JP2016172494A - ブレーキ制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 制動力左右差の発生を抑制できるブレーキ制御装置を提供する。【解決手段】 コントロールユニットCUは、制動中に路面摩擦状態算出部7により左右両輪が低摩擦状態から一輪が高摩擦状態に変化したことが検出された場合、検出されたヨーレイトと設定された目標ヨーレイトとの差が所定値以下になるように高摩擦状態の車輪のホイルシリンダに発生させるブレーキ液圧の上昇を制限する液圧制限部9を備える。【選択図】 図1
Description
本発明は、ブレーキ制御装置に関する。
特許文献1には、アンチスキッド制御中に各車輪の路面摩擦状態が低摩擦状態から高摩擦状態に変化したことを検出すると、ホイルシリンダ液圧を上昇させる技術が開示されている。
しかしながら、上記従来技術にあっては、左右両輪が低摩擦状態から一輪が高摩擦状態に変化した場合、高摩擦状態の車輪の制動力のみが増大して制動力左右差が生じ、車両に運転者の予期しないヨーモーメントが付与されるという問題があった。
本発明の目的は、制動力左右差の発生を抑制できるブレーキ制御装置を提供することにある。
本発明の目的は、制動力左右差の発生を抑制できるブレーキ制御装置を提供することにある。
本発明は、制動中に左右両輪が低摩擦状態から一輪が高摩擦状態に変化したことが検出された場合、検出されたヨーと設定された目標ヨーとの差が所定値以下になるように高摩擦状態の車輪のホイルシリンダに発生させるブレーキ液圧の上昇を制限する。
よって、本発明にあっては、制動力左右差の発生を抑制できる。
〔実施例1〕
[ブレーキ制御装置の構成]
図1は、実施例1のブレーキ制御装置を適用した車両の構成図である。液圧制御ユニットHUは、通常、運転者のブレーキペダル操作量に応じて、左前輪1FL、右前輪1FR、左後輪1RLおよび右後輪1RRの各ホイルシリンダW/C(図2参照)にブレーキ液圧を供給する。また、アンチスキッド(以下、ABS)制御時には、コントロールユニット(液圧制御部)CUからの指令に基づいて各ホイルシリンダW/Cのブレーキ液圧(ホイルシリンダ液圧)の保持、増圧または減圧を行う。コントロールユニットCUには、左前輪車輪速センサ2FL、右前輪車輪速センサ2FR、左後輪車輪速センサ2RLおよび右後輪車輪速センサ2RR、操舵角センサ3、ヨーレイトセンサ(ヨー検出部)4からの情報等が入力される。コントロールユニットCUは、各車輪速度から演算した(擬似)車体速度と車輪速度との関係から各車輪のスリップ率(路面摩擦状態)を求め、車体速度に対する所定のスリップ率を減圧閾値として、車輪速度が減圧閾値よりも低下すると、ホイルシリンダ液圧を減圧する。その後、車輪速度が回復し始めるとホイルシリンダ液圧を増圧し、減圧と増圧を繰り返すことでスリップ率を収束させる。これにより、車輪のロックを回避しつつ、制動力を最大として制動距離を短縮できる。
[ブレーキ制御装置の構成]
図1は、実施例1のブレーキ制御装置を適用した車両の構成図である。液圧制御ユニットHUは、通常、運転者のブレーキペダル操作量に応じて、左前輪1FL、右前輪1FR、左後輪1RLおよび右後輪1RRの各ホイルシリンダW/C(図2参照)にブレーキ液圧を供給する。また、アンチスキッド(以下、ABS)制御時には、コントロールユニット(液圧制御部)CUからの指令に基づいて各ホイルシリンダW/Cのブレーキ液圧(ホイルシリンダ液圧)の保持、増圧または減圧を行う。コントロールユニットCUには、左前輪車輪速センサ2FL、右前輪車輪速センサ2FR、左後輪車輪速センサ2RLおよび右後輪車輪速センサ2RR、操舵角センサ3、ヨーレイトセンサ(ヨー検出部)4からの情報等が入力される。コントロールユニットCUは、各車輪速度から演算した(擬似)車体速度と車輪速度との関係から各車輪のスリップ率(路面摩擦状態)を求め、車体速度に対する所定のスリップ率を減圧閾値として、車輪速度が減圧閾値よりも低下すると、ホイルシリンダ液圧を減圧する。その後、車輪速度が回復し始めるとホイルシリンダ液圧を増圧し、減圧と増圧を繰り返すことでスリップ率を収束させる。これにより、車輪のロックを回避しつつ、制動力を最大として制動距離を短縮できる。
[ブレーキ液圧回路の構成]
図2は、実施例1のブレーキ液圧回路構成図である。なお、図2には1輪のみを図示しているが、他の車輪についても同様である。各車輪にそれぞれ配設されたホイルシリンダW/Cと、運転者がブレーキペダルを踏むことによってブレーキ液圧を発生するマスタシリンダM/Cとは、主液通路5でもって連通されており、この主液通路5の途中に各ホイルシリンダW/Cの液圧を制御する液圧制御ユニットHUが介装されている。なお、図2では図示を省略し、1系統のブレーキ液圧回路および1輪のみを例示したが、マスタシリンダM/Cには2系統のブレーキ液圧回路が接続され、一方の系統のブレーキ液圧回路には、右前輪1FRと左後輪1RLのホイルシリンダW/Cが接続され、もう一方のブレーキ液圧回路には、左前輪1FLと右後輪1RRのホイルシリンダW/Cが接続されている。液圧制御ユニットHUは、各ホイルシリンダ液圧の増圧、減圧または保持を切り替え制御するための切り替え制御弁6と、ホイルシリンダ液圧の減圧時にそのブレーキ液が貯留されるリザーバRSVと、リザーバRSVに貯留されたブレーキ液を主液通路5に戻すためのポンプPとを備える。なお、リザーバRSVは、2系統の各ブレーキ液圧回路にそれぞれ備えられている。
図2は、実施例1のブレーキ液圧回路構成図である。なお、図2には1輪のみを図示しているが、他の車輪についても同様である。各車輪にそれぞれ配設されたホイルシリンダW/Cと、運転者がブレーキペダルを踏むことによってブレーキ液圧を発生するマスタシリンダM/Cとは、主液通路5でもって連通されており、この主液通路5の途中に各ホイルシリンダW/Cの液圧を制御する液圧制御ユニットHUが介装されている。なお、図2では図示を省略し、1系統のブレーキ液圧回路および1輪のみを例示したが、マスタシリンダM/Cには2系統のブレーキ液圧回路が接続され、一方の系統のブレーキ液圧回路には、右前輪1FRと左後輪1RLのホイルシリンダW/Cが接続され、もう一方のブレーキ液圧回路には、左前輪1FLと右後輪1RRのホイルシリンダW/Cが接続されている。液圧制御ユニットHUは、各ホイルシリンダ液圧の増圧、減圧または保持を切り替え制御するための切り替え制御弁6と、ホイルシリンダ液圧の減圧時にそのブレーキ液が貯留されるリザーバRSVと、リザーバRSVに貯留されたブレーキ液を主液通路5に戻すためのポンプPとを備える。なお、リザーバRSVは、2系統の各ブレーキ液圧回路にそれぞれ備えられている。
コントロールユニットCUは、路面摩擦状態算出部7、目標ヨーレイト設定部(目標ヨー設定部)8および液圧制限部9を備える。路面摩擦状態算出部7は、ABS制御に用いられる各車輪のスリップ率の算出の他、タイヤ−路面間の摩擦係数(路面μ)の推定、路面μの低μ(低摩擦状態)から高μ(高摩擦状態)へのμジャンプ判定等、各車輪の路面摩擦状態を算出する。路面μは、車輪速度から公知の方法によって推定する。μジャンプ判定については後述する。目標ヨーレイト設定部8は、車両の目標ヨーレイトを設定する。目標ヨーレイトは、操舵角がゼロのとき、すなわち直進時はゼロとし、操舵角が大きいほど大きな値に設定する。また、車体速度が高いほど目標ヨーレイトを大きな値に設定する。液圧制限部9は、全輪がABS制御中であって、全輪の路面μが低μの状態から左右一方の少なくとも1輪の路面μが高μの状態に変化したとき、ヨーレイトセンサ4により検出されたヨーレイト(実ヨーレイト)と目標ヨーレイト設定部8により設定された目標ヨーレイトとの偏差(ヨーレイト偏差)が所定値以下となるように高摩擦状態の車輪のホイルシリンダ液圧の増圧勾配を制限する。所定値は、運転者に違和感を与えないヨーレイト偏差とする。
[制動力復帰速度制御]
図3は、実施例1の制動力復帰速度制御の流れを示すフローチャートである。コントロールユニットCUは、ABS制御中、制動力復帰速度制御を実施する。以下、図3の各ステップの処理を説明する。
ステップS1では、各車輪速センサ2FL,2FR,2RL,2RRにより検出された各車輪速、操舵角センサ3により検出された操舵角、ヨーレイトセンサ4により検出されたヨーレイトを入力する。
ステップS2では、ステップS1で入力した各車輪速度の微分値から各車輪の車輪加速度をそれぞれ演算する。
ステップS3では、ステップS1で入力した各車輪速度から(擬似)車体速度を演算する。車体速度は、例えば、各車輪速度のうち最高速度のものを選択する。または、従動輪の各車輪速度の平均値を用いてもよい。
ステップS4では、目標ヨーレイト設定部8において、ステップS1で入力した操舵角およびステップS3で演算した車体速度に基づき、車両の目標ヨーレイトを算出する。
ステップS5では、ステップS4で算出した目標ヨーレイトとステップS1で入力した実ヨーレイトとの偏差の絶対値であるヨーレイト偏差を算出する。
ステップS6では、全輪がABS制御中であるか否かを判定する。YESの場合はステップS7へ進み、NOの場合はステップS1へ戻る。このステップでは、ステップS1で入力した各車輪速度とステップS3で演算した車体速度とに基づいて全輪がABS制御中であるか否かを判定する。
図3は、実施例1の制動力復帰速度制御の流れを示すフローチャートである。コントロールユニットCUは、ABS制御中、制動力復帰速度制御を実施する。以下、図3の各ステップの処理を説明する。
ステップS1では、各車輪速センサ2FL,2FR,2RL,2RRにより検出された各車輪速、操舵角センサ3により検出された操舵角、ヨーレイトセンサ4により検出されたヨーレイトを入力する。
ステップS2では、ステップS1で入力した各車輪速度の微分値から各車輪の車輪加速度をそれぞれ演算する。
ステップS3では、ステップS1で入力した各車輪速度から(擬似)車体速度を演算する。車体速度は、例えば、各車輪速度のうち最高速度のものを選択する。または、従動輪の各車輪速度の平均値を用いてもよい。
ステップS4では、目標ヨーレイト設定部8において、ステップS1で入力した操舵角およびステップS3で演算した車体速度に基づき、車両の目標ヨーレイトを算出する。
ステップS5では、ステップS4で算出した目標ヨーレイトとステップS1で入力した実ヨーレイトとの偏差の絶対値であるヨーレイト偏差を算出する。
ステップS6では、全輪がABS制御中であるか否かを判定する。YESの場合はステップS7へ進み、NOの場合はステップS1へ戻る。このステップでは、ステップS1で入力した各車輪速度とステップS3で演算した車体速度とに基づいて全輪がABS制御中であるか否かを判定する。
ステップS7では、路面摩擦状態算出部7において、各車輪の車輪速度を観測し、各車輪の路面μの低μから高μへのμジャンプを判断し、1輪でもμジャンプが発生したか否かを判定する。YESの場合はステップS8へ進み、NOの場合はステップS1へ戻る。μジャンプの判断方法は以下の通りである。
各車輪の回転運動方程式は、下記の式(1)で与えられる。
I(dω/dt)=μWR-KP …(1)
ここで、Iは車輪の慣性モーメント、dω/dtは車輪の角速度、μは路面摩擦係数、Wは輪荷重、Rは車輪の半径、KPはブレーキトルクである。
式(1)よりdω/dtを角速度から加速度に変換すると、下記の式(2)が得られる。
I(dv/dt)/R=μWR-KP …(2)
式(2)を変形すると、下記の式(3)となる。
dv/dt=(μWR2-KPR)/I …(3)
式(3)においてKP=0とおくと、ある路面でブレーキトルク=0状態における車輪の加速度が求められる。
dv/dt=(μWR2)/I …(4)
式(4)において、W,R,Iは車両諸元値(定数)であるため、現在の路面μがわかれば、その路面で発生し得る最大の車輪加速度を評価できる。
次に、アンチスキッド制御中、減圧時の推定路面μを記憶する。減圧を実施するときはタイヤがある程度のスリップを持つ、すなわち路面μの限界状態であるため、車輪毎に減圧時の推定路面μを記憶しておくことで、各車輪で発生し得る最大の車輪加速度を算出する。仮に現在の路面で発生し得る車輪加速度よりも高い車輪加速度が観測された場合、それはすなわち当該車輪がμジャンプしたと判断できる。よって、このステップでは、車輪毎に、ステップS2で演算した車輪加速度が現在の路面で発生し得る車輪加速度よりも高い場合にμジャンプが発生したと判定する。
各車輪の回転運動方程式は、下記の式(1)で与えられる。
I(dω/dt)=μWR-KP …(1)
ここで、Iは車輪の慣性モーメント、dω/dtは車輪の角速度、μは路面摩擦係数、Wは輪荷重、Rは車輪の半径、KPはブレーキトルクである。
式(1)よりdω/dtを角速度から加速度に変換すると、下記の式(2)が得られる。
I(dv/dt)/R=μWR-KP …(2)
式(2)を変形すると、下記の式(3)となる。
dv/dt=(μWR2-KPR)/I …(3)
式(3)においてKP=0とおくと、ある路面でブレーキトルク=0状態における車輪の加速度が求められる。
dv/dt=(μWR2)/I …(4)
式(4)において、W,R,Iは車両諸元値(定数)であるため、現在の路面μがわかれば、その路面で発生し得る最大の車輪加速度を評価できる。
次に、アンチスキッド制御中、減圧時の推定路面μを記憶する。減圧を実施するときはタイヤがある程度のスリップを持つ、すなわち路面μの限界状態であるため、車輪毎に減圧時の推定路面μを記憶しておくことで、各車輪で発生し得る最大の車輪加速度を算出する。仮に現在の路面で発生し得る車輪加速度よりも高い車輪加速度が観測された場合、それはすなわち当該車輪がμジャンプしたと判断できる。よって、このステップでは、車輪毎に、ステップS2で演算した車輪加速度が現在の路面で発生し得る車輪加速度よりも高い場合にμジャンプが発生したと判定する。
ステップS8では、左右前輪または左右後輪の少なくとも一方で、左右片側のみμジャンプが発生したか否かを判定する。YESの場合はステップS9へ進み、NOの場合はステップS11へ進む。
ステップS9では、液圧制限部9において、ヨーレイトセンサ4により検出されたヨーレイトを入力してヨーレイト偏差を監視し、ヨーレイト偏差に基づき、高μの車輪の制動力復帰速度を制限する制動力復帰抑制処理を実施する。制動力復帰抑制処理では、高μの車輪に対するABS制御増圧時のホイルシリンダ液圧を、ヨーレイト偏差が所定値未満である場合には最大の勾配で増加させ、ヨーレイト偏差が所定値以上である場合には一定に保持する。
ステップS10では、ヨーレイトセンサ4により検出されたヨーレイトを入力し、ヨーレイト偏差が十分に小さいか否かを判定する。YESの場合はステップS11へ進み、NOの場合はステップS9へ戻る。このステップでは、ヨーレイト偏差が所定値未満となった場合、ヨーレイト偏差が十分に小さいと判定する。
ステップS11では、液圧制限部9において、高μの車輪の制動力復帰速度を最大とする制動力復帰処理を実施する。制動力復帰処理では、高μの車輪に対するABS制御増圧時のホイルシリンダ液圧を最大の勾配で増加させる。
ステップS12では、高μの車輪がABS制御中であるか否かを判定する。YESの場合はリターンへ進み、NOの場合はステップS11へ戻る。
ステップS9では、液圧制限部9において、ヨーレイトセンサ4により検出されたヨーレイトを入力してヨーレイト偏差を監視し、ヨーレイト偏差に基づき、高μの車輪の制動力復帰速度を制限する制動力復帰抑制処理を実施する。制動力復帰抑制処理では、高μの車輪に対するABS制御増圧時のホイルシリンダ液圧を、ヨーレイト偏差が所定値未満である場合には最大の勾配で増加させ、ヨーレイト偏差が所定値以上である場合には一定に保持する。
ステップS10では、ヨーレイトセンサ4により検出されたヨーレイトを入力し、ヨーレイト偏差が十分に小さいか否かを判定する。YESの場合はステップS11へ進み、NOの場合はステップS9へ戻る。このステップでは、ヨーレイト偏差が所定値未満となった場合、ヨーレイト偏差が十分に小さいと判定する。
ステップS11では、液圧制限部9において、高μの車輪の制動力復帰速度を最大とする制動力復帰処理を実施する。制動力復帰処理では、高μの車輪に対するABS制御増圧時のホイルシリンダ液圧を最大の勾配で増加させる。
ステップS12では、高μの車輪がABS制御中であるか否かを判定する。YESの場合はリターンへ進み、NOの場合はステップS11へ戻る。
図4は、従来のABS制御において、全輪の路面μが低μの状態から左輪の路面μのみが低μから高μにμジャンプしたときの左右前輪の車輪速度、ホイルシリンダ液圧およびヨーレイト偏差のタイムチャートである。時刻t1よりも前の時刻では、左右前輪の路面μは同じである。また、路面μは低μであり、ABS制御により左右前輪のホイルシリンダ液圧は増減を繰り返してほぼ一定の状態であるため、ヨーレイト偏差はほとんど発生していない。時刻t1で左前輪の路面μが低μから高μに変化すると、左前輪のスリップ率が減少するため、右前輪のホイルシリンダ液圧はほぼ一定であるのに対し、左前輪のホイルシリンダ液圧は上昇する。これにより、左前輪の制動力のみがブレーキペダル操作量に応じた制動力まで復帰し、過大な制動力左右差が生じるため、ヨーレイト偏差は発散し、車両挙動が不安定となっている。
図5は、実施例1のABS制御において、全輪の路面μが低μの状態から左輪の路面μのみが低μから高μにμジャンプしたときの左右前輪1FL,1FRの車輪速度、ホイルシリンダ液圧およびヨーレイト偏差のタイムチャートである。時刻t1よりも前の時刻は図4と同じである。実施例1のABS制御では、時刻t1で左前輪1FLの路面μが低μから高μに変化すると、μジャンプと判断された左前輪1FLのホイルシリンダ液圧の増圧勾配を変化させる。このとき、ヨーレイト偏差は所定値未満であるため、増圧勾配を最大とする。ここで、従来のABS制御では、低μから高μへのμジャンプを判断するとスリップの発生しない時間に応じて増圧勾配を徐々に大きくする手法を採用していたが、実施例1では、μジャンプを判断すると即座に最大の増圧勾配でホイルシリンダ液圧を増圧する。左前輪1FLの制動力を俊敏に復帰させることで、従来の手法に比べ、制動距離を短縮できる。
時刻t2では、ヨーレイト偏差が所定値に達したため、左前輪1FLのホイルシリンダ液圧を一定に保持する。これにより、左前輪1FLの制動力の復帰が抑制され、制動力左右差の増大を抑えることができるため、ヨーレイト偏差を所定値に維持できる。よって、運転者の予期しないヨーモーメントの発生を抑制できると共に、車両挙動を安定させることができる。
時刻t2では、ヨーレイト偏差が所定値に達したため、左前輪1FLのホイルシリンダ液圧を一定に保持する。これにより、左前輪1FLの制動力の復帰が抑制され、制動力左右差の増大を抑えることができるため、ヨーレイト偏差を所定値に維持できる。よって、運転者の予期しないヨーモーメントの発生を抑制できると共に、車両挙動を安定させることができる。
実施例1にあっては、以下の効果を奏する。
(1) 各車輪の路面摩擦状態(スリップ率、路面μ、μジャンプ)を算出する路面摩擦状態算出部7と、各車輪のスリップ率に応じて各車輪のホイルシリンダW/Cに発生するブレーキ液圧を制御するコントロールユニットCUと、車両の目標ヨーレイトを設定する目標ヨーレイト設定部8と、車両に発生するヨーレイトを検出するヨーレイトセンサ4と、を備え、コントロールユニットCUは、制動中に路面摩擦状態算出部7により左右両輪の路面μが低μの状態から一輪が高μに変化したことが検出された場合、検出されたヨーレイトと設定された目標ヨーレイトとの差が所定値以下になるように高μの車輪のホイルシリンダW/Cに発生させるブレーキ液圧の上昇を制限する液圧制限部9を備えたことを特徴とするブレーキ制御装置。
よって、左右両輪の路面μが低μの状態から一輪が高μに変化したときの制動力左右差の発生を抑制でき、運転者の予期しないヨーモーメントの発生を抑制できると共に、車両挙動の安定化を実現できる。
(2) (1)に記載のブレーキ制御装置において、液圧制限部9は、高μの車輪のホイルシリンダW/Cに発生させるブレーキ液圧の増圧勾配を所定の増圧勾配以下に制限することを特徴とするブレーキ制御装置。
よって、ブレーキ液圧の増圧勾配を制限することで、制動力左右差の発生をより確実に抑制できる。
(1) 各車輪の路面摩擦状態(スリップ率、路面μ、μジャンプ)を算出する路面摩擦状態算出部7と、各車輪のスリップ率に応じて各車輪のホイルシリンダW/Cに発生するブレーキ液圧を制御するコントロールユニットCUと、車両の目標ヨーレイトを設定する目標ヨーレイト設定部8と、車両に発生するヨーレイトを検出するヨーレイトセンサ4と、を備え、コントロールユニットCUは、制動中に路面摩擦状態算出部7により左右両輪の路面μが低μの状態から一輪が高μに変化したことが検出された場合、検出されたヨーレイトと設定された目標ヨーレイトとの差が所定値以下になるように高μの車輪のホイルシリンダW/Cに発生させるブレーキ液圧の上昇を制限する液圧制限部9を備えたことを特徴とするブレーキ制御装置。
よって、左右両輪の路面μが低μの状態から一輪が高μに変化したときの制動力左右差の発生を抑制でき、運転者の予期しないヨーモーメントの発生を抑制できると共に、車両挙動の安定化を実現できる。
(2) (1)に記載のブレーキ制御装置において、液圧制限部9は、高μの車輪のホイルシリンダW/Cに発生させるブレーキ液圧の増圧勾配を所定の増圧勾配以下に制限することを特徴とするブレーキ制御装置。
よって、ブレーキ液圧の増圧勾配を制限することで、制動力左右差の発生をより確実に抑制できる。
〔実施例2〕
実施例2は、高摩擦状態の車輪のホイルシリンダに発生させるブレーキ液圧の上昇を制限する方法のみ実施例1と相違する。実施例1と同じ部位には同一の符号を付して図示および重複する説明は省略する。
実施例2の液圧制限部9は、図3のステップS9における制動力復帰抑制処理において、高μの車輪に対するABS制御増圧時のホイルシリンダ液圧を、ヨーレイト偏差が所定値に達すると減圧し、ヨーレイト偏差が一定量低下すると再び増圧する。一定時間減圧後に増圧してもよい。
図6は、実施例2のABS制御において、全輪の路面μが低μの状態から左輪の路面μのみが低μから高μにμジャンプしたときの左右前輪1FL,1FRの車輪速度、ホイルシリンダ液圧およびヨーレイト偏差のタイムチャートである。時刻t2までは図5に示した実施例1と同じであるため、説明は省略する。時刻t2では、ヨーレイト偏差が所定値に達したため、左前輪1FLのホイルシリンダ液圧を減圧し、その後、ヨーレイト偏差が所定値を超えないように左前輪1FLのホイルシリンダ液圧の増減を繰り返す。これにより、制動力左右差の増大が抑制されるため、ヨーレイト偏差を所定値以下に維持できる。よって、運転者の予期しないヨーモーメントの発生を抑制できると共に、車両挙動を安定させることができる。
実施例2にあっては、実施例1の効果(1)に加え、以下の効果を奏する。
(3) (1)に記載のブレーキ制御装置において、液圧制限部9は、高μの車輪のホイルシリンダW/Cに発生させるブレーキ液圧を増圧後、減圧することを特徴とするブレーキ制御装置。
よって、ブレーキ液圧を増減させることで、制動力左右差の発生をより確実に抑制できる。
実施例2は、高摩擦状態の車輪のホイルシリンダに発生させるブレーキ液圧の上昇を制限する方法のみ実施例1と相違する。実施例1と同じ部位には同一の符号を付して図示および重複する説明は省略する。
実施例2の液圧制限部9は、図3のステップS9における制動力復帰抑制処理において、高μの車輪に対するABS制御増圧時のホイルシリンダ液圧を、ヨーレイト偏差が所定値に達すると減圧し、ヨーレイト偏差が一定量低下すると再び増圧する。一定時間減圧後に増圧してもよい。
図6は、実施例2のABS制御において、全輪の路面μが低μの状態から左輪の路面μのみが低μから高μにμジャンプしたときの左右前輪1FL,1FRの車輪速度、ホイルシリンダ液圧およびヨーレイト偏差のタイムチャートである。時刻t2までは図5に示した実施例1と同じであるため、説明は省略する。時刻t2では、ヨーレイト偏差が所定値に達したため、左前輪1FLのホイルシリンダ液圧を減圧し、その後、ヨーレイト偏差が所定値を超えないように左前輪1FLのホイルシリンダ液圧の増減を繰り返す。これにより、制動力左右差の増大が抑制されるため、ヨーレイト偏差を所定値以下に維持できる。よって、運転者の予期しないヨーモーメントの発生を抑制できると共に、車両挙動を安定させることができる。
実施例2にあっては、実施例1の効果(1)に加え、以下の効果を奏する。
(3) (1)に記載のブレーキ制御装置において、液圧制限部9は、高μの車輪のホイルシリンダW/Cに発生させるブレーキ液圧を増圧後、減圧することを特徴とするブレーキ制御装置。
よって、ブレーキ液圧を増減させることで、制動力左右差の発生をより確実に抑制できる。
1FL,1FR,1RL,1RR 車輪
2FL,2FR,2RL,2RR 車輪速センサ
3 操舵角センサ
4 ヨーレイトセンサ
5 主液通路
6 切り替え制御弁
7 路面摩擦状態算出部
8 目標ヨーレイト設定部
9 液圧制限部
CU コントロールユニット
HU 液圧制御ユニット
M/C マスタシリンダ
P ポンプ
RSV リザーバ
W/C ホイルシリンダ
2FL,2FR,2RL,2RR 車輪速センサ
3 操舵角センサ
4 ヨーレイトセンサ
5 主液通路
6 切り替え制御弁
7 路面摩擦状態算出部
8 目標ヨーレイト設定部
9 液圧制限部
CU コントロールユニット
HU 液圧制御ユニット
M/C マスタシリンダ
P ポンプ
RSV リザーバ
W/C ホイルシリンダ
Claims (3)
- 各車輪の路面摩擦状態を算出する路面摩擦状態算出部と、
前記算出された各路面摩擦状態に応じて対応する各車輪のホイルシリンダに発生するブレーキ液圧を制御する液圧制御部と、
車両の目標ヨーを設定する目標ヨー設定部と、
車両に発生するヨーを検出するヨー検出部と、
を備え、
前記液圧制御部は、制動中に前記路面摩擦状態算出部により左右両輪が低摩擦状態から一輪が高摩擦状態に変化したことが検出された場合、前記検出されたヨーと前記設定された目標ヨーとの差が所定値以下になるように前記高摩擦状態の車輪のホイルシリンダに発生させるブレーキ液圧の上昇を制限する液圧制限部を備えたことを特徴とするブレーキ制御装置。 - 請求項1に記載のブレーキ制御装置において、
前記液圧制限部は、前記高摩擦状態の車輪のホイルシリンダに発生させるブレーキ液圧の増圧勾配を所定の増圧勾配以下に制限することを特徴とするブレーキ制御装置。 - 請求項1に記載のブレーキ制御装置において、
前記液圧制限部は、前記高摩擦状態の車輪のホイルシリンダに発生させるブレーキ液圧を増圧後、減圧することを特徴とするブレーキ制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015053503A JP2016172494A (ja) | 2015-03-17 | 2015-03-17 | ブレーキ制御装置 |
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WO2019107523A1 (ja) * | 2017-11-29 | 2019-06-06 | 株式会社アドヴィックス | 車両の制動制御装置 |
WO2019107524A1 (ja) * | 2017-11-29 | 2019-06-06 | 株式会社アドヴィックス | 車両の制動制御装置 |
JP2019098795A (ja) * | 2017-11-29 | 2019-06-24 | 株式会社アドヴィックス | 車両の制動制御装置 |
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