JP2016166986A - 画像形成方法および画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】トナー像を加熱し定着する画像形成方法または画像形成装置において、保管条件や使用環境によってトナー物性に変化が生じても、機体間だけでなく、同一機体内でも光沢度差を抑制して画像を形成する。【解決手段】トナー像を加熱し定着する画像形成方法であって、帯電したトナーの温度変化に伴う表面電位の変化を検知し、検知結果に応じて定着条件を変更する。トナー像を加熱し定着する画像形成装置であって、帯電したトナーを加熱する加熱手段と、前記加熱手段で加熱したトナーの温度を検知するトナー温度検知手段と、前記加熱手段で加熱したトナーの表面電位を検知する表面電位検知手段と、トナーの温度変化に伴う表面電位の変化を検知する表面電位変化検知手段と、前記表面電位変化検知手段の検知結果に応じて定着条件を定着後のトナー像の光沢度が所定の光沢度となる方向に変更する制御部と、を備える。【選択図】図3
Description
本発明は、トナー像を加熱して定着する画像形成方法および画像形成装置に関する。
電子写真方式の画像形成装置において、省エネは重要な課題となっており、消費電力の大部分を占める定着工程での消費電力削減が求められている。消費電力を削減するためには、定着温度を下げ、低温でも十分にトナーの定着性が確保されるトナーが必要となる。
低温でもトナーの定着性を向上させる手段としては、結晶性樹脂と非晶性樹脂を含有したトナーが提案されている(特許文献1)。結晶性樹脂は非晶性樹脂を可塑化させることで、低温定着性を達成するメカニズムが推定されているが、詳細は明確になっていない。
また、結着樹脂としては、定着性向上と保管性の観点からポリエステル樹脂が用いられている。近年では、重合トナーなど製造性の観点からスチレンアクリル系共重合樹脂が用いられているが、高光沢画像を得るためには、ポリエステル樹脂の方が適した溶融特性を有している。
定着条件は画像形成装置の使用環境や、用いられる記録材、求められる光沢度により様々な条件が考えられている。特に光沢度の均一性に関しては次のことが求められている。記録材面内のムラ、すなわち記録材とトナー像との光沢度差やトナー画像間の光沢度差を小さくするだけでなく、同一機で出力した成果物間(記録画像形成物間)や機体間(画像形成装置間)でも光沢度差を小さくすることが求められている。そして、この要望に応えるために、様々な工夫がなされている。
成果物間や機体間での光沢度差を抑制する手段としては次のような定着器および画像形成装置が提案されている(特許文献2)。定着後の記録材上のトナー画像の光沢度を検知する光沢度検出手段と、光沢度検出手段によって検知された光沢度が所定の光沢度となるよう定着条件を変更する制御手段を備えた定着器および画像形成装置である。
また、カートリッジにトナー固有の温度制御情報が記憶され、その温度制御情報に基づいて定着温度を決定する電子写真プリンタおよびその制御方法が提案されている(特許文献3)。
結晶性樹脂と非晶性樹脂を含有したトナーは、保管する環境によってガラス転移点が変化し、目的とする光沢度を得るための最適定着条件が変わってしまうことがある。例えば、ガラス転移点が上がると、トナーが変形する温度が高くなるため、光沢度は低くなってしまう。従って、トナーの保管条件や使用環境によって、機体間だけでなく、同一機で出力した場合でも出力画像の光沢度差が大きくなってしまうことがある。
特許文献2に記載の手段を用いることで、成果物間や機体間での光沢度差を抑制することは可能である。しかし、特許文献2で提案されている画像形成装置のように機体出荷時や設置時のトナーの状態に応じて、制御パラメータを決定するため、トナーの熱物性が変化した場合には、即座に最適な定着条件を決定できるとは限らない。
また、特許文献3の手段を用いることで、出荷時のトナー固有の最適定着条件はわかるが、保管条件やユーザーの使用環境で熱物性が変化したトナーに、出荷時の最適定着条件が適用できるとは限らない。
本発明は上記の従来技術に鑑みて提案されたものである。その目的とするところは、保管条件や使用環境によってトナー物性に変化が生じても、機体間だけでなく、同一機体内でも光沢度差を抑制して画像を形成できる画像形成方法および画像形成装置を提供することにある。
上記の目的を達成するための本発明に係る画像形成方法の代表的な構成は、トナー像を加熱し定着する画像形成方法であって、帯電したトナーの温度変化に伴う表面電位の変化を検知し、検知結果に応じて定着条件を定着後のトナー像の光沢度が所定の光沢度となる方向に変更することを特徴とする。
また、上記の目的を達成するための本発明に係る画像形成装置の代表的な構成は、トナー像を加熱し定着する画像形成装置であって、帯電したトナーを加熱する加熱手段と、前記加熱手段で加熱したトナーの温度を検知するトナー温度検知手段と、前記加熱手段で加熱したトナーの表面電位を検知する表面電位検知手段と、トナーの温度変化に伴う表面電位の変化を検知する表面電位変化検知手段と、前記表面電位変化検知手段の検知結果に応じて定着条件を定着後のトナー像の光沢度が所定の光沢度となる方向に変更する制御部と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、保管条件や使用環境によってトナー物性に変化が生じても、機体間だけでなく、同一機体内でも光沢度差を抑制して画像を形成できる。
以下、本発明を図面に基づいて説明するが、本発明はこれら実施形態に限定されるものではない。
《実施の形態》
(1)画像形成装置
図1は本実施の形態における画像形成装置の概略構成を表す断面図である。この画像形成装置は電子写真方式のタンデムタイプの4色フルカラー画像形成装置であり、減法混色の3原色であるイエロー・マゼンタ・シアンと、これにブラックを加えた4色のトナー画像をそれぞれ形成する4つの画像形成部Pa・Pb・Pc・Pdを有する。
(1)画像形成装置
図1は本実施の形態における画像形成装置の概略構成を表す断面図である。この画像形成装置は電子写真方式のタンデムタイプの4色フルカラー画像形成装置であり、減法混色の3原色であるイエロー・マゼンタ・シアンと、これにブラックを加えた4色のトナー画像をそれぞれ形成する4つの画像形成部Pa・Pb・Pc・Pdを有する。
各画像形成部Pa・Pb・Pc・Pdは、それぞれ、矢印の反時計方向に回転駆動される像担持体としてのドラム形状の電子写真感光体(以下、ドラムと記す)3a・3b・3c・3dと、ドラムに作用する画像形成プロセス手段を有する。
画像形成プロセス手段は、帯電器2a・2b・2c・2d、画像情報に対応して変調されたレーザー光La・Lb・Lc・Ldを出力するレーザスキャナ5a・5b・5c・5dである。また、現像器1a・1b・1c・1d、トナー供給装置6a・6b・6c・6d、1次転写帯電器7a・7b・7c・7d、ドラムクリーナ4a・4b・4c・4d、除電露光器(LED)8a・8b・8c・8d等である。
また、画像形成装置は無端状の中間転写ベルト(以下、ベルトと記す)111を有する。ベルト111はローラ112・113・114に懸回張設されて矢印の時計方向に回転駆動される。
各ドラム3a・3b・3c・3dに形成されたイエロートナー像、マゼンタトナー像、シアントナー像、ブラックトナー像がそれぞれ1次転写ニップ部Ta1・Tb1・Tc1・Td1にてベルト111に対して順次に重畳されて1次転写される。これによりベルト111に対して4色フルカラーの合成カラートナー画像が形成される。なお、各画像形成部Pa・Pb・Pc・Pdにおける画像形成プロセスや動作は周知であるので詳細な説明は割愛する。
120は2次転写ローラであり、ローラ113に対してベルト111を介して圧接されてベルト111との間に2次転写ニップ部T2を形成している。給送カセット115又は116からシート状の記録材Pが1枚分離給送されてシートパス(記録材搬送路)117・118を通ってレジストローラ119に搬送される。レジストローラ119は記録材Pを2次転写ニップ部T2に対して所定の制御タイミングで給送する。これにより、ベルト111の表面の合成カラートナー画像が記録材Pの面に対して一括して2次転写される。
2次転写ニップ部T2を通過した記録材Pは、ベルト111の表面から分離されて定着装置(以下、定着器と記す)9に導入されてトナー画像が熱圧定着される。定着器9を出た記録材Pは記録画像形成物として装置外に排出される。記録材分離後のベルト111の表面はベルトクリーナ121により清掃される。
本実施の形態の画像形成装置において、画像形成時のドラム3a・3b・3c・3dの回転周速度は250mm/secである。ベルト111はドラム3a・3b・3c・3dと同じ線速度をもって回転駆動される。現像器1a・1b・1c・1dは、マグネットローラを内包した現像スリーブ上に、現像剤をコーティングし、図示しない現像器用電源を用いて現像バイアスを印加することによって、ドラム3a・3b・3c・3d上にトナーが現像される。現像剤としては、例えば、粒径が約6μmの負帯電性トナーと、約35μmの現像用磁性粒子とを用いている。
(2)定着器
図2は本実施の形態における定着器9の要部の横断面模型図、図3は同じく要部の縦断面模型図である。以下の説明において、定着器9及び定着器9を構成する部材に関し、長手方向とは記録材Pの搬送路面において記録材搬送方向aと直交する方向に平行な方向である。短手方向とは記録材Pの搬送路面において記録材搬送方向aと平行な方向である。長さとは長手方向の寸法である。幅とは短手方向の寸法である。
(2)定着器
図2は本実施の形態における定着器9の要部の横断面模型図、図3は同じく要部の縦断面模型図である。以下の説明において、定着器9及び定着器9を構成する部材に関し、長手方向とは記録材Pの搬送路面において記録材搬送方向aと直交する方向に平行な方向である。短手方向とは記録材Pの搬送路面において記録材搬送方向aと平行な方向である。長さとは長手方向の寸法である。幅とは短手方向の寸法である。
本実施の形態における定着器9は熱ローラ式の定着装置であり、定着部材としての定着ローラ(加熱回転体)11および加圧ローラ(加圧回転体)12と、定着ローラ11と加圧ローラ12を加熱するヒータ13・14を有する。また、定着ローラ11の表面電位を検知する表面電位センサ15(15a・15b・15c・15d)と、定着ローラ11の表面温度を検知する温度センサ16(16a・16b・16c・16d)を有する。また、加圧ローラ12の表面温度を検知する温度センサ17と、定着ローラ11の表面に付着したトナーを除去する定着ローラクリーナ18を有する。
定着器9は、記録材P上の未定着トナー画像を加熱および加圧することで、未定着トナー画像の記録材Pへの定着性の確保、2次色、3次色部の混色を行う定着機能を備えている。
また、本実施の形態においては、定着器9は、定着ローラ11上に転写したトナー像の温度と表面電位の波形からトナーのガラス転移点を評価する機能を備えている。そして、定着器9の定着条件がトナーのガラス転移点を評価した結果によって決定される。より具体的には、その結果に応じて、定着ローラ11と加圧ローラ12の表面の定着温度、定着ローラ11と加圧ローラ12の間の定着ニップ部の加圧力、定着速度の少なくとも一つが定着後のトナー像の光沢度が所定の光沢度となる方向に変更される。これについては後記の(3)項と(4)項で詳述する。
定着ローラ11は、長手方向に細長い中空の筒体に形成された芯金11aを有し、その芯金11aの両端部以外の外周に弾性層11bを設け、その弾性層11bの外周に離型層11cを設けたものである。
離型層11cの材料はFRP又はPFA、PTFE等のフッ素樹脂であり、弾性層11bの外周にフッ素樹脂をコート若しくはチューブを用いて形成してある。
弾性層11bは定着ローラ11が未定着トナー画像の厚み変動(数〜数十μm)に追従可能であり、また定着ローラ11と加圧ローラ12との間に所定幅の定着ニップ部N1を確保できるようにするためのものである。そのため、弾性層11bの材料として、弾性を有するシリコーンゴムやフッ素ゴムを用いている。弾性層11bは弾性が小さいと、未定着トナー画像の凹部の未定着やトナーの潰れによる粒状性の不良化といった画質の低下をもたらすので、所定の大きさの弾性を要する。
芯金11aはアルミニウムやステンレス等の材料を用いて中空の筒体に形成され、両端部が定着器9の長手方向の一端側と他端側の装置フレーム31L・31Rに軸受33L・33Rを介して回転自在に保持されている。本実施の形態では、定着ローラ11上のトナー像の表面電位を、芯金11aを基準にして測定できるように、弾性層11bと離形層11cはカーボンブラック等の導電剤を混練して導電性を持たせている。
芯金11aの中空内には、長手方向に細長いヒータ13が内蔵されている。本実施の形態で用いるヒータ13はハロゲンヒータである。ヒータ13の両端部は装置フレーム31L・31Rにより保持されている。定着ローラ11にはそのヒータ13によって所定の温度となるように熱量が供給される。
加圧ローラ12は、定着ローラ11と同様、長手方向に細長い中空の筒体に形成された芯金12aを有し、その芯金12aの両端部以外の外周に弾性層12bを設け、その弾性層12bの外周に離型層12cを設けたものである。
芯金12a、弾性層12b及び離型層12cの材料は、定着ローラ11の芯金11a、弾性層11b及び離型層11cの材料と同じである。離形層12cには、記録材P上の未定着トナー像を定着ローラ11上へ転写するための転写バイアスを印加するため、離形層11cと同じくカーボンブラック等の導電剤を混練し、導電性を持たせている。
加圧ローラ12は定着ローラ11の下方に定着ローラ11と平行に配置され、芯金12aの両端部が装置フレーム32L・32Rに軸受34L・34Rを介して回転可能にかつ上下移動可能に保持されている。そして、加圧ローラ12は、芯金12aの両端部と装置フレーム32L・32Rとの間にそれぞれ設けられた加圧バネ(加圧部材、付勢部材)35L・35Rにより定着ローラ11側に加圧されている。
その加圧によって加圧ローラ12の離型層12cが定着ローラ11の離型層11cと接触し加圧ローラ12の弾性層12bと定着ローラ11の弾性層11bがそれぞれ弾性変形する。これによって、加圧ローラ12の外周面(表面)と定着ローラ11の外周面(表面)との間に、記録材Pが担持する未定着トナー画像に対して加熱及び加圧を行なうための定着ニップ部N1を形成している。
芯金11aの中空内には長手方向に細長いヒータ14が内蔵されている。本実施の形態で用いるヒータ14はハロゲンヒータである。ヒータ14の両端部は装置フレーム32L・32Rにより保持されている。加圧ローラ12にはそのヒータ14によって所定の温度となるように必要な熱量が供給される。
定着ローラ11の芯金11aの一端部に設けられた駆動ギアG1がギア列(不図示)を介して駆動源としての第1のモータ(定着モータ)M1により回転駆動される。ギアG1が回転駆動されることにより定着ローラ11は図2において矢印R11の時計方向に回転する。定着ローラ11の回転はニップ部N1を介して加圧ローラ12表面に伝わり、加圧ローラ12は定着ローラ11の回転を受けて図2において矢印R12の反時計方向に従動回転する。
54L・54Rは加圧ローラ12の定着ローラ11への加圧力を変更する加圧力変更手段としてのカムである。M2L・M2Rは駆動源としての第2のモータ(カムモータ)である。カム54Lはカム軸54Laを有し、そのカム軸54Laは装置フレーム31Lに軸受55Lを介して回転自在に保持されている。カム54Rはカム軸54Raを有し、そのカム軸54Raは装置フレーム31Rに軸受55Rを介して回転自在に保持されている。カム軸54La・54Raの一端部に設けられた駆動ギアG2L・G2Rがギア列(不図示)を介して、モータM2L・M2Rにより回転駆動される。
カム54L・54Rは同じ形状に形成された平板カムである。カム54L・54Rのうち1つのカム54Lを図4に示す。カム54L・54Rは、表面に曲率半径の異なる5つのカム面a,b,c,d,eを有し、そのカム面a,b,c,d,eの曲率半径がe>d>c>b>aとなるように設計してある。つまり、カム54L・54Rは、加圧バネ35L・35Rの加圧力に抗して定着ローラ11と加圧ローラ12の軸間距離を変更することにより加圧バネ35L・35Rの加圧力を変更するものである。カム54L・54Rは互いに同じ位相で回転角が制御される。
カム面aは、定着ローラ11と加圧ローラ12を離間させるときに用いられる。カム面b,c,d,eは、それぞれ、定着器9に温調動作と加熱加圧動作を行なわせるときに用いられる。つまり、カム54L・54Rは、各カム面a,b,c,d,eが加圧ローラ12の芯金12a表面と接触することにより、定着ニップ部の加圧力およびニップ幅を多段階に変更することができるようになっている。
表面電位センサ15(15a・15b・15c・15d)は定着ローラ11と定着ローラ11上に転写して定着ローラ11で加熱したトナー像(トナー)の表面電位を検知する表面電位検知手段であり、本実施の形態では、非接触式の表面電位計を用いた。表面電位センサ15は、定着ローラ10と加圧ローラ11のニップ部N1から定着ローラ10の回転移動方向下流側かつ、定着ローラクリーナ18よりも上流側に配置されている。
表面電位センサ15は、定着ローラ11の長手方向に沿って所定の間隔をあけて4個15a・15b・15c・15dが配置されており、各色トナー像の表面電位を同時に測定することができる。表面電位センサ15a・15b・15c・15dはそれぞれ定着ローラ11上に転写して定着ローラ11で加熱した、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナー像の表面電位を測定する。電位センサ15a・15b・15c・15dのグランドと定着ローラ11の芯金11aを導通させてあるので、電位センサ15a・15b・15c・15dは芯金11aを基準として定着ローラ11の表面電位を測定する。
温度センサ16(16a・16b・16c・16d)は、定着ローラ11及び定着ローラ11上に転写して定着ローラ11で加熱した、トナー像(トナー)の表面温度を検知する温度検知手段(トナー温度検知手段)である。本実施の形態では、放射温度計を用いた。温度センサ16は、定着ローラ11の長手方向に沿って所定の間隔をあけて4個16a・16b・16c・16dが配置されており、各色トナー像の表面温度を同時に測定することができる。温度センサ16a・16b・16c・16dはそれぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナー像の温度を測定する。
また、温度センサ17は加圧ローラ12の温度を検知する温度検知手段であり、本実施の形態では接触式のサーミスタを用いた。
定着ローラクリーナ18は定着ローラ11の表面に付着したトナーを回収するクリーニングローラ19と、クリーニングローラ19に当接してクリーニングローラ19が回収したトナーを拭い取る定着ウエブ20とで構成される。クリーニングローラ19は金属ローラである。クリーニングローラ19の両端部は装置フレーム32L・32Rに軸受(不図示)を介して回転可能にかつ上下移動可能に保持されている。
そして、クリーニングローラ19は両端部と装置フレーム31L・31Rとの間に設けられた加圧バネ(加圧部材、付勢部材)36L・36R(36Rは不図示)によって定着ローラ11側に加圧されている(図4)。クリーニングローラ19は装置フレーム31L・31Rを介して接地されている。従って、離形層11cはクリーニングローラ19を介して接地されている。定着ウエブ20はクリーニングローラ19に当接してあり、クリーニングローラ19が回収したトナーを拭い取るようになっている。
冷却ファン21(図2)は定着ローラ11を冷却するために用いられる。トナーのガラス転移点を評価する際に、定着ローラ11の表面温度がトナーのガラス転移点よりも高いと、トナーを定着ローラに転写した直後にトナーがガラス転移点以上に加熱され、トナーは除電されてしまう。従って、トナーのガラス転移点の評価は定着ローラ11が所定の温度以下に冷却されている状態から開始するのが好ましい。
(3)定着器によるトナーのガラス転移点評価
帯電したトナーはガラス転移点以上に加熱されると、分子運動が活発になり、電気抵抗が低下する。それに伴って、トナー表面の電荷はトナーの内部や周辺に拡散し、トナーの表面電位は低下する(図5)。従って、帯電したトナーの温度に対する表面電位波形(帯電したトナーの温度変化に伴う表面電位の変化)を測定し、表面電位が低下する温度(表面電位低下開始温度)を検知することでトナーのガラス転移点を評価することができる。本実施の形態では、加熱前のトナー表面電位に対して95%の表面電位になった時の温度を表面電位低下開始温度と定義する(図5)。
帯電したトナーはガラス転移点以上に加熱されると、分子運動が活発になり、電気抵抗が低下する。それに伴って、トナー表面の電荷はトナーの内部や周辺に拡散し、トナーの表面電位は低下する(図5)。従って、帯電したトナーの温度に対する表面電位波形(帯電したトナーの温度変化に伴う表面電位の変化)を測定し、表面電位が低下する温度(表面電位低下開始温度)を検知することでトナーのガラス転移点を評価することができる。本実施の形態では、加熱前のトナー表面電位に対して95%の表面電位になった時の温度を表面電位低下開始温度と定義する(図5)。
即ち、帯電したトナーの温度に対する表面電位を測定し、その変化を検知することでトナーのガラス転移点を評価することができる。そして、その評価結果に応じて、定着後のトナー像の光沢度が所定(目標)の光沢度となる方向に定着条件を決定することで、所望の光沢度を持ったトナー画像を出力することができる。かくして、保管条件や使用環境によってトナー物性の変化が生じても、機体間だけでなく、同一機体内でも光沢度差を抑制して画像を形成できる。
定着器9によるトナーのガラス転移点の評価について図6(フローチャート)を用いて説明する。トナーのガラス転移点の評価と、評価結果に基づいた定着器9と画像形成装置の動作制御は、RAMやROMのメモリとCPUで構成された制御部40(図3)が行う。メモリにはトナーのガラス転移点に関するテーブルやガラス転移点に応じた温度制御、加圧力制御、定着速度制御に必要なテーブルや各種プログラムなどが記憶されている。
制御部40は本体電源MSWの投入に基づいて画像形成装置の所定の立ち上げ動作シーケンスを実行する。この立ち上げ動作シーケンスの一環として図6の定着器によるトナーのガラス転移点評価シーケンスが実行される。
本実施の形態では、制御部40は、本体電源MSWが投入された時点で、温度センサ16a・16b・16c・16dにより定着ローラ11の表面温度を検知する(S101)。温度センサ16a・16b・16c・16dの検知結果が所定の温度T1よりも高い場合は(S102のNo)、冷却ファン21を始動して(S103)、定着ローラ11を冷却する。上記の温度T1は通常のトナーのガラス転移点の温度よりも所定に低くした設定温度であり、例えば50℃の設定である。
冷却ファン21による冷却で温度センサ16a・16b・16c・16dの検知結果が所定の温度以下になると(S104のYes)、冷却ファン21は停止し(S105)、トナーのガラス転移点の評価を開始する。
本体電源MSWが投入された時点で、温度センサ16a・16b・16c・16dの検知温度結果が温度T1以下の場合は(S102のYes)、特別な動作は行わずにトナーのガラス転移点の評価を開始する。
制御部40は、各画像形成部Pa・Pb・Pc・Pdおよびベルト111を動作させる。また、記録材Pを1枚給送して、記録材P上に、複数種類のトナーである各色トナーのガラス転移点の評価をするための未定着トナー像を形成する画像形成動作を実行する(S106)。図15の(a)に記録材P上に形成された各色トナーによる未定着トナー像tY・tM・tC・tBkの一例を示した。各トナー像tY・tM・tC・tBkは記録材上に、所定の形状、所定の間隔で横並びに形成されている。
トナー像tYは画像形成部Paの現像器1aに収容されているイエロートナーにより形成されている。トナー像tMは画像形成部Pbの現像器1bに収容されているマゼンタトナーにより形成されている。トナー像tCは画像形成部Pcの現像器1cに収容されているシアントナーにより形成されている。tBkは画像形成部Pdの現像器1dに収容されているブラックトナーにより形成されている。
トナー像tY・tM・tC・tBkは、表面電位センサ15a・15b・15c・15dの測定範囲よりも広い正方形のベタ画像である。各色のベタ画像は中心が表面電位センサ15a・15b・15c・15dの中心と略等間隔になるように形成される(図15の(b))。
制御部40は、トナー像tY・tM・tC・tBkが形成された記録材Pが定着器9に搬送されるまでに、定着ローラ11及び加圧ローラ12は回転駆動させておく。すなわち、モータM2L・M2Rを回転し、カム面bを加圧ローラ12の芯金12aに接触させることで、加圧ローラ12を定着ローラ11に対して加圧させ、定着ニップ部N1を形成する。そして、モータM1の駆動によって定着ローラ11を回転駆動する。加圧ローラ12は定着ローラ11に従動回転する(S107)。
そして、定着ローラ11の離形層11cは接地Gして、加圧ローラ12の離形層12cにはバイアス電源E(図2)からトナー転写用のバイアスを印加する(S108)。記録材Pを回転駆動した定着ローラ11及び加圧ローラ12によって形成される定着ニップ部N1を通過させることで、記録材P上の未定着トナー像tY・tM・tC・tKは定着ローラ11の表面に転写される(S109)。
制御部40は、トナー像tY・tM・tC・tKを定着ローラ11上に転写した後も、定着ローラ11及び加圧ローラ12を回転駆動させる。そして、定着ローラ11上に転写された各色の未定着トナー像tY・tM・tC・tKが表面電位センサ15a・15b・15c・15dに対向する位置まで搬送された時点でバイアス電源Eによるバイアスの印加を停止する(S110)。また、モータM1を停止し、定着ローラ11と加圧ローラ12を停止させる(S111)。図15の(b)はこの状態時を示している。
また、制御部40は、モータM2L・M2Rを駆動し、カム54L・54Rを回転駆動させ、カム面aを加圧ローラ12の芯金12aに接触させることで、定着ローラ11と加圧ローラ12を離間する(S112)。
その後、制御部40は、ヒータ13に電力を供給する。これと同時に、制御部40は表面電位センサ15a・15b・15c・15dの出力信号(表面電位情報)と温度センサ16a・16b・16c・16dの出力信号(温度情報)の取り込みを開始する(S113)。
制御部40は、表面電位センサ15と温度センサ16から取り込まれる表面電位情報と温度情報により、加熱手段としての定着ローラ11で加熱したトナーの温度変化に伴う表面電位の変化を検知する(制御部40の表面電位変化検知手段としての機能部)。そして、その変化情報をメモリに記憶する。本実施の形態においては、上記のイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色トナーのそれぞれの温度変化に伴う表面電位の変化情報が記憶される。
制御部40は、定着ローラ11の表面が所定の温度T2に到達したと温度センサ16a・16b・16c・16dが検知すると(S114のYes)、表面電位情報の取り込みを終了し、ヒータ13への電力供給は停止する(S115)。上記の温度T2は通常のトナーのガラス転移点の温度よりも所定に高くした設定温度であり、例えば100℃の設定である。
表面電位情報と温度情報の取り込みが終了した後に、モータM1は再度駆動し、定着ローラ11は回転駆動する。定着ローラ11上で加熱されたトナー像はクリーニングローラ19によって回収され、クリーニングローラ19で回収されたトナーは定着ウエブ20によって拭い取られる(S116)。
制御部40のCPUは、メモリに記憶された、各色トナーのそれぞれの上記の温度に対する表面電位の波形から各色トナーの表面電位低下開始温度を算出(取得)する(S117)。制御部40のメモリには表面電位低下開始温度に対応したガラス転移点の情報が記憶されているので、表面電位低下開始温度を決定すると、各色トナーのガラス転移点が決定され(S118)、制御部40のメモリに記憶する(S119)。即ち、画像形成部Pa・Pb・Pc・Pdの現像器1a・1b・1c・1dにそれぞれ収容されている各色トナーのガラス転移点が評価されてその値がメモリに記憶される。
(4)ガラス転移点の評価結果に基づく、定着器の動作
各色トナーのガラス転移点の評価結果に基づいた定着条件の変更について図7(フローチャート)を用いて説明する。
各色トナーのガラス転移点の評価結果に基づいた定着条件の変更について図7(フローチャート)を用いて説明する。
制御部40のCPUは、制御部40のメモリに記憶された各色トナーのガラス転移点評価結果を読み込む(S120)。各色トナーの評価されたガラス転移点の値の相互間における最大値と最小値の差が所定の値X以下の場合は(S121のYes)、制御部40はメモリに記憶されているテーブルを基に定着条件を変更する(S122)。
ここでは、複数種類のトナーである、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナーのガラス転移点が存在している。そこで、制御部40はその4つのガラス転移点の算術平均値を算出し、その平均値に基づいてメモリに記憶されているテーブルを基に定着条件を定着後のトナー像の光沢度が所定の光沢度となる方向に変更する。各色トナーに最適な定着温度を算術平均した値から定着条件を決定する構成でも構わない。
一方、上記の最大値と最小値の差が所定の値Xよりも大きい場合は(S121のNo)、制御部40は、定着条件を変更することにより出力画像(定着トナー像)の光沢度差を抑制することは難しいと判定する。そして、その判定結果と対応策を画像形成装置のディスプレイ60(図3)に表示し(S123)、定着条件の変更は行わない。上記の所定の値Xは例えば10℃に設定される。ディスプレイ60に表示する対策としては、例えば、ガラス転移点評価が最大値の色トナーが収容されている現像器の交換を促すメッセージ等である。
ここで、定着条件の変更は、定着ローラ11及び加圧ローラ12の温度(定着温度)、加圧ローラ12の定着ローラ11への加圧力(定着ニップ部の加圧力)、定着ローラ11及び加圧ローラ12の駆動速度(定着速度)のうちの少なくとも1つの変更である。
1)定着ローラ11及び加圧ローラ12の設定温度の変更は、ガラス転移点評価の終了後から定着器9の温調動作が開始する前のタイミングで行う。制御部40のCPUは、ガラス転移点評価の結果と制御部40のメモリに保存されているテーブルに基づいて定着ローラ11と加圧ローラ12の表面温度の設定値を変更する。
2)加圧ローラ12の定着ローラ11への加圧力を変更するタイミングは、定着ローラ11と加圧ローラ12とで未定着トナー画像の加熱及び加圧を行う前である。制御部40のメモリには定着器9の加圧力制御に必要なテーブルや各種プログラムが記憶されている。テーブルは、画像形成装置に用いられる記録材Pの種類毎にトナーのガラス転移点と画像形成装置の使用環境応じて最適な加圧力データを有する。
制御部40のCPUは、判定したガラス転移点と、画像形成に用いられる記録材Pの情報と、画像形成装置の使用環境からカム54L・54Rの回転駆動量を求める。そして、その回転駆動量に基づきカムモータM2L・M2Rを回転制御することによりカム54L・54Rを回転駆動させ、所望のカム面が加圧ローラ12の芯金12aと接触する。
3)定着速度を変更するタイミングは、定着ローラ11と加圧ローラ12とで未定着トナー画像の加熱及び加圧を行う前である。制御部40のメモリにはモータM1の駆動制御に必要なテーブルや各種プログラムが記憶されている。テーブルは、画像形成装置に用いられる記録材Pの種類毎にトナーのガラス転移点と画像形成装置の使用環境に応じて最適な速度のデータを有する。制御部40のCPUは、判定したガラス転移点と、画像形成に用いられる記録材Pの情報と、画像形成装置の使用環境に基づいてテーブルによりモータM1の回転数を変更する。
定着条件決定後は、定着ローラ11と加圧ローラ12が所定の温度になるように温調動作を開始する。温調動作とは、定着ローラ11と加圧ローラ12を、トナー像を記録材P上に定着するのに必要な所定の温度まで加熱し、その温度を維持する動作のことである。
モータM2L・M2Rを駆動させ、カム54L・54Rを回転駆動させ、カム面bが加圧ローラ12の芯金12aの端部と接触させ、定着ローラ11に加圧ローラ12を当接させる。その後に、モータM1を駆動させ、定着ローラ11及び加圧ローラ12を回転駆動させる。定着ローラ11と加圧ローラ12の回転駆動が安定したら、ヒータ13・14に通電を開始する。
ヒータ13が発熱することにより定着ローラ11の芯金11a、弾性層11b、離型層11cが加熱されて定着ローラ11表面が昇温する。またヒータ14の発熱により加圧ローラ12の芯金12a、弾性層12b、離型層12cが加熱されて加圧ローラ12表面が昇温する。
定着ローラ11の温度を温度測定手段としての温度センサ16a・16b・16c・16dにより検知し、温度センサ16a・16b・16c・16dの出力信号(温度情報)を制御部40が取り込む。また加圧ローラ12の温度測定手段としての温度センサ17により検知し、温度センサ17の出力信号(温度情報)を制御部40が取り込む。
制御部40は、温度センサ16a・16b・16c・16d・17からの信号に基づいて電力供給制御部71・72(図3)によりヒータ13・14をON/OFF制御し、定着ローラ11の温度と加圧ローラ12の温度を所定の温度(目標温度)に維持する。つまり、制御部40は、記録材Pが担持する未定着トナー画像に対して加熱を行ない未定着トナー画像中のトナーを軟化、溶融させる所定の定着温度(目標温度)に維持する。
尚、温調動作時には、温度センサ16a・16b・16c・16dからの温度情報は全て使用しなくてもよく、温度センサ16a・16b・16c・16dからの温度情報の中の少なくとも一つを用いて温調動作を行えば良い。
温調動作が終了すると、定着器9による未定着トナー画像の定着が可能となる。制御部40は、使用する記録材Pとメモリに記憶されたテーブルを基に最適な加圧ローラ12の加圧力と定着速度を選択し、変更する。その後、定着器9は記録材P上の未定着トナー画像を加熱および加圧することで、未定着トナー画像の記録材Pへの定着性の確保、2次色、3次色部の混色を行う。
(5)定着器9によるガラス転移点の評価結果と、出力画像の光沢度
[実施例1]
本実施例1の定着器9の一例を具体的に説明する。しかし、本実施例1の定着器9は、以下に説明する定着器9の仕様に限定されるものではない。定着器9の具体的な構成及び初期設定値は以下の通りである。
[実施例1]
本実施例1の定着器9の一例を具体的に説明する。しかし、本実施例1の定着器9は、以下に説明する定着器9の仕様に限定されるものではない。定着器9の具体的な構成及び初期設定値は以下の通りである。
1)定着ローラ11:直径60mmで長さは330mmである。芯金11aの材料としてアルミニウムを用い、その上に弾性層11bとして導電性シリコーンゴムを2.5mmの厚さにコーティングした。さらにその弾性層11bの上の離型層11cは厚さ50μmの導電性PFAチューブで構成されている。
2)加圧ローラ12:直径60mmで長さは330mmである。芯金11aの材料としてアルミニウムを用い、その上に弾性層11bとしてシリコーンゴムを1.5mmの厚さにコーティングした。さらにその弾性層11bの上の離型層11cは厚さ50μmの導電性PFAチューブで構成されている。
3)加圧部の総荷重:60kg
4)圧力変更手段:カム54L・54Rによって、定着ローラ21に対して加圧ローラ12を離間状態と、加圧ローラ12の荷重を50kg、60kg、70kg、80kgに変更することが可能となっている。つまり、加圧ローラ22の加圧力を5段階に制御することが可能となっている。
4)圧力変更手段:カム54L・54Rによって、定着ローラ21に対して加圧ローラ12を離間状態と、加圧ローラ12の荷重を50kg、60kg、70kg、80kgに変更することが可能となっている。つまり、加圧ローラ22の加圧力を5段階に制御することが可能となっている。
ここで、上記の離間状態、50kg、60kg、70kg、80kgのうち、離間状態がカム54L・54Rのカム面aに、50kgがカム54L・54Rのカム面bに、60kgがカム54L・54Rのカム面cに、それぞれ対応している。また70kgがカム54L・54Rのカム面dに、80kgがカム54L・54Rのカム面eに、それぞれ対応している。
5)定着速度(記録材搬送速度):250mm/sec
6)定着ローラ11と加圧ローラ12の表面温度:150℃
定着器9によるトナーのガラス転移点を評価した結果について説明する。示差走査熱量測定(Differential scanning calorimetry、DSC)で測定したガラス転移点が異なるトナーで現像剤を作成する。その現像剤を用いて未定着トナー画像を作成し、定着器9でガラス転移点を評価した。
6)定着ローラ11と加圧ローラ12の表面温度:150℃
定着器9によるトナーのガラス転移点を評価した結果について説明する。示差走査熱量測定(Differential scanning calorimetry、DSC)で測定したガラス転移点が異なるトナーで現像剤を作成する。その現像剤を用いて未定着トナー画像を作成し、定着器9でガラス転移点を評価した。
図8は、DSCから得られたガラス転移点に対して、前述のように定着器9を用いて判定した各トナーの表面電位低下開始温度をプロットした結果である。両者は正の相関が強く、温度センサ16の温度情報に対する表面電位センサ15の表面電位情報の波形を基にトナーのガラス転移点を評価できていることが分かる。
次に、定着器9によるトナーのガラス転移点を評価した結果を基に定着条件を変更して、画像出力を行った結果について説明する。トナーは、結着樹脂として結晶性ポリエステルと非晶性ポリエステルからなるものを用いた。結着樹脂中には顔料、荷電制御材、離形助剤としてのワックスを含有している。
トナーは室温25℃、湿度50%の環境で保管していたものと、40℃、50℃、60℃の恒温槽中で1週間保管したものを用いた。保管条件が異なるトナーを磁性キャリアと混合して作成した現像剤を充填した現像器1a・1b・1c・1dを画像形成装置に取り付け、保管条件が異なるトナーのガラス転移点を評価及びトナー画像の出力を行った。
本実施例1では記録材Pとして坪量128g/m2のコート紙を使用し、シアントナーの帯状のベタ画像を出力し、その光沢度を評価した。トナー画像の光沢度は60°グロスで評価した。なお、記録材Pの60°グロス値は35.2である。従って、定着トナー画像の60°グロス値も35.2に近い程好ましい画像と言える。
図9に保管条件が異なるシアントナーのガラス転移点の評価結果を示す。保管温度25℃と40℃では、ガラス転移点は殆ど変わらないが、保管温度が50℃、60℃のトナーでは、保管温度が高くなるにつれて、ガラス転移点が上昇している。
従って、制御部40は室温25℃、湿度50%の環境で保管したトナーと、40℃の恒温槽中で保管したトナーでは同じ定着条件を選択する。即ち、定着ローラ11と加圧ローラ12の温度は150℃、加圧ローラ12の荷重は60kg、定着速度は250mm/secの標準の定着条件を選択する。
また、50℃、60℃の恒温槽で保管したトナーで画像出力する際には、それぞれ最適な定着条件を選択する。50℃の恒温槽で保管したトナーの定着条件は、定着ローラ11と加圧ローラ12の温度は標準の150℃を160℃に変更し、加圧ローラ12の荷重は標準の60kgから50kgに変更し、定着速度は変更せずに250mm/secである。
また、60℃の恒温槽で保管したトナーの定着条件は、定着ローラ11と加圧ローラ12の温度と加圧ローラ12の荷重はそれぞれ標準の定着条件と同じ150℃と60kgの設定とする。定着速度については標準の250mm/secから200mm/secに変更する。
図10に上記の保管条件が異なるトナーについてそれぞれ上記の定着条件で出力した画像(定着画像)の光沢度(60°グロス)を示す。上記のように、ガラス転移点の評価結果に応じて最適な定着条件を選択しているため、各トナーの出力画像は記録材Pと同等の光沢度であり、最大光沢度差(60°グロスの差)は3.6となった。
[比較例1]
本比較例1で使用する画像形成装置は、トナーのガラス転移点評価を実施せずに使用し、それ以外の構成は実施例1と同じである。定着器9の条件は室温25℃、湿度50%の環境で保管したトナーを定着するのに最適な条件に設定されている。定着器9の具体的な定着条件は、実施例1における標準の定着条件と同じであり、定着ローラ11及び加圧ローラ12の温度は150℃、加圧ローラ12の荷重を60kg、定着速度250mm/secである。
本比較例1で使用する画像形成装置は、トナーのガラス転移点評価を実施せずに使用し、それ以外の構成は実施例1と同じである。定着器9の条件は室温25℃、湿度50%の環境で保管したトナーを定着するのに最適な条件に設定されている。定着器9の具体的な定着条件は、実施例1における標準の定着条件と同じであり、定着ローラ11及び加圧ローラ12の温度は150℃、加圧ローラ12の荷重を60kg、定着速度250mm/secである。
図11に保存条件が異なるトナーで出力した画像の光沢度を示す。保管温度が高くなるにつれて、光沢度が低下し、最大光沢度差は13.6と実施例1よりも大きい。実施例1と本比較例1の比較から、実施例1はトナーの物性が変化した場合でも光沢度差を抑制し、記録材Pと同等の光沢度を持つ画像を出力することができていることが分かる。
[比較例2]
本比較例2で使用する画像形成装置は、定着後の記録材上のトナー画像の光沢度を検知する光沢度検出手段を備え、光沢度検出手段によって検知された光沢度が所定の光沢度となるように定着条件を変更するようになっている。なお、定着器9には比較例1と同じ構成の物を用いた。
本比較例2で使用する画像形成装置は、定着後の記録材上のトナー画像の光沢度を検知する光沢度検出手段を備え、光沢度検出手段によって検知された光沢度が所定の光沢度となるように定着条件を変更するようになっている。なお、定着器9には比較例1と同じ構成の物を用いた。
本比較例2の定着器9の定着条件の決定は本体設置時に設定したトナーのパラメータを基に実施されるようになっており、本比較例2では室温25℃、湿度50℃で保管したトナーに最適な定着条件(実施例1における標準の定着条件)に設定してある。
また、出力した画像の光沢度と目的とした光沢度が所定の値(本比較例2では60°グロスで5.0)以上異なる場合には、定着ローラ11と加圧ローラ12の温度、加圧ローラ12の荷重、定着速度をそれぞれ変更して画像出力を行う。そして、光沢度検出手段によって検知された光沢度から最適な定着条件を決定するようになっている。すなわち、定着条件の最適化に少なくとも、3枚の画像出力を実施する。
本比較例2でも、実施例1や比較例1と同様に、保管温度が異なるトナーで画像出力を行った。定着条件制御部40は室温25℃、湿度50%の環境で保管したトナーと、40℃の恒温槽中で保管したトナーでは、ガラス転移点が変化していない。そのため、狙いとする記録材Pと同等の光沢度を持った画像が出力された。
しかし、50℃、60℃の恒温槽で保管したトナーでは、記録材Pよりも60°グロスが5.0以上下がったため、定着条件の再設定を行うために温度、荷重、定着速度を変更して画像出力を行い、出力された画像の光沢度を基に定着条件の決定を行った。定着条件の変更後に出力した画像の光沢度は記録材Pと同等であった。
実施例1と本比較例2の比較から、実施例1はトナーの物性が変化した場合でも、少ない回数の画像形成で、記録材と同等の光沢度を得るための定着条件を決定することができていることが分かる。
[実施例2]
本実施例2で使用する画像形成装置の構成は図3と同じ4色フルカラー画像形成装置である。イエロー現像器1a、マゼンタ現像器1b、ブラック現像器1dは室温25℃、湿度50%で保管したものを用い、シアン現像器1cのみ、60℃の恒温槽中で1週間放置したものを画像形成装置中に配置した後に本体電源MSWを投入した。
本実施例2で使用する画像形成装置の構成は図3と同じ4色フルカラー画像形成装置である。イエロー現像器1a、マゼンタ現像器1b、ブラック現像器1dは室温25℃、湿度50%で保管したものを用い、シアン現像器1cのみ、60℃の恒温槽中で1週間放置したものを画像形成装置中に配置した後に本体電源MSWを投入した。
制御部40によるガラス転移点評価結果を図12に示す。シアントナーのみガラス転移点が他のトナーよりも14℃高いという評価結果が得られる。制御部40は、シアントナーのガラス転移点が高いため、シアントナーのみ光沢度が低くなると判定し、画像形成を行わずに、シアン現像器1cを交換するように、メッセージをディスプレイ60に表示した。
制御部40は、シアン現像器1cが、他の現像器1a・1b・1dに収容の色トナーと同等の環境で保管されたシアントナーが収容されたものと交換された後に、本体電源MSWが投入されたら、再度、ガラス転移点評価のシーケンスを実施する。シアントナーのガラス転移点の評価結果は、他の3色のトナーと同等になり、現像器交換を促すメッセージは消去される。また、各色のトナーで帯状のベタ画像を出力し、その各画像の光沢度を評価した結果を図13に示す。出力画像内の最大光沢度差は、2.9となった。
[比較例3]
本比較例3で使用する画像形成装置は、トナーのガラス転移点評価を実施せずに使用し、それ以外の構成は実施例2と同じである。出力した画像の光沢度を評価した結果を図14に示す。シアントナーのみ、光沢度が低く、出力画像内の最大光沢度差が16.4となった。
本比較例3で使用する画像形成装置は、トナーのガラス転移点評価を実施せずに使用し、それ以外の構成は実施例2と同じである。出力した画像の光沢度を評価した結果を図14に示す。シアントナーのみ、光沢度が低く、出力画像内の最大光沢度差が16.4となった。
実施例2と本比較例3の比較から、実施例2はトナーの物性が変化した場合でも、光沢度差が抑制できていることが分かる。
ここで、実施例1、比較例1、比較例2はフルカラー画像形成装置による単色の画像出力を想定しているがものカラー画像形成装置でも構わない。
《その他の事項》
(1)実施例1及び実施例2ではローラ方式の定着器を用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、ベルト定着器といった他の熱定着方式を用いても同等の効果を得ることができる。
(1)実施例1及び実施例2ではローラ方式の定着器を用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、ベルト定着器といった他の熱定着方式を用いても同等の効果を得ることができる。
(2)実施例1及び実施例2では定着器9を利用して、帯電したトナーの温度変化に伴う表面電位の変化を検知することでトナーのガラス転移点を評価した。しかし、定着器9とは別に、帯電したトナーの温度変化に伴う表面電位の変化を検知するトナー加熱測定部を設けてもよく、同等の効果を得ることができる。
(3)画像形成装置の画像形成方式は実施例の像担持体として電子写真感光体を用いた電子写真画像形成方式に限られない。画像形成装置は、像担持体として静電記録誘電体を用いた静電記録画像形成方式、像担持体として磁気記録磁性体を用いた磁気記録画像形成方式などの装置であってもよい。単色の画像形成装置であってもよい。転写方式に限られず記録材Pに対して直接方式でトナー像を形成する装置であってもよい。カラー画像形成装置に限られず、単色の画像形成装置であってもよい。
9・・・・定着器、11・・・・定着ローラ、12・・・・加圧ローラ、13・14・・・・ヒータ、15・・・・表面電位センサ、16・17・・・・温度センサ、18・・・・定着ローラクリーナ、21・・・・冷却ファン、40・・・・定着条件制御部
Claims (12)
- トナー像を加熱し定着する画像形成方法であって、帯電したトナーの温度変化に伴う表面電位の変化を検知し、検知結果に応じて定着条件を定着後のトナー像の光沢度が所定の光沢度となる方向に変更することを特徴とする画像形成方法。
- 前記定着条件の変更は、定着温度、定着速度、定着ニップ部の加圧力のうち少なくとも一つの変更を含むことを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
- トナー像を加熱し定着する定着部材に帯電したトナーを担持させてトナーの温度変化に伴う表面電位の変化を検知することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成方法。
- 前記検知結果がトナーのガラス転移点であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の画像形成方法。
- 複数種類のトナーを用いて画像形成がなされる場合において、前記検知結果が前記複数種類のトナーのそれぞれのガラス転移点の平均値であるであることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の画像形成方法。
- 前記複数種類のトナーのそれぞれのガラス転移点の内の最大値と最小値の差が所定の値よりも大きい場合には定着条件の変更を行わないことを特徴とする請求項5に記載の画像形成方法。
- トナー像を加熱し定着する画像形成装置であって、
帯電したトナーを加熱する加熱手段と、
前記加熱手段で加熱したトナーの温度を検知するトナー温度検知手段と、
前記加熱手段で加熱したトナーの表面電位を検知する表面電位検知手段と、
トナーの温度変化に伴う表面電位の変化を検知する表面電位変化検知手段と、
前記表面電位変化検知手段の検知結果に応じて定着条件を定着後のトナー像の光沢度が所定の光沢度となる方向に変更する制御部と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。 - 前記定着条件の変更は、定着温度、定着速度、定着ニップ部の加圧力のうち少なくとも一つの変更を含むことを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
- 前記加熱手段がトナー像を加熱し定着する定着部材であり、前記定着部材に帯電したトナーを担持させてトナーの温度変化に伴う表面電位の変化を検知することを特徴とする請求項7又は8に記載の画像形成装置。
- 前記検知結果がトナーのガラス転移点であることを特徴とする請求項7乃至9の何れか一項に記載の画像形成装置。
- 複数種類のトナーを用いて画像形成がなされる場合において、前記検知結果が前記複数種類のトナーのそれぞれのガラス転移点の平均値であるであることを特徴とする請求項7乃至10の何れか一項に記載の画像形成装置。
- 前記複数種類のトナーのそれぞれのガラス転移点の内の最大値と最小値の差が所定の値よりも大きい場合には定着条件の変更を行わないことを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置。
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