以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は、第2の本発明の一実施形態であるPOSシステムPSを示す図である。このPOSシステムPSは、POS汎用端末Tと、第1の本発明の一実施形態に相当するプリンタドロワ一体型装置9を備えたシステムである。POS汎用端末Tは、例えば、アップル社のiPad(登録商標)やグーグル社のNexus 7(登録商標)やマイクロソフト社のSurface(登録商標)である。すなわち、iOS(登録商標)、Andoroid(登録商標)、Windows(登録商標)、あるいはLinux(登録商標)等の各種オペレーティングシステムに対応したタブレット端末である。このPOS汎用端末Tは、インストールすることができるソフトウェアの種別を問わず、汎用性に富んだものである。例えば、上記オペレーティングシステムの種別を問わず、また、各種のアプリケーションソフトをインストールすることができ、幅広い機能を持たせることができる。なお、POS汎用端末Tは、タブレット端末よりも小さいスマートフォンであってもよい。
プリンタドロワ一体型装置9は、プリンタとキャッシュドロワが共通の筐体90に収められたものである。筐体90は、天板90u、左側板90l、右側板90r、背板90bや、ベース部90a(図5や図8等参照)等から構成されたものであって、直方体の角に周方向の丸みを持たせた形状である。プリンタドロワ一体型装置9とPOS汎用端末Tは無線通信によって接続されている。ここでの無線通信は、Bluetooth(登録商標)の規格に従って行われる。なお、無線通信ではなく有線通信であってもよく、通信規格も、Wi−Fi(登録商標)や赤外線通信の規格であってもよい。さらには、プリンタドロワ一体型装置9とPOS汎用端末Tは、USBケーブルで接続され、プリンタドロワ一体型装置9からPOS汎用端末TにUSBバス給電する態様としてもよいし、反対に、POS汎用端末Tからプリンタドロワ一体型装置9にUSBバス給電する態様を採用してもよい。プリンタドロワ一体型装置9は、商用電源から電力供給を受けて駆動するものであり、POS汎用端末Tは、バッテリを備えそのバッテリから電力供給を受けて駆動するものである。したがって、POS汎用端末Tは、プリンタドロワ一体型装置9を介して商用電源から電力供給を受け、駆動したりバッテリを充電することができるようにしてもよい。また、プリンタドロワ一体型装置9が商用電源に接続できない場合は、POS汎用端末Tのバッテリからの電力供給を受けて駆動できるようにしてもよい。なお、プリンタドロワ一体型装置9にもバッテリを搭載してもよい。
プリンタドロワ一体型装置9は、POS汎用端末Tでなされる会計処理に基づき、レシート等の取引記録紙片の発行や金銭処理を行うものである。このプリンタドロワ一体型装置9は、筐体90に内蔵されたプリンタPと、筐体90の所定の収納位置に引出し2が収容されたキャッシュドロワDとを備えている。プリンタPとキャッシュドロワDは横並び(左右)に配置されている。筐体90に内蔵されたプリンタPの前側にはプリンタカバー91が配置され、このプリンタカバー91には、用紙排出口91oが設けられている。用紙排出口91oからはレシート等の取引内容を表す紙片が排出される。また、引出し2は、前側部分に配置された前板21を有している。これらプリンタカバー91の前面と、前板21の前面とは、デザイン上、左右方向に面一状に揃うことが望ましい。このため、本実施形態では、筐体90に収容された引出し2の前後方向の位置を調整する構成が設けられている。この構成の詳しい説明は後述する。キャッシュドロワDの引出し2は、図1では左斜め下方に進出するものであり、この引出し2が進出する左斜め下方に向かう方向が進出方向に相当する。また、図1に示すプリンタドロワ一体型装置9では、左斜め下方が前側になり、右斜め上方が後側になる。以下の説明では、プリンタドロワ一体型装置9を前側から見た場合の右側を単に右側と称し、プリンタドロワ一体型装置9を前側から見た場合の左側を単に左側と称することがある。また、前側と後側を結ぶ方向を前後方向と称し、左側と右側を結ぶ方向を左右方向と称して説明することがある。
プリンタドロワ一体型装置9の筐体90における天板90uは、矩形状(厳密には、四隅が丸い角丸長方形状)のものであり、POS汎用端末Tの面積以上の面積をもった水平面である。上述のごとく、プリンタPとキャッシュドロワDが横並びの配置関係にあることで、天板90uの面積を確保することができている。図1に示す天板90uには、前側と後ろ側それぞれにスタンドSが載置されており、図1では、前側のスタンドSに、POS汎用端末Tをディスプレイ面dが前側を向くように差し込み、POS汎用端末Tは前側のスタンドSによって斜めに支持されている。このスタイルは、前側にオペレータが立つことを想定したスタイルになる。なお、後ろ側のスタンドSに、POS汎用端末Tをディスプレイ面dが後ろ側を向くように差し込んでもよく、この場合には、後ろ側にオペレータが立つことを想定したスタイルになる。
スタンドSは、天板90uとは別体のものであり、天板90uから取り去ることが可能である。天板90uは、POS汎用端末Tの面積以上の面積をもった水平面であるため、スタンドSを取り去れば、POS汎用端末Tを天板90uに直に置くこともできる載置部になる。すなわち、天板90uにPOS汎用端末Tを平置きすることができる。なお、天板90uを、水平面ではなく、後ろ側から前側にかけて下方へ傾斜した傾斜面にして、前側に、上方に突出した受け部を設けておいてもよい。また、天板90u自体が、水平状態から傾斜状態に起きあがるようにしてもよい。さらに、天板90uとスタンドSを一体にしてもよい。
図2は、図1に示すPOSシステムが通信ネットワークに組み込まれた様子を示す図である。
図1に示すPOSシステムPSは、サーバSと通信ネットワークNを介して接続されている。ここでの通信ネットワークNは、インターネットであるが、TCP/IPプロトコルによって構築されたネットワークであればよく、例えば、LAN(Local AreaNetwork)であってもよい。したがって、POSシステムPSとサーバSは、室内においてLANケーブルで接続されたものであってもよい。
図2に示すサーバSには、店舗側が使用する顧客管理用アプリケーションソフトや売り上げ等の会計管理用アプリケーションソフトがインストールされているとともに、客側が使用する購入履歴管理用アプリケーションソフトや、購入金額に応じて付与されるポイント管理用アプリケーションソフト等もインストールされている。このサーバSと通信ネットワークNを介して相互接続されたPOS汎用端末T、およびパーソナルコンピュータCや汎用性携帯端末U等の利用者は、サーバSにインストールされている各種のアプリケーションソフトを、いわゆるクラウドコンピューティングサービスによって利用することができる。
また、図2に示すように、POS汎用端末Tには、POSアプリケーションソフトとI/Fソフトウェアもインストールされている。POSアプリケーションソフトの詳しい説明は後述するが、このPOSアプリケーションソフトによって会計情報が作成される。会計情報は、決済内容を表す情報であって、購入品名、購入単価、購入個数、および合計金額を含む情報になる。この会計情報は、取引情報の一例に相当する。I/Fソフトウェアは、送信先のプリンタとの通信プロトコルに従った通信を確立するソフトウェアである。POSアプリケーションソフトによって作成された会計情報(取引情報)は、I/Fソフトウェアによって、プリンタドロワ一体型装置9に無線送信される。
図3は、図1に示すPOS汎用端末のディスプレイ面に、POSアプリケーションソフトのGUI画面が表示された様子を示す図である。
POSアプリケーションソフトには、注文入力および会計モードと、売上管理モードと、顧客管理モードと、在庫管理モード等が用意されている。
図3には、これらのモードのうちの注文入力および会計モードの際のGUI画面が表示されている。左ウィンドゥLWは注文入力ウィンドゥであり、右ウィンドゥRWは会計ウィンドゥである。左ウィンドゥLWに並んだ商品名のアイコンi1をタップすると、右ウィンドゥRWに、注文品名と単価と注文個数が横一列に並んで、注文順に上から順に表示される。なお、注文品名の左横に表示されたバツ印のアイコンi2をタップすれば、注文品のキャンセルができる。
右ウィンドゥRWの下には、注文総点数の表示w1と、合計金額の表示w2がなされている。また、会計種別を指定する、現金での会計アイコンi3、クレジットカードでの会計アイコンi4、非接触型ICカードでの会計アイコンi5も表示されている。注文入力が完了した後、現金での会計アイコンi3あるいは非接触型ICカードでの会計アイコンi5をタップすると、プリンタドロワ一体型装置9に会計情報が送信され、プリンタPからレシートが印字される。また、クレジットカードでの会計アイコンi4をタップしても、プリンタドロワ一体型装置9に会計情報が送信され、この場合は、プリンタPから、カード利用者のサイン欄が設けられ店側が回収する伝票と、カード利用者に渡す売上票が印字される。
また、右ウィンドゥRWには、クラウド送信アイコンi6も表示されている。注文入力が完了した後、このクラウド送信アイコンi6をタップすると、プリンタドロワ一体型装置9には会計情報は送信されず、代わりに、図2に示す通信ネットワークNを介してサーバSに会計情報が送信される。サーバSに送信されてきた会計情報は、サーバSにインストールされている各種のアプリケーションソフトによって管理され、店舗側も客も、その会計情報そのもの、あるいはその会計情報に基づく情報を、いつでもクラウドコンピューティングサービスによって利用することができる。例えば、客は、自身のPOS汎用端末TやパーソナルコンピュータCに、電子レシートとして会計情報を表示させることができる。また、店舗側では、POSアプリケーションソフトの売上管理モード、顧客管理モード、あるいは在庫管理モードから、サーバSに管理されている会計情報を、閲覧したり、集計したり、分析したりすることができる。
なお、ここでは、クラウド送信アイコンi6をタップすると、プリンタドロワ一体型装置9には会計情報は送信されないと説明したが、プリンタドロワ一体型装置9に会計情報を一旦送信し、プリンタドロワ一体型装置9から、図2に示す通信ネットワークNを介してサーバSに会計情報を送信するようにしてもよい。また、クラウド送信アイコンi6がタップされた場合には、プリンタドロワ一体型装置9のプリンタPには、レシートや売上票を印字させる代わりに、電子レシートを発行するサーバSのWebページのURLを表す情報(例えば、二次元コード)や、そのWebページにアクセスするためのパスワード等を印字させてもよい。
以上説明したように、POSアプリケーションソフトがインストールされたPOS汎用端末Tは、会計機能を有し会計情報(取引情報)を送信するものであって、プリンタドロワ一体型装置9の筐体90とは別体の汎用性のある電子機器であり、端末機器の一例に相当する。
図4は、図1に示すプリンタドロワ一体型装置9の機能ブロック図である。
プリンタドロワ一体型装置9は、POS汎用端末通信部901、メイン制御部902、クラウド通信部903、外部接続用I/F部904、プリンタP、キャッシュドロワDを備えている。これらの構成要素901〜904,P,Dは、共通の筐体90に収められている。
なお、POS汎用端末通信部901、クラウド通信部903、および外部接続用I/F部904といった通信を担う構成要素は、一部が筐体90から露出したり、突出するように設けられていてもよい。
POS汎用端末通信部901は、POS汎用端末Tと通信を行う際のI/F部に相当する。すなわち、POS汎用端末通信部901は、Bluetooth(登録商標)等の各種通信規格に準拠して通信を行う。このPOS汎用端末通信部901は、POS汎用端末Tから送信されてきた会計情報を受信する役目を担っており、端末通信部の一例に相当する。POS汎用端末通信部901は、複数台のPOS汎用端末Tと通信することができるが、同時に通信できるわけではなく、1台のPOS汎用端末Tと一対一の関係で通信を行う。
メイン制御部902は、プリンタドロワ一体型装置9全体の制御を司るものであって、取引記録データ生成部9021を有する。取引記録データ生成部9021は、POS汎用端末通信部901がPOS汎用端末Tから受信した会計情報に基づいて、取引内容の印字データを生成するものである。例えば、レシートの印字データを生成したり、カード会計に対する伝票や売上票の印字データを生成したりする。印字データは、印字する内容を表したデータであって、イメージデータであってもよくコマンドデータであってもよい。コマンドデータである場合は、例えば、取引情報を表すテキストデータ、文字のフォントや大きさを指定するデータ、店舗のロゴデータ、レシート長を表すデータ等が含まれている。メイン制御部902は、印字データに従ってプリンタPを制御し、プリンタPに印字を行わせるものでもあり、制御部の一例に相当する。
図5は、プリンタドロワ一体型装置9の内部構造がわかるように、筐体90における天板90u、左側板90l、右側板90r、および背板90bを取り除き、右斜め後側から見た図であり、図における左斜め上方が前側になり、右斜め下方が後側になる。
メイン制御部902を構成する制御基板MBは、図5に示すように、筐体90におけるベース部90aに対して斜めに設置されている。また、ベース部90aの後ろ側には、電源アダプタACが配置されており、電源アダプタACから延びる出力コードOLは制御基板MBに接続されている。なお、電源アダプタACへの入力コード(不図示)は、コンセントへの差込プラグが先端に設けられており、この入力コードは、背板90b側の開口90hを通って後端が電源アダプタACに接続される。
クラウド通信部903は、TCP/IPプロトコルに従って、図2に示す通信ネットワークNを介してサーバSとの通信を行うものであり、送信部の一例に相当する。本実施形態では、会計情報に基づいてレシート等をプリンタPで印字した場合には、その会計情報あるいは印字データをクラウド通信部903からサーバSに送信する。例えば、POS汎用端末通信部901がPOS汎用端末Tから受信した会計情報そのもの、あるいは取引記録データ生成部9021で生成した印字データを、後述するプリンタPに備えられたカッタ装置への駆動信号(例えば、可動刃を駆動させるカッタコマンド)をメイン制御部902で処理したタイミングでサーバSに送信する。本実施形態のプリンタドロワ一体型装置9によれば、一般的な紙レシート発行の他に、このクラウド通信部903によって決済処理時に会計情報あるいは印字データをサーバSにデータ送信することにより、買い物後、客は自身のパーソナルコンピュータやスマートフォン等の端末で、サーバSから電子レシートを自由に取得可能になる。
なお、レシート等をプリンタPで印字した場合には、その会計情報あるいは印字データをサーバSに送信しないようにしてもよいし、客側あるいは店側で送信するかしないかを選択できるようにしてもよい。ここでの選択は、POS汎用端末Tで行えるようにしてもよいし、プリンタドロワ一体型装置9の操作部で行えるようにしてもよい。
外部接続用I/F部904は、USB(Universal Serial Bus)、LAN、シリアル通信等の各種の接続ポートが設けられたものである。
図6は、プリンタドロワ一体型装置9を底部側から見た斜視図であり、図の上側が装置後側になる。この図6には、プリンタドロワ一体型装置9の装置底部と、背板90bと、左側板90lと、右側板90rが示されている。なお、装置底部には、四隅に脚部fが設けられている。
図5を用いて説明したように、制御基板MBはベース部90aに対して斜めに設置されており、その制御基板MBにおける装置底部側になる部分MBbは、ベース部90aから装置底部側に露出している。この部分MBbには、USB、LAN、シリアル通信それぞれの接続ポートが実装されている。図6には、USBのメインポートp1の左右に2つずつUSBポートp2,p3が示されている。USBのメインポートp1は、店内に設置される不図示のホストコンピュータに有線接続する際に用いられる。USBのメインポートp1の左側板90l側に設けられた2つのUSBポートp2はいずれも、給電機能を備えたポートであって、これらのUSBポートp2に接続されたPOS汎用端末Tは、商用電源からの電力供給を受ける。給電機能を備えたUSBポートp2の左側板90l側には、LANポートp4が設けられており、さらにその横には、Bluetooth(登録商標)の規格に従って行われる無線通信のリセットスイッチrsが設けられている。POS汎用端末通信部901とLANケーブルで有線接続したり、図2に示す通信ネットワークNにLANケーブルを介して有線接続する場合は、LANポートp4が、POS汎用端末通信部901やクラウド通信部903に相当する。なお、本実施形態のプリンタドロワ一体型装置9は、POS汎用端末通信部901と無線接続するためのアンテナおよび図2に示す通信ネットワークNに無線接続するためのアンテナを、図示省略したが備えている。また、USBのメインポートp1の右側板90r側に設けられた2つのUSBポートp3の横には、RS−232C規格に従ったシリアルポートp5が設けられている。これらの各種ポートp1〜p5やリセットスイッチrsは、制御基板MBに沿って斜めに配置されており、プリンタドロワ一体型装置9の底部を持ち上げれば、コネクタの挿抜やスイッチ操作を簡単に行うことができる。
図4に示す外部接続用I/F部904には、カスタマディスプレイ等の周辺機器を接続可能である。また、この外部接続用I/F部904には、バーコードを読み取るバーコードリーダや、クレジットカードの磁気情報を読み取ることができるクレジットカードリーダや、非接触型ICカードのリード&ライターといった各種リーダ機器等の外部機器を接続可能である。バーコードリーダで読み取ったバーコードの情報や、クレジットカードリーダで読み取った磁気情報の表す情報等は、外部情報の一例に相当する。
外部接続用I/F部904に接続された外部機器は、メイン制御部902によって制御され、外部機器が取得した情報をPOS汎用端末通信部901からPOS汎用端末Tに送信することもできる。このようなプリンタドロワ一体型装置9からPOS汎用端末Tへの送信は、POS汎用端末Tがスマートフォンの場合等に特に有効である。すなわち、外部接続用I/F部904の方が、POS汎用端末Tに搭載されている外部接続I/Fよりも適用範囲が広いことが好ましい。
一般的にスマートフォンやタブレット端末等は、携帯性等の観点から、搭載できる外部接続用I/Fの種類や数が制限されており、外部機器接続によるシステム拡張が難しい。しかしながら本実施形態のプリンタドロワ一体型装置9では、上述のごとく、制御基板MBに、USB、LAN、シリアル通信それぞれの接続ポートを実装することで、多種多様な外部機器を接続することが可能になっており、これによりシステム拡張に幅広く対応することができる。この点につき、より詳細に説明すれば、POS汎用端末Tに外部機器を接続した場合、POS汎用端末TにインストールされているPOSアプリケーションソフトによって外部機器に関する処理が行われる。すなわち、外部機器を動作させるためには、POS汎用端末TのCPUが、その外部機器の種別に応じたコマンドを送信する必要がある。また、外部機器から取得した外部情報に基づきプリンタPやキャッシュドロワDを動作させる場合は、その取得した外部情報を、POS汎用端末T側で、プリンタPやキャッシュドロワDで処理できるようなコマンドに変換する必要がある。あるいはPOSアプリケーションソフトが上記処理を行わないのであれば、外部機器に応じたドライバソフトを、POS汎用端末Tに別途インストールしておく必要がある。これに対して、プリンタドロワ一体型装置9のメイン制御部902に記憶されているファームウェアに、接続が予想される各種の外部機器の制御用ドライバを予め組み込んでおき、プリンタドロワ一体型装置9に外部機器を接続して、POS汎用端末T側でその外部機器を、プリンタドロワ一体型装置9のメイン制御部902を介して制御する構成とすれば、外部機器を動作させる際には、POS汎用端末TにインストールされているPOSアプリケーションソフトは、プリンタドロワ一体型装置9に接続されている外部機器の種別に関わらず、プリンタドロワ一体型装置用のコマンドを送信するだけでよい。このコマンドを受信したプリンタドロワ一体型装置9では、受信したコマンドに基づき、上記制御用ドライバにより、接続された外部機器に応じたコマンドを生成するとともに、そのコマンドを外部機器へ送信し、外部機器を動作させる。
また、外部機器から取得した情報(動作結果、各種ステータスなど)は、プリンタドロワ一体型装置9のメイン制御部902で必要に応じてPOS汎用端末用の情報に加工され、POS汎用端末Tに送信される。そのためPOS汎用端末TにインストールされているPOSアプリケーションソフトは外部機器を動作させたり、外部機器から情報を取得する際に、外部機器の種別に応じた処理を行わずにすむ。したがって、POSアプリケーションソフトの作成が容易になり、システムベンダーの負担が大幅に軽減される。また、POS汎用端末Tに、外部機器用のドライバソフト等をインストールする必要もない。
さらに、外部機器としてバーコードリーダやカードリーダを接続した場合、プリンタドロワ一体型装置9のメイン制御部902で読み取り結果を取得し、読み取り失敗と判断した場合には、POS汎用端末Tに戻すことなくプリンタドロワ一体型装置9が自主的にリトライし、正常に情報取得できた時点でPOS汎用端末Tに読み取り結果に基づく情報を送信する構成とすれば、POS汎用端末側でリトライのための操作を行うことなく確実に情報を取得することができる。
また、POS汎用端末Tは、プリンタドロワ一体型装置9から、プリンタPやキャッシュドロワD等に関する各種ステータス情報を取得することができる。ステータス情報としては、メンテナンス情報や、プリントエラー、カッターエラー、ドロワオープンエラー等の駆動系エラーや、データアクセスエラー、電源電圧エラー、センサエラー等の制御系エラーといったエラー情報などがあげられる。これらのステータス情報も、上記外部機器に関する処理同様、メイン制御部902を介してPOS汎用端末Tに送信される。POS汎用端末Tにインストールされているアプリケーションソフトで、プリンタドロワ一体型装置9からの各種ステータス情報を取得するための特別な処理を行うことなく、POS汎用端末Tはプリンタドロワ一体型装置9の各種ステータス情報を取得することができる。
図7は、図5のX−X’断面図である。すなわち、プリンタPの断面図になり、図の右側がプリンタドロワ一体型装置9の前側になる。
プリンタPの用紙カバーP11で覆われた用紙収納部P10には、ロール状に巻き取られた用紙RPが収納されている。プリンタカバー91には、用紙排出口91oが設けられており、用紙収納部P10と用紙排出口91oを結ぶ経路が用紙搬送路になる。図7では、用紙収納部P10から用紙搬送路に引き出されて搬送されている用紙CPを点線で示している。また、その搬送方向を矢印で示している。
プリンタPは、プラテンローラP20と、サーマルヘッドP30と、カッタ装置P40を備えている。プラテンローラP20は搬送部の一例に相当し、サーマルヘッドP30は印字部の一例に相当する。プラテンローラP20は、用紙幅方向(図7の紙面に対して垂直方向)に延びたものであり、不図示のモータによって回転する。このプラテンローラP20は、上述の用紙搬送路に臨む位置に設けられたものであって、用紙収納部P10から引き出され用紙排出口91oに向かう用紙の裏面側に位置する。サーマルヘッドP30も、用紙搬送路に臨む位置に設けられ、用紙幅方向に延びたものである。サーマルヘッドP30は、用紙収納部P10から引き出され、用紙排出口91oから排出される用紙のおもて面側に位置する。プラテンローラP20は、サーマルヘッドP30が配置されている方向に向けて付勢されており、用紙CPは、サーマルヘッドP30とプラテンローラP20によって挟み込まれた状態で搬送される。すなわち、プラテンローラP20が用紙裏面に接している状態で回転すると、ロール状に巻き取られた用紙RPから用紙CPが送り出され、用紙搬送路に沿って用紙CPが搬送される。サーマルヘッドP30は、用紙幅方向に並んだ複数の発熱素子を有し、メイン制御部902が、印字データに従って、これら複数の発熱素子を選択的に発熱させることで、発熱素子に接した用紙部分に印字が施される。カッタ装置P40は、固定刃P41と可動刃P42を備えている。可動刃P42は固定刃P41に対して進退するものであり、固定刃P41と、進出してきた可動刃P42とによって挟まれた用紙CPは、用紙排出口91o手前で用紙幅方向に切断される。
図7に示すように、用紙の排出方向は前側に向けて略水平である。引出し2の進出方向(引出し方向)も前側に向かう方向であり、引出し2の進出方向と用紙の排出方向は一致しているため、操作性が良好である。
キャッシュドロワDについては、詳しくは後述するが、本実施形態のキャッシュドロワDは、引出し2とロックユニット3を有する。引出し2は、金銭等を収納する収納部を有し、収納部に金銭を出し入れ不能な収納状態で筐体90内に収められている。ロックユニット3は、引出し2を、収納状態から、収納部に金銭を出し入れ可能な会計状態(ドロワオープン状態)に状態変更させるものであり、ドロワ機構の一例に相当する。メイン制御部902は、プリンタのカッタ装置によって用紙が切断され一つの決済が完了すると、ロックユニット3にドロワキック信号を出力する。例えば、プリンタPのカッタ装置への駆動信号(例えば、カッタコマンド)をプリンタPに送信した後に、ロックユニット3にドロワキック信号を出力する。ドロワキック信号がロックユニット3に出力されると、筐体90内の収納位置にあった引出し2が開放位置まで進出し、引出し2は収納状態から会計状態(ドロワオープン状態)になる。
なお、本実施形態ではドロワキック信号は、プリンタPが印字を終了した後に出力されるが、印字前に出力されてもよいし、印字開始と同時に出力されてもよい。また、POS汎用端末TのPOSアプリケーションソフト上で、メイン制御部902を介してドロワキック信号を出力できるようにしてもよいし、反対に、POSアプリケーションソフト上からはドロワキック信号を出力できるようにすることを禁止してもよい。
また、本実施形態のキャッシュドロワDは引出し2自体が進出するものであったが、引出し2は収納位置に位置したまま、上蓋が開き、会計状態(ドロワオープン状態)になる態様であってもよい。
以上説明したように、本実施形態のプリンタドロワ一体型装置9は、一つの筐体90にプリンタPとキャッシュドロワDを内蔵したので、コンパクトで低コストなPOS用機器を構築することが可能である。また、プリンタPとキャッシュドロワDをそれぞれ別体とした場合、プリンタPとキャッシュドロワDを有線ケーブル等で接続する形態となるが、その場合、接続ケーブルの抜け、損傷、コネクタ接触不良等により通信障害が発生する恐れがある。しかしながら本実施形態では、一つの筐体90にプリンタPとキャッシュドロワDを内蔵したことで、両者間を接続するケーブル及びその接続部が外部に露出しないため、上記通信障害の発生頻度を低減できる。さらに、プリンタPとキャッシュドロワDそれぞれが別体である場合よりもコンパクトになっているものの、キャッシュドロワD単体から見れば、少なくともプリンタP分だけは大きくなっているため、キャッシュドロワDが持ち去られにくくなっているともいえる。
また、本実施形態によれば、プリンタPによる紙レシート等の発行、ドロワオープン、電子レシートのサーバSへの保存(クラウド保存)が一連の取引で実行される。特に、POS汎用端末Tにおける会計処理は、図3に示す、各種の会計アイコンi3〜i5あるいはクラウド送信アイコンi6をタップすることで終了する。この会計処理が終了すると、紙レシート等の発行、ドロワオープン、および電子レシートのサーバSへの保存が自動的に行われ、煩わしさがほとんどない。
さらに、本実施形態のPOSシステムPSにおけるPOS汎用端末Tは、Bluetooth(登録商標)などの汎用通信方式に対応するとともに、プリンタとの通信プロトコルに従った通信を確立させるI/Fソフトウェアがインストールされている。このようなI/Fソフトウェアをインストールしておくことで、iOS(登録商標)やAndoroid(登録商標)やWindows(登録商標)等のオペレーティングシステムの種別を問わず汎用機器をPOS用端末として利用可能になる。
なお、クラウド通信部903は、決済処理時に会計情報あるいは印字データをサーバSに送信するにあたり、実際に決済(現金決済やクレジットカード決済)したことを表す情報を付加した情報を送信してもよいし、キャッシュドロワDを収納状態から会計状態(ドロワオープン状態)に状態変更させた情報(ドロワオープンした情報)を付加した情報を送信してもよい。
また、クレジットカードでの会計アイコンi4がタップされた場合には、メイン制御部902は、ドロワキック信号を出力しないようにしてもよい。カード会計は、引出し2に現金を出し入れすることが不要な会計だからである。特に、利用者が伝票にサインする代わりに利用者による暗証番号入力で済ませる場合には、ドロワキック信号を出力しないようにすることが好ましい。一方、店側がカード利用者にサインをしてもらって回収する伝票を、引出し2の収納部に収納することを想定した場合には、ドロワキック信号を出力するようにしておいてもよい。
以下、キャッシュドロワDについて詳述する。本実施形態におけるキャッシュドロワDには大きく分けて2つの特徴点がある。すなわち、引出し2を筐体90に着脱する際に手が汚れてしまうことを防いだ点と、位置制御やモータの停止制御をすることなく引出し2のロックとその解除ができる点である。まず、前者の点について説明する。
図8(a)は、図1に示すプリンタドロワ一体型装置9から引出し2を取り外した状態を示す斜視図である。図8(a)では、図1に示す筐体90の内部構造を明らかにするためベース部90aのみを示し、筐体90に内蔵されるプリンタをここでは省略している。また、図8(a)は、プリンタドロワ一体型装置9を右斜め後側から見た図であり、左斜め上方が前側になり、右斜め下方が後側になる。
図8(a)に示すように、引出し2は、前側に前板21が固定された引出し本体22と、この引出し本体22から後側に延在した一対のアーム23,23と、アーム23に取り付けられたレール受け24を備えている。引出し本体22は、金銭等を収納する収納部22aを有し、この収納部22aには、着脱自在に配置された貨幣トレイ221と複数の仕切板222が設けられている。一対のアーム23,23は、幅方向に離間して設けられ、互いに対向する側の側面にレール受け24が取り付けられている。レール受け24の詳しい説明は後述する。
ベース部90aは、プリンタ側ベース部91aとドロワ側ベース部92aを有しており、プリンタ側ベース部91aには、ここでは不図示のプリンタが配置される。ドロワ側ベース部92aには、一対の案内レール94,94が設けられている。一対の案内レール94,94は、一対のレール受け24,24に対応して幅方向に離間した位置において奥行き方向に延在したものである。また、ドロワ側ベース部92aの前側部分には、幅方向に離間した位置に設けられた一対のガイドローラ96,96と、これら一対のガイドローラ96,96の間に取り付けられた規制駒95が設けられている。一対のガイドローラ96,96は、引出し2を出し入れする際に、引出し2を支持しつつガイドするものであり、規制駒95は、引出し2の幅方向の位置を規制するものである。これら一対のガイドローラ96,96と規制駒95との詳しい作用は後述する。なお、ドロワ側ベース部92aの後側部分には、ここでは不図示のロックユニットが配置され、引出し2の後側部分には、ロックユニットに係合する不図示の係合部材が固定されており、ロックユニットと係合部材とが係合することで、引出し2は、収納位置にロックされる。
次いで、図8(b)および図9を用いて、レール受け24の構成と、レール受け24のアーム23への取付構造について説明する。図8(b)は、同図(a)においてレール受け24およびその周辺領域を円で囲んで示すC1部の拡大図である。また、図9(a)は、引出し2を後側から見た背面図であり、同図(b)は、同図(a)においてレール受け24およびレール受け24が取り付けられたアーム23の下端側部分を楕円で囲んで示すC2部の拡大図である。
図9(a)に示すように、一対のアーム23,23の下端側部分には、幅方向内側に向けて突出した支持片231がそれぞれ設けられている。この支持片231は、図8(b)に示すように、奥行き方向に間隔をあけて一対設けられており、これら一対の支持片231,231に挟まれた状態でレール受け24が固定されている。これにより、図9(a)に示すように、一対のレール受け24は、幅方向内側を向いて互いに対向した状態に配置される。
図8(b)および図9(b)に示すように、レール受け24は、上端部に設けられた上側接触部241と、下端部に設けられた下側接触部242と、上側接触部241と下側接触部242とを幅方向内側で接続する側面部243とを有している。上側接触部241と下側接触部242は、詳しくは後述するように、図8に示す案内レール94に接する部分であり、潤滑剤のグリスが塗布される。図8(b)に示すように、上側接触部241には、その奥行き方向における中間部分に下方に凹となるグリス凹み2411が設けられ、下側接触部242には、その奥行き方向における中間部分に上方に凹となるグリス凹み2421が設けられている。また、上側接触部241には、奥行き方向に延在したグリス溝2412が形成され、図9(b)に示すように、下側接触部242には、奥行き方向に延在したグリス溝2422が形成されている。これらグリス凹み2411,2421とグリス溝2412,2422は、塗布されたグリスを保持するためのものであり、グリス溜まりに相当する。塗布されたグリスが上側接触部241および下側接触部242のグリス溜まりに保持されていても、一対のレール受け24は、幅方向内側を向いて互いに対向した状態に配置されているため、引出し2を着脱する際に引出し2を掴んでも上側接触部241および下側接触部242に手が触れにくい。この結果、上側接触部241や下側接触部242に不用意に触れてグリスが付着してしまうことが少なくなる。なお、グリス溜まりを、グリス凹み2411,2421とグリス溝2412,2422のいずれか一方によって構成してもよく、また、上側接触部241と下側接触部242とのいずれか一方にのみグリス溜まりを設ける構成を採用してもよい。また、レール受け24の側面部243を、案内レール94の壁部943に接する接触部とし、この接触部にグリス溜まりを設けてもよい。
図9(a)に示すように、引出し2では、アーム23の下端部23aが最下端になる。図9(b)に示すように、レール受け24の下側接触部242であっても、アーム23の下端部23aよりも高さH分、高い位置に設けられている。このため、引出し2を金庫内に収納したり床に置いたときに、該接触部が金庫の載置部や床に接しにくくなる。これにより、接触部に塗布したグリスが金庫の載置部や床に付着してしまうといった不具合も防ぐことができる。
次いで、図10を用いて、引出し2が収納位置にある場合の、案内レール94とレール受け24との状態を説明する。図10(a)は、引出しが収納位置にある場合の、ベース部と引出しを示す斜視図であり、同図(b)は、ドロワ側ベース部92aとこのドロワ側ベース部92aに収納された引出し2の断面を示す、同図(a)のY−Y’断面図である。なお、同図(b)では、図面を分かり易くするため、レール受け24および案内レール94以外の構成は、省略あるいは簡略化して示している。
図10(b)に示すように、案内レール94は、断面形状が横向き略U字状のものであり、天井部941と、底部942と、これら天井部941と底部942とを接続する壁部943とを有している。壁部943は、鉛直方向に立ち上がったものであり、レール受け24の側面部243における幅方向内側に対向している。天井部941は、壁部943の上端部分から幅方向外側に向けて延在したものであり、レール受け24の上側接触部241に上方から対向している。底部942は、ドロワ側ベース部92aの底板921の一部を構成するものであり、底板921の、壁部943の下端が接続した箇所から幅方向外側に向けて延在した部分が底部942に相当する。この底部942は、レール受け24の下側接触部242に下方から対向している。また、図8(a)に示すように、案内レール94の前側部分には、天井部941を設けていない。さらに、ドロワ側ベース部92aにおける底板921の前側部分には、一段落ち込んだ落込部921aが形成されており、この落込部921aには、案内レール94の底部942が形成されていない。なお、天井部941の前側部分には、補強リブ9411が形成されている。この補強リブ9411は、引出し2を前側に引き出した状態(図11(b)参照)では、天井部941の前側部分に大きな荷重がかかるため、この部分を補強するものである。また、図10(b)に示すように、引出し2の底壁223には、ガイド溝2231が設けられている。このガイド溝2231は、奥行き方向に延在したものであり、規制駒95(図8参照)が挿入された状態で引出し2が奥行き方向に移動する。ガイド溝2231の詳細は後述する。
図11は、引出しをドロワ装置に取付け、収納位置まで移動させる態様を説明するための概念図である。図11では、引出し2とレール受け24、ならびにドロワ側ベース部92a、案内レール94およびガイドローラ96を簡略化して示している。
引出し2を取付けるには、図11(a)に示すように、案内レール94の前側における、天井部941および底部942が形成されていない部分から、天井部941と底部942との間にレール受け24を挿入する。図11(b)に示すように、引出し2を案内レール94に挿入した直後の状態(あるいは、前側に大きく引き出して引出し2を開放した状態)では、矢印で示すように引出し2にはガイドローラ96を支点とした反時計回りのモーメントが生じる。これにより、レール受け24の上側接触部241が案内レール94の天井部941に強く接する。なお、上側接触部241が接する箇所が天井部941の前側になればなるほど天井部941にかかる荷重は大きくなるが、天井部941の前側部分には、補強リブ9411が形成されているため、案内レール94の破損等が防止される。以下、図11(b)に示す引出し2の位置を開放位置と称することがある。引出し2が開放位置にある場合には、レール受け24の下側接触部242は、引出し2の重量や収納した金銭等の重量によっては案内レール94の底部942とは接していないか、あるいは僅かに接した状態になる。
次いで、引出し2を開放位置から収納位置に向けて押し込んでいくと、レール受け24は、案内レール94の天井部941に対して摺動しながら後側に移動し、それにつれて反時計回りのモーメントが徐々に小さくなっていく。やがて、引出し2に生じるモーメントが、反時計回りのモーメントから時計回りのモーメントに変化し、この時計回りのモーメントが徐々に大きくなっていく。引出し2を収納位置まで押し込むと、図11(c)に矢印で示すように、ガイドローラ96を支点にした時計回りのモーメントが最大になり、レール受け24の下側接触部242が案内レール94の底部942に強く接した状態になる。一方、図11(c)に示す収納位置から引出し2を取り出すには、同図(b)に示す開放位置まで引出し2を前側に引き出し、同図(a)に示す態様とは逆に、案内レール94の、天井部941および底部942が形成されていない部分からレール受け24を引き抜けばよい。
前述したように、上側接触部241および下側接触部242の、グリス凹み2411,2421およびグリス溝2412,2422には、グリスが保持されている。このため、引出し2を出し入れする際に、天井部941に対する上側接触部241のスベリが滑らかになり、また底部942に対する下側接触部242のスベリが滑らかになる。
図12を用いて、引出し2の幅方向の位置を規制する規制駒95の構成について説明する。図12(a)は、引出し2を取り外したプリンタドロワ一体型装置9を右斜め上方から見た斜視図である。図12(a)に示すように、ドロワ側ベース部92aの前側部分には、一対のガイドローラ96,96に挟まれた箇所に規制駒95が取り付けられている。
図12(b)は、同図(a)における、規制駒95とこの規制駒95が取り付けられた周囲の領域を楕円で囲んで示すC3部の拡大図であり、同図(c)は、規制駒95の平面図である。図12(b)および同図(c)に示すように、規制駒95は、外形が略円柱形状のものであり、上下方向に貫通する平面視略正方形状の嵌合孔95aと、小穴からなる表示部95bが形成されている。図12(b)に示すように、ドロワ側ベース部92aには、上方に突出した略正四角柱状の突起部922が設けられており、規制駒95は、嵌合孔95aに突起部922を嵌合させた状態でドロワ側ベース部92aに取り付けられている。図12(b)の規制駒95は、その表示部95bが前側に位置する向きで突起部922に取り付けられている。以下、図12(b)に示す規制駒95の向きを初期姿勢と称することがあり、この初期姿勢の規制駒95における最も前側に位置する部分(規制駒95の中心と表示部95bを通過する法線上に位置する前側の部分)を基準部95cと称し、この基準部95cの反対側の部分を反基準部95dと称することがある。図12(c)に示すように、基準部95cと反基準部95dとを結ぶ方向において、嵌合孔95aは、規制駒95の中央に形成されておらず、基準部95cから嵌合孔95aまでの長さL1よりも、反基準部95dから嵌合孔95aまでの長さL2の方が短く構成されている。また、基準部95cと反基準部95dとを結ぶ方向と直交する方向においては、嵌合孔95aは、規制駒95の中央に形成され、この直交する方向において、嵌合孔95aの両側の長さは共に長さL3とされている。これらの長さでは、長さL1が最も長く、次いで長さL3が長く、長さL2が最も短い。
図13は、幅方向の位置が規制駒95に規制されて引出しが開放位置から収納位置まで移動する様子を概念的に示す平面図であり、図13(a)は、引出し2が開放位置にある状態を示し、同図(b)は、引出し2が収納位置にある状態を示している。また、図13では、キャッシュドロワDの外形形状を模式的に二点鎖線で示し、引出し2の下方に隠れる規制駒95を点線で示している。引出し2については、外形形状を実線で示し、底壁223の下面に形成されたガイド溝2231を点線で示している。
図13(a)および同図(b)に示すように、規制駒95が引出し2のガイド溝2231に挿入された状態で、引出し2が開放位置から収納位置に向けて奥行き方向に移動する。前述したように、引出し2は、レール受け24が案内レール94に摺動しながら奥行き方向に移動するが、引出し2は、その幅方向の位置が、案内レール94によって規制されるものではなく、ガイド溝2231に挿入された規制駒95によって規制される。また、図13(a)に示す開放位置における引出し2の幅方向の位置も、図13(b)に示す収納位置における引出し2の幅方向の位置も、規制駒95によって規制される。すなわち、規制駒95の位置を右側に移動すれば、開放位置、移動中および収納位置における引出し2も右側に移動し、反対に、規制駒95の位置を左側に移動すれば、開放位置、移動中および収納位置における引出し2も左側に移動する。
図14は、引出し2の幅方向の位置を調整するため、突起部922に取付ける規制駒95の向きを変更する様子を示す部分平面図である。図14では、下方が前側になる。
図14(a)は、規制駒95が初期姿勢にある図12(b)を上方から見た図であり、前述したように、初期姿勢の規制駒95は、基準部95cが前側に位置する向きになる。これにより、規制駒95の左側の端部は、突起部922から長さL3分左側に位置し、規制駒95の右側の端部は、突起部922から長さL3分右側に位置する。これにより、図13に示す、開放位置、移動中および収納位置における引出し2では、ガイド溝2231の幅方向の中央に突起部922が位置する状態になる。
図14(b)に示すように、規制駒95を、基準部95cが左側に位置する向きで突起部922に取付けると、規制駒95の左側の端部は、突起部922から長さL1分左側に位置し、規制駒95の右側の端部は、突起部922から長さL2分右側に位置する。これにより、規制駒95の幅方向の位置は、図14(a)に示す初期姿勢の場合と比べて、長さL1と長さL3との差の分、左側に移動する。この結果、図13に示す、開放位置、移動中および収納位置における引出し2の幅方向の位置は、規制駒95が移動した分、左側に移動する。
図14(c)に示すように、規制駒95を、基準部95cが右側に位置する向きで突起部922に取付けると、規制駒95の左側の端部は、突起部922から長さL2分左側に位置し、規制駒95の右側の端部は、突起部922から長さL1分右側に位置する。これにより、規制駒95の幅方向の位置は、図14(a)に示す初期姿勢の場合と比べて、長さL1と長さL3との差の分、右側に移動する。この結果、図13に示す、開放位置、移動中および収納位置における引出し2の幅方向の位置は、規制駒95が移動した分、右側に移動する。
なお、基準部95cが後側に位置する向きで規制駒95を突起部922に取付けても、規制駒95の幅方向の位置は、図14(a)に示す初期姿勢の状態と変わらない。このため、本実施形態では、図14(a)、同図(b)および同図(c)に示す3つの状態に、規制駒95の幅方向の位置を調整することができ、この結果、図13に示す、開放位置、移動中および収納位置における引出し2の幅方向の位置も、三段階に調整することができる。これにより、図1に示す、プリンタカバー91と前板21との間隔を調整することができる。なお、突起部922とこれに嵌合させる嵌合孔95aを五角形以上の多角形状とし、嵌合孔95aを形成する位置を規制駒95の中心からずらすことで、引出し2の幅方向における位置を4段階以上に調整する構成を採用してもよい。
図15は、引出し2が収納位置に収まる際の動きを段階的に示す図である。図15では、規制駒95に規制されながら移動するガイド溝2231と前板21との関係を示すため、左側の(a)では、図13(b)において、ガイド溝2231の前側部分と規制駒95とを楕円で囲んだC4部を拡大して示し、右側の(b)では、プリンタカバー91と前板21のみを簡略化して示している。これら図15(a)および同図(b)は、いずれも上方から見た図であり、下方が前側になり、左右方向が幅方向になる。
図15(a−1)に示すように、ガイド溝2231は、その前側端部よりもやや後側の部分に幅方向(本実施形態では左方向)に蛇行した蛇行部2231aが形成され、この蛇行部2231aを挟んだ前側と後側には奥行き方向に直線状に延びた真直部2231b,2231bが形成されている。なお、図15(a)では、蛇行部2231aを明確にするため、その蛇行する程度を誇張して示している。図13(a)に示す開放位置から同図(b)に示す収納位置に向けて引出し2を押し込んでいくと、図15(a−1)に示すように、蛇行部2231aに差し掛かるまでは真直部2231bが規制駒95に規制されてスライドしていく。これにより、図15(b−1)に示すように、奥行き方向において、前板21の左側端部21Lがプリンタカバー91の右側端部91Rに略揃った状態、あるいは前板21の左側端部21Lとプリンタカバー91の右側端部91Rとの間に僅かな間隔を有した状態で引出し2が後側に移動する。また、規制駒95とガイド溝2231との間に生じたガタツキ等によって、図15(b−1)に二点鎖線で示すように、奥行き方向において前板21の左側端部21Lがプリンタカバー91の右側端部91Rに重なった状態で引出し2が後側に移動する場合もある。
次いで、図15(a−2)に示すように、蛇行部2231aが規制駒95に規制される状態になると、ガイド溝2231の位置が右側に移動する。これにより、引出し2が収納位置に収まる直前において、図15(b−2)に示すように、前板21の位置も右側にずれ、前板21の左側端部21Lとプリンタカバー91の右側端部91Rとの間に間隔Gが生じる。この間隔Gは、前述した、前板21とプリンタカバー91とが重なってしまう場合における、その重なりよりも大きく設定される。引出し2が収納位置に収まるときには、図15(a−3)に示すように、再び真直部2231bが規制駒95に規制される。これにより、図15(b−3)に示すように、前板21の位置が左側に戻り、前板21の左側端部21Lとプリンタカバー91の右側端部91Rとの間には、予め規制駒95の向きによって調整した僅かな間隔を有する状態になる。また、収納位置から引出し2を引き出す際には、図15(b−3)に示す、前板21とプリンタカバー91との間に僅かな間隔を有する状態から、図15(b−2)に示す、間隔Gを有する状態に引出し2が一旦移動する。その後、再び図15(b−1)に示す、前板21がプリンタカバー91に略揃った状態に戻って引出し2が開放される。
本実施形態のように、引出し2が収納位置に収まる直前および引出し2を収納位置から引き出した直後に、前板21とプリンタカバー91との間に間隔Gを生じさせることで、収納位置における引出し2の前板21とプリンタカバー91との間の間隔を小さく設定した場合であっても、前板21とプリンタカバー91との不用意な接触を回避することができる。
以上説明したように、本実施形態のキャッシュドロワDによれば、引出し2を着脱する際に引出し2を掴んでも上側接触部241や下側接触部242に不用意に触れて手を汚してしまうことが少なくなる。
なお、上記実施形態では、接触部として、摺動面である上側接触部241と下側接触部242とを有する構成を採用しているが、接触部としてローラを採用することもできる。例えば、レール受け24の上端部分と下端部分それぞれにローラを設け、これらローラが案内レール94の天井部941や底部942に接するものであってもよい。また、上記実施形態では、一対のレール受け24に対応して、案内レール94を一対設ける構成を採用しているが、一方のレール受け24が接する、天井部941および底部942と、他方のレール受け24が接する、天井部941および底部942とが一体になった、例えば、断面視略H字状に構成した一つの案内レール94を採用することもできる。
以上の記載では、幅方向に直交する奥行き方向に延在した案内レールと、前記案内レールに沿って出し入れされる引出しとを備え、前記引出しは、前記幅方向に離間して設けられ、該幅方向内側を向いて互いに対向した一対のレール受けを有するものであり、前記一対のレール受けそれぞれは、前記案内レールに接する接触部が設けられたものであることを特徴とするドロワ装置について説明した。
また、前記接触部は、グリスを溜めておくグリス溜まりを有するものであることについても説明した。
さらに、前記接触部は、前記引出しの最下端よりも上方に設けられたものであることについても説明した。
続いて、本実施形態におけるキャッシュドロワDのもう一つの特徴点である、位置制御やモータの停止制御をすることなく引出し2のロックとその解除ができる点について詳述する。
図16は、図1に示すプリンタドロワ一体型装置9を分解した状態を示す斜視図である。図16では、筐体90のベース部90aに取り付けられるプリンタPも図示している。この図16は、プリンタドロワ一体型装置9を右斜め後側から見た図であり、図16では、左斜め上方が前側になり、右斜め下方が後側になる。
図16に示すように、キャッシュドロワDは、引出し2と、ドロワ機構の一例に相当するロックユニット3を備えている。上述のごとく、引出し2は、その後側の端部部分に左右一対のレール受け24,24を有している。ベース部90aは、プリンタ側ベース部91aとドロワ側ベース部92aを有しており、ドロワ側ベース部92aには、レール受け24,24に対応する、左右一対の案内レール94,94が設けられている。図16では、引出し2は、左斜め上方に向けて進出するものであり、レール受け24,24が、案内レール94,94に案内されて進出方向とは反対方向に移動し、図1に示すように筐体90内に収納される。また、引出し2は、その後側の部分に、ストッパフレーム25が固定される取付部27を有している。図16では、引出し2の取付部27が設けられた部分を四角で囲んで拡大して示し、ストッパフレーム25を円で囲んで拡大して示している。取付部27には、上方に突出した一対のボス27a,27aが設けられ、右側の端部に切込27bが形成されている。ストッパフレーム25は、左右方向に延在した固定部251と、この固定部251の右側の端部から垂下した係合部252とを有している。固定部251には、一対のボス27a,27aをそれぞれ挿通する一対の挿通孔251aが形成され、係合部252には、略矩形状に開口した係合孔252aが形成されている。ストッパフレーム25は、一対の挿通孔251aにそれぞれボス27aが挿通した状態で固定部251が取付部27に載置され、係合部252が、切込27bに挿入されて下方に突出している。この状態で一対のボス27a,27aそれぞれにネジ26が取り付けられ、取り付けられたネジ26,26に押さえられることで取付部27にストッパフレーム25が固定されている。後述するように、係合部252には、ロックフレーム7(図17等参照)が係合する。
ドロワ側ベース部92aの後端側部分には、その後端側の端部が取り付けられた圧縮コイルばね923が前後方向に延在する姿勢で設けられている。ドロワ側ベース部92aの後端側部分には、収容部924が設けられており、この収容部924にロックユニット3が収容される。引出し2は、図1示す筐体90内に収納された収納位置では、圧縮コイルばね923によって進出方向(前方)に付勢された状態で、ロックユニット3のロックフレーム7(図17等参照)がストッパフレーム25に係合することで収納位置に引留められる。
次いで、図17および図18を用いて、ロックユニット3を詳細に説明する。図17(a)は、図16に示すロックユニット3の平面図であり、図17(b)および同図(c)は、同図(a)に示すロックユニット3の斜視図である。図17(b)では、ロックユニット3を右斜め後方から見た様子を示しており、同図(c)では、ロックユニット3を左斜め前方から見た様子を示している。なお、図17では、引出しのストッパフレーム25全体あるいはストッパフレーム25の一部である係合部252を用い、係合部252にロックフレーム7が係合したロック状態を示している。図18は、図17(a)に示すロックユニット3を分解して示す平面図である。図18では、ベースフレーム4を、天板41と底板43に分断して示し、側板42は省略している。また、図18でも、ストッパフレーム25を示している。
図17および図18に示すように、ロックユニット3は、ベースフレーム4、フックギヤ5、遊星ギヤユニット6、ロックフレーム7、DCモータ81および引張コイルばね82を有している。DCモータ81の出力軸にはウォームギヤ811が設けられている。
ベースフレーム4は、外形形状が略矩形状の底板43と、この底板43よりも左右方向の寸法が小さい天板41と、図17(b)および図17(c)に示すように、底板43の左側の端部と天板41の左側の端部とを接続する側板42とを有している。図18に示すように、底板43には、挿通孔43a,挿通孔43b、および後端側から切欠かれた切欠部43cが形成されている。また、図17および図18に示すように、底板43には、前側の端部から上方に折曲した、第2ストッパ部431とモータ取付片432が設けられている。第2ストッパ部431は、遊星ギヤユニット6の後述する回転を停止させるものである。モータ取付片432にはDCモータ81が取り付けられている。
図18に示すように、天板41には、底板43の挿通孔43aと上下方向に対応した位置に挿通孔41aが形成され、底板43の挿通孔43bと上下方向に対応した位置には挿通孔41bが形成されている。また、図17および図18に示すように、天板41は、前端側から切欠かれた切欠部41cを有し、また下方に折曲した第1ストッパ部411が設けられている。切欠部41cは、ロック状態において、係合部252との干渉を避けるために形成されている。第1ストッパ部411は、ロックフレーム7の後述する回転を停止させるものである。
図17に示すように、底板43、側板42および天板41によって囲まれた領域に、フックギヤ5、遊星ギヤユニット6およびロックフレーム7が配置されている。
図18に示すように、フックギヤ5は、上下方向に延在した軸部材51とフックギヤ本体52を有している。フックギヤ本体52は、鉤状のフック部521と、円弧状にギヤ歯が複数(本実施形態では5つ)並んだギヤ部522と、引張コイルばね82の一端部821が取り付けられる突起部523と、底板43の切欠部43cに挿入され先端部分が底板43の下方に位置するガイド部524を有している。軸部材51は、底板43に形成された挿通孔43aと、天板41に形成された挿通孔41aとに挿通され、図17に示すように、軸部材51の、天板41上に突出した部分にC字状の抜止ワッシャ83が取り付けられている。これにより、フックギヤ本体52は、ベースフレーム4に対して軸部材51を軸に回転自在に取り付けられている。フックギヤ5は、係止部材の一例に相当し、フックギヤ5のフック部521は、係止部の一例に相当する。
図17(c)に示すように、天板41と底板43との間には、上下方向に延在したシャフト85が設けられ、このシャフト85の下端部分が遊星ギヤユニット6に挿通され、シャフト85の上端部分がロックフレーム7に挿通されている。シャフト85には、天板41の上方からネジ84が締められ、底板43の下方からも不図示のネジが締めれている。これによって、天板41と底板43との間に、ロックフレーム7、シャフト85および遊星ギヤユニット6が取り付けられている。
図18に示すように、遊星ギヤユニット6は、ベース部材63と、二段太陽ギヤ61と、二段遊星ギヤ62を有している。ベース部材63は、シャフト85を挿通する挿通孔を有しており、二段太陽ギヤ61に挿通されたシャフト85が、ベース部材63の挿通孔に挿通されている。また、ベース部材63には、ロックフレーム7と当接する当接片631を有している。二段太陽ギヤ61は、小径の駆動ギヤ612と、この駆動ギヤ612の上側に位置する大径のウォームホイール611を有している。ウォームホイール611の上端部分には、C字状の抜止ワッシャ86が取り付けられている。これにより、二段太陽ギヤ61およびベース部材63は、ベースフレーム4に対してシャフト85を軸に回転自在に取り付けられている。
二段遊星ギヤ62は、大径の大径遊星ギヤ621と、この大径遊星ギヤ621の上側に位置する小径の小径遊星ギヤ622を有し、ピン87を軸に回転自在にベース部材63に取り付けられている。また、二段遊星ギヤ62とベース部材63との間に不図示のバネが取り付けられている。二段遊星ギヤ62は、不図示のバネを押圧した状態でC字状の抜止ワッシャ88が取り付けられている。これにより、二段遊星ギヤ62がピン87を軸に回転する際に不図示のバネとの間で摩擦力が発生し、遊星ギヤユニット6とベース部材63をシャフト85を軸に回転できるための一定のトルクが生じるように設定されている。さらに、二段遊星ギヤ62は、シャフト85を中心に回動する。すなわち、二段遊星ギヤ62は、ピン87を軸に自転し、さらにシャフト85を軸にいわゆる公転するものである。
図17(b)に示すように、二段太陽ギヤ61のウォームホイール611は、DCモータ81のウォームギヤ811に噛合しており、DCモータ81の回転力が二段太陽ギヤに伝達される。図18に示すように、二段太陽ギヤ61の駆動ギヤ612は、二段遊星ギヤ62の大径遊星ギヤ621に噛合しており、DCモータ81の回転力が大径遊星ギヤ621に伝達される。前述したように、二段遊星ギヤ62が回転する際には不図示のバネとの間に所定の摩擦力が生じるため、この摩擦力によって二段遊星ギヤ62はピン87を軸に自転することなくシャフト85を軸に公転するとともにベース部材63が回転し、小径遊星ギヤ622がフックギヤ5のギヤ部522に噛合する(図19(a−2)参照)。小径遊星ギヤ622がフックギヤ5のギヤ部522に噛合する噛合状態になると、DCモータ81の回転力が伝達されて小径遊星ギヤ622がピン87を軸に回転し、これによってフックギヤ5はDCモータ81の回転力を受けて軸部材51を軸に回転する。すなわち、小径遊星ギヤ622は、伝達ギヤの一例に相当し、遊星ギヤユニット6は、伝達部材の一例に相当する。
ロックフレーム7は、薄板状のものであり、図18に示すように、シャフト85の上端部分85aが挿通される挿通孔7aを有している。ロックフレーム7は、シャフト85を軸に回転するものであり、ロック状態においてフックギヤ5のフック部521が係止するロック部71と(図19(b−1)参照)、図17に示すように同じくロック状態においてストッパフレーム25の係合部252と係合する引留部72を有している。図18では、ロック状態におけるロックフレーム7の姿勢を示しており、引留部72は、ロック状態では左右方向と略平行に延在した係合面72aを有している。図17(a)に示すように、ロック状態では、係合面72aが、係合部252の係合孔252aに係合する。これにより、引出し2は、図1に示す収納位置に引き留められる。
本実施形態では、図1を用いて前述したように、プリンタカバー91の前面と、前板21の前面とを、左右方向に面一状に揃えるための構成を有しており、この構成について図18を用いて説明する。図18では、ストッパフレーム25と、このストッパフレーム25を固定する取付部27(図16参照)のうちボス27aのみを示すとともに、最も後側に位置する状態のストッパフレーム25を実線で示し、最も前側に位置する状態のストッパフレーム25を二点鎖線で示している。図18において両矢印で示すように、ストッパフレーム25の一対の挿通孔251aそれぞれは、前後方向に対して傾斜する方向に長い長孔で形成されている。このため、ボス27aが、一対の挿通孔251a,251aそれぞれの最も前側(図では左斜め下方)に位置する状態でストッパフレーム25をネジ26(図16参照)で押さえて固定すれば、ストッパフレーム25は最も後側に位置する状態になる。一方、ボス27aが、一対の挿通孔251a,251aそれぞれの最も後側(図では右斜め上方)に位置する状態でストッパフレーム25をネジ26(図16参照)で押さえて固定すれば、ストッパフレーム25は最も前側に位置する状態になる。ストッパフレーム25は、最も後側に位置する状態と最も前側に位置する状態との間Cの範囲で前後方向の位置を調整することができる。
図17(a)に示すように、ロック状態におけるロックフレーム7の係合面72aは、一定の位置で左右方向と略平行に延在した状態になるため、この係合面72aに係合するストッパフレーム25の位置を前後方向に調整することで、引出し2の前板21の前後方向の位置も調整することができる。これにより、プリンタカバー91の前面と、前板21の前面とを、左右方向に面一状に揃える調整が可能になる。ここで、挿通孔251aを、前後方向に長い長孔で構成することもできる。ただし、挿通孔251aを前後方向に長い長孔とすると、引出し2に前方への荷重がかかった場合にネジ26の固定が弛みやすく、ロックフレーム7が不用意に動いて引出し2のロック状態が不安定になってしまう場合がある。本実施形態のように、前後方向に対して傾斜した方向に延在した長孔とすれば、引出し2に前方への荷重がかかった場合に、ネジ26の固定の弛みを抑えることができる。
また、ロックフレーム7は、反時計回りに回転した際に、天板41の第1ストッパ部411に当接する当接部73と、下方に折曲した取付片74を有している。この取付片74は、引張コイルばね82の他端部822が取り付けられるものである。引張コイルばね82は、一端部821がフックギヤ5の突起部523に取り付けられ、他端部822がロックフレーム7の取付片74に取り付けられている(図19(b−1)等参照)。この引張コイルばね82により、フックギヤ5とロックフレーム7は、共に反時計回りに回転する方向に付勢されている。引張コイルばね82の付勢力は、DCモータ81の回転によって二段遊星ギヤ62を公転させる力よりも大きくなるように設定され、ロック状態では、ロック部71が、遊星ギヤユニット6に近づく方向に付勢されている。
図19は、図17(a)に示すロック状態のロックユニット3において、ロック状態が解除される様子を段階的に示す図であり、図20は、図19に示すロック状態が解除される様子の続きを段階的に示す図である。図19および図20では、ロックユニット3の各構成要素の動作を示すため、左側の(a)では、天板41、ロックフレーム7および引張コイルばね82を省略し、フックギヤ5と遊星ギヤユニット6の動作を示している。また、(a)の右側に示す(b)では、(a)に対してロックフレーム7、引張コイルばね82およびストッパフレームの係合部252を追加し、フックギヤ5、ロックフレーム7および係合部252の動作を示している。図20(c−5)では、さらに天板41を追加し、ロックフレーム7と天板41との当接状態を示している。
図19(a−1)および同図(b−1)では、図17(a)に示すロックユニット3と同様に、ロック状態のロックユニット3を示している。また、遊星ギヤユニット6は初期状態に位置している。図19(a−1)に示すように、初期状態の遊星ギヤユニット6は、ベース部材63が底板43の第2ストッパ部431に当接し、小径遊星ギヤ622がフックギヤ5のギヤ部522と離間している。また、図19(b−1)に示すように、ロック状態では、ロックフレーム7のロック部71にフックギヤ5のフック部521が係止した状態で、引張コイルばね82によって、フックギヤ5が軸部材51を軸に反時計回りに回転する方向に付勢され、ロックフレーム7がシャフト85を軸に反時計回りに回転する方向に付勢されている。これらにより、フック部521とロック部71は互いに近づく方向に付勢され、フック部521とロック部71との係止状態が維持されている。また、ロック部71にフック部521が係止した状態では、ロックフレーム7の引留部72は、その係合面72aが左右方向と略平行になる姿勢に維持される。図16を用いて前述したように、引出し2は、圧縮コイルばね923によって前方(進出方向)に付勢されており、引留部72の係合面72aに、引出しのロックフレームにおける係合部252が係合している。これによって、引出しは、前方(進出方向)に付勢された状態で収納位置に留められている。
例えば、プリンタのカッタ装置によって用紙が切断され一つの決済が完了すると、POS端末やプリンタ等からキャッシュドロワDを駆動するためのドライブ回路を介してドロワキック信号が出力される。このドロワキック信号は、DCモータ81への0.5秒〜1.0秒程度の電力供給に相当する。ドロワキック信号が出力されると、DCモータ81が駆動し、DCモータ81の回転力が二段太陽ギヤ61に伝達される。DCモータ81は一方向に回転するものであり、DCモータ81の回転力が二段太陽ギヤ61に伝達されると、図19(a−2)に示すように、二段太陽ギヤ61が時計回りに回転し、これに伴い二段遊星ギヤ62がシャフト85を軸に時計回りに公転(回動)する。これにより、小径遊星ギヤ622が、フックギヤ5のギヤ部522に噛合し、遊星ギヤユニット6は噛合状態に移行する。なお、遊星ギヤユニット6が噛合状態に移行しても、図19(b−2)に示すように、フックギヤ5とロックフレーム7は動作せず、ロック状態が維持される。
噛合状態において、DCモータ81の回転力が二段太陽ギヤ61を介して二段遊星ギヤ62に伝達されると、図19(a−3)に示すように、二段遊星ギヤ62がピン87を軸に反時計回りに自転(回転)し、小径遊星ギヤ622にギヤ部522が噛合しているフックギヤ5が時計回りに回転する。フックギヤ5が時計回りに回転すると、図19(b−3)に示すように、ロックフレーム7のロック部71に対するフック部521の係止が解除される。係止が解除されると、引張コイルばね82によってロックフレーム7に付与されている反時計回りに回転する方向の付勢力と、圧縮コイルばねの付勢力によって引出しが進出する際に係合部252が引留部72に付与する付勢力によって、ロックフレーム7が反時計回りに回転する。
ロックフレーム7が反時計回りに回転すると、図20(b−4)に示すように、引留部72と係合部252との係合が解除され、引出し2は収納位置から進出し(図16等参照)、ロック部71が、遊星ギヤユニット6の当接片631に当接する。なお、図20(a−4)に示すように、小径遊星ギヤ622とフックギヤ5のギヤ部522との噛合状態が維持されている状態では、フックギヤ5の時計回りの回転が継続する。
遊星ギヤユニット6の当接片631に当接したロックフレーム7は、さらに反時計回りに回転する。これにより、図20(b−5)に示すように、遊星ギヤユニット6はロックフレーム7に押され、遊星ギヤユニット6もロックフレーム7とともに反時計回りに回転する。遊星ギヤユニット6は、ベース部材63が第2ストッパ部431に当接することで回転を停止する。ロックフレーム7は、図20(c−5)に示すように、当接部73が天板41の第1ストッパ部411に当接することで回転を停止する。なお、ベース部材63の第2ストッパ部431に当接した遊星ギヤユニット6によってロックフレーム7の回転を停止させる態様を採用し、天板41の第1ストッパ部411を省略することもできる。図20(a−5)に示すように、ロックフレーム7に押され遊星ギヤユニット6が反時計回りに回転することで、小径遊星ギヤ622が反時計回りに回転する方向に公転(回動)する。これにより、遊星ギヤユニット6は、小径遊星ギヤ622がフックギヤ5のギヤ部522から離間した初期状態に移行する。さらに前述した通り、ロックフレーム7は二段遊星ギヤ62が公転する力よりも大きな力で付勢しているため、二段遊星ギヤ62は解除状態ではギヤ部522から離間した初期状態から移動できない。この結果、DCモータ81の駆動が継続している場合であっても、二段遊星ギヤ62は、ピン87を軸に自転するだけ(空回り状態)であり、DCモータ81の回転力はフックギヤ5に伝達されない。このため、DCモータ81の停止制御が不要になる。さらに、噛合状態でDCモータ81が一方向に回転することで、フック部521とロック部71との係止が解除される。このため、フック部521とロック部71との係止が解除される状態においても、フック部521の位置もロック部71の位置も制御する必要はない。すなわち、フック部521もロック部71もセンサで検出して位置制御する必要はない。
また、図20(b−5)および同図(c−5)では、ロックフレーム7は、収納位置から進出した引出し2が収納位置に押し戻される際に、引出し2の係合部252を受け入れる姿勢で停止している。具体的には、引留部72を、収納位置に押し戻されてきた係合部252に接触しない位置に退避させている。この図20(b−5)および同図(c−5)に示すロックフレーム7の状態が、ロックフレーム7の初期状態になる。
図21は、図19(a−1)および同図(b−1)に示すロック状態のロックユニット3において、ユーザが引出しを押さえていたり、あるいは鍵による強制ロックが働き、引出しが進出できない場合にもかかわらず、ドロワキック信号が出力されたときの各構成要素の動作を示す図である。図21の左側に示す(c)では、天板41、ロックフレーム7および引張コイルばね82を省略し、フックギヤ5と遊星ギヤユニット6の動作を示している。また、(c)の右側に示す(d)では、(c)に対してロックフレーム7、引張コイルばね82、およびストッパフレームの係合部252を追加し、フックギヤ5、ロックフレーム7および係合部252の動作を示している。
図19(a−1)および同図(b−1)に示すロック状態において引出しが進出できない場合にドロワキック信号が出力されると、図21(c−1)に示すように、DCモータ81が駆動することでフックギヤ5が反時計回りに回転する。やがて、図21(d−1)に示すように、フック部521とロック部71との係止が解除されるが、引出しが収納位置に留まるため係合部252の位置も変化しない。このため、係合部252によってロックフレーム7の動作が阻止され、小径遊星ギヤ622とギヤ部522との噛合状態が継続する。
本実施形態のギヤ部522は、ギヤ歯の数を所定に設定(例えば5つ)しており、DCモータ81の駆動が継続しフックギヤ5が回転していくと、図21(c−2)に示すように、小径遊星ギヤ622とギヤ部552との噛合が解除される。これにより、小径遊星ギヤ622が空回りする状態になり、ドロワキック信号に相当する、0.5秒〜1.0秒程度の電力供給が終了すると小径遊星ギヤ622の回転も停止する。ここで、フックギヤ5が回動できる範囲を超えて小径遊星ギヤ622とギヤ部552との噛合を継続させると、DCモータ81がロックしてしまう虞がある。本実施形態ではギヤ部552のギヤ歯の数を所定に設定することで、フックギヤ5が回動できる範囲内で小径遊星ギヤ622とギヤ部552との噛合が解除される態様を採用し、DCモータ81のロックを防止している。ここで、ギヤ部552のギヤ歯の数は、フックギヤ5が回動できる範囲や電力供給の時間等に基づいて適宜設定すればよい。なお、図21(c−2)および図21(d−2)に示す状態から、引出し2の強制ロック等が解除され、引出し2が進出できる状態になると、圧縮コイルばね923(図16参照)の付勢力によって、引出し2は進出方向に進出する。
図22は、図20(b−5)に示す、ロックフレーム7が初期状態に位置するロックユニット3において、引出し2を収納位置に押し戻し、図19(b−1)に示す、ロック状態のロックユニット3に戻すまでの様子を示す図である。図22(e−1)および同図(e−2)では、図19の(b)および図20の(b)に対応させ、天板41を省略し、フックギヤ5、ロックフレーム7および係合部252の動作を示している。
図20(b−5)に示す、初期状態のロックフレーム7に対し、引出し2を収納位置に向けて押し戻していくと、ロックフレーム7は、引出し2の係合部252に押され、図22(e−1)に示すように時計回りに回転していく。
引出し2を収納位置まで押し戻すと、図22(e−2)に示すように、ロックフレーム7の引留部72が係合部252の係合孔252aに入り込み、引出し2の係合部252とロックフレーム7の引留部72が係合する。また、ロックフレーム7のロック部71が、フックギヤ5のフック部521を超える位置まで回動し、引張コイルばね82の付勢力によって、フックギヤ5は反時計回りに回転する。これにより、ロックユニット3は、図19(b−1)に示すロック状態に移行する。このように、フック部521がロック部71に係止する状態においても、フック部521の位置もロック部71の位置も制御する必要はない。また、本実施形態では、係止が解除されて動作したロックフレーム7は、収納位置に押し戻される引出し2の係合部252を受け入れる初期状態で停止する。このため、ロックフレーム7を初期状態に移動させるための、モータの逆転動作やセンサを用いた位置制御、さらにはモータの停止制御も不要になる。
本実施形態のキャッシュドロワDによれば、位置制御やモータの停止制御をすることなく引出し2のロックとその解除ができる。この結果、位置制御やモータの停止制御をするためのセンサや制御基板が不要になり装置のコストを抑えることができる。さらに、ユーザーの誤動作に基づくエラーの発生が減少する。
なお、上記実施形態では、ロックフレーム7のロック部71によって遊星ギヤユニット6を押す態様を採用したが、ロックフレーム7におけるロック部71以外の部分によって遊星ギヤユニット6を押し、遊星ギヤユニット6を噛合状態から初期状態に移行させる態様としてもよい。また、上記実施形態では、一つの引張コイルばね82によってフックギヤ5とロックフレーム7の双方を付勢しているが、フックギヤ5を付勢する付勢部材とロックフレーム7を付勢する付勢部材をそれぞれ設けてもよい。ただし、一つの引張コイルばね82によってフックギヤ5とロックフレーム7の双方を付勢する態様によれば部品点数を削減することができる。
以上の記載では、収納位置において進出方向に付勢された引出しと、係止部およびギヤ部を有する係止部材と、モータと、初期状態では前記ギヤ部と離間した位置関係にあり噛合状態では該ギヤ部に噛合し前記モータの回転力を受けて回転する伝達ギヤを有し、該モータの回転によって該初期状態から該噛合状態に移行する伝達部材と、ロック状態では前記係止部に係止されているロック部、および該ロック状態では前記引出しと係合し該引出しを前記収納位置に引き留めておく引留部を有するロック部材とを備え、前記ロック部材は、前記噛合状態で前記モータが一方向に回転することで、前記係止部による係止が解除され、該係止が解除されることで動作するものであり、前記引出しは、前記ロック部材が動作することで前記引留部との係合が解除され、前記収納位置から進出するものであり、前記伝達部材は、前記ロック部材が動作することで該ロック部材に押されるものであり、前記伝達ギヤは、前記ロック部材に前記伝達部材が押されることで、前記噛合状態から前記初期状態に移行するものであり、前記引留部は、前記収納位置から進出した前記引出しが該収納位置に押し戻されることで、該引出しと係合するものであり、前記係止部は、前記収納位置から進出した前記引出しが該収納位置に押し戻されることで、前記ロック部に係止するものであることを特徴とするドロワ装置について説明した。
また、前記ロック部材は、前記ロック状態で前記ロック部が前記伝達部材に近づく方向に付勢されており、前記係止が解除されることで動作するものであることについても説明した。
また、前記ロック部材は、前記係止が解除された状態では、前記伝達部材が前記モータの回転によって前記初期状態から前記噛合状態に移行する力よりも強い力で、前記伝達ギヤが前記ギヤ部から離間する方向に該伝達部材を押すものであることについても説明した。
また、前記伝達ギヤは、遊星ギヤであることについても説明した。
また、前記ギヤ部は、前記噛合状態で前記伝達ギヤが一方向に回転し続けると、該伝達ギヤとの噛合が解除されるものであることについても説明した。
また、前記ロック部は、回動することで前記伝達部材に向かって移動するものであることについても説明した。
また、前記ロック状態において、前記伝達部材に近づく方向に前記ロック部を付勢する付勢部材を備えたことについても説明した。
また、前記付勢部材は、前記ロック状態において、前記ロック部に向けて前記係止部を付勢する機能を兼ねることについても説明した。
以上、キャッシュドロワDについて詳述したが、本発明に適用することができるキャッシュドロワは、ここで説明したキャッシュドロワDに限られることはない。