JP2016171771A - 挿し木苗を製造するための資材及び挿し木苗の製造方法 - Google Patents

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真司 原
益朗 坂田
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Abstract

【課題】挿し木苗を大量にかつ効率的に生産するために、機械化に馴染む資材を提供すること。
【解決手段】植物の挿し木苗を製造するための資材であって、
(a)先細り形状を有する、底部に孔を有するコンテナ、
(b)該コンテナに充填された培地、
(c)前記コンテナと培地との間に、コンテナの内部の表面を覆って介在する、シート製部材、及び
(d)前記培地に挿し木された植物の挿し穂、
を有し、前記シート製部材の下端部をコンテナ底部の孔からコンテナ内部と反対の方向に前記培地及び挿し穂ごと引張り、培地をより緊密にして挿し穂を培地に密接させることができる、資材。
【選択図】図3

Description

本発明は挿し木苗を製造するための資材及び該資材を用いた挿し木苗の製造方法に関する。
我が国における樹木の苗の生産は、露地又は温室等の施設内において実生で行われるほか、挿し木によって行われる。
一方、海外の林業先進国では、苗木育成用のコンテナを用いるコンテナ育苗技術が確立され、近年、わが国でも国内林業向けのJEAコンテナ(マルチキャビティコンテナ)が開発され普及が拡大している。苗木育成用のコンテナには、個別のコンテナが分離したもののほか、多数の苗育成孔を有する硬質プラスティック製の育苗容器の形態のものが、樹種、育苗環境、作業性に応じて、容量、形状等様々なタイプがある。個別のコンテナがトレイと分離したタイプの場合、そのサイズは例えば上径約5cm、下径約1.5cm、高さ約15cmであり、先細りの形状である。
コンテナ育苗のメリットとして、i)貯蔵や運搬などのハンドリングに優れること、(ii)培地付き苗なので植栽適期の拡大が可能であること、(iv)小型軽量のため植栽効率が高いこと等があげられる。
なお、上記「コンテナ」の語とは別に、複数のコンテナを連結しトレイ状とした資材は「育苗トレイ」と称されることもあるが、本明細書においては「コンテナ」及び「育苗トレイ」を区別せずに用いる場合がある。
挿し木育苗において、育苗用のコンテナを用いる場合は、台木(母樹)の穂を含む部分を切り取り(切り取られた部分を「挿し穂」という)、該挿し穂をコンテナに充填された挿し床に直接挿し木するか、あるいは露地、人工土壌から床替えした穂を挿し木して発根させ、育苗する方法等が採られる。後者の方法による育苗(以下「挿し木育苗」という)においては、挿し穂を約200本/m以上の高い密度で生育せしめるといった面積当たり生産量を高め集約的な育苗管理が可能である(露地育苗では100本/m程度)。なお、挿し木(又は挿し付け)とは、挿し穂を植え付ける工程を意味する。
コンテナを用いて挿し木苗を製造する場合、基本的に以下の工程を経る:
培地をコンテナ充填する工程
コンテナに充填した培地表面に挿し木用の穴を開ける工程。穴は通常、コンテナのほぼ中央部に開ける。
(iii)該コンテナの培地の穴に挿し穂を挿し木する工程、培地表面の穴に挿し穂の切り口を差し込み、該挿し穂の軸部(挿し付け部分)培地中に埋まるようにさらに挿し穂を培地中に埋め込む工程。挿し穂の軸部が培地中に埋まる長さは、挿し穂の大きさや、挿し木する植物種によって変わるが、通常1〜15cm程度である。
(iv)挿し木された挿し穂が育苗中に動かないように培地表面を上から押して培地を押し固めておく工程。
上記工程(i)〜(iv)の後、コンテナに挿し木された挿し穂はトレイ等の容器に並べ、適宜運搬し、育苗に供される。工程(iv)は培地と挿し穂の切り口をより緊密にし、挿し穂の切り口を通じた培土中からの水分吸収を効率的に行うことを可能にする効果もある。
コンテナ以外の挿し木苗を製造するための容器についても報告がなされており、例えば特許文献1及び2には、それぞれ生分解性の素材を用いた育苗用シート及びポットが、それぞれ記載されている。
特許文献3には、移植の際に地面に挿し込める強度のある素材筒状微多孔質焼成体(セラッミックの円筒)についての開示がある。
また非特許文献1には、シートを筒状にしてコンテナとして用いる技術が開示されている。
特開2007−282538号公報 特開2011−55720号公報 特開2008−263822号公報
「Mスターコンテナを用いた挿木苗生産システムの開発と実用化」、宮崎林業技術センター、三樹陽一郎
挿し木苗を大量にかつ効率的に生産するためには機械化が不可欠であるところ、上記 コンテナを用いて挿し木苗を製造する場合の工程(i)〜(iv)のうち、(i)及び(ii)の工程は機械により行うことが容易であり実際に機械化はなされている。これに対し工程(iii)及び(iv)は、機械化を行う場合には、位置決め作業を要するため高精度な画像判別装置等を必要とするところ、かかる装置は現時点においては高価であり挿し木苗の製造にはコスト的に見合わない。とくに工程(iv)は穂が付いている挿し穂を挿し木した後の作業であるため、挿し穂が邪魔になり作業がしづらい。したがって、工程(iii)及び(iv)は人手に頼らざるを得ない一方、挿し木苗の製造は人手が不足しがちな地方において行われることが通常であるため、作業人員を確保することが困難であるのが実状である。
非特許文献1に開示されている技術においては、シートを筒状にしてコンテナとして用いているが、シートを筒状にしてコンテナを作ってから穂の挿しつけを行うので培土を押し固める工程が必要であり却って手間がかかり効率的でない。またコンテナを構成するシート自体が丸めやすい柔軟な素材であることが前提であり強度面で難があるため、機械化に際してはより精緻な操作能を具備する比較的高価な機械が必要である。よって、非特許文献1に開示されている技術においては、作業を機械的に行うことについて検討されていない。
上記背景の下、本発明者らは、挿し木苗を大量にかつ効率的に生産するために、機械化に馴染む資材を提供することを目的とした。
上記課題に鑑み本発明者らは、培地を押し固める工程も機械的に容易に行い得る方法として従来とは異なる方法の探索を行ったところ、これまでコンテナ育苗に用いられていなかった器材を用いることによって上記課題を解決できる可能性があることを見出し、さらに研究を進めた結果本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、少なくとも以下の発明に関する:
[1] 挿し木苗を製造するための資材であって、
(a)先細り形状を有する、底部に孔を有するコンテナ、
(b)該コンテナに充填された培地、
(c)前記コンテナと培地との間に、コンテナの内部の表面を覆って介在する、シート製部材、及び
(d)前記培地に挿し木された植物の挿し穂、
を有し、前記シート製部材の下端部をコンテナ底部の孔からコンテナ内部と反対の方向に前記培地及び挿し穂ごと引張り、培地をより緊密にして挿し穂を培地に密接させることができる、資材。
[2] シート製部材が、プラスチック、紙、不織布、ネット又は織布製のシートを、該シートの対向する両端辺が少なくとも部分的にほぼ重なる程度に巻いて成形された部材である、上記[1]に記載の資材。
[3]植物の伸長した根が貫通する微細な孔又は切れ目がシート製部材に設けられている上記[2]に記載の資材。
[4]コンテナ及びシート製部材がプラスチックからなる上記[1]〜[3]のいずれかに記載の資材。
[5]プラスチックが生分解性プラスチックである上記[4]に記載の資材。
[6]生分解性プラスチックがポリ乳酸からなる上記[5]に記載の資材。
[7]植物がスギ、ヒノキクロマツ、カラマツ又はエゾマツである上記[1]〜[6]のいずれかに記載の資材。
[8]以下の工程を含む、植物の挿し木苗を製造するための資材の製造方法:
(A)広げたシートに培地を広げて載せる工程、
(B)樹木の挿し穂を、前記培地に挿し付け部分が載るように置く工程、
(C)培地及び挿し穂を包み込むようにシートを、その両端部が少なくとも部分的に重なるように巻いてシート製部材に成形する工程、
(D)該シート製部材を、先細り形状を有する、底部に孔を有するコンテナに挿入する工程、ただし前記シート製部材の下端部をコンテナ底部の孔からコンテナ内部と反対の方向に前記培地及び挿し穂ごと引張り、培地をより緊密にして挿し穂を培地に密接させることができるようになっている。
本発明の資材においては、前記シート製部材の下端部をコンテナ底部の孔からコンテナ内部と反対の方向に前記培地及び挿し穂ごと引張ると、より大径である上方に位置する培地がより小径である部位に引き込まれることにより、培地がより緊密になるため挿し穂を培地に密接させる、すなわちより強く密着・固定させる、ことができる。上記引張る操作は、挿し穂を培地中に埋め込む工程の後にシート製部材の下端部の一部を順次人又は機械が掴むかあるいは引っ掛けて下方に力を加えれば、トレイに数多くの本発明の資材を設置した後でも容易に実施できるので、従来の方法よりはるかに簡便かつ効率的に培地を押し固める操作を行うことができる。したがって本発明によれば、挿し木苗を大量にかつ効率的に生産するために機械化に馴染む、すなわちより安価な機械による挿し木苗の製造を可能にする資材が提供される。
とくにコンテナ及びシート製部材が生分解性プラスチックからなる本発明の資材によれば、育苗後に苗を抜き取らずにコンテナごと定植場所に植栽できるといった効果も奏される。
本発明の資材を製造するための製造方法によれば、前記挿し木苗を製造するための資材の製造を機械により簡便に行うことが可能になるといった効果を奏される。
コンテナの例を示す写真図である。 本発明の資材の例を示す模式図(側面図)である。コンテナ内部は断面図として示した。 本発明の資材において、挿し穂を培地により強く密接させる工程を模式的に示す図(側面図)である。コンテナ内部は断面図として示した。 本発明の資材の製造方法のスキームの例を示す模式図である。
本発明は、上記のとおり、樹木の挿し木苗を製造するための資材であって、
(a)先細り形状を有する、底部に孔を有するコンテナ、
(b)該コンテナに充填された培地、
(c)前記コンテナと培地との間に、コンテナの内部の表面を覆って介在する、シート製部材、及び
(d)前記培地に挿し木された植物の挿し穂、
を有し、前記シート製部材の下端部をコンテナ底部の孔からコンテナ内部と反対の方向に前記培地及び挿し穂ごと引張り、培地をより緊密にして挿し穂を培地に密接させることができる、資材に関する。
以下に本発明の資材及び製造方法について、各部材・工程についての説明を加えながら、詳細に説明する。
なお本発明における「挿し穂」は、育苗の対象である植物の植栽がなされる前のステージにある苗を意味し、必ずしも穂を有していなくてもよい。
本発明における「挿し木」は、育苗の対象である植物の前記挿し穂を育苗可能な状態に培地に差し込む操作を意味し、この場合植物は必ずしも木本性の植物が対象でなくてもよい。
また、本発明における「シート製部材」は、同部材自体を広げた際に、ほぼ全面にわたり薄広のシート状である部材である。同部材はコンテナの内部の表面を覆うように介在し培地を支持するものであるところ、コンテナへの装填は平板状の資材を巻いて筒状に成形した後にコンテナに挿入して行ってもよいし)、予めほぼ円錐又は円錐台形状等の形状に成形された資材をはめ込むようにして行ってもよい。
1.樹木の挿し木苗を製造するための資材
(コンテナ)
本発明の資材において用いられるコンテナは、上記のとおり先細り形状を有し、またシート製部材の下端部を引張るための孔を底部に有しているものであれば限定されない。前記孔は、育苗時の培地中の水分量を調節する機能も有するものであり、通常のコンテナに具備されている。当該孔の形状や個数も限定されない。
コンテナの大きさは限定されず、例えば上径約4.5cm〜5.5cm、下径約1.0cm〜2.0cm、高さ約12cm〜18cmであり、用いられる植物の種類等に応じて決定してよい。
コンテナの形状は先細り形状であれば限定されず、例えば長軸方向に垂直な方向における断面(横断面)の形状は多角形や円形であってよい。コンテナの形状は、典型的には細長の円錐台や四角錐台の形状である。
コンテナの材質は限定されず、通常用いられるプラスチックであってよい。コンテナが生分解性プラスチックからなる本発明の資材によれば、植栽後の植物の生育が図れるばかりでなく植栽時に土壌面からの反力の耐える十分な強度があるため、育苗後にコンテナごと定植場所に植栽でき好ましい。生分解性プラスチックとしてポリ乳酸、酢酸セルロース、ポリ酢酸セルロースからなるものは好ましく、ポリ乳酸からなるものは汎用性が高いためとくに好ましい。
本発明の方法において挿し穂の栽植密度は、高密度であれば限定されないところ、約200本/m以上は好ましく、約240本/m以上はより好ましく、約300本/m以上は一層より好ましい。
(植物)
本発明において用いられる植物の種類は、挿し木育苗が可能な植物であればとくに限定されず、生育ステージもとくに限定されない。
前記植物の例としては木本性及び草本性の植物が挙げられる。木本性の植物としてスギ、ヒノキ、クロマツ、カラマツ、エゾマツ等の針葉樹、ミズキ、サクラ、シイ、カシ、カエデ、コナラ、ハンノキ、ヤナギ、キョウチクトウ、バラ等の広葉樹、その他主として海外で植林される樹種であるアカシア、ユーカリ等が例示される。草本性の植物としてベゴニア、ゼラニウム、カーネーション、キク等の花卉類、トマト、キュウリ、セイジ等の野菜類が例示される。本発明の資材が好適に用いられる植物としてスギ、ヒノキ、クロマツ、カラマツ及びエゾマツが例示される。
(培地)
本発明において用いられる培地は限定されず、対象植物の育苗に適切に用いられるものであってよい。培地の例として、赤玉土、鹿沼土、ピートモス、ココピートといった培土が例示される。対象植物がスギ又はヒノキである場合、培地が、赤玉土主体の培土である本発明の資材は好ましい。また、培地として毛管力に優れた他の媒体(マット材、保水材等)を用いてもよい。したがって、本発明における「培地」には、上記したような毛管力に優れた培土以外の他の媒体も包含される。
培地の量は、コンテナのほぼ内容積全体に培地が充填される量であればよい。このような量を用いることにより、挿し木後の挿し穂を安定させることができるばかりでなく、シート製部材を下方に引張ったときに、培地の重みにより培地とシート製部材が密着して培地にも下方への力をより確実に加えることができる。
(シート製部材)
本発明において用いられるシート製部材は、コンテナと培地との間に、コンテナの内部の表面を覆って介在するものであり、培地を充填し植物を挿し穂した後に、シート製部材の下端部をコンテナ底部の孔からコンテナ内部と反対の方向に前記培地及び挿し穂ごと引張り、培地をより小さい容量の領域に装填することにより緊密度を高め、挿し穂を培地により強く密接させることができるようにするための部材である(図2〜図4)。
シート製部材の材質は限定されず、上記のように、コンテナに装填後にシート製部材の下端部をコンテナ底部の孔から引張り、培地をより緊密にして挿し穂を培地に密接させることができる強度を有していればよい。シート製部材の材質として、例えばプラスチック、紙、不織布、ネット又は織布が例示される。なお、シート製部材がネットである場合、シート部材はプラスチック製、紙製、不織布製又は織布製であってよい。
シート製部材の形状も限定されず、上記のとおりほぼ円錐もしくは円錐台形状、角錐もしくは角錐台形状、又はこれら以外のコンテナに装填可能な下部に孔を有していても有していなくてもよい袋状の形状に成形されたものであってよい。
シート製部材が、挿し木を行う前にシートを巻いて成形された部材である本発明の資材は、用いられるコンテナの大きさや形状に適したものを成形して対応することができるため好ましい。この場合のシート製部材の材質としては、前述した強度以外に柔軟性も備えることにより巻いて成形する工程を行いやすくなるため好ましい。また、かかる場合、該シートの対向する両端辺が少なくとも部分的にほぼ重なる程度に巻いて成形された部材である本発明の資材はより好ましい。このように成形することにより、下方に引張られた際に挿し穂を培地に一層より強く密接させることができるようにすることができる。
予め成形されたシート製部材を用いる場合は、当該部材のコンテナへの装着は該コンテナに同部材をはめ込むようにして行えばよい。
シート製部材の形状及び大きさはとくに限定されず、培地を充填し植物を挿し穂した後に、下端部をコンテナ底部の孔からコンテナ内部と反対の方向に前記培地及び挿し穂ごと引張れる形状と大きさであればよく、コンテナ内部表面の全域を覆う形状・大きさである必要はない。シート製部材の材質が比較的脆弱である紙などを用いる場合には、シート製部材を下方に引張った際に培地全体に力を加えやすいように、大き目のものを用いてコンテナ内部表面のほぼ全域を覆うようにすることは好ましい。
シート製部材として、植物の伸長した根が貫通する微細な孔又は切れ目を有する資材は根切りが可能になり、根のローリングを防ぐことができるため好ましい。ネットからなる資材も同様に好ましい。シート製部材がネットである場合、シート部材はプラスチック製、紙製、不織布製又は織布製であってよい。またこの場合、ネットの目の大きさ、個数、配置パターンは限定されず、本発明の資材の製造時や育苗された苗をコンテナから抜き取った際に培地がネットの目から脱落せず、根が貫通できる程度のものであればよい。
また、シート製部材として生分解性プラスチックからなるものも好ましい。コンテナも生分解性プラスチックからなるものとすることにより、育苗された苗をコンテナから抜き取らず、そのまま苗床に植栽できるからである。生分解性プラスチックとしてポリ乳酸、酢酸セルロース、ポリ酢酸セルロースからなるものは好ましく、ポリ乳酸からなるものは汎用性が高いためとくに好ましい。
(使用方法(育苗方法及び植栽方法))
本発明の資材を用いた場合の苗の育苗方法はとくに限定されず、対象植物のコンテナ苗を育苗する際の通常の方法に従って行うことができる。
育苗された苗を植栽するに際しては、育苗された苗をコンテナから抜き取って苗床に植栽することができる。コンテナ及びシート製部材が生分解性プラスチックからなるものである場合には、育苗された苗をコンテナから抜き取らずそのまま苗床に植栽できるため好ましい。
2.植物の挿し木苗を製造するための資材の製造方法
本発明の植物の挿し木苗を製造するための資材の製造方法はとくに限定されず、上記(i)培地をコンテナ充填する工程の前にコンテナにシート製部材を設置し、その後通常の方法に従ってよい。
シート製部材が前記資材の製造時にシート状である場合、該シートの両端部を、少なくとも部分的に重なる程度に巻いてシート製部材に成形する。この場合のシート製部材の製造方法は、以下の工程を含む製造方法はすべての工程を安価な機械により容易に行えるため好ましい:
(A)広げたシートに培地を広げて載せる工程、
(B)樹木の挿し穂を、前記培地に挿し付け部分(軸部)が載るように置く工程、
(C)培地及び挿し穂を包み込むようにシートを、その両端部が少なくとも部分的に重なるように巻いてシート製部材に成形する工程、
(D)該シート製部材を、先細り形状を有する、底部に孔を有するコンテナに挿入する工程。ただし、シート製部材の下端部をコンテナ底部の孔からコンテナ内部と反対の方向に前記培地及び挿し穂ごと引張り、培地をより緊密にして挿し穂を培地に密接させることができるようになっている。
これらの工程は、いずれも比較的低コストで機械化が可能である。かかる方法はとくに(B)樹木の挿し穂を、前記培地に挿し付け部分が載るように置く工程により、従来機械化が困難であった(ii)該コンテナに挿し穂を挿し木する工程、すなわち挿し木を培地表面のほぼ中心部に挿し穂の切り口を差し込み、該挿し穂の軸部の下から約5cm程度が培地中に埋まるようにさらに挿し穂を培地中に埋め込む工程、を省略できるといった効果を奏する。
工程(A)において用いられるシートは、工程(C)において培地及び挿し穂ごと巻けるような柔軟な素材のものである。
工程(B)においては、挿し穂を軸にして、培土ごとシートを巻く。このとき巻かれたシートを正立させたときの上側より下側の方が細くなるように巻くことは好ましい。下側をコンテナの開口部に入る太さに巻くことは好ましい。
巻いたシートは糸で縛るなどの仮止めを行ってもよいが、仮止めは必須ではない。また、巻いたシートの下端部を折り曲げて、工程(D)において当該折り曲げ部分を引張れるようにしてもよい。
工程(C)は、コンテナ内に挿し穂、培土ごとシートを入れる工程である。コンテナの形状は上側より下側を細いため、培土が締まり、挿し穂との間に空隙の発生が低減又は回避される。
その後挿し木苗を養生し、植栽用の苗として育苗される。コンテナとして生分解性プラスチックなどの生分解性硬質素材を用いれば、コンテナごと挿し木苗を林地等の定植場所に挿し込んで植栽を行う。
(挿し木苗の製造方法)
本発明の植物の挿し木苗を製造するための資材は、コンテナと培地の間にシート製部材が存在している以外はコンテナ及び培地を用いる従来の育苗用資材と変わらないから、植物の育苗管理は通常の方法で行うことができる。
本発明の資材及び製造方法について、図面を参照しながらより詳細に説明する。なお本発明はその思想を逸脱しない範囲で、本技術分野における通常の知識に基づく改変を行ってよい。
図2に本発明の資材の例を示し、図3に本発明の資材において、挿し穂を培地により強く密接させる工程を示した。
図2及び3において、植物の挿し木苗を製造するための資材1は挿し穂(挿し木された苗)2、培地3、シート製部材4(破線で示した)及び先細り形状を有するコンテナ5よりなることが示されている。コンテナ5は底部に孔を有し(図示せず)、図3に示すようにシート製部材4の下端部をコンテナ5の底部の前記孔からコンテナ5の内部と反対の方向(矢印で示す方向)に培地3及び挿し穂2ごと引張り、培地3をより緊密にして挿し穂2を培地3に密接させることができる。
図4に本発明の資材の製造方法のスキームの例として、シート製部材が前記資材の製造時にシート状である場合のスキームを示した。
シート6に培地3を広げて載せ、樹木の挿し穂2を、培地3に挿し付け部分が載るように置く(図4の左端の図)。
次に培地3及び挿し穂2を包み込むようにシート6を、その両端部が少なくとも部分的に重なるように巻いてシート製部材4に成形する(図4の中央の図)。この際シート製部材4もコンテナと同様に先細り形状にしておくことは好ましい。
続いてシート製部材4を、先細り形状を有する、底部に孔を有するコンテナ5に挿入する。この後育苗開始前のいずれかの時点において、シート製部材4の下端部をコンテナ5底部の孔からコンテナ5内部と反対の方向(矢印で示す方向)に培地3及び挿し穂2ごと引張り、培地3をより緊密にして挿し穂2を培地3に密接させる。
植栽時には、挿し込み用の穴を開けておいてもよい。
本発明によれば、挿し木苗を大量にかつ効率的に生産するために、機械化に馴染む資材が提供される。したがって本発明は植物栽培業及びその関連産業の発展に寄与するところ大である。
1・・・植物の挿し木苗を製造するための資材
2・・・挿し穂(挿し木された苗)
3・・・培地
4・・・シート製部材
5・・・コンテナ
6・・・シート

Claims (8)

  1. 植物の挿し木苗を製造するための資材であって、
    (a)先細り形状を有する、底部に孔を有するコンテナ、
    (b)該コンテナに充填された培地、
    (c)前記コンテナと培地との間に、コンテナの内部の表面を覆って介在する、シート製部材、及び
    (d)前記培地に挿し木された植物の挿し穂、
    を有し、前記シート製部材の下端部をコンテナ底部の孔からコンテナ内部と反対の方向に前記培地及び挿し穂ごと引張り、培地をより緊密にして挿し穂を培地に密接させることができる、資材。
  2. シート製部材が、プラスチック、紙、不織布、ネット又は織布製のシートを、該シートの対向する両端辺が少なくとも部分的にほぼ重なる程度に巻いて成形された部材である、請求項1に記載の資材。
  3. 植物の伸長した根が貫通する微細な孔又は切れ目がシート製部材に設けられている請求項2に記載の資材。
  4. コンテナ及びシート製部材がプラスチックからなる請求項1〜3のいずれかに記載の資材。
  5. プラスチックが生分解性プラスチックである請求項4に記載の資材。
  6. 生分解性プラスチックがポリ乳酸からなる請求項5に記載の資材。
  7. 植物がスギ、ヒノキクロマツ、カラマツ又はエゾマツである請求項1〜6のいずれかに記載の資材。
  8. 以下の工程を含む、植物の挿し木苗を製造するための資材の製造方法:
    (A)広げたシートに培地を広げて載せる工程、
    (B)樹木の挿し穂を、前記培地に挿し付け部分が載るように置く工程、
    (C)培地及び挿し穂を包み込むようにシートを、その両端部が少なくとも部分的に重なるように巻いてシート製部材に成形する工程、
    (D)該シート製部材を、先細り形状を有する、底部に孔を有するコンテナに挿入する工程、ただし前記シート製部材の下端部をコンテナ底部の孔からコンテナ内部と反対の方向に前記培地及び挿し穂ごと引張り、培地をより緊密にして挿し穂を培地に密接させることができるようになっている。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN106613656A (zh) * 2016-12-13 2017-05-10 广东林科种苗有限公司 一种松树扦插育苗方法
CN110036813A (zh) * 2019-04-26 2019-07-23 江西省林业科学院 一种适合机械化作业的枳壳矮砧密植省力高产优质栽培技术
JP2020191852A (ja) * 2019-05-30 2020-12-03 住友林業株式会社 カラマツ属植物苗の育苗方法

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