ノズルの吐出口付近に付着した液体
50 弁棒の軸受け
51 ベローズ
52 Vパッキンを組み込んだ弁棒の軸受け
Claims (2)
- 次の(a1)〜(a4)の要素を全て備える充填ノズル装置。
(a1)充填する液体源に接続されたノズル本体。
(a2)ノズル本体の充填口を開閉する弁体を先端部に有し、ノズル本体内を昇降する弁棒。
(a3)前記弁棒とノズル本体とを気体及び液体の洩れが無いように連結する柔軟なダイアフラム。
(a4)ノズル本体内部の圧力及びまたはノズル近傍の位置における充填する液体源の圧力を検出し、その圧力と等しい圧力を前記ダイアフラムの液体と接しない側の空間に加える加圧手段。 - 次の(b1)の要素を備える請求項1に記載の充填ノズル装置。
(b1)前記ダイアフラムの液体と接しない側の空間が、(c1)不活性ガス、(c2)充填する液体、及び(c3)充填する液体の成分の一部、の3つの要素から成る群から選ばれるいずれか一つで満たされている。
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