JP2016167583A - 樹脂モールド方法及び樹脂モールド装置 - Google Patents

樹脂モールド方法及び樹脂モールド装置 Download PDF

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Abstract

【課題】多様なワークに対応すべく異なる成形条件でワーク両面を各々樹脂モールドすることが可能な樹脂モールド方法を提供する。【解決手段】モールド金型1にワークWがクランプされて上型キャビティ5bに上型ヒータ14aによって上型キャビティ5bの成形温度を所定温度に保ちながら第一の樹脂Rbを充填し、下型キャビティ10bに下型ヒータ15aによって前記下型キャビティ10bの成形温度を所定温度に保ちながら第二の樹脂Raを充填して、上型キャビティ5b及び下型キャビティ10bに対して異なる成形条件でワーク両面を各々樹脂モールドする。【選択図】図2

Description

本発明は、樹脂モールド方法及び樹脂モールド装置に関する。
例えば半導体チップを樹脂モールドする方法としてはトランスファ成形若しくは圧縮成形が用いられている。また、発明者は、トランスファ成形装置に圧縮成形機構を取り込んだ樹脂モールド方法としてTCM(トランスファコンプレッションモールド)モールド装置を開発している。この装置では、トランスファ成形する際に、キャビティの容積を十分確保してポットからキャビティへのモールド樹脂の充填を促し、樹脂充填後キャビティ容積を狙い通りの厚さまで圧縮することにより、最終的には、モールド樹脂をキャビティからポット側に押し戻す成形が可能となっている。これにより、トランスファ成形のみでは、モールド樹脂が半導体チップとキャビティ底部との狭い隙間にモールド樹脂が流れ込み難いとする課題を解決することができる。
尚、参考までに、本件出願人は同一若しくは異なる樹脂を用いて、キャビティ内樹脂とポット内樹脂として各々供給しておき、モールド金型によってワークをクランプして溶融したポット内樹脂をキャビティへ圧送りして溶融したキャビティ内樹脂と溶融結合することで、モールド樹脂の流動量を抑え、ワーク及びワイヤ接続への負荷を減らしたトランスファ成形による樹脂モールド方法を提案した(特許文献1)。
また、本件出願人は、同一の樹脂特性を持つ樹脂を用いて金型内に設けた加熱機構及び冷却機構により温度制御を行うことで、溶融樹脂の流動性、硬化性を制御して樹脂モールドする樹脂モールド方法及び装置を過に提案している(特許文献2)。
特開2012−146770号公報 特開平6−177190号公報
しかしながら、上述したトランスファ成形若しくは圧縮成形或いはTCM(トランスファコンプレッションモールド)によっても、以下の場合には、所期の成形品質を満たした樹脂モールドが行うことができない。
即ち、同一のワークを複数(例えば2種類)のモールド樹脂で樹脂モールドする必要がある場合、例えば基板一方面に実装された半導体チップは通常のエポキシ系樹脂でモールドし、基板の他方面には放熱用の樹脂で封止することが求められる。この場合、樹脂特性(成形条件(成形温度、キュアタイム、流動性、フィラーやシリカの含有量等)、樹脂形態(シート状、顆粒状、液状、タブレット状、粉状)、ワイヤ流れ性、放熱特性、収縮性、吸湿性、防湿性、電磁特性等)の異なるモールド樹脂を用いて効率良く充填ししかも成形品質を維持して成形すること、具体的には同一若しくは異なる樹脂形態を持つ樹脂であって成形条件(成形温度、キュアタイム等)が異なるモールド樹脂を用いて成形することが求められる。
或いは、同一のモールド樹脂を、大判サイズの基板に半導体チップが多数フリップチップ実装されたワークをアンダーフィルモールドしつつ半導体チップどうしの隙間を埋めるべく基板全体を樹脂封止する場合、通常の構成では樹脂の未充填エリアが発生するおそれがある。
更には、例えば車載用のECU、FBGA、MAP、IGBT等の比較的大型で樹脂量を要するワークをトランスファ成形により樹脂モールドする場合、樹脂の流動量が多く移動経路が長いため、比較的高い樹脂圧で圧送りされるため、ワークである基板にワイヤボンディング実装された半導体チップのワイヤ流れが生じたり、コンデンサなどの端子が樹脂圧により曲がったり、位置ずれを起こしたりするなどの不具合が発生しやすい。
本発明は上記従来技術の課題を解決し、多様なワークに対応すべく同一若しくは異なる成形条件でワーク両面を各々樹脂モールドすることが可能な樹脂モールド方法及び装置を提供することにある。
本発明は上記目的を達成するため、次の構成を備える。
即ち、一対の金型のうち、一方の金型に第一の充填空間部が形成されるとともに第一の加熱部が設けられ、他方の金型に第二の充填空間部が形成されると共に第二の加熱部が設けられたモールド金型を用いてワークをクランプして樹脂モールドする樹脂モールド方法であって、前記モールド金型に前記ワークがクランプされて前記第一の充填空間部に前記第一の加熱部によって前記第一の充填空間部の成形温度を所定温度に保ちながら第一の樹脂を充填し、前記第二の充填空間部に前記第二の加熱部によって前記第二の充填空間部の成形温度を所定温度に保ちながら第二の樹脂を充填して、前記第一の充填空間部及び第二の充填空間部に対して同一若しくは異なる成形条件で前記ワーク両面を各々樹脂モールドすることを特徴とする。
上記樹脂モールド方法を用いれば、第一の充填空間部及び第二の充填空間部に対して同一若しくは異なる成形条件でワーク両面を各々樹脂モールドするので、多様なワークに合わせて最適な成形条件を選択してワーク両面を各々樹脂モールドすることができる。
前記モールド金型のうち少なくともいずれか一方には冷却部が設けられており、前記第一の加熱部及び前記第二の加熱部に加えて前記冷却部によって、前記第一の充填空間部及び前記第二の充填空間部の成形温度を所定温度に保つことが好ましい。
これにより、第一の充填空間部の成形温度及び第二の充填空間部の成形温度を成形条件に合わせて同一若しくは異なる温度に精度よく調整することができ、成形品質を向上させることができる。
前記モールド金型に前記ワークがクランプされることで仕切られた前記第一の充填空間部と前記第二の充填空間部に対して同一若しくは異なる成形条件で各々樹脂が充填されるようにしてもよい。これにより、第一充填空間部と第二充填空間部はワークによって仕切られているので、個別の充填空間に対して各々の成形条件にしたがって樹脂を充填して多様なワーク両面を各々樹脂モールドすることができる。
また、前記モールド金型は圧縮成形用金型が用いられ、前記第一の充填空間部が形成される上型キャビティ駒及びこれを囲む上型クランパに前記第一の加熱部が設けられ、前記第二の充填空間部が形成される下型キャビティ駒及びこれを囲む下型クランパに前記第二の加熱部が設けられており、ワーク上に第一の樹脂を供給し下型キャビティに第二の樹脂を各々供給し、前記上型クランパ及び前記下型クランパとで前記ワークをクランプし上型キャビティ及び下型キャビティの成形温度を各々保ちながら前記上型キャビティ駒及び前記下型キャビティ駒との間で前記第一の充填空間部及び第二の充填空間部の容積が各々縮小する方向に相対移動して1回の型開閉動作で前記ワーク両面を各々圧縮成形するようにしてもよい。
これにより、例えばワーク上にシート樹脂を搭載し、下型キャビティに顆粒状樹脂を供給して上型クランパと下型クランパとでワークをクランプし、上型キャビティ及び下型キャビティの成形温度を各々保ちながら第一の充填空間部及び第二の充填空間部の容積が各々縮小する方向に上型及び下型クランパと上型及び下型キャビティ駒を相対移動させて1回の型開閉動作でワーク両面を各々効率良く圧縮成形することができる。
前記圧縮成形用金型のうち少なくともいずれか一方には冷却部が設けられており、前記第一の加熱部及び第二の加熱部に加えて前記冷却部によって、前記第一の充填空間部及び前記第二の充填空間部の成形温度を所定温度に保つようにしてもよい。
これにより、第一の充填空間部の成形温度及び第二の充填空間部の成形温度を成形条件に合わせて同一若しくは異なる温度に精度よく調整することができ、成形品質を向上させることができる。
前記モールド金型はトランスファ成形用金型が用いられ、いずれか一方の金型に設けられた複数のポットから前記ワークによって仕切られた前記第一の充填空間部と前記第二の充填空間部に異なる樹脂路を通じて第一の樹脂と第二の樹脂を異なる成形条件で各々充填して前記ワーク両面をトランスファ成形するようにしてもよい。
これにより、上型及び下型の金型温度を第一の加熱部及び第一の冷却部並びに第二の加熱部及び第二の冷却部によって成形温度を各々調整しつつ、第一の充填空間部と第二の充填空間部に異なる樹脂路を通じて第一の樹脂と第二の樹脂を異なる成形条件で各々充填してワーク両面をトランスファ成形することができる。
前記モールド金型はトランスファ成形用金型が用いられ、いずれか一方の金型に設けられた第一のポットから第一の樹脂路を経て前記ワークによって仕切られた前記第一の充填空間部へ第一の樹脂を充填し、前記一方の金型若しくは他方の金型に設けられた第二のポットから第二の樹脂路を経て前記ワークによって仕切られた前記第二の充填空間部に第二の樹脂を各々充填して1回の型開閉動作で前記ワーク両面に樹脂を供給してトランスファ成形するようにしてもよい。
これにより、第一の充填空間部へ第一の樹脂を第一のポットから第一の樹脂路を通じて充填し、第二の充填空間部へ第二の樹脂を第二のポットから第二の樹脂路を通じて充填して、1回の型開閉動作でワーク両面を効率良くトランスファ成形することができる。
前記ワーク両面に、樹脂特性が同一若しくは異なる樹脂を用いてトランスファ成形するようにしてもよい。これにより、樹脂特性(例えば樹脂形態や成形条件等)が同一若しくは異なる樹脂を用いても、いずれの場合も1回の型開閉動作でワーク両面を効率良くトランスファ成形することができる。
前記モールド金型は、ワーク上に第一の樹脂を供給し、前記一方の金型のポットに第二の樹脂が各々供給して、他方の金型との間で前記ワークをクランプし、前記第一の樹脂は容積が可変する第一の充填空間部へ圧縮成形により充填すると共に前記第二の樹脂は前記ポットよりトランスファ成形により前記第二の充填空間部に各々充填して、溶融した前記第一の樹脂及び第二の樹脂に各々所定樹脂圧を平衡するように加えかつ成形温度を各々所定温度に保ちながら1回の型開閉動作で前記ワーク両面を異なる成形方法で各々樹脂モールドするようにしてもよい。
或いは前記モールド金型は、いずれか一方の金型に形成された第一の充填空間部に第一の樹脂を供給し、いずれか一方の金型のポットに第二の樹脂を各々供給して、他方の金型との間で前記ワークをクランプし、前記第一の樹脂を容積が可変する前記第一の充填空間部に圧縮成形により充填すると共に前記第二の樹脂を前記ポットよりトランスファ成形により前記第二の充填空間部に各々充填して、溶融した前記第一の樹脂及び第二の樹脂に各々所定樹脂圧を平衡するように加えかつ成形温度を各々所定温度に保ちながら1回の型開閉動作で前記ワーク両面を異なる成形方法で各々樹脂モールドするようにしてもよい。
これにより、第一の樹脂を容積が可変する第一の充填空間部に圧縮成形により充填し、第二の樹脂をポットよりトランスファ成形により第二の充填空間部に各々充填して、溶融した第一の樹脂及び第二の樹脂に各々所定樹脂圧を平衡するように加えかつ成形温度を各々所定温度に保ちながらワーク両面を異なる成形方法で各々樹脂モールドするので、多様なワークへの樹脂充填性並びに成形品質を向上させることができる。
前記第一の樹脂と前記第二の樹脂は、互いに少なくとも成形温度が異なる樹脂を用いてもよいし、前記第一の樹脂と前記第二の樹脂は、互いに少なくとも加熱硬化時間が異なる樹脂を用いてもよい。
これにより、多様なワークに応じて種類の異なる樹脂のみならず成形条件の異なる同一樹脂を用いてワーク両面を樹脂モールドすることができる。
また、前記第一の樹脂が供給される第一の充填空間部と前記第二の樹脂が供給される前記第二の充填空間部は、同一充填空間部であってもよい。これにより、モールド前にキャビティ内に充填しておく樹脂量を正確に計量しなくてもキャビティ容積に相当する樹脂を充填することができる。
樹脂モールド装置においては、上述したいずれかの樹脂モールド方法を用いてワーク両面に各々樹脂モールドが行われるので、多様なワークに対する樹脂充填性を向上させて成形品質を向上させることができる。
多様なワークに対応すべく異なる成形条件でワーク両面を各々樹脂モールドすることが可能な樹脂モールド方法及びこれを用いて多様なワークに対する樹脂充填性を向上させた樹脂モールド装置を提供することができる。
樹脂モールド装置のレイアウト構成例を示す平面図である。 樹脂モールド方法のモールド動作の一例を説明する金型断面図である。 図2とは形態が異なるワークを用いたモールド動作を説明する金型断面図である。 他例に係る樹脂モールド方法のモールド動作を説明する金型断面図である。 図4とは形態が異なるワークのモールド動作を説明する金型断面図である。 他例に係る樹脂モールド方法のモールド動作を説明する金型断面図である。 他例に係る樹脂モールド方法のモールド動作を説明する金型断面図である。 図7の上型平面図である。 図7の下型平面図である。 他例に係る樹脂モールド方法のモールド動作を説明する金型断面図である。 図10の上型平面図である。 図10の下型平面図である。 他例に係る樹脂モールド方法のモールド動作を説明する金型断面図である。 図13の上型平面図である。 図13の下型平面図である。 他例に係る樹脂モールド方法のモールド動作を説明する金型断面図である。 他例に係る樹脂モールド方法のモールド動作を説明する金型断面図である。
以下、本発明に係る樹脂モールド方法の好適な実施の形態について、モールド金型の構成とともに添付図面を参照して詳述する。
先ず、樹脂モールド装置の概略構成について図1のレイアウト図を参照しながら説明する。被成形品であるワーク(樹脂基板、リードフレーム、半導体ウエハ、キャリア等)を供給するとともにポット内に第二の樹脂Raを供給するワーク樹脂供給部A、ワーク上に第一の樹脂Rbを供給する樹脂搭載部B、モールド金型を備えたプレス部C、成形品を収納する成形品収納部Dなどが設けられている。プレス部Cは、2台設けられているが1台でもよく、3台以上設けられていてもよい。
また、ワーク樹脂供給部A、樹脂搭載部Bとプレス部Cとの間を往復動してワークを搬入するローダーEとプレス部Cと成形品収納部Dとの間を往復移動して成形品を搬出するアンローダーFが設けられている(搬送部)。
プレス部Cに備えたモールド金型には、ローダーEによってワーク及び第二の樹脂(例えば樹脂タブレット)と第一の樹脂Rb(例えばワークに載置されたシート樹脂等)が供給される。尚、第一の樹脂Rbは、プレス部Cに搬入されたワーク上に供給されるようにしてもよい。また、プレス部Cには、モールド金型を型閉じすることによりワークWをクランプし、プランジャを作動させて溶融したポット内樹脂を充填空間部(キャビティ)へ圧送りするトランスファ機構が設けられている。トランスファ機構は、型締め機構により昇降駆動される可動プラテンに組み付けられ、型締め機構とは別の駆動源により独立で昇降する均等圧ユニットを備えている。トランスファ機構が動作することにより均等圧ユニットに支持されたプランジャが上昇し、第二の樹脂Raがトランスファされる。
図2(A)において、モールド金型1を構成する上型2と下型3の概略構成について説明する。尚、以下では、上型2を固定型、上型2に対して接離動する下型3を可動型として説明するものとする。型締め機構は、可動型を駆動させ、駆動源に公知の電動モータを用いトグルリンクなどのリンク機構により昇降するようになっている。
上型2には、上型ベース4に上型キャビティ駒5が一体に設けられている。また上型ベース4には、上型キャビティ駒5の周囲を囲むように上型クランパ6がコイルばね7を介して吊り下げ支持されている。上型クランパ6のポット対向部には上型カル6aが彫り込まれて形成されている。また、上型クランパ6の上型キャビティ駒5の周囲には、上型キャビティ5b(第一の充填空間部)の側面を形成する傾斜面6b及び底面6cが形成されている。底面6cは相対移動する上型キャビティ駒5の下面5aと共にキャビティ底面を形成する(図2(B)参照)。
上型キャビティ駒5及び上型クランパ6には、上型ヒータ14a(第一の加熱部)及び上型クーラ14b(第一の冷却部)が各々設けられている。これらは、上型キャビティ5b(第一の充填空間部)に充填される成形温度を一定に保つために設けられている。
モールド金型1のクランプ動作に応じて上型クランパ6がワークWをクランプしてから上型キャビティ駒5が上型キャビティ5b(第一の充填空間部)の容積が縮小する方向に相対移動して圧縮成形動作をするようになっている。なお、上型キャビティ駒5及び上型クランパ6の少なくとも一方を他の駆動源(モータや油圧等)により昇降させることで、圧縮成形動作をさせるようにしてもよい。
また、上型2の上型カル6a、上型キャビティ5bを含む上型クランプ面には、リリースフィルム8が吸着保持される(吸着面に吸引孔を設けることは公知なため不図示)。リリースフィルム8は、耐熱性を有するもので、金型面より容易に剥離するものであって、柔軟性、伸展性を有するもの、例えば、PTFE、ETFE、PET、FEPフィルム、フッ素含浸ガラスクロス、ポリプロピレンフィルム、ポリ塩化ビニリジン等が好適に用いられる。なお、樹脂の金型面からの離型性や摺動部分における樹脂漏れ防止のためにリリースフィルム8を用いるのが好ましいが、必ずしもリリースフィルム8を用いる必要は無い。この場合、例えば、上型キャビティ駒5と上型クランパ6との隙間からの樹脂漏れを防止するために樹脂漏れ防止のためのシール機構を設けることが好ましく、型面からの樹脂の離型性を確保するために型面に樹脂に対する離型性の高い表面処理を行うことが好ましい。このような表面処理としては、一例として硬質Crメッキ、TiNコーティング、DLCコーティングや、酸化ジルコニウム又は酸化イットリウムなどを含むセラミック層を用いることができる。
下型3には、図示しない下型チェイスにポット9と下型インサート10が支持されている。ポット9には、トランスファ機構により昇降動作するプランジャ11が挿入されている。下型インサート10の下型クランプ面には、下型ランナゲート10a及びこれに連続する下型キャビティ10b(第二の充填空間部)が彫り込まれて形成されている。下型インサート10には下型ヒータ15a(第二の加熱部)及び下型クーラ15b(第二の冷却部)が各々設けられている。これらは、下型キャビティ10b(第二の充填空間部)に充填される成形温度を一定に保つために設けられている。ポット9内に第二の樹脂Ra(例えば樹脂タブレット12)が充填されて、溶融した当該第二の樹脂Raがプランジャ11によって、下型ランナゲート10aを通じてこれに連続する下型キャビティ10bへ圧送りされる。(図2(B)参照)。
ここで樹脂モールド動作の一例について説明する。尚、ワークWは基板Kの両面に半導体チップTが実装(例えばワイヤボンディング接続等)されたものを想定している。尚、ワークWは、図1に示す樹脂搭載部Bにおいて基板K上に第一の樹脂Rb(例えばシート樹脂等)が供給されて、ローダーEによってプレス部Cに搬入されるものとする。第一の樹脂Rbは、シート樹脂の他に、固形樹脂、顆粒状樹脂、液状樹脂等を用いてもよい。尚、以下では第一の樹脂Rb、第二の樹脂Raともにエポキシ系の同一の性質を持つ樹脂を用いるものとする。同一の性質を持つ樹脂であっても成形条件(成形温度、キュアタイム等)が異なるモールド成形をする場合を含むものとする。
図2(A)に示すように、ローダーE(図1参照)によって型開きしたモールド金型1の下型3のポット9に樹脂タブレット12(第二の樹脂Ra)が供給され、下型キャビティ10b(第二の充填空間部)に対応する位置に第一の樹脂Rbが供給されたワークWが載置される。尚、プレス部Cにおいて下型3にワークWが載置された後に第一の樹脂Rbを供給するようにしてもよい。また、上型クランプ面には予めリリースフィルム8が吸着保持されているものとする。
図2(B)に示すように、下型3を上昇させて上型2との間でワークWをクランプし、第一の樹脂Rb(低温成形;成形温度120°〜130°)を圧縮成形により容積が可変する上型キャビティ5b(第一の充填空間部)に充填する。上型2の成形温度は、上型ヒータ14a(第一の加熱部)及び上型クーラ14b(第一の冷却部)によって、最適な温度に保たれて成形されるようになっている。
また、ポット9に装填された樹脂タブレット12(第二の樹脂Ra;高温成形;成形温度150°〜180°)が溶融してプランジャ11により上型カル6a、下型ランナゲート10aを通じて下型キャビティ10b(第二の充填空間部)へ圧送りしてトランスファ成形により充填する。下型3の成形温度は、下型ヒータ15a(第二の加熱部)及び下型クーラ15b(第二の冷却部)によって、最適な温度に保たれて成形されるようになっている。
この圧縮成形とトランスファ成形は、先ず圧縮成形を完了させてから、トランスファ成形を行ってもよいし、圧縮成形を行いながらトランスファ成形を並行させてもいずれでもよい。このように、例えば、ワークWを挟んで上下に配置された第一の充填空間部である上型キャビティ5bと、第二の充填空間部である下型キャビティ10bとにおいて樹脂圧を平衡させることで、樹脂圧によるワークWの撓みを防止しながら複数個所における成形を同時に行うことが可能となっている。
そして、上型キャビティ5b及び下型キャビティ10bが溶融した第一の樹脂Rb及び第二の樹脂Raに満たされたまま所定樹脂圧を加えながら加圧硬化を並行することで樹脂モールドが行われる。
尚、上型キャビティ5bに充填される第一の樹脂Rbと下型キャビティ10bに充填される第二の樹脂Raとは、一例として同じ成形温度であって、第一の樹脂Rbを相対的にキュアタイムの短い樹脂(例えばシート状、顆粒状、液状樹脂等)、第二の樹脂Raを相対的にキュアタイムの長い樹脂(タブレット樹脂)を用いて樹脂モールドするようにしてもよい。
ワークWによって仕切られた第一の充填空間部(上型キャビティ5b)に第一の樹脂Rbを充填し第二の充填空間部(下型キャビティ10b)に第二の樹脂Raを各々充填して第一の加熱部(上型ヒータ14a)及び第一の冷却部(上型クーラ14b)によって第一の充填空間部(上型キャビティ5b)の成形温度を所定温度に保ちかつ第二の加熱部(下型ヒータ15a)及び第二の冷却部(下型クーラ15b)によって第二の充填空間部(下型キャビティ10b)の成形温度を所定温度に保ちながら異なる種類の樹脂若しくは同一の性質を持つ樹脂どうしを各々の成形条件にしたがって樹脂モールドする。
よって、異なる種類の樹脂或いは成形条件の異なる同一の性質を持つ樹脂を用いて多様なワークWの両面を効率良く樹脂モールドすることが可能となる。
尚、本実施例におけるヒータにはセンサー内蔵型を使用しているため、特に明記していないが、センサーをヒータとは別に金型に取り付けてもよい。
尚、上記ワークWは基板の基板両面に半導体チップが実装(例えばワイヤボンディング接続等)されたものとして説明したが、基板の片面に半導体チップが実装されているワークWの半導体チップ搭載面を上型キャビティ5b及び下型キャビティ10bに各々臨むように上下に相対する向きに背中合わせに重ねて貼り合わせた状態で樹脂モールドするようにしてもよい。樹脂モールド後、貼り合わせ面で剥離させると、1回の樹脂モールド動作で2枚のワークWを成形することができる。
また、第一の樹脂Rbと第二の樹脂Raは、任意の形態・任意の組成・任意の性能の樹脂を用いることができる。この場合、樹脂の形態として、固形樹脂、顆粒状樹脂、シート樹脂、液状樹脂等の各種の形態の樹脂を組み合わせて使用することができる。また、樹脂の組成として、エポキシ樹脂やシリコーン樹脂といった樹脂材料の種別や、これに含有されるフィラーやシリカ含有量、蛍光体、顔料又は染料などの添加剤の有無や含有量等を異ならせたものを組み合わせて使用することができる。さらに、樹脂の性能として、放熱性、収縮性、シールド性、吸湿性、防湿性、充填性又は光学特性(例えば透明度)といった任意の性能の樹脂を組み合わせて使用することができる。
また、第一の樹脂Rbと第二の樹脂Raは、形態の異なる樹脂のみならず、成形条件を変えることで形態及び性能の同一の性質を持つ樹脂を組み合わせて用いてもよい。また、ワークWの両面に半導体チップが実装されていなくても、片面実装のみであってもよい。
次に他例に係るワークWの樹脂モールド方法について図3を参照して説明する。モールド金型1及び樹脂モールド装置の構成は、図2と同様であるものとする。図3(A)は、ワークWである基板Kの上面に第一の半導体チップT1がワイヤボンディング接続されており、下面には第二の半導体チップT2がフリップチップ接続されている。ワークWは、第一の半導体チップT1を含む基板K上に第一の樹脂Rb(エポキシ系樹脂;液状樹脂等;成形温度120°〜130°)が供給されて下型3に基板Kが載置される。また、ポット9には、第二の樹脂Ra(エポキシ系樹脂;樹脂タブレット12等;成形温度150°〜180°)が装填される。第二の半導体チップT2及びその周囲に設けられたはんだバンプBPは、下型キャビティ10bのキャビティ底面に当接した状態でモールド金型1がクランプされる。
モールド金型1のクランプ動作が進行すると、上型クランパ6のコイルばね7が押し縮められて上型キャビティ駒5が相対的に下方に移動して上型クランパ6の底面6cと上型キャビティ駒5の下面5aが面一となり上型キャビティ5bが形成されて、第一の樹脂Rbが上型キャビティ5b内に充填される。このとき、上型2の成形温度は、上型ヒータ14a(第一の加熱部)及び上型クーラ14b(第一の冷却部)によって、最適な温度に保たれて成形されるようになっている。また、任意の樹脂圧で樹脂の流動量が少ない圧縮成形により半導体チップT1を樹脂モールドするので、ワイヤ流れや変形を防いで高品質な成形を行うことができる。なお、この場合、下型キャビティ10bではキャビティ底面にはんだバンプBPが当接した状態となっているため、第一の樹脂Rbの樹脂圧によるワークWの変形(撓み)を低減することもできる。
また、プランジャ11を作動させてポット9内で溶融した第二の樹脂Raを上型カル6a、下型ランナゲート10aを通じて下型キャビティ10bに圧送りしてモールドアンダーフィルを行う。このとき、下型3の成形温度は、下型ヒータ15a(第二の加熱部)及び下型クーラ15b(第二の冷却部)によって、最適な温度に保たれて成形されるようになっている。第二の半導体チップT2と基板Kとの隙間にトランスファ成形により、任意の方向に第二の樹脂Raを流動させることで、ワークWの厚み方向における隙間(一例として第二の半導体チップT2と基板Kとの隙間)に第二の樹脂Raを充填させ易くすることができる。例えば、圧縮成形では樹脂の流れが最小となりワイヤの変形などを防止できる反面、半導体チップT2と基板Kとの隙間に充填するのが困難となる場合がある。従って、この他例においては、このような各成形におけるメリットをそれぞれの目的に合せて選択的に用いることにより、多機能かつ高品位の成形品を効率的に成形することができる。樹脂モールド後、半導体チップT2以外の基板実装部品(はんだバンプBP,受動部品等)を封止してもよい。また、樹脂モールド後、基板実装部品の露出工程や再配線工程を行って、半導体チップを多段積載した高機能チップを成形するようにしてもよい。
図3(B)は、図3(A)の変形例であり、ワークWは同様であるが、モールド金型1の構成が異なっている。即ち、下型3の下型キャビティ10bの底部には基板実装部品が押し込まれることで弾性的に変形してその先端を保護可能な弾性体13(例えばシリコンゴム、フッ素ゴム又はエンジニアリングプラスチックのシート等)が敷設されている。
ワークWの下面に実装された実装部品(はんだバンプBP等)やフリップチップ実装された第二の半導体チップT2の表面を露出させて成形できるので、樹脂モールド後の後工程を簡略化することができる。ワークWがモールド金型1にクランプされると弾性体13に当接して露出されるのは、はんだバンプBPや半導体チップTだけではなく、バンプBPにより接続された基板等であってもよい。
次に、樹脂モールド方法の他例について図4乃至図15を参照して説明する。樹脂モールド装置の構成は、図2と同様であるので、ワークWとそれをモールドするモールド金型の構成を中心に説明するものとする。
図4(A)は、図2(A)の変形例であって、モールド金型1の上型2の構成と下型3の構成が上下反転した構成になっている。即ち、上型インサート10´には、ポット9´プランジャ11´が設けられている。上型インサート10´のクランプ面には、上型ランナゲート10a´とこれに連なる上型キャビティ10b´(第一の充填空間部)が形成されている。上型インサート10´には、上型ヒータ14a(第一の加熱部)及び上型クーラ14b(第一の冷却部)が複数箇所に設けられている。
下型3は、下型ベース4´に下型キャビティ駒5´が固定されている。下型キャビティ駒5´の周囲には、下型クランパ6´がコイルばね7´を介してフローティング支持されている。下型クランパ6´のポット対向位置には、下型カル6a´が形成されており、上型ランナゲート10a´と連通している。また、下型クランパ6´の下型キャビティ駒5´の周囲には、下型キャビティ5b´(第二の充填空間部)の側面を形成する傾斜面6b´及び底面6c´が形成されている。底面6c´は相対移動する下型キャビティ駒5´の上面5a´と共にキャビティ底面を形成する(図4(B)参照)。
下型キャビティ駒5´及びこれを囲む下型クランパ6´によって下型キャビティ5b´(第二の充填空間部)が形成される。下型キャビティ5b´を含む下型クランプ面は、リリースフィルム8が吸着保持されている。下型キャビティ駒5´及び下型クランパ6´には下型ヒータ15a(第二の加熱部)及び下型クーラ15b(第二の冷却部)が各々設けられている。尚、ワークWの形態は、図2と同様に基板Kの両面に半導体チップTがワイヤボンディング実装されている。
図4(A)に示すように、ワークWは、リリースフィルム8に覆われた下型キャビティ5b´に第一の樹脂Rb(エポキシ系樹脂;例えば顆粒状樹脂、液状樹脂等;成形温度150°〜180°)が供給されてから、下型クランプ面にワークWが下型キャビティ5b´に位置合わせして載置される。また、上型2の上型インサート10´に設けられたポット9´には、第二の樹脂Ra(エポキシ系樹脂;例えば樹脂タブレット12等;成形温度150°〜180°)が装填される。
また、図4(B)に示すように、下型3を上昇させて上型2との間でワークWをクランプし、第一の樹脂Rbを圧縮成形により容積が可変する下型キャビティ5b´(第二の充填空間部)に充填する。下型3の成形温度は、下型ヒータ15a(第二の加熱部)及び下型クーラ15b(第二の冷却部)によって、最適な温度に保たれて成形されるようになっている。
また、図4(B)に示すように、上型2のプランジャ11´を作動させてポット9´内で溶融した第二の樹脂Raを下型カル6a´、上型ランナゲート10a´を通じて上型キャビティ10b´に圧送りしてトランスファ成形を行う。上型2の成形温度は、上型ヒータ14a(第一の加熱部)及び上型クーラ14b(第一の冷却部)によって、最適な温度に保たれて成形されるようになっている。このとき、例えば上型キャビティ10b´と下型キャビティ5b´とでは、下型3側の加熱硬化時間(キュアタイム)が上型2側より短くなるように異なる成形条件で圧縮成形とトランスファ成形が行われる。
尚、トランスファ成形するタイミングは、下型3の圧縮成形を先に行った後でトランスファ成形を行ってもよいし、圧縮成形とトランスファ成形を並行してもよい。また、上型2と下型3とは種類の異なる樹脂を用いてもよい。
図5(A)は、図3(A)の変形例であって、モールド金型1の上型2の構成と下型3の構成が上下反転した構成になっている。また、ワークWである基板Kの下面に第一の半導体チップT1がワイヤボンディング接続されており、上面には第二の半導体チップT2がフリップチップ接続されている。
図5(A)に示すように、ワークWは、リリースフィルム8に覆われた下型キャビティ5b´に第一の樹脂Rb(エポキシ系樹脂;顆粒状樹脂、液状樹脂等;成形温度120°〜130°)が供給されてから、下型クランプ面にワークWが下型キャビティ5b´に位置合わせして載置される。また、上型2の上型インサート10´に設けられたポット9´には、第二の樹脂Ra(エポキシ系樹脂;例えば樹脂タブレット12等;成形温度150°〜180°)が装填される。
下型3を上昇させて上型2との間でワークWをクランプし、第一の樹脂Rbを圧縮成形により容積が可変する下型キャビティ5b´(第一の充填空間部)に充填する。下型3の成形温度は、下型ヒータ15a(第二の加熱部)及び下型クーラ15b(第二の冷却部)によって、最適な温度に保たれて成形されるようになっている。
また、上型2のプランジャ11´を作動させてポット9´内で溶融した第二の樹脂Raを下型カル6a´、上型ランナゲート10a´を通じて上型キャビティ10b´(第二の充填空間部)に圧送りしてトランスファ成形によりアンダーフィルを行う。上型2の成形温度は、上型ヒータ14a(第一の加熱部)及び上型クーラ14b(第一の冷却部)によって、最適な温度に保たれて成形されるようになっている。
図5(B)は、図3(B)の変形例であり、モールド金型1は図5(A)と同様に上型2の構成と下型3の構成が上下反転した構成になっている。ワークWは、基板Kの下面に複数の第一の半導体チップT1が積層されてワイヤボンディング接続されており、上面には第二の半導体チップT2がフリップチップ接続されている。また、上型2の上型キャビティ10b´の底部には基板実装部品が押し込まれることで弾性的に変形してその先端を保護可能な弾性体13(例えばシリコンゴム、フッ素ゴム又はエンジニアリングプラスチックのシート等)が載置されている。
ワークWの上面に実装された実装部品(はんだバンプBP等)やフリップチップ実装された半導体チップT2の表面を露出させて成形できるので、樹脂モールド後の後工程を簡略化することができる。上述した実施例は、第一の樹脂Rbと第二の樹脂Raは成形温度やキュアタイムなどの成形条件が異なる同一の性質を持つ樹脂を用いたが種類の異なる樹脂を用いてもよい。
次に樹脂モールド方法の他例について説明する、図6はモールド金型1として圧縮成形用金型が用いられる場合を例示している。上型2には、上型ベース16に上型ブロック17が設けられている。上型ブロック17には、上型キャビティ駒18が一体に組み付けられている。また、上型ブロック17には、上型キャビティ駒18を囲んで上型クランパ19がコイルばね20を介して吊り下げ支持されている。上記上型キャビティ駒18及びこれを囲む上型クランパ19によって上型キャビティ21(第一の充填空間部)が形成される。また、上型キャビティ駒18及びこれを囲む上型クランパ19には、上型ヒータ14a(第一の加熱部)及び上型クーラ14b(第一の冷却部)が各々設けられており、上型キャビティ21(第一の充填空間部)内の成形温度が所定温度に保たれるようになっている。また、上型キャビティ21を含む上型クランプ面には上型リリースフィルム8aが吸着保持されている。
下型3には、下型ベース22に下型ブロック23が設けられている。下型ブロック23には、下型キャビティ駒24が一体に組み付けられている。また、下型ブロック23には、下型キャビティ駒24を囲んで下型クランパ25がコイルばね26を介してフローティング支持されている。下型クランパの直下には一定高さまでしか下がらないように図示しないストッパが挿入されている。上記下型キャビティ駒24及びこれを囲む下型クランパ25によって下型キャビティ27(第二の充填空間部)が形成される。また、下型キャビティ駒24及びこれを囲む下型クランパ25には、下型ヒータ15a(第二の加熱部)及び下型クーラ15b(第二の冷却部)が各々設けられており、下型キャビティ27(第二の充填空間部)内の成形温度が所定温度に保たれるようになっている。また、下型キャビティ27を含む下型クランプ面には下型リリースフィルム8bが吸着保持されている。
ワークWは、基板Kの上面に第一の半導体チップT1がフリップチップ接続されており、下面に第二の半導体チップT2がワイヤボンディング接続されている。例えば、ワークWの上面にシート樹脂(第一の樹脂Rb)を搭載し、ワークWの下面が臨む下型キャビティ27に顆粒樹脂(第二の樹脂Ra)を供給し、ワークWを下型クランプ面に第二半導体チップT2が下型キャビティ27内となるように位置合わせして載置する。尚、シート樹脂(第一の樹脂Rb)は予めワークWの第一の半導体チップT1上に供給してからモールド金型1に搬入しても、ワークWをモールド金型1へ搬入してからシート樹脂(第一の樹脂Rb)を供給してもいずれでもよい。
次いで、モールド金型1を型閉じして、上型キャビティ21(第一の充填空間部)及び下型キャビティ27(第二の充填空間部)の容積が各々縮小する方向に上型クランパ19及び下型クランパ25と上型キャビティ駒18及び下型キャビティ駒24を相対移動させて1回の型開閉動作で圧縮成形する。このとき、上型キャビティ21(第一の充填空間部)内の成形温度は上型ヒータ14a(第一の加熱部)及び上型クーラ14b(第一の冷却部)によって低温領域(例えば120°〜130°)に保たれたまま圧縮成形され、下型キャビティ27(第二の充填空間部)内の成形温度は下型ヒータ15a(第二の加熱部)及び下型クーラ15b(第二の冷却部)によって高温領域(例えば150°〜180°)に保たれたまま圧縮成形される。よって、多様なワークWに対して形態の異なる樹脂を用いて1回の型開閉動作でワーク両面を効率良く圧縮成形することができる。
次に他の樹脂モールド方法について、モールド金型の構成と共に図7乃至図9を参照して説明する。モールド金型1としてトランスファ成形用金型が用いられる。図7(A)に示すように、上型2には、上型チェイス30が設けられている。この上型チェイス30の凹部には、上型センターインサート31とその両側に上型キャビティインサート32が組み付けられている。上型チェイス30には、複数箇所に上型ヒータ14a(第一の加熱部)及び上型クーラ14b(第一の冷却部)が設けられている。上型センターインサート31のクランプ面には、上型カル31a及びこれに接続する上型ランナゲート31bが彫り込まれて形成されている。また、上型キャビティインサート32のクランプ面には、上型キャビティ32a(第一の充填空間部)及び上型ランナゲート32bが彫り込まれている。上型ランナ31bは、上型ランナゲート32bを介して上型キャビティ32aと連通している。
下型3には、下型チェイス33が設けられている。この下型チェイス33の凹部には、下型センターインサート34とその両側に下型キャビティインサート35が組み付けられている。上型チェイス33には、複数箇所に下型ヒータ15a(第二の加熱部)及び下型クーラ15b(第二の冷却部)が設けられている。下型センターインサート34及び下型チェイス33には、筒状の第一ポット36a及び第二ポット36bが貫通して交互に組み付けられている。第一,第二ポット36a,36b内には、プランジャ37が各々昇降可能に設けられている。
図7(B)に示すように、下型キャビティインサート35のクランプ面には、下型キャビティ35a(第二の充填空間部)及び下型ランナゲート35bが彫り込まれている下型センターインサート34のクランプ面には、上型カル31aに接続する下型ランナゲート34aが彫り込まれている。下型ランナゲート34aは、下型ランナゲート35bを介して下型キャビティ35aと連通している。
図8に上型2のクランプ面の模式平面図を示す。上型2のクランプ面は、上型カル31a1と上型カル31a2が一対で形成されている。上型カル31a1は、上型ランナゲート31bを通じて上型キャビティ32aと連通している。
図9に下型3のクランプ面の模式平面図を示す。
下型3の下型センターインサート34及び下型チェイス33には、第一ポット36aと第二ポット36bが交互に配列されて組み付けられている。第一ポット36aは上型カル31a1と対向配置され、第二ポット36bは、上型カル31a2と対向配置されている。また、上型カル31a2は、下型ランナ34a、下型ランナゲート35bを通じて下型キャビティ35aと連通している。
例えば、第一ポット36aと第二ポット36bには、種類の異なる第一の樹脂(例えば低温成形樹脂)と第二の樹脂(高温成形用樹脂)が交互に装填され、ワークWによって仕切られた上型キャビティ32a(第一の充填空間部)と下型キャビティ35a(第二の充填空間部)とで異なる樹脂路を通じて各々充填される。
即ち、上型キャビティ32aを樹脂モールドする場合には、第一ポット36aのみに第一の樹脂Rbを投入し、ワークWをモールド金型1でクランプして、モールド樹脂を上型カル31a1、上型ランナ31b、上型ランナゲート32bを通じて上型キャビティ32aへ充填する。このとき、モールド金型1の成形温度は、低温成形温度(例えば120°〜130°)となるように上型ヒータ14a(第一の加熱部)及び上型クーラ14b(第一の冷却部)並びに下型ヒータ15a(第二の加熱部)及び下型クーラ15b(第二の冷却部)によって調整される。上型キャビティ32aの樹脂モールドが完了すると、再度モールド金型1を型開きして下型キャビティ35aを樹脂モールドする。
即ち、第二ポット36bのみに第二の樹脂Raを投入し、ワークWを再度モールド金型1でクランプして、モールド樹脂を上型カル31a2、下型ランナゲート34aを通じて下型キャビティ35aへ充填する。このとき、モールド金型1の成形温度は、高温成形温度(例えば150°〜180°)となるように上型ヒータ14a(第一の加熱部)及び上型クーラ14b(第一の冷却部)並びに下型ヒータ15a(第二の加熱部)及び下型クーラ15b(第二の冷却部)によって調整される。
このように、トランスファ成形用の上型2及び下型3の金型温度を上型ヒータ14a(第一の加熱部)及び上型クーラ14b(第一の冷却部)並びに下型ヒータ15a(第二の加熱部)及び下型クーラ15b(第二の冷却部)によって成形温度を調整しつつ上型キャビティ32a(第一の充填空間部)と下型キャビティ35a(第二の充填空間部)に異なる樹脂路を通じて種類の異なる第一の樹脂Rbと第二の樹脂Raを各々充填して樹脂モールドすることができる。尚、第一の樹脂Rbと第二の樹脂Raは、例えば成形温度が同じでキュアタイムの異なる同一の性質を持つ樹脂を用いてもよい。
次に、図7(A)(B)のトランスファ成形用金型を用いた樹脂モールド方法の他例について図10乃至図12を参照して説明する。図7(A)(B)に示すモールド金型1と同一部材には同一番号を付して説明を援用するものとする。本実施例は、上型2に第一ポット36a、下型3に第二ポット36bを設けて、上型キャビティ32a及び下型キャビティ35aに異なる樹脂路を通じて第一の樹脂Rb,第二の樹脂Raを各々充填するようになっている。
図10(A)において、上型2の上型チェイス30には、上型センターインサート31´が組み付けられている。上型センターインサート31´と上型チェイス30を貫通して第一ポット36a及びプランジャ11が昇降可能に組み付けられている。上型センターインサート31´のクランプ面には、第一ポット36aに連なる上型ランナ31a´が彫り込まれている。上型ランナ31a´は上型ランナゲート32bと連通している。上型2の成形温度は、上型チェイス30に備えた上型ヒータ14a(第一の加熱部)及び上型クーラ14b(第一の冷却部)によって調整される。
また、図10(B)に示すように、下型3の下型チェイス33には、下型センターインサート34´が上型センターインサート31´に対向して組み付けられている。下型センターインサート34´と下型チェイス33を貫通して第二ポット36b及びプランジャ11が昇降可能に組み付けられている。下型センターインサート34´のクランプ面には、第二ポット36bに連なる下型ランナ34a´が彫り込まれている。下型ランナ34a´は下型ランナゲート35bと連通している。下型3の成形温度は、下型チェイス33に備えた下型ヒータ15a(第二の加熱部)及び下型クーラ15b(第二の冷却部)によって調整される。
図11に上型2のクランプ面の模式平面図を示す。また図12に下型3のクランプ面の模式平面図を示す。図11において、第一ポット36aに装填された第一の樹脂Rbは上型ランナ31a´、上型ランナゲート32bを通じて上型キャビティ32aにトランスファされる。
また、図12において、第二ポット36bに装填された第二の樹脂Raは下型ランナ34a´、下型ランナゲート35bを通じて下型キャビティ35aにトランスファされる。
これにより、上型キャビティ32a(第一の充填空間部)へ第一の樹脂Rbを第一ポット36aから第一の樹脂路を通じて充填し、下型キャビティ35a(第二の充填空間部)へ第二の樹脂Raを第二ポット36bから第二の樹脂路を通じて充填することができ、種類の異なる樹脂を用いても成形条件の異なる同一の性質を持つ樹脂を用いてもいずれの場合も1回の型開閉動作でワーク両面を効率良くトランスファ成形することができる。
次にトランスファ成形用金型を用いた樹脂モールド方法の他例について図13乃至図15を参照して説明する。図7(A)(B)に示すモールド金型1と同一部材には同一番号を付して説明を援用するものとする。本実施例は、図10(A)(B)の更なる変形例を示すものであり上型2及び下型3に設けられるポット及びキャビティの配置が異なっている。
図13において、上型2の上型チェイス30には、上型センターインサート37とその両側に上型インサート38が組み付けられている。上型センターインサート37のクランプ面には、上型キャビティ37a及び上型ランナゲート37bが彫り込まれて形成されている。また、上型インサート38及び上型チェイス30には、複数の第一ポット36aが貫通して組み付けられている。第一ポット36a内にはプランジャ11が昇降可能に設けられている。上型インサート38のクランプ面には、第一ポット36aに連なる上型ランナ38aが彫り込まれて形成され、上型ランナゲート37bと連通している。上型2の成形温度は、上型チェイス30に備えた上型ヒータ14a(第一の加熱部)及び上型クーラ14b(第一の冷却部)によって調整される。
下型3の下型チェイス33には、下型センターインサート39とその両側に下型インサート40が組み付けられている。下型センターインサート39のクランプ面には、下型キャビティ39aが上型キャビティ37aと対向する位置に彫り込まれて形成されている。また、下型キャビティ39aに連通する下型ランナゲート39bが彫り込まれて形成されている。また、下型インサート40及び下型チェイス33には、複数の第二ポット36bが貫通して組み付けられている。第二ポット36b内にはプランジャ11が昇降可能に設けられている。下型インサート40のクランプ面には、第二ポット36bに連なる下型ランナ40aが彫り込まれて形成され、下型ランナゲート39bと連通している。下型3の成形温度は、下型チェイス33に備えた下型ヒータ15a(第二の加熱部)及び下型クーラ15b(第二の冷却部)によって調整される。
図14に上型2のクランプ面の模式平面図を示す。また図15に下型3のクランプ面の模式平面図を示す。図14において、第一ポット36aに装填された第一の樹脂Rbは上型ランナ38a、上型ランナゲート37bを通じて上型キャビティ37aにトランスファされる。
また、図15において、第二ポット36bに装填された第二の樹脂Raは下型ランナ40a、下型ランナゲート39を通じて下型キャビティ39にトランスファされる。
これにより、上型キャビティ37(第一の充填空間部)へ第一の樹脂Rbを第一ポット36aから第一の樹脂路を通じて充填し、下型キャビティ39a(第二の充填空間部)へ第二の樹脂Raを第二ポット36bから第二の樹脂路を通じて充填することができ、種類の異なる樹脂を用いても成形条件の異なる同一の性質を持つ樹脂を用いてもいずれの場合も1回の型開閉動作でワーク両面に効率良くトランスファ成形することができる。
尚、上型2及び下型3のポット及びキャビティ配置は上述したものに限らず、第一,第二ポットが交互に配置されたポット列を金型クランプ面の一方側に配置し、キャビティ列を金型クランプ面の他方側に配置するようにしてもよい。
次にトランスファ成形用金型を用いた樹脂モールド方法の他例について図16及び図17を参照して説明する。図16(A)〜(C)は、上型がトランスファ成形用の金型であり、下型が圧縮成形用の金型を示す。図4のモールド金型のうちポット位置を上下反転させた形態であり、図4と同一部材には同一番号を付して説明を援用するものとする。また、図17(A)〜(C)は、図16(A)〜(C)の変形例であり、下型トランスファ成形及び圧縮成形用の金型であって、片面モールドする場合を例示している。ワークWは、基板Kの両面に第一,第二の半導体チップT1,T2が各々ワイヤボンディング接続されている。
図16(A)において、下型3には、下型ベース4´に下型キャビティ駒5´が一体に支持されている。また下型ベース4´には、下型キャビティ駒5´の周囲を囲むように下型クランパ6´がコイルばね7´によりフローティング支持されている。また、下型クランパ6´の下型キャビティ駒5´の周囲には、下型キャビティ5b´(第一の充填空間部)の側面を形成する傾斜面6b´及び底面6c´が形成されている。底面6c´は下型キャビティ駒5´の上面5a´と共にキャビティ底面を形成する。下型ベース4´には、下型センターインサート34(図7参照)が支持されている。この下型センターインサート34には、ポット9が組み付けられている。ポット9には、トランスファ機構により昇降動作するプランジャ11が挿入されている。また、下型3の下型キャビティ5b´を含む下型クランプ面には、図示しないリリースフィルムが吸着保持されていてもよい(吸着面に吸引孔を設けることは公知なため不図示)。下型ベース4´とこれに支持された下型キャビティ駒5´下型クランパ6、下型センターインサート34は、図示しない下型チェイスに組み付けられる。
上型インサート10´は上型チェイス(図示せず)に組み付けられる。上型インサート10´のクランプ面には、ポット対向部に上型カル10c´、上型ランナゲート10a´とこれに連なる上型キャビティ10b´(第一の充填空間部)が形成されている。上型インサート10´には、上型ヒータ14a(第一の加熱部)及び上型クーラ14b(第一の冷却部)が複数箇所に設けられている。これらは、上型キャビティ10b´(第一の充填空間部)に充填される樹脂の成形温度を一定に保つために設けられている。
下型キャビティ駒5´及び下型クランパ6´には、下型ヒータ15a(第二の加熱部)及び下型クーラ15b(第二の冷却部)が各々設けられている。これらは、下型キャビティ5b´(第二の充填空間部)に充填される樹脂の成形温度を一定に保つために設けられている。尚、上型ヒータ14a及び下型ヒータ15aだけで温度制御可能な場合は、上型クーラ14b(第一の冷却部)及び下型クーラ15b(第二の冷却部)は省略してもよく、また上下型のいずれか一方のみにクーラを設けてもよい。
図16(A)に示すように、型開きした下型3の下型キャビティ5b´には、キャビティ容積に相当する予め所定量の第一の樹脂Rb(エポキシ系樹脂;顆粒樹脂等;成形温度120°〜130°)が供給される。第一の樹脂Rbは、顆粒樹脂に替えて、シート樹脂、液状樹脂等であってもよい。また、下型キャビティ5b´に第一,第二の半導体チップT1,T2を位置合わせして下型クランパ6´上にワークW(基板K)を載置する。また、ポット9には第二の樹脂Ra(エポキシ系樹脂;樹脂タブレット12等;成形温度150°〜180°)が装填される。
図16(B)に示すように、モールド金型1の型閉じ動作を開始して、下型クランパ6´と上型インサート10´とでワークW(基板K)をクランプし、下型キャビティ駒5´が下型キャビティ5b´(第二の充填空間部)の容積が縮小する方向に相対移動して圧縮成形動作をする。下型キャビティ5b´に充填された第一の樹脂Rbは、下型ヒータ15a(第二の加熱部)及び下型クーラ15b(第二の冷却部)により所定温度に加熱され、硬化させられる。なお、下型キャビティ駒5´及び下型クランパ6´の少なくとも一方を他の駆動源(モータや油圧等)により昇降させることで、圧縮成形動作をさせるようにしてもよい。
また、図16(C)に示すように、トランスファ機構を作動させて、ポット9内に挿入されているプランジャ11を上昇させて、溶融した第二の樹脂Raを上型カル10c´及び上型ランナゲート10a´を通じて連続する上型キャビティ10b´(第一の充填空間部)へ圧送りされる。上型キャビティ10b´に充填された第二の樹脂Raは、上型ヒータ14a(第一の加熱部)及び上型クーラ14b(第一の冷却部)により所定温度に加熱され、硬化させられる。
尚、トランスファ成形するタイミングは、下型3の圧縮成形を先に行った後で上型2にトランスファ成形を行ってもよいし、圧縮成形とトランスファ成形を並行してもよい。また、上型2と下型3に供給される樹脂は、同一若しくは異なる樹脂特性を持つ樹脂のいずれを用いてもよい。
次に、図17(A)〜(C)を参照して、図16(A)〜(C)の変形例について説明する。本実施例は、モールド金型1が片面モールド用の金型であって、第一の樹脂Rbが供給される第一の充填空間部と第二の樹脂Raが供給される第二の充填空間部は、同一充填空間部(下型キャビティ)となっている。具体的には、上型2の上型インサート10´に上型ランナゲート10a´及び上型キャビティ10b´(第二の充填空間部)が形成されておらず、ワークWを吸着保持するワーク吸着部10d´が設けられている。一方で、下型3には、下型キャビティ駒5´とこれを囲んでフローティング支持された下型クランパ6´により下型キャビティ5b´が形成されている。また、下型クランパ6´には上型カル10c´及び下型キャビティ5b´各々に連続する下型ランナゲート6d´が彫り込まれている。ワークWは、基板Kの片面に第一の半導体チップTのみがワイヤボンディング接続されている。
上型インサート10´には、上型ヒータ14a(第一の加熱部)及び上型クーラ14b(第一の冷却部)が複数箇所に設けられている。下型キャビティ駒5´及び下型クランパ6´には、下型ヒータ15a(第二の加熱部)及び下型クーラ15b(第二の冷却部)が各々設けられている。これらは、下型キャビティ5b´(第一、第二の充填空間部)に充填される成形温度を一定に保つために設けられている。尚、上型クーラ14b(第一の冷却部)及び下型クーラ15b(第二の冷却部)は上型ヒータ14a及び下型ヒータ15aだけで温度制御可能な場合は、省略してもよく、また上下型いずれか一方のみにクーラを設けてもよい。
図17(A)に示すように、型開きした下型3の下型キャビティ5b´には、予め満充填より少ない所定量の第一の樹脂Rb(エポキシ系樹脂;顆粒樹脂、シート状樹脂、液状樹脂等)が供給される。また、ポット9には、上記第一の樹脂Rbの不足分を補う第二の樹脂Ra(エポキシ系樹脂;タブレット樹脂、顆粒樹脂、液状樹脂等)が装填される。尚、第一の樹脂Rbと第二の樹脂Raは同一樹脂であっても或いは異なる樹脂でもいずれでもよく、成形条件が同一の樹脂(例えば、成形温度120°〜130°又は成形温度150°〜180°)若しくは異なる樹脂(例えば、一方の成形温度が120°〜130°であって他方の成形温度150°〜180°)のいずれを用いてもよい。更には、上型インサート10´のワーク吸着部10d´にはワークW(基板K)が吸着保持させておく。
図17(B)に示すように、モールド金型1の型閉じ動作を開始して、下型クランパ6´と上型インサート10´とでワークW(基板K)をクランプし、下型キャビティ駒5´が下型キャビティ5b´(第一の充填空間部)の容積が縮小する方向に相対移動して圧縮成形動作をする。このとき、第一の樹脂Rbは溶融するが、下型キャビティ5b´を満たしていない。なお、下型キャビティ駒5´及び下型クランパ6´の少なくとも一方を他の駆動源(モータや油圧等)により昇降させることで、圧縮成形動作をさせるようにしてもよい。
また、図17(C)に示すように、トランスファ機構を作動させて、ポット9内に挿入されているプランジャ11を上昇させて、溶融した第二の樹脂Raを上型カル10c´及び下型ランナゲート6d´を通じて連続する下型キャビティ5b´(第一の充填空間部)へ圧送りする。このとき、第一の樹脂Rbの不足分に相当する第二の樹脂Raは、下型キャビティ5b´内に充填され混練されて一体成形される。
このように、圧縮成形後にトランスファ成形を行うことで、圧縮成形のみではキャビティ内に所定の樹脂圧が得られ難いという課題を解決することができ、またキャビティ内の正確な樹脂量を計量しなくてもキャビティ容量に相当する樹脂を充填することができる。よって、大判サイズで薄型のパッケージを成形する場合に好適に用いられる。
以上、各実施例として、本発明における好適な形態とそれぞれの作用効果について説明したが、本発明は必要に応じて適宜に変更して実施することができる。例えば、モールド金型1の充填空間部(上型キャビティ若しくは下型キャビティ)に供給される樹脂は、上述した実施例で示す形態に限定されるものではない。また、ワークWは、例えば半導体チップ、受動部品(コンデンサ等)、配線構造体などの部品が搭載された各種の基板(樹脂基板、セラミックス基板、金属基板等)であってもよい。また、ワークWは、例えばWLP(Wafer Level Package)成形に用いるウエハや、半導体チップを貼り付けたE−WLP(Embedded Wafer Level Package)成形に用いるキャリアプレートを適宜採用することもできる。これらの組み合わせの一例として、LEDチップが実装されたリードフレームやセラミックス基板であってもよい。また、ワークWとしては、必ずしも半導体チップが実装されていなくてもよく、LEDのリフレクタや放熱板を固定するためのスティフナのような樹脂成形部を形成する基板やリードフレーム等の板状部材であってもよい。このように、ワークWとしては各種の樹脂モールド方法に用いられる任意の対象であってよく、どのようなワークWであっても上述したような好適な効果が得られる。またワークWは、複数のパッケージ領域が一体的に連結されて1つのキャビティ(充填空間部)を構成するマップ型の製品に限らず複数の独立したパッケージ領域が連結されたキャビティ(充填空間部)を構成するマトリクス型の製品の成形に用いる金型であっても良い。また、モールド金型1は、上型2を固定型、下型3を可動型としたが、下型3を固定型、上型2を可動型としてもよく、双方を可動型としても良い。
本実施例ではヒータの他にクーラもモールド金型に入れて積極的に冷やしているが、ヒータとセンサーで十分に上下型が温度等の成形条件を制御できる場合は、必ずしもクーラは必要としていない。また、ワークWは上下貫通孔のない仕切られた実施例について説明したが、必ずしも上下型で仕切られるワークで無ければならないことはなく、通常の上下貫通孔が開いたリードフレームであっても良い。また、ワークは、両面パッケージ用の製品に限らず、片面モールド用の製品であってもよい。上述した各実施例においてそれぞれ例示した実施の形態において説明した各種のトランスファ成形及び圧縮成形の組み合わせを入れ替えたり、部分的に追加したりして用いることもできる。
Rb 第一の樹脂 Ra 第二の樹脂 A ワーク樹脂供給部 B 樹脂搭載部C プレス部 D 成形品収納部 E ローダー F アンローダー K 基板 T1 第一の半導体チップ T2 第二の半導体チップ BP はんだバンプ 1 モールド金型 2 上型 3 下型 4,16 上型ベース 4´,22 下型ベース 5,18 上型キャビティ駒 5´,24,27 下型キャビティ駒 5a 下面 5a´ 上面 5b,10b´,21,32a,39a 上型キャビティ(第一の充填空間部) 5b´,10b,35a,39a 下型キャビティ(第二の充填空間部) 6,19 上型クランパ 6´,25 下型クランパ 6a,10c´,31a,31a1,31a2 上型カル 6a´ 下型カル 6b,6b´ 傾斜面 6c,6c´ 底面 6d´ 下型ランナゲート 7,7´,20,26 コイルばね 8 リリースフィルム 8a 上型リリースフィルム 8b 下型リリースフィルム 9,9´,36,36a,36b ポット 10,40 下型インサート 10´,38 上型インサート 10a,35b,39b 下型ランナゲート 10a´,31b,32b,37b 上型ランナゲート 10d´ ワーク吸着部 11,11´ プランジャ 12 樹脂タブレット 13 弾性体 14a 上型ヒータ(第一の加熱部) 14b 上型クーラ(第一の冷却部)15a 下型ヒータ(第二の加熱部) 15b 下型クーラ(第二の冷却部) 17 上型ブロック 23 下型ブロック 30 上型チェイス 31,31´,37 上型センターインサート 31a´,38a 上型ランナ 32 上型キャビティインサート 33 下型チェイス 34,34´,39 下型センターインサート 34a,34a´,40a 下型ランナ 35 下型キャビティインサート 36a 第一ポット 36b 第二ポット

Claims (14)

  1. 一対の金型のうち、一方の金型に第一の充填空間部が形成されるとともに第一の加熱部が設けられ、他方の金型に第二の充填空間部が形成されると共に第二の加熱部が設けられたモールド金型を用いてワークをクランプして樹脂モールドする樹脂モールド方法であって、
    前記モールド金型に前記ワークがクランプされて前記第一の充填空間部に前記第一の加熱部によって前記第一の充填空間部の成形温度を所定温度に保ちながら第一の樹脂を充填し、前記第二の充填空間部に前記第二の加熱部によって前記第二の充填空間部の成形温度を所定温度に保ちながら第二の樹脂を充填して、前記第一の充填空間部及び第二の充填空間部に対して同一若しくは異なる成形条件で前記ワーク両面を各々樹脂モールドすることを特徴とする樹脂モールド方法。
  2. 前記モールド金型のうち少なくともいずれか一方には冷却部が設けられており、前記第一の加熱部及び前記第二の加熱部に加えて前記冷却部によって、前記第一の充填空間部及び前記第二の充填空間部の成形温度を所定温度に保つ請求項1記載の樹脂モールド方法。
  3. 前記モールド金型に前記ワークがクランプされることで仕切られた前記第一の充填空間部と前記第二の充填空間部に対して同一の成形条件若しくは異なる成形条件で各々樹脂が充填される請求項1又は請求項2記載の樹脂モールド方法。
  4. 前記モールド金型は圧縮成形用金型が用いられ、前記第一の充填空間部が形成される上型キャビティ駒及びこれを囲む上型クランパに前記第一の加熱部が設けられ、前記第二の充填空間部が形成される下型キャビティ駒及びこれを囲む下型クランパに前記第二の加熱部が設けられており、ワーク上に第一の樹脂を供給し下型キャビティに第二の樹脂を各々供給し、前記上型クランパ及び前記下型クランパとで前記ワークをクランプし上型キャビティ及び下型キャビティの成形温度を各々保ちながら前記上型キャビティ駒及び前記下型キャビティ駒との間で前記第一の充填空間部及び第二の充填空間部の容積が各々縮小する方向に相対移動して1回の型開閉動作で前記ワーク両面を各々圧縮成形する請求項1乃至請求項3のうちいずれか1項記載の樹脂モールド方法。
  5. 前記圧縮成形用金型のうち少なくともいずれか一方には冷却部が設けられており、前記第一の加熱部及び第二の加熱部に加えて前記冷却部によって、前記第一の充填空間部及び前記第二の充填空間部の成形温度を所定温度に保つ請求項4記載の樹脂モールド方法。
  6. 前記モールド金型はトランスファ成形用金型が用いられ、いずれか一方の金型に設けられた複数のポットから前記ワークによって仕切られた前記第一の充填空間部と前記第二の充填空間部に異なる樹脂路を通じて第一の樹脂と第二の樹脂を異なる成形条件で各々充填して前記ワーク両面をトランスファ成形する請求項1乃至請求項3のうちいずれか1項記載の樹脂モールド方法。
  7. 前記モールド金型はトランスファ成形用金型が用いられ、いずれか一方の金型に設けられた第一のポットから第一の樹脂路を経て前記ワークによって仕切られた前記第一の充填空間部へ第一の樹脂を充填し、前記一方の金型若しくは他方の金型に設けられた第二のポットから第二の樹脂路を経て前記ワークによって仕切られた前記第二の充填空間部に第二の樹脂を各々充填して1回の型開閉動作で前記ワーク両面に樹脂を供給してトランスファ成形する請求項1乃至請求項3のうちいずれか1項記載の樹脂モールド方法。
  8. 前記ワーク両面に、同一若しくは異なる樹脂特性を有する樹脂を用いてトランスファ成形する請求項7記載の樹脂モールド方法。
  9. 前記モールド金型は、ワーク上に第一の樹脂を供給し、前記一方の金型のポットに第二の樹脂が各々供給して、他方の金型との間で前記ワークをクランプし、前記第一の樹脂は容積が可変する第一の充填空間部へ圧縮成形により充填すると共に前記第二の樹脂は前記ポットよりトランスファ成形により前記第二の充填空間部に各々充填して、溶融した前記第一の樹脂及び第二の樹脂に各々所定樹脂圧を平衡するように加えかつ成形温度を各々所定温度に保ちながら1回の型開閉動作で前記ワーク両面を異なる成形方法で各々樹脂モールドする請求項1乃至請求項3のうちいずれか1項記載の樹脂モールド方法。
  10. 前記モールド金型は、いずれか一方の金型に形成された第一の充填空間部に第一の樹脂を供給し、いずれか一方の金型のポットに第二の樹脂を各々供給して、他方の金型との間で前記ワークをクランプし、前記第一の樹脂を容積が可変する前記第一の充填空間部に圧縮成形により充填すると共に前記第二の樹脂を前記ポットよりトランスファ成形により前記第二の充填空間部に各々充填して、溶融した前記第一の樹脂及び第二の樹脂に各々所定樹脂圧を平衡するように加えかつ成形温度を各々所定温度に保ちながら1回の型開閉動作で前記ワーク両面を異なる成形方法で各々樹脂モールドする請求項1乃至請求項3のうちいずれか1項記載の樹脂モールド方法。
  11. 前記第一の樹脂と前記第二の樹脂は、互いに少なくとも成形温度が異なる樹脂を用いる請求項1乃至請求項10のいずれか1項記載の樹脂モールド方法。
  12. 前記第一の樹脂と前記第二の樹脂は、互いに少なくとも加熱硬化時間が異なる樹脂を用いる請求項1乃至請求項10のいずれか1項記載の樹脂モールド方法。
  13. 前記第一の樹脂が供給される第一の充填空間部と前記第二の樹脂が供給される前記第二の充填空間部は、同一充填空間部である請求項1乃至請求項10のいずれか1項記載の樹脂モールド方法。
  14. 請求項1乃至請求項13記載のいずれか1項記載の樹脂モールド方法を用いてワーク両面に各々樹脂モールドが行われる樹脂モールド装置。
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