上述した本発明の内容を明確にするために、本発明を「セブン機」や「デジパチ」と呼ばれるタイプのパチンコ機(遊技機)に適用した実施例について説明する。
A.パチンコ機の装置構成 :
A−1.装置前面側の構成 :
図1は、本実施例のパチンコ機1の正面図である。図1に示すように、パチンコ機1の前面部は、大きくは、前面枠4、上皿部5、下皿部6、遊技盤10などから構成されている。なお、図1では遊技盤10の詳細な図示を省略している。前面枠4は、図示しない中枠3に取り付けられており、中枠3は、図示しない本体枠2に取り付けられている。中枠3は、プラスチック材料で成形されており、本体枠2の内側に取り付けられている。本体枠2は、木製の板状部材を組み立てて構成された略長方形の枠体であり、パチンコ機1の外枠を形成している。前面枠4の一端は中枠3に対して回動可能に軸支されており、中枠3の一端は本体枠2に対して回動可能に軸支されている。遊技盤10は中枠3の前面側に着脱可能に取り付けられており、その前面側が前面枠4で覆われている。
前面枠4は、プラスチック材料で成形されており、略中央部には窓部4aが形成されている。この窓部4aにはガラス板等の透明板が嵌め込まれており、奥側に配置される遊技盤10の盤面が視認可能となっている。また、前面枠4における窓部4aの上方には、遊技効果を高めるための各種LEDやランプ類4b〜4fが設けられている。
前面枠4の下方には上皿部5が設けられており、上皿部5の下方には下皿部6が設けられている。また、前面枠4の右端部には施錠装置9が設けられており、前面枠4の左方にはプリペイドカード式の球貸装置13(CRユニット)が設けられている。
上皿部5には、皿状の凹部と、凹部を取り巻くように形成された皿外縁部5aとが設けられている。遊技球は、上皿部5に形成された凹部に投入されて、発射装置ユニット12(図5参照)に供給される。皿外縁部5aには、遊技球の貸し出しを受けるための球貸ボタン5b、球貸装置13から記録媒体の返却を受けるための返却ボタン5c、投入した遊技球を排出するための排出ボタンなど、各種のボタン類が設けられている。また、皿外縁部5aの前面側には演出ボタン5d(入力検知手段)が設けられており、遊技者によって演出ボタン5dが操作されると、その操作に応じた遊技演出が行われる。さらに、上皿部5の左端にはスピーカー5yが設けられている。
下皿部6には、パチンコ機1の内部から遊技球を排出するための排出口6aが設けられており、排出された遊技球は下皿部6内に貯留される。下皿部6の右端には発射ハンドル8が設けられている。発射ハンドル8には、遊技者がハンドルに触れていることを検知するタッチスイッチ8aが設けられている。発射ハンドル8の回転軸は、下皿部6の奥側に搭載された図示しない発射装置ユニット12に接続されており、遊技者が発射ハンドル8を回転させると、その動きが発射装置ユニット12に伝達され、ユニットに内蔵された図示しない発射モーターが作動して、発射ハンドル8の回転角度に応じた強さで遊技球が発射される。発射ハンドル8の左側面には、遊技者が操作して遊技球の発射を一時的に停止する発射停止スイッチ8bが配置されている。
A−2.遊技盤の構成 :
図2は、遊技盤10の盤面構成を示す説明図である。前述したように、遊技盤10は中枠3の前面側に着脱可能に取り付けられている。図2に示すように、遊技盤10の中央には、外レール14と内レール15とによって囲まれた略円形状の遊技領域11が形成されている。上述した発射装置ユニット12から発射された遊技球は、外レール14と内レール15との間を通って遊技領域11に放出され、遊技領域11の上方から下方に向かって流下する。
遊技領域11の略中央には中央装置26が設けられており、中央装置26のほぼ中央には、液晶表示器によって構成された演出表示装置27(表示手段)が設けられている。演出表示装置27の表示画面上で表示される各種の演出図柄については後述するが、識別図柄などの演出図柄を変動表示した後に停止表示することが可能となっている。
遊技領域11の左端および右端には、普通図柄左作動ゲート36と普通図柄右作動ゲート37とが設けられており、これらのゲートの内部には、遊技球の通過を検知するゲートスイッチ36s,37sがそれぞれ設けられている(図5参照)。また、左右の普通図柄作動ゲート36,37と中央装置26との間には、ランプ風車24,25が設けられている。更に、これら各遊技装置の間および周辺には、多数の障害釘23が設けられている。
また、中央装置26の下方には、始動口ユニット17が設けられている。始動口ユニット17は、2つの始動口が上下に組み合わせて構成されており、上側に設けられた第1始動口17aは、遊技球が入球する開口部の大きさが不変(一定)で遊技球が常時入球可能な入球口となっている。一方、下側に設けられた第2始動口17bは、左右に開閉可能な一対の翼片部17wや、翼片部17wを動作させる始動口ソレノイド17m(図5参照)などを備えており、翼片部17wの開閉によって遊技球の入球可能性が変化する入球口となっている。第1始動口17aあるいは第2始動口17bに入球した遊技球は、それぞれの内部に設けられた通路を通って遊技盤10の裏面側に導かれる。第1始動口17aの内部の通路には第1始動口スイッチ17sが設けられており、第1始動口17aに入球した遊技球を検知可能である。また、第2始動口17bの内部の通路には第2始動口スイッチ17tが設けられており、第2始動口17bに入球した遊技球を検知可能である。
始動口ユニット17の下方には、大入賞装置31が設けられている。この大入賞装置31は、略長方形状に大きく開放する大入賞口31dや、大入賞口31dを開閉させる開閉部材31e、開閉部材31eを動作させる大入賞口ソレノイド31m(図5参照)などから構成されている。後述する所定の条件が成立することにより、大入賞口ソレノイド31mが作動して開閉部材31eが開動作され、大入賞口31dが開放状態となる。この結果、遊技球が高い確率で大入賞口31dに入球する遊技者にとって有利な大当り遊技が開始される。また、大入賞口31dの内部には大入賞口スイッチ31s(図5参照)が設けられており、大入賞口31dに入球した遊技球を検知することが可能である。大入賞装置31の下方にはアウト口48が設けられ、そのアウト口48の下方にはバック球防止部材58が設けられている。バック球防止部材58は、遊技領域11に到達せず戻ってきた遊技球が再び発射位置に戻ることを防止する機能を有している。
遊技盤10の表面(盤面)の左下部であって、外レール14の外側(遊技領域11の外側)には、主情報表示部7が設けられている。この主情報表示部7は、前面枠4の窓部4a(ガラス板等の透明板)を通して外部(遊技者側)から視認可能となっている。図3は、本実施例の主情報表示部7の構成を示す説明図である。図3に示すように主情報表示部7には、第1図柄表示装置28および第2図柄表示装置32が設けられている。このうち、第1図柄表示装置28では普通図柄や第1特別図柄を変動表示することが可能となっており、第2図柄表示装置32では第2特別図柄を変動表示することが可能となっている。尚、以下では、第1特別図柄を「第1特図」と略記し、第2特別図柄を「第2特図」と略記することがあるものとする。
第1図柄表示装置28は、略矩形の領域内に16個の小さな発光ダイオード(LED)が組み込まれて構成されている。これら16個のLEDのうち、上部の5個のLEDは普通図柄表示部29を構成し、残りの11個のLEDは第1特別図柄表示部30を構成している。更に、普通図柄表示部29は、普通図柄を変動表示するための1個のLED(普通図柄LED29a)と、普通図柄の保留数を表示するための4個のLED(普図保留表示LED29b)とから構成されている。また、第1特別図柄表示部30は、第1特図を変動表示するための7個のLED(第1特別図柄LED30a)と、第1特図の保留数を表示するための4個のLED(第1特図保留表示LED30b)とから構成されている。尚、以下では、第1特図の保留を「第1特図保留」とも称し、第1特図の保留数を「第1特図保留数」とも称する。
また、第2図柄表示装置32は、上述した第1図柄表示装置28に対して普通図柄表示部29を省いた構成となっている。すなわち、第2図柄表示装置32には、11個のLEDが組み込まれており、第2特別図柄表示部33を構成している。そのうち7個のLEDは、第2特図を変動表示するためのLED(第2特別図柄LED33a)であり、残りの4個のLEDは、第2特図の保留数を表示するためのLED(第2特図保留表示LED33b)である。尚、以下では、第2特図の保留を「第2特図保留」とも称し、第2特図の保留数を「第2特図保留数」とも称する。また、特に区別する必要がない場合は「第1特図保留」と「第2特図保留」とを、まとめて単に「特図保留」とも称する。
図4は、本実施例のパチンコ機1に搭載された演出表示装置27の画面構成を示す説明図である。前述したように演出表示装置27は液晶表示器を用いて構成されており、その表示画面上には、3つの識別図柄27a,27b,27c(識別情報)や、その背景の背景画像27dや、後述するキャラクタの画像や遊技者が選択可能な情報などを表示可能となっている。演出表示装置27では、第1特別図柄表示部30および第2特別図柄表示部33における特別図柄の変動表示の開始タイミングと同期して3つの識別図柄27a,27b,27cの変動表示を開始し、特別図柄の変動時間が経過するまで種々の態様で演出を行う。そして、特別図柄の変動表示の終了タイミング(特別図柄の停止表示)と同期して3つの識別図柄27a,27b,27cの変動表示が終了する。本実施例のパチンコ機1では、識別図柄として「1」〜「9」の9つの数字が用意されており、数字を次々と切り換えることで変動表示を実行する。尚、識別図柄は数字に限られず、個々の違いを遊技者が認識できるものであればよい。
また、演出表示装置27の表示画面の下部には、第1特図保留数を示すための第1保留表示領域27eと、第2特図保留数を示すための第2保留表示領域27fとが設定されている。本実施例のパチンコ機1では、第1保留表示領域27eに第1特図保留数と同数の「保留図柄(図中、小さい円形の図柄)」を表示することで第1特図保留数を示し、第2保留表示領域27fに第2特図保留数と同数の保留図柄を表示することで第2特図保留数を示す。図4の例では、第1特図保留数および第2特図保留数が共に4個であることを示している。尚、当然ながら、第1保留表示領域27eおよび第2保留表示領域27fの保留図柄によって示される保留数は、第1特図保留表示LED30bおよび第2特図保留表示LED33bによって示される保留数と一致する。
A−3.制御回路の構成 :
次に、本実施例のパチンコ機1における制御回路の構成について説明する。図5は、本実施例のパチンコ機1における制御回路の構成を示したブロック図である。図示されているようにパチンコ機1の制御回路は、多くの制御基板や、各種基板などから構成されているが、その機能に着目すると、遊技の基本的な進行や賞球に関わる当否についての制御を司る主制御基板200と、演出図柄やランプや効果音などを用いた遊技の演出の制御を司るサブ制御基板220と、サブ制御基板220の制御の下で画像の表示や音声の出力の制御を行う画像音声制御基板230と、貸球や賞球を払い出す動作の制御を司る払出制御基板240と、遊技球の発射に関する制御を司る発射制御基板260などから構成されている。これら制御基板は、各種論理演算および算出演算を実行するCPUや、CPUで実行される各種プログラムやデータが記憶されているROM、プログラムの実行に際してCPUが一時的なデータを記憶するRAMなど、種々の周辺LSIがバスで相互に接続されて構成されている。
主制御基板200は、第1始動口スイッチ17sや、第2始動口スイッチ17t、大入賞口スイッチ31s、ゲートスイッチ36s,37sなどから遊技球の検知信号の入力があると、その検知信号の入力のあったスイッチに応じて定められる各種動作を指令するコマンドを、サブ制御基板220や、払出制御基板240、発射制御基板260などに向かって送信する。また、主制御基板200には、第2始動口17bに設けられた一対の翼片部17wを開閉させるための始動口ソレノイド17mや、大入賞口31dを開閉させるための大入賞口ソレノイド31m、更には、主情報表示部7(第1図柄表示装置28、第2図柄表示装置32)などが中継端子板(図示略)を介して接続されており、これら各種ソレノイド17m,31m、主情報表示部7に向かって駆動信号を送信することにより、これらの動作の制御も行う。
サブ制御基板220には、画像音声制御基板230や、装飾駆動基板226、演出ボタン基板228などが接続されている。サブ制御基板220は、主制御基板200からの各種コマンドを受信すると、コマンドの内容を解析して、その結果に応じた遊技演出を行う。すなわち、画像音声制御基板230に対して表示内容および音声内容を指定するコマンドを送信したり、各種LEDやランプ4b〜4fを駆動する装飾駆動基板226に駆動信号を送信したりすることにより、遊技演出を行う。また、サブ制御基板220は、演出ボタン基板228を介して演出ボタン5dに対する遊技者の操作を検知すると、その操作に対応する遊技演出を行う。
画像音声制御基板230は、CPU231、ROM232、RAM233に加えて、VDP234、画像ROM235、音声ROM236を備えている。画像音声制御基板230のCPU231は、サブ制御基板220からコマンドを受信すると、そのコマンドに対応する画像の表示をVDP234に指示する。VDP234は、指示された画像の表示に必要なデータ(例えば、演出図柄やキャラクタ画像を表示するためのスプライトデータや動画データなど)を画像ROM235から読み出して画像を生成し、演出表示装置27の表示画面に出力する。また、CPU231は、サブ制御基板220からコマンドを受信すると、そのコマンドに対応する音声データを音声ROM236から読み出して、その音声データに基づく音声を、アンプ基板224を介してスピーカー5yから出力する。
払出制御基板240は、いわゆる貸球や賞球の払い出しに関する各種の制御を司っている。例えば、前述した上皿部5に設けられた球貸ボタン5bや返却ボタン5cを遊技者が操作すると、その信号は、中継端子板(図示略)や払出制御基板240を介して、球貸装置13に伝達される。球貸装置13は、払出制御基板240とデータを通信しながら、貸球の払い出しを行う。また、主制御基板200が賞球の払い出しを指示する払出コマンドを送信すると、このコマンドを払出制御基板240が受信して、払出モーター109mに駆動信号を出力することによって賞球の払い出しを行う。さらに、払出制御基板240は、主制御基板200の制御の下で、遊技球の発射を許可する信号(発射許可信号)を発射制御基板260に向かって送信しており、発射制御基板260は、この発射許可信号を受信して、発射装置ユニット12の駆動により遊技球を発射するための各種制御を行っている。
B.遊技の概要 :
本実施例のパチンコ機1では、次のようにして遊技が行われる。まず、遊技者が上皿部5の凹部に遊技球を投入して発射ハンドル8を回転させると、上皿部5に投入された遊技球が、1球ずつ発射装置ユニット12に供給されて、図2を用いて前述した遊技領域11に発射される。遊技球を打ち出す強さは、発射ハンドル8の回転角度によって調整することが可能となっており、遊技者は発射ハンドル8の回転角度を変化させることによって、遊技球の狙いを付けることができる。
遊技領域11に打ち出された遊技球が第1始動口17aに入球し、その入球した遊技球が第1始動口スイッチ17sにより検知されると、第1特図を大当り図柄、外れ図柄の何れで停止表示させるか(後述の図柄変動遊技の結果が大当り、外れの何れであるか)を判定する大当り判定が行われ、第1図柄表示装置28の第1特別図柄表示部30で第1特図の変動表示が開始される。
また、打ち出された遊技球が普通図柄左作動ゲート36または普通図柄右作動ゲート37を通過すると、第1図柄表示装置28の普通図柄表示部29において普通図柄の変動表示が開始される。図3を用いて前述したように、普通図柄表示部29には、普通図柄LED29aおよび普図保留表示LED29bが搭載されており、このうち、普通図柄LED29aを用いて普通図柄の変動表示を行う(点灯、消灯を繰り返す)。そして、普通図柄が当り図柄(点灯状態)で停止表示すると第2始動口17bを開放状態とする普図当り遊技が開始される。そして、開放状態となった第2始動口17bに遊技球が入球し、その入球した遊技球が第2始動口スイッチ17tにより検知されると、第2特図を大当り図柄、外れ図柄の何れで停止表示させるか(後述の図柄変動遊技の結果が大当り、外れの何れであるか)を判定する大当り判定が行われ、第2図柄表示装置32の第2特別図柄表示部33で第2特図の変動表示が開始される。尚、第1始動口17aや第2始動口17bへの入球は、本実施例における第1特図や第2特図の変動表示を行う「所定条件」に相当する。
図3を用いて前述したように、第1特別図柄表示部30および第2特別図柄表示部33は、何れも同様な構成をしているので、第1特図も第2特図も同様の態様で変動表示を行う。すなわち、第1特別図柄表示部30および第2特別図柄表示部33では、それぞれ7個のLED(第1特別図柄LED30aおよび第2特別図柄LED33a)を所定の変動時間にわたって点滅させることによって特別図柄の変動表示を行う。その変動時間が経過すると、所定の組合せのLEDを点灯させることで、大当り判定の結果に対応する図柄(大当り図柄、外れ図柄の何れか)を停止表示する。続いて、停止表示された図柄を確定させるべく、特別図柄が停止表示された状態を所定の時間が経過するまで維持することで確定表示を行う。そして、第1特図または第2特図が大当り図柄で停止表示されると、大当り遊技(特定遊技)が開始される。以下では、特別図柄が変動表示を開始してから、所定の変動時間の経過により当該変動表示が終了して、特別図柄が大当り図柄、外れ図柄の何れかで確定表示されるまでの遊技、すなわち1回の変動表示の結果が得られるまでの遊技を「図柄変動遊技」とも表現する。
第1始動口17aへの遊技球の入球は、その入球を契機とする第1特図の変動表示が開始されるまで、第1特図保留としてRAM203に記憶される。第1特図保留は最大4個まで記憶可能となっており、第1特図保留数については、第1特図保留表示LED30b、および演出表示装置27の表示画面上の第1保留表示領域27eに表示される。
また、第2始動口17bへの遊技球の入球は、その入球を契機とする第2特図の変動表示が開始されるまで、第2特図保留としてRAM203に記憶される。第2特図保留も最大4個まで記憶可能となっており、第2特図保留数については、第2特図保留表示LED33b、および演出表示装置27の表示画面上の第2保留表示領域27fに表示される。
第1特図あるいは第2特図の図柄変動遊技に合わせて、演出表示装置27では演出図柄を用いた各種の演出(以下「図柄変動演出」ともいう)が行われる。図4を用いて前述したように、演出表示装置27を構成する液晶表示器の表示画面上には、3つの識別図柄27a,27b,27cが表示される。第1図柄表示装置28あるいは第2図柄表示装置32で特別図柄の変動表示が開始されると、演出表示装置27の3つの識別図柄27a,27b,27cも変動表示(図柄変動演出)を開始する。本実施例のパチンコ機1では、「1」〜「9」の9つの数字を順番に上から下へと移動(スクロール)させて次々に表示内容を切り換える(循環表示させる)ことで変動表示を行う。尚、変動方向(スクロール方向)は上下方向に限られず、左右方向であってもよいし、前後方向であってもよい。また、移動を伴わず(位置を変えず)に切り換わるフラッシュ表示であってもよい。
その後、まず初めに左識別図柄27aが「1」〜「9」の何れかの数字で停止表示され、次に右識別図柄27cが停止表示され、最後に中識別図柄27bが停止表示される。このとき、特別図柄(第1特図あるいは第2特図)が「外れ図柄」で停止表示される場合は、3つの識別図柄27a,27b,27cは同じ数字で揃わない組み合わせ(バラケ目)で停止表示される。これに対して、特別図柄が「大当り図柄」で停止表示される場合は、3つの識別図柄27a,27b,27cが同じ数字で揃う組み合わせ(ゾロ目)で停止表示される。このため、最初に停止表示される識別図柄27aと、続いて停止表示される右識別図柄27cとが同じ数字であった場合には、最後に停止表示される中識別図柄27bも同じ数字となって大当り遊技が開始されるのではないかと、遊技者は中識別図柄27bの変動表示(図柄変動演出)に注視することになる。このように2つの識別図柄を同じ数字(ゾロ目となり得る態様)で停止表示(仮停止表示)させた状態(リーチ状態)で最後の識別図柄を変動表示(スクロール表示)させ、その後に当該最後の識別図柄の停止表示を伴って行われる演出は「リーチ演出」と呼ばれており、このリーチ演出(第1演出)を発生させることで遊技興趣を高めることが可能である。また、本実施例のパチンコ機1には、識別図柄の停止表示の前に(リーチ演出を実行する前に)大当り信頼度(図柄変動演出の結果が大当り表示(ゾロ目)に至る可能性)を示唆する予告演出(第2演出)が設けられており、詳しくは後述するが、予告演出を実行するかどうかを遊技者が選択することが可能となっている。
大当り遊技は、大入賞口31dを開放して、所定の開放時間が経過するか、あるいは規定入球数の遊技球が入球したら閉鎖するラウンド遊技を、複数回繰り返すように構成されている。大入賞口31dに遊技球が入球する毎に所定数の遊技球が賞球として払い出されるので、大当り遊技では、大入賞口31dに多くの遊技球を入球させることで、遊技者は多量の賞球を獲得可能である。
C.本実施例のパチンコ機の制御内容 :
C−1.遊技制御処理 :
図6は、主制御基板200に搭載されたCPU201が、遊技の進行に係る制御として行う遊技制御処理の大まかな流れを示したフローチャートである。図6に示すように、遊技制御処理では、「賞球関連処理」、「普通図柄遊技処理」、「普図当り遊技処理」、「特図保留関連処理」、「特別図柄遊技処理」、「大当り遊技処理」などの各処理が繰り返し実行されている。主制御基板200のCPU201は、所定周期毎(例えば4msec毎)に発生するタイマ割り込みに基づき遊技制御処理を行う。そして、遊技制御処理中に、サブ制御基板220を初めとする各種制御基板に向けて、主制御基板200から各種コマンドを送信する。こうすることにより、遊技が進行するとともに、サブ制御基板220では、遊技の進行に合わせた演出の制御が行われることになる。以下、フローチャートに従って、主制御基板200に搭載されたCPU201が行う遊技制御処理について説明する。
主制御基板200のCPU201は、遊技制御処理を開始すると、遊技球を賞球として払い出すための処理(賞球関連処理)を行う(S50)。この処理では、主制御基板200に接続された各種スイッチのうち、遊技球の入賞に関わるスイッチ(第1始動口スイッチ17sや、第2始動口スイッチ17t、大入賞口スイッチ31s等)について、遊技球を検知したか否かを判断する。そして、遊技球の入賞に関わるスイッチが遊技球を検知した場合には、払い出すべき賞球数を算出した後、払出制御基板240に向かって該賞球数の払い出しを指示する払出コマンドを送信する。払出制御基板240は、主制御基板200から送信された払出コマンドを受信するとコマンドの内容を解釈し、その結果に従って、払出装置(図示せず)に搭載された払出モーター109mに駆動信号を送信することにより、実際に賞球を払い出す処理を行う。
主制御基板200のCPU201は、賞球関連処理(S50)に続いて、普通図柄遊技処理(S100)を行う。普通図柄遊技処理(S100)では、主に次のような処理を行う。先ず、後述する普図当り遊技の実行中であるか否かを判断する。そして、普図当り遊技の実行中でなければ、普通図柄の変動表示中であるか否かを判断する。その結果、普通図柄の変動表示中でなければ、普通図柄の保留(普図保留)が存在するか否か(「0」であるか否か)を判定し、普図保留が存在する場合には普通図柄の当り判定を行う。ここで、普図保留は、遊技球が普通図柄左作動ゲート36または普通図柄右作動ゲート37を通過することにより取得される普図当り判定乱数の値を示す情報を記憶するものであり、本実施例では、その記憶数(保留数)の上限値を「4」としている。そして、記憶されている普図保留(普図当り判定乱数の値)を用いた普通図柄の当り判定の結果に基づき、普通図柄を当り図柄で停止表示させるか、外れ図柄で停止表示させるかを決定する。また、普通図柄の変動時間を決定する。そして、決定した変動時間に亘って普通図柄を変動表示させた後、決定した図柄で停止表示させる普通図柄遊技を行う。この結果、当り図柄が停止表示されると、普図当り遊技が行われる。
こうして普通図柄遊技処理(S100)を終了すると、次に、普図当り遊技処理(S200)を行う。普図当り遊技処理(S200)では、第2始動口17bを開放状態にした後に閉鎖状態にする普図当り遊技を進行させる処理が行われる。まず、始動口開放条件が成立したら、すなわち、普通図柄が当り図柄で停止表示された直後や、第2始動口17bを複数回開放状態にする普図当り遊技中において第2始動口17bが閉鎖状態となってから所定時間が経過した場合は、始動口ソレノイド17mを作動させて、第2始動口17bに設けられた翼片部17wを外側に回動させることにより、第2始動口17bを開放状態とする。次に、始動口閉鎖条件が成立したら、すなわち、第2始動口17bの開放時間が経過した場合や、第2始動口17bに規定数の遊技球が入球した場合は、始動口ソレノイド17mを作動させて、第2始動口17bに設けられた翼片部17wを内側に回動させることにより、第2始動口17bを閉鎖状態とする。尚、普図当り遊技中でない場合は、当然ながら、第2始動口17bを開放状態あるいは閉鎖状態にする処理は行われない。
ここで、本実施例のパチンコ機1では、遊技状態が、第2始動口17bが開放状態になる際の開放時間の設定状況と、大当り判定で大当りと判定される確率(大当り確率)の設定状況とに基づき決定される。このうち、第2始動口17bの開放時間の設定状況に基づく遊技状態として「電サポ状態」と「非電サポ状態」とがある。「電サポ状態」は「非電サポ状態」に比べて、前述の普通図柄の当り判定の結果が「当り」となる確率(普図当り確率)が高く、且つ、普通図柄の変動時間(普図変動時間)が短く設定されるとともに、普図当り遊技における第2始動口17bの開放時間が長く設定される。従って、「電サポ状態」は「非電サポ状態」と比較して、第2始動口17bが高頻度で開放状態になるとともに開放状態にある期間が長くなるので、第2始動口17bへの遊技球の入球頻度が高くなる(高頻度状態)。このような構成を実現するために、本実施例のパチンコ機1では、遊技状態が「電サポ状態」に設定されている場合は「変動短縮フラグ」および「開放延長フラグ」がONに設定され、遊技状態が「非電サポ状態」に設定されている場合はこれらのフラグがOFFに設定される。そして、主制御基板200のCPU201は、変動短縮フラグがOFFに設定されていることに基づき、普図当り確率を低確率(例えば「2/100」)に設定するとともに、普図変動時間を長時間(例えば「20秒」)に設定する。また、開放延長フラグがOFFに設定されていることに基づき、第2始動口17bの開放時間を短時間(例えば「0.1秒×3回開放=0.3秒」)に設定する。一方、主制御基板200のCPU201は、「変動短縮フラグ」がONに設定されていることに基づき、普図当り確率を高確率(例えば「99/100」)に設定するとともに、普図変動時間を短時間(例えば「1秒」)に設定する。また、「開放延長フラグ」がONに設定されていることに基づき、第2始動口17bの開放時間を長時間(例えば「1.5秒×3回開放=4.5秒」)に設定する。
普図当り遊技処理(S200)を終了したら、特図保留を記憶するための特図保留関連処理(S250)を行う。特図保留関連処理(S250)では、第1始動口17aに遊技球が入球すると、第1特別図柄の保留数(第1特図保留数)が上限値(本実施例では「4」)に達していなければ、判定乱数を取得して、取得した値を第1特図保留(取得情報)として記憶する。また、第2始動口17bに遊技球が入球すると、第2特別図柄の保留数(第2特図保留数)が上限値(本実施例では「4」)に達していなければ、判定乱数を取得して、取得した値を第2特図保留(取得情報)として記憶する。ここで、判定乱数としては、大当り判定を行うための大当り判定乱数や、大当り発生時に第1特図または第2特図として停止表示する大当り図柄を決定するための大当り図柄決定乱数、特別図柄が停止表示するまでの変動パターンを決定するための変動パターン決定乱数などを取得する。こうして特図保留関連処理を終了すると、以下に説明する特別図柄遊技処理(S300)を開始する。
図7および図8は、本実施例の特別図柄遊技処理を示したフローチャートである。主制御基板200のCPU201は、特別図柄遊技処理を開始すると、まず大当りフラグがONに設定されているか否かを判断する(S302)。大当りフラグとは、大当り遊技が実行されている(大当り遊技中である)ことを示すフラグであり、主制御基板200に搭載されたRAM203の所定のアドレスが大当りフラグの記憶領域として確保されている。主制御基板200のCPU201は、大当りフラグの設定状態に応じて、大当り遊技中であるか否かを判断する。その結果、大当りフラグがONに設定されている場合、すなわち、大当り遊技中である場合は(S302:yes)、そのまま特別図柄遊技処理を終了して、図6の遊技制御処理に復帰する。
これに対して、大当りフラグがONに設定されていない場合、すなわち、大当り遊技中ではない場合は(S302:no)、第1特図または第2特図が変動表示中であるか否かを判断する(S304)。第1特図および第2特図の何れも変動表示中ではない場合は(S304:no)、第1特図または第2特図が確定表示中であるか否かを判断する(S306)。前述したように、第1特図および第2特図の何れであっても、変動表示が終了してから所定の時間が経過するまでは、変動表示の終了に伴い停止表示された特別図柄を確定させるべく、特別図柄が停止表示された状態を維持することで確定表示を行う。そして、第1特図および第2特図が変動表示中でもなく、確定表示中でもない場合は(S306:no)、特別図柄の変動表示を開始するための処理(特図変動開始処理)を開始する(S310)。
図9および図10は特図変動開始処理を示すフローチャートである。主制御基板200のCPU201は、特図変動開始処理を開始すると、まず第2特図保留数が「0」であるか否かを判断する(S3100)。その結果、第2特図保留数が「0」でなければ(第2特図保留数≧1)(S3100:no)、記憶されている第2特図保留の中から最も古くに記憶された第2特図保留を読み出す(S3102)。このS3102の処理では、第2特図保留として記憶されている各種の判定乱数の値を読み出す。
これに対して、第2特図保留数が「0」である場合は(S3100:yes)、第1特図保留数が「0」であるか否かを判断する(S3104)。その結果、第1特図保留数が「0」でなければ(第1特図保留数≧1)(S3104:no)、記憶されている第1特図保留の中から最も古くに記憶された第1特図保留を読み出す(S3106)。このS3106の処理では、第1特図保留として記憶されている各種の判定乱数の値を読み出す。一方、第1特図保留数が「0」である場合は(S3104:yes)、既に第2特図保留数も「0」と判断されていることから、第1特図保留および第2特図保留の何れも記憶されていないと判断されるので、後述の大当り判定や第1特図あるいは第2特図の変動表示を行う必要はない。そこで、図9および図10の特図変動開始処理を終了して、図7および図8に示す特別図柄遊技処理に復帰する。
尚、上述したように特図変動開始処理では、まず初めに第2特図保留が記憶されているか否かを判断し(S3100)、第2特図保留が記憶されてない場合にだけ(S3100:yes)、第1特図保留が記憶されているか否かを判断している(S3104)。従って、第1特図保留と第2特図保留とが両方とも記憶されている場合には、常に第2特図保留が第1特図保留に優先して読み出される(第2特図保留を優先消化する)こととなり、第1特図保留が読み出されるのは、第2特図保留が記憶されていない場合に限られる。
以上のようにして第1特図保留または第2特図保留を読み出したら(S3102またはS3106)、高確フラグがONに設定されているか否かを判断する(S3108)。ここで、本実施例のパチンコ機1では、遊技状態が、前述した「電サポ状態」あるいは「非電サポ状態」に設定されると共に、大当り判定で大当りと判定される確率(大当り確率)の高い「高確率状態」、あるいは大当り確率が高確率状態より低い「低確率状態」に設定される。高確フラグとは、高確率状態(確変機能が作動した状態)を設定するときにONに設定されるフラグであり、主制御基板200に搭載されたRAM203の所定アドレスが、高確フラグの記憶領域として割り当てられている。尚、詳しくは後述するが、本実施例のパチンコ機1では、複数の大当り図柄のうち停止表示された大当り図柄に応じて、大当り遊技の終了後の遊技状態が高確率状態または低確率状態に設定される。また、何れの大当り図柄が停止表示された場合でも、大当り遊技の終了後の遊技状態は電サポ状態に設定される。そして、大当り遊技の終了後、大当りが発生することなく所定回数(例えば80回)の図柄変動遊技が実行されると、非電サポ状態に設定される。つまり、本実施例のパチンコ機1において設定され得る遊技状態は、低確率状態かつ非電サポ状態である「低確率・非電サポ状態(通常状態)」と、低確率状態かつ電サポ状態である「低確率・電サポ状態」と、高確率状態かつ電サポ状態である「高確率・電サポ状態」と、高確率状態かつ非電サポ状態である「高確率・非電サポ状態」の4種類となっている。
S3108の判断の結果、高確フラグがONに設定されていない場合、すなわち、遊技状態が低確率状態に設定されている場合は(S3108:no)、低確率用の大当り判定テーブルを選択する(S3110)。これに対して、高確フラグがONに設定されている場合、すなわち、遊技状態が高確率状態に設定されている場合は(S3108:yes)、高確率用の大当り判定テーブルを選択する(S3112)。大当り判定テーブルとは、大当り判定乱数の値に対応付けて「大当り」または「外れ」の大当り判定結果が設定されているテーブルであり、主制御基板200のROM202に予め記憶されている。
図11は、本実施例の大当り判定テーブルを例示する説明図である。図11(a)には低確率用の大当り判定テーブルが示されており、図11(b)には高確率用の大当り判定テーブルが示されている。図11(a)に示すように、低確率用の大当り判定テーブルでは、65536個の乱数(0〜65535)のうち218個の乱数(0〜217)の値に「大当り」が設定されている。従って、低確率状態における大当り判定では、約300分の1の確率で「大当り」と判定される。一方、図11(b)に示すように、高確率用の大当り判定テーブルでは、65536個(0〜65535)の乱数のうち2185個の乱数(0〜2184)の値に「大当り」が設定されている。従って、高確率状態における大当り判定では、約30分の1の確率で「大当り」と判定される。すなわち、図11(b)の高確率用の大当り判定テーブルを用いて大当り判定を行った場合には、図11(a)の低確率用の大当り判定テーブルを用いて大当り判定を行った場合よりも、高確率で「大当り」の判定結果が得られることになる。
S3110またはS3112の処理で大当り判定テーブルを選択したら、その大当り判定テーブルを参照して、大当り判定を行う(S3114)。すなわち、第1特図保留または第2特図保留として読み出した大当り判定乱数の値が「大当り」に対応する値(大当り値)なのか、「外れ」に対応する値(外れ値)なのかを判定する。
こうして大当り判定を行ったら、その大当り判定の結果が「大当り」であるか否かを判断する(S3116)。大当り判定の結果が「大当り」である場合は(S3116:yes)、今回の図柄変動遊技で停止表示する大当り図柄を決定する処理を行う(S3118)。本実施例のパチンコ機1では、大当り図柄が複数設けられており、通常図柄と確変図柄とに大別される。S3118の処理は、第1特図保留または第2特図保留として読み出した図柄決定乱数の値を用いて大当り図柄決定テーブル(図示せず)を参照しながら行う。大当り図柄決定テーブルは、図柄決定乱数の値と複数の大当り図柄との対応関係が設定されたテーブルであり、主制御基板200のROM202に予め記憶されている。そして、読み出した図柄決定乱数の値に対応付けられた大当り図柄を、停止表示する図柄(停止図柄)として決定し、主制御基板200のRAM203に記憶する(S3120)。
これに対して、大当り判定の結果が「大当り」ではない場合、すなわち、「外れ」である場合は(S3116:no)、外れ図柄を停止図柄として主制御基板200のRAM203に記憶する(S3122)。
以上のようにして大当り判定の結果に応じて停止図柄を記憶すると、今回の図柄変動遊技の変動パターンを複数の変動パターンの中から決定する処理(変動パターン決定処理)を行う(図10のS3124)。ここで、変動パターンとは、特別図柄(第1特図または第2特図)が変動表示を開始してから停止表示するまでの時間(変動時間)を識別するためのものであり、各変動パターンには、複数の変動時間の何れかが対応している。変動パターン決定処理は、第1特図保留または第2特図保留として読み出した変動パターン決定乱数の値を用いて変動パターン決定テーブルを参照しながら行う。変動パターン決定テーブルは、遊技状態に応じて複数設けられており、主制御基板200のROM202に予め記憶されている。本実施例の変動パターン決定テーブルには、非電サポ状態(通常状態)で参照するテーブル(非電サポ時変動パターン決定テーブル)と、電サポ状態で参照するテーブル(電サポ時変動パターン決定テーブル)とが設けられている。
図12は、非電サポ時変動パターン決定テーブルを例示する説明図である。図12(a)には、大当り判定結果が「大当り」の場合に参照する大当り変動パターン決定テーブルが示されており、図12(b)には、大当り判定結果が「外れ」の場合に参照する外れ変動パターン決定テーブルが示されている。図示されるように変動パターン決定テーブルには、変動パターン決定乱数の値と、複数の変動パターンとの対応関係が設定されている。尚、図12には、各変動パターンに対応する変動時間が示されており、変動パターン毎に変動時間が異なっている。
図12(a)の大当り変動パターン決定テーブルには、変動パターンHP01〜HP05の5種類が設定されており、変動時間として120秒、95秒、70秒、55秒、30秒が対応付けられている。一方、図12(b)の外れ変動パターン決定テーブルには、変動パターンHP21〜HP25の5種類が設定されており、変動時間として100秒、60秒、25秒、10秒、5秒が対応付けられている。大当り判定結果が「大当り」の場合には、前述したリーチ演出が行われることが多く、リーチ演出の実行時間の確保を容易とするために、大当り変動パターン決定テーブルでは、外れ変動パターン決定テーブルに比べて、変動時間が長めの変動パターンが設定されているとともに、変動時間が60秒以上の変動パターンに対して変動パターン決定乱数の値が多く設定されている。
また、非電サポ状態では「変動短縮フラグ」がOFFであるのに対して、電サポ状態では「変動短縮フラグ」がONであることから、電サポ時変動パターン決定テーブル(図示省略)には、非電サポ時変動パターン決定テーブルに比べて変動時間が短めの変動パターンが設定されている。
変動パターン決定処理(図10のS3124)では、遊技状態(電サポ状態中か否か)や大当り判定結果に応じて変動パターン決定テーブルを参照して、読み出した変動パターン決定乱数の値に対応する変動パターンを、今回の図柄変動遊技の変動パターンに決定する。
変動パターン決定処理を終了すると、先に行われた大当り判定(図9のS3114)が第2特図保留に基づいて行われたものであるか否かを判断する(S3126)。第2特図保留に基づいて行われたものであった場合は(S3126:yes)、第2図柄表示装置32で第2特図の変動表示(図柄変動遊技)を開始した後(S3128)、第2特図保留数から「1」を減算する(S3130)。一方、大当り判定が第2特図保留に基づいて行われたものではなかった場合、すなわち、第1特図保留に基づいて行われたものであった場合は(S3126:no)、第1図柄表示装置28で第1特図の変動表示(図柄変動遊技)を開始した後(S3132)、第1特図保留数から「1」を減算する(S3134)。
こうして第1特図または第2特図の変動表示を開始して保留数から「1」を減算したら、今回変動表示を開始した第1特図または第2特図の変動パターンの種類を指定する変動パターン指定コマンドや、変動表示を経て停止表示される特別図柄の停止図柄を指定する停止図柄指定コマンドなどを、変動開始時コマンドとしてサブ制御基板220に向けて送信する(S3136)。
尚、サブ制御基板220に搭載されたCPU221は、変動開始時コマンドを受信すると、変動パターン指定コマンドに基づいて、演出表示装置27で実行する図柄変動演出(識別図柄27a,27b,27cの変動表示を開始してから停止表示するまでの演出パターン)を決定し、識別図柄27a,27b,27cの変動表示を開始する。また、停止図柄指定コマンドに基づいて、図柄変動演出の終了時に演出表示装置27で停止表示させる識別図柄27a,27b,27cの組み合わせを決定する。
主制御基板200のCPU201は、変動開始時コマンドをサブ制御基板220に向けて送信すると、図9および図10に示す特図変動開始処理を終了して、図7および図8の特別図柄遊技処理に復帰する。また、特別図柄遊技処理では、特図変動開始処理(S310)から復帰すると、そのまま処理を終了して、図6に示す遊技制御処理に復帰する。
以上では、特別図柄遊技処理の実行に際して、大当り遊技中ではなく(S302:no)、第1特図および第2特図の何れの変動表示中でもない(S304:no)と判断された場合の処理について説明した。これに対して、大当り遊技中ではないものの(S302:no)、第1特図または第2特図が変動表示中である場合は(S304:yes)、既に第1特図または第2特図の変動パターンと停止図柄とが決定されて、第1特図または第2特図の変動表示が開始されている場合に該当する。そこで、変動表示中の特別図柄の変動時間が経過したか否かを判断する(S312)。第1特図または第2特図の変動時間は変動パターンに応じて予め定められているので、第1特図または第2特図の変動表示を開始すると同時に所定のタイマ(変動時間計測タイマ)に変動時間を設定することにより、変動時間が経過したか否かを判断することができる。その結果、未だ変動時間が経過していない場合は(S312:no)、そのまま特別図柄遊技処理を終了して、図6に示す遊技制御処理に復帰する。
これに対して、変動時間が経過した場合は(S312:yes)、変動表示中の特別図柄を、予め決定しておいた図柄(図9のS3118、S3122)で停止表示させ(S314)、変動表示中の特別図柄を停止表示させたことを示すコマンド(図柄停止コマンド)をサブ制御基板220に向かって送信する(S316)。そして、停止表示させた特別図柄を確定表示しておく時間(確定表示時間)を設定した後(S318)、設定した確定表示時間が経過したか否かを判断する(S320)。確定表示時間が経過していない場合は(S320:no)、そのまま特別図柄遊技処理を終了して、図6に示す遊技制御処理に復帰する。
こうして第1特図あるいは第2特図が確定表示された状態で、図6の遊技制御処理に復帰した後、再び図7および図8の特別図柄遊技処理が開始されると、第1特図および第2特図が変動表示中ではないと判断され(S304:no)、続いて、特別図柄の確定表示中であるか否かの判断では、確定表示中と判断されるので(S306:yes)、再び確定表示時間が経過したか否かを判断する(S320)。
このような判断を繰り返しているうちに確定表示時間が経過した場合は(S320:yes)、今回停止表示(確定表示)された特別図柄(第1特図あるいは第2特図)が「大当り図柄」であるか否かを判断する(図8のS322)。その結果、停止表示された特別図柄が大当り図柄であった場合は(S322:yes)、大当り遊技を開始すべく大当りフラグをONに設定する(S324)。また、大当り遊技を開始するにあたって、高確率状態および電サポ状態を終了させる処理を行う。まず、高確フラグがONに設定されているか否かを判断する(S326)。その結果、高確フラグがONに設定されている場合は(S326:yes)、高確フラグをOFFに設定する(S328)。一方、高確フラグがONに設定されていない場合は(S326:no)、S328の処理は省略する。
続いて、変動短縮フラグがONに設定されているか否かを判断する(S330)。前述したように電サポ状態中は変動短縮フラグおよび開放延長フラグがONに設定されていることから、変動短縮フラグがONに設定されている場合は(S330:yes)、変動短縮フラグおよび開放延長フラグをOFFに設定する(S332)。一方、変動短縮フラグがONに設定されていない場合は(S330:no)、S332の処理は省略する。
こうして大当り遊技の開始に際してフラグの設定処理を終了すると(S324〜S332)、大当り遊技の開始を示す大当り開始コマンドをサブ制御基板220に向けて送信する(S334)。サブ制御基板220のCPU221は、大当り開始コマンドを受信すると、大当り遊技中であることを示す大当り遊技演出を実行する。また、主制御基板200のCPU201は、大当り遊技開始コマンドを送信したら(S334)、図7および図8に示す特別図柄遊技処理を終了して、図6の遊技制御処理に復帰する。
以上では、S322の判断において、停止表示された特別図柄(第1特図あるいは第2特図)が大当り図柄であった場合(S322:yes)の処理について説明した。これに対して、停止表示された特別図柄が大当り図柄ではなかった場合は、すなわち、外れ図柄であった場合は(S322:no)、高確率状態や電サポ状態の期間を進行させるために、以下の処理を行う。
まず、高確フラグがONに設定されているか否かを判断する(S340)。前述したように本実施例の大当り図柄は通常図柄と確変図柄とに大別され、確変図柄の停止表示に基づく大当り遊技の終了後は遊技状態が高確率状態に設定されるので、高確フラグがONに設定されている。高確フラグがONに設定されている場合は(S340:yes)、高確カウンタの値から「1」を減算して(S342)、高確カウンタの値が「0」になったか否かを判断する(S344)。高確カウンタとは、高確率状態を終了するまでの図柄変動遊技回数(以下「高確回数」ともいう)が設定されるカウンタであって、RAM203の所定アドレスにその記憶領域が確保されている。図柄変動遊技が終了する毎に高確回数から減算していき、高確カウンタの値が「0」になった場合は(S344:yes)、高確率状態を終了するべく(低確率状態とするべく)、高確フラグをOFFに設定する(S346)。尚、本実施例のパチンコ機1では、高確カウンタに非常に大きな高確回数(例えば10000)が設定されるので、高確率状態は実質的に次回の大当り遊技の開始まで継続される。
一方、S340の判断において、高確フラグがONに設定されていない場合は(S340:no)、S342〜S346の処理を省略する。また、S344の判断において、高確カウンタの値が「0」になっていない場合は(S344:no)、高確率状態が継続されるので、S346の処理を省略する。
続いて、変動短縮フラグがONに設定されているか否かを判断する(S348)。前述したように本実施例の大当り遊技の終了後は遊技状態が電サポ状態に設定されるので、変動短縮フラグおよび開放延長フラグがONに設定されている。変動短縮フラグがONに設定されている場合は(S348:yes)、電サポカウンタの値から「1」を減算して(S350)、電サポカウンタの値が「0」になったか否かを判断する(S352)。電サポカウンタとは、電サポ状態を終了するまでの図柄変動遊技回数(以下「電サポ回数」ともいう)が設定されるカウンタであって、RAM203の所定アドレスにその記憶領域が確保されている。図柄変動遊技が終了する毎に電サポ回数から減算していき、電サポカウンタの値が「0」になった場合は(S352:yes)、電サポ状態を終了するべく(非電サポ状態とするべく)、変動短縮フラグおよび開放延長フラグをOFFに設定する(S354)。
これに対して、S348の判断において、変動短縮フラグがONに設定されていない場合は(S348:no)、S350〜S354の処理を省略する。また、S352の判断において、電サポカウンタの値が「0」になっていない場合は(S352:no)、電サポ状態が継続されるので、S354の処理を省略する。
こうして高確状態や電サポ状態の期間を進行させるための処理を行ったら、現在設定されている遊技状態を示す遊技状態指定コマンドをサブ制御基板220に向けて送信する(S356)。サブ制御基板220のCPU221は、遊技状態指定コマンドを受信すると、遊技状態に応じて演出モードを切り換える。また、主制御基板200のCPU201は、遊技状態指定コマンドを送信すると、図7および図8に示す特別図柄遊技処理を終了して、図6の遊技制御処理に復帰する。
遊技制御処理では、特別図柄遊技処理(S300)から復帰すると、大当り遊技処理(S400)を行う。大当り遊技処理(S400)では、大当りフラグがONに設定されているか否かを判断し、大当りフラグがONに設定されていれば、次のような処理を行う。まず、大入賞口ソレノイド31mの作動によって大入賞口31dを開放状態にしてラウンド遊技を開始する。そして、大入賞口31dを開放状態とした後、所定の開放時間が経過するか、あるいは大入賞口31dに規定数の遊技球が入球すると、大入賞口31dを閉鎖状態にして1回のラウンド遊技を終了する。続いて、ラウンド遊技の回数(ラウンド数)が所定回数に達したか否かを判断し、所定回数のラウンド遊技が終了していなければ、大入賞口31dの閉鎖時間(ラウンド遊技とラウンド遊技との間で大入賞口31dを閉鎖状態にしておく時間)が経過したことを条件に、再び大入賞口31dを開放状態にして新たなラウンド遊技を開始する。こうしてラウンド遊技を繰り返すうちに、所定回数のラウンド遊技が終了した場合は、大当り遊技を終了するべく、大当りフラグをOFFに設定し、大当り遊技の終了を示すコマンド(大当り終了コマンド)をサブ制御基板220に向けて送信する。
また、大当り遊技を終了すると、遊技状態を設定するために以下の処理を行う。まず、終了した大当り遊技が確変図柄の停止表示によって開始されたものか否かを判断する。前述したように確変図柄の停止表示に基づく大当り遊技の終了後は、遊技状態が高確率状態に設定されるので、確変図柄の停止表示によって開始された大当り遊技であった場合は、高確フラグをONに設定する。また、本実施例のパチンコ機1では、高確率状態が実質的に次回の大当り遊技の開始まで継続されるようにするため、高確カウンタに非常に大きな値(例えば10000)を設定する。尚、高確率状態は、大当りが発生しないまま所定回数(例えば80回)の図柄変動遊技が行われたら終了するようにしてもよい。続いて、変動短縮フラグおよび開放延長フラグをONに設定する。前述したように大当り遊技の終了後は、遊技状態が電サポ状態に設定され、大当りが発生しなければ図柄変動遊技回数が所定回数(例えば80回)に達するまで継続される。そこで、電サポカウンタに所定回数の値(ここでは80)を設定する。
こうして遊技状態を設定したら、遊技状態指定コマンドをサブ制御基板220に向けて送信し、大当り遊技処理(S400)を終了する。また、大当り遊技処理を終了すると、図6の遊技制御処理の先頭に戻って、前述した賞球関連処理(S50)以降の一連の処理を繰り返す。
主制御基板200に搭載されたCPU201は、以上のような遊技制御処理を繰り返し行うことによって、パチンコ機1での遊技を進行させる。また、前述したように主制御基板200のCPU201は、図6に示した遊技制御処理を実行する中で、遊技の演出に関する種々のコマンドをサブ制御基板220に向かって送信する。そして、サブ制御基板220のCPU221は、受信したコマンドに基づいて具体的な演出の内容を決定し、装飾駆動基板226や画像音声制御基板230に表示内容や音声内容を指定することにより、演出表示装置27、スピーカー5y、各種LEDやランプ類4b〜4fを用いた様々な遊技演出を実行している。以下では、第1特図あるいは第2特図の図柄変動遊技に合わせて演出表示装置27の表示画面上で識別図柄27a,27b,27cを変動表示させて行う図柄変動演出の制御のために、サブ制御基板220のCPU221が実行する処理(図柄変動演出処理)について説明する。尚、図柄変動演出(遊技演出)の実行を制御するサブ制御基板220のCPU221は、「遊技演出実行手段」として機能するものである。
C−2.図柄変動演出処理 :
図13は、サブ制御基板220に搭載されたCPU221が行う図柄変動演出処理を示すフローチャートである。図柄変動演出処理では、まず、主制御基板200から変動開始時コマンド(変動パターン指定コマンドおよび停止図柄指定コマンド)を受信したか否かを判断する(S500)。変動開始時コマンドを受信していない場合は(S500:no)、図柄変動演出を開始することができないので、コマンドを受信するまで待機する。
一方、変動開始時コマンドを受信した場合は(S500:yes)、予告演出を実行するか否かの判定(予告演出実行判定)を行う(S502)。前述したように予告演出は、識別図柄27a,27b,27cの停止表示の前に大当り信頼度を示唆する演出である。予告演出実行判定(S502)は、実行判定乱数の値を用いて実行判定テーブル(図示せず)を参照しながら行う。ここで用いる実行判定乱数の値は、サブ制御基板220のCPU221が変動開始時コマンドを受信した際に取得する。また、実行判定テーブルは、実行判定乱数の値に対して、予告演出を「実行する」、「実行しない」の何れかの判定結果が設定されたテーブルであり、サブ制御基板220のROM222に予め記憶されている。
S502の処理では、取得した実行判定乱数の値が「実行する」に対応する値であるか、「実行しない」に対応する値であるかを判定する。尚、本実施例では、実行判定テーブルを参照して予告演出実行判定を行っているが、これに代えて、受信した変動パターン指定コマンドで指定された特別図柄の変動パターンに基づいて予告演出を実行するか否かを判定してもよい。例えば、特別図柄の変動時間が60秒以上の変動パターンが指定されていれば、予告演出を実行すると判定し、それ以外の変動パターンが指定されていれば、予告演出を実行しないと判定してもよい。
そして、判定結果として予告演出を実行するか否かを判断する(S504)。予告演出を実行しない場合は(S504:no)、変動パターン指定コマンドで指定された変動パターンに応じて図柄変動演出の演出パターン(識別図柄27a,27b,27cの変動表示を開始してから停止表示するまでの態様)を決定する(S506)。前述したように変動パターンは特別図柄の変動時間を識別するためのものであり、複数用意された図柄変動演出の演出パターンは、演出実行時間が何れかの変動パターンの変動時間と対応している。S506の処理では、複数の演出パターンの中から、変動パターン指定コマンドで指定された変動パターンの変動時間と演出実行時間が対応する演出パターンを、今回の図柄変動演出の演出パターンに決定する。尚、複数の演出パターンには、前述したリーチ演出を行うものが含まれている。
こうして図柄変動演出の演出パターンを決定すると、その決定した演出パターンに従って図柄変動演出を開始する(S508)。この処理は、演出パターンを指定する演出パターン指定コマンドを画像音声制御基板230に向けて送信することで行われ、コマンドを受信した画像音声制御基板230のCPU231は、コマンドに指定された演出パターンに対応する画像データなどをVDP234に指示する。VDP234は、指示された画像データを画像ROM235から読み出して演出表示装置27に出力する。これにより、特別図柄の変動表示の開始に合わせて、3つの識別図柄27a,27b,27cが一斉に変動表示(スクロール)を開始する。
図柄変動演出を開始したら、続いて、主制御基板200から図柄停止コマンドを受信したか否かを判断する(S510)。図柄停止コマンドを受信していない場合は(S510:no)、コマンドを受信するまで待機する。そして、図柄停止コマンドを受信した場合は(S510:yes)、識別図柄27a,27b,27cを停止表示させて図柄変動演出を終了する(S512)。このとき停止表示させる識別図柄27a,27b,27cの組み合わせは、停止図柄指定コマンドに基づいて決定されており、特別図柄が大当り図柄であれば、同じ図柄で揃った組み合わせ(ゾロ目)であり、特別図柄が外れ図柄であれば、同じ図柄で揃わない組み合わせ(バラケ目)である。
こうして図柄変動演出を終了すると、図柄変動演出処理の先頭に戻って、新たに変動開始時コマンドを受信したか否かを判断する(S500)。そして、変動開始時コマンドを受信したら(S500:yes)、予告演出実行判定を行い(S502)、その結果、予告演出を実行する場合は(S504:yes)、以下の予告演出実行処理(S520)を行う。
図14は、予告演出実行処理を示すフローチャートである。予告演出実行処理では、まず、1回の図柄変動演出の中で実行可能な予告演出の回数の最大値(最大実行回数)を設定する(S522)。本実施例のパチンコ機1では、1回の図柄変動演出の中で複数回の予告演出を実行することが可能となっている。その最大実行回数は、変動パターン指定コマンドで指定された変動パターンの変動時間(演出実行時間)に応じて異なり、本実施例では、変動時間が60秒未満であれば「1回」、60秒以上で100秒未満であれば「2回」、100秒以上であれば「3回」に設定する。尚、最大実行回数の設定はこれに限られず、4回以上の最大実行回数を設定してもよい。ただし、図柄変動演出の中で最大実行回数の予告演出を行った後にリーチ演出を実行するための時間(残りの変動時間)を確保しておくとよい。
最大実行回数の設定に続いて、1回目に実行する予告演出の実行態様を決定する(S524)。前述したように予告演出は、識別図柄27a,27b,27cの停止表示の前に大当り信頼度を示唆する演出であり、互いに異なる大当り信頼度を示唆する複数の実行態様が用意されている。本実施例では、態様A〜Cの3つの実行態様が設けられており、3つの中で態様Aが最も高い「高信頼度」を示唆し、態様Bがその次に高い「中信頼度」を示唆し、態様Cが最も低い「低信頼度」を示唆する。予告演出の実行態様の決定は、実行態様決定テーブルを参照しながら行う。実行態様決定テーブルは、大当り判定の結果が大当りであるか否かや、変動パターン指定コマンドで指定された変動パターンの変動時間の長さなどに応じて複数設けられており、サブ制御基板220のROM222に予め記憶されている。
図15は、実行態様決定テーブルを例示する説明図である。図15(a)には、大当り判定結果が「大当り」の場合に参照する大当り用の実行態様決定テーブルが示されており、図15(b)には、大当り判定結果が「外れ」の場合に参照する外れ用の実行態様決定テーブルが示されている。また、本実施例では、変動パターンの変動時間が100秒未満(中変動時間)である場合と、100秒以上(長変動時間)である場合とで参照するテーブルが異なり、図15(a−1)および(b−1)には、中変動時間用テーブルが示されており、図15(a−2)および(b−2)には、長変動時間用テーブルが示されている。図示されるように実行態様決定テーブルには、実行態様決定乱数の値に対して態様A〜Cの何れかが設定されている。実行態様決定乱数の値は、サブ制御基板220のCPU221が予告演出の実行態様の決定に際して取得する。S524の処理では、大当り判定結果や変動パターンの変動時間に応じた実行態様決定テーブルを参照し、取得した実行態様決定乱数の値に対応付けられた実行態様を、今回の予告演出の実行態様に決定する。
図15(a−1)の大当り且つ中変動時間用テーブルでは、0〜99の実行態様決定乱数の値のうち、0〜59の値に対して態様A(高信頼度)が設定され、60〜89の値に対して態様B(中信頼度)が設定され、90〜99の値に対して態様C(低信頼度)が設定されている。また、図15(a−2)の大当り且つ長変動時間用テーブルでは、0〜79の値に対して態様A(高信頼度)が設定され、80〜94の値に対して態様B(中信頼度)が設定され、95〜99の値に対して態様C(低信頼度)が設定されている。このように、大当り判定結果が「大当り」である場合には、大当り信頼度の高い態様Aが決定され易くなっている。特に、変動パターンの変動時間が長変動時間の場合には、中変動時間の場合に比べて、通常のリーチ演出(ノーマルリーチ)から大当り信頼度の高いリーチ演出(スーパーリーチ、スペシャルリーチ)に発展する可能性が高くなることに伴い、高信頼度の態様Aが決定される確率が高くなっている。
一方、図15(b−1)の外れ且つ中変動時間用テーブルでは、0〜99の実行態様決定乱数の値のうち、0〜9の値に対して態様A(高信頼度)が設定され、10〜39の値に対して態様B(中信頼度)が設定され、40〜99の値に対して態様C(低信頼度)が設定されている。また、図15(b−2)の外れ且つ長変動時間用テーブルでは、0〜29の値に対して態様A(高信頼度)が設定され、30〜59の値に対して態様B(中信頼度)が設定され、60〜99の値に対して態様C(低信頼度)が設定されている。このように、大当り判定結果が「外れ」である場合は、大当り信頼度の低い態様Cが決定され易くなっている。ただし、変動パターンの変動時間が長変動時間の場合には、中変動時間の場合に比べて、大当り信頼度の高いリーチ演出に発展する可能性が高いことから、遊技者の期待を高める(煽る)ために、「外れ」であっても高信頼度の態様Aが決定され易くなっている。
こうして予告演出の実行態様を決定すると、識別図柄27a,27b,27cを変動表示させて図柄変動演出を開始し、予告演出を実行する(S526)。本実施例では、1回目の予告演出として、演出表示装置27の背景画像27dにキャラクタなどの別の画像を挿入し、登場するキャラクタの種類によって大当り信頼度を示唆するカットイン予告を行うようになっている。登場するキャラクタは、S524で決定された実行態様に応じて異なり、態様AであればキャラクタAが登場し、態様BであればキャラクタBが登場し、態様CであればキャラクタCが登場する。
続いて、予告演出が終了したか否かを判断する(S528)。本実施例では、1回の予告演出の演出時間が予め定められており(例えば10秒)、その演出時間が経過すると、1回の予告演出が終了する。尚、予告演出が終了しても、識別図柄27a,27b,27cの変動表示は継続されている。予告演出が終了していない場合は(S528:no)、終了するまで待機する。
そして、予告演出が終了した場合は(S528:yes)、予告演出の実行回数が、S522で設定した最大実行回数に達したか否かを判断する(S530)。最大実行回数に達した場合は(S530:yes)、図14の予告演出実行処理を終了して、図13の図柄変動演出処理に復帰する。
一方、予告演出の実行回数が最大実行回数に達していない場合は(S530:no)、次に実行する予告演出の種類を決定する(S532)。本実施例では、前述したカットイン予告だけでなく、複数種類の予告演出が設けられており、その中から何れかを決定する。予告演出の種類の決定は、予告演出種決定テーブルを参照しながら行う。
図16は、予告演出種決定テーブルを例示する説明図である。本実施例では、予告演出として、前述のカットイン予告の他に、キャラクタが発するセリフや会話の内容によって大当り信頼度を示唆するセリフ予告や、演出表示装置27の周辺に設けられた可動役物を作動させることで大当り信頼度を示唆する可動役物予告や、展開する物語の内容によって大当り信頼度を示唆するストーリー予告や、複数の段階で構成され、段階が進むほど大当り信頼度が高いことを示唆するステップアップ予告や、同様の演出を連続して行い、連続した回数が多いほど大当り信頼度が高いことを示唆する連続予告などが設けられている。予告演出種決定テーブルには、予告演出種決定乱数の値に対して、これら複数の予告演出の何れかが設定されている。予告演出種決定乱数の値は、サブ制御基板220のCPU221が予告演出の種類の決定に際して取得する。S532の処理では、予告演出種決定テーブルを参照し、取得した予告演出種決定乱数の値に対応付けられた予告演出を、次に実行する予告演出に決定する。
こうして予告演出の種類を決定すると、決定した予告演出の実行態様を決定する(S534)。本実施例では、複数種類の予告演出のそれぞれに、大当り信頼度が異なる3つの実行態様(態様A〜C)が設けられている。S534の処理では、S526の処理と同様に、実行態様決定テーブル(図15)を参照して予告演出の実行態様を決定するが、実行態様決定乱数の値は新たに取得する。
そして、予告演出の実行態様を決定したら、予告演出を実行するか否かを遊技者に選択させるための選択演出(予告選択演出)を実行する(S536)。本実施例では、S532で決定した予告演出の種類を提示しながら、その予告演出を実行するか、リーチ演出を実行するかの2択の画像を演出表示装置27に表示する。尚、選択演出(予告選択演出)の実行を制御するサブ制御基板220のCPU221は、「選択演出実行手段(予告選択演出実行手段)」として機能するものである。
選択演出を実行すると、続いて、予告演出の実行が選択されたか否かを判断する(S538)。遊技者は、選択演出の実行中に演出ボタン5dを操作する(所定の入力を行う)ことで、予告演出およびリーチ演出の何れを実行するか(予告演出を実行するか否か)を選択することが可能である。そして、予告演出の実行が選択されなかった場合は(S538:no)、次の予告演出を実行しないまま、図14の予告演出実行処理を終了して、図13の図柄変動演出処理に復帰する。
これに対して、予告演出の実行が選択された場合は(S538:yes)、S532で決定された種類の予告演出を、S534で決定された実行態様(大当り信頼度)で実行する(S540)。その後、S528の処理に戻って予告演出が終了するまで待機し、予告演出が終了すると(S528:yes)、予告演出の実行回数が最大実行回数に達したか否かを判断する(S530)。そして、最大実行回数に達していない場合は(S530:no)、上述したS532〜S540の処理を再び実行する。一方、予告演出の実行回数が最大実行回数に達した場合は(S530:yes)、図14の予告演出実行処理を終了して、図13の図柄変動演出処理に復帰する。
図柄変動演出処理では、予告演出実行処理(S520)から復帰すると、図柄変動演出の残りの変動時間に応じてリーチ演出を決定する(S550)。予告演出は、識別図柄27a,27b,27cの変動表示中(変動時間内)に行われるので、予告演出の実行回数によって残りの変動時間は異なっている。本実施例では、複数の段階で構成されるリーチ演出(例えば、ノーマルリーチからスーパーリーチに発展し、さらにスペシャルリーチに発展する)が設けられており、予告演出の実行回数に応じて初期段階や中期段階を省略し、少なくとも最終段階を実行するようになっている。尚、長さの異なる複数のリーチ演出を予め用意しておき、その中から残りの変動時間に応じて何れかを決定してもよい。
こうしてリーチ演出を決定したら、その決定したリーチ演出を実行し(S552)、続いて、主制御基板200から図柄停止コマンドを受信したか否かを判断する(S510)。図柄停止コマンドを受信していない場合は(S510:no)、コマンドを受信するまで待機する。そして、図柄停止コマンドを受信した場合は(S510:yes)、識別図柄27a,27b,27cを停止表示させて図柄変動演出を終了する(S512)。その後、図柄変動演出処理の先頭に戻って、新たに変動開始時コマンドを受信したか否かを判断する(S500)。
図17は、サブ制御基板220のCPU221が図柄変動演出処理を実行することにより、選択演出が行われる様子を例示した説明図である。まず、図17(a)には、識別図柄27a,27b,27cを変動表示させて図柄変動演出を開始した後、既に1回目の予告演出が終了した状態が示されており、識別図柄27a,27b,27cの変動表示は継続されている。本実施例では、予告演出の実行判定の結果、予告演出を実行する場合には、少なくとも1回の予告演出の実行が保証され、図柄変動演出が開始されると、1回目の予告演出が実行される。
予告演出の実行回数が最大実行回数に達していなければ、次に実行する予告演出の種類や実行態様(大当り信頼度)が決定され、図17(b)に示すように、「予告演出の実行」と「リーチ演出の開始」との2択の画像を識別図柄27a,27b,27cの変動表示に重ねて表示することで選択演出を実行する。本実施例では、選択演出において、次に実行される予告演出の種類(図示した例ではセリフ予告)を提示するようになっている。尚、選択演出の表示は、図示した例に限られず、例えば、「セリフ予告を実行しますか?Yes/No」などでもよい。
遊技者は、選択演出の実行中に演出ボタン5dを操作することで、予告演出の実行またはリーチ演出の開始を選択することが可能である。図示した例では、2択のうち選択されている側に太線の囲み枠および矢印が付され、演出ボタン5dの操作によって切り換えることができる。
そして、予告演出の実行が選択された場合は、図17(c)に示すように、識別図柄27a,27b,27cの変動表示を継続したまま、予告演出を実行する。図示した例では、縮小された識別図柄27a,27b,27cが演出表示装置27の画面上部右隅で変動表示されると共に、演出表示装置27の表示画面上にキャラクタが登場し、そのキャラクタが発するセリフや会話の内容によって大当り信頼度を示唆するセリフ予告が実行されている。こうして予告演出を実行した後、予告演出の実行回数が未だ最大実行回数に達していなければ、再び選択演出を実行して予告演出を行うか否かを遊技者に選択させる。
一方、予告演出の実行が選択されなかった場合(リーチ演出の開始が選択された場合)は、図17(d)に示すように、左識別図柄27aの停止表示に続いて右識別図柄27cを同じ数字で停止表示させてリーチ状態とし、最後の中識別図柄27bも同じ数字で停止表示されることを遊技者に期待させるリーチ演出を実行する。尚、本実施例では、1回の図柄変動演出の中で、遊技者が一旦リーチ演出の開始(予告演出を実行しないこと)を選択したら、その後に選択演出が実行されることはない。
図18は、選択演出に対して遊技者が行った選択の違いによって図柄変動演出の進行を比較したタイムチャートである。図示した例では、変動時間が「120秒」の変動パターンが決定されており、予告演出の実行判定で「実行する」と判定されると、予告演出の最大実行回数が3回に設定される。また、本実施例では、識別図柄27a,27b,27cを変動表示させて図柄変動演出が開始されるのに伴い、遊技者の選択によらず1回目の予告演出が実行されて、大当り信頼度を示唆する。そして、1回目の予告演出が終了したら、1回目の選択演出が実行される。
図18(a)には、1回目の選択演出に対して遊技者がリーチ演出の開始(予告演出を実行しないこと)を選択した場合が示されている。この場合、変動時間120秒から1回目の予告演出の演出時間10秒を差し引いた残りの変動時間110秒でリーチ演出が実行される。このようなシチュエーションとして、例えば、1回目の予告演出で高信頼度が示唆され、大当りの確信を持っていれば、遊技者は、予告演出をもう一度見なくてもよく、リーチ演出の開始を選択する。これにより、遊技者は期待感を持ってリーチ演出を見ることができる。
これに対して、図18(b)には、1回目の選択演出に対して遊技者が予告演出の実行を選択した場合が示されている。前述したように予告演出の実行態様(大当り信頼度)は、実行態様決定テーブルを参照して決定されており、大当り判定結果が大当りであっても、高信頼度の実行態様が決定されるとは限らず、低信頼度あるいは中信頼度の実行態様が決定される場合がある。そこで、1回目の予告演出で低信頼度が示唆され、納得できない場合や、中信頼度が示唆され、もっと確信がほしい場合には、遊技者は予告演出の再度の実行を選択することができる。
本実施例では、複数種類の予告演出が設けられており、2回目の予告演出として1回目の予告演出とは異なる種類の予告演出を実行することが可能である。また、予告演出の実行態様(大当り信頼度)は、予告演出の実行毎に決定されるので、1回目の予告演出が低信頼度や中信頼度であっても、2回目の予告演出が高信頼度となり得る。そして、2回目の予告演出が終了すると、2回目の選択演出が実行される。
図18(b)には、2回目の選択演出に対して遊技者がリーチ演出の開始(予告演出を実行しないこと)を選択した場合が示されている。この場合、変動時間120秒から1回目および2回目の予告演出の演出時間の合計20秒を差し引いた残りの変動時間100秒でリーチ演出が実行される。大当り判定結果が大当りであれば、高信頼度の予告演出が実行され易くなっており(図15に示した例では80%)、低信頼度や中信頼度が2回続く可能性は低い。そのため、2回目の予告演出で高信頼度が示唆され、大当りの確信を持ってリーチ演出を開始させることにより、遊技者は期待感を高めてリーチ演出を見ることができる。
これに対して、図18(c)には、2回目の選択演出に対して遊技者が予告演出の実行を選択した場合が示されている。2回目の予告演出でも高信頼度が示唆されなかった場合には、遊技者は更なる予告演出の実行を選択することができる。3回目の予告演出の種類や実行態様は、2回目の予告演出とは独立して決定される。そして、3回目の予告演出が終了すると、変動時間120秒から1回目〜3回目の予告演出の演出時間の合計30秒を差し引いた残りの変動時間90秒でリーチ演出が実行される。このとき、3回目の予告演出で高信頼度が示唆されていれば、遊技者は期待感を高めてリーチ演出を見ることができる。一方、3回目の予告演出でも高信頼度が示唆されなければ、大当り判定結果が大当りであるのに3回続けて高信頼度が示唆されないことは極めて稀であることから、大当り判定結果は外れの可能性が高いと判断され、遊技者は過度な期待感を持つことなく、リーチ演出を見ることができる。
以上に説明したように本実施例のパチンコ機1では、図柄変動演出の中で遊技者が予告演出の実行およびリーチ演出の開始の何れかを選択する(予告演出を実行するか否かを選択する)ことが可能になっており、高信頼度の予告演出が実行されたら(実行された予告演出に遊技者が満足したら)、その時点でリーチ演出の開始を選択することで、遊技者の満足感を高めると共に、遊技者は期待感を持ってリーチ演出を見ることができる。一方、高信頼度の予告演出が実行されなければ、もう一度予告演出を実行することを選択でき、何度も低信頼度の予告演出が実行されるときは、遊技者は過度な期待感を持つことなく、リーチ演出を見ることができる。このように予告演出を実行するかどうかを遊技者に選択させることで、より正確な大当り信頼度を遊技者に示すことができることから、遊技者に適切な期待感を提供して遊技興趣の向上を図ることが可能となる。また、遊技者の任意の操作(選択)によって演出態様を多様化することができる。
また、本実施例のパチンコ機1では、複数種類の予告演出が設けられており、選択演出の実行毎に異なる種類の予告演出を実行することが可能となっている。これにより、演出態様を一層多様化することができると共に、既に実行された予告演出で高信頼度が示唆されていても、遊技者が別の種類の予告演出を見るために、再度予告演出の実行を選択するという遊技性を実現することができる。特に、本実施例の選択演出では、次に実行される予告演出の種類を提示するようになっているので、遊技者に次の予告演出に対する興味を持たせることができる。そして、複数回の予告演出で高信頼度が示唆されることで、遊技者は大当りの確信を深めて、より高い期待感を持ってリーチ演出を見ることができる。
また、本実施例のパチンコ機1では、変動パターンに対応する変動時間の長さに応じて予告演出の最大実行回数が設定され、1回の図柄変動演出の中で、予告演出を実行するか否かの選択の機会が複数回与えられることで、遊技者は、好みの種類の予告演出を見たタイミングや、納得できる信頼度の予告演出を見たタイミングでリーチ演出を開始させることができるので、遊技興趣を高めることが可能となる。加えて、遊技者が選択した予告演出の実行回数によって、リーチ演出の実行時間が変化するので、遊技者の任意の操作(選択)によって演出態様をより一層多様化することができる。
D.変形例 :
以上、本実施例のパチンコ機1について説明したが、実施態様はこれに限られるわけではなく、次のような変形例の態様で実施することも可能である。尚、変形例の説明にあたっては、上述した実施例と同様の構成部分については、実施例と同様の符号を付し、詳細な説明を省略する。
D−1.第1変形例 :
前述した実施例では、3つの識別図柄27a,27b,27cの全てが変動表示している状態で選択演出や予告演出を実行するようになっていた。しかし、3つの識別図柄27a,27b,27cのうち少なくとも1つが変動表示中であれば、何れかの識別図柄が停止表示した状態で選択演出や予告演出を実行するようにしてもよい。
図19は、第1変形例のパチンコ機1で選択演出が行われる様子を例示した説明図である。図19(a)の例では、識別図柄27a,27b,27cを変動表示させて図柄変動演出を開始した後、左識別図柄27aの停止表示に続いて右識別図柄27cを同じ数字で停止表示させてリーチ状態となっており、中識別図柄27bの変動表示は継続されている。
第1変形例のパチンコ機1では、このように2つの識別図柄が既に停止表示した状態(リーチ状態)で選択演出を実行し、例えば、図19(b)に示すように、「セリフ予告を実行?Yes/No」の2択の画像を識別図柄27a,27b,27cに重ねて表示する。遊技者は、選択演出の実行中に演出ボタン5dを操作することで、予告演出を実行するか否かを選択することが可能である。
そして、予告演出の実行が選択された場合は、中識別図柄27bの変動表示を継続したまま、予告演出を実行する。図19(c)に示した例では、縮小された識別図柄27a,27b,27cが演出表示装置27の画面上部右隅に表示されており、中識別図柄27bは変動表示を継続している。また、演出表示装置27の表示画面上にキャラクタが登場してセリフ予告が実行され、キャラクタが発するセリフや会話の内容によって大当り信頼度を示唆する。
一方、予告演出の実行が選択されなかった場合は、中識別図柄27bの停止表示を伴って、左識別図柄27aや右識別図柄27cと同じ数字で停止表示されることを遊技者に期待させるリーチ演出を実行する。図19(d)に示した例では、中識別図柄27bで停止表示されそうになる数字をキャラクタが次々に破壊し、左識別図柄27aや右識別図柄27cと同じ数字(ゾロ目)を引き寄せるリーチ演出が実行される。
このような第1変形例のパチンコ機1においても、前述した実施例と同様に、高信頼度の予告演出が実行されたら、次の予告演出を実行しないこと(リーチ演出の進行)を選択することで、遊技者は期待感を持ってリーチ演出を見ることができる。一方、高信頼度の予告演出が実行されなければ、もう一度予告演出を実行することを選択でき、何度も低信頼度の予告演出が実行されるときは、遊技者は過度な期待感を持つことなく、リーチ演出を見ることができる。
D−2.第2変形例 :
前述した実施例では、1回の図柄変動演出の中で、予告演出の実行回数が最大実行回数に達するまで選択演出を複数回実行する(遊技者に複数回選択させる)ようになっていた。しかし、予告演出を実行するか否かや、予告演出の実行回数を一括して遊技者に選択させる選択演出を実行するようにしてもよい。
図20は、第2変形例のパチンコ機1で選択演出が行われる様子を例示した説明図である。図示した例では、図柄変動演出の進行のタイプとして、予告演出を行うことなくリーチ演出Aを実行するAタイプ(予告演出0回)、予告演出aおよび予告演出bを行った後にリーチ演出Bを実行するBタイプ(予告演出2回)、予告演出aと予告演出cと予告演出dとを行った後にリーチ演出Cを実行するCタイプ(予告演出3回)の3つのタイプが設けられており、何れかを遊技者に選択させる3択の画像を演出表示装置27に表示することで選択演出が実行される。
遊技者は、選択演出の実行中に演出ボタン5dを操作することで、3つのタイプの中から何れかを選択することが可能である。例えば、予告演出を見なくてもよい遊技者は、Aタイプを選択する。一方、予告演出を見たい遊技者は、見たい予告演出の種類や、予告演出を見たい回数に応じてBタイプまたはCタイプを選択する。
このような第2変形例のパチンコ機1においても、前述した実施例と同様に、1回の図柄変動演出の中で予告演出を実行するか否かや、予告演出の実行回数を遊技者が自らの意思で決定することができるので、パチンコ機1側で決定される場合に比べて、遊技興趣を高めることが可能となる。
以上、本発明の実施例および変形例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にも及び、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することができる。
例えば、前述した本実施例では、予告演出の実行判定で「実行する」と判定されると、少なくとも1回の予告演出の実行が保証され、遊技者の選択によらず1回目の予告演出を実行するようになっていた。しかし、必ずしも予告演出の1回の実行を保証する必要はなく、1回目の予告演出を実行するか否かを遊技者に選択させるための選択演出を実行することとして、選択の機会を増やしてもよい。
また、上述した実施例では、遊技ホールの島設備から供給される遊技球を「貸球」や「賞球」として利用し、遊技盤に設けられた各種入賞口(第1始動口17a、第2始動口17b、大入賞口31d等)への遊技球の入球に応じて所定数の賞球を払い出すことによって、遊技の結果としての利益(遊技価値)を遊技者に付与するパチンコ機1に本発明を適用した例を説明したが、「賞球の払い出し」とは異なる形態で遊技上の利益を付与するタイプの遊技機にも、本発明を適用することができる。例えば、各種入賞口への遊技球の入球が発生することで、その入球に対応する利益の量(遊技価値の大きさ)を示すデータを主制御部あるいは払出制御部のRAMに記憶することによって、遊技上の利益(遊技価値)を遊技者に付与するタイプのパチンコ機にも本発明を適用することができ、この場合にも、上述した実施例と同様の効果を得ることができる。なお、遊技上の利益(遊技価値)をデータ化して遊技者に付与するタイプのパチンコ機としては、パチンコ機に内蔵された複数個の遊技球を循環させて使用する遊技機、具体的には、各種入賞口あるいはアウト口を経て遊技盤の裏面に排出された遊技球を、再度、発射位置に戻して発射するように構成されたパチンコ機(いわゆる封入式遊技機)を例示できる。