JP2016166399A - 高周波焼入れ用鋼およびその製造方法 - Google Patents

高周波焼入れ用鋼およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた転動疲労寿命を確保できる高周波焼入れ用鋼の提供。
【解決手段】C:0.4〜0.6%、Si:0.03〜1.0%、Mn:0.20〜2.0%、P:0.05%以下、S:0.0005〜0.01%、Cr:0.05〜0.50%、Al:0.01〜0.10%、Ca:0.0003〜0.0030%、Mg:0.0001〜0.003%、O:0.0030%以下、N:0.003〜0.030%、Cu:0〜1.0%、Ni:0〜3.0%、Mo:0〜0.15%、V:0〜0.30%、Nb:0〜0.10%、B:0〜0.0030%およびTi:0〜0.10%を含有し、(A)最大介在物径√areamaxが50μm以下(B)50%以上が、酸化物と硫化物をともに質量%で5%以上含む(C)CaO−Al23−MgOの3元系酸化物としたときの含有量と、(D)CaS、MnSの含有量と、が特定範囲にあることを満足する高周波焼入れ用鋼。
【選択図】なし

Description

本発明は、転動疲労寿命に優れた高周波焼入れ用鋼に関する。
自動車用部品の中でも、高い面圧が繰返し作用する「等速ジョイント」や「ハブユニット」といった部品(以下、「転動部材」ともいう。)には、優れた転動疲労特性が必要となる。「等速ジョイント」や「ハブユニット」の素材には、主としてJIS G 4051(2009)に記載の「機械構造用炭素鋼鋼材」が用いられており、転動疲労特性が必要な部位のみを高周波焼入れ処理によって硬化させることが行われている。
高周波焼入れのメリットとしては、必要な部位のみ硬化できることや、インライン処理ができるため、他のバッチ式の表面処理に比べて工程の自由度が高いことが挙げられる。
転動疲労特性は、鋼中の非金属介在物(以下、単に「介在物」ともいう。)、特に、酸化物と硫化物により低下することが知られている。そのため、従来は、鋼中のO(酸素)およびS(硫黄)の含有量を少なくする試みがなされており、その結果、転動疲労寿命も向上してきた。
自動車部品においては、エンジンの高出力化や部品の軽量化のニーズによって、上記部品の使用条件がますます高面圧化、高温化して過酷なものとなり、このため、より一層長い転動疲労寿命が求められるようになってきた。
しかしながら、単にOおよびSの含有量を低減させるだけでは所望の良好な転動疲労寿命を確保することができず、鋼中の酸化物と硫化物のサイズを小さくして転動疲労寿命を改善することが提案されている。
特許文献1には、特定の組成を有する線状または棒状の圧延鋼材であって、酸化物系と硫化物系からなる複合介在物の平均粒径と個数を限定した曲げ疲労強度および転動疲労強度に優れた高周波焼入れ用鋼が開示されている。
特許文献2には、Ca、Mgを含む特定の組成を有する転動疲労寿命に優れた「高周波焼入れ用非調質鋼」が開示されている。
また、本発明者も、特許文献3において、Ca/Oの値を制御し、酸化物を(Al、Ca)Oにすることによって、Al23酸化物の凝集および粗大化を抑制した「高周波焼入れ用鋼材」を提案している。
さらに、特許文献4においては、超音波疲労試験の破壊起点である介在物径を極値統計処理して予測される最大介在物径、および超音波疲労試験の破壊起点となる酸化物または硫化物の組成を限定した「高周波焼入れ用鋼材」が開示されている。
これらの鋼の疲労破壊の起点になりうる粗大介在物のサイズを評価する方法としては、非特許文献1に、極値統計処理によるものが提案されている。
特開平11−1749号公報 特開2004−250769号公報 国際公開第2014/027463号 特開2013−185250号公報
村上敬宜:金属疲労 微小欠陥と介在物の影響(1993)、[養賢堂]
特許文献1で開示されている高周波焼入れ用鋼は、平均粒径が10μm以上の酸化物系と硫化物系の粗大複合介在物を極力少なく抑えれば、曲げ疲労特性と転動疲労特性が向上するとの知見に基づくものである。そして、上記の粗大複合介在物を低減させるために、Al、SおよびOの含有量を適正範囲に制御したうえで、鋳片の冷却速度ならびに、圧延時の加熱条件および圧延条件を制御することが提案されている。しかしながら、特許文献1では、転動疲労特性に及ぼす酸化物および硫化物の組成の影響とその制御については全く考慮されていない。そのため、AlやO、Sの含有量が少ない場合でも、粗大な酸化物あるいは硫化物が出現し、優れた転動疲労寿命が得られないことがある。
特許文献2で開示されている高周波焼入れ用鋼は、Caを0.0003〜0.0020%添加することによって、MnSのアスペクト比を小さくして、転動疲労寿命の向上を図った鋼である。しかし、寿命向上に必要な酸化物の形態制御については十分検討されていない。
また、本発明者らが提案した特許文献3は、溶鋼段階で起こるAl23酸化物の凝集および粗大化を抑制するために、Ca、OおよびS量を制御したものであって、転動疲労寿命に優れる鋼を実現した。しかし、この発明では、転動疲労寿命に及ぼす凝固後の介在物組成については検討していない。
特許文献4は、疲労破壊の起点となりうる酸化物系および硫化物系の介在物の組成を制御し、転動疲労特性を向上させたものである。しかし、実際の破壊起点となる介在物は必ずしも酸化物あるいは硫化物として別個に存在するものではないという問題がある。また、粗大介在物を転動疲労特性に対して無害化するために必要な、溶鋼段階および凝固段階での介在物組成・形態の制御については考慮されていない。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、その目的は、鋼中の非金属介在物、特に溶鋼段階および凝固後の鋼材に含まれる酸硫化物の組成および形態を適切に制御することにより、転動部材の過酷な使用環境下においても、転動疲労による破損に対して良好な耐久性を有し、優れた転動疲労寿命を確保できる高周波焼入れ用鋼を提供することにある。
一般に、転動疲労は、鋼材中に存在する介在物に繰返し荷重が加わり、応力集中によってき裂が生じ、その後、繰返し荷重によってき裂が徐々に進展し、最終的に剥離に至る現象である、と理解されている。
そこで、本発明者らは、介在物の組成と形態に着目して検討を行い、下記の(a)〜(f)の重要な知見を得た。
(a)Caによって、硫化物の組成を制御することができる。具体的には溶鋼中にCaを添加した際に、溶鋼中あるいは鋼の凝固段階でCaがSと結びつき、(Mn、Ca)SおよびCaSを生成する。(Mn、Ca)SおよびCaSの生成により、硫化物の径が小さくなり、分散するため、転動疲労の応力集中源となる粗大なMnS硫化物が低減する。
(b)Oの含有量を低減させた場合でも、酸化物がAl23を主体とするものである場合には、凝集、合体して粗大な介在物として存在することがあり、このときには良好な転動疲労寿命が得られない可能性がある。
(c)上述したCaの添加を、アルミキルド鋼(以下、「Alキルド鋼」という。)の溶鋼段階で行った場合には、脱酸生成物Al23はCaと反応し、低融点組成酸化物の(Al、Ca)Oに変化する。このとき、溶鋼中で酸化物は球状化し、凝集粗大化が抑制される。
(d)Sを含む鋼が凝固する際に、未凝固の溶鋼にSが濃縮し、同時に介在物が溶鋼中に押し出される傾向がある。Caを添加したAlキルド鋼では、凝固が進み、Sが溶鋼に濃化するのに従い、球状(Al、Ca)Oに含まれるCaOが、鋼中のAl、Mg、Sと
3CaO + 2Al + 3 → Al23 + 3CaS
CaO + Mg → MgO + CaS
の反応を起こす。そのため、Ca、S、Mgを含むAlキルド鋼が凝固する際には、酸化物の組成に占めるCaOの比率が減少し、Al23およびMgOの分率が高くなる。特に、安定性の高いAlとMgの酸化物であるAl2MgO4が増加する。また、この反応により生ずるCaSは、酸化物の周囲に付着し、酸化物との複合介在物を形成する。
(e)(d)で示した反応により酸化物中のCaOの比率が低下し、CaSとの複合介在物を形成したCa+S添加鋼では、(d)の反応を起こさず、(Al、Ca)Oが低融点組成のまま残ったCa添加鋼に比べて、転動疲労寿命が向上する。
(f)以上の知見により、転動疲労寿命を向上させるためには、溶鋼段階でCaによりAl23を(Al、Ca)Oに変化させ凝集を抑制した後、凝固段階でのCaS生成により、(Al、Ca)の多い酸化物をAl23およびMgOの多い酸化物に変化させ、CaSとの複合介在物とするのが望ましい。
なお、酸化物としては、SiO、MnOなども生成するが、その酸化物全体に対する割合は低い。
本発明は、上記の技術的思想とそれに基づく知見によって完成されたものであり、その要旨は、下記の(1)に示す高周波焼入れ用鋼および(2)に示すその製造方法にある。
(1)質量%で、C:0.4〜0.6%、Si:0.03〜1.0%、Mn:0.20〜2.0%、P:0.05%以下、S:0.0005〜0.01%、Cr:0.05〜0.50%、Al:0.01〜0.10%、Ca:0.0003〜0.0030%、Mg: 0.0001〜0.003%、O:0.0030%以下、N:0.003〜0.030%、Cu:0〜1.0%、Ni:0〜3.0%、Mo:0〜0.15%、V:0〜0.30%、Nb:0〜0.10%、B:0〜0.0030%およびTi:0〜0.10%を含み、残部はFeおよび不純物からなる組成を有し、
かつ、鋼材の圧延方向と垂直方向に採取した超音波疲労試験片を疲労破壊させた時、破壊起点に存在する介在物が、以下の(A)〜(D)を満たすことを特徴とする高周波焼入れ用鋼。
(A)介在物径の分布を極値統計処理した時、被検体積144mm3中に予測される最大介在物径√areamaxが50μm以下である
(B)介在物のうちの50%以上が、酸化物と硫化物をともに質量%で5%以上含む、酸化物と硫化物の複合介在物である
(C)介在物中の酸化物をCaO−Al23−MgOの3元系酸化物と見なしたときに、その平均組成における質量%での含有量がCaO:0〜20%、MgO:10%超40%以下である
(D)介在物全体の平均組成に占めるCaS、MnSの質量%での含有量がそれぞれ10〜60%、0〜20%の範囲にある
(2)上記(1)に記載の組成の鋼の精錬における脱酸工程において、脱酸元素の添加順序をC、Al、Caとすること、および、前記溶鋼を鋳型内で凝固させる際、鋳型短辺中央の内側面から鋳型中心までの距離の1/2部において、液相線温度から固相線温度までの平均冷却速度を50℃/分以下とすることを特徴とする高周波焼入れ用鋼の製造方法。
本発明の高周波焼入れ用鋼は、転動疲労による破損に対して良好な耐久性を有し、転動疲労寿命に優れ、自動車部品として使用される「等速ジョイント」や「ハブユニット」といった高周波焼入れを行う転動部材の素材として好適に用いることができる。
本発明の実施例において、直径80mmφの丸棒から、板材の切り出しを行う位置、および、板レーザ溶接を行う位置を示す図である。 本発明の実施例における、超音波疲労試験片の粗加工品の形状を示す図である。 本発明の実施例における、超音波疲労試験片の仕上げ加工形状を示す図である。 実施例において、直径が60mmで厚みが10mmの素形材の片面の中心から半径17.5〜22.5mmの環状領域に対し、高周波加熱処理を施す方法を説明する図である。
以下、本発明の各要件について詳しく説明する。なお、各元素の含有量は「質量%」を意味する。
(A)鋼の化学成分:
C:0.4〜0.6%
Cは、高周波焼入れ後に転動部に必要な硬さを確保させる元素であり、0.4%以上の含有量とする必要がある。しかしながら、Cの含有量が0.6%を超えると、母材が硬くなって、鍛造性が著しく悪化するとともに切削時の工具寿命の低下をきたし、さらには高周波焼入れ部の靭性低下の原因となるため、転動疲労寿命が低下する可能性がある。C含有量の好ましい下限は0.42%であり、さらに好ましくは0.48%、さらに好ましくは0.50%である。C量の好ましい上限は0.58%である。
Si:0.03〜1.0%
Siは、焼戻し軟化抵抗を高めて転動疲労寿命を向上させるのに必要な元素であり、0.03%以上含有させなければならない。しかしながら、1.0%を超えてSiを含有させても焼戻し軟化抵抗の向上効果は飽和し、さらに母材が硬くなって、鍛造性が著しく悪化し、また、切削時の工具寿命の低下をきたしてしまう。Si含有量の好ましい下限は0.10%であり、さらに好ましくは0.12%である。Si含有量の好ましい上限は0.8%である。
Mn:0.2〜2.0%
Mnは、高周波焼入れ後に転動部に必要な硬さを確保させる元素であり、0.2%以上含有させなければならない。しかしながら、2.0%を超えてMnを含有させても上記の効果は飽和し、さらに母材が硬くなって、鍛造性が著しく悪化する。加えて、切削時の工具寿命の低下をきたしてしまう。Mn含有量の好ましい下限は0.3%であり、さらに好ましくは0.5%である。Mn含有量の好ましい上限は1.5%であり、さらに好ましくは1.2%である。
P:0.05%以下
Pは、不純物として鋼中に含まれ、結晶粒界に偏析して転動疲労寿命を低下させる。特に、その含有量が0.05%を超えると、転動疲労寿命の低下が著しくなる。Pの含有量は、極力低くすることがよく、好ましくは0.02%以下である。
S:0.0005%以上0.010%未満
Sは、本発明を特徴づける、重要な元素である。Sは、鋼の凝固時に球状酸化物中のCaOと反応し、CaSを含む複合介在物を形成することによって、球状酸化物に占めるAl23およびMgOの分率を高める効果をもつ。そのため、Sの含有量は0.0005%以上が必要である。しかし、Sが0.010%以上含まれている場合には、Caに対して過剰となり、CaSを形成せずに残ったSは、凝固の最終段階で溶鋼中のMnとMnSを形成する。これは粗大な介在物となりやすいため、転動疲労寿命の向上という観点からは避けるべきである。好ましいSの含有量は0.006%以下、さらに好ましくは0.004%以下である。
Cr:0.05〜0.50%
Crは、高周波焼入れ後に転動部に必要な硬化層深さを確保するのに必要な元素であり、0.05%以上含有させなければならない。しかしながら、0.50%を超えてCrを含有させると、高周波熱処理の場合には却って焼入れ性が低下する。また、切削時の工具寿命の低下もきたす。Cr含有量の好ましい下限は0.10%である。Cr含有量の好ましい上限は0.40%であり、さらに好ましくは0.30%である。
Al:0.01〜0.10%
Alは、脱酸作用を有するとともに、Nと結合してAlNを形成し、焼入れ部の結晶粒の粗大化を抑制する。この効果を得るためには、Alを0.01%以上含有する必要がある。しかし、その含有量が0.10%を超えると、高周波焼入れ性の低下が著しくなる。Al含有量の好ましい上限は0.08%であり、さらに好ましくは0.05%である。
本実施形態においてAl含有量とは、全Alの含有量を意味する。
Ca:0.0003〜0.0030%
Caは、酸化物として、適量の(Al、Ca)Oを形成する。(Al、Ca)Oが形成されれば、溶鋼と介在物の間の界面エネルギーが低下し、酸化物の凝集力が低下する。そのため、鋼中の酸化物の粗大化が抑制され、転動疲労寿命が高まる。また、Caは鋼中のSと結びつきCaSあるいは(Mn、Ca)Sを形成することによって、Sが最終凝固部に集まり、粗大なMnSを形成することを抑制している。上述したCaの各効果は、Caの含有量が0.0003%以上で発揮される。しかしながら、Caの含有量が0.0030%を超えると、前記の効果が飽和するだけではなく、酸化物がCaOを多く含む粗大介在物を形成しやすい組成のものとなり、結果として転動疲労寿命の低下を招く場合がある。Ca含有量の好ましい上限は0.0025%、さらに好ましくは0.0020%である。
Mg:0.0001%以上0.0030%以下
Mgは、凝固段階で酸化物中のOと結びつき、酸化物組成をCaOの多いものから(Al、Mg)Oの多いものに変化させる反応を促進する。このMgの効果は、Mgの含有量が0.0001%以上で発揮される。しかしながら、Mgが0.0030%を超えると、MgOの単独組成の酸化物が多量に形成され、転動疲労寿命の低下を招く場合がある。Mg量の好ましい上限は0.0010%、さらに好ましくは0.0008%である。
O:0.0030%以下
Oは、不純物として鋼中に含まれる。Oの含有量が多くなって、特に、0.0030%を超えると、鋼中に粗大な酸化物として残存し、転動疲労寿命の低下を招く。Oの含有量は、極力低くすることがよく、好ましい上限は0.0025%であり、さらに好ましくは0.0020%である。
N:0.003〜0.030%
Nは、鋼中のAlと結合してAlNを形成し、焼入れ部の結晶粒粗大化を抑制する作用を持つ。この効果を得るためには、Nの含有量を0.003%以上とする必要がある。しかし、その含有量が0.030%を超えると粗大な窒化物を生成し、転動疲労寿命の低下を招くおそれがある。N含有量の好ましい下限は0.0040%であり、さらに好ましくは0.0050%である。
なお、焼入れ部の結晶粒粗大化の抑制効果を得るため、後述するVおよびNbのうちの1種以上を含有する場合には、これらの元素の窒化物を生成させる必要がある。そのため、VおよびNbのうちの1種以上を含有する場合には、N含有量の好ましい下限は0.0050%である。
また、高周波焼入れ時の焼入れ性向上効果を得るため、後述するように、BおよびTiを含有する場合には、BとNの結合を極力抑制する必要がある。そのため、BおよびTiを含有する場合には、N含有量の好ましい上限は0.010%であり、さらに好ましくは0.008%である。
なお、Caが酸化物(Al、Ca)Oを形成し、酸化物の凝集および粗大化をより安定的に抑制するためには、Ca量とO量の含有量のバランスが重要である。そのため、0.7≦Ca/O≦2.0となるように制御することが好ましい。
また、Sは凝固段階で酸化物(Al、Ca)O中のCaと反応することによって、酸化物中のCaOを低下させる。そのためSは、溶鋼および酸化物内のCaとCaSを形成するだけの量が存在することが好ましい。その一方で、Caと反応する量を大きく超えてSが存在すると、粗大なMnS生成の原因となる。以上のことから、Ca量とS量の関係は、−0.0030<Ca−1.25S<0.0005を満たすのが好ましい。
本発明の高周波焼入れ用鋼材は、上述の各元素を含み、残部がFeおよび不純物からなるものである。なお、「不純物」とは、鋼を工業的に製造する際に、原料としての鉱石、スクラップ、または製造環境などから混入するものであって、本発明に悪影響を与えない範囲で許容されるものを意味する。
本発明の高周波焼入れ用鋼材には、上述のFeの一部に代えて、Cu、Ni、Mo、VおよびNbから選択される1種以上の元素ならびに/または、BおよびTiを含有させてもよい。
Cu:1.0%以下
Cuは、CやMnと同様に、高周波焼入れ後に転動部に必要な硬さを確保させる作用を有する。したがって、Cuを含有させてもよい。しかしながら、Cuの含有量が1.0%を超えると、疲労強度の低下を招き、また熱間加工性が低下する場合がある。
一方、前記したCuの効果は、その含有量が0.05%以上の場合に安定して得られる。
Ni:3.0%以下
Niは、CやMnと同様に、高周波焼入れ後に転動部に必要な硬さを確保させる作用を有する。したがって、Niを含有させてもよい。しかしながら、Niの含有量が3.0%を超えると、疲労強度の低下を招く場合がある。
一方、前記したNiの効果は、その含有量が0.05%以上の場合に安定して得られる。
Mo:0.15%以下
Moも、CやMnと同様に、高周波焼入れ後に転動部に必要な硬さを確保させる作用がある。したがって、Moを含有させてもよい。しかしながら、0.15%を超えてMoを含有させても前記の効果は飽和し、コストが嵩むばかりである。
一方、前記したMoの効果は、その含有量が0.02%以上の場合に安定して得られる。
上記のCu、NiおよびMoは、そのうちのいずれか1種のみ、または、2種以上の複合で含有させることができる。これらの元素を複合して含有させる場合の合計量は、最大4.15%であってもよい。
高周波加熱は、短時間といえども高温まで加熱される。このため、本発明に係る高周波焼入れ用鋼材には、焼入れ部の結晶粒粗大化抑制作用を有するVとNbの1種以上を次に述べる範囲で含有させてもよい。
V:0.30%以下
Vは、Nと結合して窒化物を形成するため、焼入れ部の結晶粒粗大化を抑制する作用がある。さらに、Vには、Cと結合することで母材の強度を上昇させる作用もある。したがって、Vを含有させてもよい。ただし、0.30%を超えてVを含有させても焼入れ部の結晶粒粗大化を抑制する効果が飽和し、さらに母材の強度が高くなりすぎて被削性が低下してしまう場合がある。十分な被削性を確保するためのV含有量の上限は、好ましくは0.20%である。
一方、前記したVの効果は、その含有量が0.01%以上の場合に安定して得られる。
Nb:0.10%以下
Nbは、Nと結合して窒化物を形成するため、焼入れ部の結晶粒粗大化を抑制する作用がある。さらに、Nbには、Cと結合することで母材の強度を上昇させる作用もある。したがって、Nbを含有させてもよい。ただし、0.10%を超えてNbを含有させても焼入れ部の結晶粒粗大化を抑制する効果が飽和し、さらに母材の強度が高くなりすぎて被削性が低下してしまう場合がある。十分な被削性を確保するためのNb含有量の上限は、好ましくは0.05%である。
一方、前記したNbの効果は、その含有量が0.01%以上の場合に安定して得られる。
上記のVおよびNbは、そのうちのいずれか1種のみ、または、2種の複合で含有させることができる。これらの元素を複合して含有させる場合の合計量は、最大0.40%であってもよい。
本発明に係る高周波焼入れ用鋼材には、より良好な高周波焼入れ性を確保するために、次に述べる量のBとTiを複合して含有させてもよい。
B:0.0030%以下
Bは、微量の含有で鋼の焼入れ性を大きく向上させて、焼入れ後に転動部に必要な硬化層深さを一層大きくすることができる元素である。したがって、Bを含有させてもよい。しかしながら、Bの含有量が0.0030%を超えてもその効果は飽和してしまう。
一方、前記したBの効果は、その含有量が0.0005%以上の場合に安定して得られる。
Ti:0.10%以下
Bを含有することによって焼入れ性が向上するのは、Bが化合物ではなく、固溶状態で存在する場合である。そのため、BがNと結合してBNを形成した場合には、Bによる焼入れ性向上効果は期待できない。したがって、上記の量のBを含有させる際、BよりもNとの親和力が大きく窒化物形成能が強いTiを複合して含有させる。しかしながら、0.10%を超える量のTiを含有させても、Nを固定する効果が飽和するばかりか、粗大なTiNが多量に生成してしまうため、転動疲労特性が低下する場合がある。
一方、前記したTiの効果は、その含有量が0.005%以上の場合に安定して得られる。
(B)非金属介在物:
(B−1)非金属介在物のサイズ
本発明においては、鋼材の圧延方向と垂直方向に採取した超音波疲労試験片を疲労破壊させた時、破壊起点に存在する介在物の径の分布を極値統計処理した時、被検体積144mm3中に予測される最大介在物径√areamaxが50μm以下でなければならない。被検体積144mm3とは、以下に説明するように、転動疲労試験の被検体積である。
以下に、非特許文献1に示されている極値統計処理によって、転動疲労試験の被検体積中の最大介在物√areamaxを予測する方法を説明する。
まず、鋼材の圧延方向と垂直方向に採取した超音波疲労試験片を用いた疲労試験を行い、疲労破壊後の破壊起点に存在する介在物の径である√areaを、各鋼種n本の試験片で評価する。nは10以上の整数である。√areaを評価する際には、介在物を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、介在物の長径と短径を測定し、√area=(長径×短径)1/2として、各試験片でそれぞれ起点介在物径√areaを求める。複数の介在物が連なって存在している場合には、まとめて1つの介在物と見なし評価する。但し、連なった介在物のうち小さい方の√areaより介在物間の隙間のほうが大きい場合には両者を分断された介在物と見なし、隙間のほうが小さい場合には両者をまとめて1つの介在物とする。
予測体積である転動疲労試験の被検体積をV、検査基準体積である超音波疲労試験片の体積をV0とする。超音波疲労試験片n本の破壊起点に存在する介在物の径√areaを小さい方から並べ、それぞれ√areaj(j=1〜n)とする。これらに対して累積分布関数Fjおよび基準化変数yj
j=j/(n+1)
j=−ln(−ln(Fj))
の式により計算する。√areajとyjの間に直線関係が成り立つと見なし、最小二乗法で√areajとyjの関係を求め、最大介在物分布直線
√area=a×y+b ・・・(1)
を計算する。
そして、予測体積と検査基準体積から再帰期間Tおよびそれに対応する基準化変数yを
T=(V+V0)/V0
y=−ln[−ln[(T−1)/T]]
によって求め、yを上記(1)式の最大介在物分布直線に代入したときの√areaを最大介在物径√areamaxとする。
転動疲労試験の被検体積(V)は、後述の実施例で用いる森式転動疲労試験片10枚分の被検体積とする。転動疲労特性をL10寿命によって評価しており、その際には転動疲労試験片10枚で試験を行うためである。試験に用いる転動体の直径は9.53mmで、最大接触応力は5230MPaであるため、ヘルツ応力がかかる軌道の幅は0.7mm、最大応力の90%以上がかかる深さは0.17mmである。また、軌道の半径は19.25mmであるため、試験片1枚分の被検体積は2π×19.25mm×0.7mm×0.17mm=14.4mm3である。従って転動疲労試験の被検体積Vは、14.4mm3×10P=144mm3である。
また、後述の実施例で用いた超音波疲労試験片は図3に示す形状であり、最大応力の90%以上がかかる被検体積は46.1mm3であるため、V0=46.1mm3である。VおよびV0から、本発明の実施例の再帰期間に対応する基準化変数yを求めると、y=1.28となる。
(B−2)酸化物と硫化物の複合介在物の比率
以下では、各鋼種の、超音波疲労試験片に破壊起点に現れるn個の介在物のうちの、酸化物と硫化物をともに質量%で5%以上含む酸化物と硫化物の複合介在物の比率を、「複合介在物の比率」と呼ぶ。本発明の鋼においては、複合介在物の比率が50%以上でなければならない。複合介在物の比率がこの範囲から外れることは、本発明を特徴づける介在物制御である、CaによるAl23酸化物凝集の抑制、あるいは、Sとの反応による組成変化が起こらず、粗大なクラスター状のAlや(Al、Ca)Oのまま残存した介在物が存在することを意味する。これらの介在物は、CaおよびSとの反応により組成および形態が制御された、予測最大介在物径√areamaxが同等の複合介在物に比べ、転動疲労特性に対し有害となるため、鋼材の転動疲労寿命が低下する。
(B−3)酸化物の平均組成
本発明においては、超音波疲労試験片の破壊起点に現れる介在物に含まれる酸化物をCaO−Al23−MgOの3元系酸化物と見なしたときに、その平均組成における質量%での含有量がCaO:0〜20%、 MgO:10%超40%以下の範囲になければならない。
以下に、各酸化物組成の限定理由を示す。
CaO:0〜20%
Alキルド鋼の介在物において、CaOは、低融点の球状介在物である(Al、Ca)Oを形成する。CaOが20%以上存在する場合には、酸化物に占める(Al、Ca)Oの割合が半分以上と高くなるが、(Al、Ca)Oは鋼材のマトリックスと比較してヤング率が低い介在物であるため、転動疲労時には介在物周囲で負荷応力が局所的に増大し、疲労き裂の発生および進展が促進され、結果として転動疲労特性が低下する。そのため、本発明の鋼において酸化物中に最終的に残存するCaOを20%以下とした。
MgO:10%超40%以下
鋼の凝固段階で、濃化した溶存SとCaOが反応しCaSが生成して、CaOが減少する方向に酸化物組成を変化させる。この反応は、酸化物Al2MgO4が形成する条件において最も促進される。凝固後の段階で酸化物中のMgOが10%以下となる条件では、酸化物中のCaOの減少が十分に起こっておらず、転動疲労特性に有害な(Al、Ca)Oが残存している。また、MgOの酸化物全体に占める割合が、Al2MgO4に占めるMgOの割合である28%を大きく越える条件、特に40%を超える場合には、単独のMgOが生成しやすく、これらは凝集して粗大なクラスターとなりやすい。
(B−4)介在物中に占める硫化物の含有量
さらに、本発明においては、超音波疲労試験片の起点に現れる介在物全体の平均組成に占めるCaS、MnSの質量%での含有量がそれぞれ10〜60%、0〜20%の範囲になければならない。以下に、各硫化物の含有量の限定理由を示す。
CaS:10〜60%
本発明で規定する鋼は、溶鋼の段階でAl23の凝集がCaにより抑制され、酸化物が(Al、Ca)Oとなった後に、凝固の段階で酸化物中のCaがSと反応し、Al23,MgOの割合が高い酸化物とCaSの複合介在物となることを特徴とする鋼である。凝固段階で生成したCaSの一部は、酸化物に付着し、複合介在物となるため、介在物の組成および形態制御が適切に行われた際には、超音波疲労起点に現れる複合介在物にCaSが含まれる。最終的な酸化物の組成が(B−3)で規定する範囲に含まれていても、介在物全体に占めるCaSの含有量が10%未満である場合には、溶鋼の段階から凝固終了時までの間、酸化物中に含まれるCaが少ないままであり、Al23の凝集のCaによる抑制が不十分であることが考えられる。また、CaSの含有量が60%を超える場合には、溶鋼の段階で酸化物中のCaの含有量が高く、単独のCaOが存在していたため、酸化物の凝集の抑制が不十分となる。
MnS:0〜20%
溶鋼中のSの中で、酸化物中のCaとCaSを形成しなかったものは、凝固最終段階でMnSを形成する。超音波疲労試験の破壊起点となった介在物の平均組成が、20%以上のMnSを含有している場合には、酸化物やCaS、およびそれらの複合介在物だけではなく、MnSを主体とする介在物が粗大な介在物として存在する。これらのMnSを主体とする粗大な介在物は、転動疲労特性に害を与えるものであり、よって、MnS生成量を20%以下に抑える必要がある。MnSは起点に現れる介在物中に全く含まれなくてもよい。
なお、(B−2)に示した複合介在物の判別や、(B−3)、(B−4)に示した酸化物組成および介在物中の硫化物の含有量の測定は、以下の(1)〜(7)に示す方法で介在物の各成分の量を求めることによって行う。
(1)超音波疲労試験片の破壊起点に現れた介在物すべてを含むようにエネルギー分散型X線分光法の面分析を行い、介在物の平均組成に対応するスペクトルを得る。
(2)得られたスペクトルから介在物中のMg、Al、S、Ca、Mnのモル分率を求める。以下では各元素のモル分率を[Mg]、[Al]、[S]、[Ca]、[Mn]とする。
(3)Mnは優先的にSと結びつくため、[S]、[Mn]のうち少ない方を、介在物全体に占めるMnSのモル分率とする。以下ではこれを{MnS}とする。
(4)残ったSはCaと結びつくため、[S]−{MnS}、[Ca]のうち少ない方をCaSのモル分率とする。以下ではこれを{CaS}とする。
(5)CaSを形成しなかったCaは酸化物を形成する。そのため[Ca]−{CaS}を、CaOのモル分率とする。
(6)Mg、Alは超音波疲労起点の介在物では酸化物を形成するため、[Mg]、[Al]/2をそれぞれMgO、Al23のモル分率とする。
(7)各試験片の破壊起点の介在物について、(3)〜(6)で求めた各化合物のモル分率から各化合物の質量分率を求め、これを各試験片から得られた破壊起点介在物について平均することにより、酸化物の組成および介在物中に占めるCaS、MnSの含有量を求める。
なお、上述の化学組成および介在物を持つ高周波焼入れ用鋼は、以下に示す精錬工程および鋳造工程で製造する。
[精錬工程]
精錬工程では、溶鋼を精錬する。精錬はたとえば、RH(Ruhrstahl−Heraeus)を用いた真空脱ガス処理である。本実施形態に係る高周波焼入れ用鋼の製造方法では、溶鋼を精錬する際の脱酸剤の投入順序が重要となる。本発明では、脱酸時に加える元素であるC、Al、Caの原料を、この順に加えることを特徴とする。
溶鋼をCで脱酸し、生成するCOを系外に排出した後、溶鋼にAlを投入し、溶鋼をAl脱酸する。好ましくは、Al脱酸後の溶鋼中のO含有量(全酸素量)を0.0030%以下にする。そしてAl脱酸後、Caを溶鋼に投入して脱酸を行う。Caによる脱酸にはたとえば、Ca−Si合金の添加や、CaO−CaF2フラックスを用いることができる。Caによる脱酸後、真空脱ガス処理を含む精錬をさらに実施してもよい。以上の工程により、上記の化学成分および介在物組成をもつ溶鋼を製造する。
最初にC脱酸を行うのは、Al脱酸前に酸素をCOとして系外に排出することによって、Al脱酸で生成する酸化物の量を低減させるためである。
また、Al脱酸の後、Caによる脱酸を行うのは、Al23酸化物が(Al、Ca)Oに変化し、凝集が抑制されるためである。また、Alより先にCa添加をすると、単独のCaOが生成し、粗大なクラスターとなり鋼材内に残りやすく、転動疲労特性に対し有害となるためでもある。
なお、MgOを形成する強脱酸元素である微量Mgの添加の方法および順序については、特に規定しない。例えば、MgOを含む炉壁の一部が還元されてMgが溶鋼中に混入し、本発明の請求項で規定したMg量の条件を満たしたものでもよい。
[鋳造工程]
精錬後の溶鋼を用いて、鋳片を製造する。
本実施形態では、鋳込み中の鋳片の冷却速度RCを、50℃/分以下とするのが好ましい。冷却速度とは、溶鋼を鋳型内で凝固させる際、鋳型短辺中央の内側面から鋳型中心までの距離の1/2部において、液相線温度から固相線温度までの平均冷却速度である。冷却速度RCが50℃/分を超えれば、鋳込み中において、生成した粗大酸化物系介在物が浮上する前にトラップされ、その結果、介在物径が粗大となりやすくなる。また、溶鋼中で未凝固部に濃化したSとの反応が十分に起こらないまま周囲の鋼が凝固するため、酸化物がCaOを多く含んだまま残存する。
製造された鋳片や鋼塊を、熱間加工して、ビレットを製造する。ビレットを、熱間加工により棒鋼にする。この際には、圧下比が6以上の圧延を行うのが望ましい。圧下比が大きいほど比較的軟質な介在物は延伸する傾向があるが、圧下比が6以上であれば、圧延方向と平行な断面で測定した予測最大介在物径√areamaxに大きな差は生じない。圧下比は、鋳片の断面積を最終の圧下によって得られた圧延軸受鋼鋼材の断面積で除した値を示すものである。
以下に、高周波焼入れ用鋼を用いた熱間鍛造品の製造工程を説明する。
棒鋼は、熱間鍛造される。熱間鍛造された鋼材に対して、必要に応じ焼準処理を実施する。さらに、必要に応じて、熱間鍛造された高周波焼入れ用鋼材に対して機械加工を実施し、所定の形状にする。機械加工された高周波焼入れ用鋼材に対して調質処理を実施してもよい。
以上の工程を経た高周波焼入れ用鋼材に対して、高周波焼入れが実施される。本実施形態の高周波焼入れ用鋼材は、高周波焼入れが実施された後、優れた転動疲労寿命を有する。
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明する。
表1に示す化学組成を有する鋼1〜35を、真空溶解炉を用いて溶製し、SiO2製の坩堝に鋳込み、150kg鋼塊を作製した。この鋼の脱酸時に添加した元素の順序および、その後の鋳込み時の冷却速度RCを、表2に示す。鋼1〜29、32〜35の溶製に際しては、C脱酸を行った後にAlで脱酸処理を施し、その後に、Ca−Si合金を加えてCa量を調整した。鋼30は、C脱酸の後、先に脱酸元素としてCaを添加してから、Alの添加を実施した。鋼31は、脱酸元素としてAlを添加した後、Cを添加し、その後Ca処理を行った。
Figure 2016166399
Figure 2016166399
各鋼塊を一旦室温まで冷却した後、化学組成に応じて1200〜1300℃の温度域に加熱し、仕上げ温度を1000℃以上として熱間鍛造して、直径80mmの丸棒とした。なお、熱間鍛造後の冷却は大気中での放冷とした。
次いで、上記直径の80mmの各丸棒を、850℃で30分加熱した後、大気中で放冷した。
上記のようにして得た鋼1〜35の丸棒から、図1に示すように、半径方向中心から20mmの位置を中心に、幅方向から図2に示す粗形状の超音波疲労試験片を各10P採取した。この際、粗形状の試験片の長さが丸棒の径よりも長く必要であったため、鋼材SM490を両側に電子ビームで溶接してから、加工を行った。上記の超音波疲労試験片の、試験部の中心から長手方向に前後17mmずつの範囲に対し、周波数:30kHz、出力:100kW、加熱時間:1.7秒の条件で高周波加熱した後、水冷により半径方向中心までマルテンサイト化するよう焼入れを行い、さらに150℃で1時間加熱して大気中で放冷する焼戻しを行った。その後、試験片を、図3に示す形状に仕上げ加工した。なお、図1〜3に示す長さの単位はmmである。
上記仕上げ加工した超音波疲労試験片を用いて超音波疲労試験を実施した。具体的には、周波数20kHz、応力振幅800MPa、応力比−1の条件で破壊が起こるまで疲労試験を実施した。繰り返し数が107となるまで破壊しなかった場合は、応力を100MPa上昇させ疲労試験を実施した。破断した試験片の起点介在物の√areaは、介在物を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、前記の方法で求めた。
超音波疲労試験片の被検体積は、最大応力の90%以上の応力がかかる46.1mm3である。そして、非特許文献1を参考にして、転動疲労試験片10Pに相当する144mm3中の予測最大√areamaxを極値統計によって求めた。
超音波疲労試験片の破壊起点に現れた介在物すべてを含むようにエネルギー分散型X線分光法の面分析を行い、介在物の平均組成に対応するスペクトルを得た。これらの介在物に含まれるCaS、MnSの含有量および、酸化物の平均組成を各起点において求め、この結果から各鋼種の複合介在物の比率を求めた。そして、各鋼種の起点介在物10Pでこれらの値の算術平均をとり、鋼種毎のCaS、MnSの含有量および、酸化物の平均組成を求めた。
上記の介在物評価の結果を、表3に示す。鋼1〜19は、表1に示す化学組成および表3に示す介在物の組成および形態が本発明で規定する範囲内にある鋼である。鋼20〜29は、表1に示す化学組成が本発明で規定する条件から外れた比較例の鋼である。また、鋼30〜32は、表1に示す化学組成が本発明で規定する範囲内にあるものの、表2に示す脱酸元素の添加順序あるいは冷却速度が好ましい値ではないため、表3に示す介在物の組成もしくは形態が本発明で規定する条件から外れている鋼である。鋼33〜35は、表1に示す化学組成が本発明で規定する範囲内にあるものの、CaとO量の関係およびCaとS量の関係が好ましい値ではないため、表3に示す介在物の組成もしくは形態が本発明で規定する条件から外れている鋼である。
Figure 2016166399
また、鋼1〜35の直径80mmの丸棒の中心部から、長手方向が素形材の厚みとなるように、直径が60mmで厚みが10mmの素形材をスライスして採取した。
図4に示すように、上記の直径が60mmで厚みが10mmの素形材の片面の中心から半径17.5〜22.5mmの環状領域に対し、周波数:30kHz、出力:100kW、加熱時間:1.7秒の条件で高周波加熱した後、水冷により焼入れを行い、さらに150℃で1時間加熱して大気中で放冷する焼戻しを行った。高周波加熱においては、焼入れ部の形状に合わせて円形にしたコイル2を、回転させた円盤状の試験片1の上部に近づけて加熱した。
さらに、上記の「高周波焼入れ−焼戻し」をした素形材について、高周波焼入れを行った面の表面を、削りしろが1mm以内になるよう鏡面加工した後、高周波焼入を行った面の裏面を研削することにより、厚さ5.0mmの転動試験片を作製して、鏡面加工した面が試験面となるようにして、転動疲労試験に供した。
転動疲労試験は、スラスト型の転動疲労試験機を用いて、最大接触面圧5230MPa、繰返し速度1800cpm(cycle per minute)の条件で行った。試験部は、試験片の中心から半径19.25mmの環状領域とした。鋼球として、JIS G 4805(2008)に規定されたSUJ2調質材を用いた。表4に、転動疲労試験の詳細条件を示す。
Figure 2016166399
転動疲労試験結果は、ワイブル分布確率紙上にプロットし、10%破損確率を示すL10寿命を「転動疲労寿命」として評価した。なお、転動疲労寿命の長寿命化の判断については、L10寿命が20.0×106以上を満足した場合を長寿命化として、これを目標とした。
表5に、上記のようにして求めた転動疲労寿命を示した。
Figure 2016166399
表1および表3に示すように、本発明で規定した化学組成および介在物を満足する鋼1〜19を用いた試験番号1〜19の場合は、転動疲労寿命(L10)は20.3×106以上で、長い転動疲労寿命が得られている。
これに対して、試験番号20〜35の場合は、用いた鋼20〜35の化学組成あるいは介在物が本発明で規定する条件から外れている。このため、上記各試験番号の場合、転動疲労寿命が短く目標に達していない。
試験番号20は、用いた鋼20のCa含有量が0.0031%と高く、本発明で規定する値を超えるため、凝固後の鋼においても酸化物中のCaO分率が本発明の規定する条件から外れ、結果としてL10寿命は11.8×106と短い。
試験番号21は、用いた鋼21のCa含有量が0.0002%と低く、本発明で規定する値を下回る。そのため、Al23の凝集および粗大MnSの生成をCaによって抑制することができず、複合介在物の比率、介在物中のCaSの含有量および、予測最大介在物径√areamaxは本発明の規定する条件から外れ、結果としてL10寿命は4.6×106と短い。
試験番号22は、用いた鋼22のS含有量が0.0106%と高く、本発明で規定する値を超えるため、粗大MnSが多量に生成し、超音波疲労起点に出現した。そのため、複合介在物の比率、介在物中のCaS、MnSの含有量および、最大予測介在物径√areamaxは本発明の規定する条件から外れ、結果としてL10寿命は2.1×106と短い。
試験番号23は、用いた鋼23のS含有量が0.0004%と低く、本発明で規定する範囲を下回るため、鋼の凝固段階でCaOがSと反応することによる組成変化が起こらず、複合介在物の比率、介在物中のCaSの含有量および酸化物中のCaO分率が本発明の規定する範囲から外れ、結果としてL10寿命は3.0×106と短い。
試験番号24は、用いた鋼24のO含有量が0.0034%と高く、本発明で規定する値を超えるため、粗大な酸化物が多く生成し、予測最大介在物径√areamaxは本発明の規定する条件から外れ、L10寿命は5.9×106と短い。
試験番号25は、用いた鋼25のMg含有量が0.0031%と高く、本発明で規定する値を超えるため、MgO単独の酸化物が多量に生成し、粗大な介在物を形成した。そのため、酸化物中のMgOの分率、複合介在物の比率、および予測最大介在物径√areamaxは本発明の規定する条件から外れ、L10寿命は7.3×106と短い。
試験番号26は、用いた鋼26にMgが1ppmも含まれておらず、本発明で規定する値を下回るため、鋼の凝固段階でCaOがSと反応することによる組成変化が起こらず、複合介在物の比率、酸化物中のCaO、MgOの分率が本発明の規定する条件から外れ、L10寿命は9.7×106と短い。
試験番号27は、用いた鋼27のC含有量が0.64%と高く、本発明で規定する値を超えるため、高周波焼入れ部の靱性が低下し、L10寿命は10.5×106と短い。
試験番号28は、用いた鋼28のC含有量が0.38%と低く、本発明で規定する値を下回るため、高周波焼入れ部で十分な硬さが得られず、L10寿命は10.1×106と短い。
試験番号29は、用いた鋼29のCr含有量が0.54%と高く、本発明で規定する値を超える。そのため、高周波焼入れ部が均一に硬化せず、L10寿命は8.9×106と短い。
試験番号30は、用いた鋼30の化学成分については本発明で規定する値の範囲に含まれるものの、酸化物に占めるCaOの分率が本発明で規定する範囲を超える。これは、Al添加よりも先にCaを添加したため、溶鋼の段階でCaOが生成、成長し、酸化物凝集の抑制がなされないまま粗大介在物となってしまったためである。この鋼では予測最大介在物径√areamaxも本発明の規定する条件から外れ、L10寿命は5.3×106と短い。
試験番号31は、用いた鋼31の化学成分は本発明で規定する値の範囲に含まれる。しかし、C脱酸の前にAl脱酸を行ったため、多量に生成し残存したAl23に対してCaが不足していたため、その後のCaOとSの反応も十分に起こらず、複合介在物の比率および介在物に占めるCaSの含有量が本発明で規定する範囲を下回る。また、この鋼ではAl23の凝集、粗大化がCaによって十分抑制されず、複合介在物の比率および予測最大介在物径√areamaxが本発明の規定する条件から外れたため、L10寿命は1.3×106と短い。
試験番号32は、用いた鋼32の化学成分は本発明で規定する値の範囲に含まれる。しかしこの鋼では、冷却速度RCが高いために、凝固段階で酸化物中のCaOがSと反応せず残り、SはMnSとして残った。そのため、複合介在物の比率、介在物中のMnS、CaSの含有量、酸化物に占めるCaOの分率、および予測最大介在物径√areamaxは本発明の規定する条件から外れ、L10寿命は12.3×106と短い。
試験番号33は、用いた鋼33の化学成分は本発明で規定する値の範囲に含まれる。しかし、Ca/Oが好ましい範囲よりも高い値になったため、溶鋼段階でCaOが粗大化し、凝固後も介在物中のCaSの含有量、酸化物に占めるCaOの分率および、予測最大介在物径√areamaxは本発明の規定する条件から外れ、その結果L10寿命は3.0×106と短い。
試験番号34は、用いた鋼34の化学成分は本発明で規定する値の範囲に含まれる。しかし、Ca/Oが好ましい範囲よりも低い値になったため、溶鋼段階でAl23凝集のCaによる抑制が十分に起こらず、介在物中のCaSの含有量、複合介在物の比率および予測最大介在物径√areamaxが本発明の規定する条件から外れ、L10寿命は3.9×106と短い。
試験番号35は、用いた鋼35の化学成分は本発明で規定する値の範囲に含まれる。しかし、Ca−1.25Sが好ましい範囲よりも高い値になったため、凝固段階で酸化物中のCaOがSと反応しても、酸化物中のCaが残存した。そのため、酸化物中のCaOの分率は本発明の規定する条件から外れ、その結果L10寿命は5.6×106と短い。
本発明の高周波焼入れ用鋼材は、近年の転動部材の過酷な使用環境下においても、転動疲労による破損に対して良好な耐久性を有し、転動疲労寿命が長いことから、自動車部品として使用される「等速ジョイント」や「ハブユニット」といった高周波焼入れを行う転動部材の素材として好適に用いることができる。
1: 試験片
2: コイル(高周波加熱用)

Claims (2)

  1. 質量%で、C:0.4〜0.6%、Si:0.03〜1.0%、Mn:0.20〜2.0%、P:0.05%以下、S:0.0005〜0.01%、Cr:0.05〜0.50%、Al:0.01〜0.10%、Ca:0.0003〜0.0030%、Mg:0.0001〜0.003%、O:0.0030%以下、N:0.003〜0.030%、Cu:0〜1.0%、Ni:0〜3.0%、Mo:0〜0.15%、V:0〜0.30%、 Nb:0〜0.10%、B:0〜0.0030%およびTi:0〜0.10%を含み、残部はFeおよび不純物からなる組成を有し、
    かつ、鋼材の圧延方向と垂直方向に採取した超音波疲労試験片を疲労破壊させた時、破壊起点に存在する介在物が、以下の(A)〜(D)を満たすことを特徴とする高周波焼入れ用鋼。
    (A)介在物径の分布を極値統計処理した時、被検体積144mm3中に予測される最大介在物径√areamaxが50μm以下である
    (B)介在物のうちの50%以上が、酸化物と硫化物をともに質量%で5%以上含む、酸化物と硫化物の複合介在物である
    (C)介在物中の酸化物をCaO−Al23−MgOの3元系酸化物と見なしたときに、その平均組成における質量%での含有量がCaO:0〜20%、MgO:10%超40%以下である
    (D)介在物全体の平均組成に占めるCaS、MnSの質量%での含有量がそれぞれ10〜60%、0〜20%の範囲にある
  2. 請求項1に記載の組成の鋼の精錬における脱酸工程において、脱酸元素の添加順序をC、Al、Caとすること、および、前記溶鋼を鋳型内で凝固させる際、鋳型短辺中央の内側面から鋳型中心までの距離の1/2部において、液相線温度から固相線温度までの平均冷却速度を50℃/分以下とすることを特徴とする高周波焼入れ用鋼の製造方法。
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