JP2016167352A - リチウムイオン二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】高温下において優れた充放電サイクル特性を発揮し、高温貯蔵特性、過充電特性に優れたリチウムイオン二次電池を提供する。
【解決手段】 リチウムイオン二次電池において、正極は、正極活物質として、Coおよび/またはMnを含むリチウム含有酸化物を含有し、負極は、負極活物質として、平均粒子径が15μmを超え25μm以下の人造黒鉛Aと、平均粒子径が8μm以上15μm以下であり、かつ黒鉛粒子の表面が非晶質炭素で被覆されている黒鉛Bと、SiとSnからなる群から選ばれる少なくとも一つの元素を含む材料Sとを含有し、負極中に含まれる全負極活物質の合計を100質量%とした場合、負極活物質として含まれる人造黒鉛Aおよび黒鉛Bの混合質量%(A+B)が40%以上99%以下であり、黒鉛Bに対する人造黒鉛Aの質量比率(A/B)が0.5以上4.5以下であり、非水電解液は、LiBFを0.05〜2.5質量%、ニトリル化合物を0.05〜5.0質量%、およびLiPFを含むことを特徴とする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、高温状態においても優れた充放電サイクル特性、貯蔵特性を有し、過充電特性に優れたリチウムイオン二次電池に関するものである。
電気化学素子の1種であるリチウムイオン二次電池は、エネルギー密度が高いという特徴から、携帯機器、自動車、電動工具、電動椅子や家庭用、業務用の電力貯蔵システムへの適用が検討されている。特に携帯機器としては、携帯電話やスマートフォン、またはタブレット型PCなどの電源として広く用いられている。
そして、リチウムイオン二次電池には、その適用機器の広がりなどに伴って、高容量化と共に各種の電池特性を向上させることが求められている。特に二次電池であるため、充放電サイクル特性の向上は強く求められている。
通常、リチウムイオン二次電池の負極活物質には、Liイオンを挿入および脱離可能な、炭素材料が用いられている。特に天然または人造の黒鉛は高容量で充放電サイクル特性に優れるため広く適用されている。
天然または人造の黒鉛を負極活物質として用いた場合において、さらに充放電サイクル特性を向上させる目的で、SiもしくはSn、またはこれらの元素を含む材料からなる添加剤を、前記負極活物質に加える手法が提案されている(特許文献1)。
また、負極合剤層を低密度(1.4g/cm以下)とし、15μm以上20μm以下の人造黒鉛と10μm以下のピッチコート黒鉛と、炭素被覆SiOをそれぞれ負極活物質として用い、高容量化と大電流特性向上を実現することが提案されている。(特許文献2)
一方、特許文献3では、正極活物質として特定の金属元素を含有するリチウム含有遷移金属酸化物を有しており、非水電解質が、分子内にニトリル基を2以上有する化合物を含有していることを特徴とし、高容量で、充放電サイクル特性および貯蔵特性に優れた非水二次電池を開示している。
また特許文献4では、特定の電解液添加剤を含む非水電解液を用いることで放電レート特性及び高温保存特性に優れた非水電解質二次電池を開示している。
しかしながら、特許文献1〜4では高温サイクル特性については言及されておらず、また、特許文献3については、ニトリル系化合物が正極に与える効果について言及しているが、特許文献2、3共に本願のように負極とニトリルの作用については言及されていない。更に充電上限電圧の高電圧化により、各特性には未だ改善の余地がある。
特開2012−084426号公報 特許第5302456号公報 特開2008−108586号公報 特開2007−053083号公報
前記黒鉛を負極活物質とするリチウムイオン二次電池における問題点としては、例えば、繰り返し充放電を続けたり、異常状態で電池が過充電状態になったりすると負極表面にLi金属がデンドライトとして析出することが挙げられる。このLiデンドライトは、セパレータを突き破って短絡を引き起こしたり、非水電解質と反応してガス発生の要因になったりすることがある。そのため、このようなLiデンドライトの発生を抑制して、電池の充放電サイクル特性を高める技術の開発が求められる。
また、リチウムイオン二次電池においては、正極活物質にLiCoOやLiMnなどのリチウム含有複合酸化物が一般に使用されているが、例えば電池が充電状態で高温下に置かれた際に、これらの正極活物質からCoやMnなどの金属が溶出して負極表面に析出して電池特性を劣化させるという問題があり、これを回避する技術の開発も求められる。本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、充放電サイクル特性(高温、低温)および高温貯蔵特性に優れ、また、過充電時の安全性にも優れたリチウムイオン二次電池を提供することにある。
本発明は、正極、負極およびセパレータより構成される電極体と、非水電解液とが、外装体内に収容されてなるリチウムイオン二次電池において、前記正極は、正極活物質として、Coおよび/またはMnを含むリチウム含有酸化物を含有し、前記負極は、負極活物質として、平均粒子径が15μmを超え25μm以下の人造黒鉛Aと、平均粒子径が8μm以上15μm以下であり、かつ黒鉛粒子の表面が非晶質炭素で被覆されている黒鉛Bと、SiとSnからなる群から選ばれる少なくとも一つの元素を含む材料Sとを含有し、前記負極中に、含まれる全負極活物質の合計を100質量%とした場合、前記負極活物質として含まれる人造黒鉛Aおよび黒鉛Bの混合質量%(A+B)が40%以上99%以下であり、黒鉛Bに対する人造黒鉛Aの質量比率(A/B)が0.5以上4.5以下であり、前記非水電解液は、ホウフッ化リチウム(LiBF)を0.05〜2.5質量%、シアノ基を二つ以上含むニトリル化合物を0.05〜5.0質量%、およびLiPFを含むリチウムイオン二次電池である。
本発明によれば、高温および低温下において優れた充放電サイクル特性を発揮し、高温貯蔵特性、過充電特性に優れたリチウムイオン二次電池を提供することができる。
本発明のリチウムイオン二次電池の一例を模式的に表す部分縦断面図である。 図1の斜視図である。
本発明のリチウムイオン二次電池に係る負極には、負極活物質やバインダなどを含有する負極合剤層を、集電体の片面または両面に有する構造のものが使用される。
本発明における負極活物質は、平均粒子径が15μmを超え25μm以下の人造黒鉛Aと、平均粒子径が8μm以上15μm以下であり、かつ黒鉛からなる母粒子と、その黒鉛粒子の表面が非晶質炭素で被覆されている黒鉛Bと、SiとSnからなる群から選ばれる少なくとも一つの元素を含む材料Sを含有している。さらに非水電解液には、ホウフッ化リチウム(LiBF)およびシアノ基を二つ以上含むニトリル化合物を含有する。充電時にLiイオンは、まず材料Sへ吸蔵され、次第に黒鉛材料側へ吸蔵されていく。その後黒鉛材料側で受け入れきれなかった過剰なLiイオンが発生すると、再び材料SがLiイオンを受け入れて負極表面でのLiデンドライトの析出を抑え得るため、電池の充放電サイクル特性や過充電特性を高めることができる。
また、LiBFは負極上に被膜を形成するが、負極活物質として黒鉛のみを使用する場合とは異なる被膜が形成され、これにより黒鉛のみを使用する場合と比べて、貯蔵特性、高温サイクル特性、過充電特性が向上することが本発明者らの検討により明らかとなった。理由は定かではないが、以下のように推測される。負極表面の被膜が不均一になって局所的に抵抗が下がるとその部分に過剰なLiイオンが集中するためLiデンドライトが析出しやすくなるが、LiBFによる負極上の被膜は、従来と比べて界面抵抗が低く均一な被膜となり、Liデンドライトの発生を更に抑制することが出来ると考えられる。更にLiBFとシアノ基を二つ以上含むニトリル化合物とを併用することで、負極上の被膜の熱安定性を向上させることが出来る。
詳細は後述するが、正極では非水電解液中のLiBFとシアノ基を二つ以上含むニトリル化合物が正極上に被膜を生成し、正極活物質からのCoやMnといった金属の溶出を抑制するが、抑制しきれなかったCoやMnは、前記炭素質材料へ選択的に移動し、これが結果的に炭素質材料による溶出金属をトラップすることになり、負極の劣化を抑えて電池の高温貯蔵特性を高めることができる。
人造黒鉛Aは、黒鉛B以外の人造黒鉛である。本発明でいう人造黒鉛とは、たとえば、コークスあるいは有機物を2800℃以上で焼成したもの、または天然黒鉛と前記コークスあるいは有機物とを混合し、2800℃以上で熱処理を施したもの、さらにはコークスあるいは有機物を2800℃以上で焼成したものを前記天然黒鉛の表面に被覆させたものなどがあげられ、アルゴンイオンレーザーラマンスペクトルにおける1570〜1590cm−1に現れるピーク強度に対する1340〜1370cm−1に現れるピーク強度比であるR値が0.05〜0.2となる人造黒鉛を使用出来る。また、平均粒子径が前述の範囲にあれば、前記人造黒鉛Aには2種以上の人造黒鉛を併用しても構わない。
黒鉛Bは、母粒子となる黒鉛粒子と、その表面を被覆する非晶質炭素とで構成されている。具体的には、アルゴンイオンレーザーラマンスペクトルにおける1570〜1590cm−1に現れるピーク強度に対する1340〜1370cm−1に現れるピーク強度比であるR値が0.1〜0.7となる黒鉛である。R値は、非晶質炭素の十分な被覆量を確保するため、0.3以上がより好ましい。また、R値は、非晶質炭素の被覆量が多すぎると不可逆容量が増大するので、0.6以下が好ましい。このような黒鉛Bは、例えばd002が0.338nm以下である天然黒鉛または人造黒鉛を球状に賦形した黒鉛を母材(母粒子)とし、その表面を有機化合物で被覆し、800〜1500℃で焼成した後、解砕し、篩を通して整粒することによって得ることができる。なお、前記母材を被覆する有機化合物としては、芳香族炭化水素;芳香族炭化水素を加熱加圧下で重縮合して得られるタールまたはピッチ類;芳香族炭化水素の混合物を主成分とするタール、ピッチまたはアスファルト類;などが挙げられる。前記母材を前記有機化合物で被覆するには、前記有機化合物に前記母材を含浸・混捏する方法が採用できる。また、プロパンやアセチレンなどの炭化水素ガスを熱分解により炭素化し、これをd002が0.338nm以下の黒鉛の表面に堆積させる気相法によっても、黒鉛Bを作製することができる。
人造黒鉛Aは平均粒子径が25μm以下であり、黒鉛Bは平均粒子径が15μm以下である。このようなサイズの人造黒鉛Aと黒鉛Bとを併用することで、負極(負極合剤層)内への非水電解液の浸透性が向上する。その理由は定かではないが、人造黒鉛Aと、前記のように比較的小さく、かつ表面に非晶質炭素を有する黒鉛Bとを併用すると、負極の製造時にプレス処理をすることで、負極合剤層中に形成される空孔の大きさが均一化されるので、非水電解液が浸透しやすくなると推測される。人造黒鉛Aと、前記のように比較的粒径が小さい黒鉛Bとを使用することで、非水電解液の浸透性が向上し負極活物質全体へ非水電解液が行渡り、負極活物質表面に安定した被膜がより形成しやすくなり、さらにリチウムイオン受容性も高まるので、リチウムイオン二次電池の充放電サイクル特性を向上させることができる。
なお、人造黒鉛Aは、粒径が小さすぎると、比表面積が過度に高まる(不可逆容量が増大する)ことから、その粒径が、あまり小さくないことが好ましい。よって、本発明では、人造黒鉛Aとして、平均粒子径が15μm超のものを使用する。また、黒鉛Bも、粒径が小さすぎると、表面を被覆する非晶質炭素の被覆量などがばらつき、黒鉛Bの特長が十分に発揮できなくなるなどの理由があることから、その粒径が、あまり小さくないことが好ましい。よって、本発明では、黒鉛Bとして、平均粒子径が8μm以上のものを使用する。
本明細書でいう黒鉛(人造黒鉛A、黒鉛B、およびこれら以外の黒鉛)の平均粒子径は、例えば、レーザー散乱粒度分布計(例えば、日機装株式会社製マイクロトラック粒度分布測定装置「HRA9320」)を用い、黒鉛を溶解したり膨潤したりしない媒体に、黒鉛を分散させて測定した粒度分布の小さい粒子から積分体積を求める場合の体積基準の積算分率における50%径の値(D50%)メディアン径である。
人造黒鉛Aおよび黒鉛Bの比表面積(BET法による。装置例は日本ベル社製「ベルソープミニ」など。)は、1.0m/g以上であることが好ましく、また、5.0m/g以下であることが好ましい。
また、人造黒鉛Aおよび黒鉛Bの結晶構造におけるc軸方向の結晶子の大きさ:Lcは、3nm以上であることが好ましく、8nm以上であることがより好ましく、25nm以上であることが更に好ましい。この範囲であればリチウムイオンの吸蔵・脱離がより容易になるからである。黒鉛のLcの上限値は特に限定されないが、通常200nm程度である。
また、負極活物質には、人造黒鉛Aおよび黒鉛B以外の負極活物質(例えば、人造黒鉛Aと同種のもので、平均粒子径が15μm未満であるか、または25μmを超える黒鉛のように、人造黒鉛Aおよび黒鉛Bに該当しない黒鉛など)を、人造黒鉛Aおよび黒鉛Bと共に使用することもできる。
本発明の負極が含有する全負極活物質中における人造黒鉛Aおよび黒鉛Bの合計含有量は、40質量%以上99質量%以下である。40質量%以上とすることで、前述した本発明の効果を良好に確保することができる。また、本発明の負極活物質中にはSiとSnからなる群から選ばれる少なくとも一つの元素を含む材料Sとを含有しているので、99質量%以下となる。
電池における非水電解液の注入性、高温下での充放電サイクル特性および低温下での充電特性をより高める観点から、負極が含有する全負極活物質中における黒鉛Bに対する人造黒鉛Aの含有割合(A/B)が、0.5以上4.5以下である。黒鉛の表面に非晶質炭素を被覆した黒鉛Bは、Liイオンの充電受け入れ性(特に低温下における)が高く、4.5以下とすることで、十分な高温下での充放電サイクル特性および低温下での充電特性を確保することができる。また、黒鉛Bの含有量が高すぎると逆に充放電サイクル特性が低下することから、0.5以上とすることが望ましい。
材料Sとしては、SiまたはSnの単体、SiまたはSnを含む合金、SiまたはSnを含む酸化物などが挙げられ、これらの1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのなかでも、SiとOとを構成元素に含む材料(ただし、Siに対するOの原子比は、0.5≦x≦1.5である。以下、当該材料を「SiO」という)が好ましいものとして挙げられる。
材料Sの平均粒子径は、小さすぎると材料Sの分散性が低下して本発明の効果が十分に得られなくなる恐れがあること、材料Sは電池の充放電に伴う体積変化が大きいため、平均粒子径が大きすぎると膨張・収縮による材料Sの崩壊が生じやすくなる(この現象は材料Sの容量劣化につながる)ことから、0.1μm以上10μm以下とすることが好ましい。
SiOは、1000mAh/g以上の容量を示し、黒鉛の理論容量と言われる370mAh/gを大幅に上回ることが特徴である。一方、一般的な黒鉛の充放電効率(90%以上)と比較し、SiOでは初回の充放電効率が80%を下回るものが多く、不可逆容量が増えるためサイクル特性に問題があった。そこで、前述したホウフッ化リチウム(LiBF)およびシアノ基を二つ以上含むニトリル化合物を含んだ非水電解液を用いて負極活物質に安定した被膜を形成し、さらに平均粒子径が15μmを超え25μm以下の人造黒鉛Aと、平均粒子径が8μm以上15μm以下であり、かつ黒鉛からなる母粒子と、その黒鉛粒子の表面が非晶質炭素で被覆されている黒鉛Bと併用することで前記非水電解液の浸透性を高め、より安定した被膜を形成させることで、SiOを加えても高い充放電効率を確保することができ、電池の充放電サイクル特性も改善される。
SiOは、Siの微結晶または非晶質相を含んでいてもよく、この場合、SiとOの原子比は、Siの微結晶または非晶質相のSiを含めた比率となる。すなわち、SiOには、非晶質のSiOマトリックス中にSi(例えば、微結晶Si)が分散した構造のものが含まれ、この非晶質のSiOと、その中に分散しているSiを合わせて、前記の原子比xが0.5≦x≦1.5を満足していればよい。例えば、非晶質のSiOマトリックス中にSiが分散した構造で、SiOとSiのモル比が1:1の材料の場合、x=1であるので、構造式としてはSiOで表記される。このような構造の材料の場合、例えば、X線回折分析では、Si(微結晶Si)の存在に起因するピークが観察されない場合もあるが、透過型電子顕微鏡で観察すると、微細なSiの存在が確認できる。
なお、SiOは導電性が低いことから、例えば、SiOの表面を炭素で被覆して用いてもよく、これにより負極における導電ネットワークを、より良好に形成することができる。
SiOの表面を被覆するための炭素には、例えば、低結晶性炭素、カーボンナノチューブ、気相成長炭素繊維などを使用することができる。
なお、炭化水素系ガスを気相中で加熱し、炭化水素系ガスの熱分解により生じた炭素を、SiO粒子の表面上に堆積する方法[気相成長(CVD)法]で、SiOの表面を炭素で被覆すると、炭化水素系ガスがSiO粒子の隅々にまで行き渡り、粒子の表面や表面の空孔内に、導電性を有する炭素を含む薄くて均一な皮膜(炭素被覆層)を形成できることから、少量の炭素によってSiO粒子に均一性よく導電性を付与できる。
CVD法で使用する炭化水素系ガスの液体ソースとしては、トルエン、ベンゼン、キシレン、メシチレンなどを用いることができるが、取り扱いやすいトルエンが特に好ましい。これらを気化させる(例えば、窒素ガスでバブリングする)ことにより炭化水素系ガスを得ることができる。また、メタンガスやエチレンガス、アセチレンガスなどを用いることもできる。
CVD法の処理温度としては、例えば、600〜1200℃であることが好ましい。また、CVD法に供するSiOは、公知の手法で造粒した造粒体(複合粒子)であることが好ましい。
SiOの表面を炭素で被覆する場合、炭素の量は、SiO:100質量部に対して、5質量部以上であることが好ましく、10質量部以上であることがより好ましく、また、95質量部以下であることが好ましく、90質量部以下であることがより好ましい。
負極合剤層中の、全負極活物質に対する材料Sの含有比率は、材料Sの割合を、1質量%以上とし、2.5質量%以上とすることが好ましい。全負極活物質に対する材料Sの含有比率をこのような比率で使用することで、前記材料Sの使用による前記の効果を良好に確保することができるとともに、電池の高容量化が可能となる。
なお、材料Sは電池の充放電に伴う体積変化が大きいため、本発明の電池では、負極合剤層中の前記炭素材料と前記材料Sとの合計を100質量%としたとき、材料Sの割合は10質量%以下であり、好ましくは3.5質量%未満である。これにより材料Sの体積変化に伴う電池特性の低下などを抑制しつつ、前述の効果を得ることが出来る。
負極合剤層に係るバインダとしては、例えば、負極の使用電位範囲において、Liに対して電気化学的に不活性であり、他の物質にできるだけ影響を及ぼさない材料が選択される。具体的には、例えば、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース、ポリイミド、ポリアミドイミドなどが好適なものとして挙げられる。これらのバインダは1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、負極合剤層には、導電助剤として、アセチレンブラックなどの各種カーボンブラックやカーボンナノチューブ、炭素繊維などを添加してもよい。
負極は、例えば、負極活物質およびバインダ、更には必要に応じて導電助剤を、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)や水などの溶剤に分散させた負極合剤含有組成物を調製し(ただし、バインダは溶剤に溶解していてもよい)、これを集電体の片面または両面に塗布し、乾燥した後に、必要に応じてカレンダー処理を施す工程を経て製造される。ただし、負極の製造方法は、前記の方法に制限される訳ではなく、他の製造方法で製造してもよい。
負極合剤層の厚みは、集電体の片面あたり10〜100μmであることが好ましく、負極合剤層の密度(集電体に積層した単位面積あたりの負極合剤層の質量と、厚みから算出される)は、電池の高容量化を図る意味で1.5g/cm以上とすることが望ましく、さらに好ましくは1.6g/cm以上である。また、負極合剤層の密度が高すぎると非水電解液の浸透性が低下するなどの悪影響が生じるので、1.9g/cm以下とすることが望ましい。また、負極合剤層の組成としては、例えば、負極活物質の量が80〜99質量%であることが好ましく、バインダの量が0.5〜10質量%であることが好ましく、導電助剤を使用する場合には、その量が1〜10質量%であることが好ましい。
負極の集電体としては、銅製やニッケル製の箔、パンチングメタル、網、エキスパンドメタルなどを用い得るが、通常、銅箔が用いられる。この負極集電体は、高エネルギー密度の電池を得るために負極全体の厚みを薄くする場合、厚みの上限は30μmであることが好ましく、機械的強度を確保するために下限は5μmであることが望ましい。
本発明の非水電解液中には、ホウフッ化リチウム(LiBF)およびシアノ基を二つ以上含むニトリル化合物を含有する。
高温下において、正極活物質中のCoやMnが溶出する原因として、電解質中のLiPFが分解してフッ化水素(HF)が発生し、このHFが正極活物質の結晶構造を破壊してCo,Mnの溶出が起こっていることが考えられる。LiBFおよびニトリル化合物といった、正極上に高温下においても安定性の高い被膜を作る化合物を非水電解質中に含有することで、HFと正極活物質とが反応するのを抑制し、CoやMnの溶出自体を抑制することが出来、高温サイクル特性や高温貯蔵特性を向上させることが出来る。
前述の負極の構成と合わせて非水電解液についてもこのような構成を採用することで相互に作用し、充放電サイクル特性および高温貯蔵特性に優れ、また、過充電時の安全性にも優れたリチウムイオン二次電池とすることが出来る。
LiBFはLiPFよりも高温下における安定性が高く、LiBF自身の分解によりHFの発生量が増加することはない。また、LiBFは低分子量のため、同じ効果を引き出すための添加量が他の添加剤に比べ少ない量で効果を発現することができる。また、LiBFは無機質の緻密な負極皮膜を形成するため、皮膜そのものが低抵抗となり、負荷特性が上昇を抑制することが出来る。更に、高温貯蔵時のガス発生に寄与しない。
前記シアノ基を二つ以上含むニトリル化合物は、例えば、マロノニトリル、スクシノニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、1,4−ジシアノヘプタン、1,5−ジシアノペンタン、1,6−ジシアノヘキサン、1,7−ジシアノヘプタン、2,6−ジシアノヘプタン、1,8−ジシアノオクタン、2,7−ジシアノオクタン、1,9−ジシアノノナン、2,8−ジシアノノナン、1,10−ジシアノデカン、1,6−ジシアノデカン、2,4−ジメチルグルタロニトリルなどがある。
中でも特に、特に一般式(1)で示される化合物とすることが望ましい。
NC−(CH−CN (1)
〔前記一般式(1)中、nは2〜4の整数である。〕
これらの化合物は正極上に高温・高電圧下においても安定性の高い被膜を作ることが出来る。これにより、HFによって正極活物質の結晶構造を破壊されるのを抑制することが出来て、CoやMnの溶出を抑制することが可能になる。中でもアジポニトリル、スクシノニトリルは高温化での安定性が高く、汎用的で好ましい。
前述の効果を得るためには、LiBFの非水電解液中の含有量は0.05質量%以上であり、0.1質量%以上がより好ましい。また、2.5質量%以下であり、0.5質量%以下がより好ましい。
シアノ基を二つ以上含むニトリル化合物の非水電解液中の含有量は0.05質量%以上であり、0.1質量%以上がより好ましい。また、5質量%以下であり、2質量%以下がより好ましい。
本発明では、非水電解液に係るリチウム塩としては、LiPFを含む。LiPFは、解離度が高く、Liイオンの輸送率が高い、最も汎用性の高いリチウム塩である。LiPF以外に、LiClO、LiSbF、LiCFSO、LiCFCO、Li(SO、LiC(CFSO、LiC2n+1SO3(n≧2)、などの他のリチウム塩を本願発明の効果を阻害しない程度に含んでいても良い。非水電解液中のリチウム塩の濃度としては、0.6〜1.8mol/lとすることが好ましく、0.9〜1.6mol/lとすることがより好ましい。
本発明の非水電解液としては、例えば、下記の非水系溶媒中に、上記のリチウム塩とLiBF、ニトリル化合物とを溶解させることで調製した溶液(非水電解液)が使用できる。
溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、メチルエチルカーボネート(MEC)、γ−ブチロラクトン(γ-
BL)、1,2−ジメトキシエタン(DME)、テトラヒドロフラン(THF)、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルフォキシド(DMSO)、1,3−ジオキソラン、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジオキソラン、アセトニトリル、ニトロメタン、蟻酸メチル、酢酸メチル、燐酸トリエステル、トリメトキシメタン、ジオキソラン誘導体、スルホラン、3−メチル−2−オキサゾリジノン、プロピレンカーボネート誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、ジエチルエーテルなどの非プロトン性有機溶媒を1種単独で、または2種以上を混合した混合溶媒として用いることができる。
本発明のリチウムイオン二次電池に使用する非水電解液には、充放電サイクル特性の更なる改善や、高温貯蔵性や過充電防止などの安全性を向上させる目的で、1,3−プロパンスルトン、1,3−ジオキサン、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン等のフッ素化カーボネート、無水酸、スルホン酸エステル、ジフェニルジスルフィド、シクロヘキシルベンゼン、ビフェニル、フルオロベンゼン、t−ブチルベンゼンなどの添加剤(これらの誘導体も含む)を適宜加えることもできる。
中でも、1,3−ジオキサンを含有していることが好ましい。これにより、リチウイオン二次電池の高温化での充放電サイクル特性を更に高めることができる。
リチウムイオン二次電池に使用する非水電解液における1,3−ジオキサンの含有量は、その使用による効果をより良好に確保する観点から、0.1質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましい。ただし、非水電解液中の1,3−ジオキサンの量が多すぎると、電池の負荷特性が低下したり、充放電サイクル特性の向上効果が小さくなったりする虞がある。よって、リチウムイオン二次電池に使用する非水電解液における1,3−ジオキサンの含有量は、5質量%以下であることが好ましく、2質量%以下であることがより好ましい。
また、ビニレンカーボネート、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンを含有すると、充放電サイクル特性を更に向上させることが出来る。これらの非水電解液中の含有量は、それぞれ0.1〜5.0質量%、0.05〜5.0質量%が好ましい。
また、非水電解液に下記一般式(2)で表わされるホスホノアセテート類化合物を含有することが好ましい。ホスホノアセテート類化合物は、LiBFと共にリチウムイオン二次電池の負極表面に皮膜を形成に寄与し、より強固な被膜を生成することで、負極活物質の劣化や非水電解液の劣化をより抑制することができる。
Figure 2016167352
[一般式(2)中、R、RおよびRは、それぞれ独立して、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜12のアルキル基、アルケニル基又はアルキニル基を示し、nは0〜6の整数を示す。]
前記一般式(2)で表わされるホスホノアセテート類化合物の具体例としては、例えば、以下のものが挙げられる。
<前記一般式(2)においてn=0である化合物>
トリメチル ホスホノフォルメート、メチル ジエチルホスホノフォルメート、メチルジプロピルホスホノフォルメート、メチル ジブチルホスホノフォルメート、トリエチル ホスホノフォルメート、エチルジメチルホスホノフォルメート、エチル ジプロピルホスホノフォルメート、エチルジブチルホスホノフォルメート、トリプロピル ホスホノフォルメート、プロピル ジメチルホスホノフォルメート、プロピルジエチルホスホノフォルメート、プロピル ジブチルホスホノフォルメート、トリブチル ホスホノフォルメート、ブチルジメチルホスホノフォルメート、ブチル ジエチルホスホノフォルメート、ブチル ジプロピルホスホノフォルメート、メチルビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスホノフォルメート、エチル ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスホノフォルメート、プロピル ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスホノフォルメート、ブチルビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスホノフォルメートなど。
<前記一般式(2)においてn=1である化合物>
トリメチル ホスホノアセテート、メチル ジエチルホスホノアセテート、メチルジプロピルホスホノアセテート、メチル ジブチルホスホノアセテート、トリエチルホスホノアセテート、エチルジメチルホスホノアセテート、エチル ジプロピルホスホノアセテート、エチルジブチルホスホノアセテート、トリプロピルホスホノアセテート、プロピル ジメチルホスホノアセテート、プロピルジエチルホスホノアセテート、プロピル ジブチルホスホノアセテート、トリブチル ホスホノアセテート、ブチルジメチルホスホノアセテート、ブチル ジエチルホスホノアセテート、ブチルジプロピルホスホノアセテート、メチル ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスホノアセテート、エチル ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスホノアセテート、プロピルビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスホノアセテート、ブチル ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスホノアセテート、アリル ジメチルホスホノアセテート、アリルジエチルホスホノアセテート、2−プロピニル ジメチルホスホノアセテート、2−プロピニル ジエチルホスホノアセテートなど。
<前記一般式(2)においてn=2である化合物>
トリメチル 3−ホスホノプロピオネート、メチル 3−(ジエチルホスホノ)プロピオネート、メチル3−(ジプロピルホスホノ)プロピオネート、メチル 3−(ジブチルホスホノ)プロピオネート、トリエチル 3−ホスホノプロピオネート、エチル3−(ジメチルホスホノ)プロピオネート、エチル 3−(ジプロピルホスホノ)プロピオネート、エチル 3−(ジブチルホスホノ)プロピオネート、トリプロピル3−ホスホノプロピオネート、プロピル 3−(ジメチルホスホノ)プロピオネート、プロピル3−(ジエチルホスホノ)プロピオネート、プロピル 3−(ジブチルホスホノ)プロピオネート、トリブチル 3−ホスホノプロピオネート、ブチル3−(ジメチルホスホノ)プロピオネート、ブチル 3−(ジエチルホスホノ)プロピオネート、ブチル 3−(ジプロピルホスホノ)プロピオネート、メチル3−(ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスホノ)プロピオネート、エチル 3−(ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスホノ)プロピオネート、プロピル 3−(ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスホノ)プロピオネート、ブチル3−(ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスホノ)プロピオネートなど。
<前記一般式(2)においてn=3である化合物>
トリメチル 4−ホスホノブチレート、メチル 4−(ジエチルホスホノ)ブチレート、メチル4−(ジプロピルホスホノ)ブチレート、メチル4−(ジブチルホスホノ)ブチレート、トリエチル4−ホスホノブチレート、エチル 4−(ジメチルホスホノ)ブチレート、エチル4−(ジプロピルホスホノ)ブチレート、エチル 4−(ジブチルホスホノ)ブチレート、トリプロピル 4−ホスホノブチレート、プロピル4−(ジメチルホスホノ)ブチレート、プロピル 4−(ジエチルホスホノ)ブチレート、プロピル ジブチルホスホノ)ブチレート、トリブチル4−ホスホノブチレート、ブチル 4−(ジメチルホスホノ)ブチレート、ブチル4−(ジエチルホスホノ)ブチレート、ブチル 4−(ジプロピルホスホノ)ブチレートなど。
ホスホノアセテート類化合物の中でも、2−プロピニルジエチルホスホノアセテート(PDEA)、エチルジエチルホスホノアセテート(EDPA)を使用することが好ましい。
本発明のリチウムイオン二次電池は、正極、負極、セパレータおよび非水電解液を備えており、かつ負極と非水電解液が前記のものであればよく、その他の構成および構造については特に制限はなく、従来から知られているリチウムイオン二次電池で採用されている構成および構造を適用することができる。
本発明のリチウムイオン二次電池に係る正極としては、少なくとも正極活物質を含むが、例えば、正極活物質を含有する正極合剤層を、集電体の片面または両面に形成したものが挙げられる。正極合剤層は、正極活物質の他に、結着剤や、必要に応じて導電助剤を含有しており、例えば、正極活物質および結着剤(更には導電助剤)などを含む混合物(正極合剤)に、適当な溶剤を加えて十分に混練して得られる正極合剤含有組成物(スラリーなど)を、集電体表面に塗布し乾燥することで、所望の厚みとしつつ形成することができる。また、正極合剤層形成後の正極には、必要に応じてプレス処理を施して、正極合剤層の厚みや密度を調節することもできる。
本発明では正極活物質として、Coおよび/またはMnを含むリチウム含有酸化物を含むことを前提としているが、これらの元素を含む従来から知られているリチウムイオン二次電池用の正極活物質を使用することが出来る。このような正極活物質の具体例としては、例えば、Li1+xMO(−0.1<x<0.1、M:Co、Ni、Mn、Al、Mgなど)で表される層状構造のリチウム含有遷移金属酸化物、LiMnやその元素の一部を他元素で置換したスピネル構造のリチウムマンガン酸化物、LiMPO(M:Co、Ni、Mn、Feなど)で表されるオリビン型化合物などが挙げられる。前記層状構造のリチウム含有遷移金属酸化物の具体例としては、LiCoOなどの他、少なくともCo、NiおよびMnを含む酸化物(LiMn1/3Ni1/3Co1/3、LiMn5/12Ni5/12Co1/6など)などを例示することができる。
特に、リチウムイオン二次電池を、その使用に先立って、通常よりも高い終止電圧で充電するような場合には、高電圧に充電された状態での正極活物質の安定性を高めるために、前記例示の各種活物質が、更に安定化元素を含んでいることが好ましい。このような安定化元素としては、例えば、Mg、Al、Ti、Zr、Mo、Snなどが挙げられる。
正極活物質には、上記のようなCoおよび/またはMnを含むリチウム含有酸化物のみを使用することができるが、Coおよび/またはMnを含むリチウム含有酸化物と他の正極活物質とを併用することもできる。
Coおよび/またはMnを含むリチウム含有酸化物と併用し得る他の正極活物質としては、例えば、LiNiOなどのリチウムニッケル酸化物;Li4/3Ti5/3などのスピネル構造のリチウム含有複合酸化物;LiFePOなどのオリビン構造のリチウム含有金属酸化物;前記の酸化物を基本組成とし各種元素で置換した酸化物;などが挙げられる。ただし、前記の効果をより良好に確保する観点からは、正極合剤層が含有する正極活物質全量中の、Coおよび/またはMnを含むリチウム含有酸化物の含有量が、50質量%以上であることが好ましい。
正極は、前記の正極活物質と導電助剤とバインダとを含む混合物(正極合剤)に、適当な溶媒(分散媒)を加えて十分に混練して得たペースト状やスラリー状の正極合剤含有組成物を、集電体に塗布し、所定の厚みおよび密度を有する正極合剤層を形成することによって得ることができる。なお、正極は、前記の製法により得られたものに限られず、他の製法で製造したものであってもよい。
正極に係るバインダとしては、負極用のものとして例示した前記の各バインダを用いることができる。また、正極に係る導電助剤についても、負極用のものとして例示した前記の各導電助剤を使用できる。
なお、前記正極に係る正極合剤層においては、正極活物質の含有量が、例えば、79.5〜99質量%であり、バインダの含有量が、例えば、0.5〜20質量%であり、導電助剤の含有量が、例えば、0.5〜20質量%であることが好ましい。
セパレータは、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体などのポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレートや共重合ポリエステルなどのポリエステル;などで構成された多孔質膜であることが好ましい。なお、セパレータは、100〜140℃において、その孔が閉塞する性質(すなわちシャットダウン機能)を有していることが好ましい。そのため、セパレータは、融点、すなわち、JIS K 7121の規定に準じて、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定される融解温度が、100〜140℃の熱可塑性樹脂を成分とするものがより好ましく、ポリエチレンを主成分とする単層の多孔質膜であるか、ポリエチレンとポリプロピレンとを2〜5層積層した積層多孔質膜などの多孔質膜を構成要素とする積層多孔質膜であることが好ましい。ポリエチレンとポリプロピレンなどのポリエチレンより融点の高い樹脂を混合または積層して用いる場合には、多孔質膜を構成する樹脂としてポリエチレンが30質量%以上であることが望ましく、50質量%以上であることがより望ましい。
このような樹脂多孔質膜としては、例えば、従来から知られている非水電解質二次電池などで使用されている前記例示の熱可塑性樹脂で構成された多孔質膜、すなわち、溶剤抽出法、乾式または湿式延伸法などにより作製されたイオン透過性の多孔質膜を用いることができる。
セパレータの平均孔径は、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.05μm以上であって、好ましくは1μm以下、より好ましくは0.5μm以下である。
また、セパレータの特性としては、JIS P 8117に準拠した方法で行われ、0.879g/mm2の圧力下で100mlの空気が膜を透過する秒数で示されるガーレー値が、10〜500secであることが望ましい。透気度が大きすぎると、イオン透過性が小さくなり、他方、小さすぎると、セパレータの強度が小さくなることがある。更に、セパレータの強度としては、直径1mmのニードルを用いた突き刺し強度で50g以上であることが望ましい。
本発明のリチウムイオン二次電池は、従来のリチウムイオン二次電池と同様に充電の上限電圧を4.2V程度として使用することもできるが、充電の上限電圧を、これよりも高い4.4V以上に設定して使用することも可能であり、これにより高容量化を図りつつ、長期にわたって繰り返し使用しても、安定して優れた特性を発揮することが可能である。なお、リチウムイオン二次電池の充電の上限電圧は、4.5V以下であることが好ましい。
本発明のリチウムイオン二次電池は、従来から知られているリチウムイオン二次電池と同様の用途に適用することができる。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に述べる。ただし、下記実施例は、本発明を制限するものではない。なお、表1に実施例で使用した黒鉛およびSiO表面を炭素材料で被覆した複合体の諸物性を示す。黒鉛A−1、A−2およびA−3は、請求項1で規定した平均粒子径が15μmを超え25μm以下の人造黒鉛Aであり、黒鉛a−1および黒鉛a−2は、請求項で規定した以外の平均粒子径である人造黒鉛である。黒鉛B−1および黒鉛B−2は、請求項1で規定した平均粒子径が8μm以上15μm以下であり、かつ黒鉛粒子の表面が非晶質炭素で被覆されている黒鉛Bであり、黒鉛b−1は請求項で規定した以外の平均粒子径である黒鉛である。黒鉛Cは、人造黒鉛Aにも黒鉛Bにも属さないその他の黒鉛である。
実施例1
<正極の作製>
LiCoO 100質量部と、バインダであるPVDFを10質量%の濃度で含むNMP溶液20質量部と、導電助剤である人造黒鉛1質量部およびケッチェンブラック1質量部とを、二軸混練機を用いて混練し、更にNMPを加えて粘度を調節して、正極合剤含有ペーストを調製した。前記正極合剤含有ペーストを、厚みが15μmのアルミニウム箔(正極集電体)の両面に塗布した後、120℃で12時間の真空乾燥を行って、アルミニウム箔の両面に正極合剤層を形成した。その後、プレス処理を行って、正極合剤層の厚さおよび密度を調節し、アルミニウム箔の露出部にアルミ製のリード体を溶接して、長さ600mm、幅54mmの帯状の正極を作製した。得られた正極における正極合剤層は、片面あたりの厚みが60μmであった。
<負極の作製>
表1に示した、黒鉛A−1(表面を非晶質炭素で被覆していない人造黒鉛):48.5質量%と、黒鉛B−1(黒鉛からなる母粒子の表面を、ピッチを炭素源とした非晶質炭素で被覆した黒鉛):48.5質量%と、SiO表面を炭素材料で被覆した複合体Si−1(平均粒径が8μm、比表面積が7.9m/gで、複合体における炭素材料の量が20質量%):3.0質量%を、V型ブレンダーで12時間混合し、負極活物質を得た。得られた負極活物質の混合物:98質量%、CMC:1.0質量%、およびSBR:1.0質量%を、イオン交換水と混合して、水系の負極合剤含有ペーストを調製した。
前記負極合剤含有ペーストを、厚みが6μmの銅箔(負極集電体)の両面に塗布した後、120℃で12時間の真空乾燥を行って、銅箔の両面に負極合剤層を形成した。その後、プレス処理を行って、負極合剤層の厚さおよび密度を調節し、銅箔の露出部にニッケル製のリード体を溶接して、長さ620mm、幅55mmの帯状の負極を作製した。得られた負極における負極合剤層の密度は1.7g/cmであった。
<非水電解液の調整>
エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとジエチルカーボネートとを体積比=1:1:1で混合した溶媒に、LiPFを1.1mol/lの濃度になるように溶解させ、この溶液に4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンを1.5質量%、ビニレンカーボネートを2.0質量%、2−プロピニル2−(ジエトキシホスホリル)アセテートを1.5質量%、1,3−ジオキサンを1.0質量%、アジポニトリルを0.5質量%、ホウフッ化リチウム(LiBF)を0.15質量%となる量で添加し、非水電解液を調整した。
<電池の組み立て>
前記帯状の正極を、厚みが16μmの微孔性ポリエチレンセパレータ(空孔率:41%)を介して前記帯状の負極に重ね、渦巻状に巻回した後、扁平状になるように加圧して扁平状巻回構造の巻回電極体とし、この電極巻回体をポリプロピレン製の絶縁テープで固定した。次に、外寸が厚さ5.0mm、幅56mm、高さ60mmのアルミニウム合金製の角形の電池ケースに前記巻回電極体を挿入し、リード体の溶接を行うとともに、アルミニウム合金製の蓋板を電池ケースの開口端部に溶接した。その後、蓋板に設けた注入口から前記非水電解液を注入し、1時間静置した後注入口を封止して、図1に示す構造で、図2に示す外観のリチウムイオン二次電池を得た。
ここで図1および図2に示す電池について説明すると、図1は部分断面図であって、この図1に示すように、正極1と負極2とはセパレータ3を介して渦巻状に巻回した後、扁平状になるように加圧して扁平状の巻回電極体6として、角形(角筒形)の電池ケース4に非水電解液と共に収容されている。ただし、図1では、煩雑化を避けるため、正極1や負極2の作製にあたって使用した集電体としての金属箔や、セパレータの各層、非水電解液などは図示していない。
電池ケース4はアルミニウム合金製で電池の外装体を構成するものであり、この電池ケース4は正極端子を兼ねている。そして、電池ケース4の底部にはPEシートからなる絶縁体5が配置され、正極1、負極2およびセパレータ3からなる扁平状巻回電極体6からは、正極1および負極2のそれぞれ一端に接続された正極リード体7と負極リード体8が引き出されている。また、電池ケース4の開口部を封口するアルミニウム合金製の封口用蓋板9にはポリプロピレン製の絶縁パッキング10を介してステンレス鋼製の端子11が取り付けられ、この端子11には絶縁体12を介してステンレス鋼製のリード板13が取り付けられている。
そして、この蓋板9は電池ケース4の開口部に挿入され、両者の接合部を溶接することによって、電池ケース4の開口部が封口され、電池内部が密閉されている。また、図1の電池では、蓋板9に非水電解液注入口14が設けられており、この非水電解液注入口14には、封止部材が挿入された状態で、例えばレーザー溶接などにより溶接封止されて、電池の密閉性が確保されている。更に、蓋板9には、電池の温度が上昇した際に内部のガスを外部に排出する機構として、開裂ベント15が設けられている。
この実施例1の電池では、正極リード体7を蓋板9に直接溶接することによって電池ケース4と蓋板9とが正極端子として機能し、負極リード体8をリード板13に溶接し、そのリード板13を介して負極リード体8と端子11とを導通させることによって端子11が負極端子として機能するようになっているが、電池ケース4の材質などによっては、その正負が逆になる場合もある。
図2は前記図1に示す電池の外観を模式的に示す斜視図であり、この図2は前記電池が角形電池であることを示すことを目的として図示されたものであって、この図2では電池を概略的に示しており、電池の構成部材のうち特定のものしか図示していない。また、図1においても、電極体の内周側の部分は断面にしていない。
(実施例2〜17)
LiBFおよびアジポニトリルの含有量を、それぞれ表2のように変更した以外は実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
(実施例18)
非水電解液に含まれるアジポニトリルの代わりに、スクシノニトリルを用いた以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
(実施例19)
非水電解液に含まれるアジポニトリルの代わりに、グルタロニトリルを用いた以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
(実施例20)
非水電解液に含まれるアジポニトリルの代わりに、ラウリロニトリルを用いた以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
(実施例21)
2−プロピニル2−(ジエトキシホスホリル)アセテートを含まない非水電解液を用いた以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
(実施例22)
1,3−ジオキサンを含まない非水電解液を用いた以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
(実施例23)
4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンを含まない非水電解液を用いた以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
(実施例24〜38)
表1に示す黒鉛およびSiO表面を炭素材料で被覆した複合体を、表3、4に示す質量比率で混合した負極活物質を用いた以外は、すべて実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
(実施例39)
複合体Si−1に代わって、SiO表面を炭素材料で被覆した複合体Si−2(平均粒径が5μm、比表面積が5.8m/gで、複合体における炭素材料の量が20質量%)を使用した以外は、実施例1と同様にして負極を作製し、この負極も用いたい以外は全て実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
(実施例40)
複合体Si−1に代わって、SiO表面を炭素材料で被覆していないSi−3(平均粒径が0.5μm、比表面積が9.5m/g)を使用した以外は、実施例1と同様にして負極を作製し、この負極を用いた以外は全て実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
(実施例41)
実施例25で用いた負極において、負極合剤層の密度を1.4g/cmとした以外はすべて実施例25と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
(実施例42)
実施例25で用いた負極において、負極合剤層の密度を1.6g/cmとした以外はすべて実施例25と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
(比較例1〜12)
表1に示す黒鉛およびSiO表面を炭素材料で被覆した複合体を、表5、6に示す質量比率で混合した負極活物質を用いたこと、LiBFおよびアジポニトリルの含有量を、それぞれ表6のように変更した以外は、すべて実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
実施例および比較例の各リチウムイオン二次電池について、下記の電池特性評価を行った。各電池の評価結果を表7〜9に示す。
<注液性試験>
各実施例および比較例について、電池の作製途中で、扁平形巻回電極体をアルミニウム製外装缶に入れ、蓋体をかぶせて溶接したのみで、非水電解液の注入および封止を行っていない状態のものを10個ずつ準備し、これらを、各電池の作製に使用したものと同じ組成の非水電解液を満たした浴中に浸漬し、90秒間真空引き(到達真空度は−98kPa)して、それぞれの非水電解液注入口から非水電解液を電池ケース内部に浸入させた。そして、真空解除後、任意の時間毎に各実施例、比較例とも1個ずつを非水電解液の浴から抜き出して、電池ケースの質量の測定から注液量を求め(注液量=抜き出し後の電池ケース質量−非水電解液浸漬前の電池ケース質量)、時間毎の注液量から、所定注液量が電池ケース内に注液される到達時間を求めた。なお、所定注液量は4.2gとした。
<初期充放電試験>
実施例および比較例のリチウムイオン二次電池を、25℃の恒温槽内に5時間静置し、その後、各電池について、4.4Vまで0.5Cの定電流で充電を行い、4.4Vに達した後は、電流が0.05Cに到達するまで4.4Vで定電圧充電を行った。この時の容量を充電容量とした。その後、0.2Cの定電流で、電圧が2.75Vに到達するまで放電を行った。この時の容量を放電容量とした。得られた放電容量を充電容量で除したものを充放電効率(%)とした。
<45℃充放電サイクル特性評価>
実施例および比較例のリチウムイオン二次電池を45℃の恒温槽内に5時間静置し、その後、各電池について、0.5Cの電流値で4.4Vまで定電流充電し、引き続いて4.4Vで定電圧充電し(定電流充電と定電圧充電との総充電時間が2.5時間)、その後に0.2Cの定電流で2.75Vで放電を行って、初回放電容量を求めた。次に、各電池について、45℃で、1Cの電流値で4.4Vまで定電流充電し、引き続いて4.4Vの定電圧で電流値が0.1Cになるまで充電した後に、1Cの電流値で3.0Vまで放電する一連の操作を1サイクルとして、これを複数回サイクルした。そして、各電池について、前記の初回放電容量測定時と同じ条件で定電流−定電圧充電および定電流放電を行って、放電容量を求めた。そして、これらの放電容量を初回放電容量で除した値を百分率で表して、45℃サイクル容量維持率を算出し、その容量維持率が40%まで低下するサイクル数を測定した。
<充電状態での高温貯蔵試験>
実施例および比較例の各リチウムイオン二次電池について、室温(23℃)環境下で1.0Cの電流値で4.4Vまで定電流充電を行い、続いて4.4Vの電圧で定電圧充電を行った。なお、定電流充電と定電圧充電の総充電時間は2.5時間とした。その後、0.2Cの電流値で2.75Vに到達するまで放電し、貯蔵前の容量(初期容量)を求めた。85℃の環境下で24時間貯蔵した後、0.2Cの電流値で2.75Vに到達するまで放電した後、1.0Cの電流値で4.4Vまで定電流充電を行い、続いて4.4Vの電圧で定電圧充電を行った。なお、定電流充電と定電圧充電の総充電時間は2.5時間とした。その後、0.2Cの電流値で2.75Vに到達するまで放電し、貯蔵後の容量(回復容量)を求めた。そして、下記式に従って、高温貯蔵後の容量回復率(%)を求めた。この容量回復率が高いほど、電池の高温貯蔵特性が優れているといえる。
高温貯蔵後の容量回復率 =(貯蔵後の回復容量/標準容量)×100
<過充電試験>
実施例および比較例の各リチウムイオン二次電池を各5個ずつ用意し、それらを1Aの電流値で充電(上限電圧:5.2V)し、充電中の電池表面での温度変化を測定した。電池表面温度が100℃を超えたものを顕著な温度上昇が認められた電池とし、その個数を調べた。
<−10℃充電における放電サイクル試験>
実施例および比較例の各リチウムイオン二次電池を、25℃の恒温槽内に5時間静置し、その後、各電池について、4.4Vまで0.2Cの定電流で充電を行い、4.4Vに達した後は、電流が0.02Cに到達するまで4.4Vで定電圧充電を行った。この時の充電容量を25℃における充電容量とした。その後、0.2Cの定電流で、電圧が2.75Vに到達するまで放電を行った。この時の放電容量を1サイクル目の放電容量とした。
前記放電後の各電池を、−10℃の恒温槽内に5時間静置し、その後、各電池について、4.4Vまで0.2Cの定電流で充電を行い、4.4Vに達した後は、電流が0.02Cに到達するまで4.4Vで定電圧充電を行った。この時の充電容量を−10℃における充電容量とした。その後、25℃の恒温槽内に5時間静置し、0.2Cの定電流で、電圧が2.75Vに到達するまで放電を行った。
以上の一連の操作(低温で静置〜室温下で放電)を1サイクルとし、20サイクル目の放電容量を1サイクル目の放電容量で除して20サイクル目の放電容量維持率(%)を求めた。各評価の結果を表7〜9に示す。











Figure 2016167352

















Figure 2016167352












Figure 2016167352























Figure 2016167352

















Figure 2016167352
Figure 2016167352










Figure 2016167352

















Figure 2016167352























Figure 2016167352
1 正極
2 負極

3 セパレータ

Claims (6)

  1. 正極、負極およびセパレータより構成される電極体と、非水電解液とが、外装体内に収容されてなるリチウムイオン二次電池であって、
    前記正極は、正極活物質として、Coおよび/またはMnを含むリチウム含有酸化物を含有し、
    前記負極は、負極活物質として、平均粒子径が15μmを超え25μm以下の人造黒鉛Aと、平均粒子径が8μm以上15μm以下であり、かつ黒鉛粒子の表面が非晶質炭素で被覆されている黒鉛Bと、SiとSnからなる群から選ばれる少なくとも一つの元素を含む材料Sとを含有し、
    前記負極中に、含まれる全負極活物質の合計を100質量%とした場合、前記負極活物質として含まれる人造黒鉛Aおよび黒鉛Bの混合質量%(A+B)が40%以上99%以下であり、黒鉛Bに対する人造黒鉛Aの質量比率(A/B)が0.5以上4.5以下であり、
    前記非水電解液は、ホウフッ化リチウム(LiBF)を0.05〜2.5質量%、シアノ基を二つ以上含むニトリル化合物を0.05〜5.0質量%、およびLiPFを含むことを特徴とするリチウムイオン二次電池。
  2. 前記負極中に、含まれる全負極活物質の合計を100質量部とした場合、前記負極活物質として含まれるSiとSnからなる群から選ばれる少なくとも一つの元素を含む材料が、1〜10質量部含まれる請求項1に記載のリチウムイオン二次電池。
  3. 前記非水電解液は下記一般式(2)で表されるホスホノアセテート類化合物を更に含有していることを特徴とする請求項1または2に記載のリチウムイオン二次電池。
    Figure 2016167352
    [一般式(2)中、R、RおよびRは、それぞれ独立して、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜12のアルキル基、アルケニル基又はアルキニル基を示し、nは0〜6の整数を示す。]
  4. 前記非水電解液は1,3−ジオキサンを更に含有していることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池。
  5. 前記ニトリル化合物は、下記一般式(1)で表わされるものである請求項1〜4のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池。
    NC−(CH−CN (1)
    〔前記一般式(1)中、nは2〜4の整数である。〕
  6. 前記負極は、前記負極活物質とバインダとを含有する負極合剤層を、負極集電体の片面または両面に有しており
    前記負極合剤層の密度は1.5g/cm以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池。
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