JP2016162843A - 磁気デバイス及び論理回路装置 - Google Patents
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Abstract
Description
また、キラルらせん磁気秩序を示す磁性体CrNb3S6が知られており、この磁性体に磁場を印加すると、磁性体のらせん磁気秩序のソリトンの周期構造が変化することが知られている(例えば、非特許文献1参照)。磁場中では磁気モーメントが揃っている領域(強制強磁性領域)と、磁気モーメントがねじれた領域であるソリトンとが交互に並んだ状態となっており、印加磁場に応じて、磁気モーメントの超格子構造の周期を変化させることができる。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、キラルらせん磁気秩序を示す磁性体の特性を利用した磁気デバイスを提供する。
また、磁性体部が過飽和状態からソリトン格子状態に変化する信号磁場の大きさ又はこれに対応する電流の大きさなどを閾値とすることができる。このことにより、閾値よりも小さな信号磁場が磁性体部に印加された場合には過飽和状態を維持することができ、閾値よりも大きな信号磁場が磁性体部に印加された場合には、ソリトン格子状態に変化させることができる。従って、信号磁場を発生させる入力信号を、磁性体の電気伝導特性又は光学特性に変換することができる。
本発明によれば、磁性体を、過飽和状態からソリトン格子状態に急峻に変化させることが可能であるため、入力信号の閾値範囲を狭くすることができ、ノイズの発生を抑制することができる。
本発明によれば、磁場印加部による磁場の印加方法により、入力信号の閾値を変化させることや出力信号が変化しないようにすることができるため、再構成可能な可変論理デバイスや、多値演算も対応可能な論理デバイスや論理素子を実現することが可能になる。
このような構成によれば、第1磁場印加部により磁性体部を待機状態とすることができ、第2磁場印加部による局所印加磁場により磁性体部の電気伝導特性又は光学特性を変化させることができる。このことにより、第2磁場印加部に入力した入力信号に応じて磁性体部の電気伝導特性又は光学特性を変化させることができ、入力信号を出力信号に変換することができる。
本発明の磁気デバイスにおいて、第2磁場印加部は、直線状の信号線を含み、信号線に電流を流すことにより生じる磁場を磁性体部へ印加するように設けられ、入力信号の閾値は、信号線に流す電流の向きにより異なることが好ましい。
このような構成によれば、入力信号電流の向きにより入力信号の閾値を変えることができ、磁気デバイスを多機能化することが可能である。また、1つの磁気デバイスに複数の閾値を埋め込むことが可能になる。
このような構成によれば、入力信号電流を流す信号線を選択することより、入力信号の閾値を変えることができ、磁気デバイスを多機能化することが可能である。また、1つの磁気デバイスに複数の閾値を埋め込むことが可能になる。さらに、入力信号の大きさ、入力方法、外部磁場の印加方法などを変更することにより論理演算機能を切り替えることが可能である。
本発明の磁気デバイスにおいて、出力部は、磁性体部に接続した電極対を有することが好ましい。
このような構成によれば、電極対間の電位差の変動、電極対間の電流の変動、磁性体部の電気抵抗などとして出力信号を出力することが可能になる。
本発明の磁気デバイスにおいて、出力部は、磁気光学効果による検出を行うために光源と光検出器を備えるものでもよい。
このような構成によれば、磁気光学応答などとして出力信号を出力することが可能になる。
本発明は、本発明の磁気デバイスを含む論理回路装置も提供する。
本発明によれば、NOT回路、NOR回路、AND回路、OR回路、NAND回路などを提供することができる。また、これらの論理回路のうち複数の機能を切り替え可能に有する論理回路装置を提供することができる。また、同一素子内において論理機能を再構成することが可能となる。また、入力閾値の分布を利用することで多値演算も対応可能であり、論理演算機能の再構成と多値化を同時に実現しうる。
図1、3、5はそれぞれ本実施形態の磁気デバイスの概略上面図である。なお、これらの図では上側の第1磁場印加部4は省略している。また、図2は、図1の破線A−Aにおける磁気デバイスの概略断面図である。図4は、図3の破線B−Bにおける磁気デバイスの概略断面図である。図6は、図5の破線C−Cにおける磁気デバイスの概略断面図である。
本実施形態の磁気デバイス20は、キラルらせん磁気秩序を示す磁性体からなる磁性体部1と、磁場を印加することにより磁性体部1の電気伝導特性又は光学特性を変化させる磁場印加部3と、前記電気伝導特性又は光学特性に基づき出力信号を出力する出力部7とを備えることを特徴とする。本実施形態の磁気デバイス20は、例えば、メモリセルであってもよく、スイッチング動作を行う電子素子であってもよい。
また、磁場印加部3は、第1磁場印加部4と第2磁場印加部5を含むことができる。
以下、本実施形態の磁気デバイス20について説明する。
磁性体部1の材料は、キラルらせん磁気秩序を示す磁性体であれば特に限定されないが、例えばCrNb3S6である(非特許文献1参照)。キラルらせん磁気秩序とは、磁気モーメントがらせん状に並んだ磁気秩序である。なお、磁気モーメントは、磁性体の結晶軸をらせん軸としてらせん状に並ぶ。ここでは、CrNb3S6を用いてキラルらせん磁気秩序を示す磁性体について説明する。
磁場印加部3は、電流により同心円状の磁場を発生させる信号線であってもよく、導線を巻いたコイルであってもよく、永久磁石であってもよい。
第1磁場印加部4は、磁性体部1を構成する磁性体の磁気秩序のらせん軸と30°〜150°で交わる方向に磁場を印加するように設けることができる。このことにより、第1磁場印加部4による外部磁場Hexにより磁性体部1の磁気モーメントを効率よく変化させることができる。
なお、角度を大きくするにつれて臨界磁場Hcが徐々に大きくなることがわかっている。0°〜180°の範囲でこの傾向は確認できており、磁性体部1を構成する磁性体の磁気秩序のらせん軸がこの範囲まで角度がついても同じ効果が期待できる。つまり、その試料配置に応じた適当な磁場範囲を選ぶことで、外部磁場Hexを制御することにより磁性体部1を上述の待機状態とすることができる。
また、外部磁場Hexの大きさを微小に変化させるための副コイルを全体、もしくは、各磁気デバイスに設けてよい。これは後述するゲーティング操作や本実施形態の磁気デバイスを集積した際に有用となる。
また、第2磁場印加部5は位置の異なる信号線を複数含んでもよい。この信号線5に電流を流すことにより信号線の周りに同心円状の磁場を発生させることができ、この磁場(局所磁場Hlocal)を磁性体部1に局所的に印加することができる。また、この信号線5に流す電流は、パルス状の入力信号電流(入力信号)とすることができる。従って、入力信号電流の大きさにより局所磁場Hlocalの大きさを変化させることができる。
なお、ここでは入力信号を第2磁場印加部5に入力するが、入力信号により第1磁場印加部4の出力を変動させてもよい。このことによっても、入力信号を磁性体部1の電気伝導特性又は光学特性に変換することが可能である。
出力部7が磁性体部1の電気伝導特性に基づき出力信号を出力する場合、出力部7は、磁性体部1に接続した電極対を有することができる。例えば、電極対は、図1、2に示した出力用電極9のように設けてよく、図3、4に示した出力用電極9のように設けてもよい。このことにより、出力部は、電極対間の電位差の変動、電極対間の電流の変動、磁性体部1の電気抵抗などとして出力信号を出力することが可能になる。
出力部7が磁性体部1の光学特性に基づき出力信号を出力する場合、出力部7は、磁性体部1の光学特性を検出する光検出部17を有することができる。また、光検出部17は、さまざまな磁気光学効果(例えば、光磁気カー効果や磁気キラル光学効果)を利用して磁性体部1が強磁性状態からソリトン格子状態に変化したことを検出することができる。例えば、図6のように、磁性体部1に光を照射する光源16と、磁性体部1の反射光を検出する光検出部17とを有することができる。このことにより、磁性体部1が強磁性状態からソリトン格子状態に変化したことを光検出部17により検出することができ、この検出信号を出力することが可能になる。
金属のキラル磁性体の場合電気伝導特性や光学特性に基づき出力信号を出力し、絶縁体のキラル磁性体の場合光学特性に基づき出力信号を出力することができるが、それぞれ出力方法を限定するものではない。
図1、2に示したような磁気デバイス20を作製し、磁性体部1の電気抵抗測定を行った。磁性体部1は、単結晶CrNb3S6磁性体を用いて形成した。また、CrNb3S6磁性体の磁気秩序のらせん軸方向に電流が流れるように通電用電極8を設けた。また、磁性体部1の電気抵抗を測定する出力用電極9を設けた。さらに、磁性体部1の下側に直線状の信号線5からなる第2磁場印加部5を設けた。
図8は作製した磁気デバイス20のSIM像である。
外部磁場Hexを印加する磁場発生装置(第1磁場印加部4)中に作製した磁気デバイス20を設置し、外部磁場Hexの強さを徐々に増加させ4000Oeまで強くした後、外部磁場の強さを徐々に減少させ、この間の磁性体部1の電気抵抗を測定した。なお、測定電流は1mAとした。
従って、外部磁場が臨界磁場に達すると、磁性体部1が強磁性状態からソリトン格子状態に急峻に変化し、この変化を磁性体部1の電気抵抗として検出することができることがわかった。また、この変化は、磁性体部1の光学特性の変化や電気伝導性の変化としても検出できると考えられる。
また、図11は、待機状態のΔHを3Oe又は5Oeとしたときの電気抵抗測定の結果を示すグラフである。ΔHが3OeとするとHlocalが25〜35Oeで磁性体部1の電気抵抗が大きく変化し、ΔHが5OeとするとHlocalが45〜55Oeで磁性体部1の電気抵抗が大きく変化することがわかった。従って、待機状態のΔHを変えることにより臨界電流Icを変えることができることがわかった。
このことを利用した論理回路装置については後述する。
この結果から第2磁場印加部5に入力信号電流を流す場合、電流を流す方向により閾値を変えることができることが考えられる。また、第2磁場印加部5に交流の入力信号電流を流した場合、小さいほうの閾値で磁性体部1の電気抵抗を変化させることが可能である。
次に、CrNb3S6磁性体の磁気秩序のらせん軸方向を変えた磁気デバイス20を作製し、磁性体部1の電気抵抗測定を行った。作製した磁気デバイス20は、磁性体部1の磁気秩序のらせん軸を横切る方向に電流が流れるように通電用電極8を設けたこと以外は電気抵抗測定1と同じである。図13は作製した磁気デバイス20のSIM像である。また、測定方法も電気抵抗測定1と同じである。
図15(b)は、電気抵抗測定の結果を示すグラフである。Hlocalが75Oe以下の場合、電気抵抗は約0.383Ωであり、待機状態から変化しなかった。また、Hlocalが約75Oeより大きくなると電気抵抗は約0.393Ωとなり、ΔR=0.01Ωだけ急激に増加した。これは、Hlocalが75Oeより大きくなると、磁性体部1が強磁性状態からソリトン格子状態に変化したためと考えられる。
次に、外部磁場により待機状態にした後、第2磁場印加部5に‐x方向の単発パルス波電流を流し第2磁場印加部5の同心円状に局所磁場Hlocalを発生させ、磁性体部1にHexに加えてHlocalを重畳した。この単発パルス波電流のパルス幅を5μsとして、様々な大きさの単発パルス電流を流した際の磁性体部1の電気抵抗を測定した。この場合、磁性体部1が強磁性状態からソリトン格子状態に変化させるHlocalの大きさはほぼ75Oeであり、+x方向に単発パルス電流を流した場合とほとんど同じであった。
この結果から、磁性体のらせん磁気秩序のらせん軸の方向を変えた場合、Hlocalが約75Oeとなる電流を閾値とする入力信号電流を第2磁場印加部5に流すと、入力信号を磁性体部1の電気抵抗に変換し出力信号を出力することができることがわかった。また、磁性体のらせん磁気秩序のらせん軸の方向を変えた場合は、Hlocalを与える閾値Hthは第2磁場印加部5に流れる電流の方向にほとんど依存しないことがわかった。
図3、4に示したような磁気デバイス20を作製し、磁性体部1の電気抵抗測定を行った。磁性体部1は、単結晶CrNb3S6磁性体を用いて形成した。また、CrNb3S6磁性体の磁気秩序のらせん軸方向に電流が流れるように出力用電極9を設けた。また、磁性体部1の下側に直線状の5本の信号線5a、5b、5c、5d、5e(第2磁場印加部5)を設けた。
図16は作製した磁気デバイス20のSIM像である。外部磁場Hexを印加する磁場発生装置(第1磁場印加部4)中に作製した磁気デバイス20を設置し、電気抵抗測定を行った。なお、図17(a)は、作製した磁気デバイス20の概略上面図である。
これらの結果から、電流を流す場所又は向きにより臨界電流Icを変えることができることがわかった。従って、局所磁場を発生させる信号線5を複数設け、入力信号電流を流す場所や流す向きを変えることにより、同一素子内に複数の入力閾値が埋め込まれた磁気デバイス20を形成することができる。また、この閾値分布を利用した論理回路装置については後述する。
また、(7)〜(10)についても、局所磁場の強さをさらに大きくすると、電気抵抗の変化は生じ順々に大きくなると推測される。
本実施形態の磁気デバイス20を用いた論理回路装置及びその動作方法について説明する。なお、ここでの説明は、論理回路装置の動作方法の一例であり、他にも様々な動作方法がある。
磁気デバイス20を用いて形成したNOT回路について説明する。図19(a)はNOT回路の概略回路図であり、図19(b)は信号線5に流す単発パルス波電流Ilocalの大きさを変化させた際の磁性体部1の電気抵抗Rの測定結果を示すグラフであり、図19(c)はNOT回路の動作表であり、図19(d)はNOT回路のタイミングチャートである。
図19(b)に示したように、ソリトン格子状態に変わった後の磁性体部1の電気抵抗を出力信号0とし、待機状態(強磁性状態)の磁性体部1の電気抵抗を出力信号1とする。なお、出力信号は、電圧信号として出力するが、ここでは、磁性体部1の電気抵抗で説明する。また、入力信号の閾値Hthは、臨界電流Ic(閾値Ith)を流したときに磁性体部に印加される磁場の強さとすることができる。
まず、磁性体部1へ外部磁場を印加し、磁性体部1を強磁性状態にする。その後、外部磁場の強さを減少させ磁性体部1を待機状態にする。この状態では磁性体部1の電気抵抗Rは小さく、出力信号は1の状態である。このように外部磁場を印加する動作を初期化という。
その後、信号線5に閾値Hthとなる入力信号電流の1つのビットを流す。このビットが閾値Hthよりも小さいレベルの信号(入力信号が0)の場合、磁性体部1は過飽和状態(強磁性状態)のままであり電気抵抗は変わらないため、出力信号は1となる。入力信号電流のビットが閾値Hthよりも大きいレベルの信号(入力信号が1)の場合、磁性体部1はソリトン格子状態に変化し電気抵抗は大きくなり、出力信号は0となる。このように信号線5に入力信号のビットを流す動作を入力という。
このような初期化と入力を繰り返すことにより、図19(c)に示した動作表のように、入力信号が0になったとき出力信号を1にすることができ、入力信号が1になったとき出力信号を0にすることができる。
従って、本実施形態の磁気デバイス20を用いてNOT回路(論理回路装置)を形成することができる。
図11に示した測定結果のように待機状態のΔHを大きくすると閾値Hthを大きくすることができるため、図20の右上の図のように、ΔHを大きくすることにより閾値Hthを例えば、10、15、20、25、30、35として入力信号を処理することが可能である。従って、初期化の動作を変更しΔHを変えることにより、閾値Hthを変えることが可能である。
入力A、Bが閾値Hthよりも小さいレベルの信号(入力信号が0)の場合、磁性体部1は過飽和状態(強磁性状態)のままであり電気抵抗は変わらないため、出力信号は1となる。
また、入力Aが閾値Hth(A)よりも大きいレベルの信号(入力信号が1)であり、入力Bが閾値Hth(B)よりも大きいレベルの信号(入力信号が1)である場合、磁気デバイス20a、20bの磁性体部1がソリトン格子状態に変化し電気抵抗は大きくなり、出力信号は0になる。
従って、出力の閾値を図24(d)のOutput Xのように設定した場合には、図24(b)のようにNOR回路として動作させることができ、出力の閾値を図24(d)のOutput Yのように設定した場合には、図24(c)のようにNAND回路として動作させることができる。
このNOT回路を無効化する場合、図25の右図のように外部磁場の向きを反転させる。このことにより、信号線5aの閾値を30に変換することができ、閾値5の入力信号に対して出力信号が応答しないようにNOT回路を無効化することができる。さらに、信号線5aに閾値Hthが30の入力信号電流を流すことにより、再度、NOT回路を動作させることができる。
よって、外部磁場の向きを反転させることにより、NOT回路の無効化と有効化を制御することができる。NOT回路を無効化している場合には、NOT回路は単なるワイヤーとみなすことができる。また、入力信号電流を増減することにより、NOT回路の無効化と有効化を制御することができる。
従って、磁気デバイス20を用いて形成した論理回路装置の論理機能を変化させることが可能である。
従って、入力信号電流を流す信号線の選択及び電流の向きの選択により、NOT回路の有効化及び無効化を切り替えることができる。
入力信号電流により生じる局所磁場が5より小さい場合、磁性体部1の電気抵抗は変化せず磁気デバイス20はワイヤーとみなすことができる。
入力信号電流により生じる局所磁場の最大値が5以上で15より小さい場合、入力信号の閾値を5とすることができ、信号線5aを流れる電流により磁性体部1の電気抵抗を変化させることができる。なお、信号線5bでは入力信号の閾値が15であるため、信号線5bを流れる電流により磁性体部1の電気抵抗を変化させることはできないが、信号線5aへの信号入力のため磁性体部1の電気抵抗は変化している。従って、磁気デバイス20をNOT回路として機能させることができる。
入力信号電流により生じる局所磁場の最大値が15以上場合、信号線5a及び信号線5bでの入力信号の閾値を5、15とすることができ、信号線5a及び信号線5bを流れる電流により磁性体部1の電気抵抗を変化させることができる。従って、磁気デバイス20をNOR回路として機能させることができる。
入力信号電流により生じる局所磁場が20より小さい場合、磁性体部1の電気抵抗は変化せず磁気デバイス20はワイヤーとみなすことができる。
入力信号電流により生じる局所磁場の最大値が20以上で30より小さい場合、入力信号の閾値を20とすることができ、信号線5bを流れる電流により磁性体部1の電気抵抗を変化させることができる。なお、信号線5aでは入力信号の閾値が30であるため、信号線5aを流れる電流により磁性体部1の電気抵抗を変化させることはできないが、信号線5bへの信号入力のため磁性体部1の電気抵抗は変化している。従って、磁気デバイス20をNOT回路として機能させることができる。
入力信号電流により生じる局所磁場の最大値が30以上場合、信号線5b及び信号線5aでの入力信号の閾値を20、30とすることができ、信号線5a及び信号線5bを流れる電流により磁性体部1の電気抵抗を変化させることができる。従って、磁気デバイス20をNOR回路として機能させることができる。
従って、入力信号電流の大きさを変えることや、外部磁場の向きを変えることにより回路の機能を、ワイヤー、NOT回路、NOR回路のいずれかに変換することができる。
図28(a)(b)のように、信号線5a、5bに局所磁場の最大値が3の下向きの入力信号電流を流した場合や、信号線5b、5cに局所磁場の最大値が7の下向きの入力信号電流を流した場合では、磁性体部1の電気抵抗は変化しないため、磁気デバイス20はワイヤーとみなすことができる。
図29(a)〜(d)のように、入力信号電流の最大値が信号線5の一方の閾値よりも大きい場合、一方の信号線により磁性体部1の電気抵抗を変化させることができるため、磁気デバイス20は、NOT回路として動作することができる。
図30(a)(b)のように、入力信号電流の最大値が信号線5の両方の閾値よりも大きい場合、両方の信号線により磁性体部1の電気抵抗を変化させることができるため、磁気デバイス20は、NOR回路として動作することができる。
従って、入力信号電流の大きさや選択する信号線に応じて回路の機能を、ワイヤー、NOT回路、NOR回路のいずれかに変換することができる。
このAND回路は、磁気デバイス20aの信号線5aに入力信号Aが入力し、磁気デバイス20bの信号線5bに入力信号Bが入力し、磁気デバイス20aの出力が磁気デバイス20cの信号線5aに入力し、磁気デバイス20bの出力が磁気デバイス20cの信号線5bに入力し、磁気デバイス20cから出力信号が出力されるように設けられている。なお、各デバイス間には必要に応じてアンプを導入することができる。
このように磁気デバイス20を組み合わせることにより、図31(b)の動作表のように動作するAND回路を形成することができる。
このOR回路は、磁気デバイス20aの信号線5aに入力信号Aが入力し信号線5bに入力信号Bが入力し、磁気デバイス20aの出力が磁気デバイス20bの信号線5aに入力し、磁気デバイス20bから出力信号が出力されるように設けられている。なお、各デバイス間には必要に応じてアンプを導入することができる。
このように磁気デバイス20を組み合わせることにより、図34(b)の動作表のように動作するOR回路を形成することができる。
このNAND回路は、磁気デバイス20aの信号線5aに入力信号Aが入力し、磁気デバイス20bの信号線5aに入力信号Bが入力し、磁気デバイス20aの出力が磁気デバイス20cの信号線5aに入力し、磁気デバイス20bの出力が磁気デバイス20cの信号線5bに入力し、磁気デバイス20cの出力が磁気デバイス20dの信号線5aに入力し、磁気デバイス20dから出力信号が出力されるように設けられている。なお、各デバイス間には必要に応じてアンプを導入することができる。
このように磁気デバイス20を組み合わせることにより、図35(b)の動作表のように動作するNAND回路を形成することができる。なお、NAND回路は最小万能演算系の一つである。
構成要素22を構成する4つの磁気デバイス20は、閾値の変更、ΔHの変更、外部磁場の向きの変更、入力信号電流の大きさの変更、入力信号の入力方法などによりNOR回路、NOT回路、ワイヤーなどに変換することができる。このため、構成要素22は、NOT回路、NOR回路、AND回路、OR回路、NAND回路などの各種の論理演算機能を切り替えることができ、同じ構成で異なる論理演算が可能になる。このような構成要素22をアレイ状に集積して電子回路を形成することにより、論理演算を自由に構成することが可能になり、論理演算の再構成、多値化をすることが可能になり、また冗長性を予め備えることができる。
Claims (6)
- キラルらせん磁気秩序を示す磁性体からなる磁性体部と、
磁場を印加することにより前記磁性体部の電気伝導特性又は光学特性を変化させる磁場印加部と、
前記電気伝導特性又は光学特性に基づき出力信号を出力する出力部とを備えることを特徴とする磁気デバイス。 - 前記磁場印加部は、前記磁性体部に全体的に磁場を印加する第1磁場印加部と、前記磁性体部に局所的に磁場を印加する第2磁場印加部とを含み、
第2磁場印加部は、入力信号に対応した強さの磁場を前記磁性体部に印加する請求項1に記載の磁気デバイス。 - 第2磁場印加部は、直線状の信号線を含み、前記信号線に電流を流すことにより生じる磁場を前記磁性体部へ印加するように設けられ、
前記入力信号の閾値は、前記信号線に流す電流の向きにより異なる請求項2に記載の磁気デバイス。 - 第2磁場印加部は、前記直線状の信号線を複数含み、
各直線状の信号線は、前記入力信号の閾値が異なる請求項3に記載の磁気デバイス。 - 前記出力部は、前記磁性体部に接続した電極対を有する請求項1〜4のいずれか1つに記載の磁気デバイス。
- 請求項1〜5のいずれか1つに記載の磁気デバイスを含む論理回路装置。
Priority Applications (1)
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