JP2016167399A - 放電ランプ - Google Patents
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Abstract
【課題】電極と電極芯棒の間に金属体を設けて熱伝導を抑制するショートアーク放電ランプにおいて、金属体と、電極および電極芯棒とが良好な接合状態となるショートアーク放電ランプを提供する。【解決手段】電極より熱伝導率の低い金属体が電極と電極芯棒の間の少なくとも一部分に介在し、金属体と接する電極芯棒の表層に、金属体物質と電極芯棒物質が混在した緩衝層を設け、緩衝層の金属体側から電極芯棒側に向けて金属体の物質の密度が連続的に減少する。【選択図】図2
Description
本発明は、半導体素子、液晶素子、プリント基板素子等の露光用の光源、または映写用投映装置の光源として使用されるショートアーク放電ランプに関し、特に、無水銀の段継ガラス封止構造のショートアーク放電ランプに関する。
従来からこのような光源として、図1に示すような発光管1内にキセノンガス等の希ガスを主成分とした放電ガスを封入したショートアーク放電ランプ(以下 ランプ)が知られている。
このようなランプは、内部に放電ガスとしてキセノンガスが大気圧以上で封入された石英ガラス製の発光管1と、発光管1の両端に連設した封止管2と、発光管1内に配置されるタングステンもしくはモリブデンを主成分とする電極3と、電極3を保持するタングステンもしくはモリブデンを主成分とする電極芯棒4とを有し、電極芯棒4と封止管2とが段継ぎガラス5を介して封着する段継ガラス封止構造を用いている。
この段継ガラス封止構造は、電極3への大電流の供給や、大気圧以上である高圧の放電ガスが発光管1に封入されたランプに用いられている。
電極3と電極芯棒4の接合は、特許文献1に記載された、電極芯線(電極芯棒)の挿入部に金属箔を巻き、電極の芯棒挿入穴に圧入する方法が知られている。しかし、このような方法を段継ガラス封止構造に適応すると、ランプが点灯することによる電極3の熱が伝導して電極芯棒4が高温になり、電極芯棒4と段継ガラス5の熱膨張差が過度になることで、段継ガラス5に破損や変形が生じるおそれがあった。
そこで、電極3から電極芯棒4へ熱が伝導することを抑制するために、図5の電極軸方向断面概略図に示すように、電極3より熱伝導率が低い金属(例えば、チタン)で構成される金属体6を、電極3と電極芯棒4の片側端部との間に介在させたランプを作製した。
しかしながら、このような金属体6を構成する物質は、電極3および電極芯棒4の構成物質であるタングステンまたはモリブデンより熱膨張率が大きいので、点灯による高温状態では金属体6と、電極3および電極芯棒4とのそれぞれの間に過度の熱膨張差が生じる。そのため、ランプの点灯によって、金属体6と、電極3および電極芯棒4との接合が破損する問題や、電極芯棒4に対して電極3が電極軸方向先端側にずれる問題が生じる。
上記問題点に鑑みて、この発明が解決しようとする課題は、電極と電極芯棒の間に金属体を設けて熱伝導を抑制するランプにおいて、金属体と、電極および電極芯棒とが良好な接合状態となるランプを提供することである。
本発明のランプは、発光管内に配設された電極と、電極を支持する電極芯棒とを有し、電極は電極後端面に電極と同軸の有底円筒状凹部を備え、有底円筒状凹部に電極芯棒の一端を挿入する放電ランプにおいて、電極と電極芯棒の間の少なくとも一部分には電極より熱伝導率の低い金属体が介在し、金属体と接する電極芯棒の表層の少なくとも一部分には、金属体の物質と電極芯棒の物質とが混在する緩衝層を有する。
このような構造を有することで、電極芯棒と金属体との間に過度な熱膨張差が生じることが抑制され、接合が強固になる。
更に本発明のランプは、緩衝層中の金属体物質の密度が、金属体側から電極芯棒側に向けて連続的に減少するように傾斜化する。
このような構造を有することで、金属体から電極芯棒にかけて熱膨張率が連続的、段階的にが緩やかになり、接合がより強固になる。
更に本発明のランプは、緩衝層を電極芯棒の表層のみに有する。
このような構造を有することで、熱膨張差による金属体への応力集中によって、金属体が破損することを防止できる。
更に本発明のランプは、有底円筒状凹部の内周面はネジ状凹部を有し、少なくとも一つの凹部に金属体が充填される。
このような構造を有することで、電極が電極軸方向先端側にずれることを抑制することができる。
更に本発明のランプは、有底円筒状凹部の内部の電極芯棒の外周面に、ネジ状凹部と金属体を介して嵌合する凸部を備える。
このような構造を有することで、緩衝層を介した電極芯棒と金属体の接合面積が増加し、電極芯棒と金属体の接合を強固にできる。また、電極と金属体と電極芯棒とがそれぞれ嵌合することで、それぞれが電極軸方向にずれることを抑制できる。
更に本発明のランプは、有底円筒状凹部の底面と電極芯棒の電極先端側端面との間に緩衝空間を備える。
このような構造を有することで、熱膨張差による軸方向の応力が有底円筒状凹部の底面に加わらなくなり、電極3が電極軸方向先端側にずれることを抑制できる。
電極と電極芯棒の間に金属体を設けて熱伝導を抑制するランプにおいて、金属体と、電極および電極芯棒とが良好な接合状態となるランプを提供することができる。
本発明の第1の実施形態について、図2を用いて説明する。
図2は、第1の実施形態の構成を示す電極の軸方向概略断面図である。
図2は、第1の実施形態の構成を示す電極の軸方向概略断面図である。
電極3は、電極後端面(封止管側端面)31に、電極先端方向であって電極3と同軸である有底円筒状凹部32を有し、有底円筒状凹部32の内周面には深さ方向を電極径方向として、有底円筒状凹部32内周面の周方向に沿って配設されたネジ状の凹部33を有する。有底円筒状凹部32の内側には、電極3と同軸の電極芯棒4の片側端部を挿入する。有底円筒状凹部32に挿入された電極芯棒4の片側端部(芯棒挿入部411)の外周面と有底円筒状凹部32の内周面との間には、電極3より熱伝導率の低い金属体61が凹部33に充填されるように介在する。金属体61と接する芯棒挿入部411の表層には、電極芯棒4の物質と金属体61の物質とが混在する緩衝層71を有し、緩衝層71は金属体61側から芯棒挿入部411側に向けて金属体61の物質の密度が連続的に減少するように傾斜化している。
金属体61は発光管1の内部に電極3とともに配置されることから、金属体61の物質は、タングステンまたはモリブデンで構成される電極3より熱伝導率が低いことに加えて、融点が少なくとも1500℃以上の金属であり、かつ、例えば発光管1と化学反応を起こさない等のランプに悪影響を与えない金属であることが必要である。更に電極の温度が急激に変動することで熱膨張差による段継ガラス5に破損や変形が生じやすいランプの点滅において、電極芯棒4に急激な温度変化を生じさせないためには、金属体61の熱伝導率は電極3の熱伝導率の4分の1以下であることが望ましい。これらの条件を考慮すると、金属体61の物質はチタンもしくはジルコニウムが最適である。
このような構成においては、ランプの点灯によって金属体61と芯棒挿入部411とが加熱されると、金属体61と芯棒挿入部411との間で熱膨張差が生じる。芯棒挿入部411の表層の緩衝層71は、芯棒挿入部411の物質と金属体61の物質とが混在するので、熱膨張率は金属体61より小さく、芯棒挿入部411より大きい値になる。緩衝層71の金属体61側から芯棒挿入部411側にかけての熱膨張率は、金属体の物質の密度が連続的に減少するので、金属体61側端面が金属体61の熱膨張率に最も近く、芯棒挿入部411側に向けて連続的、段階的に芯棒挿入部411の熱膨張率に近づくように変化する。これにより、従来と比較して金属体61から芯棒挿入部411にかけて急激な熱膨張差が生じなくなり、ランプの点灯に関わらず金属体物質61と芯棒挿入部411との接合が強固になる。
金属体61によって電極3から芯棒挿入部411への熱伝導が抑制されるため、有底円筒状凹部32の内面表層は芯棒挿入部411の表層と比較してより高温となり、電極3と金属体61との熱膨張差が顕著になる。そのため、有底円筒状凹部32の内面表層に緩衝層を設けても過度な熱膨張差が生じ、緩衝層が破損する恐れがある。更に、熱膨張差による応力が金属体61に集中することにより、金属体61が破損する恐れもある。これらのことから、有底円筒状凹部32の内面表層には緩衝層を有さないことが望ましい。このような場合であっても、金属体61が凹部33に充填されることで、金属体61と電極3が嵌合するので、電極3が電極軸方向先端側にずれることを防止できる。
第1の実施形態の作製方法の一例を説明する。電極3は、機械加工によって、封止管側端面31に有底円筒状凹部32を設け、その有底円筒状凹部32の内周面には電極径方向の凹部33を設ける。芯棒挿入部411を有底円筒状凹部32に挿入し、芯棒挿入部411と有底円筒状凹部32との間の空間に、粉末状の金属体61の物質を適量入れる。これらを、高周波誘導加熱を用いて金属体61の物質の融点以上の温度に加熱することで、粉末状の金属体61の物質が一体化し、金属体61が形成する。更に芯棒挿入部411の直径や、金属体の特性や厚さの応じた加熱方法により、金属体61と芯棒挿入部411の熱膨張差や金属体61の熱拡散を利用して、金属体61と接する芯棒挿入部411の表層に緩衝層71を形成することができる。更に、この加熱の温度および時間を調整することで、金属体61の熱拡散を制御し、緩衝層71を傾斜化させることもできる。このように高周波誘導加熱を用いた加熱では、表皮効果によって電極3と電極芯棒4とに温度差が生じる。さらに、熱伝導率が小さい金属体61が介在することで、この温度差はより顕著になる。その結果、芯棒挿入部411の表層と、有底円筒状凹部32の内面表層とに同時に緩衝層が生じることが無く、意図的に芯棒挿入部411の表層に緩衝層71を形成することができる。なお、電気炉等の炉によって、電極および電極芯棒を均一に加熱することで、有底円筒状凹部32の内面表層に緩衝層を設けても良い。
更に図3を参照して、第2の実施形態を説明する。
図3は、第2の実施形態の構成を示す電極の軸方向概略断面図である。
図3は、第2の実施形態の構成を示す電極の軸方向概略断面図である。
電極3は、電極後端面31に電極先端方向であって電極3と同軸である有底円筒状凹部32を有し、有底円筒状凹部32の内周面には深さ方向を電極径方向として、有底円筒状凹部32内周面の周方向に沿って配設されたネジ状の凹部33を有する。有底円筒状凹部32の内側には、電極3と同軸に電極芯棒4の片側端部(芯棒挿入部412)を有し、有底円筒状凹部32と芯棒挿入部412の間には、電極3より熱伝導率の低い金属体62が凹部33を充填するように介在する。芯棒挿入部412の外周面には、高さ方向を電極径方向として、芯棒挿入部412の周方向に沿った凸部42を凹部33と対向する位置に有し、凸部42は金属体62を介して凹部32と嵌合している。金属体62と接する芯棒挿入部412の表層には、電極芯棒4の物質と金属体62の物質とが混在する緩衝層72を有し、緩衝層72は金属体62側から芯棒挿入部412側に向けて金属体62の物質の密度が連続的に減少するように傾斜化している。凸部42を有することにより緩衝層72の面積が広くなり、芯棒挿入部412と金属体62との接合が強固になるとともに、金属体62と芯棒挿入部412とが嵌合することで、金属体62が電極芯棒4に対して電極軸方向電極側にずれることを抑制できる。
図4を参照して、第3の実施形態を説明する。
図4は、第3の実施形態の構成を示す電極の軸方向概略断面図である。
図4は、第3の実施形態の構成を示す電極の軸方向概略断面図である。
第3の実施形態では、図4に示すように、金属体62は、少なくとも一つの凹部33に充填され、電極3と芯棒挿入部412は金属部62のみを介して接続する。有底円筒状凹部32の底面34と金属体62との間に緩衝空間8を有する。
緩衝空間8によって、有底円筒状凹部32の底面34と金属体62が接触しないため、熱膨張差による軸方向の応力が有底円筒状凹部32の底面34に加わらないので、電極3が電極軸方向先端側に移動することを抑制できる。さらに、電極3の先端面に近い有底円筒状凹部32の底面34から、金属体62を介して芯棒挿入部412に熱が伝わり難くなり、電極芯棒4が加熱されることを抑制することができる。なお、金属体62および緩衝層72を有さずに緩衝空間8を有しても良い。
第3の実施形態の緩衝空間8の作製方法の一例を説明する。第1の実施形態と同様に、芯棒挿入部412を有底円筒状凹部32に挿入し、芯棒挿入部412と有底円筒状凹部32との間の空間に、粉末状の金属体62の物質を適量入れる。そして、電極3が上方、電極芯棒4が下方になるように固定して、金属体62の物質の融点以上の温度に加熱することで、有底円筒状凹部32の底面34側に空間(緩衝空間8)を生じさせることができる。
1:発光管
2:封止管
3:電極
31:電極後端面(封止管側端面)
32:有底円筒状凹部
33:有底円筒状凹部32内周面の凹部
34:有底円筒状凹部32の底面
4:電極芯棒
411,412:芯棒挿入部
42:芯棒挿入部412の外周面の凸部
5:段継ガラス
6,61,62:金属体
71,72:緩衝層
8:緩衝空間
2:封止管
3:電極
31:電極後端面(封止管側端面)
32:有底円筒状凹部
33:有底円筒状凹部32内周面の凹部
34:有底円筒状凹部32の底面
4:電極芯棒
411,412:芯棒挿入部
42:芯棒挿入部412の外周面の凸部
5:段継ガラス
6,61,62:金属体
71,72:緩衝層
8:緩衝空間
Claims (6)
- 発光管内に配設された電極と、
前記電極を支持する電極芯棒とを有し、
前記電極は電極後端面に前記電極と同軸の有底円筒状凹部を備え、
前記有底円筒状凹部に前記電極芯棒の一端を挿入する放電ランプにおいて、
前記電極と前記電極芯棒との間の少なくとも一部分には前記電極より熱伝導率の低い金属体が介在し、
前記金属体と接する前記電極芯棒の表層の少なくとも一部分には、
前記金属体の物質と前記電極芯棒の物質とが混在する緩衝層を有する
ことを特徴とする放電ランプ。 - 請求項1に記載の放電ランプにおいて、
前記緩衝層の前記金属体物質の密度が、
前記金属体側から前記電極芯棒側に向けて
連続的に減少するように傾斜化する
ことを特徴とする放電ランプ。 - 請求項1または2に記載の放電ランプにおいて、
前記緩衝層を前記金属体と接する前記電極芯棒の表層のみに有する
ことを特徴とする放電ランプ。 - 請求項3に記載の放電ランプにおいて、
前記有底円筒状凹部の内周面はネジ状凹部を有し、
少なくとも一つの凹部に前記金属体が充填される
ことを特徴とする放電ランプ。 - 請求項4に記載の放電ランプにおいて、
前記有底円筒状凹部内部の前記電極芯棒の外周面には、
前記金属体を介して前記ネジ状凹部と嵌合する凸部を有する
ことを特徴とする放電ランプ。 - 請求項5に記載の放電ランプにおいて、
前記有底円筒状凹部の底面と前記電極芯棒の電極先端側端面との間に緩衝空間を有する
ことを特徴とする放電ランプ。
Priority Applications (2)
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Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015046659A JP2016167399A (ja) | 2015-03-10 | 2015-03-10 | 放電ランプ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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Family Applications (1)
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JP2015046659A Pending JP2016167399A (ja) | 2015-03-10 | 2015-03-10 | 放電ランプ |
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CN (1) | CN105977130A (ja) |
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CN113410121A (zh) * | 2021-06-18 | 2021-09-17 | 常州玉宇电光器件有限公司 | 一种新型结构电极及制造工艺 |
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- 2015-03-10 JP JP2015046659A patent/JP2016167399A/ja active Pending
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- 2016-03-08 CN CN201610130156.0A patent/CN105977130A/zh active Pending
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