JP2016161600A - 顕微鏡、顕微鏡システム、オートフォーカス方法、及び、プログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】顕微鏡を用いた観察作業の作業効率を改善する技術を提供する。
【解決手段】顕微鏡100は、無限遠補正型の対物レンズ101と、対物レンズ101を介して入射する標本Sからの光を結像する結像光学系106と、対物レンズ101と標本Sとの相対距離に応じて結像光学系106の焦点距離を変更するための可変焦点機構103と、を備える。
【選択図】図1
【解決手段】顕微鏡100は、無限遠補正型の対物レンズ101と、対物レンズ101を介して入射する標本Sからの光を結像する結像光学系106と、対物レンズ101と標本Sとの相対距離に応じて結像光学系106の焦点距離を変更するための可変焦点機構103と、を備える。
【選択図】図1
Description
本発明は、顕微鏡、顕微鏡システム、オートフォーカス方法、及び、プログラムに関する。
顕微鏡で標本中の対象部位を観察するためには、フォーカス作業や位置決め作業などの種々の作業が行われるが、これらの作業はいずれも手間のかかる作業である。
フォーカス作業では、利用者は対物レンズを標本の近くまで近づける必要がある。特に、対物レンズが高倍対物レンズの場合には、その距離は1mm以下となるため、この作業は慎重に行われる。さらに、顕微鏡が倒立顕微鏡の場合には、対物レンズが標本の下側に位置し、対物レンズを利用者が目視で確認することは困難であるため、作業の難易度も高くなる。このように、フォーカス作業は、概して利用者の負担の大きな作業であることから、利用者の作業負担を軽減するために、多くの顕微鏡メーカーからオートフォーカスユニットが提供されている。
位置決め作業では、利用者は、ステージなどを移動させて、観察対象部位を顕微鏡の視野内に納める。この場合、まず、低倍対物レンズを用いて比較的広い範囲から観察対象部位を探した後に、高倍対物レンズでその観察対象部位が視野内に収まるように位置決めするのが通常である。
オートフォーカスユニットによって利用者の作業負担は軽減されるものの、対物レンズの焦点深度は10倍の対物レンズでも10μm程度と狭いため、標本から数mm以上離れた位置からオートフォーカス処理を開始すると、処理が完了するまでに長い時間が掛かってしまう。
また、高倍高NA(開口数)での観察を行う場合には、液浸対物レンズが用いられる。この場合、低倍の対物レンズから高倍の対物レンズへ切り替える際に、対物レンズに浸液を付けるという追加の作業が生じてしまう。また、高倍の対物レンズに切り替えた後には、低倍の対物レンズへの切り替えが制限されてしまう。
以上のような実情を踏まえ、本発明は、顕微鏡を用いた観察作業の作業効率を改善する技術を提供することを目的とする。
本発明の第1の態様は、無限遠補正型の対物レンズと、前記対物レンズを介して入射する標本からの光を結像する結像光学系と、前記対物レンズと前記標本との相対距離に応じて前記結像光学系の焦点距離を変更するための可変焦点機構と、を備える顕微鏡を提供する。
本発明の第2の態様は、第1の態様に記載の顕微鏡において、前記結像光学系は、挿脱自在に配置されたレンズを含み、前記可変焦点機構は、前記レンズを挿脱する機構を含む顕微鏡を提供する。
本発明の第3の態様は、第2の態様に記載の顕微鏡において、前記可変焦点機構は、さらに、前記レンズを光軸方向に移動させる機構を含む顕微鏡を提供する。
本発明の第4の態様は、第1の態様に記載の顕微鏡において、前記結像光学系は、ズーム光学系であり、前記可変焦点機構は、前記ズーム光学系のレンズを光軸方向に移動させる機構を含む顕微鏡を提供する。
本発明の第5の態様は、第1の態様乃至第4の態様のいずれか1つに記載の顕微鏡と、前記顕微鏡を制御する制御装置と、を備え、前記顕微鏡は、さらに、前記対物レンズと前記標本との相対距離を変更する準焦機構を備え、前記制御装置は、前記準焦機構と前記可変焦点機構を制御して、前記顕微鏡の動作モードを、前記対物レンズが形成する前記標本の光学像をリレーして前記標本を観察する第1のモードと前記対物レンズから出射する無限遠光束を結像して前記標本を観察する第2のモードとの間で切り替える顕微鏡システムを提供する。
本発明の第6の態様は、第5の態様に記載の顕微鏡システムにおいて、前記第1の動作モードは、前記対物レンズの倍率未満の倍率で前記標本を観察するための動作モードである顕微鏡システムを提供する。
本発明の第7の態様は、第1の態様乃至第4の態様のいずれか1つに記載の顕微鏡と、前記顕微鏡を制御する制御装置と、を備え、前記顕微鏡は、さらに、前記結像光学系と、前記可変焦点機構と、前記対物レンズと前記標本との相対距離を変更する準焦機構と、を含むオートフォーカスユニットを備え、前記制御装置は、前記オートフォーカスユニットを制御して、前記顕微鏡の動作モードを、前記対物レンズの前側焦点位置よりも前記対物レンズから離れた第1の位置にフォーカスを合わせる第1のモードと前記対物レンズの前側焦点位置にフォーカスを合わせる第2のモードとの間で切り替える顕微鏡システムを提供する。
本発明の第8の態様は、無限遠補正型の対物レンズと結像光学系とを備える顕微鏡システムのオートフォーカス方法であって、前記結像光学系の焦点距離を変更して、前記対物レンズの前側焦点位置よりも前記対物レンズから離れた第1の位置にフォーカスを合わせ、前記結像光学系の焦点距離に基づいて算出した前記対物レンズと標本の間の距離に応じて前記対物レンズを前記標本に近づけて、前記対物レンズの前側焦点位置にフォーカスを合わせるオートフォーカス方法を提供する。
本発明の第9の態様は、無限遠補正型の対物レンズと結像光学系とを備える顕微鏡システムのコンピュータを、前記結像光学系の焦点距離を変更して、前記対物レンズの前側焦点位置よりも前記対物レンズから離れた第1の位置にフォーカスを合わせる手段、前記結像光学系の焦点距離に基づいて算出した前記対物レンズと標本の間の距離に応じて前記対物レンズを前記標本に近づける手段、前記対物レンズの前側焦点位置にフォーカスを合わせる手段、として機能させるプログラムを提供する。
本発明によれば、顕微鏡を用いた観察作業の作業効率を改善する技術を提供することができる。
図1は、本実施例に係る顕微鏡システム1の構成を例示した図である。図1に示す顕微鏡システム1は、顕微鏡100と、カメラ110と、制御装置120と、表示装置130と、入力装置140とを備えている。
顕微鏡100は、例えば、図示しない透過照明手段によって照明された標本Sの光学像を形成する倒立顕微鏡である。顕微鏡100は、無限遠補正型の対物レンズ101と、対物レンズ101を介して入射する標本Sからの光を結像する結像光学系106と、を備えている。
対物レンズ101は、特に限定されないが、高倍で高い開口数を有する対物レンズであることが望ましい。対物レンズ101は、例えば、標本と対物レンズの間を水やオイルなどの浸液で満たした状態で使用される液浸対物レンズであってもよい。
結像光学系106は、レンズ104と結像レンズ105とを含んでいる。レンズ104は、結像光学系106の光軸上に挿脱自在に配置されたレンズであり、結像光学系106の光軸方向に移動自在に配置されたレンズである。結像レンズ105は、対物レンズ101から無限遠光束が入射したときに標本Sの光学像をカメラ110の受光面上に形成するレンズであり、その後側焦点位置がカメラ110の受光面に位置するように配置されている。なお、図1では、レンズ104は、結像レンズ105よりも物体側に配置されているが、結像レンズ105よりも像側に配置されてもよい。
顕微鏡100は、さらに、対物レンズ101を光軸方向に移動させる準焦機構102と、結像光学系106の焦点距離を変更する可変焦点機構103と、を備えている。準焦機構102及び可変焦点機構103は、制御装置120に制御される。
準焦機構102は、対物レンズ101と標本Sとの相対距離を変更する機構であればよく、例えば、対物レンズ101の代わりに、標本Sが配置される図示しないステージを光軸方向に移動させる機構(電動ステージなど)であってもよい。
可変焦点機構103は、対物レンズ101と標本Sとの相対距離に応じて結像光学系106の焦点距離を変更するために用いられる。可変焦点機構103は、結像光学系106を構成するレンズ104を挿脱する、ターレット機構やスライダ機構などの機構を含んでいる。可変焦点機構103が制御装置120の指示に応じてレンズ104を挿脱することで、結像光学系106の焦点距離が変化する。さらに、可変焦点機構103は、レンズ104を光軸方向に移動させる機構を含んでいる。可変焦点機構103は、制御装置120の指示に応じて、標本Sにフォーカスを合わせるために、結像光学系106に挿入されたレンズ104を光軸方向に移動させる。つまり、可変焦点機構103は、顕微鏡システム1の第2の準焦機構である。なお、本明細書では、フォーカスを合わせるという表現は、対象物(ここでは、標本S)と光検出器(ここでは、カメラ110)を共役な位置関係にすることをいうものとする。
カメラ110は、顕微鏡100が形成する標本Sの光学像を撮像する撮像装置であり、例えば、2次元イメージセンサであるCCDイメージセンサを備えるCCDカメラである。カメラ110が生成した標本Sの画像データは、制御装置120へ出力される。
制御装置120は、顕微鏡100を制御する装置であり、プロセッサ121とメモリ122を備える顕微鏡システム1のコンピュータである。プロセッサ121は、メモリ122が提供するワーク領域を利用してプログラムを実行する。制御装置120は、少なくとも準焦機構102、可変焦点機構103、及びカメラ110と電気的に接続されていて、これらを制御する。
表示装置130は、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどである。表示装置130は、顕微鏡システム1で取得された標本Sの画像や、顕微鏡システム1を操作するためのGUI(グラフィカルユーザインターフェース)画面を表示する。入力装置140は、例えば、キーボードやマウスなどである。入力装置140は利用者によって直接操作される。
以上のように構成された顕微鏡システム1では、顕微鏡100は、対物レンズ101が形成する標本Sの光学像をリレーして標本Sを観察する広視野観察モード(第1のモード)と対物レンズ101から出射する無限遠光束を結像して標本Sを観察する拡大観察モード(第2のモード)の2つの動作モードを備えている。顕微鏡100は、広視野観察モードでは、標本Sを対物レンズ101の倍率未満の倍率に拡大(又は縮小)した標本Sの光学像をカメラ110の受光面に形成し、拡大観察モードでは、標本Sを対物レンズ101の倍率に拡大した標本Sの光学像をカメラ110の受光面に形成する。
顕微鏡システム1では、制御装置120が準焦機構102及び可変焦点機構103を制御することで、顕微鏡100の動作モードがこれら2つのモード間で切り替わる。即ち、制御装置120は、顕微鏡100の動作モードを第1のモードと第2のモードの間で切り替えるモード切替手段である。
図1から図4を参照しながら、顕微鏡システム1を用いて標本Sを観察する手順について説明する。図2は、図1に示す顕微鏡システム1で行われる処理の流れを示すフローチャートである。図3は、図1に示す顕微鏡システム1の表示装置130に表示される表示画面131の一例を示す図である。図4は、ニュートンの結像式を説明するための図である。
図2に示す処理の開始前に、利用者は、標本Sをステージに配置し、対物レンズ101を観察光路上に設置する。対物レンズ101が液浸対物レンズの場合には、利用者は、対物レンズ101に浸液をつけた後に対物レンズ101を観察光路上に設置し、浸液が標本Sに触れるまで対物レンズ101を標本Sに近づける。なお、液浸対物レンズ、乾燥対物レンズのいずれの場合であっても、この状態では、標本Sと対物レンズ101の主点の間の距離は、対物レンズ101の焦点距離より長い。
以上の準備作業が完了すると、利用者は、所定のプログラムの実行を指示し、顕微鏡システム1が図2に示す処理を開始する。まず、制御装置120が表示装置130に図3に示すGUI画面131を表示させる(ステップS1)。GUI画面131には、標本Sの画像を表示する領域132と、対物レンズ101の仕様を表示する領域134と、顕微鏡100の動作モードを選択するためのラジオボタンが表示された領域135と、光軸方向への対物レンズ101又はレンズ104の移動を指示するための領域136と、光軸と直交する方向へのステージの移動を指示するための領域137が含まれている。なお、領域132に表示された標本Sの画像上には、現在の観察倍率を示す倍率情報133が重ねて表示される。
次に、制御装置120は、広視野観察モード(第1の動作モード)を選択する操作を検出する(ステップS2)。ここでは、利用者による領域135のラジオボタン(広視野観察モード)の押下を検出する。
広視野観察モードが選択されると、制御装置120は、モード設定処理を実行する(ステップS3)。ここでは、顕微鏡100を広視野観察モードで動作させるために、制御装置120は、可変焦点機構103を制御して、可変焦点機構103にレンズ104を結像光学系106の光軸上に挿入させる。図1(a)には、動作モードが広視野観察モードであるときの顕微鏡100が示されている。レンズ104は正のパワーを有し、レンズ104挿入後の結像光学系106は、レンズ104挿入前の結像光学系106よりも短い焦点距離(合成焦点距離)を有する。
その後、第1の準焦処理が行われる(ステップS4)。第1の準焦処理は、レンズ104を光軸方向に移動させて標本Sにフォーカスを合わせる処理である。第1の準焦処理は、領域132に表示されている画像を見ながら利用者が手動で、つまり、可変焦点機構103を直接操作することにより行われてもよい。また、利用者の指示(例えば、領域136のボタン操作)に従って制御装置120が可変焦点機構103を制御することにより行われてもよい。また、カメラ110から出力される画像に基づいて制御装置120により自動で行われてもよい。即ち、制御装置120が、パッシブ方式のオートフォーカス処理(例えば、コントラストAF処理など)を行ってもよい。
上述したように、標本Sと対物レンズ101の主点との間の距離は、対物レンズ101の焦点距離よりも長い。このため、標本Sからの光は対物レンズ101で無限遠光束には変換されない。標本Sからの光は対物レンズ101によって収斂光束に変換されて、標本Sの光学像S’(以降、対物レンズ101が形成する標本Sの光学像を中間像S’と記す)が対物レンズ101と結像光学系106の間に形成される。第1の準焦処理では、中間像S’が結像光学系106によってカメラ110の受光面にリレーされるように、可変焦点機構103が制御される。即ち、レンズ104を光軸方向に移動させて結像光学系106の焦点距離を変更し、標本Sにフォーカスを合わせる。これにより、受光面に形成された標本Sの光学像がカメラ110で撮像されて、フォーカスが合っている標本Sの画像が表示装置130に表示される。図1(a)には、標本Sにフォーカスが合っている状態の光線図が描かれている。
このとき表示装置130に表示される標本Sの画像の倍率は、対物レンズ101の倍率未満の倍率となる。この点について以下で説明する。中間像S’が形成される位置は、以下に示すニュートンの結像式(1)で算出される。ここで、fは対物レンズ101の焦点距離である。また、図4に示すように、xは標本Sと対物レンズ101の前側焦点位置P1との間の距離を示し、x’は中間像S’と対物レンズ101の後側焦点位置P2との間の距離を示す。なお、距離の正負は、焦点位置を基準にして定義される。具体的には、焦点位置と焦点位置よりもX軸の正側の位置との間の距離は正、焦点位置と焦点位置よりもX軸の負側の位置との間の距離は負と定義する。図4の例では、距離xは、標本Sが前側焦点位置P1よりもX軸の負方向に位置するため、負の値を有する。一方、距離x’は、中間像S’が後側焦点位置P2よりもX軸の正方向に位置するため、正の値を有する。
また、中間像S’の倍率mは、以下の式(2)で算出される。ここで、yは標本Sの高さを示し、y’は中間像S’の像高を示す。なお、式(2)は、高倍の対物レンズ(焦点距離の短い対物レンズ)ほどわずかな距離の変化で倍率が大きく変化することを示している。
そして、以下の式(3)を満たすような位置に標本Sが配置されている場合には、中間像S’の倍率mは対物レンズ101の倍率mob未満の倍率となることが、式(2)から導かれる。
対物レンズ101の焦点距離は短い。また、対物レンズ101と標本Sとの衝突を避けるために、対物レンズ101と標本Sがある程度離れた状態から図2に示す処理は開始される。このため、ステップS4では、標本Sの位置は式(3)を満している。
さらに、式(1)より、中間像S’は、対物レンズ101の近くの位置に形成される。また、結像レンズ105と対物レンズ101の間隔は、顕微鏡の準焦機構や図示しない対物レンズの切り替え機構、照明光学系などが配置されるため、通常100mm以上となることが多い。従って、結像光学系106によって形成される中間像S’のカメラ110の受光面への投影倍率(中間像S’位置から受光面までの倍率)は、式(2)から、1倍〜3倍程度と低くなる。
ここで、簡単のためレンズはすべて薄肉レンズとみなし、具体的な数値例を示す。
対物レンズ101の焦点距離3mm(対物レンズの倍率60X)、結像レンズ105の焦点距離180mm、対物レンズ101と結像レンズ105の間隔120mm、結像レンズ101と受光面の距離180mmの場合に、標本Sを対物レンズ101の焦点面(前側焦点位置P1)から0.5mm遠ざけたとすると、式(1)とx=-0.5、f=3より、x’=18となる。
対物レンズ101の焦点距離3mm(対物レンズの倍率60X)、結像レンズ105の焦点距離180mm、対物レンズ101と結像レンズ105の間隔120mm、結像レンズ101と受光面の距離180mmの場合に、標本Sを対物レンズ101の焦点面(前側焦点位置P1)から0.5mm遠ざけたとすると、式(1)とx=-0.5、f=3より、x’=18となる。
したがって、対物レンズ101の焦点面(後側焦点位置P2)から結像レンズ105側に18mmの位置に中間像S’が形成され、標本Sの中間像S’への投影倍率(標本S位置から中間像S’位置までの倍率)は、式(2)より-6倍となる。
中間像S’を受光面にリレーするための結像光学系106の焦点距離fは、式(1)から求められ、63.87mmとなる。従って、結像光学系106による中間像S’の受光面への投影倍率(中間像S’位置から受光面までの倍率)は式(2)より、-1.818倍となる。よって、標本Sの受光面への投影倍率(標本S位置から受光面までの倍率)は10.91倍となり、対物レンズの倍率60Xより小さくなる。
中間像S’を受光面にリレーするための結像光学系106の焦点距離fは、式(1)から求められ、63.87mmとなる。従って、結像光学系106による中間像S’の受光面への投影倍率(中間像S’位置から受光面までの倍率)は式(2)より、-1.818倍となる。よって、標本Sの受光面への投影倍率(標本S位置から受光面までの倍率)は10.91倍となり、対物レンズの倍率60Xより小さくなる。
従って、ステップS4後に、表示装置130に表示される画像の倍率は、対物レンズ101の倍率未満である。そして、この状態では、利用者は、広い視野で標本Sを観察することできるので、標本S中から観察対象部位を容易に探し出すことができる。このため、利用者は、ステップS4後に、GUI画面131の領域132に表示されている画像を見ながら、領域137に表示されたキーを操作して、観察対象部位が視野中心に位置するようにステージを移動させることが望ましい。
第1の準焦処理が完了すると、準焦準備処理を実行する(ステップS5)。準焦準備処理は、対物レンズ101を光軸方向に移動させて、対物レンズ101の主点を標本Sから対物レンズ101の焦点距離だけ離れた位置に近づける処理である。
準焦準備処理は、画像を見ながら利用者が手動で、つまり、準焦機構102を直接操作することにより行われてもよい。また、利用者の指示(例えば、領域136のボタン操作)に従って制御装置120が準焦機構102を制御することにより行われてもよい。この場合、利用者は、対物レンズ101から無限遠光束が出射されて対物レンズ101が中間像S’を形成しなくなるまで、即ち、表示装置130に表示される画像で標本Sが確認できなくなるまで、対物レンズ101を標本Sに近づける。
また、準焦準備処理は、以下のように制御装置120により自動で行われてもよい。まず、レンズ104の位置を特定する。レンズ104の位置は、例えば、センサ等で検出してもよく、可変焦点機構103の制御履歴から特定してもよい。次に、レンズ104の位置に基づいて結像光学系106の焦点距離を算出して中間像S’の位置を特定する。さらに、中間像S’の位置と対物レンズ101の焦点距離から標本Sと対物レンズ101の主点との間の距離を算出する。これにより、標本Sと対物レンズ101の主点との間の距離を対物レンズ101の焦点距離に一致させるために、対物レンズ101を移動させるべき距離が特定される。最後に、準焦機構102を制御して、特定された距離だけ対物レンズ101を光軸方向に移動させる。以降では、このような制御装置120による準焦準備処理を準焦アシスト処理と記す。
次に、制御装置120は、拡大観察モード(第2の動作モード)を選択する操作を検出する(ステップS6)。ここでは、利用者による領域135のラジオボタン(拡大観察モード)の押下を検出する。
拡大観察モードが選択されると、制御装置120は、モード設定処理を実行する(ステップS7)。ここでは、顕微鏡100を拡大観察モードで動作させるために、制御装置120は、可変焦点機構103を制御して、レンズ104を結像光学系106の光軸上から取り除く。これにより、対物レンズ101から出射された無限遠光束が結像レンズ105に入射し、カメラ110の受光面に標本Sの光学像が形成される。なお、図1(b)には、動作モードが拡大観察モードであるときの顕微鏡100が示されている。
顕微鏡システム1では、ステップS5からステップS7の処理により、対物レンズ101の主点と標本Sとの間の距離はおよそ対物レンズ101の焦点距離と一致した状態となる。このため、表示装置130に表示される標本Sの画像の倍率は、対物レンズ101の倍率となる。この状態(拡大観察モード)では、広視野観察モードに比べて高い倍率で標本Sを観察することができる。このため、利用者は、ステップS7後に、標本Sの詳細な観察を行うことが望ましい。
顕微鏡システム1では、対物レンズを切り替えることなく低倍から高倍まで広い観察倍率で標本を観察することができる。このため、顕微鏡を用いた観察作業の作業効率を改善することができる。特に、液浸対物レンズを使用する場合には、対物レンズの切り替えに伴う浸液の付け直しなどの作業を省略することができるため、好適である。
なお、広視野観察モードと拡大観察モードでは、結像回数が異なる。このため、表示装置130に表示される画像の向きを揃えるために、例えば、広視野観察モードで画像を上下左右に反転させる画像処理が行われることが望ましい。拡大観察モードで画像を上下左右に反転させる画像処理が行われてもよい。
また、図2では、準焦準備処理(ステップS5)後に、拡大観察モードを選択する操作を検出して拡大観察モードへ切り替える処理(ステップS6及びステップS7)を行う例が示されている。しかしながら、準焦準備処理が制御装置120により自動で行われる場合には、図5に示すように、拡大観察モードを選択する操作を検出する処理(ステップS5a)、及び、拡大観察モードへ動作モードを切り替える処理(ステップS6a)の後に、準焦準備処理が行われてもよい(ステップS7a)。
また、図6に示すように、モード設定処理(ステップS7)が終了した後に、第2の準焦処理(ステップS8)が行われてもよい。第2の準焦処理を行うことで、拡大観察モードでより確実にフォーカスのあった画像を得ることができる。なお、第2の準焦処理は、準焦準備処理と同様に、対物レンズ101を光軸方向に移動させる処理である。領域132に表示されている画像を見ながら利用者が手動で準焦機構102を操作することにより行われてもよく、利用者の指示(例えば、領域136のボタン操作)に従って制御装置120が準焦機構102を制御することにより行われてもよい。また、カメラ110から出力される画像に基づいて制御装置120がパッシブ方式のオートフォーカス処理を実行することにより行われてもよい。
図7は、本実施例に係る顕微鏡200の構成を例示した図である。顕微鏡200は、標本Sを目視観察するための接眼レンズ204を備えた顕微鏡であり、例えば、図示しない透過照明手段によって照明された標本Sの光学像を形成する倒立顕微鏡である。なお、図7(a)には、動作モードが広視野観察モードであるときの顕微鏡200が、図7(b)には、動作モードが拡大観察モードであるときの顕微鏡200が示されている。
顕微鏡200は、無限遠補正型の対物レンズ101と、準焦機構102と、可変焦点機構201と、結像光学系203と、接眼レンズ204と、を備えている。対物レンズ101及び準焦機構102については、実施例1に係る顕微鏡100と同様である。
結像光学系203は、レンズ104と結像レンズ105に加えて、像を反転させるイメージローテータ202を含む点が、実施例1に係る結像光学系106とは異なっている。なお、イメージローテータ202は、広視野観察モードと拡大観察モードで像の向きを揃えるためのものであり、対物レンズ101と接眼レンズ204の間の任意の位置に配置し得る。
可変焦点機構201は、対物レンズ101と標本Sとの相対距離に応じて結像光学系203の焦点距離を変更するために用いられる。可変焦点機構201は、レンズ104及びイメージローテータ202を挿脱する、ターレット機構やスライダ機構などの機構を含んでいる。また、可変焦点機構201は、レンズ104を光軸方向に移動させる機構を含んでいる。なお、図7(a)及び図7(b)に示されるように、可変焦点機構201は、レンズ104とイメージローテータ202の両方を同時に挿入または取り除くように構成されている。
利用者が図2のステップS3からステップS5及びステップS7を手動で行うことで、本実施例に係る顕微鏡200は、実施例1に係る顕微鏡100と同様に、広視野観察モードと拡大観察モードの両方のモードで動作する。このため、顕微鏡200でも、対物レンズを切り替えることなく低倍から高倍まで広い観察倍率で標本を観察することが可能であり、顕微鏡を用いた観察作業の作業効率を改善することができる。
なお、可変焦点機構201は、レンズ104及びイメージローテータ202の一方を挿入し他方を取り除くように構成されてもよい。即ち、レンズ104が光路外に配置されているときに、イメージローテータ202が挿入されてもよい。この場合も、広視野観察モードと拡大観察モードで像の向きを揃えることができる。
図8は、本実施例に係る顕微鏡システム3の構成を例示した図である。図8に示す顕微鏡システム3は、顕微鏡100の代わりに顕微鏡300を備える点が、実施例1に係る顕微鏡システム1とは異なっている。顕微鏡300は、結像光学系106の代わりにズーム光学系である結像光学系305を備える点、可変焦点機構103の代わりに可変焦点機構301を備える点が、実施例1に係る顕微鏡100とは異なっている。なお、図8(a)には、動作モードが広視野観察モードであるときの顕微鏡300が、図8(b)には、動作モードが拡大観察モードであるときの顕微鏡300が示されている。
結像光学系305は、レンズ302、レンズ303、レンズ304を含み、これらのレンズ間の距離を変化させることで、光学ズーム機能を実現するズーム光学系である。
可変焦点機構301は、結像光学系305を構成するレンズを光軸方向に移動させる機構を備えていて、対物レンズ101と標本Sとの相対距離に応じて結像光学系305の焦点距離を変更するために用いられる。
顕微鏡システム3は、図2に示す処理を実行する。ただし、顕微鏡システム3では、ステップS3及びステップS7では、レンズの挿脱は行われない。また、ステップS4では、制御装置120が可変焦点機構301を制御して、結像光学系305を構成するレンズ間の間隔を変化させることで標本Sにフォーカスを合わせる。さらに、ステップS7では、制御装置120が可変焦点機構301を制御して、結像光学系305を構成するレンズの位置を基準位置に戻すことで標本Sにフォーカスを合わせる。なお、結像光学系305は、結像光学系305を構成するレンズが基準位置にある場合には、標本S側から入射する無限遠光束をカメラ110の受光面に集光するように構成されている。
本実施例に係る顕微鏡システム3によっても、実施例1に係る顕微鏡システム1と同様に、対物レンズを切り替えることなく低倍から高倍まで広い観察倍率で標本を観察することができる。このため、顕微鏡を用いた観察作業の作業効率を改善することができる。
図9は、本実施例に係る顕微鏡システム4の構成を例示した図である。図9に示す顕微鏡システム4は、顕微鏡100の代わりに顕微鏡400を備える点が、実施例1に係る顕微鏡システム1とは異なっている。
顕微鏡400は、対物レンズ101とカメラ110との間にオートフォーカスユニット420と結像レンズ105を備えている。オートフォーカスユニット420は、アクティブ方式のオートフォーカス処理、より具体的には、対物レンズ101の瞳面を2分割した一方の領域を介して標本Sに照射したオートフォーカス用の光(以降、AF光と記す)を光検出器431で検出し、その検出信号に基づいて合焦状態を検出するオートフォーカス処理、を実行するユニットである。
オートフォーカスユニット420は、光源421と、ハーフミラー423と、遮光板(遮光板422、遮光板430)と、結像光学系427と、ダイクロイックミラー429と、光検出器431と、を含んでいる。オートフォーカスユニット420は、さらに、対物レンズ101を光軸方向に移動させる準焦機構102と、結像光学系427の焦点距離を変更する可変焦点機構428を含んでいる。
結像光学系427は、レンズ424と、レンズ425、レンズ426を含んでいる。レンズ425及びレンズ426は、結像光学系427の光軸上に挿脱自在に配置されたレンズであり、レンズ425は、結像光学系427の光軸方向に移動自在に配置されたレンズである。レンズ424は、その後側焦点位置が光検出器431の受光面に位置するように配置されている。
可変焦点機構428は、対物レンズ101と標本Sとの相対距離に応じて結像光学系427の焦点距離を変更するために用いられる。可変焦点機構428は、結像光学系427を構成するレンズ425及びレンズ426を挿脱する、ターレット機構やスライダ機構などの機構を含んでいる。さらに、可変焦点機構428は、レンズ425を光軸方向に移動させる機構を含んでいる。可変焦点機構428は、制御装置120の指示に応じて、標本Sにフォーカスを合わせるために、レンズ425及びレンズ426を挿脱し、レンズ425を光軸方向に移動させる。
光源421は、AF光を出射する光源であり、例えば、レーザダイオードである。AF光は、例えば、赤外光であり、カメラ110で検出される観察光とは異なる波長を有している。光源421から出射したAF光は、ハーフミラー423の直前に配置された遮光板422に入射する。遮光板422はAF光の光束の半分を遮蔽するように配置されているため、遮光板422で遮蔽されなかった、AF光の残りの半分の光束がハーフミラー423に入射する。ハーフミラー423で反射したAF光は、結像光学系427を介して入射するダイクロイックミラー429で反射し、対物レンズ101を介して標本Sに照射される。
標本Sで反射したAF光は、対物レンズ101に入射し、ダイクロイックミラー429、結像光学系427を介してハーフミラー423に入射する。ハーフミラー423を透過したAF光は、迷光を遮蔽する遮光板430が配置されている領域とは反対の領域を通って光検出器431に入射する。光検出器431は、例えば、光軸に対して対称な2つの領域を有する2分割フォトダイオードである。オートフォーカスユニット420は、光軸に対して対称な2つの領域で受光したAF光の光量に基づいて、合焦状態を検出する。より具体的には、オートフォーカスユニット420は、受光した光量の合計が一定以上であり、且つ、2つの領域で受光した光量が同じときに、合焦状態にあると判定し、合焦状態を検出する。
以上のように構成された顕微鏡システム4では、顕微鏡400は、広視野AFモード(第1のモード)と、拡大AFモード(第2のモード)の2つの動作モードを備えている。広視野AFモードは、まず、対物レンズ101の前側焦点位置よりも対物レンズ101から離れた第1の位置にある標本Sにフォーカスを合わせて、その後、対物レンズ101の前側焦点位置を標本Sに近づける動作モードである。拡大AFモードは、対物レンズ101の前側焦点位置と標本Sとを一致させて標本Sにフォーカスを合わせる動作モードであり、対物レンズ101の前側焦点位置と標本Sが近い状態で行われる。なお、図9(a)には、動作モードが広視野AFモードであるときの顕微鏡400が、図9(b)には、動作モードが拡大AFモードであるときの顕微鏡400が示されている。
顕微鏡システム4では、制御装置120がオートフォーカスユニット420を制御することで、顕微鏡400の動作モードがこれら2つのモード間で切り替わる。即ち、制御装置120は、顕微鏡400の動作モードを第1のモードと第2のモードの間で切り替えるモード切替手段である。
図10は、図9に示す顕微鏡システム4で行われる処理の流れを示すフローチャートである。図10に示す処理の開始前に利用者が行う処理は、実施例1と同様である。また、ステップS11、S12の処理は、図2に示すステップS1、S2の処理と同様である。
広視野AFモードが選択されると、制御装置120は、モード設定処理を実行する(ステップS13)。ここでは、顕微鏡400を広視野AFモードで動作させるために、制御装置120は、可変焦点機構428を制御して、可変焦点機構428にレンズ425及びレンズ426を結像光学系427の光軸上に挿入させる。
その後、制御装置120は、オートフォーカスユニット420を制御して、第1の準焦処理を行う(ステップS14)。オートフォーカスユニット420は、可変焦点機構428を制御してレンズ425を光軸方向に移動させて、対物レンズ101の前側焦点位置よりも対物レンズ101から離れた位置(第1の位置)にある標本Sにフォーカスを合わせる。
第1の準焦処理が完了すると、制御装置120は、準焦準備処理を実行する(ステップS15)。準焦準備処理は、対物レンズ101を光軸方向に移動させて、対物レンズ101の前側焦点位置を標本Sに近づける処理であり、準焦アシスト処理である。具体的には、まず、レンズ425の位置を特定する。レンズ425の位置は、例えば、センサ等で検出してもよく、可変焦点機構428の制御履歴から特定してもよい。次に、レンズ425の位置に基づいて結像光学系427の焦点距離を算出して対物レンズ101が形成する中間像S’の位置を特定する。さらに、中間像S’の位置と対物レンズ101の焦点距離から標本Sと対物レンズ101の主点との間の距離を算出する。これにより、標本Sと対物レンズ101の主点との間の距離を対物レンズ101の焦点距離に一致させるために、対物レンズ101を移動させるべき距離が特定される。最後に、準焦機構102を制御して、特定された距離だけ対物レンズ101を光軸方向に移動させる。これにより、対物レンズ101の前側焦点位置と標本Sが近い状態になる。
その後、制御装置120は、拡大AFモードを選択する操作を検出すると(ステップS16)、モード設定処理を実行する(ステップS17)。ここでは、制御装置120は、可変焦点機構428を制御して、レンズ425を結像光学系427の光軸上から取り除く。
最後に、制御装置120は、オートフォーカスユニット420を制御して、第2の準焦処理を行う(ステップS18)。オートフォーカスユニット420は、準焦機構102を制御して対物レンズ101を光軸方向に移動させることで、標本Sにフォーカスを合わせる。これにより、対物レンズ101の前側焦点位置に標本Sが位置することになる。
この状態で、図示しない照明手段によって標本Sを照明することで、カメラ110の受光面に対物レンズ101の倍率に拡大された標本Sの光学像が形成される。従って、フォーカスの合った標本Sの画像が表示装置130に表示されることになるため、利用者は、直ぐに標本Sの詳細な観察を開始することができる。
顕微鏡システム4では、広視野AFモードと拡大AFモードの両モードを用いて、標本Sにフォーカス合わせる。特に、顕微鏡400は、広視野AFモードで動作することで、対物レンズ101から比較的離れた位置にある標本Sにフォーカスを合わせた状態で光学的な関係から対物レンズ101と標本Sとの距離を算出し、その後、対物レンズ101の前側焦点位置を標本S近傍まで一度に近づけることができる。このため、拡大AFモードでのみ動作する場合に比べて、短時間で対物レンズ101の前側焦点位置と標本Sとを一致させて標本Sにフォーカスを合わせることができる。従って、顕微鏡を用いた観察作業の作業効率を改善することができる。
図11は、本実施例に係る顕微鏡システム5の構成を例示した図である。顕微鏡システム5は、顕微鏡400の代わりに顕微鏡500を備える点が、実施例4に係る顕微鏡システム4とは異なっている。顕微鏡500は、オートフォーカスユニット420の代わりにオートフォーカスユニット520を備える点が、実施例4に係る顕微鏡400とは異なっている。フォーカスユニット520は、結像光学系427の代わりにズーム光学系である結像光学系523を備える点、可変焦点機構428の代わりに可変焦点機構524を備える点が、オートフォーカスユニット420とは異なっている。なお、図11(a)には、動作モードが広視野AFモードであるときの顕微鏡500が、図11(b)には、動作モードが拡大AFモードであるときの顕微鏡500が示されている。
結像光学系523は、レンズ424、レンズ521、レンズ522を含み、これらのレンズ間の距離を変化させることで、光学ズーム機能を実現するズーム光学系である。
可変焦点機構524は、結像光学系523を構成するレンズを光軸方向に移動させる機構を備えていて、対物レンズ101と標本Sとの相対距離に応じて結像光学系523の焦点距離を変更するために用いられる。
顕微鏡システム5は、図10に示す処理を実行する。ただし、顕微鏡システム5では、ステップS13及びステップS17では、レンズの挿脱は行われない。また、ステップS14では、制御装置120が可変焦点機構524を制御して、結像光学系523を構成するレンズ間の間隔を変化させることで標本Sにフォーカスを合わせる。さらに、ステップS17では、制御装置120が可変焦点機構524を制御して、結像光学系523を構成するレンズの位置を基準位置に戻す。
本実施例に係る顕微鏡システム5によっても、実施例4に係る顕微鏡システム4と同様に、拡大AFモードでのみ動作する場合に比べて、短時間で対物レンズ101の前側焦点位置と標本Sとを一致させて標本Sにフォーカスを合わせることができる。従って、顕微鏡を用いた観察作業の作業効率を改善することができる。
図12は、本実施例に係る顕微鏡システム6の構成を例示した図である。顕微鏡システム6は、顕微鏡600と、カメラ110及びカメラ150と、制御装置120と、表示装置130と、入力装置140とを備えている。
顕微鏡600は、例えば、図示しない透過照明手段によって照明された標本Sの光学像を形成する倒立顕微鏡である。顕微鏡600は、無限遠補正型の対物レンズ101と、準焦機構102と、ハーフミラー601と、結像レンズ105を備えている。
顕微鏡600は、さらに、ハーフミラー601とカメラ110の間に、結像レンズ105を備えていて、ハーフミラー601とカメラ150の間に、可変焦点機構620により焦点距離が変更される結像光学系610と、イメージローテータ630を備えている。
結像レンズ105は、対物レンズ101から無限遠光束が入射したときに標本Sの光学像をカメラ110の受光面上に形成するレンズであり、その後側焦点位置がカメラ110の受光面に位置するように配置されている。
結像光学系610は、レンズ611、レンズ612、レンズ613を含み、これらのレンズ間の距離を変化させることで、光学ズーム機能を実現するズーム光学系である。
可変焦点機構620は、結像光学系610を構成するレンズを光軸方向に移動させる機構を備えていて、対物レンズ101と標本Sとの相対距離に応じて結像光学系610の焦点距離を変更するために用いられる。
以上のように構成された顕微鏡システム6では、対物レンズ101が形成する標本Sの光学像S’をリレーして標本Sを観察する広視野観察モード(第1のモード)と対物レンズ101から出射する無限遠光束を結像して標本Sを観察する拡大観察モード(第2のモード)の2つの動作モードを備えている。顕微鏡600は、広視野観察モードでは、標本Sを対物レンズ101の倍率未満の倍率に拡大(又は縮小)した標本Sの光学像をカメラ150に形成し、拡大観察モードでは、標本Sを対物レンズ101の倍率に拡大した標本Sの光学像をカメラ110に形成する。
顕微鏡システム6は、図2に示す処理を実行する。ただし、顕微鏡システム3では、ステップS3及びステップS7では、レンズの挿脱は行われない。ステップS3では、カメラ150からの出力に基づいて制御装置120が表示装置130に画像を表示し、ステップS7では、カメラ110からの出力に基づいて制御装置120が表示装置130に画像を表示する。また、ステップS4では、制御装置120が可変焦点機構620を制御して、結像光学系610を構成するレンズ間の間隔を変化させることで標本Sにフォーカスを合わせる。
本実施例に係る顕微鏡システム6によっても、実施例1に係る顕微鏡システム1と同様に、対物レンズを切り替えることなく低倍から高倍まで広い観察倍率で標本を観察することができる。このため、顕微鏡を用いた観察作業の作業効率を改善することができる。
上述した各実施例は、発明の理解を容易にするために具体例を示したものであり、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。顕微鏡、顕微鏡システム、オートフォーカス方法及びプログラムは、特許請求の範囲により規定される本発明の思想を逸脱しない範囲において、さまざまな変形、変更が可能である。
例えば、第1のモードと第2のモードで形成される像の向きを揃えるために、イメージローテータを用いる例が示されたが、像を反転させる構成はイメージローテータに限られず、プリズム対が用いられてもよい。また、リレー光学系を挿脱することで、第1のモードと第2のモードでの結像回数を奇数回又は偶数回にそろえてもよい。
1、3、4、5、6 顕微鏡システム
100、200、300、400、500、600 顕微鏡
101 対物レンズ
102 準焦機構
103、201、301、428、524、620 可変焦点機構
104 レンズ
105 結像レンズ
106、203、305、427、523、610 結像光学系
110、150 カメラ
120 制御装置
121 プロセッサ
122 メモリ
130 表示装置
131 GUI画面
132、134、135、136、137 領域
133 倍率情報
140 入力装置
202、630 イメージローテータ
204 接眼レンズ
420、520 オートフォーカスユニット
421 光源
422、430 遮光板
423、601 ハーフミラー
429 ダイクロイックミラー
431 光検出器
100、200、300、400、500、600 顕微鏡
101 対物レンズ
102 準焦機構
103、201、301、428、524、620 可変焦点機構
104 レンズ
105 結像レンズ
106、203、305、427、523、610 結像光学系
110、150 カメラ
120 制御装置
121 プロセッサ
122 メモリ
130 表示装置
131 GUI画面
132、134、135、136、137 領域
133 倍率情報
140 入力装置
202、630 イメージローテータ
204 接眼レンズ
420、520 オートフォーカスユニット
421 光源
422、430 遮光板
423、601 ハーフミラー
429 ダイクロイックミラー
431 光検出器
Claims (9)
- 無限遠補正型の対物レンズと、
前記対物レンズを介して入射する標本からの光を結像する結像光学系と、
前記対物レンズと前記標本との相対距離に応じて前記結像光学系の焦点距離を変更するための可変焦点機構と、を備える
ことを特徴とする顕微鏡。 - 請求項1に記載の顕微鏡において、
前記結像光学系は、挿脱自在に配置されたレンズを含み、
前記可変焦点機構は、前記レンズを挿脱する機構を含む
ことを特徴とする顕微鏡。 - 請求項2に記載の顕微鏡において、
前記可変焦点機構は、さらに、前記レンズを光軸方向に移動させる機構を含む
ことを特徴とする顕微鏡。 - 請求項1に記載の顕微鏡において、
前記結像光学系は、ズーム光学系であり、
前記可変焦点機構は、前記ズーム光学系のレンズを光軸方向に移動させる機構を含む
ことを特徴とする顕微鏡。 - 請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の顕微鏡と、
前記顕微鏡を制御する制御装置と、を備え、
前記顕微鏡は、さらに、前記対物レンズと前記標本との相対距離を変更する準焦機構を備え、
前記制御装置は、前記準焦機構と前記可変焦点機構を制御して、前記顕微鏡の動作モードを、前記対物レンズが形成する前記標本の光学像をリレーして前記標本を観察する第1のモードと前記対物レンズから出射する無限遠光束を結像して前記標本を観察する第2のモードとの間で切り替える
ことを特徴とする顕微鏡システム。 - 請求項5に記載の顕微鏡システムにおいて、
前記第1の動作モードは、前記対物レンズの倍率未満の倍率で前記標本を観察するための動作モードである
ことを特徴とする顕微鏡システム。 - 請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の顕微鏡と、
前記顕微鏡を制御する制御装置と、を備え、
前記顕微鏡は、さらに、前記結像光学系と、前記可変焦点機構と、前記対物レンズと前記標本との相対距離を変更する準焦機構と、を含むオートフォーカスユニットを備え、
前記制御装置は、前記オートフォーカスユニットを制御して、前記顕微鏡の動作モードを、前記対物レンズの前側焦点位置よりも前記対物レンズから離れた第1の位置にフォーカスを合わせる第1のモードと前記対物レンズの前側焦点位置にフォーカスを合わせる第2のモードとの間で切り替える
ことを特徴とする顕微鏡システム。 - 無限遠補正型の対物レンズと結像光学系とを備える顕微鏡システムのオートフォーカス方法であって、
前記結像光学系の焦点距離を変更して、前記対物レンズの前側焦点位置よりも前記対物レンズから離れた第1の位置にフォーカスを合わせ、
前記結像光学系の焦点距離に基づいて算出した前記対物レンズと標本の間の距離に応じて前記対物レンズを前記標本に近づけて、
前記対物レンズの前側焦点位置にフォーカスを合わせる
ことを特徴とするオートフォーカス方法。 - 無限遠補正型の対物レンズと結像光学系とを備える顕微鏡システムのコンピュータを、
前記結像光学系の焦点距離を変更して、前記対物レンズの前側焦点位置よりも前記対物レンズから離れた第1の位置にフォーカスを合わせる手段、
前記結像光学系の焦点距離に基づいて算出した前記対物レンズと標本の間の距離
に応じて前記対物レンズを前記標本に近づける手段、
前記対物レンズの前側焦点位置にフォーカスを合わせる手段、
として機能させることを特徴とするプログラム。
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