JP2016174858A - 医療用デバイス - Google Patents
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Abstract
【課題】生体管腔を閉塞することなく所望の穿刺深さで安定して穿刺をすることができる医療用デバイスを提供する。
【解決手段】医療用デバイス10Aは、湾曲可能な湾曲部20を有し生体内に挿入可能な挿入管12を備える。湾曲部20は、互いに回動可能に連結された複数の管状体24を有する。医療用デバイス10Aはさらに、挿入管12の内側に配置され湾曲部20を駆動する湾曲駆動部材14と、挿入管12の内側に配置され、湾曲部20が湾曲しているときに、隣接する管状体24間の湾曲外周側の隙間から突出可能な針部材16とを備える。
【選択図】図1
【解決手段】医療用デバイス10Aは、湾曲可能な湾曲部20を有し生体内に挿入可能な挿入管12を備える。湾曲部20は、互いに回動可能に連結された複数の管状体24を有する。医療用デバイス10Aはさらに、挿入管12の内側に配置され湾曲部20を駆動する湾曲駆動部材14と、挿入管12の内側に配置され、湾曲部20が湾曲しているときに、隣接する管状体24間の湾曲外周側の隙間から突出可能な針部材16とを備える。
【選択図】図1
Description
本発明は、生体内を穿刺する医療用デバイスに関する。
生体内を穿刺する従来の医療用デバイスとしては、例えば、下記特許文献1に開示された内視鏡用注射具がある。特許文献1の内視鏡用注射具は、内視鏡の処置具挿通チャンネル内に挿通して使用される送液チューブを有する。送液チューブの先端には、生体管腔壁に突き刺すことが可能な注射針部が形成されている。
しかしながら、特許文献1の医療用デバイスでは、ユーザ(手技者)の手元から穿刺部(注射針部)までの経路で発生する撓みの影響により、穿刺部を生体管腔の対象部位に対して正確に位置決めするのが難しい。このため、所望の穿刺深さで安定して穿刺をするのが難しく、手技が簡単にできない。また、穿刺時の反力に対抗するために例えば穿刺反対方向にバルーンを配置して拡張すると、生体管腔を閉塞してしまう。
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、生体管腔を閉塞することなく所望の穿刺深さで安定して穿刺をすることができる医療用デバイスを提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明の医療用デバイスは、湾曲可能な湾曲部を有し、前記湾曲部が、互いに回動可能に連結された複数の管状体を有し、生体内に挿入可能な挿入管と、前記挿入管の内側に配置され、前記湾曲部を駆動する湾曲駆動部材と、前記挿入管の内側に配置され、前記湾曲部が湾曲しているときに、隣接する前記管状体間の湾曲外周側の隙間から突出可能な針部材と、を備える、ことを特徴とする。
上記のように構成された医療用デバイスによれば、デバイス表面の湾曲外周側が管腔内面に密着し、デバイス表面の湾曲外周側によって管腔の湾曲外周側が引き伸ばされ、管腔内面に密着するデバイス表面を基準に針部材を突出させることができる。これにより、安定して確実且つ簡単に生体内の対象部位に穿刺することができるとともに、針部材による穿刺深さを容易にコントロールできる。また、穿刺時に管腔を閉塞することがない。
上記の医療用デバイスにおいて、前記湾曲駆動部材は、前記挿入管に対して軸方向に移動可能な移動部を有し、針部材において、前記湾曲部から突出可能な部分よりも基端側は、前記移動部に固定されており、前記挿入管に対する前記移動部の前進に伴って、湾曲部が湾曲するとともに前記湾曲外周側で前記針部材が前進することで、前記針部材が前記湾曲部から突出してもよい。
この構成により、湾曲駆動部材による湾曲部の湾曲時に、針部材が自動的に湾曲部から突出するので、簡易操作で迅速に穿刺することができる。また、湾曲部の湾曲時には常に規定長さだけ針部材が突出するので、所望深さの穿刺を容易に遂行できる。
上記の医療用デバイスにおいて、前記針部材は前記挿入管に対して軸方向に移動可能に配置され、前記医療用デバイスは、前記針部材を軸方向に操作する針操作部をさらに備えてもよい。
この構成により、生体管腔内で湾曲部を湾曲させた後、手技者の任意のタイミングで湾曲部から針部材を突出させ、穿刺することができる。また、穿刺深さを容易に調整することができる。
上記の医療用デバイスにおいて、湾曲時の前記湾曲部は、前記湾曲外周側に複数の隙間を有し、前記針部材は、前記針操作部の操作によって、前記複数の隙間から選択的に突出可能であってもよい。
この構成により、どの隙間から針部材を突出させるかを選択し、生体管腔の対象部位に対する穿刺を効率的に行うことができる。
上記の医療用デバイスにおいて、前記針部材は前記挿入管に対して軸方向に移動可能に配置され、前記医療用デバイスは、前記針部材を保持し、前記挿入管に対する前記移動部の軸方向移動時に前記針部材と一緒に移動可能な針保持部と、前記移動部に対する前記針部材の軸方向の位置を調整する調整機構と、をさらに備えてもよい。
この構成により、湾曲駆動部材による湾曲部の湾曲時に、移動部と一緒に移動する針保持部により針部材が前進させられるので、針部材を自動的に湾曲部から突出させることができる。また、調整機構により移動部に対する針部材の位置を調整することで、湾曲部からの針部材の突出長さや突出位置を調整することができる。
上記の医療用デバイスにおいて、前記調整機構は、ユーザによって操作されることで回転する回転操作部と、第1ネジ部を有し、前記回転操作部に対して軸方向に移動可能に配置され、前記回転操作部と一緒に回転する第1調整部材と、前記針保持部が設けられ、前記第1ネジ部と螺合する第2ネジ部を有し、前記第1調整部材の回転に伴って前記第1調整部材に対して軸方向に相対移動する第2調整部材と、前記移動部に固定され、前記第1調整部材を回転可能に支持し、前記挿入管に対する前記移動部の軸方向移動時に前記第1調整部材を一緒に軸方向に移動させる接続部材と、を備えてもよい。
この構成により、湾曲部の湾曲時に針部材を自動的に突出させ且つ針部材の突出長さを調整可能な機構を簡易構成で構築することができる。
上記の医療用デバイスにおいて、規定値を超える力が前記針部材に作用した際に、前記針部材を作動させる針作動部を前記針部材に対して前進させることにより前記挿入管に対する前記針部材の前進を生じさせないようにするセーフティ機構をさらに備えてもよい。
この構成により、針部材に過剰な負荷が掛かることが回避されるため、針部材の損傷を防止すること、また対象の硬さに応じて穿刺深さを選択することができる。
上記の医療用デバイスにおいて、前記管状体の基端部には、前記湾曲部から前記針部材を突出させる際に前記針部材を外側に案内するガイド溝が形成されていてもよい。
この構成により、針部材をスムーズに湾曲部から突出させることができる。
本発明の医療用デバイスによれば、生体管腔を閉塞することなく所望の穿刺深さで安定して穿刺をすることができる。
以下、本発明に係る医療用デバイスについて好適な実施形態を説明する。なお、第2及び第3実施形態において、第1実施形態と同一又は同様の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
[第1実施形態]
図1に示す本発明の第1実施形態に係る医療用デバイス10Aは、生体管腔内に挿入され、針部材16により生体内を穿刺するためのデバイスである。この医療用デバイス10Aは、例えば、針部材16を介して薬液等の液体を生体内に送給するための注入デバイス、針部材16により生体組織の一部を採取するための生検デバイス等として構成され得る。
図1に示す本発明の第1実施形態に係る医療用デバイス10Aは、生体管腔内に挿入され、針部材16により生体内を穿刺するためのデバイスである。この医療用デバイス10Aは、例えば、針部材16を介して薬液等の液体を生体内に送給するための注入デバイス、針部材16により生体組織の一部を採取するための生検デバイス等として構成され得る。
医療用デバイス10Aが挿入され針部材16が穿刺される生体管腔壁は、例えば、血管、リンパ管、胃、腸、細気管支、鼻腔等である。
医療用デバイス10Aは、湾曲可能な湾曲部20を有し生体内に挿入可能な挿入管12と、第1移動部34及び第2移動部36を有し湾曲部20の湾曲を操作する湾曲駆動部材14と、湾曲部20から突出可能な針部材16と、挿入管12の基端部に接続された操作ハンドル18とを備える。
挿入管12は、生体管腔内に挿入可能な外径を有する長尺状管体である。挿入管12の長さは、処置対象の生体管腔によって異なるが、例えば、30〜300mmである。挿入管12は、上記湾曲部20と、先端に湾曲部20が接続された長尺な中空のシャフト部22とを有する。
湾曲部20は、互いに回動可能に連結された複数(図示例では8個)の管状体24を有する。図3に示すように、本実施形態において、各管状体24は、連結方向(管状体24の軸方向)の一方の端縁から連結方向に突出した回動軸部26と、連結方向(管状体24の軸方向)の一方の端縁において回動軸部26とは異なる周方向位置から連結方向に突出した係合凸部28とを有する。
最も先端側の管状体24以外の各管状体24は、連結方向の他方の縁部から連結方向に凹み他の管状体24に設けられた回動軸部26を支持する回動支持部30と、連結方向の他方の端縁において回動支持部30とは異なる周方向位置から連結方向に凹み他の管状体24に設けられた係合凸部28と係合する係合凹部32とを有する。
シャフト部22は、先端縁から連結方向に凹み最も基端側の管状体24に設けられた回動支持部30と、先端縁において回動支持部30とは異なる周方向位置から連結方向に凹み最も基端側の管状体24に設けられた係合凸部28と係合する係合凹部32とを有する。シャフト部22は、例えば、金属(ステンレス等)、硬質樹脂等の硬質材料で構成された硬質部材であると好適である。なお、シャフト部22は、カテーテルのような可撓性を有する部材であってもよい。
本実施形態の医療用デバイス10Aの湾曲部20は、第1移動部34側(図2で上側)を湾曲外周側とし、第2移動部36側(図2で下側)を湾曲内周側として、湾曲可能に構成されている。図5Aに示すように、湾曲部20が湾曲する前の状態(直線状態)で、第1移動部34側の管状体24間には隙間が形成されておらず、第2移動部36側の管状体24間には湾曲を許容するための隙間27が形成されている。図5Bに示すように、湾曲部20が湾曲した状態で、第1移動部34側、すなわち湾曲外周側の管状体24間には湾曲部20からの針部材16の突出を許容する隙間25が形成される。
上記のように構成された挿入管12は、例えば、ステンレス製の管状部材をレーザ加工することにより得られる。レーザ加工を用いた場合、管状部材をレーザで切断するだけで、複数の管状体24とシャフト部22とが互いに連結された状態の挿入管12を容易に得ることができる。なお、挿入管12は上記の製造方法に限らず、他の製造方法によって製造されてもよい。
湾曲駆動部材14は、挿入管12の内側に配置されている。図2に示すように、湾曲駆動部材14は、挿入管12に対して軸方向に相対移動可能であり挿入管12に沿って長尺状に延在する第1移動部34及び第2移動部36と、第1移動部34と第2移動部36との先端同士を繋ぐ環状の接続部38とを有する。本実施形態において、第1移動部34と第2移動部36とによって湾曲駆動部材14の管状構造が形成されている。第1移動部34と第2移動部36は同じ形状に形成されている。
図4に示すように、第1移動部34と第2移動部36の各々は、周方向の端縁に切欠部39が設けられることで相対的に幅狭に形成された幅狭部40(脆弱部)と、幅狭部40よりも基端側で幅狭部40よりも幅広に形成された幅広部42とを有する。幅広部42は、円筒状の部材を周方向に均等に2分割した形状に形成されている。幅広部42の周方向の端縁は直線状に形成されている。第1移動部34と第2移動部36とは、幅広部42の周方向の端縁同士で接触しており、第1移動部34と第2移動部36との軸方向の相対移動時には、当該端縁同士の接触面が摺動面となる。
接続部38は、挿入管12の湾曲部20を構成する最も先端側の管状体24に固定されている。
上記のように構成される湾曲駆動部材14は、挿入管12の場合と同様に、例えばステンレス製の管状部材をレーザ加工することにより容易に得られる。なお、挿入管12は上記の製造方法に限らず、他の製造方法によって製造されてもよい。
湾曲駆動部材14は、湾曲部20の先端部を押し引きすることで湾曲部20に湾曲動作を行わせることが可能な構成であればよく、例えば、ワイヤや、ベルト状の部材等の形態を有していてもよい。
図2に示すように、針部材16は、挿入管12の内側に挿入管12に沿って配置されている。針部材16は、湾曲部20が湾曲する際に、隣接する管状体24間の湾曲外周側の隙間25から突出可能である(図5B参照)。
具体的には、針部材16は、挿入管12と湾曲駆動部材14(第1移動部34)との間に配置されている。針部材16を配置するため、第1移動部34の外面には、針部材16を収容する溝44(図4も参照)が軸方向に設けられている。溝44は、幅狭部40と幅広部42とに渡って設けられている。
針部材16の先端部よりも基端側の部分(針部材16のうち湾曲部20から突出可能な部分よりも基端側の部分)は、第1移動部34に固定されている。したがって、第1移動部34が挿入管12に対して軸方向に移動する際、針部材16は第1移動部34と一緒に軸方向に移動する。挿入管12に対する第1移動部34の前進に伴って、湾曲部20が湾曲するとともに湾曲外周側で針部材16が前進することで、針部材16が湾曲部20から突出する。
本実施形態において、針部材16は、ルーメンを有する中空針である。図1において、針部材16の基端部は、操作ハンドル18の基端から突出している。針部材16の基端部には、例えばシリンジ等の薬剤供給デバイスに接続可能なハブ19が設けられている。針部材16は、生体組織の一部を採取可能な生検針として構成されていてもよく、この場合、針部材16はルーメンが形成されていない針であってもよい。
図2及び図3において、湾曲部20の湾曲時に針部材16を突出させる隙間25(図5B)を形成する隣り合う管状体24のうち、先端側の管状体24の基端部(本実施形態の場合、係合凸部28の突出方向の端縁)には、ガイド溝46が形成されている。このガイド溝46は、湾曲部20から針部材16を突出させる際に針部材16を外側に案内する。
針部材16の進出時に針部材16の先端をガイド溝46に導きやすくするために、ガイド溝46の基端部は管状体24の内周面に近接している。また、針部材16をスムーズに湾曲部20の外側に誘導できるように、ガイド溝46は、管状体24の先端方向に向かうに従って管状体24の外周面に近づくように傾斜又は湾曲している。
図1において、操作ハンドル18は、使用時にユーザが把持するためのハンドル本体48と、ハンドル本体48に支持された湾曲操作部50とを有する。本実施形態において、ハンドル本体48はユーザが握りやすいように棒状に構成されている。
湾曲操作部50は、湾曲部20を湾曲動作させるように湾曲駆動部材14を操作する部分である。本実施形態において、湾曲操作部50は、ハンドル本体48の長手方向に対して垂直な軸線を中心に回転可能にハンドル本体48に支持された操作ホイール50aである。ユーザは、操作ホイール50aのうちハンドル本体48から露出した部分に触れて、操作ホイール50aを回転させることができる。
図2において、操作ホイール50aは、第1移動部34の移動を案内する第1案内溝52と、第2移動部36の移動を案内する第2案内溝54とを有する。湾曲駆動部材14は、第1案内溝52及び第2案内溝54による第1移動部34及び第2移動部36の移動を挿入管12へ伝達することによって、挿入管12の湾曲部20に湾曲動作を行わせることが可能である。
第1案内溝52は、操作ホイール50aの回転中心51からずれた位置を曲率中心とする円弧状に形成されており、円弧の内側を回転中心51側に向けている。第1案内溝52には、第1移動部34の外面に設けられた第1突起35が挿入されている。湾曲部20が直線状のとき、第1突起35は、回転中心51よりも基端側に位置している。
第2案内溝54は、第1案内溝52の曲率中心とは反対方向に操作ホイール50aの回転中心51からずれた位置を曲率中心とする円弧状に形成されており、円弧の内側を回転中心51側に向けている。第2案内溝54には、第2移動部36の外面に設けられた第2突起37が挿入されている。湾曲部20が直線状のとき、第2突起37は、回転中心51よりも先端側に位置している。第1案内溝52と第2案内溝54は、回転中心51を基準に点対称位置に配置されている。
湾曲部20が直線状を呈している状態で、操作ホイール50aを矢印R1方向に回転させると、第1移動部34に設けられた第1突起35が第1案内溝52によって案内されつつ回転中心51側に近づくことで、第1移動部34が前進させられる。また、湾曲部20が直線状を呈している状態で、操作ホイール50aを矢印R1方向に回転させると、第2移動部36に設けられた第2突起37が第2案内溝54によって案内されつつ回転中心51側に近づくことで、第2移動部36が後退させられる。したがって、操作ホイール50aを矢印R1方向に回転せると、挿入管12に対する第1移動部34の前進と第2移動部36の後退とによって、湾曲部20が下方向に湾曲する。
本実施形態に係る医療用デバイス10Aは、基本的には以上のように構成されるものであり、以下、その作用及び効果について説明する。
医療用デバイス10Aの使用において、ユーザは、医療用デバイス10Aを生体管腔内に挿入し、湾曲部20を生体管腔の処置対象部位に送達する。次に、湾曲操作部50を操作することにより、湾曲部20を湾曲させる。具体的には、操作ホイール50aをR1方向に回転させることにより、図5Bのように、第1移動部34の側が湾曲外周側となり第2移動部36の側が湾曲内周側となるように湾曲部20を湾曲させる。
このように湾曲部20が湾曲することにより、湾曲部20により生体管腔が巻き込まれることで生体管腔が湾曲させられ、生体管腔に対して湾曲部20が固定される。このとき、湾曲部20における湾曲外周側の部分が管腔内面に密着する。また、生体管腔の湾曲外周側が、医療用デバイス10Aによって引き伸ばされる。
湾曲部20が湾曲する際、湾曲部20における湾曲外周側では隣接する管状体24間に隙間25が形成されるとともに、挿入管12に対して前進する第1移動部34によって針部材16が前進させられる。これにより、針部材16は、管状体24間に形成された隙間25を介して湾曲部20から突出する。そして湾曲部20から突出した針部材16は、生体管腔壁を穿刺する。
このように針部材16が生体管腔壁を穿刺する際、医療用デバイス10Aは生体管腔壁からの反力を受けるが、上記のように湾曲部20は対象の生体管腔を巻き込むことで、生体管腔に対して固定されるとともに、湾曲部20における湾曲外周側の部分が管腔内面に密着する。このため、バルーン等の他の機構によるバックアップ力を要することなく、生体管腔に対する湾曲部20の位置を保持できる。したがって、生体管腔壁に対する針部材16の穿刺深さは、湾曲部20からの突出長さと略同じである。
生体管腔壁への針部材16の穿刺後、例えば、針部材16のルーメンを介して薬液を生体管腔壁に供給する。あるいは針部材16のルーメン内に生検デバイスを挿入し、当該生検デバイスにより生体組織を採取してもよい。あるいは針部材16の先端に穴や溝等で構成される組織採取部を設けておき、組織採取部により生体組織を採取してもよい。
以上説明したように、本実施形態に係る医療用デバイス10Aによれば、湾曲部20における湾曲外周側の部分が管腔内面に密着し、湾曲部20における湾曲外周側の部分によって生体管腔の湾曲外周側が引き伸ばされ、生体管腔内面に密着するデバイス表面を基準に針部材16を突出させることができる。これにより、安定して確実且つ簡単に生体内の対象部位に穿刺することができるとともに、針部材16による穿刺深さを容易にコントロールできる。また、バルーン等の他の機構を用いることなく医療用デバイス10A自体によって、穿刺時の反力に対抗するバックアップ力が得られるため、穿刺時に生体管腔を閉塞することがない。
本実施形態の場合、針部材16は、湾曲駆動部材14の第1移動部34に固定されており、第1移動部34の前進に伴って、湾曲部20が湾曲するとともに湾曲外周側で針部材16が前進する。この構成により、湾曲駆動部材14による湾曲部20の湾曲時に、針部材16が自動的に湾曲部20から突出するので、簡易操作で迅速に穿刺することができる。また、湾曲部20の湾曲時には常に規定長さだけ針部材16が突出するので、所望深さの穿刺を容易に遂行できる。
本実施形態の場合、管状体24の基端部には、湾曲部20から針部材16を突出させる際に針部材16を外側に案内するガイド溝46が形成されているので、針部材16をスムーズに湾曲部20から突出させることができる。
[第2実施形態]
図6に示す第2実施形態に係る医療用デバイス10Bにおいて、針部材16は挿入管12及び湾曲駆動部材14に対して軸方向に移動可能に配置されている。図7に概略的に示すように、第1移動部34には、針部材16をスライド可能に収容する溝60が第1移動部34の長手方向(挿入管12の軸方向)に沿って形成されている。この溝60の先端は第1移動部34の先端近傍まで達し、溝60の基端は第1移動部34の基端面にて開口している。
図6に示す第2実施形態に係る医療用デバイス10Bにおいて、針部材16は挿入管12及び湾曲駆動部材14に対して軸方向に移動可能に配置されている。図7に概略的に示すように、第1移動部34には、針部材16をスライド可能に収容する溝60が第1移動部34の長手方向(挿入管12の軸方向)に沿って形成されている。この溝60の先端は第1移動部34の先端近傍まで達し、溝60の基端は第1移動部34の基端面にて開口している。
また、医療用デバイス10Bは針部材16を軸方向に操作する針操作部62をさらに備える。針操作部62は針部材16の基端側を保持している。図6に示すように、本実施形態において針操作部62はハンドル本体48に軸方向に移動可能に支持されており、ハンドル本体48内で針部材16を保持している。
上記のように構成された医療用デバイス10Bを用いた手技においては、図8のように、ユーザは、湾曲操作部50を操作することにより生体管腔内で湾曲部20を湾曲させた後、針操作部62を操作することにより任意のタイミングで湾曲部20から針部材16を突出させ、生体管腔壁に穿刺する。この場合、湾曲部20の湾曲前に針部材16の軸方向位置をあらかじめ調整しておくことで、湾曲時に形成される複数の隙間25から任意の隙間25を選択して針部材16を突出させることができる。
なお、針部材16を突出させる隙間25の選択、及び選択した隙間25からの針部材16の突出長さの調整が容易にできるように、ハンドル本体48と湾曲操作部50の一方又は両方にリファレンス部(例えば、目盛等)が設けられてもよい。
このように、本実施形態に係る医療用デバイス10Bによれば、生体管腔内で湾曲部20を湾曲させた後、ユーザの任意のタイミングで湾曲部20から針部材16を突出させ、生体管腔壁を穿刺することができる。また、針操作部62の操作により、針部材16の穿刺深さを容易に調整することができる。
また、本実施形態の場合、針部材16は、針操作部62の操作によって、複数の隙間25から選択的に突出可能である。この構成により、どの隙間25から針部材16を突出させるかを選択し、生体管腔の対象部位に対する穿刺を効率的に行うことができる。
医療用デバイス10Bは、規定値を超える力が針部材16に作用した際に、針部材16を作動させる針作動部を針部材16に対して前進させることにより前記挿入管12に対する針部材16の前進を生じさせないようにするセーフティ機構をさらに備えてもよい。以下、セーフティ機構について、いくつかの構成例を説明する。なお、図9A〜図11Dにおいて、図の左側がデバイスの先端側であり、図の右側がデバイスの基端側である。
図9Aに示すセーフティ機構64Aは、針部材16に固定された固定部材66と、針操作部62の基部63(針作動部)と固定部材66との間に配置されたバネ68(コイルバネ)とを有する。針操作部62の基部63には軸方向に貫通する挿通孔70が形成されており、この挿通孔70に針部材16が挿通されて、針部材16が針操作部62に対して軸方向に摺動可能に支持されている。固定部材66は、針操作部62の基部63よりも基端側で針部材16に固定されている。バネ68の先端部は針操作部62の基部63に固定されており、バネ68の基端部は固定部材66に固定されている。
このように構成されたセーフティ機構64Aは、次のように作用する。針部材16を湾曲部20から突出させるために針操作部62の操作によって針部材16を前進させる際に、針部材16に作用する力が規定値以下である場合には、バネは実質的に伸びない。したがって、針操作部62の先端方向への操作距離に応じて針部材16も同じ距離だけ前進する。一方、規定値を超える力が針部材16に作用した場合、バネ68が針操作部62に引っ張られて伸びることにより、針部材16は前進しない。例えば、針部材16が突出途中で生体内の硬い組織に突き当たった際や、湾曲部20の隙間25が閉じているときに針部材16を突出させようとした際等に、セーフティ機構64Aが作動する。これにより、針部材16の損傷を防止することができる。また対象の硬さに応じて穿刺深さを選択することができる。
図9Bに示すセーフティ機構64Bは、針部材16に固定された固定部材72と、針操作部62の基部63(針作動部)と固定部材72との間に配置されたバネ74(コイルバネ)とを有する。針操作部62の基部63には軸方向に貫通する挿通孔76が形成されており、この挿通孔76に針部材16が挿通されて、針部材16が針操作部62に対して軸方向に摺動可能に支持されている。固定部材72は、針操作部62の挿通孔76よりも先端側で針部材16に固定されている。バネ74の先端部は固定部材72に固定されており、バネ74の基端部は針操作部62の基部63に固定されている。
このように構成されたセーフティ機構64Bにおいて、針部材16を湾曲部20から突出させるために針操作部62の操作によって針部材16を前進させる際に、規定値を超える力が針部材16に作用した場合、バネ74が針操作部62に押し込まれて縮むことにより、針部材16は前進しない。よって、このセーフティ機構64Bによっても、針部材16の損傷を防止することができる。
図9Cに示すセーフティ機構64Cは、針部材16に固定された固定部材78と、針操作部62の基部63(針作動部)に設けられた溝63aに離脱可能に係合するカム体80と、カム体80を基部63側に向けて付勢するバネ82とを有する。
このように構成されたセーフティ機構64Cにおいて、針部材16を湾曲部20から突出させるために針操作部62の操作によって針部材16を前進させる際に、一方、規定値を超える力が針部材16に作用した場合、バネ82が針操作部62に押し込まれて縮むことにより、針部材16は前進しない。よって、このセーフティ機構64Cによっても、針部材16の損傷を防止することができる。
図10Aに示すセーフティ機構64Dは、針操作部62の基部63(針作動部)と針部材16との間に介在するゴム材84を有する。ゴム材84は、基部63と針部材16の両方に固着されている。図示例のゴム材84はリング状であり、ゴム材84の外周縁が針操作部62の基部63に固着され、ゴム材84の内周縁が針部材16の外面に固着されている。
このように構成されたセーフティ機構64Dにおいて、針部材16を湾曲部20から突出させるために針操作部62の操作によって針部材16を前進させる際に、規定値を超える力が針部材16に作用した場合、ゴム材84が針操作部62に引っ張られて弾性変形することにより、針部材16は前進しない。よって、このセーフティ機構64Dによっても、針部材16の損傷を防止することができる。
図10Bに示すセーフティ機構64Eは、針操作部62の基部63(針作動部)に固定されるとともに針部材16の外面に非固定状態で当接するゴム材86を有する。図示例では、ゴム材86はリング状に形成されており、ゴム材86の外周縁が針操作部62の基部63に固着され、ゴム材86の内周縁が針部材16の外面に密着している。針部材16には、針部材16とゴム材86の位置関係を初期状態に戻すための針位置復元機構の第1要素としてのリング部材88が固定されている。ハンドル本体48の内側には、針位置復元機構の第2要素としての突起90が設けられている。
図10B〜10Dを参照し、セーフティ機構64Eの作用を説明する。なお、図10B〜図10Dでは、理解の容易のため、初期状態における針部材16のゴム材86と接触する部分をクロスハッチングで強調している。セーフティ機構64Eにおいて、針部材16を湾曲部20から突出させるために針操作部62の操作によって針部材16を前進させる際に、規定値を超える力が針部材16に作用した場合、図10Cのように、ゴム材86が針部材16に対して先端方向にずれることにより、針部材16は前進しない。よって、このセーフティ機構64Eによっても、針部材16の損傷を防止することができる。
また、図10Cのようにセーフティ機構64Eが発動した後に、針操作部62の操作により針部材16を基端方向に引き戻す際、図10Dのように、リング部材88が突起90によって係止されることで、針部材16の後退が停止する。そしてさらに針操作部62を基端方向に移動させると、ゴム材86が針部材16に対して図10Cの場合と逆方向にずれることにより、ゴム材86と針部材16との位置関係は初期状態(図10B)に戻る。したがって、セーフティ機構64Eが一旦発動した場合でも、針部材16を突出可能な状態に戻すことができる。
図11Aに示すセーフティ機構64Fにおいて、針操作部62の基部63(針作動部)には軸方向に貫通した挿通孔92が形成され、挿通孔92に針部材16が挿通されている。挿通孔92の直径と針部材16の外径は略同じである。したがって、挿通孔92を形成する基部63の内周面は、針部材16の外周面との摩擦摺動面となっている。
このように構成されたセーフティ機構64Fにおいて、針部材16を湾曲部20から突出させるために針操作部62の操作によって針部材16を前進させる際に、規定値を超える力が針部材16に作用した場合、基部63が針部材16に対して先端方向にずれることにより、針部材16は前進しない。よって、このセーフティ機構64Fによっても、針部材16の損傷を防止することができる。
図11Bに示すセーフティ機構64Gにおいて、針操作部62の基部63(針作動部)は第1摩擦部材94を構成しており、針部材16には軟質材(例えば、スポンジ材等)からなる第2摩擦部材96が固定されている。第1摩擦部材94と第2摩擦部材96とは接触している。第2摩擦部材96には、第1摩擦部材94に設けられた溝95に係合する凸部97が設けられている。
セーフティ機構64Gにおいて、針部材16を湾曲部20から突出させるために針操作部62の操作によって針部材16を前進させる際、摩擦力と部材の変形の合力で、第1摩擦部材94と第2摩擦部材96の軸方向のずれに対する抗力が発生する。このとき、規定値を超える力が針部材16に作用した場合には、第1摩擦部材94(針操作部62)が第2摩擦部材96に対して先端方向にずれることにより、針部材16は前進しない。よって、このセーフティ機構64Gによっても、針部材16の損傷を防止することができる。
図11Cに示すセーフティ機構64Hにおいて、針操作部62の基部63(針作動部)は第1摩擦部材98を構成しており、針部材16には第2摩擦部材100が固定されている。第1摩擦部材98と第2摩擦部材100とには、それぞれ、基端方向に向かうにつれて針部材16から遠ざかるように傾斜するテーパ面98a、100aが形成されている。初期状態で、第1摩擦部材98と第2摩擦部材100とはテーパ面98a、100a同士で接触している。
セーフティ機構64Hにおいて、針部材16を湾曲部20から突出させるために針操作部62の操作によって針部材16を前進させる際、規定値を超える力が針部材16に作用した場合には、第1摩擦部材98(針操作部62)が第2摩擦部材100に対して先端方向にずれて、第1摩擦部材98と第2摩擦部材100とが分離することにより、針部材16は前進しない。よって、このセーフティ機構64Hによっても、針部材16の損傷を防止することができる。
図11Dに示すセーフティ機構64Iにおいて、針操作部62の基部63(針作動部)は第1摩擦部材102を構成しており、針部材16には第2摩擦部材104が固定されている。第1摩擦部材102は中空円筒形状であり、その先端側内周面には基端方向に向かって拡径するテーパ内面102aが形成されている。第2摩擦部材104は第1摩擦部材102の内側に嵌合しており、その先端側外周面には基端方向に向かって拡径するテーパ外面104aが形成されている。初期状態で、テーパ内面102aとテーパ外面104aとは所定の嵌合力でテーパ嵌合している。
セーフティ機構64Iにおいて、針部材16を湾曲部20から突出させるために針操作部62の操作によって針部材16を前進させる際、規定値を超える力が針部材16に作用した場合には、第1摩擦部材102(針操作部62)が第2摩擦部材104に対して先端方向にずれることにより、針部材16は前進しない。よって、このセーフティ機構64Iによっても、針部材16の損傷を防止することができる。
なお、図11A及び図11Bの構成では、図10Bの構成と同様に、針部材16には針位置復元機構の第1要素としてのリング部材88が固定され、ハンドル本体48の内側には針位置復元機構の第2要素としての突起90が設けられている。また、図11C及び図11Dの構成では、針位置復元機構としての突起90がハンドル本体48の内側に設けられている。したがって、セーフティ機構64F〜64Iが一旦発動した場合でも、針部材16を突出可能な状態に戻すことができる。
第2実施形態において、第1実施形態と共通する各構成部分については、第1実施形態と同一又は同様の作用及び効果が得られる。
[第3実施形態]
図12に示す第3実施形態に係る医療用デバイス10Cは、第1移動部34に対する針部材16の軸方向の位置を調整する調整機構106を備える。具体的に、図13に示すように、調整機構106は、回転操作部108と、第1調整部材110と、第2調整部材112(針作動部)と、接続部材114とを有する。
図12に示す第3実施形態に係る医療用デバイス10Cは、第1移動部34に対する針部材16の軸方向の位置を調整する調整機構106を備える。具体的に、図13に示すように、調整機構106は、回転操作部108と、第1調整部材110と、第2調整部材112(針作動部)と、接続部材114とを有する。
回転操作部108は、ユーザによって操作されることで回転する部材である。本実施形態における回転操作部108は、中空円筒形状に形成されており、ハンドル本体48の基端部に、ハンドル本体48の長手方向の軸線を中心に回転可能にハンドル本体48に支持されている。
第1調整部材110は、第1ネジ部116を有し、回転操作部108に対して軸方向に移動可能に配置され、回転操作部108と一緒に回転する中空円筒形状の部材である。第1ネジ部116は第1調整部材110の内周部に形成されている。第1調整部材110の外周部には径方向外側に突出するガイド突起118が周方向に間隔をおいて複数設けられている。これらのガイド突起118は、回転操作部108の内周面に軸方向に沿って形成されたガイド溝120に挿入されている。このようなガイド突起118とガイド溝120とによって、第1調整部材110は、回転操作部108に対する相対回転が阻止され、且つ回転操作部108に対する軸方向の相対移動が許容されている。
第2調整部材112は、第1調整部材110の第1ネジ部116と螺合する第2ネジ部122を有し、第1調整部材110の回転に伴って第1調整部材110に対して軸方向に相対移動する部材である。第2調整部材112は、湾曲駆動部材14の周方向の全周のうち第1移動部34を含む一部のみを囲んでいる。したがって、第2ネジ部122は、第1ネジ部116と周方向の一部の範囲のみで螺合している。
第2調整部材112の先端部には針部材16を保持する針保持部126が設けられている。針保持部126の内周面は、針部材16の外面と接触している。第1調整部材110の前進に伴って針保持部126が前進する際、針部材16に作用する力が規定値以下である場合(針保持部126と針部材16との間の摩擦力よりも小さい場合)には、針保持部126及び第2調整部材112と、針部材16とは軸方向にずれない。
一方、第1調整部材110の前進に伴って針保持部126が前進する際、規定値を超える力が針部材16に作用した場合、針保持部126及び第2調整部材112が針部材16に対して先端方向にずれることにより、針部材16は前進しない。すなわち、針保持部126は、規定値を超える力が針部材16に作用した際に、針作動部である第2調整部材112を針部材16に対して前進させることにより挿入管12及び第1移動部34に対して針部材16を前進させないようにするセーフティ機構64を構成している。
接続部材114は、第1移動部34に固定されている。したがって、第1移動部34の前進に伴って接続部材114も一緒に前進する。また、接続部材114は、第1調整部材110を回転可能に支持するとともに、第1調整部材110と軸方向に相対移動しないように第1調整部材110と組み合っている。したがって、接続部材114は、挿入管12に対する第1移動部34の軸方向移動時に第1調整部材110を一緒に軸方向に移動させる。なお、接続部材114が第1調整部材110を支持する範囲は、第2調整部材112が配置された範囲と周方向にずれている。
また、この医療用デバイス10Cにおいて、針部材16には、針部材16と針保持部126の位置関係を初期状態に戻すための針位置復元機構の第1要素としての突起128が固定されている。ハンドル本体48の内側には、針位置復元機構の第2要素としての段差部130が設けられている。
上記のように構成された医療用デバイス10Cにおいて、操作ホイール50aをR1方向に回転させると、挿入管12に対して、第1移動部34が前進する一方、第2移動部36が後退する。これにより、図8と同様に、第1移動部34側を湾曲外周側とし、第2移動部36側を湾曲内周側として、湾曲部20が湾曲する。このとき、第1移動部34に固定された接続部材114、接続部材114に支持された第1調整部材110、第1調整部材110と噛み合う第2調整部材112及び第2調整部材112に設けられた針保持部126も一緒に前進する。したがって、第1移動部34の前進に伴って針保持部126によって保持された針部材16も一緒に前進する。これにより、湾曲部20の湾曲時には、針部材16が湾曲部20の湾曲外周側から自動的に突出する。
この場合、湾曲部20を湾曲させる前に、あらかじめ調整機構106によって第1移動部34に対する針部材16の軸方向位置を調整(設定)しておくことで、湾曲部20からの突出時における針部材16の突出長さを調整することができる。具体的には、回転操作部108を回転させると、ガイド突起118とガイド溝120との係合作用下に第1調整部材110が回転操作部108と一緒に回転する。このとき、第1調整部材110は、接続部材114を介して第1移動部34に対する軸方向移動が阻止されているので、回転操作部108に対して軸方向には移動しない。そして、第1調整部材110の回転に伴って、第1ネジ部116と第2ネジ部122との螺合作用下に、第2調整部材112が第1移動部34に対して軸方向に移動する。これにより、第2調整部材112は針保持部126を介して針部材16を軸方向に移動させる。
このように、本実施形態に係る医療用デバイス10Cによれば、湾曲駆動部材14による湾曲部20の湾曲時に、第1移動部34と一緒に移動する第2調整部材112により針部材16が前進させられるので、針部材16を自動的に湾曲部20から突出させることができる。また、調整機構106により第1移動部34に対する針部材16の位置を調整することで、湾曲部20からの針部材16の突出長さを調整することができる。
特に、調整機構106は、回転操作部108と、回転操作部108と一緒に回転する第1調整部材110と、第1調整部材110と螺合する第2調整部材112と、第1調整部材110と第1移動部34とを接続する接続部材114とを有する。この構成により、湾曲部20の湾曲時に針部材16を自動的に突出させ且つ針部材16の突出長さを調整可能な機構を簡易構成で構築することができる。
また、医療用デバイス10Cは、セーフティ機構64を備えるので、例えば、針部材16が突出途中で生体内の硬い組織に突き当たった際等に、セーフティ機構64が作動する(図示例の場合、針保持部126が針部材16に対して先端方向にずれる)ことで、針部材16に過大な負荷がかかることが回避される。これにより、針部材16の損傷を防止することができる。
なお、上述した各実施形態において、湾曲部20の湾曲形状は、単一の曲率半径を有する湾曲形状でもよく、異なる複数の曲率半径を有する湾曲形状(例えば、先端側がより小径になる形状)でもよい。あるいは、湾曲部20の湾曲形状は、一平面内での湾曲形状に限らず、3次元的な湾曲形状(例えば、螺旋形状)であってもよい。
湾曲部20は、第1移動部34側を湾曲外周側とし第2移動部36側を湾曲内周側とする第1の湾曲状態と、第2移動部36側を湾曲外周側とし第1移動部34側を湾曲内周側とする第2の湾曲状態とに選択的に動作可能に構成されてもよい。
湾曲部20の湾曲時に湾曲外周側にて針部材16の突出を許容するように開口する隙間25は一箇所のみでもよい。針部材16は1つだけでなく、複数設けられてもよい。例えば、上述のように湾曲部20が第1の湾曲状態と第2の湾曲状態とに選択的に動作可能な構成の場合、第1移動部34側に第1の針部材16が設けられるとともに、第2移動部36側に第2の針部材16が設けられてもよい。この構成の場合、第2移動部36側を湾曲外周側とするように湾曲部20が湾曲した際に、第2の針部材16が、医療用デバイス10A又は医療用デバイス10Cのように自動的にあるいは医療用デバイス10Bのように別途の操作によって、湾曲部20における湾曲外周側から突出する。
ガイド溝46が管状体24の基端部に形成されているが、さらに管状体24の先端部に、先端側が管状体24の外周面に近接し、基端方向に向かうに従って管状体24の内周面に近づくように傾斜又は湾曲するように形成されたガイド溝が設けられていてもよい。この構成の場合、湾曲部20から針部材16を突出させる際に針部材16をより確実に外側に案内する。
上記において、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改変が可能なことは言うまでもない。
10A〜10C…医療用デバイス 12…挿入管
14…湾曲駆動部材 16…針部材
20…湾曲部 24…管状体
34…第1移動部 36…第2移動部
62…針操作部 106…調整機構 108…回転操作部 110…第1調整部材 112…第2調整部材 114…接続部材 126…針保持部
14…湾曲駆動部材 16…針部材
20…湾曲部 24…管状体
34…第1移動部 36…第2移動部
62…針操作部 106…調整機構 108…回転操作部 110…第1調整部材 112…第2調整部材 114…接続部材 126…針保持部
Claims (8)
- 湾曲可能な湾曲部を有し、前記湾曲部が、互いに回動可能に連結された複数の管状体を有し、生体内に挿入可能な挿入管と、
前記挿入管の内側に配置され、前記湾曲部を駆動する湾曲駆動部材と、
前記挿入管の内側に配置され、前記湾曲部が湾曲しているときに、隣接する前記管状体間の湾曲外周側の隙間から突出可能な針部材と、を備える、
ことを特徴とする医療用デバイス。 - 請求項1記載の医療用デバイスにおいて、
前記湾曲駆動部材は、前記挿入管に対して軸方向に移動可能な移動部を有し、
針部材において、前記湾曲部から突出可能な部分よりも基端側は、前記移動部に固定されており、
前記挿入管に対する前記移動部の前進に伴って、湾曲部が湾曲するとともに前記湾曲外周側で前記針部材が前進することで、前記針部材が前記湾曲部から突出する、
ことを特徴とする医療用デバイス。 - 請求項1記載の医療用デバイスにおいて、
前記針部材は前記挿入管に対して軸方向に移動可能に配置され、
前記医療用デバイスは、前記針部材を軸方向に操作する針操作部をさらに備える、
ことを特徴とする医療用デバイス。 - 請求項3記載の医療用デバイスにおいて、
湾曲時の前記湾曲部は、前記湾曲外周側に複数の隙間を有し、
前記針部材は、前記針操作部の操作によって、前記複数の隙間から選択的に突出可能である、
ことを特徴とする医療用デバイス。 - 請求項1記載の医療用デバイスにおいて、
前記針部材は前記挿入管に対して軸方向に移動可能に配置され、
前記医療用デバイスは、
前記針部材を保持し、前記挿入管に対する前記移動部の軸方向移動時に前記針部材と一緒に移動可能な針保持部と、
前記移動部に対する前記針部材の軸方向の位置を調整する調整機構と、をさらに備える、
ことを特徴とする医療用デバイス。 - 請求項5記載の医療用デバイスにおいて、
前記調整機構は、
ユーザによって操作されることで回転する回転操作部と、
第1ネジ部を有し、前記回転操作部に対して軸方向に移動可能に配置され、前記回転操作部と一緒に回転する第1調整部材と、
前記針保持部が設けられ、前記第1ネジ部と螺合する第2ネジ部を有し、前記第1調整部材の回転に伴って前記第1調整部材に対して軸方向に相対移動する第2調整部材と、
前記移動部に固定され、前記第1調整部材を回転可能に支持し、前記挿入管に対する前記移動部の軸方向移動時に前記第1調整部材を一緒に軸方向に移動させる接続部材と、を備える、
ことを特徴とする医療用デバイス。 - 請求項1〜6のいずれか1項に記載の医療用デバイスにおいて、
規定値を超える力が前記針部材に作用した際に、前記針部材を作動させる針作動部を前記針部材に対して前進させることにより前記挿入管に対する前記針部材の前進を生じさせないようにするセーフティ機構をさらに備える、
ことを特徴とする医療用デバイス。 - 請求項1〜7のいずれか1項に記載の医療用デバイスにおいて、
前記管状体の基端部には、前記湾曲部から前記針部材を突出させる際に前記針部材を外側に案内するガイド溝が形成されている、
ことを特徴とする医療用デバイス。
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